明 細 書 疎水性薬剤のマイクロカプセルの製造方法 技術分野
本発明は、 水への溶解性が小さい薬剤をマイクロカプセル化し、 マイクロカブ セル化された薬剤を提供する事である。 工業、 農業、 家庭用に種々に用いられる 疎水性薬剤をマイクロカプセル化し、 本来有する薬剤の欠点を改善する方法及び そのマイクロカプセル化組成物に関する事である。
背景技術
マイクロカプセルに関する種々の方法が考案され、 その中の一つの有力な方法 として、 イソシァネート化合物を利用する事は古くから公知である。 F r . P.
1 , 2 7 8 , 6 2 1 ( 1 9 6 1年) , B. P. 1 , 1 4 2 , 5 5 6 ( 1 9 6 9年 ) , B. P. 1 , 3 7 1 , 1 7 9 ( 1 9 7 3年) , 特開昭 4 9 — 3 9 5 7 9 , 特 開昭 4 8 - 4 6 4 3 , 特開昭 5 3 — 4 0 2 9 , 特開昭 5 4— 4 2 8 2 , 特開昭 5
4 - 1 2 9 1 2 3 , 特開昭 5 4— 3 2 6 3 1 , 特開昭 5 5 — 4 3 0 7 3 , 特開 ¾
5 5 - 3 8 3 2 5 , 特公昭 5 5 — 4 2 9 6 4, 特公昭 5 5 — 3 9 6 9 , U S P 4 , 2 8 5 , 7 2 0 ( 1 9 8 1年) , U S P 4, 2 8 0 , 8 3 3 ( 1 9 8 1年〉 , 特開昭 5 6 — 1 5 8 1 4 0 , 特開昭 5 8 — 1 4 4 3 0 4, 特公昭 5 8 - 5 5 8 1
1. 特開昭 6 0— 1 5 6 5 4 6 , 特開昭 6 2 — 1 9 0 1 0 7 , 特開昭 6 2 — 6 7
0 0 3, 特開昭 6 2 - 2 1 5 5 0 4, 特開昭 6 2 — 2 1 5 5 0 5 , 特開昭 6 2 -
1 6 1 7 0 6 , 特開昭 6 3 - 2 3 0 6 0 6 , 特開昭 6 4— 1 3 0 0 2 , 特開平 1 - 1 7 2 3 0 6 , 特開平 2 — 1 9 6 7 0 3等で公知である。
こうした従来のィソシァネート化合物を利用するマイクロカプセル化法は、 ィ ソシァネート化合物とイソシァネート基に不活性な疎水性薬剤を混合して、 水又 は溶剤中に分散し、 分散粒子と連続相とを形成させ、 連続相にイソシァネート化
合物と反応する物質を加えると、 分散粒子と連続相との界面で重合反応は生じ、 分散粒子に存在するィソシァネー ト化合物が粒子表面に移行し、 重合体が粒子表 面で形成され、 重合体のマイ クロカプセル殻を形成し、 混合した芯物質 (疎水性 薬剤) を包むマイ クロカプセル分散液が得られた。
こうした従来知られているィソシァネー ト化合物を利用した水中マイクロカブ セルスラリーの殻は、 下記の通り大別できる。 従来知られているマイクロカプセ ルのほとんどが ( 1 ) 〜 (3 ) の分類に大別できる。
( 1 ) イソシァネー ト化合物とポリアミン化合物との重合による尿素樹脂
( 2 ) イソシァネー ト化合物とポリヒドロォキシル化合物との重合による力ルバ ミン酸エステル樹脂
( 3 ) イソシァネー ト化合物と水との重合による尿素樹脂
( 1 ) のグループの方法は、 ボリァミン化合物による p H変化が大きく、 場合 によってはポリァミン化合物が芯物質と反応したり、 芯物質を分解させたりする 困難性が有り、 得られるマイ クロカプセル皮膜は比較的軟質となり、 限定された 用途のマイク口カプセル化法である。
( 2 ) のグループの方法は、 イソシァネート化合物とヒドロォキシル基との反 応性が比較的小さく、 芯物質の影響で場合によっては、 マイ クロカプセル皮膜が 得られない事が有り、 限定された用途のマイク口カプセルに応用されるに過ぎな い。
( 3 ) のグループの方法は、 イソシァネート化合物と水の反応により炭酸ガス が発生し、 発泡し、 イソシァネート化合物の量にもよるが、 全体の体積が 2〜 1 0倍にまで膨張し、 撹拌が困難になったり、 生産効率を著しく低下させる事があ る。 さらに分子量の大きなイソシァネー トと水との反応性が小さいので、 室温で は反応が進行しない又は極めて進行が遅いと考えられていた。 反応を完全に進行 させるために加温する必要があり、 場合によっては反応促進の触媒も添加する必 要があり、 このため芯物質によっては芯物質の一部が分解して本来の目的が達せ られない事がある。 このため実用性に乏しかった。
従来マイク口カプセル粉末を得る手段はドライスプレー方式で行なわれていた が、 マイクロカプセル粉末の粉塵の飛散で特に毒性があるマイクロカプセル粉末 の場合、 作業者の健康の問題があり、 マイ クロカプセル粉末としての回収率も不 十分であった。
本発明は、 温和な条件下で、 これまで分解しやすく困難とされてきた疎水性物 質をマイク口カプセル化する方法及びマイクロカプセル化された水中スラリ一か ら、 低コス トで大量生産できるマイクロカプセル粉末を得る方法及びこれらのマ ィクロカプセル化組成物に関する事である。 発明の開示
本発明はイソシァネー ト化合物と水とが反応して尿素樹脂を形成する過程で比 較的温和な条件下で、 確実にマイクロカプセルを得る方法を考案した。 本発明の 方法は、 下記の要素に分類し、 これらの要素を適当な順序に組合せる事により達 成される。
( a ) 疎水性物質とイ ソシァネート化合物を混合し、 疎水性溶液を得る。
( b ) 水に分子内に水酸基を有する高分子分散剤を溶解した水溶液を得る。
( c ) 上記 (a ) と (b ) を混合し、 乳化機で乳化分散し、 疎水性溶液が水中で 分散され、 疎水性溶液が約 0 . 5〜 5 0 ミクロンの微小粒子分散で水層が連続相 となる分散液を得る。
( d ) 得られた分散液を 0で以上、 4 0で以下、 好ましくは室温でゆつくり撹拌 し、 イソシァネー ト化合物と連続相の水との反応を進行させ、 微小粒子表面に尿 素樹脂を形成させて、 マイ クロカプセルスラリーを得る。
( e ) 必要において、 得られたマイクロカプセルスラリーに增粘剤や添加助剤を 加え安定なマイクロカプセル分散液を得る。
( f ) 上記 (d ) に続き、 遠心沈降又は濾過によりゥヱッ トケーキ状のマイクロ カプセル粒子 (含水状態) を得る。 さらに室温又は加熱及び常圧又は減圧の状態 で乾燥するとマイクロカプセル粉末を得る。
本発明で述べる 4 0て以下、 好ましく は室温 (約 5〜 3 0 ) でマイ クロカブ セル化を達成するには、 分子内に水酸基を有する高分子分散剤を必要とする。 化 学的な理論は完全に解明されていないが、 分子内に水酸基を有する高分子分散剤 はイ ソシァネー ト化合物と水との重合反応を室温でも促進する効果がある事、 さ らに、 分子内に水酸基を有する高分子分散剤は、 重合反応過程で疎水粒子表面に その多くが吸着され、 イソシァネ— ト化合物と一部が反応してカプセル皮膜の一 部を形成する。 マイクロカプセルの粉末化に際し、 濾過工程が必要だが、 マイク 口カプセルの粒子径コン トロールが重要である。 粒子径が 0 . 5 ミクロン以上、 好ましく は 1 ミクロン以上 5 0 ミクロン以下に調整する必要がある。 こう した範 囲の粒子径調整は分子内に水酸基を有する高分子分散剤が特に有効である。 分子 内に水酸基を有する高分子分散剤にもよるが、 分散剤の使用量を調整する事によ り容易に粒子径コントロールができる。
他の分散剤を用いた場合、 重合反応の進行速度が遅くなつたり、 重合反応が停 止したりする。 従って、 加熱する必要がある。 こうした加熱操作は芯物質が分解 される場合がある。 一方加熱で反応が一挙に進行し、 炭酸ガス発生が短時間で起 きるため泡立ちが大きくなる。 結果的には、 加熱操作の場合、 イソシァネー ト化 合物を少量使用する処方 (有効分を低く したり、 殻を極めて薄くする処方) しか 応用できない。
一方これまで分子内に水酸基を有する高分子分散剤を用いるマイクロカプセル 化方法が提案されてきた。 特開昭 6 2 - 2 1 5 5 0 4等ではポリビュルアルコー ル (P V A ) を用いたマイクロカプセル化法を開示している力く、 重合反応を進行 させるため加熱操作 (約 6 0て) を必要とし、 このため、 イソシァネー ト化合物 は全体量に対し低い濃度に抑える必要 (約 0 . 7 % ) があり、 この程度のイソシ ァネー ト化合物と芯物質との比では本発明で述べるマイクロカプセルとして充分 な強度を有するマイクロカプセル皮膜が得られない。 さらには加熱操作により芯 物質が変質する場合もあり、 汎用的ではなかった。
尚、 分子内に水酸基を有する高分子分散剤を使用することにより、 4 0で以下
の反応温度でマイクロ力プセル化が可能となるという事実は、 当業者にとっては 予想外の事実であり、 本発明者が新規に得た知見である。
本発明の方法は疎水性でィソシァネー ト化合物に比較的不活性な物質のほとん どに適用する事ができ、 下記の利点を有する。
( 1 ) 広範囲の疎水性物質をマイクロカプセル化できる。
( 2 ) 比較的分解しやすい又は変質しやすい物質でもマイクロカプセル化できる
( 3 ) イソシァネー ト化合物を基準にして、 高濃度のマイクロカプセルが得られ る。
( 4 ) マイクロカプセル粉末が高収率で容易に得られる。
特に本願の方法は、 不安定な薬剤への適用において製剤中の分解の抑制のみな らず製剤後の分解をも抑制する効果を有するため、 不安定な薬剤に長期安定性を 付与する方法として、 極めて優れている。
本発明でマイクロカプセル化できる芯物質となる疎水性物質は、 ィソシァネー ト化合物に比較的不活性な有機物で液体状のものである。 例えば溶剤類, 可塑剤 類, 農薬類, 工業用有機化合物, 家庭用有機化合物等である。 実例で示すと、 ト ルェン, キシレン, 酢酸ェチルエステル, オクタン, ジォクチルフタレー ト, 有 機リ ン系殺虫剤, 有機ィォゥ系殺菌剤, 有機塩素系殺藻剤, 有機スズ系触媒, 香 料等であり、 限定される事はない。
本発明で使用するイソシァネー ト化合物は、 イソシァネー ト基を好ましくは 2 価以上を有する化合物であり、 ィソシァネー ト化合物のモノマー組成で例示する と次の通りである。 2 , 4 トリ レンジイソシァネート (T D I ) , 4 , 4, —ジ フエニルメタンジイソシァネー ト (M D I ) , ジァニシジンジイ ソシァネー ト, へキサメチレンジイソシァネー ト ( H M D I ) , メタキシリ レンジイ ソシァネ一 ト, トリ フエニルメタン トリ イソシァネー ト, イ ソホロンジイ ソシァネー ト ( I P D I ) 等である。 さらに、 これらィソシァネ一 トモノマーの 2量化又は 3量化 イ ソシァネー トポリマー、 ポリオ一ル変性したイ ソシァネー トプレボリマー (デ
スモジュール L : ノ イエル社) , 力ルポジィ ミ ド変性したイ ソシァネー トプレボ リマー (ルプラネー ト M M— 1 0 3 :武田バ一ディ シュウレタン工業) , ポリメ リ ック M D I (クルード M D I ) 等である。
本発明で使用する分子内に水酸基を有する高分子分散剤とは、 ヒ ドロキシェチ ルセルロース (H E C ) , ヒ ドロキシプロピルセルロース等の水溶性高分子分散 剤及びこれらの誘導体であり、 ボリビュルアルコール (P V A ) 及びこれらの誘 導体である。 これらの高分子分散剤は、 分子量の小さいものから高分子量のもの が知られており、 永酸基付加率も種々知られているが、 いずれも使用する事がで きる。 これらの誘導体の例としては、 カルボキシル基をも一部付加したものが知 られているが、 これも使用する事ができ、 さらにこれらのアルカリ塩も使用する 事ができる。
本発明の乳化機は、 高速羽根によるもの (例. T . K . ホモミクサ一 :特殊機 械工業社) , サンドミル機 (ピスコミル:アイメ ック社) , コロイ ドミル機等で ある。 疎水性分散液と高分子分散剤水溶混合物又は、 いずれか一方を先に加え高 速乳化機を回転しながら他の液を加えてもよい。 この種の乳化機はしばしば発熱 する事があるので、 冷却しながら 4 0で以下で好ましくは 5〜 3 0でに保持する 。 疎水粒子の粒子径は乳化機の種類、 乳化温度、 高分子分散剤の量によって決ま り、 0 . 5〜 1 0 0 ミクロンの粒子径に調整する事は容易にできる。
乳化機による分散は短時間ですみ、 イソシァネー ト化合物と水との反応はわず かしか進行していない。 得られた分散液を通常の羽根による撹拌機で低速撹拌す ると、 イ ソシァネー ト化合物と水とがゆっく り反応を始め、 弱い発熱が認められ るので冷水で 4 0で以下好ましくは室温で保持する。 この間、 使用するイソシァ ネ一ト化合物の量にもよるが炭酸ガス発生による発泡が見られ分散液の体積膨張 が起きるので、 消泡剤を連続的に滴下する事により、 ほぼ元の体積に保つ事がで きる。 この反応は通常 1〜 3 6時間で終了し、 マイ クロカプセルスラリ ーが得ら れる。 得られたマイクロカプセルスラリーは沈降しやすい。 場合によっては增粘 剤で増粘する事により沈降しない安定なマイ クロカブセル分散液が得られる。
消泡剤は、 主としてシリ コン系消泡剤 (例: ジメチルシリ コンオイル) , 高級 アル 'コール系消泡剤 (例: 2 —ォクタノール) , 鉱物油等が使用する事ができ、 さらにこれらの混合物及び他の添加剤 (シリ カ粒子, 界面活性剤等) を加えたも のである。 消泡剤を直接添加してもよい。 水又は他の溶媒に希釈 (又は分散) し て連続的に添加してもよい。 分割して添加してもよい。
本発明の粉末化は、 得られたマイクロカプセルスラリ ーを遠心沈降 (又は静置 沈降) 、 又は濾過により、 マイ クロカプセルのゥヱッ トケーキ状物が得られる。 こうしたゥヱッ トケーキ状物は、 マイクロカプセル皮膜の厚さ及びィソシァネー ト化合物にもよるが乾燥しても相互に付着して塊状になる事はなく、 マイクロ力 プセル粒子の大きさまでに粉末化する事ができる。 これはマイクロカプセル皮膜 が水との反応による尿素結合で樹脂化されるため、'極めて硬い皮膜が得られ、 ィ ソシァネー ト化合物とアミン化合物による尿素樹脂皮膜よりはるかに硬い皮膜で あり、 他には見られない程、 粉末化は容易で経済的に達成される。 以降具体例を もって例示するが、 本発明は当実施例に限定されるものではない。 特に記載がな い限り、 グラム重量分で示す。 発明を実施するための最良の形態 実施例 1.
離形剤油: ヒンダードエステル油のマイクロカプセル (組成物番号 1 ) 配合処方
デンカポバール B— 4 5 ( 2. 5 %) 1 2 0 0 P V A, 電気化学工業製 S Nデホーマー 3 6 9 2 消泡剤, サンノプコ製 ユニスター (エステル油) H— 3 8 1 1 3 5 0 -. 芯物質, 日本油脂製 ルプラネー ト MS 4 5 0」 4 5てで溶解
N C 0 : 3 3. 5 ¾, MD I イソシァネー トモノマー, 武田バーデイ シュ製 S Nデホーマー 4 5 8 5Ί 消泡剤, サンソプコ製
水 1 6 0」 混合
1 0 リ ツターの容器に上記デンカポバール B — 4 5 ( 2. 5 %) 及び S Nデホ —マー 3 6 9を加え、 T. Kホモミキサーで高速で、 ユニスター H— 3 8 1及び ルプラネー ト M S混合液 (4 5 Ό ) を加え乳化した。 この時の液温は 3 3でであ つた。 撹拌機で低速に撹拌しながら、 S Nデホーマー 4 5 8分散液を連続的に約 1時間滴下した。 さらに液温を 2 5 'Cに保持して 1 0時間撹拌を続けた。 ジブチ ルァミ ンによるィ ソシァネー ト基定量を試みたが、 ィ ソシァネー ト基は認められ ず、 反応が終了している事を示していた。 1 0 0メ ッシュのナイ口ン布により濾 過したところ、 0. 5 gのゲル物, p H 6. 3 0 , 粘度 ( 6 0 r p m〉 9 0 c p sであった。
次いで増粘剤 (P V A) で 9 2 0 c p sまで增粘し、 ァンモニァ水で p H 8. 9に調整した。 不揮発分 5 2. 8 %であった。 得られたマイ クロカプセル分散液 をバーコ—ター (番号 1 2 ) で P E Tフィルムに塗布し、 乾燥したところ白濁し た塗工面が得られた。 光学顕微鏡 1 5 0倍で観察したところ、 約 1 0 ミクロンの 粒子状物が認められた。 塗工面を重ねあわせて 5 0 O g/crn2 の加重をし、 約 5 0 •Cの恒温室で耐ブロッキング性を調べたが、 プロッキングする事はなかった。 実施例 2.
香料: ヒノキオイルのマイクロカプセル (組成物番号 2 )
配合処方
デンカポバール B— 4 5 ( 5 %) 5
水 1 7 0
ヒノキォイスレ 1 5 芯物質, 井上香料 キシレン 3 0 溶解混合
ルプラネ一 ト M— 2 0 S 4 5 0 N C 0 : 3 1 %
武田バーディシュ製 5 0 0 ミリ リ ッターのビーカーにデンカポバール B一 4 5及び水を加え、 T,
K . ホモミキサーを高速回転しながら、 ヒノキオイル, キシレン, ルプラネート Μ - 2 0 Sの混合物を加え、 3 (TCで 3 0秒間乳化分散した。 撹拌機で低速に撹 拌しながら、 S Νデホーマー 4 5 8を 0 . 2を加え、 液温を 1 5時間 2 5てに保 持した。 平均粒子径は約 1 0 ミクロンであった。 得られたマイクロカプセルスラ リ一を東洋濾紙 2番で減圧吸引濾過し、 ゥ ッ トケーキ状物が、 次いで 5 0でで 2 4時間乾燥しマイクロカプセル粉末 4 4 gを得た。 回収率 9 8 %。 実施例 3 .
柑橘用香料: D -リモネンのマイクロカプセル (組成物番号 3 )
配合処方
デンカポバール B— 4 5 ( 5 % ) 5
水 3 4 0
D—リモネン 6 0 -| 溶解混合
ルプラネー ト M— 2 O S 6 0」
実施例 2に順じた方法でマイクロカプセルスラリーのゥヱッ トケーキ状物を得 た。 3 0でで 4時間乾燥し、 乳鉢で粉砕し、 フルイで濾過し、 1 1 0部のマイク 口カプセル粉末を得た。 回収率 9 2 % . 実施例 4 .
防藻剤: 3, 4—ジクロロフ 二ルイ ソチオシァネー ト (化学式 1 ) のマイク 口カプセル (組成物番号 4 )
デンカポバール B— 4 5 ( 5 % ) 1 0
水 3 4 0
化学式 1の化合物 3 0
ルプラネー ト M— 2 O S 3 0 溶解混合
ネオスタン U— 2 8 2」 触媒, 日東化成製
実施例 2に順じた方法で、 ゥ ッ トケーキ状物を得た。 室温で 2日間乾燥し、 減圧室温で 5時間保持し、 5 4部のマイク カプセル粉末を得た。 次いでガスク 口マトグラフィー (カラム : O V— 1 ) で分折したところ、 粉末中に舍まれる化 学式 1の化合物の有効分は、 4 4 . 8 % (回収率 9 5 % ) であ'つた。
2 ) 溶出テスト
化学式 1の化合物が任意の割合で溶解するァイソバー G (脂肪族溶剤, ェクソン 化学社製) を用いてマイ クロカプセル粉末からの溶出を調べた。 カプセル粉末 0 . 1 2をァイソパー G 1 0 ミリ リ ツターに加え、 室温及び 4 0でで 1 2時間放置 し、 ガスクロマ トグラフィ一でマイ クロカプセルから化学式 1の化合物が溶出し た量を調べ溶出率 (ァイソバー G中の有効分/加えた有効分) を求めた。
未カプセル 1 0 0 %溶出
組成物番号 4 2 5で保持 1 5 %溶出
組成物番号 4 4 0で保持 2 8 %溶出
この結果から、 マイ クロカプセル化により、 溶媒への溶出が制御されている事が 認められた。 実施例 5 .
反応触媒: ジブチルチンラウリ レー トのマイクロカプセル (組成物番号 5 ) 配合処方
デンカポバール Β— 4 5 (五 1 8
水 6 0 0
トルエン 1 2 Ο
ジブチルチンラウリ レー ト 6 0 混合
クルー ド MD I 6 0」 N C 03 0 アイ力工業製
S Ν—デホーマ一 3 6 9 0. 1
実施例 2に順じた操作で、 ゥ ッ トケーキ状物を 5 7 4部得た。 室温で 2日間 乾燥し、 5 0てで 8時間乾燥して、 1 1 5部の粉末を得た。 実施例 6.
スライムコン ト口一ル剤 : テ トラクロロテ トラヒ ドロチォフエオン一 1 , ジォキシ ド (化学式 2) のマイクロカプセル (組成物番号 6) (2)
化学式 2の化合物の物性値:白色粉末, 融点約 1 6 5て, 水への溶解性 ( 2 5で ) 9 0 0 p p m
1 ) マイク口カプセル操作
配合処方
デンカポバール B— 4 5 ( 5 %) 4 0 0
水 2 6 0 0
化学式 2の原体 (有効 98%) 3 9 2つ
トルェン 1 5 5 0 混合溶液
クル一 ド MD I 3 8 8 N C 03 0 ¾, アイ力工業製 ネオスタン U— 2 8 1 3
S Nデホーマー 3 6 9 0. 5
水 5 0 0 0
1 0リ ツターの容器に上記デンカポバール B - 4 5及び水を加え低速撹拌機で
撹拌しながら、 混合溶解液を加え約 3分間撹拌した。 乳化機: マイルダー (荏原 製作所製) で処理し乳化分散した。 低速撹拌機で、 処理液を撹拌しながら 2 O 'c 2 0時間に保持した。 この間多少の泡立ちが発生した時、 S Nデホーマー 3 6 9 を添加した。 得られたマイク口カプセルスラリ一に水 5 0 0 0を加え、 1日放置 するとマイ クロカプセルが沈降し、 上澄み液を捨て、 沈降物を濾紙 (東洋濾紙 2 番) で吸収瀘過し、 ゥュッ トケーキ状物を得た。 室温で 4日間乾燥後、 5 0でで 4時間乾燥し、 Ί 4 8部の淡黄色のマイクロカプセル粉末を得た。 ガスクロマト グラフィー (カラム : O V— 1 7 ) による分折では、 化学式 2の化合物が 4 3. 1 %, 化学式 3の化合物が 5. 3 %であり、 有効分の回収率は、 9 4. 2 %であ つた。 なお化学式 3は、 下式である。
- 1
2
X _ £
飞 (3)
0
2 ) 皮廣一次刺激性試験
検疫済み日本白色種ゥサギ (コ ンペショナル) 6匹の身区幹背部を毛刈りし、 2 X 3 cmの面積で 6 ケ所に、 バッチ用絆創 ¾とガーゼで組成物番号 6の粉末 0. 5 g又は、 化学式 2の化合物の粉末 0. 2 5 gをクローズドパッチを行なった。
4時間、 1日, 2日, 3日, 4日, 5日経過後に紅班、 痂皮形成及び浮腫形成の 程度を観察した。
評価判定基準 (D r a i Z e法)
A. 紅班 ·痂皮形成
紅班なし 0 非常に軽度の紅班 (かろうじて識別できる) 1 はっきりした紅班 2 中等度ないし高度紅班 3 高度紅班 (beet redness) からわずかな痂皮の形成 (深部損傷) まで · ♦ 4 .
B. 浮腫形成
浮腫なし 0 非常に軽度の浮腫 (かろうじて識別できる) 1 軽度浮腫 (はっきりした膨隆による明確な緣が識別できる) 2 中等度浮腫 (約 1關の膨隆) 3 重度浮腫 ( 1隱の膨隆と暴露範囲を超えた拡がり) 4 上記表より下記の一次刺激性を求めた。 数式 1により、 I r r i t a t i o n
I n d e xを得て、 下記表により刺激性ィンデックスを得た。 I r r i t a t i o n I n d e x及び安全性区分は下記の通りである。
Total erythema points + Total edema points
Irritation Index =
6 (Animals)
安全性区分 刺激性イ ンデックス
弱い刺激物 0〜 2
中等度刺激物 3〜 5
強い刺激物 6〜 8
下表の結果から、 マイクロカプセル化により皮) f刺激性が大幅に低減される事 を示している。
4時間 1日 2日 3日 4曰 5日 安全区分 組成物番号 6 0.67 0.67 0.67 0.67 0.55 弱い刺激 化各式 2の化合物 7.22 7.22 7.15 7.15 6.17 強い刺激 絆創膏のみ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 弱い刺激 実施例 Ί .
船舶用防汚剤: 4, 5—ジクロロ— 2— η—ォクチルー 4—ィソチアゾリ ンー 3—オン (化学式 4) のマイ クロカプセル (組成物番号 7)
化学式 4の化合物の物性値:複色固形, 融点 4 0〜 4 1て, 水への溶解度 ( 2 5 •C) 6 p p m 1 ) マイクロカプセルf匕
配合処方
デンカポバール B— 4 5 ( 5 %) 2 5
水 6 0 0
化学式 4の化合物 (8 5 %有効分) 6 0
ネオスタン U— 2 8 2 混合溶解
タケネート D— 1 0 2 8 0
NC0 13¾, 固形分 75%, 酢酸ェチル溶液, TDI 7ダクト 武田薬品工業製 実施例 6に順じて淡褐色粉末 1 1 5部を得た。 ガスクロマ トグラフィー (カラ ム 0 V - 1 7 ) による分析で、 4 1. 3 %の有効分が得られた。 回収率 9 3. 1
%
2 ) 皮 刺激性試験
実施例 6に順じて評価した。
組成物番号 7 弱い刺激性
化学式 4の原体 強い刺激性
上記の結果から、 マイクロカプセル化により皮廣刺激性が大幅に低減する効果 を示している。
実施例 8.
農業用殺虫剤:ェチル N— 〔 2 , 3—ジヒ ドロー 2 , 2—ジメチルベンゾフ ラン— 7—ィルォキシカルボニル (メチル) —ァミノチォ〕 N—イ ソプロピル— 9一ァラニネー ト (化学式 5) のマイ クロカプセル (組成物番号 8)
0
0 C2H4-C-OC2H5
I! S Nく
- Nく CH(CH3)2 (5)
化学式 5の化合物の物性値:淡黄色粘稠液体, b p 1 1 0 (2. 5/ 1 0, 0 0 0., 0 0 0 mmH g下で) 水への溶解度 8 ρ p m
1 ) マイク口カブセル化
配合処方
フジヘック A L— 1 5 ( 1 5 %液) 1 8 H E C, フジケミカル社製 7K 4 5
化学式 5の原体 (9 2 %有効分) 6 0 "J溶解
クルード M D I 1 2 J
フジヘック AW— 1 5 (3 %液〉 1 8 H E C, フジケミカル社製
3 0 0 ミ リ リ ツターのビーカ一で上記の配合にて T . Kホモミキサーで 5分間 室温で乳化した。 2 5でで 1 2時間低速撹拌した。 フジヘック AW— 1 5 (3 % 液、 ヒドロキシェチルセルロース增粘剤) で 2 0 0 0 c p s (B型回転粘度計 6
0 r p m) に調整し、 1 6 5部のマイ クロカプセル分散液を得た。 高速液体クロ マトグラフィ一による分折で化学式 5の化合物の有効分 3 3. 2 %, 平均粒子径
5. 8 ミクロン, p H 7. 9であった。 回収率 9 9. 2 %。
2) 評価
実施例 1の耐ブロッキング性による方法で評価したが、 ブ口ッキングは認めら れなかった。 5 4てで 1 ヶ月間保管し保存安定性を調べたが、 化学式 5の化合物
の有効分分解率 (保存テス ト後の有効分 保存テス ト前の有効分比で計算される 分解成分割合) は、 7. 3 %であった。 実施例 9.
農業用殺虫剤: 2 , 3 —ジヒ ドロ— 2 , 2—ジメチルペンゾフラン一 7—ィル 一メチルカーバメ イ ト (化学式 6 ) のマイ クロカプセル (組成物番号 9 )
0
化学式 6の化合物の物性値: 白色粉末, 融点 1 5 0で〜 1 5 2で, b p 3 3 -C ( 2 2 / 1 0 0 , 0 0 0 mm H g下で) 水への溶解度 7 0 0 p p m
実施例 6で化学式 2の化合物を化学式 6の化合物に替えて 1ノ 1 0の配合処方 で同様の操作を実施した。 淡黄色粉末 7 2部が得られた。 有効分 4 4. 3 %であ り、 有効分回収率 8 3 %であった。 実施例 1 0.
魚網用及び船舶用防藻剤:チオシァノメチルチオべンゾチアゾール (化学式 7 ) のマイ クロカプセル化 (組成物番号 1 0 )
化学式 7の化合物物性値:暗褐色液体, 水への溶解性 1 0 0 P P m
1 ) マイク口カプセル化
配合処方
デンカポバール B— 4 5 ( 5 %) 1 8
水 6 0 0
ト ノレエ ン 1 2 0
化学式 7の化合物 6 0 混合溶解
クルード MD I 6 0
ネオスタン U— 2 8 1
実施例 6に順じた操作で、 淡黄色マイクロカプセル粉末 1 1 4. 5部を得た。 ガスクロマ トグラフィー (カラム OV— 1 ) による分折では、 化学式 7の化合物 の有効分は 4 8. 6 %であった。
2) 皮 Jf刺激性試験
組成物番号 1 0 弱い刺激物
化学式 7の化合物のみ 中等度刺激物
上記の結果からマイクロ力プセル化により皮苗刺激性が低減されている事を示し ている。 参考例 1.
化学式 2の化合物のマイ ク口カプセル化でボリアミ ンを用いた場合
配合処方
デンカボバール B— 4 5 ·( 5 %) 4 0 0
水 2 6 0 0
へキサメチレンジァミ ン (4 0 %水溶液) 1 5 0
化学式 2の化合物 ( 9 8 %有効分) 3 9 2
ト レエン 1 5 5 0 混合溶解
クルー ド MD I 3 8 8
ネオスタン U— 2 8 1 3
水 5 0 0 0
実施例 6に順じてマイクロカプセル粉末 7 2 5部を得た。 ガスクロマトグラフ ィー (カラム : OV— 1 7) による分圻では化学式 2の化合物が 2 9. 6 %, 化 学式 3の化合物が 1 8. 6 %であった。 化学式 3の化合物が大幅に増加しており
、 へキサメチレンジァミ ンにより化学式 2の化合物の脱塩酸反応が起き、 化学式 2の化合物が分解している事を示している。 又'濾過液中にへキサメチレンジァミ ンの塩酸塩のほぼ全量が検出され、 へキサメチレンジアミ ンがマイ クロカブセル 化に寄与しない事を示している。 参考例 2 .
マイクロカプセル化の反応工程を高温にした場合
実施例 8において低速撹拌での温度を 5 0でで実施したところ、 急速に発泡し、 液の体積膨張が 2倍以上になり、 ビーカーから液の半分が溢れ出た (約 4倍に発 泡) 。 他は同様の操作を行なった。 化学式 5の化合物の有効分は 2 9 . 8 %であ つた。 5 4で 1ヶ月間の保存安定性を調べたところ、 有効分の分解率は 3 5 . 5 %であった。 高温でのマイクロカブセル化は、 発泡現象が激しく、 生産効率の低 下をきたし、 有効成分の分解が著しく進行する事を示している。 参考例 3 .
分子内に水酸基を有する高分子分散剤以外の分散剤を用いた場合
実施例 8においてフジヘック A L— 1 5 ( 1 0 %液) 1 8部をェマルゲン 8 1 0 ( 1 0 %水溶液) 1 8部に置き換えて同様の操作を実施した。 得られたスラリー 液は耐ブロッキング性が得られなかった。 従ってマイクロカプセル化されていな い事を示している。 なおエマルゲン 8 1 0はォクチルフヱニル E O付加物の界面 活性剤 (花王社製) である。 産業上の利用可能性
以上のように本発明の方法は、 広範囲の疎水性物質、 比較的分解しやすい又は 変質しやすい物質をマイ クロカプセル化できる。 また、 イソシァネー ト化合物を 基準にして、 高濃度のマイクロカプセルが得られ、 マイクロカプセル粉末が高収 率で容易に得られる。 特に本願の方法は、 不安定な薬剤への適甩において製剤中
の分解の抑制のみならず製剤後の分解をも抑制する効果を有するため、 不安定な 薬剤に長期安定性を付与する方法として、 極めて優れている。