JP6823837B2 - 中間部材及び発熱板 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性パターンシートを有する発熱板、導電性パターンシートおよび導電性パターンシートを有する中間部材に関する。
従来、車両のフロントウィンドウやリアウィンドウ等の窓ガラスに用いるデフロスタ装置として、窓ガラス全体にタングステン線等からなる電熱線を配置したものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。この従来技術では、窓ガラス全体に配置された電熱線に通電し、その抵抗加熱により窓ガラスを昇温させて、窓ガラスの曇りを取り除いて、または、窓ガラスに付着した雪や氷を溶かして、乗員の視界を確保することができる。
特開2013−173402号公報 特開平8−72674号公報
従来技術のデフロスタ装置では、一対のガラス板の間に、接合層および電熱線を挟み込んで加熱圧着し、発熱板としていた。例えば、別工程で製造されたタングステン線等からなる電熱線を一方のガラス板上に配置し、接合層を介して一方のガラス板と他方のガラス板とを貼り合せ、加熱圧着していた。しかし、別工程で製造された電熱線を配置する方法では、電熱線の配置パターンは直線や波線等の簡単な形状に限られ、複雑な形状に配置することは難しかった。
また、車両のフロントウィンドウやリアウィンドウ等の窓ガラスには、空気抵抗の低減や意匠性の向上等のために、湾曲しているものが多い。この湾曲した窓ガラスに電熱線を備えたデフロスタ装置を設ける場合、一対の湾曲したガラス板の間に、電熱線を挟み込んで発熱板とする必要がある。そしてこの場合、一対のガラス板の湾曲形状に沿って電熱線も湾曲させられることになる。平面状のパターンで形成された電熱線を湾曲させようとすると、電熱線が部分的に引き伸ばされ、その箇所で大きな応力を生じる。これにより、湾曲させられた電熱線に亀裂や断線等が生じ、結果として、デフロスタ装置において、部分的に曇りを取りきれない等の問題が引き起こされることがあった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、電熱線をなす導電性パターンのパターン設計の自由度を向上させることを目的とする。また、湾曲した発熱板に用いた際の断線等の発生を防止することを目的とする。
本発明による発熱板は、
一対のガラス板と、
前記一対のガラス板の間に配置された導電性パターンシートと、
各ガラス板と前記導電性パターンシートとの間に配置され且つ当該ガラス板と前記導電性パターンシートとを接合する接合層と、を備え、
前記導電性パターンシートは、シート状の基材と、前記基材上に設けられた導電性パターンと、を有し、
前記導電性パターンは、導電性ペーストからなる導電性細線を含む。
本発明による発熱板において、前記導電性細線の長手方向に直交する断面において、前記導電性細線の幅は、基材に接続する基端部から、前記基材から最も離間する先端部に向けて、漸次細くなってもよい。
本発明による導電性パターンシートは、
シート状の基材と、
前記基材上に設けられた導電性パターンと、を備え、
前記導電性パターンは、導電性ペーストからなる導電性細線を含む。
本発明による中間部材は、
上述の導電性パターンシートと、
前記導電性パターンシート上に設けられた平坦化層と、
前記平坦化層が設けられている側から前記導電性パターンシートに積層された熱可塑性樹脂シート層と、を備える。
本発明による中間部材において、前記平坦化層は、前記導電性パターンをなす隣り合う2つの前記導電性細線の間となる領域を少なくとも部分的に埋めていてもよい。
本発明によれば、電熱線をなす導電性パターンのパターン設計の自由度を向上させることができる。さらに、湾曲した発熱板に用いた際の断線等の発生を防止することができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、発熱板を備えた乗り物を概略的に示す斜視図である。特に図1では、乗り物の例として発熱板で構成されたフロントウィンドウを備えた自動車を概略的に示している。 図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図である。 図3は、図2の発熱板の横断面図である。 図4は、図3の発熱板を構成する各部材の積層前の状態を示す図である。 図5は、導電性パターンシートをそのシート面の法線方向から見た平面図であって、導電性パターンの一例を示す平面図である。 図6は、導電性パターンシートをそのシート面の法線方向から見た平面図であって、導電性パターンの他の例を示す平面図である。 図7は、図5のVII−VII線に対応する断面図であって、導電性細線の断面形状の一例を示す図である。 図8は、導電性パターンシートの製造方法の一例を説明するための図である。 図9は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図10は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図11は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図12は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図13は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図14は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。 図15は、発熱板の製造方法の変形例を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電性パターンシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電性パターンシート」は、「導電性パターン板(基板)」や「導電性パターンフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図15は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2の発熱板の横断面図であり、図4は、図3の発熱板を構成する各部材の積層前の状態を示す図である。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が発熱板10で構成されている例を説明する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この発熱板10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の発熱板10のIII−III線に対応する横断面図を図3に示す。発熱板10は、一対の湾曲したガラス板11,12と、一対の湾曲したガラス板11,12の間に配置された導電性パターンシート20と、ガラス板11,12と導電性パターンシート20とを接合する接合層13,14とを有している。なお、図1および図2に示した例では、発熱板10は湾曲しているが、図3、図11、図14および図15では、図示の簡略化および理解の容易化のために、発熱板10およびガラス板11,12を平板状に図示している。
導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に形成された導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16とを有している。
図2および図3に示した例では、バッテリー等の電源7から、配線部15および接続部16を介して導電性パターン40に通電し、導電性パターン40を抵抗加熱により発熱させる。導電性パターン40で発生した熱は接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わり、ガラス板11,12が温められる。これにより、ガラス板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、ガラス板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。
一例として、この発熱板10を作製するには、図4に示すように、湾曲したガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20、接合層14、湾曲したガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧することで、湾曲したガラス板11、導電性パターンシート20および湾曲したガラス板12が、接合層13,14により接合される。
ガラス板11,12は、特に自動車のフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このようなガラス板11,12の材質としては、ソーダライムガラス、青板ガラス等が例示できる。ガラス板11,12は、可視光領域における透過率が90%以上であることが好ましい。ここで、ガラス板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、ガラス板11,12の一部または全体に着色するなどして、可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、ガラス板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度および光学特性に優れたガラス板11,12を得ることができる。
ガラス板11,12と導電性パターンシート20とは、それぞれ接合層13,14を介して接合されている。このような接合層13,14としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層13,14は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層13,14の厚みは、それぞれ0.15mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
なお、発熱板10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、1つの機能層が2以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、発熱板10のガラス板11,12、接合層13,14、後述する導電性パターンシート20の基材30、後述する平坦化層18、熱可塑性樹脂シート層19の少なくとも1つに機能を付与するようにしてもよい。発熱板10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、偏光機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、導電性パターンシート20について説明する。導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に設けられた導電性パターン40と、導電性パターン40に通電するための配線部15と、導電性パターン40と配線部15とを接続する接続部16とを有している。導電性パターンシート20は、ガラス板11,12と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されてもよいし、運転席の正面部分等、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。
シート状の基材30は、導電性パターン40を支持する基材として機能する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基板である。
基材30に含まれる樹脂としては、可視光を透過する樹脂であればいかなる樹脂でもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、AS樹脂等を挙げることができる。とりわけ、アクリル樹脂やポリ塩化ビニルは、エッチング耐性、耐候性、耐光性に優れており、好ましい。
また、基材30は、導電性パターン40の保持性や、光透過性等を考慮すると、0.03mm以上0.15mm以下の厚みを有していることが好ましい。
図5および図6を参照して、導電性パターン40について説明する。図5および図6は、いずれも導電性パターンシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図である。図5は、導電性パターン40の配置パターンの一例を示す図である。図6は、導電性パターン40の配置パターンの他の例を示す図である。
導電性パターン40は、バッテリー等の電源7から、配線部15および接続部16を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱が接合層13,14を介してガラス板11,12に伝わることで、ガラス板11,12が温められる。
図5に示された例では、導電性パターン40は、導電性細線41が多数の開口43を画成するメッシュ状のパターンで配置されている。導電性パターン40は、2つの分岐点42の間を延びて、開口43を画成する複数の接続要素44を含んでいる。すなわち、導電性パターン40の導電性細線41は、両端において分岐点42を形成する多数の接続要素44の集まりとして構成されている。とりわけ図示された例では、分岐点42において、3つの接続要素44が等角度で接続されることにより、6つの接続要素44で囲まれた同一形状のハニカム状の開口43が多数画成されている。
図示された例では、導電性パターン40は、同一形状のハニカム状の開口43が規則的に配置されたメッシュパターンを有しているが、このようなメッシュパターンに限られず、三角形、矩形等の同一形状の開口43が規則的に配置されたメッシュパターン、異形状の開口43が規則的に配置されたメッシュパターン、ボロノイメッシュのような、異形状の開口43が不規則的に配置されたメッシュパターン等、種々のメッシュパターンを用いることができる。
さらに、導電性パターン40のパターンは、メッシュパターンに限られない。図6に示された導電性パターン40は、一対の接続部16を連結する複数の導電性細線41を有している。図示された例では、複数の導電性細線41は、それぞれ波線状のパターンで一方の接続部16から他方の接続部16へ延在している。複数の導電性細線41は、当該導電性細線41の延在方向と非平行な方向に、互いから離間して配列されている。とりわけ、複数の導電性細線41は、当該導電性細線41の延在方向と直交する方向に配列されている。これにより、隣接する2つの導電性細線41の間には、間隙45が形成される。各導電性細線41は、波線状のパターンの他に、直線状、折れ線状または正弦波状等のパターンで一対の接続部16の間を延びていてもよい。
このような導電性パターン40の導電性細線41は、図7に示されているように、導電性粉末51とバインダー樹脂52とを含む導電性ペースト50で形成されている。
導電性ペースト50のバインダー樹脂52としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。一方、導電性ペースト50の導電性粉末51としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステンおよびこれらの合金等の金属粉末、表面が金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステンおよびこれらの合金等の金属で被覆された樹脂または非金属無機物の粉末、グラファイト粉末、カーボンブラック粉末等を好ましく挙げることができる。また、導電性粉末51の形状は、球状、回転楕円体状、多面体状、鱗片状、円盤状、繊維状等の種々の形状から選択され得る。なお、導電性ペースト50が、複数の材料からなる導電性粉末51や、複数の形状からなる導電性粉末51を含むようにしてもよい。
導電性ペースト50中の導電性粉末51の粒径は、平均粒径で0.5μm以上5μm以下とすることができる。この平均粒径は、光学顕微鏡法または透過型電子顕微鏡法によって撮影した導電性粉末51の直径の算術平均値であり、JIS Z 8901:2006(試験用紛体及び試験用粒子)の附属書に規定される方法により測定した算術平均粒子径である。また、導電性ペースト50中の導電性粉末51の含有量は、導電性粉末51の導電性や粉末の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性ペースト50の固形分100重量部のうち、導電性粉末51を50重量部以上98重量部以下の範囲で含有させることができる。
導電性ペースト50に含まれる、金属で形成された導電性粉末または金属で被覆された導電性粉末は、比較的高い反射率を呈する。そして、金属で形成された導電性粉末または金属で被覆された導電性粉末を含む導電性ペースト50で形成された、導電性パターン40の導電性細線41によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、乗員の視界を妨げる場合がある。また、外部から導電性パターン40が視認されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、導電性ペースト50中に暗色材料を含有させてもよい。暗色材料としては、黒色等の顔料または染料、グラファイト粉末、カーボンブラック粉末等を用いることができる。導電性ペースト50の導電性を確保する観点から、導電性のグラファイト粉末、カーボンブラック粉末を用いることが好ましい。
このような、導電性ペースト50で形成された導電性パターン40によれば、導電性パターン40を、後述の凹版印刷等の公知の印刷技術を用いて形成することができる。したがって、導電性パターンのパターン設計の自由度を向上させることができる。また、導電性ペースト50で形成された導電性パターン40は柔軟性を有するので、一対の湾曲したガラス板の間に導電性パターン40が挟み込まれ、これにより導電性パターン40が部分的に引き伸ばされた場合でも、導電性パターン40に亀裂や断線等が生じることを効果的に防止することができる。さらに、導電性ペースト50で形成された導電性パターン40は、金属のみからなる導線と比べて高い抵抗を有するので、導電性パターン40をなす導電性細線41の線幅を製造が困難な細いものとすることなく、導電性パターン40を十分に発熱させることができる。
図7は、図5のVII−VII線に対応する断面図であって、導電性細線41の断面形状の一例を示す図である。シート状の基材30上に、導電性パターン40をなす複数の導電性細線41が形成されている。図示された例では、導電性細線41は、基材30に接続する基端部41bと、基材30から最も離間する先端部41aと、を有している。図7に示されている断面であって、導電性細線41の延在方向(長手方向)に直交する断面(以下、単に「主切断面」とも呼ぶ)において、基材30のシート面に沿った導電性細線41の幅は、基材30から離間するにつれて漸次細くなっている。言い換えると、主切断面において、導電性細線41の幅は、基端部41bから先端部41aに向けて漸次細くなっている。なお、ここでいう「漸次細くなる」とは、図7に示されているような、導電性細線41の幅が、基端部41bから先端部41aに向けて常に細くなるように変化し続けることのみならず、一部の領域において幅が変化しない場合や幅が太くなる場合も含む。すなわち、導電性細線41の主切断面を全体的かつ大局的に見た場合において、主切断面における導電性細線41の幅が、基端部41bから先端部41aに向けて細くなるように変化しているものは、ここでいう「漸次細くなる」に含まれる。
このような断面形状を有する導電性細線41によれば、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20をこの順に積層し、ガラス板11と導電性パターンシート20とを接合層13を介して接合する際に、導電性細線41を接合層13に確実に埋め込むことができ、導電性パターンシート20と接合層13との界面に気泡が残留することを効果的に防止することができる。
主切断面における導電性細線41の基端部41bの幅W、すなわち、基材30のシート面に沿った幅Wは5μm以上20μm以下とし、主切断面における導電性細線41の高さH、すなわち、基材30のシート面への法線方向に沿った高さHは5μm以上20μm以下とすることが好ましい。このような寸法の導電性細線41によれば、その導電性細線41が十分に細線化されているので、導電性パターン40を効果的に不可視化することができる。
上述の導電性ペースト50で形成された導電性パターン40(導電性細線41)を有する導電性パターンシート20は、例えば、凹版印刷技術を用いることにより作製され得る。図8を参照して、凹版印刷技術を用いた導電性パターンシート20の作製方法の一例について説明する。
図8に示すように、導電性パターン形成装置60は、形成されるべき導電性パターン40(導電性細線41)に対応したパターンで凹部63が形成された版面62を有する版(いわゆる凹版)61と、版61の版面62に向けて基材30を押圧するニップロール64と、版61から剥離された基材30を搬送する搬送ロール65と、版61の版面62に導電性ペースト50を供給するピックアップロール66と、版面62上に付着した余分な導電性ペースト50を掻き取るドクターブレード68と、を有している。図8に示す例において、版61は、その外周面に版面62が形成されたロール状の版として形成されている。また、ピックアップロール66の外周面の少なくとも一部分は、導電性ペースト50を収容する容器67内に配置され、導電性ペースト50に浸されている。
このような導電性パターン形成装置60を用いることにより、導電性パターン40を形成する工程は、版61の凹部63内に導電性パターン40を形成するようになる導電性ペースト50を充填する工程と、基材30を版61の版面62に押圧して、基材30を凹部63内に充填された導電性ペースト50に密着させる工程と、導電性ペースト50を基材30とともに版61の版面62から離型する工程と、を含むようになる。
以下、各工程について説明する。まず、基材30を準備する。図8に示すように、準備された基材30は、その後、導電性パターン形成装置60へと搬送される。このとき、基材30の版面62と対向する面上にプライマー層が形成されていてもよい。このようなプライマー層が形成された基材30によれば、基材30と導電性ペースト50との密着性を効果的に向上させることができる。
基材30の準備工程に並行して、ロール状版61の版面62に形成された凹部63内に、導電性パターン40を形成するようになる導電性ペースト50が充填される。図8に示された方法においては、ピックアップロール66が回転することにより、容器67に収容されていた流動性を有する導電性ペースト50がピックアップロール66の外周面に付着する。ピックアップロール66の外周面に付着した導電性ペースト50は、その後、ピックアップロール66の外周面に対面するロール状版61の版面62に転写される。版面62の移動経路に沿ったピックアップロール66の下流側には、ドクターブレード68が配置されている。このドクターブレード68によって、版面62の凹部63以外に付着した導電性ペースト50は掻き取られ、版面62上の凹部63内のみに導電性ペースト50が存在するようになる。なお、上述したように、導電性ペースト50のバインダー樹脂52としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が用いられ得、硬化状態でなく流動性を有した状態で版61の版面62に供給される。
次に、凹部63内のみに導電性ペースト50が充填された版面62に対向するようにして、上述した基材30が、版61とニップロール64との間に送り込まれる。基材30は、ニップロール64により版61の版面62に向けて押圧される。基材30の版面62と対向する面上にプライマー層が形成されている場合には、基材30のプライマー層が版61の版面62に向けて押圧されることになる。
その後、基材30は、版61の版面62に接触したまま、版61の回転にともなって、
版面62とともに移動する。基材30の版面62と対向する面上にプライマー層が形成されている場合、この移動の間に、加熱や電離放射線の照射等により当該プライマー層を硬化させることができる。
次に、版61の版面62の移動経路に沿った下流側で、基材30が版61の版面62から剥離される。このとき、導電性ペースト50は、基材30とともに凹部63から抜き出される。
その後、図示しない硬化装置によって基材30上の導電性ペースト50が硬化される。以上のようにして、導電性ペースト50で形成された導電性パターン40(導電性細線41)を有する導電性パターンシート20が作製される。
以上のような、凹版印刷を用いた導電性パターンシート20の製造方法によれば、版61の版面62に形成される凹部63の形状を、形成されるべき導電性パターン40に対応したパターンとすることにより、導電性パターン40を精度よく形成することができる。したがって、導電性パターンのパターン設計の自由度を向上させることができる。また、基材30をロール状の巻体から導電性パターン形成装置60へ供給し、作製された導電性パターンシート20を巻取る、いわゆるロール・ツー・ロール方式で導電性パターンシート20を作製することができる。したがって、製造効率の向上と製造コストの低減が可能となる。
また、このような工程を経て得られた導電性パターンシート20においては、凹版印刷工程とその後の硬化工程との組み合わせにより、図7に示された断面形状を有する導電性細線41、すなわち、主切断面において基端部41bから先端部41aに向けて幅が漸次狭くなっていく導電性細線41が、基材30上に形成され得る。
次に、図3および図9〜図11を参照して、発熱板10の製造方法の一例について説明する。図9〜図11は、発熱板10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、図9に示すように、基材30を準備する。基材30は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性の基材である。
次に、図10に示すように、基材30上に導電性ペースト50により導電性パターン40(導電性細線41)を形成して、導電性パターンシート20を作製する。この導電性パターン40は、図8を参照して説明した、上述の導電性パターン形成装置60を用いた凹版印刷により形成することができる。なお、導電性パターン40は、上述の凹版印刷に限らず、スクリーン印刷等、他の公知の印刷方法を用いて形成されてもよい。
その後、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図11に示された例では、ます、接合層13をガラス板11に、接合層14をガラス板12に、それぞれ仮接着する。次に、ガラス板11,12の接合層13,14が仮接着された側が、それぞれ導電性パターンシート20に対向するようにして、接合層13が仮接着されたガラス板11、導電性パターンシート20、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。これにより、ガラス板11、導電性パターンシート20およびガラス板12が、接合層13,14を介して接合され、図3に示す発熱板10が製造される。
次に、図9、図10および図12〜図15を参照して、発熱板10の製造方法の変形例について説明する。図12〜図15は、発熱板10の製造方法の変形例を順に示す断面図である。
まず、導電性パターンシート20を作製する。導電性パターンシート20は、上述の発熱板10の製造方法の一例において、図9および図10を参照して説明した方法により作製することができる。
次に、図12に示されているように平坦化層18を形成する。平坦化層18は、導電性パターンシート20における、基材30の導電性パターン40側の面30aと導電性パターン40をなす導電性細線41とで形成される凹凸を平坦化し、後述の熱可塑性樹脂シート層19の形成工程において、熱可塑性樹脂シート層19と導電性パターンシート20との間に気泡が残存することを防止する機能を有する。この平坦化層18は、例えば、流動性を有する樹脂を、導電性パターンシート20の導電性パターン40が形成されている側の面上に配置し、導電性パターン40をなす隣り合う2つの導電性細線41の間となる領域(図5および図6に示された例では開口43または間隙45)を少なくとも部分的に埋めるように充填する。この充填された樹脂が平坦化層18をなす。平坦化層18は充填された後に、加熱や電離放射線の照射等により、乾燥、硬化または仮硬化されてもよい。
とりわけ、導電性パターン40をなす隣り合う2つの導電性細線41の間となる領域を、平坦化層18をなす樹脂で完全に埋め、平坦化層18の厚さと導電性細線41の高さHとが等しくなるようにすることができる。言い換えると、平坦化層18の上面(基材30と反対側の面)と、導電性細線41の先端部41aと、が面一となるようにすることができる。また、これに限らず、平坦化層18の厚さが導電性細線41の高さHよりも大きくてもよい。すなわち、樹脂が導電性細線41の上部を覆って、樹脂の上面が平坦化されて平坦化層18とされていてもよい。さらに、平坦化層18の厚さが導電性細線41の高さHよりも小さくなっていてもよい。すなわち、平坦化層18が、導電性パターン40をなす隣り合う2つの導電性細線41の間となる領域を部分的に埋めるように形成されてもよい。導電性細線41の高さHよりも小さい厚さを有する平坦化層18によっても、平坦化層18の上面と導電性細線41の先端部41aとの間の高さの差は、平坦化層18を形成する前の基材30の面30aと導電性細線41の先端部41aとの間の高さの差に比べて小さくなる。したがって、熱可塑性樹脂シート層19と導電性パターンシート20との間の気泡の残存を抑制し得る。
このような平坦化層18を形成する樹脂としては、可視光透過性を有する種々の樹脂材料を用いることができる。典型的な材料としては、ポリビニルブチラール(PVB)を例示することができる。
次に、図13に示されているように、平坦化層18が設けられた側から、導電性パターンシート20に熱可塑性樹脂シートを積層して、導電性パターンシート20と、導電性パターンシート20上に設けられた平坦化層18と、平坦化層18が設けられている側から導電性パターンシート20に積層された熱可塑性樹脂シート層19と、を有する中間部材70を作製する。
その後、ガラス板11、中間部材70、接合層14、ガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。図14に示された例では、ます、接合層14をガラス板12に仮接着する。次に、ガラス板11が中間部材70の熱可塑性樹脂シート層19に対向し、ガラス板12の接合層14が仮接着された側が中間部材70の基材30に対向するようにして、ガラス板11、中間部材70、接合層14が仮接着されたガラス板12をこの順に重ね合わせ、加熱・加圧する。この際、熱可塑性樹脂シート層19は、ガラス板11と導電性パターンシート20とを接合する接合層13として機能する。また、中間部材70が、完全に硬化していない平坦化層18を有する場合、この平坦化層18もガラス板11と導電性パターンシート20とを接合する接合層13として機能し得る。以上により、図15に示す発熱板10が製造される。
以上のように、本実施の形態における発熱板10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置された導電性パターンシート20と、各ガラス板11,12と導電性パターンシート20との間に配置され且つガラス板11,12と導電性パターンシート20とを接合する接合層13,14と、を備え、導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に設けられた導電性パターン40と、を有し、導電性パターン40は、導電性ペースト50からなる導電性細線41を含んでいる。また、本実施の形態における導電性パターンシート20は、シート状の基材30と、基材30上に設けられた導電性パターン40と、を備え、導電性パターン40は、導電性ペースト50からなる導電性細線41を含んでいる。このような発熱板10および導電性パターンシート20によれば、導電性パターン40を、上述の凹版印刷等の公知の印刷技術を用いて形成することができる。したがって、導電性パターンのパターン設計の自由度を向上させることができる。また、導電性ペースト50で形成された導電性パターン40は柔軟性を有するので、一対の湾曲したガラス板の間に導電性パターン40が挟み込まれ、これにより導電性パターン40が部分的に引き伸ばされた場合でも、導電性パターン40に亀裂や断線等が生じることを効果的に防止することができる。さらに、導電性ペースト50で形成された導電性パターン40は、金属のみからなる導線と比べて高い抵抗を有するので、導電性パターン40をなす導電性細線41の線幅を製造が困難な細いものとすることなく、導電性パターン40を十分に発熱させることができる。
また、本実施の形態における発熱板10は、導電性細線41の長手方向に直交する断面において、導電性細線41の幅が、基材30に接続する基端部41bから、基材30から最も離間する先端部41aに向けて、漸次細くなっている。このような断面形状を有する導電性細線41を含む発熱板10によれば、ガラス板11、接合層13、導電性パターンシート20をこの順に積層し、ガラス板11と導電性パターンシート20とを接合層13を介して接合する際に、導電性細線41を接合層13により確実に埋め込むことができ、導電性パターンシート20と接合層13との界面に気泡が残留することを効果的に防止することができる。
また、本実施の形態における中間部材70は、上述の導電性パターンシート20と、導電性パターンシート20上に設けられた平坦化層18と、平坦化層18が設けられている側から導電性パターンシート20に積層された熱可塑性樹脂シート層19と、を備えている。また、本実施の形態における中間部材70は、平坦化層18が、導電性パターン40をなす隣り合う2つの導電性細線41の間となる領域を少なくとも部分的に埋めている。このような中間部材によれば、導電性パターンシート20における、基材30の導電性パターン40側の面30aと導電性パターン40をなす導電性細線41とで形成される凹凸を平坦化し、熱可塑性樹脂シート層19の形成工程において、熱可塑性樹脂シート層19と導電性パターンシート20との間に気泡が残存することを効果的に防止することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
例えば、導電性パターンシート20の導電性パターン40は、基材30のガラス板11側の面上ではなく、ガラス板12側の面上に設けてもよい。また、基材30のガラス板11側およびガラス板12側の両面に設けてもよい。
発熱板10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓に用いてもよい。
さらに、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 自動車
5 フロントウィンドウ
7 電源
10 発熱板
11 ガラス板
12 ガラス板
13 接合層
14 接合層
15 接続部
16 配線部
18 平坦化層
19 熱可塑性樹脂シート層
20 導電性パターンシート
30 基材
40 導電性パターン
41 導電性細線
42 分岐点
43 開口
45 間隙
50 導電性ペースト
51 導電性粉末
52 バインダー樹脂
60 導電性パターン形成装置
61 版
62 版面
63 凹部
64 ニップロール
65 搬送ロール
66 ピックアップロール
67 容器
68 ドクターブレード
70 中間部材

Claims (2)

  1. シート状の基材と、導電性ペーストからなる導電性細線を含み前記基材上に設けられた導電性パターンと、を有する導電性パターンシートと、
    前記導電性パターンをなす隣り合う2つの前記導電性細線の間となる領域を少なくとも部分的に埋める平坦化層と、
    前記平坦化層上に配置された熱可塑性樹脂シート層と、を備え、
    前記平坦化層は、ポリビニルブチラールを含み、
    前記平坦化層の厚さと前記導電性細線の高さとが等しい、又は、前記平坦化層の厚さは前記導電性細線の高さよりも小さい、中間部材。
  2. 第1のガラス板と、
    第2のガラス板と、
    前記第1のガラス板と前記第2のガラス板との間に配置された導電性パターンシートと、
    前記第1のガラス板と前記導電性パターンシートとを接合する接合層と、を備え、
    前記導電性パターンシートは、シート状の基材と、導電性ペーストからなる導電性細線を含み前記基材上に設けられた導電性パターンと、を有し、
    前記接合層は、前記導電性パターンをなす隣り合う2つの前記導電性細線の間となる領域を少なくとも部分的に埋める平坦化層と、前記平坦化層と前記第1のガラス板との間に配置された熱可塑性樹脂シート層と、を含み、
    前記平坦化層は、ポリビニルブチラールを含み、
    前記平坦化層の厚さと前記導電性細線の高さとが等しい、又は、前記平坦化層の厚さは前記導電性細線の高さよりも小さい、発熱板。
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