JPWO2020171154A1 - 炭素−炭素三重結合を有する有機重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

水酸基を有する有機重合体(B)に対し塩基性化合物としてアルカリ金属塩を第一温度で作用させて、アルカリ金属オキシ基を有する有機重合体(C)を形成する工程、前記有機重合体(C)を含む系の温度を、前記第一温度から第二温度まで低下させる工程、及び炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を前記系に添加し、前記有機重合体(C)と前記第二温度で反応させる工程、を含む、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)の製造方法。

Description

本発明は、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体の製造方法に関する。
不飽和結合が主鎖に結合した有機重合体は、硬化性を示す重合体であり硬化性材料として使用することができ、また、加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造するための前駆体としても使用することができる極めて有用な重合体である。
このような不飽和結合含有有機重合体の合成方法としては、水酸基を有する有機重合体を製造した後、該水酸基を不飽和結合含有基に変換する方法が知られている。なかでも、重合反応によって水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体を形成した後、該水酸基にアルカリ金属アルコキシドを反応させてメタルオキシ化した後、不飽和結合を有する求電子剤を反応させることで、不飽和結合を有する重合体とする方法が広く使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1の実施例では、水酸基含有ポリオキシアルキレンに対してナトリウムメトキシドを添加した後、減圧下の130℃でメタノールを留去して水酸基をメタルオキシ化した後、求電子剤としてアリルクロライドを添加して水酸基をアリルエーテル化することで、アリル基を有するポリオキシアルキレンを製造したことが示されている。
特開平7−97440号公報
前記文献の実施例は、求電子剤としてアリルクロライドを用いることで、有機重合体に不飽和結合として炭素−炭素二重結合を導入するものであった。しかし、有機重合体に炭素−炭素三重結合を導入する試みは従来行われていない。
本発明者らが、有機重合体が有する水酸基を炭素−炭素三重結合に変換する反応を試みたところ、従来の炭素−炭素二重結合を導入するための反応条件下では、炭素−炭素三重結合含有基(例えばHC≡C−CH−)がアレン基(例えばHC=C=CH−)に異性化する副反応が進行してしまい、重合体の炭素−炭素三重結合の含有比率が低下することが判明した。
本発明は、上記現状に鑑み、炭素−炭素三重結合の異性化反応を抑制して、水酸基を有する有機重合体から炭素−炭素三重結合を有する有機重合体を効率良く製造することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水酸基含有有機重合体に対してアルカリ金属塩を添加し、高温で水酸基をメタルオキシ化した後、炭素−炭素三重結合を有する求電子剤を添加し反応させるにあたって、系の温度を、メタルオキシ化反応時の温度よりも低くすることで、炭素−炭素三重結合の異性化反応が抑制され、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体を効率よく製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)の製造方法であって、水酸基を有する有機重合体(B)に対し塩基性化合物としてアルカリ金属塩を第一温度で作用させて、アルカリ金属オキシ基を有する有機重合体(C)を形成する工程、前記有機重合体(C)を含む系の温度を、前記第一温度から第二温度まで低下させる工程、及び炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を前記系に添加し、前記有機重合体(C)と前記第二温度で反応させる工程、を含む、有機重合体(A)の製造方法に関する。好ましくは、前記第二温度が120℃以下の温度である。好ましくは、前記有機重合体(A)は、ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格を有する。好ましくは、前記第一温度が125℃以上の温度である。好ましくは、前記アルカリ金属塩が、アルカリ金属アルコキシドである。
また本発明は、前期製造方法によって炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)を製造した後、該有機重合体(A)に、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物を反応させる工程を含む、加水分解性シリル基を有する有機重合体(D)の製造方法にも関する。
本発明によれば、炭素−炭素三重結合の異性化反応を抑制して、水酸基を有する有機重合体から炭素−炭素三重結合を有する有機重合体を効率よく製造することができる。
また、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体から、硬化物が良好な物性を示す、加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造することができる。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明は、水酸基を有する有機重合体(B)を前駆体とし、該有機重合体(B)が有する水酸基を、アルカリ金属オキシ基を経て、炭素−炭素三重結合含有基に変換することによる、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)を製造する方法に関する。
(炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A))
炭素−炭素三重結合の構造は特に限定されず、炭素−炭素三重結合を構成する2つの炭素原子のうち、1つの炭素原子上に置換基を持たない末端アルキン基(HC≡C−)、及び、炭素−炭素三重結合を構成する2つの炭素原子のうち、いずれの炭素原子上にも置換基を有する内部アルキン基(RC≡C−)のいずれであってもよい。ここで、Rは、炭素数1〜6の一価の炭化水素基であり、炭素数は1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。また、前記炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。反応性の観点から、炭素−炭素三重結合は末端アルキン基であることが好ましい。
炭素−炭素三重結合は、酸素原子に直接結合して有機重合体(A)に含まれていてもよいが、2価の炭化水素基を介して酸素原子に結合して有機重合体(A)に含まれていることが好ましい。前記2価の炭化水素基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1〜2がより更に好ましく、1が特に好ましい。本発明では、特に、プロパルギル基(HC≡C−CH−)が酸素原子に結合して有機重合体(A)に含まれていることが好ましい。
有機重合体(A)が有する炭素−炭素三重結合の個数は特に限定されないが、有機重合体(A)の1分子あたり平均して0.1〜10個の炭素−炭素三重結合を有することが好ましく、より好ましくは0.5〜6個である。有機重合体(A)における炭素−炭素三重結合の位置は特に限定されず、主鎖骨格の末端に結合していてもよいし、側鎖として主鎖骨格に結合していてもよい。
有機重合体(A)の主鎖骨格は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。該主鎖骨格の種類は特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、およびポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などのポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンなどとの共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレンなどとの共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよびスチレンなどとの共重合体、ならびにこれらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体などの飽和炭化水素系重合体;ポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ならびに(メタ)アクリル酸系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびスチレンなどのモノマーをラジカル重合して得られる重合体などのビニル系重合体;前述の重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリアミド系重合体;ポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体;などの有機重合体が挙げられる。上記各重合体はブロック状、グラフト状などのように混在していてもよい。これらの中でも、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系重合体が比較的ガラス転移温度が低いことと、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体がより好ましい。
有機重合体(A)は、上記した各種主鎖骨格のうち、いずれか1種の主鎖骨格を有する重合体でもよく、異なる主鎖骨格を有する重合体の混合物でもよい。また、混合物については、それぞれ別々に製造された重合体の混合物でもよいし、任意の混合組成になるように各重合体が同時に製造された混合物でもよい。
(水酸基を有する有機重合体(B))
本発明において前駆体として用いられる、水酸基を有する有機重合体(B)は、有機重合体(A)と同じ主鎖骨格を有し、かつ、水酸基を有する重合体であれば特に限定されない。水酸基が結合する位置は特に限定されず、主鎖骨格の末端に結合していてもよいし、側鎖として主鎖骨格に結合していてもよい。また、有機重合体(B)が有する水酸基の個数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上であってもよい。
有機重合体(B)の数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算分子量として、3,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましく、3,000〜30,000が特に好ましい。数平均分子量が上記の範囲内であると、製造コストを適度な範囲内に抑えつつ、扱いやすい粘度を有し作業性に優れる有機重合体(B)を得やすい。
有機重合体(B)の分子量としては、JIS K 1557の水酸基価の測定方法と、JIS K 0070に規定されたよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に水酸基濃度を測定し、有機重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた末端基換算分子量で示すことも出来る。有機重合体(B)の末端基換算分子量は、重合体の一般的なGPC測定により求めた数平均分子量と上記末端基換算分子量の検量線を作成し、有機重合体(B)のGPCにより求めた数平均分子量を末端基換算分子量に換算して求めることも可能である。
有機重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、低粘度化が可能になることから、狭いことが好ましい。具体的には、2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。また、硬化物の耐久性や伸びを向上させる等、各種機械的物性を向上させる観点からは、1.2以下が好ましい。有機重合体(B)の分子量分布はGPC測定により得られる数平均分子量と重量平均分子量から求めることが出来る。
有機重合体(B)の製造方法は特に限定されず、公知の合成方法を使用することができるが、有機重合体(B)の主鎖骨格が、好ましい主鎖骨格であるポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、又は(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合について、その製造方法を以下に説明する。
(ポリオキシアルキレン系重合体)
有機重合体(B)の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体である場合、有機重合体(B)は、例えば、水酸基を有する開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得ることができる。
水酸基を有する開始剤としては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、低分子量のポリオキシプロピレングリコール、低分子量のポリオキシプロピレントリオール、アリルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、低分子量のポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、低分子量のポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル等の、水酸基を1個以上有する有機化合物が挙げられる。
モノエポキシドとしては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α-ブチレンオキサイド、β-ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。好ましくはプロピレンオキサイドである。
触媒としては特に限定されないが、例えば、KOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の公知の触媒を使用することができる。なかでも、複合金属シアン化物錯体触媒は、連鎖移動反応が少なく、高分子量でかつ分子量分布の狭い重合体が得られるため好ましい。また、数平均分子量の小さいポリオキシアルキレン系重合体に対し、塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH、NaOCH等を作用させ、さらに2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCHBrCl、CHCl、CHBr等を反応させることによる鎖延長反応によっても、高分子量のポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
(飽和炭化水素系重合体)
有機重合体(B)の主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどの、炭素原子数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させて重合体を得た後、得られた重合体の分子鎖末端に水酸基を導入する方法などが挙げられる。
((メタ)アクリル酸エステル系重合体)
有機重合体(B)の主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、重合性不飽和基と水酸基を有する化合物(例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)を、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとともに共重合する方法が挙げられる。他の方法として、原子移動ラジカル重合などのリビングラジカル重合法によって(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合して重合体を得た後、得られた重合体の分子鎖末端に水酸基を導入する方法などが挙げられる。
(メタルオキシ化反応)
本発明では、まず、水酸基(−OH)を有する有機重合体(B)に対し、塩基性化合物としてアルカリ金属塩を作用させて、アルカリ金属オキシ基(−OM)を有する有機重合体(C)を形成する。
前記アルカリ金属塩としては、有機重合体(B)が有する水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換できる作用を有する塩基性化合物であれば特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、およびセシウムアルコキシドなどが挙げられる。取り扱いの容易さと溶解性から、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、およびカリウムt−ブトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、およびカリウムメトキシドがより好ましい。入手性の点でナトリウムメトキシドが特に好ましい。アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で使用してもよい。
前記アルカリ金属塩の使用量は特に限定されず、目的の炭素−炭素三重結合導入率を考慮して適宜決定することができるが、例えば、有機重合体(B)が有する水酸基に対するモル比として、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましく、0.8以上がより更に好ましい。前記モル比は2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましい。アルカリ金属塩の使用量が少なすぎると、反応が十分に進行しない場合がある。逆に使用量が多すぎると、アルカリ金属塩が不純物として残留してしまい、副反応が進行してしまう可能性がある。
有機重合体(B)に対してアルカリ金属塩を作用させる際の反応温度を、第一温度とする。第一温度は、重合体の水酸基とアルカリ金属塩との反応性を考慮して当業者が適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば100℃以上180℃以下であってよい。有機重合体(B)が有する水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換する反応を速やかに進行させる観点から、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、125℃以上がさらに好ましく、130℃以上がより更に好ましい。また、有機重合体(B)の分解などを抑制する観点から、第一温度は170℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましく、140℃以下がより更に好ましい。
水酸基からアルカリ金属オキシ基への変換は平衡反応であるため、当該変換により生じるアルコール等の副生物を留去しながら前記変換反応を実施することが好ましい。アルコールを効率よく留去するために、減圧下で前記変換反応を実施することが好ましい。
(低温化工程)
本発明では、以上によりアルカリ金属オキシ基を有する有機重合体(C)を形成した後、該有機重合体(C)を含む系の温度を、前記第一温度から第二温度まで低下させる。第二温度は第一温度よりも低い温度であればよいが、第一温度よりも5℃以上低い温度であることが好ましく、10℃以上低い温度がより好ましく、30℃以上低い温度がさらに好ましく、50℃以上低い温度がより更に好ましい。このように比較的低い第二温度で次の炭素−炭素三重結合導入反応を行うことで、炭素−炭素三重結合の異性化反応が抑制され、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体を効率よく製造することが可能となる。
また、低温化工程における粘度上昇を緩和するために、この工程の前、または途中に溶媒を添加してもよい。溶媒については特に限定されないが、例えば、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、t−ブチルアルコール、t−ブチルメチルエーテル、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジグライム、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エチルメチルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの中では、扱いやすさから、ジエチルエーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、テトラヒドロフランが特に好ましい。
なお、特許文献1に記載されているような従来の方法では、水酸基を有する有機重合体に対しアルカリ金属塩を作用させた時の温度を維持し、その温度で炭素−炭素二重結合の導入反応も実施していた。炭素−炭素二重結合の導入においては、本発明で述べているような異性化反応は進行せず、同じ温度で二段階の反応を行うことに特段の問題は生じていなかった。これに対し、本願発明者は、炭素−炭素三重結合の導入反応には異性化反応が伴うことを見出し、これを抑制する手段として、炭素−炭素三重結合導入反応時の温度を低下させることが有効であることを見出したものである。
第二温度としては、メタルオキシ化反応時の第一温度よりも低く、かつ、炭素−炭素三重結合導入反応は進行しながら、副反応の異性化反応を抑制できる温度を当業者が適宜設定すればよい。具体的には、30℃以上120℃以下の範囲が好ましい。副反応の異性化反応を抑制しつつも、炭素−炭素三重結合導入反応を効率よく進行させる観点から、第二温度は40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましく、70℃以上がより更に好ましい。また、副反応の異性化反応を十分に抑制する観点から、第二温度は110℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下がさらに好ましく、80℃以下がより更に好ましく、70℃以下が特に好ましい。
(炭素−炭素三重結合導入反応)
本発明によると、以上のように有機重合体(C)を含む系の温度を、前記第一温度から第二温度まで低下させた後、求電子剤として、炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を当該系に添加し、第二温度で、有機重合体(C)と前記ハロゲン化炭化水素化合物間の反応を進行させることで、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)を形成する。
炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、特に限定されないが、例えば、塩化プロパルギル、1−クロロ−2−ブチン、4−クロロ−1−ブチン、1−クロロ−2−オクチン、1−クロロ−2−ペンチン、1,4−ジクロロ−2−ブチン、5−クロロ−1−ペンチン、6−クロロ−1−ヘキシン、臭化プロパルギル、1−ブロモ−2−ブチン、4−ブロモ−1−ブチン、1−ブロモ−2−オクチン、1−ブロモ−2−ペンチン、1,4−ジブロモ−2−ブチン、5−ブロモ−1−ペンチン、6−ブロモ−1−ヘキシン、ヨウ化プロパルギル、1−ヨード−2−ブチン、4−ヨード−1−ブチン、1−ヨード−2−オクチン、1−ヨード−2−ペンチン、1,4−ジヨード−2−ブチン、5−ヨード−1−ペンチン、および6−ヨード−1−ヘキシンなどが挙げられる。これらの中では、塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、およびヨウ化プロパルギルが好ましい。また、炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物に加えて、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、ヨウ化メタリルなどの、炭素−炭素二重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を添加、反応させてもよい。
炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物の使用量は、特に限定されず、使用するハロゲン化炭化水素化合物の反応性や、目的の炭素−炭素三重結合導入率を考慮して適宜決定することができる。具体的には、前記ハロゲン化炭化水素化合物の使用量は、有機重合体(B)が有する水酸基に対するモル比として、0.6以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましく、1.0以上が特に好ましい。また、前記モル比は5.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.0以下がさらに好ましく、1.5以下がより更に好ましい。
炭素−炭素三重結合導入反応の反応時間は特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、例えば、10分以上5時間以下であってよく、30分以上4時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下がより好ましい。
以上の反応により、有機重合体(B)が有する水酸基の水素原子が、炭素−炭素三重結合含有基に変換されて、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)を製造することができる。本発明によると、炭素−炭素三重結合含有基(例えばHC≡C−CH−)からアレン基(例えばHC=C=CH−)への異性化反応が抑制され、アレン基への異性化率が低く炭素−炭素三重結合の含有比率が高い有機重合体を取得することが可能となる。
以上により製造される炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)は、硬化剤や硬化触媒と共に用いて硬化性材料として利用することができる。また、以下で説明するとおり、加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造する際の前駆体として利用することもできる。
(加水分解性シリル基を有する有機重合体(D)の製造)
本発明の製造方法によって得られた炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)に対し、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応させて、加水分解性シリル基を重合体に導入することで、加水分解性シリル基を有する有機重合体(D)を製造することができる。
(加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物)
加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に限定されないが、下記一般式(1):
H−Si(R3−a(X) (1)
で表すことができる。式(1)中、Rは、炭素数1〜20の置換または非置換の一価の炭化水素基、または、(R′)SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を表す。前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。R′は、同一又は異なって、炭素数1〜20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。Xは水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。
としては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基などのアルキル基;クロロメチル基、メトキシメチル基などのヘテロ含有基を有するアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;R′がメチル基、フェニル基等である(R′)SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。好ましくはアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基であり、特に好ましくは、メチル基である。Rが複数存在する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
Xとしては、例えば、水酸基、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、およびアルケニルオキシ基などが挙げられる。加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから、Xはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Xとしては、一種類の基のみを使用してよいし、二種類以上の基を併用してもよい。
aは1、2、または3である。aとしては、2または3が好ましい。
前記加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物の具体例としては、例えば、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(クロロメチル)ジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロメチル)クロロシラン、(メトキシメチル)ジクロロシラン、(ジメトキシメチル)ジクロロシラン、ビス(メトキシメチル)クロロシランなどのハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、エチルジメトキシシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、(クロロメチル)メチルメトキシシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(クロロメチル)ジエトキシシラン、ビス(クロロメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)メチルメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、ビス(メトキシメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)ジエトキシシラン、(エトキシメチル)ジエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシラン、[(クロロメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(クロロメチル)ジエトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジエメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン等のアルコキシシラン類;ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシフェニルシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどのケトキシメートシラン類、トリイソプロペニロキシシラン、(クロロメチル)ジイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシラン等のイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)等が挙げられる。中でも、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、又はメトキシメチルジメトキシシランが好ましい。
前記加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物の使用量は、有機重合体(A)が有する炭素−炭素三重結合の量を考慮して適宜設定すればよい。具体的には、有機重合体(A)が有する炭素−炭素三重結合に対するヒドロシラン化合物のモル比は、反応性の観点から0.05以上10以下が好ましく、0.3以上2以下がより好ましい。
ヒドロシリル化反応は、反応促進のため、ヒドロシリル化触媒の存在下で実施することが好ましい。ヒドロシリル化触媒としては、特に限定されないが、コバルト、ニッケル、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属や、その錯体等を用いることができる。具体的には、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの、塩化白金酸;塩化白金酸とアルコールやアルデヒドやケトン等とからなる塩化白金酸錯体;白金−オレフィン錯体[例えばPt(CH=CH(PPh)、Pt(CH=CHCl];白金−ビニルシロキサン錯体[例えばPt{(vinyl)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}];白金−ホスフィン錯体[例えばPh(PPh、Pt(PBu];白金−ホスファイト錯体[例えばPt{P(OPh)]等が挙げられる。反応効率の点から、塩化白金酸、白金ビニルシロキサン錯体等の白金触媒が好ましい。また、白金触媒の活性を長時間維持するため、硫黄を加えることも好ましい。硫黄は、ヘキサン等の有機溶剤に溶解させた状態で添加することもできる。
ヒドロシリル化反応温度は、特に限定されず、当業者が適宜設定できるが、反応系の粘度を下げたり、反応性を向上させる目的で、常温より高い温度が好ましく、具体的には、50℃〜150℃がより好ましく、70℃〜120℃がさらに好ましい。特に70℃以上のヒドロシリル化反応温度は、ヒドロシリル化反応の反応効率の観点から好ましい。また、白金触媒添加時の異物生成を抑制する目的で、40〜70℃が好ましい。ヒドロシリル化反応中に温度を変化させても良い。
ヒドロシリル化反応の反応時間も適宜設定すればよいが、意図しない重合体の縮合反応が進行しないように、温度条件とともに反応時間を調整することが好ましい。具体的には、30分以上15時間以下が好ましく、30分以上8時間以下がより好ましい。
また、ヒドロシリル化反応は、オルトカルボン酸トリアルキルエステルの存在下で実施してもよい。これによって、ヒドロシリル化反応時の増粘を抑制し、得られる重合体の貯蔵安定性を改善することができる。オルトカルボン酸トリアルキルエステルとしては、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル等が挙げられる。好ましくはオルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリメチルである。その使用量は特に限定されないが、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)100重量部に対して0.1〜10重量部程度が好ましく、0.1〜3重量部程度がより好ましい。
以上の工程によって、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)に対するヒドロシリル化反応が進行し、1つの炭素−炭素三重結合に対して1又は2分子のヒドロシラン化合物が付加することで、加水分解性シリル基を有する有機重合体(D)を製造することができる。
以上により製造される加水分解性シリル基を有する有機重合体(D)は、加水分解性シリル基の加水分解・縮合させる反応を利用した硬化性樹脂として利用することができる。その際には、シラノール縮合触媒等を配合することができる。本発明により製造された加水分解性シリル基を有する有機重合体(D)は、加水分解性シリル基の加水分解・縮合反応によって、靱性などの物性に優れた硬化物を与えることができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中の数平均分子量は以下の条件で測定したGPC分子量である。
送液システム:東ソー製HLC−8220GPC
カラム:東ソー製TSKgel SuperHシリーズ
溶媒:THF
分子量:ポリスチレン換算
測定温度:40℃
実施例中の末端基換算分子量は、水酸基価をJIS K 1557の測定方法により、ヨウ素価をJIS K 0070の測定方法により求め、有機重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた分子量である。
(合成例1)
末端基換算分子量が約2,000のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、両末端に水酸基を有する数平均分子量27,900(末端基換算分子量17,700)、分子量分布Mw/Mn=1.21のポリオキシプロピレン(P−1)を得た。重合体(P−1)の粘度は、E型粘度計(東京計器、測定コーン:3°C×R14)で測定した結果、39.3Pa・sであった。
(実施例1)
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。130℃(第一温度)で真空脱揮によりメタノールを留去して、重合体が有する水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換した。次いで、系の温度を70℃(第二温度)に低下させ、この温度で、重合体(P−1)の水酸基に対して1.16モル当量の塩化プロパルギルを添加し、アルカリ金属オキシ基と2時間反応させることで、重合体にプロパルギル基を導入した。未反応の塩化プロパルギルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレン(Q−1)を得た。重合体(Q−1)の粘度をE型粘度計(東京計器、測定コーン:3°C×R14)で測定し、反応前後の粘度から増粘率を算出した。また、重合体(Q−1)のH NMR分析により、重合体中に導入されたアルキン基とアレン基のモル比を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。130℃(第一温度)で真空脱揮によりメタノールを留去して、重合体が有する水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換した。次いで、系の温度を100℃(第二温度)に低下させ、この温度で、重合体(P−1)の水酸基に対して1.16モル当量の塩化プロパルギルを添加し、アルカリ金属オキシ基と2時間反応させることで、重合体にプロパルギル基を導入した。未反応の塩化プロパルギルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレン(Q−2)を得た。重合体(Q−2)の粘度をE型粘度計(東京計器、測定コーン:3°C×R14)で測定し、反応前後の粘度から増粘率を算出した。また、重合体(Q−2)のH NMR分析により、重合体中に導入されたアルキン基とアレン基のモル比を算出した。結果を表1に示す。
(実施例3)
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。130℃(第一温度)で真空脱揮によりメタノールを留去して、重合体が有する水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換した。次いで、系の温度を120℃(第二温度)に低下させ、この温度で、重合体(P−1)の水酸基に対して1.16モル当量の塩化プロパルギルを添加し、アルカリ金属オキシ基と2時間反応させることで、重合体にプロパルギル基を導入した。未反応の塩化プロパルギルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレン(Q−3)を得た。重合体(Q−3)の粘度をE型粘度計(東京計器、測定コーン:3°C×R14)で測定し、反応前後の粘度から増粘率を算出した。また、重合体(Q−3)のH NMR分析により、重合体中に導入されたアルキン基とアレン基のモル比を算出した。結果を表1に示す。
(比較例1)
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。130℃(第一温度)で真空脱揮によりメタノールを留去して、重合体が有する水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換した。次いで、系の温度を130℃に維持しつつ、重合体(P−1)の水酸基に対して1.16モル当量の塩化プロパルギルを添加し、アルカリ金属オキシ基と2時間反応させることで、重合体にプロパルギル基を導入した。未反応の塩化プロパルギルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレン(Q−4)を得た。重合体(Q−4)の粘度をE型粘度計(東京計器、測定コーン:3°C×R14)で測定し、反応前後の粘度から増粘率を算出した。また、重合体(Q−4)のH NMR分析により、重合体中に導入されたアルキン基とアレン基のモル比を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2020171154
表1から明らかなように、実施例1〜3では、比較例1と比較して、アレン基のモル比が減少して、アルキン基のモル比が大幅に増加している。このことより、重合体の水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換する時の反応温度を低下させてから、その第二温度で炭素−炭素三重結合導入反応を実施することで、炭素−炭素三重結合の異性化反応を抑制して、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体を効率良く製造できることが分かる。また、実施例1〜3では、比較例1と比較して、反応後の増粘率が小さく、さらに重合体のアルカリ金属オキシ基を炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物と反応させる時の反応温度(第二温度)が低いほど反応後の増粘率が小さくなっている。つまり、重合体の水酸基をアルカリ金属オキシ基に変換する時の反応温度を低下させてから、その第二温度で炭素−炭素三重結合導入反応を実施することで、副反応による粘度上昇を抑制できることが分かる。
(実施例4)
実施例2で得られた末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレン(Q−2)500gに対して、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)150μL、およびトリメトキシシラン5.5gを添加し、ヒドロシリル化反応を実施した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去することにより、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレンを得た。

Claims (6)

  1. 炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)の製造方法であって、
    水酸基を有する有機重合体(B)に対し塩基性化合物としてアルカリ金属塩を第一温度で作用させて、アルカリ金属オキシ基を有する有機重合体(C)を形成する工程、
    前記有機重合体(C)を含む系の温度を、前記第一温度から第二温度まで低下させる工程、及び
    炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を前記系に添加し、前記有機重合体(C)と前記第二温度で反応させる工程、を含む、有機重合体(A)の製造方法。
  2. 前記第二温度が120℃以下の温度である、請求項1に記載の有機重合体(A)の製造方法。
  3. 前記有機重合体(A)は、ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格を有する、請求項1又は2に記載の有機重合体(A)の製造方法。
  4. 前記第一温度が125℃以上の温度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機重合体(A)の製造方法。
  5. 前記アルカリ金属塩が、アルカリ金属アルコキシドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機重合体(A)の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(A)を製造した後、該有機重合体(A)に、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物を反応させる工程を含む、加水分解性シリル基を有する有機重合体(D)の製造方法。
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