JP2020132768A - 加水分解性シリル基を有する有機重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素−炭素三重結合を有する有機重合体に対するヒドロシリル化反応によって、加水分解性シリル基を有する有機重合体を効率良く製造すること。【解決手段】炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)を含む系に、白金触媒(D)を、60℃以下の温度で混合し、前記有機重合体(B)を含む系に、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)を混合し、前記有機重合体(B)、前記ヒドロシラン化合物(C)、及び前記白金触媒(D)を含む系の温度をヒドロシリル化反応温度まで昇温してヒドロシリル化反応を進行させることで、加水分解性シリル基を有する有機重合体(A)を製造する。【選択図】なし
Description
本発明は、加水分解性シリル基を有する有機重合体の製造方法に関する。
加水分解性シリル基を有する有機重合体は、湿分反応性ポリマーとして知られており、接着剤、シーリング材、コーティング材、塗料、粘着剤などの多くの工業製品に含まれ、幅広い分野で利用されている。
このような加水分解性シリル基含有有機重合体としては、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などの主鎖骨格を有する重合体が知られている。中でもポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格を有する加水分解性シリル基含有重合体は、室温において比較的低粘度で取扱いやすく、また反応後に得られる硬化物も良好な弾性を示すなどの特徴から、その適用範囲は広い。
このような加水分解性シリル基含有有機重合体の合成方法としては、例えば、重合体が有する水酸基を炭素−炭素二重結合に変換した後、白金触媒の存在下で、前記炭素−炭素二重結合に対して、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応させることで、重合体に加水分解性シリル基を導入する方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。
本発明者らは、従来使用されていた炭素−炭素二重結合ではなく、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体に対し、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応させることで、加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造することを試みた。しかし、当該ヒドロシリル化反応を、炭素−炭素二重結合を有する有機重合体を出発原料として用いていた時に適用していた従来の反応条件下で実施すると、黒色異物が生成し、ヒドロシリル化反応が進行しないことが判明した。
本発明は、上記現状に鑑み、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体に対するヒドロシリル化反応によって、加水分解性シリル基を有する有機重合体を効率良く製造することを目的とする。
本発明者らが前述した黒色異物を分析したところ、当該黒色異物は、白金触媒を高濃度で含む高分子量重合化物であることが判明した。このことより、本発明者らは、ヒドロシリル化反応を進行させるための高い温度にて、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体に白金触媒を添加すると、白金触媒の濃度が局所的に高くなった領域で、炭素−炭素三重結合に白金触媒が配位して、炭素−炭素三重結合間でカップリング反応が進行してしまうことが、前記黒色異物を生成し、ヒドロシリル化反応の進行を阻害する原因になるものと考察した。
この考察に基づき、有機重合体への白金触媒の添加を、従来適用されていた反応条件のように高温下で行うのではなく、ヒドロシリル化反応温度よりも低い温度で行い、その後、系の温度をヒドロシリル化反応温度まで昇温してヒドロシリル化反応を進行させることで、前記黒色異物の生成が抑制され、加水分解性シリル基を有する有機重合体を効率良く製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、加水分解性シリル基を有する有機重合体(A)の製造方法であって、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)を含む系に、白金触媒(D)を、60℃以下の温度で混合する工程、前記有機重合体(B)を含む系に、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)を混合する工程、及び、前記有機重合体(B)、前記ヒドロシラン化合物(C)、及び前記白金触媒(D)を含む系の温度をヒドロシリル化反応温度まで昇温してヒドロシリル化反応を進行させる工程を含む、有機重合体(A)の製造方法に関する。
好ましくは、前記有機重合体(A)および前記有機重合体(B)は、ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格を有する。
好ましくは、前記ヒドロシリル化反応温度が、70℃以上である。
好ましくは、前記有機重合体(B)が、炭素−炭素三重結合を分子内に二個以上有する重合体分子を含む。
好ましくは、前記炭素−炭素三重結合が、末端アルキン構造であり、より好ましくは、プロパルギル基である。
好ましくは、前記ヒドロシラン化合物(C)が、下記一般式(1):
H−Si(R1)3−a(X)a (1)
(式中、R1は、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基、または、(R′)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を表す。前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。R′は、同一又は異なって、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。Xは水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、又は3である)で表される。
好ましくは、前記ヒドロシラン化合物(C)が、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、又はメトキシメチルジメトキシシランである。
好ましくは、前記白金触媒(D)が、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体である。
好ましくは、前記有機重合体(A)および前記有機重合体(B)は、ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格を有する。
好ましくは、前記ヒドロシリル化反応温度が、70℃以上である。
好ましくは、前記有機重合体(B)が、炭素−炭素三重結合を分子内に二個以上有する重合体分子を含む。
好ましくは、前記炭素−炭素三重結合が、末端アルキン構造であり、より好ましくは、プロパルギル基である。
好ましくは、前記ヒドロシラン化合物(C)が、下記一般式(1):
H−Si(R1)3−a(X)a (1)
(式中、R1は、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基、または、(R′)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を表す。前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。R′は、同一又は異なって、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。Xは水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、又は3である)で表される。
好ましくは、前記ヒドロシラン化合物(C)が、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、又はメトキシメチルジメトキシシランである。
好ましくは、前記白金触媒(D)が、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体である。
本発明によれば、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体に対するヒドロシリル化反応によって、加水分解性シリル基を有する有機重合体を効率良く製造することことができる。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明は、白金触媒(D)の存在下、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)と、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)をヒドロシリル化反応させることで、加水分解性シリル基を有する有機重合体(A)を製造する方法に関する。
(加水分解性シリル基を有する有機重合体(A))
加水分解性シリル基は、加水分解・縮合反応を経て互いに結合する反応性を有するシリル基を指し、例えば、一般式(2):
−Si(R1)3−a(X)a (2)
(式中、R1は、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基、または、(R′)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を表す。前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。R′は、同一又は異なって、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。Xは水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。)で表すことができる。
加水分解性シリル基は、加水分解・縮合反応を経て互いに結合する反応性を有するシリル基を指し、例えば、一般式(2):
−Si(R1)3−a(X)a (2)
(式中、R1は、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基、または、(R′)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を表す。前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。R′は、同一又は異なって、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。Xは水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。)で表すことができる。
R1としては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基などのアルキル基;クロロメチル基、メトキシメチル基などのヘテロ含有基を有するアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;R′がメチル基、フェニル基等である(R′)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。好ましくはアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基であり、特に好ましくは、メチル基である。R1が複数存在する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
Xとしては、例えば、水酸基、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、およびアルケニルオキシ基などが挙げられる。加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから、Xはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Xとしては、一種類の基のみを使用してよいし、二種類以上の基を併用してもよい。
aは1、2、または3である。aとしては、2または3が好ましい。
加水分解性シリル基としては特に限定されないが、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2−プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(クロロメチル)ジエトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、および(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシリル基などが挙げられる。これらの中では、ジメトキシメチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が良好な機械物性を有する硬化物が得られるため好ましい。活性の観点から、トリメトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基がより好ましく、トリメトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が特に好ましい。安定性の観点から、ジメトキシメチルシリル基、およびトリエトキシシリル基がより好ましく、ジメトキシメチルシリル基が特に好ましい。
有機重合体(A)の主鎖骨格は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。該主鎖骨格の種類は特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、およびポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などのポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンなどとの共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレンなどとの共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよびスチレンなどとの共重合体、ならびにこれらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体などの飽和炭化水素系重合体;ポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ならびに(メタ)アクリル酸系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびスチレンなどのモノマーをラジカル重合して得られる重合体などのビニル系重合体;前述の重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリアミド系重合体;ポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体;などの有機重合体が挙げられる。上記各重合体はブロック状、グラフト状などのように混在していてもよい。これらの中でも、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系重合体が比較的ガラス転移温度が低いことと、得られる硬化物が耐寒性に優れることとから好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体がより好ましい。
有機重合体(A)は、上記した各種主鎖骨格のうち、いずれか1種の主鎖骨格を有する重合体でもよく、異なる主鎖骨格を有する重合体の混合物でもよい。また、混合物については、それぞれ別々に製造された重合体の混合物でもよいし、任意の混合組成になるように各重合体が同時に製造された混合物でもよい。
有機重合体(A)の数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算分子量として、3,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましく、3,000〜30,000が特に好ましい。数平均分子量が上記の範囲内であると、加水分解性シリル基の導入量が適度であることにより、製造コストを適度な範囲内に抑えつつ、扱いやすい粘度を有し作業性に優れる有機重合体(A)を得やすい。
有機重合体(A)の分子量としては、加水分解性シリル基導入前の重合体前駆体を、JIS K 1557の水酸基価の測定方法と、JIS K 0070に規定されたよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に末端基濃度を測定し、重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた末端基換算分子量で示すことも出来る。有機重合体(A)の末端基換算分子量は、重合体前駆体の一般的なGPC測定により求めた数平均分子量と上記末端基換算分子量の検量線を作成し、有機重合体(A)のGPCにより求めた数平均分子量を末端基換算分子量に換算して求めることも可能である。
有機重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されない。分子量分布は狭いことが好ましく、2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。有機重合体(A)の分子量分布はGPC測定により得られる数平均分子量と重量平均分子量から求めることが出来る。
(炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B))
炭素−炭素三重結合の構造は特に限定されないが、ヒドロシリル化反応性の観点から末端アルキン構造が好ましく、プロパルギル基がより好ましい。特に、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)は、主鎖骨格の末端にプロパルギル基を有するものが好ましい。
炭素−炭素三重結合の構造は特に限定されないが、ヒドロシリル化反応性の観点から末端アルキン構造が好ましく、プロパルギル基がより好ましい。特に、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)は、主鎖骨格の末端にプロパルギル基を有するものが好ましい。
有機重合体(B)が有する炭素−炭素三重結合の個数は特に限定されないが、有機重合体(B)は1分子あたり平均して0.1〜10個の炭素−炭素三重結合を有することが好ましく、より好ましくは0.5〜6個である。有機重合体(B)が1分子中に2個以上の炭素−炭素三重結合を有する重合体分子を含む場合、ヒドロシリル化反応に際して従来の反応条件に従うと、上述した黒色異物が生じヒドロシリル化反応の進行が阻害される傾向が強まる。しかし、本発明の製造方法を適用すると、効率よくヒドロシリル化反応が進行して有機重合体(A)を製造することが可能になるので、1分子中に2個以上の炭素−炭素三重結合を有する重合体分子を含む有機重合体(B)に対して本発明を適用する意義は大きい。
有機重合体(B)の主鎖骨格は有機重合体(A)の主鎖骨格と同じであるので、上述の有機重合体(A)の主鎖骨格に対する説明を、有機重合体(B)の主鎖骨格についても適用することができる。
有機重合体(B)の製造方法は特に限定されず、公知の合成方法を使用することができるが、有機重合体(B)の主鎖骨格が、好ましい主鎖骨格であるポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、又は(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合について、その製造方法を以下に説明する。
(ポリオキシアルキレン系重合体)
有機重合体(B)の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体などの複合金属シアン化物錯体触媒を用いた、水酸基を有する開始剤にエポキシ化合物を重合させる方法によって水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体を得た後、得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に、炭素−炭素三重結合を導入する方法が好ましい。
有機重合体(B)の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体などの複合金属シアン化物錯体触媒を用いた、水酸基を有する開始剤にエポキシ化合物を重合させる方法によって水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体を得た後、得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に、炭素−炭素三重結合を導入する方法が好ましい。
水酸基を有する開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、低分子量のポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、アリルアルコール、ポリプロピレンモノアリルエーテル、およびポリプロピレンモノアルキルエーテルなどの水酸基を1個以上有する化合物が挙げられる。
エポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、およびプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、およびアリルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類などが挙げられる。これらの中でもプロピレンオキサイドが好ましい。
末端水酸基に炭素−炭素三重結合を導入する方法としては、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体に、アルカリ金属塩を作用させた後、炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法を用いるのが好ましい。アルカリ金属塩としては、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、およびセシウムアルコキシドなどが挙げられる。取り扱いの容易さと溶解性から、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、およびカリウムt−ブトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、およびカリウムメトキシドがより好ましい。入手性の点でナトリウムメトキシドが特に好ましい。アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で使用してもよい。
炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、塩化プロパルギル、1−クロロ−2−ブチン、4−クロロ−1−ブチン、1−クロロ−2−オクチン、1−クロロ−2−ペンチン、1,4−ジクロロ−2−ブチン、5−クロロ−1−ペンチン、6−クロロ−1−ヘキシン、臭化プロパルギル、1−ブロモ−2−ブチン、4−ブロモ−1−ブチン、1−ブロモ−2−オクチン、1−ブロモ−2−ペンチン、1,4−ジブロモ−2−ブチン、5−ブロモ−1−ペンチン、6−ブロモ−1−ヘキシン、ヨウ化プロパルギル、1−ヨード−2−ブチン、4−ヨード−1−ブチン、1−ヨード−2−オクチン、1−ヨード−2−ペンチン、1,4−ジヨード−2−ブチン、5−ヨード−1−ペンチン、および6−ヨード−1−ヘキシンなどが挙げられる。これらの中では、塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、およびヨウ化プロパルギルがより好ましい。また、炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物と同時に、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、およびヨウ化メタリルなどの炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物以外の不飽和結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を使用してもよい。
(飽和炭化水素系重合体)
有機重合体(B)の主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、およびイソブチレンなどのような炭素原子数2から6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させて重合体を得た後、得られた重合体の分子鎖末端に炭素−炭素三重結合を導入する方法などが挙げられる。
有機重合体(B)の主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、およびイソブチレンなどのような炭素原子数2から6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させて重合体を得た後、得られた重合体の分子鎖末端に炭素−炭素三重結合を導入する方法などが挙げられる。
((メタ)アクリル酸エステル系重合体)
有機重合体(B)の主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、重合性不飽和基と反応性官能基を有する化合物(例えば、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)を、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとともに共重合して重合体を得た後、得られた重合体が有する反応性官能基に炭素−炭素三重結合を導入する方法が挙げられる。他の方法として、原子移動ラジカル重合などのリビングラジカル重合法によって(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合して重合体を得た後、得られた重合体の分子鎖末端に炭素−炭素三重結合を導入する方法などが挙げられる。
有機重合体(B)の主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合、有機重合体(B)の製造方法としては、重合性不飽和基と反応性官能基を有する化合物(例えば、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)を、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとともに共重合して重合体を得た後、得られた重合体が有する反応性官能基に炭素−炭素三重結合を導入する方法が挙げられる。他の方法として、原子移動ラジカル重合などのリビングラジカル重合法によって(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合して重合体を得た後、得られた重合体の分子鎖末端に炭素−炭素三重結合を導入する方法などが挙げられる。
(加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C))
加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)としては特に限定されないが、下記一般式(1):
H−Si(R1)3−a(X)a (1)
で表すことができる。式中、R1、R′、X、及びaは、一般式(2)について上述したものと同様である。
加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)としては特に限定されないが、下記一般式(1):
H−Si(R1)3−a(X)a (1)
で表すことができる。式中、R1、R′、X、及びaは、一般式(2)について上述したものと同様である。
前記加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)の具体例としては、例えば、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(クロロメチル)ジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロメチル)クロロシラン、(メトキシメチル)ジクロロシラン、(ジメトキシメチル)ジクロロシラン、ビス(メトキシメチル)クロロシランなどのハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、エチルジメトキシシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、(クロロメチル)メチルメトキシシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(クロロメチル)ジエトキシシラン、ビス(クロロメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)メチルメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、ビス(メトキシメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)ジエトキシシラン、(エトキシメチル)ジエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシラン、[(クロロメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(クロロメチル)ジエトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジエメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン等のアルコキシシラン類;ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシフェニルシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどのケトキシメートシラン類、トリイソプロペニロキシシラン、(クロロメチル)ジイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシラン等のイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)等が挙げられる。中でも、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、又はメトキシメチルジメトキシシランが好ましい。
前記加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)の使用量は、有機重合体(B)が有する炭素−炭素三重結合の量を考慮して適宜設定すればよい。具体的には、有機重合体(B)が有する炭素−炭素三重結合に対するヒドロシラン化合物(C)のモル比は、反応性の観点から0.05以上10以下が好ましく、0.3以上2以下がより好ましい。
(白金触媒(D))
白金触媒(D)は、ヒドロシリル化反応を促進する触媒である。そのような触媒としては特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの、塩化白金酸;塩化白金酸とアルコールやアルデヒドやケトン等とからなる塩化白金酸錯体;白金−オレフィン錯体[例えばPt(CH2=CH2)2(PPh3)、Pt(CH2=CH2)2Cl2];白金ビニルシロキサン錯体[例えばPt{(vinyl)Me2SiOSiMe2(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}4];白金−ホスフィン錯体[例えばPh(PPh3)4、Pt(PBu3)4];白金−ホスファイト錯体[例えばPt{P(OPh)3}4]等が挙げられる。反応効率の点から、塩化白金酸、又は、白金ビニルシロキサン錯体が好ましく、中でも、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体が特に好ましい。また、白金触媒の活性を長時間維持するため、硫黄を加えることも好ましい。硫黄は、ヘキサン等の有機溶剤に溶解させた状態で添加することもできる。
白金触媒(D)は、ヒドロシリル化反応を促進する触媒である。そのような触媒としては特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの、塩化白金酸;塩化白金酸とアルコールやアルデヒドやケトン等とからなる塩化白金酸錯体;白金−オレフィン錯体[例えばPt(CH2=CH2)2(PPh3)、Pt(CH2=CH2)2Cl2];白金ビニルシロキサン錯体[例えばPt{(vinyl)Me2SiOSiMe2(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}4];白金−ホスフィン錯体[例えばPh(PPh3)4、Pt(PBu3)4];白金−ホスファイト錯体[例えばPt{P(OPh)3}4]等が挙げられる。反応効率の点から、塩化白金酸、又は、白金ビニルシロキサン錯体が好ましく、中でも、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体が特に好ましい。また、白金触媒の活性を長時間維持するため、硫黄を加えることも好ましい。硫黄は、ヘキサン等の有機溶剤に溶解させた状態で添加することもできる。
白金触媒(D)の使用量は特に限定されないが、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)に対し、白金重量換算で0.01ppmから1000ppmが好ましく、0.05ppmから100ppmがより好ましく、0.1ppmから50ppmが特に好ましい。
本発明の製造方法においては、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)を含む系に白金触媒(D)を比較的低温で混合した後、有機重合体(B)、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)、及び白金触媒(D)を含む系の温度を、比較的高温のヒドロシリル化反応温度まで昇温してヒドロシリル化反応を進行させる。ヒドロシラン化合物(C)を系に添加する時点は、白金触媒(D)を添加した後であることが、安全上、反応制御上の観点から好ましいが、本発明はこれに限定されず、白金触媒(D)を添加する前でもよいし、白金触媒(D)の添加と同時でもよい。以下では、白金触媒(D)を添加した後に、ヒドロシラン化合物(C)を添加する態様について具体的に説明する。
まず、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)に白金触媒(D)を比較的低温で混合し、混合物を得る。この時使用する有機重合体(B)及び白金触媒(D)はそれぞれ、適当な溶媒に希釈した状態であっても良いし、溶媒を含まない状態であっても良い。また、得られた混合物についても、溶媒に希釈した状態であっても良いし、溶媒を含まない状態であっても良い。
本発明によれば、有機重合体(B)と白金触媒(D)を混合する時の温度を60℃以下に設定する。該温度を60℃以下とすることで、白金触媒(D)によって有機重合体(B)の炭素−炭素三重結合間でカップリング反応が進行するのを抑制し、黒色異物の生成を回避することができる。有機重合体(B)と白金触媒(D)を混合する時の温度が60℃を超えると、炭素−炭素三重結合間でカップリング反応が進行して黒色異物が生成され、ヒドロシラン化合物(C)を添加してもヒドロシリル化反応が進行しない。前記混合時の温度は55℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。
以上により調製された有機重合体(B)と白金触媒(D)の混合物に対して、ヒドロシラン化合物(C)を添加し、混合した後、有機重合体(B)とヒドロシラン化合物(C)と白金触媒(D)を含む系の温度をヒドロシリル化反応温度まで昇温してヒドロシリル化反応を進行させる。添加するヒドロシラン化合物(C)は、適当な溶媒に希釈した状態であっても良いし、溶媒を含まない状態であっても良い。以上のとおり、有機重合体(B)と白金触媒(D)を混合する時の温度を、炭素−炭素三重結合間のカップリング反応が進行しにくい低温に抑えつつ、有機重合体(B)とヒドロシラン化合物(C)と白金触媒(D)の混合が完了してから、ヒドロシリル化反応が進行する温度まで昇温することで、炭素−炭素三重結合間のカップリング反応の進行、及びそれによる黒色異物の生成を抑制して、ヒドロシリル化反応を進行させることが可能になる。
ヒドロシリル化反応温度は、反応系の粘度を下げたり、反応性を向上させる目的で、60℃より高い温度が好ましく、具体的には、65℃〜150℃がより好ましく、70℃〜120℃がさらに好ましい。特に70℃以上のヒドロシリル化反応温度は、ヒドロシリル化反応の反応効率の観点から好ましい。また、70℃以上のヒドロシリル化反応温度で従来の反応条件に従うと炭素−炭素三重結合間のカップリング反応が進行しやすくなるが、本発明を適用することで当該カップリング反応を抑制することができるため好ましい。前記ヒドロシリル化反応温度は80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。
ヒドロシリル化反応の反応時間も適宜設定すればよいが、意図しない重合体の縮合反応が進行しないように、温度条件とともに反応時間を調整することが好ましい。具体的には、30分以上15時間以下が好ましく、30分以上8時間以下がより好ましい。
また、ヒドロシリル化反応は、オルトカルボン酸トリアルキルエステルの存在下で実施してもよい。これによって、ヒドロシリル化反応時の増粘を抑制し、得られる重合体の貯蔵安定性を改善することができる。オルトカルボン酸トリアルキルエステルとしては、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル等が挙げられる。好ましくはオルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリメチルである。その使用量は特に限定されないが、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)100重量部に対して0.1〜10重量部程度が好ましく、0.1〜3重量部程度がより好ましい。
以上の工程によって、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)に対するヒドロシリル化反応が進行し、1つの炭素−炭素三重結合に対して1又は2分子のヒドロシラン化合物(C)が付加することで、加水分解性シリル基を有する有機重合体(A)を製造することができる。
製造された加水分解性シリル基を有する有機重合体(A)は、加水分解性シリル基の加水分解・縮合させる反応を利用した硬化性樹脂として利用することができる。その際には、シラノール縮合触媒等を配合することができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中の数平均分子量は以下の条件で測定したGPC分子量である。
送液システム:東ソー製HLC−8120GPC
カラム:東ソー製TSK−GEL Hタイプ
溶媒:THF
分子量:ポリスチレン換算
測定温度:40℃
送液システム:東ソー製HLC−8120GPC
カラム:東ソー製TSK−GEL Hタイプ
溶媒:THF
分子量:ポリスチレン換算
測定温度:40℃
実施例中の末端基換算分子量は、水酸基価をJIS K 1557の測定方法により、ヨウ素価をJIS K 0070の測定方法により求め、有機重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた分子量である。
(合成例1)
数平均分子量が約2,000のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、両末端に水酸基を有する数平均分子量27,900(末端基換算分子量17,700)、分子量分布Mw/Mn=1.21のポリオキシプロピレン(P−1)を得た。得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して、さらに1.16モル当量の臭化プロパルギルを添加して末端の水酸基をプロパルギル基に変換した。未反応の臭化プロパルギルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレン(Q−1)を得た。
数平均分子量が約2,000のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、両末端に水酸基を有する数平均分子量27,900(末端基換算分子量17,700)、分子量分布Mw/Mn=1.21のポリオキシプロピレン(P−1)を得た。得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して、さらに1.16モル当量の臭化プロパルギルを添加して末端の水酸基をプロパルギル基に変換した。未反応の臭化プロパルギルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレン(Q−1)を得た。
(合成例2)
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して、さらに1.16モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のアリル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレン(Q−2)を得た。
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して、さらに1.16モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のアリル基末端ポリオキシプロピレンにn−ヘキサンと水を混合撹拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレン(Q−2)を得た。
(実施例1)
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを50℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。90℃で3時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−1)を得た。重合体(A−1)はトリメトキシシリル基を1分子中に平均2.0個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを50℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。90℃で3時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−1)を得た。重合体(A−1)はトリメトキシシリル基を1分子中に平均2.0個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
(実施例2)
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを50℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、メチルジメトキシシラン7.5gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。90℃で2時間反応させた後、未反応のメチルジメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にメチルジメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−2)を得た。重合体(A−2)はメチルジメトキシシリル基を1分子中に平均2.0個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを50℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、メチルジメトキシシラン7.5gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。90℃で2時間反応させた後、未反応のメチルジメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にメチルジメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−2)を得た。重合体(A−2)はメチルジメトキシシリル基を1分子中に平均2.0個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
(比較例1)
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを90℃に加温後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、ヒドロシリル化反応を実施した。前記白金錯体の仕込み時に、黒色異物の生成が確認された。90℃で3時間反応させたが、ヒドロシリル化反応は進行しなかった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを90℃に加温後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、ヒドロシリル化反応を実施した。前記白金錯体の仕込み時に、黒色異物の生成が確認された。90℃で3時間反応させたが、ヒドロシリル化反応は進行しなかった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
(比較例2)
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを70℃に加温後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。前記白金錯体の仕込み時に、黒色異物の生成が確認された。90℃で3時間反応させたが、ヒドロシリル化反応は進行しなかった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを70℃に加温後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。前記白金錯体の仕込み時に、黒色異物の生成が確認された。90℃で3時間反応させたが、ヒドロシリル化反応は進行しなかった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
(比較例3)
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを90℃に加温後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、メチルジメトキシシラン7.5gを添加し、ヒドロシリル化反応を実施した。前記白金錯体の仕込み時に、黒色異物の生成が確認された。90℃で3時間反応させたが、ヒドロシリル化反応は進行しなかった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
合成例1で得られた重合体(Q−1)500gを90℃に加温後、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、メチルジメトキシシラン7.5gを添加し、ヒドロシリル化反応を実施した。前記白金錯体の仕込み時に、黒色異物の生成が確認された。90℃で3時間反応させたが、ヒドロシリル化反応は進行しなかった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−1)の末端不飽和基(プロパルギル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
(参考例1)
合成例2で得られた重合体(Q−2)500gを50℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−3)を得た。重合体(A−3)はトリメトキシシリル基を1分子中に平均1.6個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−2)の末端不飽和基(アリル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
合成例2で得られた重合体(Q−2)500gを50℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加し、90℃に昇温してヒドロシリル化反応を実施した。90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−3)を得た。重合体(A−3)はトリメトキシシリル基を1分子中に平均1.6個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−2)の末端不飽和基(アリル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
(参考例2)
合成例2で得られた重合体(Q−2)500gを90℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加しヒドロシリル化反応を実施した。90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−3)を得た。重合体(A−3)はトリメトキシシリル基を1分子中に平均1.6個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−2)の末端不飽和基(アリル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
合成例2で得られた重合体(Q−2)500gを90℃に加温し、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを添加し混合後、トリメトキシシラン8.6gを添加しヒドロシリル化反応を実施した。90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、末端にトリメトキシシリル基を有する数平均分子量28,500のポリオキシプロピレン(A−3)を得た。重合体(A−3)はトリメトキシシリル基を1分子中に平均1.6個有することが分かった。ヒドロシリル化反応を行った際の1時間毎の重合体(Q−2)の末端不飽和基(アリル基)の消費率の推移をNMR測定により分析した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較的低温で炭素−炭素三重結合(プロパルギル基)を有する有機重合体に白金触媒を添加した後、ヒドロシリル化反応温度まで昇温してヒドロシラン化合物とのヒドロシリル化反応を実施した実施例1及び2では、炭素−炭素三重結合が短時間で消費され、効率よく、加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造することができた。
一方、高温のヒドロシリル化反応温度で炭素−炭素三重結合(プロパルギル基)を有する有機重合体に白金触媒を添加し、ヒドロシラン化合物とのヒドロシリル化反応を試みた比較例1〜3では、黒色異物が生成し、炭素−炭素三重結合は消費されず、即ちヒドロシリル化反応が進行せず、加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造することができなかった。
これら実施例及び比較例に対し、炭素−炭素二重結合(アリル基)を有する有機重合体に対するヒドロシリル化反応においては、低温で白金触媒を添加した参考例1、及び、高温で白金触媒を添加した参考例2のいずれにおいても、炭素−炭素二重結合は短時間で消費され、加水分解性シリル基を有する有機重合体が効率よく得られた。
このことより、炭素−炭素二重結合を有する有機重合体に対するヒドロシリル化反応においては、ヒドロシラン化合物に白金触媒を添加する時の温度は反応性に影響せず、添加時の温度に関わらず同じように反応が進行して加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造できることが分かる。また、黒色異物が生成しヒドロシリル化反応が進行しないという課題は、不飽和基として炭素−炭素二重結合を有する有機重合体に対するヒドロシリル化反応では存在せず、炭素−炭素三重結合を有する有機重合体に対するヒドロシリル化反応に特有のものであることが分かる。
Claims (9)
- 加水分解性シリル基を有する有機重合体(A)の製造方法であって、
炭素−炭素三重結合を有する有機重合体(B)を含む系に、白金触媒(D)を、60℃以下の温度で混合する工程、
前記有機重合体(B)を含む系に、加水分解性シリル基を有するヒドロシラン化合物(C)を混合する工程、及び、
前記有機重合体(B)、前記ヒドロシラン化合物(C)、及び前記白金触媒(D)を含む系の温度をヒドロシリル化反応温度まで昇温してヒドロシリル化反応を進行させる工程を含む、有機重合体(A)の製造方法。 - 前記有機重合体(A)および前記有機重合体(B)は、ポリオキシアルキレン系の主鎖骨格を有する、請求項1に記載の有機重合体(A)の製造方法。
- 前記ヒドロシリル化反応温度が、70℃以上である、請求項1又は2に記載の有機重合体(A)の製造方法。
- 前記有機重合体(B)が、炭素−炭素三重結合を分子内に二個以上有する重合体分子を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の有機重合体(A)の製造方法。
- 前記炭素−炭素三重結合が、末端アルキン構造である、請求項1〜4のいずれかに記載の有機重合体(A)の製造方法。
- 前記炭素−炭素三重結合が、プロパルギル基である、請求項1〜5のいずれかに記載の有機重合体(A)の製造方法。
- 前記ヒドロシラン化合物(C)が、下記一般式(1):
H−Si(R1)3−a(X)a (1)
(式中、R1は、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基、または、(R′)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を表す。前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。R′は、同一又は異なって、炭素数1から20の置換または非置換の一価の炭化水素基を表す。Xは水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、又は3である)
で表される、請求項1〜6のいずれかに記載の有機重合体(A)の製造方法。 - 前記ヒドロシラン化合物(C)が、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、又はメトキシメチルジメトキシシランである、請求項1〜7のいずれかに記載の有機重合体(A)の製造方法。
- 前記白金触媒(D)が、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体である、請求項1〜8のいずれかに記載の有機重合体(A)の製造方法。
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