JPWO2020080205A1 - 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた光学レンズまたはフィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた光学レンズまたはフィルム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020080205A1
JPWO2020080205A1 JP2020553098A JP2020553098A JPWO2020080205A1 JP WO2020080205 A1 JPWO2020080205 A1 JP WO2020080205A1 JP 2020553098 A JP2020553098 A JP 2020553098A JP 2020553098 A JP2020553098 A JP 2020553098A JP WO2020080205 A1 JPWO2020080205 A1 JP WO2020080205A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
thermoplastic resin
resin composition
structural unit
carboxylic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020553098A
Other languages
English (en)
Inventor
宗憲 白武
宗憲 白武
健太朗 石原
健太朗 石原
晃司 廣瀬
晃司 廣瀬
慎也 池田
慎也 池田
加藤 宣之
宣之 加藤
近藤 光輝
光輝 近藤
章子 鈴木
章子 鈴木
健輔 大島
健輔 大島
正大 神田
正大 神田
平川 学
学 平川
勇太 中西
勇太 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Publication of JPWO2020080205A1 publication Critical patent/JPWO2020080205A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L69/00Compositions of polycarbonates; Compositions of derivatives of polycarbonates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/64Polyesters containing both carboxylic ester groups and carbonate groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/66Polyesters containing oxygen in the form of ether groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G64/02Aliphatic polycarbonates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G64/16Aliphatic-aromatic or araliphatic polycarbonates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G64/20General preparatory processes
    • C08G64/22General preparatory processes using carbonyl halides
    • C08G64/226General preparatory processes using carbonyl halides and alcohols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L67/00Compositions of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L67/02Polyesters derived from dicarboxylic acids and dihydroxy compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L69/00Compositions of polycarbonates; Compositions of derivatives of polycarbonates
    • C08L69/005Polyester-carbonates
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
    • G02B1/041Lenses

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Eyeglasses (AREA)

Abstract

本発明によれば、下記式(1)で表される構成単位を含む熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、前記熱可塑性樹脂の末端構造が、下記式(A)または式(B)で表される構造を含み、前記熱可塑性樹脂におけるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜50,000である、熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。【化1】(式(1)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)【化2】(式(A)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)【化3】

Description

本発明は、新規な熱可塑性樹脂組成物、およびそれにより形成される光学レンズまたはフィルムに関するものである。また、本発明の好ましい態様は、アッベ数、屈折率、比熱容量、ガラス転移温度(耐熱性)、色相、およびヘーズの少なくとも一つに優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
カメラ、フィルム一体型カメラ、ビデオカメラ等の各種カメラの光学系に使用される光学素子の材料として、光学ガラスあるいは光学用透明樹脂が使用されている。光学ガラスは、耐熱性や透明性、寸法安定性、耐薬品性等に優れ、様々な屈折率(nD)やアッベ数(νD)を有する多種類の材料が存在しているが、材料コストが高い上、成形加工性が悪く、また生産性が低いという問題点を有している。とりわけ、収差補正に使用される非球面レンズに加工するには、極めて高度な技術と高いコストがかかるため実用上大きな障害となっている。
一方、光学用透明樹脂、中でも熱可塑性透明樹脂からなる光学レンズは、射出成形により大量生産が可能で、しかも非球面レンズの製造も容易であるという利点を有しており、現在カメラ用レンズ用途として使用されている。例えば、ビスフェノールAからなるポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリメチルメタクリレートあるいは非晶質ポリオレフィンなどが例示される。
しかしながら、光学用透明樹脂を光学レンズとして用いる場合、屈折率やアッベ数以外にも、透明性、耐熱性、低複屈折性が求められるため、樹脂の特性バランスによって使用箇所が限定されてしまうという弱点がある。例えば、ポリスチレンは耐熱性が低く複屈折が大きい、ポリ-4-メチルペンテンは耐熱性が低い、ポリメチルメタクリレートはガラス転移温度が低く、耐熱性が低く、屈折率が小さいため使用領域が限られ、ビスフェノールAからなるポリカーボネートは複屈折が大きい等の弱点を有するため使用箇所が限られてしまい好ましくない。
一方、一般に光学材料の屈折率が高いと、同一の屈折率を有するレンズエレメントをより曲率の小さい面で実現できるため、この面で発生する収差量を小さくでき、レンズの枚数の低減、レンズの偏心感度の低減、レンズ厚の低減によるレンズ系の小型軽量化を可能にすることが出来るため、高屈折率化は有用である。
また、光学ユニットの光学設計においては、互いにアッベ数が異なる複数のレンズを組み合わせて使用することにより色収差を補正することが知られている。例えば、アッベ数45〜60の脂環式ポリオレフィン樹脂製のレンズと、低アッベ数のビスフェノールAからなるポリカーボネート(nD=1.59、νD=29)樹脂製のレンズとを組み合わせて色収差を補正することが行われている。
光学レンズ用途に実用化されている光学用透明樹脂の中でアッベ数が高いものとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマーなどがある。とりわけ、シクロオレフィンポリマーは、優れた耐熱性および優れた機械特性を有するため光学レンズ用途に幅広く使用されてきた。
低アッベ数の樹脂としては、ポリエステルやポリカーボネートが挙げられる。例えば特許文献1記載の樹脂は高屈折率かつ低アッベ数であることが特徴である。
高アッベ数であるシクロオレフィンポリマーと、低アッベ数のポリマーであるポリカーボネート樹脂の間には吸水膨張率に差があり、両者のレンズを組み合わせてレンズユニットを形成すると、スマートフォン等の使用環境で吸水した際にレンズの大きさに違いが発生する。この膨張率差によりレンズの性能が損なわれる。
特許文献2〜4には、ペルヒドロキシジメタノナフタレン骨格を含むポリカーボネート共重合体が記載されているが、ジヒドロキシメチル基の位置がいずれも2,3位であるため強度が弱く、光学レンズ用途には適していない。更に、特許文献2〜4に記載のポリカーボネートは、ガラス転移温度(Tg)が低いため、耐熱性の面で問題がある。例えば、特許文献4の実施例1に記載のHOMOのポリカーボネートは、数平均分子量が38000であるにも拘わらず、ガラス転移温度(Tg)が125℃と低い。
国際公開第2014/73496号 特開平5−70584号 特開平2−69520号 特開平5−341124号
本発明は、上記従来における課題の少なくとも一つを解決することを課題とする。また、本発明の好ましい態様は、アッベ数、屈折率、比熱容量、ガラス転移温度(耐熱性)、色相、およびヘーズの少なくとも一つに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、デカヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレンジオール(D−NDM)を原料とし、末端構造が特定の構造を有する熱可塑性樹脂組成物が上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下に示す熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた光学レンズまたはフィルムに関する。
<1> 下記式(1)で表される構成単位を含む熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂の末端構造が、下記式(A)または式(B)で表される構造を含み、前記熱可塑性樹脂におけるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜50,000である、熱可塑性樹脂組成物である。
Figure 2020080205
(式(1)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
Figure 2020080205
(式(A)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
Figure 2020080205
<2> 前記熱可塑性樹脂が、さらに、下記式(2)で表される構成単位を含む、上記<1>に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
Figure 2020080205
(式(2)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
<3> 前記熱可塑性樹脂が、さらに、下記式(3)で表される構成単位を含む、上記<1>に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
Figure 2020080205
(式(3)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
<4> 前記式(1)で表される構成単位と前記式(A)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(A)で表される構成単位=97.00:3.00〜99.99:0.01である、上記<1>から<3>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<5> 前記式(1)で表される構成単位と前記式(B)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(B)で表される構成単位=99.00:1.00〜99.99:0.01である、上記<1>から<3>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<6> 前記式(1)で表される構成単位と前記式(2)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(2)で表される構成単位=98.00:2.00〜99.99:0.01である、上記<2>に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<7> 前記式(1)で表される構成単位と前記式(3)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(3)で表される構成単位=98.00:2.00〜99.99:0.01である、上記<3>に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<8> 前記Rが、水素である、上記<1>から<7>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<9> 前記Raにおけるカルボン酸エステルが、カルボン酸メチルエステルまたはカルボン酸フェニルエステルである、上記<1>から<8>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<10> 前記Raにおけるカルボン酸塩が、カルボン酸ナトリウムである、上記<1>から<8>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<11> 前記熱可塑性樹脂が、さらに、下記式(4)で表される構成単位を含む、上記<1>から<10>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
Figure 2020080205
(式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子からなる群より選択され;Xは、それぞれ独立に、分岐していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり;nは、それぞれ独立に、0〜5の整数である。)
<12> さらに、添加剤を含む、上記<1>から<11>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<13> 前記添加剤が、2種以上の酸化防止剤、及び離型剤を含む、上記<12>に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<14> 前記酸化防止剤の含有量が、熱可塑性樹脂組成物中に0.50質量%以下であり、前記離型剤の含有量が、熱可塑性樹脂組成物中に0.50質量%以下である、上記<13>に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<15> 下記式(I)で表される化合物、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、及び下記式(d)で表される化合物からなる群より選択されるモノマーの少なくとも一つを含む、上記<1>から<14>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
Figure 2020080205
(式(I)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
Figure 2020080205
(式(c)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
Figure 2020080205
(式(d)中、Rbは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
<16> 比熱容量が450J/g・℃以下である、上記<1>から<15>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<17> 前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、またはポリエステルである、上記<1>から<16>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物である。
<18> 上記<1>から<17>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた光学レンズである。
<19> 上記<1>から<17>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いたフィルムである。
<20> 少なくとも、下記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物と、
下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、および下記式(d)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物と、を反応させて熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
前記少なくとも一つの化合物の合計量が、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して10%以下である、製造方法である。
Figure 2020080205
(式(I)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
Figure 2020080205
(式(c)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
Figure 2020080205
(式(d)中、Rbは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
<21> 前記式(a)〜(d)で表される化合物を、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して、各々3%以下用いる、上記<20>に記載の製造方法である。
本発明の好ましい態様によれば、アッベ数、屈折率、比熱容量、ガラス転移温度(耐熱性)、色相、およびヘーズの少なくとも一つに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。また、この樹脂組成物から製造された光学レンズまたはフィルムが得られる。
(A)熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂は、下記式(1)で表される構成単位(以下、「構成単位(1)」という)を含む。これにはデカヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレンジオール(D−NDMと記載することがある)から誘導される構成単位が例示される。後述するように構成単位(1)は、例えば、式(I)で表されるジオール化合物と炭酸ジエステルを反応させて得られる。本発明の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、またはポリエステルが好ましく挙げられるが、中でもポリカーボネート樹脂が好ましい。
Figure 2020080205
式(1)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表し、好ましくは、Rは、水素を表す。
本発明の熱可塑性樹脂は、その末端構造が、下記式(A)または式(B)で表される構造を含む。
Figure 2020080205
式(A)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。前記カルボン酸エステルとしては、カルボン酸メチルエステルまたはカルボン酸フェニルエステルが好ましく挙げられる。また、前記カルボン酸塩としては、カルボン酸ナトリウムが好ましく挙げられる。
Figure 2020080205
前記式(1)で表される構成単位と前記式(A)で表される構成単位との質量比は、式(1)で表される構成単位:式(A)で表される構成単位=97.00:3.00〜99.99:0.01が好ましく、98.00:2.00〜99.99:0.01がより好ましく、99.00:1.00〜99.99:0.01が更に好ましく、99.50:0.50〜99.80:0.20が特に好ましい。
前記式(A)で表される構成単位の質量が、上記範囲より少ないと、比熱容量、色相、およびヘーズの少なくとも一つが劣ってしまうことがある。一方、前記式(A)で表される構成単位の質量が、上記範囲より多いと、ポリマーの色相や耐熱性が悪化してしまうことがある。
また、前記式(1)で表される構成単位と前記式(B)で表される構成単位との質量比は、式(1)で表される構成単位:式(B)で表される構成単位=99.00:1.00〜99.99:0.01が好ましく、99.00:1.00〜99.95:0.05がより好ましく、99.50:0.50〜99.90:0.10が更に好ましく、99.70:0.30〜99.90:0.10が特に好ましい。
前記式(B)で表される構成単位の質量が、上記範囲より少ないと、比熱容量、色相、およびヘーズの少なくとも一つが劣ってしまうことがある。一方、前記式(B)で表される構成単位の質量が、上記範囲より多いと、ポリマーの色相や耐熱性が悪化してしまうことがある。
本発明の熱可塑性樹脂は、前記式(A)で表される構造と前記式(B)で表される構造の両方を有することが、比熱容量の点で好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂は、構成単位(1)と式(A)または式(B)で表される構造のみからなる樹脂の他、他の構成単位を含んでもよい。
他の構成単位としては、下記式(2)で表される構成単位や、下記式(3)で表される構成単位や、下記式(4)で表される構成単位が好ましく挙げられる。
Figure 2020080205
式(2)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表し、好ましくは、Rは水素を表す。
Figure 2020080205
式(3)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表し、好ましくは、Rは水素を表す。
Figure 2020080205
式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子からなる群より選択され、好ましくは、水素原子およびフェニル基から選択される。
式(4)中、Xは、それぞれ独立に、分岐していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、好ましくは、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、より好ましくはエチレンを表す。nは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、好ましくは、1または2を表し、より好ましくは1を表す。
前記式(1)で表される構成単位と前記式(2)で表される構成単位との質量比は、式(1)で表される構成単位:式(2)で表される構成単位=98.00:2.00〜100:0が好ましく、98.00:2.00〜99.99:0.01がより好ましく、99.00:1.00〜99.99:0.01が更に好ましく、99.05:0.95〜99.99:0.01が特に好ましい。
前記式(2)で表される構成単位の質量が、上記の範囲であると、ポリマーの比熱容量が小さくなり、結晶性が低下するので好ましい。
前記式(1)で表される構成単位と前記式(3)で表される構成単位との質量比は、式(1)で表される構成単位:式(3)で表される構成単位=98.00:2.00〜100:0が好ましく、98.00:2.0〜99.99:0.01がより好ましく、99.00:1.00〜99.99:0.01が更に好ましく、99.05:0.95〜99.99:0.01が特に好ましい。
前記式(3)で表される構成単位の質量が、上記の範囲であると、ポリマーの比熱容量が小さくなり、結晶性が低下するので好ましい。
前記式(1)で表される構成単位と前記式(4)で表される構成単位との質量比は、式(1)で表される構成単位:式(4)で表される構成単位=99:1〜1:99が好ましく、90:10〜10:90がより好ましく、75:25〜50:50が更に好ましく、70:30〜60:40が特に好ましい。前記式(4)で表される構成単位の質量が、上記の範囲であると、成形性が向上し、たとえば、衝撃強度などの成形体の強度が向上する点で好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂は、上記構成単位以外にも、他の構成単位を含んでもよい。
他に含んでもよい構成単位とは、式(I)以外のジオール化合物と炭酸ジエステルを反応させて得られる構成単位が挙げられ、式(I)以外のジオール化合物として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールBP、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールG、ビスフェノールM、ビスフェノールS、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールTMC、ビスフェノールZ、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン等が例示される。この中でも9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレンが好適である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、下記式(I)で表される化合物、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、及び下記式(d)で表される化合物からなる群より選択されるモノマーの少なくとも一つを含むことにより、比熱容量が小さくなり結晶性が低下する点、ヘーズが小さくなる点、分子量の割に溶融した時の流動性が向上し光学成形体などの精密成形がしやすくなる点で好ましい。
Figure 2020080205
式(I)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表し、好ましくは、Rは、水素を表す。
Figure 2020080205
式(c)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。前記カルボン酸エステルとしては、カルボン酸メチルエステルまたはカルボン酸フェニルエステルが好ましく挙げられる。また、前記カルボン酸塩としては、カルボン酸ナトリウムが好ましく挙げられる。
Figure 2020080205
式(d)中、Rbは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。前記カルボン酸エステルとしては、カルボン酸メチルエステルまたはカルボン酸フェニルエステルが好ましく挙げられる。また、前記カルボン酸塩としては、カルボン酸ナトリウムが好ましく挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂におけるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜50,000である。好ましいポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10,000〜40,000であり、より好ましくは20,000〜30,000である。Mwが1,000より小さいと、光学レンズが脆くなるため好ましくない。Mwが50,000より大きいと、溶融粘度が高くなるため製造後の樹脂の抜き取りが困難になり、更には流動性が悪くなり溶融状態で射出成形しにくくなるため好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、添加剤を含んでもよい。該添加剤としては、2種以上の酸化防止剤、及び離型剤を含むことが好ましい。その理由としては、1種ずつ添加した場合より、2種以上の酸化防止剤、及び離型剤を添加した場合の方が、酸化防止効果や離型性が相乗的に向上するためである。
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート及び3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
前記酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物中に0.50質量%以下であることが好ましく、0.10〜0.40質量%であることがより好ましく、0.20〜0.40質量%であることが特に好ましい。
離型剤としては、その90重量%以上がアルコールと脂肪酸とのエステルからなるものが好ましい。アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、具体的には一価アルコールと脂肪酸とのエステルや、多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルが挙げられる。上記一価アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、炭素原子数1〜20の一価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸とのエステルが好ましい。また、多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルとしては、炭素原子数1〜25の多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。
具体的に、一価アルコールと飽和脂肪酸とのエステルとしては、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの全エステル又は部分エステル等が挙げられる。
前記離型剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物中に0.50質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.10質量%であることがより好ましく、0.03〜0.05質量%であることが特に好ましい。
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物には、その他の添加剤として、紫外線吸収剤、流動性改質剤、結晶核剤、強化剤、染料、帯電防止剤、ブルーイング剤あるいは抗菌剤等を添加してもよい。
(B)式(I)で表されるジオール化合物の製造方法
上記式(I)で表されるジオール化合物は、WO2017/175693に示すように、ジシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエンと官能基を有するオレフィンを原料として合成することが可能である。
(C)熱可塑性樹脂の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂は、少なくとも、下記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物と、
下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、および下記式(d)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物と、を反応させて熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
前記少なくとも一つの化合物の合計量が、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して10%以下である、製造方法によって製造することができる。
前記少なくとも一つの化合物の合計量は、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して0.005〜3.0%であることが好ましく、0.1〜1.0であることが更に好ましく、0.1〜0.5%であることが特に好ましい。前記少なくとも一つの化合物の合計量が、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して10%を超えると、重合時の反応性が低下し、分子量が上がらず、安定してペレット化することができない。ペレット化できたとしても、安定して成形できず、金型に対して、所望の成形体が得られない。特に、式(a)、式(b)、式(c)のうちRaが水素の場合、重合時の反応性が低下し、分子量が上がりにくくなる。式(c)のうちRaがカルボン酸またはカルボン酸エステルの場合、得られる樹脂の色相が悪化しやすく、耐熱性が悪化しやすくなる傾向がある。
また、前記式(a)〜(d)で表される化合物を、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して、各々3%以下用いることが好ましい。
Figure 2020080205
式(I)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表し、好ましくは、Rは水素を表す。
Figure 2020080205
式(c)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。前記カルボン酸エステルとしては、カルボン酸メチルエステルまたはカルボン酸フェニルエステルが好ましく挙げられる。また、前記カルボン酸塩としては、カルボン酸ナトリウムが好ましく挙げられる。
Figure 2020080205
式(d)中、Rbは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。前記カルボン酸エステルとしては、カルボン酸メチルエステルまたはカルボン酸フェニルエステルが好ましく挙げられる。また、前記カルボン酸塩としては、カルボン酸ナトリウムが好ましく挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である場合、例えば、式(I)で表されるジオール化合物と前記式(a)〜(d)で表される化合物の少なくとも一つと炭酸ジエステルとを原料として溶融重縮合法により製造することができる。式(I)で表されるジオール化合物には、ヒドロキシメチル基が2,6位の異性体および2,7位の異性体の混合物が存在する。これらの異性体は質量比で、2,6位の異性体:2,7位の異性体=0.1:99.9〜99.9:0.1である。樹脂の強度、引張伸度、成形体の外観などの樹脂物性の観点から、2,6位の異性体:2,7位の異性体=1.0:99.0〜99.0:1.0であることが好ましく、2,6位の異性体:2,7位の異性体=20:80〜80:20であることがより好ましく、2,6位の異性体:2,7位の異性体=50:50〜80:20であることが特に好ましい。さらに、他のジオール化合物を併用しても良い。この反応では重縮合触媒として、塩基性化合物触媒、エステル交換触媒もしくはその双方からなる混合触媒の存在下、製造することができる。
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが反応性と純度の観点から好ましい。炭酸ジエステルは、ジオール成分1モルに対して0.97〜1.20モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.98〜1.10モルの比率である。このモル比率を調整することにより、ポリカーボネート樹脂の分子量が制御される。
塩基性化合物触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、および含窒素化合物等が挙げられる。
本発明に使用されるアルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。触媒効果、価格、流通量、樹脂の色相への影響などの観点から、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムが好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、例えばアルカリ土類金属化合物の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。
含窒素化合物としては、例えば4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が挙げられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。また、上述したアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物と組み合わせて用いてもよい。
これらの触媒は、ジオール化合物の合計1モルに対して、1×10−9〜1×10−3モルの比率で、好ましくは1×10−7〜1×10−4モルの比率で用いられる。
溶融重縮合法は、前記の原料および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段行程で実施される。
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジオール化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200〜350℃の温度で0.05 〜2時間重縮合反応を行う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法では、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させてもよい。一般的には、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。失活効果、樹脂の色相や安定性の観点から、p-トルエンスルホン酸ブチルを用いるのが好ましい。また、これらの失活剤は、触媒量に対して0.01〜50倍モル、好ましくは0.3〜20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を0.1〜1mmHgの圧力、200〜350℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良く、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂は、異物含有量が極力少ないことが望まれ、溶融原料の濾過、触媒液の濾過が好適に実施される。フィルターのメッシュは5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。さらに、生成する樹脂のポリマーフィルターによる濾過が好適に実施される。ポリマーフィルターのメッシュは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。また、樹脂ペレットを採取する工程は当然低ダスト環境でなければならず、クラス1000以下であることが好ましく、より好ましくはクラス100以下である。
(D)熱可塑性樹脂の物性
本発明の好ましい態様の熱可塑性樹脂は、アッベ数、屈折率、比熱容量、ガラス転移温度(耐熱性)、色相、およびヘーズの少なくとも一つに優れる。
本発明の熱可塑性樹脂の比熱容量は450J/g・℃以下が好ましく、1〜400J/g・℃Gより好ましく、50〜300J/g・℃が更に好ましく、100〜300J/g・℃が更により好ましく、200〜300J/g・℃が特に好ましい。比熱容量が450J/g・℃以下であると、結晶性が低下し、たとえばヘーズなどの物性が小さくなり、YIなどで示される色相が良好になる傾向がある。
また、本発明の熱可塑性樹脂の好ましいガラス転移温度(Tg)は95〜180℃であり、より好ましくは110〜160℃であり、特に好ましくは120〜160℃である。Tgが95℃より低いと、レンズやカメラの使用温度範囲が狭くなるため好ましくない。また、180℃を超えると射出成形を行う際の成形条件が厳しくなるため好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂は、成形後にJIS-K-7142の方法で測定した屈折率が1.50〜1.65であることが好ましく、1.53〜1.58であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂は、成形後にJIS-K-7142の方法で測定したアッベ数が25以上、好ましくは35以上、さらに好ましくは45以上である。アッベ数の上限は、55程度である。
本発明の熱可塑性樹脂の色相(YI)は、0.1〜5.0が好ましく、1.0〜3.5がより好ましく、2.0〜3.0が特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂のヘーズ(Hz)は、0.1〜0.5が好ましく、0.1〜0.2がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂には、製造時に生成するフェノールや、反応せずに残存した炭酸ジエステルが不純物として存在していてもよい。熱可塑性樹脂中のフェノール含量は、0.1〜3000ppmであることが好ましく、0.1〜2000ppmであることがより好ましく、1〜1000ppm、1〜800ppm、1〜500ppm、または1〜300ppmであることが特に好ましい。また、熱可塑性樹脂中の炭酸ジエステル含量は、0.1〜1000ppmであることが好ましく、0.1〜500ppmであることがより好ましく、1〜100ppmであることが特に好ましい。熱可塑性樹脂中に含まれるフェノールおよび炭酸ジエステルの量を調節することにより、目的に応じた物性を有する樹脂を得ることができる。フェノールおよび炭酸ジエステルの含量の調節は、重縮合の条件や装置を変更することにより適宜行うことができる。また、重縮合後の押出工程の条件によっても調節可能である。
フェノールまたは炭酸ジエステルの含量が上記範囲を上回ると、得られる樹脂成形体の強度が落ちたり、臭気が発生する等の問題が生じ得る。一方、フェノールまたは炭酸ジエステルの含量が上記範囲を下回ると、樹脂溶融時の可塑性が低下する虞がある。
(E)光学レンズ
本発明の光学レンズは、上述した本発明の熱可塑性樹脂を射出成形機あるいは射出圧縮成形機によりレンズ形状に射出成形することによって得ることができる。射出成形の成形条件は特に限定されないが、成形温度は好ましくは180〜300℃、より好ましくは180〜290℃である。また、射出圧力は好ましくは50〜1700kg/cm2である。
光学レンズへの異物の混入を極力避けるため、成形環境も当然低ダスト環境でなければならず、クラス1000以下であることが好ましく、より好ましくはクラス100以下である。
本発明の光学レンズは、必要に応じて非球面レンズの形で用いることが好適に実施される。非球面レンズは、1枚のレンズで球面収差を実質的にゼロとすることが可能であるため、複数の球面レンズの組み合わせで球面収差を取り除く必要がなく、軽量化および生産コストの低減化が可能になる。従って、非球面レンズは、光学レンズの中でも特にカメラレンズとして有用である。非球面レンズの非点収差は0〜15mλであることが好ましく、より好ましくは0〜10mλである。
本発明の光学レンズの厚みは、用途に応じて広範囲に設定可能であり特に制限はないが、好ましくは0.01〜30mm、より好ましくは0.1〜15mmである。本発明の光学レンズの表面には、必要に応じ、反射防止層あるいはハードコート層といったコート層が設けられていてもよい。反射防止層は、単層であっても多層であっても良く、有機物であっても無機物であっても構わないが、無機物であることが好ましい。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム等の酸化物あるいはフッ化物が例示される。これらのうちでより好ましいものは酸化ケイ素、酸化ジルコニウムであり、更に好ましいものは酸化ケイ素と酸化ジルコニウムの組み合わせである。また、反射防止層に関しては、単層/多層の組み合わせ、またそれらの成分、厚みの組み合わせ等について特に限定はされないが、好ましくは2層構成又は3層構成、特に好ましくは3層構成である。また、該反射防止層全体として、光学レンズの厚みの0.00017〜3.3%、具体的には0.05〜3μm、特に好ましくは1〜2μmとなる厚みで形成するのがよい。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何らの制限を受けるものではない。
<原料の製造>
混合物I−m
WO2017/175693に示される「モノマー合成例1」において、蒸留精製をしなかった以外は当該「モノマー合成例1」と同様にして混合物I−mを得た。この混合物I−mには、主生成物である化合物I-pの他にも、不純物としてモノマーである化合物a、b、c−1、c−2、およびdが以下の含有量で含まれていた。モノマーの含有量は、ガスクロマトグラフィー(製造装置:株式会社 島津製作所製 GC-2010 Plus)を用い、混合物を1質量%のメタノール溶液とし、50〜300℃の昇温気化法の下、測定を行った値である。以下、同様。
化合物a:5.0000質量%
化合物b:3.0000質量%
化合物c−1:2.0000質量%
化合物c−2:1.0000質量%
化合物d:1.0000質量%
Figure 2020080205
混合物I−1
WO2017/175693に示される「モノマー合成例1」と同様の方法(蒸留精製×1回)によって混合物I−1を得た。この混合物I−1には、主生成物である化合物I-pの他にも、不純物としてモノマーである化合物a、b、c−1、c−2、およびdが以下の含有量で含まれていた。
化合物a:1.4000質量%
化合物b:0.5000質量%
化合物c−1:1.8000質量%
化合物c−2:0.0100質量%
化合物d:0.0100質量%
混合物I−2
上記で得られた混合物I−1について、再度、蒸留することにより(蒸留精製:合計2回)、混合物I−2を得た。この混合物I−2には、主生成物である化合物I-pの他にも、不純物としてモノマーである化合物a、b、c−1およびc−2が以下の含有量で含まれていた。
化合物a:0.9900質量%
化合物b:0.4300質量%
化合物c−1:0.6100質量%
化合物c−2:0.0100質量%
化合物d:検出限界以下(0.0001質量%未満)
上記で得られた混合物I−2について、再度、蒸留することにより(蒸留精製:合計3回)、混合物I−3を得た。この混合物I−3には、主生成物である化合物I-pの他にも、不純物としてモノマーである化合物a、bおよびc−1が以下の含有量で含まれていた。
化合物a:0.3400質量%
化合物b:0.1100質量%
化合物c−1:0.0200質量%
化合物c−2:検出限界以下(0.0001質量%未満)
化合物d:検出限界以下(0.0001質量%未満)
化合物I−p
上記で得られた混合物I−1について、モノマーである化合物a、b、c−1、c−2、およびdが検出限界以下になるまで蒸留精製を繰り返すことにより(蒸留精製:合計6回)、純粋な化合物I−pを得た。不純物のモノマーである化合物a、b、c−1、c−2、およびdの検出限界は、各々0.0001質量%であった。
なお、化合物a、b、c−1、c−2、およびdは、上記化合物I−pを得る際、蒸留精製中に分留したものを分取カラムにより分取した。
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
予め作成した標準ポリスチレンの検量線からポリスチレン換算重量平均分子量を求めた。即ち、分子量既知(分子量分布=1)の標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、“PStQuick MP-M”)を用いて検量線を作成し、測定した標準ポリスチレンから各ピークの溶出時間と分子量値をプロットし、3次式による近似を行い、較正曲線とした。Mwは、以下の計算式より求めた。
Mw=Σ(Wi×Mi)÷Σ(Wi)
ここで、iは分子量Mを分割した際のi番目の分割点、Wiはi番目の重量、Miはi番目の分子量を表す。また分子量Mとは、較正曲線の同溶出時間でのポリスチレン分子量値を表す。GPC装置として、東ソー株式会社製、HLC−8320GPCを用い、ガードカラムとして、TSKguardcolumn SuperMPHZ-Mを1本、分析カラムとしてTSKgel SuperMultiporeHZ-Mを3本直列に連結したものを用いた。その他の条件は以下の通りである。
溶媒:HPLCグレードテトラヒドロフラン
注入量:10μL
試料濃度:0.2w/v% HPLCグレードクロロホルム溶液
溶媒流速:0.35ml/min
測定温度:40℃
検出器:RI
<屈折率nDおよびアッベ数νDの測定方法>
得られた熱可塑性樹脂組成物を、40φ、3mm厚の円板にプレス成形(成形条件:200℃、100kgf/cm、2分)し、直角に切り出し、カルニュー製KPR-200により測定した。
<比熱容量(J/g*℃)の測定方法>
JIS K7123-1987に基づき、示差走査熱量計(DSC)により測定した。該熱量計として、日立ハイテクサイエンスX−DSC7000を用いた。
<ガラス転移温度(Tg)>
JIS K7121-1987に基づき、示差熱走査熱量分析計(DSC)により測定した。該分析計として、日立ハイテクサイエンスX−DSC7000を用いた。
<色相(YI)およびヘーズ(Hz)の測定方法>
住友重機械工業(株)製射出成型機SH50にて、シリンダー温度260℃、金型温度を樹脂のガラス転移温度より30℃低い温度として射出成形し、3mm厚の円板を得た。この円板を用いて色相(YI)、ヘーズ(Hz)を測定した。
色相(YI)は日本電色工業(株)製SE2000により測定し、ヘーズ(Hz)は日本電色製NDH2000により測定した。
(実施例1)
原料として、上記で得られた化合物I−p(エンド体:エキソ体=25:75):1.0000モル(222.3336g)、上記構造式で表される化合物a:0.0168モル(3.2343g)、化合物b:0.0050モル(1.1551g)、化合物c−1:0.0189モル(4.1584g)、化合物c−2:0.0005モル(0.1155g)、化合物d:0.0001モル(0.0231g)、炭酸水素ナトリウム:1×10−2モル(0.840000g)及びジフェニルカーボネート:1.0363モル(222.0000g)を攪拌機、加熱装置及び留出装置付きの2L反応機に入れ、窒素ガスにより反応機を置換した。この時点を反応開始とし、760Torrの下、1時間かけて210℃まで昇温した。目視にて原料が溶解したところで撹拌を開始した。180℃にてフェノールが留出装置へ回収された。反応開始から1時間20分後、フェノールが留出装置へ回収され始めた。反応開始1時間30分後、10分間で760Torrから200Torrまで減圧すると同時に温度を215℃まで加熱した。反応開始2時間後に220℃まで昇温、反応開始2時間30分後に30分かけて150Torrまで減圧すると同時に温度を250℃まで昇温した。引き続き、1Torrまで減圧したのち30分間保持した。反応機に窒素ガスを導入し、反応機内を常圧に戻した後、得られたポリカーボネート樹脂をペレット化し、引き続き、該ペレットを110℃で3時間乾燥して、ポリカーボネート樹脂Aを得た。
別途、原料として、下記構造式で表されるBPEF:1.000モル(438.52g)、炭酸水素ナトリウム:1×10−6モル(0.084mg、1質量%の水溶液として投入)及びジフェニルカーボネート:1.020モル(218.50g)を用いる以外は、上述したポリカーボネート樹脂Aと同様に反応、ペレット化し、ポリカーボネート樹脂Wを得た。引き続き、該ペレットを110℃で3時間乾燥した。
Figure 2020080205
ポリカーボネート樹脂Aのペレット及びポリカーボネート樹脂Wのペレットを、ポリカーボネート樹脂A:ポリカーボネート樹脂W=68:32の質量比で混合し、さらに添加剤として、ポリカーボネート樹脂組成物中に、離型剤であるグリセリンモノステアレート(理研ビタミン株式会社製;リケマール S−100A)0.20質量%、酸化防止剤であるペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](株式会社ADEKA製;アデカスタブ AO−60)0.10重量%、酸化防止剤である3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(株式会社ADEKA製;アデカスタブ PEP−36)0.05質量%となるようにペレットに添着した後、ベント式二軸押出機(株式会社新潟鐵工所製IPEC;完全かみあい、同方向回転)により、280℃で溶融混合した。得られたポリカーボネート樹脂組成物の物性を表1に示した。
(実施例2〜11、比較例1、2)
表2に記載の原料と仕込み量に代える以外は、実施例1と同様に行い、各々ポリカーボネート樹脂B〜Kを得た。
ポリカーボネート樹脂Aの代わりにポリカーボネート樹脂B〜Kを用い、表1に記載の添加剤と添加剤量に代える以外は、実施例1と同様にポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物の物性を表1に示した。
Figure 2020080205
Figure 2020080205
なお、表1及び表2における添加剤は以下の通りである。
S−100A:離型剤であるグリセリンモノステアレート(理研ビタミン株式会社製;リケマール S−100A)
B−100A:離型剤であるグリセリンモノベヘネート(理研ビタミン株式会社製;リケマール B−100A)
ポエム M−100:離型剤であるグリセリンモノカプリレート(理研ビタミン株式会社製;ポエム M−100)
ポエム M−300:離型剤であるグリセリンモノラウレート(理研ビタミン株式会社製;ポエム M−300)
AO−60:酸化防止剤であるペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](株式会社ADEKA製;アデカスタブ AO−60)
AO−30:酸化防止剤である[4,4',4''−(1−メチルプロパニル−3−イリデン)トリス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)](株式会社ADEKA製;アデカスタブ AO−30)
AO−50:酸化防止剤であるオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(株式会社ADEKA製;アデカスタブ AO−50)
PEP−36:酸化防止剤である3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(株式会社ADEKA製;アデカスタブ PEP−36)
HP−10:酸化防止剤である2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト(株式会社ADEKA製;アデカスタブ HP−10)
アデカスタブ2112:酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル) ホスファイト(株式会社ADEKA製;アデカスタブ2112)
(実施例A)
原料として、化合物I−pの代わりに上記で得られた混合物I−1:222.33g、炭酸水素ナトリウム:8.4mg及びジフェニルカーボネート:221.90gとした以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られたポリカーボネート樹脂組成物の物性を表3に示した。
(実施例A−1〜実施例C−2)
表3に記載の原料と仕込み量に代える以外は、実施例Aと同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂組成物の物性を表3に示した。
Figure 2020080205
本発明の好ましい態様により、アッベ数、屈折率、比熱容量、ガラス転移温度(耐熱性)、色相、およびヘーズの少なくとも一つに優れた光学レンズを得ることができる。本発明の光学レンズは、射出成形可能で生産性が高く安価であるため、カメラ、望遠鏡、双眼鏡、テレビプロジェクター等、従来、高価な高アッベガラスレンズが用いられていた分野に用いることができ極めて有用である。また、高アッベレンズと低アッベレンズの吸水率差が小さくなることから、小さな光学レンズユニットに特に好適である。さらに本発明により、ガラスレンズでは技術的に加工の困難な高アッベ非球面レンズを射出成形により簡便に得ることができ、極めて有用である。

Claims (21)

  1. 下記式(1)で表される構成単位を含む熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂の末端構造が、下記式(A)または式(B)で表される構造を含み、前記熱可塑性樹脂におけるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜50,000である、熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2020080205
    (式(1)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
    Figure 2020080205
    (式(A)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
    Figure 2020080205
  2. 前記熱可塑性樹脂が、さらに、下記式(2)で表される構成単位を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2020080205
    (式(2)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
  3. 前記熱可塑性樹脂が、さらに、下記式(3)で表される構成単位を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2020080205
    (式(3)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
  4. 前記式(1)で表される構成単位と前記式(A)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(A)で表される構成単位=97.00:3.00〜99.99:0.01である、請求項1から3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記式(1)で表される構成単位と前記式(B)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(B)で表される構成単位=99.00:1.00〜99.99:0.01である、請求項1から3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記式(1)で表される構成単位と前記式(2)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(2)で表される構成単位=98.00:2.00〜99.99:0.01である、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記式(1)で表される構成単位と前記式(3)で表される構成単位との質量比が、式(1)で表される構成単位:式(3)で表される構成単位=98.00:2.00〜99.99:0.01である、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記Rが、水素である、請求項1から7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記Raにおけるカルボン酸エステルが、カルボン酸メチルエステルまたはカルボン酸フェニルエステルである、請求項1から8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 前記Raにおけるカルボン酸塩が、カルボン酸ナトリウムである、請求項1から8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 前記熱可塑性樹脂が、さらに、下記式(4)で表される構成単位を含む、請求項1から10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2020080205
    (式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、およびハロゲン原子からなる群より選択され;Xは、それぞれ独立に、分岐していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり;nは、それぞれ独立に、0〜5の整数である。)
  12. さらに、添加剤を含む、請求項1から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 前記添加剤が、2種以上の酸化防止剤、及び離型剤を含む、請求項12に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  14. 前記酸化防止剤の含有量が、熱可塑性樹脂組成物中に0.50質量%以下であり、前記離型剤の含有量が、熱可塑性樹脂組成物中に0.50質量%以下である、請求項13に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  15. 下記式(I)で表される化合物、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、及び下記式(d)で表される化合物からなる群より選択されるモノマーの少なくとも一つを含む、請求項1から14のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2020080205
    (式(I)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
    Figure 2020080205
    (式(c)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
    Figure 2020080205
    (式(d)中、Rbは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
  16. 比熱容量が450J/g・℃以下である、請求項1から15のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  17. 前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、またはポリエステルである、請求項1から16のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  18. 請求項1から17のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いた光学レンズ。
  19. 請求項1から17のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いたフィルム。
  20. 少なくとも、下記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物と、
    下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、および下記式(d)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一つの化合物と、を反応させて熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
    前記少なくとも一つの化合物の合計量が、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して10%以下である、製造方法。
    Figure 2020080205
    (式(I)中、Rは、水素、メチル基、またはエチル基を表す。)
    Figure 2020080205
    (式(c)中、Raは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
    Figure 2020080205
    (式(d)中、Rbは、水素、カルボン酸、カルボン酸エステル、またはカルボン酸塩を表す。)
  21. 前記式(a)〜(d)で表される化合物を、前記式(I)で表されるジヒドロキシ化合物の質量に対して、各々3%以下用いる、請求項20に記載の製造方法。
JP2020553098A 2018-10-16 2019-10-09 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた光学レンズまたはフィルム Pending JPWO2020080205A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018195282 2018-10-16
JP2018195282 2018-10-16
PCT/JP2019/039730 WO2020080205A1 (ja) 2018-10-16 2019-10-09 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた光学レンズまたはフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2020080205A1 true JPWO2020080205A1 (ja) 2021-09-30

Family

ID=70284606

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020553098A Pending JPWO2020080205A1 (ja) 2018-10-16 2019-10-09 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた光学レンズまたはフィルム

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JPWO2020080205A1 (ja)
KR (1) KR20210076002A (ja)
CN (1) CN112867762B (ja)
TW (1) TWI819114B (ja)
WO (1) WO2020080205A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022189641A (ja) * 2021-06-11 2022-12-22 Eneos株式会社 ポリカーボネートおよび樹脂成形体
WO2023100777A1 (ja) * 2021-11-30 2023-06-08 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズ

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015147242A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 三菱瓦斯化学株式会社 ノルボルナン骨格を有する二官能性化合物およびその製造方法
WO2016052370A1 (ja) * 2014-09-30 2016-04-07 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂および光学レンズ
WO2017047555A1 (ja) * 2015-09-18 2017-03-23 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエステル樹脂
WO2017175693A1 (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート共重合体、それを用いた光学レンズ及びフィルム、並びに該共重合体の製造方法
WO2018062327A1 (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 三菱瓦斯化学株式会社 光学レンズ
WO2018062328A1 (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 三菱瓦斯化学株式会社 光学用ポリエステルフィルム及び透明導電性フィルム
WO2018181157A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズ

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0269520A (ja) 1988-09-02 1990-03-08 Kuraray Co Ltd 脂環式ポリカーボネートおよびその製造法
JPH0570584A (ja) 1991-09-11 1993-03-23 Kuraray Co Ltd 脂環式ポリカーボネートおよびその製造方法
JP2882716B2 (ja) 1992-06-11 1999-04-12 株式会社クラレ 偏光板
WO2014073496A1 (ja) 2012-11-07 2014-05-15 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂、その製造方法および光学成形体

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015147242A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 三菱瓦斯化学株式会社 ノルボルナン骨格を有する二官能性化合物およびその製造方法
WO2016052370A1 (ja) * 2014-09-30 2016-04-07 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂および光学レンズ
WO2017047555A1 (ja) * 2015-09-18 2017-03-23 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエステル樹脂
WO2017175693A1 (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート共重合体、それを用いた光学レンズ及びフィルム、並びに該共重合体の製造方法
WO2018062327A1 (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 三菱瓦斯化学株式会社 光学レンズ
WO2018062328A1 (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 三菱瓦斯化学株式会社 光学用ポリエステルフィルム及び透明導電性フィルム
WO2018181157A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズ

Also Published As

Publication number Publication date
TWI819114B (zh) 2023-10-21
CN112867762B (zh) 2023-04-04
TW202035512A (zh) 2020-10-01
CN112867762A (zh) 2021-05-28
KR20210076002A (ko) 2021-06-23
WO2020080205A1 (ja) 2020-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6885852B2 (ja) ポリカーボネート樹脂、その製造方法および光学成形体
JP6904375B2 (ja) 熱可塑性樹脂の製造方法
JP7040518B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた光学レンズ
JP6812985B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体
JP6908026B2 (ja) ポリカーボネート共重合体、それを用いた光学レンズ及びフィルム、並びに該共重合体の製造方法
JP2018002894A (ja) 熱可塑性樹脂
JP2018002893A (ja) 熱可塑性樹脂
JP6727200B2 (ja) 撮像レンズ
JP7342878B2 (ja) ポリエステルカーボネート樹脂および光学レンズ
JPWO2017078074A1 (ja) 熱可塑性樹脂の製造方法
JPWO2019146507A1 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物、その製造方法及び光学レンズ
WO2021230085A1 (ja) ポリカーボネート樹脂、ならびにそれを用いた光学レンズおよび光学フィルム
JPWO2020080205A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた光学レンズまたはフィルム
JP2007057916A (ja) 光学レンズ
JP2024026220A (ja) 熱可塑性樹脂及びそれを含む光学部材
WO2020137927A1 (ja) 熱可塑性樹脂及びその製造方法並びに該熱可塑性樹脂を含む光学レンズ
CN115551942B (zh) 树脂组合物以及含有该树脂组合物的光学透镜和光学膜
TW202328275A (zh) 聚酯碳酸酯樹脂,以及使用其之光學透鏡及光學薄膜
WO2021261392A1 (ja) 樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220318

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230510

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230815