明 細 書
水性インク組成物およびそれを用いたインクジェット記録方法
関連出願
[0001] 本出願は、 2003年 11月 25日に日本特許庁に出願された特願 2003— 393958号 出願に基づく優先権を主張するものであり、当該日本出願の明細書は引用すること により本明細書の開示の一部とされる。
発明の背景
[0002] 発明の分野
本発明は、色材を安定に分散させた水性インク組成物およびそれを用いたインクジ ット記録方法に関する。
[0003] 昔景桉術
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付 着させて印刷を行なう印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度 、高品位な画像を高速で印刷可能であると!/、う特徴を有する。
[0004] インクジェット記録方法に使用されるインク組成物は、水を主成分とし、これに着色 剤および目詰まり防止等の目的でグリセリン等の保湿剤を含有したものが一般的で ある。インクジェット記録用インク組成物に用いられる着色剤としては、色剤の彩度の 高さ、利用できる色剤の種類の豊富さ、水への溶解性等の理由から水溶性染料が数 多く使用されている。
[0005] し力しながら、染料は耐光性および耐水性等の諸特性に劣ることがあり、よって染 料系のインク組成物により印刷された印刷物は、耐光性および耐水性に劣る場合が ある。耐水性については、インク吸収層を有するインクジェット専用記録媒体によって 改善されて 、るが、普通紙にっ 、ては改善の余地がある。
[0006] 一方で、顔料は染料に比べて耐光性および耐水性に優れており、近年、耐光性お よび耐水性を改善する目的でインクジェット記録用インク組成物の着色剤としての利 用が検討されている。顔料は一般に水に不溶であるため、顔料を水溶性榭脂等の分 散剤と共に混合し、水を主成分とする水性インク組成物中に安定分散させる必要が
ある。
顔料が水系に安定的に分散するためには、顔料の種類、粒径、用いる分散剤の種 類、および分散手段等を検討する必要があり、これまで多くの分散方法およびインク ジェット記録用インクが提案されている。例えば、カーボンブラックを界面活性剤や高 分子分散剤で分散した水性顔料インクが知られて ヽる (例えば、特開昭 64 - 6074号 公報、特開昭 64-31881号公報)。また、水、スチレン-マレイン酸共重合体、 ε—力 プロラタタム、および顔料力もなるインク組成物(例えば、特開平 3— 252467号公報) 、水性媒体、スチレン マレイン酸共重合体、および銅フタロシアニン顔料を含有する インク組成物(例えば、特開平 3— 79680号公報)が提案されている。さらに、分散榭 脂の酸基の 60モル%以上がアルカリ性の中和剤で中和された榭脂を用いた、顔料 系インクが提案されている(例えば、特開平 8— 183920号公報および特開平 9 408 95号公報)。さらに、インクにアセチレングリコール型界面活性剤、アルコールを用い たインク組成物の提案もなされている(例えば、特開平 4 239068号公報および特 開平 6— 322307号公報)。
これら先行技術によれば、安定なインク組成物が得られるとの一定の成果が得られ る力 より安定でかつインクに求められる諸特性に優れたインク組成物が希求されて いる。例えば、インクジェット記録方法に用いるインクには、着色剤以外にインクジエツ ト記録方法における種々の特性を最適化するために各種の添加剤、特には水溶性 有機溶剤が添加される。その水溶性有機溶剤としては、乾燥を防止する保湿剤、ィ ンク組成物の表面張力を下げて記録媒体への浸透性を制御する浸透溶剤や界面活 性剤、インク組成物の ρΗを調整する有機アミン等がある。これらの溶剤の中には分 散している着色剤に影響してその分散性を阻害し、インク組成物の保存安定性を阻 害する場合がある。特に、疎水性表面を有する顔料表面や分散榭脂中の疎水性部 分に対して親和性の強い溶剤でこれらの影響が出やすいことがあった。また、このよ うな影響が出た場合、顔料表面力 分散剤である分散樹脂が遊離してインク中に溶 解してしまい、これをインクジェット記録用インクとして用いた場合にプリンタヘッドから のインク吐出が不安定となってしまうことがあった。
発明の概要
[0008] 本発明者らは、今般、インク組成物の安定性に優れ、かつインクに求められる諸特 性に優れたインク組成物を得ることに成功した。とりわけ、インクの保存安定性が高く 、かつ吐出安定性を両立した水性インク組成物を見出した。
従って、本発明は、インク組成物の安定性に優れ、かつインクに求められる諸特性 に優れたインク組成物の提供をその目的とする。とりわけ、本発明は、インクの保存安 定性が高ぐかつ吐出安定性を両立した水性インク組成物の提供をその目的とする。 そして、本発明による水性インク組成物は、
-着色剤と、それを包含する榭脂とからなる色材分散体と、
アセチレングリコールまたはそのエーテル誘導体と、
一水に対する溶解度が 20°Cにおいて 0. 5wt%以上であり、かつ C1一 C5のー価ァ ノレ =3—ノレと、
湿剤と、
一水とを少なくとも含んでなる水性インク組成物であって、
前記樹脂が水に不溶な樹脂であり、
前記色材分散体がインク組成物中で分散可能であり、
前記アルコールおよび前記保湿剤と、前記アセチレングリコールまたはそのエーテ ル誘導体とが相互溶解する関係にあるものであることを特徴とするものである。
発明の具体的説明
[0009] 「 ,木ォ 本 1
本発明による水性インク組成物に用いられる色材分散体は、着色剤をその内部に 包含した榭脂からなる粒子である。ここで、この榭脂は水に不溶であるが、着色剤を 包含した状態では分散して、着色剤をインク組成物中に安定に分散させることができ る。なお、以下ではこの榭脂を、分散樹脂と呼ぶことがある。
[0010] 「應 ,
本発明において分散榭脂は、水に不溶で、色材分散体の製造にあたり用いられる 有機溶剤、好ましくはアセトンゃメチルェチルケトン等の親水性有機溶剤、に可溶な ポリマーであることが必要であり、さらに疎水性部分と親水性部分とを併せ持つ構造 を有する。
ここで、疎水性部分とは、アルキル基、シクロアルキル基、芳香環、または未中和基 を有する繰り返し単位を示す。未中和基とは、中和剤により中和され得る基であり、酸 基、アルカリ性基を挙げることができる。未中和基としては、具体的にはカルボン酸基 、スルホン酸基等が挙げられる。
また、親水性部分とは、中和基を有する繰り返し単位を示す。中和基とは、未中和 基が中和されてなる基であり、イオン基であることが好ましい。未中和基および中和 基は、ァニオン性基であることが好ましぐ特に、未中和基がカルボン酸基、中和基 がカルボン酸ァ-オン基 (カルボン酸塩の基)である場合が好まし 、。カルボン酸塩と しては、カルボン酸リチウム塩、カルボン酸ナトリウム塩、カルボン酸カリウム塩、カル ボン酸アンモ-ゥム塩等を挙げることができる。
[0011] 以下の理論は仮定であって、本発明はこの理論に拘束されるものではないが、分 散榭脂が上記構造を持つことで、疎水性部分で後述する着色剤の疎水的表面に強 固に吸着して着色剤を包含でき、かつ親水性部分で水になじむことができるため、水 中で安定的に分散する色材分散体となると考えられる。
[0012] 前記のァニオン性基を有する分散榭脂は、例えば、ァニオン性基を有するモノマー
(以下、ァ-オン性基含有モノマーという)と、さらに必要に応じてこれらのモノマーと 共重合し得る他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。ァ-オン性基含有モノマー としては、カルボン酸基を有するモノマー、スルホン酸基を有するモノマーが挙げら れる。
[0013] カルボン酸基を有するモノマーとしては、繰り返し単位中にカルボン酸基を一つもし くは二つ含んだアクリルモノマーが好まし 、。カルボン酸基を有するモノマーの好まし い例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル 酸、イソプロピルアクリル酸、ィタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。こ れらの中でもアクリル酸またはメタクリル酸、マレイン酸が挙げられる。また、スルホン 酸基を有するモノマーの好ましい例としては、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホ ン酸、スルホブチルメタタリレート、ァリルスルホン酸が挙げられる。さらに、榭脂を重 合した後、硫酸、発煙硫酸、スルファミン酸等のスルホン化剤によりスルホンィ匕するこ とも好ましい。
ァ-オン性基含有モノマーと共重合し得る他のモノマーの具体例としては、アクリル 酸メチル、アクリル酸ェチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸 n プロピル、アタリ ル酸ー n—ブチル、アクリル酸 tーブチル、アクリル酸 2—ェチルへキシル、アクリル酸 n—才クチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル 酸ェチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸 n プロピル、メタクリル酸 n—ブチ ル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸 tーブチル、メタクリル酸 2—ェチルへキシ ル、メタクリル酸 n—才クチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル 酸トリデシル、メタクリル酸べンジル等のような (メタ)アクリル酸エステル;ステアリン酸 とグリシジルメタタリレートの付加反応物等のような油脂肪酸とォキシラン構造を有す る (メタ)アクリル酸エステルモノマーとの付加反応物;炭素原子数 3以上のアルキル 基を含むォキシラン化合物と (メタ)アクリル酸との付加反応物;スチレン、 a -メチル スチレン、 o—メチルスチレン、 m—メチルスチレン、 p—メチルスチレン、 p— tert—ブチ ルスチレン等のようなスチレン系モノマー;ィタコン酸べンジル等のようなィタコン酸ェ ステル;マレイン酸ジメチル等のようなマレイン酸エステル;フマール酸ジメチル等のよ うなフマール酸エステル;アクリロニトリル、メタタリ口-トリル、酢酸ビュル、アクリル酸ィ ソボル-ル、メタクリル酸イソボル-ル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ァミノプロピ ル、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルァミノプロピル、アクリル酸ェチル アミノエチル、アクリル酸ェチルァミノプロピル、アクリル酸アミノエチルアミド、アクリル 酸ァミノプロピルアミド、アクリル酸メチルアミノエチルアミド、アクリル酸メチルアミノプ 口ピルアミド、アクリル酸ェチルアミノエチルアミド、アクリル酸ェチルァミノプロピルアミ ド、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、メタクリル 酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルァミノプロピル、メタクリル酸ェチルアミノエ チル、メタクリル酸ェチルァミノプロピル、メタクリル酸アミノエチルアミド、メタクリル酸 ァミノプロピルアミド、メタクリル酸メチルアミノエチルアミド、メタクリル酸メチルアミノプ 口ピルアミド、メタクリル酸ェチルアミノエチルアミド、メタクリル酸ェチルァミノプロピル アミド、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸 2—ヒドロキシェチル、アクリル酸 2—ヒ ドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸 2—ヒドロキシェチル、メ タクリル酸 2—ヒドロキシプロピル、 N—メチロールアクリルアミド、ァリルアルコール等
が挙げられる。
[0015] 本発明において分散榭脂は、数平均分子量が 1, 000— 200, 000の範囲程度の ものが好ましぐ 3, 000— 150, 000の範囲程度のものが特に好ましい。分散樹脂の 数平均分子量がこの範囲であることにより、着色剤における被覆膜として、または水 性インク組成物における塗膜としての機能を充分に発揮することができる。
[0016] ァニオン性基を有する分散樹脂の未中和基の一部を中和するアルカリ性化合物と しては、有機アミンゃアルカリ金属塩ィ匕合物等が挙げられる。有機ァミンの具体例とし ては、アンモニア、トリエチルァミン、トリブチルァミン、ジメチルエタノールァミン、ジィ ソプロパノールァミン、モルホリンの如き揮発性ァミン化合物との塩、ジエタノールアミ ン、トリエタノールァミン、トリプロパノールァミン等の揮発しにくい高沸点の有機アミン 等の塩が挙げられる。アルカリ金属塩化合物の具体例としては、アルカリ金属としてリ チウム、ナトリウム、カリウムを有する化合物、好ましくは水酸ィ匕ナトリウム、水酸化カリ ゥム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属塩、より好ましくは水酸ィ匕カリウムが挙 げられる。
[0017] なお、後述の弱ァノレカリ化剤にも用いることができる有機アミンは、最終的なインク 配合時に含まれる弱アルカリ化剤の一部または全部を、分散樹脂の中和時に予め添 加しておくことも可能である。
[0018] 分散榭脂における疎水性部分と親水性部分の比率は、ァニオン性基の量に換算し て、酸価換算で 30KOHmgZg程度以上の親水性部分の含有が好ましぐさら〖こ 50 一 250KOHmgZg程度の範囲がより好ましい。
[0019] Ϊ ΜΙ
本発明において着色剤は、水媒体に不溶または難溶の着色剤として有機顔料、力 一ボンブラック、油溶染料、分散染料等を挙げることができる。発色が良好であること 、比重が小さいために分散時に沈降しにくいことより、特に、カーボンブラック、有機 顔料、油溶染料、分散染料が好ましい。
[0020] 本発明の水性インク組成物では、このような着色剤が、前記分散榭脂により包含さ れ、かつインク組成物中に分散される。
[0021] 本発明にお 、てカーボンブラックの好ま 、具体例としては、三菱化学株式会社製
カーボンブラック No. 2300、 900、 MCF88、 No. 20B、 No. 33、 No. 40、 No. 45 、 No. 52、 MA7、 MA8、 MA100、 No2200B、デグサ社製カーボンブラックカラー ブラック FW1、 FW2、 FW2V、 FW18、 FW200、 S150、 S160、 S170、プリテックス 35、 U、 V、 140U、スペシャルブラック 6、 5、 4A、 4、 250、コロンビアカーボン社製 カーボンブラックコンダクテックス SC、ラーベン 1255、 5750、 5250、 5000、 3500、 1255、 700、キャボット社製カーボンブラックリガール 400R、 330R、 660R、モグル L、モナーク 700、 800、 880、 900、 1000、 1100、 1300、 1400、エルフテックス 12 が挙げられる。また、これらのカーボンブラックは一種または二種以上の混合物として 用いてよい。
[0022] 本発明において好ましい有機顔料としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン 系顔料、ジォキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アン サンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジ ケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔 料、チォインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、ァゾメチ ン系顔料またはァゾ系顔料等が挙げられる。
[0023] また、本発明にお ヽて好ま ヽ油溶染料、分散染料としては、インクビヒクル中で溶 解せずに分散する色材であればいずれも用いることができ、ァゾ系、金属錯塩ァゾ系 、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリァリノレメタン系等が挙げられる。
[0024] 本発明による水性インク組成物に用いられる有機顔料の具体例としては下記のも のが挙げられる。すなわち、シアン顔料として、 C. I.ビグメントブルー 1、 2、 3、 15 : 3 、 15 :4、 15 : 34、 16、 22、 60等; C. I. ノットブノレ一 4、 60等力挙げられ、好ましくは 、 C. I.ビグメントブルー 15 : 3、 15 :4、および 60からなる群力も選択される一種また は二種以上の混合物である。
[0025] また、マゼンタ顔料として、 C. I.ビグメントレッド 5、 7、 12、 48 (Ca)、 48 (Mn)、 57
(Ca)、 57 : 1、 112、 122、 123、 168、 184、 202、 C. I.ピグメントノィォレット 19等 力 S挙げられ、好ましくは C. I.ビグメン卜レッド 122、 202、および 209、 C. I.ビグメン卜 バイオレット 19からなる群力も選択される一種または二種以上の混合物である。
[0026] イェロー顔料としては、 C. I.ピグメントイエロー 1、 2、 3、 12、 13、 14C、 16、 17、 7
3、 74、 75、 83、 93、 95、 97、 98、 119、 110、 114、 128、 129、 138、 150、 151、 154、 155、 180、 185、等力挙げられ、好ましくは C. I.ピグメントイエロー 74、 109、 110、 128、および 138からなる群力も選択される一種または二種以上の混合物であ る。
[0027] オレンジ顔料としては、 C. I.ビグメントオレンジ 36もしくは 43またはこれらの混合物 が挙げられる。グリーン顔料としては、 C. I.ビグメントグリーン 7もしくは 36またはこれ らの混合物が挙げられる。
[0028] 本発明においてこれらの着色剤は、インク糸且成物に対して 0. 5重量%—15重量% 、好ましくは 1重量%—10重量%添加される。また、本発明において、着色剤と分散 榭脂とは 10 : 1— 1: 10の重量比とされるのが好ましぐより好ましくは 4 : 1一 1 : 3であ る。着色剤の粒径は適宜決定されてよいが、動的光散乱法で計測した場合の最大粒 径が 500nm未満で平均粒径が 300nm以下が好ましぐより好ましくは平均粒径が 2 OOnm以下である。
[0029] なお、本発明において用いられる色材分散体の製造方法は後述する。
[0030] 「アセチレングリコール 界商活件剤 Ί
本発明による水性インク組成物は、アセチレングリコールまたはそのエーテル誘導 体力もなる界面活性剤を含んでなる。アセチレングリコール系界面活性剤は、主に記 録媒体へのインク浸透性を速めるよう機能する。特に、アセチレングリコール系ノ-ォ ン性界面活性剤は、起泡性が小さ 、または気泡性を有さな 、点で有用である。
[0031] その好ましい例としては、アセチレングリコール系ノ-オン性界面活性剤が挙げられ 、その具体例としては、 Air Products and Chemicals. Inc.社製のサーフイノ ール 61、 82、 104、 440、 465、 485、または TG、 日信ィ匕学工業株式会社製のオル フィン STG、オルフイン E1010等、川崎ファインケミカル株式会社製のァセチレノー ル E00、ァセチレノール E00P、ァセチレノール E40、ァセチレノール E100等が挙げ られる。
[0032] アセチレングリコールまたはそのエーテル誘導体の添加量は、インク乾燥時間等を 考慮して適宜決定されてよいが、水性インク組成物全量に対して 0. 01重量%— 10 重量%が好ましい。
[0033] 本発明にあっては、アセチレングリコールまたはそのエーテル誘導体は、後記する 一価アルコール、保湿剤、さらに場合よつて添加される浸透性有機溶剤と相互溶解 する関係にある必要がある。
[0034] 「一価アルコール Ί
本発明において、一価アルコールは、水に対する溶解度が 20°Cで 0. 5wt%以上 で、 C1一 C5のアルコールである。この一価アルコールは、主として記録媒体へのィ ンク浸透性を高める機能を有する。
[0035] 本発明にお 、て好ま 、一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、 n プロ ピルアルコール、 iso プロピルアルコール、 2, 2—ジメチルー 1 プロパノール、 n—ブ タノール、 2—ブタノール、 tert—ブタノール、 iso—ブタノール、 2—メチルー 1ーブタノ一 ル、 3—メチルー 1ーブタノール、 3—メチルー 2—ブタノール、 n ペンタノール、 2 ペンタ ノール、 3—ペンタノール、 tert ペンタノールなどが挙げられる。
本発明にお 、て、一価アルコールの添力卩量はインク組成物の諸特性およびァセチ レンダリコールまたはそのエーテル誘導体との溶解を考慮して適宜決定されてよいが
、インク組成物に対して 0. 5重量%— 10重量%の範囲で添加することが好ましい。
[0036] 「保讀,
本発明による水性インク組成物は保湿剤を含んでなり、保湿剤は水性インク組成物 の乾燥を抑制して、プリンタヘッドノズル先端の乾燥による水分蒸発を抑制し、水性ィ ンク組成物の凝集 ·固化を防止するために主として機能する。
[0037] 保湿剤は、水溶性で吸湿性の高 ヽ材料から選ばれ、その好まし!/ヽ例としては、ダリ セリン、エチレングリコーノレ、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ レングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー ル、ポリプロピレングリコール、 1, 3 プロパンジオール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 5 ペンタンジオール、 2, 3 ブタンジオール、 2—メチルー 2, 4 ペンタンジオール、 1, 2, 6—へキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、 2 ピロリドン、 N— メチルー 2 ピロリドン等のラクラム類、 1, 3 ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類が 挙げられる。
[0038] さらに、本発明の好ましい態様によれば、上述の保湿性有機溶剤の能力を補助す
る目的で、水溶性の固体保湿剤を併用、添加することもできる。その具体例としては、
1, 6—へキサンジオール、 1, 8 オクタンジオール、 2, 2 ジメチルー 1, 3 プロパン ジオール、 2, 2—ジェチルー 1, 3 プロパンジオール等のジオール類、トリメチロール ェタン、トリメチロールプロパン等、 ε一力プロラタタム等のラタタム類、尿素、チォ尿素 、エチレン尿素等の尿素誘導体、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キ シロース、ァラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、 (ソルビット)、マルト ース、セロビオース、ラタトース、スクロース、トレノヽロース、マノレトトリオース等の単糖 類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類およびこれらの糖類の誘導体としては、前記し た糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チォ糖等が挙げられる。特に糖アルコールが好 ましぐその具体例としてはマルチトール、ソルビット等が挙げられる。
[0039] これらの保湿剤は単独または複数混合して用いることが出来る。その添加量はイン ク組成物の諸特性およびアセチレングリコールまたはそのエーテル誘導体との溶解 を考慮して適宜決定されてよいが、水性インク組成物全量に対して 1重量%—40重 量%が好ましぐより好ましくは 1重量%—30重量%である。また、保湿剤は、インク 組成物の粘度が 25°Cで 25cPs以下になる添カ卩量でカ卩えることが好ましい。
[0040] 「 件有機 ,
本発明の好ましい態様によれば、本発明による水性インク組成物は、浸透性有機 溶媒を含んでなることが出来る。その好ましい例としては、多価アルコールのグリコー ルモノエーテル誘導体、 1, 2 アルキルジオール類、 1, 3 プロパンジオール骨格を 有する誘導体が挙げられる。
[0041] 多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体としては、特にアルキルの炭素数 は 3以上の多価アルコールの誘導体が好ましい。その具体例としては、エチレンダリ コーノレモノブチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノー n プロピノレエーテノレ、ェチレ ングリコーノレモノー iso プロピノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノー iso プロピノレ エーテノレ、エチレングリコーノレモノー n—ブチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノー t ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノー n—ブチルエーテル、トリエチレングリコ 一ノレモノー n—ブチノレエーテノレ、ジエチレングリコーノレモノー tーブチノレエーテノレ、 1ーメ チルー 1ーメトキシブタノール、プロピレングリコールモノー t ブチルエーテル、プロピレ
ングリコーノレモノー n—プロピノレエーテノレ、プロピレングリコーノレモノー iso—プロピノレエ 一テル、プロピレングリコールモノー n—ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノー n—ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノー n—プロピルエーテル、ジプロピレン グリコールモノー iso—プロピルエーテル等が挙げられる。多価アルコールのグリコール モノエーテル誘導体の添力卩量はインク組成物の諸特性およびアセチレングリコール またはそのエーテル誘導体との溶解を考慮して適宜決定されてよ!/ヽが、水性インク組 成物全量に対して 0. 5重量%— 15重量%の範囲が好ましい。
[0042] また、浸透性有機溶媒としての 1, 2—アルキルジオール類の具体例としては、ブタ ンジオール、ペンタンジオール、へキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジォ ール等の炭素数力 S4— 8の 1, 2—アルキルジオールが挙げられる。炭素数 6— 8の 1, 2—へキサンジオール、 1, 2—ヘプタンジオール、 1, 2—オクタンジオールは、記録媒 体への浸透性が強ぐ特に好ましい。これら 1, 2—アルキルジオールの添カ卩量は、ィ ンク組成物の諸特性およびアセチレングリコールまたはそのエーテル誘導体との溶 解を考慮して適宜決定されてよいが、水性インク組成物全量に対して 0. 25重量% 一 15重量%のが好ましい。
[0043] さらに、浸透性有機溶媒としての 1, 3—プロパンジオール骨格を有する誘導体の具 体例としては、 2—(2, 2—ジェトキシェチル)— 1, 3—プロパンジオール、 2—ェチルー 2 ーヒドロキシメチルー 1, 3—プロパンジオール、 2, 2—ジメチルー 1, 3—プロパンジォー ル、 2, 2—ジェチルー 1, 3—プロパンジオール、 2—ェチルー 2—ブチルー 1, 3—プロパ ンジオール、 2—ェチルー 1, 3—へキサンジオール、 2, 2,一 [ォキシビス(メチレン)]ビ ス [2—ェチルー 1, 3—プロパンジオール]等が挙げられる。これら 1, 3—プロパンジォ ール骨格を有する誘導体の添加量は、インク組成物の諸特性およびアセチレンダリ コールまたはそのエーテル誘導体との溶解を考慮して適宜決定されてよ 、が、水性 インク組成物全量に対して 0. 25重量%— 15重量%の範囲が好ましい。
[0044] カロ鋼旨,
本発明の好ましい態様によれば、水性インク組成物に、分散樹脂とは別に榭脂を 添加することが好ましぐ本発明にあってはこのような榭脂を添加樹脂と呼ぶ。
顔料等の着色剤は、その表面が疎水的なために、水中で安定的に分散するために
界面活性剤や水性榭脂等の分散剤が必須であるが、本発明にお ヽて用いられる色 材分散体は着色剤を予め上述した分散榭脂を用いて包含し、分散して 、るために、 後から加える添加樹脂には分散能は必ずしも必要ない。従って、上述の分散榭脂を 榭脂単体の榭脂ェマルジヨンを添加榭脂として用いることが可能であり、または分散 能がな 、水溶性榭脂および Zまたは水分散性榭脂を添加榭脂として用いることも可 能である。
[0045] 添加榭脂としての水溶性榭脂および Zまたは水分散性榭脂としては、上述の分散 榭脂および分散榭脂原料のモノマーを含む水性榭脂、およびポリビニルアルコール 、ポリアリルアルコール、ポリヒドロキシェチルメタタリレート、ポリビュルピロリドン、ポリ ビュルピリジン 4級塩、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロ ピルセルロース、デンプン、ポリ乳酸、セラック、変性ロジン、フエノール榭脂 'アルカリ 塩等、およびこれらの共重合体が挙げられる。さらに、分子中に水溶性基を有さない 油性榭脂を、酸化、スルホン酸付加等により親水化した榭脂を用いることもできる。
[0046] 添加樹脂のインクへの添加量は、インクの諸特性等を勘案して適宜決定されてよい 力 水性インク組成物全量に対して 0. 5重量%— 20重量%の範囲が好ましい。
[0047] [弱アルカリ化剤]
本発明による水性インク組成物は、弱アルカリか剤を含んでなることが出来る。イン クジェット記録装置において、インク組成物の流路に金属が用いられている場合、ィ ンク組成物が酸性であると金属の腐食が生じることがある。よって、水性インク組成物 は中性またはアルカリ性に調整されていることが望ましぐそのために弱アルカリ化剤 が好ましく添加される。
[0048] 水性インク組成物を中性またはアルカリ性に調整するために水酸ィ匕ナトリウム等の 強アルカリ性化合物を用いると、未中和基が酸基 (カルボン酸基、スルホン酸基等) である場合、酸基の中和が進んでしまう恐れがある。よって、本発明にあっては、弱ァ ルカリ化剤を用い、前記分散樹脂の中和率を大きく変えずに水性インク組成物を中 性またはアルカリ性に保つことができ、より信頼性の高 、水性インク組成物を提供す ることがでさる。
[0049] 弱アルカリ化剤の具体例としては、有機酸塩および有機緩衝剤から選ばれる化合
物が挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩等のアルキルカルボン 酸の塩類、乳酸塩、グリコール酸塩、グリセリン酸塩等のヒドロキシ酸の塩類が好まし い。中でも、アルキルカルボン酸類のアルカリ金属塩であり、酢酸ナトリウム、酢酸カリ ゥム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等がより好ましい。有機緩衝剤とし ては、トリス(ヒドロキシメチル)ァミノメタン、トリスー塩酸塩、トリスーマレイン酸、ビス(2— ヒドロキシェチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン等が好まし 、。
[0050] 弱アルカリ化剤の添加量は、インク組成物の pHが所望の値となるよう適宜決定され てよいが、 0. 01— 10重量%の範囲が一般的であろう。
[0051] lzt l
水は、本発明の水性インク組成物の中心となる媒体であり、好ましくはイオン性の不 純物を極力低減したイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、また は超純水を用いる。
また、紫外線照射、または過酸ィ匕水素添加等により滅菌した水は、水性インク組成 物を長期保存する場合にカビゃバクテリアの発生を防止することができるので好まし い。
[0052] 「その他の成分 Ί
本発明の水性インク組成物は、さらに必要に応じてインクジェット記録用インクに通 常用いられる添加物を加えることもできる。その添加物としては、界面活性剤、ヒドロト 口ピー剤、酸化防止剤 '紫外線吸収剤、防腐剤'防かび剤等が挙げられる。
[0053] 界面活性剤は、記録媒体へのインク浸透性を速めるための添加剤である。その好 ましい具体例としては、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類等のァ-オン性界 面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフエ-ルエー テル等のノ-オン性界面活性剤、アセチレングリコール系ノ-オン性界面活性剤、力 チオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、燐系界面活 性剤、硼素系界面活性剤等が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、シリコン 系界面活性剤の添カ卩が好ましぐその具体例としては BYK— 307、 BYK— 331、 BY K 333、 348 (商品名、ビックケミー株式会社製)等を挙げることができる。
[0054] ヒドロトロピー剤は、インクの保存安定性ゃ耐目詰まり性を改良するために加えられ
、その具体例としては、尿素、チォ尿素、アルキル尿素等が挙げられる。
[0055] 酸ィ匕防止剤 ·紫外線吸収剤の好ましい具体例としては、アロハネート、メチルアロハ ネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレット等の ビウレット類等、 Lーァスコルビン酸およびその塩等、チバガイギ一社製の Tinuvin32 8、 900、 1130、 384、 292、 123、 144、 622、 770、 292、 Irgacor252、 153、 Irga noxl010、 1076、 1035、 MD1024等、またはランタ-ドの酸化物等が挙げられる
[0056] 防腐剤 ·防かび剤の好ま U、具体例としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタク ロロフヱノールナトリウム、 2—ピリジンチオール 1 オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナ トリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、 1, 2—ジベンジソチアゾリンー 3 オン等が挙げられる
[0057] 「 > :の ¾告
本発明にお 、て用いられる色材分散体は、以下の方法によって好ましく製造できる 。すなわち、着色剤を分散榭脂により分散させる好適な方法は、ァニオン性基を含有 するポリマーを有機アミンゃアルカリ金属塩ィ匕合物等のアルカリ性ィ匕合物を含有する アルカリ水に溶解、または分散させ、この液と着色剤を混合して、ボールミル、サンド ミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、 超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の分散機を用いて分散することが できる。より好ましくは、着色剤と文案ポリマーをより強固に接着して分散安定するた めに、特開平 9— 151342号、特開平 10-140065号、特開平 11— 209672号、特開 平 11— 172180号、特開平 10— 25440号、特開平 11— 43636号、または、特開 200 1—247810号の各公報に開示されている方法によって製造することもできる。これら 公開公報に開示されている製造方法について、以下に概説する。
[0058] 特開 2001— 247810号、特開平 9— 151342号および特開平 10— 140065号各公 報には、「転相法」と「酸析法」とが開示されている。
[0059] a)「転相法 I
本発明において、「転相法」とは、基本的には、自己分散能または溶解能を有する ポリマーと顔料との混合溶融物を水に分散させる、自己分散 (転相乳化)ィ匕方法をい
う。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、また溶解して混合した状態、ま たはこれら両者の 、ずれの状態をも含むものを 、う。
[0060] 一つの具体例として、(1)分散榭脂前駆体 (前記したァニオン性基を含有するポリ マー等) z溶剤溶液に、顔料、中和剤、少量の水を加えて、溶剤ベースのスラリーを 作製する工程、(2)スラリーを多量の水に加えながら分散し、水ベースのスラリーを作 製する工程、(3)水ベースのスラリーから、ポリマーを溶解するのに用いた溶剤を除 去して、水分散性ポリマーで顔料を包含した顔料含有ポリマー粒子色材分散体を作 製する工程を含んでなるものである。
[0061] b)「酸析法 I
本発明において、「酸析法」とは、ポリマーと顔料とからなる含水ケーキを用意し、そ の含水ケーキ中の、ポリマーが含有してなる未中和基の一部を中和剤で中和するこ とによって、着色剤を製造する方法をいう。
[0062] 未中和基がァニオン性の酸基であり、中和剤が塩基性ィ匕合物である場合には、具 体的には、例えば、(1)ポリマーと顔料とをアルカリ性水性媒体中に分散し、また、必 要に応じて加熱処理を行なって榭脂のゲルィ匕を図る工程、 (2) pHを中性または酸性 にすることによってポリマーを疎水化して、ポリマーを顔料に強く固着する工程と、 (3 )必要に応じて、濾過および水洗を行なって、含水ケーキを得る工程と、(4)含水ケ ーキを中の、ポリマーが含有してなるァ-オン性基の一部または全部を塩基性ィ匕合 物にて中和し、その後、水性媒体中に再分散する工程と、(5)必要に応じて加熱処 理を行ないポリマーのゲルィ匕を図る工程とを含んでなるものである。
[0063] 上記の、「転相法」および「酸析法」のより具体的な製造方法は、特開平 9 15134 2号公報、および特開平 10— 140065号公報に開示されているものと同様であってよ い。
[0064] さらに、特開平 11— 209672号公報および特開平 11— 172180号公報には、着色 剤の製造方法が開示されている。この製法の概要は、基本的には次の製造工程から なる。
(1)ァ-オン性基を有するポリマーまたはそれを有機溶剤に溶解した溶液と塩基性 化合物とを混合して中和することと、 (2)この混合液に顔料を混合して懸濁液とした
後に、分散機等で顔料を分散して顔料分散液を得ることと、(3)必要に応じて、溶剤 を蒸留して除くことと、(4)酸性ィ匕合物を加えてァ-オン性基を有するポリマーを析出 させることによって、顔料をァ-オン性基を有するポリマーで被覆することと、(5)必要 に応じて、濾過および水洗を行なうことと、(6)塩基性化合物を加えてァ-オン性基 を有するポリマーのァニオン性基を中和して水性媒体中に分散させて水性色材分散 体を得ること、とを含んでなるものである。
[0065] また、特開平 11— 2096722号公報および特開平 11— 172180号公報に開示され て 、るものと同様であってよ!/、。
[0066] 以上のようにして得られる着色剤の水性分散液に、前記した 2—ェチルー 1, 3 キ サンジオールおよび水、さらに必要に応じて前記した水溶性有機溶剤、弱アルカリ剤 、その他の成分を添加することによって、水性インク組成物を好適に製造できる。
[0067] 「インクジェット記録方法 Ί
本発明による水性インク組成物は、インクジェット記録方法に好適に用いられる。本 発明において、インクジェット記録方法は、インク組成物を微細なノズルより液滴とし て吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方式であれば 、かなる方法も使用す ることができる。その一つに静電吸引方式があり、この方法は、ノズルとノズルの前方 に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴 射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記 録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させ る方式がある。
[0068] また、インクジェット記録方法の別の方法として、小型ポンプでインク液に圧力をカロ え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴 射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電 極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
[0069] また、インクジェット記録方法の別の方法は、圧電素子を用いる方式であり、インク 液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射,記録させる方 式である。
[0070] さらに、インクジェット記録方法の別の方式は、熱エネルギーの作用によりインク液
を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で 加熱発泡させ、インク滴を噴射 ·記録させる方式である。
[0071] 以上の様な種々のインクジェット記録方式の内、特に lOmZs以下の比較的低速の インク吐出速度での印刷方法と本発明の水性インク組成物を組み合わせることで、 吐出ノズルへのインク付着を防止して安定にインクジェット記録を行なうことができ、 好ましい。
[0072] 以上のインクジェット記録方法を用いて、本発明による水性インク組成物により記録 媒体に印刷を行!ヽ、画質等に優れた記録物を得ることが出来る。
実施例
[0073] 本発明を以下の実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例 に限定されるものではない。
[0074] > のィ乍製
(1)分散液 K1
カーボンブラックとして MA100 (商品名、三菱化学株式会社製) 75g、ァ-オン 性基としてカルボン酸基を有するスチレン アクリル酸系分散榭脂としてジョンクリル 6 11 (商品名、ジョンソンポリマー株式会社、平均分子量 8, 100、酸価 53KOHmgZ g) 25g、水酸ィ匕カリウム 1. Og、イオン交換法と逆浸透法により精製した超純水 2 50gを混合して、ジルコユアビーズによるボールミルにて 10時間分散を行った。得ら れた分散原液を孔径約 8 μ mのメンブランフィルタ(商品名、 日本ミリポア ·リミテッド製 )で濾過して粗大粒子を除き、超純水で顔料濃度 15重量%まで希釈して分散榭脂 で分散した分散液 K1を調製した。
[0075] (2)分散液 C1
分散液 K1に対して、カーボンブラックを有機顔料の C. I. Pigment Blue 15 : 3
65gに、分散樹脂の添力卩量を 35gに、水酸ィ匕カリウムの添力卩量を 1.
70gに代えた以外は同様の方法で分散液を作製した。これを分散液 C1とした。
[0076] (3)分散液 Ml
[分散樹脂の合成]
攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、ス
チレン 25g、 n—ドデシノレメタタリレート 30g、メトキシポリエチレングリコールメタタリレー 卜 20g、ブチルメタクリレー卜 15. 5g、メタクリル酸 9. 3gをメチルェチルケ卜ン lOOgに 溶解して、窒素ガス置換を行った。
滴下ロートにも同様のモノマー Zメチルェチルケトン溶液を入れ、さらに 2, 2,ーァゾ ビス(2, 4—イソメチルバレロ-トリル) 0. 2gをカ卩えて窒素ガス置換を行った。
[0077] 窒素雰囲気下、 65°Cに加温して滴下ロートの溶液を 3時間かけて加えながら重合 反応を行った。得られた共重合体溶液を減圧乾燥とメチルェチルケトン溶解、濾過を 繰り返して精製した後、榭脂の固形分が 50重量%になるようにメチルェチルケトンを 加えて希釈した。酸価が約 70KOHmgZg、平均分子量 50, 000の榭脂溶液 Aを得 た。
[0078] [色材分散体の調製]
顔料を有機顔料の C. I. Pigment Red 122 200g、上述の榭脂溶液 A lOOg を混合'撹拌してスラリーを作製した。このスラリーに 10重量%水酸ィ匕カリウム水溶液 39. 5gをカ卩え、超高圧ホモジナイザーにて分散を行った。
[0079] 続いてこの分散溶液を撹拌している純水 400gに徐々に加え、さらに減圧 ' 60°Cに てメチルェチルケトンの全部と水の一部を除去して、さらに顔料濃度が 15重量%に なるように超純水をカ卩え、分散液 Mlを得た。
[0080] (4)分散液 Y1
分散液 Mlに対して、顔料を有機顔料の C. I. Pigment Yellow 74 150gとし、 10重量%水酸ィ匕カリウム水溶液の添加量を 39. 5gに代えた以外は同様の方法で分 散液を作製した。これを分散液 Y1とした。
[0081] (5)分散液 C2
分散液 Mlに対して、顔料を有機顔料の C. I. Pigment Blue 15 :4 50gとし、 1 0重量%水酸ィ匕カリウム水溶液の添加量を 47. 5gに代えた以外は同様の方法で分 散液を作製した。これを分散液 C2とした。
[0082] (6)分散液 M3
分散液 K1に対して、分散染料の C. I. Disperse Red 4 70gに、分散樹脂の添 加量を 35gに、水酸ィ匕カリウムの添加量を 1. 70gに代えた以外は同様の方法で分散
液を作製した。これを分散液 M3とした。
[0083] (7)分散液 C3
分散液 Mlに対して、油溶染料の C. I. Solvent Blue 25 50gとし、 10重量0 /0 水酸ィ匕カリウム水溶液の添加量を 47. 5gに代えた以外は同様の方法で分散液を作 製した。これを分散液 C3とした。
[0084] (8)分散液 K3
カーボンブラックとして MA100 (商品名、三菱化学株式会社製) 75g、ァ-オン 性基としてカルボン酸基を有するスチレン アクリル酸系水溶性榭脂としてジョンタリ ル 678 (商品名、ジョンソンポリマー株式会社、平均分子量 8, 500、酸価 215KOH mg/g) 25g、中和率 100%を超える量の水酸化カリウム 3. 60g、イオン交換法と 逆浸透法により精製した超純水 250gを混合して、ジルコユアビーズによるボールミ ルにて 10時間分散を行った。得られた分散原液を孔径約 8 mのメンブランフィルタ (商品名、 日本ミリポア'リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、超純水で顔料濃度 15重量%まで希釈して水溶性榭脂で分散した分散液 K3を調製した。
[0085] (9)分散液 C4
分散液 K3に対して、カーボンブラックを有機顔料の C. I. Pigment Blue 15 :4 40g〖こ、榭脂の添加量を 40g、中和率 100%を超える量の水酸化カリウムの添カロ量 を 8. Ogに代えた以外は同様の方法で分散液を作製した。これを分散液 C4とした。
[0086] 水件インクの調製
実施例 1
分散液 K1を 46g、アセチレングリコールとしてサーフィノール 104を lgおよびサ 一フィノール 465を lg (以上 2種共に商品名、 Air Products and Chemicals. I nc.社製)、一価アルコールで、かつアセチレングリコールの溶解剤として 2—ブタノ一 ルを 5g、保湿剤としてトリエチレングリコールを 20g、 2 ピロリドンを 4g、さらに超純水 をカロえて全量を 100gとして 2時間攪拌、孔径約 1. 2 /z mのメンブランフィルタ(商品 名、 日本ミリポア ·リミテッド製)にて濾過して水性インク組成物を調製した。
[0087] 実施例 2— 15
実施例 1に対して、表 1の組成に変更した以外は同様の方法でインクを作製した。
表に記載のとおり、実施例 6および 8では、添加榭脂 1としてモビニール 742N (商 品名、クラリアントポリマー株式会社製)を用いた。実施例 7、 13、 14、および 15では 、添加榭脂 2として榭脂溶液 Aを用い、分散液 Mlに対して、 C. I. Pigment Red 122を添カ卩しなかったこと以外は同様の方法で榭脂単体 30wt%の榭脂ェマルジョ ンを作成した。
[0088] 比較例 1
実施例 1に対して、酸価が高くかつ 100%を超えた中和率でアルカリ成分を添加し て分散することで分散榭脂自身が水に可溶な分散液 K3を用いた以外は、同様の方 法でインクを作成した。
[0089] 比較例 2
実施例 2に対して、酸価が高くかつ 100%を超えた中和率でアルカリ成分を添加し て分散することで分散榭脂自身が水に可溶な分散液 C4を用いた以外は、同様の方 法でインクを作成した。
[0090] 実施例 1一 15および比較例 1および 2の組成は、表 1に示される通りとした。
[表 1]
表 1 実施例 比較例 実施例
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 2 使用した分散液 K 1 C 1 M 1 Y 1 C 2 C 1 M 1 M 3 C 3 K 1 Y 1 K 2 C 2 M 1 Y 1 K 3 C 4 組成 添加量 (w t %)
分散液 4 6 2 7 4 0 3 3 2 7 2 7 4 0 4 0 2 7 4 6 3 3 4 6 2 7 4 0 3 3 4 6 2 7 サーフィノール 1 0 4 1 1 2 2 2 1 2 1 1 1 2 2 2 2 2 1 1 サーフィノール 4 6 5 1 1 - - 一 1 - 1 1 1 一 - - - - 1 1
2—ブ夕ノ一ル 5 - - 5 5 一 - 5 - 5 5 5 5 5 5 5 i s o—プロビルアルコール - 5 5 5 5 5 5 トリエチレングリコール 2 0 2 0 - - - 2 0 2 2 0 2 0 2 0 ― - - - - 2 0 2 0
2—ピロリドン 4 4 4 4 4 4 2 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 卜リメチロールプロパン - - 1 0 1 0 1 0 - 1 0 - - - 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 - - グリセリン - - 5 5 5 - 5 - - - 5 5 5 5 5 —— トリエチレングリコールモノブチルェ一テル - ― 3 3 - - - - 2 2 2 2 -
1 , 2—へキサンジオール - 一 - - 3 - - ― ― 3 2 - 一 - - 一
2—ェチル—1 , 3—へキサンジオール - 一 - 3 - - 2 ― ― - 2 2 2 一 - 添加樹脂 1 ― - - - - 1 6 ― - - 8 - - ― - - 添加樹脂 2 ― - - - - - 2 3 - - - - - 1 3 2 3 2 3 - - プロピオン酸カリウム 1
卜リス (ヒドロキシメチル) ァミノメタン 2 2 5 5 5 - - 超純水 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量 残量
[0091] 評価試験
保存安定件
実施例 1一 15および比較例 1および 2のインク組成物を、 60°Cで 2週間放置と 1ケ 月放置、および凍結して 1週間放置して、インク調製直後の粘度と放置後の値を比較 した。判定基準は以下の通りとした。
判定 A:変動幅が ±6%未満
B :変動幅が ±6%以上、 ± 10%未満
C :変動幅が ± 10%以上
[0092] 吐出安定性
実施例 1一 15および比較例 1および 2のインク組成物をインクジェットプリンタ PX— V700 (商品名、セイコーエプソン株式会社製)に充填した。 25°CZ40%RHの環境 下で文字'塗りつぶしが混在する画像を連続的に印刷して、印刷中の画像に飛行曲 力 Sりや抜け等の不具合の有無を目視にて測定した。判定基準は以下の通りとした。 判定 AA: 200枚まで連続印刷しても、飛行曲がり'抜けが発生しない
A : 100枚までの連続印刷で、飛行曲がり'抜けが発生しないが、 200枚までの 連続印刷で飛行曲がり ·抜けが発生した
B : 100枚までの連続印刷で、飛行曲がり'抜けが発生したが 10箇所未満である 評価試験の結果は以下の表 2に示される通りであった。
[0093] [表 2]
表 2
評価結果 保存安定性 吐出安定性 実施例 1 A A 実施例 2 A A 実施例 3 A AA 実施例 4 A AA 実施例 5 A AA 実施例 6 A A 実施例 Ί A AA 実施例 8 A A 実施例 9 A A 実施例 10 A A 実施例 1 1 A AA 実施例 1 2 A AA 実施例 1 3 A AA 実施例 14 A AA 実施例 1 5 A AA 比較例 1 A B 比較例 2 A B