JPWO2015012132A1 - インクセット、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、アニオン系又はノニオン系の界面活性剤と、1,2−ヘキサンジオール等のアルカンジオールとを添加することにより、モットリングやブリードのない高画質な画像を実現可能としたインクが開示されている。
特許文献2には、インク中に、ある一定の親疎水度係数を有する水溶性化合物を添加することにより速乾性を高め、ブリードを抑制したインクセットが開示されている。
また、特許文献3及び4には、インク中にポリマーを添加することでブリード現象を抑制したインクセットが開示されている。
(1)
それぞれ水、界面活性剤、及び着色剤を少なくとも含有する、シアンインク及びブラックインクを含む少なくとも2種類の着色インクからなるインクセットであって、
上記シアンインクの総質量中における界面活性剤の含有量をS1、上記ブラックインクの総質量中における界面活性剤の含有量をS2としたとき、S1が0.8質量%≦S1≦2.5質量%であり、S1からS2を減じた値であるS1−S2が0.2質量%≦S1−S2≦1.2質量%であり、且つS2が0.1質量%以上であるインクセット。
(2)
上記(1)に記載の少なくとも2種類の着色インクからなるインクセットにおける各着色インクの液滴を、それぞれ記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
(3)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記(2)に記載のインクジェット記録方法。
(4)
上記(1)に記載のインクセットにより着色された着色体。
(5)
上記(1)に記載の少なくとも2種類の着色インクからなるインクセットにおける各着色インクをそれぞれ含有する、少なくとも2つの容器が装填されたインクジェットプリンタ。
(6)
上記(1)に記載のインクセットを用いるブリード現象の抑制方法。
(7)
上記(1)に記載のインクセットを用いるモットリング現象の改善方法。
また、シアンインク及びブラックインクの区別が必要でないときは、単に「着色インク」と記載し、それらの両者等の着色インクを含むものとする。
これらの中では、アセチレングリコール系又はアセチレンアルコール系界面活性剤が好ましい。
S1及びS1−S2の値のうち、いずれか一方でも上記の範囲から外れると、ブリード現象の抑制、モットリング現象の改善といった効果が得られなくなる。
なお、これらの値は、いずれも小数点以下2桁目を四捨五入して1桁目までを記載することとする。
カーボンブラックの具体例としては、例えば、Raven760ULTRA、Raven780ULTRA、Raven790ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven1080ULTRA、Raven1170、Raven1190ULTRAII、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500ULTRA、Raven3500、Raven5000ULTRAII、Raven5250、Raven5750、Raven7000(以上、コロンビア・カーボン社製);Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Regal1330R、Regal1400R、Regal1660R、MogulL(以上、キャボット社製);ColorBlackFW1、ColorBlackFW2、ColorBlackFW18、ColorBlackFW200、ColorBlackFW285、Printex35、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack5、SpecialBlack6、Nerox305、Nerox505、Nerox510、Nerox605、Nerox600(以上、オリオンエンジニアドカーボンズ社製);MA7、MA8、MA100、MA600、MCF−88、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300(以上、三菱化学社製);等が挙げられる。
また、顔料粒子の表面に、化学的に分散性付与基を導入した表面処理顔料(自己分散顔料ともいう。)を用いることもできる。さらに、顔料表面の一部又は全てを有機高分子類で被覆した顔料(マイクロカプセル顔料等ともいう。)を用いることもできる。
これらの中では、イソプロパノール、1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,2−プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
また、水溶性ではない有機溶剤も、例えば層分離等を生じない範囲で使用してもよい。そのような有機溶剤としては、ヒドロキシ基とアシロキシ基とを有するC8−C16(好ましくはC8−12)アルキルが挙げられる。その具体例としては、例えばテキサノールが挙げられる。
分散剤の質量平均分子量としては、おおよそ1000〜30000、好ましくは1250〜25000、より好ましくは1500〜20000程度である。また、酸価としては、おおよそ80〜300mgKOH/g、好ましくは90〜275mgKOH/g、より好ましくは100〜250mgKOH/g程度である。
分散剤は市販品として入手することも可能であり、その具体例としては、いずれもBASF社製の、ジョンクリル61J、67、68、450、55、555、586、678、680、682、683、690;B−36;等が好ましく挙げられる。
さらに、分散剤としては、リビングラジカル重合法により共重合して得られるランダム共重合体及びブロック共重合体を用いることもできる。
水分散性樹脂は、例えば、連続相としての水中に分散された樹脂エマルションの状態で使用される。
樹脂エマルションの具体例としては、例えば、スーパーフレックス126、150、170、210、420、470、820、830、890(ウレタン系樹脂エマルション、第一工業製薬社製);ハイドランHW−350、HW−178、HW−163、HW−171、AP−20、AP−30、WLS−201、WLS−210(ウレタン系樹脂エマルション、DIC社製);0569、0850Z、2108(スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、JSR社製);AE980、AE981A、AE982、AE986B、AE104(アクリル系樹脂エマルション、イーテック社製);等が挙げられる。
水分散性樹脂を使用するとき、着色インクの総質量中における水分散性樹脂の含有量は、固形分換算で通常0.5〜20%、好ましくは1〜15%である。
なお、上記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の着色剤の含有量の低いインクを、小さい体積で多数吐出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;無色透明のインクと着色剤を含有するインクとを併用することにより、被記録材に対する着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
該被記録材としては特に制限はないが、情報伝達用シートが好ましく、非・難吸収性の被記録材が特に好ましい。その具体例としては塗工紙が挙げられ、例えば、微塗工紙、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等が含まれる。
塗工紙は、表面に塗料を塗布し、美感や平滑さを高めた紙である。塗料としては、タルク、パイロフィライト、カオリン等の各種のクレー、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等と、デンプン、ポリビニルアルコール等とを混合したものが挙げられる。
塗料は、例えば、紙の製造工程の中でコーターを用いて紙に塗布することができる。コーターには、抄紙機と直結することで抄紙・塗工を1工程とするインライン方式と、抄紙とは別工程とするオフライン式とがある。
微塗工紙とは、塗料の塗工量が12g/m2以下の記録用紙のことをいう。アート紙とは、上級記録用紙(上質紙、化学パルプの使用率が100%の紙)に40g/m2前後の塗料を塗工した記録用紙のことをいう。コート紙及びマット紙とは、20〜40g/m2程度の塗料を塗工した記録用紙のことをいう。キャスト紙とは、アート紙やコート紙を、キャストドラムという機械で表面に圧力をかけることで、光沢や記録効果がより高くなるように仕上げた記録用紙のことをいう。
本発明により得られる効果は、このような非・難吸収性の被記録材を用いたときに、極めて好適に発揮される。
ここで、インク受容層を有しない普通紙等の中には、上記の非・難吸収性の被記録材と同様にインク受容性の低いものが存在する。このような普通紙を用いたときも、本発明により得られる効果が極めて好適に発揮される。
上記インクセットは、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、オレンジ等の各色の着色インクと併用し、フルカラーの記録画像を得ることもできる。このときは、各色の着色インクは、それぞれの容器に注入され、その各容器を、上記インク組成物を含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用すればよい。
また、各種の被記録材上でのインクドットの真円度が高く、平滑性があり、光沢感を損なわない記録画像が得られる。
さらに、擦過性、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えば耐オゾンガス)性等の各種堅牢性に優れた記録画像を得ることができる。
ジョンクリル68(MW:13000)11.3部、及びトリエタノールアミン6部をイオン交換水95.2部に溶解し、1時間撹拌した。得られた溶液にC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製、シアニンブルー A220J)37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行った。得られた分散液にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、固形分の含有量が18.2%のシアン分散液を得た。得られた分散液を「分散液1」とする。
調製例1に記載のC.I.Pigment Blue 15:3を、カーボンブラック(オリオンエンジニアドカーボンズ社製、Nerox305)に代える以外は調製例1と同様にして、固形分の含有量が17.0%のブラック分散液を得た。得られた分散液を「分散液2」とする。
調製例1及び2で得た分散液に、下記表1及び2に記載の各成分を加えて十分に撹拌して混合させた。その後、ポアサイズ3μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別し、着色インクNo.3〜7の5種類のシアンインク、及び着色インクNo.8〜13の6種類のブラックインクをそれぞれ得た。
表1及び表2中、各成分の数値は部数を意味する。また、残部とあるのは、純水を加えてインク組成物の総量を100部に調整したことを意味する。
なお、着色インクNo.7は比較用のシアンインクである。
上記のようにして調製したシアンインク及びブラックインクから、上記「S1」及び「S1−S2」の範囲の両者を満たすように各着色インクを選択し、実施例1〜4のインクセットを調製した。実施例1〜4のインクセットの構成を下記表3に示す。
上記のようにして調製したシアンインク及びブラックインクから、上記「S1」及び「S1−S2」の範囲のいずれか一方、及び両方を満たさないように各着色インクを選択し、比較例1〜4の比較用インクセットを調製した。比較例1〜4のインクセットの構成を下記表3に示す。
各実施例及び各比較例のインクセットをそれぞれ使用し、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名 PX105により、被記録材として三菱DFカラーGN(三菱製紙製:127.9g/m2)に対してインクジェット記録を行い、着色体を得た。被記録材への記録は、いずれも100%Dutyのベタ画像が一部重なるような画像を印刷した。
得られた各着色体を試験片として用い、下記の評価試験を行った。
上記[(A)インクジェット記録]にて得られた各試験片のモットリングの状態を目視にて観察し、下記A〜Cの3段階の評価基準で評価した。評価結果を下記表3に示す。
A:モットリング現象が抑制されており、形成画像は画像性能上問題ないレベルである。
B:モットリング現象による画像の微細な色ムラが視認できる。
C:モットリング現象の発生が目視でも目立ち、形成画像が不均一で色ムラが目立つ。
上記[(A)インクジェット記録]にて得られた各試験片のブリードの状態を目視にて観察し、下記A〜Cの3段階の評価基準で評価した。評価結果を下記表3に示す。
A:ブリード現象による画像の滲みがほとんど認められない。
B:ブリード現象による画像の滲みが僅かに認められる。
C:ブリード現象による画像の滲みが目立つ。
上記[(A)インクジェット記録]にて得られた各試験片のうち、2色が重なって印刷されている部位の印字濃度を、X−rite社製濃度計、商品名Spectro Eyeにて測定した。観測光源はD50、観測視野は2°、濃度はANSI Aの条件で測定を行った。試験片としては、インクジェット記録の後、24時間経過した状態のベタ印字物を用い、記録画像の反射濃度DK値を測定した。その結果、各実施例及び比較例は、いずれも1.9〜2.0の反射濃度を示し、印字濃度が良好であることが確認された。
国際公開第2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製し、得られた高分子分散剤6部を2−ブタノン30部に溶解させ、均一な溶液とした。この溶液に、0.44部の水酸化ナトリウムを41部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間撹拌して乳化溶液を調製した。このとき結晶の析出はなかった。これにC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製、シアニンブルー A220J)を20部加え、サンドグラインダーで分散を行った。分散は1500rpmの条件下で15時間行った。その後、イオン交換水100部を滴下し、濾過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで2−ブタノン及び水を減圧留去した後、顔料固形分11.6%のシアン分散液を得た。水溶液中の固形分測定には株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて、乾燥重量法により求めた。この液のpHは9.3、顔料の平均粒子径は106nm、粘度は6.2mPa・sであった。得られた着色分散液を「分散液3」とする。
調製例14に記載のC.I.Pigment Blue 15:3を、カーボンブラック(オリオンエンジニアドカーボンズ社製、Nerox305)に代える以外は調製例14と同様にして、固形分の含有量が11.9%のブラック分散液を得た。この液のpHは7.7、顔料の平均粒子径は77nm、粘度は4.6mPa・sであった。得られた分散液を「分散液4」とする。
調製例14及び15で得た分散液に、下記表4及び5に記載の各成分を加えて十分に撹拌して混合させた。その後、ポアサイズ3μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別し、着色インクNo.14〜15の2種類のシアンインク、及び着色インクNo.16〜18の3種類のブラックインクをそれぞれ得た。
表4及び表5中、各成分の数値は部数を意味する。また、残部とあるのは、純水を加えてインク組成物の総量を100部に調整したことを意味する。
上記のようにして調製したシアンインク及びブラックインクから、上記「S1」及び「S1−S2」の範囲の両者を満たすように各着色インクを選択し、実施例5〜7のインクセットを調製した。実施例5〜7のインクセットの構成を下記表6に示す。
調製例14及び15で得た分散液に、下記表7に記載の各成分を加えて十分に撹拌して混合させた。その後、ポアサイズ3μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別し、No.19〜20の2種類のシアンインク、及びNo.21〜22の2種類のブラックインクをそれぞれ得た。
表7中、各成分の数値は部数を意味する。また、残部とあるのは、純水を加えてインク組成物の総量を100部に調整したことを意味する。
上記のようにして調製したシアンインク及びブラックインクから、上記「S1」及び「S1−S2」の範囲の両者を満たすように各着色インクを選択し、実施例8〜9のインクセットを調製した。実施例8〜9のインクセットの構成を下記表8に示す。
Claims (7)
- それぞれ水、界面活性剤、及び着色剤を少なくとも含有する、シアンインク及びブラックインクを含む少なくとも2種類の着色インクからなるインクセットであって、
前記シアンインクの総質量中における界面活性剤の含有量をS1、前記ブラックインクの総質量中における界面活性剤の含有量をS2としたとき、S1が0.8質量%≦S1≦2.5質量%であり、S1からS2を減じた値であるS1−S2が0.2質量%≦S1−S2≦1.2質量%であり、且つS2が0.1質量%以上であるインクセット。 - 請求項1に記載の少なくとも2種類の着色インクからなるインクセットにおける各着色インクの液滴を、それぞれ記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1に記載のインクセットにより着色された着色体。
- 請求項1に記載の少なくとも2種類の着色インクからなるインクセットにおける各着色インクをそれぞれ含有する、少なくとも2つの容器が装填されたインクジェットプリンタ。
- 請求項1に記載のインクセットを用いるブリード現象の抑制方法。
- 請求項1に記載のインクセットを用いるモットリング現象の改善方法。
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