明 細 書 マロン酸モノエステルおよびその製造方法 [発 明 の 背 景]
発明の分野
本発明は、 マロン酸モノエステルおよびその製造方法に関する。
関連技術
力ルバぺネム系抗菌剤は、 広範囲にわたるグラム陽性菌、 グラム陰性菌に対し て優れた抗菌活性を有する。 これまでに、 力ルバぺネム系抗菌剤としてイミぺネ ム、 メロぺネム、 ビアぺネム等が開発されているが、 これらは臨床上注射剤とし て投与されるものである。 患者の負担等を考慮すると、 投与が簡便かつ容易であ り、 また在宅での投与が可能であることから、 臨床上、 経口力ルバぺネム系抗菌 剤の有用性が高い。 このため、 これまでにいくつかの経口投与の可能なカルバぺ ネム系抗菌剤が研究されている (例えば、 日本国特許 2 6 6 6 1 1 8号公報) 。 マロン酸モノエステルは、 多くの経口投与の可能な力ルバぺネム系抗菌剤の製 造において重要な中間体となり得るものである (例えば、 日本国特許公開公報 特閧昭 5 6— 1 2 3 9 8 5号、 特閧昭 6 3— 2 5 5 2 8 0号、 特開昭 6 3— 2 8 1 7 6号の各公報) 。
しかしながら、 従来の力ルバぺネム系抗菌剤の製造方法において用いられるマ 口ン酸モノエステルは、 カルボキシル基の保護基としてのエステル基を有するが、 このエステル基は、 生体内において加水分解によって容易に除去することができ ない置換基 (例えば p—ニトロべンジルエステル基) である。 従来の方法におい ては、 このような保護基を有するマロン酸モノエステルは、 所定の中間体に変換 され、 その後、 マロン酸モノエステル由来の該エステル基は、 脱保護され (脱保 護化工程) 、 さらにその部分が生体内で容易に加水分解されるエステル基に変換 されて (プロドラッグ化工程) 、 目的とするプロドラヅグ型の経口用カルバぺネ ム系抗菌剤が製造される。
力ルバぺネム系抗菌剤の製造方法において用いられるマロン酸モノエステルの
カルボキシル基の保護基としてのエステル基として、 生体内で加水分解されて容 易に除去されうる基を使用することは、 本発明者等の知る限りにおいて、 これま で知られていない。 また、 そのようなエステル基を有するマロン酸モノエステル の具体的な化合物、 その製造方法、 およびそのような化合物の物性デ一夕につい ての開示も知られていない。
[発 明 の 概 要]
本発明者らは今般、 生体内で加水分解されて容易に除去されうる基を有するマ ロン酸モノエステルを、 意外にもマロン酸から 1工程で選択的に得ることができ た。 得られたマロン酸モノエステルを、 経口用力ルバぺネム系抗菌剤の製造法に おいて使用すると、 プロドラッグ型の経口用力ルバぺネム系抗菌剤を、 従来より も短いプロセスで、 効率的かつ低コストで製造することができた。 本発明はこれ らの知見に基づくものである。
よって、 本発明は、 プロドラッグ型の経口用力ルバぺネム系抗菌剤の製造にお いて用いることができる生体内で加水分解されて容易に除去されうる基を有する マロン酸モノエステルの提供、 およびそのようなマロン酸モノエステルの製造方 法の提供をその目的とする。
本発明によれば、 下記式 ( 1 ) の化合物、 またはその塩が提供される :
[式中、 I ま生体内で加水分解されて容易に除去されうる基を表す] 。 本発明によれば、 式 ( 1 ) の化合物またはその塩の製造方法であって、 マロン 酸と、 下記式 (2 ) の化合物とを塩基存在下において反応させる工程を含んでな る方法が提供される :
R X ( 2 )
[式中、
Rは、 エステル基— C O O Rであるときに生体内で分解されて容易に除去され うる基を表し、
Xは、 ハロゲン原子を表す] 。
本発明の別の態様によれば、 エステル基一 C O O Rを有する、 プロドラッグ型 の医薬化合物の製造方法であって、 式 (1 ) の化合物またはその塩を用いて、 前 記化合物の前駆化合物に、 一 C 0 0 R基を導入する工程を含んでなる方法が提供 される。 ここで、 Rは生体内で加水分解されて容易に除去されうる基を表す。 本発明によるマロン酸モノエステルを使用することによって、 従来の経口用力 ルバぺネム系抗菌剤の製造法において、 脱保護工程とプロドラッグ化工程の 2ェ 程を省略することが可能となる。 このため、 経口用力ルバぺネム系抗菌剤の製造 プロセスの効率化と、 製造コストの削減が図ることが可能となる。
[発明の具体的説明]
式 ( 1 ) の化合物
本明細書において、 基または基の一部としての 「C 1〜6アルキル基」 または 「C 1〜6アルコキシ基」 という語は、 基が直鎖状、 もしくは分岐鎖状の炭素数 1〜 6個のアルキル基またはアルコキシ基を意味する。
「 C 1〜 6アルキル」 は、 好ましくは C 1〜 5アルキル基、 より好ましくは C 1〜4アルキル基、 さらに好ましくは C 1〜3アルキル基、 さらにより好ましく は C 1〜2アルキル基である。
アルキル基の例としては、 メチル、 ェチル、 プロピル、 プチル、 ペンチル、 へ キシル、 およびへプチルなどの直鎖アルキル;および、 イソプロピル、 イソプチ ル、 s—プチル、 t—ブチル、 ネオペンチル、 イソペンチル、 およびイソへキシ ルなどの分岐アルキルが挙げられる。
「C 1〜6アルコキシ」 は、 好ましくは C 1〜5アルコキシ基、 より好ましく は C l〜4アルコキシ基、 さらに好ましくは C 1〜3アルコキシ基、 さらにより 好ましくは C 1〜2アルコキシ基である。
アルコキシ基の例としては、 メトキシ、 エトキシ、 n—プロボキシ、 i—プロ ポキシ、 η—ブトキシ、 i—ブトキシ、 s—ブトキシ、 t—ブトキシなどが挙げ られる。
本明細書において、 基または基の一部としての 「C 3〜8シクロアルキル基」
とは、 炭素数 3 ~ 8個の単環の環状アルキル基を意味する。
「C 3 〜 8シクロアルキル基」 は、 好ましくは C 3 〜 6シクロアルキル基、 よ り好ましくは C 4〜 6シクロアルキル基、 さらに好ましくは C 5〜 6シクロアル キル基であり、 特に好ましくはシクロへキシル基である。
シクロアルキル基の例としては、 シクロプロピル、 シクロプチル、 シクロペン チル、 シクロへキシルが挙げられる。
本明細書において、 基または基の一部としての 「C 2〜 6アルケニル基」 また は 「C 2〜 6アルキニル基」 とは、 基が直鎖状、 もしくは分枝鎖状の炭素数 2〜 6個のアルケニル基またはアルキニル基を意味する。
「C 2〜 6アルケニル基」 は、 好ましくは C 2 〜 5アルケニル基であり、 より 好ましくは C 2〜 4アルケニル基である。
アルケニル基の例としては、 ビニル、 ァリル、 プロぺニル、 イソプロぺニル、 ブテニル、 2—プテニル、 3—ブテニル、 2—メチル一 1—プロぺニル、 2—メ チルァリル、 ペンテニル、 2—ペンテニル、 シクロペンテニル、 へキセニル、 お よび 2—へキセニル基が挙げられる。
「C 2 〜 6アルキニル基」 は、 好ましくは C 2 〜 5アルキニル基であり、 より 好ましくは C 2〜 4アルキニル基である。
アルキニル基の例としては、 ェチニル、 プロピニル、 2—プロピニル、 ブチニ ル、 2—プチニル、 3一プチニル、 ペンチニル、 2一ペンチニル、 3—ペンチ二 ル、 4一ペンチニル、 へキシニル、 2—へキシニル、 3—へキシニル、 4一へキ シニル、 および 5 —へキシニルが挙げられる。
本明細書において、 基または基の一部としての 「ァリール基」 という語は、 フ ェニル基、 またはナフチル基を意味する。
本明細書において 「5 〜 7員複素環式基」 は、 5〜 7員 (好ましくは 5または 6員) の単環性の飽和もしくは不飽和の複素環式基を意味する。 すなわち、 5〜 7員複素環式基は、 環員原子として、 1 〜 4個の異種原子を含み、 残りの環員原 子が炭素原子であることができる。 ここで、 異種原子は、 酸素原子、 窒素原子、 および硫黄原子から選択できる。
「5 ~ 7員複素環式基」 の例としては、 フラン、 ピロ一ル、 イミダゾ一ル、 チ
b 8d c Sh ffl Θ f kJ Πi - - .1 5 · ァゾ一ル、 トリァゾール、 チアジアゾール、 ピリジン、 ピリダジン、 ピリミジン、 およびピラジンが挙げられる。
本明細書において、 「ハロゲン原子」 とは、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 またはヨウ素原子を意味する。
式 ( 1 ) において、 Rは、 生体内で加水分解されて容易に除去されうる基を表 す。 ここで、 「生体内で加水分解されて容易に除去されうる基」 (R基) とは、 エステル基— C O 2 Rとなった状態で、 それを含む化合物が生体内に取り込まれ ると、 生体内の酵素もしくは生体内化学反応により、 このエステル基が容易に加 水分解されて分解されて、 該化合物から除去される基のことをいう。 このような 性質を有する限りにおいて、 R基は特に限定されない。 例えば、 ?ラク夕ム系抗 菌剤の分野においては、 I ま、 エステル基一 C 0 2 Rとなって目的とする抗菌剤 化合物に導入されると、 経口吸収性を促進しうるプロドラッグとなり、 これが生 体内に取り込まれると、 エステル基部分より Rが除去され、 プロドラヅグは、 優 れた抗菌活性を示す抗菌剤化合物になる。
本発明において、 好ましくは、 I ま、
C 1 ~ 6アルキルカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
ァリ一ルカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
5〜 7員複素環式基カルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
C 2〜6アルケニルカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
C 2〜 6アルキニルカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
C 3〜8シクロアルキルカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
C 1〜6アルコキシカルボニルォキシ C 1〜6アルキル基、
ァリールォキシカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
5〜 7員複素環式基ォキシカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
C 2〜 6アルケニルォキシカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、
C 2〜 6アルキニルォキシカルボニルォキシ C 1 ~ 6アルキル基、
C 3〜 8シクロアルキルォキシカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、 フ夕リドー 3—ィル基、 または
2—ォキソ一 5— (C l〜6アルキル) 一 1, 3—ジォキソレン一 4一
ィルメチル基
を表す。
このとき、 前記(a)~(n)の基は、
C 1〜6アルキル基; C 3〜8シクロアルキル基; C 1〜6アルコキシ基; C 2〜 6アルケニル基; C 2〜 6アルキニル基; C 1〜 6アルキル基により置換さ れていてもよいァリール基; 5〜 7員複素璟式基; C 1 ~ 6アルキルカルボニル ォキシ基; C 1〜6アルコキシカルボニルォキシ基;ァリールカルボニルォキシ 基;ァリールォキシカルボニルォキシ基; C 1〜 6アルキルチオ基; C 2〜 6ァ ルケ二ルチオ基;およびジ C 1〜6アルキルアミノ基からなる群より選択される 置換基により置換されていてもよい。
ここで、 (a)〜(! 1 )の基が、 置換基 「により置換されていてもよい」 とは、 (a) 〜(! 1 )の基上の 1またはそれ以上の水素原子が 1またはそれ以上の置換基 (同一 または異なっていてもよい) により置換されていてもよく、 または、 (a)〜(! 1)の 基が置換基により置換されていない非置換基であってもよいことを意味する。 (a)〜(! 1 )の基が置換される場合、 (a)〜(! 1)の基上の置換基の最大数はアルキル上 の置換可能な水素原子の数に依存して決定できることは当業者に明らかであろう。
「C 1〜6アルキル基により置換されていてもよいァリール基」 としては、 例 えば、 p—メチルフエニルなどが挙げられる。
好ましくは、 Rにおける前記置換基は、 C l〜6アルキル基、 〇 3〜8シクロ アルキル基、 C l〜6アルコキシ基、 C 2〜6アルケニル基、 C 2〜6アルキニ ル基、 ァリール基、 および、 5〜7員複素環式基からなる群より選択される。 より好ましくは、 Rにおける前記置換基は、 C l〜4アルキル基、 または、 C 3〜6シクロアルキル基である。
また前記(a)〜(! 1 )の基において、 ァリールは、 フエニルまたはナフチルを意味 する。
本発明のより好ましい態様によれば、 Rは、 前記した(a)、 (b)、 ( 、 (f )〜 (h)、 (j )、 (1 )〜(! l)の基から選択される。 これらの基は、 前記した置換基により 置換されていてもよい。
本発明のさらに好ましい態様によれば、 Rは、
(a,) C 1 ~ 6アルキルカルボニルォキシ C 1 ~ 6アルキル基 (ここで、 こ の基は、 C 3 ~ 8シクロアルキル基、 または、 C 1〜 6アルキル基により置換さ れていてもよいァリール基により置換されていてもよい) 、
(b,) ァリールカルボニルォキシ C 1〜6アルキル基 (ここで、 この基のァリ
—ル部分は C 1〜6アルキル基により置換されていてもよい) 、
(d,) 非置換 C 2〜6アルケニルカルボニルォキシ C 1 ~ 6アルキル基、 (f,) 非置換 C 3 ~ 8シクロアルキルカルボニルォキシ C 1〜6アルキル基、 (g,) C 1〜6アルコキシカルボニルォキシ C 1〜6アルキル基 (ここで、 こ の基は、 C 3〜8シクロアルキル基、 または、 C 1〜 6アルキル基により置換さ れていてもよいァリール基により置換されていてもよい) 、
(h,) ァリールォキシカルボニルォキシ C 1〜6アルキル基 (ここで、 この基 のァリール部分は C 1〜 6アルキル基により置換されていてもよい) 、
( 5 ) 非置換 C 2〜6アルケニルォキシカルボニルォキシ C 1〜 6アルキル基、 ( 1, ) 非置換 C 3〜8シクロアルキルォキシカルボニルォキシ C 1〜6アルキ ル基、
(m' ) 非置換フタリドー 3—ィル基、 または
(n,) 非置換 2—ォキソ一 5 _ ( C l〜6アルキル) 一 1, 3 _ジォキソレン - 4—ィルメチル基
を表す。
本発明のさらにより好ましい態様によれば、 Rは、
(a,,) C 1 ~ 6アルキルカルボニルォキシ C 1〜2アルキル基 (ここで、 こ の基は、 シクロへキシル基により置換されていてもよい) 、
(b,,) フエニルカルボニルォキシ C 1〜2アルキル基 (ここで、 この基のフ ェニル部分は C 1〜4アルキル基により置換されていてもよい) 、
(g,,) C 1〜 6アルコキシカルボニルォキシ C 1〜2アルキル基 (ここで、 この基は、 シクロへキシル基により置換されていてもよい) 、
( ,) フエニルォキシカルボニルォキシ C 1〜2アルキル基 (ここで、 この 基のフエニル部分は C 1〜4アルキル基により置換されていてもよい) 、
( 1,,) 非置換 C 3〜6シクロアルキルォキシカルボニルォキシ C 1〜2アル
キル基、 または
(n,,) 非置換 2—ォキソ一 5— ( C l〜4アルキル) 一 1 , 3—ジォキソレ ン一 4一ィルメチル基
を表す。
本発明の特に好ましい態様によれば、 Rは、
ァセチルォキシメチル基、
ビバロイルォキシメチル基、
2 , 4—ジメチルベンゾィルォキシメチル基、
1— (エトキシカルボニルォキシ) ェチル基、
1— (イソプロポキシカルボニルォキシ) ェチル基、
シクロへキシルォキシカルボ二ルォキシメチル基、
1 - (シクロへキシルォキシカルボニルォキシ) ェチル基、
1— (フエノキシカルボニルォキシ) ェチル基、
2一ォキソ一 5—メチルー 1 , 3—ジォキソレン一 4—ィルメチル基、 1— ( 2, 2—ジメチルプロポキシカルボニルォキシ) ェチル基、
1— ( 2—シクロへキシルエトキシカルボニルォキシ) ェチル基、
1― (イソブトキシカルボニルォキシ) ェチル基、
ィソプロポキシカルボニルォキシメチル基、
イソペントキシカルボニルォキシメチル基、
イソブチルカルボニルォキシメチル基、 および
1—ェチルプロピル力ルポニルォキシメチル基
からなる群より選択される。
したがって、 本発明による式 ( 1 ) の化合物の好適な具体例としては、 マロン酸モノァセチルォキシメチル、
マロン酸モノビバロイルォキシメチル、 マロン酸モノー 1一 (エトキシカルボニルォキシ) ェチル、
マロン酸モノー 1一 (イソプロポキシカルボニルォキシ) ェチル、
マロン酸モノシクロへキシルォキシカルボニルォキシメチル、
マロン酸モノー 1一 (シクロへキシルォキシカルボニルォキシ) ェチル、 マロン酸モノ一 1一 (フエノキシカルボニルォキシ) ェチル、
マロン酸モノ一 2—ォキソ一 5—メチル一 1, 3—ジォキソレン一 4一ィルメ チル、
マロン酸モノ一 1一 (2 , 2—ジメチルプロポキシカルボニルォキシ) ェチル、 マロン酸モノ一 1一 ( 2—シクロへキシルエトキシカルボニルォキシ) ェチル、 マロン酸モノー 1一 (イソブトキシカルボニルォキシ) ェチル、
マロン酸モノィソプロポキシカルボニルォキシメチル、
マロン酸モノィソペントキシカルボニルォキシメチル、
マロン酸モノィソブチルカルボニルォキシメチル、 および
マロン酸モノ一 1—ェチルプロピルカルポニルォキシメチル
が挙げられる。
また、 本発明による式 (1 ) の化合物の別の具体例としては、
マロン酸モノ _ 1一 (ァセチルォキシ) ェチル、
マロン酸一 4—へキセニルォキシカルボニルォキシメチル基、 および
マ口ン酸モノフタリドー 3—ィル、
が挙げられる。
式 ( 1 ) の化合物の塩としては、 例えば、 リチウム塩、 ナトリウム塩、 力リウ ム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、 カルシウム塩などのアルカリ土類 金属塩;および、 亜鉛塩、 アンモニゥム塩、 テトラ— n—プチルアンモニゥム塩 などの 4級アンモニゥム塩が挙げられる。 式 ( 1 ) の化合物の製造
本発明による式 ( 1 ) の化合物またはその塩は、 マロン酸と、 下記式 (2 ) の 化合物とを塩基存在下において反応させる工程を含んでなる方法により製造する ことができる :
R X ( 2 )
[式中、
Rは、 エステル基一 C 0◦ Rであるときに生体内で分解されて容易に除去され
うる基を表し、
Xは、 ハロゲン原子を表す] 。
式 (2 ) において、 好ましくは、 Xは、 塩素原子、 臭素原子、 またはヨウ素原 子を表し、 特に好ましくは、 ヨウ素原子を表す。
本発明による化合物の合成に必要な出発物質は市販されているか、 または常法 によって容易に製造できる。
なお、 Xが塩素原子である式 (2 ) の化合物が得られる場合には、 式 (2 ) の 化合物を、 それと等量または小過剰のヨウ化ナトリゥムと反応させることにより、 式 (2 ) 中の Xをヨウ素原子に置換することができる。 この化合物は、 本発明に よる製造方法に好適に適用できる。
ここで、 塩基としては、 通常、 塩基性有機化合物が用いられる。
本発明において、 好ましい塩基としては、 有機アミン化合物 (例えば、 ジ低級 アルキルァミン、 トリ低級アルキルァミン、 N—低級アルキルピロリジン、 N— 低級アルキルピぺリジン、 N—低級アルキルモルホリン、 N , N—ジ低級アルキ ルァニリン等) 、 および、 塩基性を有する含窒素複素環 (例えば、 ルチジン、 ピ コリン、 コリジン等) が挙げられる。
本発明のより好ましい態様によれば、 塩基は、 トリェチルァミン、 N, N—ジ イソプロピルェチルァミン、 または、 2 , 6—ルチジンである。
塩基の使用量は、 通常、 マロン酸に対して 0 . 2モル等量〜 1 . 0モル等量、 好ましくは 0 . 2モル等量〜 0 . 3 5等量である。
式 (2 ) の化合物の使用量は、 好ましくは、 マロン酸に対して◦. 2モル等量 〜0 . 3 5モル等量である。
本発明による式 ( 1 ) の化合物の製造方法における反応は、 好ましくは、 塩基 存在下、 非プロトン性極性溶媒中において行われる。
非プロトン性極性溶媒としては、 前記反応に悪影響を及ぼさないものであれば いずれも用いることができる。 好ましくは、 非プロトン性極性溶媒は、 アセトン、 クロ口ホルム、 ァセトニトリル、 テトラヒドロフラン、 または、 ジクロロメタン から選択される。 より好ましくは、 非プロトン性極性溶媒は、 テトラヒドロフラ ン、 またはァセトニトリルである。
前記反応の温度は、 室温または加熱条件下において進行し得る。 好ましくは、 該反応の温度は、 室温〜 50°Cである。 温度がこの範囲であると、 前記反応が好 適に進行することができる。
本発明のさらに好ましい態様によれば、 式 (1) の化合物の製造方法において、 マロン酸および式 (2) の化合物に加えて、 下記式 (3) の化合物をさらに加え て反応を行うことができる :
RH RH (3)
[式中、
X -は、 ハロゲン化物イオンを表し、
Ri〜R4は、 同一もしくは異なっていてもよく、
1^〜114のいずれかと共に環を形成していてもよい C 1〜 6アルキル基、
C 1〜6アルキル基により置換されていてもよいァリール基、
ァリール C:!〜 6アルキル基 (ここで、 この基のァリール部分は C 1〜6 アルキル基により置換されていてもよい) 、
C 3〜 8シクロアルキル C 1〜 6アルキル基、
C 3〜8シクロアルキル基、
C2〜6アルケニル基、 または
C 2〜6アルキニル基
を表す] 。
前記反応を行う際に、 式 (3) の化合物をさらに加えて反応を進行させること により、 式 (3) の化合物を加えない場合に比べて、 より短い反応時間で式 (1) の化合物を得ることができる。
式 (3) の化合物は、 市販されているか、 または常法によって容易に製造でき o
X一としては、 フッ化物イオン、 塩化物イオン、 臭化物イオン、 およびヨウ化 物イオンが挙げられるが、 好ましくは、 塩化物イオン、 臭化物イオン、 およびョ ゥ化物イオンが挙げられる。
式 (3) において、 「1^〜14のいずれかと共に環を形成していてもよい C 1 〜 6アルキル基」 としては、 3~ 9員のァザシクロアルカンが挙げられる。
好ましくは、 Ri R4は、 Ri R4のいずれかと共に環を形成していてもよい C 1〜 6アルキル基;または、 ァリール C 1〜 6アルキル基 (ここで、 この基の ァリール部分は C 1〜6アルキル基により置換されていてもよい) である。
式 (3) の化合物の具体例としては、 塩化テトラー n—プチルアンモニゥム、 塩化 N, N—ジェチルビペリジニゥム、 塩化べンジルトリェチルアンモニゥムが 挙げられる。 好ましくは、 式 (3) の化合物は、 塩化べンジルトリェチルアンモ ニゥムである。
式 (3) の化合物を使用する場合、 式 (3) の化合物の使用量は、 式 (2) の 化合物に対して 0. 5モル等量〜 1. 5モル等量、 好ましくは 0. 9モル等量〜 1. 2モル等量である。 式 ( 1 ) の化合物の用途
本発明による式 (1) の化合物は、 一 COOR基を置換基として有するプロド ラッグ化合物を合成する過程において、 —CO OR基を導入するための、 中間体 化合物として使用することができる。
本発明によれば、 目的とする化合物の製造プロセスの比較的早い段階で、 化合 物の構造中に— COOR基を導入でき、 導入された— COOR基は、 製造プロセ スの過程ではカルボキシル基の保護基としても働くことができる。 またプロドラ ヅグ化合物として合成された後は、 —COOR基は、 プロドラヅグエステル基と して働き、 プロドラッグ化合物が生体内に取り込まれると、 生体内で容易に加水 分解することができる。 したがって、 本発明による化合物をプロドラッグ化合物 の合成の過程において用いることにより、 従来の製造プロセスにおいて必要であ つた、 化合物の脱保護化工程、 および、 プロドラッグ化工程を省略することがで き、 より効率的かつ低コストの製造が可能となる。
よって、 本発明によれば、 置換基の少なくとも 1つとしてエステル基一 C 00 Rを有する、 プロドラッグ化合物の製造方法であって、 式 (1) の化合物または その塩を用いて、 前記プロドラッグ化合物の前駆化合物に、 一C00R基を導入 する工程を含んでなる方法が提供される。 なおここで、 Rは生体内で加水分解さ れて容易に除去されうる基を表す。
本発明の好ましい態様によれば、 前記プロドラッグ化合物の製造方法において、 式 (1) の化合物またはその塩と、 マグネシウム塩とを有機溶媒中において反応 させて得られる下記式 (4) のマグネシウムマロネートと:
Mg- (02C CH2C02R) 2 (4)
[式中、 Rは生体内で加水分解されて容易に除去されうる基を表す] 、 前記プロドラッグ化合物の前駆化合物と
を反応させることによって、 前駆化合物に— CO OR基を導入する。
ここで、 使用可能なマグネシウム塩としては、 例えば、 塩化マグネシウム、 臭 化マグネシウム、 ヨウ化マグネシウム、 フッ化マグネシウムのようなハロゲン化 マグネシウム;臭化マグネシム ·ジェチルェ一テル錯体のようなハロゲン化マグ ネシゥムのェ一テル系有機化合物による錯体;および、 マグネシウムエトキシド、 マグネシウムメトキシドのようなマグネシウムの低級アルコキシ化合物 (例えば、 C 1—4アルコキシ化合物) が挙げられる。 好ましくは、 マグネシウム塩は、 塩 化マグネシウム、 または、 臭化マグネシウム 'ジェチルェ一テル錯体であり、 さ らに好ましくは、 マグネシウム塩は、 塩化マグネシウムである。
使用可能な有機溶媒としては、 例えば、 トルエン、 キシレン、 シクロへキサン のような炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、 ジォキサン、 1, 2—ジメトキ シェタンのようなェ一テル系溶媒;塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1, 2—ジク ロロェタンのようなハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸 プロピル、 酢酸ブチルのようなエステル系溶媒;および、 N, N—ジメチルホル ムアミド、 ジメチルスルホキシド、 ァセトニトリルのような高極性非プロトン性 溶媒が挙げられる。 好ましくは、 該有機溶媒は、 テトラヒドロフラン、 ァセトニ トリル、 塩化メチレン、 または、 酢酸ェチルである。
式 (1) の化合物またはその塩とマグネシウム塩との反応は、 塩基の存在下に 実施することが好ましい。 使用可能な塩基としては、 例えば、 トリメチルァミン、 トリェチルァミン、 N, N—ジイソプロピルェチルァミン、 トリブチルァミン、 トリオクチルァミン、 トリァリルァミン、 ジメチルベンジルァミン、 テトラメチ ル一 1, 3—ジァミノプロパン、 N—メチルモルホリン、 N—メチルピロリジン、 N-メチルビペリジン、 1, 8—ジァザビシクロ [5, 4, 0] ゥンデカー 7—
ェン (DBU) ヽ 1, 5—ジァザビシクロ [4, 3, 0] ノナ一 5—ェン (DB N) のような第三級脂肪族ァミン;および、 ピリジン、 4ージメチルァミノピリ ジン、 N, N—ジメチルァニリン、 ピコリン、 コリジン、 ルチジン、 キノリン、 イソキノリン等の含窒素複素環化合物が挙げられる。
式 (1) の化合物またはその塩とマグネシウム塩との反応は、 水分によって悪 影響を受けることがあるため、 空気中の水分が混入しないように、 例えば、 窒素 ガス、 アルゴンガスのような不活性ガス雰囲気下において実施することが好まし い。
本発明による式 (1) の化合物は、 好ましくは、 プロドラッグ型の経口用カル バぺネム系抗菌剤、 すなわち経口投与可能な抗菌性力ルバぺネム化合物のプロド ラッグ、 の製造プロセス中において使用する。 したがって、 本発明の好ましい態 様によれば、 前記方法において、 目的とするプロドラッグ化合物は、 経口投与可 能な抗菌性力ルバぺネム化合物のプロドラッグである。
式 (1) の化合物を、 経口投与可能な抗菌性力ルバぺネム化合物のプロドラッ グの製造プロセス中において使用する場合の具体的な一例として、 後述するスキ —ム 1の場合が挙げられる。
後述する実施例にしたがって、 化合物 2のマロン酸ビバロイルォキシメチルを 得、 これを、 後述する参考例 1または参考例 2のようにして、 スキーム 1の式(I I)の化合物と反応させ、 エステル基— COORが導入された、 式(III)の化合物 を得ることができる。 次いで、 この式(III)の化合物から、 スキーム 1の手順に 従って、 — COOR基を有する、 式 (A) のプロドラッグ化合物を合成すること ができる (スキーム 1の工程(ii)) 。
なお、 式 (A) の力ルバぺネム誘導体が、 力ルバぺネム系化合物のプロドラヅ グとしての機能を有し、 プロドラッグのプロモエティ部位が除去された化合物が、 生体内おいて優れた抗菌活性を有することは、 例えば、 日本国特許 266611 8号公報に開示されている。
スキーム 1の手順をさらに説明すると下記の通りである。
工程(i): 前記工程(ii)において使用される式(II)の化合物は、 式(I)の化 合物またはその塩を、 イミダゾリド化反応させることによって製造することがで
きる。 式( I )の化合物またはその塩は、 市販品を使用することができる。 また、 イミダゾリド化反応は、 式( I )の化合物またはその塩と、 N, N—カルポジイミ ダゾ一ルとを反応させるか、 または、 式( I )の化合物またはその塩と、 ハロゲン 化炭酸エステルおよびィミダゾ一ルとを塩基の存在下において反応させることに より実施することができる。
工程(iii ): 式(IV )の化合物は、 式(Π Ι )の化合物と、 アジド化合物とを反応 させることにより製造できる。 アジド化合物としては、 例えば、 トルエンスルホ ニルアジド、 ドデシルベンゼンスルホニゥムアジド、 p—カルボキシベンゼンス ルホニルアジド、 メタンスルホニルアジドのようなスルホニルアジド類が挙げら れる。 この反応は塩基存在下において実施することが好ましい。
工程(iv): 式(V )の化合物は、 式(IV)の化合物と、 酸とを反応させることに より製造することができる。 この反応により、 式(IV)中の水酸基の保護基である T B S基を脱離させて、 式(IV )の化合物を脱保護する。 ここで使用可能な酸とし ては、 例えば、 塩酸、 臭化水素酸、 フッ化水素酸、 硫酸、 リン酸のような無機酸 ;および、 酢酸、 ベンゼンスルホン酸、 p—トルエンスルホン酸のような有機酸 が挙げられる。
工程(V ): 式 (VI )の化合物は、 式(V )の化合物を閉環反応させることにより 製造することができる。 この工程は、 通常、 反応を促進させるために、 金属触媒 の存在下に実施される。 金属触媒としては、 例えば、 酢酸ロジウム、 ロジウムォ ク夕ェ一ト、 酢酸パラジウム、 硫酸銅、 ビス (ァセチルァセトナート) 銅が挙げ ちれる。
工程(vi ): 式(VI I )の化合物は、 式(VI )の化合物と、 ジフエニルクロロホス フェートとを反応させることにより製造することができる。 この反応は、 塩基存 在下において実施することが好ましい。
工程(vii ):
プロドラヅグ化合物である式 (A ) の化合物は、 式(VI I )の化合物と、 1— ( 1, 3—チアゾリン一 2—ィル) ァゼチジン一 3—チオールとを反応させるこ とにより製造することができる。 この反応は、 塩基存在下において実施すること が好ましい。
スキーム 1 :
(i)
[式中、 TB Sは t—プチルジメチルシリル基を表し、 Phはフエ二ル基を表
し、 Rはビバロイルォキシメチル基を表す] 。 施 例]
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、 本発明はこれらに限定 されるものではない。 製造例
本発明による化合物 1〜 1 8を下記のようにして製造した。 化合物 1 : マロン酸モノアセチルォキシメチル
ァセチルォキシメチルブロマイ ド 1. 53 gのテトラヒドロフラン溶液 ( 20 ml) にマロン酸 4. 1 6 gを加えた。 ここに、 N, N—ジイソプロピルェチル ァミン 1. 42 gをさらに加えた後、 外温 50°Cにて終夜攪拌した。 得られた反 応液に、 酢酸ェチル 30mlと 20%食塩水 30mlとを加えて分液した。 酢酸 ェチル相を 20%食塩水 3 0mlで洗った後、 5%炭酸水素ナトリウム水溶液を 用いて抽出した。 水相を 5 mo 1ノ1塩酸水溶液で酸性とした後、 水相を酢酸ェ チルを用いて抽出した。 抽出液に硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥した後、 ろ 過した。 ろ液の溶媒を減圧留去して、 マロン酸モノアセチルォキシメチル 5 53 mgを油状物として得た。
^-NMR (CDC 13) δ : 2. 14 (3 H, s) , 3. 5 0 (2H, s) , 5. 80 (2 H, s)
MS (FAB + ) : m/z = 1 77 (M++ 1) 化合物 2 : マロン酸モノビバロイルォキシメチル
ビバロイルォキシメチルョ一ダイ ド 2. 42 gのァセトニトリル溶液 (40m 1) にマロン酸 5. 20 gを加えた。 ここに、 N, N—ジイソプロピルェチルァ ミン 1. 42 gを加えた後、 室温にて終夜攪拌した。 得られた反応液に、 酢酸ェ チル 40mlと 20%食塩水 40 m 1とを加えて分液した。 酢酸ェチル相を 20 %食塩水 40mlで洗った後、 5 %炭酸水素ナトリゥム水溶液を用いて抽出した c
水相を 5 mo 1Z1塩酸水溶液で酸性とした後、 水相を酢酸ェチルを用いて抽出 した。 抽出液に硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥した後、 ろ過した。 ろ液の溶 媒を減圧留去して、 マロン酸モノビバロイルォキシメチル 1. 7 l gを油状物と して得た。
- NMR (CDC 1 6 : 1. 2 2 (9 H, s) , 3. 49 (2H, s) , 5. 8 1 (2Η, s)
MS (FAB" : m/z = 2 1 9 (M + + 1) 化合物 3 : マロン酸モノ— 2 , 4—ジメチルベンゾィルォキシメチル
2, 4ージメチルベンゾィルォキシメチルクロリド 1. 99 gのテトラヒドロ フラン溶液 (20 ml) にヨウ化ナトリウム 1. 50 gを加え、 これを外温 50 °Cにて 2時間攪拌した。 ここに、 マロン酸 4. 1 6 gとN, N—ジイソプロピル ェチルァミン 1. 42 gとをさらに加えて、 これを外温 50°Cにて終夜攪拌した c 得られた反応液に、 酢酸ェチル 30 mlと 20%食塩水 30mlとを加えて分液 した。 酢酸ェチル相を 20%食塩水 3 0mlで洗った後、 5%炭酸水素ナトリウ ム水溶液を用いて抽出した。 水相を 5 mo 1Z1塩酸水溶液で酸性とした後、 水 相を酢酸ェチルを用いて抽出した。 抽出液に硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥 した後、 ろ過した。 ろ液の溶媒を減圧留去して、 マロン酸モノー 2, 4—ジメチ ルベンゾィルォキシメチル 1. 9 9 gを黄色固体として得た。
^-NMR (CD C 13) 6 : 2. 3 6 (3 H, s) , 2. 58 (3H, s) , 3. 5 1 (2 H, s) , 6. 0 2 ( 2 Η5 s) , 7. 04 - 7. 07 ( 2 Η, m) , 7. 88 (d、 J = 8. 7 H z , 1 H) , 10. 3 1 ( 1 H, s)
MS (FAB+) : m/z = 2 67 (M++ 1) 化合物 4 : マロン酸モノ一 1一 (エトキシカルボニルォキシ) ェチル
2, 4—ジメチルペンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 9 9 gに代えて 1― (ェチルォキシカルボニルォキシ) ェチルクロリド 1. 53 gを用いた以外は化 合物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノー 1— (エトキシカルボニルォキシ) ェチル 58 1 mgを白色固体として得た。
^-NMR (CDC 13) δ : 1. 33 (3H, J = 7. 2Hz, t ) , 1. 5 6 (3H, J = 5. 4Hz, d) , 3. 47 (2H, s) , 4. 24 (2H, J = 7. 2 Hz, q) , 6. 82 (1H、 J = 5. 4Hz, q)
MS (FAB+) : m/z = 221 (M++ 1) 化合物 5 : マロン酸モノ— 1— (イソプロポキシカルボニルォキシ) ェチル 2, 4—ジメチルペンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 99 gに代えて 1— ( i一プロポキシカルボニルォキシ) ェチルクロリ ド 1. 67gを用いた以外は 化合物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノ一 1— (イソプロポキシカルボニル ォキシ) ェチル 525m gを油状物として得た。
^-NMR (CD C 13 ) δ : 1. 31 (3H, J=6. 0Hz, d) , 1. 3 2 (3H, J=6. 3Hz, d) , 1. 56 (3H, J = 5. 4Hz, d) , 3. 47 (2H, s) , 4. 91 (1H, m) , 6. 82 (1H、 J = 5, 4Hz, q)
MS (F AB+) : m/z = 235 (M++ 1 ) 化合物 6 : マロン酸モノシクロへキシルォキシカルボニルォキシメチル 2, 4ージメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 99 gに代えてシクロ へキシルォキシカルボニルォキシメチルクロリ ド 1. 93 gを用いた以外は化合 物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノシクロへキシルォキシカルポニルォキシ メチル 949 mgを微黄色固体として得た。
'H-NMR (CD C 13) δ : 1. 23 - 1. 94 (10H, m) , 3. 5 1 (2 H, s) , 4. 68 (1H, m) , 5. 82 (2H, s)
MS (FAB + ) : m/z = 261 (M++ 1) 化合物 7 : マロン酸モノ _1— (シクロへキシルォキシカルボニルォキシ) ェチル
2, 4—ジメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1 · 99 gに代えて 1— (シクロへキシルォキシカルボニルォキシ) ェチルクロリ ド 4. 13gを用いた
以外は化合物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノ一 1一 (シクロへキシルォキ シカルボニルォキシ) ェチル 1. 45 gを微黄色固体として得た。
^-NMR (CD C 13) δ : 1. 2 1— 1. 94 ( 1 0 Η, m) , 1. 5 6 (3 H, d, J = 5. 4Hz) , 3. 47 (2 H, s) , 4. 65 ( 1 H, m) , 6. 82 ( 1 H, q, J = 5. 4Hz)
MS (FAB + ) : m/z-275 (M++ 1) 化合物 8 : マロン酸モノー 1一 (フエノキシカルボニルォキシ) ェチル
2, 4—ジメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 9 9 gに代えて 1一 (フエノキシカルボニルォキシ) ェチルクロリ ド 2. 0 l gを用いた以外は化合 物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノ一 1一 (フエノキシカルボニルォキシ) ェチル 302 mgを微黄色液体として得た。
XH-NMR (CD C 13) δ : 1. 6 5 (3 H, d, J = 5. 4 H z) , 3. 5 0 (2 H, s) , 6. 90 ( 1 H, q, J = 5. 4 H z) , 7. 1 8- 7. 42 (5H, m)
MS (FAB" : m/ z = 2 69 (M++ 1) 化合物 9 : マロン酸モノ一 2—ォキソ一 5—メチル一 1 , 3—ジォキソレン 一 4—ィルメチル
ァセチルォキシメチルブロマイ 卜'に代えて 4ーブロモメチルー 5ーメチルー 1 , 3—ジォキソールー 2—オンとして 1. 93 gを用いた以外は化合物 1の場合と 同様にして、 マロン酸モノ一 2—ォキソ _ 5—メチル一 1, 3—ジォキソレン一 4ーィルメチル 1. 13 gを透明液体として得た。
^-NMR (CD C 13 ) 6 : 2. 1 9 (3 H, s) , 3. 5 0 (2 H, s) , 4. 94 (2 Η, s)
MS (FAB + ) : m/z = 2 17 (M++ 1) 化合物 1 0 : マロン酸モノ一 1一 (シクロへキシルォキシカルボ二ルォキ シ)—ヱチル
1 - (シクロへキシルォキシカルボニルォキシ) ェチルクロリド 2. 07 gの テトラヒドロフラン溶液 (20 ml) にヨウ化ナトリウム 1. 50 gを加えて、 これを外温 50°Cにして 2時間攪拌した。 ここに、 マロン酸 4. 16 gと 2, 6 —ルチジン 1. 07 gとをさらに加えて、 これを外温 50°Cにて終夜攪拌した。 得られた反応液を、 酢酸ェチル 200mlで希釈した後、 これを半飽和食塩水 1 00mlを用いて 2回洗い、 次に飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液 100 mlを用 いて 2回抽出した。 水相を 5 mo 1Z1塩酸水溶液で酸性とした後、 水相を酢酸 ェチル 10 Omlを用いて 2回抽出した。 抽出液に硫酸マグネシウムを加えて脱 水乾燥した後、 ろ過した。 ろ液の溶媒を減圧留去してマロン酸モノ一 1— (シク 口へキシルォキシカルボニルォキシ) ェチル 594 mgを微黄色固体として得た。 化合物 1 1 : マロン酸モノー 1— (シクロへキシルォキシカルボ二ルォキ シ) ェチル
1― (シクロへキシルォキシカルボニルォキシ) ェチルクロリド 2. 07 gの テトラヒドロフラン溶液 (20ml) にヨウ化ナトリウム 1. 50 gを加えて、 これを外温 50°Cにて 1時間攪拌した。 ここに、 マロン酸 4. 16 と , N- ジィソプロピルェチルァミン 1. 42 gと塩化べンジルトリエチルアンモニゥム 2. 28 gとを加えて、 これを外温 50°Cにて 18時間攪拌した。 得られた反応 液を、 酢酸ェチル 100mlを用いて希釈した後、 これを半飽和食塩水 50 ml を用いて 2回洗い、 次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 50mlを用いて 2回抽 出した。 水相を 5 mo 1/1塩酸水溶液で酸性とした後、 水相を酢酸ェチル 50 mlで 2回抽出した。 抽出液に硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥した後、 ろ過 した。 ろ液の溶媒を減圧留去して、 マロン酸モノ一 1— (シクロへキシルォキシ カルボニルォキシ) ェチル 1. 28 gを微黄色固体として得た。 化合物 12 : マロン酸モノー 1— (2, 2—ジメチルプロポキシカルボニル ォキシ) ェチル
2, 4—ジメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 99 gに代えて 1— (ネオペントキシカルボニルォキシ) ェチルクロリド 1. 07 gを用いた以外は
化合物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノ一 1— (2 , 2—ジメチルプロポキ シカルボニルォキシ) ェチル (すなわち、 マロン酸モノ— 1一 (ネオペントキシ カルボニルォキシ) ェチル) 306mgを得た。
'H-NMR (CD C 13) δ : 0. 9 6 (9 H, s) , 1. 57 (3 H, J = 5. 6 Hz , d) , 3. 47 (2H, s) , 3. 88 ( 2 H, s) , 6. 82 ( 1 H, J = 5. 6 H z , q )
MS (FAB-) : m/z = 2 6 1 (M+- 1) 化合物 13 : マロン酸モノ一 1— 「2— (シクロへキシル) ェトキシカルボ ニルォキシ] ェチル
2 , 4ージメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 9 9 gに代えて 1―
[2 - (シクロへキシル) エトキシカルポニルォキシ] ェチルクロリ ド 2. 35 gを用いた以外は化合物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノ一 1— [2— (シ クロへキシル) エトキシカルボニルォキシ] ェチル 33 6mgを得た。
^-NMR (CD C 13 ) δ : Ό . 8 8 - 1. 72 ( 1 6 H, m) , 3. 46
(2 Η, s) , 4. 2 1 (2 Η, J = 6. 8 Η ζ , t ) , 6. 8 1 ( 1 Η, J二
5. 4Hz , q)
MS (FAB-) : m/z = 30 1 (M+— 1) 化合物 14 : マロン酸モノー 1— (イソブトキシカルボニルォキシ) ェチル 2 , 4—ジメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 9 9 gに代えて 1一 (イソブトキシカルボニルォキシ) ェチルクロリ ド 1. 8 l gを用いた以外は化 合物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノー 1— (イソブトキシカルボ二ルォキ シ) ェチル 33 1 mgを得た。
— NMR (CD C 13) 6 : 0. 9 5 (6 H, J = 6. 8Hz, d) , 1. 5
6 (3 H、 J = 5. 4 H z, d) , 1. 9 9 ( l H, m) , 3. 4 6 (2 H, s) , 3. 9 6 (2 H, J = 6. 5 H z, d) , 6. 82 ( 1 H, J = 5. 4H z , q)
MS (FAB一) : m/z-247 (M+— 1)
化合物 1 5 : マロン酸モノイソプロポキシカルボニルォキシメチル 2, 4—ジメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 99 gに代えてイソプ 口ポキシカルボニルォキシメチルクロリ ド 1. 5 3 gを用いた以外は化合物 3の 場合と同様にして、 マロン酸モノイソプロポキシカルボニルォキシメチル 8 77 mgを得た。
XH-NMR (CD C 13) δ : 1. 33 ( 6 Η, J = 6. 3 H z , d) , 3. 5 1 (2 H, s) , 4. 93 ( 1 H, m) , 5. 8 1 (2 H, s)
MS (FAB -) : m/ z = 2 19 (M+— 1) 化合物 1 6 : マロン酸モノイソペントキシカルボニルォキシメチル
2, 4—ジメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 99 gに代えてイソべ ントキシカルボニルォキシメチルクロリ ド 1. 8 1 gを用いた以外は化合物 3の 場合と同様にして、 マロン酸モノイソペントキシカルボニルォキシメチル 7 65 mgを得た。
'H-NMR (CD C 13) δ : 0. 94 (6 H, J = 6. 6H z, d) , 1. 5 8 (2 H, m) , 1. 72 ( 1 H, m) , 3. 5 1 (2 H, s) , 4. 25 (2 H, J = 6. 9 Hz , t) , 5. 8 1 (2 H, s)
MS (FAB + ) : m/ z = 249 (M + + 1) 化合物 1 7 : マロン酸モノイソブチルカルボニルォキシメチル
2, 4ージメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 99 gに代えてィソブ チルカルボニルォキシメチルクロリ ド 1. 2 1 gを用いた以外は化合物 3の場合 と同様にして、 マロン酸モノイソブチルカルボニルォキシメチル 1. 2 6 gを得 た。
^-NMR (CD C 13) : 0. 9 7 (6 H, J = 6. 6H z, d) , 2. 1 2 ( 1 H, m) , 2 · 2 6 ( 2 H, J = 7. 3 H z , d) , 3. 49 (2 H, s) , 5. 8 1 (2 H, s)
MS (FAB + ) : m/z = 2 1 9 (M++ 1)
化合物 1 8 : マロン酸モノー 1一ェチルプロピルカルボニルォキシメチル 2, 4—ジメチルベンゾィルォキシメチルクロリ ド 1. 99 gに代えて 1ーェ チルプロピルカルボニルォキシメチルクロリ ド 1. 6 5 gを用いた以外は化合物 3の場合と同様にして、 マロン酸モノ一 1—ェチルプロピルカルボニルォキシメ チル 1. 44 gを得た。
^ NMR (CD C 13) 6 : 0. 89 ( 6 H, J二 7. 3Hz, t ) , 1. 6 0 (4H, m) , 2. 2 8 ( 1 H, m) , 3. 48 (2H, s) , 5. 83 (2 H, s)
MS (FAB" : m/z = 233 (M + + 1 ) 式 ( 1) の化合物を用いたプロドラッグ化合物の中間体の製造例
参考例 1 :
(3 S , 4 S) 一 3— [(R)— 1— —ブチルジメチルシリルォキシ)ェチル] - 4 -[(R)- 1ーメチルー 3—ビバロイルォキシメチルォキシカルボニル一 2 一ォキソプロピル]ァゼチジン一 2—オンの製造
アルゴン雰囲気下において、 (3 S, 4 S) — 3— [(R)— 1— ( t—ブチルジ メチルシリルォキシ)ェチル ]— 4— [(R)— 1—カルボキシェチル]ァゼチジン— 2—オン 3. 0 1 g ( 1 0. Ommo l) のテトラヒドロフラン (3 0mL) 溶液に、 室温において、 1, 1 ' —カルボニルジイミダゾ'一ル 1. 6 3 g ( 1 0. lmmo 1) を加えて、 1時間攪拌し、 (3 S, 4 S) — 3—[(R)— 1— ( t一プチルジメチルシリルォキシ)ェチル ]— 4— [(R)— 2—ィミダゾ一ル一 1 一ィル一 1ーメチル一 2—ォキソェチル]ァゼチジン一 2—オンを含む溶液を調 製した。
別途、 アルゴン雰囲気下において、 マロン酸モノビバロイルォキシメチルエス テル 4. 03 g ( 1 8. 5 mmo 1) のテトラヒドロフラン (30 mL) 溶液に、 室温において、 臭化マグネシウムジェチルエーテル錯体 4. 39 g ( 1 7. Om mo 1) を加えて、 同温度で 30分間攪拌した。 その後、 得られた溶液を、 氷冷 し、 トリェチルァミン 2. 8mL (20. lmmo 1) を滴下して、 室温に昇温
した後、 1時間攪拌して、 マロン酸モノビバロイルォキシメチルエステルのマグ ネシゥム塩を含む懸濁液を調製した。
この懸濁液を先に調製した (3 S, 4 S) — 3— [(R)— 1— (t—プチルジメ チルシリルォキシ)ェチル]一 4—[(R)— 2—イミダゾ一ルー 1一ィル一 1ーメ チル一 2—ォキソェチル]ァゼチジン一 2—オンを含む溶液に、 室温下において 加えて、 3時間攪拌した。 得られた反応混合物を、 酢酸ェチル (240mL) と 0. 5M塩酸 (40mL) の混合液に注ぎ、 攪拌後分液した。 有機層を水、 飽和 重曹水、 および飽和食塩水を順次用いて洗浄した後、 無水硫酸マグネシウムで乾 燥し、 溶媒を減圧留去した。 得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ 一 (へキサン一酢酸ェチル二 3 : 2 v/v) により精製して、 標題化合物 3. 6
4 gを淡黄色油状物として得た (収率 80%) 。
XH NMR (ppm, 40 OMH z , CD C 13) : 1 1. 79 (s , 0. 3
H) , 6. 2 6 (b r , 0. 3 H) , 6. 2 0 (b r 5 0. 7 H) , 5. 7 7 (s, 0. 6 H) , 5. 72 (AB q, J = 7. 8 Hz, 1. 4H) , 5. 0
5 (s, 0. 3 H) , 4. 1 3 (m, 1 H) , 3. 88 (d d, J = 4. 9, 2. 4H z , 0. 7 H) , 3. 76 (d, J = 6. 6 H z , 0. 3 H) , 3. 5 3
(s, 1. 4 H) , 2. 9 1 (m, 0. 7 H) , 2. 87 (m, 1 H) , 2. 3 8 (m, J = 6. 8Hz, 0. 3 H) , 1. 06 - 1. 2 1 (m, 15 H) , 0. 82 (s, 9H) , 0. 02 (s, 6H) .
MS (FAB) m/z 458 (M + H) + 参考例 2 :
マロン酸モノビバロイルォキシメチルエステル 4. 3 6 g (2 0. 0 mmo
I) の無水ァセトニトリル溶液に、 水冷下、 無水塩化マグネシウム粉末 2. 86 g (30. Ommo l) を加え、 1 0分間撹拌した。 この懸濁液に、 氷冷下、 ト リエチルァミン 4. 2mL (30. 1 mmo 1) を 10分間かけて滴下し、 次い で、 水浴を除去して、 この懸濁液を 1 5分間撹拌した。 この懸濁液に、 別容器で、
(3 S, 4 S) — 3—[(R)— 1—(t一プチルジメチルシリルォキシ)ェチル]— 4— [(R)— 1—カルボキシェチル]ァゼチジン一 2—オン 3. 02 g ( 1 0. 0
mmo 1 ) 、 N, N—カルボ二ルジィミダゾ一ル 1. 67 g ( 10. 3 mmo
1) 、 およびァセトニトリル ( 15mL) を用いて調製したイミダゾリ ド溶液を 加え、 30°Cに加温して 4. 5時間撹拌した。 得られた反応混合物を減圧濃縮し た後、 残渣に酢酸ェチル (8 OmL) を加え、 2mo 1ZL塩酸 (3 OmLx
2) 、 飽和重曹水 (3 OmLx 2) 、 および飽和食塩水 (3 OmL) を順次用い て洗浄し、 (3 S, 4 S) _ 3— [(R)— 1ー( t—プチルジメチルシリルォキ シ)ェチル]一 4— [(R)— 1ーメチルー 3一ビバロイルォキシメチルォキシカル ボニルー 2—ォキソプロピル]ァゼチジン一 2—オン 4. 07 g (反応収率 89 %, ( (3 S, 4 S) _ 3— [(R)— 1— ( t—プチルジメチルシリルォキシ)ェ チル]— 4—[(R)— 1—カルボキシェチル]ァゼチジン一 2—オンからの収 率) ) を含む酢酸ェチル溶液を得た。