JP2002112782A - 抗血栓活性を有する蛋白質及びその製造法 - Google Patents

抗血栓活性を有する蛋白質及びその製造法

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Hiroki Ishikawa
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守和 鬼頭
Takashi Kashiwabara
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Eiichiro Suzuki
榮一郎 鈴木
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Nobuhisa Shinba
信久 榛葉
Naoyuki Yamada
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 一層高活性である、一層高い薬効持続性
を持つ、一層抗原性が低下している、主作用である
グリコプロテインIb-フォンビルブランド因子結合阻害
活性以外にトロンビン惹起凝集阻害作用を持つ、等の点
で改良された、抗血栓活性を有する蛋白質の提供。 【解決手段】 クロタルス・ホリダス・ホリダス(Cr
otalus horr idus horridu
s)蛇毒由来の特別のアミノ酸配列に対して30%以上
の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、アミノ末
端側から順に、第1のβストランド(β1)、第1のα
へリックス(α1)、第2のαへリックス(α2)、第
2のβストランド(β2)、ループ、第3のβストラン
ド(β3)、第4のβストランド(β4)、及び、第5
のβストランド(β5)の高次構造を形成する蛋白質に
おいて、α2からβ2にかけての部分及び/又はβ3か
らβ4にかけての部分におけるアミノ酸残基を、電荷が
正の方向に変化するように置換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗血栓活性を有す
る蛋白質及びその製造法に関する。また、その蛋白質を
コードするDNA及びその蛋白質を有効成分として含む
医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】心筋梗塞、脳血栓をはじめとする血栓
症、特に動脈血栓症は世界的に多数の患者を有し、治療
すべき重要な疾患である。この動脈血栓症発症の初期段
階では、血管内皮細胞が障害されることにより露出した
内皮下組織(コラーゲン等)に血中のフォンビルブラン
ド因子(von Willebrand factor)が結合し、フォンビ
ルブランド因子に血小板上の膜糖蛋白質グリコプロテイ
ンIbが結合し、血小板が血管壁に粘着、活性化する(J.
P. Cean et al., J. Lab. Clin. Med., 87, 586-596,
1976、K. J. Clemetson et al., Thromb. Haemost., 7
8, 266-270, 1997)。このため、フォンビルブランド因
子とグリコプロテインIbの結合を阻害することが、血栓
症を治療、予防する抗血栓薬の重要なターゲットであ
る。しかし両蛋白質の間の結合を阻害することにより抗
血栓性を示すことが証明されている物質は少なく、まだ
臨床で用いられていない。フォンビルブランド因子のア
ミノ酸配列における504-728位のアミノ酸配列を有する
組み換え体蛋白質VCLは、フォンビルブランド因子とグ
リコプロテインIbの結合を阻害することにより抗血栓作
用を示すことが報告されている(K. Azzam et al., Thr
omb. Haemost., 73, 318-323, 1995)。また、ヒトフォ
ンビルブランド因子に対するモノクローナル抗体AJvW-2
は特異的にフォンビルブランド因子に結合することによ
り出血傾向を示すことなく抗血栓活性を示すことが報告
されており(S. Kageyama et al., Br. J. Pharmacol.,
122, 165-171, 1997)、グリコプロテインIbに対する
モノクローナル抗体6B4についても動物モデルにおいて
抗血栓作用が示されている(N. Cauwenberghs et al.,
Atherioscler. Thromb. Vasc. Biol., 20, 1347-1353
(2000))。さらに、蛇毒由来の蛋白質AS1051は血小板グ
リコプロテインIbに特異的に結合し、同様に出血傾向を
示すことなく抗血栓性を示す(N. Fukuchi et al., WO9
5/08573)。
【0003】ところで、フォンビルブランド因子とグリ
コプロテインIbの結合は通常の状態では観察されず、血
流内などのズリ応力が生じる条件下でのみ起こると考え
られている(T. T. Vincent et al., Blood, 65, 823-8
31, 1985)。しかし、両蛋白質の結合を人為的に観察す
る方法として、抗生物質であるリストセチン(M. A.How
ard and B. G. Firkin, Thromb. Haemost., 26, 362-36
9, 1971)、あるいは蛇毒由来の蛋白質であるボトロセ
チン(M. S. Read et al., Proc. Natl. Acad.Sci. US
A., 75, 4514-4518, 1978)の添加が知られている。す
なわち両物質はフォンビルブランド因子の特定の位置に
結合することによりフォンビルブランド因子の構造変化
を引き起こし、通常の条件では起こらないフォンビルブ
ランド因子とグリコプロテインIbの結合を惹起する物質
であると考えられている。
【0004】蛇毒には、前述したAS1051(クロタルス・
ホリダス・ホリダス(Crotalus horridus horridus)蛇毒
由来の蛋白質CHH-Bのα鎖の誘導体)、あるいはその元
となったCHH-Bの他、アルボアグレギン(alboaggregi
n)、エキセチン(echicetin)、マムシジン(mamushigi
n)、ジャララカ(jararaca)-GPIbBP、セラステス・セラ
ステス(Cerastes Cerastes)由来の蛋白質など多数のグ
リコプロテインIb結合蛋白質の存在が知られている。そ
れらは多くの場合ヘテロダイマーの構造を有し、そのサ
ブユニット間のアミノ酸配列の相同性は30%以上であ
り、またいずれのサブユニットともCHH-Bα鎖と比較し
て30%以上のアミノ酸配列の相同性を有する蛋白質であ
る(R. K. Andrews et al., Biochemistry, 35, 12629-
12639, 1996、Y. Fujimura et al., Thromb. Haemost.,
76, 633-9 (1996))。
【0005】上述のように、グリコプロテインIbとフォ
ンビルブランド因子の結合を阻害するような、蛇毒由来
グリコプロテインIb結合蛋白質、フォンビルブランド因
子あるいはグリコプロテインIbに対するモノクローナル
抗体は抗血栓作用を示すことが知られている一方、血小
板膜糖蛋白質であるグリコプロテインIIb/IIIaに結合す
る蛇毒由来の蛋白質、ディスインテグリン(disintegri
n)類(T. Matsui et al., Biochim. Biophys. Acta, 14
77, 146-56 (2000))、グリコプロテインIIb/IIIaに対
するモノクローナル抗体(A.M. Lincoff et al., J. A
m. Coll. Cardiol., 35, 1103-15 (2000))について
も、いくつかのものでは動物実験、あるいは臨床上で抗
血栓活性が示されている。例えばディスインテグリンの
配列より作成されたペプチドEptifibatide(integrili
n)は臨床上での抗血栓薬としての有効性が示されてお
り、またグリコプロテインIIb/IIIaに対するキメラ化し
たモノクローナル抗体Abciximab(ReoPro)も同様に抗
血栓薬として広く臨床応用されており、その強力な抗血
栓作用、及び、急性冠性症候群(acute coronary syndr
om)に対する治療作用が報告されている(M. Madan et
al., Circulation, 98, 2629-2635 (1998))。
【0006】上記の蛋白質性の物質以外にも、血小板膜
糖蛋白質に結合し機能を阻害する低分子量の有機化合物
は、グリコプロテインIb(N.Fukuchi et al., WO99/543
60、W. Mederski et al., WO00/32577、H.Matsuno et a
l., Circulation, 96, 1299-1304. 1997)、グリコプロ
テインIIb/IIIa(E. J. Topol et al., Lancet, 353,22
7-231, (1999))に関して知られており、このうちグリコ
プロテインIIb/IIIaアンタゴニストのいくつかのもの
は臨床応用されているが、Abciximab(ReoPro)ほどの
高い有効性は示されていない(E. J. Topol et al., La
ncet, 353, 227-231, (1999)、M. Madan et al., Circu
lation, 98, 2629-2635 (1998))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきた様に、
血栓形成に関与するグリコプロテインIb、グリコプロテ
インIIb/IIIaなどの血小板膜蛋白質に結合し、それらの
血栓形成における機能を阻害するような蛋白質は抗血栓
薬として有用であり、多くの外来蛋白質が抗血栓薬とし
て開発されてきている。これらのうち、グリコプロテイ
ンIIb/IIIaに対するキメラ化したモノクローナル抗体Ab
ciximab(ReoPro)は、臨床上高い効果を示している。
しかし、蛋白質性の物質、特に外来由来の蛋白質を臨床
使用可能な薬剤として用いるためには下記に示したいく
つかの条件が必要である。
【0008】 ターゲットに対する結合活性が高い Abciximab(ReoPro)の場合、その有効性の高さの理由
の一つとして、血小板(グリコプロテインIIb/IIIa)に
対する結合の高さが上げられる(R. M. Scarborough et
al., Circulation, 100, 437-444 (1999))。すなわ
ち、投与されたAbciximab(ReoPro)が血小板に強く結
合した結果、血小板とともに長く血中に存在し、長時間
薬効を示すと考えられている。
【0009】 血中での半減期/薬効持続性が高い 蛋白質性の薬剤、特にもともとの生体内物質ではない薬
剤を投与するには、一般的に連続投与は難しく単回投与
を行なうのが一般的である。そのため、ある程度長い期
間薬効を持続する必要があり、長い血中半減期、及び/
又は高い薬効持続性が求められる。
【0010】 抗原性が低い 単回投与のみを行なうにしても、投与によって過剰な抗
原抗体反応を起こさないように抗原性が低いことが必要
である。
【0011】 主たる作用以外の有用な作用を持ち合
わせる 実際にAbciximab(ReoPro)では、グリコプロテインIIb
/IIIaに対する阻害作用以外にαvβ3インテグリン、Mac
-1等の異なる蛋白質に対する結合作用も報告されており
(B.S.Coller, Thromb. Haemost., 82, 326-336 (199
9))、この二次的な作用が臨床での高い有効性の理由で
あると考えられている。すなわち、単一のターゲット以
外に作用することによって、その薬剤の臨床上での有効
性を増加させる場合がある。
【0012】グリコプロテインIbとフォンビルブランド
因子の結合を阻害する薬剤は、グリコプロテインIIb/I
IIaの機能を阻害する薬剤に比べ出血リスクが低いと報
告されており(S. Kageyama et al., Br. J. Pharmaco
l., 122, 165-171, 1997)、有用な抗血栓症薬となり得
る。前述したグリコプロテインIbとフォンビルブランド
因子の結合を阻害する蛋白質のうち、モノクローナル抗
体は一般的にターゲットに対する結合活性(アフィニテ
ィー)が高く、またキメラ抗体やヒト化抗体に改変する
ことによって上記及びの条件を満たすことができ
る。一方、モノクローナル抗体以外の、例えば蛇毒由来
のグリコプロテインIb結合蛋白質については、そのター
ゲットに対する結合活性(アフィニティー)は一般に低
いと考えられる。たとえば、蛇毒由来の蛋白質誘導体で
あるAS1051(N. Fukuchi et al., WO95/08573)に開示
されている抗血小板活性を、モノクローナル抗体である
AJvW-2(S. Kageyama et al., Br. J. Pharmacol., 12
2, 165-171, 1997)のものと比較すると、ほぼ同濃度
(重量濃度)で効果を示し、分子量がAS1051で約15,000
ダルトン、モノクローナル抗体で約150,000ダルトンで
あることから計算すると、モル濃度で考えた結合活性
(アフィニティー)はAS1051で約1/10である。
【0013】また、本発明者らは、後記実施例に示した
様に、AS1051は連続投与によってAS1051を抗原とした抗
体が生じ、その後の投与によって抗体生成が原因と考え
られる血小板減少が認められることを見い出した。
【0014】すなわち、AS1051を始めとした蛇毒由来の
グリコプロテインIb結合蛋白質を抗血栓症薬としての臨
床上での使用を考えた場合、前述した〜をより改善
することが必要である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、蛇毒由来
グリコプロテインIb結合蛋白質であるAS1051の特定の変
異体を用いて結晶の作成を行い、X線回折法を行うこと
によってAS1051の結晶構造を明らかにすることに成功
し、AS1051における特有の構造を見いだした。そして、
この構造に基づく改変により、AS1051等のグリコプロテ
インIb結合蛋白質の改良に成功した。すなわち、前述し
た外来由来の蛋白質を臨床応用可能な薬剤として用いる
ために必要であると考えられる4つの条件、ターゲッ
トに対する結合活性が高い、血中での半減期/薬効持
続性が高い、抗原性が低い、主たる作用以外の有用
な作用を持ち合わせる、を満たすように蛋白質を改良す
る方法、および改良された蛋白質を見出し、本発明を完
成するに至った。
【0016】本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列
に対して30%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有
し、かつ、アミノ末端側から順に、第1のβストランド
(β1)、第1のαへリックス(α1)、第2のαへリ
ックス(α2)、第2のβストランド(β2)、ルー
プ、第3のβストランド(β3)、第4のβストランド
(β4)、及び、第5のβストランド(β5)の高次構
造を形成する蛋白質において、α2からβ2にかけての
部分及び/又はβ3からβ4にかけての部分におけるア
ミノ酸残基を、電荷が正の方向に変化するように置換す
ることを含む、抗血栓活性を有する蛋白質の製造法(以
下、「本発明の製造法」ともいう)を提供する。
【0017】本発明の製造法においては、α2からβ2
にかけての部分及び/又はβ3からβ4にかけての部分
における酸性アミノ酸残基を中性アミノ酸残基に置換す
ることによって、電荷を正の方向に変化させることが好
ましい。
【0018】本発明の製造法において、蛋白質はクロタ
ルス・ホリダス・ホリダス由来であることが好ましい。
【0019】また、蛋白質は、蛋白質のα2からβ2に
かけての部分が配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ
酸番号47〜72の配列、β3からβ4にかけての部分が配
列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号94〜111の
配列であるものが好ましい。この態様においては、配列
番号1に示すアミノ酸配列において、アミノ酸番号103
のアルギニン残基のα炭素原子より、α炭素原子が10Å
以内に存在する酸性アミノ酸残基を中性アミノ酸残基に
置換することが好ましい。また、酸性アミノ酸残基が配
列番号1に示すアミノ酸配列においてアミノ酸番号54の
アスパラギン酸残基、アミノ酸番号101のアスパラギン
酸及びアミノ酸番号106のグルタミン酸残基から選ばれ
る1つ以上であることが好ましい。
【0020】本発明の製造法は、β2とβ3の間に存在
するループ構造を含む部分を、β2とβ3の高次構造が
保たれるように欠失させる、又は、β2とβ3の高次構
造を保つのに必要な残基数の、グリシン残基、アラニン
残基、セリン残基、システイン残基からなる群から選ば
れるアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に置換すること
をさらに含んでもよい。好ましくは、β2とβ3の間に
存在するループ構造を含む部分が4残基のグリシン残基
からなるアミノ酸配列に置換される。
【0021】本発明の製造法は、蛋白質にポリオキシア
ルキルポリオール基を結合させることをさらに含むこと
が好ましい。好ましくは、蛋白質が、配列番号1に示す
アミノ酸配列のアミノ酸番号81のシステイン残基に相当
するシステイン残基を含み、このシステイン残基にポリ
オキシアルキルポリオール基を結合させる。ポリオキシ
アルキルポリオール基は、好ましくはポリエチレングリ
コール基である。
【0022】本発明は、また、配列番号1に示すアミノ
酸配列に対して30%以上の相同性を有するアミノ酸配
列を有し、かつ、アミノ末端側から順に、第1のβスト
ランド(β1)、第1のαへリックス(α1)、第2の
αへリックス(α2)、第2のβストランド(β2)、
ループ、第3のβストランド(β3)、第4のβストラ
ンド(β4)、及び、第5のβストランド(β5)の高
次構造を形成する、下記の(a)又は(b)の蛋白質に
おいて、α2からβ2にかけての部分、あるいはβ3か
らβ4にかけての部分におけるアミノ酸残基が、電荷が
正の方向に変化するように置換されている、抗血栓活性
を有する蛋白質(以下、「本発明の蛋白質」ともいう)
を提供する。 (a)α2からβ2にかけての部分が配列番号1に示す
アミノ酸配列のアミノ酸番号47〜72の配列、及び、β3
からβ4にかけての部分が配列番号1に示すアミノ酸配
列のアミノ酸番号94〜111の配列を有する蛋白質。 (b)(a)の蛋白質において、α2からβ2にかけて
の部分が配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号
47〜72の配列、及び/又は、β3からβ4にかけての部
分が配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号94〜
111の配列に、1又は数個のアミノ酸残基の置換、挿入
又は欠失を含むアミノ酸配列を有する蛋白質。
【0023】本発明の蛋白質は、下記の(A)又は
(B)のアミノ酸配列を含むことが好ましい。 (A)配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号47
〜111のアミノ酸配列。 (B)(A)のアミノ酸配列において、配列番号1に示
すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号81のシステイン残
基がアラニン残基に置換されたアミノ酸配列。
【0024】本発明の蛋白質は、β2とβ3の間に存在
するループ構造を含む部分が、β2とβ3の高次構造が
保たれるように欠失した、又は、β2とβ3の高次構造
を保つのに必要な残基数の、グリシン残基、アラニン残
基、セリン残基、システイン残基からなる群から選ばれ
るアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に置換されたアミ
ノ酸配列を有していてもよく、β2とβ3の間に存在す
るループ構造を含む部分が4残基のグリシン残基からな
るアミノ酸配列に置換された配列を有することがより好
ましい。
【0025】本発明の蛋白質は、配列番号1に示すアミ
ノ酸配列においてアミノ酸番号103のアルギニン残基の
α炭素原子より、α炭素原子が10Å以内に存在する酸性
アミノ酸残基が中性アミノ酸残基に置換されたものであ
ることが好ましい。この態様においては、置換される酸
性アミノ酸残基が、配列番号1に示すアミノ酸配列にお
いてアミノ酸番号54のアスパラギン酸残基、アミノ酸番
号101のアスパラギン酸及びアミノ酸番号106のグルタミ
ン酸残基から選ばれる1つ以上であることがより好まし
い。
【0026】本発明の蛋白質は、ポリオキシアルキルポ
リオール基が結合していることが好ましい。この態様の
蛋白質は、配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番
号81のシステイン残基に相当するシステイン残基を含
み、このシステイン残基にポリオキシアルキルポリオー
ル基が結合しているものであることが好ましい。ポリオ
キシアルキルポリオール基は、好ましくはポリエチレン
グリコール基である。
【0027】本発明は、また、本発明の蛋白質をコード
するDNA(以下、「本発明のDNA」ともいう)、並
びに、本発明のDNAで形質転換した宿主微生物を培養
し、培養液からそのDNAにコードされる蛋白質を採取
することを含む、本発明の蛋白質の製造法、及び、本発
明のDNAで形質転換した宿主微生物を培養し、培養液
からそのDNAにコードされる蛋白質を採取し、採取し
た蛋白質にポリオキシアルキルポリオール基を結合させ
ることを含む、本発明の蛋白質の製造法を提供する。
【0028】本発明は、さらに、本発明の蛋白質を有効
成分として含有する医薬を提供する。
【0029】
【発明の実施の形態】以下発明を詳細に説明する。な
お、以下の説明においてはアミノ酸残基を3文字記号で
示すことがあり、3文字記号に数字を併記した場合は、
その数字は、特記しない限り配列番号1に示すアミノ酸
配列におけるアミノ酸番号を示す。また、さらに3文字
記号を併記した場合は、さらに併記した3文字記号のア
ミノ酸残基による置換を意味する(例:「Cys81Ala」
は、配列番号1に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸番
号81のシステイン残基のアラニン残基への置換を意味す
る)。
【0030】<1> 本発明の製造法及び本発明の蛋白
質 本発明の製造法は、配列番号1に示すアミノ酸配列に対
して30%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、
かつ、アミノ末端側から順に、第1のβストランド(β
1)、第1のαへリックス(α1)、第2のαへリック
ス(α2)、第2のβストランド(β2)、ループ、第
3のβストランド(β3)、第4のβストランド(β
4)、及び、第5のβストランド(β5)の高次構造を
形成する蛋白質において、α2からβ2にかけての部分
及び/又はβ3からβ4にかけての部分におけるアミノ
酸残基を、電荷が正の方向に変化するように置換するこ
とを含む。
【0031】本発明は、本発明により明らかにされたAS
1051の結晶構造に基づいて、AS1051のグリコプロテイン
Ibへの結合様式についての以下の知見に基づいてなされ
たものである。
【0032】AS1051の結晶構造を観察すると、N末端か
ら、2つのαヘリックスを形成する部分(α1及びα
2)及び5つのβストランドを形成する部分(β1〜β
5)が認められ、そして、β2、β3、β4及びα2か
ら成る領域が、溶媒に露出している疎水性残基及び塩基
性残基を数多く含むことがわかった。そこで、この領域
に位置する疎水性残基、塩基性残基、及び酸性残基をAl
aに置換した単残基変異体を作成し、グリコプロテインI
bとの結合能を評価することとした。酸性残基も置換の
対象にしたのは、AS1051の負電荷を弱めることにより、
グリコプロテインIbのTyr276〜Glu282の負電荷領域との
反発を抑え、両者の親和性を高めることを狙ったもので
ある。なお、変異は、Val74からPhe93の間の配列を4残
基のGlyに置換するような蛋白質(AS1051-G4)に導入す
ることとした。作成した14個の変異体のグリコプロテ
インIbとの結合能は、実施例5(表2)に示した。Tyr5
8、Lys61、Tyr67、Arg103、Arg105、Phe108をAlaで置換
した変異体は、結合能が顕著に低下し、逆に、Asp54、A
sp101、Glu106をAlaで置換した変異体は、結合能が上昇
した。
【0033】したがって、これらの残基を含む領域がグ
リコプロテインIbとの結合部位であることが明らかにな
った。また、疎水性残基と塩基性残基がグリコプロテイ
ンIbとの結合に関与し、酸性残基はグリコプロテインIb
の負電荷と反発していることが示唆された。
【0034】続いて、Asp54、Asp101、Glu106を同時に
置換することにより、グリコプロテインIbとの結合能を
更に向上させることが可能であると考え、実施例6(表
3)に示した6個の変異体を作成した。酸性残基の負電
荷が消滅するように、Ala、または、Asn(Aspの場合)
あるいはGln(Gluの場合)への置換を、組み合わせて施
した。Alaは単残基置換での結合能向上が確認されたた
め、また、AsnとGlnは大きさを変えずに電荷のみ変える
ために、採用した。作成した変異体のうち、Asp54Asn/A
sp101Ala変異体が、Asp101Ala変異体よりも高いグリコ
プロテインIb結合能を示した。
【0035】グリコプロテインIbはα鎖とβ鎖からなる
が、フォンビルブランド因子結合ドメインはα鎖のN末
領域にあることが知られている(Titani et al., Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 70, 538-542 (1987))。この領域は29
9残基からなり、糖鎖はあまり結合していない。His1〜L
eu275は、Leuに富んだ配列が繰り返されており(ロイシ
ンリッチリピート(Leu-rich repeats))、非常に疎水性
が高い。ロイシンリッチリピート中の単残基置換Leu57
→PheとAla156→Valは、ともに、グリコプロテインIbの
フォンビルブランド因子への結合を著しく低下させるこ
とが報告されている(Miller et al., Blood 79, 439-4
46 (1992); Ware et al., J.Clin.Invest.92, 1213-122
0 (1993))。また、Tyr276〜Glu282には、4個の酸性残
基及び3個の硫酸化されたTyrが含まれているが、この
領域がvWFとの結合に関与することが報告されている(Wa
rd et al., Biochemistry 35, 4929-4938 (1996))。こ
れらの報告は、上記の知見を支持するものである。
【0036】これらのことから、抗血栓活性においてAS
1051に類似する蛋白質であって、AS1051におけるような
α2からβ2にかけての部分及びβ3からβ4にかけて
の部分を順に含むアミノ酸配列を含む蛋白質であれば、
グリコプロテインIb結合に重要と考えられるα2からβ
2にかけての部分及び/又はβ3からβ4にかけての部
分に存在するアミノ酸残基を、電荷が正の方向に変化す
るようなアミノ酸残基に置換することによって、グリコ
プロテインIb結合活性を上昇させることができると考え
られる。
【0037】抗血栓活性においてAS1051に類似する蛋白
質としては、蛇毒由来のグリコプロテインIbに結合する
ヘテロダイマーの蛋白質が挙げられ、例えば、クロタル
ス・ホリダス・ホリダス由来のCHH-Bのα鎖(AS1051)
と少なくとも30%以上のアミノ酸配列の一致が見られ
る、CHH-Bと同様のヘテロダイマー構造を持つ蛇毒由来
のグリコプロテインIb結合蛋白質が挙げられる。CHH-B
のα鎖以外には、例えばEchicetin(M. Peng et al., B
iochem. Biophys. Res. Commun., 205, 68-72 (199
4))、Jararaca-GPIb-BP(T. Kawasaki et al., J. Bio
l. Chem., 271, 10635-10639 (1996))のβ鎖にグリコ
プロテインIb結合活性が存在することが示されており、
それらについてもアミノ酸配列のアライメント、あるい
は3次元構造のアライメント(トレッディング)を行う
ことにより、α2からβ2にかけての部分、及び、β3
からβ4にかけての部分を特定することができる。ま
た、その他の蛇毒由来のグリコプロテインIbに結合する
ヘテロダイマーの蛋白質についても、グリコプロテイン
Ib結合活性を持つサブユニットに関しても同様に適応可
能である。対象とする蛋白質のサブユニットにおける、
改良蛋白質をデザインするための対象構造は、該蛋白質
のX線結晶解析、NMR等の方法を用いてその位置を特定す
ることも可能であるが、本明細書に示したAS1051の三次
元構造とのアミノ酸配列のアライメント、あるいは3次
元構造のアライメント(トレッディング)を行うことに
より、AS1051の対象とする部分構造、あるいはアミノ酸
残基に対応する位置に存在する部分構造、あるいはアミ
ノ酸残基を推定することによっても可能である。アミノ
酸配列のアライメントは、例えばBLAST等のプログラム
を用いることにより実行可能である。BLASTはFTPを使っ
て、ncbi.nlm.nih.gov/blast/excutableに存在するファ
イルのうち、使用するコンピューターに則したファイル
を入手すればよい。また、トレッディングはINSIGHT I
I、COMPASS等のプログラムを用いることにより実行可能
である。INSIGHT IIは、MSI社より、COMPASSは蛋白研究
所より購入することが可能である。
【0038】AS1051の変異体のうちAlaへの置換によっ
て活性が著しく低下した残基、すなわちグリコプロテイ
ンIbとの結合に重要であると考えるアミノ酸残基Tyr5
8、Lys61、Tyr67、Arg103、Arg105、Phe108はいずれも
結晶構造からα2からβ2(Ala47からLeu72)にかけて
と、β3からβ4にかけて(Glu94からAsp111)に存在す
る。上記アライメント(トレッディング)法を、例えば
グリコプロテインIbと結合することが報告されているエ
キセチン(echicetin)のβ鎖(M. Peng et al., Bioche
m. Biophys. Res. Commun., 205, 68-72(1993); EMBL/G
enBankアクセッション番号:P81996)について適用する
と、BLASTを用いた結果では、上記のAS1051のグリコプ
ロテインIbとの結合領域と考えられる配列に相当するの
は、Ser45からLeu68とHis95からLys110の間であり、ま
たCOMPASSを用いた結果ではSer45からAsp70とGlu93から
Lys110の間である。この領域には8残基の塩基性アミノ
酸(Arg43、Lys46、Lys60、Arg94、Lys100、Arg108、Ar
g109、Lys110)が存在し、AS1051におけるグリコプロテ
インIbとの結合に重要な領域に相当することが支持され
る。従って、AS1051と同様にこれらの塩基性アミノ酸の
α炭素から10Å以内にα炭素が存在するアミノ酸残基の
電荷を正の方向に変化させることによって、活性を上昇
させるような方法も、本発明に含まれる。この領域に
は、酸性アミノ酸(Glu47、Asp49、Glu62、Asp70、Glu9
3、Asp103)が存在するので、これらのアミノ酸残基を
中性アミノ酸残基で置換することが好ましいと考えられ
る。また、他のAS1051に類似する、蛇毒由来のグリコプ
ロテインIb結合蛋白質についても同様の方法が適用可能
である。
【0039】抗血栓活性においてAS1051に類似する蛋白
質は、配列番号1に示すアミノ酸配列に対して、通常に
は20%以上、好ましくは30%以上の相同性を有する
アミノ酸配列を含む。従って、この範囲であれば容易に
改変対象となる蛋白質を選択することができる。ここ
で、配列番号1に示すアミノ酸配列に対しての相同性の
値は、前記したBLASTを用いた方法により計算された値
である。
【0040】αヘリックス形成部分及びβストランド形
成部分は、当業者に公知の推定法を用いて特定すること
ができる。
【0041】電荷が正の方向に変化するようなアミノ酸
残基への置換は、酸性アミノ酸残基の中性または塩基性
アミノ酸残基への置換、中性アミノ酸残基の塩基性アミ
ノ酸残基への置換を包含する。好ましくは、酸性アミノ
酸残基の中性アミノ酸残基への置換である。置換するア
ミノ酸は複数であってもよい。
【0042】酸性アミノ酸残基としては、Asp、Glu等が
挙げられる。中性アミノ酸残基としては、Gly、Ser、Th
r、Cys、Tyr、Asn、Gln、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Tr
p、Phe、Pro等が挙げられる。塩基性アミノ酸残基とし
ては、Arg、His、Lys等が挙げられる。
【0043】抗血栓活性においてAS1051に類似する蛋白
質の具体例としては、下記の(A)又は(B)のアミノ
酸配列を含むものが挙げられる。 (A)配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号47
〜111のアミノ酸配列。 (B)(A)のアミノ酸配列において、配列番号1に示
すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号81のCysがAlaに置
換されたアミノ酸配列。
【0044】この蛋白質では、α2からβ2にかけての
部分が配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号47
〜72の部分、β3からβ4にかけての部分が配列番号1
に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号94〜111の部分であ
る。この蛋白質の場合は、配列番号1に示すアミノ酸配
列においてアミノ酸番号103のArgのα炭素原子より、α
炭素原子が10Å以内に存在する酸性アミノ酸残基が中性
アミノ酸残基により置換されていることが好ましい。あ
るいは、配列番号1に示すアミノ酸配列においてアミノ
酸番号47〜59及び100〜106の酸性アミノ酸残基が中性ア
ミノ酸残基に置換されていることが好ましい。また、酸
性アミノ酸残基が配列番号1に示すアミノ酸配列におい
てアミノ酸番号54のAsp、アミノ酸番号101のAsp及びア
ミノ酸番号106のGluから選ばれる1以上であることがよ
り好ましい。なお、α炭素間の距離は、蛋白質のX線結
晶解析により決定される距離である。
【0045】本発明の製造法は、グリコプロテインIb結
合活性に影響のないループ構造部分を除去することをさ
らに含んでもよい。すなわち、β2とβ3との間のルー
プ構造を含む部分を、β2とβ3の高次構造が保たれる
ように欠失させる、又は、β2とβ3の高次構造を保つ
のに必要な残基数の、Gly、Ala、Ser及びCysからなる群
から選ばれるアミノ酸残基からなるアミノ酸配列により
置換することを含んでもよい。好ましくは該ループ構造
を含む部分を4残基のGlyからなるアミノ酸配列により
置換する。
【0046】本発明のこの態様は、本発明により明らか
にされたAS1051の結晶構造についての以下の知見に基づ
いてなされたものである。
【0047】結晶構造から、もともとヘテロダイマーと
して存在していたAS1051のダイマーの形成に関与してい
るCys81(結晶はCys81Alaに変異させたものについて作
成した)近傍の部分が、フレキシブルな疎水性の高いル
ープ構造を取ることが分かった。このループ構造は、蛇
毒中に存在するヘテロダイマーの蛋白質CHH-Bではα鎖
であるAS1051部分がCys81を介してβ鎖と結合している
が、今回発見したループ構造はこのダイマー形成に重要
であり、グリコプロテインIb結合には関与しないと考
え、ループ構造を含む部分を、蛋白質全体の構造を変化
させることなく取り除くため、Val74からPhe93の間の配
列を4残基のGlyに置換するような蛋白質(AS1051-G4)
を設計した。
【0048】Val74からPhe93の間のフレキシブルなルー
プ構造を含む部分は、ダイマー形成には重要であるがグ
リコプロテインIb結合には関与しないことは、AS1051-G
4の蛋白質を作成し、AS1051とグリコプロテインIbとフ
ォンビルブランド因子との結合阻害活性を測定すること
によって明らかとなった。すなわち、作成したAS1051-G
4はAS1051とほぼ同等の阻害活性を示した。このような
疎水性の高いループ構造は、抗原として認識されやすい
(イムノドミナント(immunodominant)である)、溶液中
での蛋白質の安定性を悪くするなどのことが考えられ
た。AS1051で行なったのと同様のAS1051-G4の動物への
連続投与の結果、血小板減少がより軽度であり、抗原性
が低下したことが示唆された。また、結合活性を持つペ
プチド鎖を保存し、活性に関係ない部分をGlyに置換し
て抗原性を低下させている例が、ヒル唾液由来蛋白質で
あるヒルジン(hirudin)からヒルログ(hirulog)への変換
でも行なわれており(G.F. Pineo and R.D. Hull, Cur
r. Opin. Hematol., 2, 380-5(1995))、蛇毒由来グリ
コプロテインIb結合蛋白質のサブユニット内にこのよう
な活性に影響しない部分構造を発見し、Gly鎖に置換で
きることを見出したことは、他のアミノ酸配列の相同な
蛇毒由来グリコプロテインIb結合蛋白質についても応用
できると考えられる。
【0049】β2とβ3との間のループ構造を含む部
分、及び、β2とβ3の高次構造を保つのに必要な残基
数は、例えばAS1051ではVal74からPhe93の間の配列、及
び、4残基である。ただし、除去する部分配列の開始位
置及び終了位置は10残基程度、好ましくは3〜5残基程度
前後させても構わなく、また代わりに挿入するGlyの長
さは0〜10残基の範囲で最も望ましい活性を持つ長さに
すればよい。また、Glyの代わりにAla、Ser、Cys等の疎
水性が低いアミノ酸残基を用いてもよい。
【0050】ループ構造を含む部分を除去した蛋白質の
具体例としては、AS1051のVal74からPhe93の間の配列を
4残基のGlyに置換した蛋白質(AS1051-G4)、及び、そ
のアミノ末端に翻訳開始点に相当するMetが付加された
ものが挙げられる。
【0051】AS1051以外の蛋白質における、グリコプロ
テインIb結合活性に影響のないループ構造部分、及び、
必要残基数は、AS1051とのアミノ酸配列の比較に基づい
て特定することができる。
【0052】この態様により、グリコプロテインIbとフ
ォンビルブランド因子との結合を阻害する活性(グリコ
プロテインIb-フォンビルブランド因子結合阻害活性)
を維持し、抗原性のより低減した蛋白質を得ることがで
きる。
【0053】さらに上記の様にして得られた改良蛋白質
について、血中での半減期/薬効持続性の上昇、抗
原性の低下を得るために、改良蛋白質をポリオキシアル
キルポリオールで修飾することが好ましい。本発明のこ
の態様は、以下の知見に基づいてなされたものである。
【0054】AS1051の改良蛋白質のポリエチレングリコ
ール化により、AS1051の動物投与で観察された抗原性が
低下/消失すること、及び、AS1051では見られなかった
血小板のトロンビンによる凝集を阻害することが観察さ
れた。トロンビン惹起凝集阻害活性は、いくつかの蛇毒
由来グリコプロテインIb結合蛋白質で報告されている
が、AS1051あるいはCHH-Bでは認められず、報告されて
いるものとグリコプロテインIb上の結合位置が異なると
考えられる(M. C. Chang et al., Blood, 91, 1582-9
(1998))。グリコプロテインIbはトロンビンに対する血
小板受容体の1つと考えられており(G. A. Jamieson,
Thromb. Haemost., 78, 242-246 (1997))、またトロン
ビンによる血小板凝集を、トロンビンによる凝固反応に
影響を与えることなく阻害することは、有効な抗血栓薬
のターゲットと考えられている(P.Andrew-Gordon et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci.USA. 96, 12257-12262 (19
99))。今回ポリエチレングリコール化によりトロンビ
ン惹起凝集阻害活性が出現したのは、グリコプロテイン
Ib上の結合部位が変化したわけではなく、ポリエチレン
グリコール部分の立体障害のためにトロンビンとグリコ
プロテインIbとの結合に影響を与えたためと考えられ
る。
【0055】また、活性を上昇した変異体のポリエチレ
ングリコール体において、最少薬効濃度の10倍の投与量
で、5日後(120時間後)でも薬効であるグリコプロテ
インIb、フォンビルブランド因子依存的な血小板凝集
(ボトロセチン凝集)阻害活性の持続が認められた。
【0056】ポリオキシアルキルポリオールの具体例と
してはポリエチレングリコール等が挙げられ、その結合
位置はアミノ基、カルボキシル基、チオール基等が挙げ
られる。
【0057】この態様においては、蛋白質が、配列番号
1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号81のCysに相当す
るCysを含み、このCysにポリオキシアルキルポリオール
基が結合している蛋白質であることが好ましい。また、
β2とβ3との間のループ構造を含む部分を置換した蛋
白質の場合、ループ構造を置換するアミノ酸残基にCys
が含まれるときには、そのCysにポリオキシアルキルポ
リオール基を結合させてもよい。
【0058】ポリオキシアルキルポリオール化は、例え
ば、下記(a)及び(b)のステップにより行うことが
できる。
【0059】(1)ステップ(a) はじめに、蛋白質又はその多量体を、蛋白質変性剤を用
いて溶液中で変性させる。続いて、チオール基と反応す
る官能基を有するポリオキシアルキルポリエーテルの存
在下で、前記溶液から変性剤を除き、サブユニットペプ
チドの巻き戻しを行う。
【0060】溶液の溶媒は一般には水である。蛋白質変
性剤としては、可逆的に蛋白質を変性することができる
ものであれば特に制限されないが、塩酸グアニジン、尿
素等が挙げられる。蛋白質変性剤濃度は、該蛋白質が溶
解すればいかなる濃度でもよいが、例えば1Mから飽和濃
度の間などが用いることができ、好ましくは2Mから8Mの
間が用いられる。溶液のpHはいかなる値でも可能である
が、好ましくはジスルフィド結合の掛かり換えと、後述
するポリエチレングリコールのチオール基への結合が起
こりやすい7から12の間が用いられる。また溶液の温度
はいかなる温度でも構わないが、好ましくは0℃から40
℃の間が用いられる。また反応時間は適宜選択される。
変性は、還元条件下及び非還元条件下のいずれで行って
もよい。
【0061】蛋白質又はその多量体のジスルフィド結合
を、還元剤を用いてあらかじめ切断しておいてもよい
が、これは必須ではない。また、巻き戻し過程に先立っ
てグルタチオン等のCysを含む物質、ジチオスレイトー
ル等の還元剤、蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ(Prot
ein Disulfide Isomerase)等の酵素などを添加するこ
とも可能である。
【0062】蛋白質又はその多量体に、蛋白質間のジス
ルフィド結合が存在する場合や本来のものとは異なる蛋
白質内のジスルフィド結合が存在する場合には、変性を
還元条件下で行うことが好ましい。本発明において、還
元条件とは、Cysを含む物質、還元剤、蛋白質ジスルフ
ィドイソメラーゼ等の存在下のように、ジスルフィド結
合の切断が促進される条件を意味する。還元条件下にす
ることにより、ジスルフィド結合の切断が促進されるこ
とによって、巻き戻し過程における、チオール基と反応
する官能基を有するポリオキシアルキルポリエーテルと
の反応が促進される。多量体の変性の場合には、蛋白質
間のジスルフィド結合の切断が促進されるため、還元条
件下で行うことが特に好ましい。
【0063】次に、チオール基と反応する官能基を有す
るポリオキシアルキルポリエーテルの存在下で、変性し
た蛋白質を含む溶液から変性剤を除く。溶液から変性剤
を除くことは、例えば透析によって行うことができる。
【0064】チオール基と反応する官能基としては、代
表的にはマレイミド(maleimide)基(R. J. Goodson e
t al., Bio/Technology, 8, 343, 1990)、オルトピリ
ジルジスルフィド(orthopyridyl disulfide)基(M. Y
okoyama et al., Biochem.Biophys. Res. Commun., 16
4, 1234, 1989)、ビニルスルフォン(vinylsulfone)
基(Shearwater Polymers Inc. Item No. M-VS-5000)
等が挙げられるが、優先的にチオール基と結合する官能
基であればよい。また、ポリオキシアルキルポリエーテ
ルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリヒドロキシエチルグリセロール、デキ
ストラン、炭水化物ポリマー等が挙げられる。分子量は
いかなる大きさでも構わないが、得られる蛋白質の溶解
性向上、抗原性低下あるいは蛋白質との反応性を考える
と1000から100万の範囲が好ましく、2000〜5万の範囲
がより好ましい。
【0065】上記のようなポリオキシアルキルポリエー
テルは、変性に先立って溶液中に加えてもよく、蛋白質
又はその多量体を変性させた後に加えてもよく、変性剤
を除く前に加えてもよい。通常は、蛋白質又はその多量
体を変性剤で変性させた後に、前記ポリオキシアルキル
ポリエーテルを加えて一定時間反応させ、その後に変性
剤を溶液から除くことが好ましい。ポリオキシアルキル
ポリエーテルの量としては、反応する蛋白質量に対して
等モル比以上であることが好ましい。
【0066】変性中又は変性後にチオール基と反応する
官能基を有するポリオキシアルキルポリエーテルと反応
させることによって、蛋白質のCysにポリオキシアルキ
ルポリエーテルが結合する。
【0067】上記のようにして溶液から変性剤を除く
と、変性した蛋白質の巻き戻しが起こり、修飾前の蛋白
質の生理活性と同じ生理活性活性、又は同生理活性を阻
害する活性を有するペプチドが得られる。
【0068】変性した蛋白質を含む溶液から変性剤を除
くステップの前に、自然酸化(空気酸化)を行い、蛋白
質内のジスルフィド結合を形成させ、その後にチオール
基と反応する官能基を有するポリオキシアルキルポリエ
ーテルを添加することにより、ポリオキシアルキルポリ
エーテル基を、本来多量体蛋白質の蛋白質間のジスルフ
ィド結合の形成に関与するCysに、選択的に結合させる
ことを効率的に行うことができる。
【0069】(2)ステップ(b) 上記のようにして生成されるポリオキシアルキルポリエ
ーテルが結合した蛋白質を、溶液から単離する。この操
作は、通常の蛋白質の精製に用いられる操作、すなわち
イオン交換、ゲル濾過、逆相等の一般的に用いられるク
ロマトグラフィー、電気泳動、塩析等の沈殿操作、脱塩
操作、濃縮操作等を組み合わせて行うことができる。
【0070】上記操作により、目的とする蛋白質と、ポ
リオキシアルキルポリエーテルとを分離することができ
る。また、原料として多量体蛋白質を用いた場合は、目
的とする蛋白質と他の蛋白質とを分離することができ
る。例えば、蛋白質のCysのうち、本来多量体蛋白質の
蛋白質間のジスルフィド結合の形成に関与するCysにポ
リオキシアルキルポリエーテルが結合し、抗原性が低下
した蛋白質と、他の蛋白質とを分離することができる。
【0071】蛋白質に結合するポリオキシアルキルポリ
エーテルの結合位置は、多量体蛋白質において蛋白質間
のジスルフィド結合を形成しているCysであることが望
ましいが、該ジスルフィド結合の様式が決定されていな
い場合は、特定のチオール基に結合していて、目的とす
る活性を持ち、溶液中で安定に存在し、好ましくは抗原
性が低下するものであればよい。また、蛋白質内の他の
ジスルフィド結合は、本来の多量体中の蛋白質内のジス
ルフィド結合と同様であることが望ましいが、実質的に
生理活性を持つ範囲であれば、異なっていてもよい。ま
た、蛋白質内の本来のジスルフィド結合が決定されてい
ない場合は、生理活性を持つ単一の分子として特定でき
る、溶液中で安定に存在するものであればよい。また、
一分子あたりに結合するポリオキシアルキルポリエーテ
ル分子数は、本来の二量体蛋白質において蛋白質間のジ
スルフィド結合を形成しているCysの個数と同一である
ことが望ましいが、その個数が決定されていない場合
は、得られた単量体ポリオキシアルキルポリエーテル化
蛋白質が生理活性を持ち、単一の分子として特定でき、
かつ、溶液中で安定に存在するような個数であればよ
い。
【0072】本発明においては、ポリエチレングリコー
ル修飾を行うことによって、動物投与における抗原性が
低下するだけでなくグリコプロテインIb-フォンビルブ
ランド因子結合阻害活性が上昇する。すなわち、本発明
の、特定部分におけるアミノ酸残基の、電荷が正の方向
に変化する様な置換により活性を上昇させた蛋白質に対
してポリエチレングリコール修飾を行うことによって、
最終的に、改良する前の蛋白質と比べて、グリコプロ
テインIb-フォンビルブランド因子結合阻害活性を大き
く上昇させた、動物投与後の薬効(グリコプロテイン
Ib-フォンビルブランド因子結合阻害活性)の持続性が
非常に長い、改良された蛋白質を得ることができる。
【0073】上述の(1)特定部分におけるアミノ酸残
基の、電荷が正の方向に変化するような置換、(2)グ
リコプロテインIb結合活性に影響のないループ構造部分
の除去、及び、(3)ポリオキシアルキルポリオール化
を組み合わせて作成した蛋白質は、動物投与5日後でも
高い薬効(グリコプロテインIbとフォンビルブランド因
子との結合阻害作用)を維持し、血小板のトロンビン凝
集阻害作用という、もとの蛋白質には見られなかった新
規の活性を持ち、もとの蛋白質に見られた抗原性が除去
される。
【0074】本発明の蛋白質は、本発明の製造法により
製造できる蛋白質である。
【0075】改変前の蛋白質は、AS1051において配列番
号1に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号81の残基
がAlaでもCysでもよく、またアミノ末端に翻訳開始点に
相当するMetが付加されたものであっても構わない。さ
らに上述の「グリコプロテインIb結合活性に影響のない
ループ構造部分の除去」によって作成された改良したAS
1051を用いて行うことも可能である。
【0076】配列番号1に示すアミノ酸配列において最
もアミノ酸置換に望ましい残基は、Asp101、Glu106、As
p54である。これらの変異はその電荷が変わるアミノ酸
への置換をすればよいが、蛋白質全体の構造を大きく変
化させないために、Aspの場合はAla、Ser、Asnへの置
換、Gluの場合はAla、Ser、Glnへの置換がより望まし
い。また、置換をするアミノ酸の数は上記に挙げたアミ
ノ酸の1つでもよいが複数の組み合わせであったも構わ
ない。
【0077】本発明の蛋白質として、より具体的には、
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するAS1051、ある
いはそのCys81がAlaに置換されたもの、あるいは上記例
のようなアミノ酸配列の一部除去したような例えば前述
したAS1051-G4について、Asp54、Asp101、Glu106(数字
は、配列番号1に相当するアミノ酸番号であり、配列番
号1の一部を改変した蛋白質ではそのアミノ酸番号の変
化を勘案して対応させた番号とする)のうち1つあるい
は複数のアミノ酸残基を、AspはAla、Ser、Asn等の性質
の異なるアミノ酸の1つに、GluはAla、Ser、Glu等の性
質の異なるアミノ酸の1つに置換された蛋白質が挙げら
れる。
【0078】本発明の蛋白質の分子内ジスルフィド結合
の様式は本来の二本鎖蛋白質であるCHH-Bと同一である
ことが望ましいが、天然型のCHH-Bではその様式が報告
されていないため、例えば実質的に生理活性を持つAS10
51(N. Fukuchi et al.、WO95/08573)と同一であって
もよく、また生理活性を大幅に失わない範囲で違いが存
在しても構わない。また本来のブユニット内のジスルフ
ィド結合が決定されていない場合は生理活性を持つ単一
の分子として特定できる、溶液中で安定に存在するもの
であればよい。また、そのアミノ酸配列は実質的に抗血
栓活性に変化を与えない範囲であればアミノ酸の一部に
挿入、欠失、置換等があっても構わない。
【0079】また、本発明の製造法によって得られた蛋
白質の性質は、改良前の蛋白質と比べてターゲット
(グリコプロテインIb)に対する結合活性の上昇、血
中での半減期/薬効持続性が上昇、抗原性の低下のう
ち1つあるいはその組み合わせのものであればよい。結
合活性の上昇とは、具体的に同一の測定条件下で改良前
の蛋白質と比較してグリコプロテインIbへのKd値が1/2
以下に、あるいはグリコプロテインIb-フォンビルブラ
ンド因子結合阻害活性のIC50値が1/2以下になっている
ものを言う。また、血中での半減期/薬効持続性の上昇
とは、改良前の蛋白質と比較して有意な血中半減期/薬
効持続性の上昇が見られればよく、改良前の蛋白質に関
して血中での半減期/薬効持続性の知見が得られていな
い場合には、外来蛋白質の一般的な性質から考えて、投
与後1日(24時間)以上の薬効持続性が見られればよ
い。また、抗原性の低下とは改良前の蛋白質に比べ、実
質的な抗原性が低下していればよく、改良前の蛋白質に
関して抗原性に関する知見が得られていない場合には、
得られた薬効に最低限必要な量の改良蛋白質を、免疫に
必要な最低限の回数動物に投与後再投与した際に、抗原
抗体反応に起因する生物学的、生化学的な反応が起こら
なければよい。
【0080】得られた本発明の製造法によって得られた
蛋白質の生理活性としては、グリコプロテインIbに結合
することにより、グリコプロテインIb依存的な血小板凝
集(リストセチン、ボトロセチン等の惹起物質による血
小板凝集)に対する阻害作用、抗血栓作用の他、血小板
粘着阻害に基づいた抗炎症作用、鎮痛作用等が挙げられ
る。
【0081】抗血栓活性は、公知の方法、例えば、後記
実施例に記載されたようなグリコプロテインIbとフォ
ンビルブランド因子との結合を阻害する活性を測定する
方法によって評価できる。
【0082】本発明の製造法におけるアミノ酸の置換
は、置換後のアミノ酸配列をコードするDNAを、後記
の本発明のDNAについて説明するように作製すること
によって行うことができる。このDNAで形質転換した
宿主微生物を培養し、培養液からそのDNAにコードさ
れる蛋白質を採取することにより、アミノ酸が置換され
た改変蛋白質を製造することができる。
【0083】<2>本発明のDNA及びそれを用いた本
発明の蛋白質の製造法 本発明のDNAは、本発明の蛋白質をコードするDNA
である。本発明のDNAで形質転換した宿主微生物を培
養し、培養液からそのDNAにコードされる蛋白質を採
取することにより本発明の蛋白質を製造することができ
る。また、ポリオキシアルキルポリオール化された本発
明の蛋白質は、さらに、採取した蛋白質にポリオキシア
ルキルポリオール基を結合させることにより製造するこ
とができる。
【0084】本発明のDNAは、改変前の蛋白質(ター
ゲットとする蛋白質)をコードするDNAを取得し、こ
のDNAを改変することにより作製することができる。
【0085】ターゲットとする蛋白質をコードするDN
Aは、その蛋白質のアミノ酸配列、又はその蛋白質をコ
ードするDNAの塩基配列の全長あるいは一部が既知で
あれば、既知の塩基配列に基づいて作製したプライマー
を用いてPCR(polymerase chain reaction)法を用いて
得ることもでき、また既知の塩基配列に基づいて作製し
たプローブを用いてc-DNAライブラリーからハイブリダ
イゼーションを行うことにより取得することもできる。
また、ターゲットとする蛋白質をコードするDNAが寄
託機関に寄託されている場合は、寄託されているDNA
を入手することによっても可能である。また、遺伝子の
全塩基配列が既知である場合、化学的に合成することも
可能である。例えばAS1051においては、その遺伝子配列
を含むプラスミドを保持するE. coli HB101/pCHA1(E.
coli AJ13023)は、平成6年8月12日より、通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所(郵便番号305-8566
日本国茨城県つくば市東一丁目1番3号)にFERM BP-47
81の受託番号のもとでブダペスト条約に基づき国際寄託
されている。
【0086】改良した蛋白質をコードするDNA(変異
蛋白質遺伝子)の作成は、前述の様に得られたターゲッ
トとする蛋白質をコードするDNAを鋳型として、変異
した塩基配列を含むように作製したプライマーを用いて
PCR(polymerase chain reaction)法を用いて得ること
もでき、また当該遺伝子を切断し変異を含む塩基配列に
置換することによっても可能である。
【0087】この様に作製した変異蛋白質遺伝子の微生
物を用いた発現系として、例えば大腸菌、枯草菌、酵母
等を用いて、市販、あるいは作製した、宿主内で発現可
能なプロモーターを有する蛋白質発現用ベクターに該蛋
白質をコードする遺伝子を挿入し、発現させることが可
能である。発現させる該蛋白質はシグナル配列を持った
形、あるいは該蛋白質をコードする遺伝子に翻訳開始コ
ドンであるメチオニンを付加させた形で直接発現させる
ことも可能であるが、マルトース結合蛋白質(MBP)、グ
ルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、カルモジュリ
ン結合ペプチド、チオレドキシン、His-Tag等を付加し
た融合タンパク質として発現させることも可能である。
前者の直接発現を行うためのベクターとしては例えばpE
T (Stratagene)、pGEMEX (Promega)、pTrc99A (Amersha
m pharmacia)等が挙げられ、後者の融合蛋白質として発
現させるためのベクターとしては、MBP融合蛋白質とし
てはpMAL(New England Bio Lab)、GST融合蛋白質とし
てはpGEX (Amersham pharmacia biotech)、カルモジュ
リン結合ペプチドの融合蛋白質としてはpCAL (Stratage
ne)、チオレドキシンの融合蛋白質としてはpTrcFus (In
vitrogen)、His-tagの融合蛋白質としてはpTrcHis (Inv
itrogen)等のベクターが挙げられる。また、これらベク
ターを適宜改変して使用することも可能である。また発
現の形態としては顆粒として菌体内に蓄積させる方法も
行えるが、可溶型として蓄積あるいは分泌させることも
可能である。
【0088】また、作製した変異蛋白質遺伝子の細胞を
用いた発現系として、動物細胞、昆虫細胞等を宿主と
し、宿主で発現可能なプロモーターを有するベクター
に、該蛋白質をコードする遺伝子を挿入し、発現させる
ことが可能である。
【0089】活性を持たない形で得られた蛋白質を、分
子内のジスルフィド結合を架橋させて活性を持つ形へと
変換する巻き戻し方法は以下のように行うことができ
る。まず顆粒あるいは可溶型の活性を持たない該蛋白質
を塩酸グアニジン、尿素等の蛋白質変性剤を含む溶液に
溶解する。蛋白質変性剤濃度は該蛋白質が溶解すればい
かなる濃度でもよいが、例えば1Mから飽和濃度の間など
が用いることができ、好ましくは2Mから8Mの間が用いら
れる。溶液のpHはいかなる値でも可能であるが、好まし
くはジスルフィド結合の掛かり換えが起こりやすい7か
ら12の間が用いられる。また溶液の温度はいかなる温度
でも構わないが、好ましくは0℃から40℃の間が用いら
れる。蛋白質のジスルフィド結合を還元剤を用いてあら
かじめ切断しておいてもよいが、必須ではなく、巻き戻
し過程でグルタチオンなどのCysを含む物質、ジチオス
レイトール等の還元剤、プロテインジスルフィドイソメ
ラーゼ等の酵素を添加することも可能である。
【0090】また、得られた蛋白質をポリオキシアルキ
ルポリオールにより修飾するための方法は、上述のよう
に、上記蛋白質の巻き戻し後あるいは巻き戻し過程でア
ミノ基、カルボキシル基、チオール基等と反応するポリ
オキシアルキルポリオールを添加して結合させればよ
い。ポリオキシアルキルポリオールの具体例としてはポ
リエチレングリコールが挙げられ、蛋白質との結合法は
具体的にはCysのチオール基と反応、結合させる方法が
挙げられる。
【0091】細菌、細胞によって生産された活性を持つ
上記の蛋白質、あるいは巻き戻しにより活性を持つ形に
変換された上記の蛋白質の精製は、イオン交換、ゲル濾
過、逆相等の一般的に用いられるクロマトグラフィー、
電気泳動、塩析等の沈殿操作、脱塩操作、濃縮操作等を
組み合わせて行うことができる。
【0092】<3>本発明の蛋白質を有効成分とする医
薬 本発明の蛋白質は抗血栓薬として利用可能である。本発
明の蛋白質は、改良前の蛋白質に比べてターゲット
(グリコプロテインIb)に対する結合活性の上昇、血
中での半減期/薬効持続性が上昇、抗原性の低下等の
改良が行なわれていることから、より有効な抗血栓薬と
して利用することができる他、血小板粘着に基づいた抗
炎症薬、鎮痛薬等として用いることが可能である。
【0093】本発明の蛋白質を有効成分とする医薬にお
ける本発明の蛋白質はそのままの形態でもよく、薬学的
に許容される塩とされていてもよい。これらは1種また
は2種以上の混合物として使用してもよい。また、他の
有効成分を有していてもよい。通常には、通常製剤に用
いるその他の材料、例えば血清アルブミン等の蛋白質、
界面活性剤、緩衝作用、浸透圧調整のための塩、担体、
賦型剤等の成分を配合して医薬組成物とされる。
【0094】剤型としては錠剤、カプセル剤、細粒剤、
シロップ剤、座剤、軟膏剤、注射剤、点眼剤等を挙げる
ことができる。これらのうちで注射剤が好ましい。ま
た、投与方法は静脈内投与、皮下投与、筋肉投与、経口
投与、点眼投与、経腸投与等のいずれの方法であっても
よいがこれらのうちで静脈内投与、皮下投与、筋肉投与
等が好ましい。
【0095】動物あるいはヒトに投与する際の投与量
は、本発明の蛋白質の量として、通常0.1μg/kg〜100 m
g/kgの範囲で所期の効果が期待でき、この範囲で最も優
れた薬効が得られる量を選択できる。
【0096】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0097】
【実施例1】 CHH-Bα鎖蛋白質(AS1051-Ala)の立体
構造の決定 (1)CHH-Bα鎖蛋白質(AS1051-Ala)の大腸菌による
発現系の構築 81位のCysがAlaに変異したCHH-Bα鎖蛋白質(AS1051-Al
a)の大腸菌による発現系の構築は、pCHA1を保持するE.
coli HB101/pCHA1(E.coli AJ13023)(平成6年8月1
2日より、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所(郵便番号305-8566 日本国茨城県つくば市東一丁目
1番3号)に、FERM BP-4781の受託番号のもとでブタペ
スト条約に基づき国際寄託されている)を用いて以下の
ように行った。なお、pCHA1に含まれる、AS1051(アミ
ノ酸配列を配列表の配列番号1に示した)を含むCrotal
us horridus horridus由来の蛋白質をコードする遺伝子
の塩基配列を配列番号2に、コードされる蛋白質のアミ
ノ酸配列を配列番号3に示した。
【0098】まず、PCR protocols(Academic Press
版)に記載の部位特異的塩基配列変異法によりAS1051ペ
プチドのジスルフィド結合に関与していないCys(配列
番号1において81位のCys)をAlaに置換するようにAS10
51遺伝子に変異を以下のようにして導入した。pCHA1を
鋳型にして、プライマーASBN(配列番号4)とASAlaR
(配列番号5)を用い、あるいはプライマーASH(配列
番号6)及びASAlaF(配列番号7)を用いPCR反応を行
った。それぞれの反応生成物をアガロースゲル電気泳動
に供し、ゲルから増幅DNA断片を抽出した。これらのDNA
を鋳型にして、プライマーASBN及びASHを用い2回目のP
CR反応を行い、変異遺伝子を作製した。PCR増幅DNAをア
ガロースゲル電気泳動に供し、ゲルから400bpのDNAを抽
出した。このDNAを制限酵素BamHI及びHindIIIで消化し
た。このDNA断片と、制限酵素BamHI及びHindIIIで消化
したプラスミドpUC18(宝酒造社製)とをライゲーショ
ンキット(宝酒造社製)を用いて連結した。得られたプ
ラスミドを用いてコンピテントセル法にてE.coli JM109
を形質転換し、アンピシリン含有プレートにて37℃で16
時間培養し形質転換体を選択した。
【0099】得られた形質転換体からアルカリSDS法に
てプラスミドを調製した。M13M4プライマー及びM13RVプ
ライマー(ともに宝酒造社製)を用いて377PRISM DNAシ
ーケンサー(パーキンエルマー社製)により塩基配列を
決定することにより、目的のプラスミドが構築されてい
ることを確認した。作製したプラスミドをpUCASAlaと命
名した。pUCASAlaを制限酵素NcoI及びHindIIIで消化し
アガロースゲル電気泳動にて400塩基対のDNAを分離精製
した。このDNAを、発現ベクターpTrcHisA(インビトロ
ゲン社製)を制限酵素NcoI及びHindIIIで消化したもの
とライゲーションキットを用いて連結した。得られたプ
ラスミドを用いてコンピテントセル法にてE.coli JM109
を形質転換し、アンピシリン含有プレートにて37℃で16
時間培養し形質転換体を選択した。この形質転換体の保
有する発現ベクターをpTrcASAlaと命名した。
【0100】(2)AS1051-Alaの巻き戻しによる活性体
の取得 AS1051-Alaの発現ベクターpTrcASAlaを保有する形質転
換E. coli JM109を、坂口フラスコを用いてL-broth(バ
クトトリプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム
0.5%、アンピシリンナトリウム100μg/ml)にて37℃で
培養し、濁度(660nmで測定。以下同じ)が0.5に達したと
きにIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシ
ド)を10mMになるように添加し、さらに37℃で4時間培
養を行った。菌体を遠心分離により回収、洗浄後、0.5M
EDTA溶液に菌体を懸濁しリゾチームを加えて室温で1
時間静置した。菌体の懸濁液を超音波破砕機を用いて破
砕し(200W、5分)、破砕液を遠心分離することにより
顆粒(inclusion body)を沈殿として得た。
【0101】得られた顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10
mM EDTAを含む0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し
た後、2.5倍量の蒸留水を加え、4℃で一晩静置した。
溶液をSpectra/Por 1透析膜(Spectra社製)を用いて、
0.9%食塩水に対して透析し、塩酸グアニジンを除いた。
透析後の溶液に1/9容の0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(p
H4.5)を加えた後、CM-TOYOPEARL 650S(2.6x40cm)を
用いたイオン交換カラムに負荷し、溶出液A:50mM酢酸
アンモニウム緩衝液(pH4.5)及び溶出液B:0.5M酢酸
アンモニウム緩衝液(pH6.4)を用いて、A:B=75:25(比
は容量比。以下同じ)の混合液(20分)、次いでA:B=7
5:25→50:50のリニアグラジエント(30分)で溶出し、
精製されたAS1051-Alaを含む溶出画分を得た。
【0102】AS1051-Alaは、配列番号1に示すアミノ酸
配列のN末端にMetが付加され、かつ、Cys81がAlaに置
換された構造を有している。
【0103】(3)AS1051-AlaのX線結晶構造解析を用
いた立体構造の決定 シッティングドロップ法での蒸気拡散平衡を利用して、
精製した上記AS1051-Alaの結晶化を以下のように行っ
た。0.1M NaHepes(pH7.3), 12% PEG4K(ポリエチレング
リコール(分子量4000)), 22% 2-プロパノール及び10mM
CaCl2の緩衝液(Reservoir溶液)と10mg/mlのAS1051-Ala
溶液とを5μlずつ混合した溶液を、500μlのReservoir
溶液を満たしたウェルに設置したブリッジの窪みに置
き、ウェルを密閉して20℃にて静置した。10日〜2
週間程度で、最大0.8×0.2×0.15mmの板状結晶が得られ
た。X線回折データ測定の際には、0.1M NaHepes(pH7.
3), 12%PEG4K及び22% 2-プロパノールの緩衝液中に結晶
を移した。X線回折装置R-AXISIIc(理学電機)を用い
て、常温にて、2.5Å分解能のX線回折データを収集
し、結晶学的パラメーターを決定した。空間群はP212
12、格子定数はa=44.7Å, b=66.7Å, c=46.8Åであっ
た。結晶の水分含有率は47%と見積もられた。また、
高エネルギー物理学研究所のシンクロトロン放射光施設
のBL6Aに設置された巨大分子用ワイセンベルグカメ
ラを用いて、1.8Å分解能のX線データを収集した。
【0104】結晶構造解析は、重原子同型置換法により
行った。1〜10mMの重金属塩類に結晶を浸した後、X線
データをR-AXIS IIcで測定し、重原子同型置換結晶のス
クリーニングを行った。その結果、cis-Pt(エチレンジ
アミン)Cl, cis-Pt(NH3)2Cl2及びtrans-Pt(NH3)2Cl2
3つの重原子塩類に浸された結晶のX線データが、ネイ
ティブ結晶のX線データと有意な差を与えることが判明
した。特に、cis-Pt(エチレンジアミン)Cl2は、解釈が
非常に容易な差パターソン図を与えた。プログラムRSPS
を用いることにより、cis-Pt(エチレンジアミン)Cl2
唯一の水銀結合部位の座標を求めた。この座標をプログ
ラムMLPHAREにより精密化し、それを用いて位相を計算
した。この位相を用い、他の二つの重金属塩類、すなわ
ち、cis-Pt(NH3)2Cl2とtrans-Pt(NH3)2Cl2の水銀結合部
位を求めた。三つの重原子同型置換結晶の重原子パラメ
ーターをMLPHAREを用いて同時に精密化した後、プログ
ラムDMを用いて、溶媒平滑化とヒストグラムマッチング
を行い、位相を改良した。ちなみに、cis-Pt(エチレン
ジアミン)Cl2については、異常分散効果も取り入れた。
こうして改良された位相を用いて計算した3Å分解能の
電子密度図は、αヘリックスやβストランドを容易に識
別できる良質なものであった。
【0105】α炭素鎖の構築はプログラムQUANTA(MS
I)を用いて行った。最初に、Leu2〜Leu72とGlu94〜Ar
g124の構築を行った。Arg73〜Phe93の部分は、この段階
では解釈が困難であった。Leu2〜Leu72とGlu94〜Arg124
の側鎖を付加した後、X-PLOR(MSI)を用いて、精密
化を行った。その後、QUANTAによるモデル修正とX-PLOR
による精密化を繰り返し、これにより3Å分解能でのR
値は0.304まで下がった。この時点で、モデルから計算
される位相と重原子同型置換結晶から計算される位相を
プログラムSIGMAAを用いて結合させた。こうして得られ
た(Fo-Fc)マップより、Arg73〜Phe93をポリアラニンモ
デルとして構築することができた。さらに、QUANTAとX-
PLORを交互に利用することにより、この領域の側鎖を段
階的に付加した。この過程において、分解能を1.8Åま
で広げていった。なお、分解能が2.5Åを超えたところ
で、R-AXIS IIcによるデータからシンクロトロン放射光
によるデータに切り替えた。更に、構造を修正し、水分
子を含め、最終的には、6〜1.8Å分解能のデータに対
して、R値0.187のモデル(図1)を得た。最終モデル
は、Leu2〜Arg124の123残基、及び53個の水分子を
含む。N末Met、Asp1、Pro125、Arg126、並びに、Arg7
3、Val74、Gln75、Glu87、Phe93及びArg105の側鎖は観
測されていない。なお、結合長の理想値からのずれのrm
s値は0.019Å、結合角のそれは2.898Åとなった。ま
た、主鎖原子の平均の温度因子は23Å2、側鎖原子の
それは28Å2である。プログラムPROCHECKを用いてラ
マチャンドランプロットを作成したところ、Gly以外の
残基の96%が最も好ましい領域に、3%が次に好ましい
領域に位置することが示された。なお、プログラムRSP
S、MLPHARE、DM、SIGMAA及びPROCHECKはCCP4(CCP
4, Acta Crystallogr. D, 50, 760-763)より入手でき
る。
【0106】
【実施例2】 AS1051のループ構造欠失蛋白質(AS1051
-G4)の作成 (1)中央ループ構造の検討 図1のβ2とβ3の間には、溶媒に突き出した長いルー
プがあり、これを中央ループと命名した。Val74〜Phe93
の20残基を含む中央ループのアルファ炭素原子の平均
温度因子は37.4Å2と、中央ループ以外のアルファ炭素
原子の平均温度因子20.2Å2に比べ顕著に高く、中央ル
ープの柔軟性が極めて高いことを示唆している。ちなみ
に、中央ループはAla81を含むが、野生型AS1051の対応
する残基であるCys81は、CHHβ鎖との分子間S−S結合
に関与する。したがって、中央ループはβ鎖とのダイマ
ー形成に重要な役割を果たすと考えられるが、α鎖(AS1
051)単独で存在する場合、疎水性残基が溶媒に露出し、
抗原として認識されやすいと考えられる。そこで、中央
ループを削除することにより抗原性を低減できるかどう
かを確認するために、中央ループが欠損した変異体を作
成することにした。Val74とPhe93のアルファ炭素原子間
距離は16.1Åであり、4残基のペプチドで中央ループを
置き換えることが可能と考えられた。4つのアミノ酸残
基は、ベータ炭素原子を持たず、二面角(φ/ψ値)の
制約が少ないグリシンにするのが適切と思われた。プロ
グラムQUANTA(MSI)を用いて、中央ループを4つの
Gly(G4)で置換し、得られた構造をプログラムX-PLO
R(MSI)を用いた分子動力学計算で最適化した。そ
の際に、G4以外の構造が大きく変化しないように、X
線項の制約を加えた。最適化した構造について、プログ
ラムPROCHECKを用いてラマチャンドランプロットを作成
したところ、4つのGly及びその前後の残基は、最も好
ましい領域に位置していた。すなわち、中央ループを4
つのGlyで置換した変異体(AS1051-G4)は、歪みのない構
造を取り得ることが示唆された。
【0107】(2)AS1051-G4の大腸菌用発現ベクター
の構築 クローニングした遺伝子を用い、AS1051ペプチドの、配
列番号1のアミノ酸配列における74位のValから93位のP
heに至る20アミノ酸を4つのGlyに置換した変異ペプチ
ドAS1051-G4をコードする遺伝子を作製した。PCR法によ
り変異遺伝子を作製するためのDNAプライマーを合成し
た。変異部分を含むプライマーとしてG4F(配列番号
8)とその相補配列であるG4R(配列番号9)とを作製
した。さらに5‘末端側のプライマーとしては、次の過
程で作製した変異遺伝子を発現ベクターに導入できるよ
う増幅断片の5’末端にNcoI部位を持たせるように、Nc
oI認識配列を含むプライマー(ASBN:配列番号4)を用
いた。また、このプライマーは5‘末端側にAS1051ペプ
チドのN末端アミノ酸のアスパラギン酸のコドンの前に
翻訳開始コドンである塩基配列ATG(配列番号4におい
てヌクレオチド番号10〜12)を有している。尚、この開
始コドンはNcoI認識配列(配列番号4においてヌクレオ
チド8〜13)と重複している。また、3’側のプライマ
ーとしてはHindIII認識配列を含むプライマーを用いた
(ASH:配列番号6、HindIII認識配列は4〜9)。まず、
pCAH1を鋳型としてプライマーASBNとG4Rを用い、94℃15
秒、35℃1分、72℃2分を1サイクルとし、25サイクル
繰り返したPCR反応を行った。同様にpCAH1を鋳型として
プライマーASHとG4Fを用い、94℃15秒、35℃1分、72℃
2分を1サイクルとし、25サイクル繰り返したPCR反応
を行った。それぞれの反応液をアガロースゲル電気泳動
に供し、そのゲルから増幅DNAである250塩基対と130塩
基対のDNAをEASYTRAP(宝酒造社製)を用いて回収し
た。第二のPCR反応としてこの様に回収した250塩基対及
び130塩基対のDNAと共にASBNプライマー及びASHプライ
マーを共存させPCR反応を行った。PCR反応は、94℃15
秒、35℃1分、72℃2分を1サイクルとし、25サイクル
繰り返した。PCR反応液をフェノール/クロロホルム処
理してTaqポリメラーゼを失活させ、増幅された400塩基
対からなるDNA断片をエタノール沈殿法により精製した
後、制限酵素BamHI及びHindIIIで消化した。このDNA断
片と、制限酵素BamHI及びHindIIIで消化したプラスミド
pUC18(宝酒造社製)をライゲーションキット(宝酒造
社製)を用いて連結した。得られたプラスミドを用いて
コンピテントセル法にてE.coliJM109を形質転換し、ア
ンピシリン含有プレートにて37℃、16時間培養し形質転
換体を選択した。生育した形質転換体からアルカリSDS
法にてプラスミドを調製した。M13M4プライマー及びM13
RVプライマー(ともに宝酒造社製)を用いて377PRISM D
NAシーケンサー(パーキンエルマー社製)により塩基配
列を決定することにより、目的のプラスミドが構築され
ていることを確認した。作製した変異プラスミドをpUCA
SG4BNHと命名した。
【0108】pUCASG4BNHを制限酵素NcoI及びHindIIIで
消化しアガロースゲル電気泳動にて350塩基対のDNAを分
離精製した。このDNAを、発現ベクターpTrcHisA(イン
ビトロゲン社製)を制限酵素NcoIとHindIIIで消化した
ものとライゲーションキットを用いて連結した。得られ
たプラスミドを用いてコンピテントセル法にてE.coliJM
109を形質転換し、アンピシリン含有プレートにて37
℃、16時間培養し形質転換体を選択した。この様に作製
した発現ベクターをpTrcASG4と命名した。発現生産され
るペプチドAS1051-G4は、配列番号10に示すアミノ酸
配列のN末端にMetが付加された構造を有している。
【0109】(3)AS1051-G4の取得 AS1051-G4の発現ベクター pTrcASG4を保有する形質転換
E. coli JM109を坂口フラスコを用いてL-broth(バクト
トリプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム0.5
%、アンピシリンナトリウム100μg/ml)にて37℃で培
養し、濁度が0.5に達したときにIPTG(イソプロピル−
β−チオガラクトピラノシド)を10mMになるように添加
し、さらに37℃で4時間培養を行った。菌体を遠心分離
により回収、洗浄後、0.5M EDTA溶液に菌体を懸濁しリ
ゾチームを加えて室温で1時間静置した。菌体の懸濁液
を、超音波破砕機を用いて破砕し(200W、5分)、破砕
液を遠心分離することにより顆粒(inclusion body)を
沈殿として得た。
【0110】得られた顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10
mM EDTAを含む0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し
た後、2.5倍量の蒸留水を加え、4℃で一晩静置した。
溶液をSpectra/Por 1透析膜(Spectra社製)を用いて、
0.9%食塩水に対して透析し、塩酸グアニジンを除いた。
透析後の溶液に1/9容の0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(p
H4.5)を加えた後、CM-TOYOPEARL 650S(2.6x40cm)を
用いたイオン交換カラムに負荷し、溶出液A:50mM酢酸
アンモニウム緩衝液(pH4.5)及び溶出液B:0.5M酢酸
アンモニウム緩衝液(pH6.4)を用いて、A:B=70:30の混
合液(20分)、次いでA:B=70:30→40:60のリニアグラジ
エント(30分)で溶出し、精製されたAS1051-Alaを含む
溶出画分を得た。
【0111】
【実施例3】 AS1051のループ構造欠失蛋白質(AS1051
-G4)の構造 得られたAS1051-G4の分子量は、SDS電気泳動により前述
のAS1051-Ala(15kDa)に比べ約3kDa小さい12kDaであっ
た。
【0112】次にAS1051-G4中のCysのジスルフィド結合
様式の決定を以下のように行った。AS1051-G4(100μ
g)を、2mM EDTAを含む0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)中
でリジルエンドペプチダーゼ(5μg、和光純薬社製)に
よって37℃で5時間消化し、逆相カラム(Vydac 218TP5
4、Vydac社製)を用いた高速液体クロマトグラフィー
(0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TF
A)を含む水/アセトニトリルのリニアグラジエント(0
→50%アセトニトリル/10分、50→100%アセトニトリル
/5分)で溶出)により、消化で得られたペプチド鎖を
ピーク1〜5として分取した(図2)。各ペプチド鎖のア
ミノ酸配列分析はプロテインシークエンサーmodel476A
(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて行った。
ピーク3のペプチド鎖は鎖内に2残基のCysを含むこと
から、両Cys同士がジスルフィド結合を形成していると
結論した。また、ピーク4のペプチド鎖はCys残基を1
残基含む2本のペプチド鎖と、Cysを2残基含む1本の
ペプチド鎖がジスルフィド結合によって結合した、合計
3本のペプチド鎖より成るものであると結論した。ピー
ク4のペプチド鎖を、さらに10mM炭酸アンモニウム緩衝
液中でV8プロテアーゼ(5μg、和光純薬社製)によって
25℃で24時間消化し、逆相カラム(Pegasil ODS-II、セ
ンシュー科学社製)を用いた高速液体クロマトグラフィ
ー(0.1% TFAを含む水/アセトニトリルのリニアグラジ
エント(0→50%アセトニトリル/20分)で溶出)によ
り、消化で得られたペプチド鎖を分取し、アミノ酸配列
分析を行った結果、図2に示したようなジスルフィド結
合をピーク4のペプチドが有することが確認された。以
上の様に決定されたAS1051-G4のジスルフィド結合様式
は、報告されているAS1051(N. Fukuchi et al.、WO95/
08573)、あるいは他の類似の蛇毒由来蛋白質(Y. Fuji
mura et al., Thromb. Haemost., 76, 633-9 (1996))
と同様であった。
【0113】
【実施例4】 単一のアミノ酸変異を持つ蛋白質の作成 実施例2で作成したAS1051-G4について、表1に示すア
ミノ酸を変異させた蛋白質の作成を行った。なお、表中
のアミノ酸番号は、配列番号1における相当するアミノ
酸番号である。
【0114】
【表1】 表1 変異蛋白質名 変異アミノ酸 変異後 M7-G4 Lys20 Ala20 M8-G4 Asp54 Ala54 M9-G4 Tyr58 Ala58 M10-G4 Lys61 Ala61 M11-G4 Glu62 Ala62 M12-G4 Tyr63 Ala63 M13-G4 Arg66 Ala66 M14-G4 Tyr67 Ala67 M15-G4 Arg100 Ala100 M16-G4 Asp101 Ala101 M17-G4 Arg103 Ala103 M18-G4 Arg105 Ala105 M19-G4 Glu106 Ala106 M20-G4 Phe108 Ala108
【0115】AS1051-G4の発現プラスミドpTrcASG4を鋳
型に、プライマーM7F(配列番号11)とM7R(配列番号
12)、M8F(配列番号13)とM8R(配列番号14)、
M9F(配列番号15)とM9R(配列番号16)、M10F(配
列番号17)とM10R(配列番号18)、M11F(配列番号
19)とM11R(配列番号20)、M12F(配列番号21)
とM12R(配列番号22)、M13F(配列番号23)とM13R
(配列番号24)、M14F(配列番号25)とM14R(配列
番号26)、M15F(配列番号27)とM15R(配列番号2
8)、M16F(配列番号29)とM16R(配列番号30)、
M17F(配列番号31)とM17R(配列番号32)、M18F
(配列番号33)とM18R(配列番号34)、M19F(配列
番号35)とM19R(配列番号36)、及び、M20F(配列
番号37)とM20R(配列番号38)の組み合わせを用
い、QuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(S
tratagene社製)のプロトコールに従いPCR反応を行な
い、変異蛋白質M7-G4、M8-G4、M9-G4、M10-G4、M11-G
4、M12-G4、M13-G4、M14-G4、M15-G4、M16-G4、M17-G
4、M18-G4、M19-G4及びM20-G4の発現プラスミドpTrcM7G
4、pTrcM8G4、pTrcM9G4、pTrcM10G4、pTrcM11G4、pTrcM
12G4、pTrcM13G4、pTrcM14G4、pTrcM15G4、pTrcM16G4、
pTrcM17G4、pTrcM18G4、pTrcM19G4及びpTrcM20G4をそれ
ぞれ得た。
【0116】作成した発現プラスミドpTrcM8G4〜pTrcM2
0G4を保有する形質転換E. coli JM109をL-broth(バク
トトリプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム0.5
%、アンピシリンナトリウム100μg/ml)にて37℃で培
養し、濁度が0.5に達したときにIPTG(イソプロピル−
β−チオガラクトピラノシド)を0.5mMになるように添
加し、さらに37℃で4時間培養を行った。菌体を遠心分
離により回収、洗浄後、0.5M EDTA溶液に菌体を懸濁し
リゾチームを加えて室温で1時間静置した。菌体の懸濁
液を、超音波破砕機を用いて破砕し(200W、10分)、破
砕液を遠心分離することにより顆粒(inclusion body)
を沈殿として得た。
【0117】得られた顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10
mM EDTAを含む0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し
た後、2.5倍量の5mM還元型グルタチオン及び0.5mM酸化
型グルタチオンの溶液を加え、4℃で一晩静置した。溶
液をSpectra/Por 1透析膜(Spectra社製)を用いて、0.
9%食塩水に対して透析し、塩酸グアニジンを除いた。透
析後の溶液に1/9容の0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(pH
4.5)を加えた後、TSK-gel CM-5PW(1.0×7.5cm)を用
いたイオン交換カラムに負荷し、溶出液A:50mM酢酸ア
ンモニウム緩衝液(pH4.5)及び溶出液B:0.5M酢酸ア
ンモニウム緩衝液(pH6.4)を用いて、A:B=100:0の混合
液(5分)、次いでA:B=100:0→0:100のリニアグラジエ
ント(30分)で溶出し、精製されたM8-G4〜M20-G4をそ
れぞれ得た。また、蛋白質量の測定は、あらかじめProt
ein Assay(BioRad社製)を用いて定量したAS1051-Ala
(実施例1参照)及びAS1051-G4(実施例2参照)をス
タンダードとして、Pegasil ODS-300(4.6x250mm、セン
シュー科学社製)を用いた逆相HPLCを用いて、280nmの
ピーク面積を比較することによって行なった。
【0118】
【実施例5】 ループ構造欠失蛋白質(AS1051-G4)お
よびアミノ酸変異を持つ蛋白質のグリコプロテインIb-
フォンビルブランド因子結合阻害活性 実施例2で作成したループ構造欠失蛋白質(AS1051-G
4)および実施例4で作成した単一のアミノ酸変異を持
つ蛋白質(M7〜M20)の、グリコプロテインIb-フォンビ
ルブランド因子結合阻害活性の測定は、N.Fukuchiら(W
O99/54360)の報告した、同明細書中の実施例7の方法
を用いて行なった。すなわち、フォンビルブランド因子
(2.5μg/ml)を含むTBS(Tris-buffered saline、20mM
Tris-HCl(pH7.4)、0.15M NaCl)溶液(50μl)を96穴
プレートの各ウェルに加え、4℃で終夜固相化した後、T
BS(150μl)で1回洗浄し、5%BSAを含むTBSで約3時間
ブロッキングを行った。プレートをTBS(150μl)で2
回洗浄した後、25μlのアッセイバッファー(Assay Buf
fer、1244-106、Wallac社製)に阻害活性を測定する蛋
白質を希釈したものを加え、ユーロピウム(Eu)ラベル
化したヒトグリコプロテインIbのα鎖とマウスIgG2aのF
c部分とのキメラ蛋白質(100ng/ml)及びボトロセチン
(500ng/ml)を含むアッセイバッファー(25μl)を加
えて、室温で約3時間放置した。プレートを0.05% Twee
n-20を含むTBS(150μl)で5回洗浄した後、蛍光増強
緩衝液(Enhancement solution、1244-104、Walla社
製)100μlを加えて1分間振とうした後、1420ARVOマル
チラベルカウンター(Wallac社製)を用いてユーロピウ
ム(Eu)量の測定を行った(測定時間1秒間)。各変異
蛋白質のグリコプロテインIb-フォンビルブランド因子
結合阻害のIC50値を表2に示す。
【0119】
【表2】表2 蛋白質名 IC50値(ng/ml) AS1051-Ala 70.4 AS1051-G4 57.8 M7-G4 45.4 M8-G4 28.7 M9-G4 1607 M10-G4 701.9 M11-G4 56.0 M12-G4 347.2 M13-G4 294.3 M14-G4 1091 M15-G4 234.7 M16-G4 10.6 M17-G4 14327 M18-G4 1292.6 M19-G4 26.9 M20-G4 483.0
【0120】上記データより、Tyr58(M9-G4)、Tyr67
(M14-G4)、Arg103(M17-G4)、Arg105(M18-G4)及び
Phe108(M20-G4)のAlaへの変異によりグリコプロテイ
ンIb-フォンビルブランド因子結合阻害活性が大きく低
下し、特にArg103の変異(M17-G4)では最も顕著に活性
が低下(約1/250)することが判明した。また、Asp54
(M8-G4)、Asp101(M16-G4)及びGlu106(M19-G4)のA
laへの変異によりグリコプロテインIb-フォンビルブラ
ンド因子結合阻害活性の上昇が見られた。変異で活性の
上昇する3残基は、結晶構造のデータから、変異により
最も活性が低下しグリコプロテインIb-フォンビルブラ
ンド因子結合阻害活性に最も重要であると考えられるAr
g103から、α炭素同士の距離がいずれも10Å以内であっ
た。
【0121】
【実施例6】 複数のアミノ酸変異を持つ高活性蛋白質
の作成および活性 (1)変異蛋白質の作成 複数のアミノ残変異を持つ蛋白質の作成は、上記単一の
アミノ酸変異を持つ蛋白質の作成と同様の方法を用いて
行なった。表3に変異遺伝子の名称とその変異について
示す。なお、表中のアミノ酸番号は、配列番号1におけ
る相当するアミノ酸番号である。
【0122】
【表3】 表3 変異蛋白質名 変異アミノ酸 変異後 M21 Asp54、Asp101、Glu106 Ala54、Asn101、Gln106 M22 Asp54、Asp101、Glu106 Ala54、Ala101、Ala106 M23 Asp54、Asp101 Asn54、Ala101 M24 Asp54、Asp101 Ala54、Ala101 M25 Asp101、Glu106 Ala101、Gln106 M26 Asp101、Glu106 Ala101、Ala106
【0123】M8-G4の発現プラスミドpTrcM8G4を鋳型
に、プライマーM21F(配列番号39)とM21R(配列番号
40)、及び、M22F(配列番号41)とM22R(配列番号
42)を用い、QuickChangeTM Site-Directed Mutagene
sis Kit(Stratagene社製)を用いてPCR反応を行ない、
変異蛋白質M21-G4及びM22-G4の発現プラスミドpTrcM21G
4及びpTrcM22G4をそれぞれ得た。また、M16-G4の発現プ
ラスミドpTrcM16G4を鋳型に、プライマーM23F(配列番
号43)とM23R(配列番号44)、M8F(配列番号1
3)とM8R(配列番号14)、M25F(配列番号45)とM
25R(配列番号46)、及び、M19F(配列番号35)とM
19R(配列番号36)を用い、QuickChangeT M Site-Dire
cted Mutagenesis Kit(Stratagene社製)を用いてPCR
反応を行ない、変異蛋白質M23-G4、M24-G4、M25-G4及び
M26-G4の発現プラスミドpTrcM23G4、pTrcM24G4、pTrcM2
5G4及びpTrcM26G4をそれぞれ得た。
【0124】上記の様に作成した発現プラスミドpTrcM2
1G4、pTrcM22G4、pTrcM23G4、pTrcM24G4、pTrcM25G4及
びpTrcM26G4をそれぞれ保有する形質転換E. coli JM109
を坂口フラスコを用いてL-broth(バクトトリプトン1
%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム0.5%、アンピシリ
ンナトリウム100μg/ml)にて37℃で培養し、濁度が0.
5に達したときにIPTG(イソプロピル−β−チオガラク
トピラノシド)を10mMになるように添加し、さらに37℃
で4時間培養を行った。菌体を遠心分離により回収、洗
浄後、0.5M EDTA溶液に菌体を懸濁しリゾチームを加え
て室温で1時間静置した。菌体の懸濁液を、超音波破砕
機を用いて破砕し(200W、5分)、破砕液を遠心分離す
ることにより顆粒(inclusion body)を沈殿として得
た。
【0125】得られた顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10
mM EDTAを含む0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し
た後、2.5倍量の蒸留水を加え、4℃で一晩静置した。
溶液をSpectra/Por 1透析膜(Spectra社製)を用いて、
0.9%食塩水に対して透析し、塩酸グアニジンを除いた。
透析後の溶液に1/9容の0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(p
H4.5)を加えた後、TSK-gel CM-5PW(1.0x7.5cm)を用
いたイオン交換カラムに負荷し、溶出液A:50mM酢酸ア
ンモニウム緩衝液(pH4.5)及び溶出液B:0.5M酢酸ア
ンモニウム緩衝液(pH6.4)を用いて、A:B=100:0の混合
液(5分)、次いでA:B=100:0→0:100のリニアグラジエ
ント(30分)で溶出し、精製されたM21-G4、M22-G4、M2
3-G4、M24-G4、M25-G4及びM26-G4をそれぞれ得た。ま
た、蛋白質量の測定は、あらかじめProtein Assay Kit
(BioRad社製)を用いて定量したAS1051-Ala(実施例1
参照)及びAS1051-G4(実施例2参照)をスタンダード
として、Pegasil ODS-300(4.6x250mm、センシュー科学
社製)を用いた逆相HPLCを用いて、280nmのピーク面積
を比較することによって行なった。
【0126】(2)グリコプロテインIb-フォンビルブ
ランド因子結合阻害活性の測定 次に、複数のアミノ酸変異を持つ蛋白質のグリコプロテ
インIb-フォンビルブランド因子結合阻害活性の測定を
実施例5に記載の方法を用いて行った。各変異蛋白質の
グリコプロテインIb-フォンビルブランド因子結合阻害
のIC50値を表4に示す。いずれの変異蛋白質ともグリコ
プロテインIb-フォンビルブランド因子結合阻害活性の
上昇が認められ、M23-G4が最も高い阻害活性を示した。
【0127】
【表4】表4 蛋白質名 IC50値(ng/ml) AS1051-Ala 46.9 AS1051-G4 50.3 M16-G4 14.2 M21-G4 14.7 M23-G4 9.8 M24-G4 11.6 M25-G4 11.4
【0128】
【実施例7】 ポリエチレングリコール修飾蛋白質の作
成及び活性 (1)変異をしていないAS1051のポリエチレングリコー
ル化体の作成 ポリエチレングリコール化を行うための、実施例6に示
したアミノ残変異を持つ蛋白質の作成は、上述の方法と
同様の方法を用いて行なった。
【0129】まずポリエチレングリコール化を行うため
のCysとして、天然型のAS1051のCys81を利用しようと考
え、Cys81をAlaに置換していないAS1051(AS1051-WT)
の発現遺伝子の構築を行った。実施例1に記載したAS10
51を含むプラスミドpCHA1を鋳型に、プライマーASBN
(配列番号4)とASH(配列番号6)を用いてPCR反応を
行った。反応生成物をアガロースゲル電気泳動に供し、
ゲルから400bpのDNAを抽出した。このDNAを制限酵素Bam
HI及びHindIIIで消化した。このDNA断片と、制限酵素Ba
mHI及びHindIIIで消化したプラスミドpUC18(宝酒造社
製)をライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて連
結した。得られたプラスミドを用いてコンピテントセル
法にてE.coliJM109を形質転換し、アンピシリン含有プ
レートにて37℃、16時間培養し形質転換体を選択した。
生育した形質転換体からアルカリSDS法にてプラスミド
を調製した。M13M4プライマーとM13RVプライマー(とも
に宝酒造社製)を用いて377PRISM DNAシーケンサー(パ
ーキンエルマー社製)により塩基配列を決定することに
より、目的のプラスミドが構築されていることを確認し
た。作製したプラスミドをpUCASWTと命名した。pUCASWT
を制限酵素NcoI及びHindIIIで消化しアガロースゲル電
気泳動にて400塩基対のDNAを分離精製した。このDNA
を、発現ベクターpTrcHisA(インビトロゲン社製)を制
限酵素NcoI及びHindIIIで消化したものとライゲーショ
ンキットを用いて連結した。得られたプラスミドを用い
てコンピテントセル法にてE.coli JM109を形質転換し、
アンピシリン含有プレートにて37℃、16時間培養し形質
転換体を選択した。この形質転換体の保有する発現ベク
ターをpTrcASWTと命名した。
【0130】AS1051-Cysの発現プラスミドpTrcASWTを保
有する形質転換E. coli JM109を、実施例1に示した方
法と同様に培養し、顆粒(inclusion body)を沈殿とし
て得た。
【0131】マレイミド基を持つ、分子量5000のポリエ
チレングリコール化試薬(Methoxy-PEG-mal,MW5000、It
em No.:M-MAL-5000、Shearwater Polymer社製)を用い
たAS1051のポリエチレングリコール化体(AS1051-PEG50
00)の調製は以下のように行った。培養で得られたAS10
51の顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10mM EDTAを含む0.5
Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解した後、2.5倍量の
蒸留水を加え、4℃で一晩静置した。さらにこの溶液に
0.2mg/mlの濃度になるように上記ポリエチレングリコー
ル化試薬を添加し、3時間室温で静置した。溶液をSpec
tra/Por 1透析膜(Spectra社製)を用いて、蒸留水に対
して透析し、塩酸グアニジンを除いた。透析後の溶液に
1/9容の0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5)を加えた
後、CM-TOYOPEARL 650S(2.6x40cm)を用いたイオン交
換カラムに負荷し、溶出液A:50mM酢酸アンモニウム緩
衝液(pH4.5)及び溶出液B:0.5M酢酸アンモニウム緩
衝液(pH6.4)を用いて、A:B=80:20→70:30のリニアグ
ラジエント(20分)、次いでA:B=70:30→=55:45のリニ
アグラジエント(30分)で溶出し、精製されたAS1051-P
EG5000を含む溶出画分を得た。
【0132】マレイミド基を持つ、分子量20000のポリ
エチレングリコール化試薬(Mehtoxy-PEG-mal,MW2000
0、Item No.:M-MAL-20000、Shearwater Polymer社製)
を用いたAS1051のポリエチレングリコール化体(AS1051
-PEG20000)の調製は以下のようにおこなった。培養で
得られたAS1051の顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10mM E
DTAを含む0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解した
後、2.5倍量の蒸留水を加え、4℃で一晩静置した。さ
らにこの溶液に0.2mg/mlの濃度になるように上記ポリエ
チレングリコール化試薬を添加し、3時間室温で静置し
た。溶液をSpectra/Por 1透析膜(Spectra社製)を用い
て、蒸留水に対して透析し、塩酸グアニジンを除いた。
透析後の溶液に1/9容の0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(p
H4.5)を加えた後、CM-TOYOPEARL 650S(2.6x40cm)を
用いたイオン交換カラムに負荷し、溶出液A:50mM酢酸
アンモニウム緩衝液(pH4.5)及び溶出液B:0.5M酢酸
アンモニウム緩衝液(pH6.4)を用いて、A:B=100:0→4
0:60のリニアグラジエント(20分)、次いでA:B=40:60
→0:100のリニアグラジエント(30分)で溶出し、精製
されたAS1051-PEG20000を含む溶出画分を得た。
【0133】(2)AS1051-PEG5000の構造 得られたAS1051-PEG5000の分子量は、SDS電気泳動によ
りポリエチレングリコール化されていない前述のAS1051
-Ala(15kDa)に比べ約10kDa大きい25kDaであった。ポ
リエチレングリコールはSDS電気泳動においては水和に
より本来の分子量の2倍の大きさとして観察されること
から、AS1051-PEG5000の1分子に1分子のポリエチレン
グリコール(分子量約5000)が結合していることが確か
められた。同様にAS1051-PEG20000は約55kDaにバンドが
観察され、AS1051-PEG200001分子に、1分子のポリエ
チレングリコール(分子量20000)が結合していること
が確かめられた。
【0134】次にAS1051-PEG5000中のポリエチレングリ
コールの結合位置とその他のCysのジスルフィド結合様
式の決定を以下のように行った。 AS1051-PEG5000 (10
0μg)を、2mM EDTAを含む0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.
5)中でリジルエンドペプチダーゼ(5μg、和光純薬社
製)によって37℃で5時間消化し、逆相カラム(Vydac2
18TP54、Vydac社製)を用いた高速液体クロマトグラフ
ィー(0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、
TFA)を含む水/アセトニトリルのリニアグラジエント
(0→50%アセトニトリル/10分、50→100%アセトニトリ
ル/5分)で溶出)により、消化で得られたペプチド鎖
をピーク1〜6として分取した(図3)。各ペプチド鎖
のアミノ酸配列分析はプロテインシークエンサーmodel4
76A(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて行っ
た。ピーク3のペプチド鎖は鎖内に2残基のCysを含む
ことから、両Cys同士がジスルフィド結合を形成してい
ると結論した。また、ピーク5のペプチド鎖はCysを1
残基含む2本のペプチド鎖と、Cysを2残基含む1本の
ペプチド鎖がジスルフィド結合によって結合した、合計
3本のペプチド鎖より成るものであると結論した。ピー
ク5のペプチド鎖は、さらに10mM炭酸アンモニウム緩衝
液中でV8プロテアーゼ(5μg、和光純薬社製)によって
25℃で24時間消化し、逆相カラム(Pegasil ODS-II、セ
ンシュー科学社製)を用いた高速液体クロマトグラフィ
ー(0.1% TFAを含む水/アセトニトリルのリニアグラジ
エント(0→50%アセトニトリル/20分で溶出)により、
消化で得られたペプチド鎖を分取し、アミノ酸配列分析
を行った結果、ポリエチレングリコール鎖は配列番号1
のアミノ酸番号81に対応するCysに結合しているこ
と、いずれのピークも図3に示したようなジスルフィド
結合をピーク5のペプチド鎖が有することを支持するも
のであることが確認された。以上の様に決定されたAS10
51-PEGのジスルフィド結合様式は、報告されているAS10
51(N. Fukuchi et al.、WO95/08573)、あるいは他の
類似の蛇毒由来蛋白質と同様であった。
【0135】(3)高活性蛋白質のポリエチレングリコ
ール化体の作成 次に、M23-G4と同じAsp54Asn及びAsp101Alaの変異を持
つ蛋白質M23-WT(AS1051-WTにAsp54Asn及びAsp101Alaの
2箇所の変異を持つ蛋白質)の発現遺伝子の作成を以下
のようにしておこなった。AS1051の発現プラスミドpTrc
ASWTを鋳型に、まずプライマーM16F(配列番号29)と
M16R(配列番号30)を用い、QuickChangeTM Site-Dir
ected Mutagenesis Kit(Stratagene社製)を用いてPCR
反応を行ない、変異蛋白質M16-WTの発現プラスミドpTrc
M16WTを得た。さらにpTrcM16WTを鋳型に、プライマーM2
3F(配列番号43)とM23R(配列番号44)を用い、Qu
ickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratag
ene社製)を用いてPCR反応を行ない、変異蛋白質M23-WT
の発現プラスミドpTrcM23WTを得た。実施例6と同様
に、pTrcM23WTを保有する形質転換E. coli JM109を培養
し、顆粒(inclusionbody)を沈殿として得た。なお、
ここで得られた変異蛋白質M23-WTはAS1051-WTにAsp54As
n及びAsp101Alaの2箇所の変異を持つ蛋白質である。
【0136】また、M23-G4の4残基のGlyのうちの最も
アミノ末端側のGly1残基を、ポリエチレングリコール
化を行うためにCysに置換した変異蛋白質M23-Cysの発現
遺伝子の作成は以下のように行った。M23-G4の発現プラ
スミドpTrcM23G4を鋳型に、プライマーCGGGF(配列番号
47)とCGGGR(配列番号48)を用い、QuickChangeT M
Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製)を
用いてPCR反応を行ない、変異蛋白質M23-Cysの発現プラ
スミドpTrcM23Cysを得た。実施例6と同様に、pTrcM23C
ysを保有する形質転換E. coli JM109を培養し、顆粒(i
nclusion body)を沈殿として得た。なお、ここで得ら
れた変異蛋白質M23-CysはM23-G4の4残基連続のGly部分
の最もアミノ末端側のGlyがCysに変異した蛋白質であ
る。
【0137】次にポリエチレングリコール化の反応を行
った。まず、上記M23-WTの2リットル分の培養液より得
た顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10mM EDTAを含む0.5M
トリス塩酸緩衝液(pH8.5)320mlに溶解した後、2.5倍
量の蒸留水を加え、4℃で一晩静置した。Cysのチオー
ル基に結合させるためのポリエチレングリコール化試薬
(Methoxy-PEG-mal,MW20000、Item No.:M-MAL-20000、
Shearwater Polymer社製)の20mg/mlの水溶液22.4mlを
添加して4℃で約2時間反応させた。Spectra/Por 1透
析膜を用いた透析を蒸留水に対して、4℃で終夜行い、
得られた透析残液(1.24ml)に硫酸アンモニウム163.85
gを加えて塩析を行い、沈殿を遠心分離によって除いた
後、上清をButyl-Sepharose CL-4B FF(Pharmacia社
製)(16x150mm)を用いた疎水カラムクロマトグラフィ
ーに負荷し、溶出液の硫酸アンモニウム濃度を直線濃度
勾配(1M→0M/60分)で下降させることによって、ポリ
エチレングリコール化したM23(M23-PEG20000)を回収
した。さらに回収画分をSpectra/Por 1透析膜(Spectra
社製)を用いて、蒸留水に対して透析し、硫酸アンモニ
ウムを除いた。透析後の画分に1/9容の0.5M酢酸アンモ
ニウム緩衝液(pH4.5)を加えた後、CM-TOYOPEARL 650S
(2.6x40cm)を用いたイオン交換カラムに負荷し、溶出
液A:50mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5)及び溶出
液B:0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.4)を用い
て、A:B=80:20の混合液(20分)、次いでA:B=80:20→5
5:45のリニアグラジエント(30分)で溶出し、精製され
たM23-PEG20000を含む溶出画分を得た。さらに、溶出画
分を限外ろ過を用いて濃縮後、Sepharose CL-4B(26x90
0mm)を用いたゲルろ過によって精製を行い、最終的に
約15mgのM23-PEG20000を得た。蛋白質濃度の定量は、実
施例6と同様に、濃度既知のAS1051-Alaと逆相HPLC上で
の280nm溶出ピークの面積を比較することによって行っ
た。
【0138】また、分子量約5000のポリエチレングリコ
ールを結合させたM23-PEG5000は、M-MAL-20000の代わり
にM-MAL-5000(Methoxy-PEG-mal,MW5000、Shearwater P
olymer社製)を用いることによって、上記と同様の方法
により調製した。得られたM23-PEG20000及びM23-PEG500
0は、SDS電気泳動において、AS1051-PEG2000及びAS1051
-PEG5000とそれぞれ同様に、分子量約55kDa及び約25kDa
にそれぞれバンドが観察された。
【0139】さらにM23-Cysについても、得られた顆粒
を用いて同様のポリエチレングリコール化を行った。
【0140】(4)ポリエチレングリコール化蛋白質の
グリコプロテインIb-フォンビルブランド因子結合阻害
活性の測定 実施例5と同様の方法を用いて、作成したポリエチレン
グリコール化蛋白質M23-PEG5000及びM23-PEG20000のグ
リコプロテインIb-フォンビルブランド因子結合阻害活
性を、ポリエチレングリコール化していないM23-G4、変
異をしていないAS1051-AlaおよびAS1051のポリエチレン
グリコール化体と比較した。図4及び表5に示すように
M23の変異を持つ蛋白質はいずれも約10倍強い阻害活性
を示し、ポリエチレングリコール化によってさらに阻害
活性の上昇が見られた。
【0141】
【表5】
【0142】さらに、上記蛋白質について、ヒト血小板
のリストセチン、ADP(アデノシン二リン酸)、コラー
ゲン、及び、低濃度トロンビンによる凝集に対する阻害
活性を測定した。ヒト多血小板血漿(platelet rich pl
asma;PRP)の調製は、18Gの注射針を用いて採血した健
常人ボランティアの血液に1/10容になるように3.8%クエ
ン酸ナトリウムを加え、遠心機を用いて900rpm、15分、
室温の条件で遠心分離を行い、上清をPRPとして回収す
ることによって行った。さらに下層は1500rpm、10分、
室温の条件で遠心分離し、その上清を貧血小板血漿(pl
atelet poor plasma; PPP)として回収した。上記の様
に調製したPRPを用いて、測定機としてHematracer 801
(二光バイオサイエンス社製)を用いて、上記蛋白質の
血小板凝集阻害活性を測定した。測定する蛋白質の20倍
濃度の溶液を約2.5μl入れた専用キュベットに100μlの
PRPを加えて測定機にセットし、2分間の撹拌後(37
℃)、10倍濃度の凝集惹起物質の溶液を添加し、透過光
の変化を測定した。凝集惹起物質添加前のPRPの赤色光
の透過度を0%、PPPの透過度を100%として凝集率を計算
した。
【0143】測定の結果、いずれの蛋白質も、ADP及び
コラーゲンによる凝集に対しては実質的な阻害活性はな
く、リストセチンによる凝集に対して、強い阻害活性を
示し、M23の変異をした蛋白質により強い阻害活性が認
められた。リストセチンによる凝集の凝集曲線を図5に
示した。
【0144】さらに低濃度トロンビンによる凝集に対す
る阻害活性は、下記のように測定した。上記と同様に調
製したPRP(5ml)にアピラーゼ(gradeVII、シグマ社
製)を8.3U/mlになるように添加し、37℃で15分間イン
キュベートした。2000rpmで10分間遠心分離した後、沈
殿した血小板ををアピラーゼ(4.2U/ml)を含むTyrode-
HEPES緩衝液に静かにけん濁し、さらに200rpmで10分間
遠心分離した。最終的に沈殿した血小板を5mlの2mMの塩
化カルシウムを含むTyrode-HEPES緩衝液にけん濁し洗浄
血小板溶液とした。凝集阻害の測定は、PRPの代わりに
洗浄血小板溶液を、PPPの代わりにTyrode-HEPES緩衝液
を用いて、上記と同様の方法を用いて行った。トロンビ
ンの終濃度は0.07U/mlとした。その結果、AS1051-Alaは
4μg/mlの濃度においても実質的な阻害を示さない一
方、M23-PEG20000は1μg/ml以上の濃度において、ほぼ
完全にトロンビンによる凝集を阻害した(図6)
【0145】
【実施例8】 M23-Ala(短縮体(G4)でないM23変異蛋
白質)の作成 さらにM23-WTのアミノ酸配列における81位のCysがAlaに
変異した蛋白質M23-Alaの作成は以下のように行った。M
23-WTの発現プラスミドpTrcM23WTを鋳型にプライマーAL
AF-2(配列番号49)とALAR-2(配列番号50)を用
い、QuickChangeT M Site-Directed Mutagenesis Kit(S
tratagene社製)を用いてPCR反応を行ない、M23-Ala発
現プラスミドpTrcM23Ala得た。作成した発現プラスミド
pTrcM23Alaを保有する形質転換E. coli JM109を坂口フ
ラスコを用いてL-broth(バクトトリプトン1%、酵母エ
キス0.5%、塩化ナトリウム0.5%、アンピシリンナトリウ
ム100μg/ml)にて37℃で培養し、濁度が0.5に達した
ときにIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシ
ド)を10mMになるように添加し、さらに37℃で4時間培
養を行った。菌体を遠心分離により回収、洗浄後、0.5M
EDTA溶液に菌体を懸濁しリゾチームを加えて室温で1
時間静置した。菌体の懸濁液を、超音波破砕機を用いて
破砕し(200W、5分)、破砕液を遠心分離することによ
り顆粒(inclusion body)を沈殿として得た。
【0146】得られた顆粒を、7M塩酸グアニジン及び10
mM EDTAを含む0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に溶解し
た後、2.5倍量の蒸留水を加え、4℃で一晩静置した。
溶液をSpectra/Por 1透析膜(Spectra社製)を用いて、
0.9%食塩水に対して透析し、塩酸グアニジンを除いた。
透析後の溶液に1/9容の0.5M酢酸アンモニウム緩衝液(p
H4.5)を加えた後、CM-TOYOPEARL 650S(2.6x40cm)を
用いたイオン交換カラムに負荷し、溶出液A:50mM酢酸
アンモニウム緩衝液(pH4.5)及び溶出液B:0.5M酢酸
アンモニウム緩衝液(pH6.4)を用いて、A:B=30:70の混
合液(20分)、次いでA:B=30:70→0:100のリニアグラジ
エント(30分)で溶出し、精製されたM23-Alaを含む溶
出画分を得た。また、蛋白質量の測定は、あらかじめPr
otein Assay Kit(BioRad社製)を用いて定量したAS105
1-Ala(実施例1参照)及びAS1051-G4(実施例2参照)
をスタンダードとして、Pegasil ODS-300(4.6x250mm、
センシュー科学社製)を用いた逆相HPLCを用いて、280n
mのピーク面積を比較することによって行なった。得ら
れたM23-AlaのグリコプロテインIbとフォンビルブラン
ド因子の結合阻害活性の測定を実施例5及び実施例6と
同様に測定したところ、M23とほぼ同等の阻害活性を有
していた。
【0147】
【実施例9】 AS1051-Alaのモルモットに対する抗原性
試験 実施例1に示したように調製した、81位のCysをAlaに変
異した蛋白質(AS1051-Ala)の、モルモットに対する抗
原性を確認するための試験は以下のように行った。Hart
ley系モルモット(雌、体重200-250g)を用い、耳介静
脈よりAS1051-Ala(300μg/kg)あるいは生理的食塩水
を隔日で3回投与した。投与用量は1ml/kgとし、ともに
n=10で行った。3回目の投与から3週間後、各投与群を
二分しそれぞれにAS1051-Ala(300μg/kg)(n=5ずつ)
あるいは生理食塩水(n=5ずつ)を投与し、約20分後に
エーテル麻酔下において開腹し、23G注射針を用いて腹
部大動脈より8ml採血(0.38%クエン酸ナトリウム添加)
した。採血した血液は自動血球計測装置(Sysmex E-200
0、東亜医用電子社製)を用いて血小板数を測定した。
結果を図7に示した通り、AS1051-Alaの前投与かつAS10
51-Alaの最終投与群(AS/AS群)のみに血小板の著しい
減少が見られた。 生理食塩水の前投与かつAS1051-Ala
の最終投与群(saline/AS群)では血小板数がコントロ
ールであるsaline/saline群と差がなかったことから、A
S/AS群で見られた血小板減少が前投与によって与えられ
たAS1051-Alaの抗原性に起因するものであると考えられ
た。
【0148】さらに採血した血液から遠心分離(4℃、2
700rpm、10分)によって血漿を分離し、AS1051-Alaに対
する抗体の存在をELISA(enzyme-linked immunosorbent
assay)法を用いて測定した。ELISA用96穴プレートにA
S1051-Ala(1μg/ml)あるいは緩衝液のみを各ウェル 5
0μl加え、4℃で一晩放置し、コーティングを行った
後、0.05%Tween-20を含むPBS(phosphate-buffered sal
ine)で3回洗浄し、5%スキムミルクを溶かしたPBS(15
0μl)を加えてブロッキングを行った。さらに3回洗浄
を行った後、採取したモルモット血漿50μlを加え、37
℃で1時間放置後、3回洗浄し、アルカリフォスファタ
ーゼ標識ウサギ抗モルモットIgG(H+L)抗体(zymed社
製)を希釈バッファー(0.05Mトリス塩酸(pH8.1)、1mM
MgCl2、0.15M NaCl、0.05% Tween-20、0.02% NaN3、1%
ウシ血清アルブミン)で500倍に希釈した溶液を50μl加
え37℃で1時間放置した。各ウェルを3回洗浄後、1mg/
mlの発色基質(p-ニトロフェニルホスフェート)溶液
(1Mジエタノールアミン(pH9.8)/0.5mM MgCl2)を加え
適当時間反応後405nmの吸光度を測定した。図8にAS/sa
line群とsaline/saline群のAS1051-Alaコーティングお
よび非コーティングのウェルにおける吸光度を示した通
り、AS/saline群ではAS1051-Alaに結合する抗体の存在
が示された。
【0149】
【実施例10】 AS1051-G4のモルモットに対する抗原
性試験 本発明のループ構造欠失蛋白質(AS1051-G4)とポリエ
チレングリコール化蛋白質(AS1051-PEG5000)、及びAS
1051-Alaのモルモットに対する抗原性を比較するための
試験は実施例9に示した方法と同様に行った。AS1051-A
la及びAS1051-G4の投与量はいずれの投与においても200
μg/kgとし、AS1051-Ala群(AS1051-Alaの前投与3回、
AS1051-Alaの最終投与)、AS1051-G4群(AS1051-G4の前
投与3回、AS1051-G4の最終投与)、AS1051-PEG5000群
(AS1051-PEG5000の前投与3回、AS1051-PEG5000の最終
投与)、及びsaline群(生理食塩水(saline)の前投与
3回、salineの最終投与)の3群に分けいずれもn=4で
実験を行った。結果は図9に示したようにAS1051-G4群
及びAS1051-PEG5000群ともに、AS1051-Ala投与群に比
べ、血小板減少の程度は弱かった。
【0150】
【実施例11】 高活性蛋白質のポリエチレングリコー
ル化体のEx vivo法による薬効試験 M23-PEG20000のモルモットに対するEx vivo法による薬
効試験は以下の方法で行った。まず、M23-PEG20000の生
理食塩水溶液を各濃度に調製し、Hartley系モルモット
(雌、体重350-400g)を用い、耳介静脈より、各濃度の
M23-PEG20000溶液、あるいは対象群としての生理食塩水
を、1ml/kgとなるように投与した。
【0151】投与5分後、および投与5日後(120時間
後)に、エーテル麻酔下において開腹し、23G注射針を
用いて腹部大動脈より採血(0.38%クエン酸ナトリウム
添加)を行い、採血した血液は自動血球計測装置(Sysm
ex E-2000、東亜医用電子社製)を用いて血小板数を測
定した。さらに採血した血液を1100 rpm、15分間、室温
の条件で遠心分離してPRPを、さらに下層を2700 rpm、1
5分間、室温の条件で遠心分離してPPPを作成した。得ら
れたPRPを用いて、実施例7に示した方法と同様の血小
板凝集計を用い、ボトロセチンを血小板凝集惹起物質と
して加えて、各群でのボトロセチンによる8分間の最大
凝集率を測定した。その結果、M23-PEG20000投与5分後
の群では、図10のaに示したように、100μg/kg投与群
で有意な凝集の抑制作用が認められた。さらに、1mg/k
g投与群では5日後(120時間後)の採血においても、強
いボトロセチン惹起凝集抑制が認められ(図10の
b)、この投与量においては5日後(120時間後)でもグ
リコプロテインIbとフォンビルブランド因子との結合を
阻害する効果が持続していることが確かめられた。ま
た、いずれの投与群においても血球数に有意な変化は認
められなかった。
【0152】
【発明の効果】本発明により、蛇毒由来グリコプロテイ
ンIb結合蛋白質を、一層高活性の、一層高い薬効持
続性を持ち、一層抗原性を低下させた、主作用であ
るグリコプロテインIb-フォンビルブランド因子結合阻
害活性以外にトロンビン惹起凝集阻害作用を持つ、等の
点で改良した蛋白質を得ることができ、改良された蛋白
質はより効果的な抗血栓剤として利用することが可能で
ある。
【0153】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 味の素株式会社(Ajinomoto Co., Ltd.) <120> 抗血栓活性を有する蛋白質及びその製造法 <130> P-7975 <160> 50 <210> 1 <211> 126 <212> PRT <213> Crotalus horridus horridus <400> 1 Asp Leu Glu Cys Pro Ser Gly Trp Ser Ser Tyr Asp Arg Tyr Cys Tyr 1 5 10 15 Lys Pro Phe Lys Gln Glu Met Thr Trp Ala Asp Ala Glu Arg Phe Cys 20 25 30 Ser Glu Gln Ala Lys Gly Gly His Leu Leu Ser Val Glu Thr Ala Leu 35 40 45 Glu Ala Ser Phe Val Asp Asn Val Leu Tyr Ala Asn Lys Glu Tyr Leu 50 55 60 Thr Arg Tyr Ile Trp Ile Gly Leu Arg Val Gln Asn Lys Gly Gln Pro 65 70 75 80 Cys Ser Ser Ile Ser Tyr Glu Asn Leu Val Asp Pro Phe Glu Cys Phe 85 90 95 Met Val Ser Arg Asp Thr Arg Leu Arg Glu Trp Phe Lys Val Asp Cys 100 105 110 Glu Gln Gln His Ser Phe Ile Cys Lys Phe Thr Arg Pro Arg 115 120 125 <210> 2 <211> 690 <212> DNA <213> Crotallus horridus horridus <220> <221> CDS <222> (66)..(512) <400> 2 ctgagcagac ttgctacctg tggaggccga ggaacagttc tctctgcagg gaaggaaaga 60 acgcc atg ggg cga ttc atc ttc gtg agc ttc aac ttg ctg gtc gtg ttc 110 Met Gly Arg Phe Ile Phe Val Ser Phe Asn Leu Leu Val Val Phe 1 5 10 15 ctc tcc cta agt gga act cta gct gat ttg gaa tgt ccc tcc ggt tgg 158 Leu Ser Leu Ser Gly Thr Leu Ala Asp Leu Glu Cys Pro Ser Gly Trp 20 25 30 tct tcc tat gat cgg tat tgc tac aag ccc ttc aaa caa gag atg acc 206 Ser Ser Tyr Asp Arg Tyr Cys Tyr Lys Pro Phe Lys Gln Glu Met Thr 35 40 45 tgg gcc gat gca gag agg ttc tgc tcg gag cag gcg aag ggc ggg cat 254 Trp Ala Asp Ala Glu Arg Phe Cys Ser Glu Gln Ala Lys Gly Gly His 50 55 60 ctc ctc tct gtc gaa acc gcc cta gaa gca tcc ttt gtg gac aat gtg 302 Leu Leu Ser Val Glu Thr Ala Leu Glu Ala Ser Phe Val Asp Asn Val 65 70 75 ctc tat gcg aac aaa gag tac ctc aca cgt tat atc tgg att gga ctg 350 Leu Tyr Ala Asn Lys Glu Tyr Leu Thr Arg Tyr Ile Trp Ile Gly Leu 80 85 90 95 agg gtt caa aac aaa gga cag cca tgc tcc agc atc agt tat gag aac 398 Arg Val Gln Asn Lys Gly Gln Pro Cys Ser Ser Ile Ser Tyr Glu Asn 100 105 110 ctg gtt gac cca ttt gaa tgt ttt atg gtg agc aga gac aca agg ctt 446 Leu Val Asp Pro Phe Glu Cys Phe Met Val Ser Arg Asp Thr Arg Leu 115 120 125 cgt gag tgg ttt aaa gtt gac tgt gaa caa caa cat tct ttc ata tgc 494 Arg Glu Trp Phe Lys Val Asp Cys Glu Gln Gln His Ser Phe Ile Cys 130 135 140 aag ttc acg cga cca cgt taagatccgg ctgtgtgaag tctggagaag 542 Lys Phe Thr Arg Pro Arg 145 caaggaagcc ccccacctct ccccaccccc caccttccgc aatctctgct cttccccctt 602 tgctcagtgg atgctctctg tagccggatc tgggttttct gctccagatg ggtcagaaga 662 tccaataaat tctgcctacc caaaaaaa 690 <210> 3 <211> 149 <212> PRT <213> Crotallus horridus horridus <400> 3 Met Gly Arg Phe Ile Phe Val Ser Phe Asn Leu Leu Val Val Phe Leu 1 5 10 15 Ser Leu Ser Gly Thr Leu Ala Asp Leu Glu Cys Pro Ser Gly Trp Ser 20 25 30 Ser Tyr Asp Arg Tyr Cys Tyr Lys Pro Phe Lys Gln Glu Met Thr Trp 35 40 45 Ala Asp Ala Glu Arg Phe Cys Ser Glu Gln Ala Lys Gly Gly His Leu 50 55 60 Leu Ser Val Glu Thr Ala Leu Glu Ala Ser Phe Val Asp Asn Val Leu 65 70 75 80 Tyr Ala Asn Lys Glu Tyr Leu Thr Arg Tyr Ile Trp Ile Gly Leu Arg 85 90 95 Val Gln Asn Lys Gly Gln Pro Cys Ser Ser Ile Ser Tyr Glu Asn Leu 100 105 110 Val Asp Pro Phe Glu Cys Phe Met Val Ser Arg Asp Thr Arg Leu Arg 115 120 125 Glu Trp Phe Lys Val Asp Cys Glu Gln Gln His Ser Phe Ile Cys Lys 130 135 140 Phe Thr Arg Pro Arg 145 <210> 4 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 4 attggatcca tggatttgga atgtccctcc 30 <210> 5 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 5 ggacagccag cctccagcat cagtta 26 <210> 6 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 6 aataagctta acgtggtcgc gtgaacttgc 30 <210> 7 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 7 gatgctggag gctggctgtc ctttgt 26 <210> 8 <211> 54 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 8 tatatctgga ttggactgag gggcggtgga ggtgaatgtt ttatggtgag caga 54 <210> 9 <211> 54 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 9 tctgctcacc ataaaacatt cacctccacc gcccctcagt ccaatccaga tata 54 <210> 10 <211> 110 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> loop structure deficient protein <400> 10 Asp Leu Glu Cys Pro Ser Gly Trp Ser Ser Tyr Asp Arg Tyr Cys Tyr 1 5 10 15 Lys Pro Phe Lys Gln Glu Met Thr Trp Ala Asp Ala Glu Arg Phe Cys 20 25 30 Ser Glu Gln Ala Lys Gly Gly His Leu Leu Ser Val Glu Thr Ala Leu 35 40 45 Glu Ala Ser Phe Val Asp Asn Val Leu Tyr Ala Asn Lys Glu Tyr Leu 50 55 60 Thr Arg Tyr Ile Trp Ile Gly Leu Arg Gly Gly Gly Gly Glu Cys Phe 65 70 75 80 Met Val Ser Arg Asp Thr Arg Leu Arg Glu Trp Phe Lys Val Asp Cys 85 90 95 Glu Gln Gln His Ser Phe Ile Cys Lys Phe Thr Arg Pro Arg 100 105 110 <210> 11 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 11 caagcccttc gcacaagaga tgac 24 <210> 12 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 12 gtcatctctt gtgcgaaggg cttg 24 <210> 13 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 13 gcatcctttg tggccaatgt gctc 24 <210> 14 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 14 gagcacattg gccacaaagg atgc 24 <210> 15 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 15 gacaatgtgc tcgctgcgaa caaag 25 <210> 16 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 16 ctttgttcgc agcgagcaca ttgtc 25 <210> 17 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 17 ctatgcgaac gcagagtacc tcac 24 <210> 18 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 18 gtgaggtact ctgcgttcgc atag 24 <210> 19 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 19 gcgaacaaag cgtacctcac acg 23 <210> 20 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 20 cgtgtgaggt acgctttgtt cgc 23 <210> 21 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 21 gcgaacaaag aggccctcac acgt 24 <210> 22 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 22 acgtgtgagg gcctctttgt tcgc 24 <210> 23 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 23 gtacctcaca gcttatatct gg 22 <210> 24 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 24 ccagatataa gctgtgaggt ac 22 <210> 25 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 25 cctcacacgt gctatctgga ttgg 24 <210> 26 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 26 ccaatccaga tagcacgtgt gagg 24 <210> 27 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 27 atggtgagcg cagacacaag gc 22 <210> 28 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 28 gccttgtgtc tgcgctcacc at 22 <210> 29 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 29 ggtgagcaga gccacaaggc ttcg 24 <210> 30 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 30 cgaagccttg tggctctgct cacc 24 <210> 31 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 31 agagacacag cgcttcgtga ggc 23 <210> 32 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 32 ctcacgaagc gctgtgtctc tgc 23 <210> 33 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 33 gaacaaggct tgctgagtgg tttaaag 27 <210> 34 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 34 ctttaaacca ctcagcaagc cttgttc 27 <210> 35 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 35 caaggcttcg tgcgtggttt aaagttg 27 <210> 36 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 36 caactttaaa ccacgcacga agccttg 27 <210> 37 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 37 cttcgtgagt gggctaaagt tgactg 26 <210> 38 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 38 cagtcaactt tagcccactc acgaag 26 <210> 39 <211> 41 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 39 ggtgagcaga aacacaaggc ttcgtcagtg gtttaaagtt g 41 <210> 40 <211> 41 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 40 caactttaaa ccactgacga agccttgtgt ttctgctcac c 41 <210> 41 <211> 41 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 41 ggtgagcaga gccacaaggc ttcgtgcgtg gtttaaagtt g 41 <210> 42 <211> 41 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 42 caactttaaa ccacgcacga agccttgtgg ctctgctcac c 41 <210> 43 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 43 gcatcctttg tgaacaatgt gctc 24 <210> 44 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 44 gagcacattg ttcacaaagg atgc 24 <210> 45 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 45 caaggattcg tcagtggttt aaagttg 27 <210> 46 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 46 caactttaaa ccactgacga agccttg 27 <210> 47 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 47 ggattggact gaggtgcggt ggagg 25 <210> 48 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 48 cctccaccgc acctcagtcc aatcc 25 <210> 49 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 49 ggacagccag catccagcat cag 23 <210> 50 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> primer <400> 50 ctgatgctgg atgctggctg tcc 23
【図面の簡単な説明】
【図1】 AS1051の結晶中での立体構造。
【図2】 AS1051-G4のリジルエンドペプチダーゼ消化
後の逆相液体クロマトグラムと各ペプチド鎖の構造。
【図3】 ポリエチレングリコール化されたAS1051(AS
1051-PEG5000)のリジルエンドペプチダーゼ消化後の逆
相液体クロマトグラムと各ペプチド鎖の構造。
【図4】 ポリエチレングリコール化したAS1051、およ
び変異蛋白質M23の阻害曲線。
【図5】 ポリエチレングリコール化したM23の血小板
リストセチン惹起凝集に対する阻害。
【図6】 ポリエチレングリコール化したAS1051の血小
板トロンビン惹起凝集に対する阻害。
【図7】 AS1051-Alaのモルモット反復投与後の血小板
数。
【図8】 AS1051-Alaのモルモット反復投与後の血漿中
の抗AS1051-Ala抗体の検出結果。
【図9】 AS1051-G4、AS1051-PEG5000のモルモット反
復投与後の血小板数。
【図10】 M23-PEG20000のex vivoの薬効。a)投与5
分後、b)投与5日後。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/46 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 A61K 37/02 (72)発明者 鬼頭 守和 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社医薬研究所内 (72)発明者 栢原 孝志 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社医薬研究所内 (72)発明者 鈴木 榮一郎 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 権藤 慶子 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 榛葉 信久 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 山田 尚之 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 二木 史恵 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社医薬研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA38 BA80 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 4B064 AG01 AG30 CA02 CA19 CC24 DA01 4C084 AA01 AA02 AA06 AA07 BA01 BA08 BA19 BA20 BA42 CA43 DC50 NA14 ZA542 ZB012 ZB112 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 BA57 CA53 DA83 EA24 FA53 FA74 GA01 GA05 GA10 GA23

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に示すアミノ酸配列に対して
    30%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、か
    つ、アミノ末端側から順に、第1のβストランド(β
    1)、第1のαへリックス(α1)、第2のαへリック
    ス(α2)、第2のβストランド(β2)、ループ、第
    3のβストランド(β3)、第4のβストランド(β
    4)、及び、第5のβストランド(β5)の高次構造を
    形成する蛋白質において、α2からβ2にかけての部分
    及び/又はβ3からβ4にかけての部分におけるアミノ
    酸残基を、電荷が正の方向に変化するように置換するこ
    とを含む、抗血栓活性を有する蛋白質の製造法。
  2. 【請求項2】 α2からβ2にかけての部分及び/又は
    β3からβ4にかけての部分における酸性アミノ酸残基
    を中性アミノ酸残基に置換することによって、電荷を正
    の方向に変化させる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 蛋白質がクロタルス・ホリダス・ホリダ
    ス由来である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 蛋白質のα2からβ2にかけての部分が
    配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号47〜72の
    配列、β3からβ4にかけての部分が配列番号1に示す
    アミノ酸配列のアミノ酸番号94〜111の配列である請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
  5. 【請求項5】 配列番号1に示すアミノ酸配列におい
    て、アミノ酸番号103のアルギニン残基のα炭素原子よ
    り、α炭素原子が10Å以内に存在する酸性アミノ酸残基
    を中性アミノ酸残基に置換する請求項4に記載の製造
    法。
  6. 【請求項6】 酸性アミノ酸残基が配列番号1に示すア
    ミノ酸配列においてアミノ酸番号54のアスパラギン酸残
    基、アミノ酸番号101のアスパラギン酸及びアミノ酸番
    号106のグルタミン酸残基から選ばれる1つ以上である
    請求項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 β2とβ3の間に存在するループ構造を
    含む部分を、β2とβ3の高次構造が保たれるように欠
    失させる、又は、β2とβ3の高次構造を保つのに必要
    な残基数の、グリシン残基、アラニン残基、セリン残
    基、システイン残基からなる群から選ばれるアミノ酸残
    基からなるアミノ酸配列に置換することをさらに含む請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の製造法。
  8. 【請求項8】 β2とβ3の間に存在するループ構造を
    含む部分を4残基のグリシン残基からなるアミノ酸配列
    に置換する請求項7記載の製造法。
  9. 【請求項9】 蛋白質にポリオキシアルキルポリオール
    基を結合させることをさらに含む請求項1〜8のいずれ
    か1項に記載の製造法。
  10. 【請求項10】 蛋白質が、配列番号1に示すアミノ酸
    配列のアミノ酸番号81のシステイン残基に相当するシス
    テイン残基を含み、このシステイン残基にポリオキシア
    ルキルポリオール基を結合させる請求項9記載の製造
    法。
  11. 【請求項11】 ポリオキシアルキルポリオール基がポ
    リエチレングリコール基である請求項9又は10記載の
    製造法。
  12. 【請求項12】 配列番号1に示すアミノ酸配列に対し
    て30%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、か
    つ、アミノ末端側から順に、第1のβストランド(β
    1)、第1のαへリックス(α1)、第2のαへリック
    ス(α2)、第2のβストランド(β2)、ループ、第
    3のβストランド(β3)、第4のβストランド(β
    4)、及び、第5のβストランド(β5)の高次構造を
    形成する、下記の(a)又は(b)の蛋白質において、
    α2からβ2にかけての部分、あるいはβ3からβ4に
    かけての部分におけるアミノ酸残基が、電荷が正の方向
    に変化するように置換されている、抗血栓活性を有する
    蛋白質。 (a)α2からβ2にかけての部分が配列番号1に示す
    アミノ酸配列のアミノ酸番号47〜72の配列、及び、β3
    からβ4にかけての部分が配列番号1に示すアミノ酸配
    列のアミノ酸番号94〜111の配列を有する蛋白質。 (b)(a)の蛋白質において、α2からβ2にかけて
    の部分が配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号
    47〜72の配列、及び/又は、β3からβ4にかけての部
    分が配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号94〜
    111の配列に、1又は数個のアミノ酸残基の置換、挿入
    又は欠失を含むアミノ酸配列を有する蛋白質。
  13. 【請求項13】 下記の(A)又は(B)のアミノ酸配
    列を含む請求項12記載の蛋白質。 (A)配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号47
    〜111のアミノ酸配列。 (B)(A)のアミノ酸配列において、配列番号1に示
    すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号81のシステイン残
    基がアラニン残基に置換されたアミノ酸配列。
  14. 【請求項14】 β2とβ3の間に存在するループ構造
    を含む部分が、β2とβ3の高次構造が保たれるように
    欠失した、又は、β2とβ3の高次構造を保つのに必要
    な残基数の、グリシン残基、アラニン残基、セリン残
    基、システイン残基からなる群から選ばれるアミノ酸残
    基からなるアミノ酸配列に置換されたアミノ酸配列を有
    する請求項12記載の蛋白質。
  15. 【請求項15】 β2とβ3の間に存在するループ構造
    を含む部分が4残基のグリシン残基からなるアミノ酸配
    列に置換された配列を有する請求項14記載の蛋白質。
  16. 【請求項16】 配列番号1に示すアミノ酸配列におい
    てアミノ酸番号103のアルギニン残基のα炭素原子よ
    り、α炭素原子が10Å以内に存在する酸性アミノ酸残基
    が中性アミノ酸残基に置換された請求項12〜15のい
    ずれか1項に記載の蛋白質。
  17. 【請求項17】 置換される酸性アミノ酸残基が、配列
    番号1に示すアミノ酸配列においてアミノ酸番号54のア
    スパラギン酸残基、アミノ酸番号101のアスパラギン酸
    及びアミノ酸番号106のグルタミン酸残基から選ばれる
    1つ以上である請求項16に記載の蛋白質。
  18. 【請求項18】 蛋白質にポリオキシアルキルポリオー
    ル基が結合している請求項12〜17のいずれか1項に
    記載の蛋白質。
  19. 【請求項19】 蛋白質が、配列番号1に示すアミノ酸
    配列のアミノ酸番号81のシステイン残基に相当するシス
    テイン残基を含み、このシステイン残基にポリオキシア
    ルキルポリオール基が結合している請求項18記載の蛋
    白質。
  20. 【請求項20】 ポリオキシアルキルポリオール基がポ
    リエチレングリコール基である請求項18又は19の蛋
    白質。
  21. 【請求項21】 請求項12〜17のいずれか1項に記
    載の蛋白質をコードするDNA。
  22. 【請求項22】 請求項21記載のDNAで形質転換し
    た宿主微生物を培養し、培養液からそのDNAにコード
    される蛋白質を採取することを含む、請求項12〜17
    記載の蛋白質の製造法。
  23. 【請求項23】 請求項21記載のDNAで形質転換し
    た宿主微生物を培養し、培養液からそのDNAにコード
    される蛋白質を採取し、採取した蛋白質にポリオキシア
    ルキルポリオール基を結合させることを含む、請求項1
    8〜20記載の蛋白質の製造法。
  24. 【請求項24】請求項12〜20のいずれか1項に記載
    の蛋白質を有効成分として含有する医薬。
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