JP6818260B2 - 発熱板用の中間部材 - Google Patents

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Description

本発明は、電圧を印加されると発熱する発熱板に用いられる中間部材に関する。
従来、電圧を印加されると発熱する透明な発熱板が種々の分野で用いられている。一例として、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、車両のフロントウィンドウやリアウィンドウ等の窓ガラスが例示される。この発熱板は、いわゆるデフロスタ装置を構成するものであり、一対のガラス板と、一対のガラス板の間に設けられた導電体と、を有している。導電体は、一対の接続端子部と、一対の接続端子部を連結する多数の電熱線と、を含んでいる。各接続端子部は、外部の電源及び制御回路に接続される。この従来技術では、一対の接続端子部に電圧を印加した場合に、タングステンやモリブデン等からなる電熱線が、その抵抗加熱により窓ガラスを昇温させる。この結果、窓ガラスの曇りが取り除かれて、又は、窓ガラスに付着した雪や氷が溶かされて、乗員の視界を確保することができる。
特開2013−173402号公報 特開平8−72674号公報
ところで、上述した従来の発熱板は、一対のガラス間に一対の接合層を配置し、さらに一対の接合層間に導電体を配置した状態で、一対のガラスを加熱加圧することで、発熱板として製造される。導電体をなす接続端子部及び電熱線は、加熱加圧工程前に、一方の接合層上に配置および位置決めされる。さらに、接続端子部上には、発熱板の外部へと延び出す配線等が接続している必要がある。
以上の製造方法における導電体の設置工程は煩雑である。加えて、加熱加圧工程において、導電体が位置決めした位置からずれてしまう可能性もある。すなわち、従来の製造方法で製造された発熱板では、電熱線を所望のパターンで高精度且つ安定して形成することが困難である。発熱板の電熱線のパターンに偏りが生じると、加熱むらが生じてしまい、デフロスタ装置においては部分的に曇りを取り切れないことも想定される。
本件発明者らは、鋭意検討を重ねた結果として、導電体付きシートと導電体付きシートに接合された接合層とを有する中間部材を用いることにより、上述した不具合を解消し得ることを知見した。すなわち、本件発明は、本件発明者らのこのような知見に基づくものであり、発熱板の導電体を所望の位置に高精度に配置することを可能にする発熱板用の中間部材を提供することを目的とする。
本発明による中間部材は、
電圧を印加されると発熱する発熱板に用いられる中間部材であって、
基材と、前記基材上に設けられた導電体と、を有する導電体付きシートと、
前記導電体に対面する側から前記導電体付きシートに積層された接合層と、を備え、
前記導電体は、電圧を印加されるようになる一対の接続端子部と、前記一対の接続端子部を連結する線状導電体を含むパターン導電体と、を有し、
前記接合層は、前記接続端子部及び前記パターン導電体の両方を覆うようにして、前記導電体付きシートと積層され、
前記接続端子部に対面する領域以外の領域において前記導電体付きシートと接合されている。
本発明による中間部材において、接合層は、前記パターン導電体に対面する領域において導電体付きシートと接合されていてもよい。
本発明によれば、発熱板の導電体を所望の位置に高精度に配置することができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、発熱板を備えた乗り物を概略的に示す斜視図である。特に図1では、乗り物の例として発熱板を備えた自動車を概略的に示している。 図2は、発熱板をその板面の法線方向から示す図である。 図3は、図2の発熱板の横断面図である。 図4は、導電体付きシートをそのシート面の法線方向から示す平面図であって、パターン導電体のパターンの一例を示す平面図である。 図5は、導電体付きシートをそのシート面の法線方向から示す図であって、パターン導電体のパターンの他の例を示す平面図である。 図6は、図4のA−A線に対応する断面図であって、導電細線の断面形状の一例を示す図である。 図7は、発熱板の製造に用いられる中間部材を示す断面図である。 図8は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図9は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図10は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図11は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図12は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図13は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図14は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図15は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図16は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図であって、図7の中間部材の接続端子部に接続部を重ねた状態を示す図である。 図17は、発熱板の一変形例を説明するための図である。 図18は、発熱板の他の変形例を説明するための図である。 図19は、発熱板のさらに他の変形例を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電体付きシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電体付きシート」は、「導電体付き板」や「導電体付きフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
本明細書において、「接合」とは、完全に接合を完了する「本接合」だけでなく、「本接合」の前に仮止めするための、いわゆる「仮接合」をも含むものとする。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図16は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。まず、図1〜図6を参照して、発熱板10について説明する。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されている例を説明する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。発熱板10と電源7は、接続部8によって接続される。
この発熱板10をその板面の法線方向から示した図が図2である。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する断面を図3に示す。発熱板10は、一対の湾曲したガラス板11,12と、一対の湾曲したガラス板11,12の間に配置された導電体付きシート20と、ガラス板11,12を接合するための接合層13,14とを有している。導電体付きシート20は、基材25と、基材25上に設けられた導電体30とを有している。導電体30は、電圧を印加されるようになる一対の接続端子部35と、一対の接続端子部35を連結する線状導電体41を含むパターン導電体40とを有している。
図2及び図3に示した例では、バッテリー等の電源7から、接続部8を介し、導電体付きシート20の導電体30に通電し、導電体30のパターン導電体40を抵抗加熱により発熱させる。パターン導電体40で発生した熱は接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わり、ガラス板11,12が温められる。これにより、ガラス板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、ガラス板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。
ガラス板11,12は、特にフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このようなガラス板11,12の材質としては、ソーダライムガラス、青板ガラス等が例示できる。ガラス板11,12は、可視光領域における透過率が90%以上であることが好ましい。ここで、ガラス板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JISK0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、ガラス板11,12の一部または全体に着色するなどして、可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、ガラス板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れたガラス板11,12を得ることができる。
ガラス板11,12と導電体付きシート20とは、それぞれ接合層13,14を介して接合されている。このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、一つの機能層が二以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10のガラス板11,12、接合層13,14や、後述する導電体付きシート20の基材25の少なくとも1つに何らかの機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、偏光機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電体付きシート20について説明する。導電体付きシート20は、基材25と、基材25上に設けられた導電体30とを有している。導電体30は、パターン導電体40と、電圧を印加されるようになる一対の接続端子部35と、を有している。各接続端子部35は、接続部8と接続している。接続部8は、例えば金属線からなる配線として、導電体30と電源7とを電気的に接続している。導電体付きシート20は、ガラス板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されてもよいし、運転席の正面部分等、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。
基材25は、導電体30を支持する基材として機能する。基材25は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基板である。
基材25に含まれる熱可塑性樹脂としては、可視光を透過する熱可塑性樹脂であればいかなる樹脂でもよいが、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂等を挙げることができる。とりわけ、アクリル樹脂やポリプロピレンは、光学特性に優れ、成形性が良いので好ましい。
また、基材25は、製造中のパターン導電体40の保持性や、光透過性等を考慮すると、0.03mm以上0.15mm以下の厚みを有していることが好ましい。
次に、導電体30について説明する。導電体30は、接続端子部35とパターン導電体40とを有している。接続端子部35は、接続部8と接続する端子である。各接続端子部35は、線状に形成され、導電体付きシートの端縁に沿って延びている。各接続端子部35は、その全長に渡って一定の電圧に維持されるよう、十分な幅を持っている。この接続端子部35は、例えば後述するパターン導電体40と同様の材料を用いて形成される。
図4〜図6を参照して、パターン導電体40について説明する。図4及び図5は、導電体付きシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図であって、パターン導電体40の配置パターンの一例を示す図である。
パターン導電体40は、一対の接続端子部35の間を接続する線状導電体41を有している。パターン導電体40は、バッテリー等の電源7から、接続部8及び接続端子部35を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わることで、ガラス板11,12が温められる。
図4に示された例では、パターン導電体40では、線状導電体41が多数の開口43を画成するメッシュ状のパターンで配置されている。パターン導電体40は、2つの分岐点42の間を延びて、開口43を画成する複数の接続要素44を含んでいる。すなわち、パターン導電体40の線状導電体41は、両端において分岐点42を形成する多数の接続要素44の集まりとして構成されている。とりわけ図示された例では、分岐点42において、3つの接続要素44が等角度で接続されることにより、6つの線状導電体41で囲まれた同一形状のハニカム状の開口43が多数画成されている。
図示された例では、パターン導電体40は、同一形状のハニカム状の開口43が規則的に配置されたメッシュパターンを有しているが、このようなメッシュパターンに限られず、三角形、矩形等の同一形状の開口43が規則的に配置されたメッシュパターン、異形状の開口43が規則的に配置されたメッシュパターン、ボロノイメッシュのような、異形状の開口43が不規則的に配置されたメッシュパターン等、種々のメッシュパターンを用いることができる。更に、パターン導電体40のパターンは、メッシュパターンに限られない。図5に示されたパターン導電体40は、一対の接続端子部35を連結する複数の線状導電体41を有しており、複数の線状導電体41は、互いから離間して配置されている。
各線状導電体41は、直線状、折れ線状、波線状又は正弦波状等のパターンで一対の接続端子部35の間を延びていてもよい。
このようなパターン導電体40を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、及び、これらの合金の一以上を例示することができる。
図6は、図4のA−A線に対応する断面図であって、線状導電体41の断面形状の一例を示す図である。基材25上に、パターン導電体40をなす複数の線状導電体41が形成されている。図示された例では、線状導電体41は、基材25側の面41a、基材25の反対側の面41b及び側面41c,41dを有し、全体として略長方形の断面を有している。線状導電体41の幅W、すなわち、基材25のシート面に沿った幅Wは、2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)H、すなわち、基材25のシート面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の線状導電体41によれば、その線状導電体41が十分に細線化されているので、パターン導電体40を効果的に不可視化することができる。
また、線状導電体41は、基材25上に設けられた第1の暗色層46、第1の暗色層46上に設けられた導電性金属層45、及び、導電性金属層45上に設けられた第2の暗色層47を含んでいる。言い換えると、導電性金属層45の表面のうち、基材25側の面を第1の暗色層46が覆っており、導電性金属層45の表面のうち、基材25と反対側の面及び両側面を第2の暗色層47が覆っている。
金属材料からなる導電性金属層45は、比較的高い反射率を呈する。そして、パターン導電体40の線状導電体41をなす導電性金属層45によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、乗員の視界を妨げる場合がある。また、外部から導電性金属層45が視認されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、暗色層46,47が、導電性金属層45の表面の少なくとも一部分に配置されている。暗色層46,47は、導電性金属層45よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この暗色層46,47によって、導電性金属層45が視認されづらくなり、乗員の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。
次に、発熱板10の製造方法について説明する。なお、以下に説明する製造方法において、発熱板10は、中間部材99を用いて製造される。まずは、中間部材99及びその製造方法について説明し、その後に、中間部材99を用いた発熱板10の製造方法について説明する。
図7に示すように、中間部材99は、導電体付きシート20と、導電体付きシート20に積層された接合層13と、を有している。このうち、導電体付きシート20は、既に詳述した発熱板10の導電体付きシート20をなすようになる。したがって、中間部材99の導電体付きシート20は、上述した発熱板10の導電体付きシート20と同様の構成を有している。一方、接合層13は、既に詳述した発熱板10の接合層13をなすようになる。ただし中間部材99において、導電体付きシート20と接合層13は、接続端子部35を取り付けている領域及びその近傍を除く領域でのみ接合されている。
次に、中間部材99の製造方法およびこの中間部材99を用いた発熱板10の製造方法について説明する。
まずは図8〜図15を参照して、導電体付きシート20の製造方法の一例について説明する。図8〜図15は、導電体付きシート20の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、図8に示すように、基材25を準備する。基材25は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基板である。
次に、図9に示すように、基材25上に第1の暗色層46を設ける。例えば、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法により、基材25上に第1の暗色層46を設けることができる。なお、第1の暗色層46の材料としては、種々の公知のものを用いることができる。例えば窒化銅、酸化銅、窒化ニッケル等が例示できる。
次に、図10に示すように、第1の暗色層46上に導電性金属層45を設ける。導電性金属層45は、上述したように、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、及び、これらの合金の一以上からなる層である。導電性金属層45は、公知の方法で形成され得る。例えば、耐候性接着剤等を用いて銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。
次に、図11に示すように、導電性金属層45上に、レジスト層48を設ける。レジスト層48は、例えば特定波長域の光、例えば紫外線に対する感光性を有する樹脂層である。この樹脂層は、樹脂フィルムを貼着して形成してもよいし、流動性の樹脂をコーティングすることにより形成してもよい。また、レジスト層48の具体的な感光特性は特に限られない。例えば、レジスト層48として、光硬化型の感光材が用いられてもよく、若しくは、光溶解型の感光材が用いられてもよい。
その後、図12に示すように、レジスト層48をパターニングして、レジストパターン49を形成する。レジスト層48をパターニングする方法としては、公知の種々の方法が採用することができるが、この例では、レジスト層48として、特定波長域の光、例えば紫外線に対する感光性を有する樹脂層を用い、公知のフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングしている。まず、レジスト層48上に、パターン化したい部分を開口したマスク、又は、パターン化したい部分を遮蔽したマスクを配置し、このマスクを介してレジスト層48に紫外線を照射する。その後、紫外線がマスクにより遮蔽された部分、又は、紫外線が照射された部分を現像等の手段により除去する。これにより、パターニングされたレジストパターン49を形成することができる。
次に、図13に示すように、レジストパターン49をマスクとして、導電性金属層45及び第1の暗色層46をエッチングする。このエッチングにより、導電性金属層45及び第1の暗色層46がレジストパターン49と略同一のパターンにパターニングされる。エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、図14に示すように、レジストパターン49を除去する。
最後に、図15のように導電性金属層45の基材25の反対側の面41b及び側面41c,41dに第2の暗色層47を形成する。第2の暗色層47は、例えば導電性金属層45をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層45をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2の暗色層47を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電性金属層45の表面に第2の暗色層47を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層45の表面を粗化して第2の暗色層47を設けるようにしてもよい。
図15に示された例では、導電性金属層45の基材25の反対側の面41b及び側面41c,41dに第2の暗色層47を形成したが、これに限られず、導電性金属層45の基材25の反対側の面41bのみ、又は、導電性金属層45の側面41c,41dのみに第2の暗色層47を形成してもよい。
導電性金属層45の基材25の反対側の面41bのみに第2の暗色層47を形成する場合は、例えば、図10に示した工程の後に、導電性金属層45上に第2の暗色層47及びレジスト層48をこの順に設け、レジスト層48をパターニングしてレジストパターン49を形成する。その後、レジストパターン49をマスクとして、第2の暗色層47、導電性金属層45及び第1の暗色層46をエッチングすればよい。
また、導電性金属層45の側面41c,41dのみに第2の暗色層47を形成する場合は、例えば、図13に示した工程の後に、レジストパターン49を除去せずに第2の暗色層47を形成し、その後、レジストパターン49を除去すればよい。
なお、第1の暗色層46が必要ない場合には、図9に示した、基材25上に第1の暗色層46を設ける工程を省略すればよい。
以上のようにして導電体付きシート20が製造される。次に、導電体付きシート20にパターン導電体40の側から接合層13を積層し、導電体付きシート20及び接合層13を接合することにより、中間部材99が製造される。導電体付きシート20及び接合層13の接合は、最終的な発熱板10中での接合強度と同程度の接合強度で接合する本接合であってもよいし、最終的な発熱板10中での接合強度よりも弱い接合強度で接合する仮接合であってもよい。一例として、導電体付きシート20及び接合層13の接合は、加熱加圧、例えば最終的な発熱板10を作製する際の加熱加圧工程よりも低圧力及び/又は低温にて、加熱加圧工程を実施することによって達成され得る。或いは、接合層13の表面の一部分に粘着性を付与しておくことにより、導電体付きシート20及び接合層13を接合することもできる。
中間部材99において、接合層13は、導電体付きシート20の接続端子部35及びパターン導電体40が設けられている領域を覆うようにして、導電体付きシート20と積層されている。ただし、接合層13は、導電体付きシート20の接続端子部35が設けられている領域と接合されていない。接合層13は、接続端子部35に対面する領域以外の領域において導電体付きシート20と接合されている。例えば、接合層13は、パターン導電体40と対面する領域のみにおいて、導電体付きシート20と接合される。
次に、このようにして得られた中間部材99を用いて発熱板10を製造する方法について説明する。まず、図16に示すように、接続部8をなす金属配線を、中間部材99の接続端子部35上に配置する、又は、接続端子部35に接続する。このとき、接合層13は、電体付きシート20の接続端子部35が設けられている領域を覆っているが、電体付きシート20の当該領域に接合されてはいない。したがって、接合層13をめくることにより、接続部8をなす金属配線を、中間部材99の接続端子部35に容易に接触させることができる。
次に、中間部材99に対し、接合層13の側からガラス板11を積層し、導電体付きシート20の側から接合層14及びガラス板12をこの順番で積層する。その後、この積層物を加熱加圧することにより、発熱板10が製造される。なお、中間部材99において、パターン導電体40を含む導電体30は、基材25上で固定されている。また、接続部8は、中間部材99において接続端子部35と接合層13との間に狹持された状態となっている。したがって、積層工程及び加熱加圧工程を容易に行うことができるとともに、この工程中に、電体付きシート20のパターン導電体40及び接続端子部35、並びに、接続部8が、位置決めされた所望の位置からずれてしまうことを効果的に防止することができる。
以上のような本実施の形態によれば、発熱板10が中間部材99を用いて製造されている。この中間部材99は、電圧を印加されると発熱する発熱板10に用いられるものであり、基材25と、基材25上に設けられた導電体30と、を有する導電体付きシート20と、導電体30に対面する側から導電体付きシート20に積層された接合層13と、を有している。導電体30は、電圧を印加されるようになる一対の接続端子部35と、それらの接続端子部35を連結する線状導電体41を含むパターン導電体40と、を有している。接合層13は接続端子部35及びパターン導電体40の両方を覆うようにして導電体付きシート20と積層され、接続端子部35に対面する領域以外の領域において導電体付きシート20と接合されている。したがって、所望のパターンでパターン導電体40を高精度に作製することができる。また、加熱加圧中にパターン導電体40がずれにくい。また、接続端子部35が設けられた部分において、接合層13は導電体付きシート20と接合されていない。よって接続端子部35と接続部8とを容易且つ確実に接続することができる。以上のことから加熱加圧工程を極めて容易且つ確実に実施することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
例えば、導電体付きシート20のパターン導電体40は、基材25のガラス板11側の面上ではなく、ガラス板12側の面上に設けてもよい。また、基材25のガラス板11側及びガラス板12側の両面に設けてもよい。
また、中間部材99が、図17のように基材25と暗色層46の間に設けられた剥離層27をさらに有するようにしてもよい。この中間部材99を用いる場合、ガラス板11と中間部材99の接合後に、中間部材99から基材25を剥離することができる。剥離層27としては、例えば界面剥離型の剥離層、層間剥離型の剥離層、凝集剥離型の剥離層等を用いることができる。界面剥離型の剥離層としては、基材25との密着性と比べて、接合層13及びパターン導電体40との密着性が相対的に低い剥離層を好適に用いることができる。このような層としては、シリコーン樹脂層、フッ素樹脂層、ポリオレフィン樹脂層等が挙げられる。また、接合層13及びパターン導電体40との密着性と比べて、基材25との密着性が相対的に低い剥離層を用いることもできる。層間剥離型のものとしては、複数層のフィルムを含み、接合層13及びパターン導電体40や、基材25との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い剥離層を例示することができる。凝集剥離型のものとしては、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた剥離層を例示することができる。
剥離層27を有した中間部材99を用いた場合、次のようにして発熱板を作製することができる。まず、図18に示されているように、導電体付きシート20の基材25を、剥離層42を用いて中間部材99から剥離し、中間部材99から除去する。剥離層27として、基材25との密着性と比べて、接合層13及びパターン導電体40との密着性が相対的に低い層を有する界面剥離型の剥離層を用いた場合、剥離層27と接合層13及びパターン導電体40との間で剥離される。この場合、剥離層27が、接合層13及びパターン導電体40側に残らないようにすることができる。すなわち、基材25は、剥離層27とともに、中間部材99から除去される。このようにして基材25及び剥離層27が除去された中間部材99において、パターン導電体40の線状導電体41間に、接合層13が露出するようになる。次に、この露出した接合層13にガラス板12を接合することにより、図19に示された発熱板10が製造される。図19に示された発熱板10は、基材25を含んでいない。したがって、導電体30で発熱した熱がより効率的にガラス板12に伝達されるようになる。
その一方で、剥離層27として、接合層13及びパターン導電体40との密着性と比べて、基材25との密着性が相対的に低い界面剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層27と基材25との間で剥離が生じるようになる。剥離層27として、複数層のフィルムを有し、接合層13及びパターン導電体40や、基材25との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い層間剥離型の剥離層を用いた場合には、当該複数層間で剥離が生じるようになる。剥離層27として、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた凝集剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層27内での凝集破壊による剥離が生じる。その後、剥離層27の側から接合層14を用いてガラス板12を接合することにより、発熱板10が製造される。
発熱板10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓に用いてもよい。
さらに、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 自動車
5 フロントウィンドウ
7 電源
8 接続部
10 発熱板
11 ガラス板
12 ガラス板
13 接合層
14 接合層
20 導電体付きシート
25 基材
27 剥離層
30 導電体
35 接続端子部
40 パターン導電体
41 線状導電体
42 分岐点
43 開口
45 導電性金属層
46 第1の暗色層
47 第2の暗色層
48 レジスト層
49 レジストパターン
99 中間部材

Claims (2)

  1. 電圧を印加されると発熱する発熱板に用いられる中間部材であって、
    基材と、前記基材上に設けられた導電体と、を有する導電体付きシートと、
    前記導電体に対面する側から前記導電体付きシートに積層された接合層と、を備え、
    前記導電体は、電圧を印加されるようになる一対の接続端子部と、前記一対の接続端子部を連結する線状導電体を含むパターン導電体と、を有し、
    前記接合層は、前記接続端子部及び前記パターン導電体の両方を覆うようにして、前記導電体付きシートと積層され、
    前記接合層は、前記接続端子部に対面する領域以外の領域において前記導電体付きシートと接合されており、
    隣り合う2つの前記線状導電体の間となる領域での前記接合層の厚さは、前記線状導電体の厚さより厚く、
    前記線状導電体は、前記接合層に埋め込まれている、発熱板用の中間部材。
  2. 前記接合層は、前記パターン導電体に対面する領域において導電体付きシートと接合されている、請求項1に記載の発熱板用の中間部材。
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