糸田
ステ ッ ビングモータ、これを用いた印字装置又は紙送 り 装置 並びにプリ ンタ 技 frT分野
本発明は、 振動及び騒音が低減されるステ ッ ピ ングモー タ 、 及び これを用いた印字装置又は紙送 り 装置並びにプリ ンタ に関する。 背景技術
近年、 入力 された電気パルス に対応 して機械角度を出力する ス テ ツ ピングモ一タ は、 プ リ ンタ 、 ス キャ ナ、 フ ァ ク シ ミ リ 等の複 写機の紙送り やヘッ ド駆動、 ドラ ム駆動等の動力 と して多用 され ている。
特に、 高 トルク 、 高精度が要求される機器には、 モータ を励磁 せずと も永久磁石によ って磁束が形成されるハイ プリ ッ ド型ステ ッ ビングモータ の採用が顕著である。 これは、 この種のステ ツ ピ ングモータ によ る と 、 小型に して高 トルク を出力する動力が康価 に得られ、 更に、 高速、 位置センサ Zエンコーダが不要である こ とから、 制御が容易である と い う利点が歓迎されているためであ る。
例えば、 図 2 9 に示すのは、 ス テ ッ ピングモータの固定子及び 回転子の基本的な構成を示す断面図であ る。 こ のステ ッ ピングモ ータ は、 複数の固定子極 2 1 を有する固定子 2 と 、 これらの固定 子極 2 1 に対 して隙間を介 して配置 した回転子 3 と を備え、 回転 子 3 に一定のピッチで回転子極歯 3 1 を設ける と と も に、 各固定 子極 2 1 に回転子極歯 3 1 と対向する固定子極歯 2 2 を設けてお り 、 各固定子極 2 1 に配置 した固定子コ イ ル 4 をそれぞれ励磁す る こ と によって、 出力軸 5 に ト ルク が生じる よ う に構成されてい る。
また、 近年では、 機器の高速化及び高精度化に伴い、 ステ ツ ピ ングモータ特有のディ テ ン ト トルク に起因するモータ駆動時の振 動や騒音が問題と なってお り 、 これらを如何に低減するかが重要 な課題と なっている。
その対策と しては、 従来よ り 、 固定子極歯の ピッチを回転子極 歯のピッチと異なる よ う に設定する こ と によって、 ディ テ ン ト ト ルク に含まれる高調波を低減する方法が採用 されている。
一般に、 回転子極歯の ピッチを P R、 固定子極歯のピ ッチを P S、 固定子極歯の個数を m とする と き、
P S= P R { l ± l Z (m . v ) }
の関係にある と 、 V 次を含む複数の高調波が低減される こ と が知 られてお り 、 このよ う な構成は、 例えば、 特公平 6 — 1 4 7 7 9 号等に開示されたステ ッ ピングモータ にも採用 されている。
これは、 回転子極歯のピッチ P R に対 して、 固定子極歯のピッ チ P S 力 S
{ P R/ ( m · v ) }
だけ狭く 又は広く なる よ う にずら してやる と、 各固定子極歯毎に 生じるディ テ ン ト トルク の位相が適宜ずれる こ と によ って、 特定 の高調波同士が打ち消 し合 う と い う構成である。
例えば図 3 0 は、 従来のステ ッ ピングモータ における回転子極 歯 3 1 のピッチ P 1 と 、固定子極歯 2 2 のピッチ P 2 と を示す説明 図である。
同図の場合、 一つの固定子極 2 1 には 6個の固定子極歯 2 2 が 設け られてお り 、 固定子極歯 2 2 のピッチ P S は、 3 次高調波を 低減するべく 、 回転子極歯 3 1 の ピッチ P R よ り も ( P R/ 1 8 ) だけ狭く (又は広く ) なる よ う に設定されている。 また、 こ の構 成によ って低減される高調波は、 3 次高調波のみな らず、 3 の倍 数次すなわち 6 , 9 , 1 2次高調波等である。
実際に、 図 3 0 に示すよ う な固定子極 6個を有する固定子と 、
回転子極歯 3 8 個の回転子と を用いて三相モータ を構成 し、 その ディ テ ン ト トルク特性を測定 した と こ ろ、 図 3 1 に示すよ う な結 果が得られた。
更に、 このよ う な測定を、 複数個のモータ を試作して繰 り 返 し、 それらのディ テ ン ト ト ルク特性について高調波の次数を周波数解 析した と ころ、 図 3 2 に示すよ う な結果が得られた。
また、 これに対 して、 固定子極歯の ピッチが回転子極歯のピッ チと 同 じ固定子を用いて同様に構成及び周波数解析した と ころ、 図 3 3 及び図 3 4 に示すよ う な結果が得られた。
そ して、 これらの結果を比較する と 、 固定子極歯の ピッチを図 3 0 に示すよ う に設定したものでは、 6 次高調波や 1 2 次高調波 が顕著に低減されている こ と が確認された。
尚、 これらの図において、 1 次、 2 次高調波のばらつき は、 固 定子及び回転子の寸法誤差や回転軸の偏心等に起因する もの と考 え られる。
と ころで、 前述 したよ う なステ ッ ピングモータ にあっては、 各 次数の高調波の振幅がそれぞれ 0 g c mに近いほ ど振動や騒音が 少ない と される。
また、 位相が異なる固定子極毎に生 じる高調波は、 互いに弱め あった り 強めあった り するので、 特に問題と なるディ テ ン ト ト ル ク の次数は、その相数や固定子極数によって決ま る と されている。
こ の点、 三相モータであれば、 4次高調波は三相構造の レイ ァ ゥ ト によ り キャ ンセルされて しま う ので、 特に問題と なるのは 6 次高調波である と されてお り 、 前述 したよ う な固定子極歯のピッ チの設定は、 このよ う な条件に対応してなされている。
しかしなが ら、 実際には、 このよ う な構成によ って十分な静粛 性を実現するのは非常に困難であった。
すなわち、 相間や固定子極間の レイ ァ ゥ ト によ る効果を得よ う とする場合は、 モータ の部品製造や組み立て工程における精度の
制約が極めて厳密にな り 、 結果的に、 僅かな寸法 差によ り 十分 な効果が得られな く なって しま う ためである。
これは、 図 3 1 乃至図 3 4 において、 理論上 6 次高調波よ り も 問題と されないはずの 4 次高調波等が大き く 現れている こ とから も確認される。
そ こで発明は、 以上の問題点に鑑みて、 ディ テン ト ト ルク の高 調波を効率よ く 低減し、 よ り 静かで滑らかな回転が得られるステ ッ ビングモータ を提供する こ と を 目的と している。
と こ ろで、 前述 したよ う に、 ステ ッ ピングモータの駆動時にあ つては、 ディ テン ト トルク を低減若し く は消去する こ と によ り 、 不要な振動及び騒音を低減する よ う に している。
こ のディ テ ン ト トルク と は、 すなわち回転子に永久磁石等を設 ける こ と によ って、 固定子コイル等を励磁しな く と も回転子を一 定の位置に保持 しょ う とする トルク であって、 所謂スティ フネス 特性で示される よ う な静止 トノレク と は区別される。
図 2 9 に示す固定子 2 及び回転子 3 の場合、 回転子 3 の要所に は永久磁石が配置されてお り 、 ディ テ ン ト ト ルク は、 固定子極 2 1 の各固定子極歯 2 2 と 回転子 3 の回転子極歯 3 1 の間に存在 し モータ全体と しては、 各極歯間に存在するディ テ ン ト トルク を合 成したもの と なる。 すなわち、 周方向に対して位相が異なる固定 子極歯 2 2 と 回転子極歯 3 1 と の間で生じるディ テン ト トルク が 互いに打ち消 し合 う よ う に構成されている。
前述したディ テ ン ト トルク は、 一つの固定子極歯においては、 回転子極歯のピ ッチと 同 じ周期の正弦波形で表される も のの、 実 際には、 更にその高調波成分を含むので、 図 3 5 に示すよ う に、 歪が存在する複雑な波形を したもの と なっている。
こ の よ う な高調波成分は、 回転子の滑らかな回転を妨害する の で、 これが、 モータ駆動時の不要な振動や騒音の原因 と なってい る。
と り わけ従来では、 特開平 9一 3 0 8 2 1 3 号 開示されてい る よ う に、 各極歯のピッチを適宜設定する こ と によ り 、 対になる 固定子極歯同士で特定の高調波同士を打ち消 し合 う よ う に構成さ れたものもあるが、 この場合は、 固定子に対する回転子の偏心や 倒れ等によ る磁気的ア ンバラ ンス の影響を受けやすいので、 十分 と はいえなかった。
すなわち、 固定子極歯と回転子極歯と の空隙長は通常数十 m と非常に狭いため、 そのよ う な打ち消 し合いは、 回転子の偏心や 倒れ等によ る と 、 双方の極歯における高調波の大き さ に差異が生 じる こ と によ って、 不完全になって しま う。
また、 リ ラ ク タ ンスモータ極形状と トルク特性 : 電気学会回転 機研究会 R M— 9 5 - 5 5 には、 ステ一タの歯幅よ り ロ ータの歯 幅が狭い場合と広い場合のィ ンダク タ ンス分布を比較 して、 それ ら 2 つの中間を取る よ う に見る と 、 イ ンダク タ ンス の空間分布が 非常に正弦波に近く なる場合がある こ と から、 歯幅の違 う ロータ を積層 したものを考える こ と もでき る と の記載があるが、これは、 その構成が明確でないこ と から、 実用には程遠 く 、 更に、 前述 し たよ う な回転子の偏心や倒れ等による不都合を解決し得る も ので もなかった。
そこで本発明は、 以上の問題点を考慮し、 ディ テ ン ト ト ルク に よ る不要な振動及び騒音を低減する こ と ができ るステ ッ ピングモ ータ を提供する こ と を 目的と している。
と ころで、 図 3 6 は、 従来の二相ハイ プ リ ッ ド型ス テ ッ ピング モータ の極歯の配置を示す展開図である。 固定子極 2 1 には 6 つ の極歯が配置され、 その ピッチはいずれも等 し く 4 0 s (但し、 Θ sは基本ステ ップ角) である。 しかしステ ッ ピングモータ は、 その動作原理から振動 · 騒音を伴 う。 永久磁石起磁力によ り 、 回 転子の回転角に対 し周期的に発生するディ テ ン ト ト ルク を有する からである。 そのため、 振動 · 騒音を低減する こ と を 目 的に、 モ
ータ を構成する部品の精度や、 その部品を組立て; 精度を向上す る技術が考え られてきた。 また、 ディ テ ン ト ト ルク の高調波成分 を低減するために、 固定子極の極歯のピッチをず らす工夫もなさ れてきた。
図 3 7 は従来のハイ ブリ ッ ド型ス テ ッ ピングモータ において、 極歯の ピッチをずら した場合の、 極歯の位置関係を示す展開図で ある。 図 3 7 のモータ の極歯は、 固定子極 2 1 の 6 つの極歯 2 2 を等ピッチに配置 した位置から、 2 つの極歯 2 2 c , 2 2 d はず ら さず、 2 つの極歯 2 2 a , 2 2 b を進み方向にずら し、 2 つの 極歯 2 2 e , 2 2 f を遅れ方向にずら して形成 してある。 尚、 図 3 7 において進み方向は右方向 とする。
この場合の トルク の各次数成分を示 したグラ フを、 図 3 8 に示 す。 図 3 8 は、 図 3 7 のよ う に歯をずら したモ一タ において、 極 歯のずれと、本モータ の トルク の各次数成分の関係を示 している。 但し、 等ピッチに配置 した位置から極歯をずらす量 (機械角) を α 、 ずれピッチ d t、 基本ステ ップ角 e sで表すと 、 下記 ( 1 ) 式 の関係がある。
α = d t - 4 Θ s ■ ■ · ( 1 )
また、 ト ルク の ν 次成分 Τ ( V ) は次式によ り 得た。
但し、 k vは v 次の高調波係数、 e mは極歯の位置を表す電気 角、 n は各固定子極の極歯の数であ り 、 こ こでは n = 6 である。 d t はずれピッチであ り 、 簡単のため V に関係のない諸々 の係数 は全て 1 と した。
図 3 8 よ り 以下の内容がわかる。 ト ルク の高調波成分は d p と と も に振動的に増減する。 そのた め、 適当な d p の値を選択する こ と によ り 、 どの歯もずら さ ない場合に比べ、 トルク の高調波成 分を減少させる こ と ができ る。 特にモータ全体と してみれば、 原
理的にディ テン ト トルク と なって現れる成分は、 :2 P K e次 (但 し、 P はステ ッ ピングモータ の相数、 K eは正の整数) の高調波 成分であ り 、 それ以外の成分は打ち消 し合い現れない。 したがつ て二相モータ においては、 d p = 0 . 0 6 3 、 0 . 0 8 3 、 0 . 1 6 7 、 0 . 1 8 8 のいずれかに設定すれば、 4 次成分をゼロ に でき、 ディ テン ト トルク を低減でき る。 と こ ろが、 主 トルク と な る基本波 ( 1 次) 成分は、 d p の増加と と も に減少する。 したが つて、 d pはなるべく 小さ な値を選ぶのがよい。 すなわち、 4 次 成分をゼロ にする には d p = 0 . 0 6 3 力 Sよい。 し力 しこ の場合 でも、 基本波成分は 8 8 %まで低下する。 但し、 こ こでは材料の 非線形性は考慮 していない。
更にこの現象を、 材料の非線形性まで考慮して解析 した図 3 9 で説明する。 図 3 9 は、 コ ンピュータ を用いてモータの固定子極 2 1 a と 、 回転子極歯 3 1 について、 磁束の流れを解析 したもの である。 図 3 9 は固定子極の極歯 2 2 を等ピッチに配置 したモー タの例で、 ( a ) は回転子の極歯 3 1 と 固定子の極歯 2 2 の中心 がー致し極歯同士が対向 した場合、 ( b ) はそこから回転子が 1 Z 2 ピッチ回転し極歯同士が対向 しない場合、 をそれぞれ表す。 こ こでモータの主 トルク は、 磁石から出た磁束の う ち固定子卷線 に鎖交する有効磁束に比例する。 また有効磁束は ( a ) の極歯同 土が対向する場合の磁束と、 ( b ) の極歯同士が対向 しない場合 の磁束の差で表される。 したがって、 ( a ) と ( b ) の磁束の差 が大きいほど、 モータの主 トルク も大きい。
次に、 図 3 7 で示すよ う に極歯をずら したモータの例を図 4 0 に示す。 図 3 9 と 同様に、 ( a ) は回転子の極歯 3 1 と 固定子の ずら さない極歯 2 2 d の中心が一致し極歯同士が対向 した場合、
( b ) はそこから回転子が 1 ダ 2 ピッチ回転 し極歯同士が対向 し ない場合、 をそれぞれ表す。 図 4 0 ではピッチをずら した極歯の 影響によ り 、 ( a ) では磁束が流れ難く 、 ( b ) では磁束が流れ
易 く なっている。 その結果、極歯を等ピッチに配置:したモータ (図
3 9 ) に比べ、 ( a ) と ( b ) の磁束の差が小さ く な り 、 8 8 % まで低下する。 これが主 ト ルク の減少を表 している。
こ の よ う にディ テ ン ト ト ルク を低減しょ う とする と 、 主 ト ルク の低下も招いて しまい、 実用上十分な トルク が得られないとい う 問題があった。
そこで本発明は、 固定子極に複数の極歯が備え られるステ ツ ピ ングモータ において、 そのいずれかの極歯の ピ ッチをずら し、 デ ィ テ ン ト ト ル ク の高調波成分を効果的に低減させて動作時の振 動 ■ 騒音を抑制する と 同時に、 トルク の基本波 ( 1 次) 成分の低 下を抑え、 ト ルク性能の改善を可能とするハイ プ リ ッ ド型ステ ツ ビングモータ を提供する こ と を 目 的と している。 発明の開示
本願第 1 請求項に記載 した発明は、 複数の固定子極を有する 固 定子と 、 前記固定子極に対 して隙間を介 して配置 した回転子と を 備え、 前記回転子に一定のピッチ P 1 で回転子極歯を設ける と と もに、 前記固定子極に前記回転子極歯と対向する固定子極歯を設 けたステ ッ ビングモータ において、
前記固定子極には、 m個の前記固定子極歯からなる歯群を n組 設け、
前記歯群内における前記固定子極歯のピッチ P 2 は、
P 2≠ P 1
の関係にある と と もに、 前記歯群のピ ッチ P 3 は、
P 3≠ m - P 1
P 3≠ m · P 2
の関係にある構成のステ ッ ピ ングモータである。 但し、 P 1、 P 2 及び P 3 は電気角、 m及び n は 2 以上の整数である。
こ の よ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ は、 歯群内における
固定子極歯の ピッチ P 2 を回転子極歯の ピッチ P I: と異な らせる こ と によ って高調波を低減する と と も に、 歯群の ピッチ P 3 によ つても高調波を低減し、 その結果、 よ り 多く の次数の高調波が低 減される よ う に構成したものである。 以下に、 その考え方につい て説明する。
まず、 固定子極の歯群内においては、 固定子極歯の ピ ッチ P 2 が回転子極歯の ピッチ P 1 と異なる こ と から、 このずれに対応す る次数の高調波が低減される こ と と なる。
更に、 m個の固定子極歯からなる 1 組の歯群は、 m個の回転子 極歯に対応する 1 個の極歯と仮定する こ と ができ る。 従って、 歯 群の ピッチ P 3 が m個の回転子極歯のピッチ m ' P l と異なる こ と から、このずれに対応する次数の高調波も低減される こ と と なる。
また、 歯群の ピ ッチ P 3 が、 歯群内における固定子極歯のピッ チ P 2 の m倍である と、 固定子極歯の ピッチが複数の歯群に亘っ て一定と な り 、 歯群と歯群と の境界が失われて しま う ため、 歯群 のピッチ P 3 は、歯群内における固定子極歯の ピッチ P 2 の m倍と は異なる よ う に してレヽる。
このよ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ によ る と 、 一つの固 定子極においてよ り 多く の次数の高調波が低減されるので、 高調 波が効率よ く 低減されて、 よ り 静かで滑らかな回転が得られる。
また、 本願第 2請求項に記載した発明は、 請求項 1 において、 前記歯群内における前記固定子極歯の ピッチ P 2 は、
P 2= P 1 { 1 土 1 ( m - V ) }
の関係にある と と もに、 前記歯群のピッチ P 3 は、
P 3= P l { m土 i ' Z ( n ' v ' ) }
の関係にある構成のステ ッ ピングモータである。 但し、 V 及び V ' は低減される主な高調波の次数、 i は mの倍数でない正の整数、 i ' は n の倍数でない正の整数である。
一般に、 回転子極歯の ピッチ P R と 、 固定子極歯の ピ ッチ P S
と力 S、 P S= P R { l ± l Z ( m - v ) } の関係にある と 、 V 次を 含む複数の高調波が低減される こ と が知 られている。
また、 各次高調波はそれぞれ所定の周期の正弦波で表される こ と力ゝら、 このよ う な固定子極歯のずれは、 { P R/ ( m - V ) } の i 倍 ( i は mの倍数でない正の整数) であっても よい訳である。 従って、 本発明では、 これに基づく 構成を、 請求項 1 の構成に 概括 した。
すなわち、 歯群内における固定子極歯のピッチ P 2 は、 回転子 極歯の ピッチ P 1 に対 して、
P 2= P 1 { 1 土 i Z ( m . v ) }
の関係にあるので、 V 次を含む複数の高調波が低減される。
また、 歯群の ピッチ P 3 は、 m個の回転子極歯のピ ッチ m ' P I に対 して、
P S m ' P l i l i i ' Z C n ' v ' ) }
の関係にある と 、 v ' 次を含む複数の高調波が低減されるのであ るが、 こ こで、 歯群で生 じる高調波は、 m個の固定子極歯毎に分 解でき る こ と から、 m個の回転子極歯に対する歯群のピッチのず れは、 ( l Z m ) であっても よい。
従って、 この式は、
P 3= m ' P l ( l 土 i ' Z n ' v ' - m )
P 3 = P 1 ( m土 i ' Z n . v ' )
と なる。
この よ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ によ る と 、 V 及び V ' 次を含む複数の高調波を低減する こ とができ る。
仮に、 4次及び 6 次高調波を低減するのであれば、 これらの式 に v = 4 、 V ' = 6 、 又は、 v = 6 、 V ' = 4 を代入する こ と に よって、 歯群内における固定子極歯の ピッチ P 2 及び歯群の ピッ チ P 3 が設定される。
尚、 この際、 i 及び i ' の値は、 任意に設定される。
また、 本願第 3 請求項に記載 した発明は、 請求項 1 又は 2 にお いて、 前記ステ ッ ピングモータ は、 少な く と も 4 次高調波と 6 次 高調波が低減される三相モータである構成のステ ッ ビングモータ である。
このよ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ によ る と 、 請求項 1 又は 2 において、 ステ ッ ピングモータ は、 少な く と も 4次高調波 と 6 次高調波が低減される三相モータであるので、 一つの固定子 極において 4 次高調波と 6 次高調波を低減する こ とができ る。
すなわち従来では、 三相モータ であれば、 特に問題と なるのは 6 次高調波である と されてお り 、 固定子極歯の ピ ッチの設定は、 このよ う な条件に対応 してな されてい る も のの、 実際には、 相間 や固定子極間の レイ ア ウ ト によ る効果を得よ う とする場合は、 モ ータ の部品製造や組み立て工程における精度の制約が極めて厳密 にな り 、 十分な静粛性を実現する のは非常に困難であつたが、 本 発明では、 一つの固定子極において 4 次高調波と 6 次高調波と を 低減するので、 そのよ う な問題が回避される。
また、 本願第 4請求項に記載 した発明は、 複数の固定子極を有 する固定子と 、 前記固定子極に対 して隙間を介 して配置 した回転 子と を備え、 前記回転子に一定の ピッチ P Rで回転子極歯を設け る と と もに、 前記固定子極に前記回転子極歯と対向する固定子極 歯を設けた三相ステ ツ ビングモータ において、
前記固定子極には、 m個の前記固定子極歯を設け、
前記固定子極歯のピ ッチ P S は、
P S= P R { 1 土 i / (m . 4 ) }
の関係にある と と もに、
P S= P R { 1 土 i ' / ( m - 6 ) } の関係にある構成の三相 ステ ッ ピングモータである。 但し、 i 及び i ' は mの倍数でない 正の整数である。
このよ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ によ る と、 4次高調
1 " 波が低減される と と もに、 6 次高調波が低減され 。
すなわち、 低減される高調波を V とする と き は、
P S= P R { l ± i Z ( m . v ) }
の関係にあればよいので、 これに v = 4 を代入する こ と によ り 、 4次高調波を低減でき る関係が求め られる。
また、 この関係から算出された固定子極歯の ピッチ P S が、
P S= P R { 1 土 i ' / ( m - 6 ) }
の関係も備えている場合は、 6 次高調波をも低減でき るので、 i 及び i ' を適宜設定する こ と によれば、 4次高調波及び 6 次高調 波が低減される関係が求め られる。
尚、 i 及び i ' は、 前記の式による と 、
i / ( m · 4 ) = i ' / ( m · 6 )
i / 2 = i ' / 3
と な り 、 この関係を満たす値で任意に設定する こ と ができ る。 本願第 5請求項に記載した発明は、 複数の固定子極を有する固 定子と 、 前記固定子極に対して隙間を介 して配置 した回転子と を 備え、 前記複数の固定子極に固定子極歯を設ける と と も に、 前記 回転子に回転子極歯を設けたステ ッ ピングモータ において、 前記 回転子は、 前記回転子極歯の位相が異なる 2 つの回転子鉄心部を 有し、 前記固定子及び前記一方の回転子鉄心部、 並びに、 前記固 定子及び前記他方の回転子鉄心部は、前記回転子の回転軸方向に、 前記固定子極歯と前記回転子極歯の一方又は双方の歯幅が異なる 複数の層を有する構成のステ ッ ビングモータである。
このよ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ によ る と 、 回転子は、 回転子極歯の位相が異なる 2 つの回転子鉄心部を有 し、 固定子及 び一方の回転子鉄心部、 並びに、 固定子及び他方の回転子鉄心部 は、 前記回転子の回転軸方向に、 前記固定子極歯と前記回転子極 歯の一方又は双方の歯幅が異なる複数の層を有するので、 一つの 固定子極歯と一方の回転子鉄心部の回転子極歯、 並びに、 一つの
固定子極歯と他方の回転子鉄心部の回転子極歯と 間で生 じるデ ィ テ ン ト トルク の波形が、 各層におけるディ テ ン ト ト ルク を合成 する こ と によ ってそれぞれ正弦波に近似されて、 その結果、 これ らのディ テン ト ト ノレク が正確に打ち消 し合 う こ と によって、 ディ テ ン ト ト ルク によ る不要な振動及び騒音が低減される。
特に、 従来では、 各極歯の ピッチを適宜設定する こ と によ り 、 対になる固定子極歯同士で高調波を打ち消 し合 う よ う に構成され たものも あるが、 この場合は、 固定子に対する回転子の偏心や倒 れ等によ る磁気的ア ンバラ ンス の影響を受けやすく 、 十分と はい えないのに対 し、 本発明では、 このよ う なディ テ ン ト ト ルク の波 形が、 各層におけるディ テ ン ト ト ルク を合成する こ と によ って正 弦波に近似される ので、 固定子に対する回転子の偏心や倒れ等に よ る磁気的ア ンバ ラ ンス の影響が回避され、 その結果、 ディ テ ン ト ト ルク の不要な増大が抑制される。
本願第 6請求項に記載した発明は、 請求項 5 において、 前記歯 幅が異なる複数の層は、 少な く と も 3 つの層からなる構成のス テ ッ ビングモータ である。
このよ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ によ る と、 歯幅が異 なる複数の層は、 少な く と も 3 つの層からなるので、 一つの固定 子極歯におけるディ テ ン ト トルク が、 よ り 正弦波に近似される。
本願第 7請求項に記載した発明は、 請求項 6 において、 前記回 転子極歯の歯幅比は前記回転子の回転軸方向に亘つて一様である と と もに、 前記固定子及び前記回転子鉄心部は、 前記固定子極歯 の歯幅比と前記回転子極歯の歯幅比と の平均が 0 . 2 5 〜 0 . 2 9 の層 と 、 0 . 3 3 〜 0 . 3 5 の層 と 、 0 . 4 0 〜 0 . 4 2 の層 と を有する構成のステ ッ ピングモータである。
本発明のステ ツ ビングモータ のよ う に、 回転子極歯の歯幅比は 回転子の回転軸方向に亘つて一様である と と もに、 固定子及び回 転子鉄心部は、 固定子極歯の歯幅比と前記回転子極歯の歯幅比と
の平均が 0 . 2 5 〜 0 . 2 9 の層 と 、 0 . 3 3 〜 0 .. 3 5 の層 と 、 0 . 4 0 〜 0 . 4 2 の層 と を有する と 、 ディ テ ン ト トノレク に含ま れる高調波成分の割合が、 比較的小さ く でき る こ と が実験によ つ て確認された。 すなわち、 歯幅比をこれらの範囲で設定する と 、 高調波によ るディ テン ト トルク の波形の歪が確実に低減される。
本願第 8請求項に記載した発明は、 請求項 5 乃至 7 のいずれか において、 前記固定子及び前記 2 つの回転子鉄心部における前記 歯幅が異なる複数の層は、 前記回転子の回転軸方向に向って対称 的に設けた構成のステ ッ ピングモータである。
このよ う に、 本発明のステ ッ ピングモータ によ る と 、 固定子及 び 2 つの回転子鉄心部における歯幅が異なる複数の層は、 回転子 の回転軸方向に向って対称的に設けたので、 回転子の支持の安定 性が確保される。
すなわち、 歯幅が異なる層を積層する と 、 モータ駆動時には各 層毎に異なる トルク が生 じるので、 回転子の支持バラ ンスが悪化 する虞がある ものの、 本発明では、 そのよ う な事態が回避される。
本願第 9請求項に記載した発明は、 請求項 1 乃至 4 のいずれか において、 前記固定子極の極歯の う ち、 少な く と も 1 つの極歯に 傾斜部分を形成 したス テ ッ ピングモータである。
更に、 本願第 1 0請求項に記載した発明は、 請求項 5 乃至 8 の いずれかにおいて、 固定子極の極歯の う ち少な く と も 1 つの極歯 をずら して配置 し、 極歯のピッチを他と異な らせ、 かつずら した 極歯の う ち少な く と も 1 つの極歯の先端を切 り 落と して傾斜部分 を形成 し、 極歯の形状を他の極歯と異な らせたステ ッ ピングモ一 タである。
このよ う に極歯の形状を設定する と 、 磁束の流れ易 さ をかえる こ と で トルク の基本波 ( 1 次) 成分を増加でき る。 その結果、 デ ィ テ ン ト ト ル ク の高調波成分を効果的に低減 させ、 動作時の振 動 · 騒音を抑制する と 同時に、 主 ト ルク の減少を抑えるため、 ト
ノレク性能を改善でき る。 : こ こ で、 極歯の形状を異な らせる と 、 空隙パー ミ ア ンス が変化 するが、 これに相当する分だけ歯幅を増加させる こ とで、 空隙パ — ミ ア ンスを一定に保つこ と ができ る。 しか し、 形状を異な らせ た極歯と形状を異な らせない極歯で歯元の幅が異なる。
そこで本願第 1 1 請求項に記載 した発明は、 請求項 1 0 におい て、 ずら さない極歯の先端も切 り 落と して傾斜部分を形成 し、 歯 元の幅を全て同一に設定するステ ッ ビングモータ である。
この よ う に極歯の形状を設定しても、 ト ルク の基本波 ( 1 次) 成分を増加でき る。 その結果、 動作時の振動 · 騒音を抑制する と 同時に、 ト ルク性能を改善でき る。
本願第 1 2請求項に記載した発明は、 請求項 1 乃至 1 1 のいず れかにおいて、 前記ステ ッ ピングモータ を、 印字へッ ドの駆動モ ータ に用いた印字装置である。
また、 本願第 1 3請求項に記載した発明は、 請求項 1 乃至 1 1 のいずれかにおいて、 前記ス テ ッ ピン グモータ を、 紙送 り ロ ー ラの駆動モータ に用いた紙送 り 装置である。
更に、 本願第 1 4請求項に記載した発明は、 前記請求項 1 2 又 は 1 3記載の装置が用い られているプリ ンタである。
本願のステ ッ ピングモータは、 よ り 静かで滑 らかな回転が得ら れ、 位置決め精度も向上する ので、 オフ ィ ス機器、 と り わけプリ ンタ の印字装置や紙送り 装置に好適である。 図面の簡単な説明
【図 1 】 本発明の具体例に係 り 、 ステ ッ ピングモータ を示 す側面断面図である。
【図 2 】 本発明の具体例に係 り 、 回転子極歯及び固定子極 歯を示す説明図である。
【図 3 】 本発明の具体例に係 り 、 回転子極歯及び固定子極
6 歯を示す説明図である。
【図 4】 本発明の具体例 係り 、 ディ テ ン ト トルク の測定 結果を示す模式図である。
【図 5 】 本発明の具体例に係り 、 高調波の次数を周波数解 析した結果を示す模式図である。
【図 6 】 本発明の具体例に係り 、 回転子極歯及び固定子極 歯を示す説明図である。
【図 7 】 本発明の具体例に係り 、 ディ テ ン ト トルク の測定 結果を示す模式図である。
【図 8 】 本発明の具体例に係 り 、 高調波の次数を周波数解 析した結果を示す模式図である。
【図 9 】 本発明の具体例に係り 、 回転子極歯及び固定子極 歯を示す説明図である。
【図 1 0 】 本発明の具体例に係り 、 ディ テ ン ト トルク の測 定結果を示す模式図である。
【図 1 1 】 本発明の具体例に係 り 、 高調波の次数を周波数 解析した結果を示す模式図である。
【図 1 2 】 本発明の具体例に係り 、 ス テ ッ ピングモータ を 示す断面図である。
【図 1 3 】 本発明の具体例に係り 、 ( A ) は第 1 の層にお ける固定子及び回転子を示す断面図であ り 、 ( B ) は第 2 の層に おける固定子及び回転子を示す断面図であ り 、 ( C ) は第 3 の層 における固定子及び回転子を示す断面図である。
【図 1 4 】 本発明の具体例に係り 、 一つの固定子極歯につ いて、 第 1 の層で生じるディ テン ト トルク特性を示す図である。
【図 1 5 】 本発明の具体例に係 り 、 一つの固定子極歯につ いて、 第 2の層で生じるディ テン ト トルク特性を示す図である。
【図 1 6 】 本発明の具体例に係 り 、 一つの固定子極歯につ いて、 第 3 の層で生じるディ テン ト トルク特性を示す図である。
【図 1 7 】 本発明の具体例に係 り 、 一つの ,定子極歯と一 方の回転子鉄心部の回転子極歯と の間で生じるディ テ ン ト トルク 特性を示す図である。
【図 1 8 】 本発明の具体例に係 り 、 第 1 の層において、 デ ィ テ ン ト トルク に含まれる高調波成分の割合を示す図である。
【図 1 9 】 本発明の具体例に係 り 、 第 2 の層において、 デ ィ テ ン ト トルク に含まれる高調波成分の割合を示す図である。
【図 2 0 】 本発明の具体例に係 り 、 第 3 の層において、 デ ィ テ ン ト トルク に含まれる高調波成分の割合を示す図である。
【図 2 1 】 本発明の具体例に係 り 、 偏心に伴 う ステ ツ ピン グモータ全体のディ テン ト ト ルク の変化を示す図である。
【図 2 2 】 本発明のモータの、 極歯の相互位置関係と形状 を示す展開図である。
【図 2 3 】 本発明のモータの、 磁束の流れを解析 した図で ある。
【図 2 4 】 本発明の他の具体例におけるモータの、 極歯の 相互位置関係と形状を示す展開図である。
【図 2 5 】 本発明の他の具体例におけるモータ の、 極歯の 相互位置関係と形状を示す展開図である。
【図 2 6 】 本発明の他の具体例におけるモータの、 磁束の 流れを解析した図である。
【図 2 7 】 本発明に係るステ ッ ピングモータ をプリ ンタの 印字へッ ド駆動に用いた状態を示す斜視図である。
【図 2 8 】 本発明に係るス テ ッ ピングモータ をプ リ ンタ の 紙送り ローラ駆動に用いた状態を示す斜視図である。
【図 2 9 】 従来例に係 り 、 固定子及び回転子の基本的な構 成を示す横断面図である。
【図 3 0 】 従来例に係 り 、 回転子極歯及び固定子極歯を示 す説明図である。
8
【図 3 1 】 従来例に係 り ディ テ ン ト トルク の測定結果を 示す模式図である。
【図 3 2 】 従来例に係 り 高調波の次数を周波数解析した 結果を示す模式図である。
【図 3 3 】 従来例に係 り ディ テ ン ト ト ルク の測定結果を 示す模式図である。
【図 3 4 】 従来例に係 り 高調波の次数を周波数解析 した 結果を示す模式図である。
【図 3 5 】 従来例に係 り 一つの固定子極歯と 回転子極歯 と の間で生 じるディ テン ト トルク特性を示す図である。
【図 3 6 】 従来のモータの極歯の相互位置関係 と形状を示 す展開図である。
【図 3 7 】 従来の他のモータの、 極歯の相互位置関係と形 状を示す展開図である。
【図 3 8 】 従来のモータ の極歯のずれと ト ルク と の関係を 示すグラ フである。
【図 3 9 】 従来のモータの磁束の流れを解析した図である 【図 4 0 】 従来の他のモータの磁束の流れを解析した図で ある。 発明を実施するための最良の形態
以下に、 本発明の具体例について図面を参照 しなが ら詳細に説 明する。
図 1 及び図 2 に示すよ う に、 本例のス テ ッ ピングモータ 1 は、 円筒状に形成される と と もに、 その内側に所定の間隔で 6 個の固 定子極 2 1 を有する固定子 2 と 、 固定子 2 の内部に配置された回 転子 3 と 、 前記複数の固定子極 2 1 にそれぞれ配置された固定子 コ イ ル 4 と、 回転子 3 の回転軸たる出力軸 5 と 、 回転子 3 の要所 に配置された円盤状の永久磁石 6 と を備え、 各固定子コ イ ル 4 を
9 それぞれ励磁する こ と によって、 出力軸 5 に トルク が生じる よ う に構成された三相モータである。 図中の 7 は出力軸 5 の軸受け、 8 は固定子 2及び軸受け 7 を保持するブラケ ッ ト である
また、 固定子極 2 1 の先端には、 所定の間隔で固定子極歯 2 2 を設けてお り 、 回転子 3 の外周には、 所定の間隔で回転子極歯 3 1 を設けている。 尚、 固定子極歯 2 2及び回転子極歯 3 1 の基本 的な構成については、 前述 した図 2 9 のもの と共通するので、 同 一の符号を付 して図面を省略する。
これらの図に示すよ う に、 本例の回転子 3 には、 2 6 個の回転 子極歯 3 1 を一定のピッチ P 1 で設けてレヽる。
また、 各固定子極 2 1 には、 それぞれ、 2個の固定子極歯 2 2 からなる歯群 2 3 を 2組設けてお り 、 各歯群 2 3 内における固定 子極歯 2 2 のピッチ P 2 は、 P l ( l — 1 Z 1 2 ) と なる よ う に設 定してお り 、 歯群 2 3 の ピッチ P 3 は、 P l ( 2 — 1 ダ 8 ) と なる よ う に設定している。 こ こで、 P l、 P 2及び P 3 は電気角である。 すなわち、 4 次高調波及び 6 次高調波を低減するべく 、 m == 2 、 n = 2 、 v = 6 、 v ' = 4 、 及び、 任意の値たる i = l 、 i ' = 1 を前述 した式に代入して、
P 2= P 1 { 1 - 1 / ( 2 X 6 ) }
PP 22== PP 11 (( 11 -— 11 // 1 2 )
が求め られる と と もに、
P 3= P 1 { 2 - 1 / ( 2 X 4 ) }
P 3 = P 1 ( 2 - 1 / 8 )
が求め られる。 また、
m - P 2= P 1 ( 2 - 1 / 6 )
である こ と力 ら、
P 3≠ m · P 2
が成立する。
尚、 回転子極歯 3 1 の ピッチ P 1、 歯群 2 3 内 おける固定子極
リ 歯 2 2 の ピッチ? 2、 及び歯群 2 3 の ピッチ P 3 は > 図 2 では、 そ れらの凹凸に合せて示 したが、 或は図 3 に示すよ う に、 隣接する 回転子極歯 3 1 、 固定子極歯 2 2 、 又は歯群 2 3 の中心から中心 を示すよ う に して も よい。
本例のステ ッ ピングモータ 1 のディ テン ト トルク特性を測定し たと こ ろ、 図 4 に示すよ う な結果が得られた。
更に、 このよ う な測定を、 複数個のモータ を試作して繰 り 返 し、 それらのディ テ ン ト トルク特性について高調波の次数を周波数解 析した と ころ、 図 5 に示すよ う な結果が得られた。
図 3 及び図 4 に示す本例の結果を、 固定子極歯のピッチと 回転 子極歯の ピッチが等 しい従来の三相モータ によ る結果 (図 3 3 及 び図 3 4参照) と比較する と 、 4 次高調波、 6 次高調波、 及びそ の他の高調波が顕著に低減されている こ とが確認された。
また、 本例の結果を、 固定子極歯の ピッチを P S = P R { 1 ± 1 / ( m - V ) } の関係に基いて設定した従来の三相モータ の結果 (図 3 1 及び図 3 2参照) と比較する と 、 特に 4 次高調波が顕著 に低減されている こ と が確認された。
このよ う に、 本例のステ ッ ピングモータ によ る と、 一つの固定 子極においてよ り 多く の次数の高調波を低減する こ と ができ るの で、 高調波が効率よ く 低減されて、 よ り 静かで滑らかな回転が得 られる。
すなわち従来では、 三相モータであれば、 特に問題と なるのは 6 次高調波である と されてお り 、 固定子極歯の ピッチの設定は、 このよ う な条件に対応 してな されている ものの、 実際には、 相間 や固定子極間の レイァ ゥ ト によ る効果を得よ う とする場合は、 モ —タの部品製造や組み立て工程における精度の制約が極めて厳密 にな り 、 十分な静粛性を実現するのは非常に困難であつたが、 本 例では、 一つの固定子極において 4次高調波 と 6 次高調波と を低 減するので、 そのよ う な問題を回避する こ と ができ る。
2 次に、 本発明の別具体例について、 図 6 から図 β を用いて説明 する。
本例の場合、 一定の ピッチ P 1 で 3 8 個の回転子極歯 3 1 を有 する回転子 3 を用いる と と も に、 極歯固定子極 2 1 には、 3個の 固定子極歯 2 2 からなる歯群 2 3 を 2組設けてお り 、 歯群 2 3 内 における 固定子極歯 2 2 の ピ ッチ Ρ 2 と 、 歯群 2 3 の ピ ッチ Ρ 3 を設定する こ と によって、高調波を低減する よ う に構成 している。 尚、 その他の構成については、 前述 した具体例と 同様であるので、 共通する箇所には同一の符号を付すと と もに、 その説明を省略す る。
本例では、 4 次高調波及び 6 次高調波を低減するべく 、 m = 3 、 n = 2 、 v = 4 、 v ' = 6 、 及び任意の値たる i = l 、 i ' = 1 を前述 した式に代入して、
P 2 = P 1 { 1 - 1 / ( 3 X 4 ) }
P 2= P 1 ( 1 - 1 / 1 2 )
が求め られる と と もに、
P 3= P 1 { 3 - 1 / ( 2 X 6 ) }
P 3= P 1 ( 3 - 1 / 1 2 )
が求め られる。 また、
m - P 2= P 1 ( 3 - 1 / 4 )
である こ と力 ら、
P 3≠ m · P 2
が成立する。
本例のものについてディ テン ト トルク特性を測定した と ころ、 図 7 に示すよ う な結果が得られた。
更に、 このよ う な測定を、 複数個のモータ を試作して繰 り 返し、 それらのディ テ ン ト ト ルク特性について高調波の次数を周波数解 析した と こ ろ、 図 8 に示すよ う な結果が得られた。
これらの図に示すよ う に、 本例の場合も 4 次高調波、 6 次高調
波、 及びその他の高調波が顕著に低減されている:こ と が確認され た。
更に、 本発明の他の具体例について、 図 9 から図 1 1 を用いて 説明する。
本例のステ ッ ピングモータ は、 3 2個の回転子極歯 3 1 を有す る回転子 3 と 、 6 個の固定子極 2 1 を有する固定子 2 を用いた三 相構造のものであ り 、 各固定子極 2 1 には、 それぞれ 5 個の固定 子極歯 2 2 を設けている。
本例の場合、 固定子極歯 2 2 の ピッチ P S は、 回転子極歯 3 1 のピッチ P R に対 して、
P S= P R ( 1 - 1 / 1 0 )
の関係で設定 している。
すなわち、 4 次高調波と 6 次高調波を低減する には、
P S= P R { l ± i Z (m . 4 ) }
且つ
P S= P R { 1 土 i ' / (m . 6 ) }
の関係にあればよいので、 これらの式に m = 5 、 i = 2 、 i = 3 を代入する こ と によ り 、 前記の関係が求め られる。
尚こ こで、 i 及び i ' は、 5 の倍数でない正の整数であって、 i / 2 = i ' / 3
の関係を満たすよ う に設定している。
そ して、 本例のものについてディ テン ト トルク特性を測定した と ころ、 図 1 0 に示すよ う な結果が得られた。
更に、 こ の よ う な測定を、 複数個のモータ を試作して繰り 返し、 それらのディ テ ン ト ト ルク特性について高調波の次数を周波数解 祈した と ころ、 図 1 1 に示すよ う な結果が得られた。
図 1 0及び図 1 1 に示す本例の結果を、 固定子極歯のピ ッチ と 回転子極歯の ピッチが等 しい従来の三相モータ によ る結果 (図 3 3及び図 3 4 参照) と比較する と 、 4次高調波、 6 次高調波、 及
ム びその他の高調波が顕著に低減されている こ と が確認された。
また、 本例の結果を、 固定子極歯の ピッチを P S = P R { 1 ± 1 / ( m - V ) } の関係に基いて設定した従来の三相モータ の結果 (図 3 1 及び図 3 2参照) と比較する と 、 特に 4 次高調波が顕著 に低減されている こ と が確認された。
このよ う に、 本例の三相ステ ッ ピングモータ によ る と 、 一つの 固定子極において、 4 次高調波を低減でき る と と もに、 6 次高調 波を低減でき る。
次に、 本発明の他の具体例について図面を参照 しなが ら詳細に 説明する。
図 1 2 及び図 1 3 に示すよ う に、 本例のス テ ッ ピングモータ 1 は、 円筒状に形成される と と もに、 前例のステ ッ ピングモータ と 同様に、 その内側に所定の間隔で複数の固定子極 2 1 を有する固 定子 2 と 、 固定子 2 の内部に配置された回転子 3 と 、 前記複数の 固定子極 2 1 にそれぞれ配置された固定子コイル 4 と 、 回転子 3 の回転軸たる出力軸 5 と 、 回転子 3 の要所に配置された円盤状の 永久磁石 6 と を備え、 各固定子コイル 4 をそれぞれ励磁する こ と によ って、 出力軸 5 に トルク が生 じる よ う に構成されている。 図 中の 7 は出力軸 5 の軸受け、 8 は固定子 2及び軸受け 7 を保持す るブラケ ッ トである。
また、 各固定子極 2 1 の先端には、 所定の間隔で固定子極歯 2 2 を設けてお り 、 回転子 3 の外周には、 所定の間隔で回転子極歯 3 1 を設けている。 尚、 前述 した図 2 9 と共通する点については、 同一の符号を付 して図面を省略する。
そ して、 本例の回転子 3 は、 回転子極歯 3 1 の位相が異なる 2 つの回転子鉄心部 3 a , 3 b を有する。
更に、 固定子 2 及び一方の回転子鉄心部 3 a 、 並びに、 固定子 2及び他方の回転子鉄心部 3 b は、 それぞれ、 回転子 3 の回転軸 方向に、 固定子極歯 2 2 の歯幅が異なる第 1 の層 A と 、 第 2 の層
B と 、 第 3 の層 C と を有する。 : すなわち、 回転子極歯 3 1 の歯幅を回転子 3 の回転軸方向に亘 つて一様に形成 しているのに対 し、 固定子極歯 2 2 の歯幅は、 第 1 の層 Aでは回転子極歯 3 1 よ り も大き く 形成 し、 第 2 の層 B で は回転子極歯 3 1 と ほぼ同 じに形成 し、 第 3 の層 Cでは回転子極 歯 3 1 よ り も小さ く 形成 している。
一つの固定子極歯 2 2 と一方の回転子鉄心部 3 a の回転子極歯 3 1 の間において、 又は、 一つの固定子極歯 2 2 と他方の回転子 鉄心部 3 b の回転子極歯 3 1 と の間において、 第 1 の層 A、 第 2 の層 B 、 第 3 の層 Cで生 じるディ テ ン ト ト ルク は、 図 1 4 乃至図 1 6 に示すよ う に、 互いに異なる波形のもの と なる。
従って、 これらの間で生じるディ テ ン ト ト ルク の波形は、 第 1 の層 A、 第 2 の層 B、 及び第 3 の層 Cで生 じるディ テ ン ト トルク の波形を合成 した ものであって、 図 1 7 に示すよ う に、 これらの 各層で生じるディ テ ン ト トルク の波形よ り 正弦波に近似 したも の と なる。
その結果、 ステ ッ ピ ン グモータ 1 全体と しては、 周方向に対 し て位相が異なる固定子極歯 2 2 と 回転子極歯 3 1 と の間で生じる ディ テン ト トルク が、 互いに正確に打ち消 し合い、 モータ駆動時 にあっては、 ディ テ ン ト トルク によ る不要な振動及び騒音が低減 される。
また本例では、 固定子 2及び 2つの回転子鉄心部 3 a , 3 b に おいて、 各層は、 順次、 第 1 の層 A、 第 2 の層 B、 第 3 の層 C、 第 3 の層 C、 第 2 の層、 第 1 の層 A と なる よ う に設けている (図 1 2参照) 。 尚、 永久磁石 6 は、 両回転子鉄心部 3 a , 3 b の間 に介在 している。
すなわち、 2 つの回転子鉄心部 3 a , 3 b には、 歯幅が異なる 複数の層を対称的に設けたので、 回転子 3 の支持の安定性が確保 される。
尚、 各層にて異なる波形のディ テン ト トルクが生じる とレヽ ぅ点 では、 前述したよ う に固定子極歯 2 2 の歯幅を異ならせる他に、 回転子極歯 3 1 の歯幅を異な らせるよ う にしても よ く 、 更には、 これら双方の歯幅を異ならせる よ う に しても よい。
また、 各層の厚さは、 本例では均等であるが、 それぞれに生じ るディテン ト トルクの波形や大き さに応じて適宜設定する よ う に してもよい。
図 1 8 乃至図 2 0 は、 一つの固定子極歯におけるディ テン ト ト ルク に含まれる高調波成分の割合を示す図である。
本例では、 固定子極歯 2 2 の歯幅比と回転子極歯 3 1 の歯幅比 との平均は、 第 1 の層 Aでは 0 . 2 5 、 第 2 の層 Bでは 0 . 3 3 、 第 3 の層では 0 . 4 2 と なる よ う に設定してお り 、 こ こで、 各層 において歯幅比の平均を変える こ と によって、 ディテン ト トルク に含まれる 2次高調波成分乃至 4次高調波成分の割合を計測した: 尚、 歯幅比とは、 固定子極歯 2 2又は回転子極歯 3 1 の歯幅を その極歯のピッチで割った値であって、 回転子 3 の回転軸周囲に おいて極歯の占める割合である。 また、 これらの歯幅やピッチは、 回転子 3 の回転軸周囲に対する角度で表される。
すなわち、 回転子極歯 3 1 の歯幅比は、 回転子 3 の回転軸方向 に亘つて 0 . 3 4である一方、 固定子極歯 2 2 の歯幅比は、 第 1 の層 Aでは 0 . 1 6、 第 2 の層 B では 0 . 3 2、 第 3 の層 Cでは 0 . 5 0であって、 これらの図に示すのは、 このよ う な構成の固 定子 2及び回転子 3 について、 固定子極歯 2 2 の歯幅比を変える こ と によ り 第 1 の層の歯幅比の平均を変えた場合 (図 1 8参照) 、 同じく 第 2の層の歯幅比の平均を変えた場合 (図 1 9参照) 、 同 じく 第 3 の歯幅比の平均を変えた場合 (図 2 0参照) における 2 次高調波成分乃至 4次高調波成分の割合である。
これらの図に示すよ う に、 ディテン ト トルク に含まれる 2次高 調波成分乃至 4次高調波成分の割合は、 固定子極歯 2 2の歯幅比
ム Ό と回転子極歯 3 1 の歯幅比と の平均によって変化 レ、 こ の歯幅比 の平均が第 1 の層 Αで 0 . 2 5 〜 0 . 2 9 、 第 2 の層 Bで 0 . 3 3 〜 0 . 3 5 、 第 3 の層 Cで 0 . 4 0 〜 0 . 4 2 である と 、 およ そ 1 0 %以下であ り 、 高調波の主成分を比較的小さ く でき、 ディ テン ト ト ルク の波形の歪みを低減する こ と ができ る。
また、 回転子極歯 3 1 の歯幅比が回転子 3 の回転軸方向に亘っ て 0 . 3 2 の場合についても同様の測定を行った と こ ろ、 ディ テ ン ト ト ルク に含まれる 2 次高調波成分乃至 4 次高調波成分の割合 は、 各層における固定子極歯 2 2 の歯幅比と 回転子極歯 3 1 の歯 幅比 と の平均が前記と 同様に、 第 1 の層 Aで 0 . 2 5 〜 0 . 2 9 、 第 2 の層 Bで 0 . 3 3 〜 0 . 3 5 、 第 3 の層 Cで 0 . 4 0 〜 0 . 4 2 の範囲である と、およそ 1 0 %以下になる こ と が確認された。
このよ う に、 ディ テン ト ト ルク における高調波の影響は、 この よ う な範囲で歯幅比を設定する こ と によ り 低減される。
また、 図 2 1 は、 出力軸 5 の偏心に伴 う ス テ ッ ピングモータ 1 全体のディ テン ト トルク の最大値変化を示す図である。
同図において、 白点でプロ ッ ト したものは、 各極歯の ピッチを 適宜設定する こ と によ り 、 心ずれが O m mの状態でディ テ ン ト ト ノレク の最大値が本例と ほぼ同等になる よ う に構成 した従来のもの を示す。 その固定子極歯及び回転子極歯の歯幅は、 固定子の回転 軸方向に対して同一である
これらを比較する と 、 本例の場合は、 心ずれに伴 う ディ テ ン ト トルク の増大が低減されている こ と が確認される。
これは、 従来の場合、 対になる 固定子極歯同士で高調波を打ち 消 し合 う構成であるため、 固定子に対する回転子の偏心や倒れ等 によ る磁気的ア ンバラ ンス の影響を受けやすいのに対し、 本例の 場合、 一つの固定子極歯 2 2 と 回転子鉄心部 3 a (又は 3 b ) の 回転子極歯 3 1 と の間で生じるディ テン ト トルク の波形を、 各層 におけるディ テン ト トルク を合成する こ と によって正弦波に近似
するので、 固定子 2 に対する回転子 3 の偏心や倒れ等によ る磁気 的アンバラ ンスの影響が回避されるためである。
尚、 高調波をよ り 効率よ く 低減する点では、 固定子極歯 2 2 と 回転子極歯 3 1 の一方又は双方の歯幅が異なる層を設けた う え、 更に、 固定子極歯 2 2 の ピッチを適宜設定する よ う に構成 して も よい。
以上説明 したよ う に、 本例のステ ッ ピングモータ によ る と、 回 転子は、 回転子極歯の位相が異なる 2 つの回転子鉄心部を有し、 固定子及び一方の回転子鉄心部、 並びに、 固定子及び他方の回転 子鉄心部は、 前記回転子の回転軸方向に、 前記固定子極歯と前記 回転子極歯の一方又は双方の歯幅が異なる複数の層を有するので 一つの固定子極歯と一方の回転子鉄心部の回転子極歯、 並びに、 一つの固定子極歯と他方の回転子鉄心部の回転子極歯と の間で生 じるディ テン ト トルク の波形を、 各層におけるディ テン ト トルク を合成する こ と によってそれぞれ正弦波に近似する こ と ができ、 その結果、 これらのディ テン ト トルク が正確に打ち消 し合 う こ と によ って、 ディ テン ト トルク によ る不要な振動及び騒音を低減す る こ と ができ る。
特に、 従来では、 各極歯の ピッチを適宜設定する こ と によ り 、 対になる固定子極歯同士で高調波を打ち消 し合 うすよ う に構成さ れたものもあるが、 この場合は、 固定子に対する回転子の偏心や 倒れ等によ る磁気的アンバラ ンスの影響を受けやすく 、 十分と は いえないのに対 し、 本例では、 このよ う なディ テン ト トルク の波 形が、 各層におけるディ テン ト トルク を合成する こ と によって正 弦波に近似されるので、 固定子に対する回転子の偏心や倒れ等に よる磁気的アンバラ ンスの影響が回避され、 その結果、 ディ テン ト トルク の不要な増大が抑制される。
また、 本例のステ ッ ピングモータ によ る と 、 歯幅が異なる複数 の層は、 少な く と も 3 つの層からなるので、 一つの固定子極歯に
おけるディ テン ト トルク を、よ り 正弦波に近似する:こ と ができ る。 また、 本例のステ ッ ピングモータ によ る と 、 回転子極歯の歯幅 比は回転子の回転軸方向に亘つて一様である と と もに、 固定子及 び回転子鉄心部は、 固定子極歯の歯幅比と前記回転子極歯の歯幅 比と の平均力 S O . 2 5 〜 0 . 2 9 の層 と 、 0 . 3 3 〜 0 . 3 5 の 層 と 、 0 . 4 0 〜 0 . 4 2 の層 と を有するので、 ディ テ ン ト トノレ ク に含まれる高調波成分の割合を、 比較的小さ く する こ と ができ る。 すなわち、 歯幅比をこれらの範囲で設定する と 、 高調波によ るディ テン ト ト ルク の波形の歪を確実に低減する こ と ができ る。
また、 本例のス テ ッ ピ ングモータ によ る と 、 固定子及び 2 つの 回転子鉄心部における歯幅が異なる複数の層は、 回転子の回転軸 方向に向って対称的に設けたので、 回転子の支持の安定性を確保 する こ と ができ る。
すなわち、 歯幅が異なる層を積層する と、 モータ駆動時には各 層毎に異なる トルク が生 じるので、 回転子の支持バラ ンス が悪化 する虞がある も のの、 本例では、 そのよ う な事態を回避する こ と ができ る。
次に、 本発明の他の具体例を説明する。 こ こ では、 二相ハイ ブ リ ッ ド型ステ ッ ピングモータ を例に採って説明する。
図 2 2 は、 二相ハイ プリ ッ ド型ス テ ッ ピングモータ の固定子極 2 1 の一つを抜粋し、 極歯 2 2 の相互位置関係 と形状を展開 して 示した図である。 尚、 二相ハイ ブリ ッ ド型ス テ ッ ピングモータ においては、 複数の固定子極 2 1 は、 等間隔と なる よ う に所定の 角度だけ回転して形成される。 その結果、 回転子の N側の極歯に 対し、 A相固定子極 2 a の極歯 2 2 の位相が一致した と き、 B相 固定子極の極歯 2 2 は、 極歯の 1 Z 4 ピッチずれて形成される。 また、 回転子の S側の極歯に対し、 A相固定子極 2 a の極歯 2 2 は 2ノ 4 ピッチずれ、 B相固定子極の極歯 2 2 は 3ノ 4 ピッチず れて形成される。 そのため、 ステ ップモータ は励磁によ り 極歯の
1 / 4 ピ ッチずつ回転制御する こ と が可能と なる。: 従って、 一般に P をス テ ッ ピングモータ の相数、 Nを回転子の 極歯の数とする と 、 ス テ ッ プ数 2 P N、 基本ステ ッ プ角 e sで制 御する こ と が可能と なる。 ただ し、基本ステ ップ角 Θ sは下記( 2 ) 式によ り 示される。
e s = 3 6 0° Z ( 2 P N ) · · . ( 2 )
尚、 本具体例では、 N = 5 0 、 回転子の外径を (ί> 2 5 m mと し た。
図 2 2 において、 モータの極歯は、 各固定子極 2 1 の 6 つの極 歯 2 2 を等ピ ッチ ( 4 Θ s ) に配置 した位置から、 2 つの極歯 2 2 c , 2 2 d はずら さず、 2 つの極歯 2 2 a , 2 2 b を進み方向 にずら し、 2 つの極歯 2 2 e , 2 2 f を遅れ方向にずら して形成 してある。 これによ り 、 トノレク の 4次成分をゼロ と し、 ディ テン ト ト ルク の高調波成分の低減を可能と している。 なお、 図 2 2 に おいて進み方向は右方向 とする。
そ して、 進み方向にずら した 2 つの極歯は、 進み方向側 (右側) の先端を切 り 落と し、 傾斜部分 2 5 を設けている。 また、 遅れ方 向にずら した 2 つの極歯は、 遅れ方向側 (左側) の先端を切 り 落 と し、 傾斜部分 2 5 を設けている。 すなわち、 いずれもずら した 方向側の先端を切 り 落と し、 傾斜部分を設けている。
また、 各々 の極歯部分の空隙パー ミ ア ンスは、 極歯に傾斜部分 を形成する こ と によ り 変化し、 その結果磁気的な中心位置は移動 する。 その方向は、 ディ テン ト トルク を低減する 目的のために ピ ツチをずら した方向 と逆側である。 そのため、 その移動量だけ各 極歯のずら し量を増加させてある。
こ こ で、 空隙パ一 ミ ア ンス と磁気的な中心位置は次の様に求め た。 まず回転子の極歯と 固定子の極歯同士が対向 した場合に、 パ ーミ ア ンスを求めよ う とする部分の空隙を周方向に沿って微小区 間に分割する。 そ して、 各区間毎に極歯間の距離、 すなわち空隙
部の磁路長を算出 し、 パー ミ ア ンス に換算する。 の後、 分割 し た区間全体に渡ってパー ミ ア ンス を積分 し、 空隙パー ミ ア ンス と した。 次に磁気的中心位置だが、 これは仮に極歯をある位置で周 方向に 2 分割 した と し、 分割 した各々 の空隙パー ミ ア ンスが等 し く なる位置を磁気的な中心位置 と した。
更に上述の通 り 、 各々 の極歯部分の空隙パー ミ ア ンスは、 極歯 に傾斜部分を形成する こ と によ り 低下する。 そのためこれに相当 する分だけ歯幅を増加 し、 低下分を補い空隙パ一 ミ ア ンス を一定 に保っている。 そ して こ こでも、 歯の磁気的な中心位置は、 歯幅 を増加する こ と によ り 、 ディ テ ン ト ト ルク を低減するためにピ ッ チをずら した方向 と逆側に移動する。 そのため、 その移動量だけ さ ら に各極歯の ピ ッチをずら してある。 すなわち、 本実施例の極 歯のずれ量 α ' と従来例の極歯のずれ量 α と の間には下記 ( 3 ) 式の関係がある。
a ' = a + (極歯に傾斜部分を形成する こ と によ る磁気的中心 位置のずれ量) + (歯幅を増加する こ と によ る磁気的中心位置の ずれ量) · · ( 3 )
尚、 図 2 2 中の ピッチをずら した極歯に記 した中心線は、 幾何 学的な中心位置を示 してお り 、 磁気的な中心位置ではない。 また 本実施例では、 好適な例と して傾斜部分 2 5 の寸法 (図 2 2 中の a 、 b ) 、 及び極歯 2 2 c の歯幅 T と の関係を下記 ( 4 ) 、 ( 5 ) の関係式で設定し、 a は 0 . 3 5 m m , b は 0 . 5 3 m m と した。
a = 0 . 7 X T · · · ( 4 )
b = 1 . 5 X a · · · ( 5 )
以上のよ う に、 本具体例の極歯の磁気的な中心位置は、 従来例 の極歯の中心位置に等 しい。 また極歯部分の空隙パー ミ ア ンス も 同様に従来例のもの と等 しい。 これらの結果、 当初の 目的である ディ テ ン ト ト ルク の高調波成分を低減し、 モー タ の振動 ' 騒音を 抑制する こ と ができ る。 その上、 トルク の基本波 ( 1 次) 成分を
増加でき る。 こ の様子を示したものが図 2 3 である。 図 2 3 は、 コ ン ピュータを用いてモータの固定子極 2 1 a 、 回転子極歯 3 1 について、 材料の非線形性を考慮し、 磁束の流れを解析したもの である。 図 2 3 は本具体例のモータの例で、 ( a ) は回転子の極 歯 3 1 と固定子の極歯 2 2 d の中心が一致し極歯同士が対向 した 場合、 ( b ) はそこから回転子が 1 / 2 ピッチ回転し極歯同士が 対向 しない場合、 をそれぞれ表す。 従来の、 極歯 2 2 に傾斜部分 を形成しないモータ (図 4 0 ) と比較する と 、 極歯同士が対向 し た場合の磁束はほぼ等しい。 一方、 極歯同士が対向 しない場合は 磁束が流れ難く なつている。 その結果、 ( a ) と ( b ) の磁束の 差は大き く なつている。 これを、 極歯 2 2 を等ピッチに配置した モータ (図 3 9 ) と比較する と、 ( a ) と ( b ) の磁束の差は、 従来は 8 8 %まで低下 していたが、 本具体例ではその低下が 9 1 %に抑えられて'いる。 すなわち、 極歯の先端を切 り 落と し傾斜 部分を形成する こ とで、 トルクは 3 %改善される。
尚、 本具体例では、 ピッチをずら した極歯 4枚全てに傾斜部分 を形成しているが、 傾斜部分を設ける極歯の枚数はこれに限らず 任意の数でよい。 例えば、 ピッチをずら した極歯 4枚の う ち 2枚 の極歯 2 2 a , 2 2 f のみに傾斜部分を設けた例を図 2 4 に示す。 こ の例でも ( a ) と ( b ) の磁束の差は 9 0 %までしか低下せず、 極歯の先端を切 り 落と し傾斜部分を形成する こ とで、 トルクは改 善される。
また、 本具体例では、 先端に傾斜部分を設けた極歯の歯元の幅 の方が、 他よ り も大き く なつているが、 単に歯幅を異な らせたの ではない。 本発明は、 特に極歯同士が対向 しない場合に、 空隙部 の磁路長を増加でき、 その結果 ト ルク の基本波 ( 1 次) 成分を増 加できる こ と を特徴とするからである。 また、 先端に傾斜部分を 設けているだけで、 歯元の幅は減ら していないため、 従来に比べ 飽和が増すといった不都合を生じる こ と もない。
図 2 5 は、 本発明の他の具体例に係 り 、 二相ハイ プ リ ッ ド型ス テ ツ ビングモータの固定子極 2 1 の一つを抜粋し、 極歯 2 2 の相 互位置関係と形状を展開 して示 した図である。 図 2 5 のモータの 極歯は、 前例 と 同様に各固定子極 2 1 の 6 つの極歯 2 2 を等ピッ チ ( 4 0 s ) に配置した位置力、ら、 2 つの極歯 2 2 c , 2 2 d は ずら さず、 2つの極歯 2 2 a , 2 2 b を進み方向にずら し、 2 つ の極歯 2 2 e , 2 2 f を遅れ方向にず ら して形成 してある。 尚、 図 2 5 において も進み方向は右方向 とする。
そ して、 進み方向又は遅れ方向にずら した極歯は、 いずれもず ら した方向側の先端を切 り 落と し、 傾斜部分 2 5 を設けている。 また、 各々 の極歯の磁気的な中心位置は、 極歯に傾斜部分を形成 する こ と によ り 、 ピッチをずら した方向 と逆側に移動する。 その ため、 その移動量だけ各極歯のずら し量を増加させてある。 さ ら に、 各々 の極歯の部分の空隙パー ミ ア ンスは、 極歯に傾斜部分を 形成する こ と によ り 低下する。 そのためこれに相当する分だけ歯 幅を増加 し、低下分を補い空隙パーミ ア ンス を一定に保っている。 そ してこ こ でも、 歯の磁気的な中心位置は、 歯幅を増加する こ と によ り 、 ピッチをずら した方向 と逆側に移動する。 そのため、 そ の移動量だけ さ らに各極歯の ピッチをずら してある。
更に本例のモータでは、 ずら さ ない極歯 2 2 c , 2 2 d も先端 を切 り 落と して傾斜部分 2 5 を設け、 歯元の幅 Wを全て同一に設 定している。 ただ し、 ずら さ ない極歯 2 2 c , 2 2 d はその両端 を切 り 落と して傾斜部分 2 5 を設けているため、 磁気的な中心位 置は移動 しない。 尚、 本具体例では、 好適な例 と して歯元の幅 W の寸法を 0 . 7 3 m m と した。
これによ り 、 本具体例においても当初の 目的であるディ テン ト トルク の高調波成分を低減し、 モータの振動 . 騒音を抑制する こ と ができ る。 その上、 ト ルク の基本波 ( 1 次) 成分を増加でき る。 こ の様子を示 したものが図 2 6 である。図 2 6 は本モータ の例で、
( a ) は回転子の極歯 3 1 と 固定子の極歯 2 2 d の中心が一致し 極歯同士が対向 した場合、 ( b ) はそこから回転子が 1 Z 2 ピッ チ回転し極歯同士が対向 しない場合、 をそれぞれ表す。 従来の、 極歯 2 2 に傾斜部分を形成しないモータ (図 4 0 ) と 比較する と 、 極歯同士が対向 した場合の磁束はほぼ等 しいが、 極歯同士が対向 しない場合は磁束が流れ難い。 その結果、 ( a ) と ( b ) の磁束 の差は大き く なつている。 これを、 極歯 2 2 を等ピッチに配置 し たモータ (図 3 9 ) と比較する と 、 ( a ) と ( b ) の磁束の差は 9 0 %までしか低下しない。 すなわち、 歯元の幅を同一に設定す るか否かによ らず、 極歯の先端を切 り 落と し傾斜部分を形成する こ と で、 トルク は改善される。
また、 上述 した具体例では、 二相のハイ ブリ ッ ド型ステ ツ ピン グモータ を対象に説明 したが、 二相に限らず一般に P相のステ ツ ビングモータ についても同様に適用でき る。 また、 極歯の先端は 直線状に切 り 落と しているが、 これに限らず曲線状、 例えば円弧 状に切 り 落と して も同様な効果が得られる。
図 2 7 は、 上述 したステ ッ ピングモータ 1 でプリ ンタ 1 0 の印 字ヘッ ド 1 1 を駆動する もので、 ステ ッ ピングモータ 1 の出力軸 5 にプー リ 1 2 を固着 し、 他方には従動プー リ 1 3 を設け、 これ らのプー リ 間に、 印字へッ ド 1 1 を固着 した伝達ベル ト 1 4 を卷 回させて印字装置を構成している。 各例のステ ッ ピングモータ 1 は、 高調波を効率よ く 低減する こ とができ、 延いては、 よ り 静か で滑らかな回転が得られる と と も に、 位置決め精度も向上するの で、 プリ ンタの印字ヘッ ドを駆動する印字装置用のモータ に好適 である。
図 2 8 は、 上述 したステ ッ ピングモータ 1 でプ リ ンタ 1 0 の紙 送り ローラ 1 5 を駆動する もので、 ステ ッ ピングモータ 1 の出力 軸 5 にギア 1 6 を固着 し、 伝達ギア 1 7 を介 して、 駆動力を紙送 り ローラ 1 5 に伝達する。 この紙送り 装置の場合も、 ステ ツ ピン
グモータ 1 は、 高調波を効率よ く 低減する こ と が き、 延いては、 よ り 静かで滑らかな回転が得られる と と もに、 位置決め精度も向 上する ので、 プ リ ンタ の紙送り ローラ を駆動する紙送り 装置用の モータ に う ってつけである。
産業上の利用可能性
本発明に係る ス テ ッ ピングモータは、 よ り 静かで滑らかな回転 が得られ、 位置決め精度も向上する ので、 オフ ィ ス機器、 と り わ けプリ ンタ の各種駆動モータ に好適である。