WO2005063409A1

WO2005063409A1 - スピンコート装置

Info

Publication number: WO2005063409A1
Application number: PCT/JP2004/018793
Authority: WO
Inventors: Kosuke Inaya
Original assignee: Origin Electric Company, Limited
Priority date: 2003-12-25
Filing date: 2004-12-16
Publication date: 2005-07-14
Also published as: CN1898031A; TWI264721B; TW200529222A; JP4117843B2; DE112004002534T5; JP2005190532A; CN101518770B; CN100528378C; CN101518770A

Abstract

　このスピンコート装置は、ディスク基板を保持する回転テーブルと、この回転テーブルを回転させる回転機構と、前記回転テーブルを包囲して配置され前記回転テーブル上に保持されたディスク基板から振り切られた液体を受け止めるコータカバーと、前記コータカバーを伝わって滴る液体を受け止めて排出しないインナーカップと、このインナーカップを支えるコータカップとを具備し、前記インナーカップは、前記コータカップから取り外し可能とされている。

Description

明細書

スピンコート装置

技術分野

[0001] 本発明は、各種ディスクに液体を塗布するためのスピンコート装置に関する。

本願は、 2003年 12月 25日に出願された特願 2003-429087号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002] 例えば、 CD_R、 DVD-R, DVD + Rなどの追記型光ディスクの製造工程では、スピンコート装置によってディスク基板を所定のスピンパターンに従って回転させることにより、遠心力で記録材料の溶液をディスク基板全面に広げ、余剰の溶液は振り切ることにより、一様な厚みの記録層を形成している。

[0003] ディスク基板 1枚をスピンコーティングするのに供給される溶液の量は、一般に 0· 1 一 2m 呈度である。そのうちディスク基板上にコーティングされる、すなわち実際に記録膜を形成するのに使用される溶液は 50%以下である。それ以外の溶液または記録材料は、コータカップ、回収用ドレインを通して回収容器に回収される。

[0004] 記録層を形成するスピンコート装置では、光ディスクの保護膜形成用、あるいは半導体のフォトレジスト膜形成用のスピンコート装置と異なり、塗布される溶液のほとんどが溶剤とその溶剤に溶けてレ、る色素材料とからなる。例えば、一般的な記録材料溶液は、有機溶媒にフタロシアニン色素、シァニン色素、ァゾ色素などを溶力た有機色素溶液である場合が多い。したがって、溶剤が短時間で蒸発し、色素材料が固形状態又はドロドロの粘性の高い状態になるため、記録材料溶液を効率よく回収するために対策を施さねばならない。

[0005] スピンコーティングで振り切られた余剰の有機色素溶液の色素材料は、コータカバ一の内壁に固着して成長する。この固着した色素材料に、その後に振り切られた余剰の有機色素溶液が衝突すると、跳ね返った余剰の有機色素溶液がディスク基板に再付着することがあり、歩留まりの低下を招く。

[0006] コータカップに溜まった記録材料溶液をドレインを通して回収容器に集める機構では、ドレイン通路を極力短くしないと、途中で記録材料が固まってしまう。するとドレイン通路が徐々に細くなり、流れに《なるために溶液の回収作業が困難になる。また、スピンコート装置には、溶液のミストがディスク基板の裏側、又は回転テーブルの裏側に回るのを防止する整流部材が設けられてレ、る力その整流部材へ記録材料が固着したり、インナーカップとコータカバーとの当接箇所への記録材料が固着することもある。

[0007] 特開平 9—27146号公報および特開 2003—6948号公報には、記録材料が装置各部に固着する不都合を解決するために、洗浄装置を設けて装置内部を定期的に洗浄する装置、および記録材料溶液をドレインを通じて回収する装置がそれぞれ提案されている。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] しかし、このような洗浄を行っても、記録材料の付着や堆積を完全には防ぐことができず、やはり付着した記録材料の除去に手間がかかり、スピンコート装置を停止する時間が長いとレ、う問題を有してレ、た。

[0009] 特に、 CD_R、 DVD-R, DVD + Rなど追記型光ディスクの製造装置の多くのもの力個以上のコータカップを備えているので、これらのメンテナンスに要する時間はかなり長ぐスピンコート装置の使用効率を高める上で支障になっていた。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明に係るスピンコート装置は、ディスク基板を保持する回転テーブルと、この回転テーブルを回転させる回転機構と、前記回転テーブルを包囲して配置され前記回転テーブル上に保持されたディスク基板から振り切られた液体を受け止めるコータカバーと、前記コータカバーを伝わって滴る液体を受け止めて保持するインナーカップと、このインナーカップを支えるコータカップとを具備し、前記インナーカップは、前記コータカップから取り外し可能とされていることを特徴とする。この装置によれば、液体を捕集するインナーカップを簡単に取り外して交換または洗浄することができ、スピンコート装置の稼働効率を高めることができる。

[0011] この装置は、前記回転テーブル又は前記ディスク基板の下側に液体が回り込むのを防止するために前記回転テーブルの周囲に配置された整流部材をさらに具備してもよレ、。前記整流部材は、前記インナーカップに対して相対的に固定された内側固定部分と、この内側固定部分力着脱可能に設けられた外側着脱部分とを有し、前記外側着脱部分は前記回転テーブルの直径よりも大きな内径を有していてもよい。この装置によれば、整流部材により回転テーブル又はディスク基板の下側に液体が回り込むことが防止できるうえ、整流部材の内側固定部分から外側着脱部分を取り外すことにより、容易にインナーカップが取り外せるので、メンテナンス性も阻害しない。

[0012] 前記コータカバーは、前記インナーカップ内へ向けて下方へ突出する環状のスカ一ト部を有していてもよレ、。この場合、コータカバーに付着した液体をスカート部から確実にインナーカップへ落下させることができる。

[0013] この装置は、液体をディスク基板に供給する液体供給機構をさらに具備していてもよい。この場合、前記コータカバーには、前記液体供給機構が液体の詰まりを防ぐために液体を空撃ちする際に、その空撃ちされた液体を前記インナーカップ内へ流すための少なくとも一つの空撃ち用孔が形成されていてもよい。この場合、空撃ちされた液体をインナーカップで回収することができ、別の回収機構が不要となる。

[0014] この装置は、液体をディスク基板に供給する液体供給機構をさらに具備し、前記コ一タカバーには、前記液体供給機構が液体の詰まりを防ぐために液体を空撃ちする際に、その空撃ちされた液体を前記インナーカップ内へ流すための少なくとも一つの空撃ち用孔が形成されており、前記空撃ち用孔の下端の出口は、前記スカート部の外側に開口していてもよい。この場合、空撃ちされた液体をインナーカップで回収することができるだけでなぐ空撃ち用孔の出口に液体のミストが固着することが抑制できる。

[0015] 前記スカート部の外周面には、前記空撃ち用孔の前記出口につながる上下方向にのびる溝が形成されていてもよい。この場合、空撃ち時に空撃ち用孔の出口から吐出された液体が円滑にインナーカップに滴下し、スカート部の外面に液体が残留すること力 S抑制できる。

[0016] 前記コータカバーの下面には、前記コータカバーの全周にわたって、前記空撃ち用孔の前記出口よりも外周側を通って延びるリング溝が形成されていてもよい。この場合、液体がコータカバーの下面を伝わって装置各部に固着するのを抑制できる。

[0017] 前記コータカバーを前記インナーカップ又は前記コータカップに対して位置決めするための位置決め用係止部を有していてもよレ、。この場合、コータカバーに形成されてレ、る空撃ち用孔と液体供給機構との位置合わせを容易に行える。

前記インナーカップは、前記記録材料を排出するためのドレイン構造を有してレ、ないものであってもよい。この場合、インナーカップの着脱が容易であり、ドレインに液体が固着することもなレ、。前記回転テーブルは、ディスク基板の直径と同径もしくはそれ以上の直径を有してレ、てもよレ、。

図面の簡単な説明

[0018] [図 1]本発明の一実施例に係るスピンコート装置を示す断面図である。

[図 2]同スピンコート装置の断面拡大図である。

[図 3]同スピンコート装置に用いられるコータカバーの断面拡大図である。

[図 4]同コータカバーの一部の底面図である。

[図 5]同スピンコート装置の位置決め部を示す平面図である。

[図 6]同スピンコート装置の記録材料供給機構と空撃ち用孔を示す平面図である。

[図 7]本発明の他の実施例のスピンコート装置の要部を示す断面拡大図である。符号の説明

[0019] 1 コータカップ、

2 駆動モータ、

3 スピンドノレユニット、

4 回転テーブル、

5 整流部材、

5A 内側固定部分、

5B 外側着脱部分、

6 インナーカップ、

7 コータカバー、

7e スカート部、

7f 環状溝、 7g 空撃ち用孔、

8 記録材料供給機構、

XI— X4 位置決め部。

発明を実施するための最良の形態

[0020] 図 1ないし図 6により本発明の一実施例について説明する。図 1は、本発明の一実施例に係るスピンコート装置 100を示す断面図である。この装置は、有底円筒状のコータカップ 1と、このコータカップ 1の内側に配置された円形の回転テーブル 4と、回転テーブル 4よりも外側においてコータカップ 1内に配置された円環状のインナーカツプ 6と、このインナーカップ 6と回転テーブル 4の間に配置された円環状の整流部材 5 と、インナーカップ 6の上に配置されたコータカバー 7とを有する。

[0021] コータカップ 1の円形状底部 laの中央には、駆動モータ 2が上向きに取り付けられている。駆動モータ 2の回転力はスピンドルユニット 3によって回転テーブル 4に伝達される。回転テーブル 4は、円板状の載置部 4Aと、その下側に同軸に形成された円筒状の基部 4Bを有し、基部 4Bがスピンドルユニット 3に同軸に結合されている。載置部 4Aの直径 dlは、ディスク基板 Sの平坦性を確保するために、図 2に示すように、デイスク基板 Sの直径と同等力 \もしくはそれよりも大きいことが望ましいが、必要であればディスク基板 Sの直径より小さくてもよい。

[0022] 回転テーブル 4の載置部 4Aの外周および下部を同軸に囲むように、円環状の整流部材 5が設けられている。整流部材 5は、後述する吸引機構により回転テーブル 4 の周囲の空気が径方向外方へ流れるように整流し、遠心力でディスク基板 Sから振り切られた液体 (例えば記録材料溶液）が径方向外方へ飛ぶように規制すると共に、回転テーブル 4の下面およびディスク基板 Sの下面に、記録材料のミストが回り込まなレ、ようにする。

[0023] この実施例の整流部材 5は、円環状の内側固定部分 5Aと、この内側固定部分 5A の外周に着脱可能に嵌め合わされた円環状の外側着脱部分 5Bとからなることを特徴としている。内側固定部分 5Aは、コータカップ 1に対して固定された固定部位（図示略）に固定されている。内側固定部分 5Aの内周面は、回転テーブル 4の円筒状基部 4Bに接触することがないように、円筒状基部 4Bの外周面と同軸に配置された円筒状の内壁面を有する。内側固定部分 5Aの上面は、載置部 4Aの下面から一定の間隙をあけて載置部 4Aと平行に配置されてレ、る。

[0024] 内側固定部分 5Aは、外径の大きい下側の大径部 5aとそれよりも径の小さい上側の小径部 5bとから形成されている。大径部 5aと小径部 5bとの間には、円環状の段差部 5cが形成されている。図 2に示すように、内側固定部分 5Aの大径部 5aおよび小径部 5bは、それぞれ D2、 D2'の直径を有する。

[0025] 図 7に示すように、内側固定部分 5Aの上面に、回転テーブル 4と同軸の円環状凸部 10が形成されると共に、円環状凸部 10に対向する回転テーブル 4の載置部 4Aの下面には、円環状溝 12が形成され、円環状溝 12の全周にわたって、円環状凸部 10 の先端が僅かな間隙をあけて入り込んでいてもよい。この場合には、液体の飛散により生じたミストが円環状凸部 10に阻まれ、載置部 4Aと内側固定部分 5Aとの間隙にレ、つそう進入しにくい。

[0026] 整流部材 5の外側着脱部分 5Bは、内側固定部分 5Aの外周面および段差部 5cにほぼ隙間無く係合する内周面および段差部 5dを有する。外側着脱部分 5Bの段差部 5dが内側固定部分 5Aの段差部 5cに当接することにより、外側着脱部分 5Bは内側固定部分 5Aにより支持されている力持ち上げると内側固定部分 5Aから容易に取り外せる。外側着脱部分 5Bを内側固定部分 5Aに載せた状態において、外側着脱部分 5Bの円筒形をなす内周面の上部 5eは、回転テーブル 4の載置部 4Aの外周面から一定距離離れて同軸に配置されている。

[0027] 外側着脱部分 5Bの内周面の上部 5eの直径 D1は、回転テーブル 4の載置部 4Aの直径 dlよりも若干大きぐ直径 dlと直径 D1との差は、接触しない程度ないしは数 m m程度である。外側着脱部分 5Bの上面 5fは、回転テーブル 4の載置部 4Aの上面とほぼ同じ高さ、又はそれよりも僅かに低く設定されている。上面 5fの外側には、外側へ行くにつれ下がるテーパ面 5gが形成されてレ、る。

[0028] 余剰の溶液を捕集するためのインナーカップ 6は、内側固定部分 5Aの大径部 5a の直径 D2より大きな直径 d2を有する円筒状の内壁部 6aと、円筒状の外壁部 6bと、これら内壁部 6aと外壁部 6bとの底面を結合して閉じる円環状の底板部 6cとからなる。この実施例の底板部 6cには記録材料排出用のドレインは形成されていない。した力 Sつて、スピンコーティング時に振り切られた余剰の溶液はインナーカップ 6に回収され、溜められる。外壁部 6bの上部には、外方に広がる円環状の段差部 6dが形成され、この段差部 6dの外周縁から起立するように外壁部 6bよりも径の大きな円環状の大径部 6eが形成されてレ、る。

[0029] コータカップ 1の側壁部 lbの上端には、外方に広がる円環状の段差部 lcが形成され、側壁部 lbよりも径の大きな大径部 I dが形成されている。大径部 Idの内径は、大径部 6eの外径よりも若干大きい程度である。コータカップ 1の段差部 Id インナーカップ 6の段差部 6dがはめ込まれると、インナーカップ 6の底板部 6cが、コータカップ 1の円形状底部 laに当接して支持される。これにより、インナーカップ 6はコータカツプ 1によって同軸にかつ安定に支持される。

[0030] コータカバー 7は、図 3に示されているように、ディスク基板 Sの直径より大きな直径の中央孔 7aを有する円環状の上面 7bと、インナーカップ 6の大径部 6eの直径よりも若干小さぐ大径部 6eに納まる外径を有する外壁部 7cと、記録材料の液体が飛散するのを抑制する飛散抑制壁部 7dと、飛散抑制壁部 7dの下端からインナーカップ 6内に延びる円筒状のスカート部 7eと、スカート部 7eの外側においてコータカバー 7の底部に同軸に形成された円環状の環状溝 7fと、記録材料供給機構 8による空撃ち時に吐出される記録材料の液体を受ける空撃ち用孔 7gとを有する。必要であれば、空撃ち用孔 7gは複数設けてもよいし、省いた構成も可能である。

[0031] 飛散抑制壁部 7dは、外側へ向けて下がるテーパ面であり、外側着脱部分 5Bのテーパ面 5gとの間に間隙をあけて配置されている。ディスク基板 Sの外周から振り切られた溶液は、飛散抑制壁部 7dに衝突したうえ、飛散抑制壁部 7dに沿って流れ落ち、スカート部 7eを伝わって、その下端からインナーカップ 6内に落下する。スカート部 7eを省いた構成も可能であるし、飛散抑制壁部 7dの下端に円環状の突起を形成しただけの構成も可能である。

[0032] 空撃ち用孔 7gはコータカバー 7の上面 7bの一箇所に設けられており、入口の内径が最も大きぐ下へ向力、うにつれ内径が狭まり、それから一定内径を保って、スカート部 7eの外周面に隣接して底部の出口に達している。すなわち、空撃ち用孔 7gの上端部はコーン状に開口してレ、る。 [0033] 図 4に示すように、この実施例のスカート部 7eの外面には、空撃ち用孔 7gに連なる溝 7hが形成されており、空撃ち時に空撃ち用孔 7gを流れ落ちた溶液がスカート部 7 eの溝 7hを通って、インナーカップ 6内に滴り落ちるようになっている。ただし、この溝 7hを省レ、た構成も可能である。

[0034] この実施例では、図 5に示すように、コータカップ 1、インナーカップ 6、およびコータカバー 7の各側壁に、コータカップ 1に対して空撃ち用孔 7gを常に一定位置に位置決めするための位置決め用の係止部 XI— X4が形成されている。この例では、コータカップ 1の大径部 Idの内周面に、上下方向に延びる断面楔形の突条である係止部 XIが形成され、インナーカップ 6の大径部 6eの外周面には係止部 XIに嚙合する断面楔形の凹部である係止部 X2が形成されている。同様に、インナーカップ 6の大径部 6eの内周面には上下方向に延びる断面楔形の突条である係止部 X3が形成され、コータカバー 7の外壁部 7cには係止部 X3に嚙合する断面楔形の凹部である係止部 X4が形成されている。

[0035] これら係止部 XI— X4が順に係合することによって、コータカップ 1に対するインナ一カップ 6およびコータカバー 7の位置が常に一定に保たれ、空撃ち用孔 7gの位置も常に一定となる。これにより、後述する記録材料供給機構 8が空撃ちをする際に、吐出された溶液を常に空撃ち用孔 7gへ落下させることができる。なお、図示しないが、コータカップ 1とコータカバー 7に直接係合し合う係合部をそれぞれ形成し、インナ一カップ 6はそれら係合部とは係合せずに可動状態に保たれる構造も可能である。

[0036] 係止部 XI— X4については様々な変形が可能であり、矩形状、半円状、などいかなる断面形状であってもよい。係止部の代わりにコータカップ 1、インナーカップ 6、およびコータカバー 7の各側壁に単にマークを形成しておき、そのマークの位置を相互に合わせて組み立てるようにしてもよレ、。また、コータカップ 1に設けられた係止部が、インナーカップ 6に設けた切り欠き又は開口部を通してコータカバー 7に形成された係止部と係合し合う構成も可能である。凸部と凹部の向きが図 5と逆であってもよい。係止部は、側壁以外の箇所に形成されていてもよいが、側壁に形成されていれば、上から係止部 XI— X4の位置を見ながら組み立て作業が行える利点を有する。

[0037] コータカバー 7の上方には、図 1に示すように、記録材料溶液をディスク基板 Sに供給するための記録材料供給機構 8が備えられている。記録材料供給機構 8は、図示しない駆動手段により水平旋回されるアーム 8aと、このアーム 8aの先端に備えられたノズノレ 8bを有する。他の部材については図示していなレ、。図 6の矢印 A1で示すように、アーム 8aは基本ポジション Pからディスク基板 Sの中央付近の真上まで旋回して停止し、中央孔 7aを通してノズル 8bから溶液をディスク基板 Sの内周部上に供給する。供給時には、ディスク基板 Sを低速回転させてもよい。溶液の供給が終了すると、アーム 8aは基本ポジション Pに戻る。

[0038] 記録材料の種類を変更する場合、あるいはこの装置の休止期間が長かった場合などには、一般的に、記録材料供給機構 8は記録材料溶液が安定して吐出されるまで溶液の空撃ち動作を行い、ノズル 8bから溶液を吐出する。この空撃ち動作のときには、アーム 8aは基本ポジション Pから空撃ち用孔 7gの真上まで移動し、ノズノレ 8bは溶液を空撃ち用孔 7gに向けて吐出する。ノズル 8bから溶液が安定に吐出されることが確認されると、アーム 8aは再び基本ポジション Pに戻る。

[0039] なお、コータカップ 1の円形状底部 laには、溶剤などのガスを排気するための排気口 leが備えられている。この排気口 leから排気することにより、ディスク基板 Sの外周部には、コータカバー 7と外側着脱部分 5Bとの間の空隙を通して、ディスク基板 Sの外周部から外側へ流れる放射状の気流が形成される。

[0040] 次に、このスピンコート装置 100の動作およびインナーカップ 6の交換作業について説明する。まず、駆動モータ 2を低速回転させた状態で、記録材料供給機構 8のノズル 8bから溶液をディスク基板 S上に円環状又は螺旋上に供給してから、駆動モータ 2により回転テーブル 4と一緒にディスク基板 Sを高速回転させ、ディスク基板 S上の溶液を展延させる。このとき、余剰の溶液は遠心力によって振り切られ、振り切られた溶液は整流部材 5によって整流されて、飛散の少ない角度でコータカバー 7の飛散抑止壁部 7dにぶつかり、円筒状スカート部 7eを伝わるなどしてインナーカップ 6内に滴下する。この際に、溶液はミスト状になるものあり、ミストは浮遊しながら降下する。このミストは部材間の当接する隙間に浸入しょうとする。

[0041] コータカバー 7の円筒状スカート部 7eは、その内周面にミストを付着させ、その裏側

(外周面側）に回り込むミストの量を減らす効果を果たす。これにより、溶液のミストがコータカバー 7とインナーカップ 6との当接する箇所の隙間に浸入するのを抑制する。

[0042] コータカバー 7の底部に設けられた円環状の環状溝 7fは、空撃ちされた溶液がコ一タカバー 7の底部を伝わってコータカバー 7とインナーカップ 6との当接箇所に流れるのを防ぐ。したがって、コータカバー 7とインナーカップ 6との当接する箇所に浸入する溶液を最小限に抑制できるために、溶液中の色素材料が固化しても、コータカバー 7をインナーカップ 6から容易に取り外すことができ、メンテナンスが容易である。

[0043] 整流部材 5の外側着脱部分 5Bは、溶液のミストが回転テーブル 4の裏側に回り込むのを防ぐため、溶液のミストが内側固定部分 5Aと外側着脱部分 5Bとの当接箇所に侵入しにくい。したがって、外側着脱部分 5Bを内側固定部分 5A力容易に取り外すことができる。記録膜形成工程を多数回行うことによって、インナーカップ 6内に捕集された記録材料は増え、やがて許容量に達して交換が必要になる。このとき、インナーカップ 6内の記録材料は粉状の固形物、又は粘度の高い液体となっている。

[0044] インナーカップ 6を交換するに当たっては、先ず、必要があれば、コータカップ 1、ィンナーカップ 6、コータカバー 7の各取り付け部（不図示）から固定ビスなどを外した後に、コータカバー 7を上方に持ち上げて取り外し、次に整流部材 5の外側着脱部分 5 Bを内側固定部分 5Aから取り外す。この際、前述したように、外側着脱部分 5Bの最小の内径 D1は回転テーブル 4の最大の直径 dlよりも大きいので、外側着脱部分 5B を内側固定部分 5A力容易に取り外すことができる。この状態で、インナーカップ 6 を持ち上げて取り外す。インナーカップ 6の内壁部 6dの直径 d2は、回転テーブル 4 の最大の直径 dl、および内側固定部分 5Aの最大の外径 D2よりも大きいので、回転テーブル 4と内側固定部分 5Aを動かさずに、インナーカップ 6を取り外すことができる。また、前述のように、各部材の当接箇所には色素材料がほとんど固着していないので、それらを容易に取り外すことができる。

[0045] インナーカップ 6により回収された記録材料は再利用される。整流部材 5の外側着脱部分 5B、インナーカップ 6、コータカバー 7は破損などしていなければ洗浄して再使用される。洗浄液で記録材料が落ち易いように、少なくとも外側着脱部分 5Bの外面、インナーカップ 6とコータカバー 7との内面はフッ素樹脂などの撥水性材料でコーティングされてレヽるのが好ましレ、。 [0046] コータカバー 7、整流部材 5の外側着脱部分 5B、インナーカップ 6を外したら、予め洗浄されている別のインナーカップ 6を直ぐにコータカップ 1にセットし、外側着脱部分 5Bおよびコータカバー 7を取り付けてもよレ、。この場合、スピンコート装置の停止時間を短縮し、直ぐにこの装置の稼働を再開できる。このように、この実施例のインナーカップ 6の交換時間、つまりメンテナンスに要する時間は短時間であり、したがって、スピンコート装置の稼働の停止時間を従来装置の洗浄に要する時間に比べて大幅に短縮でき、生産効率を向上させることができる。

[0047] 以上の実施例においては、整流部材 5の内側固定部分 5Aと外側着脱部分 5Bとの当接を段差 5cと 5dで行ったが、段差 5cと 5dを互いに相補的な角度を有するテーパ面 Tとしても勿論よい。また、コータカバー 7のスカート部 7eは下端側が径方向外方向に開く形状であってもよぐこれによりスカート部 7eの下端とインナーカップ 6の円筒状の外壁部 6bの内面との間隔を狭くしてもよい。

[0048] 以上の実施例では駆動モータ 2をコータカップ 1内に設けた力 S、駆動モータ 2の熱をできるだけ回転テーブル 4に伝えないために、駆動モータ 2を回転テーブル 4から離してもよレ、。特に図示はしないが、駆動モータ 2をコータカップ 1の下方に位置させ、コータカップ 1の底板部 laに孔を設け、その孔を通してラビリンスシール機構などを採用した非接触式のスピンドルユニット 3を延ばして、駆動モータ 2の回転力を回転テ一ブル 4に伝達してもよレ、。回転テーブル 4にはディスク基板 Sを吸着するための真空吸着機構が設けられている（図示略)。

[0049] 本発明は以上の実施例に限定される物ではなぐ発明の主旨を逸脱しない範囲においていかなる変形も可能である。

また、上記実施例では、コータカバー 7の円筒状スカート部 7e、空撃ち用孔 7g、および環状溝 7fをいずれも有していた力これらのうちいずれかのみを設けた装置構成も可能である。

産業上の利用可能性

[0050] 本発明によれば、メンテナンスし易い構造を有するスピンコート装置を提供することができ、メンテナンス時にスピンコート装置を停止する時間が短くできるので、生産性向上が図れる。

Claims

請求の範囲

[1] ディスク基板を保持する回転テーブルと、この回転テーブルを回転させる回転機構と

、前記回転テーブルを包囲して配置され前記回転テーブル上に保持されたディスク基板から振り切られた液体を受け止めるコータカバーと、前記コータカバーを伝わつて滴る液体を受け止めて保持するインナーカップと、このインナーカップを支えるコータカップとを具備し、前記インナーカップは、前記コータカップから取り外し可能とされていることを特徴とするスピンコート装置。

[2] 前記回転テーブル又は前記ディスク基板の下側に液体が回り込むのを防止するために前記回転テーブルの周囲に配置された整流部材をさらに具備し、前記整流部材は、前記インナーカップに対して相対的に固定された内側固定部分と、この内側部分力着脱可能に設けられた外側着脱部分とを有し、前記外側着脱部分は前記回転テーブルの直径よりも大きな内径を有することを特徴とする請求項 1記載のスピンコート装置。

[3] 前記インナーカップは、前記整流部材の前記内側固定部分の外径よりも大きな内径を有する内周壁と、この内壁部の外側に同心状に設けられた外壁部と、前記内壁部と前記外壁部とをつなぐ環状の底部とを具備することを特徴とする請求項 2記載のスピンコート装置。

[4] 前記コータカバーは、前記インナーカップ内へ向けて下方へ突出する環状のスカート部を有することを特徴とする請求項 1記載のスピンコート装置。

[5] 液体をディスク基板に供給する液体供給機構をさらに具備し、前記コータカバーには、前記液体供給機構が液体の詰まりを防ぐために液体を空撃ちする際に、その空撃ちされた液体を前記インナーカップ内へ流すための少なくとも一つの空撃ち用孔が形成されていることを特徴とする請求項 1記載のスピンコート装置。

[6] 液体をディスク基板に供給する液体供給機構をさらに具備し、前記コータカバーには、前記液体供給機構が液体の詰まりを防ぐために液体を空撃ちする際に、その空撃ちされた液体を前記インナーカップ内へ流すための少なくとも一つの空撃ち用孔が形成されており、前記空撃ち用孔の下端の出口は、前記スカート部の外側に開口していることを特徴とする請求項 4記載のスピンコート装置。

[7] 前記スカート部の外周面には、前記空撃ち用孔の前記出口につながる上下方向にのびる溝が形成されていることを特徴とする請求項 6記載のスピンコート装置。

[8] 前記コータカバーの下面には、前記コータカバーの全周にわたって、前記空撃ち用孔の前記出口よりも外周側を通って延びるリング溝が形成されていることを特徴とする請求項 5記載のスピンコート装置。

[9] 前記コータカバーを前記インナーカップ又は前記コータカップに対して位置決めするための位置決め用係止部を有することを特徴とする請求項 1記載のスピンコート装置

[10] 前記インナーカップは、前記記録材料を排出するためのドレイン構造を有していないことを特徴とする請求項 1記載のスピンコート装置。

[11] 前記回転テーブルは、ディスク基板の直径と同径もしくはそれ以上の直径を有することを特徴とする請求項 1記載のスピンコート装置。