明細書 抗血栓活性を有するぺプチド及びその製造法 技術分野 本発明は、 抗血栓活性を有するペプチドとその製造法、 及びこのペプチドを含 有する医薬組成物に関し、 詳しくは生体内に於いて血小板減少を示さない蛇毒由 来のぺプチドに関する。 背景技術 心筋梗塞、 脳血栓を始めとするいわゆる血栓症の発症には、 血小板が深く関与 していることが広く知られている (「血小板」 ;山中、 山崎編;医学書院、 pl58 -163(1991)) 。 近年、 このような血栓症に至る初期反応と考えられる血小板の血 管内皮下組織への粘着に、 血中夕ンパク質の 1つであるフォンビルブランド因子
(von Willebrand factor) と血小板表面上の糖タンパク質 I b (glycoprotein lb) との結合が重要であることが示されている (J. P. Cean et al. , J. Lab. Clin. Med. , 87, 586-596 (1976)) 。
これらの 2種のタンパク質の結合は、 通常の状態では起こらず、 生体内で高い ずり応力のかかった状態にのみ起こることが知られている (T. T. Vincent et al.,
Blood, 65, 823-831 (1985)) 。 さらにこの結合を生体外で観察する方法として、 抗生物質であるリストセチン (ristocetin) (M. A. Howard, B. G. Firkin, Thromb.
Haemostasis, 26, 362-369 (1971)) 、 蛇毒由来のタンパク質であるボトロセチ ン (botrocetin) (M. S. Read et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 75, 45 14-4518 (1978)) 等の物質を用いた方法が広く用いられている。 これらの物質を 血小板浮遊液に添加することにより血小板の凝集が起こるが、 この凝集はフォン ビルブランド因子 (von Willebrand factor) と糖タンパク質 I b (Glycoprotein lb) の結合に依存するものである (前記 M. A. Howard, B. G. Firkin、 M. S. Read et al. ) 。
前記のリストセチンあるいはボトロセチンによる血小板凝集に対して阻害作用
を示すいくつかの化合物がすでに報告されている。 例えば、 ォーリントリカルボ ン酸 (aurin tricarboxylic acid) (M. D. Phillips et al. , Blood, 72, 1989- 1903 (1988))、 芳香族アミジノ化合物等の色素物質(J. D. Geratz et al. , Thromb. Haeinostasis, 39, 411-425 ( 1978) ) の他、 フォンビルブランド因子 (von ffillebrand factor) あるいは糖タンパク質 I b (Glycoprotein lb) の部分フラ グメントペプチドなどが知られている (Y. Fujimura et al. , J. Biol. Chem. , 261, 381-385 (1986)、 L Titani et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 84,
5610-5614 (1987)) 。
また、 蛇毒中からも同様の血小板凝集阻害活性をもつぺプチドが報告されてお り、 W09208472号国際公開パンフレツトではクロ夕ルス ·ホリダス ·ホリダス
(Crotalus horridus horridus) 、 セラステス ·セラステス (Cerastes cerastes) から、 いずれも、 少なくとも N末端側のアミノ酸配列の相同性の高い、 分子量約 2 5キロダルトンの異なる 2本鎖よりなるぺプチドについて示している。 また、 Pengら (M. Peng et al. , Blood, 81, 2321-2328 (1993)) が報告しているエキス
•力リナタス (Echis carinatus) から得た血小板凝集阻害ペプチドも、 インビト 口での活性、 分子量など、 上記ペプチドに非常に類似のものである。 これらの蛇 毒由来の血小板凝集阻害ペプチドはいずれも、 インビト口においては、 リストセ チンあるいはボトロセチンによる血小板凝集を 2〜5 /m 1以下の低濃度で 阻害する。
W09208472号国際公開パンフレツ卜においては、 動物投与時の抗血栓性について は記載されていない。 そこで、 本明細書の実施例 1に示した通り、 同パンフレツ 卜に記載のクロタルス ·ホリダス ·ホリダス由来のぺプチドの精製法を考慮して、 記載のぺプチドと同様の性質を持つぺプチドの精製を行ない、 動物投与時の作用 について検討を行なった。 その結果、 1 0 0 i g Z k gという少量の投与に於て、 ほぼ完全に血液中の血小板の消失が観察された。 しかし、 W09208472号国際公開パ ンフレツ卜には、 動物投与時におけるこのような問題点の指摘および解決策につ いては記載されていない。
さらに、 Pengらにより得られたエキス ·力リナタス由来のペプチドも、 S D S ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動における分子量が、 非還元下で約 2 6キロダル
トン、 還元下で約 1 4キロダルトンと約 1 6キロダルトンの 2つのべプチドであ ることから、 前記のクロ夕ルス ·ホリダス ·ホリダス由来のペプチドに相同なも のであると推定されるが、 このべプチドについても動物投与に於て顕著な血小板 減少が観察されることが報告されている(M. Peng et al., Blood, 81, 2321-2328
(1993)) 。
蛇毒由来の、 フォンビルブランド因子 (von Willebrand factor) と血小板との 結合を阻害するペプチドは、 いずれもアミノ酸配列の相同性が高く、 分子量的に も非常に似ているが、 上記の結果からこれらのぺプチドが生体内での血小板の減 少を引き起こす活性を併せ持つことが考えられる。 すなわち、 これらのペプチド は、 インビト口においてはフォンビルブランド因子の血小板への結合を低濃度で 阻害するが、 生体内に投与する抗血栓薬として利用することは難しい。 本発明者 は、 血小板減少の起きる機構について以下のように考察した。
リストセチン、 ボトロセチンによる血小板凝集を低濃度で阻害する蛇毒由来べ プチドのァミノ酸配列は、 例えば WO9208472号国際公開パンフレツ 卜に記載されて いる。 このアミノ酸配列によれば、 この蛇毒由来ペプチドは Drickamerらにより報 告されているカルシウム依存性のレクチン活性を持つぺプチド (C型レクチン(C -type lectin)と呼ばれる) (L Drickamer, J. Biol. Chem. , 263, 9557-9560, (1988)) と、 システィン残基のおおよその位置、 およびレクチン活性に必要であ ると考えられる共通配列の一部を保持している( 1. Weis et al. , Science, 254, 1608-1615 (1991)) 。
蛇毒からは、 この他にボトロプス ·ジャララ力 (Botrops jararaca) より得ら れたボトロセチン (Y. Usami et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 90, 928 -932 (1993)) 、 クロタルス ·アト口クス (Crotalus atrox) より得られたラッ 卜 ゾレスネイクレクチン (rattle snake lectin) (J. Hirabayashi et al. , J. Biol. Chem. , 266, 2320 - 2326 ( 1991 ) ) 、 卜 リメ レスラス · アルボラブリス (Trimeresurus albolabris) より得られたアルボアグレギン (alboaggregin) (E. Yoshida et al. , Biochem. Biophys. Res. Cornmun. , 191, 1386-1392 (1993)) など、 アミノ酸配列において C型レクチンと相同性の高いぺプチドが得られてい る。
これらのペプチドも、 C型レクチンと、 システィン残基のおおよその位置、 お よびレクチン活性に必要であると考えられる共通配列の一部を保持している。 ま た、 C型レクチンは細胞、 細菌等を、 その細胞膜上の糖タンパク質 (糖鎖) を介 して凝集させる活性を持つことが知られている (上記 K. Drickamer, J. Hirabayashi et al. ) 0
ィンビトロにおいて血小板の凝集能を測定する際、 多くの場合に採血血液中に 抗凝固剤としてクェン酸、 クェン酸ナトリウム、 エチレンジァミン四酢酸 (EDTA) を加えており、 血小板凝集測定系においてはカルシウムがキレートされているた めカルシウム依存性の反応は阻害される。 このため、 血小板凝集阻害活性を示す 上記の蛇毒由来のぺプチドがレクチン活性を持つかどうかを、 インビトロで検出 することは困難である。
そこで、 蛇毒由来のペプチドは、 動物投与時に生体内のカルシウム存在下に於 て、 C型レクチン活性を発現し、 血小板の凝集を生じさせ、 このことを要因の一 つとして微細血管における凝集塊の捕集、 ひいては血小板の減少が観察されるの ではないかと考えられる。
したがって、 インビトロでフォンビルブランド因子の血小板への結合を阻害す る蛇毒由来のぺプチドを、 動物実験などの生体内において有効な抗血栓薬として 作用せしめるためには、 血小板減少を示さない分子に変換した新しい活性べプチ ドを得ることが必要である。 発明の開示 本発明は上記観点からなされたものであり、 抗血栓薬として有効な薬剤を得る ために、 血小板減少を示さずにフォンビルブランド因子の血小板への結合を阻害 するぺプチド及びその製造法を提供することを課題とする。
本発明者は、 上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、 蛇毒由来の多量 体ぺプチドを一定の条件下で解離して得られる一本鎖べプチドが、 生体内投与に おいて血小板減少を示さずに抗血栓活性を有することを見出し、 本発明に至った。 すなわち本発明は、 フォンビルブランド因子と血小板との結合を阻害する活性 を有する蛇毒由来の多量体ぺプチドから得られる一本鎖べプチドであって、 生体
内に於て前記活性を示す最小投与量で実質的に血小板減少を示さないことを特徴 とするペプチド (以下、 「本発明のペプチド」 あるいは 「活性ペプチド」 ともい う) である。
また本発明は、 フォンビルブランド因子と血小板との結合を阻害する活性を有 する蛇毒由来のペプチドを、 タンパク質変性剤と、 グルタチオン及び Z又はシス ティンと共存させることにより、 前記多量体べプチドを構成するべプチド鎖内の ジスルフィ ド結合が実質的に保存されたままペプチド鎖間のジスルフィ ド結合を 切断することを特徴とする、 生体内に於いて前記活性を示す最少投与量で実質的 に血小板減少を示さな t、一本鎖べプチドの製造法を提供する。
さらに本発明は、 前記べプぺドまたはその一部分をコードする D N A断片が挿 入されたべクターにより形質転換された大腸菌を好適な培地で培養し、 前記ぺプ チドを発現させ、 大腸菌細胞内に蓄積された前記べプチドをタンパク質変性剤と 共存させた後に、 タンパク質変性剤を除去することにより、 あるいはタンパク質 変性剤の濃度を減少させることにより、 前記ペプチド鎖内のジスルフィ ド結合を 生成させることを含む、 生体内に於 t、てフォンビルブランド因子と血小板との結 合を阻害する活性を示す最小投与量で実質的に血小板減少を示さないペプチドの 製造法を提供する。
また本発明は、 前記べプぺドまたはその一部分をコ一ドする D N A断片が挿入 されたべクターにより形質転換された昆虫培養細胞又は動物培養細胞を好適な培 地で培養し、 前記ペプチドを発現させ、 前記細胞内又は培地中に蓄積された前記 ぺプチドを回収することを含む、 生体内に於いてフォンビルブランド因子と血小 板との結合を阻害する活性を示す最小投与量で実質的に血小板減少を示さないぺ プチドの製造法を提供する。
本発明はさらに、 前記ぺプチド及び/又はその薬学的に許容される塩を有効成 分として含有する医薬組成物を提供する。
尚、 本明細書において単にペプチドというときは、 一本鎖ペプチドをさす場合 もあり、 多量体ペプチドをさす場合もある。
以下、 本発明を詳細に説明する。
< 1〉本発明のぺプチド
本発明のぺプチドは、 フォンビルブランド因子と血小板との結合を阻害する活 性を有する蛇毒由来の多量体べプチドから得られる一本鎖べプチドであり、 さら に生体内に於て前記活性を示す最小投与量で実質的に血小板減少を示さないこと を特徴とする。
蛇毒由来の多量体べプチドとしては、 フォンビルブランド因子と血小板との結 合を阻害する活性を有する多量体べプチドであれば、 本発明が適用可能であり、 例えばクロ夕ルス ·ホリダス ·ホリダス、 セラステス ·セラステス、 エキス ·力 リナタス、 トリメレスラス 'アルボラブリス、 ビペラ 'パラスチナ (Vipera palaestina) 等の産生する蛇毒由来のペプチドが挙げられる。 これらのうちでは、 クロタルス ·ホリダス ·ホリダスの産生する蛇毒由来のぺプチドが好ましい。 本発明のぺプチドとしては具体的には、 クロ夕ルス ·ホリダス ·ホリダス由来 の蛇毒べプチドから得られる一本鎖べプチドであり、 配列表配列番号 1に示すァ ミノ酸配列を N末端に有するものが挙げられる。 さらに配列表配列番号 2に示す アミノ酸配列を有し、 配列番号 2において N末端から第 4番目と第 1 5番目、 第 3 2番目と第 1 2 0番目、 及び第 9 5番目と第 1 1 2番目のシスティン残基が各 々ジスルフィ ド結合しているペプチドが挙げられる。 またこのペプチドを遺伝子 工学的手法を用 、て生産させることもできるが、 このとき配列表配列番号 1ある I、は 2に示すァミノ酸配列の N末端に翻訳開始コドンに相当するメチォニン残基 が付加する場合があるが、 このように N末端にメチォ二ン残基が付加したべプチ ドも本発明のぺプチドに含まれる。
また、 公知の遺伝子工学的手法により、 大腸菌、 昆虫細胞又は動物培養細胞等 を用いて、 配列表配列番号 2記載のアミノ酸配列又はその一部分を有し、 上記活 性を有するぺプチドを生産することができる。 大腸菌を宿主として本発明のぺプ チドを発現させた場合、 細胞内に封入体を形成するが、 この封入体を可溶化させ、 さらにジスルフィ ド結合を正しく形成させることにより、 活性を有するペプチド が得られる。 その際、 ジスルフィ ド結合に関与していないシスティン残基をシス ティン以外のアミノ酸、 たとえばァラニン、 セリン等に置換することにより、 誤 つたジスルフィ ド結合が生じることを防ぎ、 得られるペプチドの安定性の向上が
期待できる。 さらに、 配列番号 2に示すアミノ酸配列のうち、 活性に必須ではな いアミノ酸又は領域があり、 そのような 1または 2以上のアミノ酸の置換、 欠失、 挿入が生じたペプチドを作製することもできる。 例えば、 後記実施例 6に示すよ うに、 配列番号 2に示すアミノ酸配列を有するペプチドから、 N末端の 1 5アミ ノ酸残基若しくは 6 5ァミノ酸残基及びノ又は C末端の 1 1ァミノ酸残基を欠失 させても、 活性は保持される。
塩基配列の部位特異的変異体の作製については、 市販のキッ 卜 (例えば Mutan - G、 Mutan- K:宝酒造 (株) 製) を用いることもできるし、 P C R protocols (Academic Press版) に記載されているように P C R反応を利用して変異体を得 ることもできる。
上記のような一本鎖化された本発明のぺプチドは、 フォンビルブランド因子と 血小板との結合を阻害する活性を保持したまま、 多量体べプチドが有する血小板 減少を実質的に示さない。 このような性質を有する本発明のペプチドは、 生体内 で抗血栓活性を示し、 抗血栓薬として有用である。
< 2〉本発明のぺプチドの製造法
蛇毒べプチドカ、ら、 フォンビルブランド因子と血小板との結合を阻害する活性 を保持したまま血小板減少を示ないぺプチドを得る手段の一つとして、 例えば以 下のような方法が考えられる。
生体内でおこる蛇毒べプチド投与時の血小板減少が、 カルシウム存在下で生起 し得る蛇毒べプチドのレクチン活性をその一因とする場合、 レクチン分子中に複 数個存在する糖結合部位に相当する部位を各々分離させることにより、 血小板を 架橋させる活性が見られなくなると考えられる。 糖結合部位を分離させるために は、 例えば多量体べプチドを 1本鎖ずつに切断すればよい。
多量体ペプチドを一本鎖に分けるためには、 多量体ペプチドを還元、 あるいは 還元後にシスティン残基の遊離のチオール基をカルボキシメチル化、 カルボキシ アミ ドメチル化、 ピリジルェチル化等により保護し安定化させる方法がよく知ら れている。 しかし、 水溶性のタンパク質は一般的に、 多くの親水性アミノ酸残基 の側鎖が外側に向いた高次構造を有しており、 強し、変性条件によりその 3次構造
が、 またシスティン残基間のジスルフィ ド結合を切断する還元、 還元後のシステ ィン残基の遊離のチオール基の保護などにより 2次構造が失われ、 水に対して不 溶化する場合も少なくない。 後記実施例 1に示した通り、 クロタルス *ホリダス •ホリダスより得られた二本鎖ペプチドは、 還元カルボキシアミ ドメチル化、 還 元ピリジルェチル化、 メルカプトエタノールによる還元等により水に難溶なぺプ チドへと変化した。
Pengら (M. Peng et al., Blood, 81, 2321-2328 (1993)) は、 エキス '力リナ タスより得られた二本鎖べプチドを還元後カルボキシアミ ドメチル化した反応混 合物にも 2本鎖のものと同様の血小板凝集阻害活性があることを示しているが、 ここで観察された凝集阻害が特異的なものであるかどうか、 生成したどの分子が 活性を示すか等の点についてはいつさい示していな 、。
そこで、 本発明では蛇毒由来のペプチドに対して、 穏やかな変性条件において 著し t、高次構造の破壊を起こすことなく穏やかな還元を行なうことにより、 二本 鎖べプチドの中の一本鎖内すなわち分子内のジスルフィ ド結合を実質的に保存し、 鎖間すなわち分子間のジスルフィ ド結合を切断することにより、 もとの高次構造 を少なくとも活性を失わない程度に維持した、 水溶性の高い一本鎖べプチドを得
7L。
本発明において活性ペプチドは、 蛇毒中に含まれる、 フォンビルブランド因子 の血小板への結合を阻害する多量体べプチドを用いて製造することが出来る。 例 えば、 クロ夕ルス 'ホリダス 'ホリダスの毒液、 あるいはその凍結乾燥品より得 られるペプチドより製造される。 尚、 フォンビルブランド因子の血小板への結合 阻害は、 インビト口において、 リストセチンあるいはボトロセチンによる血小板 凝集 (以下、 単に 「リストセチン凝集」 あるいは 「ボトロセチン凝集」 ともいう) に対する阻害により調べることができる。
このような多量体ぺプチドを、 ぺプチド鎖内のシスティン残基間のジスルフィ ド結合を保持したままべプチド鎖間のジスルフィ ド結合を切断し一本化する具体 的手段としては、 多量体ペプチドを、 タンパク質変性剤と、 ダルタチオン及び 又はシスティンと共存させて反応させる方法がある。 タンパク質変性剤としては、 塩酸グァニジン、 尿素等が用いられ、 塩酸グァニジンの終濃度は 0. 01Mから飽和濃
度、 好ましくは 1 Mから 6 Mの濃度範囲で用いることができる。 また、 グルタチ オン及び 又はシスティンは穏やかな条件で還元を行うために用いられるが、 こ れらを使用する場合、 0. lmMから 100mM、 好ましくは lmMから 50mMの濃度範囲が適当 である。
反応は、 トリス塩、 リン酸塩、 酢酸塩等を含む緩衝液、 蒸留水、 またはこれら にアルコール類等の有機溶媒等を添加した溶液中で行われ、 溶液の状態で一 10て から 100 、 好ましくは 1(T€から 40ての範囲で行うことにより、 目的とする一本鎖 ペプチドを得ることができる。 また、 凍結 ·融解処理を行うことによってもこれ を得ることが可能である。
上記のように製造された活性ペプチドは、 ゲル濾過、 イオン交換、 吸着、 逆相 等の各種カラムクロマトグラフィーや、 ァフィ二ティーカラムクロマトグラフィ 一、 限外濾過、 電気泳動、 向流分配等の方法を組み合わせて単離することが出来 る。
また、 本発明のペプチドは、 これをコードする遺伝子を用いた遺伝子組換え技 術を利用して、 微生物や培養細胞を用いて製造することができる。 本発明のぺプ チドをコ一ドする遺伝子は、 クロ夕ルス ·ホリダス ·ホリダスの毒腺より得られ る cMAライブラリ一、 あるいは組織から得られたゲノム MAライブラリーより、 ァ ミノ酸配列の一部から予想される DNA断片を用いたハイブリダィゼーシヨンによる スクリーニング、 あるいはライブラリー D N Aを発現させた大腸菌をはじめとす る原核生物、 酵母などの真菌類、 昆虫あるいは動物などの培養細胞等の形質転換 細胞からの発現タンパクによるスクリーニングを行なうことにより得られる。 ま た、 本発明のぺプチドのアミノ酸配列を参考に、 各アミノ酸に対応するコドンを 用いて設計した DNA配列、 および適当な調節配列を組み合わせて合成することも可 能である。
例えば、 クロタルス ·ホリダス ·ホリダスの毒腺から全 R N Aを抽出し、 さら に m R N A画分を精製し、 この m R N Aを铸型として c D N Aを合成し、 ファー ジ等を用いて c D N Aライブラリ一を調製し、 この c D N Aライブラリーから本 発明のぺプチドのァミノ酸配列を基に作製したォリゴヌクレオチドプローブを用 いたハイプリダイゼ一シヨンにより、 本発明のぺプチドをコ一ドする c D N Aを
有するクローンを選択することができる。 また、 ハイブリダィゼーシヨンに用い るプローブとして、 本発明のぺプチドのァミノ酸配列を基に作製したオリゴヌク レオチドプライマ一を用いた R T— P C R法により、 m R N Aから増幅した D N A断片を用いてもよい。
後記実施例で得られた本発明のぺプチドをコ一ドする遺伝子を有するプラスミ ド pCHAlを保持する E. coli HBlOl/pCHAl (E. coli AJ13023) は、 平成 6年 8月 1 2日より、 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所 (郵便番号 3 0 5 日 本国茨城県つくば市東一丁目 1番 3号) に、 F E RM B P— 4 7 8 1の受託番号 のもとでブダぺスト条約に基づき国際寄託されている。
得られた遺伝子を、 宿主内で発現が可能なプロモーター、 翻訳開始シグナル等 を持ったプラスミ ドあるいはウィルスベクターの D N Aに挿入し、 大腸菌をはじ めとする原核生物、 酵母などの真菌類、 昆虫あるいは動物などの培養細胞に上記 プラスミ ドの導入あるいはウィルスの感染を行うことにより、 適当な条件に於い て、 求めるペプチドを発現生産させることができる。 この時、 菌体または細胞内 に求めるぺプチドを蓄積させることもできるし、 培養液中に分泌生産させること もできる。 また求めるペプチドに翻訳開始コドンであるメチォニンが付加した形 で直接発現させることもできるし、 分泌シグナル配列がついた形で発現させ、 分 泌過程でシグナル配列が切断除去されことにより求めるぺプチドを生産させるこ ともできる。 さらに他の適当なタンパク質 (例えば大腸菌マルトース結合タンパ ク質) と融合させたキメラタンパク質として発現させてもよく、 この場合発現し たキメラ夕ンパク質を得た後、 適当なプロテアーゼあるいは化学的な方法により 切断し求めるタンパク質を得ることができる。 このように発現生産されたタンパ ク質が高次構造の状態により求める活性を有していない場合に、 あるいは弱い活 性しか有していない場合には、 適当な変性条件、 酸化還元条件処理により活性を 持つ高次構造に変化させることもできる。
大腸菌を宿主として本発明のぺプチドを生産させる場合には、 前述したように、 生成したペプチドは細胞内で封入体を形成するが、 この封入体を可溶化させ、 ジ スルフィ ド結合を正しく形成させることにより、 活性を有するペプチドが得られ る。 具体的には、 本発明のぺプぺドまたはその一部分をコードする D N A断片が
挿入されたベクターにより形質転換された大腸菌を好適な培地で培養し、 前記べ プチドを発現させ、 大腸菌細胞内に蓄積された前記べプチドをタンパク質変性剤 と共存させた後に、 タンパク質変性剤を除去することにより、 又はタンパク質変 性剤の濃度を減少させることにより、 前記ペプチド鎖内のジスルフィ ド結合を生 成させることにより、 本発明のペプチドが得られる。 このジスルフィ ド結合は、 例えば前記べプチドが配列番号 2に示すァミノ酸配列を有する場合には、 配列番 号 2において第 4番目と第 1 5番目、 3 2番目と第 1 2 0番目、 及び 9 5番目と 第 1 1 2番目のシスティン残基間に形成される。
また、 前記べプぺドまたはその一部分をコードする D N A断片が挿入されたべ クタ一により形質転換された昆虫培養細胞又は動物培養細胞を好適な培地で培養 し、 前記ペプチドを発現させ、 前記細胞内又は培地中に蓄積された前記ペプチド を回収することにより、 本発明のペプチドが得られる。
< 3 >本発明の医薬組成物
上記のようにして得られたペプチドは、 動物投与においても血小板減少を示さ ず、 また血栓モデル動物への投与においては、 血栓形成を顕著に抑制した。 本発明は、 オーリントリカルボン酸 (Aurin tricarboxylic acid) 等のタンパ クに対する非特異的吸着性の高い色素物質以外としては初めて、 フォンビルブラ ンド因子の血小板への結合を阻害することを特徴として生体内で抗血栓性を示す 物質について示したものである。 すなわち、 蛇毒由来のペプチドから還元などの 方法を用いて得た一本鎖のぺプチドに、 フォンビルブランド因子の血小板への結 合を阻害する活性が存在することを初めて示したものであり、 生体投与時におけ る血小板の減少を引き起こさない、 抗血栓薬として非常に有望な医薬組成物を提 供するものである。
本発明の医薬組成物は、 本発明のぺプチド及び/又はその薬学上許容される塩 を有効成分として含有する。 これらは、 1種又は 2種以上の混合物として使用し てもよい。 また、 本発明のペプチド以外の抗血栓作用を有する物質を含有してい てもよい。 この場合、 本発明のペプチドがその医薬組成物中の主成分でなくても よい。 さらに、 通常製剤に用いるその他の材料、 例えば血清アルブミン等のタン
パク質、 緩衝作用、 浸透圧調整のための塩、 担体、 賦型剤などの成分を配合して もよい。
剤型としては、 錠剤、 カプセル剤、 細粒剤、 シロップ剤、 座薬、 軟膏剤、 注射 剤、 点眼剤等を挙げることができる。 これらのうちでは注射剤が好ましい。 また、 投与方法は、 静脈内投与、 皮下投与、 経口投与の他、 点眼、 経腸等のいずれであ つてもよい。 これらのうちでは静脈内投与が好ましい。
動物あるいはヒ卜に投与する場合の投与量は、 本発明のペプチド及びノ又はそ の薬学上許容される塩の量として、 通常 0. 1 ^ g /k g〜l 0 O m g Zk gの 範囲で所期の効果が期待でき、 この範囲のうち、 もっとも優れた薬効が得られる 量を選択できる。 図面の簡単な説明 図 1は、 CH-1の逆相クロマトグラムである。
図 2は、 CH- 2の逆相クロマトグラムである。
図 3は、 グルタチオン添加前の CH- 1の逆相クロマトグラムである。
図 4は、 グルタチオン添加 5日後に CH- 1から生成した物質の逆相クロマトグラ ムである。
図 5は、 CH-1から生成した物質の逆相クロマトグラムである。
図 6は、 各条件における、 (a)ピーク 1、 (b)ピーク 2の生成量 ( g /チューブ) の時間経過を示す図である。
図 7は、 AS1051のアミノ酸配列を示す図である。 (フラグメント A、 B、 Cは、 リジルェンドぺプチダーゼ消化により、 ジスルフィ ド結合でつながった 1つのフ ラグメントとして得られた。 )
図 8は、 リストセチン凝集、 ボトロセチン凝集に対する(a)CH- 1、 および (b)AS1051の阻害活性 (コントロールに対する阻害率) を示す図である。
図 9は、 モルモット血小板における AS1051のリストセチン凝集、 ボトロセチン 凝集に対する阻害活性を示す図である。
図 1 0は、 AS1051投与 (200 / g/kg) 後のモルモッ ト血小板に対する(a)リスト セチン、 (b)ボトロセチンの凝集活性を示す図である。
図 1 1は、 光励起血栓モデルモルモットに対する AS1051 (投与量 200 g/kg) の 抗血栓活性を示す図である。
図 1 2は、 大腸菌における AS1051発現プラスミ ド PCAHT7の構築工程を示す図。 図 1 3は、 昆虫培養細胞における AS1051発現プラスミ ド pCHAbacの構築工程を示 す図。
図 1 4は、 昆虫培養細胞により発現された細胞破砕液中の AS1051の固定化血小 板に対するボトロセチン惹起フオンビルブランド因子結合に対する阻害活性を示 す図である。
図 1 5は、 昆虫培養細胞により発現された培養上清中の AS1051の固定化血小板 に対するボトロセチン惹起フォンビルブランド因子結合に対する阻害活性を示す 図である。
図 1 6は、 動物培養細胞 (C H O細胞)における AS1051発現プラスミ ド pCHASDX の構築工程を示す図である。
図 1 7は、 C H O細胞により発現された培養上清中の AS1051の固定化血小板に 対するリストセチン惹起フオンビルブランド因子結合に対する阻害活性を示す図 である。
図 1 8は、 C H O細胞により発現された培養上清中の AS1051の固定化血小板に 対するボトロセチン惹起フォンビルブランド因子結合に対する阻害活性を示す図 である。
図 1 9は、 N末端から 8 1番目 (但し翻訳開始のメチォニン残基を除く) のシ スティン残基をァラニン残基に置換する変異を有する AS1051を大腸菌で発現する プラスミ ド pCHAT7Alaの構築工程を示す図である。
図 2 0は、 蛇毒より調製した AS1051、 大腸菌により生産された AS1051、 及び N 末端から 81番目のシスティン残基がァラニン残基に置換された AS1051 (Cys81Ala 変異 AS1051) の固定化血小板に対するリストセチンあるいはボトロセチン惹起フ オンビルブランド因子結合に対する阻害活性を示す図である。
図 2 1は、 各種短縮 AS1051ぺプチドの構造の概略を示す図である。
図 2 2は、 AS1051A-1の HPLCクロマトグラムである。
図 2 3は、 AS1051A- 2の HPLCク口マトダラムである。
図 2 4は、 AS1051A- 3の HPLCクロマトグラムである。
図 2 5は、 AS1051A- 4の HPLCクロマトグラムである。
図 2 6は、 AS1051A- 5の HPLCクロマトグラムである。
図 2 7は、 各種短縮 AS1051ぺプチドの固定化血小板に対するリストセチンある いはボトロセチン惹起フオンビルブランド因子結合に対する阻害活性を示す図で める。 発明を実施するための最良の形態 以下に、 本発明の実施例を説明する。 実施例 1 クロ夕ルス,ホリダス ·ホリダスからの
抗血栓性一本鎖ぺプチドの調製
く 1〉クロタルス ·ホリダス ·ホリダスからのフォンビルブランド因子の血小板 結合を阻害する活性を有するぺプチドの調製
クロタルス ·ホリダス ·ホリダス由来の蛇毒から、 フォンビルブランド因子の 血小板への結合阻害活性べプチドの精製を、 以下に示した方法によるリストセチ ン凝集阻害活性を指標に行なつた。
1/10容の 3. 8%クェン酸ナトリゥムを添加した、 健常人より採血した新鮮血液を 900rpmで 15分間遠心して得たヒト多血小板血漿 (platelet rich plasma) に、 こ れと同容の 2 %パラホルムアルデヒドを含む生理的食塩水を加え、 4 でー晚静 置保存した。 保存後、 遠心分離により血小板を回収し、 20πιΜリン酸緩衝液 (ρΗ 7. 4) を含む生理的食塩水で 2回洗浄した。 このように調製したホルマリン固定化 した血小板の溶液に測定サンプルを加え、 これにヒト血漿 (終濃度 0. 12%) 、 リス トセチン硫酸塩 (シグマ社製) (終濃度 0. 5mg/ml) を順次加え、 振盪撹拌後血小板 の凝集に対する阻害活性の有無を肉眼で観察した。 反応溶液量は 50 lとし、 サン プルは適当に希釈したものを適宜 2〜20 1加えた。
クロタルス ·ホリダス ·ホリダス由来の蛇毒凍結乾燥品 (シグマ社製) lgを 20 πιΜトリス塩酸 (ρΗ7. 4) を含む生理的食塩水 (10ml) に溶解し、 不溶物を 3000rpni、 10分間遠心して除いた。 上清をセフアデックス G- 75 (ファイン)(フアルマシア社
製) (直径 5. 0cm、 長さ 90cm) を用いて、 同緩衝液を溶媒としてゲル濾過クロマ卜グ ラフィーを行い、 フラクションチューブに分取した。 溶出体積 750mlから 885ralま でを集め、 3回に分けて 15mlずつベンザミジンセファロ一ス (フアルマシア社製) (直径 1. 6cm、 長さ 5cm) カラムに通し、 非吸着画分を集めた。
この画分を排除分子量 10, 000の限外濾過膜 ( YM 1 0、 アミコン社製) を用い て濾過濃縮し、 濃縮画分を 50mM酢酸アンモニゥム緩衝液 (pH4. 5) に溶媒置換した c 同溶媒で平衡化した CMセファロ一ス ' CL6B (フアルマシア社製)(直径 2. 6cm、 長さ 30cm) を用いたイオン交換クロマトグラフィーカラムに吸着させ、 初期溶媒で 50 分間洗浄した後、 0. 5M酢酸アンモニゥム緩衝液 (pH6. 4) を初期溶媒に 15%混合し た溶液から、 50%混合した溶液までの直線濃度勾配 (810分間) により溶出を行な つた。 溶出体積 610mlから 650mlまでの溶出画分を分取し、 前記と同様に限外濾過 膜により濃縮後、 20mMトリス塩酸 (pH7. 4) を含む生理的食塩水溶液に溶媒を置換 した。 また、 溶出体積 540mlから 580ndまでの溶出画分にも同様の血小板凝集阻害 活性が存在することから、 この画分も同様に処理した。
ィォン交換力ラムクロマトグラフィ一で得られた各々の血小板凝集阻害活性画 分を濃縮したものの一部をとり、 逆相カラム (SSC- VP- 304、 センシユー科学社製、 直径 4. 6翻、 長さ 250匪) を用いた高速液体クロマトグラフィーにより、 0. 1%トリ フルォロ酢酸を含むァセトニトリル濃度 31%から 52%までの直線濃度勾配 (20分間) にて溶出することにより分析を行なった結果、 両画分にはそれぞれ異なる単一の ペプチドが含まれていた (図 1、 2 ) 。 また、 SDSポリアクリルアミ ドゲル電気泳 動により、 2つの活性画分に含まれるこれらのペプチドは、 いずれも非還元下で は分子量約 25キロダルトンの一本のバンド、 1%メルカプトエタノールを加えた還 元下では分子量約 14キロダルトンと 15キロダルトンのニ本のバンドを示し、 とも に類似の二本鎖ペプチドであることがわかった (配列番号 1 、 3 ) 。 そこで、 ィ オン交換カラムで後半に溶出した (溶出体積 610mlから 650ml) ものを CH- 1、 前半 に溶出した (溶出体積 540mlから 580ml) ものを CH-2とした。
CH- 1のァミノ末端側のァミノ酸配列分析は以下のようにして行なつた。 CH-1約 50 ^ gを0. 5Mトリス塩酸 (pH8. 5) 、 10mMエチレンジァミン四酢酸ニナトリウム (EDTA - Na2) を含む 7M塩酸グァニジン水溶液 100 1に溶解後、 4一ビニルピリジ
ン (1 1) 、 トリ -n-ブチルフォスフィン μ ) を加え、 室温で一晩反応させて 還元ピリジルェチル化を行なった。 反応液を TSKge Phenyl- 5PW- RP (東ソ一 (株) 製、 直径 4. 6誦、 長さ 75誦) のカラムを用いた液体クロマトグラフィーにより、 生 じたそれぞれのペプチド鎖を分離した。 溶出は、 流速 lml/minとし、 0. 1%トリフル ォロ酢酸を含むァセトニトリル 31%から 52%までの直線濃度勾配溶出 (20分間) に より行なった。 分離したそれぞれのペプチド鎖を、 ?東結乾燥後、 30%ァセトニトリ ルに溶解後、 プロテインシークェンサ一470A (アプライドバイオシステム社製) を用いてアミノ末端からのアミノ酸配列の解析を行なった。 この結果、 それぞれ の鎖のアミノ末端側のアミノ酸配列は、 配列表配列番号 1、 3に示したものであ ることがわかり、 これは TO9208470号国際公開パンフレットに記載された、 同蛇毒 より単離されたぺプチド CHH-Bの α鎖及び; 5鎖の N—末端側のアミノ酸配列に各々 一致するものであった。 また、 図 1、 2に示した逆相カラムを用いた分析におけ る、 CH- 2、 CH-1の保持時間から、 CH- 2は同パンフレツト記載の CHH- Αと、 CH- 1は CHH-Bと同様なものと考えられた。
< 2 >CH- 1の動物投与における活性
上記で得られた CH- 1をモルモットに投与したときの血小板数の測定を行なつた。
CH-1を 10- 100 g/mlの濃度になるように生理的食塩水に溶解し、 モルモットに静 脈内投与約 5分後の動脈血を、 腹部大動脈より採血した。 採血には 0. 32%クェン酸 を血液凝固阻害剤として用い、 白血球数 (WBC) 、 赤血球数 (RBC) 及び血小板数 (PLT) を Sysmex E-2000 (東亜医用電子) を用いて測定した。
投与量と各血球数の値は表 1に示した通りである。 投与量依存的に血小板のみ の減少が認められ、 100 ^ g/kg以上の投与量においてはほぼ完全な血小板の消失が 認められた。
(本頁以下余白)
CH 一 1 {fi g/k g) 測定項目 生理食塩水
10 30 30 100 100
WBC xl02/〃l 35.0 18.0 20.0 19.0 19.0 21.0
RBC xlOV l 465.0 440.0 440.0 457.0 468.0 448.0
PLT xlOV^l 38.3 41.0 9.6 13.7 0.1 0.8
< 3 >二本鎖の CH-1を一本鎖にする試み
( 1 ) CH- 1の還元カルボキシァミ ドメチル化
CH- 1の還元カルボキシアミ ドメチル化を以下のようにして行なった。 CH-1 200 を 0.5Mトリス塩酸 (pH8.5) 、 10mMエチレンジアミ ン四酢酸ニナトリウム (EDTA - Na2) を含む 7M塩酸グァニジン水溶液 500 1に溶解し、 ジチオスレィトー ル水溶液 (20mg/nil) 50^1を加え、 37 において 1時間保存した。 さらにこの溶 液に 50 1のョ一ドアセトアミ ド水溶液 (50mg/ml) を加え、 遮光して室温で 30分 間反応させた。
反応後、 透析膜 Spectra/porl (スぺクトラ社製:透過限界分子量 6000-8000) を 用い、 5リットルの 20mMのトリス塩酸 (pH7.4) を含む 0.15M塩化ナトリゥム水溶 液に対して、 4 で一晩透析を行なった。 透析後、 白い不溶物が生じたので界面活 性剤である Tween- 20を終濃度 2%となるように加えたが、 不溶物は溶解しなかった。 白濁した本溶液をセントリコン- 10 (アミコン社製) を用いた限外濾過により濃縮 を行い、 最終的に 100 1の懸濁液とした。 この懸濁液を弱く遠心後、 その上清 10 "1を用いて、 く 1〉に示した方法によりリストセチン凝集に対する阻害活性を調 ベたが、 阻害活性は認められなかった。 この結果は、 上記の方法で還元カルボキ シアミ ドメチル化した CH- 1が、 リストセチン凝集阻害活性を持たないか、 あるい は水に対して溶解度が非常に低くなつたためであると考えられた。
( 2 ) CH- 1の還元ピリジルェチル化
CH-1の還元ピリジルェチル化を以下のようにして行なった。 CH-1 200/ gを 0.5
Mトリス塩酸 (pH8. 5) 、 10mMエチレンジァミン四齚酸ニナトリウム (EDTA · Na2) を含む 7M塩酸グァニジン水溶液 200 1に溶解し、 これに 4-ビニルピリジン (1 ^ 1) 、 トリ _n-ブチルフォスフィン (2 / 1) を加え室温で一晩反応させた。 反応液を逆相 カラム (SSC-VP304、 センシユー科学社製、 直径 4. 6咖、 長さ 250mm) を用いた高速 液体クロマトグラフィーを用い、 0. 1%トリフルォロ酢酸を含むァセトニトリル濃 度 10%から 59%までの濃度勾配溶出 (20分間) により溶出を行ない、 生成物を 2種 類のピリジルェチル化ぺプチドの混合物として分取した。
分取した画分を凍結乾燥後、 全量を 20mMトリス塩酸 (pH7. 4) を含む生理的食塩 水 50 1に溶解し、 このうち 10 1を用いてく 1 >に示した方法によりリストセチ ン凝集の阻害活性を観察したが、 阻害活性は見られなかった。 この結果は、 上記 の方法で還元ピリジルェチル化した CH-1が、 リストセチン凝集阻害活性を持たな I、か、 ある t、は水に対して溶解度が非常に低くなつたためであると考えられた。
( 3 ) CH-1のメルカプトエタノールによる還元及びジスルフィ ド結合の再形成
CH- 1のメルカプトエタノールによる還元、 および還元後の還元型―酸化型グル タチオンを用いたレドックス (酸化還元)緩衝液によるジスルフィ ド結合の再形 成の操作を以下のようにして行なつた。
CH-1 240 i gを、 0. 5Mトリス塩酸 (pH8. 5) 、 10mMエチレンジァミン四酢酸ニナ トリウム (EDTA'Na2) を含む 7M塩酸グァニジン水溶液 120 1に溶解し、 37 で 10 分間放置した。 この溶液に 1/9量の 10%メルカプトエタノール水溶液を加え、 メル カプトエタノールの終濃度を 1%とした後、 37 で 1時間放置した。 この後、 0. 5M トリス塩酸 (pH8. 5) 、 10mMエチレンジァミン四酢酸ニナトリウム (EDTA'Na2) を 含む 7M塩酸グァニジン水溶液を 2/7に希釈した溶液 (塩酸グァニジン濃度 2 以下、 Γ2Μ塩酸グァニジン調製液」 と略す) 2mlを加えた後、 セントリコン- 10 (アミコ ン社製) により限外濾過濃縮を行なった。 得られた濃縮液に 2M塩酸グァニジン調 製液 2mlを加え、 再び限外濾過濃縮を行い、 この濃縮操作を数回繰り返してメルカ プトェタノールを除去し、 CH-1の還元物を含む 2M塩酸グァニジン調製液 380 pi 1を 得た。
このようにして得た CH-1の還元物を含む溶液を、 76 1ずつ 5つに分け、 還元型 一酸化型グル夕チオンを用いたレドックス緩衝液を用いたジスルフィ ド結合の再
形成の操作を行なつた。 それぞれの溶液に 374 1の 2Μ塩酸グァニジン調製液を加 え、 さらに表 2に示す割合で酸化型と還元型グルタチォンを混合した溶液 50 1を 加えて、 窒素置換後容器を密栓して室温で一晩反応を行なつた。 表 2
数値は溶液の混合比 この 5種類の反応液、 およびメルカプトエタノールによる還元直後の溶液を、 逆相カラム (SSC-VP304、 センシュ一科学社製、 直径 4. 6mni、 長さ 250mm) を用いた 高速液体クロマトグラフィーを用い、 0. 1%トリフルォロ酢酸を含むァセトニトリ ル濃度 10%から 59%までの濃度勾配溶出 (20分間) により溶出することにより、 216ηπιの吸光度を観察する分析を行なつたが、 I、ずれの溶液中にも生成したべプチ ドに由来するピークが観察されなかった。
上記の結果は、 メルカプトエタノ一ルによる還元により CH- 1が溶解性の低 、還 元物に変わり、 レドックス緩衝液を用いて行なった酸化還元反応によっては溶解 性の高い物質へは変化しないためであると考えられる。
( 4 ) CH-1のグルタチオンによる還元
CH- 1のグル夕チオンによる、 穏やかな還元反応を以下のようにして行なつた。
CH-1 40 gを上記の 2Μ塩酸グァニジン調製液 (450 1) に溶解後、 同溶液に溶解 した還元型グルタチオン (lOOmM) 溶液 50 1を加え、 40てにおいて 3時間放置し た後、 5日間室温で放置し、 生成物の様子を逆相カラム (SSC-VP318、 センシユー 科学社製、 直径 4. 6ωι、 長さ 250誦) を用いた高速液体クロマトグラフィーにより 分析した。 溶出は、 0. 1%トリフルォロ酢酸を含むァセトニトリル濃度 10%から 80%
までの濃度勾配 (20分間) により行い、 216nmの吸光度を観察した。
図 3、 4に、 グルタチオン添加前 (図 3 ) 、 グルタチオン添加 5日後 (図 4 ) のクロマトグラムを示した。 グルタチオンによる還元反応後の反応液全量を、 同 様のクロマトグラフィーにより分離し、 図 4中に示したピーク 1、 2、 3をそれ ぞれ分取した。 それぞれ凍結乾燥後、 全量を 25 1の 20mMトリス塩酸 (pH7. 4) を 含む 0. 15M塩化ナトリウム水溶液に溶解し、 このうち 10 ^ 1をく 1 >に示した方法 を用いてリストセチン凝集阻害活性を測定したところ、 ピーク 1とピーク 3に阻 害活性が見られた。 ただし、 ピーク 3は原料 (CH- 1) のピークである。 以上の結 果から、 上記の方法によりリストセチン凝集阻害活性を持つ新しい物質 (ピーク 1 ) が生成することが判明した。
さらに、 塩酸グァニジン 6 Mおよび 2 M存在下における、 種々の濃度のグルタ チオンの影響を調べた。 CH- 1 36 ^を0. 5¾1トリス塩酸 (pH8. 5)、 10mMエチレンジ ァミン四酢酸ニナトリゥム (EDTA · Na2) を含む 7M塩酸グァニジン水溶液を 6/7に 希釈した溶液 (以下、 Γ6Μ塩酸グァニジン調製液」 という)、 あるいは 2/7に希釈 した溶液 (以下、 Γ2Μ塩酸グァニジン調製液」 という) 234 1に溶解した。 6M、 2M塩酸グァニジン調製液に CH-1を溶解したものそれぞれに対して、 還元型グルタ チオンの終濃度が 30mM、 10mM, 3mM、 lmM、 および酸化型グルタチオン 30mMとなる ように、 それぞれの 10倍濃度の溶液 26 χζ ΐを加え、 1、 2、 3、 4、 7日後の生成 ピークの様子を逆相カラム (SSC- VP318、 センシュ一科学社製、 直径 4. 6薩、 長さ 250麵) を用いた高速液体クロマトグラフィーにより分析した。 溶出は、 0. 1%トリ フルォロ酢酸を含むァセトニトリル濃度 24%から 59¾ίまでの濃度勾配 (20分間) に より行い、 216nmの吸光度を観察した。
この分析により得られたクロマトグラムの一例を図 5に示した (2M塩酸グァニ ジン、 lOraM還元型グルタチオン、 4日間) 。 この分析系により、 図 4に示したピ ーク 1に相当する保持時間に溶出するものには 2種類の物質があることがわかつ た (図 5に示したピーク 1、 2に相当) 。 また、 ピーク 4は原料 (CH- 1) のピー クである。 このピーク 1およびピーク 2の物質の生成量の、 それぞれの反応条件 における時間変化を図 6に示した。
< 4〉還元型グルタチオンを用いた CH-1からの一本鎖化ぺプチドの製造
CH- 1の生理的食塩水溶液 (1. 3mg/nil) 290 ^ 1に蒸留水 7. 39ml、 0. 5Mトリス塩酸 (pH8. 5) 、 10mMエチレンジァミン四酢酸ニナトリウム (EDTA · Na2) を含む 71ί塩 酸グァニジン水溶液 3. 57ml、 lOOmM還元型グル夕チオン (ベーリンガーマンハイム 社製) 水溶液 1. 25mlを加え、 28 にて 5日間保存した (塩酸グァニジンの終濃度 2M) 。
保存後の溶液を 3000rpmで遠心分離し、 その上清をトリフルォロ酢酸を用いて pH4以下の酸性に調整した後、 逆相カラム (Vydac 214TP1022, バイダック社製、 直径 22顏、 長さ 250隱) を用い、 流速 15ml/min、 0. 1 トリフルォロ酢酸を含むァセ トニトリル濃度 27%から 45%までの 20分間の濃度勾配溶出により生成したぺプチド を分取した。
その結果、 図 5に示したものと同様の生成物を生じ、 ピーク 1、 ピーク 2をそ れぞれ AS1051、 AS1052とした。 それぞれの SDSポリアクリルアミ ドゲル電気泳動の 結果、 AS1051は非還元下で分子量約 14キロダルトン、 1%メルカプトエタノール存 在下の還元下で分子量約 15キロダルトンであり、 一本鎖化されたぺプチドである ことが示され、 また AS1052は同様に非還元下、 還元下の分子量がそれぞれ約 26、 15キロダルトンであり、 同一の 2本のべプチドよりなるホモダイマーであること が示唆された。
得られた AS1051のアミノ酸配列、 およびジスルフィ ド結合の様式を以下のよう に決定した。 AS1051 50 z gの水溶液 (50 ^ 1) に、 20mMエチレンジアミン四酢酸二 ナトリウム (EDTA) を含む 1Mトリス塩酸緩衝液 (20 tz l) 、 蒸留水 (120 1) 、 リ ジルエンドべプチダーゼ (和光純薬社製) を含む水溶液 (10 / 1) を順次加え、 37 において 2時間酵素消化反応を行なった。 反応液をさらに逆相カラム (SSC- VP- 318、 センシュ一科学社製、 直径 4. 6薩、 長さ 250編) を用いた高速液体クロマ トグラフィ一に供し、 消化断片を分離、 分取後、 それぞれの消化断片をプロティ ンシークェンサ一 470A (アプライドバイオシステム社製) を用いてアミノ酸配列 の解析を行 L、、 AS1051のァミノ酸配列は配列番号 2及び図 7に示すように決定さ れた。 本配列は、 W09208472号国際公開パンフレツ卜に記載された CHH- Bの α鎖と 比較してアミノ酸残基数が 1つ少なく、 また 3 9、 8 5、 8 6番目のアミノ酸が
異なっていた。
図 7に示した 3本のフラグメント A、 B、 Cは、 ジスルフィ ド結合を介して結 合した一つの消化断片として得られたため、 この断片についてさらにプロティナ ーゼ Glu- C (ベーリンガーマンハイム社製) による消化を行ない、 生成したフラグ メントのアミノ酸配列の解析の結果、 ジスルフィ ド結合は Cys4と Cysl5、 Cys32と Cysl20、 Cys95と Cysll2の間に形成されていることがわかった。 この結合様式は、 蛇毒由来のものを含む C型レクチンに共通するものであることから、 AS1051はも とのジスルフィ ド結合様式を保持していると考えられる。
また二本鎖の AS1052は、 アミノ酸配列分析の結果、 2本の AS1051よりなるホモ ダイマーであることがわかった。
< 5 >二本鎖ペプチド (CH-1) と一本鎖化ペプチド (AS1051) を用いた血小板凝 集阻害活性の比較
二本鎖の CH-1と、 一本鎖化したぺプチド AS1051の血小板凝集に対する阻害活性 の比較を行なった。 1八0容の 3. 8%クェン酸ナトリウムを添加した、 健常人より採 血した新鮮血液を 900rpniで 15分間遠心して得たヒト多血小板血漿(platelet rich plasma: PRP) に、 これらのペプチドを加えたときの血小板凝集阻害活性を、 Hematracer-801 (二光バイオサイエンス社製) を用い、 12. 5 1のペプチド溶液を 入れたキュべット中に 100 / 1の多血小板血漿を加え、 スターラ一バ一を用いて 37 で 3分間撹拌後、 12. 5 / 1の凝集原を加え、 透過光を観察することにより測定し
7
凝集原としては、 リストセチン (終濃度 1. 2mg/ml) 、 ボトロセチン (l g/ml)、 ADP (3uM) 、 コラーゲン(10〃g/ml) を用い、 ペプチドサンプルを加えないコント ロール群に対する凝集阻害率を計算した。 リストセチン凝集、 ボトロセチン凝集 に対する CH-1、 AS1051の阻害活性を図 8に示した。 リストセチン凝集、 ボトロセ チン凝集に対する阻害活性とも、 両ペプチド (二本鎖のもの (CH- 1) と一本鎖化 したもの (AS1051) ) にほぼ同様の阻害活性が観察された。 また、 両者とも ADP、 コラーゲン凝集に対しては 20 / g/nilの濃度においても阻害を示さず、 リストセチ ン凝集、 ボトロセチン凝集等、 フォンビルブランド因子と糖タンパク質 I b
(Glycoprotein lb) の結合に依存する凝集を特異的に阻害するものであることが 示された。
また、 二本鎖の AS1052にも、 AS1051とほぼ同様の阻害活性が存在することが明 カヽに 7よった。
< 6 >二本鎖ペプチド (CH- 1) と一本鎖化ペプチド (AS1051) をマウスに投与し たときの血小板数の比較
マウスに CH- 1、 AS1051 (いずれも 100 z g/kg) の生理的食塩水溶液、 およびコン トロールとして生理的食塩水のみを静脈投与し、 5分後に心臓より採血を行い、
< 2 >と同様に、 白血球数 (WBC) 、 赤血球数 (RBC) 及び血小板数 (PLT) を測定 した。
表 3に示した通り、 CH- 1投与群 (lOO ^ g/kg) では、 血小板がほぼ完全に消失し たのに対し、 AS1051投与群 (lOO ^ g/kg) では、 血小板数の減少は観察されなかつ た。 また、 白血球数 (WBC)及び赤血球数 (RBC) は、 CH- 1、 AS1051投与群ともに、 コントロール群と比べ変化が認められなかった。 以上のことから、 一本鎖化した AS1051は二本鎖べプチド CH-1投与時に見られた血小板減少を引き起こさないこと が確認された。
表 3
< 7〉モルモットを用いた一本鎖化ぺプチドの抗血栓性の測定
まず、 モルモッ 卜より得た多血小板血漿のリストセチン凝集、 ボトロセチン凝 集に対する一本鎖化べプチド AS1051の阻害活性を測定した。 図 9に示した通り、 AS1051のリストセチン凝集、 ボトロセチン凝集に対する阻害活性は、 ヒト由来の 多血小板血漿に対する値 (図 8 ) とほぼ同程度であることがわかった。
次に、 モルモッ卜に AS1051投与後の、 血小板等の血球数の測定、 および AS1051 投与後に採血した血液から調製した多血小板血漿を用い、 上記凝集が阻害されて いるかどうかを測定するェクソビボ試験を行なった。 モルモッ卜に 200 g/kgの AS1051を静脈内投与し、 投与 5分後の動脈血を採血し、 く 2 >と同様に白血球数 (WBC) 、 赤血球数 (RBC) 及び血小板数 (PLT) を測定した (表 4 )。 表 4
投与した AS1051には同量のゥシ血清アルブミン (bovine serum albumin: BSA) を添加し、 BSAのみを投与したものをコントロール群とした。 AS1051投与群はコン トロ一ノレ群と比較して、 血小板数等に変化が見られなかった。 さらに、 この血液 より多血小板血漿を調製し、 リストセチン凝集、 ボトロセチン凝集の様子を上記 と同様の方法を用いて測定した (図 1 0 ) 。 添加するリストセチンの量を変化さ せて観察したが、 コントロール群が完全に凝集を起こすリストセチン濃度におい ても、 AS1051投与群はほぼ完全に凝集が阻害されていることが示された。 また、 ボトロセチン凝集に関しても同様の結果が得られた。
以上の結果から、 AS1051はモルモットに対する 200 ;w g/kgの静脈投与により、 前 記 < 5 > (マウスへの投与) の場合同様血小板数には影響を与えず、 さらに、 リ ストセチン凝集、 ボトロセチン凝集を阻害するのに十分な濃度カ血中に維持され ることが示された。
次に動物血栓モデルを用いて、 AS1051のインビボにおける抗血栓作用の評価を 行なった。 血栓モデルとしては、 松野ら (松野ら、 血液と循環、 4、 p20- 23、 (1990)) により報告されている光励起血栓モデルを用いた。
モルモッ トの頸動脈を剥離し、 ドップラー血流プローブを装着し、 プローブを
設置した血管の上流約 5画の位置にキセノンランプ光源を設置した。 モルモッ卜に BSAを含む AS1051 (BSAの量は AS1051と同量) 、 またはコントロールとして BSAのみ を含むサンプルを静脈内投与し、 その 5分後、 ローズベンガル溶液 (lOmg/kg) を 静脈内投与すると同時に 540nmの光を照射し、 血管壁に障害を与え、 パルスドッブ ラー血流計にて血流停止までの時間を測定した。 図 1 1に示すように、 AS1051 (200 zg/kg) 投与群ではコントロール群に比べ、 明らかに血流停止までの時間が 延長され、 AS1051が抗血栓活性を持つことが示された (pく 0.01) 。 実施例 2 大腸菌による抗血栓性一本鎖ペプチドの生産
本発明のぺプチドを遺伝子工学的手法を用いて生産させるために、 クロ夕ルス •ホリダス ·ホリダスからフォンビルブランド因子の血小板結合を阻害する活性 を有するぺプチドをコ一ドする遺伝子を単離し、 これを大腸菌で発現させた。 く 1〉クロタルス ·ホリダス ·ホリダスの c D N Aライブラリ一の作製
(1) クロ夕ルス ·ホリダス ·ホリダスからの mRN Aの抽出
クロタルス ·ホリダス ·ホリダスの毒腺を摘出し、 直ちに液体窒素にて凍結し、 使用時まで保存した。 この毒腺 1.7gを RNA抽出液 (4M 塩酸グァニジゥムィ ソチオシァネート、 0.1M トリス塩酸 (pH7.5)、 1 % yS—メルカプトエタノール、 0.1%ラウリルザルコシルナトリウム塩) 20ml中でポリ トロンホモジナイザー (キ ネマティ力社製) を用い破砕した。 この破砕液を 10000 xGで 10分間遠心分離し、 不溶物を取り除 t、た後、 上清を超遠心分離チューブ中の等量の密度平衡化緩衝液 (4M塩化セシウム、 lOmM エチレンジァミン四酢酸ニナトリウム ρΗ7· 5) に重層 し、 30000rpm、 18時間、 20 で遠心分離し、 全 RNA 600 igを分離した。
全 RNAからの mRNAの調製は、 POLY(A)Quik mRM抽出キッ 卜 (ストラタジ ーン社製) を用い、 キッ卜のプロトコ一ルに従って行った。 即ち、 取得された全 R N Aのうち 500 gをオリゴ d Tカラムに吸着させ、 高塩緩衝液 200 1で 2回、 低塩緩衝液 200^1で 3回カラムを洗浄後、 65て、 200 zlの溶出緩衝液を 4回カラ ムを通過させることにより、 mRNA (lO^c g) を分離精製した。
(2) cDNAの合成
cDNAの合成は、 TimeSavorDNA合成キッ 卜 (フアルマシア社製) を用い、 キッ卜のプロトコールに従って行った。 即ち、 精製した mRNA 3 ^ gに、 ラン ダムへキサマープライマー 0.3^g、 ΙπιΜ ジチオスレィトール、 逆転写酵素を含む ファーストストランド反応液を混合し、 37てで 1時間反応させてファーストスト ランドを合成した。
この反応液を大腸菌 RNaseH、 大腸菌 D Aポリメラーゼを含むセカンドストラ ンド反応液に混合し、 12 で 30分、 22 で 1時間反応させて cDNAを合成した。 さらに 65 で 10分ィンキュベートした後、 反応液をフヱノ一ル クロロホルム処 理し、 酵素活性を失活させた。 次にキット添付のゲル濾過スパンカラムを用い、 400 X Gで 2分間遠心分離することにより未反応のブラィマーを除去し、 二本鎖 c DNA (3 g) を得た。
(3) c DNAライブラリーの作製
上記で得られた二本鎖 c DN Aの両端に、 TimeSavorDNAキッ 卜に添付の EcoRI/Notlアダプターを、 キッ 卜のプロトコールに従って連結した。 即ち、 c DNA 3 ^g, EcoRIZNotlアダプタ一 3^1、 ポリエチレングリコール緩衝液 30 〃1、 ATP溶液 1 ^1、 T4DNAリガーゼ 1 1を混合し、 16 で 1時間連結反 応を行った。 更に反応液を 65 で 10分ィンキュベートして酵素活性を失活させた 後、 A TP溶液 1.5 1、 T 4ポリヌクレオチドキナーゼ 1〃1を加え、 37 で 30分 反応させ、 アダプタ一の 5' 末端のリン酸化を行った。 この後、 反応液を 65 で 10分インキュべ一トし、 さらにフエノール/クロロロホルム処理を行って酵素活 性を失活させた。 次にキッ卜添付のゲル濾過スパンカラムを用い、 反応液を 400X Gで 2分遠心分離することにより未反応のアダプタ一を除去した。
ァダブターを両末端に連結した c D N Aを、 ラムダファージベクター; I ZAPI I
(ストラタジーン社製) の EcoRI部位に連結して、 組換えファージ DNAを作製し た。 即ち、 アダプタ一を連結した cDNA400ngに対し、 ^ZAPIIZEcoRIZCIAPT ーム 1 iig、連結緩衝液 (lOOmM トリス塩酸 (pH7.6)、 25mM塩化マグネシウム、 300mM塩化ナトリウム) を添加し、 さらに T4DNAリガーゼを含む酵素液 B液
(宝酒造 (株) 製 ライゲ一シヨンキッ ト) を等量添加し、 26 で 10分連結反応
を行った o
上記のようにして得られた組換えファージ D N Aのパッケージングは、ノ、。ッケ —ジングキット GIGAPACKII GOLD (ストラタジーン社製) を用い、 キッ卜のプロト コールに従って行った。 即ち、 上記の cDNAを連結した; IZAPIIアーム DNA とキッ卜のパッケージング抽出液を混合し、 22 で 2時間反応させることに よりパッケージングを行った。 この反応液に 500 のファージ希釈液 (0.58%塩 化ナトリウム、 0.2%硫酸マグネシウム、 50mM トリス塩酸 (pH7.5)、 0.01% ゼラ チン) を添加した。
得られた組換えファージのタイターをチェックした後、 ファージのパッケージ ング反応液の半量を用い、 受容菌として大腸菌 E. coli XL- 1 Blue (ストラタジー ン社製) を用いてファージライブラリーを作製した。 即ち、 直径 150删のプラーク 形成培地 (バクトトリプトン 1%、 酵母エキス 0.5%、 塩化ナトリウム 0.5%、 硫 酸マグネシウム ImM、 マルトース 0.2%) 10枚に、 1プレート当たり 20, 000ブラ ークになるように、 ファージ希釈液で希釈したファージと受容菌をプレーティン グし、 37 で 12時間培養して、 組換えファージのライブラリーを得た。
< 2 >目的遺伝子単離のためのプローブ DN Aの取得
(1) RT— PC R法による目的遺伝子部分断片の増幅
クロタルス ·ホリダス ·ホリダスからの全 RNAを材料として、 RT— P CR 法によりフォンビルブランド因子の血小板結合阻害べプチドをコードする D N A 断片の増幅を行った。
配列番号 2に記載のペプチドのアミノ酸配列をもとに、 コドンの縮重の少ない 箇所をえらび、 RT— PCR (逆転写ポリメラーゼ連鎖反応) 用のプライマ一を 作製した。 プライマーはバイオロジカ社に依託して化学合成した。 これらのブラ イマ一の塩基配列を配列表配列番号 4、 5に示す。 但し、 配列番号 4において、 3番目及び 6番目のヌクレオチドは A及び Gの、 12番目のヌクレオチドは T、 C、 A及び Gの混合物である。 また、 配列番号 5において、 3番目のヌクレオチ ドは T、 C、 A及び Gの、 6番目及び 15番目のヌクレオチドは T及びじの、 9 番目のヌクレオチドは Α及び Gの混合物である。
前記と同様にして調製したクロタルス ·ホリダス ·ホリダスの全 RN Aに対し、 上記プライマーを用いて RT— PCRを行った。 ファーストストランドの合成は 全 RNA5 gに対し、 逆転写酵素 SUPERSCRIPT IKGIBCO社製) 2.5 z 酵素液に 添付のファーストストランド緩衝液 20 1、 0.1M ジチオスレィ トール 10 1、 10 mM dNTP 5〃1を混合し、 42 で 1時間反応させてファーストストランドを合 成した。 反応液を 95^で 5分インキュベートして逆転写酵素を失活させた。 次に このファーストストランドを铸型として PCR反応を行った。 即ちファーストス トランド反応液 5^1、 PCR反応緩衝液 10^1、 10mM dNTP 5 K プライマ 一各 800pmol、 T a qポリメラーゼ 10uを混合し、 DNAサ一マルサイクラ一 (パ 一キンエルマ一社製) を用い、 95 0.5分、 52 1分、 72 2分を 1サイクルとし て 25サイクルの反応を行った。
この P C R反応液を 2 %ァガロースゲル電気泳動に供し、 増幅 D N Aを解析し た。 その結果、 約 300塩基対の位置に DN Aのバンドが観察された。
(2)増幅断片の塩基配列決定
上記のようにして増幅された DNA断片を、 pCR-ScriptSK ( + ) クロ一ニング キット (ストラタジーン社製) を用い、 キットのプロトコールに従ってプラスミ ドにサブクローニングした。 即ち、 PCR反応液に、 ライゲーシヨン緩衝液、 1 mM ATP、 ベクターとして pCRscript (ストラタジーン社製) 10ng、 制限酵素 Srflを 5 units,及び T 4 DNAリガーゼを添加混合し、 25 で 1時間連結反応を行った 後、 反応液を 65 で 10分インキュベートしリガ一ゼを失活させた。 この反応物を 用いて、 コンビテントセル法により E. coli DH 5 αを形質転換し、 L— Αρプ レ ト (バクトトリプトン 1%、 酵母エキス 0.5%、 塩化ナトリウム 0.5%、 アン ピシリンナトリゥム 100^g/ml) にプレーティングして 37 で 18時間培養した。 コロニーを形成した菌体をプレートから分離し、 その一部を液体培養し、 アル力 リ法 (モレキュラークローニング 2版 Vol.1 Cold Spring Harbor Press編) に よりプラスミ ドの調製を行った。 このプラスミ ドを pCHAprobeと命名した。
pCHAprobeのクローニング断片の塩基配列を、 D N Aシーケンサー A 373 (ァ プライドバイオシステムズ社製) を使用し、 プライマーとして M13M4あるいは M13
reverse (宝酒造 (株) 製) を用い、 同シーケンサーの使用法に従って dye Terminator法により解析した。 その結果、 クローニングされた D N A断片は 272塩 基対からなり、 配列番号 6に示す塩基配列を有していた。 この配列をアミノ酸に 翻訳してみたところ、 求めるペプチドの一部に相当し、 得られたクローニング断 片が目的べプチド AS1051遺伝子の一部であることが証明できた。
(3) プローブの標識
pCHAprobeを、 クロ一ニングされた挿入断片の両端に存在する制限酵素 Sacl、 BamHIで切断し、 2 %ァガロースゲル電気泳動により 340塩基対の大きさの D N A 断片を分離し、 DNA回収キッ ト (夕カラ EAS YTRAP :宝酒造社製) を用 い、 キットのプロトコールに従って DNAを回収した。 この DNA25ngを、 [ — 32P]dCTP及びランダムプライマーラベリングキット (宝酒造社製) を用い、 ラジオアイソトープラベルした。 ラベル反応液から、 ゲル濾過 Nickカラム (ファ ルマシア社製) を用いて未反応の [α—32 P]dCTPを除去し、 ラベル化プロ一 ブを得た。
< 3〉プラークハイブリダィゼーシヨンによる目的遺伝子の取得
c DN Aファージライブラリーから AS1051ぺプチドの全長をコ一ドする遺伝子 を、 上記プローブを用いたプラークハイブリダィゼ一シヨンによりスクリーニン グした。
前記のようにして; IZAPIIcDNAファージライブラリーのプラークを形成させ たプレートから、 ナイロンフィルタ一ハイボンド N (アマシャム社製) に、 フィ ルタ一添付の説明書に従ってブラ一クを転写させた。 このフィルターをアル力リ 処理してファージを溶解した後、 80 で 2時間べ一キングすることによりファー ジ DN Aをフィルターに固定した。
このフィルタ一を、 32Pラベル化プローブ 1 xl06cpni/iiilと、 5XSSPE緩衝 液 (20XSSPC: 3.6M塩化ナトリウム、 0.2Mリン酸ナトリゥム緩衝液 pH7.7、 20m EDTAニナトリウム) 、 30%ホルムアミ ド、 5 Xデンハルト溶液 (100 Xデンハルト 溶液: 2%ゥシ血清アルブミン、 2%フイコール 400、 2%ポリビニルピロリ ドン) 及び 0.5%SDSを含む溶液中で、 37てで 16時間ハイブリダイズさせた。 この後、
フィルターを 6XSSC (20xSSC:3M塩化ナトリウム、 0.3Mクェン酸三ナトリウ ム) 、 0.1%SDS中で室温にて 2回、 さらに 2xSSC、 0.1%SDS中で 50 にて 2回洗浄し、 フィルターに非特異的に結合したプローブを除去した。 このフ ィルターを X線フィルム HP20 (フジフィルム (株)製) に一 80 で 24時間露光 させた。 ファージプレートから、 フィルムの陽性スポットに相当する位置のクロ 一ンを単離し、 一次スクリーニング陽性クローンとした。 同様のスクリーニング 作業を繰り返し、 単一ブラ一クを形成する陽性ク口一ンを取得した。
得られた陽性クローンの; IZAPII c DN Aファージに、 ヘルパーファージ ExAssist (ストラタジーン社製) を感染させ、 非アンバーサブレッサ一大腸菌で ある SOLRセル (ストラタジーン社製) に感染させることにより、 cDNA断 片がプラスミ ド pBluescriptSK (—) (ストラタジーン社製) の EcoRI部位に挿入さ れたプラスミ ドを保持する大腸菌を得た。 この菌体からアルカリ SDS法にてプ ラスミ ドを調製し、 DN Aシーケンサー A 373 (アプライドバイオシステムズ 社製) を用い、 挿入断片の塩基配列を決定した。
その結果、 4つの陽性クローンが求めるぺプチドをコ一ドする塩基配列を有し ており、 それぞれを保持しているプラスミ ドを pCHAl、 pCHA2、 pCHA3及び pCHA4と 命名した。 なお pCHAlを保持する E. coli HBlOl/pCHAl (E. coli AJ13023) は、 平成 6年 8月 12日より、 通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所 (郵便 番号 305 日本国茨城県つくば市東一丁目 1番 3号) に、 FERM BP- 4781の受託番 号のもとでブダぺスト条約に基づき国際寄託されている。 上記のようにしてクロ 一二ングされた AS1051ぺプチドをコ一ドする遺伝子の塩基配列を、 配列表配列番 号 7に、 この遺伝子によってコードされるぺプチドのアミノ酸配列を配列番号 8 に示す。 この遺伝子は、 翻訳開始アミノ酸であるメチォニン以下 22アミノ酸から なる典型的な分泌シグナルを有していた。
< 4〉大腸菌を宿主とする AS1051ぺプチドの発現生産と活性べプチドの取得 (1)大腸菌発現プラスミ ド PCHAT7の作製
T 7プロモータ一を保持するプラスミ ド pGEMEX- 1 ( プロメガ社製) に、 上記で 得られた AS1051ぺプチドをコ一ドする DNA断片を導入して、 大腸菌用発現ブラ
スミ ドを作製した (図 1 2参照) 。
はじめに、 以後の操作を容易にするために、 pGEMEX-Ιに存在する 2個所の制限 酵素 Ndel切断部位のうち、 T 7プロモーターに遠 、NdeI切断部位を欠失したブラ スミ ドを作製した。 即ち、 pGEMEX-1を Ndelで部分消化し、 切断末端を D N Aブラ ンティングキット (宝酒造 (株)製) で平滑化し、 ライゲーシヨンキット (宝酒 造 (株) 製) を用いて再び環状化した。 得られたプラスミ ドで大腸菌を形質転換 し、 形質転換株の中から、 求める位置に Ndel切断部位が 1つのみ存在するプラス ミ ドを得、 pGEMEX(Ndel)と命名した。
前記 pCHAlおよび pGEMEX(Ndel)を制限酵素 Ndelと Saclで消化し、 ァガロースゲル 電気泳動によりそれぞれ 100塩基対、 3. 2キロ塩基対の D N A断片を抽出した。 pCHAlに由来する 100塩基対の D N A断片は、 AS1051ぺプチドをコ一ドする遺伝子 の 3 ' 末端側領域 (配列番号 7中ヌクレオチド番号 490〜559に相当) を含んでい る。
これらの D N A断片の連結反応をライゲ一シヨンキッ ト (宝酒造 (株) 製) を 用いて行い、 この反応液で大腸菌 E. coli HB101を形質転換し、 アンピシリン含有 プレート上で分離した形質転換体から組換えプラスミ ド pCHA(NS)を得た。
次に、 得られたプラスミ ド pCM(NS)に、 AS1051ペプチドをコードする遺伝子の 5 ' 末端側領域 (配列番号 7中ヌクレオチド番号 135〜489に相当) を挿入し、 大 腸菌内で AS1051ぺプチドを発現生産するプラスミ ドを作製した。
AS1051ぺプチドをコ一ドする遺伝子の 5 ' 末端側領域を pCHA(NS)に組み込むた め、 この領域を P C R法により増幅するための D N Aプライマ一を合成した。 そ の際、 5 ' 末端側のプライマーとしては、 増幅断片の 5 ' 末端に Ndel部位を持た せるように、 Ndel認識配列を含むプライマ一 (CHANdelプライマー:配列番号 9 ) を用いた。 また、 このプライマ一は、 5 ' 末端側 AS1051ペプチドの N末端アミノ 酸のァスパラギン酸のコドンの前に翻訳開始シグナルである塩基配列 A T G (配 列番号 9においてヌクレオチド番号 9〜1 1 ) を有している。 尚、 この開始コド ンは Ndel認識配列 (配列番号 9においてヌクレオチド番号 6〜 1 1 ) と重複して いる。
一方、 3 ' 末端側のプライマ一としては、 後述する昆虫培養細胞発現系に用い
た発現プラスミ ドの構築のために、 Hindlll認識配列を含むプライマ一を用いた (CHAHindlll:配列番号 10、 Hindlll認識配列はヌクレオチド番号 10〜: I 5 )。 上記プライマーを用いた PCR反応により、 AS1051ぺプチドをコ一ドする遺伝 子を増幅した。 PCR反応は、 94 15秒、 50て1分、 72 2分を 1サイクルとし、 25サイクル繰り返した。 PC R反応液をフエノール クロ口ホルム処理して Ta qポリメラ一ゼを失活させ、 増幅された 400塩基対からなる DNA断片をエタ ノール沈澱法により精製した後、 制限酵素 Ndelで消化した。 この DNA断片と、 制限酵素 Ndelで消化した pCHA(NS)とをライゲーシヨンキット (宝酒造社製) を用 いて連結した。 得られたプラスミ ドを用いてコンビテントセル法にて E. coli HB101株を形質転換し、 形質転換体をアンピシリン含有プレー卜で 16時間培養し o
生育した形質転換体からアルカリ SDS法にてプラスミ ドを調製し、 T7ブラ イマ一と SP6プライマー (ストラタジーン社製) を用い、 DNAシーケンサ一 A 373 (アプライドバイオシステムズ社製) を用いて塩基配列を決定すること により、 目的の AS1051ぺプチド発現べクタ一が構築されていることを確認した。 作製された発現べクタ一を PCHAT7と命名した。 以上のプラスミ ドの構築過程を図 12に示す。
(2)大腸菌によるペプチドの生産
AS1051ぺプチド発現べクタ一 PCHAT7を用いて大腸菌により AS1051ぺプチドを生 産するために、 pCHAT7で E. coli JM109CDE3) (プロメガ社製) をコンビテントセ ル法にて形質転換し、 アンピシリン含有プレート上 25て 2日培養し、 プラスミ ド 保有菌を選択した。 この E. coli JM109(DE3)は、 lacUV5プロモーターの下流に連 結され T7ファージの RNAポリメラ一ゼ遺伝子を有しており、 I PTG (イソ プロピル- B-D-チォガラクトビラノシド) の添加により lacUV5プロモーターによ る転写が誘導されて T 7ファージの RN Aポリメラーゼが生成され、 T 7プロモ 一夕一のみを効率よく発現するように構築された株である。 したがって、 上記プ ラスミ ド保有株は、 AS1051ペプチドを効率よく発現する。
発現プラスミ ドを保有する E. coli ^109 £3) ^(: 17を、 100mlの L B— A p
培地 (1 % バクトトリプトン、 0. 5% 酵母エキス、 0. 5% 塩化ナトリウム、 100 a g /nil アンピシリン) を入れた 500nil坂口フラスコ 10本に植菌し、 30 で 16時 間振とう培養した。 培地に誘導剤 I P T Gを終濃度 0. 5mMになるよう添加し、 さら に 37 で 4時間振とう培養した。 培養後、 菌体を遠心分離により集めた後、 100 mlの緩衝液 (30mM トリス塩酸 pH7. 5、 10mM EDTA (エチレンジアミン四酢酸ニナ トリウム、 30raM塩化ナトリウム) に懸濁することにより菌体を洗浄した。 菌体を 遠心分離により再び集め、 20mlの菌体破砕緩衝液 (0. 5M EDTA, pH8) に懸濁した。 この懸濁液に卵白リゾチーム 20mgを添加し、 0 で 1時間処理し、 菌体の細胞壁 を破壊した。 さらに、 この懸濁液を超音波破砕器 Insonator200M (クボタ社製) に て 180W、 10分破砕処理した。 破砕液を 6000n)niで 20分間遠心することにより菌体不 溶性画分 (封入体) を得た。
( 3 ) 封入体の可溶化と活性化
1リットルの培養液より得られた封入体を、 10mM EDTA, 0. 5Mトリス塩酸 (pH 8. 5)を含む 7M塩酸グァニジン溶液 28. 6mlに溶解し、 これに 71. 4mlの蒸留水を加え た後、 4てで 2日間保存することにより空気酸化を行った。 その後、 本溶液にト リフルォロ酢酸 0. 5mlを加えて酸性とした後、 遠心により不溶物を除去し、 上清を 逆相カラム (Vydac 214TP1022、 バイダック社製) を用いた高速液体クロマトグラ フィ一により分画して組換え体 AS1051 (9. Omg) を得た。 得られた精製ペプチドは、 SDS-ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動上で実施例 1 く 4〉に示した AS1051と同一 の分子量を示した。 さらに、 得られた組換え体 AS1051について、 実施例 1 < 5 > と同様の方法により血小板凝集に対する阻害活性を測定したところ、 ADP凝集、 コ ラーゲン凝集を阻害せず、 リストセチン凝集、 ボトロセチン凝集に対して実施例
1 < 4 >で得た AS1051と同等の阻害活性を示した。
上記の様にして得られた組換え体 AS1051のァミノ酸配列の決定は以下のように して行った。 組換え体 AS1051 500 z gを含む 2mM EDTA, 0. 1Mトリス塩酸 (pH8. 5) 溶液 (450nil) に 1 ^ 1の 4 —ビニルピリジンを加え、 さらにリジルエンドべプチ ダーゼ(和光純薬社製) 15 ^ gを加えて、 37 で 3時間酵素消化を行った。 消化物 を実施例 1 < 4〉に示した方法と同様に逆相 HPLCに供し、 消化断片ペプチドを分
取した。 それぞれの消化断片のアミノ酸配列分析の結果、 組換え体 AS1051のアミ ノ酸配列が、 配列番号 2に示した AS1051のァミノ末端にメチォ二ン残基が結合し たものであることを確かめた。 さらにジスルフィ ド結合様式として、 Cys4- Cysl5 間のジスルフィ ド結合の存在を両残基を含む断片ペプチドのマススぺクトルより 確認し、 また実施例 1 く 4〉と同様に図 7中に示したフラグメント A、 B、 じが ジスルフィ ド結合で架橋された断片ペプチドを V8プロテア一ゼ (和光純薬社製) により酵素消化 (0. 1M炭酸水素アンモニゥム溶液中、 V8プロテアーゼ 3ug) し、 逆 相カラムにより分離した断片べプチドのアミノ酸配列を解析することにより、 Cys32- Cysl20、 Cys95- Cysll2間のジスルフィ ド結合の存在を確認した。
得られた組換え体 AS1051を、 マウスに対して 1000 g/kg静脈内投与することに よっては、 血小板の減少は認められなかった。 実施例 3 バキュロウィルス 昆虫培養細胞発現系による
抗血栓性一本鎖べプチドの生産
実施例 2で得られた AS1051遺伝子を昆虫培養細胞発現系で発現させることによ り、 抗血栓性一本鎖ペプチドを生産させた。
< 1 >バキュロウィルス AS1051発現ベクターの作製
バキュロウィルス発現系は、 M a X B a cバキュロウィルス発現システム (ィ ンビトロゲン社製) を用いて構築した (図 1 3参照) 。 即ち、 実施例 2で得られ た pCHAlを制限酵素 EcoRIで消化し、 D N Aブランティングキッ ト (宝酒造社製) を用いキットのプロトコールに従い、 末端を平滑化した。 さらにこれを制限酵素 Pstlで消化し、 消化物をァガロースゲル電気泳動に供し、 400塩基対の D N A断片 を回収した。 一方、 発現ベクター pBlueBacIIIを制限酵素 Hindl l lで消化し、 D N Aブランティングキットを用いて末端を平滑化した。 さらにこれを制限酵素 Pstl で消化し、 消化物をァガロースゲル電気泳動に供し、 10. 3キ!]塩基対の D N A断片 を回収した。 回収したこれらの D N A断片をライゲーシヨンキッ トを用いて連結 し、 コンビテントセル法にて E. coli HB101を形質転換し、 アンピシリン含有プレ ート上で形質転換体を選択した。 作製したプラスミ ドを pCHAbacと呼ぶ。 プラスミ ドの構築を図 1 3に示す。
< 2〉pCHAbacによる昆虫培養細胞 S f 9株の形質転換と組換えウィルスの取得 昆虫培養細胞の形質転換と組換えウィルスの取得は、 M a x B a cバキュロウ ィルス発現システム (インビトロゲン社製) のプロトコ一ルに従って行った。 す なわち野生型核多角体病ウイノレス (Autographa cal ifornica nuclear polyhedrosis virus: AcMNPV) D N A 1 ^ g、 pCHAbac 3 a gをリボゾーム法にて 昆虫培養細胞 Spodoptera frugiperda 9株 (Sf9株) に導入した。 このウィルス導 入細胞を TNM- FH (FBS+) 培養液 (インビトロゲン社製) にて 27 、 48時間培養後、 培養液を回収し、 ウィルス溶液を得た。
このウィルス溶液を昆虫培養細胞 Sf9株に感染させ、 X- gal (5-フ" πモ -4-クロ口- 3 -ィ ンドリル-へ' -タ- D-力'ラクトサイに) 150 g/mlを含有する FM- FH (FBS+) 軟寒天培地で 27 V 7日培養した。 野生型 AcMNPVと pCMbacとの組換えが起こつたウイルスが感染し た細胞 (青色) を選択した。 この細胞をパスツールピぺットを用いてプレートか ら拾いだし、 適宜希釈して再び Sf 9細胞に感染させた。 以上の純化操作を 2回繰り 返して、 組換えゥィルスのみが存在するゥィルス溶液を取得した。
< 3 >バキュロウィルス 昆虫培養細胞発現系による AS1051ぺプチド発現
組換えウィルスを用いて AS1051ぺプチドを発現させた。 細胞培養用フラスコ (NUNCLON 260ml 底面積 75cm2: ヌンク社製) 中の FNM- FH (FBS + ) 培養液 10mlに 6 X 106個の Sf 9細胞を接種し、 さらに純化した組換えゥィルスを 3 X 106cf uを添加 し、 27 で 24時間培養した。 この後、 フラスコから培養液を取り除き、 ゥシ胎児 血清を含まない FNM- FH (FBS-) 培養液 10mlを加え、 さらに 27 で 7日間培養した。 培養終了後、 培養液 4 mlを採取し、 セントリコン 1 0 (アミコン社製) を用い 400 1に濃縮し、 培養上清濃縮液 (10倍濃縮液) を得た。
一方、 培養液を取り除いたフラスコに緩衝液 (30mMトリス塩酸 pH7. 5、 lOmM EDTA、 30mM塩化ナトリウム) を加え、 ピペッティングにより細胞をフラスコ壁か ら剥がした後、 細胞懸濁液を回収し、 遠心分離することにより細胞を 1回洗浄後、 緩衝液 2 mlに再懸濁した。 この細胞懸濁液を超音波破砕機 Insonator200M (クボタ 社製) を用いて 180Wにて、 5分処理して細胞を破砕した。 破砕後、 10000 X Gで 30分遠心分離し、 上清を回収することによって細胞破砕液を得た。 コントロール
サンプルとしては、 野生型 AcMNPVゥィルスを感染させた Si9細胞とウイルスを感染 させな L、Sf 9細胞を上記と同じ条件で培養し、 サンプル調製を行つたものを用いた c 上記のように調製した培養上清濃縮液 5 ^ 1、 あるいは細胞破砕液 10 / 1を、 各 々 1 %メルカプトエタノールを加えた還元条件下で SDS-ポリアクリルアミ ドゲル 電気泳動に供し、 クマシ一ブリリアントブルー (C B B ) 染色を行った。 その結 果、 組換えウィルスを感染させた培養上清濃縮液、 細胞破砕液のいずれにおいて も著量の蛋白が 15キロダルトンの位置に検出された。 一方、 コントロールの Sf9細 胞のみあるいは Sf9細胞に野生型ゥィルス AcMNPVを感染させた培養上清濃縮液及び 細胞破砕液では、 いずれも 15キロダルトンの位置に蛋白を検出できなかった。 こ の分子量 15キロダノレトンという値は、 蛇粗毒から精製した AS1051の分子量に一致 する。
< 4 >バキュロウィルス/昆虫培養細胞発現系により生産した AS1051ぺプチドの活 性
上記のようにして得られた昆虫培養細胞内の組換え体蛋白、 および培養上清中 の組換え体蛋白による、 ボトロセチンにより惹起されるフォンビルブランド因子 の血小板への結合を阻害を以下の方法により測定した。
ホルマリン固定化血小板の調製は以下の様に行った。 1/10容の 3. 8%クェン酸ナ トリゥムを添加した、 健常人より採血した新鮮血液を 900rpmで 15分間遠心して得 たヒト多血小板血漿 (platelet rich plasma: PRP) に、 これと同容の、 2 %パラ ホルムアルデヒドを溶解した 20mMリン酸緩衝液 (pH7. 4) を含む 0. 15M塩化ナトリ ゥム水溶液を加え、 4 で一晚静置保存した。 保存後、 遠心分離により血小板を 回収し、 20mMリン酸緩衝液 (pH7. 4) を含む 0. 15M塩化ナトリゥム水溶液で 2回洗 浄した。 洗浄後、 同溶液に固定化血小板を懸濁し、 保存した。
上記のように得られた固定化血小板に対する1 2 51標識化フオンビルブランド因 子の固定化血小板への結合阻害試験は、 Chopekらの方法 (M. W. Chopek et al. , Biochemistry, 25, 3146-3155 (1986)) を踏襲して行なった。 すなわち、 調製し た固定化血小板懸濁液に、 測定サンプル、 ボトロセチンおよび1 2 51標識化フォン ビルブランド因子を加え、 室温にて 30分間反応させ、 血小板に対して結合したフ
ォンビルブランド因子量をァカウンター (Packard Multi- Prias、 パッカード社製) により測定した。 この際、 反応液量は 50 / 1とし、 このうち測定サンプルを 5 / 1添 加して測定した。
AS1051組換えゥィルス感染 Sf 9細胞とコント口ールの Sf 9細胞から前記の方法に 従つて調製した細胞破砕液について、 ボトロセチンにより惹起されるフォンビル ブランド因子の血小板への結合に対する阻害活性を測定した結果を図 1 4に示し た。 また、 AS1051組換えウィルス感染 Sf9細胞とコントロールの Si9細胞から前記 の方法に従って調製した培養上清濃縮液 (3倍濃縮液) についてボトロセチンに より惹起されるフォンビルブランド因子の血小板への結合に対する阻害活性を測 定した結果を図 1 5に示した。 この結果から明らかなように、 組換えウィルスを 感染させた細胞破砕液および細胞培養上清は、 フオンビルブランド因子の血小板 への結合をほぼ完全に阻害した。 このことから、 バキュロウィルスノ昆虫培養細 胞発現系で生産させることにより、 AS1051ぺプチドは細胞内の可溶性蛋白質なら びに細胞外分泌蛋白質として血小板とフォンビルブランド因子の結合を阻害する 活性を有するかたちで製造させ得ることがわかった。 実施例 4 動物培養細胞発現系に'よる抗血栓性一本鎖べプチドの生産
AS1051遺伝子を C H◦細胞を用 L、た動物培養細胞発現系で発現させることによ り、 抗血栓性一本鎖ペプチドを生産させた。 pCHAlを制限酵素 Pstlで消化することにより AS1051遺伝子を切り出し、 得られた DNA断片の両末端を DNAブランティングキッ ト (宝酒造社製) を用い平滑化し、 さ らに両末端に Xholリンカ一 (宝酒造社製) を連結した。 この D N A断片を制限酵 素 Xholで消化後、 ァガロースゲル電気泳動に供し 5 0 0塩基対の D N A断片を抽 出した。 この DM断片を C H 0細胞発現ベクター pSD(X) (M. Murata et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. , 85, 2434-2438 (1988)) の Xhol部位に挿入した。 この ベクター pSD(X)は、 pBR322と SV40の複製開始点、 アンピシリン耐性遺伝子、 メソ トレキセ一ト耐性遺伝子を有し、 さらに S V 4 0プロモーター、 S V 4 0スプラ イシングシグナル、 及びポリ A付加シグナルを有し、 C H O細胞中で外来遺伝子
を発現させることができるベクタ一である。 以上のプラスミ ドの構築過程を図 1 6に示す。
前記の AS1051遺伝子が挿入された pSD(X)で大腸菌 HB101を形質転換し、 得られた 形質転換体から、 AS1051遺伝子がベクターに対して所望の方向に挿入された発現 プラスミ ドを得、 pCHASDXと命名した。 このプラスミ ド pCMSDXを用いてリン酸力 ノレシゥム法 (Current Protocols in Molecular Biology: Greene Publishing Associates) により、 C H 0細胞のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株を形質転換 した。 形質転換体を、 アルファ一 MEM (核酸マイナス) (ギブコ社製) 、 10%ゥ シ胎児血清 (FCS)、 メソトレキセート 0.05 Mを含む培地で培養することにより、 染色体上に発現プラスミ ドが組み込まれた形質転換体を選択的に生育させた。 得られた株を、 培地中のメソトレキセ一卜の濃度を段階的に 0.5 zMまで上昇さ せて培養し、 メソトレキセ一ト耐性株を選択することにより CHO細胞の染色体 上に AS1051遺伝子が増幅したと考えられる株を得た。 この株のシングノレクローン を増殖させて得られた細胞から IS0GENキ 7ト (ニプホ。ンシ" -ン社製) を用いて全 RNAを抽出 し、 プライマー CM16Y (配列番号 13) と CHA115Q (配列番号 14) を用いて実施 例 2<2>記載と同様の RT— PCR法により、 AS1051遺伝子の増幅を行い、 了 ガロースゲル電気泳動により増幅 DN A解析を行った。 その結果、 AS1051遺伝子 のヌクレオチド配列より予想される大きさの DN A断片の増幅が検出され、 AS1051遺伝子の mRNAが CHO細胞中で転写されていることが確認された。 こ の細胞を用いて AS1051ペプチドの発現の検討を行った。 すなわち、 この細胞 2x 104個をアルファ一 MEM (核酸マイナス) 、 10%ゥシ胎児血清、 メソトレキセー ト 0.5 /Mを含む培地 5nilで 4日間培養した後、 メソトレキセ一ト 0.5 Μを含有する 無血清培地 AS104 (味の素 (株) 製) に培地を交換し、 さらに 3日間培養した。 培養終了後の培地を回収し、 そのうち 4DI1をセントリコン— 10 (アミコン社 製) にて 100 1まで濃縮し、 濃縮液を順次希釈して実施例 3 < 4 >に記載の方 法でリストセチンおよびボトロセチンにより惹起されるフォンビルブランド因子 の血小板への結合に対する阻害活性を測定した。 AS1051ぺプチド生産細胞とコン トロールの AS1051ぺプチドを生産しない細胞の培養上清を所定の濃度に濃縮ある いは希釈した溶液の阻害活性を、 図 17、 図 18に示した。 両図に示したように、
ぺプチド生産細胞の培養上清の阻害活性は濃度依存的であり、 活性型の AS1051が 含まれることが示された。 実施例 5 変異 AS1051ペプチドの生産
N末端から 8 1番目 (但し翻訳開始のメチォニン残基を除く) のシスティン残 基をァラニン残基に置換する変異 (以下、 「Cys81Ala変異」 という) を有する AS1051ぺプチドを大腸菌で発現させ、 フォンビルブランド因子の血小板への結合 に対する阻害活性を調べた。
< 1〉Cys81Ala変異 AS1051ぺプチドの生産
「PCRprotocols」 (Academic Press版) に記載の部位特異的塩基配列変異法に より、 AS1051ペプチドのジスルフィ ド結合に関与していないシスティン残基 (配 列番号 2において第 81番目のシスティン残基) をァラニンに置換するように AS1051遺伝子に変異を導入した。 pCHAlを铸型として実施例 2で合成したプライマ -CHANdel (配列番号 9 ) と新たに合成したプライマ一 CHAAlaF (配列番号 1 1 ) を用い、 あるいは新たに合成したプライマー CHAAlaR (配列番号 1 2 ) と実施例 2 で合成したプライマー CHAHindl ll (配列番号 1 0 ) を用い、 P C R反応を行った。 それぞれの反応生成物をァガロースゲル電気泳動に供し、 ゲルから増幅 D N A断 片を抽出した。 これらの D N A断片を铸型としてプライマー CHANdelと CHAHidl ll を用い 2回目の P C R反応を行い、 変異遺伝子を作製した。 P C R増幅 D N A断 片を制限酵素 Ndelで消化し、 ァガロースゲル電気泳動に供し、 ゲルから 360bpの D N A断片を抽出した。 この D N A断片を制限酵素 Ndelで消化した pCHA(NS)の Ndel 部位に挿入した。 以上のプラスミ ドの構築過程を図 1 9に示す。
こうして作製されたプラスミ ドを用いて大腸菌 HB101をコンビテントセル法にて 形質転換し、 アンピシリン含有プレート上で形質転換体を選択した。 その形質転 換体からアル力リ S D S法にてプラスミ ドを調製し、 T 7プライマーと S P 6プ ライマー (ストラタジーン社製) を用い、 実施例 8に記載の方法で塩基配列を決 定し、 目的の変異が導入されたプラスミ ドを選択した。 得られた発現ベクターを pCHAT7Alaと命名した。 pCHAT7Alaで大腸菌 JM109(DE3)を形質転換し、 実施例 2
く 4〉と同様にして形質転換体を培養することにより、 Cys81Ala変異を有する AS1051ペプチドを発現生産させた。 菌体タンパク質を S D Sポリアクリルアミ ド ゲル電気泳動に供したところ、 実施例 2 < 4 >で生産された遺伝子組換え野生型 AS1051ぺプチドほぼと同量の組換えべプチドを大腸菌菌体内に封入体として蓄積 生産することができることを確認した。
< 2 >Cys81Ala変異 AS1051ぺプチド封入体の可溶化と活性化
実施例 2 < 4〉に記載の方法で封入体の可溶化と活性化を行った。 得られた精 製蛋白は、 SDS電気泳動上で実施例 1 く 4〉に示した AS1051の分子量と同一の分子 量を示した。 また、 ジスルフィ ド結合様式も AS1051と同様であることを確かめた。 さらに得られた Cys81Ala変異 AS1051ぺプチドについて、 実施例 1 < 5 >と同様の 方法により血小板凝集に対する阻害活性を測定したところ、 ADP凝集、 コラーゲン 凝集を阻害せず、 リストセチン凝集、 ボトロセチン凝集を AS1051と同程度に阻害 した。 さらに固定化血小板に対するリストセチン、 ボトロセチン惹起フォンビル ブランド因子結合に対して実施例 1 く 4〉で得られた AS1051、 および実施例 2 く 4〉で得られた組換え AS1051と同等の阻害活性を示した (図 2 0 ) 。 こうして 得られた変異 AS1051ペプチドは、 30 における溶液中での保存、 あるいは 4 に おける透析において安定であるのに対し、 組換え AS1051ぺプチドは 30 における 溶液中での保存及び 4 における透析において不溶化がみられた。 この結果から、 組換え変異 AS1051ぺプチドは組換え AS1051ぺプチドに比べ、 より安定性が高いと 考元らォしる。 実施例 6 短縮 AS1051ペプチドの生産
N末端部分及びノ又は C末端部分を短縮した AS1051ぺプチドを大腸菌で発現さ せ、 短縮 AS1051ぺプチドのフォンビルブランド因子の血小板への結合に対する阻 害活性を調べた。 く 1 >短縮 AS1051ぺプチドの生産
Cys81Ala変異を有する AS1051ペプチド ( 「AS1051Cys81Alaペプチド」 という)
から N末端の 1 5アミノ酸残基もしくは 6 5アミノ酸残基、 及びノ又は C末端の 1 1アミノ酸残基を欠失したペプチドの発現系を構築した。 すなわち、 生産され たペプチドは、 1 6番目のチロシン残基から 1 2 6番目のアルギニン残基までを 有するペプチド (AS1051A-1) 、 6 7番目のチロシン残基から 1 2 6番目のアルギ ニン残基までを有するペプチド (AS1051A- 2) 、 1番目のァスパラギン酸残基から 1 1 5番目のグルタミン残基までを有するペプチド (AS1051A- 3) 、 1 6番目のチ 口シン残基から 1 1 5番目のグノレタミン残基までを有するぺプチド (AS1051A-4) 、 6 7番目のチロシン残基から 1 1 5番目のグル夕ミン残基までを有するぺプチド (AS1051A-5) の 5種類である。 これらのペプチドの構造の概略を図 2 1に示す。 ここで、 アミノ酸番号は、 翻訳開始のメチォニンを除いて数えたものであり、 配 列番号 2に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号を表す。
短縮 AS1051ぺプチド発現ブラスミ ドの作製は以下のようにして行った。 pCMT7Alaを铸型として用い、 AS1051A- 1についてはプライマ一 CM16Y (配列番号 1 3 )
と CHAHindl l l (配列番号 1 0 ) 、 AS1051A-2についてはプライマー CHA67Y (配列番 号 1 5 ) と CHAHindII I、 AS1051A- 3についてはプライマ一 CHANdel (配列番号 9 ) と CHA115Q (配列番号 1 4 ) 、 AS1051A-4についてはプライマー CHA16Yと CHA115Q、 AS1051A-5についてはプライマ一 CHA67Yと CHAU5Qを各々用い、 P C R反応を行つ た。
CM16Yと CHAHindII I、 及び CHA67Yと CHAHindl llをプライマーとして用いた増幅 産物に関しては、 各々の増幅産物を Ndelで消化したものをァガロースゲル電気泳 動に供し、 各々 310塩基対、 160塩基対の D N A断片を抽出した。 各々の D N A断 片を pCHA(NS)の Ndel部位に挿入し、 得られた組換えプラスミ ドで E. coli HB101を 塩化カルシウム法で形質転換し、 アンピシリン含有プレー卜上で形質転換体を選 択した。 これらの形質転換体から、 増幅 D N A断片がプラスミ ドに対して目的の 方向に挿入されたプラスミ ドを有するものを選択した。 こうして得られた発現プ ラスミ ドで 310塩基対の挿入断片を有するものを pCHAT7Ala(16Y126R)、 160塩基対 の挿入断片を有するものを pCHAT7Ala(67Y126R)と命名した。
一方、 CMNdelと CHA115Q、 じ 16 と0^1159、 及び CHA67Yと CHA115Qをプライマ
一として用いた増幅産物に関しては、 各々の増幅産物を Ndel及び Hindl llで消化し たものをァガロースゲル電気泳動に供し、 各々 360塩基対、 310塩基対、 160塩基対 の D N A断片を抽出した。 各々の D N A断片を Ndel及び Hindl l lで消化した pCHA (NS)に連結し、 得られた組換えプラスミ ドで E. coli HB101を塩化カルシウム法で 形質転換し、 アンピシリン含有プレート上で形質転換体を選択した。 こうして得 られた発現プラスミ ドで 360塩基対の挿入断片を有するものを pCMT7Ala(lD115Q)、 310塩基対の挿入断片を有するものを pCHAT7Ala(16Y115Q)、 及び 160塩基対の挿入 断片を有するものを pCHAT7Ala(67Y115Q)と命名した。
上記 5種類の短縮 AS1051ペプチド発現プラスミ ドで E. coli JM109(DE3)を形質 転換し、 各々形質転換体を得た。 これらの形質転換体を実施例 2に記載の方法と 同様にして培養し、 培養後の菌体を顕微鏡観察したところ、 5種類の形質転換体 のいすれも封入体を形成していることが確認された。 また、 各形質転換体の菌体 蛋白質を SDS-ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動により解析したところ、 各々の短 縮 AS1051ぺプチドのァミノ酸配列から予想される分子量の位置に、 著量の夕ンパ ク質が認められた。
各形質転換体から実施例 2と同様にして封入体を調製し、 これらの封入体を 10 mM EDTA、 0. 5Mトリス塩酸 (ρΗ8· 5) を含む 7Μ塩酸グァニジン溶液 286 1に溶解し た後、 4てで一晩保存後、 10 1づっを SSC-VP318- 1251カラム (直径 4. 6ΜΙ、 長さ 250mm:センシュ一科学 (株) 製) を用いた高速液体クロマトグラフィーに供し、 0. 1¾トリフルォロ酢酸を含むァセトニトリルの濃度 31%〜52¾までの濃度勾配溶出 を行ったところ、 図 2 2 (AS1051A- 1) 、 図 2 3 (AS1051A-2) 、 図 2 4 (AS1051 A-3) 、 図 2 5 (AS1051A-4) 及び図 2 6 (AS1051A-5) にそれぞれ示した通り、 封 入体に由来するピークが得られた。
上記の 7M塩酸グァニジン溶液に溶解し一晩保存した AS1051A- 1、 AS1051A-2、 AS1051A- 3、 AS1051A- 4及び AS1051A- 5の残り全量を、 トリフルォロ酢酸を用いて pHを酸性に調整した後、 逆相カラム (Vydac 214TP1022. バイダック社製、 直径 22薩、 長さ 250画) を用い、 流速 15mlで、 0. 1% ト リフルォロ酢酸を含むァセトニ ト リル濃度 30%〜60¾の濃度勾配溶出 (2 0分) により分取した。 得られたペプチド をそれぞれ 1 0倍量のゥシ血清アルブミンを加えた後凍結乾燥し、 生理食塩水に
溶解した。 これらの溶液をサンプルとし、 実施例 1 < 5 >に示した方法と同様に してボトロセチン、 及びリストセチンにより惹起されるホルマリン固定化血小板 へのフォンビルブランド因子の結合に対する阻害活性を測定した。 結果を図 2 7 に示す。 図に示した通り、 いずれの短縮 AS1051ペプチドも、 図に示した濃度にお I、て明らかな結合阻害活性を示した。 産業上の利用可能性 本発明により、 生体内投与によって血小板減少が起こる蛇毒由来のぺプチドか ら、 血小板減少を示さずに、 血栓症の発症に深く関与するフォンビルブランド因 子の血小板への結合を阻害するべプチドが得られ、 抗血栓薬として有望な医薬組 成物を提供することができる。
配列表 配列番号: 1
配列の長さ : 38
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ぺプチド
配列
Asp Leu Glu Cys Pro Ser Gly Trp Ser Ser Tyr Asp Arg Tyr Cys Tyr
1 5 10 15
Lys Pro Phe Lys Gin Glu Met Thr Trp Ala Asp Ala Glu Arg Phe Cys
20 25 30
Ser Glu Gin Ala Lys Gly
35 配列番号: 2
配列の長さ : 126
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ぺプチド
配列
Asp Leu Glu Cys Pro Ser Gly Trp Ser Ser Tyr Asp Arg Tyr Cys Tyr
1 5 10 15
Lys Pro Phe Lys Gin Glu Met Thr Trp Ala Asp Ala Glu Arg Phe Cys
20 25 30
Ser Glu Gin Ala Lys Gly Gly His Leu Leu Ser Val Glu Thr Ala Leu
35 40 45
Glu Ala Ser Phe Val Asp Asn Val Leu Tyr Ala Asn Lys Glu Tyr Leu 50 55 60
Thr Arg Tyr lie Trp l ie Gly Leu Arg Val Gin Asn Lys Gly Gin Pro 65 70 75 80
Cys Ser Ser lie Ser Tyr Glu Asn Leu Val Asp Pro Phe Glu Cys Phe
85 90 95
Met Val Ser Arg Asp Thr Arg Leu Arg Glu Trp Phe Lys Val Asp Cys
100 105 110
Glu Gin Gin His Ser Phe lie Cys Lys Phe Thr Arg Pro Arg
115 120 125 配列番号: 3
配列の長さ : 21
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ぺプチド
配列
Asp Cys Pro Ser Asp Trp Ser Ser Tyr Glu Gly His Cys Tyr Arg Val
1 5 10 15
Phe Gin Gin Glu Met
20 配列番号: 4
配列の長さ : 17
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
CARGARATGA CNTGGGC 17
配列番号: 5
配列の長さ : 17
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
TCNACYTTRA ACCAYTC 17 配列番号: 6
配列の長さ : 272
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類: cMA
起源
生物名:クロ夕ルス ·ホリダス ·ホリダス (Crotalus horridus horridus) 配列の特徴
配列
CAGGAGATGA CTTGGGCCGA TGCAGAGAGG TTCTGCTCGG AGCAGGCGAA GGGCGGGCAT 60 CTCCTCTCTG TCGAAACCGC CCTAGAAGCA TCCTTTGTGG ACAATGTGCT CTATGCGAAC 120 AAAGAGTACC TCACACGTTA TATCTGGATT GGACTGAGGG TTCAAAACAA AGGACAGCCA 180 TGCTCCAGCA TCAGTTATGA GAACCTGGTT GACCCATTTG AATGTTTTAT GGTGAGCAGA 240 GACACAAGGC TTCGTGAGTG GTTCAAAGTC GA 272 配列番号: Ί
配列の長さ : 690
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類: cDM
起源
生物名:クロタルス ·ホリダス ·ホリダス (Crotalus horridus horridus) 株名:
配列の特徴
特徴を表す記号: CDS
存在位置: 66. . 512
特徴を決定した方法: P
配列
CTGAGCAGAC TTGCTACCTG TGGAGGCCGA GGAACAGTTC TCTCTGCAGG GAAGGAAAGA 60 ACGCC ATG GGG CGA TTC ATC TTC GTG AGC TTC AAC TTG CTG GTC GTG TTC 110 Met Gly Arg Phe l ie Phe Val Ser Phe Asn Leu Leu Val Val Phe
1 5 10 15
CTC TCC CTA AGT GGA ACT CTA GCT GAT TTG GAA TGT CCC TCC GGT TGG 158 Leu Ser Leu Ser Gly Thr Leu Ala Asp Leu Glu Cys Pro Ser Gly Trp
20 25 30
TCT TCC TAT GAT CGG TAT TGC TAC AAG CCC TTC AAA CAA GAG ATG ACC 206 Ser Ser Tyr Asp Arg Tyr Cys Tyr Lys Pro Phe Lys Gin Glu Met Thr
35 40 45
TGG GCC GAT GCA GAG AGG TTC TGC TCG GAG CAG GCG AAG GGC GGG CAT 254 Trp Ala Asp Ala Glu Arg Phe Cys Ser Glu Gin Ala Lys Gly Gly His
50 55 60
CTC CTC TCT GTC GAA ACC GCC CTA GAA GCA TCC TTT GTG GAC AAT GTG 302 Leu Leu Ser Val Glu Thr Ala Leu Glu Ala Ser Phe Val Asp Asn Val
65 70 75
CTC TAT GCG AAC AAA GAG TAC CTC ACA CGT TAT ATC TGG ATT GGA CTG 350 Leu Tyr Ala Asn Lys Glu Tyr Leu Thr Arg Tyr l ie Trp l ie Gly Leu
80 85 90 95
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50 55 60
Leu Ser Val Glu Thr Ala Leu Glu Ala Ser Phe Val Asp Asn Val Leu 65 70 75 80
Tyr Ala Asn Lys Glu Tyr Leu Thr Arg Tyr lie Trp lie Gly Leu Arg
85 90 95
Val Gin Asn Lys Gly Gin Pro Cys Ser Ser lie Ser Tyr Glu Asn Leu
100 105 110
Val Asp Pro Phe Glu Cys Phe Met Val Ser Arg Asp Thr Arg Leu Arg
115 120 125
Glu Trp Phe Lys Val Asp Cys Glu Gin Gin His Ser Phe lie Cys Lys
130 135 140
Phe Thr Arg Pro Arg
145 配列番号: 9
配列の長さ : 34
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
GGCGGCATAT GGATTT6GAA TGTCCCTCCG GTTG 34 配列番号: 10
配列の長さ :40
配列の型:核酸
鎖の数:ー本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
TATCTCGAGA AGCTTACAGC CGGATCTTAA CGTGGTCGCG 40 配列番号: 11
配列の長さ : 26
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
GATGCTGGAG GCTGGCTGTC CTTTGT 26 配列番号: 12
配列の長さ : 27
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
GGACAGCCAG CCTCCAGCA TCAGTTA 27 配列番号: 13
配列の長さ : 35
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
GGTGGATCCA TATGTACAAG CCCTTCAAAC AAGAG 35
配列番号: 14
配列の長さ : 36
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
CTCAGAAAGC TTTTATTGTT GTTCACAGTC AACTTT 36 配列番号: 15
配列の長さ : 35
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成 D N A
配列
GGTGGATCCA TATGTATATC TGGATTGGAC TGAGG 35