以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電性パターンシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電性パターンシート」は、「導電性パターン板(基板)」や「導電性パターンフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
本明細書において、「接合」とは、完全に接合を完了する「本接合」だけでなく、「本接合」の前に仮止めするための、いわゆる「仮接合」をも含むものとする。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図20は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2の発熱板の横断面図である。なお、本実施の形態における発熱板は、合わせガラスと呼ばれる場合もある。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されているものを例示する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この発熱板10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する横断面図を図3に示す。図3に示された例では、発熱板10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置された導電性パターンシート(パターンシート)20と、ガラス板11,12と導電性パターンシート20とを接合する接合層13,14とを有している。なお、図1および図2に示した例では、発熱板10は湾曲しているが、図3および図13〜図20では、図示の簡略化および理解の容易化のために、発熱板10およびガラス板11,12を平板状に図示している。
導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に積層された保持層31と、保持層31上に形成された導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16と、を有している。
図2および図3に示した例では、バッテリー等の電源7から、配線部15および接続部16を介して導電性パターン40に通電し、導電性パターン40を抵抗加熱により発熱させる。導電性パターン40で発生した熱は接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わり、ガラス板11,12が温められる。これにより、ガラス板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、ガラス板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。
ガラス板11,12は、特に自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このようなガラス板11,12の材質としては、ソーダライムガラス、青板ガラス等が例示できる。ガラス板11,12は、可視光領域における透過率が90%以上であることが好ましい。ここで、ガラス板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、ガラス板11,12の一部または全体に着色するなどして、可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、ガラス板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度および光学特性に優れたガラス板11,12を得ることができる。
ガラス板11,12と導電性パターンシート20とは、それぞれ接合層13,14を介して接合されている。このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10のガラス板11,12、接合層13,14や、後述する導電性パターンシート20の基材30の少なくとも1つに機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、偏光機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電性パターンシート20について説明する。導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に積層された保持層31と、保持層31上に形成された導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16とを有している。導電性パターンシート20は、ガラス板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されてもよいし、運転席の正面部分等、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。
シート状の基材30は、保持層31および導電性パターン40を支持する基材として機能する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基板である。図2、図4および図5に示された例では、基材30は、ガラス板11,12と略同一の寸法を有して、略台形状の平面形状を有している。
基材30に含まれる樹脂としては、可視光を透過し、保持層31および導電性パターン40を適切に支持し得るものであればいかなる樹脂でもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂等を挙げることができる。とりわけ、アクリル樹脂やポリ塩化ビニルは、エッチング耐性、耐候性、耐光性に優れており、好ましい。
また、基材30は、導電性パターン40の保持性や、光透過性等を考慮すると、0.03mm以上0.3mm以下の厚みを有していることが好ましい。
保持層31は、基材30と導電性パターン40との接合性を向上し、導電性パターン40を保持する機能を有する。保持層31は、例えば、透明な電気絶縁性の樹脂シートを基材30上に積層して形成することもできるし、基材30上に樹脂材料を塗布することにより形成することもできる。このような保持層31としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、2液硬化性ウレタン接着剤、2液硬化性エポキシ接着剤等を用いることができる。また、後述のように、導電性パターンシート20を接合層13を介してガラス板11に接合(仮接合)した後に基材30を剥離する場合、保持層31に剥離層を含ませるようにしてもよい。また、保持層31の厚さは、光透過性や、基材30と導電性パターン40との接合性等を考慮して、1μm以上100μm以下とすることができる。好ましくは、保持層31の厚さを1μm以上15μm以下とすることができる。
図4〜図6を参照して、導電性パターン40について説明する。図4および図5は、いずれも導電性パターンシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図である。図6は、図5の導電性パターン40の一部を拡大して示す図である。
導電性パターン40は、バッテリー等の電源7から、配線部15および接続部16を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わることで、ガラス板11,12が温められる。
図4に、導電性パターン40のパターン形状の一例を示す。図4に示された例では、一対の接続部16を連結する複数の導電性細線41を有している。図示された例では、複数の導電性細線41は、それぞれ波線状のパターンで一方の接続部16から他方の接続部16へ延在している。複数の導電性細線41は、当該導電性細線41の延在方向と非平行な方向に、互いから離間して配列されている。とりわけ、複数の導電性細線41は、当該導電性細線41の延在方向と直交する方向に配列されている。各導電性細線41は、波線状のパターンの他に、直線状、折れ線状または正弦波状等のパターンで一対の接続部16の間を延びていてもよい。なお、導電性細線41の延在方向と非平行な方向で、隣り合う導電性細線41は、細線、すなわち接続線で接続されていてもよい。また、導電性パターン40のパターン形状が図4に示すようなパターン形状である場合、通常想定される視認距離である導線性細線41から30cm以上離れた距離から十分な不可視性(導電性細線41の存在を視認困難となること)を得る為には、導電性細線41の最大幅Wを2〜7μmとした上で且つ隣り合う導電性細線41の間の距離、すなわちピッチは、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
図5および図6に、導電性パターン40のパターン形状の他の例を示す。図5および図6に示された例では、導電性パターン40の導電性細線41は、多数の開口領域44を画成するメッシュ状のパターンで配置されている。導電性パターン40は、2つの分岐点43の間を延びて、開口領域44を画成する複数の接続要素45を含んでいる。すなわち、導電性パターン40の導電性細線41は、両端において分岐点43を形成する多数の接続要素45の集まりとして構成されている。
図5および図6に示された例では、導電性パターン40の多数の開口領域44は、繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列されている。とりわけ図示された例では、多数の開口領域44が、隣接母点間距離がある上限値および下限値内に分布するランダム2次元分布した母点から生成されるボロノイ図における各ボロノイ領域と一致するように配列されている。言い換えると、導電性パターン40の各接続要素45は、ボロノイ図におけるボロノイ領域の各境界と一致している。また、導電性パターン40の各分岐点43は、ボロノイ図におけるボロノイ点と一致している。なお、このボロノイ図は、例えば特開2012−178556号公報、特開2013−238029号公報等に開示されているような公知の方法によって得られるので、ここではボロノイ図の作成方法についての詳細な説明は省略する。
導電性パターンが、正方格子配列やハニカム配列等の、繰返し規則性(周期的規則性)を有する形状およびピッチで配列された多数の開口領域を有する場合、この多数の開口領域の配列の繰返し規則性に起因して、光芒が視認されることがある。光芒とは、例えば自動車のフロントウィンドウに対向車のヘッドライトの光が入射した場合等、発熱板に対して観察者と反対側から光が入射したときに、発熱板上で筋状等の所定のパターンに当該光が分散されて観察される現象であり、とりわけ導電性パターンの多数の開口領域が繰返し規則性を有する形状およびピッチで配列されている場合に、光芒が目立ちやすくなる傾向がある。そして、この光芒がドライバー等の観察者に視認されることは、観察者による発熱板を介した視認性を悪化させる。一方、図5および図6に示されているような、繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列された多数の開口領域44を有する導電性パターン40によれば、発熱板10に光芒が生じることを効果的に抑制することができる。
図5および図6に示された30の導電性パターン40では、1つの分岐点43から延び出す接続要素45の数の平均が3.0より大きく4.0未満となっている。このように1つの分岐点43から延び出す接続要素45の数の平均が3.0より大きく4.0未満となっている場合、ハニカム配列から規則性を崩したパターンとすることができる。1つの分岐点43から延び出す接続要素45の数の平均を3.0より大きく4.0未満とした場合、開口領域44の配列を不規則化して、開口領域44が繰返規則性(周期性)を持って並べられた方向が安定して存在しないようにすることが可能となり、結果として、発熱板10に光芒が生じることをより効果的に抑制することができる。同時に、接続要素45の配列が、ハニカム配列を基準としていることから、接続要素45が均一に分散され、結果として、発熱ムラを効果的に抑制することも可能となる。
なお、1つの分岐点43から延び出す接続要素45の数の平均は、厳密には、導電性パターン40内に含まれる全ての分岐点43について、延び出す接続要素45の数を調べてその平均値を算出することになる、ただし、実際的には、導電性細線41によって画成された1つあたりの開口領域44の大きさ等を考慮した上で、1つの分岐点43から延び出す接続要素45の数の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ1区画内において、調査すべき対象の数のばらつきの程度を考慮して適当と考えられる数の分岐点43について、各分岐点43から延び出す接続要素45の数を調べてその平均値を算出し、算出された値を当該導電性パターン40についての1つの分岐点43から延び出す接続要素45の数の平均値として取り扱うようにしてもよい。例えば、導電性パターン40の300mm×300mmの領域内に含まれる100箇所の分岐点43から延び出す接続要素45の数を光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて計数して算出した平均値を、当該導電性パターン40についての1つの分岐点43から延び出す接続要素45の数の平均値として取り扱うことができる。
図5および図6に示された導電性パターン40では、導電性パターン40は、4本、5本、6本および7本の接続要素45によって周囲を取り囲まれた開口領域44をそれぞれ含み、導電性パターン40に含まれた開口領域44のうち、6本の接続要素45によって周囲を取り囲まれた開口領域44が最も多くなっている。すなわち、6本の接続要素45によって周囲を取り囲まれた開口領域44が、他の本数の接続要素45によって周囲を取り囲まれた開口領域44と比較して、より多く導電性パターン40に含まれている。
このような導電性パターン40では、開口領域44の配列が、同一形状の正六角形を規則的に配置してなるハニカム配列から、各開口領域の形状および配置の規則性を崩した配列、言い換えると、ハニカム配列を基準として各開口領域の形状および配置をランダム化した配列とすることができる。これにより、開口領域44の配列に明らかな粗密が生じてしまうことを抑制することができ、多数の開口領域44を概ね均一な密度で、すなわち概ね一様に分布させることができる。結果として、発熱ムラを効果的に抑制することができる。また、開口領域44の配列を完全に不規則化すること、すなわち、開口領域44が規則的に配列された方向が存在しないようにすることが、安定して可能となる。したがって、発熱板10に光芒が生じることをさらに効果的に抑制することができる。
なお、1つの開口領域44を取り囲む接続要素45の数は、厳密には、導電性パターン40内に含まれる全ての開口領域44について、当該開口領域44を取り囲む接続要素45の数を調査することになる。ただし、実際的には、導電性細線41によって画成された1つあたりの開口領域44の大きさ等を考慮した上で、1つの開口領域44を取り囲む接続要素45の数の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ1区画内において、調査すべき対象の数のばらつきの程度を考慮して適当と考えられる数の開口領域44について、各開口領域44を取り囲む接続要素45の数を調べ、周囲を取り囲む接続要素45の本数ごとの開口領域44の数を積算するようにしてもよい。例えば、導電性パターン40の300mm×300mmの領域内に含まれる100個の開口領域44のそれぞれを取り囲む接続要素45の数を光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて計数し、周囲を取り囲む接続要素45の本数ごとの開口領域44の数を積算した値を用いて、当該導電性パターン40について、何本の接続要素45によって周囲を取り囲まれた開口領域44が最も多くなっているかを判定することができる。また、導電性パターン40のパターン形状が図5に示すようなメッシュ状である場合、通常想定される視認距離である導線性細線41から30cm以上離れた距離から十分な不可視性(導電性細線41の存在を視認困難となること)を得る為には、導電性細線41の最大幅Wを2〜7μmとした上で且つ隣り合う開口領域44の中心間の距離、すなわちピッチは、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
なお、このような導電性パターン40を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン等の金属、および、ニッケル−クロム合金、真鍮、青銅等のこれら例示の金属の中から選択した二種以上の金属の合金の一以上を例示することができる。
次に、図7を参照して、導電性パターン40の導電性細線41の断面形状について説明する。図7は、図4および図5のA−A線に対応して、導電性パターンシート20の断面を拡大して示す図である。
図7に示された例では、導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に積層された保持層31と、保持層31上に形成された導電性パターン40とを有している。導電性細線41は、導電性細線41の延在方向(長手方向)に直交する断面(図7に図示の如き断面、以下、主切断面ともいう)において、基材30側の面をなす基端面41b、基端面41bと対向する先端面41a、および、先端面41aと基端面41bとを接続する側面41c,41dを有している。なお、本実施の形態では、導電性細線41の先端面41aが、最終的に発熱板10の一対のガラス板11,12の一方に対面する第1面をなし、導電性細線41の基端面41bが、最終的に発熱板10の一対のガラス板11,12の他方に対面する第2面をなしている。
図7に示された導電性パターン40が組み込まれた発熱板、すなわち図3に示された発熱板10では、主切断面における導電性細線41の第1面41aの発熱板10の板面に沿った幅をWa(μm)、主切断面における導電性細線41の第2面41bの発熱板10の板面に沿った幅をWb(μm)、主切断面における導電性細線41の断面積をSa(μm2)としたときに、
0<|Wa−Wb|≦10 ・・・(a)
Sa≧10 ・・・(b)
の関係を満たすようになっている。
また、図7に示された導電性パターンシート20では、主切断面における導電性細線41の基端面41bの導電性パターンシート20のシート面に沿った幅をWd(μm)、主切断面における導電性細線41の先端面41aの導電性パターンシート20のシート面に沿った幅をWc(μm)、主切断面における導電性細線41の断面積をSb(μm2)としたときに、
0<|Wc−Wd|≦10 ・・・(c)
Sb≧10 ・・・(d)
の関係を満たすようになっている。
図7に示された例において、導電性細線41の第1面(先端面)41aと第2面(基端面)41bとは、平行をなしている。導電性細線41の一方の側面41cは、導電性パターンシート20のシート面の法線方向に沿って基材30から離間するにつれて他方の側面41dに近づくようなテーパ面をなしている。また、導電性細線41の他方の側面41dは、導電性パターンシート20のシート面の法線方向に沿って基材30から離間するにつれて一方の側面41cに近づくようなテーパ面をなしている。したがって、導電性細線41は、導電性パターンシート20のシート面の法線方向に沿って基材30から離間するにつれて、その線幅が狭くなるように形成されている。
図3に示された例のように、導電性パターン40が発熱板10に組み込まれた状態においては、導電性細線41の一方の側面41cは、発熱板10の板面の法線方向に沿ってガラス板12から離間するにつれて他方の側面41dに近づくようなテーパ面をなしている。また、導電性細線41の他方の側面41dは、発熱板10の板面の法線方向に沿ってガラス板12から離間するにつれて一方の側面41cに近づくようなテーパ面をなしている。したがって、導電性細線41は、発熱板10の板面の法線方向に沿ってガラス板12から離間するにつれて、その線幅が狭くなるように形成されている。
すなわち、導電性細線41は、その延在方向(長手方向)に直交する断面において、全体として略台形状をなしている。より詳細には、導電性細線41の一方の側面41cは、第1面(先端面)41aにおける導電性パターンシート20のシート面(発熱板10の板面)に平行且つ導電性細線41の延在方向に直交する方向(以下、導電性細線41の幅方向ともいう)に沿った一方側の端部Aと、第2面(基端面)41bにおける導電性細線41の幅方向に沿った一方側の端部Bと、を結ぶ直線L1よりも内側(他方の側面41d側)に凹となる形状を有している。同様に、導電性細線41の他方の側面41dは、第1面(先端面)41aにおける導電性細線41の幅方向に沿った他方側の端部Cと、第2面(基端面)41bにおける導電性細線41の幅方向に沿った他方側の端部Dと、を結ぶ直線L2よりも内側(一方の側面41c側)に凹となる形状を有している。
このような構成からなる導電性パターン40において、導電性細線41の第1面(先端面)41aの幅Wa,Wcを、2μm以上13μm以下とすることができる。また導電性細線41の第2面(基端面)41bの幅Wb,Wdを、5μm以上15μm以下とすることができる。さらに、導電性細線41の高さH、すなわち、発熱板10の板面(導電性パターンシート20のシート面)の法線方向に沿った高さHを、2μm以上15μm以下とすることができる。このような寸法の導電性細線41を有する導電性パターン40によれば、導電性細線41が十分に細線化されているので、導電性パターン40を効果的に不可視化することができる。
なお、図3および図7に示された例では、導電性細線41の第2面41bの幅Wb(導電性細線41の基端面41bの幅Wd)が、導電性細線41の最大幅Wと一致する。
上記の(a)および(b)、または、(c)および(d)の関係を満たす寸法および断面積を有する導電性細線41を含む導電性パターン40によれば、導電性細線41の最大幅Wを小さくしつつ、適切な導電性を得るために十分な断面積を確保することが可能となる。これにより、導電性パターン40を効果的に不可視化しつつ、導電性パターン40の適切な導電性を得ることができる。
一方、(|Wa−Wb|)または(|Wc−Wd|)の値が10μmより大きい場合、適切な導電性を確保する観点から十分な断面積を確保するためには、導電性細線41の最大幅Wを大きくする必要があり、これにより導電性パターン40の不可視性が低下する。また、導電性細線41の最大幅Wを小さくすると、十分な断面積が確保できず、導電性パターン40の電気抵抗が大きくなりすぎ、これにより導電性パターン40の導電性が低下する。すなわち、適切な導電性の確保と導電性パターン40の不可視化とを十分に両立することができない。
なお、導電性細線41の第1面(先端面)41aの幅Wa,Wc、導電性細線41の第2面(基端面)41bの幅Wb,Wd、および、導電性細線41の高さH、の各寸法について、実際的には、導電性細線41によって画成された1つあたりの開口領域44の大きさ等を考慮した上で、各寸法の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ1区画内において、調査すべき対象の寸法のばらつきの程度を考慮して適当と考えられる数の導電性細線41(接続要素45)について、各寸法を測定するようにしてもよい。例えば、導電性パターン40の300mm×300mmの領域内に含まれる導電性細線41(接続要素45)の100箇所について光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて測定した寸法を、当該導電性パターン40についての導電性細線41(接続要素45)の各寸法として取り扱うことができる。
ところで、図3および図7に示された例では、導電性パターン40をなす導電性細線41は、導電性細線41の基材30側に位置して導電性細線41の第2面(基端面)41bを形成する暗色層49と、導電性細線41の基材30と反対側に位置して導電性細線41の第1面(先端面)41aを形成する導電性金属層48と、を有している。言い換えると、導電性金属層48の表面のうち基材30側の面を暗色層49が覆っている。
この暗色層49は、例えば導電性金属層48をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層48をなしていた一部分に、金属酸化物や金属硫化物からなる被膜を形成することにより、設けることができる。導電性金属層48と暗色層49とはエッチング速度が異なっており、この暗色層49により後述するフォトリソグラフィー技術を用いた導電性金属層48および暗色層49のエッチング工程において、導電性金属層48のエッチング速度を適切に調整することができる。また、暗色化処理(黒化処理)により形成された暗色層49は、その表面が粗面化されているため、導電性パターン40と保持層31との密着性を向上させる効果も発揮し得る。
次に、図8〜図13を参照して、発熱板10の製造方法の一例について説明する。図8〜図13は、発熱板10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、金属箔51を準備し、この金属箔51の片面に暗色膜52を形成する。金属箔51は、導電性細線41の導電性金属層48を形成するようになる。また、暗色膜52は、導電性細線41の暗色層49を形成するようになる。金属箔51としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム等の金属、および、ニッケル−クロム合金、真鍮等のこれら例示の金属の中から選択した二種以上の金属の合金の箔を用いることができる。また、金属箔51の厚さは、2μm以上15μm以下とすることができる。暗色膜52は、例えば金属箔51をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、金属箔51をなしていた一部分に、金属酸化物や金属硫化物からなる被膜を形成することにより、設けることができる。
また、基材30を準備し、この基材30の片面に保持層31を形成する。基材30としては、例えば、可視光を透過する熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂等を挙げることができる。とりわけ、アクリル樹脂やポリ塩化ビニルは、エッチング耐性、耐候性、耐光性に優れており、好ましい。保持層31としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、2液硬化性ウレタン接着剤、2液硬化性エポキシ接着剤等を用いることができる。保持層31は、例えば、シート状の材料を基材30上に積層して形成することもできるし、流動性を有する材料を基材30上に塗布することにより形成することもできる。
次に、図8に示すように、暗色膜52が形成された金属箔51と、保持層31が形成された基材30とを、暗色膜52と保持層31が対面するようにして積層する。このとき、暗色膜52の保持層31と接する表面は、暗色化処理(黒化処理)により粗面化されているため、保持層31を構成する樹脂材料が暗色膜52の表面の微細な凹凸に入り込む。したがって、いわゆるアンカー効果により、暗色膜52と保持層31とが強固に接合される。これにより、金属箔51と基材30とが強固に接合される。そして、図9に示されているような、基材30、保持層31、暗色膜52、金属箔51がこの順に積層された積層体が得られる。
次に、図10に示すように、金属箔51上に、レジストパターン55を設ける。レジストパターン55は、形成されるべき導電性パターン40のパターンに対応したパターンとなっている。ここで説明する方法では、最終的に導電性パターン40をなす箇所の上にのみ、レジストパターン55が設けられている。このレジストパターン55は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、図11に示すように、レジストパターン55をマスクとして、暗色膜52を含む金属箔51をエッチング(腐食加工)する。このエッチングにより、暗色膜52を含む金属箔51がレジストパターン55と略同一のパターンにパターニングされる。この結果、パターニングされた金属箔51から、導電性細線41をなすようになる導電性金属層48および暗色層49が形成される。エッチング加工に用いる腐食液は、金属箔51および(暗色膜52が存在する場合は)暗色膜52の材料に応じて公知の腐食液を適宜選択して用いることができる。例えば、金属箔51が銅、暗色膜52が酸化銅(II)(CuO)の場合には、金属箔51および暗色膜52共に塩化第二鉄水溶液を用いるか、あるいは金属箔51部分(銅)は塩化第二鉄水溶液を、また、暗色膜52(酸化銅(II))部分は希塩酸を用いることができる。
ここで、一般的に、金属材料からなる導電性金属層48と比較して、当該金属材料の酸化物や硫化物からなる暗色層49は、エッチングによって浸食され難くなる。このため、サイドエッチングによる側方への浸食は、暗色層49よりも導電性金属層48においてより進行する。また、導電性金属層48内においても、暗色層49の近傍の領域よりも、暗色層49から離間した領域において、サイドエッチングによる側方への浸食が進みやすくなる。このため、エッチング液の選択やエッチング時間の調節等により、基材30側からレジストパターン55側に向けて小さくなるように変化する幅を有する、すなわちテーパ形状の断面形状を有する、導電性細線41を作製することができる。同様に、エッチング液の選択やエッチング時間の調節等により、導電性細線41の第1面(先端面)41aの幅Wa,Wc、および、第2面(基端面)41bの幅Wb,Wdを、所望の幅に形成することができる。
その後、レジストパターン62を除去して、図12に示す導電性パターンシート20が作製される。
最後に、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図13に示された例では、まず、接合層13をガラス板11に、接合層14をガラス板12に、それぞれ仮接着する。次に、ガラス板11,12の接合層13,14が仮接着された側が、それぞれ導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11、導電性パターンシート20、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターンシート20およびガラス板12が、接合層13,14を介して接合され、図3に示す発熱板10が製造される。
以上に説明した本実施の形態の発熱板10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置され、導電性細線41を含む導電性パターン40と、導電性パターン40と一対のガラス板11,12の少なくとも一方との間に配置された接合層13,14と、を備え、導電性パターン40の導電性細線41は、一対のガラス板11,12の一方に対面する第1面41aと、一対のガラス板11,12の他方に対面する第2面41bと、を有し、導電性細線41の第1面41aの幅をWa(μm)、導電性細線41の第2面41bの幅をWb(μm)、導電性細線41の断面積をSa(μm2)としたときに、下記の(a)および(b)の関係を満たす。
0<|Wa−Wb|≦10 ・・・(a)
Sa≧10 ・・・(b)
また、以上に説明した本実施の形態の導電性パターンシート20は、基材30と、基材30上に設けられ、導電性細線41を含む導電性パターン40と、を備え、導電性パターン40の導電性細線41は、基材30側の面をなす基端面41bと、基端面41bと対向する先端面41aと、を有し、導電性細線41の先端面41aの幅をWc(μm)、導電性細線41の基端面41bの幅をWd(μm)、導電性細線41の断面積をSb(μm2)としたときに、下記の(c)および(d)の関係を満たす。
0<|Wc−Wd|≦10 ・・・(c)
Sb≧10 ・・・(d)
このような発熱板10および導電性パターンシート20によれば、導電性細線41の最大幅W(図3および図7に示された例では、Wb,Wd)を小さくしつつ、適切な導電性を得るために十分な断面積を確保することが可能となる。これにより、導電性パターン40を効果的に不可視化しつつ、導電性パターン40の適切な導電性を得ることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図14〜図18を参照して、発熱板10の製造方法の変形例について説明する。図14〜図18は、発熱板10の製造方法の変形例を順に示す断面図である。
まず、導電性パターンシート20を作製する。導電性パターンシート20は、上述の発熱板10の製造方法の一例において説明した方法により作製することができる。
次に、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図14に示された例では、まず、接合層13をガラス板11に仮接着する。次に、ガラス板11の接合層13が仮接着された側が、導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11を、導電性パターンシート20の導電性パターン40の側から重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、図15に示すように、ガラス板11および導電性パターンシート20が、接合層13を介して接合(仮接合または本接合)される。
次に、図16に示されているように、導電性パターンシート20の基材30を除去する。例えば、保持層31が剥離層を含むように形成されている場合、導電性パターンシート20の基材30を、この剥離層を用いて導電性パターン40および接合層13から剥離することができる。
剥離層としては、例えば界面剥離型の剥離層、層間剥離型の剥離層、凝集剥離型の剥離層等を用いることができる。界面剥離型の剥離層としては、基材30との密着性と比べて、導電性パターン40および接合層13との密着性が相対的に低い剥離層を好適に用いることができる。このような層としては、シリコーン樹脂層、フッ素樹脂層、ポリオレフィン樹脂層等が挙げられる。また、導電性パターン40および接合層13との密着性と比べて、基材30との密着性が相対的に低い剥離層を用いることもできる。層間剥離型の剥離層としては、複数層のフィルムを含み、導電性パターン40および接合層13や、基材30との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い剥離層を例示することができる。凝集剥離型の剥離層としては、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた剥離層を例示することができる。
剥離層として、基材30との密着性と比べて、導電性パターン40および接合層13との密着性が相対的に低い層を有する界面剥離型の剥離層を用いた場合、剥離層と導電性パターン40および接合層13との間で剥離現象が生じる。この場合、剥離層が、導電性パターン40および接合層13側に残らないようにすることができる。すなわち、基材30は、剥離層とともに除去される。このようにして基材30および剥離層が除去されると、導電性パターン40の開口領域44内に、接合層13が露出するようになる。
その一方で、剥離層として、導電性パターン40および接合層13との密着性と比べて、基材30との密着性が相対的に低い界面剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層と基材30との間で剥離現象が生じる。剥離層として、複数層のフィルムを有し、導電性パターン40および接合層13や、基材30との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い層間剥離型の剥離層を用いた場合には、当該複数層間で剥離現象が生じる。剥離層として、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた凝集剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層内での凝集破壊による剥離現象が生じる。
最後に、ガラス板11、接合層13および導電性パターン40、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図17に示された例では、まず、接合層14をガラス板12に仮接着する。次に、ガラス板12の接合層14が仮接着された側が、導電性パターン40および接合層13に対向するようにして、ガラス板11、導電性パターン40および接合層13、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターン40、ガラス板12が、接合層13,14を介して接合(本接合)され、図18に示す発熱板10が製造される。
図18に示された発熱板10によれば、発熱板10が基材30を含まないようにすることができる。これにより、発熱板10全体の厚みを小さくすることができる。また、発熱板10内の界面数を低減することができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下を抑制することができる。
次に、図19および図20を参照して、発熱板10の製造方法の他の変形例について説明する。図19および図20は、発熱板10の製造方法の他の変形例を順に示す断面図である。
まず、上述の発熱板10の製造方法の変形例と同様の工程により、ガラス板11および導電性パターンシート20が、接合層13を介して接合(仮接合)されたものを作製し、ここから基材30を除去する。すなわち、上述の発熱板10の製造方法の変形例で図16を参照して説明した、ガラス板11、導電性パターン40および接合層13が積層されたものを得る。
次に、図19に示すように、ガラス板11、接合層13および導電性パターン40、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11と導電性パターン40とが接合層13を介して接合(本接合)され、且つ、ガラス板11とガラス板12とが接合層13を介して接合(本接合)される。そして、図20に示す発熱板10が製造される。
図20に示された発熱板10によれば、発熱板10が基材30および接合層14を含まないようにすることができる。これにより、発熱板10全体の厚みをさらに小さくすることができる。また、発熱板10内の界面数をさらに低減することができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下をさらに効果的に抑制することができる。加えて、導電性パターン40とガラス板12とが接触しているので、導電性パターン40によるガラス板12の加熱効率を上げることができる。
上述した実施の形態では、導電性パターン40に含まれる複数の接続要素45は、それぞれ発熱板10の板面の法線方向から見て直線状(直線分)をなしていたが、これに限らず、複数の接続要素45のうちの少なくとも一部が、発熱板10の板面の法線方向から見て直線状以外の形状、例えば曲線状または折れ線状の形状を有してもよい。具体的には、円弧状、放物線状、波線状、ジグザグ状、曲線と直線との組み合わせ等の形状を有してもよい。とりわけ、2つの分岐点43の間を直線(直線分)として接続する接続要素45が、複数の接続要素45のうちの20%未満である、すなわち、複数の接続要素45のうちの80%以上が直線(直線分)以外の形状を有している、ことが好ましい。
このような、直線(直線分)以外の形状の接続要素45を含む導電性パターン40によれば、曲線状、折れ線状等の形状を有する接続要素45の側面に入射した光は、当該側面で乱反射する。これにより、当該接続要素45の側面に一定の方向から入射した光(対向車のヘッドライトの光や太陽光等)が、その入射方向に対応して当該側面で一定の方向に反射することが抑制される。したがって、この反射光がドライバー等の観察者に視認されて、接続要素45を有する導電性パターン40が観察者に視認されることを、抑制することができる。結果として、導電性パターン40が視認されることによる、観察者による窓ガラスを介した視認性の悪化を抑制することができる。
また、上述した実施の形態では、導電性パターン40は、ボロノイ図に基づいて決定された、すなわち多数の開口領域44が繰返し規則性(周期的規則性)を有しない形状およびピッチで配列された、パターンを有しているが、このようなパターンに限られず、導電性パターン40は、三角形、四角形、六角形等の同一形状の開口領域が規則的に配置されたパターン、異形状の開口領域が規則的に配置されたパターン等、種々のパターンを用いてもよい。
発熱板10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道車両、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓あるいは扉の透明部分、建物の窓または扉、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の収納乃至保管設備の窓あるいは扉の透明部分に用いてもよい。
さらに、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓あるいは扉の透明部分等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。