明細書
肝虚血再灌流傷害の予防及び z又は治療のための医薬並びに移植肝臓の保護剤 技術分野
本発明は、 ピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、 又はそれ らの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む肝虚血再灌流傷害の予防及び
Z又は治療のための医薬並びに移植肝臓の保護剤に関する。 背景技術
肝内大血管、 特に肝静脈根部や下大静脈に腫瘍の浸潤や圧排が見られるような 肝悪性腫瘍は、 その切除中に血管損傷による大量出血の危険がある。 そのため、 この様な症例に対して肝切除術を施す場合、 肝臓の流入血管である門脈、 肝動脈 のみならず、 流出血管である下大静脈のコントロールを行う全肝阻血が必要とさ れる。 全肝阻血を in situで行う方法としては、 Pringle法 (一時的肝門脈全血 行遮断) が代表的である。 Pringle法による術後肝機能障害や肝移植における移 植後早期の肝不全 (primary graft non-function) などは虚血再灌流 (以下、 I /Rと略すことがある。 ) 傷害と呼ばれている。 I /R傷害は肝移植又は腫瘍切 除のような肝臓外科手術において顕著な病態を呈し、'死亡原因となることが広く 認識されており (Ikeda, T., et al. , Hepatology, 16 (2) , 454, 1992)、 臨床上 極めて重大な問題である。
虚血は、 一般に、 臓器が体温に近い温度に置かれて血液による栄養や酸素など の補給がない状態である 「温虚血」 と、 臓器が冷保存液 (例えば University of Wisconsin (UW) 液) に浸され、 栄養などの補給がない状態である 「冷虚血」 力 ある。 臓器移植においては冷虚血のみならず、 臓器の摘出や移植中の温虚血でも 移植後の再灌流によって傷害が発生する。 また、 温 I /R傷害の主要部位は肝細 胞であり、 冷 I ZR傷害の主要部位は類洞内皮細胞であるという報告もある (Ikeda, T. , et al. , Hepatology, 16 (2) , 454, 1992)。
虚血状態になった組織では、 細胞内のミトコンドリアで AT Pが分解されてヒ ポサンチンになる。 そこに再灌流で酸素が供給されるとキサンチンォキシダーゼ の作用でヒポキサンチンがキサンチンに変化し、 その過程で酸素からスーパーォ キシドが生じて活性酸素 (反応性酸素種; R O S ) による組織障害が始まるとさ れている。 また、 そのような虚血の組織には、 しばしば好中球の湿潤があり、 好 中球の放出する活性酸素もまた組織障害を助長する結果となる。 従って、 I /R 傷害が引き金となる組織生理学的ィベントの多くは活性酸素の産生に媒介されて おり、 活性酸素は直接に細胞障害を引き起こし、 細胞の死滅や炎症を制御する細 胞応答の活性化においてセカンドメッセンジャーとして働く (Kumamoto, Y., et al. , Hepatology, 30 (6), 1454, 1999; Cutrin, JC. , et al. , Hepatology, 31 (3) , 622, 2000)。
これまで、 再灌流された器官に外部から抗酸化物質 (フリーラジカルスカベン ジャー) を送達する方法が、 スーパーォキシドジスムターゼゃカタラーゼなどの 酵素を用いて試みられた (Chavez- Cartaya, R., et al. , Tranpl. Int. , 12 (3) , 213, 1999; Yabe, Y. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. , 289 (2) , 1176, 1999)。 し力 しながら、 このアプローチは酵素が不安定であることと、 活性酸素 が作用する細胞内部位への酵素の送達が不十分であるために限界があった。 また 他の方法として、 上記酵素遺伝子を標的細胞に導入してタンパク質の発現を増加 させる遺伝子治療も行われている (Lehamann, TG. et al. , Hepatology, 32 (6) , 1255, 2000) 。 し力 しながら、 上記方法はいずれも、 いくらかは満足すべき結果 を達成しているものの、 現在医療現場では方法の複雑さや倫理上の問題を含む 種々の要因のために用いることができない。 よって、 活性酸素が肝 I ZR傷害を もたらす原因となっていることが示唆されているにも関わらず、 これまで臨床現 場では信頼性の高い抗酸化治療方法が利用できなかった。
一方、 下記の一般式 ( I ) :
03 07477
(式中、 R1は水素原子、 ァリール、 炭素数 1〜 5のアルキル又は総炭素数 3〜 6のアルコキシカルポニルアルキルを表し、 R2は、 水素原子、 ァリールォキシ、 ァリールメルカプト、 炭素数 1〜5のアルキル又は 1〜3のヒ ドロキシアルキル を表し、 あるいは、 R1及ぴ R2は、 共同して炭素数 3〜 5のアルキレンを表し、 R3は水素原子、 炭素数 1〜 5のアルキル、 炭素数 5〜 7のシクロアルキル、 炭 素数 1〜 3のヒドロキシアルキル、 ベンジル、 ナフチル又はフエニル、 又は炭素 数 1〜5のアルコキシ、 炭素数 1〜3のヒドロキシアルキル、 総炭素数 2〜5の アルコキシカルボニル、 炭素数 1〜 3のアルキルメルカプト、 炭素数 1〜4のァ ルキルァミノ、 総炭素数 2〜8のジアルキルァミノ、 ハロゲン原子、 トリフノレオ ロメチル、 カルボキシル、 シァノ、 水酸基、 ニトロ、 ァミノ、 及びァセトアミ ド からなる群から選ばれる同一若しくは異なる 1〜 3個の置換基で置換されたフエ ニルを表す。 )
で表されるピラゾロン誘導体については、 医薬の用途として、 脳機能正常化作用 (特公平 5— 3 1 5 2 3号公報) 、 過酸化脂質生成抑制作用 (特公平 5— 3 5 1 2 8号公報、 例 1の化合物) 、 抗潰瘍作用 (特開平 3— 2 1 5 4 2 5号公報) 、 及ぴ血糖上昇抑制作用 (特開平 3— 2 1 5 4 2 6号公報) 等が知られている。 また、 上記式 (I ) の化合物のうち、 3—メチルー 1一フエ二ルー 2—ピラゾ リン一 5—オンを有効成分とする製剤は、 2 0 0 1年 6月以来、 脳保護剤 (一般 名 「エダラボン」 、 商品名 「ラジカット」 :三菱ゥエルファーマ株式会社製造' 販売) として上市されている。 この 「エダラボン」 は、 活性酸素に対して高い反 応性を有することが報告される (Kawai, H. , et al. , J. Phamacol. Exp. Ther. , 281 (2) , 921, 1997; Wu, TW. et al. , Life Sci, 67 (19) , 2387, 2000)。 このよ
うに、 エダラボンは活性酸素をはじめとする種々のフリーラジカルを消去するこ とで、 細胞障害などを防ぐ働きをするフリーラジカルスカベンジャーである。 し かしながら、 ェダラボンが肝 I /R傷害に対して有効であるか否かについては従 来全く報告がない。 発明の開示
本発明の課題は、 肝虚血再灌流傷害、 特に肝温虚血再灌流傷害の予防及び Z又 は治療に有用な医薬並びに移植肝臓の保護剤を提供することにある。
本発明者らは、 上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、 式 (I ) で示 されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水 和物若しくは溶媒和物が、 肝温虚血モデルを用いた再灌流において肝臓障害を顕 著に改善することを見出した。 本発明は上記の知見を基にして完成された。
即ち、 本発明によれば、 下記式 ( I ) で示されるピラゾ口ン誘導体若しくはそ の生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分と して含む肝虚血再灌流傷害の予防及び Z又は治療のための医薬並びに移植肝臓の 保護剤が提供される。
(式中、 R1は、 水素原子、 ァリール基、 炭素数 1〜 5のアルキル基又は総炭素 数 3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基を表わし; R2は、 水素原子、 ァリ ールォキシ基、 ァリールメルカプト基、 炭素数 1〜 5のアルキル基又は炭素数 1 〜3のヒドロキシアルキル基を表し;あるいは、 R1及び R2は、 共同して炭素数 3〜5のアルキレン基を表わし; R3は、 水素原子、 炭素数 1〜 5のアルキル基、 炭素数 5〜 7のシクロアルキル基、 炭素数 1〜3のヒ ドロキシアルキル基、 ベン
ジル基、 ナフチル基、 フエニル基、 又は炭素数 1〜 5のアルキル基、 炭素数 1〜 5のアルコキシ基、 炭素数 1〜 3のヒドロキシアルキル基、 総炭素数 2〜5のァ ルコキシカルボニル基、 炭素数 1〜 3のアルキルメルカプト基、 炭素数 1〜4の アルキルアミノ基、 総炭素数 2〜 8のジアルキルアミノ基、 ハロゲン原子、 トリ フルォロメチル基、 カルボキシル基、 シァノ基、 水酸基、 ニトロ基、 アミノ基及 ぴァセトアミド基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる 1〜 3個の置換基 で置換されたフエ二ル基を表す。 )
本発明の好ましい態様によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体が 3— メチル一 1一フエ二ルー 2—ピラゾリン _ 5—オン若しくはその生理学的に許容 される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物である上記医薬が提供される。 本発明のもう 1つの好ましい態様によれば、 肝虚血再灌流傷害が肝温虚血再灌 流傷害である上記医薬が提供される。
本発明の別の側面によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若しくはそ の生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分と して含む移植肝臓の保護剤が提供される。 保護剤が提供される場合の好ましい態 様によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体が 3—メチルー 1一フエニル 一 2—ピラゾリン一 5—オン若しくはその生理学的に許容される塩、 又はそれら の水和物若しくは溶媒和物である保護剤が提供される。 保護剤が提供される場合 の別の好ましい態様によれば、 保存液の形態である保護剤が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若し くはその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の予防 及ぴ Z又は治療有効量をヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、 肝虚血再灌 流傷害の予防及び/又は治療方法が提供される。 本発明のさらに別の側面によれ ば、 上記医薬や保護剤の製造のための式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若し くはその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用 が提供される。
図面の簡単な説明
図 1は、 灌流後 1 2 0分間の門脈フローの変化を示す。
図 2は、 灌流後 1 2 0分間のァラニントランスフェラーゼ (ALT)の変化を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明の肝虚血再灌流傷害の予防及び/又は治療のための医薬並びに移植肝臓 の保護剤 (以下、 本発明の医薬及ぴ保護剤と略すことがある。 ) は、 本明細書に 定義する式 (I ) で示されるピラゾロン誘導体若しくはその生理学的に許容され る塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む。
本発明で用いる式 (I ) で示される化合物は、 互変異性により、 以下の式 (I ' ) 又は ( ' ) で示される構造をもとりうる。 本明細書の式 (I ) には、 便宜 上、 互変異性体のうちの 1つを示したが、 当業者には下記の互変異性体の存在は 自明である。 本発明の医薬及び保護剤の有効成分としては、 下記の式 (1 ' ) 又 は (1 " ) で表される化合物若しくはその生理学的に許容される塩、 又はそれら の水和物若しくは溶媒和物を用いてもよい。
式 (I ) において、 R
1の定義におけるァリール基は単環性又は多環性ァリー ル基のいずれでもよい。 例えば、 フエニル基、 ナフチル基などのほか、 メチル基、 ブチル基などのアルキル基、 メトキシ基、 ブトキシ基などのアルコキシ基、 塩素 原子などのハロゲン原子、 又は水酸基等の置換基で置換されたフエニル基等が挙
げられる。 ァリール部分を有する他の置換基 (ァリールォキシ基など) における ァリール部分についても同様である。
R\ R2及ぴ R3の定義における炭素数 1〜5のアルキル基は直鎖状、 分枝鎖状 のいずれでもよい。 例えば、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 sec—プチル基、 tert—ブチル基、 ペンチル基等が挙 げられる。 アルキル部分を有する他の置換基 (アルコキシカルボニルアルキル 基) におけるアルキル部分についても同様である。
R1の定義における総炭素数 3〜6のアルコキシカルボニルアルキル基としては、 メ トキシカルボニルメチル基、 ェトキシカルポニルメチル基、 プロポキシ力/レポ ニルメチル基、 メ トキシカルボニルェチル基、 メ トキシカルボニルプロピル基等 が挙げられる。
R2の定義におけるァリールォキシ基としては、 p—メチルフエノキシ基、 p —メ トキシフエノキシ基、 P—クロロフエノキシ基、 p—ヒ ドロキシフエノキシ 基等が挙げられ、 ァリールメルカプト基としては、 フエ二ルメルカプト基、 p— メチルフエ二ルメルカプト基、 p—メ トキシフエ二ルメルカプト基、 p—クロ口 フエ-ルメルカプト基、 p—ヒドロキシフエ二ルメルカプト基等が挙げられる。
R2及び R3の定義における炭素数 1〜3のヒドロキシアルキル基としては、 ヒ ドロキシメチル基、 2—ヒドロキシェチル基、 3—ヒ ドロキシプロピル基等が挙げ られる。 R3の定義における炭素数 5〜7のシクロアルキル基としては、 シクロべ ンチル基、 シクロへキシル基、 シクロへプチル基等が挙げられる。
R3の定義において、 フエニル基の置換基における炭素数 1〜5のアルコキシ基 としては、 メ トキシ基、 エトキシ基、 プロポキシ基、 イソプロポキシ基、 ブトキ シ基、 ペンチルォキシ基等が挙げられ、 総炭素数 2〜5のアルコキシカルボニル 基としては、 メ トキシカルボニル基、 エトキシカルボ-ル基、 プロポキシカルボ ニル基、 ブトキシカルボニル基等が挙げられ、 炭素数 1〜3のアルキルメルカプ ト基としては、 メチルメルカプト基、 ェチルメルカプト基、 プロピルメルカプト 基等が挙げられ、 炭素数 1〜4のアルキルアミノ基としては、 メチルァミノ基、
ェチルァミノ基、 プロピルアミノ基、 ブチルァミノ基等が挙げられ、 総炭素数 2
〜8のジアルキルアミノ基としては、 ジメチルァミノ基、 ジェチルァミノ基、 ジ プロピルァミノ基、 ジブチルァミノ基等が挙げられる。
本発明の医薬及び保護剤の有効成分として好適に用いられる化合物 (I ) とし て、 例えば、 以下に示す化合物が挙げられる。
3—メチル一 1一フエ二ルー 2—ビラゾリンー 5—オン;
3—メチルー 1— ( 2—メチルフエニル) 一 2—ピラゾリンー 5—オン; 3 - -メチルー 1一 ( 3—メチルフエ-ル) 一 2 _ピラゾリン一 5—オン; 3—メチル一 1 一 (4一メチルフエニル) 一 2—ピラゾリン一 5—オン; 3—メチノレ一 1一 (3, 4—ジメチノレフエニノレ) 一 2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1 一 (4一ェチルフエニル) _ 3—メチルー 2—ピラゾリン _ 5—オン; 3—メチノレー 1一 (4一プロピルフエ二ノレ) 一 2—ピラゾリン一 5—オン; 1 - ( 4一プチ/レフェニル) — 3—メチノレ一 2—ピラゾリンー 5—オン; 1— ( 3—トリフルォロメチルフエニル) 一 3—メチル一 2—ピラゾリン _ 5 一オン;
1 - ( 4一トリフルォロメチルフエエル) 一 3—メチル一 2—ピラゾリン一 5 —オン;
1— ( 2—メ トキシフエ-ル) 一3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1— ( 3—メ トキシフエニル) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1 - ( 4ーメ トキシフエニル) _ 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 ( 3 , 4ージメ トキシフエニル) 一 3—メチル _ 2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1― ( 4ーェトキシフエニル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 3—メチルー 1一 ( 4一プロポキシフエニル) 一 2—ピラゾリン一 5—才ン; 1一 (4一ブトキシフエニル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1 一 ( 2—クロ口フエ二ル) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1— ( 3—クロ口フエニル) 一 3—メチノレ一 2—ピラゾリン _ 5—オン; 1— ( 4—クロ口フエ-ル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1 - ( 3 , 4ージクロ口フエ二ル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1一 (4一ブロモフエニル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1— ( 4一フルオロフェニル) 一 3—メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1 - ( 3—クロロー 4—メチルフエニル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5 一オン;
1— ( 3—メチルメルカプトフエニル) 一 3—メチル _ 2—ピラゾリン一 5— オン;
1 - ( 4ーメチルメルカプトフエニル) 一 3—メチル一 2—ピラゾリン一 5— オン;
4一 (3—メチル _ 5 _ォキソ一 2—ピラゾリンー1一ィル) 安息香酸; 1― ( 4ーェトキシカルボ-ルフエニル) 一 3—メチル一 2—ピラゾリン一 5 一オン;
1一 ( 4—二トロフエ-ル) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5—オン; 3ーェチル一 1一フエ二ルー 2—ビラゾリン一 5—オン;
1—フエ二ノレ一 3一プロピル一 2—ピラゾリンー 5—オン;
1 , 3—ジフエ二ルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
3—フエ二ルー 1一 ( p—トリル) 一 2—ピラゾリン一 5—オン;
1一 ( 4ーメ トキシフエニル) 一 3—フエ二ルー 2—ビラゾリンー 5—オン; 1― ( 4一クロ口フエ二ノレ) 一 3—フエ二ノレ一 2—ピラゾリン一 5—オン ; 3 , 4—ジメチノレー 1一フエニノレー 2—ビラゾリンー 5 _オン;
4ーィソブチルー 3—メチルー 1一フエニノレー 2—ピラゾリンー 5—オン;
4一 (2—ヒ ドロキシェチル) 一 3—メチル一 1一フエエル一 2—ピラゾリン 一 5一オン;
3—メチノレー 4一フエノキシ一 1一フエ二ノレ一 2—ビラゾリン一 5—オン;
3—メチル一4一フエエルメルカプト一 1—フエニル一 2—ピラゾリン一 5 - オン;
3, 3,, 4 , 5 , 6 , 7—へキサヒドロ一 2—フエ二ルー 2 H—インダゾール 一 3一オン;
3— (エトキシカルボニルメチル) 一 1—フエニル _ 2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1一フエニノレー 2—ピラゾリン一 5—オン;
3—メチル _ 2—ビラゾリンー 5—オン;
1 , 3—ジメチルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1—ェチルー 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1ーブチルー 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1一 (2—ヒドロキエチル) 一 3 _メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1ーシク口へキシノレ一 3—メチル一 2—ビラゾリン一 5—オン;
1一べンジルー 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1一 (α—ナフチル) 一3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン;
1一メチル一3—フエ二ルー 2—ピラゾリンー 5—オン;
3—メチル一 1一 ( 4—メチルフエニル) 一 2—ビラゾリンー 5—オン; 1一 (4一ブチルフエ二ノレ) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (4ーメトキシフエニル) 一 3—メチル一2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (4一ブトキシフエニル) 一 3—メチル _ 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 ( 4—クロ口フエ二ノレ) - 3ーメチノレー 2—ビラゾリン一 5—オン; 1一 ( 4ーヒドロキシフエ二ノレ) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン; 1一 (3, 4—ジヒドロキシフエニル) 一 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5— オン;
1— ( 2—ヒドロキシフエ-ル) 一3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン 1 一 (3—ヒドロキシフエェノレ) _ 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—オン 1一 ( 4—ヒドロキシフエ-ノレ) 一 3—メチルー 2—ピラゾリンー 5—オン
1一 (3, 4—ヒドロキシフエニル) 一 3—メチル一2—ビラゾリンー 5—ォ ン;
1一 (4—ヒ ドロキシフエ二ノレ) 一 3—フエニノレー 2 _ピラゾリン一 5—ォ ン;
1一 (4—ヒドロキシメチノレフエニル) 一 3—メチノレ _ 2—ピラゾリン一 5— オン;
1 - ( 4ーァミノフエニル) 一 3—メチノレー 2—ビラゾリン _ 5—オン; 1一 ( 4ーメチルァミノフエニル) 一 3—メチル一2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1― ( 4ーェチルァミノフエ二ノレ) 一 3 _メチル一 2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1一 (4一プチルァミノフエ-/レ) 一 3—メチノレー 2—ピラゾリン一 5—ォ ン;
1 - ( 4—ジメチルァミノフエニル) _ 3—メチルー 2—ピラゾリン一 5—才 ン;
1 - (ァセトアミドフエニル) 一 3—メチル _ 2—ビラゾリンー 5 _オン; 及び 1 - ( 4一シァノフエニル) _ 3—メチル一2—ビラゾリン一 5—オン 本発明の医薬及び保護剤の有効成分としては、 式 (I ) で表される遊離形態の 化合物のほか、 生理学的に許容される塩を用いてもよい。 生理学的に許容される 塩としては、 塩酸、 硫酸、 臭化水素塩、 リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン 酸、 ρ—トルエンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸、 酢酸、 グリコール酸、 グル クロン酸、 マレイン酸、 フマノレ酸、 シユウ酸、 ァスコルビン酸、 クェン酸、 サリ チル酸、 ニコチン酸、 酒石酸等の有機酸との塩;ナトリウム、 カリウム等のアル カリ金属との塩;マグネシウム、 カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アン モニァ、 トリス (ヒドロキシメチル) ァミノメタン、 N, N—ビス (ヒドロキシェ チル) ピぺラジン、 2—アミノー 2—メチルー 1—プロパノール、 エタノールァ
ミン、 N—メチルグルタミン、 L—グルタミン等のァミンとの塩が挙げられる。 ま た、 グリシンなどのアミノ酸との塩を用いてもよい。
本発明の医薬及び保護剤の有効成分としては、 上記式 (I ) で表される化合物 若しくはその生理学的に許容される塩の水和物、 又は上記式 (I ) で表される化 合物若しくはその生理学的に許容される塩の溶媒和物を用いてもよい。 溶媒和物 を形成する有機溶媒の種類は特に限定されないが、 例えば、 メタノール、 ェタノ ール、 エーテル、 ジォキサン、 テトラヒドロフランなどを例示することができる。 また、 上記式 (I ) で表される化合物は、 置換基の種類により 1以上の不斉炭素 を有する場合があり、 光学異性体又はジァステレオ異性体などの立体異性体が存 在する場合がある。 本発明の医薬及び保護剤の有効成分としては、 純粋な形態の 立体異性体、 立体異性体の任意の混合物、 ラセミ体などを用いてもよい。
式 (I ) で表される化合物はいずれも公知の化合物であり、 特公平 5— 3 1 5 2 3号公報などに記載された方法により当業者が容易に合成できる。
本発明の医薬及び保護剤の投与量は特に限定されないが、 通常は、 有効成分で ある式 (I ) で示される化合物の重量として一般に経口投与の場合には一日あた り 0.:!〜 1000mg/kg体重、 好ましくは一日あたり 0. 5〜50mg/kg体重であり、 非経 口投与の場合には一日あたり 0. 01〜100mg/kg体重、 好ましくは 0.:!〜 10mg/kg体 重である。 上記投与量は 1日 1回又は 2〜3回に分けて投与するのが好ましく、 年齢、 病態、 症状により適宜増減してもよい。
本発明の保護剤を保存液として用いる場合の有効成分である式 (I ) の含有量 は、 移植肝臓の状態や大きさ、 患者 (移植者、 被移植者) の症状、 体重、 年齢や 性別等を考慮して適宜決定すればよいが、 1 0— 9〜1 0 _4Mとすることが望ま しい。
本発明の医薬及び保護剤としては、 上記一般式 (I ) で表される化合物若しく はその生理学的に許容される塩、 又はそれらの水和物若しくは溶媒和物をそのま ま投与してもよいが、 一般的には、 有効成分である上記の物質と薬理学的及び製 剤学的に許容される添加物を含む医薬組成物を調製して投与することが好ましい。
薬理学的及ぴ製剤学的に許容しうる添加物としては、 例えば、 賦形剤、 崩壌剤 ないし崩壌補助剤、 結合剤、 滑沢剤、 コーティング剤、 色素、 希釈剤、 基剤、 溶 解剤ないし溶解補助剤、 等張化剤、 p H調節剤、 安定化剤、 噴射剤、 及び粘着剤 等を用いることができる。
経口投与に適する医薬組成物には、 添加物として、 例えば、 ブドウ糖、 乳糖、 D—マン-トール、 デンプン、 又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチ ノレセルロース、 デンプン、 又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊 剤又は崩壊補助剤; ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチル セルロース、 ポリビュルピロリ ドン、 又はゼラチン等の結合剤; ステアリン酸マ グネシゥム又はタルク等の滑沢剤; ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 白糖、 ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、 流動パ ラフィン、 ポリエチレンダリコール、 ゼラチン、 カオリン、 グリセリン、 精製水、 又はハードフアツト等の基剤を用レ、ることができる。
注射あるいは点滴用に適する医薬組成物には、 注射用蒸留水、 生理食塩水、 プ 口ピレンダリコール等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は 溶解補助剤;ブドウ糖、 塩ィヒナトリウム、 D—マンニトール、 グリセリン等の等 張化剤;無機酸、 有機酸、 無機塩基又は有機塩基等の p H調節剤等の添加物を用 いることができる。
本発明の医薬及び保護剤の形態は特に限定されず、 当業者に利用可能な種々の 形態をとることができる。 経口投与に適する医薬として、 例えば、 固体の製剤用 添加物を用いて錠剤、 散剤、 顆粒剤、 硬ゼラチンカプセル剤、 坐剤、 又はトロー チ剤などを調製することができ、 液状の製剤用添加物を用いてシロップ剤、 乳剤、 軟ゼラチンカプセル剤などを調製することができる。 また、 非経口投与に適する 医薬として、 注射剤、 点滴剤、 吸入剤、 坐剤、 経皮吸収剤、 経粘膜吸収剤などを 調製することができる。 なお、 上記の式 (I ) の化合物を有効成分とする脳保護 剤 (点滴剤) 、 すでに臨床において使用されているので (一般名 「エダラボ ン」 、 商品名 「ラジカット」 :三菱ゥエルファーマ株式会社製造'販売) 、 本発
明の肝虚血再灌流傷害の予防 ·治療剤及び移植肝臓の保護剤として、 上記市販製 剤をそのまま用いることができる。
本発明の保護剤を保存液の形態として用いる場合には、 添加物として、 例えば、 生理食塩水、 リン酸緩衝生理食塩水、 クェン酸緩衝液などの生理的に許容される 緩衝液や等張化液を用いることができる。 また従来より移植用臓器の保存液とし て臨床的に用いられているユーロ ·コリンズ液 (最終調製液 100 ml 中に下記の 組成を含む: リン酸一水素力リウム 740 mg ; リン酸ニ水素力リウム 205 mg ; 塩 化力リゥム 112mg ; 炭酸水素ナトリウム 84 mg ; およぴブドウ糖 3. 5 g) ゃ而 液 (例えば、 「ビアスパン」 として市販されている。 最終調製液 1000 ml中に 下記の組成を含む:ペンタフラクション 50 g ; ラタトビオン酸 35. 83 g ; リン 酸二水素カリウム 3. 4g; 硫酸マグネシウム 1. 23 g ; ラフイノース 17. 83 g; ァ デノシン 1. 34 g; ァロプリノール 0. 136 g ; 還元型グルタチオン 0. 922 g; 水 酸化力リウム, 適量;水酸化ナトリウム, pH 7. 4に調整) などと併用すること も可能である。 さらにグリシン、 α—ケトグルタミン酸、 ヒドロキシェチルスタ ーチなどを配合することもできる。 上記有効成分の濃度は特に限定されないが、 グリシン、 α—ケトグルタミン酸の場合には、 一般的に 0· 1〜10 程度の範囲、 好ましくは 2 ηιΜ程度であり、 ヒドロキシェチルスターチの場合、 一般的には 3 〜7. 5%程度の範囲、 好ましくは約 5%程度である。 なお、 既に述べたようにエダ ラボンの点滴剤が巿販されているので、 この巿販製剤をそのまま用いることもで きる。
本発明の医薬及び保護剤は、 肝虚血再灌流傷害、 好ましくは肝温虚血再灌流傷 害に有効である。 すなわち、 本発明の医薬及び保護剤は、 肝虚血再灌流傷害を防 止する予防剤としての作用、 及び肝虚血再灌流傷害を正常な状態に回復させる治 療剤としての作用を有している。
本明細書において 「肝虚血」 とは、 肝臓への血流が遮断または低下することに よって肝細胞に酸素欠乏と栄養障害が起こり、 肝機能が障害され、 ついには変性、 壊死などを呈する状態をいう。 力かる肝虚血としては、 例えば、 肝臓 (その一部
も含む) 摘出や移植の際に、 肝臓の温度を体温に近い温度 (3 7 °C付近) に維持 したまま肝門部などの血流を遮断することによってもたらされる 「温虚血」 、 お よび冷保存液に摘出した肝臓を保存することによってもたらされる 「冷虚血」 力 S ある力 本発明はこれらの両方を含む。 また、 本明細書において 「肝虚血再灌 流」 とは、 虚血状態になった肝臓に再灌流することをいい、 「肝虚血再灌流傷 害」 とは該再灌流によって誘導される傷害をいう。 特に、 本明細書において 「肝 温虚血再灌流」 とは、 上記の 「温虚血」 状態になった肝臓に再灌流することいい、 「肝温虚血再灌流傷害」 とは、 該再灌流によって誘導される傷害をいう。 これら の用語は、 上記の定義に合致するかぎり最も広義に解釈されるべきである。 肝 虚血再灌流傷害としては、 具体的には肝微小循環障害、 肝組織障害、 術後肝機能 障害、 移植後早期の肝不全 (primary graft non-function) などが挙げられる。 なお、 肝温虚血再灌流傷害に相当する疾患であるか否かは熟練した医師ならば容 易に診断可能である (例えば Ralf, Μ· , et al. , Journal of Molecular
Medicine, 77, 577 - 596, 1999、 Ikeda, T. et al. , Hepatology, 16, 454, 1992 本発明の医薬及び保護剤の投与経路は特に限定されず、 経口的又は非経口的に 投与することができる。 例えば、 肝虚血再灌流に先立って予防的に本発明の医薬 及び保護剤を経口投与しておくことができ、 注射若しくは点滴などの非経口的投 与によって肝虚血再灌流中又はその前後に予防的に投与することもできる。 例え ば、 肝臓の血流を一時的に低下させる、 あるいは遮断する手技を伴う手術に先立 つて経口的又は非経口的に投与しておくことが好ましい。 また、 肝虚血再灌流傷 害を発症した患者に ¾fしては、 症状の悪化の防止ないしは症状の軽減などを目的 として、 静脈内、 動脈内、 又は心臓内に注射により投与することもできる。
本発明の保護剤を保存液として用いる場合には、 摘出した移植肝臓を上述した 添加物を含んだ態様の上記式 (I ) を含む溶液に浸漬し移植時まで保存すればよ レ、。 摘出した移植肝臓を初期洗浄操作に付した後に上記保存液に浸漬することが
好ましいが、 このような初期洗浄に保存液を用いてもよい。 また、 移植の直前に 最終的な洗浄を行う際にも保存剤を用いることが可能である。 実施例
以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、 本発明は下記の実施 例により限定されるものではない。 合成例: 3—メチルー 1一フエ-ルー 2 _ピラゾリン一 5—オン (以下、 ェダラ ボンと称す) の合成 エタノール 5 Om 1中にァセト酢酸ェチル 13. O g及び フエニルヒドラジン 10. 8 gを加え、 3時間還流攪拌した。 反応液を放冷後、 析出した結晶をろ取し、 エタノールより再結晶して、 表題の化合物 11. 3 gを 無色結晶として得た。 収率 67 %融点 127. 5〜: L 28. 5°C 実施例 1 :
(実験方法)
( 1 ) 肝温虚血モデルの作成及び再灌流
試験動物として体重 220〜300 gの雄性ウィスターラットを用い、 ベント バルビタールナトリウム (50mg/k g、 静脈投与) にて麻酔し、 肝臓を次の ようにして摘出 (procure)した。 総胆管には薄壁シリコン製のチューブ (0. 3 ram内径、 0. 64 mm外径、 Dow Corning Corp. , Midland, MI)を力ニューレ 挿入し、 門脈には 16—ゲージフッ素樹脂製力ニューレを挿入した。 その後、 肝 臓を乳酸塩リンゲル液で洗浄し、 同溶液中 37 °Cで 1時間保存して温虚血状態に した。
保存後、 肝臓を再循環式灌流システムに設置し、 門脈力-ユーレを通して 2時 間 12 c mH2〇の圧力下で灌流した。 灌流液としては 100 g / 1のヒアル ロン酸 (H A;和光純薬製) 、 60 ;zMタウロコール酸ナトリウムを含む Krebs Henseleit炭酸塩緩衝液 (KHB) 300mlを用いた。 KHB溶液は圧縮酸素
7477 膜内で 95 %02と 5 % C 02の混合ガスに曝すると、 灌流経路内で 500 mmH g以上の部分圧を発生する (Itasaka, H. , et al. , J. Surg. Res., 59(5), 589, 1995) 。 試験動物は 3群 (対照群、 第 1群、 第 2群) に分け、 上記の方法に従つ て、 対照群 (η = 4) は肝摘出後直ちに ΚΗΒ溶液によって灌流し、 第 1群 (η = 5 ) は摘出した肝を 1時間温虚血状態にした後、 ΚΗ Β溶液によつて灌流し、 第 2群 (η = 5) は摘出した肝を 1時間温虚血状態にした後、 lmg/1のエダ ラボン (三菱ゥエルファーマ製) を含む KHB溶液によって灌流した。
(2) 評価方法
①門脈フロー
フロー変換器を備えた電磁極フローメーター (FF— 050T型、 内径 5mm、 日本光電製) によって継続的に測定した。
②総胆汁生産量
灌流期間の後、 測定した。
③ヒアルロン酸 (HA) 量及びァラニントランスフェラーゼ (ALT)量
灌流液を再灌流開始時 (0分) 、 及び再灌流後 5, 1 5, 30, 60及ぴ 1 2
0分に連続的にサンプリングし、 文献 (Itasaka, H. , et al. , J. Surg. Res. , 59(5), 589, 1995) に記載に従ってヒアルロン酸 (HA) 及びァラニントランス フェラーゼ (ALT)量を分析した。
④マロンジアルデヒド (MDA) 量
最灌流後 60分における灌流液中のマロンジアルデヒド (MDA) 量を市販の キット (Lipid Peroxidation assay Kit ; Caloiocnem, san Diego, CA)を用レヽ て分析した。
全ての値は平均値土 S EMで表した。 統計学的有意差を繰り返し試料のための A 0VAと、 2つの群の H Aと MD A量の違いを比較するための Mann— Whitney U テストによって評価した。 Pく 0. 05を有意差ありとした。
光学顕微鏡により再灌流後の肝臓の壊死領域を観察した。
( 3 ) 実験結果
①門脈フロー
図 1に、 灌流後 1 2 0分間の門脈フローの変化を示した。 対照群の門脈フロー は灌流期間を通じてほとんど一定の速度を維持した。 6 0分保存後、 再灌流にお ける門脈フロー速度は対照群の約 7 0 %まで減少し、 その後再灌流 3 0分後まで 徐々に増加した。 第 1群のフロー速度は 3 0分後には減少したが (1 2 0分後に おける対照群の約 4 5 %) 、 第 2群のフロー速度は 6 0分後でも対照群と有意に 異ならなかった (図 1 ) 。
②ヒアルロン酸 (HA) 量及ぴァラエントランスフェラーゼ (A L T)量
類洞内皮細胞の機能を評価する指標である再灌流後 6 0分間におけるヒアルロ ン酸クリアランス速度 (CrHA) は 2つの群で有意差はなかった。 この結果は、 ェ ダラボンによる保護部位が肝細胞であって、 類洞内皮細胞ではないことを示唆す る (Wang, L. , et al. , Transplactation, 62 (9) , 1217, 1996)。
図 2に、 灌流後 1 2 0分間のァラニント 7ンスフェラーゼ (ALT)の変化を示す。 第 1群で観察された時間依存的な A L T値の増加は灌流液へのエダラボンの添加 によつて有意に抑制された。
③総胆汁生産量
再灌流の 1 2 0分間のタゥ口コール酸塩—誘導胆汁生産は第 1群に比べて第 2 群において有意に増加した。
④マロンジアルデヒド (MD A) 量
肝臓細胞膜脂質の過酸化のマーカーである灌流液中の MD A濃度は第 1群より も第 2群において有意に減少した (第 1群: 97. 4± 19. 3. nmol/l/g肝、 第 2群: 29. 7±5. 7nmol/l/g肝、 ρく 0. 05) 。 この灌流液への MD Α放出量の減少は、 再 灌流肝におけるエダラボンのフリ一ラジカル捕獲活性を確実するにするものであ る。
光学顕微鏡による研究では、 中心周囲から中心領域に優先的に観察された肝細 胞壌死が第 2群よりも第 1群においてより顕著であった (第 1群: 38·0±4.6%、 第 2群: 16·4±3.5%、 ρ<0.05) 0
以上の結果を表 1にまとめて示した。
ヒアルロン酸クリアランス、 総胆汁生産、 灌流液中に放出された MDA量、 及び 再灌流後の壊死領域 群 CrHA(i) MDA ) 総胆汁生産 壊死領域
(%) (nmol/1/肝) ( a 1/ε/120分) (%) 第 1群 15.6±2.1 97.4±19.3(3) 3.3 ±0.3 ( 38.0 ±4.6 ) 第 2群 13.9±3·6 29.7±5.7 6.0±0.8 16.4±3.5
> CrHA :灌流後 60分におけるヒアルロン酸のクリアランス率
(2) MDA:灌流後 60分におけるマロンジアルデヒドの量
(3) pく 0.05対第 2群 Mann-Whitney Uテスト 以上の結果より、 エダラボン (lmg/ 1 )の灌流液への添カ卩によって、 門脈 フロー、 ALT値、 灌流液への MD A放出、 総胆汁生産、 組織学的変化 (肝細胞 壊死) が改善されたが、 ヒアルロン酸のクリアランスによって評価される類洞内 皮細胞機能は改善されなかった。 従って、 エダラボンは、 酸ィヒ変化を受けている 主要部位である肝細胞に作用して肝温 I /R傷害の防御効果を発揮すると考えら れる。 産業上の利用の可能性
本発明の医薬及び保護剤は肝虚血再灌流傷害の予防及び Z又は治療に有用であ る。 特に、 本発明の医薬を含む灌流液を肝移植又は腫瘍切除のような肝臓外科手
術において温虚血になった肝臓に再灌流を行う際に用いると、 また本発明の保護 剤を肝移植時に用いると再灌流による機能的 ·組織的肝臓障害を顕著に改善する ことができる。
本出願が主張する優先権の基礎となる出願である特願 2002-172172 の明細書に記載の内容は全て、 本明細書の開示の一部として本明細書中に引用に より取り込むものとする。