JP4376207B2 - 刺繍枠支持装置 - Google Patents
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Description
刺繍ミシンにセットする刺繍枠の種類を変更した場合、使用する刺繍枠の種類に応じて、該刺繍枠を支持するための支持体を変更する必要がある。すなわち、上記特許文献1に開示された刺繍枠支持装置は使用できる枠が袋物枠に限られていたため、帽子枠や原反枠等、その他の種類の枠を使用する時には、これを取り外さなければならなかった。前記刺繍枠支持装置の取り外し作業は、刺繍枠支持装置の支持腕をY方向駆動体から取り外すとともに、該支持腕のリニアガイドをシリンダベッドから取り外すといった煩雑な作業であり、また、該刺繍枠支持装置を取り付ける作業においては、前記部材(支持腕やリニアガイド)等の取付けの精度出しの調整時間が掛かる。すなわち、刺繍枠変更時の段取り替えに手間と時間を要したため、作業効率が悪かった。
また、袋物枠に限っても、そのサイズは多様であり、被刺繍物のサイズに応じて異なるサイズの刺繍枠(袋物枠)に変更している。しかしながら、上記特許文献1に示された刺繍枠支持装置の構成では、支持腕の先端に取り付けた支持板を袋物枠の前端部下面に位置させなければならない構成であるため、袋物枠のサイズに応じて長さの異なる支持腕を複数用意し、支持腕を適宜変更しなければならない、という不都合があった。
図1はこの実施例に係る単頭式刺繍ミシンを前方斜め上側から見た全体斜視図である。この実施例においては、ミシンの左右方向を「X方向」、前後方向を「Y方向」と称する。同図において、符号1はテーブル、符号2はミシンヘッド、符号3はシリンダベッドである。テーブル1の前面部(前テーブル)1aは、従来から知られるこの種のミシンと同様に、上下位置換え可能に構成されており、該前テーブル1aを下方位置に位置させることで、所謂筒物状の被刺繍物に対して刺繍することが可能になる。ミシンヘッド2は、ミシン主軸の回転に応じて上下動する縫い針、天秤及び布押さえ等を含んで構成される。シリンダベッド3は該ミシン主軸と同期して回転駆動されるシャフトを有し、該シャフトの先端には釜が固定される。周知の通り、この釜とミシンヘッド2に設けられた縫い針との協働によって、ミシン縫いが行われる。
符号4はY方向駆動体であり、テーブル1の下面に設けられた図示しないY方向駆動機構によってY方向にのみ駆動される。また、符号5はX方向駆動体である。X方向駆動体5は、Y方向駆動体4に組み付けられており、Y方向駆動体4がテーブル1に対してY方向に移動されると、該Y方向駆動体4と一体的にY方向へ移動する。また、X方向駆動体5は、該Y方向駆動体4に設けられたX方向駆動機構(図示せず)によって、該Y方向駆動体4に対して相対的にX方向に駆動される。すなわち、X方向駆動体5は、X方向駆動機構によってX方向に駆動され、Y方向駆動機構に応じたY方向駆動体4の移動と一体的にY方向へ移動する、つまり、X方向及びY方向に駆動可能である。符号6は、被刺繍物を保持する刺繍枠である。刺繍枠6は枠の後端部においてX方向駆動体5に取り付けられることにより当該ミシンに対して片持ち状に装着される。刺繍枠6は、X方向駆動体5に取り付けられているので、X方向駆動体5のX方向及びY方向の移動に伴い、該X方向駆動体5と一体的にX方向及びY方向に移動する。X方向及びY方向駆動機構は実行すべき刺繍内容に応じた刺繍データに基づき駆動制御されるものである。従って、刺繍枠6は、Y方向駆動体4及びX方向駆動体5を介して該刺繍データに基づきX方向及びY方向に駆動されることになる。
符号7は刺繍枠支持装置であり、これは片持ち状に取り付けられた刺繍枠6を補助的に支持するためのものである。刺繍枠支持装置7は刺繍枠6の下面側に配置されており、該刺繍枠6の前端部(自由端)を下方から支持している。詳しくは後述する通り、この実施例に係る刺繍枠支持装置7は、ミシン本体に対する着脱作業が容易であり、また、刺繍枠6の各種サイズに対応可能に構成される点に特徴がある。
図2及び図3において、刺繍枠支持装置7は、概ね、支持装置7の取り付け基部となるベース部材11と、該ベース部材11に固定されたY方向スライドレール(以下、Yスライドレール)12と、レールカバー13から構成される。ベース部材11は断面コ字型の部材であり、刺繍枠支持装置7をシリンダベッド3に固定するための3本のネジN1を挿入すべき3つのネジ穴が所定位置に形成されている。また、シリンダベッド3の上面側にも、3本のネジN1を挿入すべき3つのネジ穴が所定位置に形成されている(図4等を参照)。そして、3つのネジN1により該ベース部材11をシリンダベッド3にネジ止めすることで、刺繍枠支持装置7がシリンダベッド3に固定、つまり、ミシン本体に装着される。図4に示すとおり、ベース部材11とシリンダベッド3のネジ止めは上側から行うことができる。すなわち、該ネジ止め作業はミシンテーブル1(図1参照)の上面側から行うことができるので、作業の実施が作業者にとって容易である。
図5は刺繍枠支持装置7を取り付けていない状態のシリンダベッド3を示す斜視図である。図4及び図5を参照して、刺繍枠支持装置7の取り付け手順について説明する。なお、図5において、シャフト8及びシャフトの先端に設けられた釜9を想像線(点線)で示している。図5に示す通り、刺繍枠支持装置7を取り付けていない状態では、シリンダベッド3の上面にはカバー10が3箇所のネジ止めにより装着されている。カバー10のネジ止め箇所は、刺繍枠支持装置7のベース部材11をネジ止めする箇所と同じであってよい。
刺繍枠支持装置7を取り付ける際には、このカバー10を取り外して、図4に示すように、刺繍枠支持装置7をシリンダベッド3に3本のネジN1によって取り付ける。すなわち、ベース部材11及びシリンダベッド3に設けられた3つのネジ穴の対応するもの同士を合致せしめるよう刺繍枠支持装置7をシリンダベッド3の上側に覆い被せるように配置し、3つのネジN1を用いてベース部材11の上側から刺繍枠支持装置7とシリンダベッド3をネジ止めするだけでよい。刺繍枠支持装置7の取り外しは、逆に、ベース部材11の上側の3つのネジN1を外して刺繍枠支持装置7の固定を解くだけでよい。
ベース部材11の上面側は、作業者にとってテーブル上面且つミシン手前側に露呈している位置なので、刺繍枠支持装置7の上面側からのネジ止めにより刺繍枠支持装置7を固定する構成とすることで、支持装置7のミシンに対する着脱作業が簡便、容易となる。
また、図3において2点鎖線で示すように、Yスライドレール12(第2インナーチャンネル12c)の先端部には、ブラケット16を介してXスライドレール15が取り付けられており、レールカバー13の先端部上面にはXスライドレール15の配置を許容する切欠13aが形成されている。図2に示すようにXスライドレール15は刺繍枠6の前端部下面側に配設されている。すなわち、刺繍枠支持装置7は、該Xスライドレール15において刺繍枠6の前端部(自由端)を支持している。図7はブラケット16及びXスライドレール15を抽出して示す斜視図であり、Yスライドレール12及びレールカバー13の先端部に対する取り付け構造を示している。また、図8は、図7のブラケット16及びXスライドレール15のA−A線断面図である。
図7及び図8に示すように、Xスライドレール15は、刺繍枠6の左右方向の長さと略同尺なアウターチャンネル15aと、該アウターチャンネル15aの内側に配設されたインナーチャンネル15bから構成されており、インナーチャンネル15bはアウターチャンネル15a内を相対的にミシン左右方向(X方向)にスライド移動しうる。図8に示すように、Xスライドレール15は、インナーチャンネル15bにおいてネジN2を介してブラケット16に対して固定される。従って、Xスライドレール15のアウターチャンネル15aはブラケット16に対して相対的にX方向に移動しうる。ブラケット16は、ブリッジ状に形成された部材であり、左右の脚部において夫々対応する第2インナーチャンネル12cの先端部にネジN3により固定されることで、左右の第2インナーチャンネル12c間に横架される(図7参照)。従って、Xスライドレール15のアウターチャンネル15aは、刺繍枠支持装置7に対して相対的にX方向に移動可能に取り付けられる事になる。
図10は図2と同様な刺繍枠6の部分を抽出して示す上面平面図であって、刺繍枠6が作業者に対して最手前側に前方移動且つシリンダベッド3に対して左側に横移動した状態を示している。この図からも明らかなように、刺繍枠6がXスライドレール15を介して刺繍枠支持装置7の先端に固定されているため、刺繍枠6の前方移動(Y方向移動)に伴い、Yスライドレール12が伸長し、また、刺繍枠6の横方向(X方向)移動に対してはXスライドレール15が介在していることにより、該刺繍枠6が刺繍枠支持装置7に対して相対的に横移動する。このようにYスライドレール12とXスライドレール15を介して、刺繍枠支持装置7の先端に刺繍枠6を固定する構成とすることで、該刺繍枠支持装置7により刺繍枠6の前端を支持しつつ、刺繍枠6のミシン本体に対する前後左右方向への自由を確保することができる。また、前後左右方向の移動をYスライドレール12及びXスライドレール15を介して積極的にガイドするので、被刺繍物の重量が大きい場合であっても刺繍枠6の移動がスムーズに行われる。
図11は原反物を保持する原反枠26の一例を示す斜視図である。周知のように、原反枠26は、刺繍用クリップ27を用いて刺繍対象となる原反物を保持する構成になっている。原反枠26は、その後端部においてX方向駆動体5にネジによって固定されることで、刺繍ミシンに対して左右方向(X方向)に駆動可能に取り付けられる。この原反枠26の前端部下面にXスライドレール15及びブラケット16を取り付けることで、前述した刺繍枠6の取り付け構造と同様に、原反枠26の前端部を刺繍枠支持装置7で支持することができる。すなわち、原反枠26は、その後端部においてX方向駆動体5に固定されることでミシンにおいて片持ち状に支持されると共に、刺繍枠支持装置7によりその前端部側が垂れ下がらないように支持される。従って、この発明に係る刺繍枠支持装置7を備えた刺繍ミシンにおいては、片持ち状に支持される刺繍枠6と、同様な支持形態により原反枠26を装着することが可能となり、両者の交換が可能である。従来から知られる刺繍ミシンにおいて原反枠26を使用するときには、一般に、上下位置換え可能な前テーブル1a(図1参照)の位置を上位置に設定し、該前テーブル1aにより原反枠26の全体を支持するようになっていた。従って、刺繍枠6と原反枠2を交換する際には、前テーブル1a(図1参照)の位置を変更する必要があった。この点についてこの発明に係る刺繍枠支持装置7を用いて、原反枠26の前端部をYスライドレール12、Xスライドレール15にて支持することで、刺繍枠6に替えて原反枠26を使用するときでも前テーブルの位置換えが不要になる。従って、刺繍枠6と原反枠26との相互使用がより簡便となる。
また、刺繍枠支持装置7においてYスライドレール12(支持部材)と刺繍枠支持装置7の取り付け基部となるベース部材11をユニット化したことで、ベース部材11にYスライドレール12(支持部材)を取り付けたままの状態で、刺繍枠支持装置7を着脱できる。従って、刺繍枠支持装置7をシリンダベッド3に取り付けたときにYスライドレール12の精度出し作業が不要である。このため、刺繍枠支持装置7の着脱の作業を効率的に行うことができる。
また、刺繍枠6を刺繍枠支持装置7から取り外す作業についても、作業者にとって手前側に位置するネジN3を取り外すことで、Yスライドレール12からブラケット16を外すことで、Xスライドレール15と共に刺繍枠6を取り外すことができ(図9の状態を参照)、非常に容易に取り外しできることとなる。
また、上記実施例では、刺繍枠支持装置7の先端部において刺繍枠6を支持する部材として2段のチャンネル部材からなるXスライドレール15を設ける例について説明したが、Xスライドレール15の替わりにリニアレール(レールと該レールに係合する摺動子)とし、レールを刺繍枠6の先端部下面に設け、摺動子をブラケット16に設ける構成としてもよい。要するに、刺繍枠6とブラケット16が、Y方向へは一体的に移動し、且つ、X方向へは刺繍枠6がブラケット16に対して相対的に移動するような構成でさえあればよい。
また、刺繍枠6に替えて袋物枠を使用することもできる。この場合、Xスライドレール15に替えて袋物枠の前端部を載置可能な支承板(Y方向には袋物枠と一体的に移動し、X方向には載置された袋物枠の摺動を許容しうるもの)を取り付けるとよい。
Claims (2)
- 刺繍ミシンにおいて片持ち状に支持されて駆動装置によってX及びY方向に駆動される刺繍枠の自由端を、該刺繍枠の動きに従動して支えるための刺繍枠支持装置であって、前記刺繍ミシンにおいては、釜を内蔵したシリンダベッドの上面を平面状のカバー部材でカバーする構造を有しており、前記刺繍枠支持装置は、
上面部とその両側において下向きに垂下した側面部とを含む断面コ字形状を成していて、前記カバー部材に代えて前記シリンダベッドの上面及び両側面を前記上面部と前記側面部とによってカバーした状態で該シリンダベッドに取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材の前記側面部の各々の内側に固定された1対のYスライドレール固定部と、
前記各Yスライドレール固定部に対してY方向に伸縮自在に組み込まれた1対のYスライドレール可動部と、
前記ベース部材の前記側面部の各々の外側に配置され、かつ、前記各Yスライドレール可動部の先端寄りの箇所に対してそれぞれ固定された1対のYスライドレールカバーと、
前記Yスライドレールカバーの先端において、前記刺繍枠の自由端をX方向にスライド可能かつY方向には相対的に変位しないように支持するXスライド部と
を備え、前記駆動装置によって駆動される前記刺繍枠のY方向の動きに従動して前記Xスライド部、前記Yスライドレールカバー及び前記Yスライドレール可動部がY方向に動き、該刺繍枠のX方向の動きに関しては前記Xスライド部によりスライド自在となっていることを特徴とする刺繍枠支持装置。 - 前記カバー部材は前記シリンダベッドの上面に設けられたネジ孔に対してネジ止めされるようになっており、前記ベース部材は前記シリンダベッドの上面に設けられた同じネジ孔に対してネジ止めされることを特徴とする請求項1に記載の刺繍枠支持装置。
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