JP2021055013A - 反応性ケイ素基含有重合体及び硬化性組成物 - Google Patents

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のどか 久保田
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Abstract

【課題】反応性ケイ素基含有重合体を含む硬化性組成物において反応性可塑剤として使用可能で、かつ、該硬化性組成物の高湿度条件下での残留タック、および硬化性を改善し得る、1個の末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体、及び、これを含む硬化性組成物を提供すること。【解決手段】一般式(1):−Si(R1)3−a(X)a(1)(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。)で表される反応性ケイ素基(a)を、重合体骨格の末端のうち1個の末端のみに有し、前記反応性ケイ素基(a)に隣接する原子が不飽和結合を有する、反応性ケイ素基含有重合体(A)。【選択図】なし

Description

本発明は、反応性可塑剤として作用し得る、1個の末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体、及び、これを含有する硬化性組成物に関する。
反応性ケイ素基含有重合体は、湿分反応性ポリマーとして知られており、接着剤、シーリング剤、コーティング剤、塗料、粘着剤等の多くの工業製品に含まれ、幅広い分野で利用されている。
このような反応性ケイ素基含有重合体としては、主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体や(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などの各種重合体が知られているが、中でもポリオキシアルキレン系重合体は、室温において比較的低粘度で取扱い易く、また反応後に得られる硬化物も良好な弾性を示すなどの特徴から、その適用範囲は広い。
このような反応性ケイ素基含有重合体を含む硬化性組成物において、可塑剤を使用することは一般的に行われている。しかし、一般的な可塑剤を用いた場合においては硬化物表面へのブリードアウトや、硬化物表面の残留タック等の問題があった。これらの問題を回避するため、反応性を有する可塑剤が使用されており、その一例として、片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体が知られている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
特許文献1では、片末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体の製造方法として、水酸基を1個有する重合開始剤にエポキシ化合物を重合させて片末端のみに水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体を合成した後、前記水酸基を炭素−炭素二重結合に変換し、該炭素−炭素二重結合とシラン化合物とのヒドロシリル化反応を行って片末端のみに反応性ケイ素基を導入する方法が開示されている。
特開2016−98302号公報 国際公開第2015/105122号
従来の反応性可塑剤を含む硬化性組成物は、高湿度条件下での残留タック、および硬化速度が十分ではなく、この点で改良する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、反応性ケイ素基含有重合体を含む硬化性組成物において反応性可塑剤として使用可能で、かつ、該硬化性組成物の高湿度条件下での残留タック、および硬化性を改善し得る、1個の末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体、及び、これを含む硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討した結果、1個の末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体として新規の重合体を合成し、これを反応性可塑剤として用いた硬化性組成物が、残留タックの低減、特に高湿度条件下での残留タックの低減を達成しながら、速硬化性を示すことを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、一般式(1):
−Si(R3−a(X) (1)
(式中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。)
で表される反応性ケイ素基(a)を、重合体骨格の末端のうち1個の末端のみに有し、前記反応性ケイ素基(a)に隣接する原子が不飽和結合を有する、反応性ケイ素基含有重合体(A)に関する。好ましくは、前記反応性ケイ素基含有重合体(A)が、一般式(2)〜(4):
Figure 2021055013

Figure 2021055013

Figure 2021055013

(式中、Rは2価の連結基を表し、前記Rが有する2つの結合手は、それぞれ、前記連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子に結合している。R、およびRは、それぞれ独立に、水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、またはシリル基を表す。R、X、およびaは前記の通りである。)
で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する。より好ましくは、前記反応性ケイ素基含有重合体(A)が、一般式(5)〜(7):
Figure 2021055013

Figure 2021055013

Figure 2021055013

(式中、R、X、およびaは前記の通りである。)
で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する。好ましくは、前記反応性ケイ素基(a)が、トリメトキシシリル基、および/または(メトキシメチル)ジメトキシシリル基である。また、好ましくは、前記反応性ケイ素基(a)が、ジメトキシメチルシリル基である。好ましくは、前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体である。
また本発明は、前記反応性ケイ素基含有重合体(A)、及び、反応性ケイ素基(b)を、重合体骨格の2個以上の末端に有する反応性ケイ素基含有重合体(B)、を含有する、硬化性組成物にも関する。前記反応性ケイ素基(b)に隣接する原子が不飽和結合を有しないものであってもよい。好ましくは、前記反応性ケイ素基(b)が、ジメトキシメチルシリル基である。より好ましくは、前記反応性ケイ素基(b)が、トリメトキシシリル基、および/または(メトキシメチル)ジメトキシシリル基である。好ましくは、前記反応性ケイ素基含有重合体(B)の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体である。好ましくは、前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の量が、前記反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して0.1〜200重量部である。好ましくは、前記硬化性組成物は、シラノール縮合触媒をさらに含有する。
さらに本発明は、硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にも関する。
本発明によれば、反応性ケイ素基含有重合体を含む硬化性組成物において反応性可塑剤として使用可能で、かつ、該硬化性組成物の高湿度条件下での残留タック、および硬化性を改善し得る、1個の末端のみに反応性ケイ素基を有する重合体、及び、これを含む硬化性組成物を提供することができる。
<<反応性ケイ素基含有重合体(A)>>
反応性ケイ素基含有重合体(A)は、一般式(1):
−Si(R3−a(X) (1)
(式中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。)
で表される反応性ケイ素基(a)を、重合体骨格の末端のうち1個の末端のみに有する。また、反応性ケイ素基含有重合体(A)において、反応性ケイ素基(a)に隣接する原子、即ちケイ素原子に結合する原子が、不飽和結合を有する。この点において、反応性ケイ素基含有重合体(A)は、従来報告されていない新規の反応性ケイ素基含有重合体である。
反応性ケイ素基含有重合体(A)において、反応性ケイ素基に隣接する原子が不飽和結合を有することによって、反応性ケイ素基の縮合反応性が顕著に高まる。このため、反応性ケイ素基についての上記の要件を満たす反応性ケイ素基含有重合体(A)は、高湿度条件下での残留タックを低減する効果を示す。
<反応性ケイ素基(a)>
反応性ケイ素基含有重合体(A)における反応性ケイ素基(a)は、一般式(1):
−Si(R3−a(X) (1)
(式中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。)
で表される。
は、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。Rとしての炭化水素基の炭素原子数としては、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。該炭化水素基は、無置換の炭化水素基であってもよいし、置換基を有する炭化水素基であってもよい。
としての炭化水素基が置換基として有してもよいヘテロ含有基は、ヘテロ原子を含む基である。ここで、炭素原子および水素原子以外の原子をヘテロ原子とする。
ヘテロ原子の好適な例としては、N、O、S、P、Si、およびハロゲン原子が挙げられる。ヘテロ含有基について、炭素原子数とヘテロ原子数との合計は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。
ヘテロ含有基の好適な例としては、水酸基;メルカプト基;Cl、Br、I、およびFなどのハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、およびイソプロピルオキシ基などのアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、およびイソプロピルチオ基などのアルキルチオ基;アセチル基、プロピオニル基、およびブタノイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、およびブタノイルオキシ基などのアシルオキシ基;アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、およびジエチルアミノ基などの置換または非置換のアミノ基;アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、およびジエチルアミノカルボニル基などの置換または非置換のアミノカルボニル基;シアノ基などが挙げられる。
がヘテロ含有基で置換された炭化水素基である場合、Rにおける炭素原子数とヘテロ原子数との合計は、2〜30が好ましく、2〜18がより好ましく、2〜10がさらに好ましく、2〜6が特に好ましい。
としての炭素原子数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチル−n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基などのアルキル基;ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、および4−ペンテニル基などのアルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、およびシクロオクチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフタレン−1−イル基、ナフタレン−2−イル基、o−フェニルフェニル基、m−フェニルフェニル基、およびp−フェニルフェニル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフタレン−1−イルメチル基、およびナフタレン−2−イルメチル基などのアラルキル基が挙げられる。
これらの炭化水素基が、前述のヘテロ含有基で置換された基も、Rとして好ましい。
の好適な例としては、例えば、メチル基、およびエチル基などのアルキル基;クロロメチル基、およびメトキシメチル基などのヘテロ含有基を有するアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などを挙げることができる。Rとしては、メチル基、メトキシメチル基、およびクロロメチル基が好ましく、メチル基、およびメトキシメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
Xとしては、例えば、水酸基、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、およびアルケニルオキシ基などが挙げられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいことからメトキシ基、およびエトキシ基などのアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
aは1、2、または3である。aとしては、2または3が好ましい。
反応性ケイ素基(a)としては、上記式(1)により表される基である限り特に限定されない。式(1)で表される反応性ケイ素基(a)としては、下記一般式(1−1):
−Si(R3−b(OR (1−1)
(式中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルコキシアルキル基、または−RN(Rで表されるN,N−ジアルキルアミノアルキル基であり、Rはメチレン基またはエチレン基であり、Rはメチル基またはエチル基であり、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、または炭素原子数2〜6のアシル基であり、bは2、または3である。)
で表される基が好ましい。
としての炭素原子数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、およびn−ヘキシル基などが挙げられる。これらの中では、メチル基、およびエチル基が好ましい。
としての炭素原子数1〜6のハロアルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、2−クロロエチル基、および2−ブロモエチル基などが挙げられる。これらの中では、クロロメチル基、およびブロモメチル基が好ましく、クロロメチル基がより好ましい。
としての炭素原子数2〜6のアルコキシアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、1−メトキシエチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基、n−プロピルオキシメチル基、および2−n−プロピルオキシエチル基などが挙げられる。これらの中では、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、およびエトキシメチル基が好ましく、メトキシメチル基がより好ましい。
としての、−RN(Rで表されるN,N−ジアルキルアミノアルキル基の具体例としては、N,N−ジメチルアミノメチル基、N,N−ジエチルアミノメチル基、2−N,N−ジメチルアミノエチル基、および2−N,N−ジエチルアミノエチル基などが挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノメチル基、およびN,N−ジエチルアミノメチル基が好ましく、N,N−ジエチルアミノメチル基がより好ましい。
としての炭素原子数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、およびn−ヘキシル基などが挙げられる。これらの中では、メチル基、およびエチル基が好ましい。
としての炭素原子数2〜6のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、および4−ペンテニル基などが挙げられる。これらの中では、ビニル基、および2−プロペニル基が好ましい。
としての炭素原子数2〜6のアシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、およびペンタノイル基が挙げられる。これらの中では、アセチル基が好ましい。
反応性ケイ素基(a)の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2−プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(クロロメチル)ジエトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、および(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシリル基などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中では、ジメトキシメチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が良好な機械物性を有する硬化物が得られるため好ましい。活性の観点から、トリメトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基がより好ましく、トリメトキシシリル基、および(メトキシメチル)ジメトキシシリル基が特に好ましい。安定性の観点から、ジメトキシメチルシリル基、およびトリエトキシシリル基がより好ましく、ジメトキシメチルシリル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)は、反応性ケイ素基(a)を、重合体骨格の末端のうち1個の末端のみに有する。重合体骨格の他の末端には、反応性ケイ素基を有していない。反応性ケイ素基含有重合体(A)は、重合体骨格の末端のうち1個の末端のみに反応性ケイ素基(a)を有する重合体分子から構成される重合体成分を指す用語であるが、反応性ケイ素基含有重合体(A)全体のなかには、前記重合体分子に加えて、反応性ケイ素基(a)を有しない重合体分子が含まれている場合もある。ここで、反応性ケイ素基含有重合体(A)は、複数の繰り返し単位から構成される重合体骨格と、該重合体骨格の末端に結合した末端構造を有する。前記重合体骨格とは、複数の繰り返し単位から構成される重合体主鎖のことを指す。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の1分子あたりの反応性ケイ素基(a)の数は、平均して0.3個以上が好ましく、0.5個以上がより好ましく、0.7個以上がさらに好ましい。また、0.8個を超えてもよい。上限は、1個以下が好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)において、反応性ケイ素基(a)に隣接する原子は不飽和結合を有する。反応性ケイ素基(a)に隣接する原子としては特に限定はないが、炭素が好ましい。不飽和結合としては、特に限定はないが、炭素−炭素二重結合が好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の重合体骨格の末端に結合した末端構造は、以下の一般式(2)〜(4)で表される少なくとも1種の構造であることが好ましい。
Figure 2021055013
Figure 2021055013
Figure 2021055013
(式中、Rは2価の連結基を表し、前記Rが有する2つの結合手は、それぞれ、前記連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子に結合している。R、およびRは、それぞれ独立に、水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、またはシリル基を表す。)
、X、aは、上記の記載と同様である。
は2価の連結基である。Rが有する2つの結合手は、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子に結合している。
ここで、Rが有する2つの結合手が、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子に結合しているとは、Rが有する2つの結合手が、それぞれ、連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子上に存在することを意味する。
2価の連結基の具体例としては、−(CH−、−O−(CH−、−S−(CH−、−NR−(CH−、−O−C(=O)−NR−(CH−、および−NR−C(=O)−NR−(CH−、などが挙げられる。これらの中では、−O−(CH−、−O−C(=O)−NR−(CH−、および−NR−C(=O)−NR−(CH−が好ましく、−O−CH−が原料が入手しやすいためより好ましい。Rは、水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基である。Rとしての炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、およびイソプロピル基などのアルキル基、フェニル基、およびナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基が挙げられる。nとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましく、0〜2の整数がさらに好ましく、0または1が特に好ましく、1が最も好ましい。
、およびRは、それぞれ独立に、水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、およびシリル基のいずれかである。アルキル基の炭素原子数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。アリール基の炭素原子数は、6〜12が好ましく、6〜10がより好ましい。アラルキル基の炭素原子数は、7〜12が好ましい。
、およびRとしては、具体的には、水素;メチル基、エチル基、およびシクロヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、およびトリル基などのアリール基;ベンジル基、およびフェネチル基などのアラルキル基;トリメチルシリル基などのシリル基が挙げられる。これらの中では、水素、メチル基、およびトリメチルシリル基が好ましく、水素、およびメチル基がより好ましく、水素がさらに好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の末端構造は、以下の一般式(5)〜(7)で表される少なくとも1種の構造であることがより好ましい。
Figure 2021055013

Figure 2021055013

Figure 2021055013
上記一般式(5)〜(7)において、R、X、およびaは、上記の記載と同様である。左端の酸素は、複数の繰り返し単位が連結して構成される重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位中の酸素、又は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位に結合した酸素を示す。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の末端構造は、以下の一般式(5−1)〜(7−1)で表される少なくとも1種の構造であることがより好ましい。
Figure 2021055013
Figure 2021055013
Figure 2021055013
上記一般式(5−1)〜(7−1)において、R、R、およびbは、上記の記載と同様である。左端の酸素は、複数の繰り返し単位が連結して構成される重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位中の酸素、又は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位に結合した酸素を示す。
<主鎖構造>
反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖構造は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。好ましくは、直鎖状である。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖骨格には特に制限はない。反応性ケイ素基含有重合体(A)としては、各種の主鎖骨格を持つ重合体を使用することができる。反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖骨格としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、およびポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などのポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンなどとの共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレンなどとの共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよびスチレンなどとの共重合体、ならびにこれらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体などの飽和炭化水素系重合体;ポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ならびに(メタ)アクリル酸系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびスチレンなどのモノマーをラジカル重合して得られる重合体などのビニル系重合体;前述の重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ポリアミド系重合体;ポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体;などの有機重合体が挙げられる。上記各重合体はブロック状、グラフト状などに混在していてもよい。これらの中でも、飽和炭化水素系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、比較的ガラス転移温度が低いことと、得られる硬化物が耐寒性に優れることとから好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体がより好ましく、ポリオキシプロピレンが特に好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)は、上記した各種主鎖骨格のうち、いずれか1種の主鎖骨格を有する重合体でもよく、異なる主鎖骨格を有する重合体の混合物でもよい。また、混合物については、それぞれ別々に製造された重合体の混合物でもよいし、任意の混合組成になるように同時に製造された混合物でもよい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、GPCにおけるポリスチレン換算分子量として、1,000〜50,000が好ましく、3,000〜20,000がより好ましく、3,000〜10,000が特に好ましい。数平均分子量が上記の範囲内であると、反応性ケイ素基(a)の導入量が適度であることにより、製造コストを適度な範囲内に抑えつつ、扱いやすい粘度を有し作業性に優れる反応性ケイ素基含有重合体(A)を得やすい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の分子量としては、反応性ケイ素基導入前の重合体前駆体を、JIS K 1557の水酸基価の測定方法と、JIS K 0070に規定されたよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に末端基濃度を測定し、重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた末端基換算分子量で示すことも出来る。反応性ケイ素基含有重合体(A)の末端基換算分子量は、重合体前駆体の一般的なGPC測定により求めた数平均分子量と上記末端基換算分子量の検量線を作成し、反応性ケイ素基含有重合体のGPCにより求めた数平均分子量を末端基換算分子量に換算して求めることも可能である。
反応性ケイ素基含有重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されない。分子量分布は狭いことが好ましく、2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下がさらにより好ましく、1.3以下が最も好ましい。反応性ケイ素基含有重合体(A)の分子量分布はGPC測定により得られる数平均分子量と重量平均分子量から求めることが出来る。
<反応性ケイ素基含有重合体(A)の合成方法>
次に、反応性ケイ素基含有重合体(A)の合成方法について説明する。反応性ケイ素基含有重合体(A)は、重合体骨格の末端のうち1個の末端にのみ反応性ケイ素基(a)を導入することが可能な前駆重合体に対し、反応性ケイ素基を導入することで合成できる。
(ポリオキシアルキレン系重合体)
反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体である場合には、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体などの複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、水酸基を1個有する開始剤にエポキシ化合物を重合させる方法によって水酸基を1個の末端のみに有するポリオキシアルキレン系重合体を得た後、(i)得られた水酸基を1個の末端のみに有するポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に炭素−炭素三重結合を導入して、炭素−炭素三重結合を有する前駆重合体を得た後、該前駆重合体の炭素−炭素三重結合に、反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応により付加させる方法、(ii)得られた水酸基を1個の末端のみに有するポリオキシアルキレン系重合体(前駆重合体)と、水酸基と反応する基(例えば、イソシアネート基)、反応性ケイ素基、および炭素−炭素二重結合を有する化合物とを反応させる方法、が好ましい。
これらの方法の中では、反応が簡便で、反応性ケイ素基の導入量の調整や、得られる反応性ケイ素基含有重合体の物性が安定であるため、(i)の方法がより好ましい。
これらの方法を用いることによって、炭素−炭素二重結合であるアリル基末端を有する重合体のヒドロシリル化では難しい、重合体末端への反応性ケイ素基の導入率が80%以上である反応性ケイ素基含有重合体を得ることができる。
水酸基を1個有する開始剤としては、ブタノール、アリルアルコール、低分子量のポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、低分子量のポリオキシプロピレンモノアルキルエーテルなどが挙げられる。
エポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、およびプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、およびアリルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類などが挙げられる。これらの中でもプロピレンオキサイドが好ましい。
炭素−炭素三重結合を含む基としては、アルキニル基が挙げられる。また、アルキニル基と同時に、ビニル基、アリル基、メタリル基などその他の不飽和基を水酸基末端に導入してもよい。
(i)の水酸基末端に炭素−炭素三重結合を導入する方法としては、水酸基を1個の末端のみに有する重合体に、アルカリ金属塩を作用させた後、炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法を用いるのが好ましい。アルカリ金属塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド等が挙げられる。取り扱いの容易さと溶解性から、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシドがより好ましい。入手性の点で、ナトリウムメトキシドが、反応性の点で、ナトリウムtert−ブトキシドが、それぞれ特に好ましい。アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で反応に供してもよい。
(i)の方法で用いる炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、塩化プロパルギル、1−クロロ−2−ブチン、4−クロロ−1−ブチン、1−クロロ−2−オクチン、1−クロロ−2−ペンチン、1,4−ジクロロ−2−ブチン、5−クロロ−1−ペンチン、6−クロロ−1−ヘキシン、臭化プロパルギル、1−ブロモ−2−ブチン、4−ブロモ−1−ブチン、1−ブロモ−2−オクチン、1−ブロモ−2−ペンチン、1,4−ジブロモ−2−ブチン、5−ブロモ−1−ペンチン、6−ブロモ−1−ヘキシン、ヨウ化プロパルギル、1−ヨード−2−ブチン、4−ヨード−1−ブチン、1−ヨード−2−オクチン、1−ヨード−2−ペンチン、1,4−ジヨード−2−ブチン、5−ヨード−1−ペンチン、および6−ヨード−1−ヘキシンなどが挙げられる。これらの中では、塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、およびヨウ化プロパルギルがより好ましい。また、炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物と同時に、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、およびヨウ化メタリルなどの、炭素−炭素二重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を使用してもよい。
(i)の方法で用いるヒドロシラン化合物としては、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、およびジクロロフェニルシランなどのハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、エチルジメトキシシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(クロロメチル)ジエトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、(メトキシメチル)ジエトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、および(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシランなどのアルコキシシラン類;ジアセトキシメチルシラン、およびジアセトキシフェニルシランなどのアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、およびビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどのケトキシメートシラン類;トリイソプロペニロキシシランなどのイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)などが挙げられる。
ヒドロシリル化反応は、反応促進のため、ヒドロシリル化触媒の存在下で実施することが好ましい。ヒドロシリル化触媒としては、コバルト、ニッケル、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の金属や、その錯体等が知られており、これらを用いることができる。具体的には、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの、塩化白金酸;塩化白金酸とアルコールやアルデヒドやケトン等とからなる塩化白金酸錯体;白金−オレフィン錯体[例えばPt(CH=CH(PPh)、Pt(CH=CHCl];白金−ビニルシロキサン錯体[例えばPt{(vinyl)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}];白金−ホスフィン錯体[例えばPh(PPh、Pt(PBu];白金−ホスファイト錯体[例えばPt{P(OPh)]等が挙げられる。反応効率の点から、塩化白金酸、白金ビニルシロキサン錯体等の白金触媒が好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル系重合体)
反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合には、反応性ケイ素基含有重合体(A)の製造方法としては、(I)重合性不飽和基と反応性官能基を有する化合物(例えば、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)を、(メタ)アクリル構造を有するモノマーとともに共重合して重合体を得た後、得られた重合体の1個の末端に炭素−炭素三重結合を導入し、次いで、ヒドロシリル化反応により炭素−炭素三重結合に反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物を付加させる方法、(II)原子移動ラジカル重合などのリビングラジカル重合法によって(メタ)アクリル構造を有するモノマーを重合して重合体を得た後、得られた重合体の1個の末端に炭素−炭素三重結合を導入し、次いで、ヒドロシリル化反応により炭素−炭素三重結合に反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物を付加させる方法などが挙げられる。
(飽和炭化水素系重合体)
反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖が飽和炭化水素系重合体である場合には、反応性ケイ素基含有重合体(A)の製造方法としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、およびイソブチレンなどの炭素原子数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させて重合体を得た後、得られた重合体の1個の末端に炭素−炭素三重結合を導入し、次いで、ヒドロシリル化反応により炭素−炭素三重結合に反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物を付加させる方法などが挙げられる。
<<反応性ケイ素基含有重合体(B))>>
本発明の硬化性組成物は、上述した反応性ケイ素基含有重合体(A)を反応性可塑剤として含有することに加えて、主要な硬化性樹脂として、反応性ケイ素基(b)を、重合体骨格の2個以上の末端に有する反応性ケイ素基含有重合体(B)を含有する。
本発明の一実施形態では、反応性ケイ素基含有重合体(B)において、反応性ケイ素基(b)に隣接する原子、即ちケイ素原子に結合する原子は、炭素−炭素二重結合などの不飽和結合を有しないものであってよい。つまり、反応性ケイ素基(b)に隣接する原子は、飽和結合のみによって他の原子と結合しているものであってよい。反応性ケイ素基(b)に隣接する原子としては特に限定はないが、炭素が好ましい。
本発明の別の実施形態では、反応性ケイ素基含有重合体(B)において、反応性ケイ素基(b)に隣接する原子、即ちケイ素原子に結合する原子は、炭素−炭素二重結合などの不飽和結合を有するものであってよい。反応性ケイ素基(b)に隣接する原子としては特に限定はないが、炭素が好ましい。不飽和結合としては、特に限定はないが、炭素−炭素二重結合が好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(B)は、複数の繰り返し単位から構成される重合体骨格と、該重合体骨格の末端に結合した末端構造を有する。前記重合体骨格とは、複数の繰り返し単位から構成される重合体主鎖のことをいう。反応性ケイ素基含有重合体(B)の重合体骨格は、直鎖状のものであってもよいし、分岐鎖状のものであってもよい。直鎖状の重合体骨格は、硬化性組成物の硬化物の伸びが高い点で好ましく、分岐鎖状の重合体骨格は、硬化性組成物の硬化物の強度が高い点で好ましい。反応性ケイ素基含有重合体(B)の重合体骨格がポリオキシアルキレン系重合体である場合、直鎖状の重合体骨格は、重合体骨格を形成するための重合方法において、1分子中に2個の水酸基を有する開始剤を使用することによって形成でき、分岐鎖状の重合体骨格は、1分子に3個又はそれ以上の水酸基を有する開始剤を使用することによって形成できる。
前記重合体骨格は、互いに連結した複数の繰り返し単位のみから構成される重合体骨格であるか、または、当該複数の繰り返し単位に加えて、重合時に使用される開始剤に由来する構造も含み、これらのみから構成される重合体骨格であることが好ましい。反応性ケイ素基含有重合体(B)の重合体骨格がポリオキシアルキレン系重合体である場合、繰り返し単位とは、オキシアルキレン単位を指し、例えば、炭素原子数2〜6、好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン単位のことをいう。
前記末端構造とは、重合体骨格を構成する繰り返し単位を含まない部位であって、前記重合体骨格の末端に結合した部位を指す。反応性ケイ素基含有重合体(B)の重合体骨格がポリオキシアルキレン系重合体である場合、前記末端構造は、酸素原子を介して、前記重合体骨格の端に位置するオキシアルキレン単位に結合していることが好ましい。また、反応性ケイ素基含有重合体(B)が有する反応性ケイ素基(b)は、末端構造中に含まれていることが好ましい。この時、各末端構造がそれぞれ反応性ケイ素基を含むものであってもよいし、反応性ケイ素基を含む末端構造と、反応性ケイ素基を含まない末端構造が併存してもよい。
反応性ケイ素基含有重合体(B)は、反応性ケイ素基(b)を、重合体骨格の2個以上の末端に有する。反応性ケイ素基含有重合体(B)の重合体骨格が直鎖状である場合、反応性ケイ素基含有重合体(B)は反応性ケイ素基(b)を重合体骨格の両末端に有するということができる。反応性ケイ素基含有重合体(B)は、重合体骨格の2個以上の末端に反応性ケイ素基(b)を有する重合体分子から構成される重合体成分を指す用語であるが、反応性ケイ素基含有重合体(B)全体のなかには、前記重合体分子に加えて、重合体骨格の1個の末端にのみ反応性ケイ素基(b)を有する重合体分子、及び/又は、反応性ケイ素基(b)を有しない重合体分子が含まれている場合もある。
反応性ケイ素基含有重合体(B)の1分子あたりの反応性ケイ素基(b)の数は、平均して1個を超えることが好ましく、1.1個以上がより好ましく、1.3個以上がさらに好ましく、1.5個以上が特に好ましい。上限は、5個以下が好ましく、3個以下がより好ましく、2個以下がさらに好ましい。
また、反応性ケイ素基含有重合体(B)1分子における重合体骨格の末端の数に対する反応性ケイ素基(b)の数の平均比率は、特に限定されず、1.0以下であってもよいし、1.0より多くてもよい。本発明では特に1.0以下が好適であり、0.2以上0.9以下がより好ましく、0.3以上0.8以下がさらに好ましい。該平均比率の数値は、実施例で記載した方法により決定することができる。また、実施例で記載した方法以外でも、前記平均比率の数値は、反応性ケイ素基含有重合体(B)のGPC測定及びNMR測定の結果から算出することもできる。
本願明細書において、前記重合体骨格の末端の数に対する反応性ケイ素基の数の平均比率とは、重合体骨格の末端構造1個あたりに平均して含まれる反応性ケイ素基の数を指し、重合体1分子中の反応性ケイ素基の平均数/重合体1分子中の重合体骨格の末端の数で表される。重合体1分子中の重合体骨格の末端の数は、重合体骨格が全て直鎖状の場合、2となり、重合体骨格が全て分岐鎖状の場合、3又はそれ以上となる。また、重合体骨格が直鎖状と分岐鎖状の混合物である場合には、2から3の間にもなり得る。
反応性ケイ素基含有重合体(B)が有する反応性ケイ素基(b)は、下記一般式(11):
−SiR11 3−c (11)
で表すことができる。
11は置換または無置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。ここで、前記炭素原子数は1〜10が好ましく、炭素原子数1〜8がより好ましく、炭素原子数1〜6がさらに好ましく、炭素原子数1〜3がより更に好ましく、炭素原子数1又は2が特に好ましい。前記炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基としては特に限定されないが、例えば、クロロ基等のハロゲン基、メトキシ基等のアルコキシ基、N,N−ジエチルアミノ基等のアミノ基が挙げられる。
11としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基等の無置換のアルキル基;クロロメチル基、メトキシメチル基、N,N−ジエチルアミノメチル基等の置換アルキル基;ビニル基、イソプロペニル基、アリル基などの不飽和炭化水素基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トルイル基、1−ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。好ましくは置換又は無置換のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基であり、さらに好ましくは、メチル基、メトキシメチル基であり、特に好ましくは、メチル基である。R11としては、一種類の基のみを使用してよいし、二種類以上の基を併用してもよい。
Yは水酸基または加水分解性基を表す。Yとしては、例えば、水酸基、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。前記のアルコキシ基等は、置換基を有していてもよい。加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Yとしては、一種類の基のみを使用してよいし、二種類以上の基を併用してもよい。
式(11)中のcは、1、2または3である。好ましくは2又は3である。硬化性組成物の硬化性と、硬化物の物性とのバランスの面で、より好ましくは2である。
一般式(11)で表される反応性ケイ素基(b)としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2−プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメトキシエチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(クロロメチル)ジエトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシリル基等が挙げられる。なかでも、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基等が挙げられる。反応性の観点からは、トリメトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基がより好ましい。安定性の観点からは、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基がより好ましい。また、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基は、製造が容易であるためより好ましい。中でも、メチルジメトキシシリル基が最も好ましい。
特に、反応性ケイ素基含有重合体(A)と反応性ケイ素基含有重合体(B)を含有する硬化性組成物における反応性ケイ素基(a)と反応性ケイ素基(b)の好ましい組み合わせは、反応性ケイ素基(a)がトリメトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、及び(メトキシメチル)ジメトキシシリル基から選択される少なくとも1つの基であり、かつ、反応性ケイ素基(b)がメチルジメトキシシリル基、及びトリエトキシシリル基から選択される少なくとも1つの基である場合である。さらに好ましい組み合わせは、反応性ケイ素基(a)がトリメトキシシリル基であり、かつ、反応性ケイ素基(b)がメチルジメトキシシリル基である場合である。この組み合わせとすることにより高湿度条件での残留タックをより低減させることができる。
反応性ケイ素基含有重合体(B)において、反応性ケイ素基(b)を有する末端構造は、特に限定されないが、代表的なものとして、次のような一般式(13)又は(14)で表される末端構造や、反応性ケイ素基含有重合体(A)に関して上述した一般式(2)〜(4)のいずれか(好ましくは、上述した一般式(5)〜(7)のいずれか、より好ましくは、上述した一般式(5−1)〜(7−1)のいずれか)で表される末端構造等が挙げられる。
−O−R13−CH(R14)−CH−SiR11 3−c (13)
式中、R13は、直接結合、又は炭素原子数1〜4の2価の炭化水素基を表し、R14は水素または炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。左端の酸素は、複数の繰り返し単位が連結して構成される重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位中の酸素、又は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位に結合した酸素を示す。R11、Y、及びcは、式(11)について上述したものと同じである。
13としては、炭素原子数1〜3の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜2の炭化水素基がより好ましい。該炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基を使用することができる。メチレン基が特に好ましい。
14としては、水素または炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、水素または炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R14としては、水素、メチル基、エチル基が好ましく、水素、メチル基がより好ましい。
Figure 2021055013
式中、R15は、直接結合、又は炭素原子数1〜6の2価の結合基である。R16は水素、または炭素原子数1〜10の炭化水素基である。nは1から10の整数である。左端の酸素は、複数の繰り返し単位が連結して構成される重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位中の酸素、又は、前記重合体骨格の末端に位置する繰り返し単位に結合した酸素を示す。R11、R13、R14、Y、及びcは、式(11)及び(13)について上述したものと同じである。
15としては、炭素原子数1〜6の2価の有機基であってよい。該有機基は、炭化水素基、又は、酸素原子を含む炭化水素基が好ましい。前記炭素原子数は1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。好ましくは、CHOCH、CHO、CHであり、より好ましくは、CHOCHである。
16としては、水素、または炭素原子数1〜5の炭化水素基が好ましく、水素、または炭素原子数1〜3の炭化水素基がより好ましく、水素、または炭素原子数1〜2の炭化水素基がさらに好ましい。特に好ましくは、水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(14)で表される末端構造は、重合体骨格の1個の末端に結合した1個の末端構造を表すものである。式(14)中には2以上の反応性ケイ素基が示されているが、式(14)は、2以上の末端を示すものではなく、1個の末端構造の中に、2以上の反応性ケイ素基が存在していることを示すものである。また、式(14)中には、左端の酸素を除いて、オキシアルキレン単位等の繰り返し単位から構成される重合体骨格は含まれていない。つまり、式(14)中にn個存在するカッコ内の構造は、重合体骨格中の繰り返し単位に該当するものではない。
<主鎖構造>
反応性ケイ素基含有重合体(B)の主鎖構造は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。
反応性ケイ素基含有重合体(B)の主鎖骨格には特に制限はない。反応性ケイ素基含有重合体(B)としては、各種の主鎖骨格を持つ重合体を使用することができる。反応性ケイ素基含有重合体(B)の主鎖骨格としては、例えば、反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖骨格について例示したものが挙げられる。その中でも、飽和炭化水素系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系重合体が、比較的ガラス転移温度が低いことと、得られる硬化物が耐寒性に優れることとから好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体がより好ましく、ポリオキシプロピレンが特に好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(B)は、上記した各種主鎖骨格のうち、いずれか1種の主鎖骨格を有する重合体でもよく、異なる主鎖骨格を有する重合体の混合物でもよい。また、混合物については、それぞれ別々に製造された重合体の混合物でもよいし、任意の混合組成になるように同時に製造された混合物でもよい。
反応性ケイ素基含有重合体(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、GPCにおけるポリスチレン換算分子量として、3,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましく、3,000〜30,000が特に好ましい。数平均分子量が上記の範囲内であると、反応性ケイ素基(b)の導入量が適度であることにより、製造コストを適度な範囲内に抑えつつ、扱いやすい粘度を有し作業性に優れる反応性ケイ素基含有重合体(B)を得やすい。
反応性ケイ素基含有重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、狭いことが好ましい。具体的には2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましい。反応性ケイ素基含有重合体(B)の分子量及び分子量分布は、反応性ケイ素基含有重合体(A)の場合と同様に求めることができる。
<反応性ケイ素基含有重合体(B)の製造方法>
次に反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造する方法について説明する。反応性ケイ素基含有重合体(B)は、重合体骨格の2個以上の末端に反応性ケイ素基(b)を導入することが可能な前駆重合体に対し、反応性ケイ素基を導入することで製造できる。
以下では、主鎖がポリオキシアルキレン系重合体である場合の反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造する方法の実施形態を詳述するが、反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造する方法は以下の記載に限定されるものではない。
主鎖がポリオキシアルキレン系重合体である場合の反応性ケイ素基含有重合体(B)は、2個以上の末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(C)に対し、水酸基の反応性を利用してオレフィン基を導入して、オレフィン基を有する前駆重合体を得た後、該前駆重合体に、該オレフィン基との反応性を有する反応性ケイ素基含有化合物を反応させて反応性ケイ素基を導入することで製造できる。
(重合)
ポリオキシアルキレン系重合体の重合体骨格は、従来公知の方法によって、2個以上の水酸基を有する開始剤にエポキシ化合物を重合させることで形成することができ、これによって2個以上の末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(C)が得られる。具体的な重合方法としては特に限定されないが、分子量分布(Mw/Mn)の小さい水酸基末端重合体が得られることから、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体等の複合金属シアン化物錯体触媒を用いた重合方法が好ましい。
2個以上の水酸基を有する開始剤としては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、低分子量のポリオキシプロピレングリコール、低分子量のポリオキシプロピレントリオールなどが挙げられる。
前記エポキシ化合物としては特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等が挙げられる。好ましくはプロピレンオキサイドである。
(アルカリ金属塩との反応)
2個以上の末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(C)に対しオレフィン基を導入するにあたっては、まず、ポリオキシアルキレン系重合体(C)に対しアルカリ金属塩を作用させて末端の水酸基をメタルオキシ基に変換することが好ましい。また、アルカリ金属塩の代わりに、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることもできる。以上によって、メタルオキシ基末端ポリオキシアルキレン系重合体(D)が形成される。
前記アルカリ金属塩としては特に限定されないが、例えば、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、水酸化セシウム、セシウムアルコキシド等が挙げられる。取り扱いの容易さと溶解性から、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシドがより好ましい。入手性の点で、ナトリウムメトキシドが好ましい。アルカリ金属塩は溶剤に溶解した状態で反応に供してもよい。
(求電子剤(E)との反応)
以上のようにして得られたメタルオキシ基末端ポリオキシアルキレン系重合体(D)に対し、オレフィン基を有する求電子剤(E)を作用させることで、メタルオキシ基を、オレフィン基を含む構造に変換することができる。これにより、2個以上の末端構造中にオレフィン基を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)が形成される。
オレフィン基を有する求電子剤(E)としては、ポリオキシアルキレン系重合体(D)が有する前記メタルオキシ基と反応し、ポリオキシアルキレン系重合体にオレフィン基を導入できる化合物であれば特に限定されないが、例えば、オレフィン基を有する有機ハロゲン化物や、オレフィン基を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
求電子剤(E)の一態様である、前記オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(E1)は、ハロゲンの置換反応によって前記メタルオキシ基と反応してエーテル結合を形成して、ポリオキシアルキレン系重合体の末端構造としてオレフィン基を含む構造を導入することができる。オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(E1)は、限定されるものではないが、下記一般式(15):
Z−R13−C(R14)=CH (15)
で表すことができる。式中、R13及びR14は、それぞれ、一般式(13)について上述したR13及びR14と同じ基である。Zは、ハロゲン原子を表す。当該有機ハロゲン化物(E1)を反応させて得られた、末端構造中にオレフィン基を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)に対して、後に説明する反応性ケイ素基の導入を行うと、前記一般式(13)で表される末端構造が形成され得る。
オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(E1)の具体例としては、特に限定されないが、塩化ビニル、塩化アリル、塩化メタリル、臭化ビニル、臭化アリル、臭化メタリル、ヨウ化ビニル、ヨウ化アリル、ヨウ化メタリル等が挙げられる。取り扱いの容易さから、塩化アリル、塩化メタリルが好ましい。また、重合体骨格の末端の数に対する反応性ケイ素基の数の平均比率が向上することから、塩化メタリル、臭化メタリル、ヨウ化メタリルが好ましい。
また、オレフィン基を有する有機ハロゲン化物(E1)としては、反応性ケイ素基含有重合体(A)の製造に関して上述した炭素−炭素三重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を使用することもできる。当該化合物を反応させて得られたポリオキシアルキレン系重合体(F)は、重合体骨格の2個以上の末端に、炭素−炭素三重結合を有する。このような重合体(F)に対して反応性ケイ素基の導入を行うと、反応性ケイ素基に隣接する原子は炭素−炭素二重結合を有することになり、前記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される末端構造が形成される。
求電子剤(E)の別の態様である、前記オレフィン基を有するエポキシ化合物(E2)は、エポキシ基の開環付加反応によって前記メタルオキシ基と反応してエーテル結合を形成して、ポリオキシアルキレン系重合体の末端構造としてオレフィン基と水酸基を含む構造を導入することができる。前記開環付加反応においては、前記メタルオキシ基に対するエポキシ化合物(E2)の使用量や反応条件を調節することで、1つのメタルオキシ基に対して、単数又は複数のエポキシ化合物(E2)を付加させることができる。
前記オレフィン基を有するエポキシ化合物(E2)は、限定されるものではないが、下記一般式(16):
Figure 2021055013
で表すことができる。式中、R15及びR16は、それぞれ、一般式(14)について上述したR15及びR16と同じ基である。
オレフィン基を有するエポキシ化合物(E2)の具体例としては、特に限定されないが、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエンモノオキシドが反応活性の点から好ましく、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
以上のようにメタルオキシ基末端ポリオキシアルキレン系重合体(D)に対しオレフィン基を有するエポキシ化合物(E2)を作用させると、エポキシ基の開環によって新たにメタルオキシ基が生成する。そのため、該エポキシ化合物(E2)を作用させた後、連続的に、前述したオレフィン基を有する有機ハロゲン化物(E1)を作用させることもできる。この実施形態で用いるオレフィン基を有する有機ハロゲン化物(E1)としては、前述したものと同じ化合物を使用することができ、また、その使用量や反応温度についても上記と同様である。この方法は、重合体へのオレフィン基の導入量、および反応性ケイ素基の導入量をより高めることができるため好ましい。エポキシ化合物(E2)と有機ハロゲン化物(E1)を併用する方法により得られた、末端構造中にオレフィン基を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)に対して、次に説明する反応性ケイ素基の導入を行うと、前記一般式(14)で表される末端構造が形成され得る。
(反応性ケイ素基の導入)
以上によって得られた末端構造中にオレフィン基を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)(前駆重合体)に対し、反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物(G)をヒドロシリル化反応させることで、重合体に反応性ケイ素基を導入することができる。これにより、主鎖がポリオキシアルキレン系重合体である反応性ケイ素基含有重合体(B)が製造される。ヒドロシリル化反応には、簡便に実施できることに加え、反応性ケイ素基の導入量の調整が容易であり、また、得られる重合体の物性が安定している利点がある。
前記反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物(G)の具体例としては、トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(クロロメチル)ジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロメチル)クロロシラン、(メトキシメチル)ジクロロシラン、(ジメトキシメチル)ジクロロシラン、ビス(メトキシメチル)クロロシランなどのハロシラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、エチルジメトキシシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、(クロロメチル)メチルメトキシシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(クロロメチル)ジエトキシシラン、ビス(クロロメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)メチルメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシラン、ビス(メトキシメチル)メトキシシラン、(メトキシメチル)ジエトキシシラン、(エトキシメチル)ジエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノメチル)ジエトキシシラン、[(クロロメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(クロロメチル)ジエトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(メトキシメチル)ジエメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン、[(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシリルオキシ]ジメチルシラン等のアルコキシシラン類;ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシフェニルシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランなどのケトキシメートシラン類、トリイソプロペニロキシシラン、(クロロメチル)ジイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシラン等のイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)等が挙げられる。
ヒドロシリル化反応は、反応促進のため、ヒドロシリル化触媒の存在下で実施することが好ましい。具体的なヒドロシリル化触媒としては、上述した各化合物を使用することができる。
反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造するための別の方法として、2個以上の末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(C)(前駆重合体)に対し、一分子中に反応性ケイ素基およびイソシアネート基を有する化合物(H)を作用させて、ウレタン結合を形成させて反応性ケイ素基を導入する方法も適用することができる。この方法によっても、反応性ケイ素基(b)を重合体骨格の2個以上の末端に有する反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造できる。
一分子中に反応性ケイ素基およびイソシアネート基を有する化合物(H)としては、ポリオキシアルキレン系重合体(C)が有する水酸基とのウレタン化反応が可能なイソシアネート基と、反応性ケイ素基を一分子中に併せ有する化合物であれば特に限定されないが、具体例としては、(3−イソシアネートプロピル)トリメトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)ジメトキシメチルシラン、(3−イソシアネートプロピル)トリエトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)ジエトキシメチルシラン、(イソシアネートメチル)トリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)トリエトキシシラン、(イソシアネーメチル)ジメトキシメチルシラン、(イソシアネートメチル)ジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
ウレタン化反応は、ウレタン化触媒を使用せずに実施してもよいが、反応速度を向上させたり反応率を向上させる目的で、ウレタン化触媒の存在下で実施してもよい。このようなウレタン化触媒としては、例えば、Polyurethanes: Chemistry and Technology,Part I,Table 30,Chapter 4,Saunders and Frisch,Interscience Publishers,New York,1963に列挙されている触媒など、従来公知のウレタン化触媒を使用できる。具体的には、有機錫化合物、ビスマス化合物、有機アミン等の塩基触媒等が挙げられるが、これらに限定されない。
反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造するためのさらに別の方法として、2個以上の末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体(C)に対し、過剰のポリイソシアネート化合物(I)を反応させて、末端にイソシアネート基を有する重合体(前駆重合体)とした後、該前駆重合体に対し、イソシアネート基と反応する基(例えば、アミノ基)および反応性ケイ素基を有する化合物(J)を反応させる方法も適用することができる。この方法によっても、反応性ケイ素基(b)を重合体骨格の2個以上の末端に有する反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造できる。
ポリイソシアネート化合物(I)としては、例えば、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート基と反応する基および反応性ケイ素基を有する化合物(J)としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−フェニル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルジメトキシメチルシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジメトキシメチルシラン、等のアミノ基含有シラン類;γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルジメトキシメチルシラン等のヒドロキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有シラン類;等が挙げられる。
反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造するためのさらに別の方法として、2個以上の末端構造中にオレフィン基を有するポリオキシアルキレン系重合体(F)(前駆重合体)に対し、一分子中に反応性ケイ素基およびメルカプタン基を有する化合物(K)を作用させて、オレフィン基に対するメルカプタン基の付加によりスルフィド結合を形成させて反応性ケイ素基を導入する方法も適用することができる。この方法によっても、反応性ケイ素基(b)を重合体骨格の2個以上の末端に有する反応性ケイ素基含有重合体(B)を製造できる。
一分子中に反応性ケイ素基およびメルカプタン基を有する化合物(K)としては、ポリオキシアルキレン系重合体(F)が有するオレフィン基への付加反応が可能なメルカプタン基と、反応性ケイ素基を一分子中に併せ有する化合物であれば特に限定されないが、具体例としては、(3−メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジメトキシシラン、(メルカプトメチル)トリメトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、(メルカプトメチル)トリエトキシシラン等が挙げられる。
オレフィン基へのメルカプタン基の付加反応は、ラジカル開始剤を使用せずに実施してもよいが、反応速度を向上させたり反応率を向上させる目的で、ラジカル開始剤の存在下で実施してもよい。このようなラジカル開始剤としては、従来公知のものを使用できる。具体的には、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。
公知のラジカル開始剤の中でも、反応性ケイ素基に対して活性の低い触媒が好ましく、この観点から、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59)、2,2’−アゾビス(1−メチルシクロヘキサンカルボニトリル)(V−40)などのアゾ系開始剤が特に好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル系重合体)
反応性ケイ素基含有重合体(B)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合には、反応性ケイ素基含有重合体(B)の製造方法としては、(I)重合性不飽和基と反応性官能基を有する化合物(例えば、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)を、(メタ)アクリル構造を有するモノマーとともに共重合して重合体を得た後、得られた重合体の2個以上の末端にオレフィン基を導入し、次いで、ヒドロシリル化反応によりオレフィン基に反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物を付加させる方法、(II)原子移動ラジカル重合などのリビングラジカル重合法によって(メタ)アクリル構造を有するモノマーを重合して重合体を得た後、得られた重合体の2個以上の末端にオレフィン基を導入し、次いで、ヒドロシリル化反応によりオレフィン基に反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物を付加させる方法などが挙げられる。
(飽和炭化水素系重合体)
反応性ケイ素基含有重合体(B)の主鎖が飽和炭化水素系重合体である場合には、反応性ケイ素基含有重合体(B)の製造方法としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、およびイソブチレンなどの炭素原子数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させて重合体を得た後、得られた重合体の2個以上の末端にオレフィン基を導入し、次いで、ヒドロシリル化反応によりオレフィン基に反応性ケイ素基含有ヒドロシラン化合物を付加させる方法などが挙げられる。
<反応性ケイ素基含有重合体(A)の配合量>
本発明の硬化性組成物における反応性ケイ素基含有重合体(A)の配合量は特に限定されないが、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して0.1〜200重量部であることが好ましい。配合量がこの範囲であると、反応性ケイ素基含有重合体(A)が可塑剤としての機能を果たしつつ、硬化性組成物が良好な硬化性を発揮することができる。前記配合量は1〜100重量部であることがより好ましい。
<<硬化性組成物>>
本発明の硬化性組成物は、反応性ケイ素基含有重合体(A)、反応性ケイ素基含有重合体(B)、及び、必要に応じて、種々の添加剤を含む。
硬化性組成物は、典型的には、反応性ケイ素基含有重合体(A)と、反応性ケイ素基含有重合体(B)と、シラノール縮合触媒とを組み合わせて含む。
シラノール縮合触媒以外の添加剤としては、充填剤、接着性付与剤、可塑剤(反応性ケイ素基含有重合体(A)を除く)、タレ防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、物性調整剤、エポキシ基を含有する化合物、光硬化性物質、酸素硬化性物質、および、反応性ケイ素基含有重合体(A)及び(B)以外の樹脂などが挙げられる。
また、硬化性組成物または硬化物の諸物性の調整を目的として、硬化性組成物には、必要に応じて上記以外の他の添加剤が添加されてもよい。このような他の添加剤の例としては、例えば、粘着付与樹脂、溶剤、希釈剤、エポキシ樹脂、表面性改良剤、発泡剤、硬化性調整剤、難燃剤、シリケート、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、防かび剤などが挙げられる。
以下、代表的な添加剤について、それぞれ説明する。
<シラノール縮合触媒>
硬化性組成物には、反応性ケイ素基含有重合体の反応性ケイ素基を加水分解・縮合させる反応を促進し、重合体を鎖延長または架橋させる目的で、シラノール縮合触媒を使用してもよい。
シラノール縮合触媒としては、例えば有機錫化合物、カルボン酸金属塩、アミン化合物、カルボン酸、およびアルコキシ金属などが挙げられる。
有機錫化合物の具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジオクチル錫ビス(トリエトキシシリケート)等のジオクチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、およびジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物などが挙げられる。
カルボン酸金属塩の具体例としては、カルボン酸錫、カルボン酸ビスマス、カルボン酸チタン、カルボン酸ジルコニウム、およびカルボン酸鉄などが挙げられる。また、カルボン酸金属塩としては下記のカルボン酸と各種金属を組み合わせた塩を用いることができる。
アミン化合物の具体例としては、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、およびステアリルアミンなどのアミン類;ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、および1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN)などの含窒素複素環式化合物;グアニジン、フェニルグアニジン、およびジフェニルグアニジンなどのグアニジン類;ブチルビグアニド、1−o−トリルビグアニド、および1−フェニルビグアニドなどのビグアニド類;アミノ基含有シランカップリング剤;ケチミン化合物などが挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、およびバーサチック酸などが挙げられる。
アルコキシ金属の具体例としては、テトラブチルチタネート、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、およびジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)などのチタン化合物類や、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどのアルミニウム化合物類や、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物類が挙げられる。
その他のシラノール縮合触媒として、フッ素アニオン含有化合物、光酸発生剤、および光塩基発生剤も使用できる。
シラノール縮合触媒は、異なる2種類以上の触媒を併用して使用してもよい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)に含まれる反応性ケイ素基(a)は活性が高い。このため、硬化性組成物について、シラノール縮合触媒の量を減らしたり、シラノール縮合触媒として活性の低い種類を使用したり、またアミノ基含有シランカップリング剤であるアミノシランをシラノール縮合触媒として使用することも出来る。アミノシランは通常接着性付与剤として添加されることが多い。このため、アミノシランをシラノール縮合触媒として利用する場合には、通常使われるシラノール縮合触媒を使用しない硬化性組成物を作製できる。そのため、他のシラノール縮合触媒を添加しないほうが好ましい。特に、反応性ケイ素基(a)がトリメトキシシリル基又はメトキシメチルジメトキシシリル基である場合に、アミノシランのみをシラノール縮合触媒として使用しても優れた硬化性を示す。
シラノール縮合触媒の典型的な使用量としては、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.001〜20重量部が好ましく、0.01〜15重量部がより好ましく、0.01〜10重量部が特に好ましい。
シラノール縮合触媒の使用量としては、有機錫化合物、カルボン酸金属塩、アミン化合物、カルボン酸、アルコキシ金属、および無機酸などをシラノール縮合触媒として使用する場合は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、0.001〜5重量部がより好ましく、0.001〜1重量部がさらに好ましく、0.001〜0.5重量部が特に好ましい。
アミノ基含有シランカップリング剤であるアミノシランをシラノール縮合触媒として使用する場合は、シラノール縮合触媒の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、0.001〜5重量部が特に好ましい。
これらのシラノール縮合触媒の配合量が、上記の範囲内であることにより、作業を容易に行なえるような硬化速度を保ちつつ、十分に速い速度で硬化を進行させることができ、また、硬化性組成物の貯蔵安定性が良好である。
一般的に、反応性ケイ素基としてトリアルコキシシリル基を有する反応性ケイ素基含有重合体は、有機錫化合物をシラノール縮合触媒として用いた場合には良好な硬化性を示すが、カルボン酸金属塩、アミン化合物、カルボン酸、アルコキシ金属、および無機酸などをシラノール縮合触媒として使用した場合硬化性が悪化する場合がある。
また、一般的に、反応性ケイ素基としてメトキシメチルジメトキシシリル基を有する反応性ケイ素基含有重合体は、アミン化合物をシラノール縮合触媒として用いた場合には良好な硬化性を示すが、アミン化合物の量を減らすと硬化性が悪化する傾向がある。また、有機錫化合物、カルボン酸、アルコキシ金属、および無機酸などをシラノール縮合触媒として用いた場合には硬化性が悪化する場合がある。
しかしながら、反応性ケイ素基含有重合体(A)、特に一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造を有する反応性ケイ素基含有重合体(A)に関しては、いずれの反応性ケイ素基とシラノール縮合触媒との組み合わせでも活性が高く良好な硬化性を示す。
<充填剤>
硬化性組成物には、種々の充填剤を配合することができる。充填剤としては、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、クレー、タルク、カオリン、シリチン、及び焼成シリチン、酸化チタン、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、PVC粉末、PMMA粉末、ガラス繊維およびフィラメントなどが挙げられる。
充填剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、1〜300重量部が好ましく、10〜250重量部が特に好ましい。
硬化性組成物を用いて形成される硬化物の軽量化(低比重化)の目的で、有機バルーン、および無機バルーンなどのバルーン(中空充填剤)を添加してもよい。バルーンは、球状体充填剤で内部が中空のものである。バルーンの材料としては、ガラス、シラス、およびシリカなどの無機系の材料、ならびに、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、およびサランなどの有機系の材料が挙げられる。
バルーンの使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜100重量部が好ましく、1〜20重量部が特に好ましい。
<接着性付与剤>
硬化性組成物には、接着性付与剤を添加することができる。接着性付与剤としては、シランカップリング剤、シランカップリング剤の反応物を添加することができる。
シランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、および(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、α−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、およびα−イソシアネートメチルジメトキシメチルシランなどのイソシアネート基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、およびγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シラン類、が挙げられる。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。また、各種シランカップリング剤の反応物も接着性付与剤として使用できる。
シランカップリング剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部が特に好ましい。
反応性ケイ素基含有重合体(A)、特に一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造を有する反応性ケイ素基含有重合体(A)を含む硬化性組成物では、上記シランカップリング剤中のアミノ基含有シラン類(アミノシラン)をシラノール縮合触媒としても用いることができる。この場合、アミノシランは、シラノール縮合触媒と接着性付与剤の両方を兼ね備えた添加剤となる。
<可塑剤>
硬化性組成物には、可塑剤を添加することができる。可塑剤の具体例としては、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート(DIDP)、およびブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル化合物;ビス(2−エチルヘキシル)−1,4−ベンゼンジカルボキシレートなどのテレフタル酸エステル化合物;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルなどの非フタル酸エステル化合物;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジイソデシル、およびアセチルクエン酸トリブチルなどの脂肪族多価カルボン酸エステル化合物;オレイン酸ブチル、およびアセチルリシノール酸メチルなどの不飽和脂肪酸エステル化合物;アルキルスルホン酸フェニルエステル;リン酸エステル化合物;トリメリット酸エステル化合物;塩素化パラフィン;アルキルジフェニル、および部分水添ターフェニルなどの炭化水素系油;プロセスオイル;エポキシ化大豆油、およびエポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤などを挙げることができる。
また、高分子可塑剤を使用することができる。高分子可塑剤の具体例としては、ビニル系重合体;ポリエステル系可塑剤;数平均分子量500以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール、これらポリエーテルポリオールのヒドロキシ基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体などのポリエーテル類;ポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、およびポリクロロプレンなどが挙げられる。
可塑剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、5〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、20〜100重量部が特に好ましい。上記の範囲内で可塑剤を使用すると、可塑剤としての所望する効果を得つつ、機械強度に優れる硬化物を形成できる硬化性組成物を得やすい。可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<タレ防止剤>
硬化性組成物には、タレを防止し、作業性を良くするためにタレ防止剤を、必要に応じて添加してもよい。タレ防止剤としては特に限定されない。タレ防止剤としては、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、およびステアリン酸バリウムなどの金属石鹸類などが挙げられる。これらタレ防止剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
タレ防止剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましい。
<酸化防止剤>
硬化性組成物には、酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐候性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ジアリールアミン系、およびポリフェノール系が例示できる。酸化防止剤の具体例は、例えば、特開平4−283259号公報や特開平9−194731号公報に記載されている。
酸化防止剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部が特に好ましい。
<光安定剤>
硬化性組成物には、光安定剤を使用することができる。光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止できる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、およびベンゾエート系化合物などが例示できる。光安定剤として、特にヒンダードアミン系が好ましい。
光安定剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部が特に好ましい。
<紫外線吸収剤>
硬化性組成物には、紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換トリル系、および金属キレート系化合物などを例示できる。紫外線吸収剤としては、特にベンゾトリアゾール系が好ましい。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の好適な具体例としては、市販名チヌビンP、チヌビン213、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン329、およびチヌビン571(以上、BASF製)が挙げられる。
紫外線吸収剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部が特に好ましい。
<物性調整剤>
硬化性組成物には、必要に応じて、生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加してもよい。物性調整剤としては特に限定されない。物性調整剤としては、例えば、フェノキシトリメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、およびn−プロピルトリメトキシシランなどのアルキルアルコキシシラン類;ジフェニルジメトキシシラン、およびフェニルトリメトキシシランなどのアリールアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシランなどのアルキルイソプロペノキシシラン;トリス(トリメチルシリル)ボレート、およびトリス(トリエチルシリル)ボレートなどのトリアルキルシリルボレート類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類などが挙げられる。物性調整剤を用いることにより、硬化性組成物の硬化物の硬度を上げたり、逆に硬度を下げ、破断伸びを出したりし得る。物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
特に、加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物は、硬化物の表面のべたつきを悪化させずに硬化物のモジュラスを低下させる作用を有する。特にトリメチルシラノールを生成する化合物が好ましい。加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物としては、ヘキサノール、オクタノール、フェノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールなどのアルコールの誘導体であって加水分解によりシランモノオールを生成するシリコン化合物を挙げることができる。具体的には、フェノキシトリメチルシラン、トリス((トリメチルシロキシ)メチル)プロパン等が挙げられる。
物性調整剤の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。
<エポキシ基を含有する化合物>
硬化性組成物においてはエポキシ基を含有する化合物を使用できる。エポキシ基を含有する化合物を使用すると硬化物の復元性を高めることができる。エポキシ基を含有する化合物としてはエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、脂環族エポキシ化合物類、およびエピクロルヒドリン誘導体に示す化合物およびそれらの混合物などが例示できる。具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、ビス(2−エチルヘキシル)−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(E−PS)、エポキシオクチルステアレート、およびエポキシブチルステアレートなどが挙げられる。
エポキシ化合物の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.5〜50重量部が好ましい。
<光硬化性物質>
硬化性組成物には光硬化性物質を使用できる。光硬化性物質を使用すると硬化物表面に光硬化性物質の皮膜が形成され、硬化物のべたつきや硬化物の耐候性を改善できる。この種の物質としては、有機単量体、オリゴマー、樹脂あるいはそれらを含む組成物など多くの物質が知られている。代表的な物質としては、アクリル系またはメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマーあるいはそれらの混合物である不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂などが使用できる。
光硬化性物質の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。上記の範囲内で光硬化性物質を用いると、耐候性に優れ、柔軟であってヒビ割れが生じにくい硬化物を形成できる硬化性組成物を得やすい。
<酸素硬化性物質>
硬化性組成物には酸素硬化性物質を使用することができる。酸素硬化性物質には空気中の酸素と反応し得る不飽和化合物を例示できる。酸素硬化性物質は、空気中の酸素と反応して硬化物の表面付近に硬化皮膜を形成し表面のべたつきや硬化物表面へのゴミやホコリの付着を防止するなどの作用を奏する。
酸素硬化性物質の具体例には、キリ油、およびアマニ油などで代表される乾性油や、該化合物を変性して得られる各種アルキッド樹脂;アクリル系重合体、エポキシ系樹脂、およびシリコン樹脂などの樹脂の乾性油による変性物;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、および1,3−ペンタジエンなどのジエン系化合物を重合または共重合させて得られる1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、およびC5〜C8ジエンの重合体などの液状重合体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
酸素硬化性物質の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。酸素硬化性物質の使用量が上記の範囲内であると、十分な汚染性の改善効果を得やすく、且つ硬化物の引張り特性などを損ないにくい。特開平3−160053号公報に記載されているように、酸素硬化性物質は光硬化性物質と併用されるのが好ましい。
<<硬化性組成物の調製>>
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することが可能である。また、硬化剤として、別途シラノール縮合触媒、充填材、可塑剤、および水などの成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。作業性の点からは、1成分型が好ましい。
硬化性組成物が1成分型の場合、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用されるか、または、配合混練中に減圧などにより脱水されるのが好ましい。また、脱水乾燥法に加えて、n−プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの水と反応し得るケイ素化合物を脱水剤として添加することにより、さらに貯蔵安定性は向上する。
脱水剤、特にビニルトリメトキシシランなどの水と反応し得るケイ素化合物の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
<<硬化物の製造方法>>
本発明の硬化性組成物は、硬化に先だって、塗布、注型、または充填などの方法によって、所望の形状に整えられる。
塗布、注型、または充填され、形状を整えられた硬化性組成物は、例えば、常温、常湿のような所望の環境下において硬化される。
本発明による反応性ケイ素基含有重合体(A)、特に一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造を有する反応性ケイ素基含有重合体(A)と、反応性ケイ素基含有重合体(B)を含む硬化性組成物は、従来知られる反応性ケイ素基含有重合体を含む硬化性組成物よりも、顕著に短時間で硬化可能である。
<<用途>>
本発明の硬化性組成物は、粘着剤、建造物・船舶・自動車・道路などにおけるシーリング施工用のシーリング材、型取剤、接着剤、塗料、および吹付剤などに使用できる。また、本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、防水材、塗膜防水材、防振材、制振材、防音材、および発泡材料などとして好適に使用される。得られる硬化物が柔軟性および接着性に優れることから、本発明の硬化性組成物は、上記の用途の中でも、シーリング材または接着剤として用いられることがより好ましい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中の数平均分子量は以下の条件で測定したGPC分子量である。
送液システム:東ソー製HLC−8220GPC
カラム:東ソー製TSKgel SuperHシリーズ
溶媒:THF
分子量:ポリスチレン換算
測定温度:40℃
実施例中の末端基換算分子量は、水酸基価をJIS K 1557の測定方法により、ヨウ素価をJIS K 0070の測定方法により求め、有機重合体の構造(使用した重合開始剤によって定まる分岐度)を考慮して求めた分子量である。
実施例に示す重合体の末端1個あたり、または1分子あたりのシリル基の平均導入数はNMR測定により算出した。
(合成例1)B−1
数平均分子量が約4,500のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、両末端に水酸基を有する数平均分子量18,000(末端基換算分子量12,500)、分子量分布Mw/Mn=1.20のポリオキシプロピレン(P−1)を得た。
得られた水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−1)の水酸基に対して1.0モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−1)の水酸基に対して、0.3モル当量のアリルグリシジルエーテルを添加して130℃で2時間反応を行った。その後、0.3モル当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを除去し、さらに0.8モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のポリオキシプロピレンをn−ヘキサンと、水を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、末端に複数の炭素−炭素不飽和結合を有するポリオキシプロピレン(Q−1)を得た。重合体(Q−1)は1つの末端に炭素−炭素不飽和結合が平均1.3個導入されていることがわかった。
得られた(Q−1)500gに対し白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを加え、撹拌しながらジメトキシメチルシラン8.1gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、末端に複数のジメトキシメチルシリル基を有する数平均分子量20,000のポリオキシプロピレン(B−1)を得た。重合体(B−1)はジメトキシメチルシリル基を1つの末端あたり平均0.9個、一分子あたり平均1.8個有することが分かった。
(合成例2)A−1
ブタノールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、片方の末端に水酸基を有する数平均分子量7800(末端基換算分子量5000)、分子量分布Mw/Mn=1.48のポリオキシプロピレン(P−2)を得た。
続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレン(P−2)の水酸基に対して1.1モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−2)の水酸基に対して、1.2モル当量の臭化プロパルギルを添加して末端の水酸基をプロパルギル基に変換し、未反応の臭化プロパルギルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のポリオキシプロピレンをn−ヘキサンと、水を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、プロパルギル基を片末端のみに有するポリオキシプロピレン(Q−2)を得た。
得られた(Q−2)500gに対し白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを加え、撹拌しながら、トリメチルシラン10.8gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のトリメトキシシランを減圧下留去する事により、片末端のみにトリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン(A−1)を得た。重合体(A−1)は、トリメトキシシリル基を片末端のみに有し、1分子あたりのトリメトキシシリル基の平均個数は0.8個であることが分かった。重合体(A−1)では、トリメトキシシリル基に隣接する炭素原子が炭素−炭素二重結合を有している。
(合成例3)A’−1
合成例2で得られた重合体(P−2)の水酸基に対して1.2モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体(P−2)の水酸基に対して、1.5モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去した。得られた未精製のポリオキシプロピレンをn−ヘキサンと、水を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮することでポリマー中の金属塩を除去した。以上により、アリル基を片末端のみに有するポリオキシプロピレン(Q−3)を得た。
得られた(Q−3)500gに対し白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)50mgを加え、撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン9.5gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、片末端のみにジメトキシメチルシリル基を有するポリオキシプロピレン(A’−1)を得た。重合体(A’−1)は、ジメトキシメチルシリル基を片末端のみに有し、1分子あたりのジメトキシメチルシリル基の平均個数は0.8個であることが分かった。
(実施例1)
合成例1で得た重合体(B−1)100重量部に対して、合成例2で得た重合体(A−1)77重量部、アクトコールP−23(三井化学SKCポリウレタン(株)製:ポリオキシプロピレングリコール系可塑剤)12重量部、エピコート828(三菱ケミカル製:エポキシ可塑剤)5重量部、カルファイン200M(丸尾カルシウム(株)製:沈降炭酸カルシウム)125重量部、ホワイトンSB(白石工業製:重質炭酸カルシウム)70重量部、ディスパロン#308(楠本化学(株)製:水添ひまし油)4重量部、チヌビン326(BASF製:2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール)1重量部、イルガノックス245(BASFジャパン株式会社製)1重量部、アロニックスM309(東亜合成製:1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリル酸エステル)4重量部、バルーン(松本油脂製薬(株)製:MFL−HD60CA)7重量部、IP2835(出光昭和シェル製)19重量部、カオリン(BASF社製:ASP−170)1.2重量部を主剤とし、ネオスタンU−28 3.0重量部、ラウリルアミン0.6重量部を硬化剤として作製し、主剤と硬化剤を混合脱泡し、硬化性組成物を得た。
(比較例1及び2)
重合体(A−1)の代わりに、合成例3で得た重合体(A’−1)またはAcclaim Polyol 12200N(Covestro AG製:ポリオキシプロピレングリコール系可塑剤)を用いて、実施例1と同様の方法にて硬化性組成物を得た。
(皮張り時間)
23℃、相対湿度50%の条件下にて、各硬化性組成物を厚さ約5mmの型枠にスパチュラを用いて充填し、表面を平面状に整えた時間を硬化開始時間とした。表面をスパチュラで触り、スパチュラに硬化性組成物が付着しなくなった時間を皮張り時間とした。結果を表1に示す。
(残留タック)
厚み約3mmに塗布した各硬化性組成物を23℃、相対湿度95%の環境条件下にて7日間保持し、該組成物の表面を、1日後、3日後、又は7日後に指触し、その時の残留タックを、タックが最大に感じられる場合を1点、タックが感じられない場合を8点として、1〜8点の間で判定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021055013
実施例1と比較例1及び2の対比より、可塑剤として反応性ケイ素基含有重合体(A)を使用することで、皮張り時間が短くなり、すなわち硬化性が向上し、更に、得られる硬化物表面の、高湿度条件での残留タックが低減したことが分かる。

Claims (14)

  1. 一般式(1):
    −Si(R3−a(X) (1)
    (式中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、ヘテロ含有基を有してもよい。Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基を表す。aは1、2、または3である。)
    で表される反応性ケイ素基(a)を、重合体骨格の末端のうち1個の末端のみに有し、前記反応性ケイ素基(a)に隣接する原子が不飽和結合を有する、反応性ケイ素基含有重合体(A)。
  2. 前記反応性ケイ素基含有重合体(A)が、一般式(2)〜(4):
    Figure 2021055013

    Figure 2021055013

    Figure 2021055013

    (式中、Rは2価の連結基を表し、前記Rが有する2つの結合手は、それぞれ、前記連結基内の炭素原子、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子に結合している。R、およびRは、それぞれ独立に、水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、またはシリル基を表す。R、X、およびaは前記の通りである。)
    で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する、請求項1に記載の反応性ケイ素基含有重合体(A)。
  3. 前記反応性ケイ素基含有重合体(A)が、一般式(5)〜(7):
    Figure 2021055013

    Figure 2021055013

    Figure 2021055013

    (式中、R、X、およびaは前記の通りである。)
    で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する、請求項1に記載の反応性ケイ素基含有重合体(A)。
  4. 前記反応性ケイ素基(a)が、トリメトキシシリル基、および/または(メトキシメチル)ジメトキシシリル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基含有重合体(A)。
  5. 前記反応性ケイ素基(a)が、ジメトキシメチルシリル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基含有重合体(A)。
  6. 前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基含有重合体(A)。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基含有重合体(A)、及び、
    反応性ケイ素基(b)を、重合体骨格の2個以上の末端に有する反応性ケイ素基含有重合体(B)、を含有する、硬化性組成物。
  8. 前記反応性ケイ素基(b)に隣接する原子が不飽和結合を有しない、請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 前記反応性ケイ素基(b)が、ジメトキシメチルシリル基である、請求項7又は8に記載の硬化性組成物。
  10. 前記反応性ケイ素基(b)が、トリメトキシシリル基、および/または(メトキシメチル)ジメトキシシリル基である、請求項7又は8に記載の硬化性組成物。
  11. 前記反応性ケイ素基含有重合体(B)の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  12. 前記反応性ケイ素基含有重合体(A)の量が、前記反応性ケイ素基含有重合体(B)100重量部に対して0.1〜200重量部である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  13. シラノール縮合触媒をさらに含有する、請求項7〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  14. 請求項7〜13のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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