JP2018044024A - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)製版工程が不要であり、印刷工程を短縮できる。
(b)デジタル化されたデザインを、コンピュータ制御でそのまま捺染できる。
(c)消費者のニーズである多品種・少ロット生産が可能である。
(d)色糊等の廃液が大幅に削減できる。
その一方でインクジェット記録方法は、従来の印刷方法に比べ、記録速度が遅いこと、濃い色相の表現が難しいこと等が課題とされてきた。
しかし、コンピュータの画像処理及びプリントヘッドの改良等の、ソフト及びハードの両面からの技術的な進歩により、インクジェット記録方法の課題は顕著に改善されてきた。このため、インクジェット記録の普及が大幅に進んでいる。
これらのうち、酸性染料、及び反応性染料は水溶性染料であり、これらを含有する水系インクは一般に溶液のインクである。
一方、分散染料、及び溶剤染料は水不溶性染料であり、これらを含有する水系インクは一般に分散インクである。このため、溶液のインクと分散インクとでは、その性質や使用できる成分が大きく異なることが知られている。
水不溶性染料を用いる繊維の捺染方法は、捺染後の繊維の洗浄が不要である。このため、水溶性染料を用いる捺染方法に対して、水不溶性染料を用いる捺染方法は、着色洗浄液等の廃液を生じることが無く、環境に優しい捺染方法とされる。この理由から、水不溶性染料を用いる記録方法としては、主に捺染方法が注目されている。
これに加えてサーマル方式のインクジェットプリンタは、インクジェットヘッド中に設置されたヒーターを加熱してインク中に気泡を生じ、この気泡によりインクを吐出する。この方式により、ピエゾ方式では生じることが無い、ヒーター部品でのインク成分のコゲつき(コゲーション)が生じることが知られている。このため、ピエゾ方式以上に、サーマル方式のインクジェットプリンタにおいては、安定したインクの吐出性が強く求められている。
1)
水不溶性染料、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、下記式(1)で表される化合物、及び水を含有するインク。
2)
水不溶性染料が、C.I.ディスパース及びC.I.ソルベントよりなる群から選択される染料である、前記1)に記載のインク。
3)
前記1)又は2)に記載のインクの液滴を、インクジェットプリンタにより吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
4)
前記1)又は2)に記載のインクが付着した記録メディア。
前記インクは、着色剤として水不溶性染料を含有する。フルカラーでの記録を目的として前記インクはイエロー、オレンジ、ブラウン、レッド、バイオレット、ブルー、グリーン、及びブラック等の各種の色相を有するインクのインクセットとして使用することができる。
水不溶性染料としては、C.I.ディスパース及びC.I.ソルベントよりなる群から選択される染料が好ましい。
そのような染料の具体例としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー3、4、5、7、8、9、13、23、24、30、33、34、39、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、186、192、198、199、200、202、204、210、211、215、216、218、224、237;C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、3、5、7、11、13、17、20、21、23、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、60、61、66、71、73、76、78、80、86、89、90、91、93、96、97、118、119、127、130、139、142;C.I.ディスパースレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、55:1、56、58、59、60、65、70、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、158、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、283、288、298、302、303、310、311、312、320、323、324、328、359;C.I.ディスパースバイオレット1、4、8、11、17、23、26、27、28、29、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、97;C.I.ディスパースグリーン9;C.I.ディスパースブラウン1、2、4、9、13、19;C.I.ディスパースブルー3、5、7、9、14、16、19、20、26、26:1、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、64:1、71、72、72:1、73、75、77、79、79:1、82、83、87、91、93、94、95、64:1、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、131、139、141、142、143、145、146、148、149、153、154、158、165、165:1、165:2、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、266、267、270、281、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、341、353、354、358、360、364、365、366、368;C.I.ディスパースブラック1、3、10、24;C.I.ソルベントイエロー114;C.I.ソルベントオレンジ67;C.I.ソルベントレッド146;C.I.ソルベントブルー36、63、83、105、111等が挙げられる。
スチレン−(メタ)アクリル共重合体は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体である。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」の意味を表す。
これらの共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。
なお(α‐メチル)スチレンとは本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
前記の共重合体のガラス転位温度は通常45℃〜135℃、好ましくは55℃〜120℃、より好ましくは60〜110℃である。
前記の共重合体の酸価(Av)は通常50〜250mgKOH/g、好ましくは100〜250mgKOH/g、より好ましくは150〜250mgKOH/gである。酸価がこの範囲のとき、水に対する共重合体の溶解性、及びインクの分散安定を良好とすることができ、且つ、記録画像のにじみを防止することができる。共重合体の酸価は、その1gを中和するのに要するKOHのmg数を表し、JIS−K3054に従って測定することができる。
これらの中ではJoncryl 67(Mw12,500、Av213)、678(Mw8,500、Av215)、682(Mw1,700、Av230)、683(Mw4,900、Av215)、690(Mw16,500、Av240)等が好ましい。なお、Av(すなわち酸価)の単位は前記のとおりである。
Rにおけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基が挙げられ、直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。その炭素数の範囲は通常1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1である。その具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、イソペンチル、イソヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロヘプチルメチル等が挙げられる。
式(1)で表される化合物の100gの水に対する溶解度は、20℃において50g以上が好ましく、混和するのがより好ましい。そのような化合物としては、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
前記インクの総質量に対して、式(1)で表される化合物の含有量は通常1%〜50%であり、好ましくは3%〜40%であり、より好ましくは5%〜30%である。
元素の周期表における第1族及び第2族から選択される元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び水酸化ストロンチウム等が挙げられる。これらの中では第1族から選択される元素の水酸化物が好ましく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムがより好ましい。
アルコールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミン等の炭素数の範囲が2〜9のアルコールアミンが挙げられる。これらの中では3級アミンが好ましい。
アルキルアミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミン等が挙げられる。
中和剤の使用量は特に制限されない。その目安としては、共重合体の酸価の理論等量で中和したときを100%中和度として通常30〜200%、好ましくは50〜120%である。
これらのうち、水溶性有機溶剤の含有量は合計で、インクの総質量に対して通常0%〜60%、好ましくは5%〜40%、より好ましくは10%〜35%、さらに好ましくは10%〜20%である。
水溶性有機溶剤以外のインク調製剤の含有量は合計で、インクの総質量に対して通常0〜10%程度であり、好ましくは0.05〜5%程度である。
有機系としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられる。
金属錯体系としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、多様な種類が市販されている。その一例としては、例えば、ライオン株式会社製、商品名リパール835I、同860K、同870P、同NTD、同MSC;アデカ株式会社製、商品名アデカコールEC8600;花王株式会社製 商品名ペレックスOT−P、同CS、同TA、同TR;新日本理化株式会社製、リカマイルドES−100、同ES−200、リカサーフP−10、同M−30、同M−75、同M−300、同G−30、同G−600;東邦化学工業株式会社製、コハクノールL−300、同L−40、同L−400、同NL−400;等が挙げられる。
前記インクの25℃における表面張力は、プレート法で測定したときに通常20mN/m〜40mN/m、好ましくは25mN/m〜35mN/mである。
前記インクの5℃における10Hzでの動的表面張力は、最大泡圧法で測定したときに通常25mN/m〜45mN/m、好ましくは30mN/m〜40mN/mである。
例えば、産業用の高速なインクジェットプリンタ用のインクとして、前記インクを使用するときであっても、このような物性値とすることにより、吐出応答性、及び低温環境下における連続吐出性を良好にすることができる。
分散液を得る方法としては、例えば、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて分散を行う方法が挙げられる。一例として、サンドミルを用いるときは、粒子径が0.01mm〜1mm程度のビーズを使用し、ビーズの充填率を適宜設定して分散を行うことができる。
前記のようにして得られた分散液に対して、ろ過及び/又は遠心分離等の操作をすることができる。この操作により、分散液が含有する粒子の粒子径の大きさを揃えることができる。
具体的な記録メディアとしては、例えば、紙、フィルム、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。
インク受容層は、インクを吸収してその乾燥を早める等の作用を目的として、記録メディアに設置される。インク受容層は、例えば前記の記録メディアにカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;インク中の色素を吸収できる無機微粒子を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、記録メディアの表面に塗工する方法;等により設置される。前記インク中の色素を吸収し得る無機微粒子としては、多孔質シリカ、アルミナゾル、及び特殊セラミックス等が挙げられる。
このようなインク受容層を有する記録メディアは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。市販されているインクジェット専用紙としては、例えば、キヤノン株式会社製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー等が挙げられる。
また、インク受容層を有さない紙としては普通紙等が挙げられる。市販されている普通紙としては、例えば、プレーンペーパーコピー(PPC)用紙等が挙げられる。
繊維の中には、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような繊維も好適に使用することができる。インク受容層を有する繊維は公知の方法で調製することも、また、市販品として入手することもできる。インク受容層の材質や構造等は特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
本発明のインクは、長期に保管しても固体の凝集や沈殿等を生じることなく、保存安定性が良好である。また、粘度、平均粒子径等の物性の変化も極めて少ない。
本発明のインクは発色性に優れるだけでなく、耐光性、耐擦性、耐ガス性、耐塩素性、耐汗性、洗濯堅牢度等の、各種の堅牢性にも優れる。
48%水酸化ナトリウム水溶液(3.1部)、イオン交換水(96.9部)、及びプロピレングリコール(60部)の混合液にジョンクリル678(40部)を加え、90℃〜120℃に加熱して5時間撹拌することにより、ジョンクリル678を含有する液を得た。
Kayaset Yellow A−G(日本化薬株式会社製、C.I.Disperse Yellow 54:30部)に、前記のようにして得たジョンクリル678を含有する液(45部)、サーフィノール104PG50(0.1部)、プロキセルGXL(S)0.1部、及びイオン交換水(24.8部)を混合して混合液を得た。この混合液に0.2mm径のガラスビーズを加え、水冷下、サンドミルで約15時間分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量に対する染料の含有量が15%の液を得た。得られた液中のガラスビーズを、ガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過分離することにより、染料の含有量が15%の分散液を得た。
前記のインク用イエロー分散液を用いて、表1に示す組成に従い各成分を混合した。得られたインク液をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過し、実施例1〜2、比較例1〜2のインクを得た。
前記のようにして得た各実施例、及び比較例のインクを、Photo Smart 5521(HP社製インクジェットプリンタ)を使用して、プレーンペーパーコピー(PPC)用紙に対してA4サイズのベタ画像のインクジェット記録を100枚連続して行った。プリンタのインクジェットヘッドのノズル、及び得られた100枚目のベタ画像の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。評価結果を下記表2に示す。
[吐出安定性試験の評価基準]
A:ノズルに目詰まりは無く、カスレが無い実用的なベタ画像が得られた。
B:ノズルに目詰まりは無いが、ベタ画像にはカスレが観察され、実用的な画像が得られなかった。
C:ノズルに目詰まりが有り、ベタ画像にもカスレが観察され、実用的ではなかった。
一方、各比較例は吐出安定性が劣るとともに、インクジェットヘッドに対しても支障を生じる可能性が高く、実用的では無いといえる。
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