JP2002322395A - インク組成物 - Google Patents

インク組成物

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JP2002322395A
JP2002322395A JP2001128991A JP2001128991A JP2002322395A JP 2002322395 A JP2002322395 A JP 2002322395A JP 2001128991 A JP2001128991 A JP 2001128991A JP 2001128991 A JP2001128991 A JP 2001128991A JP 2002322395 A JP2002322395 A JP 2002322395A
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ink
water
colorant
pigment
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Hiroshi Ito
藤 弘 伊
Kiyohiko Takemoto
本 清 彦 竹
Tsuyoshi Sano
野 強 佐
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性に優れたインク組成物を提供する
こと。 【解決手段】 本発明によるインク組成物は、着色剤分
散液と、浸透剤と、保湿剤と、主溶媒としての水とを少
なくとも含んでなるインク組成物であって、前記着色剤
分散液が、アニオン性基を有する水溶性樹脂によって着
色剤を分散したものであり、所定の記録媒体上に、イン
ク組成物を、単位面積あたりのインク打ち込み量2mg
/cm2として印刷したときのインク乾燥時間が10秒
以上であるものであり、かつ、インク組成物中に存在す
る遊離した一価アニオン濃度が700ppm以下である
インク組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、インクジェット記録方法に好ましく用いられ
るインク組成物に関する。
【0002】背景技術 インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔
させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法
である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高
品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有す
る。インクジェット記録に使用されるインク組成物は、
水を主成分とし、これに着色成分および目詰まり防止等
の目的でグリセリン等の保湿剤を含有したものが一般的
である。インクジェット記録用インク組成物に用いられ
る着色剤としては、色剤の彩度の高さ、利用できる色剤
の種類の豊富さ、水への溶解性などの理由から水溶性染
料が数多く使用されている。
【0003】しかし、一方で染料は耐光性および耐水性
等の諸特性に劣ることがあり、よって染料系のインク組
成物により印刷された印刷物は、耐光性および耐水性に
劣ることになる。耐水性については、インク吸収層を有
するインクジェット専用記録紙によって改善されている
が、普通紙については未だ十分とは言い難い。
【0004】顔料は、染料に比べて耐光性および耐水性
に優れており、近年、耐光性および耐水性を改善する目
的でインクジェット記録用インク組成物の着色剤として
利用が検討されている。ここで、顔料は一般に水には不
溶であるため、顔料を水系インク組成物に利用する場合
には、顔料を水溶性樹脂などの分散剤と共に混合し、水
に安定分散させた後にインク組成物として調製する必要
がある。
【0005】顔料が水系に安定に分散するためには、顔
料の種類、粒径、用いる樹脂の種類、および分散手段等
を検討する必要があり、これまで多くの分散方法および
インクジェット記録用インクが提案されている。例え
ば、特開昭64−6074号公報および特開昭64−3
1881号公報には、カーボンブラックを界面活性剤や
高分子分散剤を用いて分散させた顔料系の水性インク組
成物が記載されている。また、特開平3−252467
号公報では水、スチレン−マレイン酸共重合体、ε−カ
プロラクタム、および顔料からなるインク組成物が提案
されており、また特開平3−79680号公報では水性
媒体、スチレン−マレイン酸共重合体、および銅フタロ
シアニン顔料を含有するインク組成物が提案されてい
る。
【0006】顔料をインクジェット記録用インク組成物
において用いる場合には、通常、水中に安定に分散させ
て長期間それを保持できることが望ましい。一般的に、
顔料の安定した分散を阻害する要因の一つとしては、用
いる樹脂と反対の極性を有する多価イオン性物質のイン
クへの混入が挙げられる。例えば、特開平8−3113
79号公報および特開平8−311380号公報には、
鉄イオンやバリウムイオンを数ppm未満に低減するこ
とが記載されている。しかしながら、用いる樹脂と同極
性のイオンについては検討されていない。
【0007】顔料を含む着色剤はその合成過程で不純物
が発生し混入することがあり、また顔料の分散過程で不
純物が混入することがある。しかしながら、このような
着色剤は分散系であるために不純物をその後の過程で精
度良く分離することは一般的に困難である。不純物が分
散樹脂と反対極性のイオンである場合にはイオン交換法
等によりそれらを分離することが可能であるが、同極性
のイオンである場合には、そのような不純物であるイオ
ンを分離することが困難であることが多い。このため、
分散樹脂と同極性のイオンは、最終的に得られるインク
組成物に混入しやすい。
【0008】浸透剤と保湿剤が特定の水溶性有機溶剤で
ある場合に、分散樹脂と同極性の一価アニオンが一定量
以上インク組成物中に存在すると、インク組成物を長期
間保存するに従ってインク組成物が増粘して、その保存
安定性が低下することがあった。
【0009】
【発明の概要】本発明者等は今般、樹脂により着色剤を
分散させた着色剤分散液を含んでなるインク組成物であ
って、その遊離アニオン濃度が所定の値より低いもの
は、優れた保存安定性を有することを見出した。本発明
はかかる知見に基づくものである。したがって、本発明
は保存安定性に優れたインク組成物の提供をその目的と
している。
【0010】そして本発明によるインク組成物は、着色
剤分散液と、浸透剤と、保湿剤と、主溶媒としての水と
を少なくとも含んでなるインク組成物であって、前記着
色剤分散液が、アニオン性基を有する水溶性樹脂によっ
て着色剤を分散したものであり、所定の記録媒体上に、
インク組成物を、単位面積あたりのインク打ち込み量2
mg/cm2として印刷したときのインク乾燥時間が1
0秒以上であるものであり、かつ、インク組成物中に存
在する遊離した一価アニオン濃度が700ppm以下で
ある、インク組成物である。
【0011】本発明の別の態様によれば、インク組成物
は、着色剤分散液と、浸透剤と、保湿剤と、主溶媒とし
ての水とを少なくとも含んでなるインク組成物であっ
て、前記着色剤分散液が、アニオン性基を有する水溶性
樹脂によって着色剤を分散したものであり、所定の記録
媒体上に、インク組成物を、単位面積あたりのインク打
ち込み量1mg/cm2として印刷したときのインク乾
燥時間が2秒以下となるものであり、かつ、インク組成
物中に存在する遊離した一価アニオン濃度が500pp
m以下であるインク組成物である。
【0012】
【発明の具体的説明】インク組成物 本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記
録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式と
は、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆
記具による記録方式、その他各種の印刷方式が挙げられ
る。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット
記録方法に好ましく用いられる。
【0013】本発明によるインク組成物は、基本的に、
着色剤分散液と、浸透剤と、保湿剤と、主溶媒としての
水とを少なくとも含んでなる。そして本発明によるイン
ク組成物は、保存安定性に優れるものである。
【0014】本発明の一つの態様によるインク組成物
は、所定の記録媒体上に、インク組成物を、単位面積あ
たりのインク打ち込み量2mg/cm2として印刷した
ときのインク乾燥時間が10秒以上であるものであっ
て、かつ、インク組成物中に存在する遊離した一価アニ
オン濃度が700ppm以下であるものである。
【0015】本発明において、「所定の記録媒体上に、
インク組成物を、単位面積あたりのインク打ち込み量2
mg/cm2として印刷したときのインク乾燥時間が1
0秒以上」であるインク組成物とは、記録媒体に対する
インクの浸透および乾燥が比較的遅く、緩やかに行われ
る所謂「緩浸透型」のインク組成物を意味する(なお、
以下においてこのようなインク組成物を単に「緩浸透型
インク組成物」ということがある)。
【0016】本発明の別の態様によれば、インク組成物
は、所定の記録媒体上に、インク組成物を、単位面積あ
たりのインク打ち込み量1mg/cm2として印刷した
ときのインク乾燥時間が2秒以下であるものであって、
かつ、インク組成物中に存在する遊離した一価アニオン
濃度が500ppm以下であるものである。
【0017】本発明において、「所定の記録媒体上に、
インク組成物を、単位面積あたりのインク打ち込み量1
mg/cm2として印刷したときのインク乾燥時間が2
秒以下」であるインク組成物とは、記録媒体に対するイ
ンクの浸透および乾燥が速やかに行われる所謂「超浸透
型」のインク組成物を意味する(なお、以下においてこ
のようなインク組成物を単に「超浸透型インク組成物」
ということがある)。
【0018】ここで、「所定の記録媒体」とは、普通紙
であるBright WhiteInkjet Pap
er(商品名)(セイコーエプソン株式会社製)のこと
をいう。また、「インク乾燥時間」とは、圧電素子式オ
ンデマンド型インクジェット記録装置を用いて、インク
組成物を所定のインク打ち込み量で前記「所定の記録媒
体」に印刷した後、その印字面に別の該記録媒体を重ね
て300g/cm2の荷重をかけ、重ねた該記録媒体が
インクで汚れなくなるまでの時間を意味する。
【0019】なお、前記したインクジェット記録装置と
しては、例えばMJ−930C(セイコーエプソン株式
会社製)、またはMJ−800C(セイコーエプソン株
式会社製)等を好適に使用することができる。インク組
成物についてのインクの乾燥は記録媒体に対する浸透乾
燥によるため、本発明におけるインク乾燥時間は、イン
ク組成物において用いられる浸透剤の種類およびその量
を変更することにより、適宜変更することが可能であ
る。
【0020】本発明において、インク組成物が緩浸透型
である場合には、インク組成物中に存在する遊離した一
価アニオン濃度は700ppm以下であることが好まし
く、より好ましくは500ppm以下である。インク組
成物中の遊離した一価アニオン濃度が前記値以下である
と、インク組成物を長期保存した場合に、分散した着色
剤(例えば顔料)の凝集が抑えられ、またインク物性の
変動も抑えることができる。
【0021】ここでインク組成物中に存在する遊離して
いる一価アニオンとは、主として、着色剤分散液の製造
過程において含まれることとなった一価アニオンのこと
であり、着色剤分散液に由来してインク組成物に包含さ
れることとなったものである。このような遊離一価アニ
オンとしては、塩素、臭素、もしくはヨウ素イオン等の
ハロゲンイオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、水酸イ
オン、または酢酸イオンなどの有機酸イオンが挙げられ
るが、着色剤分散液の合成過程や着色剤の分散過程にお
いて混入する可能性があることから、典型的には、ハロ
ゲンイオン、硝酸イオン、または有機酸イオンであり、
より典型的には塩素、臭素などのハロゲンイオンであ
る。
【0022】本発明において、インク組成物が超浸透型
である場合には、インク組成物中に存在する遊離した一
価アニオン濃度は500ppm以下であることが好まし
く、より好ましくは300ppm以下である。インク組
成物中の遊離した一価アニオン濃度が前記値以下である
と、インク組成物を長期保存した場合に、分散した着色
剤(例えば顔料)の凝集が抑えられ、またインク物性の
変動も抑えることができる。
【0023】またインク組成物が超浸透型であって、か
つ、グリコールモノエーテルを2〜15重量%含んでな
るものである場合には、インク組成物中の遊離した一価
アニオン濃度は300ppm以下であることが好まし
く、より好ましくは200ppm以下である。インク組
成物中の遊離した一価アニオン濃度が前記値以下である
と、インク組成物を長期保存した場合に、分散した着色
剤(例えば顔料)の凝集が抑えられ、またインク物性の
変動も抑えることができる。なお、グリコールモノエー
テルは、界面活性剤および/または1,2−アルカンジ
オールと併用してもよい。
【0024】本発明において、各タイプのインク組成物
中に存在する遊離した一価アニオン濃度の好ましい範囲
はそれぞれ上記したとおりであるが、このような範囲に
インク組成物の一価アニオン濃度の調整は、例えば、イ
ンク組成物に用いられる顔料や分散剤等材料の製造段階
で一価アニオンの混入を抑制する等の手段により行うこ
とができるが、例えば、顔料分散液を限外濾過等の手段
により一価アニオン濃度を調製することも可能である。
【0025】本発明において、インク組成物中に存在す
る遊離した一価アニオン濃度は、例えば、インクを遠心
分離法や限外濾過法などにより顔料固形分と液成分とに
分離して、液成分をイオンクロマトグラフやイオン電極
により測定することによって求めることができる。
【0026】着色剤分散液 本発明において、着色剤分散液は、アニオン性基を有す
る水溶性樹脂によって着色剤が分散されたものである。a) 着色剤 本発明において、着色剤は、水性媒体に不溶性または難
溶性のものであって、有機顔料、カーボンブラック、無
機顔料、油溶染料、および分散染料から選択されること
が好ましい。発色が良好であって、比重が小さいために
分散時に沈降しにくいことから、着色剤としては、カー
ボンブラック、有機顔料、油溶染料、および分散染料が
好ましく、より好ましくは、カーボンブラックおよび有
機顔料のような顔料である。
【0027】本発明において、好ましいカーボンブラッ
クの具体例としては、三菱化学株式会社製のカーボンブ
ラックとして、No.2300、900、MCF88、
No.20B、No.33、No.40、No.45、
No.52、MA7、MA8、MA100、No220
0Bなどが挙げられる。また、デグサ社製のカーボンブ
ラックとして、カラーブラックFW1、FW2、FW2
V、FW18、FW200、S150、S160、S1
70、プリテックス35、U、V、140U、スペシャ
ルブラック6、5、4A、4、250などが、コロンビ
アカーボン社製のカーボンブラックとして、コンダクテ
ックスSC、ラーベン1255、5750、5250、
5000、3500、1255、700など、さらに
は、キャボット社製のカーボンブラックとして、キャボ
ット社製のリガール400R、330R、660R、モ
グルL、モナーク700、800、880、900、1
000、1100、1300、1400、エルフテック
ス12などが挙げられる。これらは二種以上を混合して
使用してもよい。なお、これらは本発明に好適なカーボ
ンブラックの一例の記載であって、本発明はこれらに限
定されるものではない。また、これらの顔料はインク組
成物に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜10
重量%の添加することが好ましい。
【0028】本発明において、好ましい有機顔料として
は、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン
系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、
アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、イ
ンダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン
系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔
料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオ
インジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソイン
ドリノン系顔料、アゾメチン系顔料またはアゾ系顔料な
どが挙げられる。さらに、水性媒体に不溶であれば、該
着色剤として、油溶染料、分散染料等を用いてもよい。
【0029】本発明に用いられる顔料の具体例としては
下記のものが挙げられる。シアンインク組成物の場合に
使用される顔料としては、例えば、C.I.ピグメント
ブルー 1、2、3、15:3、15:4、15:3
4、16、22、60等、C.I.バットブルー4、6
0等が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメントブル
ー15:3、15:4、および60からなる群から選択
される一種または二種以上の混合物である。これらの顔
料はインク組成物に対して0.5〜15重量%、好まし
くは1〜10重量%添加されることが好ましい。
【0030】マゼンタインク組成物の場合に使用される
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、
7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(C
a)、57:1、112、122、123、168、1
84、202、C.I.ピグメントバイオレット19等
が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントレッド12
2、202、および209からなる群から選択される一
種または二種以上の混合物である。これらの顔料はイン
ク組成物に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜
10重量%添加されることが好ましい。
【0031】イエローインク組成物の場合に使用される
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー
1、2、3、12、13、14C、16、17、73、
74、75、83、93、95、97、98、119、
110、114、128、129、138、150、1
51、154、155、180、185等が挙げられ、
好ましくはC.I.ピグメントイエロー74、109、
110、128、および138からなる群から選択され
る一種または二種以上の混合物である。これらの顔料は
インク組成物に対して0.5〜15重量%、好ましくは
1〜10重量%添加されることが好ましい。
【0032】オレンジインク組成物の場合に使用される
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ3
6、43、またはこれらの混合物が挙げられる。これら
の顔料はインク組成物に対して0.5〜15重量%、好
ましくは1〜10重量%添加されることが好ましい。グ
リーンインク組成物の場合に使用される顔料としては、
例えば、C.I.ピグメントグリーン7、36、または
これらの混合物が挙げられる。これらの顔料はインク組
成物に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜10
重量%添加されることが好ましい。
【0033】b) 水溶性樹脂 本発明において、典型的には、着色剤はアニオン性基を
有する水溶性樹脂により分散され、顔料分散液を形成
し、インク組成物に用いられる。ここで、アニオン性基
を有する水溶性樹脂は、水に対して自己分散能または溶
解能を有し、かつアニオン性基を有する高分子の化合物
である。このとき前記アニオン性基としては、カルボキ
シル基、スルホン酸基、またはホスホン酸基が挙げられ
る。水溶性樹脂は、同種または異種の一または二以上の
アニオン基が導入された樹脂であってもよい。このよう
な水溶性樹脂は、例えば有機アミンや無機アルカリを用
いて中和することにより、水に対して自己分散または溶
解することが可能なものである。なお、ここで自己分散
とは、分散剤を別途要することなく溶媒に分散または溶
解することをいう。
【0034】本発明の一つの態様によれば、水溶性樹脂
はアルカリ中和していないものは有機溶剤に可溶なもの
であり、また、水溶性樹脂はインク組成物に用いられる
浸透剤に不要なものである。
【0035】本発明において、水溶性樹脂は、数平均分
子量が1、000〜100、000範囲程度のものが好
ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特
に好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であること
により、着色剤における被覆膜として、またはインク組
成物における塗膜としての機能を十分に発揮することが
できる。
【0036】このような水溶性樹脂としては、例えばア
ニオン性アクリル系樹脂が好適に挙げられる。これは、
例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以
下、アニオン性基含有アクリルモノマーということがあ
る)と、さらに必要に応じてこれらのモノマーと共重合
し得る他のモノマーとを、溶媒中で重合させることによ
り得ることができる。アニオン性基含有アクリルモノマ
ーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、
ホスホン基からなる群から選ばれる1個以上のアニオン
性基を含するアクリルモノマーが挙げられ、これらの中
でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好
ましい。
【0037】カルボキシキル基を有するアクリルモノマ
ーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプ
ロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン
酸などが挙げられる。これらの中でもアクリル酸、メタ
クリル酸、またはマレイン酸が好ましい。
【0038】スルホン酸基を有するアクリルモノマーの
具体例としては、スルホエチルメタクリレート、または
ブチルアクリルアミドスルホン酸が挙げられる。ホスホ
ン基を有するアクリルモノマーの具体例としては、ホス
ホエチルメタクリレートが挙げられる。
【0039】アニオン性基含有アクリルモノマーと共重
合し得る他のモノマーの具体例としては、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、ア
クリル酸−n−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、ア
クリル酸−t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ラウリル、
アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−
n−プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル
酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−n−オクチ
ル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、
メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル等のよ
うな(メタ)アクリル酸エステル;ステアリン酸とグリ
シジルメタクリレートの付加反応物等のような油脂肪酸
とオキシラン構造を有する(メタ)アクリル酸エステル
モノマーとの付加反応物;炭素原子数3以上のアルキル
基を含むオキシラン化合物と(メタ)アクリル酸との付
加反応物;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
p−tert−ブチルスチレン等のようなスチレン系モ
ノマー;イタコン酸ベンジル等のようなイタコン酸エス
テル;マレイン酸ジメチル等のようなマレイン酸エステ
ル;フマール酸ジメチル等のようなフマール酸エステ
ル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニ
ル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニ
ル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピ
ル、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチル
アミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アク
リル酸エチルアミノプロピル、アクリル酸アミノエチル
アミド、アクリル酸アミノプロピルアミド、アクリル酸
メチルアミノエチルアミド、アクリル酸メチルアミノプ
ロピルアミド、アクリル酸エチルアミノエチルアミド、
アクリル酸エチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸
アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミ
ノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタク
リル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミ
ノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタク
リル酸アミノエチルアミド、メタクリル酸アミノプロピ
ルアミド、メタクリル酸メチルアミノエチルアミド、メ
タクリル酸メチルアミノプロピルアミド、メタクリル酸
エチルアミノエチルアミド、メタクリル酸エチルアミノ
プロピルアミド、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロ
キシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタク
リル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒ
ドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド、ア
リルアルコール等が挙げられる。
【0040】これらのモノマーを重合した樹脂は、アル
カリ金属や有機アミンの塩の形でインクに使用されるこ
とが望ましい。塩形態での樹脂を用いた場合、再分散性
と信頼性とに優れたインク組成物を提供することができ
る。樹脂とアルカリ金属との塩の具体例としては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウムの塩が、好ましくは水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアル
カリ金属の塩、より好ましくは水酸化カリウムとの塩が
挙げられる。また樹脂の有機アミンの塩の具体例として
は、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールア
ミン、モルホリンの如き揮発性アミン化合物との塩、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパ
ノールアミンなどの揮発しにくい高沸点の有機アミン等
の塩が挙げられる。
【0041】本発明のアニオン基を含有する有する水溶
性樹脂中のアニオン性基の量は、酸価が30KOHmg
/g以上であること好ましく、より好ましくは50〜2
50KOHmg/gの範囲である。樹脂の酸価がこのよ
うなな範囲にあることにより、着色剤における塗膜化し
た顔料の貯蔵安定性が向上し、また記録画像の耐水性が
向上するため有利である。
【0042】本発明において着色剤と水溶性樹脂との比
率(重量比)は10:1〜1:10が好ましく、4:1
〜1:3がより好ましい。また、分散時の着色剤の粒径
は、動的光散乱法で計測した場合の最大粒径が500n
m未満で平均粒径が300nm以下であり、より好まし
くは平均粒径が200nm以下である。
【0043】c) 着色剤分散液の調製 本発明で、着色剤をアニオン性基を有する水溶性樹脂に
より分散して、着色剤分散液を調製することは、当業者
に従来から知られている方法にて行うことができる。具
体的には例えば、上述の水溶性樹脂をアルカリ金属や有
機アミンを加えたアルカリ水で溶解して、着色剤を混合
して、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロール
ミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイ
ドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オング
ミルなどの分散機を用いて分散することにより行うこと
ができる。
【0044】より好ましくは、着色剤と水溶性樹脂とを
より強固に接着して分散安定するために、特開平9−1
513142号、特開平10−140065号、特開平
11−209672号、特開平11−172180号、
特開平10−25440号、または特開平11−436
36号の各公報に開示されている方法によって、本発明
における着色剤分散液を調製してもよい。これら公開公
報に開示されている調製方法について、以下に概説す
る。
【0045】特開平9−1513142号公報および特
開平10−140065号公報には、「転相法」と「酸
析法」とが開示されている。 i)転相法 本発明において、「転相法」とは、基本的には、自己分
散能または溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を
水に分散させる、自己分散(転相乳化)化方法をいう。
ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、また
溶解して混合した状態、またはこれら両者の状態のいず
れの状態をも含むものをいう。
【0046】ii)酸析法 本発明において、「酸析法」とは、樹脂と顔料とからな
る含水ケーキを用意し、その含水ケーキ中の、樹脂が含
有してなるアニオン性基の一部または全部を塩基性化合
物を用いて中和することによって、着色剤を製造する方
法をいう。
【0047】「酸析法」は、具体的には、(1)樹脂と
顔料とをアルカリ性水性媒体中に分散し、また、必要に
応じて加熱処理を行なって樹脂のゲル化を図る工程、
(2)pHを中性または酸性にすることによって樹脂を
疎水化して、樹脂を顔料に強く固着する工程と、(3)
必要に応じて、濾過および水洗を行なって、含水ケーキ
を得る工程と、(4)含水ケーキを中の、樹脂が含有し
てなるアニオン性基の一部または全部を塩基性化合物を
用いて中和し、その後、水性媒体中に再分散する工程
と、(5)必要に応じて加熱処理を行ない樹脂のゲル化
を図る工程とを含んでなるものである。上記の、「転相
法」および「酸析法」のより具体的な製造方法は、特開
平9−1513142号公報、および特開平10−14
0065号公報に開示されているものと同様であってよ
い。
【0048】さらに、特開平11−209672号公報
および特開平11−172180号公報には、着色剤分
散液の製造方法が開示されている。この製法の概要は、
基本的には次の製造工程からなる。
【0049】(1)アニオン性基を有する樹脂またはそ
れを有機溶剤に溶解した溶液と塩基性化合物とを混合し
て中和することと、(2)この混合液に顔料を混合して
懸濁液とした後に、分散機等で顔料を分散して顔料分散
液を得ることと、(3)必要に応じて、溶剤を蒸留して
除くことと、(4)酸性化合物を加えてアニオン性基を
有する樹脂を析出させることによって、顔料をアニオン
性基を有する樹脂で被覆することと、(5)必要に応じ
て、濾過および水洗を行うことと、(6)塩基性化合物
を加えてアニオン性基を有する樹脂のアニオン性基を中
和して、水性媒体中に分散させて水性分散体を得ること
とを含んでなるものである。
【0050】さらに着色剤分散液の製造方法は、特開平
11−2096722号公報および特開平11−172
180号公報に開示されているものと同様であってよ
い。
【0051】浸透剤 本発明において、浸透剤は、記録媒体へのインクの浸透
性を高めるための添加されるものであり、浸透剤の種類
およびインク組成物におけるその添加量を調整すること
により、前記したインク乾燥時間を適宜変更することが
できる。浸透剤は、好ましくは低沸点の水溶性有機溶剤
である。具体的には例えば、浸透剤は、炭素数1〜
の低級アルコールが好ましく、例えば、メタノール、
エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピ
ルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、
tert−ブタノール、iso−ブタノール、またはn
−ペンタノールなどが挙げられる。このうち一価アルコ
ールが特に好ましい。浸透剤としての低沸点水溶性有機
溶剤の添加量はインク組成物に対して0.5〜10重量
%の範囲であることが好ましい。
【0052】また、本発明における浸透剤は、水溶液の
表面張力を小さくする界面活性剤または水溶性有機溶剤
から選択することもできる。
【0053】このような界面活性剤としては、脂肪酸塩
類、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、
アセチレングリコール系界面活性剤、カチオン性界面活
性剤、または両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0054】本発明における浸透剤としては、アセチレ
ングリコール系界面活性剤は、起泡性が少ないか、また
は無いために、特に好ましい。本発明において、アセチ
レングリコール系界面活性剤の好ましい具体例として
は、下記の式(a)で表される化合物が挙げられる。
【0055】
【化1】 [上記式中、0≦m+n≦50、R1*、R2*、R
3*、およびR4*は独立してアルキル基(好ましくは
炭素数1〜6のアルキル基)を表す]
【0056】上記の式(a)で表される化合物の中で特
に好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシ
ン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチ
ン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシ
ン−3オールなどが挙げられる。上記の式(a)で表さ
れるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を
利用することも可能であり、その具体例としてはサーフ
ィノール61、82、104、440、465、48
5、またはTG(いずれもAir Products and Chemical
s.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィン
E1010(商品名)(以上、日信化学社製)が挙げら
れる。これらのアセチレングリコール系界面活性剤は、
2種以上を混合して使用してもよい。
【0057】アセチレングリコール化合物の添加量は、
所望するインク乾燥時間に応じて適宜決定されてよい
が、好ましくはインク組成物に対して0.01〜5重量
%である。
【0058】また、水溶液の表面張力を小さくする水溶
性有機溶剤としては、1,2−アルカンジオール、また
はグリコールモノエーテルが挙げられる。
【0059】1,2−アルカンジオールとしては、ブタ
ンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘ
プタンジオール、またはオクタンジオール等の炭素数が
4〜8の1,2−アルカンジオールが好ましい。より好
ましくは、炭素数6〜8の1,2−ヘキサンジオール、
1,2−ヘプタンジオール、または1,2−オクタンジ
オールであり、これらは、記録媒体への浸透性が強い点
で望ましい。本発明において、浸透剤としての1,2−
アルカンジオールは、インク組成物に対して0.25〜
5重量%の範囲で添加されることが好ましい。
【0060】グリコールモノエーテルとしては、下記式
(i)で表される化合物より選択されるものが好ましい
ものとして挙げられる。ここで、グリコールモノエーテ
ルは、モノおよびポリエチレングリコール、モノおよび
ポリプロピレングリコール等のグリコール類のモノエー
テル化合物より選択されるものである。 R−O−[C2x−O]−H (i) [前記式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル
基、またはベンジル基、好ましくは、メチル基、エチル
基、プロピル基、またはブチル基であり、xは1〜3、
好ましくは2または3であり、yは1〜8、好ましくは
1〜5、より好ましくは1〜3である]。
【0061】本発明における浸透剤としてのグリコール
モノエーテルは、具体的には例えば、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n
−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso
−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−is
o−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−
ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチル
エーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエー
テル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、
1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリ
コールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール
モノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコー
ルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール
モノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノ−n−プロピルエーテル、および、ジプロピレングリ
コールモノ−iso−プロピルエーテル等が挙げられ
る。本発明において、浸透剤としてのグリコールモノエ
ーテルは、インク組成物に対して0.5〜15重量%の
範囲で添加されることが好ましい。
【0062】これらの浸透剤は単独で用いてもよく、ま
たは各群内もしくは各群間から選択した複数種を混合し
て用いてもよい。このうち、前記界面活性剤と前記水溶
性有機溶剤とを併用することは、浸透剤の総量を減らす
ことができ、また界面活性剤の気泡性を低減できる等の
観点から好ましい。なお、乾燥時間が比較的長いインク
の場合は、保湿剤の内、水溶液の表面張力を比較的小さ
くするものを浸透剤として用いることもできる。この場
合は、浸透剤として後述する保湿剤に包含される成分を
使用することができる。例えば、保湿剤に包含されるプ
ロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,
2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパ
ン、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、お
よび1,3−ジメチルイミダゾリジノンなどを、浸透剤
として用いることができる。
【0063】本発明において、インク組成物が緩浸透型
であるとき、浸透剤として、エタノール、iso−プロ
ピルアルコールなどの一価アルコールを添加する場合
は、その添加量はインク組成物に対して0.5〜5重量
%の範囲が好ましい。またこのとき、アセチレングリコ
ール系界面活性剤を添加する場合は、その添加量はイン
ク組成物に対して0.01〜0.75重量%の範囲が好
ましく、1,2−アルカンジオールを添加する場合は、
その添加量は0.25〜1.5重量%の範囲が好まし
く、さらに、グリコールモノエーテルを添加する場合
は、その添加量は0.5〜1.5重量%の範囲が好まし
い。
【0064】本発明において、インク組成物が超浸透型
であるとき、浸透剤として、アセチレングリコール系界
面活性剤を添加する場合は、その添加量はインク組成物
に対して0.3〜5重量%の範囲が好ましく、1,2−
アルカンジオールを添加する場合は、その添加量は1〜
5重量%の範囲が好ましい。また、界面活性剤、1,2
−アルカンジオール、およびグリコールモノエーテルを
混合して用いる場合は、グリコールモノエーテルはイン
ク組成物に対して0.5〜1重量%の範囲で添加するこ
とができる。
【0065】保湿剤 本発明において、保湿剤はインクの乾燥を抑制するため
に添加されるものであり、ノズル先端の乾燥による水分
蒸発を抑制して、インクの凝集または固化を防止するこ
とができる。本発明において、保湿剤は、水溶性で吸湿
性の高い材料から選択されることが好ましい。このよう
なものとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサン
トリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−
ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロ
ラクタム等のラクラム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿
素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類が
挙げられる。また、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および
多糖類も保湿剤として使用することができ、このような
糖類として、例えば、グルコース、マンノース、フルク
トース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラク
トース、アルドン酸、グルシトール、ソルビット、マル
トース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレ
ハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。さらに
これら糖類の誘導体も使用することができ、前記した糖
類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ糖などが使用可能
である。本発明において、保湿剤は糖アルコールがより
好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットな
どが挙げられる。
【0066】本発明のインク組成物におけるこれらの保
湿剤の添加量は、インク組成物に対して好ましくは1〜
40重量%であり、より好ましくは1〜30重量%であ
る。これらの保湿剤は、他のインク添加剤と合わせてイ
ンク粘度が25℃で25Pa・s以下になる添加量で加
えることができる。
【0067】水およびその他の成分 本発明によるインク組成物において、主溶媒は水であ
る。ここで、水としては、イオン交換水、限外濾過水、
逆浸透水、蒸留水などの純水、もしくは超純水が好まし
く使用することができる。また、紫外線照射、過酸化水
素の添加により殺菌した水を用いることで、長期保存に
際しカビ、バクテリアなどの発生を防止できるので好ま
しい。
【0068】本発明によるインク組成物は、さらに必要
に応じて、pH調整剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、防
腐剤・防かび剤、導電率調整剤、溶解助剤、粘度調整
剤、酸素吸収剤などの他の任意成分をさらに含んでなる
ことができる。
【0069】pH調整剤としては、例えば、水酸化リチ
ウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパ
ノールなどのアルカリ金属の水酸化物またはアミン類が
挙げられる。
【0070】酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、例え
ば、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネ
ート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチ
ルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビ
ン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvi
n328、900、1130、384、292、12
3、144、622、770、292、Irgacor
252、153、Irganox1010、1076、
1035、MD1024など、またはランタニドの酸化
物等が挙げられる。
【0071】防腐剤・防かび剤としては、例えば安息香
酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2
−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソル
ビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−
ジベンジソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0072】記録方法 本発明によれば、前記インク組成物を記録媒体に付着さ
せて印字を行う記録方法が提供される。ここで、インク
組成物を用いる前記記録方法としては、例えば、インク
ジェット記録方法、スクリーン印刷、ペン等による筆記
具による記録方法、その他各種の印刷方法が挙げられ
る。
【0073】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よるインク組成物の液滴を吐出し該液滴を記録媒体に付
着させて印刷を行うインクジェット記録方法が提供され
る。本発明において、インクジェット記録方法は、イン
ク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その
液滴を記録媒体に付着させる方式であればいかなる方法
も使用することができる。このような方法としては、例
えば、圧電素子の応答による機構のインクジェットヘッ
ドを用いた方法、すなわちインク液に圧電素子で圧力と
印刷情報信号を同時に加え、機械的変形によりインク滴
を噴射し形成させる方法、熱エネルギーの作用によりイ
ンク液を急激に体積膨張させる方法、静電吸引方式の方
法、および、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズ
ルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強
制的にインク滴を噴射させる方法等が挙げられる。本発
明のより好ましい態様によれば、本発明によるインクジ
ェット記録方法は、圧電素子の機械的変形によりインク
滴を形成するインクジェットヘッドを用いた方法である
のが好ましい。
【0074】以上の様な種々のインクジェット記録方式
の内、特に10m/s以下の比較的低速のインク吐出速
度での印刷方法と、本発明によるインク組成物とを組み
合わせることによって、吐出ノズルへのインク付着を効
果的に防止して安定したインクジェット記録を行うこと
ができる。
【0075】さらに本発明によれば、前記の記録方法に
より記録された記録物も提供される。
【0076】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0077】インク組成物の調製 下記のようにしてインク組成物1〜12を調製した。
【0078】インク組成物1 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を2mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が10秒以上であるようなインク組
成物1を調製した。
【0079】カーボンブラックとしてモナーク880
(商品名)(キャボット社製)を100g、アニオン性
基としてカルボン酸基を有するスチレン−アクリル酸系
水溶性樹脂としてジョンクリル63(商品名)(ジョン
ソンポリマー株式会社)(平均分子量12000、酸価
210、固形分量30%)を250g、水酸化カリウム
を6g、および、イオン交換法と逆浸透法により精製し
た超純水を500g混合して、ジルコニアビーズによる
ボールミルによって10時間分散させた。得られた分散
原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポ
ア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除いた後、顔
料濃度が10重量%になるまで超純水で希釈して、着色
剤分散液1を調製した。
【0080】得られた着色剤分散液1を40g、iso
−プロピルアルコールを3g、グリセリンを15g、お
よび、エチレングリコールを5g混合し、そこに超純水
を加えて全量を100gとした。そしてこの混合液を、
pH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてpH
9.5に調整した。次いでこの混合液を2時間攪拌した
後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリ
ポア・リミテッド製)にて濾過して、インク組成物1を
得た。
【0081】得られたインク組成物1について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離し、該液体成分についてはイオンクロマトグラフ
DX−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いて
その遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、
すなわち塩素イオン濃度は60ppmであった。
【0082】インク組成物2 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を2mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が10秒以上であるようなインク組
成物2を調製した。
【0083】1Lビーカーにおいて、n−ブチルメタク
リレートを40重量%、n−ブチルアクリレートを5重
量%、スチレンを20重量%、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートを15重量%、およびメタクリル酸を20
重量%含み全量が500gとなるように各成分を混合
し、さらに重合開始剤としてtert−ブチルパーオキ
シオクトエートを4g添加して、樹脂合成混合液を得
た。一方で、メチルエチルケトン500gを1Lフラス
コに入れ、これを窒素雰囲気下で撹拌しながら75℃ま
で昇温させた。次いで、75℃条件下、攪拌状態を維持
して、ここに、上記樹脂合成混合液を3時間にわたって
滴下した。さらに75℃において、攪拌状態で8時間反
応を続けた。その後、反応合成物を25℃になるまで自
然冷却させた後、固形分が50%になるようにメチルエ
チルケトンをさらに加えて希釈した。以上により、酸価
(KOH)130で、かつ平均分子量15000の分散
樹脂溶液Aを得た。
【0084】カーボンブラックであるMA100(三菱
化学株式会社製)を150g、前記分散樹脂溶液Aを1
00g、5%水酸化カリウム水溶液を40g、およびイ
オン交換法と逆浸透法により精製した超純水を700g
混合し、これをサンドミル(安川製作所製)中で、ガラ
スビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重
量))と共に2時間分散させた。その後ガラスビーズを
取り除き、他の成分を加え常温で20分間撹拌した後
に、5μmのメンブランフィルターでろ過した。
【0085】得られたろ過物から、80℃、常圧下にお
いて、メチルエチルケトンの全てと水の一部を留去し
た。次いで、撹拌しながら1規定の塩酸溶液を滴下し
て、樹脂層を凝結した。これを水洗しながら吸引ろ過
し、顔料の含水ケーキを得た。この含水ケーキを撹拌し
ながら、5%の水酸化カリウム水溶液を滴下し、液性を
pH9±0.5に調整して、さらに固形分が20%にな
るように超純水を加えて、着色剤分散液2を得た。
【0086】得られた着色剤分散液2を70g、トリメ
チロールプロパンを10g、グリセリンを5g、プロピ
レングリコールを5g混合して、ここに超純水を加えて
全量を100gとした。そしてこの混合液を、pH調整
剤としてトリエタノールアミンを用いてpH9.5に調
整した。次いでこの混合液を2時間攪拌した後、孔径約
1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミ
テッド製)にて濾過して、インク組成物2を得た。
【0087】得られたインク組成物2について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離し、液体成分についてはイオンクロマトグラフD
X−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いてそ
の遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、す
なわち塩素イオン濃度は700ppmであった。
【0088】インク組成物3 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を1mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が2秒以下であるようなインク組成
物3を調製した。
【0089】イエロー顔料としてC.I.ピグメントイ
エロー74を150g、アニオン性基としてカルボン酸
基を有するスチレン−アクリル酸系水溶性樹脂としてジ
ョンクリル63(ジョンソンポリマー株式会社)(平均
分子量12000、酸価210、固形分量30%)を1
50g、水酸化カリウムを4g、およびイオン交換法と
逆浸透法により精製した超純水を500g混合して、ジ
ルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散させ
た。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィ
ルタ(日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒
子を除いた後、顔料濃度10重量%になるまで超純水で
希釈して、着色剤分散液3を調製した。
【0090】得られた着色剤分散液3を60g、サーフ
ィノール485(Air Products andChemicals.Inc.製)
を1.5g、グリセリンを10g、1,5−ペンタンジ
オールを10g、および尿素を5g混合して、そこに超
純水を加えて全量を100gとした。そしてこの混合液
を、pH調整剤としてトリエタノールアミンを用いてp
H9.5に調整した。次いでこの混合液を2時間攪拌し
た後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミ
リポア・リミテッド製)にて濾過して、インク組成物3
を得た。
【0091】得られたインク組成物3について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離し、液体成分についてはイオンクロマトグラフD
X−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いてそ
の遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、す
なわち、塩素イオン濃度は60ppmであった。
【0092】インク組成物4 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を1mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が2秒以下であるようなインク組成
物4を調製した。
【0093】マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレ
ッド122を200g、インク組成物2において使用し
た分散樹脂溶液Aを100g、5%水酸化カリウム水溶
液を50g、イオン交換法と逆浸透法により精製した超
純水を650g混合して、サンドミル(安川製作所製)
中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5
倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後ガラ
スビーズを取り除き、他の成分を加えて常温で20分間
撹拌した後に、5μmのメンブランフィルターでろ過し
た。
【0094】得られたろ過物から、80℃、常圧下にお
いて、メチルエチルケトンの全てと水の一部を留去し
た。次いで、撹拌しながら1規定の塩酸溶液を滴下し
て、樹脂層を凝結した。これを水洗しながら吸引ろ過
し、顔料の含水ケーキを得た。この含水ケーキを撹拌し
ながら、5%の水酸化カリウム水溶液を滴下し、液性を
pH9±0.5に調整して、さらに固形分が20%にな
るように超純水を加えて、着色剤分散液4を得た。
【0095】得られた着色剤分散液4を65g、オルフ
ィンE1010(日信化学工業株式会社製)を1.5
g、グリセリンを10g、1,5−ペンタンジオールを
10g、および尿素を5g混合して、ここに超純水を加
えて全量を100gとした。そしてこの混合液を、pH
調整剤としてトリエタノールアミンを用いてpH9.5
に調整した。次いでこの混合液を2時間攪拌した後、孔
径約1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・
リミテッド製)にて濾過して、インク組成物4を得た。
【0096】得られたインク組成物4について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離し、液体成分についてはイオンクロマトグラフD
X−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いてそ
の遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、す
なわち塩素イオン濃度は500ppmであった。
【0097】インク組成物5 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク量を1mg/cm2としたときのイン
ク乾燥時間が2秒以下であるようなインク組成物5を調
製したた。
【0098】マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレ
ッド122を150g、ジョンクリル63(ジョンソン
ポリマー株式会社)を150g、水酸化カリウムを4
g、およびイオン交換法と逆浸透法により精製した超純
水を500g混合して、ジルコニアビーズによるボール
ミルにて10時間分散させた。得られた分散原液を孔径
約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテ
ッド製)で濾過して粗大粒子を除いた後、顔料濃度10
重量%になるまで超純水で希釈して、着色剤分散液5を
調製した。
【0099】得られた着色剤分散液5を60g、サーフ
ィノール485(Air Products andChemicals.Inc.製)
を0.5g、1,2−ヘキサンジオールを4g、グリセ
リンを10g、およびトリエチレングリコールを10g
混合して、そこに超純水を加えて全量を100gとし
た。そしてこの混合液を、pH調整剤としてトリエタノ
ールアミンを用いてpH9.5に調整した。次いでこの
混合液を2時間攪拌した後、孔径約1.2μmのメンブ
ランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過
して、インク組成物5を得た。
【0100】得られたインク組成物5について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離して、液体成分についてはイオンクロマトグラフ
DX−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いて
その遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、
すなわち塩素イオン濃度は90ppmであった。
【0101】インク組成物6 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を1mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が2秒以下であるようなインク組成
物6を調製した。
【0102】シアン顔料としてC.I.ピグメントブル
ー15:3を200g、インク組成物2において使用し
た分散樹脂溶液Aを200g、5%水酸化カリウム水溶
液を70g、およびイオン交換法と逆浸透法により精製
した超純水を600g混合し、これをサンドミル(安川
製作所製)中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合
物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。
その後ガラスビーズを取り除き、他の成分を加え常温で
20分間撹拌した後に、5μmのメンブランフィルター
でろ過した。
【0103】得られたろ過物から、80℃、常圧下にお
いて、メチルエチルケトンの全てと水の一部を留去し
た。さらに、撹拌しながら1規定の塩酸溶液を滴下し
て、樹脂層を凝結した。これを水洗しながら吸引ろ過
し、顔料の含水ケーキを得た。この含水ケーキを撹拌し
ながら、5%の水酸化カリウム水溶液を滴下し、液性を
pH9±0.5に調整して、さらに固形分が20%にな
るように超純水を加えて、着色剤分散液6を得た。
【0104】得られた着色剤分散液6を65g、オルフ
ィンE1010(日信化学工業株式会社製)を0.5
g、1,2−ヘキサンジオールを4g、グリセリンを1
0g、トリエチレングリコールを10g混合して、ここ
に超純水を加えて全量を100gとした。そしてこの混
合液を、pH調整剤としてトリエタノールアミンを用い
てpH9.5に調整した。次いでこの混合液を2時間攪
拌した後、孔径約1.2μmのメンブランフィルタ(日
本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して、インク組成
物6を得た。
【0105】得られたインク組成物6について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて。液体成分と顔料と
を分離し、液体成分についてはイオンクロマトグラフD
X−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いてそ
の遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、す
なわち塩素イオン濃度は5000ppmであった。
【0106】インク組成物7 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を1mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が2秒以下であり、かつグリコール
モノエーテルを2〜15重量%含んでなるインク組成物
7を調製した。
【0107】シアン顔料としてC.I.ピグメントブル
ー15:3を100g、ジョンクリル63(ジョンソン
ポリマー株式会社)を150g、水酸化カリウムを4
g、およびイオン交換法と逆浸透法により精製した超純
水を600g混合して、ジルコニアビーズによるボール
ミルにて10時間分散させた。得られた分散原液を孔径
約8μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテ
ッド製)で濾過して粗大粒子を除いた後、顔料濃度が1
0重量%になるまで超純水で希釈して、着色剤分散液7
を調製した。
【0108】得られた着色剤分散液7を40g、サーフ
ィノール485(Air Products andChemicals.Inc.製)
を0.5g、トリエチレングリコールモノ−n−ブチル
エーテルを7g、グリセリンを10g、およびトリエチ
レングリコールを10g混合し、そこに超純水を加えて
全量を100gとした。そしてこの混合液を、pH調整
剤としてトリエタノールアミンを用いてpH9.5に調
整した。ついでこの混合液を2時間攪拌した後、孔径約
1.2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミ
テッド製)にて濾過して、インク組成物7を得た。
【0109】得られたインク組成物7について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離して、液体成分についてはイオンクロマトグラフ
DX−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いて
その遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、
すなわち塩素イオン濃度は40ppmであった。
【0110】インク組成物8 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を1mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が2秒以下であり、かつグリコール
モノエーテルを2〜15重量%含んでなるインク組成物
8を調製した。
【0111】イエロー顔料としてC.I.ピグメントイ
エロー74を150g、インク組成物2において使用し
た分散樹脂溶液Aを150g、5%水酸化カリウム水溶
液を50g、およびイオン交換法と逆浸透法により精製
した超純水を700g混合し、サンドミル(安川製作所
製)中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の
1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その
後ガラスビーズを取り除き、他の成分を加え常温で20
分間撹拌した後に、5μmのメンブランフィルターでろ
過した。
【0112】得られたろ過物から、80℃、常圧下にお
いて、メチルエチルケトンの全てと水の一部を留去し
た。次いで、撹拌しながら1規定の塩酸溶液を滴下し
て、樹脂層を凝結した。これを水洗しながら吸引ろ過
し、顔料の含水ケーキを得た。この含水ケーキを撹拌し
ながら、5%の水酸化カリウム水溶液を滴下し、液性を
pH9±0.5に調整して、さらに固形分が20%にな
るように超純水を加えて、着色剤分散液8を得た。
【0113】得られた着色剤分散液8を30g、オルフ
ィンE1010(日信化学工業株式会社製)を0.5
g、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
を7g、グリセリンを10g、およびトリエチレングリ
コールを10g混合し、ここに超純水を加えて全量を1
00gとした。そしてこの混合液を、pH調整剤として
トリエタノールアミンを用いてpH9.5に調整した。
ついでこの混合液を2時間攪拌した後、孔径約1.2μ
mのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッド
製)にて濾過して、インク組成物8を得た。
【0114】得られたインク組成物8について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離し、液体成分についてはイオンクロマトグラフD
X−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いてそ
の遊離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、す
なわち塩素イオン濃度は240ppmであった。
【0115】インク組成物9 以下の手順にしたがって、所定の記録媒体上への単位面
積あたりのインク打ち込み量を1mg/cm2としたと
きのインク乾燥時間が2秒以下であって、かつグリコー
ルモノエーテルを2〜15重量%含んでなるインク組成
物9を調製した。
【0116】インク組成物2の場合に調製した着色剤分
散液2を30g、オルフィンE1010(日信化学工業
株式会社製)を0.5g、トリエチレングリコールモノ
−n−ブチルエーテルを4g、1,2−ヘキサンジオー
ルを2g、グリセリンを10g、およびトリエチレング
リコールを10g混合し、ここに超純水を加えて全量を
100gとした。そしてこの混合液を、pH調整剤とし
てトリエタノールアミンを用いてpH9.5に調整し
た。ついでこの混合液を2時間攪拌した後、孔径約1.
2μmのメンブランフィルタ(日本ミリポア・リミテッ
ド製)にて濾過して、インク組成物9を得た。
【0117】得られたインク組成物9について、遠心式
限外ろ過ユニット(ウルトラフリー15/分画分子量1
万)(日本ミリポア社製)を用いて、液体成分と顔料と
を分離し、液体成分についてはイオンクロマトグラフD
X−500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いて遊
離アニオン濃度を測定した。遊離アニオン濃度、すなわ
ち塩素イオン濃度は300ppmであった。
【0118】インク組成物10(比較例) 前記で調製したインク組成物2に対して、遊離アニオン
として混入している塩素イオンを塩化カリウムの形で加
えて、遊離アニオン濃度、すなわち塩素イオン濃度を約
800ppmに調整して、インク組成物10を調製し
た。
【0119】インク組成物11(比較例) 前記で調製したインク組成物6に対して、遊離アニオン
として混入している塩素イオンを塩化カリウムの形で加
えて、遊離アニオン濃度、すなわち塩素イオン濃度を約
600ppmに調整して、インク組成物11を調製し
た。
【0120】インク組成物12(比較例) 前記で調製したインク組成物9に対して、遊離アニオン
として混入している塩素イオンを塩化カリウムの形で加
えて、遊離アニオン濃度、すなわち塩素イオン濃度を約
400ppmに調整して、インク組成物12を調製し
た。
【0121】評価試験 保存安定性の評価 インク組成物1〜12を60℃で1ヶ月放置して、放置
前のインク組成物の粘度に対する放置後のインク組成物
の粘度の比を求め、結果を以下の基準に基づいて判定
し、各インク組成物の保存安定性を評価した。 評価A: 放置前に対する放置後のインク組成物の粘度
の比が、95%以上かつ105%未満の範囲である 評価B: 放置前に対する放置後のインク組成物の粘度
の比が、80%以上かつ95%未満であるか、または1
05%以上でかつ120%未満である 評価C: 放置前に対する放置後のインク組成物の粘度
の比が、80%未満であるか、または120%以上であ
【0122】結果は表1に示されるとおりであった。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐 野 強 長野県諏訪市大和三丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC01 2H086 BA53 BA59 BA60 BA62 4J039 AB01 AD09 AD10 AD12 AD13 AE07 BA04 BA10 BA17 BB00 BC06 BC09 BC13 BC14 BC15 BC19 BC34 BC50 BC51 BC54 BE01 BE07 BE08 BE12 BE22 BE28 CA06 EA10 EA11 EA44 GA24

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】着色剤分散液と、浸透剤と、保湿剤と、主
    溶媒としての水とを少なくとも含んでなるインク組成物
    であって、 前記着色剤分散液が、アニオン性基を有する水溶性樹脂
    によって着色剤を分散したものであり、 所定の記録媒体上に、インク組成物を、単位面積あたり
    のインク打ち込み量2mg/cm2として印刷したとき
    のインク乾燥時間が10秒以上であるものであり、かつ
    インク組成物中に存在する遊離した一価アニオン濃度が
    700ppm以下である、インク組成物。
  2. 【請求項2】着色剤分散液と、浸透剤と、保湿剤と、主
    溶媒としての水とを少なくとも含んでなるインク組成物
    であって、 前記着色剤分散液が、アニオン性基を有する水溶性樹脂
    によって着色剤を分散したものであり、 所定の記録媒体上に、インク組成物を、単位面積あたり
    のインク打ち込み量1mg/cm2として印刷したとき
    のインク乾燥時間が2秒以下となるものであり、かつイ
    ンク組成物中に存在する遊離した一価アニオン濃度が5
    00ppm以下である、インク組成物。
  3. 【請求項3】浸透剤として、グリコールモノエーテルを
    インク組成物全量に対して2〜15重量%含んでなる、
    請求項2に記載のインク組成物。
  4. 【請求項4】インク組成物中に存在する遊離した一価ア
    ニオン濃度が300ppm以下である、請求項2または
    3に記載のインク組成物。
  5. 【請求項5】遊離した一価アニオンが、ハロゲンイオ
    ン、硝酸イオン、または有機酸イオンである、請求項1
    〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 【請求項6】前記水溶性樹脂におけるアニオン性基が、
    カルボキシル基、スルホン酸基、およびホスホン酸基か
    らなる群から選択されるものであり、かつ、前記水溶性
    樹脂が有機アミンまたはアルカリ金属との塩である、請
    求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 【請求項7】インクジェット記録方法において用いられ
    る、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成
    物。
  8. 【請求項8】インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記
    録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法
    であって、インク組成物として請求項1〜6のいずれか
    一項に記載のインク組成物を用いる、インクジェット記
    録方法。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の記録方法によって記録が
    行われた、記録物。
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