JP6828239B2 - 発熱板、導電性パターンシートおよび発熱板を備えた乗り物 - Google Patents

発熱板、導電性パターンシートおよび発熱板を備えた乗り物 Download PDF

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Description

本発明は、発熱板、導電性パターンシートおよび発熱板を備えた乗り物に関する。
従来、車両のフロントウィンドウやリアウィンドウ等の窓ガラスに用いるデフロスタ装置として、窓ガラス全体にタングステン線等からなる電熱線を配置したものが知られている。この従来技術では、窓ガラス全体に配置された電熱線に通電し、その抵抗加熱により窓ガラスを昇温させて、窓ガラスの曇りを取り除いて、または、窓ガラスに付着した雪や氷を溶かして、乗員の視界を確保することができる。
また、最近では、タングステン線等からなる電熱線に代えて、フォトリソグラフィー技術を用いて導電性パターンを作製し、この導電性パターンに通電して、その抵抗加熱により窓ガラスを昇温させるデフロスタ装置も知られている(特許文献1、特許文献2参照)。この方法は、複雑な形状の導電性パターンであっても簡単に形成できるという利点がある。特許文献1、特許文献2では、例えば平面内で特定ランダム分布をした母点から生成されるボロノイ図から得られた不規則な形状を有する導電性パターンを形成し、窓ガラスを昇温させる電熱線として用いている。
特開2011−216378号公報 特開2012−151116号公報
図23に、特許文献1、特許文献2に開示された従来技術のデフロスタ装置における導電性パターン240の一部を拡大したものを示す。従来技術のデフロスタ装置では、導電性パターン240は、2つの分岐点242の間を延びて開口領域243を画成する複数の接続要素244を含んでおり、各接続要素244はそれぞれ1本の直線分で構成されていた。このような接続要素244を有するデフロスタ装置について本件発明者らが鋭意研究を進めたところ、1本の直線分で構成された各接続要素244の形状に起因して、接続要素244を有する導電性パターン240が観察者(例えば、ドライバー等の乗員)に視認され得ることが知見された。デフロスタ装置に入射した外光等の光が、接続要素244における平坦面で構成された側面に入射すると、側面の各位置へ入射した光が、当該側面で概ね一定の方向に反射する。そして、この反射光が観察者に視認されることにより、接続要素244を有する導電性パターン240が観察者に視認される。接続要素244を有する導電性パターン240がドライバー等の観察者に視認されることは、観察者による窓ガラスを介した視認性を悪化させる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであって、デフロスタ装置の導電性パターンの不可視性を向上させることを目的とする。
本発明による発熱板は、
一対のガラス板と、
前記一対のガラス板の間に配置され、複数の開口領域を画成する導電性パターンと、
前記導電性パターンと前記一対のガラス板の少なくとも一方との間に配置された接合層と、を備え、
前記導電性パターンは、2つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する複数の接続要素を含み、
前記2つの分岐点の間を直線分として接続する接続要素は、前記複数の接続要素のうちの20%未満である。
本発明による発熱板において、隣接する2つの開口領域の重心間の平均距離は、50μm以上であってもよい。
本発明による発熱板において、前記導電性パターンの厚さは、2μm以上であってもよい。
本発明による発熱板において、第1方向に沿った各開口領域の長さLの、前記第1方向と直交する第2方向に沿った当該開口領域の長さLに対する比(L/L)の平均が、1.3以上1.8以下であってもよい。
本発明による導電性パターンシートは、
基材と、
前記基材上に設けられ、複数の開口領域を画成する導電性パターンと、を備え、
前記導電性パターンは、2つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する複数の接続要素を含み、
前記2つの分岐点の間を直線分として接続する接続要素は、前記複数の接続要素のうちの20%未満である。
本発明による乗り物は、上述の発熱板を備える。
本発明によれば、デフロスタ装置の導電性パターンの不可視性を向上させることができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、発熱板を備えた乗り物を概略的に示す斜視図である。特に図1では、乗り物の例として発熱板を備えた自動車を概略的に示している。 図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図である。 図3は、図2の発熱板の横断面図である。 図4は、発熱板の導電性パターンを決定するために参照する参照パターンの形状の一例を示す平面図である。 図5は、導電性パターンの一部を図4に示した参照パターンとともに示す拡大図である。 図6は、本実施の形態の導電性パターンの作用を説明する図である。 図7は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図8は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図9は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図10は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図11は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図12は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図13は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図14は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図15は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図16は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図17は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図18は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図19は、発熱板の製造方法の他の変形例を説明するための図である。 図20は、発熱板の製造方法の他の変形例を説明するための図である。 図21は、参照パターンの変形例を示す平面図である。 図22は、導電性パターンの一部を図21に示した参照パターンとともに示す拡大図である。 図23は、従来技術について説明する図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電性パターンシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電性パターンシート」は、「導電性パターン板(基板)」や「導電性パターンフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
本明細書において、「接合」とは、完全に接合を完了する「本接合」だけでなく、「本接合」の前に仮止めするための、いわゆる「仮接合」をも含むものとする。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図22は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2の発熱板の横断面図である。なお、本実施の形態における発熱板は、合わせガラスと呼ばれる場合もある。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されているものを例示する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この発熱板10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する横断面図を図3に示す。図3に示された例では、発熱板10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置された導電性パターンシート(パターンシート)20と、ガラス板11,12と導電性パターンシート20とを接合する接合層13,14とを有している。なお、図1および図2に示した例では、発熱板10は湾曲しているが、図3および図13〜図20では、図示の簡略化および理解の容易化のために、発熱板10およびガラス板11,12を平板状に図示している。
導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に形成された導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16とを有している。
図2および図3に示した例では、鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池等のバッテリー、太陽電池、商用交流電源等の電源7から、配線部15および接続部16を介して導電性パターン40に通電し、導電性パターン40を抵抗加熱により発熱させる。導電性パターン40で発生した熱は接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わり、ガラス板11,12が温められる。これにより、ガラス板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、ガラス板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。
ガラス板11,12は、特に自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このようなガラス板11,12の材質としては、ソーダライムガラス、青板ガラス等が例示できる。ガラス板11,12は、可視光領域における透過率が90%以上であることが好ましい。ここで、ガラス板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、ガラス板11,12の一部または全体に着色するなどして、可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、ガラス板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度および光学特性に優れたガラス板11,12を得ることができる。
ガラス板11,12と導電性パターンシート20とは、それぞれ接合層13,14を介して接合されている。このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10のガラス板11,12、接合層13,14や、後述する導電性パターンシート20の基材30の少なくとも1つに機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、偏光機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電性パターンシート20について説明する。導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に設けられた導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16とを有している。導電性パターン40は、金属等からなる導電性細線を所定のパターンで配置してなる。導電性パターンシート20は、ガラス板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されてもよいし、運転席の正面部分等、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。
シート状の基材30は、導電性パターン40を支持する基材として機能する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基板である。
基材30に含まれる樹脂としては、可視光を透過する樹脂であればいかなる樹脂でもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂等を挙げることができる。とりわけ、アクリル樹脂やポリ塩化ビニルは、エッチング耐性、耐候性、耐光性に優れており、好ましい。
また、基材30は、導電性パターン40の保持性や、光透過性等を考慮すると、0.03mm以上0.3mm以下の厚みを有していることが好ましい。
図4〜図6を参照して、導電性パターン40について説明する。導電性パターン40は、バッテリー等の電源7から、配線部15および接続部16を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わることで、ガラス板11,12が温められる。
本実施の形態の導電性パターン40は、まず2つの分岐点52の間を延びて開口領域53を画成する複数の線分54から形成された参照パターン50を決定し、次に参照パターン50の分岐点52に基づいて導電性パターン40の分岐点42の位置を決定し、その後、決定された導電性パターン40の分岐点42および参照パターン50の線分54に基づき、導電性パターン40の接続要素44の位置を決定する。
図4は、参照パターン50を示す平面図である。図4に示されているように、参照パターン50は、多数の開口領域53を画成するメッシュ状のパターンである。参照パターン50は、2つの分岐点52の間を延びて、開口領域53を画成する複数の線分54を含んでいる。すなわち、参照パターン50は、両端において分岐点52を形成する多数の線分54の集まりとして構成されている。
図4に示された例では、参照パターン50の多数の開口領域53は、繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列されている。とりわけ図示された例では、多数の開口領域53が、平面内に於いて隣接点間距離が所定の上限値及び下限値の間でランダム分布する仮想的な点、即ち母点から生成されたボロノイ図における各ボロノイ領域と一致するように配列されている。言い換えると、参照パターン50の各線分54は、ボロノイ図におけるボロノイ領域の各境界と一致している。また、参照パターン50の各分岐点52は、ボロノイ図におけるボロノイ点と一致している。
なお、このボロノイ図は、例えば特開2012−178556号公報や、上記特許文献1、特許文献2に開示されているような公知の方法によって得られるので、ここではボロノイ図の作成方法についての詳細な説明は省略する。
図5に、導電性パターン40の一部を、図4に示した参照パターン50とともに拡大して示す。まず、参照パターン50の各分岐点52上に、導電性パターン40の各分岐点42を配置する。次に、参照パターン50の線分54の両端をなす2つの分岐点52に対応する2つの分岐点42間を接続するように、導電性パターン40の各接続要素44を配置する。各接続要素44は、直線の一部である直線分、曲線の一部である曲線分、またはこれらを組み合わせた形状を有して構成され得る。例えば、各接続要素44は、直線分、折れ線、曲線分等の形状を有して構成され得る。ここで、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44は、複数の接続要素44のうちの20%未満である。すなわち、複数の接続要素44のうちの80%以上は、折れ線、曲線分等の、直線分以外の形状を有している。曲線分を構成する曲線としては、特に限られることはないが、例えば、円、楕円、カージオイド、正弦曲線、ヤコビ楕円函数曲線、双曲線正弦関数曲線、ベッセル函数曲線、インボリュート曲線、円又は楕円以外のn次函数曲線(nは2以上の整数)等から適宜選択することができる。
図5に示された例では、導電性パターン40は、参照パターン50の各分岐点52上に配置された複数の分岐点42と、2つの分岐点42の間を延びて開口領域43を画成する複数の接続要素44を含み、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44は、複数の接続要素44のうちの20%未満である。そして、導電性パターン40は、参照パターン50の各線分54に対応して複数の接続要素44が配置された、メッシュ状のパターンを有している。
なお、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44の、複数の接続要素44に対する割合は、導電性パターン40の全領域を調べてその割合を算出して特定する必要はなく、実際的には、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44の、複数の接続要素44に対する割合、の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画内において、調査すべき対象のばらつきの程度を考慮して適当と考えられる数を調べて当該割合を算出することによって特定することができる。このようにして特定された値を、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44の、複数の接続要素44に対する割合、として取り扱うことができる。本実施の形態の導電性パターン40においては、300mm×300mmの領域内に含まれる100箇所を光学顕微鏡や電子顕微鏡により観察することにより、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44の、複数の接続要素44に対する割合を特定することができる。
このような導電性パターン40を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、および、これらの合金の一以上を例示することができる。
図3に示された例では、接続要素44は、基材30側の面44a、基材30の反対側の面44bおよび側面44c,44dを有し、全体として略矩形の断面を有している。接続要素44の幅W、すなわち、基材30のシート面に沿った幅Wは1μm以上15μm以下とすることが好ましい。また、基材30のシート面に沿った幅Wは1μm以上7μm以下とすることがより好ましい。このような幅Wを有する接続要素44によれば、その接続要素44が十分に細線化されているので、導電性パターン40を効果的に不可視化することができる。且つ、接続要素44の幅Wは十分な幅即ち機械的強度及び電気伝導度(電気抵抗の逆数)が確保される為、製造工程中及び発熱板として使用中に於いて断線し難く、且つ十分な発熱量を確保できる。また、接続要素44の高さ(厚さ)H、すなわち、基材30のシート面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは1μm以上20μm以下とすることが好ましい。さらに、接続要素44の高さHは2μm以上14μm以下とすることがより好ましい。なお、接続要素44の高さ(厚さ)Hは、導電性パターン40の高さ(厚さ)であるともいえる。このような高さ(厚さ)Hを有する接続要素44によれば、適切な抵抗値を有しつつ十分な導電性を確保することができる。
以上のような、導電性パターン40によれば、図6に示されているように、曲線分、折れ線等の、直線分以外の形状を有する接続要素44の側面に入射した光は、当該側面で乱反射する。これにより、当該接続要素44の側面に一定の方向から入射した光が、その入射方向に対応して当該側面で一定の方向に反射することが抑制される。したがって、この反射光が観察者に視認されて、接続要素44を有する導電性パターン40が観察者に視認されることを、抑制することができる。とりわけ、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44が、複数の接続要素44のうちの20%未満である、すなわち、複数の接続要素44のうちの80%以上が、曲線分、折れ線等の、直線分以外の形状を有している場合、接続要素44の側面で反射した光が観察者に視認されて、接続要素44を有する導電性パターン40が観察者に視認されることを、より効果的に抑制することができる。
また、接続要素44が1μm以上の高さ(厚さ)Hを有する場合、とりわけ接続要素44が2μm以上の高さHを有する場合、接続要素44の側面で反射した光が観察者に視認される可能性が高くなる。したがって、この場合、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素を、複数の接続要素44のうちの20%未満とすることが、接続要素44の側面で反射した光が観察者に視認されることを抑制するために、とりわけ有効である。
さらに、開口領域43の分布が疎となり、隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveが長くなると、各接続要素44の長さも長くなる。そして、各接続要素44の長さが長くなると、当該接続要素44の側面で所定の方向に反射した光が、視認されやすくなる。本件発明者らが検討したところ、隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveが、50μm以上である場合、特に70μm以上である場合、接続要素44の側面で反射した光が観察者に視認される可能性が高くなった。したがって、この場合、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素を、複数の接続要素44のうちの20%未満とすることが、接続要素44の側面で反射した光が観察者に視認されることを抑制するために、とりわけ有効である。ここで、隣接する2つの開口領域43とは、1つの接続要素44を共有して隣り合う2つの開口領域43を意味している。また、図6に図示する如く、重心G,G間の距離Dは、重心G,G間の直線距離Dを意味している。
なお、導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveは、300μm以下とすることが好ましい。Daveが300μm以下であると、導電性パターン40そのものを効果的に不可視化することができる。また、Daveが150μm以下であると、導電性パターン40そのものをさらに効果的に不可視化することができる。これは、人間の目が、このような小さなDaveを有する導電性パターン40の開口領域43を、隣接する開口領域43から分離して解像することが難しくなるためと考えられる。その一方、Daveは、50μm以上とすることが好ましい。Daveが50μm以上であると、導電性パターン40が配置された領域を光が透過するための十分な開口率を確保することができ、導電性パターン40及び発熱板10に良好な光透過性を付与することができる。Daveが50μm以上であると、例えば接続要素の幅Wが5μm以下のときに、発熱板10の光透過率を、一例として70%以上とすることができる。
導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveが50μm以上300μm以下である場合、導電性パターン40及び発熱板10に良好な光透過性を付与し、且つ、導電性パターン40を効果的に不可視化することができる。また、導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveが50μm以上300μm以下である場合、とりわけDaveが70μm以上300μm以下である場合、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素を、複数の接続要素44のうちの20%未満とすることで、接続要素44の側面で反射した光が観察者に視認されることを効果的に抑制し、且つ、導電性パターン40を効果的に不可視化することができる。また、導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveが50μm以上150μm以下である場合、導電性パターン40及び発熱板10に良好な光透過性を付与し、且つ、導電性パターン40をさらに効果的に不可視化することができる。また、導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveが50μm以上150μm以下である場合、とりわけDaveが70μm以上300μm以下である場合、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素を、複数の接続要素44のうちの20%未満とすることで、接続要素44の側面で反射した光が観察者に視認されることを効果的に抑制し、且つ、導電性パターン40をさらに効果的に不可視化することができる。
図3に示された例では、接続要素44は、基材30上に設けられた第1の暗色層63、第1の暗色層63上に設けられた導電性金属層61、および、導電性金属層61上に設けられた第2の暗色層64を含んでいる。言い換えると、導電性金属層61の表面のうち、基材30側の面を第1の暗色層63が覆っており、導電性金属層61の表面のうち、基材30と反対側の面および両側面を第2の暗色層64が覆っている。暗色層63,64は、導電性金属層61よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この暗色層63,64によって、導電性金属層61がさらに視認されづらくなり、乗員の視界をより良好に確保することができる。
次に、図7〜図13を参照して、発熱板10の製造方法の一例について説明する。図7〜図13は、発熱板10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、シート状の基材30を準備する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の樹脂基材である。
次に、図7に示すように、基材30上に第1の暗色層63を設ける。例えば、電解めっきおよび無電解めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、またはこれらの2以上を組み合わせた方法により、基材30上に第1の暗色層63を設けることができる。なお、第1の暗色層63の材料としては、種々の公知のものを用いることができる。例えば窒化銅、酸化銅、酸化窒化銅、窒化ニッケル等が例示できる。
次に、図8に示すように、第1の暗色層63上に導電性金属層(導電層)61を設ける。導電性金属層61は、上述したように、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、および、これらの合金の一以上からなる層である。導電性金属層61は、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を耐候性接着剤等を用いて貼着する方法、電解めっきおよび無電解めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を採用することができる。
なお、導電性金属層61を銅箔等の金属箔で形成する場合、先に金属箔の片面に第1の暗色層63を形成しておき、この第1の暗色層63が形成された金属箔を、第1の暗色層63が基材30に対向するようにして、例えば接着層や粘着層を介して、基材30に積層してもよい。この場合、例えば金属箔をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、金属箔をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第1の暗色層63を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、金属箔の表面に第1の暗色層63を設けるようにしてもよい。また、金属箔の表面を粗化して第1の暗色層63を設けるようにしてもよい。
次に、図9に示すように、導電性金属層61上に、レジストパターン62を設ける。レジストパターン62は、形成されるべき導電性パターン40のパターンに対応したパターンとなっている。ここで説明する方法では、最終的に導電性パターン40をなす箇所の上にのみ、レジストパターン62が設けられている。このレジストパターン62は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、図10に示すように、レジストパターン62をマスクとして、導電性金属層61および第1の暗色層63をエッチングする。このエッチングにより、導電性金属層61および第1の暗色層63がレジストパターン62と略同一のパターンにパターニングされる。エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、図11に示すように、レジストパターン62を除去する。
その後、図12に示すように、導電性金属層61の基材30の反対側の面44bおよび側面44c,44dに第2の暗色層64を形成する。第2の暗色層64は、例えば導電性金属層61をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層61をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2の暗色層64を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電性金属層61の表面に第2の暗色層64を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層61の表面を粗化して第2の暗色層64を設けるようにしてもよい。
以上のようにして、図12に示す導電性パターンシート20が作製される。
最後に、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図13に示された例では、まず、接合層13をガラス板11に、接合層14をガラス板12に、それぞれ仮接着する。次に、ガラス板11,12の接合層13,14が仮接着された側が、それぞれ導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11、導電性パターンシート20、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターンシート20およびガラス板12が、接合層13,14を介して接合され、図3に示す発熱板10が製造される。
以上に説明した本実施の形態の発熱板10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置され、複数の開口領域43を画成する導電性パターン40と、導電性パターン40と一対のガラス板11,12の少なくとも一方との間に配置された接合層13,14と、を備え、導電性パターン40は、2つの分岐点42の間を延びて開口領域43を画成する複数の接続要素44を含み、2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素は、複数の接続要素44のうちの20%未満である。
このような発熱板10によれば、図6に示されているように、折れ線、曲線分等の、直線分以外の形状を有する接続要素44の側面に入射した光は、当該側面で乱反射する。これにより、当該接続要素44の側面内の各位置に一定の方向から入射した光が、その入射方向に対応して当該側面で一定の方向に反射することが抑制される。したがって、この反射光が観察者に視認されて、接続要素44を有する導電性パターン40が観察者に視認されることを、抑制することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図14〜図18を参照して、発熱板10の製造方法の変形例について説明する。図14〜図18は、発熱板10の製造方法の変形例を順に示す断面図である。
まず、導電性パターンシート20を作製する。導電性パターンシート20は、上述の発熱板10の製造方法の一例において説明した方法により作製することができる。
次に、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図14に示された例では、まず、接合層13をガラス板11に仮接着する。次に、ガラス板11の接合層13が仮接着された側が、導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11を、導電性パターンシート20の導電性パターン40の側から重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、図15に示すように、ガラス板11および導電性パターンシート20が、接合層13を介して接合(仮接合または本接合)される。
次に、図16に示されているように、導電性パターンシート20の基材30を除去する。例えば、導電性パターンシート20を作製する際に、基材30上に剥離層を形成しておき、この剥離層上に導電性パターン40を形成する。この剥離層は、上述の導電性金属層61および第1の暗色層63をエッチングする工程で除去されない層であることが好ましい。この場合、基材30と、導電性パターン40および接合層13と、は剥離層を介して接合される。そして、導電性パターンシート20の基材30を除去する工程では、導電性パターンシート20の基材30を、剥離層を用いて導電性パターン40および接合層13から剥離する。
剥離層としては、例えば界面剥離型の剥離層、層間剥離型の剥離層、凝集剥離型の剥離層等を用いることができる。界面剥離型の剥離層としては、基材30との密着性と比べて、導電性パターン40および接合層13との密着性が相対的に低い剥離層を好適に用いることができる。このような層としては、シリコーン樹脂層、フッ素樹脂層、ポリオレフィン樹脂層等が挙げられる。また、導電性パターン40および接合層13との密着性と比べて、基材30との密着性が相対的に低い剥離層を用いることもできる。層間剥離型の剥離層としては、複数層のフィルムを含み、導電性パターン40および接合層13や、基材30との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い剥離層を例示することができる。凝集剥離型の剥離層としては、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた剥離層を例示することができる。
剥離層として、基材30との密着性と比べて、導電性パターン40および接合層13との密着性が相対的に低い層を有する界面剥離型の剥離層を用いた場合、剥離層と導電性パターン40および接合層13との間で剥離現象が生じる。この場合、剥離層が、導電性パターン40および接合層13側に残らないようにすることができる。すなわち、基材30は、剥離層とともに除去される。このようにして基材30および剥離層が除去されると、導電性パターン40の開口領域43内に、接合層13が露出するようになる。
その一方で、剥離層として、導電性パターン40および接合層13との密着性と比べて、基材30との密着性が相対的に低い界面剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層と基材30との間で剥離現象が生じる。剥離層として、複数層のフィルムを有し、導電性パターン40および接合層13や、基材30との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い層間剥離型の剥離層を用いた場合には、当該複数層間で剥離現象が生じる。剥離層として、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた凝集剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層内での凝集破壊による剥離現象が生じる。
最後に、ガラス板11、接合層13および導電性パターン40、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図17に示された例では、まず、接合層14をガラス板12に仮接着する。次に、ガラス板12の接合層14が仮接着された側が、導電性パターン40および接合層13に対向するようにして、ガラス板11、導電性パターン40および接合層13、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターン40、ガラス板12が、接合層13,14を介して接合(本接合)され、図18に示す発熱板10が製造される。
図18に示された発熱板10によれば、発熱板10が基材30を含まないようにすることができる。これにより、発熱板10全体の厚みを小さくすることができる。また、発熱板10内の界面数を低減することができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下を抑制することができる。
次に、図19および図20を参照して、発熱板10の製造方法の他の変形例について説明する。図19および図20は、発熱板10の製造方法の他の変形例を順に示す断面図である。
まず、上述の発熱板10の製造方法の変形例と同様の工程により、ガラス板11および導電性パターンシート20が、接合層13を介して接合(仮接合)されたものを作製し、ここから基材30を除去する。すなわち、上述の発熱板10の製造方法の変形例で図16を参照して説明した、ガラス板11、導電性パターン40および接合層13が積層されたものを得る。
次に、図19に示すように、ガラス板11、接合層13および導電性パターン40、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11と導電性パターン40とが接合層13を介して接合(本接合)され、且つ、ガラス板11とガラス板12とが接合層13を介して接合(本接合)される。そして、図20に示す発熱板10が製造される。
図20に示された発熱板10によれば、発熱板10が基材30および接合層14を含まないようにすることができる。これにより、発熱板10全体の厚みをさらに小さくすることができる。また、発熱板10内の界面数をさらに低減することができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下をさらに効果的に抑制することができる。加えて、導電性パターン40とガラス板12とが接触しているので、導電性パターン40によるガラス板12の加熱効率を上げることができる。
他の変形例として、図21に、参照パターンの変形例を示す。図21に示されているように、参照パターン150は、多数の開口領域153を画成するメッシュ状のパターンである。参照パターン150は、2つの分岐点152の間を延びて、開口領域153を画成する複数の線分154を含んでいる。すなわち、参照パターン150は、両端において分岐点152を形成する多数の線分154の集まりとして構成されている。とりわけ図示された例では、参照パターン150は、図4に示した参照パターン50を第1方向(X)に沿った方向に引き伸ばした形状、言い換えると図4に示した参照パターン50を第1方向(X)と直交する第2方向(Y)に沿った方向に圧縮した形状、を有している。
この参照パターン150に基づいて図5を参照して説明した上述の方法により決定された導電性パターン140の一部を、対応する参照パターン150の一部とともに拡大して図22に示す。図22に示された例では、導電性パターン140は、参照パターン150の各分岐点152上に配置された複数の分岐点142と、2つの分岐点142の間を延びて開口領域143を画成する複数の接続要素144を含み、2つの分岐点142の間を直線分として接続する接続要素は、複数の接続要素144のうちの20%未満である。そして、導電性パターン140は、参照パターン150の各線分154に対応して複数の接続要素144が配置された、メッシュ状のパターンを有している。
図22に示された例では、第1方向(X)に沿った導電性パターン140の各開口領域143の長さLの、第1方向(X)と直交する第2方向(Y)に沿った当該開口領域143の長さLに対する比(L/L)の平均が、1.3以上1.8以下となっている。導電性パターン140が、このような寸法の開口領域143を含む場合、接続要素144の側面で反射した光が観察者に視認される可能性が高くなる。したがって、この場合、2つの分岐点142の間を直線分として接続する接続要素を、複数の接続要素144のうちの20%未満とすることが、接続要素144の側面で反射した光が観察者に視認されることを抑制するために、とりわけ有効である。
なお、隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveや、第1方向(X)に沿った導電性パターン140の各開口領域143の長さLの、第1方向(X)と直交する第2方向(Y)に沿った当該開口領域143の長さLに対する比(L/L)の平均といった導電性パターン40,140の各寸法は、導電性パターン40,140の全領域を調べてその平均値を算出して特定する必要はなく、実際的には、調査すべき対象(隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveや、第1方向(X)に沿った導電性パターン140の各開口領域143の長さLの、第1方向(X)と直交する第2方向(Y)に沿った当該開口領域143の長さLに対する比(L/L)の平均)の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画内において、調査すべき対象のばらつきの程度を考慮して適当と考えられる数を調べてその平均値を算出することによって特定することができる。このようにして特定された値を、それぞれ、隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveや、第1方向(X)に沿った導電性パターン140の各開口領域143の長さLの、第1方向(X)と直交する第2方向(Y)に沿った当該開口領域143の長さLに対する比(L/L)の平均として取り扱うことができる。本実施の形態の導電性パターン40,140においては、300mm×300mmの領域内に含まれる100箇所を光学顕微鏡や電子顕微鏡により測定して平均を算出することにより、導電性パターン40,140の各寸法を特定することができる。
他の変形例として、上述した実施の形態では、導電性パターン40,140は、平面内で特定ランダム分布をした母点から生成されるボロノイ図に基づいて決定された、すなわち多数の開口領域53,153が繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列された、パターンを有しているが、このようなパターンに限られず、導電性パターンは、三角形、四角形、六角形等の同一形状の開口領域が規則的に配置されたパターン、異形状の開口領域が規則的に配置されたパターン等、種々のパターンを用いてもよい。
また、図7〜図20に示された例では、第2の暗色層64が、接続要素44の基材30の反対側の面44bおよび側面44c,44dをなしているが、これに限られず、第2の暗色層64が、接続要素44の基材30の反対側の面44bのみ、または、接続要素44の側面44c,44dのみをなすようにしてもよい。第2の暗色層64が、接続要素44の基材30の反対側の面44bのみをなすようにする場合は、例えば、図8に示した工程の後に、導電性金属層(導電層)61上に第2の暗色層64およびレジストパターン62をこの順に設ける。その後、レジストパターン62をマスクとして、第2の暗色層64、導電性金属層61および第1の暗色層63をエッチングすればよい。また、第2の暗色層64が、接続要素44の側面44c,44dのみをなすようにする場合は、例えば、図10に示した工程の後に、レジストパターン62を除去せずに第2の暗色層64を形成し、その後、レジストパターン62を除去すればよい。なお、第1の暗色層63が必要ない場合には、図7に示した、基材30上に第1の暗色層63を設ける工程を省略すればよい。
発熱板10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓や扉に用いてもよい。
さらに、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅等の建築物の窓や扉、各種信号機の窓材(カバー乃至保護硝子板)、各種乗物の前照灯の窓材等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1の合わせガラス10は、次のようにして作製した。まず、基材30として、厚み100μm、幅98cm、長さ100mの2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡株式会社製 A4300)を準備した。この基材30に、2液混合硬化型ウレタンエステル系接着剤を硬化時の乾燥厚みが7μmとなるようにグラビアコーターにて積層した。そして、基材30上に接着剤を介して、厚み3μm、幅97cm、長さ80mの電解銅箔を導電性金属層61として積層して、この状態を雰囲気温度50℃の環境で4日間維持して、電解銅箔を基材30に固定した。
その後、電解銅箔(導電性金属層61)に、感光性レジスト材料の層を積層して、図4及び図5を参照して説明した、平面内に於いて隣接母点間距離が所定の上限値及び下限値の間でランダム分布する母点から生成されたボロノイ図における各ボロノイ領域と一致するように配列された多数の開口領域53を有する参照パターン50に基づいて決定された複数の接続要素を含むパターンを有するフォトマスクを介して水銀燈で露光した。そして、余分な感光性レジスト材料を洗浄(除去)してレジストパターン62を形成し、レジストパターン62をマスクとして電解銅箔を塩化第2鉄水溶液の腐食液を用いてエッチングした。そして、純水で洗浄し、更に残留したレジストパターン62を脱膜除去して、ボロノイ図における各ボロノイ領域と一致するように配列された多数の開口領域53を有する参照パターン50に基づいて決定された複数の接続要素44を含む導電性パターン40を有する導電性パターンシート20を得た。この導電性パターンシート20において、導電性パターン40の接続要素44の幅Wは7μmであり、接続要素44の高さ(厚さ)すなわち導電性パターン40の高さ(厚さ)Hは3μmであった。導電性パターン40の2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44の、全ての接続要素44に対する割合は15%であった。導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Daveは、50μmであった。なお、導電性パターン40の2つの分岐点42の間を直線分として接続する接続要素44の、全ての接続要素44に対する割合は、導電性パターン40における300mm×300mmの領域内に含まれる100箇所を光学顕微鏡により観察することにより特定した。
そして、上述のようにして得られた導電性パターンシート20を、上底125cm、下底155cm、高さ96cmの略台形状に切り出した。そして、その表裏面(一番広面積の1対の面)の法線方向から観察した場合の形状寸法が上底120cm、下底150cm、高さ95cmの略台形状のガラス板11,12の間に、ガラス板11,12と同じサイズのPVB接着シートからなる接合層13,14を介して、導電性パターンシート20を配置した。そして、これらの積層体を、加熱・加圧(真空ラミネート)した。そして、ガラス板11,12の周囲からはみ出した接合層13,14及び導電性パターンシート20をトリミングして、実施例1の発熱板10を得た。
実施例1に係る発熱板10を目視で確認したところ、発熱板10から20cmの距離において導電性パターン40は視認されなかった。また、それ以上の距離からも視認不能であった。これにより、実施例1に係る発熱板10の導電性パターン40が十分に不可視化されていることが確認された。また、実施例1に係る発熱板10の光透過性を、測定波長380nm〜780nmに於ける光透過率の平均値として評価した。分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定したところ、光透過率は66%であった。これにより、実施例1の発熱板10が十分な光透過性を有していることが確認された。
(実施例2)〜(実施例6)及び(比較例1)〜(比較例3)
実施例2〜実施例6及び比較例1〜比較例3の発熱板10は、実施例1の発熱板10と同様の工程で作製し、得られた発熱板10は、導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Dave及び接続要素44の幅Wを表1の如く変更したことを除いて、実施例1に係る発熱板10と同様である。
表1に、実施例1〜6及び比較例1〜3における、導電性パターン40の隣接する2つの開口領域43の重心間の平均距離Dave、導電性パターン40の接続要素44の幅W、目視による導電性パターン40の不可視性、発熱板10の光透過率、及び、発熱板10の光透過性についてまとめたものを示す。目視による導電性パターン40の不可視性は、表1の「不可視性」の欄に、◎、○、×で示されている。「不可視性」の欄において、◎は、発熱板10から20cmの距離で導電性パターン40が視認されなかったことを示し、○は、発熱板10から20cmの距離では導電性パターン40が視認されたが、発熱板10から30cmの距離では導電性パターン40が視認されなかったことを示し、×は、発熱板10から30cmの距離で導電性パターン40が視認されたことを示す。また、発熱板10の光透過性は、表1の「光透過性」の欄に、○、×で示されている。○は、発熱板10の光透過性が65%以上であったことを示し、×は、発熱板10の光透過性が65%未満であったことを示している。
表1から、Daveが50μm以上300μm以下の範囲にある実施例1〜6では、接続要素44の幅Wが1μm以上7μm以下の場合に於いて、Daveが50μm以上300μm以下の範囲にない比較例1〜3と比較して、導電性パターン40の良好な不可視性及び発熱板10の良好な光透過性を両立できていることがわかる。また、Daveが50μm以上150μm以下の範囲にある実施例1〜4では、実施例5及び6と比較して、導電性パターン40のさらに良好な不可視性及び発熱板10のさらに良好な光透過性を両立できていることがわかる。
Figure 0006828239
1 自動車
5 フロントウィンドウ
7 電源
10 発熱板
11 ガラス板
12 ガラス板
13 接合層
14 接合層
15 接続部
16 配線部
20 導電性パターンシート
30 基材
40 導電性パターン
42 分岐点
43 開口領域
44 接続要素
50 参照パターン
52 分岐点
53 開口領域
54 線分
61 導電性金属層(導電層)
62 レジストパターン
63 第1の暗色層
64 第2の暗色層
140 導電性パターン
142 分岐点
143 開口領域
144 接続要素
150 参照パターン
152 分岐点
153 開口領域
154 線分

Claims (4)

  1. 電圧を印加されると発熱する発熱板であって、
    一対のガラス板と、
    前記一対のガラス板の間に配置され、複数の開口領域を画成する導電性パターンと、
    前記導電性パターンと前記一対のガラス板の少なくとも一方との間に配置された接合層と、を備え、
    前記導電性パターンは、2つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する複数の接続要素を含み、
    前記複数の接続要素は、前記2つの分岐点の間を直線分として接続する接続要素を含み、
    前記2つの分岐点の間を直線分として接続する接続要素は、前記複数の接続要素のうちの20%未満であり、
    隣接する2つの前記開口領域の重心間の平均距離は、50μm以上150μm以下(ただし150μmを除く)である、発熱板。
  2. 前記導電性パターンの厚さは、2μm以上である、請求項1に記載の発熱板。
  3. 電圧を印加されると発熱する発熱板に用いられる導電性パターンシートであって、
    基材と、
    前記基材上に設けられ、複数の開口領域を画成する導電性パターンと、を備え、
    前記導電性パターンは、2つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する複数の接続要素を含み、
    前記複数の接続要素は、前記2つの分岐点の間を直線分として接続する接続要素を含み、
    前記2つの分岐点の間を直線分として接続する接続要素は、前記複数の接続要素のうちの20%未満であり、
    隣接する2つの前記開口領域の重心間の平均距離は、50μm以上150μm以下(ただし150μmを除く)である、導電性パターンシート。
  4. 請求項1または2に記載された発熱板を備えた乗り物。
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