以下、図面を参照して各発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電体付きシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電体付きシート」は、「導電体付き板(基板)」や「導電体付きフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
<第1の実施の形態>
まず、図1〜図18を参照しながら、第1の発明に関連した第1の実施の形態について説明する。
図1〜図18は、第1の発明による第1の実施の形態を説明するための図である。このうち、図1は、合わせ板を有する仕切部材を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、仕切部材をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った合わせ板の断面図である。
図1に示されているように、移動体の一例としての自動車1は、仕切部材3を有している。仕切部材3は、例えば、自動車1の車内と車外を仕切り、開閉可能なドア部材である。仕切部材3は、自動車1のサイドウィンドウ5を有している。図示されている例では、自動車1のサイドウィンドウ5が合わせ板10で構成されている。図2に示すように、仕切部材3は、合わせ板10と、合わせ板10の一部を覆う被覆部材4と、を有している。図示された例において被覆部材4は、サイドウィンドウ5を保持するドア本体となっている。しかしながら、図示された例に限らず、被覆部材4は、黒セラミック等の意匠性を有する部材等であってもよい。あるいは、仕切部材3が複数の合わせ板10を有するものである場合、被覆部材4は、複数の合わせ板10が配置される位置を区画する区画部材であってもよい。図示された例のように仕切部材3がドア部材である場合、通常、仕切部材3は、サイドウィンドウ5を開閉可能に保持している。被覆部材4は、合わせ板10の一部を被覆しており、合わせ板10の被覆された部分を外部から視認不可能としている。
図示されている例において、合わせ板10は、デフロスタ(霜取り装置)として用いられる。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。電源7によって、合わせ板10に電力を供給することができる。
図3に示された例では、合わせ板10は、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配置された導電体付きシート20と、基板11,12と導電体付きシート20とを接合する接合層13,14と、を有している。なお、図1に示した例では、仕切部材3及び合わせ板10は湾曲しているが、その他の図では、理解の容易化のために、仕切部材3、合わせ板10および基板11,12を平板状に図示している。
図3に示されているように、導電体付きシート20は、基材21と、基材21上に設けられたバスバー付きパターン導電体30と、を有している。バスバー付きパターン導電体30は、一対のバスバー35と、一対のバスバー35を接続するパターン導電体40と、を有している。
また、図2によく示されているように、合わせ板10は、バスバー付きパターン導電体30に通電するための配線部15を有している。図示された例では、バッテリー等の電源7によって、配線部15から、導電体付きシート20のバスバー付きパターン導電体30に、より詳しくはバスバー35を介してパターン導電体40に、通電する。パターン導電体40に通電することで、パターン導電体40を抵抗加熱により発熱させる。パターン導電体40で発生した熱は一対の基板11,12に伝わり、一対の基板11,12が温められる。これにより、一対の基板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、一対の基板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。尚、図示は省略しているが、通常、電源7とバスバー35との間に開閉器が挿入(直列に接続)される。そして、合わせ板10の加熱が必要な時のみ開閉器を閉じてパターン導電体40に通電させることができる。
以下、合わせ板10の各構成要素について説明する。
まず、一対の基板11,12について説明する。一対の基板11,12は、図1で示された例のように自動車のサイドウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような基板11,12の材質としては、ソーダライムガラスや青板ガラスが例示できる。あるいは、基板11,12の材質は、ポリカーボネート樹脂などの樹脂ガラスであってもよい。基板11,12の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。ここで、基板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、基板11,12の一部または全体に着色するなどして、この一部分の可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、基板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた基板11,12を得ることができる。一対の基板11,12は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
次に、接合層13,14について説明する。一方の接合層13が、一方の基板11と導電体付きシート20との間に配置され、一方の基板11と導電体付きシート20とを互いに接合する。他方の接合層14が、他方の基板12と導電体付きシート20との間に配置され、他方の基板12と導電体付きシート20とを互いに接合する。
このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上1mm以下であることが好ましい。一対の接合層13,14は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
なお、合わせ板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2つ以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、合わせ板10の基板11,12、接合層13,14、後述する導電体付きシート20の基材21の、少なくとも一つに何らかの機能を付与するようにしてもよい。合わせ板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、防汚機能、接合機能等を例示することができる。
次に、導電体付きシート20について説明する。導電体付きシート20は、基材21と、基材21上に設けられたバスバー付きパターン導電体30と、を有している。第1の実施の形態において、導電体付きシート20は、基板11,12と略同一の平面寸法を有しており、合わせ板10の全体にわたって配置されているが、合わせ板10の一部にのみ配置されてもよい。以下、導電体付きシート20の各構成要素について説明する。
基材21は、バスバー付きパターン導電体30を支持する基材として機能する。基材21は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性のフィルムである。基材21としては、可視光を透過し、バスバー付きパターン導電体30を適切に支持し得るものであればいかなる材質のものでもよいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。また、基材21は、光透過性や、バスバー付きパターン導電体30の適切な支持性等を考慮すると、0.03mm以上0.20mm以下の厚みを有していることが好ましい。
なお、「透明」とは、当該基材を介して当該基材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
上述したように、基材21上にバスバー付きパターン導電体30が設けられている。より詳しくは、基材21の一方の基板11に対面する面である配置面22上に、バスバー付きパターン導電体30が配置されている。配置面22は、第1領域22aと、第1領域22aに隣接した第2領域22bと、を含んでいる。図2に示された例において、第1領域22aは、仕切部材3の外部から視認可能となり得る領域であり、第2領域22bは、被覆部材4に被覆されて仕切部材3の外部から視認可能となり得ない領域である。言い換えると、第1領域22aは、少なくとも一部がサイドウィンドウ5の閉状態で仕切部材3の外部から視認可能な領域であり、第2領域22bは、サイドウィンドウ5の閉状態で仕切部材3の外部から視認不可能な領域である。さらに言い換えると、仕切部材3において、被覆部材4は、第2領域22bを外部から視認不可能にするよう、少なくとも第2領域22bを覆っている。例えば、被覆部材4は、第1領域22aの一部と、第2領域22bの全域と、を覆っていてもよい。
バスバー付きパターン導電体30は、一対のバスバー35と、一対のバスバー35を接続するパターン導電体40と、を有している。パターン導電体40は、間隔を空けて配列された複数の線状導電体41を有している。上述したように、バスバー付きパターン導電体30は、1つの配置面22上に配置されている。したがって、一対のバスバー35及び線状導電体41は、1つの配置面22上に配置されている。言い換えると、一対のバスバー35及び各線状導電体41は、平面視において、他のバスバー及び他の線状導電体と重なっていない。
一対のバスバー35は、それぞれ対応する配線部15と電気的に接続されている。一対のバスバー35間には、配線部15と接続された電源7の電圧が印加されるようになる。一対のバスバー35間に電圧が印加されることで、バスバー35を介してパターン導電体40に、通電することができる。
バスバー35が外部から視認されてしまうことを避けるため、一対のバスバー35は、外部から視認不可能となっている第2領域22bに配置されていることが好ましい。また、一対のバスバー35が配置される領域を小さくするため、一対のバスバー35は、配置面22の一辺に沿った領域に配置されていることが好ましい。図示されている例では、第2領域22bは、配置面22の縁部のうちの一辺に沿った領域である。
バスバー35は、後述する図4、図6及び図8に示されているように、その断面において複数の面(縁部)を有している。図示された例では、バスバー35は、断面において4つの面(縁部)を有している。すなわち、バスバー35は、断面において矩形形状となっている。
また、後述する図8に示す例のように、バスバー35の少なくとも1つの縁部35aは、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cに対して傾斜していることが好ましい。さらに、図8に示されたバスバー35は、第1領域22a及び第2領域22bの境界22cに沿った方向に延びている。バスバー35の縁部35aが傾斜していることで、パターン導電体40の線状導電体41の長さを調節して、各線状導電体41の長さを均一に近づけることができる。
次に、図4、図6及び図8を参照しながら、パターン導電体40について説明する。図4、図6及び図8は、導電体付きシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図であり、パターン導電体40の配置されるパターンがそれぞれ別の例を示している。
パターン導電体40は、一対のバスバー35を接続するように、一対のバスバー35のそれぞれ電気的に接続されている。パターン導電体40は、間隔Dを空けて配列された複数の線状導電体41を有している。これにより、隣り合う2つの線状導電体41の間には、隙間45が形成されている。線状導電体41が所定の配置パターンで配置されることで、パターン導電体40の配置パターンを形成している。パターン導電体40は、配線部15及びバスバー35を介して電圧を印加されると、抵抗加熱によって発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介して基板11,12に伝わることで、基板11,12が温められる。
なお、図4、図6及び図8に示すパターン導電体40の各配置パターンの具体的な例については、後述にて詳しく説明する。
このようなパターン導電体40及びバスバー35を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、及び、これらの金属の1種以上を含んでなる合金の一以上を例示することができる。パターン導電体40及びバスバー35は、同一の材料を用いて形成されていてもよいし、或いは、互いに異なる材料を用いて形成されていてもよい。
パターン導電体40は、上述したように不透明な金属材料を用いて形成され得る。その一方で、パターン導電体40によって覆われていない基材21上の領域の割合、すなわち非被覆率は、70%以上90%以下程度と高くなっている。また、線状導電体41の線幅は、2μm以上20μm以下程度となっている。このため、パターン導電体40が設けられている領域は、全体として透明に把握され、パターン導電体40の存在が合わせ板10の透視性を害さないようになっている。
ここで、パターン導電体が合わせ板の透視性を害さないようにするため、パターン導電体をITO等の透明な導電性材料を用いて形成されることも考えられる。しかしながら、透明な導電性材料は抵抗が高く、パターン導電体が配置された部分の全体を面状に発熱させることになる。このため、パターン導電体の線状導電体の線幅と配列の間隔とを、できるだけ等しくしなければならない。このため、各線状導電体の長さを調節することのみで、パターン導電体における発熱量を調節しなければならなくなる。したがって、パターン導電体の配置パターンに極めて設計上の制限が生じる。このような制限の下で、サイドウィンドウ等に配置するパターン導電体を設計することは困難である。したがって、パターン導電体40は、抵抗が低い金属材料を用いて形成されることが好ましい。
図3に示された例では、線状導電体41は、全体として矩形形状の断面を有している。線状導電体41の幅W、すなわち、合わせ板10の板面に沿った幅Wは2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)H、すなわち、合わせ板10の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の線状導電体41によれば、その線状導電体41が十分に細線化されているので、パターン導電体40を効果的に不可視化することができる。
なお、上述したように、合わせ板10の透視性または合わせ板10を介した視認性を確保する観点から、非被覆率が高くなるように、パターン導電体40の線状導電体41は基材21上に形成されている。その結果、図3に示すように、接合層13と導電体付きシート20の基材21とは、線状導電体41の隙間45、すなわち隣り合う線状導電体41の間となる領域を介して接触している。すなわち、パターン導電体40は、接合層13内に埋め込まれた状態となっている。
また、図3に示されたように、線状導電体41は、導電性金属層46、導電性金属層46の表面のうち、基材21に対向する側の面を覆う第1暗色層47、導電性金属層46の表面のうち、基板11に対向する側の面及び両側面を覆う第2暗色層48を含むようにしてもよい。とりわけ、線状導電体41は、第1暗色層47を少なくとも含んでいることが好ましい。優れた導電性を有する金属材料からなる導電性金属層46は、比較的高い反射率を呈する。そして、線状導電体41をなす導電性金属層46によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、乗員の視界を妨げる場合がある。また、外部から導電性金属層46が視認されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、第1暗色層47及び第2暗色層48が、導電性金属層46の表面の少なくとも一部分を覆っている。第1暗色層47及び第2暗色層48は、導電性金属層46よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この第1暗色層47及び第2暗色層48によって、導電性金属層46が視認されづらくなり、乗員の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。
ところで、上述したように、図18に示すような従来のパターン導電体540のサイドウィンドウの形状に対応した配置パターンでは、パターン導電体540を形成する複数の線状導電体541は、一方の側に曲がる部分しか含んでいない。このため、複数の線状導電体541の長さ、すなわち各線状導電体541の一方のバスバー535から他方のバスバー535までの線状導電体541に沿った長さが、それぞれ異なる。とりわけ、パターン導電体540を形成する複数の線状導電体541のうち、最も長い一方の側の線状導電体541aと最も短い他方の側の線状導電体541bの長さは、大きく異なっている。このため、各線状導電体541の抵抗が異なっている。このようなパターン導電体540を有する合わせ板510を、例えば発熱板として利用する場合、抵抗の違いに起因して各線状導電体541での発熱量に差が生じる。このため、合わせ板510の全体として発熱むらが生じ得る。このように、パターン導電体540が有する各線状導電体541の長さが異なると、パターン導電体540が発揮すべき機能が劣化し得る。
パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制するため、パターン導電体が有する各線状導電体の抵抗を均一に近づけることが要求される。このため、パターン導電体が有する各線状導電体の長さを均一に近づけることが要求される。また、このようなパターン導電体を容易に製造するために、線状導電体は、1つの配置面上に配置されていることが要求される。本件発明者らが検討した結果、このような要求を満たすパターン導電体の配置パターンを見出した。以下、図4、図6及び図8に示された第1の実施の形態のパターン導電体の配置パターンのそれぞれの例について、その構成及び効果を説明する。ただし、第1の発明は、これらの図示された例に限定されるものではない。
図4、図6及び図8に示された第1の実施の形態のパターン導電体40の配置パターンにおいて、複数の線状導電体41は、連続して配列された第1群の線状導電体50を含んでいる。すなわち、複数の線状導電体41は、並列配置された第1群の線状導電体50を含んでいる。
図5、図7及び図9には、図4、図6及び図8のそれぞれに示されたパターン導電体40の配置パターンにおける第1群の線状導電体50の一部または全部がそれぞれ示されている。図5、図7及び図9によく示されているように、第1群の線状導電体50は、少なくとも一部が第1領域22aに配置された第1部分51及び第2部分52と、第2領域22bに配置された第1接続部分57及び第2接続部分59と、を少なくとも含んでいる。第1接続部分57は、第1部分51又は第2部分52と一対のバスバー35の一方とを接続しており、第2接続部分59は、第1部分51又は第2部分52と一対のバスバー35の他方とを接続している。
第1群の線状導電体50の第1部分51は、当該第1群の線状導電体50に含まれる最も一方の側の線状導電体41aが最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第1曲部51aを含んでおり、第1群の線状導電体50の第2部分52は、当該第1群の線状導電体50に含まれる最も他方の側の線状導電体41bが最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第2曲部52bを含んでいる。すなわち、第1群の線状導電体50は、当該第1群の線状導電体50に含まれる最も一方の側の線状導電体41aが最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第1曲部51aと、当該第1群の線状導電体50に含まれる最も他方の側の線状導電体41bが最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第2曲部52bと、を含んでいる。言い換えると、第1群の線状導電体50は、一方の側に曲がる第1曲部51aと、他方の側に曲がる第2曲部52bと、を含んでいる。つまり、第1曲部51aにおいては、連続して並列配置された第1群の線状導電体50のうちの配列方向に沿った最も一方の側の線状導電体41が径方向外側に位置し、連続して並列配置された第1群の線状導電体50のうちの配列方向に沿った最も他方の側の線状導電体41が径方向内側に位置する。一方、第2曲部52bにおいては、連続して並列配置された第1群の線状導電体50のうちの配列方向に沿った最も一方の側の線状導電体41が径方向内側に位置し、連続して並列配置された第1群の線状導電体50のうちの配列方向に沿った最も他方の側の線状導電体41が径方向外側に位置する。なお、第1曲部51a及び第2曲部52bは、例えば図4に示されているような線状導電体が屈曲している部分であってもよいし、例えば図4Aに示されているような線状導電体が湾曲している部分であってもよい。
図18に示す従来のパターン導電体540が有する複数の線状導電体541は、最も一方の側の線状導電体541aが最も外側となるように曲がった曲部551aしか含んでいない。このため、曲部551aで外側となるように曲がった線状導電体541(つまり、一方の側の線状導電体541a)と内側となるように曲がった線状導電体541(つまり、他方の側の線状導電体541b)とで、長さに大きな違いが生じている。このため、複数の線状導電体541の間で抵抗の違いが生じ、発熱むら等のパターン導電体540が発揮すべき機能の劣化が起こり得る。
一方、第1の実施の形態では、第1群の線状導電体50は、最も一方の側が最も外側となるように曲がった第1曲部51aと、最も他方の側が最も外側となるように曲がった第2曲部52bと、を含んでいる。第1曲部51aで最も外側となった線状導電体41は、第2曲部52bで最も内側となる。このため、第1群の線状導電体50における各線状導電体41の長さの違いを小さくすることができる。線状導電体41の長さの違いを小さくすることで、各線状導電体41の抵抗の違いを小さくすることができる。したがって、線状導電体41の抵抗の違いに起因して起こり得る、パターン導電体が発揮すべき機能が劣化することを効果的に抑制することができる。
具体的には、第1群の線状導電体50が第1曲部51aと第2曲部52bとを含んでいることで、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41のうち、最も短い線状導電体41の長さに対する、最も長い線状導電体41の長さの比は、2.0以下とすることができる。すなわち、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41の長さの違いを小さくすることができる。このため、線状導電体41の抵抗の違いを小さくすることができ、したがってパターン導電体が発揮すべき機能が劣化することを効果的に抑制することができる。
また、第1領域22aに配置された各線状導電体41の線幅Wは、第2領域22bに配置された各線状導電体41の線幅Wより小さくなっている。線状導電体41は、その長さだけでなく線幅Wによっても、抵抗を調節することができる。このため、線状導電体41の抵抗の違いに起因して起こり得る、パターン導電体40が発揮すべき機能が劣化することを効果的に抑制することができる。また、外部から視認不可能な第2領域22bに配置された線状導電体41の線幅Wが大きくなっているため、線幅Wが大きくなることで線状導電体41が外部から視認されることを、効果的に抑制することができる。
さらに、第1領域22aに配置された各線状導電体41の配列の間隔Dは、第2領域22bに配列された各線状導電体41の間隔Dより大きくなっている。このため、例えばパターン導電体40における発熱量を、線状導電体41の間隔Dによっても調節することができる。このように、線状導電体41の間隔Dが調節されることで、パターン導電体40が発揮すべき機能をより効果的に高めることができる。また、外部から視認不可能な第2領域22bに配置された線状導電体41の間隔Dが小さくなっているため、間隔Dが小さくなることで線状導電体41が外部から視認されることを、効果的に抑制することができる。
このように、外部から視認不可能となっている第2領域22bに配置された線状導電体41の線幅Wを大きくしており、外部から視認可能な領域となっている第1領域22aに配置された線状導電体41の線幅Wを小さくしている。また、外部から視認不可能となっている第2領域22bに配置された線状導電体41の間隔Dを小さくしており、外部から視認可能な領域となっている第1領域22aに配置された線状導電体41の間隔Dを大きくしている。上述したように、線状導電体41は不透明な金属材料を用いて形成され得るため、第1領域22aの可視光透過率は、第2領域22bの可視光透過率より高くなっている。第2領域22bは、外部から視認不可能になっている。このため、線状導電体41が外部から視認されて、合わせ板10及びパターン導電体40の透視性が害されてしまうことが起こりにくくなっている。
第1領域22aに配置された複数の線状導電体41は、同一の線幅Wを有していることが好ましい。この場合、外部から視認され得る領域に配置された複数の線状導電体41を効果的に視認されにくくすることができる。また、複数の線状導電体41が同一の線幅Wを有していることで、例えばパターン導電体40において発生する熱を、合わせ板10のパターン導電体40が配置された第1領域22aの全体に均一に生じさせることができる。すなわち、発熱むらが生じることを抑制することができる。このように、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を効果的に抑制することができる。
ここで、複数の線状導電体41が同一の線幅Wを有しているとは、1つの線状導電体41の線幅Wが一定であること及び任意の2つの線状導電体41の線幅Wが等しくなっていることの両方を意味する。ただし、線状導電体41の線幅Wが一定である又は等しくなっているとは、厳密に当該線幅Wが一定である又は等しくなっていることのみを意味するのではなく、上述した効果が十分に得られる範囲で異なっていることも含む。具体的には、最小の線幅Wminに対する最大の線幅Wmaxの比Wmax/Wminが、2.0以下であれば、線状導電体41の線幅Wを同一と考えることができる。
また、第1領域22aに配置された複数の線状導電体41は、同一の間隔Dで配列されていることが好ましい。この場合、外部から視認され得る領域に配置された複数の線状導電体41を効果的に視認されにくくすることができる。また、複数の線状導電体41が同一の間隔Dで配列されていることで、例えばパターン導電体40において発生した熱を、合わせ板10のパターン導電体40が配置された第1領域22aの全体に均一に伝導させることができる。すなわち、発熱むらが生じることを抑制することができる。このように、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を効果的に抑制することができる。
ここで、複数の線状導電体41が同一の間隔Dで配列されているとは、隣り合う2つの線状導電体41の間隔Dが一定であること及び任意の隣り合う2つの線状導電体41の間隔Dが等しくなっていることの両方を意味する。ただし、隣り合う2つの線状導電体41の間隔Dが一定である又は等しくなっているとは、厳密に当該間隔Dが一定である又は等しくなっていることのみを意味するのではなく、上述した効果が十分に得られる範囲で異なっていることも含む。具体的には、最小の間隔Dminに対する最大の間隔Dmaxの比Dmax/Dminが、2.0以下であれば、線状導電体41の間隔Dを同一と考えることができる。
なお、第2領域22bから最も離間した第1曲部51aは、第2領域22bから最も離間した第2曲部52bより、第2領域22bから離間している。言い換えると、第2領域22bと第2領域22bから最も離間した第1曲部51aとの間の距離は、第2領域22bと第2領域22bから最も離間した第2曲部52bとの間の距離より、長くなっている。
図4、図6及び図8に示されたパターン導電体40の各配置パターンの例について、さらに詳しく説明する。
(配置パターンの第1の例)
図4には、パターン導電体40の配置パターンの第1の例が示されている。パターン導電体40の配置パターンの第1の例では、パターン導電体40が有する複数の線状導電体41は、連続して配列された第1群の線状導電体50と、連続して配列された第2群の線状導電体60と、を含んでいる。ただし、図示された例に限らず、複数の線状導電体41は、第1群の線状導電体50のみを含んでいてもよいし、第1群の線状導電体及び第2群の線状導電体とは別の群の線状導電体を含んでいてもよい。また、図5には、理解を容易にするため、図4に示されたパターン導電体40の配置パターンの第1の例における、第1群の線状導電体50の最も一方の側の線状導電体41a及び最も他方の側の線状導電体41bのみが、各部分ごとに分解して図示されている。
パターン導電体40の配置パターンの第1の例では、第1群の線状導電体50は、少なくとも1つの第1曲部51aを含む第1部分51と、少なくとも1つの第2曲部52bを含む第2部分52と、第2領域22bに配置され且つ第1部分51と第2部分52とを接続する中間接続部分55と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分51とを接続する第1接続部分57と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第2部分52とを接続する第2接続部分59と、を含んでいる。すなわち、図示された例では、第1群の線状導電体50は、第1接続部分57、第1部分51、中間接続部分55、第2部分52、第2接続部分59を順に接続することで、一対のバスバー35を接続している。図示された例では、第1部分51は、2つの第1曲部51aを含んでおり、第2部分52は、2つの第2曲部52bを含んでいる。中間接続部分55は、長い第1部分51から順に、短い第2部分52に接続している。言い換えると、第1群の線状導電体50に含まれる各線状導電体41のうち、第1部分51が長いほど、第2部分52が短くなっている。さらに言い換えると、nを自然数として、第1群の線状導電体50に含まれる各線状導電体41のうち、第1部分51がn番目に長い線状導電体41は、第2部分52がn番目に短くなっている。したがって、第1群の線状導電体50に含まれる各線状導電体41のうち、第1部分51が最も長い線状導電体41は、第2部分52が最も短くなっている。同様に、第1群の線状導電体50に含まれる各線状導電体41のうち、第1部分51が最も短い線状導電体41は、第2部分52が最も長くなっている。
第1部分51が最も長い線状導電体41の第2部分52が最も短くなるよう接続されているように、長い第1部分51ほど短い第2部分52と接続されていることで、第1群の線状導電体50に含まれる各線状導電体41の長さを均一に近づけることができる。このため、第1群の線状導電体50における各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
なお、図示されたパターン導電体40の配置パターンの第1の例では、中間接続部分55が長い第1部分51から順に短い第2部分52に順に接続している。このため、第1群の線状導電体50は、第1部分51及び第2部分52を1つずつ含んでいる。したがって、第1群の線状導電体50に含まれる中間接続部分55は、1つのみとなっている。
第1群の線状導電体50は、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cと交差する部分を少なくとも4箇所含んでいることが好ましい。図4に示された例では、第1部分51及び第2部分52が第1領域22aに配置されており、中間接続部分55、第1接続部分57及び第2接続部分59が第2領域22bに配置されている。このため、第1群の線状導電体50は、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cと、第1接続部分57と第1部分51との接続箇所、第1部分51と中間接続部分55との接続箇所、中間接続部分55と第2部分52との接続箇所、及び第2部分52と第2接続部分59との接続箇所、の4箇所で交差している。第1群の線状導電体50が境界22cと交差する部分を少なくとも4箇所含んでいることで、中間接続部分55が第2領域22bに配置されることになる。第2領域22bに配置された中間接続部分55の長さを調節することで、各線状導電体41の長さの違いが小さくなり、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
第1群の線状導電体50は、第1曲部51aと第2曲部51bとの間を延びる部分を奇数箇所含んでいる。言い換えると、第1群の線状導電体50には、第1曲部51aと第2曲部51bとの間となる部分が奇数箇所存在する。図4に示された例では、中間接続部分55、中間接続部分55に接続して第1曲部51aまで延びる第1部分51の一部、及び中間接続部分55に接続して第2曲部51bまで延びる第2部分52の一部が、第1曲部51aと第2曲部51bとの間を延びる部分である。第1群の線状導電体50が第1曲部51aと第2曲部51bとの間を延びる部分を奇数箇所含んでいることで、第1群の線状導電体50において一方の側の線状導電体41が外側となるように曲がった部分と他方の側の線状導電体が外側となるように曲がった部分の長さを近づけることができる。すなわち、第1群の線状導電体50において、各線状導電体41の長さの違いが小さくなり、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
また、第2群の線状導電体60は、第1部分61と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分61とを接続する第1接続部分67と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第1部分61とを接続する第2接続部分69と、を含んでいる。第2群の線状導電体60の第1部分61は、最も一方の側の線状導電体41が最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第1曲部61aを含んでいる。第1曲部61aは、第1領域22aに配置されている。ここで、第2接続部分69は、図4に示されているように、第1部分61と直接接続していてもよいし、第2群の線状導電体60に含まれる第1部分61とは別の部分を介して第1部分61と間接的に接続していてもよい。また、図4に示された例では、第2群の線状導電体60は、複数の線状導電体41からなっている。しかしながら、第2群の線状導電体60は、1本の線状導電体41からなっていてもよい。
第1群の線状導電体50の第1曲部51aは、第2群の線状導電体60の第1曲部61aに覆われている。言い換えると、第1群の線状導電体50の第1曲部51aは、互いに非平行な3方向から、第2群の線状導電体60の第1曲部61aによって取り囲まれている。さらに言い換えると、第1群の線状導電体50の第1曲部51aにおける最も一方の側の線状導電体は、第2群の線状導電体60の第1曲部61aにおける最も他側の線状導電体より他方の側に配置されている。
なお、第2群の線状導電体60の第1部分61が第1領域22aに配置されていることから、第2群の線状導電体60の第1曲部61aは、第1群の線状導電体50の第1曲部51aと同様に、第1領域22aに配置されている。
(配置パターンの第2の例)
図6には、パターン導電体40の配置パターンの第2の例が示されている。パターン導電体40の配置パターンの第2の例では、パターン導電体40が有する複数の線状導電体41は、連続して配列された第1群の線状導電体50と、連続して配列された第2群の線状導電体60と、連続して配列された第3群の線状導電体70と、を含んでいる。第1群の線状導電体50、第2群の線状導電体60及び第3群の線状導電体70は、それぞれ異なる線状導電体41からなる。ただし、図示された例に限らず、複数の線状導電体41は、第1群の線状導電体50のみを含んでいてもよいし、第1群から第3群の線状導電体とは別の群の線状導電体を含んでいてもよい。また、図7には、理解を容易にするため、図6に示されたパターン導電体40の配置パターンの第2の例における、第1群の線状導電体50のみが、各部分ごとに分解して図示されている。
パターン導電体40の配置パターンの第2の例では、第1群の線状導電体50は、少なくとも1つの第1曲部51aを含む第1部分51と、少なくとも1つの第2曲部52bを含む第2部分52と、第2領域22bに配置され且つ第1部分51と第2部分52とを接続する中間接続部分55と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分51とを接続する第1接続部分57と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第1部分51とを接続する第2接続部分59と、を含んでいる。第1群の線状導電体50は、第1部分51を2つ以上含んでおり、第1接続部分57に接続された第1部分51は、第2接続部分59に接続された第1部分51と異なっている。図示された例では、第1群の線状導電体50は、2つの第1部分51を含んでいる。また、図示された例では、第1群の線状導電体50は、第2部分52を1つ含んでおり、第2部分52の両端は、それぞれ別の中間接続部分55に接続している。すなわち、図示された例では、第1群の線状導電体50は、第1接続部分57、第1部分51、中間接続部分55、第2部分52、中間接続部分55、第1部分51、第2接続部分59を順に接続することで、一対のバスバー35を接続している。さらに、図示された例では、第1部分51は、2つの第1曲部51aを含んでおり、第2部分52は、2つの第2曲部52bを含んでいる。図7によく示されているように、パターン導電体40の配置パターンの第2の例において、第1群の線状導電体50の第2部分52は、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41の配列方向に隣り合う2つの第1部分51の間に配置されている。言い換えると、第1部分51と第2部分52とが交互に配位置されている。中間接続部分55は、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41の配列方向に隣り合う第1部分51と第2部分52とを接続している。図6に示された例では、第1群の線状導電体50は、複数の線状導電体41からなっている。しかしながら、第1群の線状導電体50は、1本の線状導電体41からなっていてもよい。
第1群の線状導電体50は、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cと交差する部分を少なくとも4箇所含んでいることが好ましい。図6に示された例では、2つの第1部分51及び第2部分52が第1領域22aに配置されており、2つの中間接続部分55、第1接続部分57及び第2接続部分59が第2領域22bに配置されている。このため、第1群の線状導電体50は、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cと、第1接続部分57と第1部分51との接続箇所、第1部分51と中間接続部分55との2つの接続箇所、中間接続部分55と第2部分52との2つの接続箇所、及び第2部分52と第2接続部分59との接続箇所、の6箇所で交差している。第1群の線状導電体50が境界22cと交差する部分を少なくとも4箇所含んでいることで、中間接続部分55が第2領域22bに配置されることになる。第2領域22bに配置された中間接続部分55の長さを調節することで、各線状導電体41の長さの違いを小さくして、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
また、第2群の線状導電体60は、第1部分61と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分61とを接続する第1接続部分67と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第1部分61とを接続する第2接続部分69と、を含んでいる。第2群の線状導電体60の第1部分61は、最も一方の側の線状導電体41が最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第1曲部61aを含んでいる。第1曲部61aは、第1領域22aに配置されている。ここで、第2接続部分69は、図6に示されているように、第1部分61と直接接続していてもよいし、第2群の線状導電体60に含まれる第1部分61とは別の部分を介して第1部分61と間接的に接続していてもよい。また、図6に示された例では、第2群の線状導電体60は、1本の線状導電体41からなっている。しかしながら、第2群の線状導電体60は、複数の線状導電体41からなっていてもよい。
さらに、第3群の線状導電体70は、第1部分71及び第2部分72と、第2領域22bに配置され且つ第1部分71と第2部分72とを接続する中間接続部分75と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分71とを接続する第1接続部分77と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第1部分71とを接続する第2接続部分79と、を含んでいる。第3群の線状導電体70の第1部分71は、最も一方の側の線状導電体41が最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第1曲部71aを含んでおり、第2部分72は、最も他方の側の線状導電体41が最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第2曲部72bを含んでいる。第1曲部71a及び第2曲部72bは、第1領域22aに配置されている。第3群の線状導電体70の第1部分71の数と第2部分72の数の合計は、第1群の線状導電体50の第1部分51の数と第2部分52の数の合計より多くなっている。すなわち、第3群の線状導電体70の第1部分71と第2部分72の数の合計は、3より多くなっている。図示された例では、第3群の線状導電体70は、2つの第1部分71と、2つの第2部分72と、を含んでいる。また、図示された例では、第1接続部分77に接続された第1部分71は、第2接続部分79に接続された第1部分71と異なっており、第2部分72の両端は、それぞれ別の中間接続部分75に接続している。さらに、図示された例では、第1部分71は、2つの第1曲部71aを含んでおり、第2部分72は、2つの第2曲部72bを含んでいる。図7によく示されているように、パターン導電体40の配置パターンの第2の例において、第3群の線状導電体70の第2部分72は、第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41の配列方向に隣り合う2つの第1部分71の間に配置されている。言い換えると、第1部分71と第2部分72とが交互に配位置されている。中間接続部分75は、隣り合う第1部分71と第2部分72とを接続している。図6に示された例では、第3群の線状導電体70は、複数の線状導電体41からなっている。しかしながら、第3群の線状導電体70は、1本の線状導電体41からなっていてもよい。
第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41は、その配列方向に隣り合う第1部分51と第2部分52とが接続されることで、線状導電体41の長さを調節して、第2群の線状導電体60に含まれる線状導電体41の長さに近づけることができる。すなわち、中間接続部分55で接続する第1部分51及び第2部分52の数を調節することで、線状導電体41の長さを調節することができる。これにより、第1群の線状導電体50における各線状導電体41と第2群の線状導電体60における各線状導電体41との抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
同様に、第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41は、その配列方向に隣り合う第1部分71と第2部分72とが接続されることで、長さを調節することができる。第1群の線状導電体50における各第1部分51及び第2部分52の長さは、第3群の線状導電体70における各第1部分71及び第2部分72の長さより、長くなっている。一方、第3群の線状導電体70に含まれる第1部分71の数と第2部分72の数との合計は、第1群の線状導電体50に含まれる第1部分51の数と第2部分52の数との合計より多くなっている。このため、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41の長さと第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41の長さとを、近づけることができる。すなわち、第1群の線状導電体50における中間接続部分55で接続する第1部分51及び第2部分52の数を調節することで、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41の長さを調節することができ、第3群の線状導電体70における中間接続部分75で接続する第1部分51の数及び第2部分72の数を調節することで、第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41の長さを調節することができる。これにより、第1群の線状導電体50における各線状導電体41と第3群の線状導電体70における各線状導電体41との抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
複数の線状導電体41を1つの配置面22上に配置するため、図6に示されているパターン導電体40の配置パターンの第2の例では、第1群の線状導電体50は、偶数個の中間接続部分55を含んでいる。すなわち、第1群の線状導電体50は、偶数個の第1部分51と、第1部分51より1つ少ない第2部分52と、を含んでいる。これにより、複数の線状導電体41が互いに交差することなく、1つの配置面22上に複数の線状導電体41を配置することができる。
同様に、複数の線状導電体41を1つの配置面22上に配置するため、図6に示されているパターン導電体40の配置パターンの第2の例では、第3群の線状導電体70は、偶数個の中間接続部分75を含んでいる。すなわち、第3群の線状導電体70は、偶数個の第1部分71と、第1部分71より1つ少ない第2部分72と、を含んでいる。これにより、複数の線状導電体41が互いに重なることなく、1つの配置面22上に複数の線状導電体41を配置することができる。
第1群の線状導電体50の第1曲部51aは、第2群の線状導電体60の第1曲部61aに覆われている。言い換えると、第1群の線状導電体50の第1曲部51aは、互いに非平行な3方向から、第2群の線状導電体60の第1曲部61aによって取り囲まれている。さらに言い換えると、第1群の線状導電体50の第1曲部51aにおける最も一方の側の線状導電体は、第2群の線状導電体60の第1曲部61aにおける最も他方の側の線状導電体より他方の側に配置されている。
なお、第2群の線状導電体60の第1部分61が第1領域22aに配置されていることから、第2群の線状導電体60の第1曲部61aは、第1群の線状導電体50の第1曲部51aと同様に、第1領域22aに配置されている。
また、第3群の線状導電体70の第1曲部71aは、第1群の線状導電体50の第1曲部51aに覆われている。言い換えると、第3群の線状導電体70の第1曲部71aは、互いに非平行な3方向から、第1群の線状導電体50の第1曲部51aによって取り囲まれている。さらに言い換えると、第3群の線状導電体70の第1曲部71aにおける最も一方の側の線状導電体は、第1群の線状導電体50の第1曲部51aにおける最も他方の側の線状導電体より他方の側に配置されている。
さらに、第3群の線状導電体70の第2曲部72bは、第1群の線状導電体50の第2曲部52bに覆われている。言い換えると、第3群の線状導電体70の第2曲部72bは、互いに非平行な3方向から、第1群の線状導電体50の第2曲部52bによって取り囲まれている。さらに言い換えると、第3群の線状導電体70の第2曲部72bにおける最も他方の側の線状導電体は、第1群の線状導電体50の第2曲部52bにおける最も一方の側の線状導電体より一方の側に配置されている。
なお、第3群の線状導電体70の第1部分71及び第2部分72が第1領域22aに配置されていることから、第3群の線状導電体70の第1曲部71a及び第2曲部72bは、第1領域22aに配置されている。
(配置パターンの第3の例)
図8には、パターン導電体40の配置パターンの第3の例が示されている。パターン導電体40の配置パターンの第3の例では、パターン導電体40が有する複数の線状導電体41は、連続して配列された第1群の線状導電体50と、連続して配列された第2群の線状導電体60と、連続して配列された第3群の線状導電体70と、を含んでいる。第1群の線状導電体50、第2群の線状導電体60及び第3群の線状導電体70は、それぞれ異なる線状導電体41からなる。ただし、図示された例に限らず、複数の線状導電体41は、第1群の線状導電体50のみを含んでいてもよいし、第1群から第3群の線状導電体とは別の群の線状導電体を含んでいてもよい。また、図9には、理解を容易にするため、図8に示されたパターン導電体40の配置パターンの第3の例における、第1群の線状導電体50のみが、各部分ごとに分解して図示されている。
パターン導電体40の配置パターンの第3の例では、第1群の線状導電体50は、少なくとも1つの第1曲部51aを含む第1部分51と、少なくとも1つの第2曲部52bを含む第2部分52と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分51とを接続する第1接続部分57と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第1部分51または第2部分52とを接続する第2接続部分59と、を含んでいる。第1群の線状導電体50は、第1部分51を1つ以上含んでおり、第2部分52を1つ以上含んでいる。図示された例では、第1群の線状導電体50は、2つの第1部分51と、1つの第2部分52と、を含んでいる。第2部分52の両端は、それぞれ別の第1部分51に接続している。また、図示された例では、第2接続部分59は、一対のバスバー35の他方と第1部分51とを接続している。すなわち、図示された例では、第1群の線状導電体50は、第1接続部分57、第1部分51、第2部分52、第1部分51、第2接続部分59を順に接続することで、一対のバスバー35を接続している。また、図示された例では、第1部分51の1つは、3つの第1曲部51aを含んでおり、第1部分51の他の1つは、1つの第1曲部51aを含んでおり、第2部分52は、2つの第2曲部52bを含んでいる。図9によく示されているように、パターン導電体40の配置パターンの第3の例において、1つの第1部分51及び第2部分52は、第1領域22aにおいて互いに接続している。図8に示された例では、第1群の線状導電体50は、複数の線状導電体41からなっている。しかしながら、第1群の線状導電体50は、1本の線状導電体41からなっていてもよい。
また、第2群の線状導電体60は、第1部分61と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分61とを接続する第1接続部分67と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第1部分61とを接続する第2接続部分69と、を含んでいる。第2群の線状導電体60の第1部分61は、最も一方の側の線状導電体41が最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第1曲部61aを含んでいる。第1曲部61aは、第1領域22aに配置されている。ここで、第2接続部分69は、図8に示されているように、第1部分61と直接接続していてもよいし、第2群の線状導電体60に含まれる第1部分61とは別の部分を介して第1部分61と間接的に接続していてもよい。図8に示された例では、第2群の線状導電体60は、複数の線状導電体41からなっている。しかしながら、第2群の線状導電体60は、1本の線状導電体41からなっていてもよい。
さらに、第3群の線状導電体70は、第1部分71及び第2部分72と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の一方と第1部分71とを接続する第1接続部分77と、第2領域22bに配置され且つ一対のバスバー35の他方と第1部分71または第2部分72とを接続する第2接続部分79と、を含んでいる。第3群の線状導電体70の第1部分71は、最も一方の側の線状導電体41が最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第1曲部71aを含んでおり、第2部分72は、最も他方の側の線状導電体41が最も外側となるように曲がった少なくとも1つの第2曲部72bを含んでいる。図示された例では、第3群の線状導電体70は、2つの第1部分71と、1つの第2部分72と、を含んでいる。第2部分72の両端は、それぞれ別の第1部分71に接続している。また、図示された例では、第2接続部分79は、一対のバスバー35の他方と第1部分71とを接続している。すなわち、図示された例では、第3群の線状導電体70は、第1接続部分77、第1部分71、第2部分72、第1部分71、第2接続部分79を順に接続することで、一対のバスバー35を接続している。ただし、図示された例に限らず、第3群の線状導電体70は、第1部分71及び第2部分72を、任意の数含んでいてよい。また、図示された例では、第1部分71の1つは、3つの第1曲部71aを含んでおり、第1部分71の他の1つは、1つの第1曲部71aを含んでおり、第2部分72は、2つの第2曲部72bを含んでいる。少なくとも1つの第1曲部71a及び少なくとも1つの第2曲部72bは、第1領域22aに配置されている。1つの第1部分71及び第2部分72は、第1領域22aにおいて互いに接続している。図8に示された例では、第3群の線状導電体70は、複数の線状導電体41からなっている。
また、パターン導電体40の配置パターンの第2の例と同様に、第1群の線状導電体50の第1曲部51aは、第2群の線状導電体60の第1曲部61aに覆われている。言い換えると、第1群の線状導電体50の第1曲部51aは、互いに非平行な3方向から、第2群の線状導電体60の第1曲部61aによって取り囲まれている。さらに言い換えると、第1群の線状導電体50の第1曲部51aにおける最も一方の側の線状導電体は、第2群の線状導電体60の第1曲部61aにおける最も他方の側の線状導電体より他方の側に配置されている。
なお、第2群の線状導電体60の第1部分61が第1領域22aに配置されていることから、第2群の線状導電体60の第1曲部61aは、第1群の線状導電体50の第1曲部51aと同様に、第1領域22aに配置されている。
また、第1群の線状導電体50の第1接続部分57の長さと第2接続部分59の長さとの和は、第2群の線状導電体60の第1接続部分67の長さと第2接続部分69の長さとの和より長くなっている。すなわち、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41と第2群の線状導電体60に含まれる線状導電体41との長さを、第1群の線状導電体50の第1接続部分57の長さ、第2接続部分59の長さ、第2群の線状導電体60の第1接続部分67の長さ及び第2接続部分69の長さによって、調節することができる。これにより、第1群の線状導電体50に含まれる各線状導電体41と第2群の線状導電体60に含まれる各線状導電体41との間の長さの違いを小さくすることができる。このため、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
さらに、第3群の線状導電体70の第1曲部71aは、第1群の線状導電体50の第1曲部51aに覆われている。言い換えると、第3群の線状導電体70の第1曲部71aは、互いに非平行な3方向から、第1群の線状導電体50の第1曲部51aによって取り囲まれている。さらに言い換えると、第3群の線状導電体70の第1曲部71aにおける最も一方の側の線状導電体は、第1群の線状導電体50の第1曲部51aにおける最も他方の側の線状導電体より他方の側に配置されている。
さらに、第1群の線状導電体50の第2曲部52bは、第3群の線状導電体70の第2曲部72bに覆われている。言い換えると、第1群の線状導電体50の第2曲部52bは、互いに非平行な3方向から、第3群の線状導電体70の第2曲部72bによって取り囲まれている。さらに言い換えると、第1群の線状導電体50の第2曲部52bにおける最も他方の側の線状導電体は、第3群の線状導電体70の第2曲部72bにおける最も一方の側の線状導電体より一方の側に配置されている。
また、第1群の線状導電体50の第1接続部分57の長さと第2接続部分59の長さとの和は、第3群の線状導電体70の第1接続部分77の長さと第2接続部分79の長さとの和より短くなっている。すなわち、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41の長さ及び第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41の長さを、第1群の線状導電体50の第1接続部分57の長さ、第2接続部分59の長さ、第3群の線状導電体70の第1接続部分77の長さ及び第2接続部分79の長さによって、調節することができる。これにより、第1群の線状導電体50に含まれる各線状導電体41と第3群の線状導電体70に含まれる各線状導電体41との間の長さの違いを小さくすることができる。このため、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
上述したように、図8に示す例では、バスバー35の少なくとも1つの縁部35aは、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cに対して傾斜している。バスバー35の縁部35aが傾斜していることで、バスバー35に接続する各線状導電体41の第1接続部分57、67、77及び第2接続部分59、69、79の長さを調節することができる。このため、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
さらに、バスバーは、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cに沿った方向に延びている。そして、一部の第1接続部分は、バスバー35の第1領域22aに対面する側から延び出し、他の第1接続部分は、バスバー35の第1領域22aに対面する側以外の側から延び出している。同様に、一部の第2接続部分は、バスバー35の第1領域22aに対面する側から延び出し、他の第2接続部分は、バスバー35の第1領域22aに対面する側以外の側から延び出している。図示された例では、第1群の線状導電体50の第1接続部分57及び第2接続部分59は、バスバー35の第1領域22aに対面する側から延び出している。同様に、第2群の線状導電体60の第1接続部分67及び第2接続部分59は、バスバー35の第1領域22aに対面する側から延び出している。一方、第3群の線状導電体70の第1接続部分77及び第2接続部分79は、バスバー35の第1領域22aに対面する側とは反対側から延び出している。第1接続部分57、67、77及び第2接続部分59、69、79が、バスバー35のどの側から延び出すかによっても、バスバー35に接続する第1接続部分57、67、77及び第2接続部分59、69、79の長さを調節することができる。このため、各線状導電体41の長さを調節することができる。
より具体的には、図8に示されているように、少なくとも1つのバスバー35の第1群の線状導電体50が接続する面は、当該バスバー35の第3群の線状導電体70が接続する面と異なる。あるいは、少なくとも1つのバスバー35から第1群の線状導電体50が延び出す方向は、当該バスバーから第3群の線状導電体70が延び出す方向と異なる。線状導電体41がバスバー35のどの面からどの方向に延び出すかによって、第1群の線状導電体50と第3群の線状導電体70の間で、線状導電体41の長さを調節することができる。
あるいは、図示された例に限らず、少なくとも1つのバスバー35の第1群の線状導電体50が接続する面は、当該バスバー35の第2群の線状導電体60が接続する面と異なっていてもよい。あるいは、少なくとも1つのバスバー35から第1群の線状導電体50が延び出す方向は、当該バスバー35から第2群の線状導電体60が延び出す方向と異なっていてもよい。さらに、より一般的には、少なくとも1つのバスバー35のある群の線状導電体が接続する面は、当該バスバー35の別の群の線状導電体が接続する面と異なっていてもよい。あるいは、少なくとも1つのバスバー35からある群の線状導電体が延び出す方向は、当該バスバー35から別の群の線状導電体が延び出す方向と異なっていてもよい。線状導電体41がバスバー35のどの面からどの方向に延び出すかによって、各群の線状導電体の間で、線状導電体41の長さを調節することができる。
なお、当然に、パターン導電体40の配置パターンの第3の例だけでなく、第1の例や第2の例においても、バスバー35の少なくとも1つの縁部35aは、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cに対して傾斜していてもよい。また、第1の例や第2の例においても、バスバー35は、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cに沿った方向に延びるようにしてもよい。さらに、第1の例や第2の例においても、少なくとも1つのバスバー35の第1群の線状導電体50が接続する面は、当該バスバー35の第3群の線状導電体70が接続する面と異なってもよいし、少なくとも1つのバスバー35から第1群の線状導電体50が延び出す方向は、当該バスバー35から第3群の線状導電体70が延び出す方向と異なってもよい。なお、第1の例、第2の例及び第3の例において、少なくとも1つのバスバー35の、第3群の線状導電体70でなく、第1群の線状導電体50が接続する面は、当該バスバー35の第2群の線状導電体60が接続する面と異なってもよいし、少なくとも1つのバスバー35から第1群の線状導電体50が延び出す方向は、当該バスバー35から第2群の線状導電体60が延び出す方向と異なってもよい。
また、パターン導電体40の配置パターンの第1の例及び第2の例のように、第3の例においても、第1群の線状導電体50は、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cと交差する部分を少なくとも4箇所含んでいてもよい。さらには、パターン導電体40の配置パターンの第1の例、第2の例及び第3の例において、第2群の線状導電体60や第3群の線状導電体70も、第1領域22aと第2領域22bとの境界22cと交差する部分を少なくとも4箇所含んでいてもよい。この場合も、各線状導電体41の長さの違いを小さくして、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
さらに、パターン導電体40の配置パターンの第1の例のように、第2の例及び第3の例においても、第1群の線状導電体50は、第1曲部51aと第2曲部51bとの間を延びる部分を奇数箇所含んでいてもよい。さらには、パターン導電体40の配置パターンの第1の例、第2の例及び第3の例において、第2群の線状導電体60や第3群の線状導電体70も、第1曲部51aと第2曲部51bとの間を延びる部分を奇数箇所含んでいてもよい。この場合も、第1群の線状導電体50において、各線状導電体41の長さの違いを小さくして、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけることができる。したがって、発熱むらが生じることを抑制する等、パターン導電体40が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。
パターン導電体40の配置パターンの第1の例、第2の例や第3の例において、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41と第2群の線状導電体60に含まれる線状導電体41との長さを、違いが小さくなるように調節することで、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけ、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。具体的には、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41及び第2群の線状導電体60に含まれる線状導電体41のうち、最も短い線状導電体の長さに対する、最も長い線状導電体の長さの比は、2.0以下であることで、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけ、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制する効果を、より明確に奏することができる。
同様に、パターン導電体40の配置パターンの第2の例や第3の例において、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41と第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41との長さを、違いが小さくなるように調節することで、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけ、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制することができる。具体的には、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41及び第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41のうち、最も短い線状導電体の長さに対する、最も長い線状導電体の長さの比は、2.0以下であることで、各線状導電体41の抵抗を均一に近づけ、パターン導電体が発揮すべき機能の劣化を抑制する効果を、より明確に奏することができる。
次に、図10〜図15を参照して、合わせ板10の製造方法の一例について説明する。図10〜図15は、合わせ板10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、図10に示すように、第1暗色層47を形成するようになる暗色膜47aを基材21上に設け、導電性金属層46を形成するようになる金属膜46aを暗色膜47a上に設ける。金属膜46aは、導電性金属層46をなす材料として既に説明したように、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、及び、これらの合金の一以上を用いて形成され得る。金属膜46aは、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。
次に、図11に示すように、金属膜46a上に、レジストパターン49を設ける。レジストパターン49は、形成されるべきバスバー付きパターン導電体30に対応した形となっている。ここで説明する方法では、最終的にバスバー付きパターン導電体30をなす箇所の上にのみ、レジストパターン49が設けられている。このレジストパターン49は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、図12に示すように、レジストパターン49をマスクとして、金属膜46a及び暗色膜47aをエッチングする。このエッチングにより、金属膜46a及び暗色膜47aがレジストパターン49と略同一のパターンにパターニングされる。この結果、パターニングされた金属膜46aから、線状導電体41の一部をなすようになる導電性金属層46が形成され、暗色膜47aから、線状導電体41の一部をなすようになる第1暗色層47が形成される。
なお、エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、図13に示すように、レジストパターン49を除去する。
次に、図14に示すように、導電性金属層46の基材21に対向する側の面と反対側の面及び側面に第2暗色層48を形成する。第2暗色層48は、例えば導電性金属層46をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層46をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2暗色層48を形成することができる。また、導電性金属層46の表面に第2暗色層48を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層46の表面を粗化して第2暗色層48を設けるようにしてもよい。以上の工程によって、バスバー付きパターン導電体30と、バスバー付きパターン導電体30を支持する基材21と、を有する導電体付きシート20が作製される。
最後に、図15に示すように、バスバー付きパターン導電体30の側から接合層13及び基板11を積層して、導電体付きシート20と基板11とを接合する。同様に、基材21の側から接合層14及び基板12を積層して、導電体付きシート20と基板12とを接合する。これにより、図3に示した合わせ板10が作製される。
以上のように、第1の実施の形態のパターン導電体40は、一対のバスバー35を接続するパターン導電体であって、1つの配置面22上に間隔を空けて配列された複数の線状導電体41を備え、複数の線状導電体41は、連続して配列された第1群の線状導電体50を含み、第1群の線状導電体50は、当該第1群の線状導電体50に含まれる最も一方の側の線状導電体41aが最も外側となるように曲がった第1曲部51aと、当該第1群の線状導電体50に含まれる最も他方の側の線状導電体41bが最も外側となるように曲がった第2曲部52bと、を含む。このようなパターン導電体40によれば、第1群の線状導電体50における各線状導電体41の長さの違いを小さくして、抵抗の違いを小さくすることができる。したがって、線状導電体41の抵抗の違いに起因して起こり得る、発熱むら等のパターン導電体が発揮すべき機能が劣化することを効果的に抑制することができる。また、このようなパターン導電体40を1つの配置面22上に配置することで、上述した製造工程のように、パターン導電体40を容易に製造することができる。
なお、上述した第1の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
例えば、パターン導電体40において局所的に発熱量を増大させる等、パターン導電体40が発揮すべき機能の一部を調節することが求められることがある。複数の線状導電体41に含まれる各群において線状導電体41の長さ、線幅、抵抗及び間隔を調節することで、パターン導電体40が発揮すべき機能の一部を容易に調節することができる。すなわち、上述したパターン導電体40の配置パターンの第2の例及び第3の例において、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41は、第2群の線状導電体60に含まれる線状導電体41と、長さ、線幅、抵抗及び間隔のうち少なくとも1つが異なってもよい。また、第1群の線状導電体50に含まれる線状導電体41は、第3群の線状導電体70に含まれる線状導電体41と、長さ、線幅、抵抗及び間隔のうち少なくとも1つが異なってもよい。この場合、複数の線状導電体41に含まれる各群ごとに、線状導電体41の長さ、線幅、抵抗及び間隔を調節することができるため、パターン導電体40において局所的に発熱量を増大させる等、パターン導電体40が発揮すべき機能の一部を容易に調節することができる。
上述した第1の実施の形態において、合わせ板10が曲面状に形成されている例を示したが、この例に限られず、合わせ板10が、平板状に形成されていてもよい。
また、図示された例では、配置面22は、平面となっている。しかしながら、配置面22は、曲面であってもよい。さらには、基材21が製造工程において剥離される等して合わせ板10に含まれない場合、配置面22は、仮想的な面であってもよい。
合わせ板10は、自動車1のサイドウィンドウだけでなく、フロントウィンドウ、リアウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、合わせ板10は、自動車以外の、鉄道車両、航空機、船舶、宇宙船等の移動体の窓に用いられてもよい。さらには、合わせ板10を有する仕切部材3が、移動体の扉等に用いられてもよい。
また、合わせ板10及び合わせ板10を有する仕切部材3は、移動体以外にも、特に室内と室外とを仕切る箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは扉、建物の窓又は扉、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の収納乃至保管設備の窓あるいは扉等に使用することもできる。すなわち、合わせ板10は、窓等の任意の透明部材として用いることができ、仕切部材3は、二つの領域を仕切る壁部材等の任意の部材であってもよい。
上述した第1の実施の形態では、合わせ板10がデフロスタとして用いられている例を示した。しかしながら、これに限らず、パターン導電体を有する合わせ板10は、アンテナ、電磁波シールド、タッチパネル等に用いられてもよい。
また、上述した第1の実施の形態では、パターン導電体40が合わせ板10に適用されている例を示した。しかしながら、パターン導電体40の一方の側にのみ基板が設けられていており、パターン導電体を後貼りすることができる貼合部材となっていてもよい。このような貼合部材は、基板と、基板に接合したバスバー付きパターン導電体と、を有している。言い換えると、図3に示した合わせ板10から、基板12が除かれている。この場合、例えば自動車のフロントウィンドウやサイドウィンドウに、パターン導電体40を貼合することができる。すなわち、パターン導電体が設けられていないフロントウィンドウやサイドウィンドウに、パターン導電体を後貼りすることができる。
上述した第1の実施の形態において、導電体付きシート20は、基材21を有していたが、基材21は、製造工程において剥離されてもよい。すなわち、導電体付きシート20は、基材21を含んでいなくてもよい。
あるいは、基材21が接合機能を有していてもよい。この場合、基材21によって、導電体付きシート20と基板12とを接合することができるため、接合層14を省略することができる。このような基材21の材料として、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタールを例示することができる。
基材21が接合機能を有する場合、合わせ板10の構成を図16または図17に示した断面図のようにすることができる。図16及び図17は、図3に対応した合わせ板10の断面図の変形例である。図16及び図17に示された例では、合わせ板10は、厚さ方向dLに離間して配置された基板11,12と、基板11,12との間に配置されたバスバー付きパターン導電体30と、基板11,12を接合する接合層13及び基材21と、を有している。図示された例において、厚さ方向dLとは、合わせ板10の厚さ方向であり、さらに合わせ板10の板面への法線方向に一致している。図16に示す例では、バスバー付きパターン導電体30は、基材21と接合層13との間に配置されている。一方、図17に示す例では、バスバー付きパターン導電体30が基板12に接して配置されている。
基材21と接合層13とは、ともに接合機能を有しているが、互いに異なる性質を有していることが好ましい。例えば、接合層13は、基材21と比較して、含まれている単位質量あたりの可塑剤の量が少ない、ガラス転移温度が高い、及び、軟化点が高い、のうち少なくともいずれかを満たしている。基材21及び接合層13の単位質量あたりの可塑剤の量、ガラス転移温度、及び、軟化点は、例えば基材21に添加される添加剤の含有量と接合層13に添加される添加剤の含有量を調節することで、適宜に設定することができる。具体的な例として、基材21について、含まれている可塑剤の量を25wt%以下とし、ガラス転移温度を60℃以上とし、軟化点を110℃以上とすることができ、さらには、含まれている可塑剤の量を15wt%以下とし、ガラス転移温度を65℃以上とし、軟化点を140℃以上とすることができる。ここで、単位〔wt%〕は、質量パーセント濃度を表している。
ここで、パターン導電体に電圧が印加されると、抵抗加熱により、パターン導電体の各線状導電体は発熱する。発熱した各線状導電体の近傍の領域は、その他の領域より熱を受けやすい。すなわち、線状導電体の周辺領域とその他の領域との間で、温度のむらが生じる。発熱した線状導電体の周辺領域においては、基材21及び接合層13に熱による変質が生じる。変質により、線状導電体の周辺領域における基材21及び接合層13の屈折率が変化する。このようにして、線状導電体の周辺領域と線状導電体の周辺領域以外の領域との間で、屈折率差が生じる。この屈折率差に応じて、線状導電体の周辺領域と線状導電体の周辺領域以外の領域との間を透過する光は、屈折する。合わせ板に入射した光は、パターン導電体に電圧が印加されている状態の合わせ板を透過すると、屈折しない光に比べて、大きく進路が変わって出射してしまう。この出射する光は、基材21及び接合層13の変質が生じる領域が大きくなるほど、大きく広がることになる。合わせ板を透過して出射する光が大きく広がって出射することで、合わせ板を介した視界において、ひずみが発生し得る。
しかしながら、基材21と接合層13とが互いに異なる性質を有している場合、基材21は、接合層13より、熱による変質が生じにくくなっている。そして、基材21が、バスバー付きパターン導電体30のパターン導電体40に隣接している。このため、熱による変質が生じ得るパターン導電体40の線状導電体41の周辺領域を小さくすることができる。したがって、合わせ板10に入射した光は、発熱している状態の合わせ板10を透過すると、少ししか進路が変わらずに出射する。したがって、パターン導電体40に電圧を印加することで発熱しても、熱によるひずみの発生を、抑制することができる。
また、基材21の厚さT1、すなわち厚さ方向dLにおける長さは、接合層13の厚さT2、すなわち厚さ方向dLにおける長さより、短くなっていることが好ましい。具体的な例として、基材21の厚さT1を、20μm以上100μm以下とすることができ、さらには、40μm以上80μm以下とすることができる。接合層13の厚さT2は、合わせガラスの安全性能により選ぶことができ、ガラスが割れた時の衝撃物の貫通性能とガラス破片の飛散防止高めるためにはある程度の厚さが必要であるが、例えば150μm以上1600μm以下とすることができる。
図16に示す例では、バスバー付きパターン導電体30は、基材21と接合層13との両方に隣接している。このため、合わせ板10は、バスバー付きパターン導電体30を安定して保持することができる。また、基材21が接合層13より薄くなっていると、基材21を介してバスバー付きパターン導電体30のパターン導電体40で発生した熱を基板12に伝達しやすくすることができる。すなわち、基板12に、より多くの熱が伝導される。言い換えると、接合層13に伝導される熱が少なくなる。このため、熱による変質が生じ得る領域を、より小さくすることができる。合わせ板10に入射した光の進路が少ししか変わらなくなるため、ひずみの発生を、より抑制することができる。また、基板12に熱が伝達しやすいため、基板12を効率よく発熱させることができる。図1に示した自動車1のサイドウィンドウ5の外側等、合わせ板10の一方の側のみを効率よく発熱させたい場合には、特に有効である。
一方、図17に示す例では、バスバー付きパターン導電体30が基板12と接する面30aを有している。バスバー付きパターン導電体30のパターン導電体40が基板12と接する面40aを有していると、パターン導電体40で発生した熱を基板12に効率よく伝達することができる。すなわち、基板12に、より多くの熱が伝導される。言い換えると、基材21及び接合層13に伝導される熱が少なくなる。このため、熱による変質が生じ得る領域を、小さくすることができる。合わせ板10に入射した光の進路が少ししか変わらなくなるため、ひずみの発生を、抑制することができる。また、基板12に熱が伝達しやすいため、基板12を効率よく発熱させることができる。図1に示した自動車1のサイドウィンドウ5の外側等、合わせ板10の一方の側のみを効率よく発熱させたい場合には、特に有効である。
なお、上述した第1の実施の形態におけるパターン導電体40の配置パターンの第1から第3の例を適宜組み合わせて適用することも可能である。また、上述した第1の実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
<第2の実施の形態>
次に、図1、図10〜図17及び図19〜図46を参照しながら、第2の発明に関連した第2の実施の形態について説明する。
図1、図10〜図17及び図19〜図46は、第2の発明による第2の実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、合わせ板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図19は、合わせ板をその板面の法線方向から見た図であり、図20は、図19のXX−XX線に沿った合わせ板の断面を示す図である。
図1に示されているように、移動体の一例としての自動車101は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ105が合わせ板110で構成されているものを例示する。また、自動車101はバッテリー等の電源107を有している。第2の実施の形態において、合わせ板110は、発熱板として利用されている。
この合わせ板110をその板面の法線方向から見たものを図19に示す。また、図19の合わせ板110のXX−XX線に対応する断面図を図20に示す。図20に示された例では、合わせ板110は、互いに離間して配置された第1基板111及び第2基板112と、第1基板111及び第2基板112の間に配置された導電体付きシート120と、第1基板111と導電体付きシート120とを接合する第1接合層113と、第2基板112と導電体付きシート120とを接合する第2接合層114と、を有している。なお、図1および図19に示した例では、合わせ板110は湾曲しているが、その他の図では、理解の容易化のために、合わせ板110、第1基板111及び第2基板112を平板状に図示している。
導電体付きシート120は、基材121と、パターン導電体130と、を有している。パターン導電体130は、通電されることで発熱する複数の線状導電体140と、線状導電体140に通電するための一対のバスバー131,132と、を有している。
図19によく示されているように、合わせ板110は、パターン導電体130に通電するための配線部115を有している。図示された例では、バッテリー等の電源107によって、配線部115からパターン導電体130の一対のバスバー131,132を介して線状導電体140に通電し、線状導電体140を抵抗加熱により発熱させる。線状導電体140で発生した熱は第1基板111及び第2基板112に伝わり、第1基板111及び第2基板112が温められる。これにより、第1基板111及び第2基板112に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、第1基板111及び第2基板112に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。尚、図示は省略するが、通常は、配線部115は電源107とパターン導電体130の一対のバスバー131,132との間に開閉器が挿入(直列に接続)される。そして、合わせ板110の加熱が必要な時のみ開閉器を閉じてパターン導電体130に通電する。
以下、合わせ板110の各構成要素について説明する。
まず、第1基板111及び第2基板112について説明する。第1基板111及び第2基板112は、図1で示された例のように自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような第1基板111及び第2基板112の材質としては、ソーダライムガラスや青板ガラスが例示できる。第1基板111及び第2基板112の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。ここで、第1基板111及び第2基板112の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、第1基板111及び第2基板112の一部または全体に着色するなどして、この一部分の可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、第1基板111及び第2基板112は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた第1基板111及び第2基板112を得ることができる。第1基板111及び第2基板112は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
次に、第1接合層113及び第2接合層114について説明する。第1接合層113が、第1基板111と導電体付きシート120との間に配置され、第1基板111と導電体付きシート120とを互いに接合する。第2接合層114が、第2基板112と導電体付きシート120との間に配置され、第2基板112と導電体付きシート120とを互いに接合する。
このような第1接合層113及び第2接合層114としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、第1接合層113及び第2接合層114は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。第1接合層113及び第2接合層114の厚みは、それぞれ0.15mm以上1mm以下であることが好ましい。第1接合層113及び第2接合層114は、同一の材料で同一に構成されていてもよいし、或いは、材料および構成の少なくとも一方において互いに異なるようにしてもよい。
なお、合わせ板110には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2つ以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、合わせ板110の第1基板111及び第2基板112、第1接合層113及び第2接合層114、後述する導電体付きシート120の基材121の、少なくとも一つに何らかの機能を付与するようにしてもよい。合わせ板110に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、防汚機能、接合機能等を例示することができる。
次に、導電体付きシート120について説明する。導電体付きシート120は、基材121と、基材121上に設けられたパターン導電体130と、を有する。第2の実施の形態において、導電体付きシート120は、第1基板111及び第2基板112と略同一の平面寸法を有して、合わせ板110の全体にわたって配置されているが、図1の例における運転席の正面部分等、合わせ板110の一部にのみ配置されてもよい。以下、導電体付きシート120の各構成要素について説明する。
基材121は、パターン導電体130を支持する基材として機能する。基材121の一方の面は、パターン導電体130を配置する配置面となる。基材121は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性のフィルムである。基材121としては、可視光を透過し、パターン導電体130を適切に支持し得るものであればいかなる材質のものでもよいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。また、基材121は、光透過性や、パターン導電体130の適切な支持性等を考慮すると、0.03mm以上0.20mm以下の厚みを有していることが好ましい。
なお、「透明」とは、当該基材を介して当該基材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
次に、図21を参考にしながら、パターン導電体130について説明する。図21は、パターン導電体130を合わせ板110の板面の法線方向から見た平面図であり、線状導電体140の配置パターンの一例を示している。
パターン導電体130は、一対のバスバー131,132と、一対のバスバー131,132の間に配置された複数の線状導電体140と、を有している。一対のバスバー131,132は、互いに離間して配置されており、それぞれが対応する配線部115と電気的に接続している。一対のバスバー131,132間には、配線部115と接続された電源107の電圧が印加されるようになる。複数の線状導電体140は、一対のバスバー131,132の間を接続している。線状導電体140は、配線部115及びバスバー131,132を介して電圧を印加されると、抵抗加熱によって発熱する。そして、この熱が第1接合層113及び第2接合層114を介して第1基板111及び第2基板112に伝わることで、第1基板111及び第2基板112が温められる。
一対のバスバー131,132は、第1方向d1に互いに離間して配置されている。バスバー131,132は、配線部115及び線状導電体140に接続している。配線部115に接続された電源107の電圧が一対のバスバー131,132に印加されることで、線状導電体140に電圧が印加される。図19及び図21によく示されているように、一対のバスバー131,132は、その離間する第1方向d1に非平行な第2方向d2に延びている。一対のバスバー131,132に電圧が印加されることで、バスバー131,132の延びている方向に電流が流れる。
線状導電体140は、一対のバスバー131,132の間において、種々のパターンで配置することができる。一例として、図21に示されているように、複数の線状導電体140は、第1方向d1に延びており、第1方向d1に非平行な第2方向d2に配列されている。これにより、隣り合う2つの線状導電体140の間には、隙間135が形成されている。隙間135は、線状導電体140が延びる方向である第1方向d1に長手方向を有している。
複数の線状導電体140は、その両端において一対のバスバー131,132に接続して配置されている。言い換えると、各線状導電体140は、パターン導電体130の一端から他端まで延びて、一対のバスバー131,132を電気的に接続している。さらに言い換えると、各線状導電体140は、一方のバスバー131から他方のバスバー132へ延びている。
図22、図22A、図23及び図23Aを参照しながら、線状導電体140についてさらに説明する。図22は、1つの線状導電体140の一例の一部を拡大して示しており、図22Aは、図22に示された線状導電体140の一例の変形例である。図23は、線状導電体140の他の例の一部を拡大して示しており、図23Aは、図23に示された線状導電体140の他の例の変形例である。
図22及び図23に示されている例に示された1つ線状導電体140は、それぞれ線幅の異なる複数の部分を含んでいる。したがって、少なくとも1つの線状導電体140は、最大の線幅w1を有する第1部分141と、最小の線幅w2を有する第2部分142と、を少なくとも含んでいる。第1部分141の線幅、すなわち線状導電体140の最大の線幅w1は、第2部分142の線幅、すなわち線状導電体140の最小の線幅w2の1.4倍以上となっている。線状導電体140の最大の線幅w1を最小の線幅w2の1.4倍以上とすることで、後述するように、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることを効果的に回避して、回折像が虹状の模様となることを効果的に抑制することができる。好ましくは、線状導電体140において、最大の線幅w1は、最小の線幅w2の2.0倍以下となっている。線状導電体140の最大の線幅w1を最小の線幅w2の2.0倍以下とすることで、後述するように、線状導電体140において局所的に抵抗値がばらつくことを抑制し、パターン導電体130における導電性を均一に保つことができる。具体的な線状導電体140の最大の線幅である第1部分141の線幅w1及び線状導電体140の最小の線幅である第2部分142の線幅w2は、例えば、3μm以上50μm以下である。
また、少なくとも1つの線状導電体140において、連続した第1部分141の長さ、言い換えると線幅がw1となっている連続した部分の長さは、第2部分142の線幅、すなわち最小の線幅w2の200倍以下、好ましくは50倍以下、さらに好ましくは20倍以下となっている。同様に、連続した第2部分142の長さ、言い換えると線幅がw2となっている連続した部分の長さは、第2部分142の線幅、すなわち最小の線幅w2の200倍以下、好ましくは50倍以下、さらに好ましくは20倍以下となっている。言い換えると、少なくとも1つの線状導電体140は、当該線状導電体の最小の線幅w2の200倍以下、好ましくは50倍以下、さらに好ましくは20倍以下の長さにおいて線幅が変化している。連続した第1部分141の長さが第2部分142の線幅w2の200倍以下となっていることで、言い換えると線幅が当該線状導電体の最小の線幅w2の200倍以下の長さで変化することで、後述するように、線幅の異なる部分同士が近くなり、それぞれの部分での回折像が重なり合いやすくなる。このため、虹状の模様の発生を抑制することができる。可視光領域の波長の光による回折像に対し、1m程度の距離での観察において、虹状の模様の発生を抑制する効果を発揮するには、具体的な連続した第1部分141の長さ及び連続した第2部分142の長さは、例えば、5mm以下である。ただし、少なくとも1つの線状導電体140は、少なくとも当該線状導電体の最小の線幅w2以上の長さにおいて、一定の線幅となっていることが好ましい。連続した第1部分141の長さ及び連続した第2部分142の長さは、例えば、5μm以上である。
なお、一定の線幅とは、当該線幅となるように意図されて製造されたことを意味し、製造工程において発生する程度の誤差を含む。具体的には、最小の線幅と最大の線幅との差が1μm以下となっている連続した部分は、一定の線幅となっている部分とみなすことができる。また、このような部分の線幅は、当該部分における線幅の平均のことを意味する。
さらに、各部分の長さとは、当該部分の一方の側縁に沿った長さと他方の側縁に沿った長さの平均のことを意味する。
さらに、線状導電体140の少なくとも一部は、曲線形状になっていることが好ましく、線状導電体140の各部分が曲線形状になっていることがより好ましく、線状導電体140の各部分が円弧の一部の形状になっていることがさらに好ましい。特に、少なくとも1つの線状導電体140において、第1部分141のある位置における接線の方向、言い換えると線状導電体140の最大の線幅w1となる部分のある位置における接線の方向は、第2部分142のある位置における接線の方向、言い換えると線状導電体140の最小の線幅w2となる部分のある位置における接線の方向と同一となっていることが好ましい。言い換えると、少なくとも1つの線状導電体140において、第1部分141のある位置と対応する第2部分142のある位置とで、接線の方向が同一となっていることが好ましい。また、少なくとも1つの線状導電体140において、第1部分141(線状導電体140の最大の線幅w1となる部分)の任意の位置と対応する位置が第2部分142(線状導電体140の最小の線幅w2となる部分)に存在し、第1部分141に対応する第2部分142の位置で、接線の方向が同一となっていることがさらに好ましい。接線の方向が同一となっていることで、後述するように、波長の異なる光による回折像を同一の方向に延びさせることができ、虹状の模様の発生をより効果的に抑制することができる。
特に、図22に示されている例では、線状導電体140は、線幅の異なる複数の円弧の形状を接続した形状となっている。図22に示された線状導電体140は、3種の線幅が異なる部分を含んでいる。すなわち、少なくとも1つの線状導電体140は、それぞれ線幅の異なる第1部分141、第2部分142及び第3部分143を含んでいる。このように線状導電体140が3種の線幅が異なる部分を含んでいる場合、第1部分141の線幅w1は、第2部分142の線幅w2の1.6倍以上1.7倍以下であり、第3部分143の線幅w3は、第2部分142の線幅w2の1.25倍以上1.35倍以下であることが好ましい。また、連続した第1部分141の長さ及び連続した第2部分142の長さと同様に、連続した第3部分143の長さは、第2部分142の線幅w2の200倍以下となっていることが好ましく、50倍以下となっていることがより好ましく、20倍以下となっていることがさらに好ましい。さらに、少なくとも1つの線状導電体140において、第1部分141のある位置における接線の方向は、第2部分142のある位置における接線の方向だけでなく、第3部分143のある位置における接線の方向と同一となっていることが好ましく、少なくとも1つの線状導電体140において、第1部分141の任意の位置と対応する位置が第2部分142及び第3部分143に存在し、第1部分141に対応する第2部分142及び第3部分143のそれぞれの位置で、接線の方向が同一となっていることがさらに好ましい。
一方、図23に示されている例では、線状導電体140は、線幅の異なる複数の波線形状を接続した形状となっている。図23に示された線状導電体140は、6種の線幅が異なる部分を含んでいる。すなわち、少なくとも1つの線状導電体140は、それぞれ線幅の異なる第1部分141、第2部分142、第3部分143、第4部分144、第5部分145及び第6部分146を含んでいる。このように線状導電体140が6種の線幅が異なる部分を含んでいる場合、第1部分141の線幅w1は、第2部分142の線幅w2の1.9倍以上2.0倍以下であり、第3部分143の線幅w3は、第2部分142の線幅w2の1.15倍以上1.2倍以下であり、第4部分144の線幅w4は、第2部分142の線幅w2の1.3倍以上1.35倍以下であり、第5部分145の線幅w5は、第2部分142の線幅w2の1.45倍以上1.5倍以下であり、第6部分146の線幅w6は、第2部分142の線幅w2の1.65倍以上1.7倍以下であることが好ましい。また、連続した第1部分141の長さ及び連続した第2部分142の長さと同様に、連続した第3部分143の長さ、連続した第4部分144の長さ、連続した第5部分145の長さ及び連続した第6部分146の長さは、それぞれ、第2部分142の線幅w2の200倍以下となっていることが好ましく、50倍以下となっていることがより好ましく、20倍以下となっていることがさらに好ましい。さらに、少なくとも1つの線状導電体140において、第1部分141のある位置における接線の方向は、第2部分142のある位置における接線の方向だけでなく、第3部分143のある位置における接線の方向、第4部分144のある位置における接線の方向、第5部分145のある位置における接線の方向及び第6部分146のある位置における接線の方向、と同一となっていることが好ましく、少なくとも1つの線状導電体140において、第1部分141の任意の位置と対応する位置が第2部分142、第3部分143、第4部分144、第5部分145及び第6部分146に存在し、第1部分141と対応する第2部分142、第3部分143、第4部分144、第5部分145及び第6部分146のそれぞれの位置で、接線の方向が同一となっていることがさらに好ましい。
なお、図22及び図23に示された例では、線状導電体140に含まれる線幅の異なる連続した各部分の長さが同一となっている。しかしながら、線状導電体140に含まれる線幅の異なる連続した各部分の長さは、互いに異なっていてもよい。また、図22及び図23に示された例では、線状導電体140の線幅は、段階的に変化しているが、図22A及び図23Aに示された例のように、線状導電体140の線幅は、連続的に変化していてもよい。図22Aは、図22に示された線状導電体140の線幅を連続的に変化させている例であり、図23Aは、図23に示された線状導電体140の線幅を連続的に変化させている例である。図22A及び図23Aに示された例の場合、上述したように、線幅の差が1μm以下となっている連続した部分は、同一の線幅となる部分とみなして考えることができる。線状導電体140の線幅の異なる各部分の長さを適切に設定することで、パターン導電体130が発揮すべき機能が劣化すること、例えば発熱機能について発熱むらが生じること等を適切に防止することができる。また、後述する合わせ板110の製造工程におけるエッチング加工等の製造工程において、線状導電体140の設計誤差を少なくすることができる。
また、図22及び図23に示した例に限らず、線状導電体140は、2種、4種または5種の線幅が異なる部分を含んでいてもよいし、7種以上の線幅が異なる部分を含んでいてもよい。
線状導電体140は、上述したように不透明な金属材料を用いて形成され得る。その一方で、線状導電体140によって覆われていない基材121上の領域の割合、すなわち非被覆率は、70%以上90%以下程度と高くなっている。また、線状導電体140の線幅は、2μm以上20μm以下程度となっている。このため、線状導電体140が設けられている領域は、全体として透明に把握され、線状導電体140の存在が合わせ板110の透視性を害さないようになっている。
図20に示された例では、線状導電体140は、全体として矩形状の断面を有している。線状導電体140の線幅の平均W、すなわち、合わせ板110の板面に沿った幅の平均Wは2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)の平均H、すなわち、合わせ板110の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)の平均Hは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の線状導電体140によれば、その線状導電体140が十分に細線化されているので、線状導電体140を効果的に不可視化することができる。
なお、前述したように、合わせ板110の透視性または合わせ板110を介した視認性を確保する観点から、非被覆率(開口率とも呼ばれる)が高くなるように、線状導電体140の線状導電体140は基材121上に形成されている。その結果、図20に示すように、第1接合層113と導電体付きシート120の基材121とは、線状導電体140の隙間135、すなわち隣り合う線状導電体140の間となる領域を介して接触している。すなわち、線状導電体140は、第1接合層113内に埋め込まれた状態となっている。
また、図20に示されたように、線状導電体140は、導電層147、導電層147の表面のうち、第1基板111に対向する側の面を覆う第1暗色層148、導電層147の表面のうち、第2基板112に対向する側の面及び両側面を覆う第2暗色層149を含むようにしてもよい。とりわけ、線状導電体140は、第1暗色層148を少なくとも含んでいることが好ましい。優れた導電性を有する金属材料からなる導電層147は、比較的高い反射率を呈する。そして、線状導電体140をなす導電層147によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、乗員の視界を妨げる場合がある。また、外部から導電層147が視認されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、第1暗色層148及び第2暗色層149が、導電層147の表面の少なくとも一部分を覆っている。第1暗色層148及び第2暗色層149は、導電層147よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この第1暗色層148及び第2暗色層149によって、導電層147が視認されづらくなり、乗員の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。
このような線状導電体140及びバスバー131,132を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、及び、これらの金属の1種以上を含んでなる合金の一以上を例示することができる。
次に、合わせ板110の製造方法の一例について、図10乃至図15を参照しながら説明する。
まず、図10に示すように、基材121上に第1暗色層148を形成するようになる暗色膜148aを設け、暗色膜148a上に導電層147を形成するようになる金属膜147aを設ける。金属膜147a及び暗色膜148aは、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。
その後、図11に示すように、金属膜147a上に、レジストパターン150を設ける。レジストパターン150は、形成されるべき線状導電体140に対応した形状となっている。すなわち、レジストパターン150は形成される線状導電体の線幅が異なっている形状に対応した形状となっている。このレジストパターン150は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、レジストパターン150をマスクとして、金属膜147a及び暗色膜148aをエッチングする。このエッチングにより、金属膜147a及び暗色膜148aがレジストパターン150と略同一のパターンにパターニングされる。この結果、図12に示すように、パターニングされた金属膜147aから、線状導電体140の一部をなすようになる導電層147が形成される。また、パターニングされた暗色膜148aから、線状導電体140の一部をなすようになる第1暗色層148が形成される。
なお、エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、図13に示すように、レジストパターン150を除去する。
その後、図14に示すように、導電層147の第1暗色層148が設けられた面と反対側の面及び側面に第2暗色層149を形成する。第2暗色層149は、例えば導電層147をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電層147をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2暗色層149を形成することができる。また、導電層147の表面に第2暗色層149を設けるようにしてもよい。また、導電層147の表面を粗化して第2暗色層149を設けるようにしてもよい。
以上の工程によって、基材121上にパターン導電体130が形成され、導電体付きシート120が作製される。なお、パターン導電体130の一対のバスバー131,132は、金属膜147aのパターニングによって線状導電体140の導電層147と一体的に形成されてもよいし、或いは、基材121上に設けられた線状導電体140とは別途の導電体としてもよい。
最後に、図15に示すように、パターン導電体130の側から第1接合層113及び第1基板111を積層して、導電体付きシート120と第1基板111とを接合する。同様に、基材121の側から第2接合層114及び第2基板112を積層して、導電体付きシート120と第2基板112とを接合する。これにより、図20に示した合わせ板110が作製される。
ところで、パターン導電体を有する合わせ板を介して光を観察した際に、虹状の模様が観察されることがある。本件発明者らが検討したところ、このような虹状の模様は、光が線状導電体によって回折されることで生じていること、より詳しくは、線状導電体の線幅に起因した光の回折によって生じていることが知見された。本件発明者らの知見に基づけば、線状導電体の線幅を不規則に変化させることで、虹状の模様の発生を抑制することができると考えられた。しかしながら、本件発明者らが確認したところ、線状導電体の線幅を不規則に変化させた場合でも、虹状の模様の発生を十分に抑制することができないことがあった。そこで本件発明者らは、さらに鋭意検討を重ね、線状導電体の線幅の取り方を工夫することで、虹状の模様の発生を効果的に抑制することができることを見出した。さらには、線状導電体の線幅の取り方を工夫することで、線状導電体の線幅を不規則に変化させずとも、すなわち線状導電体の線幅が規則的に変化していたとしても、虹状の模様の発生を抑制することができることを見出した。以下、線状導電体の線幅に起因した回折によって虹状の模様が発生する原理、及び、虹状の模様の発生を抑制する方法について、説明する。
一般に、ある構造に形成された隙間や開口等の透過部を光が通過するとき、当該光は回折し、回折像が生成される。ところで、ある構造に光が入射した際に観察される0次以外の回折像は、当該構造の透過部と遮蔽部が反転した相補的な構造に光が入射した際に観察される0次以外の回折像と一致する。このことは、バビネの原理として知られている。つまり、例えば図24に示された線幅wの1つの細線を有する構造160に光が入射した際に観察される0次以外の回折像は、図24の構造と相補的な図25に示された、幅wの1つのスリットを有する構造161に光が入射した際に観察される0次以外の回折像と同一になる。したがって、図24の構造160の回折像の考察として、以下では図25の構造161の回折像について検討する。また、以降「回折像」とは、特に断りのない限り、0次以外の回折像を表すこととする。また、複数の細線を有する構造ののうち、非周期パターンの場合は、当該構造を透過した光に干渉はほとんど生じないため、上記の回折像の単なる足し合わせで表現できる。周期パターンの場合は、当該構造を透過した光に干渉が生じるが、「回折像」を「回折像の包絡線」と読み替えることで、干渉成分を含めずに同一の議論ができる。
幅wのスリットの構造に光が入射した際に観察される回折像について検討するために、回折像の強度分布を求める。回折像の強度分布は、回折像の振幅分布から求めることができる。回折像の振幅分布は、スリットの形状の空間振幅分布をフーリエ変換することで求めることができる。回折する光の波長をλとすると、幅wのスリットの形状の空間振幅分布をフーリエ変換することで、回折角度θがλ/w×180/π〔°〕ごとに0になるカーディナル・サイン型の分布が得られる。回折像の強度分布は、振幅分布の2乗であるため、回折像は、回折角度がλ/w×180/π〔°〕の周期で強度が弱くなる。強度が弱くなる周期が波長に依存しているため、ある回折角度において、ある波長で強度が強くなっているが、別の波長では強度が弱くなっていることがある。この場合、回折像として、強度が強くなっている波長の光がより強く観察される。回折角度ごとに、回折像の強度が強くなる波長が異なり得る。このため、回折像は、光の波長ごとに分かれて、言い換えると虹状の模様となって、観察され得る。
虹状の模様は、このような原理で発生していることが知見された。そこで、本件発明者らは、細線が複数の線幅を有することで、虹状の模様の発生を効果的に抑制することができることを見出した。細線が複数の線幅を有する場合、当該細線を有する構造に光が入射した際に観察される回折像は、線幅ごとに観察され得る回折像の重ね合わせになる。言い換えると、回折像の強度分布は、線幅ごとの回折像の強度分布の和になる。このため、細線が複数の線幅を有する場合、回折像の強度分布は、特定の周期で強度が強くはなりにくくなり得る。理想的には、強度分布は、回折角度θの2乗に反比例する分布となる。特定の角度に強いピークを有さない回折角度θの2乗に反比例する分布で複数の波長の光が重ね合わされる結果、特定の角度で特定の波長が強くなりにくい。このため、各回折角度において、回折像が白色に観察され得る。すなわち、回折像が虹状の模様となることを効果的に抑制することができる。
ただし、細線の線幅を不規則に変更することでは、虹状の模様の発生を十分に抑制することは困難である。回折像において複数の強度が強い波長の光が重ね合わされるように、細線の線幅を適切に設定することで、虹状の模様の発生を効果的に抑制することが可能となる。
したがって、パターン導電体130においては、線状導電体140の複数の線幅を適切に設定することで、虹状の模様の発生を抑制することができる。具体的には、線状導電体140の最大の線幅w1が最小の線幅w2の1.4倍以上となっていることで、各回折角度における回折像の強度分布において、特定の周期で強い強度になることを効果的に回避することができる。すなわち、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることを効果的に回避して、回折像が虹状の模様となることを効果的に抑制することができる。さらに、線状導電体140の最大の線幅w1が最小の線幅w2の2.0倍以下となっていることで、線状導電体140において局所的に抵抗値がばらつくことを抑制し、パターン導電体130における導電性を均一に保つことができる。例えば、パターン導電体130を有する合わせ板110を発熱板として用いる場合、発熱むらの発生を抑制することができる。
さらに、線状導電体140の最大の線幅w1が最小の線幅w2の2.0倍以下となっていることで、線状導電体140の線幅が大きくなりすぎてパターン導電体130を観察する際に線状導電体140が視認されてしまうことを、防止することができる。
また、パターン導電体130において、線状導電体140の線幅が異なる部分、言い換えると線状導電体140の第1部分141と第2部分142とが互いに離れすぎていると、それぞれの部分での回折像が重なり合いにくくなり、虹状の模様の発生を抑制しにくくなる。そこで、パターン導電体130において、線状導電体140の線幅が異なる部分は、近くにあることが虹状の模様の発生を抑制するためには好ましい。したがって、線状導電体140ごとに線幅を変更するのではなく、少なくとも1つの線状導電体140が複数の線幅を有していることが好ましい。さらには、少なくとも1つの線状導電体140において、線幅の異なる部分を近づけるために、連続した線幅が異なる部分の長さ、言い換えると連続した第1部分141の長さ及び連続した第2部分142の長さが、短くなっていることが好ましい。具体的には、連続した第1部分141の長さは、第2部分142の線幅w2の200倍以下であり、連続した第2部分142の長さは、第2部分142の線幅w2の200倍以下であることが好ましい。言い換えると、少なくとも1つの線状導電体140は、当該線状導電体の最小の線幅w2の200倍以下の長さにおいて線幅が変化することが好ましい。このように連続した線幅が異なる部分の長さが十分に短くなっていることで、虹状の模様の発生をより効果的に抑制することができる。
さらに、線状導電体140によって生成される回折像が延びる方向は、当該線状導電体140が延びる方向に直交する方向である。したがって、回折像が延びる方向は、線状導電体140の接線の方向によって決まる。各線状導電体140の線幅の異なる各部分において、接線の方向が同一となる位置が存在しない場合、当該位置の線状導電体140によって各回折角度における回折像の強度分布において、他の線幅の回折像の強度分布と重ならず、特定の周期で強い強度になってしまう。すなわち、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなってしまい、虹状の模様が発生してしまう。したがって、少なくとも1つの線状導電体140の線幅の異なる各部分において、接線の方向が同一となる位置が存在していることが好ましい。すなわち、少なくとも1つの線状導電体140において、当該線状導電体140が最大の線幅w1となる第1部分141のある位置における接線の方向は、当該線状導電体140が最小の線幅w2となる第2部分142のある位置における接線の方向と同一であることが好ましい。このような場合、波長の異なる光による回折像が同一の方向に延びさせることができ、虹状の模様の発生をより効果的に抑制することができる。
なお、回折像が強い光として観察されないためには、回折像が同一の方向に生成されるのではなく、全体的に広がって生成されることが好ましい。線状導電体140によって生成される回折像が延びる方向は当該線状導電体140が延びる方向に直交する方向であるため、回折像が全体的に広がって生成されるためには、線状導電体140の各位置での長手方向に直交する方向が、連続した多数の方向を向いていることが好ましく、全ての方向を向いていることがより好ましい。すなわち、線状導電体140の少なくとも一部が曲線形状となっていることが好ましく、円弧形状となっていることがより好ましい。この場合、線状導電体140の各部分での回折像の総和として把握される回折像が薄く広がって観察され得る。すなわち、回折像の明るさが低減され、目立ちにくくなる。
パターン導電体130によって虹状の模様が発生しているかを観察する方法として、例えば図26に示すように、パターン導電体130を有する合わせ板110の一方の側に対面して白色の光を発する白色光源170を配置して、合わせ板110の白色光源170が配置された側とは反対側において目視で観察することによって、またはカメラ等の撮像装置175で撮像された画像によって、パターン導電体130を有する合わせ板110を透過する光を観察する方法がある。この方法において、白色光源170から最も強く入射する光、すなわち0次の回折像の強度が観察されると、0次の回折像が強すぎて1次以上の回折像を正しく評価しにくくなるため、マスク173によって0次の回折像の一部を遮蔽することが好ましい。
なお、白色光源170としては、例えば自動車のヘッドライト(TOYOTA純正部品
ヘッドランプ ASSyRH プリウス 品番81110)を用いることができる。また、図26に示された例では、白色光源170と合わせ板110とは、4m離間しており、合わせ板110と撮像装置175とは、1m離間している。
図26に示した方法によって、上述した第2の実施の形態のパターン導電体130を有する合わせ板110を介して白色光源170を撮像装置175によって撮像すると、図27の写真が撮像された。図28には、図27の写真における光が簡略化して図示されている。すなわち、図27及び図28に示すように、第2の実施の形態のパターン導電体130を有する合わせ板110を介して白色光源170を観察すると、虹状の模様が発生することなく、回折像として筋状に延びた白色の光が観察された。
一方、図26に示した方法によって、従来のパターン導電体を有する合わせ板を介して白色光源170を撮像装置175によって撮像すると、図39の写真が撮像された。図40には、図39の写真における光が簡略化して図示されている。図40の各網点部は、それぞれ異なる波長の光を表している。すなわち、従来のパターン導電体を有する合わせ板を介して白色光源170を観察すると、回折像として波長ごとに光が分かれて、言い換えると、筋状に延びた虹状の模様の光が観察された。
以上のように、第2の実施の形態のパターン導電体130によって、パターン導電体130を介した視界において虹状の模様の発生を抑制することができることが理解される。
ここで、実際の回折像の明るさ、すなわち輝度を測定するために、図29に示すように、パターン導電体130を有する合わせ板110の一方の側に対面して単色の光を発する単色光源171を配置して、合わせ板110の単色光源171が配置された側とは反対側において輝度計176によって、輝度の角度分布を測定する。輝度は、単色光源171の光軸odと合わせ板110の法線方向とを一致させ、単色光源171の光軸odを角度の基準として合わせ板110に対する傾きの角度θを適宜に変更しながら測定される。
この測定において、単色光源171から最も強く入射する光、すなわち0次の回折像の輝度が測定されると、0次の回折像の輝度が強すぎて1次以上の回折像の輝度を正しく測定しにくくなることがある。このため、マスク173によって輝度が強く観察される0次の回折像の一部を遮蔽することが好ましい。
単色光源171としては、単一の波長の光を発するものであればいかなるものでもよい。上述したように回折像の強度分布の周期は波長に依存しているが、回折像の強度分布の振幅は波長に依存していない。すなわち、測定される輝度の強さは、単色光源の波長に依存しない。ここでは、単一の波長の光を発する単色光源171として、波長632.8nmの光を安定して発することができるヘリウムネオンレーザー装置を用いている。
また、図29に示された例では、単色光源171と合わせ板110とは、4m離間しており、合わせ板110と輝度計176とは、1m離間している。
なお、輝度の測定は、例えば標本化定理に基づいて、角度θを細かく変化させながら行われることが好ましい。とりわけ、測定される輝度がピークを有する場合、ピークを示す角度θの近傍では、角度θを十分に細かく変化させながら、輝度の測定が行われることが好ましい。図29に示すような輝度の測定の場合、例えば輝度は測定される角度の全体として光軸odを基準とした角度θを0.1°ずつ変化させながら測定されることが好ましい。輝度を角度ごとに十分に細かく測定することで、測定された輝度の角度分布を連続したものとみなすことができる。輝度の角度分布を連続したものとみなすことで、例えば、ある角度θaでの輝度から角度θaに最も近い角度θbでの輝度を減算した値から、角度θaから角度θbを減算した値を除算した値を、角度θaでの輝度の微分とみなすことができる。
第2の実施の形態のパターン導電体130では、線状導電体140が種々の線幅を有するため、このようにして測定された輝度L0の角度分布は、回折像の強度分布において0次の回折像の強度分布と1次の回折像の強度分布とが重なり得る。このため、輝度L0の角度分布は、理想的な分布である回折角度θの2乗に反比例する分布に近くなる。ただし、輝度L0の角度分布は、理想的な分布からずれて振動する分布をも含んでいる。すなわち、測定された輝度L0の角度分布は、回折角度θの2乗に反比例する理想的な分布と、理想的な分布からずれて振動する振動成分Lsの分布と、の和で表すことができる。言い換えると、測定された輝度L0の角度分布と回折角度θの2乗に反比例する理想的な分布との差が、振動成分Lsの分布である。すなわち、aを定数として、測定された輝度L0の角度分布は、以下の式(i)で表すことができる。
L0=a×(θ−2+Ls) ・・・(i)
この輝度L0の角度分布において、0次の回折像の影響がなくなる角度θminを特定する。0次の回折像は、角度0°で最も輝度が強く、角度が大きくなるにつれて弱くなっていく。一方、1次以上の回折像は、0°より大きなある角度で最も輝度が強く、その角度から離れるにつれて弱くなっていく。0次の回折像の影響がなくなる角度とは、輝度L0の角度分布において、1次以上の回折像の影響が現れ出す角度といえる。言い換えると、輝度の角度分布において、振動成分Lsの影響が現れ出す角度である。したがって、0次の回折像の影響がなくなる角度θminは、輝度L0における振動成分Lsが極小値となる角度のうちの、0°より大きい0°に最も近い角度である。
振動成分Lsが極小値となる角度は、測定された輝度L0の角度分布にθの2乗を乗算することで、特定することができる。輝度L0にθの2乗を乗算すると、以下の式(ii)のようになる。
L0×θ2=a+a×θ2×Ls ・・・(ii)
式(ii)が極小値となる角度θは、Lsが極小値となる角度θである。すなわち、測定された輝度L0にθの2乗を乗算したL0×θ2が極小値となる角度を特定することで、振動成分Lsが極小値となる角度θminを特定することができる。
各角度で測定された輝度を、L0×θ2の平均値で規格化する。すなわち、各角度で測定された輝度をL0×θ2の平均値で除算する。これにより、単色光源171の光の強さ、単色光源171と合わせ板110との距離や、合わせ板110と輝度計176との距離等の影響のない、角度θのみに依存した規格化輝度Lを得ることができる。
ここで、式(ii)で表されるL0×θ2の平均値、すなわちa+a×θ2×Lsの平均値を求める。Lsは振動成分の分布であり、正負両方の値を振動している。このため、Lsの平均は、ほぼ0とみなすことができる。したがって、L0×θ2の平均値はaとなる。
以上から、規格化輝度Lは、以下の式(iii)のように表すことができる。
L=θ−2+Ls ・・・(iii)
式(iii)から理解されるように、Lsは、規格化輝度の振動成分となっている。そして、Lsは、以下の式(iv)で表される。
Ls=L−θ−2 ・・・(iv)
算出された規格化輝度Lの角度分布から、虹状の模様が発生しない条件を考察する。虹状の模様は、同一の回折角度において、ある波長で強い強度となっているが、別の波長で弱い強度となっていることで発生していた。波長が異なる複数の回折像の強度分布の重ね合わせが、観察される回折像の強度分布になる。上述したように、波長が異なる光での回折像の強度分布は、互いに周期のみが異なる。波長が異なる光は、周期の違いに基づいて角度が近いところで強度分布が重ね合わされ得る。また、上述したように、回折像の強度分布に比例して、回折像の輝度が測定される。したがって、測定される回折像の規格化輝度Lの角度分布において、規格化輝度の振動成分Lsの最大値と最小値と差が小さくなっていることで、言い換えると、角度θにともなった規格化輝度の振動成分Lsの変動が小さくなっていることで、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることが回避され、虹状の模様の発生が抑制されると考えられる。ただし、0次の回折像の影響を排除するため、規格化輝度の振動成分Lsの最大値と最小値となる角度は、θminより大きい角度である。
本件発明者らが確認したところ、角度θについての規格化輝度の振動成分Lsのθmi nより大きい角度における最大値と最小値との差が0.045以下となっていることで、虹状の模様の発生が効果的に抑制することができ、0.02以下となっていることで、虹状の模様の発生がより効果的に抑制することができていた。
また、規格化輝度Lの角度分布において、特に0次の回折像と1次の回折像との間で、差が大きくなりやすい。規格化輝度Lの角度分布において、0次の回折像と1次の回折像とが重なることで極大値及び極小値が存在すると、回折像において回折角度ごとに特定の波長のみが強くなりやすく、したがって虹状の模様が発生しやすい。したがって、規格化輝度Lの角度分布において、0次の回折像と1次の回折像とが重なっても、極大値及び極小値が存在しないことが好ましい。これは、規格化輝度Lの角度分布において、1次の回折像が最も強くなる規格化輝度より強い0次の回折像の規格化輝度の角度より小さい角度に、1次の回折像が最も強くなる規格化輝度の角度が存在することで達成される。1次の回折像が最も強くなる規格化輝度より強い0次の回折像の規格化輝度の角度より小さい角度に、1次の回折像が最も強くなる規格化輝度の角度が存在すると、規格化輝度Lの角度分布において、角度が小さい側から見ると、急な傾きが一旦緩やかになり、その後再度急になるが、規格化輝度Lの角度分布に0次の回折像と1次の回折像とが重なることによる極大値及び極小値が存在しなくなる。言い換えると、規格化輝度の傾きの変化が大きい角度において、規格化輝度に極大値及び極小値が存在しない。規格化輝度の傾きとは、規格化輝度の角度についての1階微分であるため、規格化輝度の傾きの変化は、規格化輝度の角度についての2階微分から理解することができる。規格化輝度の傾きの変化が大きい角度とは、規格化輝度の角度についての2階微分が極大値または極小値となる角度である。このことから、規格化輝度の傾きの変化が大きい角度において、規格化輝度に極大値及び極小値が存在しないとは、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極大値となるθm inより大きい0°に最も近い角度θHで、規格化輝度Lが極小値とならず、また、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極小値となるθminより大きい0°に最も近い角度θLで、規格化輝度Lが極大値とならないこととなる。この場合、回折像において回折角度ごとに特定の波長のみが強くなりにくく、虹状の模様の発生を抑制することができる。
本件発明者らが確認したところ、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極大値となるθminより大きい0°に最も近い角度θHで、規格化輝度Lが極小値とならない場合、または、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極小値となるθminより大きい0°に最も近い角度θLで、規格化輝度Lが極大値とならない場合、虹状の模様の発生が効果的に抑制されていた。
理想的には、任意の角度において、規格化輝度Lの角度分布に極大値及び極小値が存在しないことが好ましい。このような理想的な分布として、上述したような関数LT=θ− 2がある。このような関数LTと規格化輝度Lとのずれが大きくなるほど、規格化輝度Lが極大値及び極小値が存在しない理想的な曲線からずれて、規格化輝度Lに差の大きな極大値と極小値が存在していることになる。すなわち、ある波長で強い強度となっているが、別の波長で弱い強度となっている角度が存在することになり、虹状の模様が発生し得ることになる。したがって、虹状の模様の発生の有無について、関数LTと規格化輝度Lとのずれ(差)である規格化輝度振動成分Lsによって評価することができる。
本件発明者らが確認したところ、具体的には、関数LTと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根が0.017以下となっていることで、虹状の模様の発生が効果的に抑制されており、0.010以下となっていることで、虹状の模様の発生がより効果的に抑制されていた。なお、関数LTと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根とは、式(iv)から明らかなように、規格化輝度の振動成分Lsの平均二乗誤差の平方根に等しい。規格化輝度の振動成分Lsの平均二乗誤差の平方根は、規格化輝度の振動成分Lsの標準偏差σである。よって、関数LTと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根は、規格化輝度の振動成分Lsの標準偏差σと同一のものを意味している。
なお、関数LFと規格化輝度Lとの平均二乗誤差とは、同一の角度θにおける関数LTと規格化輝度Lとの差を2乗した値を各角度θで求め、各角度θでの値を平均した値のことを意味する。
また、規格化輝度Lの中心化移動平均LAによれば、規格化輝度Lの角度θに対する変化の傾向を残しながら、規格化輝度Lを平滑化することができる。規格化輝度Lの中心化移動平均LAを用いることで、測定された輝度のみに依存して、すなわち測定される輝度のみに依存して、規格化輝度Lの変化の傾向を知ることができる。このような中心化移動平均LAと規格化輝度Lとのずれが大きくなるほど、規格化輝度Lに差の大きな極大値と極小値が存在していることになる。すなわち、ある波長で強い強度となっているが、別の波長で弱い強度となっている角度が存在することになり、虹状の模様が発生し得ることになる。したがって、虹状の模様の有無について、規格化輝度Lと中心化移動平均LAとのずれによって評価することができる。
本件発明者らが確認したところ、具体的には、中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根が0.012以下となっていることで、虹状の模様の発生が効果的に抑制されており、0.0045以下となっていることで、虹状の模様の発生がより効果的に抑制されていた。なお、0次の回折像の影響を低減するために、中心化移動平均LAは、角度θmin以上の範囲において求められることが好ましい。同じ理由で、中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差は、角度θmin以上の範囲において求められることが好ましい。
ここで、ある角度θkでの規格化輝度Lの中心化移動平均LAは、当該角度θkを中心とする所定の角度の幅θwに含まれる規格化輝度Lの平均のことを意味する。以下において、角度θkを中心とする角度の幅θwに含まれる、規格化輝度Lが算出された角度をθ1、θ2、…、θk、…、θnと表すとする。すなわち、角度θkを中心とする角度の幅θwに、規格化輝度Lが算出された角度がn個存在するとする。また、角度θにおける規格化輝度LをL(θ)と表すとする。このとき、ある角度θkでの規格化輝度Lの中心化移動平均LA(θk)は、以下の式(v)で表される。
LA(θk)
=(L(θ1)+L(θ2)+…+L(θk)+…+L(θn))/n
…(v)
所定の角度の幅θwは、虹状の模様の発生の原因となり得る回折像の周期となる角度程度であることが好ましい。すなわち、単色光源171の波長をλ、線状導電体140の最小の線幅をw2とすると、所定の角度の幅θwは、λ/w2×180/π〔°〕であることが好ましい。
以上のように、第2の実施の形態のパターン導電体130は、複数の線状導電体140を有するパターン導電体であって、当該パターン導電体130の一方の側に対面して単色光源171を配置した状態で、当該パターン導電体130の単色光源171が配置された側とは反対側において測定される輝度の角度分布であって、単色光源171の光軸odを角度の基準として測定される輝度L0の角度分布に対して、角度θについての輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2が極小値となる角度のうちの0°より大きい0°に最も近い角度θminを特定し、各角度θで測定された輝度を、測定された輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2の平均値aで除算することで、各角度θでの規格化輝度Lを算出し、規格化輝度Lから角度θの関数LT=θ−2を減算した規格化輝度の振動成分Lsの、角度θmin以上の範囲における標準偏差σは、0.017以下である。このようなパターン導電体130によれば、規格化輝度Lに差の大きな極大値と極小値が存在しにくくなっている。すなわち、輝度の角度分布において、ある波長で強い強度となっているが、別の波長で弱い強度となっているような角度が生じにくくなっている。このため、特定の波長のみが強くなることが効果的に回避され、パターン導電体130を介した視界における虹状の模様の発生を抑制することができる。
また、第2の実施の形態のパターン導電体130は、複数の線状導電体140を有するパターン導電体であって、当該パターン導電体130の一方の側に対面して単色光源171を配置した状態で、当該パターン導電体130の単色光源171が配置された側とは反対側において測定される輝度の角度分布であって、単色光源171の光軸odを角度の基準として測定される輝度L0の角度分布に対して、輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2が極小値となる角度のうちの0°より大きい0°に最も近い角度θminを特定し、各角度θで測定された輝度を、測定された輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2の平均値aで除算することで、各角度θでの規格化輝度Lを算出し、角度θmin以上の範囲において、単色光源171の波長をλとし線状導電体140の最小の線幅をw2として、λ/w2×180/π〔°〕で表される角度の幅での規格化輝度Lの平均値を、角度の幅をずらしながら算出して中心化移動平均LAを決定し、決定された中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根は、0.012以下である。このようなパターン導電体130によれば、規格化輝度Lに差の大きな極大値と極小値が存在しにくくなっている。すなわち、輝度の角度分布において、ある波長で強い強度となっているが、別の波長で弱い強度となっているような角度が生じにくくなる。このため、特定の波長のみが強くなることが効果的に回避され、パターン導電体130を介した視界における虹状の模様の発生を抑制することができる。
さらに、第2の実施の形態のパターン導電体130は、複数の線状導電体140を有するパターン導電体であって、当該パターン導電体130の一方の側に対面して単色光源171を配置した状態で、当該パターン導電体130の単色光源171が配置された側とは反対側において測定される輝度の角度分布であって、単色光源171の光軸odを角度の基準として測定される輝度L0の角度分布に対して、角度θについての輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2が極小値となる角度のうちの0°より大きい0°に最も近い角度θminを特定し、各角度θで測定された輝度を、測定された輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2の平均値aで除算することで、各角度θでの規格化輝度Lを算出し、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極大値となるθminより大きい0°に最も近い角度θHで、規格化輝度Lは、極小値とならない。このようなパターン導電体130によれば、特に0次の回折像と1次の回折像との間で、規格化輝度Lに差の大きな極大値と極小値が存在しにくくなっている。すなわち、輝度の角度分布において、ある波長で強い強度となっているが、別の波長で弱い強度となっているような角度が生じにくくなる。このため、特定の波長のみが強くなることが効果的に回避され、パターン導電体130を介した視界における虹状の模様の発生を抑制することができる。
また、第2の実施の形態のパターン導電体130は、複数の線状導電体140を有するパターン導電体であって、当該パターン導電体130の一方の側に対面して単色光源171を配置した状態で、当該パターン導電体130の単色光源171が配置された側とは反対側において測定される輝度の角度分布であって、単色光源171の光軸odを角度の基準として測定される輝度L0の角度分布に対して、角度θについての輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2が極小値となる角度のうちの0°より大きい0°に最も近い角度θminを特定し、各角度θで測定された輝度を、測定された輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2の平均値aで除算することで、各角度θでの規格化輝度Lを算出し、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極小値となるθminより大きい0°に最も近い角度θLで、規格化輝度Lは、極大値とならない。このようなパターン導電体130によれば、特に0次の回折像と1次の回折像との間で、規格化輝度Lに差の大きな極大値と極小値が存在しにくくなっている。すなわち、輝度の角度分布において、ある波長で強い強度となっているが、別の波長で弱い強度となっているような角度が生じにくくなる。このため、特定の波長のみが強くなることが効果的に回避され、パターン導電体130を介した視界における虹状の模様の発生を抑制することができる。
さらに、第2の実施の形態のパターン導電体130は、複数の線状導電体140を有するパターン導電体であって、少なくとも1つの線状導電体140において、最大の線幅w1は、最小の線幅w2の1.4倍以上である。このようなパターン導電体130によれば、パターン導電体130による回折像の強度分布において、特定の周期で強度が強くなりにくくなる。このため、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることを効果的に回避することができる。したがって、パターン導電体130を介した視界における虹状の模様の発生を抑制することができる。
なお、上述した第2の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
上述した第2の実施の形態において、合わせ板110が曲面状に形成されている例を示したが、この例に限られず、合わせ板110が、平板状に形成されていてもよい。
合わせ板110は、自動車101のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道車両、航空機、船舶、宇宙船等の移動体の窓或いは扉の透明部分に用いてもよい。
さらに、合わせ板110は、移動体以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは扉の透明部分、建物の窓又は扉、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の収納乃至保管設備の窓あるいは扉の透明部分等に使用することもできる。
また、このような合わせ板110に用いられるパターン導電体130は、発熱板に限らず、アンテナの電極等に用いることもできる。さらには、パターン導電体130は、合わせ板以外に適用されてもよい。
上述した第2の実施の形態において、虹状の模様の発生を抑制するという可視光波長域での現象を対象にしていたが、可視光波長域以外の波長域の光、例えば赤外線、マイクロ波、ミリ波でも、同様の効果を得ることができる。すなわち、パターン導電体に可視光波長域以外の波長域の光を透過させる場合に、パターン導電体の線幅を適切に設定することで、パターン導電体で回折した光が波長ごとに分かれて現れることを抑制することができる。
上述した第2の実施の形態において、導電体付きシート120は、基材121を有していたが、基材121は、製造工程において剥離されてもよい。すなわち、導電体付きシート120は、基材121を含んでいなくてもよい。
あるいは、基材121が接合機能を有していてもよい。この場合、基材121によって、導電体付きシート120と第2基板112とを接合することができるため、接合層114を省略することができる。このような基材121の材料として、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタールを例示することができる。
基材121が接合機能を有する場合、合わせ板110の構成を図16または図17に示した断面図のようにすることができる。図16及び図17は、図20に対応した合わせ板110の断面図の変形例である。図16及び図17に示された例では、合わせ板10は、厚さ方向dLに離間して配置された第1基板111及び第2基板112と、第1基板111及び第2基板112との間に配置されたパターン導電体130と、第1基板111と第2基板112とを接合する接合層113及び基材121と、を有している。図示された例において、厚さ方向dLとは、合わせ板110の厚さ方向であり、さらに合わせ板110の板面への法線方向に一致している。図16に示す例では、パターン導電体130は、基材121と接合層113との間に配置されている。一方、図17に示す例では、パターン導電体130が第2基板112に接して配置されている。
基材121と接合層113とは、ともに接合機能を有しているが、互いに異なる性質を有していることが好ましい。例えば、接合層113は、基材121と比較して、含まれている単位質量あたりの可塑剤の量が少ない、ガラス転移温度が高い、及び、軟化点が高い、のうち少なくともいずれかを満たしている。基材121及び接合層113の単位質量あたりの可塑剤の量、ガラス転移温度、及び、軟化点は、例えば基材121に添加される添加剤の含有量と接合層113に添加される添加剤の含有量を調節することで、適宜に設定することができる。具体的な例として、基材121について、含まれている可塑剤の量を25wt%以下とし、ガラス転移温度を60℃以上とし、軟化点を110℃以上とすることができ、さらには、含まれている可塑剤の量を15wt%以下とし、ガラス転移温度を65℃以上とし、軟化点を140℃以上とすることができる。ここで、単位〔wt%〕は、質量パーセント濃度を表している。
ここで、パターン導電体に電圧が印加されると、抵抗加熱により、パターン導電体の各線状導電体は発熱する。発熱した各線状導電体の近傍の領域は、その他の領域より熱を受けやすい。すなわち、線状導電体の周辺領域とその他の領域との間で、温度のむらが生じる。発熱した線状導電体の周辺領域においては、基材121及び接合層113に熱による変質が生じる。変質により、線状導電体の周辺領域における基材121及び接合層113の屈折率が変化する。このようにして、線状導電体の周辺領域と線状導電体の周辺領域以外の領域との間で、屈折率差が生じる。この屈折率差に応じて、線状導電体の周辺領域と線状導電体の周辺領域以外の領域との間を透過する光は、屈折する。合わせ板に入射した光は、パターン導電体に電圧が印加されている状態の合わせ板を透過すると、屈折しない光に比べて、大きく進路が変わって出射してしまう。この出射する光は、基材121及び接合層113の変質が生じる領域が大きくなるほど、大きく広がることになる。合わせ板を透過して出射する光が大きく広がって出射することで、合わせ板を介した視界において、ひずみが発生し得る。
しかしながら、基材121と接合層113とが互いに異なる性質を有している場合、基材121は、接合層113より、熱による変質が生じにくくなっている。そして、基材121が、パターン導電体130に隣接している。このため、熱による変質が生じ得るパターン導電体130の線状導電体140の周辺領域を小さくすることができる。したがって、合わせ板110に入射した光は、発熱している状態の合わせ板10を透過すると、少ししか進路が変わらずに出射する。したがって、パターン導電体130に電圧を印加することで発熱しても、熱によるひずみの発生を、抑制することができる。
また、基材121の厚さT1、すなわち厚さ方向dLにおける長さは、接合層113の厚さT2、すなわち厚さ方向dLにおける長さより、短くなっていることが好ましい。具体的な例として、基材121の厚さT1を、20μm以上100μm以下とすることができ、さらには、40μm以上80μm以下とすることができる。接合層113の厚さT2は、合わせガラスの安全性能により選ぶことができ、ガラスが割れた時の衝撃物の貫通性能とガラス破片の飛散防止高めるためにはある程度の厚さが必要であるが、例えば150μm以上1600μm以下とすることができる。
図16に示す例では、パターン導電体130は、基材121と接合層113との両方に隣接している。このため、合わせ板110は、パターン導電体130を安定して保持することができる。また、基材121が接合層113より薄くなっていると、基材121を介してパターン導電体130で発生した熱を第2基板112に伝達しやすくすることができる。すなわち、第2基板112に、より多くの熱が伝導される。言い換えると、接合層113に伝導される熱が少なくなる。このため、熱による変質が生じ得る領域を、より小さくすることができる。合わせ板110に入射した光の進路が少ししか変わらなくなるため、ひずみの発生を、より抑制することができる。また、第2基板112に熱が伝達しやすいため、第2基板112を効率よく発熱させることができる。図1に示した自動車101のフロントウィンドウ105の外側等、合わせ板110の一方の側のみを効率よく発熱させたい場合には、特に有効である。
一方、図17に示す例では、パターン導電体130が第2基板112と接する面130aを有している。パターン導電体130が第2基板112と接する面130aを有していると、パターン導電体130で発生した熱を第2基板112に効率よく伝達することができる。すなわち、第2基板112に、より多くの熱が伝導される。言い換えると、基材121及び接合層113に伝導される熱が少なくなる。このため、熱による変質が生じ得る領域を、小さくすることができる。合わせ板110に入射した光の進路が少ししか変わらなくなるため、ひずみの発生を、抑制することができる。また、第2基板112に熱が伝達しやすいため、第2基板112を効率よく発熱させることができる。図1に示した自動車101のフロントウィンドウ105の外側等、合わせ板110の一方の側のみを効率よく発熱させたい場合には、特に有効である。
なお、以上において上述した第2の実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて第2の発明をより詳細に説明するが、第2の発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1,2として、様々なパターン導電体を有する合わせ板を用意した。パターン導電体は、複数の線状導電体を有している。実施例1〜3及び比較例1では、線状導電体が線幅の異なる複数の部分を含んでいる。実施例1及び実施例3では線状導電体は6種の線幅が異なる部分を含んでおり、実施例2及び比較例1では線状導電体は2種の線幅が異なる部分を含んでいる。具体的には、実施例1の線状導電体は、線幅が19.7μmの第1部分と、線幅が12.6μmの第2部分と、線幅が18.4μmの第3部分と、線幅が16.3μmの第4部分と、線幅が14.9μmの第5部分と、線幅が12.9μmの第6部分と、を含んでいる。実施例2の線状導電体は、線幅が14.5μmの第1部分と、線幅が10.0μmの第2部分と、を含んでいる。実施例3の線状導電体では、線幅が19.4μmの第1部分と、線幅が10.0μmの第2部分と、線幅が16.7μmの第3部分と、線幅が14.9μmの第4部分と、線幅が13.3μmの第5部分と、線幅が11.8μmの第6部分と、を含んでいる。比較例1では、線幅が18.1μmの第1部分と、線幅が16.5μmの第2部分と、を含んでいる。一方、比較例2では、線状導電体の線幅は15μmで一定となっている。
各実施例及び比較例について、図26に示すように、パターン導電体130を有する合わせ板110に白色の光を発する白色光源170を配置して、合わせ板110の白色光源170が配置された側とは反対側において白色光源170を観察し、虹状の模様の発生の有無を目視にて確認した。また、図29に示すように、パターン導電体130を有する合わせ板110に単色の光を発する単色光源171を配置して、合わせ板110の単色光源171が配置された側とは反対側において輝度計176によって、輝度の角度分布を測定した。
白色光源170としては、自動車のヘッドライト(TOYOTA純正部品 ヘッドランプ ASSyRH プリウス 品番81110)を用い、単色光源171としては、波長632.8nmの光を発するヘリウムネオンレーザー装置を用いた。白色光源170及び単色光源171と合わせ板110とは、4m離間させ、合わせ板110と輝度計176とは、1m離間させた。また、輝度の角度分布は、光軸odを基準とした角度θを0.1°ずつ変化させながら測定された。
各実施例及び比較例の測定された輝度の角度分布において、0次の回折像の影響がなくなる角度θminを特定した。角度θminは、角度θについての輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2が極小値となる角度のうちの0°より大きい0°に最も近い角度として特定される。また、測定された輝度L0の角度分布と角度θの2乗との積L0×θ2の平均値が1となるように規格化して、規格化輝度Lを得た。すなわち、規格化輝度Lは、各角度θで測定された輝度L0を、測定された輝度L0の角度分布と角度θの2乗の積L0×θ2の平均値aで除算することで得られる。規格化輝度Lから関数LT=θ−2を減算して、規格化輝度の振動成分Lsを求めた。また、角度θmin以上の範囲において、規格化輝度Lの中心化移動平均LAを決定した。さらに、輝度の角度分布を連続したものとみなし、角度θについて規格化輝度Lの2階微分を求めた。
なお、中心化移動平均LAは、輝度が測定された角度ごとに、言い換えると0.1°ごとに算出されている。また、中心化移動平均LAを決定する角度幅θwは、単色光源171の波長をλ、線状導電体140の最小の線幅をw2で表される角度λ/w2×180/π〔°〕とした。
実施例1の規格化輝度L及び中心化移動平均LAが図30に、規格化輝度の振動成分Lsが図31に、規格化輝度Lの2階微分が図32に、それぞれ示されており、実施例2の規格化輝度L及び中心化移動平均LAが図33に、規格化輝度の振動成分Lsが図34に、規格化輝度Lの2階微分が図35に、それぞれ示されており、実施例3の規格化輝度L及び中心化移動平均LAが図36に、規格化輝度の振動成分Lsが図37に、規格化輝度Lの2階微分が図38に、それぞれ示されている。同様に、比較例1の規格化輝度L及び中心化移動平均LAが図41に、規格化輝度の振動成分Lsが図42に、規格化輝度Lの2階微分が図43に、それぞれ示されており、比較例2の規格化輝度L及び中心化移動平均LAが図44に、規格化輝度の振動成分Lsが図45に、規格化輝度Lの2階微分が図46に、それぞれ示されている。
各実施例及び比較例について、規格化輝度の振動成分Lsと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根及び中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根を求めた。なお、規格化輝度の振動成分Lsの平均二乗誤差の平方根は、規格化輝度の振動成分Lsの標準偏差σに等しい。また、角度θmin以上の範囲において、規格化輝度Lの2階微分が極大となる0°より大きい0°に最も近い角度θH及び極小となる0°より大きい0°に最も近い角度θLを求め、当該角度において規格化輝度Lが極小または極大になっているかを確認した。さらに、角度θmin以上の範囲における規格化輝度Lにおける角度が0°に最も近い極大値と角度が0°に最も近い極小値との差を求めた。
各実施例及び比較例での、0次の回折像の影響がなくなる角度θmin、規格化輝度の振動成分Lsの標準偏差σ、中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差の平方根、及び、規格化輝度の振動成分Lsの最大値と最小値との差、規格化輝度Lの2階微分が極大となる0°に最も近い角度θH及び極小となる0°に最も近い角度θL、及び、当該角度θH、θLにおいて規格化輝度Lが極小または極大になっているかをグラフから確認した結果、最大の線幅w1の最小の線幅w2に対する比w1/w2を以下の表1に示す。合わせて、確認した虹状の模様の有無を、以下の表1に示す。虹状の模様の有無について、合わせ板を介した視界に虹状の模様が目視で確認されなかったものにはAを、合わせ板を介した視界に影響しない程度の虹状の模様が目視で確認されたものにはBを、合わせ板を介した視界に大きく影響する虹状の模様が目視で確認されたものにはCを、それぞれ付している。
表1から理解されるように、規格化輝度の振動成分Lsの標準偏差σが0.017以下となっている実施例1〜3では、合わせ板を介した視界に影響しない程度の虹状の模様しか確認されなかった。とりわけ、規格化輝度の振動成分Lsの標準偏差σが0.010以下となっている実施例3では、合わせ板を介した視界に虹状の模様が確認されなかった。一方、規格化輝度の振動成分Lsの標準偏差σが0.017より大きくなっている比較例1,2では、合わせ板を介した視界に大きく影響する虹状の模様が確認された。この結果は、実施例1〜3では、関数LFと規格化輝度Lとのずれが小さく、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることがないため、虹状の模様の発生が抑制されたためであると考えられる。
また、表1から理解されるように、中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差が0.012以下となっている実施例1〜3では、合わせ板を介した視界に影響しない程度の虹状の模様しか確認されなかった。とりわけ、中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差が0.0045以下となっている実施例3では、合わせ板を介した視界に虹状の模様が確認されなかった。一方、中心化移動平均LAと規格化輝度Lとの平均二乗誤差が0.012より大きくなっている比較例1,2では、合わせ板を介した視界に大きく影響する虹状の模様が確認された。この結果は、実施例1〜3では、中心化移動平均LAと規格化輝度Lとのずれが小さく、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることがないため、虹状の模様の発生が抑制されたためであると考えられる。
さらに、表1から理解されるように、規格化輝度の振動成分Lsの最大値と最小値との差が0.045以下となっている実施例1〜3では、合わせ板を介した視界に影響しない程度の虹状の模様しか確認されなかった。とりわけ、規格化輝度Lにおける角度が0°に最も近い極大値と極小値との差が0.02以下となっている実施例3では、合わせ板を介した視界に虹状の模様が確認されなかった。一方、規格化輝度Lにおける角度が0°に最も近い極大値と極小値との差が0.045より大きくなっている比較例1,2では、合わせ板を介した視界に大きく影響する虹状の模様が確認された。この結果は、実施例1〜3では、規格化輝度Lの差が小さくなっていることで、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることが回避され、虹状の模様の発生が抑制されたためであると考えられる。
また、表1から理解されるように、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極大値となる0°より大きい0°に最も近い角度θHで、規格化輝度Lが極小値とならない、または、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極小値となる0°より大きい0°に最も近い角度θLで、規格化輝度Lが極大値とならない、実施例1〜3では、合わせ板を介した視界に影響しない程度の虹状の模様しか確認されなかった。一方、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極大値となる0°に最も近い角度で、規格化輝度Lが極小値となっている、または、角度θについての規格化輝度Lの2階微分が極小値となる0°に最も近い角度で、規格化輝度Lが極大値となっている、比較例1,2では、合わせ板を介した視界に大きく影響する虹状の模様が確認された。この結果は、実施例1〜3では、特に0次の回折像と1次の回折像との間で、輝度の差が大きくならず、回折角度ごとに特定の波長のみが強くならないためであると考えられる。
さらに表1から理解されるように、線状導電体の最大の線幅w1が最小の線幅w2の1.4倍以上となっている実施例1〜3では、合わせ板を介した視界に影響しない程度の虹状の模様しか確認されなかった。一方、線状導電体の最大の線幅w1が最小の線幅w2の1.4倍より小さい比較例1,2では、合わせ板を介した視界に大きく影響する虹状の模様が確認された。これは、実施例1〜3では、回折角度ごとに特定の波長のみが強くなることを効果的に回避して、回折像が虹状の模様となることを効果的に抑制されたためであると考えられる。
特に、実施例1と比較例1との比較から理解されるように、線状導電体が複数の異なる線幅の部分を有しているだけでなく、線幅を所定の比、具体的には最大の線幅w1が最小の線幅w2の1.4倍以上とすることで、虹状の模様を効果的に抑制することができる。