WO2005003426A1

WO2005003426A1 - 刺繍用枠の取付け構造

Info

Publication number: WO2005003426A1
Application number: PCT/JP2004/009418
Authority: WO
Inventors: Ikuo Tajima; Aisuke Murase
Original assignee: Tokai Kogyo Mishin Kabushiki Kaisha
Priority date: 2003-07-04
Filing date: 2004-07-02
Publication date: 2005-01-13
Also published as: JP2005023487A; US20060162635A1; US7194966B2; CN1748053A; KR20050121226A; EP1652987A1; EP1652987A4; KR100679791B1

Abstract

　被刺繍布を展開保持する刺繍用枠２は、取付部材６，１２に対して定位置で着脱自在に装着される。位置決め部材１７，１８は基枠１に対して定位置で着脱可能に固定される。取付部材６，１２は、位置決め部材６，１２に対して該取付部材の相対的な取付位置が調整可能に取り付けられ、これにより、刺繍枠２が取付部材及び位置決め部材を介して基枠1に対して調整可能かつ着脱可能に取り付けられる。取付部材の位置決め部材に対する相対的位置を一度確定すれば、取付部材６，１２を基枠１から取り外す際に、位置決め部材１７，１８と一緒に取り外せばよく、位置決め部材に対する取付部材の取付位置調整状態が維持されるので、該取付部材の取付位置の調整を繰り返す必要がない。

Description

明細書

刺繍用枠の取付け構造

技術分野

[0001] 本発明は、布等の被刺繍物を保持する刺繍用枠を、刺繍データに基づいて駆動される基枠に取付ける構造の改良に関する。

背景技術

[0002] 刺繍製品には多種多様なものがあり、例えば、刺繍と紐状物の縫付けとが組み合わされたものや、刺繍とレーザー加工が組み合わされたものなどが知られている。そして、これらを行うミシンとして、刺繍用ミシンヘッドと紐状物の縫付けが可能なミシンヘッドとを備えたミシンや、刺繍用ミシンヘッドとレーザー加工が可能なレーザーへッドとを備えたミシンなどが知られてレ、る。

これとは別に、刺繍用枠を刺繍ミシンに取り付けて所要の刺繍を施した後に、該刺繍用枠を取り外して、そのまま (被刺繍物を保持したまま）の状態で紐状物の縫付けが可能な他の刺繍ミシンや、あるいは、レーザー加工機にこの刺繍用枠を取り付けて、該被刺繍物に対して紐状物の縫付けやレーザー加工を行うことが考えられていた。し力、しながら、刺繍用枠を他の刺繍ミシンやレーザー加工機に取り付けただけでは、紐状物の縫付けやレーザー加工が刺繍した柄に対してズレてしまう。この問題を解決する手段の一つとして、下記特許文献 1に開示されたものがあった。

特許文献 1：特開平 8 - 311762号公報

[0003] 上記特許文献 1の技術によれば、刺繍データに基づいて X方向および Y方向に移動される基枠には、各ミシンヘッドに対応して刺繍用枠を着脱自在に取り付ける一対の取付部材が設けてある。一対の取付部材は、基枠の Y方向奥側および手前側の枠片にそれぞれ固定位置を調整可能に設けてある。これにより、刺繍用枠の基枠に対する取付位置の調整が可能となり、刺繍ミシンの各ミシンヘッドの刺繍用枠の取付位置を同一にできる。

このような特許文献 1の技術によれば、例えば図 13に示すような刺繍製品を作成する場合、刺繍柄にズレが生じないようにすることができる。図 13において、 30は被刺繍布 aに施された刺繍を示し、 31は被刺繍布 aに縫付けられた紐状体を示す。この刺繍 30のための刺繍データはポイント Aがスタート位置であり、紐状体 31の縫付けのためのデータはポイント Bがスタート位置であって、ポイント Aからの渡りデータ Lが設定されている。先に、上述した方法にて刺繍 30を行う刺繍ミシン、および、紐状体の縫付けを行うハンドルミシンの刺繍用枠の取付位置を調整しておく。まず、被刺繍布 aを保持した刺繍用枠を刺繍ミシンに対して取り付けて刺繍 30を施す。刺繍ミシンにて刺繍 30を施した後、刺繍用枠を刺繍ミシンから取り外して、次に、該刺繍用枠をハンドルミシンに対して取り付け、ハンドルミシンの操作パネルの枠移動キーを操作して基枠を移動させて、刺繍 30のスタート点 Aを針落ち位置に一致させる。そして、ハンドルミシンを起動すると、渡りデータ L分だけ基枠が移動して、ポイント Bが針落ち位置に到達した時点で縫い動作が開始され、紐状体 31の縫付けが実行される。このようにして完成した刺繍製品は、刺繍 30と紐状体 31とがズレることなく綺麗なものとなる

[0004] しかし、このような上記特許文献 1の技術にあっては、基枠に対する取付部材の取付位置を直接的に調整するようになっているため、基枠から取付部材を一旦取り外し、その後また取り付けるような場合、基枠に対する取付部材の取付位置の調整作業を繰り返し行わねばならず、大変面倒であった。

例えば、基枠に対する取付位置の調整は、刺繍用枠に替えて基枠に対して取り付け可能である位置決め用治具を使用して行うようになっている。この治具には、例えば、 Y方向に離間した 2つの所定の基準マーク (例えば「 +」印）が刻印されており、一般に、次のような手順で、各基準マーク毎に個別に取付位置調整作業を行う必要力 Sある。

[0005] まず、刺繍ミシンの 1頭目の刺繍用枠に替えて治具を基枠に取り付ける。このとき、取付部材の固定状態を仮止めにしておく。続いて、操作パネルの枠移動キーを操作して基枠を移動させ、治具の奥側の「 +」印をミシンヘッドの選択された針の軸心 (針落ち位置）と略一致させる。そうして、奥側の取付部材の位置調整を行レ、、治具の奥側の「 +印」を針落ち位置に完全に一致させる。次に、治具を取り外して 2頭目に付け替え、奥側の取付部材の位置調整を行って治具の奥側の「十」印を針落ち位置に一致させる。同様に、残りのミシンヘッドの奥側の取付部材の位置調整を行う。その後、治具を再び 1頭目に取り付け、枠移動キーを操作して基枠を Y方向に移動させて、治具の手前側の「十」印を針落ち位置に近接させる。そして、手前側の取付部材の位置調整を行い、治具の手前側の「十」印を針落ち位置に一致させる。同様に、残りのミシンヘッドの手前側の取付部材の位置調整を行う。これにより、全てのミシンへッドの針落ち位置に対する刺繍用枠の取付位置が同一になるように調整される。

[0006] ところで、基枠には、従来技術で述べたようにミシンヘッドに対応して複数の刺繍用枠 (単頭機の場合は 1つ）を装着する場合と、いわゆる原反を直接張設する場合とがある。この原反を直接張設する場合には、刺繍用枠を基枠に取り付けている取付部材を取り外してから、突条部を有するサッシ部材を基枠の 4辺に取り付ける必要がある。この突条部は、周知の原反クリップと係合することで原反を挟み込んで保持するものである。上述のように、上記特許文献 1の技術においては、基枠に取り付けた刺繍用枠を取付部材と共に取り外し、その後、基枠に原反を直接張設して刺繍を行い、更にその後に、再度、同じ刺繍用枠を用いた刺繍を行う場合には、取り外した刺繍用枠の取付部材を再び取り付け、該取付部材の取付位置調整を再度行い直す必要があった。上述のように、この取付調整作業は大変面倒であり、時間がかかるので刺繍作業の効率を低下される一因となっていた。特に、刺繍ミシンには多例えば 20 頭）のミシンヘッドを具備するものがあり、そのような場合、取付部材の脱着の度に刺繍用枠の取付位置を調整するのは非常に手間力 Sかかる。

[0007] このように、従来技術にあっては、基枠に対する取付部材の取付位置を直接的に調整するようになっているため、基枠から取付部材をー且取り外し、その後また取り付けるような場合、基枠に対する取付部材の取付位置の調整作業を繰り返し行わねばならず、取付位置を調整するために刺繍ミシンを停止させている時間が長くなつてしまレ、、そのために、生産効率が低下してしまうという不都合があった。

発明の開示

[0008] この発明は以上の点に鑑みてなされたもので、基枠から取付部材を着脱する際に、取付部材の取付位置の調整の手間がかからないようにして、その着脱作業を簡便にし、作業効率を向上させることを目的とする。 [0009] この発明は、被刺繍布を展開保持する刺繍用枠を、工具に対して相対的に駆動される基枠に取り付けるための取付け構造であって、前記刺繍用枠を定位置で着脱可能に装着する取付部材と、前記基枠に対して定位置で着脱可能に固定される位置決め部材とを具備し、前記取付部材は、前記位置決め部材に対して該取付部材の相対的な取付位置が調整可能に取り付けられるものであり、これにより、前記刺繍枠が前記取付部材及び前記位置決め部材を介して前記基枠に対して調整可能かつ着脱可能に取り付けられることを特徴とする。

[0010] 基枠は、工具 (例えばミシンヘッド）に対して刺繍データに基づレ、て相対的に駆動されるもので、例えば刺繍ミシンのテーブル面にほぼ平行に X/Y方向に駆動され、刺繍用枠に保持された被刺繍布に対して該刺繍データに基づく刺繍が実行されることを可能にする。本発明によれば、刺繍用枠は取付部材に対して着脱自在に取り付けられ、位置決め部材が、前記基枠に対して定位置で着脱可能に固定され、前記取付部材の基枠に対する取り付けは、この位置決め部材を介して行われる。そして、位置決め部材に対する該取付部材の相対的な取付位置が任意に調整可能となっている。すなわち、位置決め部材に対する該取付部材の位置調整によって刺繍用枠の基枠に対する相対的な取付位置が任意に設定'調整される。

[0011] これにより、取付部材を基枠から取り外す際に、該取付部材を位置決め部材に固定した状態で、該位置決め部材ごと基枠から取り外すことで、取付部材の位置決め部材に対する相対的な取付位置、すなわち、刺繍用枠の基枠に対する相対的な取付位置の調整状態を維持したまま取付部材を基枠から取り外すことができる。位置決め部材は基枠に対して定位置で固定されるものなので、取付部材を再度基枠に取り付けるとき、前記取付部材は取り外す前と同じ位置に取り付けられることになる。従つて、取付部材の位置決め部材に対する相対的位置を一度確定してしまえば、取付部材を基枠から脱着する際に、刺繍用枠 (取付部材)の取付位置を繰り返し調整し直す必要がなくなる。したがって、取付部材を基枠に着脱する都度その取付位置を再調整する必要がなくなり、刺繍ミシンを停止させている時間が長くなるという不都合がなくなり、生産効率が低下するという不都合も解決できる。

図面の簡単な説明 [0012] [図 1]この発明の一実施例に係る多頭式ミシンを示す平面図。

[図 2]図 1に示す刺繍用枠の 1つを拡大して示す平面図。

[図 3]図 2の I-I線断面図。

[図 4]同実施例に係る第 1受け部材及び第 1位置決め板の取付け構造を示す拡大分解斜視図。

[図 5]同実施例に係る第 2受け部材及び第 2位置決め板の取付け構造を示す拡大分解斜視図。

[図 6]同実施例に係る位置ゲージの一例を示す斜視図。

[図 7]図 6の位置ゲージを基枠に対して取り付けた状態を示す平面図。

[図 8]同実施例に係る位置合せデータを説明するための図。

[図 9]同実施例に係る位置合せデータと位置ゲージの対応関係を示す平面図。

[図 10]同実施例に係るレーザー加工機の一例を示す斜視図。

[図 11]同実施例に係る刺繍ミシン及びレーザー加工機によって作成された刺繍が施された切抜き片を示す図。

[図 12]図 11の切抜き片を基布から切り抜く前であって、刺繍用枠に保持された基布を示す図。

[図 13]刺繍枠の着脱を要する刺繍製品作成例を説明するための図。

発明を実施するための最良の形態

[0013] 以下添付図面を参照してこの発明に係る一実施例について説明する。

図 1は多頭刺繍ミシンの全体平面図である。また、図 2は刺繍用枠 2の一例として図 1において右端に位置するものを拡大して示す平面図であり、図 3は図 2の I-I方向から見た断面図である。

[0014] 図 1において、複数（図示の例では 6つ）のミシンヘッド Hを備えた多頭刺繍ミシンのテーブル Tの上面には平面長方形の基枠 1が載置される。この基枠 1は、図示しない X軸駆動機構及び Y軸駆動機構によって、該テーブル Tのテーブル面にほぼ平行に、 X軸方向及び Y軸方向に移動可能である。基枠 1には、前記 6つのミシンヘッド Hに夫々対応して 6個の刺繍用枠 2が着脱可能に装着されている。各刺繍用枠 2は、図 2 及び図 3に示すように、夫々リング状の内枠 2aと該内枠 2aの外周に沿って配置されたリング状の外枠 2bとから構成されており、内枠 2aと外枠 2bとの間で被刺繍物を挟み付けることで、該被刺繍物を刺繍用枠 2に保持させるようになっている。各刺繍用枠 2は、その後方部（Y方向奥側、すなわち図において上方）から延びた腕 8において次に述べる第 1連結機構 4によって、また、その前方部 (Y方向手前側、図において下方）力延びた腕 14におレ、て次に述べる第 2連結機構 5によって、夫々基枠 1に対して連結される。なお、図 1において、符号 Pは各ミシンヘッド H毎の針落ち位置を表す。

[0015] 第 1連結機構 4は、基枠 1の一辺に設けられた第 1受け部材 6 (取付部材）と、刺繍用枠 2の後方部力延出した腕 8の端部に設けられた第 1接続部材 7とから構成されている。図 3に示すように、第 1受け部材 6には、第 1接続部材 7の動きを規制する嵌合凹部 6aが設けてあると共に、マグネット 9と 2枚の磁性板 10が坦め込まれており、この嵌合凹部 6aに刺繍用枠 2側の第 1接続部材 7がぴったりと嵌まり込むことで、該刺繍用枠 2を該第 1受け部材 6 (取付部材）に定位置で装着する。第 1接続部材 7の先端面には金属製の吸着板 11が取付けられており、第 1接続部材 7を第 1受け部材 6 の嵌合凹部 6aに係合させれば、吸着板 11が磁力によって吸着され、第 1受け部材 6 と第 1接続部材 7とが連結される。

[0016] 第 2連結機構 5は、基枠 1に設けられた第 2受け部材 12 (取付部材)と、刺繍用枠 2 の前方部から延出した腕 14の端部に設けられた第 2接続部材 13とから構成されている。図 3に示すように、第 2受け部材 12にも、上面に嵌合凹部 12aが設けてあると共に、マグネット 15と 2枚の磁性板 16が埋め込まれており、 2枚の磁性板 16の一表面が嵌合凹部 12aの底面の一部を形成している。第 2接続部材 13は、第 2受け部材 12 の嵌合凹部 12aと係合する吸着部 13aと、吸着部 13aより立ち上がった把持部 13bが一体に形成してある。この嵌合凹部 12aに刺繍用枠 2側の第 2接続部材 13がびつたりと嵌まり込むことで、該刺繍用枠 2を該第 2受け部材 12 (取付部材）に定位置で装着する。第 2接続部材 13の吸着部 13aを第 2受け部材 12の嵌合凹部 12aに係合すれば、吸着部 13aが磁力によって吸着されて第 2受け部材 12と第 2接続部材 13とが連結される。こうして、刺繍用枠 2が第 1及び第 2の受け部材 (取付部材） 6, 12に対して着脱自在に取り付けられる。 [0017] 図 3に示すように、第 1受け部材 6および第 2受け部材 12は、夫々、第 1位置決め板 17および第 2位置決め板 18を介して基枠 1に対して取り付けられている。

[0018] 図 4に示すように、第 1位置決め板 17は、第 1受け部材 6を固定するための 2つのネジ 19が嵌合される 2つの取付穴 17bと、位置決め板 17自身を基枠 1に対してネジ 20 によって固定するための取付孔 17aとを具えた板状部材である。一方、第 1受け部材 6は該ネジ 19と係合する 2つの取付穴 6bを有する。第 1受け部材 6が第 1位置決め板 17に対して一対のネジ 19によって固定され、この第 1位置決め板 17がネジ 20によつて基枠 1に固定されることで、受け部材 6は位置決め板 17を介して基枠 1に対して取り付けられることとなる。

[0019] 第 1受け部材 6の取付穴 6bは、受け部材 6の位置決め板 17に対する相対的な取付位置の調整が可能なように、ネジ 19の直径よりも適宜幅広な穴に形成されている。これにより、第 1受け部材 6は第 1位置決め板 17に対する取付位置を取付穴 6bによつて許容される範囲内において前後左右に調整できる。第 1受け部材 6の第 1位置決め板 17に対する相対的な取付位置の調整は、後述するように、刺繍用枠 2を所望の取付位置に調整するために行う。なお、ネジ 19は夫々座金を介して装着される。

[0020] 第 1位置決め板 17の取付孔 17aは、第 1位置決め板 17の背面が基枠 1の段部 lb と接する位置にて、基枠 1に設けられたナット部材 laと係合するように形成される。すなわち、第 1位置決め板 17は、基枠 1において、ナット部材 laによって規定される定位置に取り付けられる。第 1位置決め板 17の背面を段部 lbに当接させて取付孔 17a とナット部材 laとを係合させることで、第 1位置決め板 17は基枠 1に対して前記定位置にて傾き無く固定される。なお、第 1受け部材 6の略々中央付近に設けられた逃し孔 6cは、ネジ 20の頭部を逃すために形成されたものである。

[0021] 図 5に示すように、第 2位置決め板 18は、第 2受け部材 12を固定するための 2つのネジ 21が嵌合される 2つの取付穴 18bと、位置決め板 18自身を基枠 1に対してネジ 22によって固定するための取付孔 18aとを具えた板状部材である。一方、第 2受け部材 12は該ネジ 21と係合する 2つの取付穴 18bを有する。第 2受け部材 12が第 2位置決め板 18に対して一対のネジ 21によって固定され、この第 2位置決め板 18がネジ 2 2によって基枠 1に固定されることで、受け部材 12は位置決め板 18を介して基枠 1に取り付けられる。

[0022] 第 2受け部材 12の取付穴 12bは、受け部材 12の位置決め板 18に対する相対的な取付位置の調整が可能なように、横向きの（図 1に示す X方向に延びた)長穴に形成されている。これにより、第 2受け部材 12は、第 2位置決め板 18に対する取付位置を、取付穴 12bの許容する範囲において左右に調整可能とされる。第 2受け部材 12の第 2位置決め板 18に対する取付位置の調整は、後述するように、刺繍用枠 2を所望の取付位置に調整するために行う。

[0023] 第 2位置決め板 18の取付孔 18aは、第 2位置決め板 18の前面が基枠 1の段部 lb と接する位置にて、基枠 1に設けられたナット部材 laと係合するように形成される。すなわち、第 2位置決め板 18は、基枠 1において、ナット部材 laによって規定される定位置に取り付けられる。第 2位置決め板 18の前面を段部 lbに当接させて取付孔 18a とナット部材 laとを係合させることで、第 2位置決め板 18は基枠 1に対して前記定位置にて傾き無く固定されることとなる。なお、第 2受け部材 12にはネジ 22の頭部を逃すための逃し穴 12cが形成してある。

[0024] 第 1位置決め板 17が基枠 1に対して常に定位置に固定されるので、第 1受け部材 6 の第 1位置決め板 17に対する相対的位置が固定されるならば、基枠 1に対する第 1 受け部材 6の取付位置は、第 1位置決め板 17の固定位置に対応する所定位置にて固定される。また、第 2位置決め板 18が基枠 1に対して常に定位置に固定されるので、第 2受け部材 12の第 2位置決め板 18に対する相対的位置が固定されるならば、基枠 1に対する第 2受け部材 12の取付位置は、第 2位置決め板 18の固定位置に対応する所定位置にて固定される。従って、刺繍用枠 2の基枠 1に対する取付位置は、両位置決め板 17， 18の固定位置に対応する所定位置にて固定されることとなる。また、刺繍用枠 2を保持する各受け部材 6, 12が位置決め板 17， 18を介して基枠 1に取り付けられるので、刺繍用枠 2の基枠 1に対する取付位置の調整は各受け部材 6, 12の各位置決め板 17， 18に対する相対位置の調整によって実施されることになる。

[0025] 上述したように基枠 1に原反を直接張設するためには、基枠 1から各受け部材 6, 1 2 (取付部材）を取り外すのだが、この発明に従えば、このとき、各受け部材 6， 12は各位置決め板 17, 18に取り付けられたまま基枠 1から取り外される。各受け部材 6, 1 2を各位置決め板 17， 18に装着したまま基枠 1から取り外すことにより、各受け部材 6 及び 7と各位置決め板 17及び 18との相対的位置関係、すなわち、刺繍用枠 2の取付位置の調整状態は、そのまま維持される。そして、取り外した各受け部材 6， 12を再度基枠 1に取り付ける際、両位置決め板 17， 18が基枠 1に対して定位置に固定されることから、両受け部材 6, 12もまた取り外す前と同じ位置に取り付けられる。この受け部材 6及び 12の取付位置は、取り外し前と同じ (位置調整済みの）位置のまま維持されているので、受け部材 6， 12を脱着する度にその取付位置を調整し直す必要はない。従って、受け部材 6, 12を脱着した際に、刺繍用枠 2の取付位置を調整する手間が係らなくなるので、受け部材 6, 12の脱着作業を簡便化でき、複数 (例えば 20 頭）のミシンヘッドを有する刺繍ミシンにおいても作業効率が向上する。また、第 1および第 2位置決め板 17, 18は各々取付孔 17aおよび 18aとナット部材 laとを係合させるだけで簡単に定位置に配置されうるものであり、またネジ止め箇所も一箇所で済むため、その着脱作業は非常に簡便である。

[0026] 刺繍用枠 2のみを基枠 1から取り外すときは、第 2接続部材 13の把持部 13bを持つて上方に引き上げることで、第 1連結機構 4および第 2連結機構 5による連結を解除すればよい。作業者が把持部 13bを持って刺繍用枠 2を上方に引き上げれば、第 2 接続部材 13と第 2受け部材 12とのマグネット 15による連結が解除され、これに続いて第 1接続部材 7と第 1受け部材 6のマグネット 9による連結が解除され、刺繍用枠 2 を基枠 1から取り外すことができる。

[0027] ここで、刺繍用枠 2の基枠 1に対する取付位置の調整について説明する。図 6において、刺繍用枠 2の基枠 1に対する取付位置を決定するための取付用治具である位置ゲージ 23が示されており、図 7はこの位置ゲージ 23を基枠 1に対して取り付けた状態を示す平面図である。位置ゲージ 23は所定幅の長手状の板材で形成される。位置ゲージ 23の長手方向の一端には、刺繍用枠 2の腕 8の端部に設けられたものと同様な吸着板 11を備えた第 1接続部材 7が具備され、また、他方の端部には第 2接続部材 13が具備されており、この位置ゲージ 23を刺繍用枠 2に替えて基枠 1に取付可能としている。これら吸着板 11と第 1接続部材 7及び第 2接続部材 13は、前述と同様に構成されるので、同一の符号を付し、その説明を省略する。位置ゲージ 23の上面において、交点 24aを有するガイド線 24がゲージ 23の長手方向に沿って形成してある。ガイド線 24及び交点 24aは刺繍用枠 2の取付位置決定のための基準となる。

[0028] この位置ゲージ 23を用いた刺繍用枠 2の位置調整の方法の一例について説明する。まず、 1頭目（図 1の右から 1番目のヘッド）の刺繍用枠 2を取り外して、第 1受け部材 6の第 1位置決め板 17に対する相対位置を調整範囲（縦/横双方向）における中心位置に仮止めしてから、位置ゲージ 23を取り付ける。ここで、第 1受け部材 6を調整範囲の中心に位置させるのは、 1頭目を基準として他のミシンヘッドの第 1受け部材 6の取付位置を調整するにあたり、他のミシンヘッドでの調整範囲を確保するためである。そして、図 8に示すような S (スタート）点から E (エンド）点までの位置合せデータ（例えばステッチ長 5mmのランニングステッチによる刺繍データ）を刺繍ミシンに読み込ませる。図 9において、位置合せデータと位置ゲージ 23の対応関係を示す。図 9に示すように位置合せデータは、 S点を位置ゲージ 23の交点 24aに合わせたときに E点がガイド線 24の前端部付近となるように、その距離が設定してある。なお、この位置合せデータを使うときは全てのミシンヘッド Hの運転を休止させて、基枠 1だけを該データに基づき移動させるようにする。作業者は、刺繍ミシンの操作パネル（図示しなレ、）の枠移動キーを操作して基枠 1を移動させて、ミシンヘッド Hの針落ち位置（図 1 の P)に位置ゲージ 23の交点 24aを位置させる（図 9の状態）。このとき、針落ち位置にある縫い針 (針棒)を下げて針先を位置ゲージ 23の上面に接近させて、その位置合せを行うようにする。それから、刺繍ミシンを起動して位置合せデータによって刺繍ミシンを駆動させると、基枠 1が移動して、位置ゲージ 23の E点は針落ち位置 Pに至る。 E点が針落ち位置 Pに到達した後、作業者は位置ゲージ 23のガイド線 24を針落ち位置 Pに一致させるよう、第 2受け部材 12の第 2位置決め板 18に対する相対位置を調整する。この第 2受け部材 12の取付位置の調整は、受け部材 12の取付穴 12b の範囲で左右方向に調整される。

[0029] 周知の通り、刺繍ミシンには、最前刺繍した柄のスタート位置を記憶する機能が備わっており、刺繍終了後に、基枠 1を移動させて前記スタート位置に戻せるようになつている。スタート位置に戻す方法としては、刺繍終了後に自動的に戻す方法と、操作パネルのキー操作によって戻す方法とがある。本実施例では操作パネルのキー操作によりスタート位置に戻る設定としてあり、第 2受け部材 12の取付位置を調整した後に、操作パネルを操作してスタート位置（S点を針落ち位置 P)に戻す。

[0030] 作業者は、操作パネルを操作してスタート位置に戻した後、位置ゲージ 23の交点 2 4aが確かに針落ち位置 Pにあるかどうかを確認する。これは、先に合わせた交点 24a と針落ち位置 Pが、第 2受け部材 12を調整したことによってずれていなレ、かを確認するもので、位置ゲージ 23 (刺繍用枠 2)を傾きなく基枠 1に取り付けるために行う。このとき、交点 24aが針落ち位置 Pと異なるときは、基枠 1を移動して交点 24aを針落ち位置 Pに位置させた後に、刺繍ミシンを起動して、 E点にてガイド線 24が針落ち位置 Pと一致するように第 2受け部材 12の取付位置を調整し、再びスタート位置に戻し交点 2 4aが針落ち位置 Pにあるか否かを確認する。

[0031] 位置ゲージ 23の交点 24aが針落ち位置 Pに位置されると、ネジ 19を締めて仮止めの状態であった第 1受け部材 6を固定する。力べして 1頭目における受け部材 6， 12の位置調整、すなわち刺繍用枠 2の取付位置の調整が為される。

[0032] 続いて、作業者は 1頭目に取り付けてある位置ゲージ 23を取り外して、これを 2頭目（図 1の右から 2番目）に取り付ける。この時点において、基枠 1はスタート位置に位置されているため、 2頭目の針落ち位置 Pに位置ゲージ 23の交点 24aが位置するように、 2頭目の第 1受け部材 6の位置を調整して仮止めする。そうして、前述と同様に、前記位置合せデータに基づき刺繍ミシンを起動して E点を針落ち位置 Pに位置させて、ガイド線 24が針落ち位置 Pに一致するように、 2頭目の第 2受け部材 12の取付位置を調整する。それから、基枠 1をスタート位置に戻して、位置ゲージ 23の交点 24a が針落ち位置 Pにあることを確認し、仮止めの第 1受け部材 6を固定する。交点 24a が針落ち位置 Pに位置していないときは、第 1受け部材 6の取付位置を再度調整して固定する。力べして、 2頭目における刺繍用枠 2の取付位置の調整が為される。以降は、 2頭目で行った作業を 3頭目、 4頭目 · · ·と順に繰り返して行う。これにより、スタート位置 S点において、全てのミシンヘッドの針落ち位置 Pが位置ゲージ 23の交点 24a と一致することとなり、全てのミシンヘッド Hの針落ち位置 Pに対する刺繍用枠 2の取付位置が同一となる。 [0033] ところで、刺繍用枠 2は、レーザー加工機に対しても取り付け可能であり、刺繍を施した被刺繍物に対してレーザー加工（レーザービームによる裁断カ卩ェ等）を行うことができる。次に、刺繍用枠 2をレーザー加工機に取り付ける場合について説明する。図 10はレーザー加工機の一例を示す斜視図である。周知のようにレーザー加工機は、駆動機構により X及び Y方向に駆動される 1つのレーザーヘッド 25と、該レーザ一ヘッド 25の下方において、被加工物を載置するテーブル 26とを含む。テーブル 2 6上には、刺繍用枠 2のセットを可能とすべぐ第 1受け部材 106及び第 2受け部材 1 12を取り付けるための支持部材 27が架設されている。なお図示の例では、取付スぺースの都合上、刺繍用枠 2を横向きにして取り付けられるよう支持部材 27が配置されている。第 1受け部材 106及び第 2受け部材 112は、前述した刺繍ミシンの基枠 1への取付のために用いられる前記第 1受け部材 6及び第 2受け部材 12と同様の構造からなるものであるため、詳細図示は省略することとし、既に説明した図 4及び図 5を援用する。すなわち、レーザー加工機用の第 1受け部材 106及び第 2受け部材 112は、図 4及び図 5に示した刺繍ミシン用の前記第 1受け部材 6及び第 2受け部材 12と同様に、それぞれ第 1位置決め板 17及び第 2位置決め板 18に相当する第 1及び第 2 位置決め板を有しており、この第 1及び第 2位置決め板（17， 18)を介して支持部材 27に対して固定される。この場合、支持部材 27に固定的にセットされた刺繍枠 2に対して、レーザーヘッド 25がカットデータに応じたパターンで動くことにより該カットデータに応じた裁断（strikethrough)が行われる。

[0034] このレーザー加工機における刺繍用枠 2の取付位置の調整方法について簡単に説明する。この位置調整はレーザー照射位置に対する刺繍用枠 2の位置が、前述の刺繍ミシンの針落ち位置 Pに対する刺繍用枠 2の位置と同じになるように行われるものである。まず、レーザー加工機から刺繍用枠 2を取り外して、これに替えて治具である位置ゲージ 23を取り付ける。そして、操作パネルを操作してレーザーヘッド 25を移動させて、レーザービームの照射位置を位置ゲージ 23の交点 24aに合わせる。レ一ザ一ヘッド 25には、位置ゲージ 23の上面付近にて照射位置を示す指針（図示しない）が設けられており、その指針を利用して位置合せを行うようにすればよい。続いて、前記図 8に示す位置合せデータをレーザー加工機に読み込ませる。このとき、刺繍用枠 2が前述の刺繍ミシンの場合と違いレーザー加工機に対して略 90度横向きに取り付けられているので、レーザー加工機に読み込ませる位置合せデータは、その取り付け向きに合わせて 90度回転させたものを用いる。そして、レーザー加工機を起動して、該位置合せデータに基づきレーザーヘッド 25を E点に移動させる。このときは、レーザーの照射を休止させて、レーザー加工を施すことなくレーザーヘッド 25が E点に至るようにする。レーザーヘッド 25が E点に到達した後、作業者は位置ゲージ 23のガイド線 24を照射位置と一致するよう、第 2受け部材 112の第 2位置決め板（18 )に対する相対位置を調整する。そして、作業者は操作パネルを操作してレーザーヘッド 25をスタート位置（照射位置を S点）に戻して、位置ゲージ 23の交点 24aが照射位置にあることを確認する。交点 24aが照射位置と異なるときは、当該位置調整を再度行う。これにより、レーザー加工機においても、スタート位置 S点でレーザー加工機の照射位置が位置ゲージ 23の交点 24aに一致することとなり、照射位置に対する刺繍用枠 2の位置が刺繍ミシンの針落ち位置 Pに対する刺繍用枠 2の位置と同じとなる。

[0035] レーザー加工機において、照射位置に対する刺繍用枠 2の位置が刺繍ミシンの針落ち位置 Pに対する刺繍用枠 2の位置と同じとなることにより、多頭式ミシンにおいて同一な取付位置で刺繍作業を実施した各刺繍用枠 2を当該レーザー加工機に装着する際に刺繍用枠 2の脱着作業が簡便化される。

[0036] 図 11は刺繍が施された切抜き片 28を示す。切抜き片 28は星形の布地 28aに外側刺繍 28b、内側刺繍 28cが施されたものから構成される。この切抜き片 28は、例えば、図 12に示すように基布 29に刺繍 28b、 28cを施した後に、レーザー加工によって星形に切り抜かれて作成される。この作業例について以下に説明する。まず、刺繍ミシンによって所望の刺繍を施すベぐ基布 29を展張保持した刺繍用枠 2を刺繍ミシンの基枠 1に対して取り付けて、刺繍ミシンに対して、図 12に示す刺繍 28b、 28cを作成するための刺繍データを読み込ませる。この刺繍データは S2がスタート点であつて、 S1からの渡りデータ L1が設定されたものである。刺繍データにおいて S1点は、 S1点を位置ゲージ 23の交点 24aと同じ位置にすると刺繍 28b、 28cが刺繍用枠 2 の中央に施されるように、その位置が設定してある。そして、刺繍ミシンを起動して該刺繍データに基づき刺繍 28b、 28cを施す。なお、ミシン起動時において、基枠 1は刺繍用枠 2の取付位置を調整したままの状態で、前記位置合せデータの S点が針落ち位置 Pにある位置、すなわち、位置ゲージ 23の交点 24aが針落ち位置 Pと一致する位置にある。刺繍ミシンを起動させると、位置ゲージ 23の交点 24aが針落ち位置 P と一致する位置を S1として記憶すると共に、基枠 1が渡りデータ L1分だけ移動して S 2が針落ち位置 Pに位置される。そして、この S2が針落ち位置 Pに到達した時点から刺繍が開始される。刺繍 28b、 28cを刺繍し終えたら、基枠 1をスタート位置 S1に戻して（これは自動的に戻す設定としてもよい）、刺繍用枠 2を基枠 1から取り外し、取り外した刺繍用枠 2をそのまま (基布 29を保持したまま）の状態でレーザー加工機に取り付ける。前述のとおり、レーザー加工機の照射位置に対する刺繍用枠 2の位置は、刺繍ミシンの針落ち位置 Pに対するそれと同じに調整されている。

[0037] レーザー加工機は、レーザ裁断パターンとして、この例では図 12に想像線 28 'で示す星形のカットデータを読み込む。このカットデータは S3がスタート点であって、 S 1からの渡りデータ L2が設定されたものである。なお、この例では、カットデータはレ一ザ一加工機における刺繍用枠 2の取り付け向きに対応して刺繍データと比べて 90 度回転したデータとされる。そして、レーザー加工機を起動して該カットデータに基づくレーザーカットを行って、星形の布地 28aを切り抜く。なお、レーザー加工機の起動時においても、刺繍用枠 2の取付位置を調整したままの状態で、レーザーヘッド 25 は位置合せデータのスタート位置 S点、すなわち、照射位置が位置ゲージ 23の交点 24aと一致する位置にある。レーザー加工機を起動させると、照射位置が位置ゲージ 23の交点 24aと一致する位置を S1として記憶すると共に、レーザーヘッド 25が移動してその照射位置が S3に位置される。そして、レーザーヘッド 25が S3に到達した時点からレーザーカットが開始される。

[0038] このように、この実施例によれば、刺繍を行う刺繍データおよびレーザーカットを行うカットデータの双方に同一点 S1からの渡りデータ Ll、 L2が設定してある。そして、刺繍データの S1は位置ゲージ 23の交点 24aに針落ち位置を一致させた位置、また、カットデータの S1は照射位置を位置ゲージ 23の交点 24aに一致させた位置としている。このため、刺繍ミシンで刺繍 28b、 28cを施した後に刺繍用枠 2を取り外し、レ一ザ一加工機に取付けてレーザーカットにて 28aを切り取っても、刺繍とカット位置とのズレがなく奇麗な切抜き片 28を作成することができる。

[0039] 上記の実施例では、刺繍データおよびレーザー加工用のカットデータとして、同一点 S1からの渡りデータ L1及び L2をそれぞれ付加したものを使用することで、刺繍を開始すべき位置及びレーザーカットを開始すべき位置が適切に設定される例を示した。この点に関する別の実施例として、次に説明する第 2実施例では、位置ゲージ 2 3の交点 24aを針落ち位置、照射位置に合わせた基枠 1の位置を枠の基準位置として刺繍ミシンおよびレーザー加工機へ記憶できるように構成し、刺繍開始位置及びレーザー加工開始位置 (スタート点）を、前記基準位置からの XZY方向に関する距離の数値入力によって設定するように構成される。以下、このときの刺繍用枠 2の取付位置の調整方法を説明する。

[0040] 図 1に示すような多頭式の刺繍用ミシンにおいて、前述と同様に、まず、 1頭目の刺繍用枠 2を取り外して、第 1受け部材 6を調整範囲の中心位置に仮止めしてから、位置ゲージ 23を取り付ける。そして、刺繍ミシンの操作パネルの枠移動キーを操作して基枠 1を移動させて、位置ゲージ 23の交点 24aを針落ち位置 Pに位置させた後、操作パネルを操作して、針落ち位置 Pに位置ゲージ 23の交点 24aが位置された状態での基枠 1の位置を基準位置として刺繍ミシンに記憶させる。

[0041] 続いて、枠移動キーを操作して基枠 1を Y方向に移動させて、位置ゲージ 23のガイド線 24の前端部付近を針落ち位置 Pに位置せしめ、位置ゲージ 23のガイド線 24が針落ち位置 Pと一致するように第 2受け部材 12の第 2位置決め板 18に対する取付位置の調整を行う。その後、操作パネルを操作して、基枠 1を前記記憶させた基準位置に戻して、位置ゲージ 23の交点 24aが針落ち位置 Pにあることを確認する。ここで、交点 24aが針落ち位置と異なるときは、上記作業をもう一度行う。交点 24aが針落ち位置 Pにあれば、仮止めの状態である第 1受け部材 6を固定する。

[0042] 次に、 1頭目に取付けてある位置ゲージ 23を取り外して、 2頭目にこれを取り付ける。 2頭目の針落ち位置 Pに位置ゲージ 23の交点 24aが位置するように第 1受け部材 6 の位置を調整して仮止めして、枠移動キーを操作して基枠 1を Y方向に移動させることで、位置ゲージ 23のガイド線 24の前端部付近を針落ち位置 Pに位置させて、ガイド線 24が針落ち位置 Pに一致するように第 2受け部材 12の取付位置を調整する。その後、基枠 1を前記基準位置に戻して、位置ゲージ 23の交点 24aが針落ち位置 Pにあるか否力を確認する。交点 24aが針落ち位置 Pにあれば、ここに取付位置を固定する。以降、 2頭目で行った作業を 3頭目、 4頭目と順に繰り返して行う。力べして、各ミシンヘッド毎の刺繍用枠 2の取付位置が調整される。

[0043] 図 10に示すようなレーザー加工機において刺繍枠 2の取付位置を調整する場合、前述と同様に、まず、作業者は、支持部材 27に位置ゲージ 23を取付け、レーザーへッド 25を移動して、レーザー照射位置を位置ゲージ 23の交点 24aに合わせた後に、操作パネルを操作して、レーザー照射位置が位置ゲージ 23の交点 24aに合わさつた状態でのレーザーヘッド 25の位置を基準位置として、レーザー加工機に記憶させる。そして、操作パネルを操作してレーザーヘッド 25を X方向に移動させて、レーザ一照射位置を位置ゲージ 23のガイド線 24の前端部付近に位置せしめ、位置ゲージ 23のガイド線 24が照射位置と一致するように第 2受け部材 112の取付位置を調整する。その後、レーザーヘッド 25を前記基準位置に戻して、位置ゲージ 23の交点 24a が照射位置にあることを確認する。力べして、刺繍用枠 2の取付位置が調整される。

[0044] この第 2実施例において、図 11の切抜き片 28を作成する場合について説明する。

まず、上記の方法に従って、使用する刺繍ミシンおよびレーザー加工機における刺繍用枠 2の取付位置を調整した後、基布 29を展張保持した刺繍用枠 2を刺繍ミシンの基枠 1に取り付ける。そして、刺繍ミシンに図 12に示したような刺繍 28b、 28cの刺繍データを読み込む。ここで当該第 2実施例においては、刺繍データとしては渡りデータ L1を含まなレ、ものを使用できる。作業者は、操作パネルを用いて、前記基準位置から刺繍を開始すべき位置までの距離を XZY方向について数値入力することで、刺繍開始位置を設定する。本実施例では図 12に示す S1から S2までの距離の値を入力するものとする。そして、刺繍ミシンが起動され、設定した前記刺繍開始位置から読み込んだ刺繍データに基づき刺繍 28b、 28cが施される。

[0045] 刺繍 28b、 28cが終了したら、刺繍用枠 2を刺繍ミシンから外してレーザー加工機に取り付ける。そして、レーザー加工機に図 12に想像線 28'で示すようなカットデータを読み込ませる。このときのカットデータについても当該第 2実施例においては、渡りデータ L2を含まなレ、ものを使用できる。作業者は、操作パネルを用いて、前記基準位置からレーザーカットを開始すべき位置までの距離を X/Y方向の各々について数値入力することで、レーザーカット開始位置を設定する。本実施例では S1から S3 までの距離の値 (但し、刺繍用枠 2の取付け向きの都合上、 90度回転させた数値）を入力する。そして、レーザー加工機が起動され、前記設定したレーザーカット開始位置からカットデータに基づくレーザーカットが行われる。

[0046] このように、第 2実施例によれば、針落ち位置、照射位置に位置ゲージ 23の交点 2 4aを合わせた位置を基準位置として記憶して、刺繍およびレーザー加工の開始位置を前記基準位置からの距離で設定することで、第 1実施例と同様に刺繍とカット位置とのズレがなく奇麗な製品を作成することができる。また、刺繍データ及びカットデータとして、渡りデータ Ll、 L2を付加した特別なデータを用いる必要がなぐ今までのデータをそのまま利用できるので効率がよい。また、針落ち位置及び照射位置に位置ゲージ 23の交点 24aを合わせた位置を基準位置として記憶するため、刺繍およびレーザー加工を行うときに基枠 1がどこに位置していても問題がなぐ作業性が良レ、。

[0047] なお、上記の実施例においては、刺繍ミシンとレーザー加工機を組み合わせて実施する作業例について説明したが、これに限らず、刺繍ミシンと紐状体の縫付けが可能な刺繍ミシンとの組合せ等各種の作業形態が考えられ、いずれの場合もこの発明を適用することが可能である。また、刺繍ミシン及びレーザー加工機の構成は上述の例に限定されるものではない。

また、上述の実施例において、基枠はテーブル面に沿って Χ·Υ方向に駆動されるものとしたが、このような平面的 2次元運動に限らず、例えば帽子等に対して刺繍を行うべく回転駆動される基枠においても、この発明に係る刺繍用枠の取付け構造を適用し得る。また、基枠 1は動かずに、工具 (縫い針又は縫いヘッド等）が動くようになつていてもよく、要するに、所望の縫いパターン又はカットパターン等、作業パターンに応じて、工具に対して基枠 1 (又は支持部材 27)が相対的に動くようになつていればよレ、。なお、本発明の請求の範囲においては、上記実施例で示した平面的 2次元駆動される基枠 1に限らず、支持部材 27も含めて、要するに、工具 (縫い針又は縫いヘッド、レーザヘッド等）に対して所望の作業パターンに応じて相対的に動かされるものすベてを総称して基枠ということにする。

[0048] また、上述の実施例では、刺繍用枠の取付け構造として、取付部材 (連結機構 4， 5 )が、刺繍用枠に着脱式に取り付けられると共に、位置決め板を介して基枠 (又は支持部材 27)に対して着脱可能に取り付けられる構成、すなわち、刺繍用枠と基枠 (又は支持部材 27)の間に取付部材と位置決め部材という 2つの部材が介在する例を示したが、これに限らず、基枠 (又は支持部材 27)に対して定位置で着脱可能に固定される位置決め部材を介して刺繍用枠が基枠 (又は支持部材 27)に対して相対的な取付位置の調整可能に装着されるような構成であればよぐ例えば、取付部材の機能と位置決め部材の機能を一体的に有する機構で構成してもよい。

また、刺繍用枠 2の取付部材 (受け部材 6, 12, 106， 112)に対する着脱式固定手段は、上記のようなマグネットを用いるものに限らず、パネ作用あるいはフック等を利用した適宜の係合手段を用いたものでもよい。また、位置決め部材 (位置決め板 17, 18)に対する取付部材 (受け部材 6, 12, 106， 112)の取付位置調整可能な構造は、上記のような取付部材 (受け部材 6， 12， 106, 112)に設けられた取付位置調整用孔（6b, 12b)と該孔に緩く係合するネジ（19, 21)とで構成されるものに限らず、その他のレ、かなる構造からなってレ、てもよレ、。

[0049] 以上説明した通り、この発明によれば、基枠に対して定位置で着脱可能に固定される位置決め部材を有し、刺繍用枠を基枠に取り付けるための取付部材が前記位置決め部材を介して基枠に対して取り付けられて、且つ、該位置決め部材に対する該取付部材の相対的な取付位置の調整が可能であることから、取付部材を基枠から取り外す際、取付部材を位置決め部材に取付けたままの状態で基枠から取り外すことにより、取付部材の脱着の度に取付位置の調整を繰り返す必要がなくなる。従って、取付部材の脱着作業を効率的に行うことができるようになり、例えば複数のミシンヘッドを備える刺繍ミシン等においても、取付部材の脱着のために刺繍ミシンを停止している時間を短縮し、以つて、生産効率を上げることができるという優れた効果を奏する。

Claims

請求の範囲

[1] 被刺繍布を展開保持する刺繍用枠を、工具に対して相対的に駆動される基枠に取り付けるための取付け構造であって、

前記刺繍用枠を定位置で着脱可能に装着する取付部材と、

前記基枠に対して定位置で着脱可能に固定される位置決め部材と

を具備し、前記取付部材は、前記位置決め部材に対して該取付部材の相対的な取付位置が調整可能に取り付けられるものであり、これにより、前記刺繍枠が前記取付部材及び前記位置決め部材を介して前記基枠に対して調整可能かつ着脱可能に取り付けられることを特徴とする刺繍用枠の取付け構造。

[2] 前記位置決め部材に対する前記取付部材の取付位置調整可能な構造は、前記取付部材に設けられた取付位置調整用孔と、該孔に緩く係合するネジとで構成され、前記位置決め部材に対する前記取付部材の取付位置を調整してから該ネジを締め付けることで、該位置決め部材に該取付部材を取り付けることを特徴とする請求項 1 に記載の刺繍用枠の取付け構造。

[3] 前記基枠に対する前記位置決め部材の固定は、ネジを用いて行われる請求項 1又は 2に記載の刺繍用枠の取付け構造。

[4] 前記取付部材に対する前記刺繍用枠の着脱可能な構造は、嵌合構造とマグネットとを含む請求項 1乃至 3のいずれかに記載の刺繍用枠の取付け構造。