明細書 発泡成形品の製造方法、 成形用金型及び成形用金型部品 技術分野
本発明は発泡成形品の製造方法、 成形用金型及び成形用金型部品に係り、 例えば 車両のシートパッド等の発泡成形品に面ファスナ等のファスナを一体成形する発泡 成形品の製造方法等に適用される発泡成形品の製造方法、 成形用金型及び成形用金 型部品に関するものである。 背景技術
車両用クッシヨン材等として、 ウレタン等の合成樹脂発泡成形品が広く用いられ ている。 この合成樹脂発泡成形品は、 下型と、 この下型の開放部を覆って着脱可能 に配設され、 下型との間に密閉空間を形成する上型と、 上記下型と上型との密閉空 間を合成樹脂発泡成形品用材料が供給されるキヤビティとする金型を用い、 上記キ ャビティ内に合成樹脂発泡成形品用材料を供給し、 上下型を閉じて合成樹脂発泡成 形品用材料を発泡、 硬化して脱型することにより製造される (特開 2 0 0 2— 1 6 0 2 3 5号公報)。
この発泡成形品の表面に表皮材が設けられることがある。 例えば、 各種車両のシ 一トゃドアの内装品等に、 発泡ウレタンに布等の表皮材を組み付けたクッション材 が用いられている。 この発泡ウレタンと表皮材は、 ウレタンに固定された面ファス ナ等のファスナによって着脱自在に組み付けられることがある。 特に、 吊り意匠を シートに設ける場合には、 第 2 a, b図のように、 吊り意匠を成形品の外面から凹 嵌する凹条の部分に位置させる。 なお、 第 2 a図はシート 1の斜視図、 第 2 b図は 第 2 a図の B— B線に沿う断面図である。
このシート 1はシートクッション 2、 シートバック 3及びへッドレスト 4を備え ており、 該シートクッション 2の上面及びシートバック 3の前面に吊り意匠 5が設 けられている。 このシート 1は、 ウレタンフォーム 6に表皮材 7を被せたものであ る。 吊り意匠 5は、 シート表面から凹陥する凹条模様であり、 この吊り意匠 5の溝
底面に臨むようにしてウレタンフォーム 6にファスナ 8が設けられている。 表皮材 7に設けられたファスナ 9が該ファスナ 8に結合される。 このファスナ 8はウレタ ンフォーム 6に一体成形される。 ファスナ 8, 9は、 いずれもベルト状の基盤と、 該基盤の一方の面 (ファスユング面) に設けられた係合突起 (フック又はループ) を備えている。 このフックとループとが係合することによりファスナ 8, 9同士が 結合される。
ウレタンフォームの表面に上記ファスナを配設するために、 ウレタンとファスナ との一体成形が従来より行われている。 この場合、 液体発泡原料がファスナのファ スニング面に浸入して付着することがないように、 例えば上記ファスニング面を凹 形断面形状のレールで覆ってから成形型に液体状の発泡樹脂原料を流し込むように している。
第 3第、 第 4図はこの従来方法を説明するものであり、 第 3図は発泡後の金型の 断面図、 第 4図はファスナ 8とレール 1 2との係合関係を示す斜視図である。 この 方法では、 下型 1 0及び上型 1 1よりなる成形金型を用い、 ファスナ 8を発泡成形 品であるウレタンフォーム 6に一体成形により取り付ける。
成开金型の下型 1 0にレール 1 2が固定され、 このレール 1 2にファスナ 8が保 持されている。 このレール 1 2は上向きコ字形断面形状のものであり、 当然ながら 第 4図の通り係合突起 8 bは下向きとされ、 レール 1 2内に配置され、 アンカー 8 cが上向きとされる。 8 aは基盤を示す。
ウレタンを発泡させた後、 成形品は第 3図、 第 4図の上方に脱型される。
第 5図のように、 吊り意匠をシートの側面にも設けるようにしたシート 2 1が用 いられることが考えられている。 このシート 2 1は、 シートクッション 2 2、 シー トバック 2 3及ぴへッドレスト 2 4を有するものであり、 シートクッション 2 2の 上面及び側面にそれぞれ吊り意匠 2 5, 2 6が設けられている。
このシート側面の吊り意匠 2 6を形成するためには、 第 6図のようにレール 1 2 を下型 3 0の側面のレール取付座 3 2にレール 1 2を横向きに取り付け、 このレー ル 1 2にファスナ 8を嵌着する。 符号 3 1は上型を示す。
ウレタンの発泡後には、 ウレタンフォーム 3 6を第 6図の上方に脱型する。 ところが、 この場合、 レール 1 2がキヤビティ側面から突出しており、 且つこの
突出高さが大きいため、 第 7図に示すようにウレタンフォーム 3 6を上方に引き上 げたときにレール 1 2の下側のウレタンがレール 1 2に引掛力 り、 ウレタンフォー ム 3 6にファスナ 8の側縁に沿って亀裂が入ってしまうことがある。 また、 ファス ナがレールから上手く外れずに、 ウレタンフォームからファスナが剥がれてしまう ことがある。
また、 上記従来方法では、 ファスナ 8を金型内のレール 1 2に装着するため、 装 着作業を行いにくく、 作業効率が低くなることがある。 発明の概要
本発明は、 レール等の凸部が脱型方向から見て側方から出っ張るようにキヤビテ ィ側面に設けられている場合に、 発泡成形品をスムーズに脱型することができ、 発 泡成形品に亀裂が生じることを防止することができる発泡成形品の製造方法、 その ための金型及び金型部品を提供することを目的とする。
本発明は、 その一態様において、 ファスナの装着作業効率を向上させ、 ファスナ 付き発泡成形品の製造効率を高めることができる方法、 金型及び金型部品を提供す ることを目的とする。
本発明の第 1局面 (アスペク ト) の発泡成形品の製造方法は、 金型内に発泡樹脂 原料を供給して発泡させ、 その後脱型する発泡成形品の製造方法であって、 該金型 のキヤビティ面に凸部が設けられ、 該凸部の隣接領域がアンダーカツト部となって おり、 脱型に際しては、 成形品が該アンダーカット部から該凸部の方向に脱型され る発泡成形品の製造方法において、 該アンダーカツト部をキヤビティ面から前進可 能とし、 成形品の脱型に際し、 該アンダーカット部を前進させてアンダーカット部 の成形品を押圧することを特徴とするものである。
また、 本発明の第 1局面 (アスペクト) の成形用金型は、 キヤビティ面に凸部が 設けられ、 該凸部の隣接領域がアンダーカット部となっており、 成形品が該アンダ 一カツト部から該凸部の方向に脱型される成形用金型において、 該アンダーカツト 部を前進させる前進機構を備えたことを特徴とするものである。
かかる本発明の第 1局面 (アスペク ト) の発泡成形品の製造方法及び成形用金型 では、 脱型に際しキヤビティ面のアンダーカット部を前進させるので、 ウレタンフ
オーム等の成形品の脱型をスムーズに行うことができると共に、 成形品に亀裂が生 じることを防止できる。
この脱型に際しては、 アンダーカツト部を凸部と同等又はそれよりも前方にまで 前進させることが好ましい。
この前進のための機構としてはシリンダが好適であるが、 これに限定されるもの ではない。
本発明の第 2局面 (アスペク ト) の発泡成形品の製造方法は、 金型内に発泡樹脂 原料を供給して発泡させ、 その後脱型する発泡成形品の製造方法であって、 該金型 のキヤビティ面に凸部が設けられ、 該凸部の隣接領域がアンダーカツト部となって おり、 脱型に際しては、 成形品が該アンダーカット部から該凸部の方向に脱型され る発泡成形品の製造方法において、 該凸部が脱型方向に回動可能であり、 成形品の 脱型に際し、 該凸部を脱型方向に回動させることを特徴とするものである。
また、 本発明の第 2局面 (アスペクト) の成形用金型は、 キヤビティ面に凸部が 設けられ、 該凸部の隣接領域がアンダーカット部となっており、 成形品が該アンダ 一カツト部から該凸部の方向に脱型される成形用金型において、 該凸部が脱型方向 に回動可能であることを特徴とするものである。
かかる本発明の第 2局面 (アスペク ト) の発泡成形品の製造方法及び成形用金型 では、 脱型に際しキヤビティ面の凸部が脱型方向に回動するので、 ウレタンフォー ム等の成形品の脱型をスムーズに行うことができると共に、 成形品に亀裂が生じる ことを防止できる。
この金型にあっては、 凸部が回動自在に設けられ、 脱型に際して成形品の移動に 伴って凸部が回動するよう構成されていることが好ましい。
また、 この金型が上型及び下型よりなり、 凸部が下型のうち上型との境界部に設 けられており、 上型と下型とを型締めすると上型によって凸部が押えつけられて固 定されることが好ましい。
本発明の第 3局面 (アスペク ト) の発泡成形品の製造方法は、 金型内に発泡樹脂 原料を供給して発泡させ、その後成形品を脱型する発泡成形品の製造方法であって、 該金型のキヤビティ面に凸部が設けられ、 該凸部に隣接したキヤビティ面がアンダ 一カット部となっており、 成形品は、 該アンダーカット部から該凸部に向う方向に
脱型される発泡成形品の製造方法において、 該金型とは別体の凸部形成用部材が該 金型に取り付けられることにより前記凸部が形成されており、 脱型に際し成形品と 共に該凸部形成用部材を金型から取り出し、 その後、 成形品から凸部形成用部材を 取り外すことを特徴とする。
かかる本発明の第 3局面 (アスペク ト) の方法では、 凸部形成用部材を成形品と 共に脱型し、 その後凸部形成用部材を成形品から取り外すため、 ウレタンフォーム 等の成形品の脱型をスムーズに行うことができると共に、 成形品に亀裂が生じるこ とを防止できる。
本発明では、 凸部形成用部材としてファスナ保持部を有するものを用い、 金型に 取り付けられる前の該ファスナ保持部にファスナを保持させた後、 該凸部形成用部 材を金型に取り付け、 その後、 発泡成形工程を行うようにしてもよい。 このように すれば、 凸部形成用部材へのファスナ装着を金型外で行うことができ、 ファスナ装 着作業性が向上し、 ファスナ付き発泡成形品の製造効率が向上する。
本発明の第 4局面 (ァスぺクト) の発泡成形品の成形用金型部品は、 金型内に発 泡樹脂原料を供給して発泡させ、 その後成形品を脱型する発泡成形品の製造方法に 用いられる金型のキヤビティ面に着脱可能に取り付けられる部品であって、 該金型 は、 そのキヤビティ面に凸部が設けられ、 該凸部に隣接したキヤビティ面がアンダ 一カツト部となっており、 該アンダーカツト部から該凸部に向う方向に成形品が脱 型される発泡成形品の成形用金型であり、 該部品は、 該凸部を形成する凸部形成用 部材であることを特徴とするものである。
本発明の第 5局面 (アスペク ト) の発泡成形品の成形用金型は、 金型内に発泡樹 脂原料を供給して発泡させ、 その後成形品を脱型する発泡成形品の製造方法に用い られる金型であって、 該金型のキヤビティ面に凸部が設けられ、 該凸部に隣接した キヤビティ面がアンダーカット部となっており、 成形品は、 該アンダーカット部か ら該凸部に向う方向に脱型される発泡成形品の成形用金型において、 該金型とは別 体で且つ着脱可能な凸部形成用部材が該金型に取り付けられることにより前記凸部 が形成されていることを特徴とすることを特徴とする。
かかる本発明の第 4, 第 5局面 (アスペクト) の部品及ぴその部品を備えた金型 を用いて発泡成形品の成形品の成形を行った場合、 凸部形成用部材を成形品と共に
脱型し、 その後凸部形成用部材を成形品から取り外すことができるため、 ウレタン フォーム等の成形品の脱型をスムーズに行うことができると共に、 成形品に亀裂が 生じることを防止できる。 また、 凸部形成用部材を別形状のものに取り替えること により、 別形状の発泡成形品を成形することができる。
本発明では、 凸部形成用部材としてファスナ保持部を有するものを用い、 金型に 取り付けられる前の該ファスナ保持部にファスナを保持させた後、 該凸部形成用部 材を金型に取り付け、 その後、 発泡成形工程を行うようにしてもよい。 このように すれば、 凸部形成用部材へのファスナ装着を金型外で行うことができ、 ファスナ装 着作業性が向上し、 ファスナ付き発泡成形品の製造効率が向上する。
本発明では、 この凸部形成用部材は、 磁力により金型に保持されるよう構成され るのが好ましい。 図面の簡単な説明
第 1 a, l b図は実施の形態に係る発泡成形品の製造方法に用いられる成形金型 の断面図である。
第 2 a図は自動車のシートの斜視図、 第 2 b図は第 2 a図の B— B線に沿う断面 図である。
第 3図は第 5図のシートの成形方法を示す断面図である。
第 4図は第 5図のシートの成形方法を示す斜視図である。
第 5図は自動車のシートの斜視図である。
第 6図は第 5図のシートの成形方法を示す断面図である。
第 7図は第 5図のシートの成形後の脱型方法の説明図である。
第 8 a, 8 b図は実施の形態に係る発泡成形品の製造方法に用いられる成形金型 の断面図である。
第 9 a, 9 b図は実施の形態に係る発泡成形品の製造方法に用いられる成形用金 型の断面図である。 発明の好ましい形態
[第 1ァスぺク トの好ましい形態]
第 1 a, 1 b図は第 1ァスぺクトの形態に係る発泡成形品の製造方法に用いられ る成形金型の断面図であって、 第 1 a図は可動部の後退時、 第 1 b図は可動部の前 進時を示している。
この実施の形態は、 前記第 5図に示すように側面に吊り意匠 2 6を有するシート を成形するものであり、 この金型は、 下型 4 0と上型 4 1とからなる。 下型 4 0の キヤビティ側面のレール取付座 4 2にレール 1 2が固定されている。 このレール 1 2の凹部の底面にファスナ 8が配置されている。
このレール取付座 4 2及ぴレール 1 2が下型 4 0のキヤビティ側面から突出する 凸部となっており、 この凸部の下側に隣接する領域がアンダーカツト部 4 3となつ ている。
下型 4 0のキヤビティ側面のうち、 このアンダーカツト部 4 3に臨む面が可動部 4 4となっている。 この可動部 4 4は、 シリンダ 4 5のピス トンロッド 4 6の先端 に取り付けられている。 このシリンダ 4 5は下型 4 0に固定されている。 ピストン ロッド 4 6を後退限まで後退させると、 可動部 4 4が下型 4 0に密着する。 ピスト ンロッド 4 6を前進限まで前進させると、 可動部 4 4の前面はレール 1 2の前面と 略面一状となる。 なお、 可動部 4 4の前面がレール 1 2の前面よりも前方にまで前 進するようにシリンダ 4 5として機長の大きなものを用いてもよい。 シリンダとし てはエアシリンダ、 油圧シリンダ等を用いることができる。
第 1 a図の通り可動部 4 4を後退させた状態にてレール 1 2にファスナ 8を保持 させた後、 ウレタン原料液を注入して発泡させ、 発泡後にウレタンフォームを脱型 する。 この脱型に際しては、 上型 4 1を取り外した後、 第 l b図のように可動部 4 4を前進させ、 アンダーカット部 4 3内のウレタン発泡体 (第 l a, l b図では図 示略) を押し縮める。 これにより、 成形品のうちアンダーカット部 4 3内の部分が レール取付座 4 2及ぴレール 1 2と干渉することが解消されるので、 脱型がスムー ズに行われると共に、 ウレタンフォームに亀裂が入ることも防止される。
なお、 可動部 4 4をレール 1 2と面一又はそれよりも前方にまで前進させアンダ 一カット部 4 3のウレタンを圧縮すると、 ファスナ 8もレール 1 2から抜け出すよ うになり、 ファスナ 8もレール 1 2に引掛かることなくスムーズに脱型される。 上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではなレ、。
例えば、 シリンダ以外の可動部前進機構を採用してもよい。 本発明は、 ファスナ付 き発泡成形品以外の成形品の成形にも適用することができる。
以上の通り、 本発明によるとファスナ付きウレタンフォーム等の発泡成形品をス ムーズに且つ高歩留りにて製造することができる。
[第 2ァスぺク トの好ましい形態]
第 8 a , 8 b図は第 2ァスぺク トの形態に係る発泡成形品の製造方法に用いられ る成形金型の断面図であって、 第 8 a図は型組み状態、 第 8 b図は脱型時を示して いる。
この実施の形態は、 前記第 5図に示すように側面に吊り意匠 2 6を有するシート を成形するものであり、 この金型は、 下型 6 0と上型 6 1とからなる。 下型 6 0の キヤビティ側面のレール取付座 6 2にレーノレ 1 2が固定されている。 このレール 1 2の凹部の底面にファスナ 8が配置されている。
このレール取付座 6 2及ぴレール 1 2が下型 6 0のキヤビティ側面から突出する ώ部となっており、 この凸部の下側に隣接する領域がアンダーカツト部 6 3となつ ている。
この実施の形態では、 凸部は下型 6 0と上型 6 1との境界部に配置されており、 レール取付座 6 2の後端側 (キヤビティと反対側) が支軸 6 5によって下型 6 0に 対し回動自在に連結されている。 凸部は、 この支軸 6 5回りに脱型方向 (第 8 b図 の上方向) に回動自在である。
第 8 a図の如く型締めした状態では、 レール取付座 6 2が下型 6 0の本体部の上 端面に重なっている。 上型 6 1の下端面がこのレール取付座 6 2に上方から重ね合 わされてレール取付座 6 2を下型 6 0の本体部上面に押し付けることにより、 レー ル取付座 6 2と下型 6 0及ぴ上型 6 1とが密着する。
第 8 a図の通.りレール 1 2にファスナ 8を保持させる。 なお、 この際、 レール取 付座 6 2を上向きに回動させてレール 1 2にファスナ 8を容易に装着することがで きる。 次いで、 ウレタン原料液を注入し、 上型 6 1を型締めし、 発泡させる。 発泡 後にウレタンフォーム成形品 5 0を脱型する。
この脱型に際しては、 まず上型 6 1を上方に退動させて型開きした後、 第 8 b図
の如く成形品 5 0を上方に押し上げて下型 6 1カゝら取り出す。 レール取付座 6 2が 支軸 6 5回りに回動自在となっているので、 成形品 5 0が上方に移動すると、 これ に引きずられるようにして凸部 (レール 1 2及びレール取付座 6 2 ) が上方に回動 する。 これにより、 成形品 5 0がレール 1 2及ぴレール取付座 6 2に引掛かること がなく、 脱型がスムーズに行われると共に、 ウレタンフォーム成形品 5 0に亀裂が 入ることも防止される。
なお、 この脱型時にファスナ 8がレール 1 2から抜け出す。 このファスナ 8は、 成形品 5 0に形成された凹部 5 1の奥部に配置されている。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。 例えば、 第 8 a図ではレール取付座 6 2と上型 6 1 との当接面が金型外方に向って 下り勾配となっているが、 水平でもよく、 逆に金型外方に向って上り勾配とされて もよい。 レール取付座 6 2と下型 6 0の本体部の上面との当接面も、 勾配面とされ てもよい。
上記実施の形態では凸部はレール取付座 6 2とレール 1 2とからなるが、 両者は —体化されてもよい。 また、 本発明はファスナ付き発砲成形品以外の成形品の成形 にも適用することができる。
以上の通り、 本発明によるとファスナ付きウレタンフォーム等の発泡成形品をス ムーズに且つ高歩留りにて製造することができる。
[第 3〜 5ァスぺクトの好ましい形態]
第 9 a, 9 b図は第 3〜5ァスぺクトの形態に係る発泡成形品の製造方法に用い られる成形用金型の断面図であり、 第 9 a図は脱型前の状態を示し、 第 9 b図は脱 型時の状態を示す。
この実施の形態は、 前記第 5図に示すように側面に吊り意匠 2 6を有するシート を成形するものである。
金型は下型 7 0及ぴ上型 7 1よりなるものであり、 下型 7 0のキヤビティ面の側 面に凸部形成用部材としてレール 7 2が設けられている。 このレール 7 2は鉄、 鉄 合金などの強磁性材料にて構成されている。 レール 7 2にマグネットを設けてもよ い。 該レーノレ 7 2は、 該キヤビティ面に沿って延在する棒状部材である。
下型 7 0の外面には磁石 7 3が設置されており、 レール 7 2は該磁石 7 3の磁力 により下型 7 0に保持される。 なお、 図示はしないが、 下型 7 0及ぴレール 7 2の 一方に極く浅い凹所を設けると共に、 他方に極く低い凸所を設け、 これら凸所と凹 所とを係合させることによりレール 7 2を位置決め可能としている。 この HO所を極 く浅くし、 凸所を極く低くすることにより、 脱型時には凹所と凸所とが引掛ること なくレール 7 2がスムーズに下型 7 0から離反可能となっている。
このレール 7 2には、 ファスナ 8を保持するための溝状 (凹形断面形状) のファ スナ保持部 7 2 aが設けられている。
成形を行うには、 レール 7 2のファスナ保持部 7 2 aにファスナ 8を保持させた 後、 該レール 7 2をキヤビティ面の所定位置に配置し、 磁石 7 3の磁力により、 レ ール 7 2を下型 7 0に引き付けて固着させる。
次いで、 ウレタン原料液を注入し、 上型 7 1を型締めし、 発泡させる。 その後、 上型 7 1を型開きし、 ウレタンフォーム 5 0を下型 7 0から取り出す。 レール 7 2 はウレタンフォーム 5 0と共に下型 7 0から抜き出される。 このようにレール 7 2 がウレタンフォーム 5 0と共に下型 7 0から離脱するので、 ウレタンフォーム 5 0 はキヤビティ面に引掛ることはなく、 脱型がスムーズに行われると共に、 ウレタン フォーム 5 0に亀裂が入ることも防止される。
その後、 ウレタンフォーム 5 0からレール 7 2を取り外すことにより、 ファスナ 8付きのウレタンフォーム 5 0が得られる。
本実施の形態において、 磁石 7 3の代りに電磁石を用いてもよい。 この場合、 成 形を行うには、 レール 7 2のファスナ保持部 7 2 aにファスナ 8を装着した後、 該 レール 7 2を所定位置に配置すると共に電磁石 7 3に通電して励磁させ、 レール 7 2を下型 7 0に引き付けて固着させる。
次いで、 ウレタン原料液を注入し、 上型 7 1を型組みし、 発泡させる。 その後、 ウレタンフォームを脱型する。 この脱型に際しては、 上型 7 1を型開きすると共に 電磁石 7 3への通電を停止して消磁させた後、 ウレタンフォーム 5 0を下型 7 0か ら取り出す。 電磁石 7 3が消磁しているので、 レール 7 2はウレタンフォーム 5 0 と共に下型 7 0から抜き出される。 このようにレール 7 2がウレタンフォーム 5 0 と共に下型 7 0から離脱するので、 ウレタンフォーム 5 0はキヤビティ面に引掛る
ことはなく、 脱型がスムーズに行われると共に、 ウレタンフォーム 5 0に亀裂が入 ることも防止される。
その後、 ウレタンフォーム 5 0からレール 7 2を取り外すことにより、 ファスナ 8付きのウレタンフォーム 5 0力 S得られる。
なお、 レール 7 2自体を着磁させて磁石とし、 その磁力により金型に保持させる ようにしてもよい。 この場合、 電磁石は脱型時に励磁され、 レール 7 2からの磁束 と反対方向の磁束を発生させるよう構成するのが好ましい。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。 例えば、 磁石以外の例えば機械的なロック機構によってレール 7 2を下型 7 0に保 持してもよい。 このためには、 レール 7 2に例えばキー溝などのような、 ロック部 材の係合部を設けておけばよい。 また、 レール 7 2を基台部と前記第 6図のレール 1 2との組み合せ体にて構成してもよい。 本発明は、 ファスナ付き発泡成形品以外 の凹部を有した発泡成形品の成形にも適用することができる。
以上の通り、 本発明によるとファスナ付きゥレタンフォーム等の発泡成形品をス ムーズに且つ効率良く高歩留りにて製造することができる。