WO2005097954A1

WO2005097954A1 - 耐防錆グリース組成物、グリース封入軸受およびグリース組成物用錆止め剤

Info

Publication number: WO2005097954A1
Application number: PCT/JP2005/005474
Authority: WO
Inventors: Takayuki Kawamura
Original assignee: Ntn Corporation
Priority date: 2004-04-02
Filing date: 2005-03-25
Publication date: 2005-10-20
Also published as: EP2518132B1; EP1764406A4; EP1764406A1; US8629090B2; JP2005290278A; EP2518132A1; EP1764406B1; CN100560703C; US20070161520A1; CN1938407A

Abstract

　亜硝酸塩類を使用しなくても、優れた錆止め性を示す耐防錆グリース組成物およびこの耐防錆グリース組成物が封入された軸受を提供する。　基油に、増ちょう剤と、錆止め成分とを配合してなるグリース組成物であって、上記錆止め成分が多塩基酸金属塩と、水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも１つの化合物とを必須成分とし、かつ上記基油および増ちょう剤の合計量に対してそれぞれ 0.1 ～ 10 重量部配合され、上記基油が、合成炭化水素油およびエーテル油から選ばれた少なくとも１つの油を含有し、上記増ちょう剤がウレア系増ちょう剤であり、上記基油および増ちょう剤の合計量に対して 5 ～ 30 重量部配合されてなる。

Description

耐防鲭グリース組成物、グリース封入軸受ぉよびグリース組成物用鲭止め剤

技術分野

[0001] 本発明は、鲭止め性に優れた耐防鲭グリース組成物、この耐防鲭グリース組成物が封入されたグリース封入軸受、および上記耐防鲭グリース組成物に含まれる鲭止め成分力なるグリース組成物用鲭止め剤に関する。

背景技術

[0002] 自動車の走行中において、道路上の水、塩水あるいは海水等の付着浸入が生じやすい自動車用電装補機や、常に冷却水の浸入に曝される圧延ローラ等の製鉄用機器等に用いられる転がり軸受は、発鲭を抑えることが重要である。

特に、海岸での走行や、路面凍結防止のために塩ィ匕カルシウム等を散布した道路の走行等、自動車の使用の多様ィ匕に伴い、グリースに対する鲭止め性の要求が強くなってきている。

また、製鉄産業の連続铸造設備でも使用するモールディングパウダーの変遷に伴つて、冷却水中にその成分の一部が溶解し、発鲭を促進させていること等、グリースに対する鲭止め性能向上の要求が強まってきて、る。

発鲭を抑えるため、転がり軸受に適当なシールやその他機構上の対策を施して、直接、鲭の起因となる物質の混入を防ぐ対策が行なわれている。例えば、自動車においては、直接泥水等が力からない位置にオルタネータ等を配置したり、泥よけ等を取り付けたりの対策がなされている。しかし、転がり軸受は、機構上、完全な密封が不可能であるため、封入される潤滑グリースにも、優れた鲭止め性能が求められている

[0003] 従来、鲭止め性に優れた耐防鲭グリースとして、鲭止め剤としての油溶性インヒビタ一、水溶性無機不動態化剤、非イオン界面活性化剤を配合したグリース組成物が知られている (特許文献 1参照)。

また、オルタネータ用グリース封入転がり軸受として、不動態化酸化剤、有機スルホン酸および多価アルコールエステルを添カ卩したグリース組成物が知られて、る（特許文献 2参照)。

しかし、水溶性無機不動態化剤として優れている亜硝酸ソーダは、第二級ァミンと酸性条件下で反応して、ニトロソァミンが生成することが知られている。この-トロソァミンが環境負荷物質であることから、親油性有機インヒビター、非イオン系界面活性剤、および親水性基で変性されたラノリン脂肪酸誘導体およびアルカノールァミン誘導体力も選ばれる親水性有機インヒビターを、各々該グリース組成物全量の 0.1— 10重量部となるように配合し、さらに鲭止め剤としてバリウムスルホネートを添加した軸受封入用グリース組成物が知られてヽる (特許文献 3参照)。

また、環境負荷物質の亜硝酸塩を含まな、添加剤として多価アルコール系エステルを用いて合成炭化水素油を基油とするグリース組成物が知られている（特許文献 4 参照)。

[0004] し力しながら、亜硝酸ソーダを含むグリースは地球環境に悪影響を及ぼすおそれがある。また、鲭止め性に対する要求が強くなると、多価アルコール系エステルを用いて合成炭化水素油を基油とするグリース組成物では耐防鲭性能が不十分になる場合がある。

特許文献 1：特開平 3— 200898号公報

特許文献 2 :特開平 5-263091号公報

特許文献 3：特開平 11-279578号公報

特許文献 4：特開 2004-51912号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] 本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、亜硝酸塩類を使用しなくても、優れた鲭止め性を示す耐防鲭グリース組成物、この耐防鲭グリース組成物が封入されたグリース封入軸受、およびグリース組成物用鲭止め剤の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明に係る耐防鲭グリース組成物は、基油に、増ちよう剤と、鲭止め成分とを配合してなるグリース組成物であって、上記鲭止め成分は、多塩基酸金属塩と、水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカゝら選ばれた少なくとも 1つの化合物とを必須成分とすることを特徴とする。

上記鲭止め成分の必須成分の配合量は、上記基油および増ちよう剤の合計量 100 重量部に対してそれぞれ 0.1— 10重量部であることを特徴とする。

上記基油は、合成炭化水素油およびエーテル油から選ばれた少なくとも 1つの油を含有して!/、ることを特徴とする。

上記増ちよう剤はゥレア系増ちよう剤であり、上記基油および増ちよう剤の合計量

100重量部に対して 5— 30重量部配合されてなることを特徴とする。

また、上記多塩基酸金属塩が二塩基酸金属塩であり、また水酸基の一部がブロックされた多価アルコールがソルビタンの部分エステルであることを特徴とする。

[0007] 本発明に係るグリース封入軸受は、摺動部分に上記耐防鲭グリース組成物が封入されてなることを特徴とする。また、このグリース封入軸受が自動車用電装補機または製鉄用機器に使用される軸受であることを特徴とする。

[0008] 本発明に係るグリース組成物用鲭止め剤は、多塩基酸金属塩と、水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカゝら選ばれた少なくとも 1つの化合物とを含有することを特徴とする。

発明の効果

[0009] 本発明に係る耐防鲭グリース組成物は、鲭止め成分として、（1)多塩基酸金属塩と、（2)水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、（3)有機スルホン酸塩および脂肪酸エステル力選ばれた少なくとも 1つの化合物との 3つの化合物を必須成分とするので、亜硝酸塩を含まなくても鲭止め性に優れた耐防鲭グリース組成物が得られる。

また、本発明に係るグリース封入軸受は、環境負荷物質の亜硝酸塩を含まないで優れた鲭止め性能を有する軸受が得られる。そのため、耐防鲭が必要とされる自動車用電装補機または製鉄用機器に使用される軸受として好適である。

本発明に係るグリース組成物用鲭止め剤は、上記 3つの化合物を必須成分とするので、対環境性に優れ、かつ耐防鲭が必要とされるグリース組成物用鲭止め剤として使用できる。

図面の簡単な説明

[0010] [図 1]深溝玉軸受の断面図である。

符号の説明

[0011] 1 グリース封入軸受

2 内輪

3 外輪

4 転動体

5 保持器

6 シール部材

7 グリース

発明を実施するための最良の形態

[0012] (1)多塩基酸金属塩と、（2)水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、 (3) 有機スルホン酸塩および脂肪酸エステル力も選ばれた少なくとも 1つの化合物との 3 つの化合物を必須成分とする鲭止め成分を用いると、亜硝酸ソーダ等の亜硝酸塩類を含有しなくてもグリースの鲭止め性能が大幅に改善できることが分力つた。特に（1) 多塩基酸金属塩および（2)水酸基の一部がブロックされた多価アルコールを必須成分として、これに（3)有機スルホン酸塩および脂肪酸エステル力も選ばれた少なくとも 1つの化合物を配合することにより、鲭止め性能が向上することが分力つた。上記 3つの化合物の組み合わせにより鲭止め効果が増大したものと考えられる。本発明はこのような知見に基づくものである。

[0013] 基油に増ちよう剤を配合して得られるグリース組成物に鲭止め成分として配合される多塩基酸金属塩は、二塩基酸以上の多塩基酸のカルボキシル基の水素原子を金属原子で置換した化合物である。多塩基酸の中でも二塩基酸が好ましい。例えばセバシン酸、ァゼライン酸、コハク酸等が挙げられる。金属原子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましぐリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が特に好ましい。

本発明に好適な多塩基酸金属塩としては、二塩基酸金属塩が好ましぐセバシン酸ナトリウムが特に好ましい。セバシン酸ナトリウムを必須成分として、上記（2)および (3)の化合物と混合することにより、実験の結果、鲭止め効果が増大した。

[0014] 鲭止め成分として使用できる水酸基の一部がブロックされた多価アルコールは、多価アルコールの水酸基の一部が保護されたィ匕合物を、う。本発明にお、て「ブロックされた」とは、水酸基の水素原子が置換されていることをいう。例えばエステル化、ァセチルイ匕された水酸基をいう。本発明においては、特に脂肪酸とのエステルが好ましい。

多価アルコールとしてはグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の脂肪族多価アルコールが挙げられる。多価アルコールとエステルを形成する脂肪酸は RCOOHで表される化合物で、 Rは飽和または不飽和の炭化水素基を表す。

脂肪酸としては高級脂肪酸が好ましぐ例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、牛脂酸、ステアリン酸、力プロレイン酸、ゥンデシレン酸、リンデル酸、ッズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、ォレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バタセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、サビニン酸、リシノール酸、ベへニン酸等が挙げられる。

これら水酸基の一部がブロックされた多価アルコールの中で、ソルビタン脂肪酸ェステルが好ましぐ特にソルビタントリオレエートが好ましい。ポリ— α—ォレフィン油等と組み合わせて使用することにより、鲭止め性能をより向上させることができる。

[0015] 鲭止め成分は、上記（1)多塩基酸金属塩および（2)水酸基の一部がブロックされた多価アルコールを必須成分とすることが好ましぐさらにこれらに第 3の成分を配合することが好ましい。

鲭止め成分として使用できる第 3の成分は、有機スルホン酸塩、脂肪酸エステルまたは両者の混合物である。

有機スルホン酸塩は、スルホン酸 (RSO Η)の塩であり、一般に RSO Μとして表さ

3 3

れる。スルホン酸としては、例えば石油スルホン酸、ジノ-ルナフタレンスルホン酸が挙げられる。また、 Μとしては、バリウム、カルシウム、亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシゥム等の金属および、 ΝΗ 、 H N (CH ) NH 等のアミン等が挙げられる。上記の中でも、スルホン酸のカルシウム塩またはナトリウム塩が好まし！/、。

[0016] 脂肪酸エステルは、酸成分としてはコハク酸、ステアリン酸、ォレイン酸等が挙げられ、アルコール成分としては、イソプロピルアルコール、 2-ェチルへキシルアルコール、 n-ォクチルアルコール、ォレイルアルコール等が挙げられる。これらの中で、コハク酸エステルが好ましい。

[0017] 本発明に使用できる鲭止め成分の上記各必須成分は、基油および増ちよう剤の合計量 100重量部に対して、それぞれ 0.1— 10重量部配合する。好ましくは、 0.3 一 3重量部配合する。 0.1重量部未満であると鲭止め性能が低下し、 10重量部をこえると潤滑性が低下する。

[0018] 本発明に好適に使用できる基油は、合成炭化水素油、エーテル油、または両者の混合油である。本発明の基油としては合成炭化水素油とエーテル油との混合油が好ましい。

本発明に使用できる合成炭化水素油は、炭素と水素の化合物力なる炭化水素化合物であり、ポリ α—才レフイン油、 α—才レフインとォレフインとの共重合体、ポリブテン等の脂肪族系炭化水素油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリフエ- ル、合成ナフテン等の芳香族系炭化水素油が挙げられる。

[0019] 本発明に好適な合成炭化水素油は、上述した鲭止め成分の共存により、優れた鲭止め効果を示す脂肪族系炭化水素油が使用できる。脂肪族系炭化水素油の中でもポリ一 α—ォレフイン油、 α—ォレフインとォレフインとの共重合体が好ましい。これらは、 α—ォレフィンの低重合体であるオリゴマーとし、その末端二重結合に水素を添カロした構造である。

合成炭化水素油は、基油 100重量部に対して 10重量部以上含むことが好ましい。 10重量部未満では鲭止め成分と組み合わせて使用するときの鲭止め性能に劣る

[0020] 本発明に使用できるエーテル油としては、アルキルジフエ-ルエーテル油、アルキルトリフエ-ルエーテル油、アルキルテトラフエ-ルエーテル油、ジアルキルジフエ- ルエーテル油等のエーテル油類が挙げられる。

[0021] 本発明に使用できる基油は、上記合成炭化水素油およびエーテル油の他に、鉱油、エステノレ油が挙げられる。

具体的に、鉱油としてはパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油を挙げることができ、ェステル油としては、ジエステル油、ポリオールエステル油またはこれらのコンプレックスエステル油、芳香族エステル油等を挙げることができる。

[0022] 本発明に使用できる増ちよう剤は、ウレァ系増ちよう剤が好ましい。ウレァ系増ちよう剤として使用するゥレア化合物は、下記式（1)で示されるジゥレアまたは、ポリウレァが好ましぐなかでもジゥレアがより好ましい。ゥレア化合物は、脂肪族系、脂環族系、芳香族系いずれであってもよぐこれらを任意の比率で混合して使用できる。

[化 1] ο o

II II

R「 NHCNH— R一 NHCNH— R₃

(1 )

R は炭素数 6— 15の芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素基または脂環族

2

系炭化水素基を表わし、 R および R は炭素数 6— 12の芳香族系炭化水素基、シ

1 3

クロへキシル基、炭素数 7— 12のシクロへキシル誘導体、炭素数 6— 20のアルキル基の、ずれかを表わす。

[0023] 本発明に使用できるウレァ系増ちよう剤の配合量は、基油および増ちよう剤の合計量 100重量部に対して 5— 30重量部である。 5重量部未満では、グリースが粘度の低い液状となって漏洩しやすく軸受に密封することが困難になる。また 30重量部をこえると固化し、ちょう度が 200以下となるので、軸受封入用のグリースとして実用 '性がなくなる。

[0024] ゥレア化合物は、イソシァネートイ匕合物とアミノ化合物を反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシァネートイ匕合物のイソシァネート基とァミノ化合物のァミノ基とは略当量となるように配合することが好ま、。

[0025] グリース組成物は、基油中でイソシァネート化合物とァミノ化合物とを反応させてもよぐまたあらかじめ合成されたゥレア化合物を基油と混合してもよい。好ましい作製方法は、グリースの安定性を保ちやす、前者の方法である。

[0026] 本発明に係る耐防鲭グリース組成物は、上記の基油と、増ちよう剤と、鲭止め成分とを必須成分とするものであるが、これらの構成成分の他に、さらに極圧剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、油性剤等の従来のグリース用添加剤を配合できる。以下にこれらを示す。

[0027] 極圧剤：

極圧剤を配合することにより、耐荷重性や極圧性を向上させることができる。例えば以下の化合物を使用できる。有機金属系のものとしては、ジチォ力ルバミン酸モリブデン、ジチォリン酸モリブデン等の有機モリブデンィ匕合物、ジチォ力ルバミン酸亜鉛、ジチォリン酸亜鉛、亜鉛フエネート等の有機亜鉛ィ匕合物、ジチォ力ルバミン酸アンチモン、ジチォリン酸アンチモン等の有機アンチモン化合物、ジチォ力ルバミン酸セレン等の有機セレン化合物、ナフテン酸ビスマス、ジチォカルノミン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、ジチォ力ルバミン酸鉄、ォクチル酸鉄等の有機鉄化合物、ジチォ力ルバミン酸銅、ナフテン酸銅等の有機銅化合物、マレイン酸スズ、ジブチルスズスルファイド等の有機スズィ匕合物、あるいは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の有機スルホネート、フネート、ホスホネート、金、銀、チタン、カドミウム等の有機金属化合物も必要なら使用できる。硫黄系化合物としては、ジベンジルジスルフイド等のスルフイドあるいはポリスルフイド化合物、硫化油脂類、無灰系力ルバミン酸ィ匕合物類、チォウレァ系化合物、もしくはチォカーボネート類等を使用できる。リン酸系極圧剤としては、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル等のリン酸エステル系化合物を使用できる。また、その他、塩素化パラフィン等のハロゲン系の極圧剤、あるいは、二硫ィ匕モリブデン、二硫化タングステン、グラフアイト、ポリテトラフルォロエチレン、硫ィ匕アンチモン、窒化硼素等の硼素化合物等の固体潤滑剤を使用することができる。これらの極圧剤の中で、ジチォ力ルバミン酸系化合物やジチォリン酸系化合物を好適に使用できる。

[0028] 酸化防止剤：

酸化防止剤としてゴム、プラスチック、潤滑油等に添加する老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸ィ匕防止剤力適宣選択して使用できる。例えば、以下の化合物が使用できる。すなわち、フエ-ルー 1 ナフチルァミン、フエ-ルー 2—ナフチルァミン、ジフエ二ルー p フエ二レンジァミン、ジピリジルァミン、フエノチアジン、 N—メチルフエノチアジン、 N ェチルフノチアジン、 3, 7—ジォクチルフノチアジン、 ρ,ρ—ジォクチルジフエ-ルァミン、 Ν,Ν—ジイソプロピル ρ フエ-レンジァミン、 Ν,Ν—ジー sec ブチル p フエ-レンジァミン等のアミン系化合物、 2,6—ジー t ジブチルフエノール等のフノール系化合物等が使用できる。

[0029] 金属不活性化剤：

金属不活性化剤としては、例えばべンゾトリアゾールやトリルトリァゾール等のトリアゾール系化合物が使用できる。

[0030] 油性剤：

油性剤としては、例えば以下の化合物が使用できる。すなわち、ォレイン酸ゃステアリン酸等の脂肪酸、ォレイルアルコール等の脂肪酸アルコール、リン酸、トリクレジルホスフェート、ポリオキシエチレンォレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等が使用できる。

[0031] 本発明に係るグリース封入軸受の一例を図 1に示す。図 1は深溝玉軸受の断面図である。

ダリース封入軸受 1は、外周面に内輪転走面 2aを有する内輪 2と内周面に外輪転走面 3aを有する外輪 3とが同心に配置され、内輪転走面 2aと外輪転走面 3aとの間に複数個の転動体 4が配置される。この複数個の転動体 4を保持する保持器 5および外輪 3等に固定されるシール部材 6とにより構成される。少なくとも転動体 4の周囲にグリース 7が封入される。

[0032] グリース 7が亜硝酸塩を含まな、添加剤を用いて、るので、耐環境性に優れたダリース封入軸受 1が得られる。また、鲭止め性に優れているので、自動車用電装補機や製鉄用機器等に用いられる転がり軸受に好適に使用できる。

[0033] 本発明に係るグリース組成物用鲭止め剤は、（1)多塩基酸金属塩と、（2)水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、 (3)有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカ選ばれた少なくとも 1つの化合物との 3つの化合物を配合して得られる。各成分は上述したィ匕合物を用いることができる。

各成分の配合割合は、（1)多塩基酸金属塩 0.1— 5重量部、好ましくは 0.3— 3重量部、（2)水酸基の一部がブロックされた多価アルコール 0.1— 5重量部、好ましくは 0.3— 3重量部、（3)有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカゝら選ばれた少なくとも 1つの化合物 0.1— 5重量部、好ましくは 0.3— 3重量部である。

[0034] 実施例 1

ポリ— at一才レフイン油（動粘度 30 mmVs ( 40 °C) )とアルキルジフエ-ルエーテル油（動粘度 97 mm²/s ( 40 °C) )の混合油とからなる基油を表 1に示す配合割合で調製した。この基油を 2液に分割し、その半量に 4, 4'ージフエニルメタンジイソシァネー HMDI)を溶解し、残りの半量の基油に 4, 4'ージフエ-ルメタンジイソシァネートの 2 倍当量となる P—トルイジンを溶解した。なお、芳香族ジゥレア化合物として表 1に示す配合割合となるように 4, 4'ージフエ-ルメタンジイソシァネートを溶解した。 4, 4'ージフェニルメタンジイソシァネートを溶解した溶液を撹拌しながら p—トルィジン溶液を加えた後、 100— 120でで 30分間撹拌を続けて反応させて芳香族ジゥレア化合物を基油に配合した。

これに塩基性 Caスルホネート、セバシン酸ナトリウムおよびソルビタントリオレートを表 1に示す配合割合で加えてさら〖こ 100— 120でで 10分間撹拌した。その後冷却し三本ロールで均質ィ匕しグリース組成物を得た。このグリース組成物の鲭試験を行なつて鲭止め性能を評価した。試験方法および試験条件を以下に示す。また、結果を表 1に示す。

[0035] ASTM D 1743に規定される鲭試験法に準じて、試験条件を鲭発生に対してより過酷な条件で行なった。あらかじめ有機溶剤により脱脂し、乾燥させた円錐ころ軸受 30204に実施例 1で得られたグリース組成物を 2.0 g封入した後、アキシャル荷重を 98 N加えて毎分 1800回転で 1分間慣らし運転した。

次に、 1重量部食塩水に浸漬した後、この軸受を 40 °Cで飽和水蒸気圧に達した密封高湿容器に入れ、 40でで 48時間放置した後、発鲭状況を調べた。発鲭状況は外輪レースを周方向に 32等分して鲭のあった区間を数え、鲭発生率を測定した。試験回数 n=4回の平均を鲭評点とした。

[0036] 実施例 2—実施例 1 1

実施例 1に準じる方法で、表 1に示す配合割合で、増ちよう剤、基油を選択してベースグリースを調製し、さらに添加剤を配合してグリース組成物を得た。得られたダリース組成物を実施例 1と同様に鲭試験を行なって鲭止め性能を評価した。結果を表

1に示す。

[0037] 比較例 1一比較例 7

実施例 1に準じる方法で、表 2に示す配合割合で、増ちよう剤、基油を選択してベースグリースを調製し、さらに添加剤を配合してグリース組成物を得た。得られたダリース組成物を実施例 1と同様に鲭試験を行なって鲭止め性能を評価した。結果を表

2に示す。

[0038] [表 1]

[表 2]

比較例

配台重量部

基油

合成炭化水素油

アルキルジフエ二ルエーテル油

增ちょう剤

ァミン

卜ルイジン

シクロへキシルァミン

ォクチルァミン

ジイソシァネート

添加剤

スルホネー卜

塩基性スルホネート

脂肪族ァミン - - サリシレート

中性スルホネート - - - - コハク酸エステル

セバシン酸ナトリウム

ソレビタントリオレート - - 亜硝酸ナトリウム

特性

鲭発生確率

[0039] 各実施例に示されたように、本発明に係る耐防鲭グリースの鲭発生確率は、各比較例と比べて極端に低くなつている。基油に合成炭化水素油を使用し、かつ、鲭止め用添加剤として、多塩基酸金属塩と、水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカゝら選ばれた少なくとも 1つの化合物とを必須成分として配合したことにより、鲭止め性に優れた耐防鲭グリース組成物が得られた。

産業上の利用可能性

[0040] 本発明に係る耐防鲭グリース組成物は、環境負荷物質の-トロソァミンを発生させることなく環境にやさしぐかつ鲭止め性の優れた耐防鲭グリース組成物であるので、この耐防鲭グリース組成物を摺動部分に封入したグリース封入軸受は、優れた鲭止め性能を有する軸受となり、自動車用電装補機または製鉄用機器に好適に使用できる。

Claims

請求の範囲

[I] 基油に、増ちよう剤と、鲭止め成分とを配合してなるグリース組成物であって、前記鲭止め成分は、多塩基酸金属塩と、水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカゝら選ばれた少なくとも 1つの化合物とを必須成分とすることを特徴とする耐防鲭グリース組成物。

[2] 前記多塩基酸金属塩の配合量は、前記基油および増ちよう剤の合計量 100重量部に対して 0.1— 10重量部であることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[3] 前記多塩基酸金属塩は、二塩基酸金属塩であることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[4] 前記水酸基の一部がブロックされた多価アルコールの配合量は、前記基油および増ちよう剤の合計量 100重量部に対して 0.1— 10重量部であることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[5] 前記水酸基の一部がブロックされた多価アルコール成分は、ソルビタンの部分エステルであることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[6] 前記有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカゝら選ばれた少なくとも 1つの化合物の配合量は、前記基油および増ちよう剤の合計量 100重量部に対して 0.1— 10重量部であることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[7] 前記有機スルホン酸塩は、スルホン酸のカルシウム塩またはナトリウム塩であることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[8] 前記脂肪酸エステルは、コハク酸エステルであることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[9] 前記基油は、合成炭化水素油およびエーテル油から選ばれた少なくとも 1つの油を含有していることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[10] 前記増ちよう剤は、前記基油および増ちよう剤の合計量 100重量部に対して 5一 30重量部配合されてなることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[II] 前記増ちよう剤は、ウレァ系増ちよう剤であることを特徴とする請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物。

[12] 摺動部分にグリース組成物が封入されてなるグリース封入軸受であって、前記ダリース組成物が請求項 1記載の耐防鲭グリース組成物であることを特徴とするグリース封入軸受。

[13] 前記グリース封入軸受は、自動車用電装補機または製鉄用機器に使用される軸受であることを特徴とする請求項 12記載のグリース封入軸受。

[14] 多塩基酸金属塩と、水酸基の一部がブロックされた多価アルコールと、有機スルホン酸塩および脂肪酸エステルカゝら選ばれた少なくとも 1つの化合物とを含有するダリース組成物用鲭止め剤。