以下、本開示に係る圧迫デバイス及び圧迫方法について、図面を参照して説明する。各図において共通の構成要素には、同一の符号を付している。
(第1実施形態)
図1〜図4は、第1実施形態としての圧迫デバイス1を示す図である。具体的に、図1は圧迫デバイス1の斜視図である。図2、図3は、圧迫デバイス1の平面図である。具体的に、図2は、圧迫デバイス1の上面図である。図3は、圧迫デバイス1の下面図である。図4A、図4Bは、図2のA−A線に沿う断面図である。詳細は後述するが、図4A、図4Bそれぞれは、圧迫デバイス1の異なる状態を示している。
圧迫デバイス1は、本体部10と、圧迫部50と、ヒンジ部60と、押圧部70と、を備える。
本体部10は、生体表面に固定可能である。圧迫部50は、生体表面を圧迫可能である。ヒンジ部60は、圧迫部50を本体部10に対して回動軸D(図4A、図4B参照)の周りを回動可能に支持している。つまり、圧迫部50は、回動軸Dの周りを回動することで、生体表面を圧迫可能である。押圧部70は、圧迫部50を回動軸Dの周りの一方の回動方向に押圧可能である。このように、圧迫デバイス1は、本体部10を生体表面に固定することにより、生体表面上での位置が固定される。また、圧迫デバイス1によれば、生体表面上での位置が固定されている状態で、押圧部70により圧迫部50を回動軸Dの周りの一方の回動方向(図4A、図4Bの右回り方向)に押圧することで、圧迫部50により、生体表面上の所定部位を圧迫することができる。生体表面上の所定部位とは、例えば、穿刺針、カテーテル、シース等の、医療器具としての管部材を生体の血管内に挿入することにより形成される傷口又はその近傍が挙げられる。上述の管部材を生体外に抜去した後に、生体表面上の傷口又はその近傍を、圧迫部50によって圧迫することにより、止血することができる。
以下、圧迫デバイス1の各部材・各部位の詳細について説明する。
<本体部10>
本体部10は、生体表面に固定可能である。本実施形態の本体部10は、生体表面に固定可能な固定部材11と、固定部材11に取り付けられ、圧迫部50及び押圧部70を保持する保持部材21と、を備える。
固定部材11は、厚み方向Aの一方側に下面12を備え、厚み方向Aの他方側に上面13を備える。固定部材11の下面12は、生体表面に固定可能な固定面を構成する。以下、説明の便宜上、厚み方向Aにおいて上面13から下面12に向かう方向である、厚み方向Aの一方側を、単に「下方向A1」と記載する。また、説明の便宜上、厚み方向Aにおいて下面12から上面13に向かう方向である、厚み方向Aの他方側を、単に「上方向A2」と記載する。更に、圧迫デバイス1を、固定部材11の厚み方向Aに沿って見た平面視(図2、図3参照)のうち、固定部材11の上面13側から見た平面視(図2参照)を、説明の便宜上、単に「上面視」と記載する。また、圧迫デバイス1を、固定部材11の厚み方向Aに沿って見た平面視(図2、図3参照)のうち、固定部材11の下面12側から見た平面視(図3参照)を、説明の便宜上、単に「下面視」と記載する。
本実施形態の固定部材11は、生体表面に貼着可能な貼着シート14で構成される。貼着シート14の下面12は、貼着により生体表面に固定可能な固定面としての貼着面を構成する。貼着シート14の上面13には、保持部材21が取り付けられる。貼着シート14は可撓性を有する。そのため、貼着シート14を、生体表面の形状に沿って変形させることができる。また、下面12が生体表面の変形に追従し易くなる。その結果、圧迫デバイス1が意図せずに生体表面から剥離することを抑制できる。
貼着シート14は、例えば、基材層と、接着層と、表面層と、を含む複数層から構成される。
基材層は、例えば、薄肉の樹脂シートにより構成される。より具体的に、基材層は、例えば、ポリエステル繊維の白色スパンレース不織布により構成されており、その厚さは、例えば30μmなど、5μm〜150μmの範囲内とされている。但し、基材層の材料は、ポリエステルに限らず、例えば、アクリル重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド誘導体などを使用してもよい。
接着層は、例えば、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等の接着剤により構成される。接着層は、基材層に対して、直接的に又は別の層を挟んで間接的に、積層されている。本実施形態の貼着シート14の下面12は、接着層により構成されている。
表面層は、例えば、厚さが5μm〜50μm程度の樹脂から構成される。より具体的に、表面層の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などを使用できる。表面層は、基材層を挟んで接着層とは反対側に、基材層に対して、直接的に又は別の層を挟んで間接的に、積層されている。本実施形態の貼着シート14の上面13は、表面層により構成されている。
貼着シート14は、基材層、接着層、及び、表面層、の3層構造に限らず、例えば、更に他の層を備える4層以上の構造であってもよい。また、基材層及び接着層の2層のみからなる構成であってもよい。
このように、本実施形態の貼着シート14は、一面に接着剤としての粘着剤が施された不織布テープにより構成されているが、基材層の両側に接着層が設けられている両面テープとしてもよい。貼着シートを両面テープにより構成した場合には、保持部材21の後述する取付部22を、貼着シートの片方の接着層に接着することで、保持部材21を貼着シート14に取り付けることができる。
本実施形態の貼着シート14は、図2、図3に示すように環状に延在している。換言すれば、本実施形態の貼着シート14は中央開口領域を区画している。
また、本実施形態の貼着シート14には、外縁16から内縁17まで延在するスリット18が形成されている。スリット18は、平面視(図2、図3参照)において、貼着シート14の中心位置を中心とする円の径方向C(以下、単に「径方向C」と記載する。)に延在している。換言すれば、スリット18を挟んで対向する貼着シート14の両方の端縁19は、径方向Cに沿って平行に延在している。但し、スリット18の延在方向は、径方向Cに限られず、径方向Cに対して傾斜する方向に延在してもよい。スリット18を設けることにより、カテーテル、シース等の管部材を、スリット18を通じて、貼着シート14の外側から中央開口領域内へと移動させることができる。
貼着シート14の下面12は、生体表面に貼着される前の状態(以下、「使用前状態」と記載する。)において、後述する剥離シート20(図6C参照)により覆われている。剥離シート20は、貼着シート14を生体表面に貼着する際に、ユーザーにより下面12から剥離されることにより取り除かれる。剥離シート20が下面12から取り除かれ、下面12が露出することにより、貼着シート14の下面12が生体表面に貼着可能な状態とされる。剥離シート20は、例えば、剥離紙や樹脂製のシート材により形成可能である。図1〜図4は、剥離シート20を省略して描いている。
本実施形態の保持部材21は、固定部材11に取り付けられる取付部22と、圧迫部50及び押圧部70を保持する保持本体部31と、を備える。本実施形態の取付部22は、図2に示すように貼着シート14に沿って環状に延在し、貼着シート14の上面13に取り付けられている。本実施形態の取付部22は、厚み方向Aに薄く、貼着シート14に追従して変形可能である。取付部22は、貼着シート14に追従した変形が可能ではなくてもよい。その場合、取付部22は、取付部22に加わる力をより分散させることができる。
また、本実施形態の取付部22には、貼着シート14のスリット18と貼着シート14の周方向の同じ位置に、間隙23が形成されている。したがって、カテーテル、シース等の管部材を、スリット18及び間隙23を通じて、貼着シート14の外側から中央開口領域内へと移動させることができる。
保持本体部31は、圧迫部50を、ヒンジ部60を介して回動軸Dの周りを回動可能に支持している。本実施形態の保持本体部31は、押圧部70も回動軸Dの周りを回動可能に支持している。これらの詳細は後述する。
本実施形態の保持本体部31は、平面視(図2、図3参照)において貼着シート14と重ならない部分に位置している。具体的に、保持本体部31は、貼着シート14に区画された中央開口領域に位置している。中央開口領域のうち、保持本体部31よりもスリット18側の領域は、受け入れ部32を構成する。すなわち、受け入れ部32は、カテーテル、シース等の管部材を、スリット18及び間隙23を通じて、貼着シート14の外側から受け入れることができる領域である。受け入れ部32は、回動軸Dに直交する断面視で(図4A、図4B参照)、回動軸Dに対して、押圧部70が圧迫部50を押圧した際に圧迫部50が回動する方向側(図4A、図4Bにおける左側)に位置する。
本実施形態の保持本体部31は、圧迫部50及び押圧部70を収容する凹部を区画している。保持本体部31の凹部は、下方向A1が開放されており、上方向A2側に位置する底部33と、底部33に連続し圧迫部50及び押圧部70を取り囲む側壁部34と、により区画されている。側壁部34は、下方向A1の端部に、凹部の内側に向けて厚み方向Aと直交する方向に突設された、圧迫部50及び押圧部70を凹部内に仮止めするための仮止め部35を有する。
本実施形態の本体部10は、生体表面に穿刺された管部材の位置をガイドするガイド部36を有する。ガイド部36は、回動軸Dに直交する断面視で(図4A、図4B参照)、回動軸Dに対して、押圧部70が圧迫部50を押圧した際に圧迫部50が回動する方向側に位置する。詳細には、ガイド部36は、圧迫部50により圧迫される生体表面の位置から所定の距離に、管部材の位置をガイドすることができる。本実施形態のガイド部36は、保持本体部31の受け入れ部32に面する側壁部34の下方向A1側の端部で構成され、受け入れ部32に受け入れられた管部材を接触させてガイドすることができる。ガイド部36は、このような構成には限定されず、例えば、印刷等により保持本体部31に形成されるマークとしてもよい。この場合、保持本体部31を可視光透過性の材料で形成し、医療従事者等の目視による上面視で、当該マークと管部材とが同じ位置になるように、管部材を保持本体部31の下方向A1側に潜り込ませるようにしてガイドすることができる。
本実施形態の保持部材21は、取付部22及び保持本体部31を接続するアーム部46をさらに備える。アーム部46は、保持本体部31の外壁から厚み方向Aと直交する方向に直線状に突設され、下方向A1側で取付部22に連続している。本実施形態のアーム部46は複数(本実施形態では2つ)設けられており、保持本体部31の外壁から互いに逆方向に向かって突出している。
本実施形態の保持部材21の材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。この樹脂材料としては、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性ポリウレタン、ポリメチレンメタクリレート、ポリオキシエチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の射出成形で用いられる熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
保持部材21のうち少なくとも保持本体部31は、超音波透過性を有する材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部50及び押圧部70についても、超音波透過性を有する材料で形成されることが好ましい。圧迫部50として後述する拡張圧迫体51を用いる場合には、拡張圧迫体51が超音波透過性を有する材料で形成されているのみならず、拡張圧迫体51に供給される流体についても、水やゲル等の超音波透過性を有する流体を用いる。押圧部70として後述する拡張押圧体71を用いる場合には、拡張押圧体71が超音波透過性を有する材料で形成されているのみならず、拡張押圧体71に供給される流体についても、水やゲル等の超音波透過性を有する流体を用いる。このようにすれば、圧迫デバイス1による脈管の閉塞状態を、超音波装置により検出できる。この詳細は後述する。
<圧迫部50及びヒンジ部60>
圧迫部50は、生体表面を圧迫可能である。ヒンジ部60は、圧迫部50を本体部10に対して回動軸D(図4A、図4B参照)の周りを回動可能に支持している。つまり、圧迫部50は、回動軸Dの周りを回動することで、生体表面を圧迫可能である。本実施形態の圧迫部50は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体51で構成されている。本実施形態のヒンジ部60は、可撓性を有する変形部を有し、拡張圧迫体51と一体に連なる材料ヒンジ61で構成されている。材料ヒンジ61は、本体部10の保持本体部31に固定されている。詳細には、材料ヒンジ61の、拡張圧迫体51が位置する側とは反対側の一端は、図4A、図4Bの紙面垂直方向に沿う所定長に亘って、保持本体部31に融着等により接合されている。材料ヒンジ61の変形部は、例えば材料ヒンジ61の変形部以外の部分よりも薄く形成されることで、変形可能に形成されている。このように、材料ヒンジ61は、保持本体部31に固定され、かつ、変形可能な変形部を有するので、材料ヒンジ61と一体に連なる拡張圧迫体51を、当該変形部の周りを回動可能に支持している。すなわち、材料ヒンジ61の変形部は、回動軸Dを構成する。材料ヒンジ61の変形部は、材料ヒンジ61の回動軸Dを含む一部を構成してもよいし、材料ヒンジ61の全体を構成してもよい。
圧迫部50としての拡張圧迫体51は、固定部材11としての貼着シート14が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dの周りを回動することで、退避状態と、退避状態よりも厚み方向Aにおける下方向A1に位置して生体表面をより強く圧迫する突出状態と、に形態変形することができる。本実施形態の拡張圧迫体51は、退避状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート14の下面12よりも上方向A2に位置し、突出状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート14の下面12よりも下方向A1に位置する。圧迫部50としての拡張圧迫体51は、退避状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート14の下面12と同じ位置に位置してもよいし、下面12よりも下方向A1に位置してもよい。図4Aは、拡張圧迫体51の退避形態を示している。図4Bは、拡張圧迫体51の突出形態を示している。拡張圧迫体51は、退避形態(図4A参照)から突出形態(図4B参照)に形態変化することで、回動軸Dの周りを回動しながら、厚み方向Aにおいて貼着シート14の下面12よりも下方向A1に向かって突出することが可能である。これにより、拡張圧迫体51は、貼着シート14が生体表面に貼着されている状態で、中央開口領域において、生体表面を押圧して圧迫することができる。拡張圧迫体51の詳細については後述する。
<押圧部70>
押圧部70は、圧迫部50を回動軸D(図4A、図4B参照)の周りの一方の回動方向に押圧可能である。具体的に、押圧部70は、固定部材11としての貼着シート14が生体表面に貼着により固定されている状態で、圧迫部50を回動軸Dの周りの生体表面に向かう回動方向(図4A、図4Bの右回り方向)に押圧可能である。本実施形態の押圧部70は、本体部10と圧迫部50との間に位置し、流体の供給により拡張可能な拡張押圧体71で構成される。具体的に、本実施形態の拡張押圧体71は、保持本体部31の底部33と拡張圧迫体51との間に位置する。拡張押圧体71の詳細については後述する。
<拡張圧迫体51及び拡張押圧体71>
主に図4A及び図4Bを参照して、本実施形態の拡張圧迫体51及び拡張押圧体71の詳細について説明する。図4A及び図4Bに示すように、拡張押圧体71が区画する内部空間は、流体供給部としてのチューブ90に連通している。拡張押圧体71の内部空間には、チューブ90の端部に設けられた接続部91(図1等参照)としてのインフレーションポートに接続される流体供給器具から、チューブ90を通じて、例えば空気等の流体が供給される。これにより、拡張押圧体71を拡張させることができる。拡張押圧体71の内部空間に供給される流体は、気体に限らず、液体であってもよい。
図4A及び図4Bに示すように、拡張押圧体71が区画する内部空間、及び、拡張圧迫体51が区画する内部空間、は連通している。そのため、流体供給部としてのチューブ90から供給される流体が、拡張押圧体71の内部空間を通じて、拡張圧迫体51の内部空間に供給される。これにより、拡張押圧体71を拡張させるとともに、拡張圧迫体51を拡張させることができる。拡張圧迫体51が区画する内部空間は、流体供給部としてのチューブ90に直接連通していてもよい。具体的に、チューブ90は、3方向に分岐した例えばY字状の分岐部を有し、第1の端部に接続部91(図1等参照)を有し、第2の端部で拡張押圧体71が区画する内部空間と連通し、第3の端部で拡張圧迫体51が区画する内部空間と連通してもよい。その場合、拡張押圧体71が区画する内部空間、及び、拡張圧迫体51が区画する内部空間は、直接連通していなくてもよい。
チューブ90から流体が供給されると、拡張押圧体71及び拡張圧迫体51が拡張する。拡張押圧体71の拡張は、上方向A2側が底部33により規制される。また、拡張押圧体71の拡張は、厚み方向Aと直交する方向の周囲に位置する側壁部34により規制される。つまり、拡張押圧体71は、凹部の底部33及び側壁部34により規制されることにより、下方向A1側に向かって突出するように拡張する。
拡張押圧体71が下方向A1側に向かって突出するように拡張すると、拡張押圧体71の下方向A1側に位置する拡張圧迫体51が、拡張押圧体71により下方向A1側に押圧される。拡張圧迫体51は、ヒンジ部60により回動軸Dの周りを回動可能に支持されているため、図4A、図4Bに示す回動軸Dに直交する断面視で、回動軸Dを中心に右回り方向に回動する。また、拡張圧迫体51の拡張は、上方向A2側が拡張押圧体71により規制され、厚み方向Aと直交する方向の周囲に位置する側壁部34により規制される。つまり、拡張圧迫体51は、回動軸Dを中心に右回り方向に突出するように、回動しながら拡張する。そのため、拡張圧迫体51は、固定部材11としての貼着シート14が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dを中心に右回り方向に向かって生体表面を押圧して圧迫することができる。また、拡張圧迫体51は、生体表面の形状に追従しながら拡張するため、生体への損傷を抑制することができる。
圧迫部50としての拡張圧迫体51は、生体表面と接触する位置に滑り止め部を有してもよい。滑り止め部は、拡張圧迫体51全体の構成材料を滑りにくい材料とすることで構成してもよいし、拡張圧迫体51の下方向A1側の表面の一部を滑りにくい部材とすることで構成してもよい。このような構成とすることで、圧迫部50としての拡張圧迫体51が接触した生体表面を、回動方向に向けて押し込むように圧迫することができる。滑り止め部の一例については後述する(図10A、図10B参照)。
本実施形態では、拡張圧迫体51の拡張した状態での大きさは、拡張押圧体71の拡張した状態での大きさよりも大きいが、拡張圧迫体51の拡張した状態での大きさは、拡張押圧体71の拡張した状態での大きさよりも小さくてもよい。このような構成によれば、生体表面の拡張圧迫体51により圧迫される面積をより小さくすることができるので、圧迫される圧力をより大きくしやすい。拡張圧迫体51の拡張した状態での大きさは、拡張押圧体71の拡張した状態での大きさと等しくてもよい。このような構成によれば、拡張圧迫体51と拡張押圧体71とを同一の部材とすることができるため、圧迫デバイス1の製造に必要な部材の種類を減らすことができる。
拡張圧迫体51及び拡張押圧体71は、例えば空気等の気体により拡張するバルーンであってもよい。拡張圧迫体51及び拡張押圧体71の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、またはこれらのうち任意の材料を混合した、可撓性を有する材料を用いることができる。
<圧迫デバイス1を用いて行う圧迫方法>
次に、圧迫デバイス1を用いて行う生体表面の圧迫方法について説明する。図5は、生体表面の圧迫方法の一例を示すフローチャートである。図5に示す圧迫方法は、受け入れ工程S1と、固定工程S2と、第1圧迫工程S3と、抜去工程S4と、第2圧迫工程S5と、を含む。図6Aおよび図6Bは、受け入れ工程S1の概要を示す図である。図6Cおよび図6Dは、固定工程S2の概要を示す図である。図6Eは、第1圧迫工程S3の概要を示す図である。図6Fは、抜去工程S4の概要を示す図である。図6Gは、第2圧迫工程S5の概要を示す図である。
図5、図6A〜図6Gに示す圧迫方法は、生体表面BSを圧迫することで、生体表面BSから結合組織を通じて、脈管内、例えば大腿静脈などの静脈内、に挿入されている状態の医療器具100としての管部材を抜去することで形成される穿孔を、脈管を閉塞することなく、狭窄又は閉塞する、圧迫方法である。これにより、医療器具100としての管部材を抜去した後の止血を行うことができる。まず、医療器具100を抜去した後に形成される穿孔について図7Aおよび図7Bを参照して説明する。図7Aは、医療器具100としての管部材が生体表面BSから結合組織CTを通じて、大腿静脈FV内に挿入されている状態を示している。図7Aでは、医療器具100としての管部材を3本示しているが、2本以下であってもよく、4本以上であってもよい。図7Bは、図7Aに示す状態から医療器具100としての管部材を抜去した後の状態を示している。図7Bに示すように、医療器具100としての管部材を抜去することで、生体表面BSと大腿静脈FVとの間に穿孔Pが形成される。図5、図6A〜図6Gに示す圧迫方法では、大腿静脈FVを閉塞することなく、穿孔Pを狭窄又は閉塞することができる。そのため、生体表面から深い位置にある静脈からの出血の止血を行う場合であっても、その静脈自体を狭窄又は閉塞する必要がなく、より効率的に止血を行うことができる。以下、図6A〜図6Gを参照して、各工程S1〜S5の詳細について説明する。
図6Aは、生体表面BSから大腿静脈FV(図7A、図7B参照)内に医療器具100としての管部材が挿入されている状態を示している。まずは、この状態で、圧迫デバイス1を生体表面BS上に取り付ける。圧迫デバイス1を生体表面BS上に取り付ける前に、圧迫デバイス1を患者の近くに配置しておく。
図6Bは、医療器具100としての管部材の位置を受け入れ部32で受け入れた状態を示している。図6Bに示すように、医療器具100の生体外に延在する部分を、スリット18及び間隙23を通じて、貼着シート14の外側から受け入れ部32へと移動させる。これにより、圧迫デバイス1の生体表面BS上での固定位置を、医療器具100の生体外に延在する部分が受け入れ部32に位置する範囲内に規定することができる。医療器具100の生体外に延在する部分を、受け入れ部に移動させた後に、ガイド部36でガイドさせてもよい。具体的に、ガイド部36が医療器具100としての管部材に接触した状態で、ガイド部36を管部材の表面で滑らせながら生体表面BS側に移動させることで、圧迫デバイス1が生体表面BS上で固定される位置をガイドすることができる。
図6Cに示すように、圧迫デバイス1の生体表面BS上での固定位置を決定した後、貼着シート14の下面12に積層されている剥離シート20を剥離して、下面12を露出させる。その後、図6Bで決定した位置に、図6Dに示すように、貼着シート14の下面12を貼着することにより、圧迫デバイス1の本体部10を生体表面BSに固定することができる。
次に、図6Eに示すように、チューブ90の接続部91に流体供給器具としてのシリンジ95を接続する。チューブ90を通じて、圧迫デバイス1の拡張押圧体71(図4A、図4B参照)及び拡張圧迫体51(図4A、図4B参照)に対して空気を供給し、拡張押圧体71及び拡張圧迫体51を拡張させる。このようにすることで、医療器具100としての管部材を生体表面BSから抜去する前に、生体表面BSの傷口近傍を、予め圧迫することができる。換言すれば、医療器具100としての管部材が生体表面BSから結合組織CT(図7A、図7B参照)を通じて脈管としての大腿静脈FV内に挿入されている状態で生体表面BSの圧迫を開始する。このように、医療器具100を生体表面BSから抜去する前に圧迫しておくことで、医療器具100としての管部材の抜去直後に、生体表面BSから大腿静脈FV(図7A、図7B参照)まで延在する穿孔P(図7B参照)を狭窄又は閉塞するように、生体表面BSを圧迫することができる。
次に、図6Fに示すように、医療器具100としての管部材を生体表面BSから抜去する。より具体的に、本実施形態の医療器具100としての管部材は、受け入れ部32を通じて、生体外へと抜去される。この管部材の抜去により、図7Bで示す穿孔Pが形成される。仮に、この状態で生体表面BSを全く圧迫しない場合は、大腿静脈FVから穿孔Pおよび生体表面BS上の傷口を通じて、生体外に出血する。しかしながら、ここで示す圧迫方法では、図6Eに示すように、医療器具100としての管部材を生体表面BSから抜去する前に、予め生体表面BSを圧迫しておく。そのため、管部材を抜去した直後に、穿孔P(図7B参照)を狭窄又は閉塞するように、生体表面BSを圧迫でき、管部材の抜去直後における出血量を抑制することができる。
次に、図6Gに示すように、チューブ90の接続部91に流体供給器具としてのシリンジ95を再び接続する。チューブ90を通じて、圧迫デバイス1の拡張押圧体71(図4A、図4B参照)及び拡張圧迫体51(図4A、図4B参照)に対して、再び空気を供給して加圧する、又は、空気を抜いて減圧する。換言すれば、医療器具100としての管部材を抜去後に生体表面BSの圧迫力を調整する。これにより、生体表面BSの圧迫力を調整して、大腿静脈FV(図7A、図7B参照)を閉塞することなく、穿孔P(図7B参照)を更に狭窄又は閉塞させることで、出血量を大きく低減させる又は出血を止める、ことができる。
より具体的に、管部材抜去後に出血が確認された場合には、止血が達成されるまで圧迫力をゆっくり高めて加圧する。これに対して、管部材抜去後に止血が確認された場合には、出血が確認されるまで圧迫力をゆっくり低下させて減圧する。そして、出血が確認された後に、止血が達成されるまで圧迫力をゆっくり高めて加圧する。このようにすることで、過加圧による大腿静脈FV(図7A、図7B参照)の閉塞を防止することができる。
また、拡張圧迫体51は、図7Bにおける穿孔Pの右側の生体表面BSを、回動軸Dの周りを右回り方向に回動して圧迫するので(図7Bの白抜き矢印参照)、穿孔Pの延在方向に交差する方向に向けて生体表面BSを圧迫することができる。これにより、圧迫方向が生体表面BSに略直交する方向である場合よりも、穿孔Pを小さい圧力で狭窄又は閉塞させることができる。
生体表面BSが適切に圧迫されているか否かを、超音波装置を用いて検出してもよい。具体的に、保持本体部31、拡張圧迫体51、及び拡張押圧体71(図4A、図4B参照)を、超音波透過性を有する材料で形成し、拡張圧迫体51及び拡張押圧体71に水等の超音波透過性を有する流体を供給する構成とすることで、圧迫デバイス1による圧迫状態を、超音波により診断できる。つまり、超音波装置により、大腿静脈FV(図7A、図7B参照)が閉塞されているか否かを検出することができる。超音波装置による診断結果に基づき、圧迫デバイス1の圧迫力を調整してもよい。
そのまま、数時間(例えば2〜6時間)、圧迫状態を維持することで、止血を完了することができる。止血完了後は、貼着シート14の下面12を生体表面BSから剥離することで、圧迫デバイス1を生体表面BSから取り外す。
ここで示す圧迫方法は、大腿静脈FV(図7A、図7B参照)を閉塞せずに、穿孔P(図7B参照)を狭窄又は閉塞する。静脈の止血の場合には、穿孔P(図7B参照)の狭窄又は閉塞により、止血を行うことができる。これに対して、例えば、大腿動脈の止血の場合には、穿孔のみを閉塞しても、結合組織CT(図7A、図7B参照)内に血液が漏れ拡がるため、止血することができない。大腿動脈の止血の場合には、動脈自体を狭窄又は閉塞するほど強く圧迫する方法、動脈壁の孔を塞ぐ方法等、大がかりな対応が必要になる。
したがって、上述の圧迫方法では、生体表面BSを、生体表面BSからの圧迫深さが5mm〜20mmとなる位置まで圧迫することが好ましい。圧迫深さを上記範囲とすることで、静脈を閉塞することなく、穿孔P(図7B参照)を狭窄又は閉塞する圧迫状態を実現し易い。圧迫深さは、5mm〜15mmとすることがより好ましく、8mm〜12mmとすることが更に好ましい。本実施形態の拡張圧迫体51は、生体表面BSを回動軸Dの周りの回動方向に圧迫するので、生体表面BSを生体表面BSと略直交する方向に圧迫する場合よりも、圧迫深さが深くなり過ぎないように制御しやすい。
更に、上述の圧迫方法では、生体表面BSを、生体表面BSから100g/cm2〜400g/cm2で圧迫することが好ましい。この圧迫圧力は、医療器具100としての管部材を抜去した後の圧力であり、上述した管部材抜去前の圧迫力を意味しない。圧迫圧力を上記範囲とすることで、静脈を閉塞することなく、穿孔P(図7B参照)を狭窄又は閉塞する圧迫状態を実現し易い。圧迫圧力は、200g/cm2〜400g/cm2とすることがより好ましく、200g/cm2〜300g/cm2とすることが更に好ましい。
図5、図6A〜図6Gに示す圧迫方法によれば、穿孔P(図7B参照)を、大腿静脈FVなどの静脈を閉塞することなく、狭窄又は閉塞することで、止血を行うことができる。特に、圧迫デバイス1により上述の圧迫方法を実現することで、医療従事者の手による圧迫や、大がかりな止血器具の使用などを不要にし、簡単な方法で止血を行うことができる。更に、図7Bに示すように、穿孔Pが纏まって複数本ある場合であっても、複数の穿孔Pを纏めて狭窄又は閉塞することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態としての圧迫デバイス101について、図8〜図10を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図8は、圧迫デバイス101の斜視図である。図9は、圧迫デバイス101の他の斜視図である。図10A、図10Bは、図8のB−B線に沿う断面図である。具体的に、図10Aは、圧迫デバイス101の後述する圧迫部150が退避状態にある状態を示す。図10Bは、圧迫デバイス101の後述する圧迫部150が突出状態にある状態を示す。
圧迫デバイス101は、本体部110と、圧迫部150と、ヒンジ部160と、押圧部170と、を備える。
<本体部110>
本実施形態の本体部110は、生体表面に固定可能な固定部材111と、固定部材111に取り付けられ、圧迫部150及び押圧部170を保持する保持部材121と、を備える。
本実施形態の固定部材111は、後述する回動軸D(図10A、図10B参照)に沿う方向に延在した、生体周囲に巻きつけ可能なベルト部114である。ベルト部114が「回動軸Dに沿う方向に延在」するとは、ベルト部114が回動軸Dに沿う方向に延在する成分を少なくとも有することを意味する。よって、ベルト部114は、回動軸Dに沿う方向に対して斜めに延在していてもよいし、直線状ではなく例えば湾曲して延在していなくてもよい。ベルト部114は可撓性を有する。そのため、ベルト部114を、生体表面の形状に沿って変形させながら、生体周囲に巻き付けて固定することができる。本実施形態の固定部材111としてのベルト部114は、巻き付けていない状態で、下方向A1側に下面112を備え、上方向A2側に上面113を備える。固定部材111の下面112は、生体表面に固定可能な固定面を構成する。図8〜図10は、ベルト部114を巻き付けた状態を示す。
ベルト部114は、生体周囲の全長に応じて、延在方向に沿う周囲長を調整することができる。具体的に、ベルト部114は、延在方向の一端に保持部材121に接続された接続部115aを有し、延在方向の他端近傍に、延在方向に沿って連接された複数の取付穴115bを有する。取付穴115bは、下面112から上面113に貫通した穴である。複数の取付穴115bのうちの所望の取付穴115bに、保持部材121の後述する取付突起122を嵌合させることで、ベルト部114の延在方向に沿う周囲長を所望の長さとすることができる。
本実施形態の保持部材121には、ベルト部114が接続部115aにより接続されている。また、保持部材121は、ベルト部114を生体周囲に巻き付けた状態で固定させるための取付突起122を、上方向A2側の端部に有する。保持部材121は、ベルト部114を生体周囲に巻き付けた状態では、厚み方向Aにおいて、ベルト部114と生体周囲との間に配置される。すなわち、ベルト部114を生体周囲に巻き付けた状態では、保持部材121の後述する側壁部134が直接生体表面に接触している。
図9に示すように、本実施形態の保持部材121は、圧迫部150及び押圧部170を収容する凹部を区画している。保持部材121の凹部は、下方向A1が開放されており、上方向A2側に位置する底部133と、底部133に連続し圧迫部150及び押圧部170を取り囲む側壁部134と、により区画されている。
本実施形態の保持部材121は、図8に示すように上面視で半円状の凹部である受け入れ部132を区画している。受け入れ部132は、カテーテル、シース等の管部材を、本体部110の外部から受け入れることができる領域である。受け入れ部132は、回動軸Dに直交する断面視で(図10A、図10B参照)、回動軸Dに対して、押圧部170が圧迫部150を押圧した際に圧迫部150が回動する方向側(図10A、図10Bにおける左側)に位置する。
本実施形態の本体部110は、生体表面に穿刺された管部材の位置をガイドするガイド部136を有する。ガイド部136は、回動軸Dに直交する断面視で(図10A、図10B参照)、回動軸Dに対して、押圧部170が圧迫部150を押圧した際に圧迫部150が回動する方向側に位置する。詳細には、ガイド部136は、圧迫部150により圧迫される生体表面の位置から所定の距離に、管部材を位置決めすることができる。本実施形態のガイド部136は、保持部材121の受け入れ部132に面する側壁部134の下方向A1側の端部で構成され、受け入れ部132に受け入れられた管部材を接触させてガイドすることができる。ガイド部136は、このような構成には限定されず、例えば、上述の圧迫デバイス1と同様に、印刷等により保持部材121に形成されるマークとしてもよい。この場合、上述の圧迫デバイス1と同様にしてガイドすることができる。
本実施形態の保持部材121の材料は、上述の圧迫デバイス1の保持部材21と同様とすることができる。
<圧迫部150及びヒンジ部160>
圧迫部150は、生体表面を圧迫可能である。ヒンジ部160は、圧迫部150を本体部110に対して回動軸D(図10A、図10B参照)の周りを回動可能に支持している。つまり、圧迫部150は、回動軸Dの周りを回動することで、生体表面を圧迫可能である。本実施形態の圧迫部150は、回動軸Dに平行な平面に沿って延在する板状部材151で構成されている。本実施形態のヒンジ部160は、可撓性を有する変形部を有し、板状部材151と一体に連なる材料ヒンジ161で構成されている。材料ヒンジ161は、本体部110としての保持部材121に固定されている。詳細には、材料ヒンジ161の、板状部材151が位置する側とは反対側の一端は、図10A、図10Bの紙面垂直方向に沿う所定長に亘って、保持部材121に融着等により接合されている。材料ヒンジ161の変形部は、例えば材料ヒンジ161の変形部以外の部分よりも薄く形成されることで、変形可能に形成されている。このように、材料ヒンジ161は、保持部材121に固定され、かつ、変形可能な変形部を有するので、材料ヒンジ161と一体に連なる板状部材151を、当該変形部の周りを回動可能に支持している。すなわち、材料ヒンジ161の変形部は、回動軸Dを構成する。材料ヒンジ161の変形部は、材料ヒンジ161の回動軸Dを含む一部を構成してもよいし、材料ヒンジ161の全体を構成してもよい。
圧迫部150としての板状部材151は、固定部材111としてのベルト部114が生体表面に固定されている状態で、回動軸Dの周りを回動することで、退避状態と、退避状態よりも厚み方向Aにおける下方向A1に位置して生体表面をより強く圧迫する突出状態と、に形態変形することができる。本実施形態の板状部材151は、退避状態では、厚み方向Aにおいて保持部材121の下端よりも上方向A2に位置し、突出状態では、厚み方向Aにおいて保持部材121の下端よりも下方向A1に位置する。圧迫部150としての板状部材151は、退避状態では、厚み方向Aにおいて保持部材121の下端と同じ位置に位置してもよいし、保持部材121の下端よりも下方向A1に位置してもよい。図10Aは、板状部材151の退避形態を示している。図10Bは、板状部材151の突出形態を示している。板状部材151は、退避形態(図10A参照)から突出形態(図10B参照)に形態変化することで、回動軸Dの周りを回動しながら、厚み方向Aにおいて保持部材121の下端よりも下方向A1に向かって突出することが可能である。これにより、板状部材151は、ベルト部114が生体表面に固定されている状態で、生体表面を押圧して圧迫することができる。板状部材151の詳細については後述する。
<押圧部170>
押圧部170は、圧迫部150を回動軸D(図10A、図10B参照)の周りの一方の回動方向に押圧可能である。具体的に、押圧部170は、固定部材111としてのベルト部114が生体表面に固定されている状態で、圧迫部150を回動軸Dの周りの生体表面に向かう回動方向(図10A、図10Bの右回り方向)に押圧可能である。本実施形態の押圧部170は、本体部110と圧迫部150との間に位置し、流体の供給により拡張可能な拡張押圧体171で構成される。具体的に、本実施形態の拡張押圧体171は、保持部材121の底部133と板状部材151との間に位置する。拡張押圧体171の詳細については後述する。
<板状部材151及び拡張押圧体171>
主に図10A及び図10Bを参照して、本実施形態の板状部材151及び拡張押圧体171について説明する。図10A及び図10Bに示すように、拡張押圧体171が区画する内部空間は、流体供給部としてのチューブ190に連通している。拡張押圧体171の内部空間には、チューブ190の端部に設けられた接続部191(図8等参照)としてのインフレーションポートに接続される流体供給器具から、チューブ190を通じて、例えば空気等の流体が供給される。これにより、拡張押圧体171を拡張させることができる。拡張押圧体171の内部空間に供給される流体は、気体に限らず、液体であってもよい。
チューブ190から流体が供給されると、拡張押圧体171が拡張する。拡張押圧体171の拡張は、上方向A2側が底部133により規制される。また、拡張押圧体171の拡張は、厚み方向Aと直交する方向の周囲に位置する側壁部134により規制される。つまり、拡張押圧体171は、凹部の底部133及び側壁部134により規制されることにより、下方向A1側に向かって突出するように拡張する。
拡張押圧体171が下方向A1側に向かって突出するように拡張すると、拡張押圧体171の下方向A1側に位置する板状部材151が、拡張押圧体171により下方向A1側に押圧される。板状部材151は、ヒンジ部160により回動軸Dの周りを回動可能に支持されているため、図10A、図10Bに示す回動軸Dに直交する断面視で、回動軸Dを中心に右回り方向に回動する。そのため、板状部材151は、固定部材111としてのベルト部114が生体表面に固定されている状態で、回動軸Dを中心に右回り方向に生体表面を押圧して圧迫することができる。
圧迫部150としての板状部材151は、生体表面と接触する位置に滑り止め部としての滑り防止シート152を有する。滑り防止シート152は、板状部材151の下方向A1側の表面の一部に位置する滑りにくい部材である。このような構成とすることで、圧迫部150としての板状部材151が接触した生体表面を、回動方向に向けて押し込むように圧迫することができる。
拡張押圧体171は、例えば空気等の気体により拡張するバルーンであってもよい。拡張押圧体171の構成材料は、上述の圧迫デバイス1の拡張押圧体71と同様とすることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態としての圧迫デバイス201について、図11〜図14を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図11は、圧迫デバイス201の斜視図である。図12、図13は、圧迫デバイス201の平面図である。具体的に、図12は、圧迫デバイス201の上面図である。図13は、圧迫デバイス201の下面図である。図14A、図14Bは、図12のC−C線に沿う断面図である。具体的に、図14Aは、圧迫デバイス201の後述する圧迫部250が退避状態にある状態を示す。図14Bは、圧迫デバイス201の後述する圧迫部250が突出状態にある状態を示す。
圧迫デバイス201は、本体部210と、圧迫部250と、ヒンジ部260と、押圧部270と、を備える。
<本体部210>
本実施形態の本体部210は、生体表面に固定可能な固定部材211と、固定部材211に取り付けられ、圧迫部250及び押圧部270を保持する保持部材221と、を備える。
本実施形態の固定部材211は、下方向A1側に下面212を備え、上方向A2側に上面213を備える。固定部材211の下面212は、生体表面に固定可能な固定面を構成する。本実施形態の固定部材211は、生体表面に貼着可能な貼着シート214で構成される。本実施形態の貼着シート214は、平面視(図12、図13参照)において、略長方形をなしており、長手方向に所定の間隔を空けて2つ設けられている。貼着シート214は、その個数及び平面視での形状以外の点では上述の圧迫デバイス1の貼着シート14と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態の保持部材221は、固定部材211に取り付けられる取付部222と、圧迫部250及び押圧部270を保持する保持本体部231と、を備える。本実施形態の取付部222は、保持本体部231の外壁から厚み方向Aと直交する方向に直線状に突設され、下方向A1側で固定部材211としての貼着シート214に取り付けられている。取付部222は、2つ設けられ、それぞれ上述の2つの貼着シート214の1つに対応している。本実施形態の取付部222は、厚み方向Aに薄く、貼着シート214に追従して変形可能である。取付部222は、貼着シート214に追従した変形が可能ではなくてもよい。その場合、取付部222は、取付部222に加わる力をより分散させることができる。
本実施形態の保持本体部231は、平面視(図12、図13参照)において貼着シート214と重ならない部分に位置している。具体的に、保持本体部231は、2つの貼着シート214の間の領域に位置している。
本実施形態の保持本体部231は、圧迫部250及び押圧部270の一部を収容する凹部を区画している。保持本体部231の凹部は、下方向A1が開放されており、上方向A2側に位置する底部233と、底部233に連続し圧迫部250及び押圧部270の一部を取り囲む側壁部234と、により区画されている。また、本実施形態の保持本体部231は、底部233の一部で厚み方向Aに貫通した連通孔238を区画している。連通孔238の内周面には、雌ねじが形成されている。
本実施形態の保持本体部231は、圧迫部250の回動軸D(図14A、図14B参照)の周りでの回動範囲を規制する角度規制部237をさらに備える。詳細には、角度規制部237は、圧迫部250が生体表面を圧迫する側に回動する角度の上限を規定する。これにより、生体表面からの圧迫深さを制御することができる。角度規制部237は、例えば回動軸Dの下方向A1側で、側壁部234から凹部側に向けて厚み方向Aと直交する方向に突設された突起で構成される。これにより、圧迫部250は、生体表面を圧迫する側に所定の角度だけ回動すると、当該突起に当接して、それ以上の回動が規制される。
本実施形態の保持本体部231は、図11に示すように側壁部234により下方向A1側に区画された空間である受け入れ部232を有している。受け入れ部232は、回動軸Dに直交する断面視で(図14A、図14B参照)、回動軸Dに対して、押圧部270が圧迫部250を押圧した際に圧迫部250が回動する方向側(図14A、図14Bにおける左側)に位置する。
本実施形態の本体部210は、生体表面に穿刺された管部材の位置をガイドするガイド部236を有する。ガイド部236は、回動軸Dに直交する断面視で(図14A、図14B参照)、回動軸Dに対して、押圧部270が圧迫部250を押圧した際に圧迫部250が回動する方向側に位置する。詳細には、ガイド部236は、圧迫部250により圧迫される生体表面の位置から所定の距離に、管部材を位置決めすることができる。本実施形態のガイド部236は、保持本体部231の側壁部234の下方向A1側の端部で構成され、管部材を接触させてガイドすることができる。ガイド部236は、このような構成には限定されず、例えば、上述の圧迫デバイス1と同様に、印刷等により保持本体部231に形成されるマークとしてもよい。この場合、上述の圧迫デバイス1と同様にしてガイドすることができる。
本実施形態の保持部材221の材料は、圧迫デバイス1の保持部材21と同様とすることができる。
<圧迫部250及びヒンジ部260>
圧迫部250は、生体表面を圧迫可能である。ヒンジ部260は、圧迫部250を本体部210に対して回動軸D(図14A、図14B参照)の周りを回動可能に支持している。つまり、圧迫部250は、回動軸Dの周りを回動することで、生体表面を圧迫可能である。本実施形態の圧迫部250は、回動軸Dに平行な平面に沿って延在する板状部材251で構成される。板状部材251の一端は、図14A、図14Bの紙面垂直方向に沿って延在し、保持部材221の側壁部234に支持された機械ヒンジ252により、回動可能に支持されている。換言すれば、本実施形態のヒンジ部260は、機械ヒンジ252で構成される。すなわち、回動軸Dは、ヒンジ部260としての機械ヒンジ252の回動軸である。機械ヒンジ252は、本体部210としての保持部材221と、圧迫部250としての板状部材251との間に介在している。
圧迫部250としての板状部材251は、固定部材211としての貼着シート214が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dの周りを回動することで、退避状態と、退避状態よりも厚み方向Aにおける下方向A1に位置して生体表面をより強く圧迫する突出状態と、に形態変形することができる。本実施形態の板状部材251は、退避状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート214の下面212よりも上方向A2に位置し、突出状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート214の下面212よりも下方向A1に位置する。圧迫部250としての板状部材251は、退避状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート214の下面212と同じ位置に位置してもよいし、下面212よりも下方向A1に位置してもよい。図14Aは、板状部材251の退避形態を示している。図14Bは、板状部材251の突出形態を示している。板状部材251は、退避形態(図14A参照)から突出形態(図14B参照)に形態変化することで、回動軸Dの周りを回動しながら、厚み方向Aにおいて貼着シート214の下面212よりも下方向A1に向かって突出することが可能である。これにより、板状部材251は、貼着シート214が生体表面に貼着されている状態で、貼着シート214が配置されていない領域において、生体表面を押圧して圧迫することができる。
<押圧部270>
押圧部270は、圧迫部250を回動軸D(図14A、図14B参照)の周りの一方の回動方向に押圧可能である。具体的に、押圧部270は、固定部材211としての貼着シート214が生体表面に貼着により固定されている状態で、圧迫部250を回動軸Dの周りの生体表面に向かう回動方向(図14A、図14Bの右回り方向)に押圧可能である。本実施形態の押圧部270は、保持本体部231の底部233に区画された連通孔238の雌ねじと螺合可能な雄ねじが形成され、連通孔238から圧迫部250側に突出可能な棒状部材271で構成される。すなわち、棒状部材271は、保持本体部231に対して上面視の一方の方向に回転させると、保持本体部231に対して下方向A1に移動し、保持本体部231に対して他方の方向に回転させると、保持本体部231に対して上方向A2に移動する。
棒状部材271を、保持本体部231に対して下方向A1に移動させると、棒状部材271は、下方向A1側に向かって突出する。棒状部材271が下方向A1側に向かって突出すると、棒状部材271の下方向A1側に位置する圧迫部250としての板状部材251が、棒状部材271により下方向A1側に押圧される。板状部材251は、ヒンジ部260により回動軸Dの周りで回動可能に支持されているため、図14A、図14Bに示す回動軸Dに直交する断面視で、回動軸Dを中心に右回り方向に回動する。そのため、板状部材251は、固定部材211としての貼着シート214が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dを中心に右回り方向に生体表面を押圧して圧迫することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態としての圧迫デバイス301について、図15〜図17を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図15は、圧迫デバイス301の斜視図である。図16は、圧迫デバイス301の他の斜視図である。図17A、図17Bは、圧迫デバイス301の側面図である。具体的に、図17Aは、圧迫デバイス301の後述する圧迫部350が退避状態にある状態を示す。図17Bは、圧迫デバイス301の後述する圧迫部350が突出状態にある状態を示す。
圧迫デバイス301は、本体部310と、圧迫部350と、ヒンジ部360と、押圧部370と、を備える。
<本体部310>
本実施形態の本体部310は、生体表面に固定可能な固定部材311と、固定部材311に取り付けられ、圧迫部350及び押圧部370を保持する保持部材321と、を備える。
本実施形態の固定部材311は、後述する回動軸D(図17A、図17B参照)に沿う方向に延在した、生体周囲に巻きつけ可能なベルト部314である。ベルト部314が「回動軸Dに沿う方向に延在」するとは、ベルト部314が回動軸Dに沿う方向に延在する成分を少なくとも有することを意味する。よって、ベルト部314は、回動軸Dに沿う方向に対して斜めに延在していてもよいし、直線状ではなく例えば湾曲して延在していなくてもよい。ベルト部314は可撓性を有する。そのため、ベルト部314を、生体表面の形状に沿って変形させながら、生体周囲に巻き付けて固定することができる。本実施形態の固定部材311としてのベルト部314は、巻き付けていない状態で、下方向A1側に下面312を備え、上方向A2側に上面313を備える。固定部材311の下面312は、生体表面に固定可能な固定面を構成する。図15〜図17は、ベルト部314を巻き付けた状態を示す。
ベルト部314は、生体周囲の全長に応じて、延在方向に沿う周囲長を調整することができる。具体的に、ベルト部314は、延在方向の一端に保持部材321に接続された接続部315aを有し、延在方向の他端近傍に、延在方向に沿って延在する取付面315bを有する。取付面315bは、保持部材321の後述する取付面322の任意の位置に着脱可能に取り付けることができる。取付面315b及び取付面322は、例えば一組の面ファスナーで構成される。取付面315bを取付面322の所望の位置に取り付けることで、ベルト部314の延在方向に沿う周囲長を所望の長さとすることができる。
本実施形態の保持部材321は、ベルト部314から回動軸Dに直交する方向に向かって延在する延在部である。保持部材321は、下方向A1側に下面324を備え、上方向A2側に上面325を備える。保持部材321の延在方向の一方の端部には、ベルト部314が接続部315aにより接続され、ベルト部314を生体周囲に巻き付けた状態で固定させるための取付面322が、上方向A2側に設けられている。保持部材321は、ベルト部314を生体周囲に巻き付けた状態では、厚み方向Aにおいて、ベルト部314と生体周囲との間に配置される。すなわち、ベルト部314を生体周囲に巻き付けた状態では、保持部材321の下面324が直接生体表面に接触している。詳細は後述するが、保持部材321は、延在方向の端部のうち、ベルト部314とは反対側の端部で、圧迫部350をヒンジ部360により支持している。
本実施形態の保持部材321は、図15に示すように上面視で凹部である受け入れ部332を区画している。受け入れ部332は、カテーテル、シース等の管部材を、本体部310の外部から受け入れることができる領域である。受け入れ部332は、回動軸Dに直交する断面視で(図17A、図17B参照)、回動軸Dに対して、押圧部370が圧迫部350を押圧した際に圧迫部350が回動する方向側(図17A、図17Bにおける左側)に位置する。ここで、図17A、図17Bは側面図であるが、回動軸Dに直交する断面図と同じ方向からの視点による図面であるため、図17A、図17Bでの各構成要素の位置関係は、回動軸Dに直交する断面視と同一である。
本実施形態の本体部310は、生体表面に穿刺された管部材の位置をガイドするガイド部336を有する。ガイド部336は、回動軸Dに直交する断面視で(図17A、図17B参照)、回動軸Dに対して押圧部370が圧迫部350を押圧した際に圧迫部350が回動する方向側に位置する。詳細には、ガイド部336は、圧迫部350により圧迫される生体表面の位置から所定の距離に、管部材を位置決めすることができる。本実施形態のガイド部336は、保持部材321の受け入れ部332を区画する側壁のうち、回動軸D側の側壁で構成され、受け入れ部332に受け入れられた管部材を接触させてガイドすることができる。ガイド部336は、このような構成には限定されず、例えば、上述の圧迫デバイス1と同様に、印刷等により保持部材321に形成されるマークとしてもよい。この場合、上述の圧迫デバイス1と同様にしてガイドすることができる。
本実施形態の保持部材321の材料は、上述の圧迫デバイス1の保持部材21と同様とすることができる。
<圧迫部350及びヒンジ部360>
圧迫部350は、生体表面を圧迫可能である。ヒンジ部360は、圧迫部350を本体部310に対して回動軸D(図17A、図17B参照)の周りを回動可能に支持している。つまり、圧迫部350は、回動軸Dの周りを回動することで、生体表面を圧迫可能である。本実施形態の圧迫部350は、回動軸Dに平行な平面に沿って延在する板状部材351で構成される。板状部材351の一端は、図17A、図17Bの紙面垂直方向に沿って延在し、保持部材321の延在方向のベルト部314が接続される端部とは反対側の端部で支持された機械ヒンジ352により、回動可能に支持されている。換言すれば、本実施形態のヒンジ部360は、機械ヒンジ352で構成される。すなわち、回動軸Dは、ヒンジ部360としての機械ヒンジ352の回動軸である。機械ヒンジ352は、本体部310としての保持部材321と、圧迫部350としての板状部材351との間に介在している。
圧迫部350としての板状部材351は、固定部材311としてのベルト部314が生体表面に固定されている状態で、回動軸Dの周りを回動することで、退避状態と、退避状態よりも厚み方向Aにおける下方向A1に位置して生体表面をより強く圧迫する突出状態と、に形態変形することができる。本実施形態の板状部材351は、退避状態では、厚み方向Aにおいて保持部材321の下端よりも上方向A2に位置し、突出状態では、厚み方向Aにおいて保持部材321の下端よりも下方向A1に位置する。圧迫部350としての板状部材351は、退避状態では、厚み方向Aにおいて保持部材321の下端と同じ位置に位置してもよいし、保持部材321の下端よりも下方向A1に位置してもよい。図17Aは、板状部材351の退避形態を示している。図17Bは、板状部材351の突出形態を示している。板状部材351は、退避形態(図17A参照)から突出形態(図17B参照)に形態変化することで、回動軸Dの周りを回動しながら、厚み方向Aにおいて保持部材321の下端よりも下方向A1に向かって突出することが可能である。これにより、板状部材351は、ベルト部314が生体表面に固定されている状態で、生体表面を押圧して圧迫することができる。
<押圧部370>
押圧部370は、圧迫部350を回動軸D(図17A、図17B参照)の周りの一方の回動方向に押圧可能である。具体的に、押圧部370は、固定部材311としてのベルト部314が生体表面に固定されている状態で、圧迫部350を回動軸Dの周りの生体表面に向かう回動方向(図17A、図17Bの右回り方向)に押圧可能である。本実施形態の押圧部370は、圧迫部350としての板状部材351に取り付けられており、圧迫部350から回動軸Dに沿う方向の両側に延在するバンド部371である。バンド部371が「回動軸Dに沿う方向」に延在するとは、バンド部371が回動軸Dに沿う方向に延在する成分を少なくとも有することを意味する。よって、バンド部371は、回動軸Dに沿う方向に対して斜めに延在していてもよいし、直線状ではなく例えば湾曲して延在していなくてもよい。バンド部371は、ベルト部314が生体表面に巻きつけられた状態で、ベルト部314に固定されると、圧迫部350としての板状部材351が上述の一方の回動方向、すなわち生体表面に向かう回動方向(図17A、図17Bの右回り方向)に回動した状態を維持するように、圧迫部350を押圧する。具体的に、バンド部371の延在方向の両端近傍と、ベルト部314とは、互いに取り付け可能な取付部を有する。より具体的に、バンド部371は、延在方向の両端近傍の下方向A1側の面に、取付面372を有する。ベルト部314は、生体表面に巻きつけられた状態での外面に、取付面316を有する。バンド部371の取付面372は、ベルト部314の取付面316の位置で着脱可能に取り付けることができる。取付面372及び取付面316は、例えば一組の面ファスナーで構成される。取付面372を取付面316の所望の位置に取り付けることで、圧迫部350としての板状部材351の回動角度を調整して固定することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態としての圧迫デバイス401について、図18〜図21を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図18は、圧迫デバイス401の斜視図である。図19、図20は、圧迫デバイス401の平面図である。具体的に、図19は、圧迫デバイス401の上面図である。図20は、圧迫デバイス401の下面図である。図21A、図21Bは、図19のD−D線に沿う断面図である。具体的に、図21Aは、圧迫デバイス401の後述する圧迫部450が退避状態にある状態を示す。図21Bは、圧迫デバイス401の後述する圧迫部450が突出状態にある状態を示す。
圧迫デバイス401は、本体部410と、圧迫部450と、ヒンジ部460と、押圧部470と、を備える。
<本体部410>
本実施形態の本体部410は、生体表面に固定可能な固定部材411と、固定部材411に取り付けられ、圧迫部450及び押圧部470を保持する保持部材421と、を備える。
本実施形態の固定部材411は、下方向A1側に下面412を備え、上方向A2側に上面413を備える。固定部材411の下面412は、生体表面に固定可能な固定面を構成する。本実施形態の固定部材411は、生体表面に貼着可能な貼着シート414で構成される。本実施形態の貼着シート414は、平面図(図19、図20参照)において、所定の間隔を空けて2つ設けられている。貼着シート414は、その個数及び平面視での形状以外の点では上述の圧迫デバイス1の貼着シート14と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態の保持部材421は、固定部材411に取り付けられる取付部422と、圧迫部450及び押圧部470を保持する保持本体部431と、を備える。本実施形態の取付部422は、コの字状に延在し、図18に示すように、2つの貼着シート414の上方向A2側で両者に跨るようにして、2つの貼着シート414それぞれの上面413に取り付けられている。本実施形態の取付部422は、厚み方向Aに薄く、貼着シート414に追従して変形可能である。取付部422は、貼着シート414に追従した変形が可能ではなくてもよい。その場合、取付部422は、取付部422に加わる力をより分散させることができる。
保持本体部431は、圧迫部450を、ヒンジ部460を介して回動軸Dの周りを回動可能に支持している。本実施形態の保持本体部431は、押圧部470も回動軸Dの周りを回動可能に支持している。これらの詳細は後述する。
本実施形態の保持本体部431は、平面視(図19、図20参照)において貼着シート414と重ならない部分に位置している。具体的に、保持本体部431は、2つの貼着シート414の間の領域に位置している。本実施形態の保持本体部431は、取付部422に接続され、上面視(図19参照)において、コの字状の取付部422に区画された領域に位置している。保持本体部431は、取付部422と一体成形されていてもよい。
図18に示すように、本実施形態の本体部410は、保持本体部431と、2つの貼着シート414とによって区画された凹部である受け入れ部432を有する。受け入れ部432は、回動軸Dに直交する断面視で(図21A、図21B参照)、回動軸Dに対して、押圧部470が圧迫部450を押圧した際に圧迫部450が回動する方向側(図21A、図21Bにおける左側)に位置する。
本実施形態の保持本体部431は、圧迫部450及び押圧部470を収容する凹部を区画している。保持本体部431の凹部は、下方向A1が開放されており、上方向A2側に位置する底部433と、底部433に連続し圧迫部450及び押圧部470を取り囲む側壁部434と、により区画されている。
本実施形態の保持本体部431は、底部433と側壁部434との間に、厚み方向Aに貫通したスリット438を区画している。スリット438は、保持本体部431の受け入れ部432に面する側壁部434と底部433との間に区画されている。また、本実施形態の保持本体部431の底部433の上面には、上方向A2に向けて突出した凸部439が形成されている。
本実施形態の本体部410は、生体表面に穿刺された管部材の位置をガイドするガイド部436を有する。ガイド部436は、回動軸Dに直交する断面視で(図21A、図21B参照)、回動軸Dに対して、押圧部470が圧迫部450を押圧した際に圧迫部450が回動する方向側に位置する。詳細には、ガイド部436は、圧迫部450により圧迫される生体表面の位置から所定の距離に、管部材の位置をガイドすることができる。本実施形態のガイド部436は、保持本体部431の受け入れ部432に面する側壁部434の下方向A1側の端部で構成され、受け入れ部432に受け入れられた管部材を接触させてガイドすることができる。ガイド部436は、このような構成には限定されず、例えば、上述の圧迫デバイス1と同様に、印刷等により保持部材421に形成されるマークとしてもよい。この場合、上述の圧迫デバイス1と同様にしてガイドすることができる。
本実施形態の保持部材421の材料は、上述の圧迫デバイス1の保持部材21と同様とすることができる。
<圧迫部450及びヒンジ部460>
圧迫部450は、生体表面を圧迫可能である。ヒンジ部460は、圧迫部450を本体部410に対して回動軸D(図21A、図21B参照)の周りを回動可能に支持している。つまり、圧迫部450は、回動軸Dの周りを回動することで、生体表面を圧迫可能である。本実施形態の圧迫部450は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体451で構成されている。本実施形態のヒンジ部460は、可撓性を有する変形部を有し、拡張圧迫体451と一体に連なる材料ヒンジ461で構成されている。材料ヒンジ461の変形部は、例えば材料ヒンジ461の変形部以外の部分よりも薄く形成されることで、変形可能に形成されている。材料ヒンジ461の、拡張圧迫体451が位置する側とは反対側の一端からは、延設部480が延設されている。延設部480は、可撓性を有するシート状の部材であり、孔部481を区画している。延設部480は、保持本体部431に区画されたスリット438を通じて、保持本体部431の上方向A2側に突出している。延設部480の保持本体部431の上方向A2側に突出した部分は、回動軸Dに直交する断面視で(図21A、図21B参照)、受け入れ部432に面する側壁部434が位置する側とは反対側に向けて保持本体部431の底部433の上面に沿って延在している。本実施形態の延設部480は、孔部481を貫通した底部433の凸部439と係合することで、底部433に固定されている。すなわち、延設部480の孔部481は、底部433に固定された固定部を構成する。延設部480の固定部は、凸部439と係合する孔部481には限定されない。
このように、材料ヒンジ461は、延設部480を介して本体部410に支持され、かつ、変形可能な変形部を有するので、材料ヒンジ461と一体に連なる拡張圧迫体451を、当該変形部の周りを回動可能に支持している。すなわち、材料ヒンジ461の変形部は、回動軸Dを構成する。材料ヒンジ461の変形部は、材料ヒンジ461の回動軸Dを含む一部を構成してもよいし、材料ヒンジ461の全体を構成してもよい。本実施形態のように、拡張圧迫体451、材料ヒンジ461、拡張押圧体471、及び、延設部480、を一体化し、保持部材421に巻き付けて取り付けるようにすることで、製造工程を効率化できる。
圧迫部450としての拡張圧迫体451は、固定部材411としての貼着シート414が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dの周りを回動することで、退避状態と、退避状態よりも厚み方向Aにおける下方向A1に位置して生体表面をより強く圧迫する突出状態と、に形態変形することができる。本実施形態の拡張圧迫体451は、退避状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート414の下面412よりも上方向A2に位置し、突出状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート414の下面412よりも下方向A1に位置する。圧迫部450としての拡張圧迫体451は、退避状態では、厚み方向Aにおいて貼着シート414の下面412と同じ位置に位置してもよいし、下面412よりも下方向A1に位置してもよい。図21Aは、拡張圧迫体451の退避形態を示している。図21Bは、拡張圧迫体451の突出形態を示している。拡張圧迫体451は、退避形態(図21A参照)から突出形態(図21B参照)に形態変化することで、回動軸Dの周りを回動しながら、厚み方向Aにおいて貼着シート414の下面412よりも下方向A1に向かって突出することが可能である。これにより、拡張圧迫体451は、貼着シート414が生体表面に貼着されている状態で、生体表面を押圧して圧迫することができる。拡張圧迫体451の詳細については後述する。
<押圧部470>
押圧部470は、圧迫部450を回動軸D(図21A、図21B参照)の周りの一方の回動方向に押圧可能である。具体的に、押圧部470は、固定部材411としての貼着シート414が生体表面に貼着により固定されている状態で、圧迫部450を回動軸Dの周りの生体表面に向かう回動方向(図21A、図21Bの右回り方向)に押圧可能である。本実施形態の押圧部470は、本体部410と圧迫部450との間に位置し、流体の供給により拡張可能な拡張押圧体471で構成される。具体的に、本実施形態の拡張押圧体471は、保持本体部431の底部433と拡張圧迫体451との間に位置する。また、本実施形態の拡張押圧体471の一端は、材料ヒンジ461に接続されている。拡張押圧体471の詳細については後述する。
<拡張圧迫体451及び拡張押圧体471>
主に図21A及び図21Bを参照して、本実施形態の拡張圧迫体451及び拡張押圧体471の詳細について説明する。図21A及び図21Bに示すように、拡張押圧体471が区画する内部空間は、流体供給部としてのチューブ490に連通している。拡張押圧体471の内部空間には、チューブ490の端部に設けられた接続部491(図18等参照)としてのインフレーションポートに接続される流体供給器具から、チューブ490を通じて、例えば空気等の流体が供給される。これにより、拡張押圧体471を拡張させることができる。拡張押圧体471の内部空間に供給される流体は、気体に限らず、液体であってもよい。
図21A及び図21Bに示すように、拡張押圧体471が区画する内部空間、及び、拡張圧迫体451が区画する内部空間、は連通している。そのため、流体供給部としてのチューブ490から供給される流体が、拡張押圧体471の内部空間を通じて、拡張圧迫体451の内部空間に供給される。これにより、拡張押圧体471を拡張させるとともに、拡張圧迫体451を拡張させることができる。拡張圧迫体451が区画する内部空間は、流体供給部としてのチューブ490に直接連通していてもよい。具体的に、チューブ490は、3方向に分岐した例えばY字状の分岐部を有し、第1の端部に接続部491(図18等参照)を有し、第2の端部で拡張押圧体471が区画する内部空間と連通し、第3の端部で拡張圧迫体451が区画する内部空間と連通してもよい。その場合、拡張押圧体471が区画する内部空間、及び、拡張圧迫体451が区画する内部空間は、直接連通していなくてもよい。
チューブ490から流体が供給されると、拡張押圧体471及び拡張圧迫体451が拡張する。拡張押圧体471の拡張は、上方向A2側が底部433により規制される。また、拡張押圧体471の拡張は、厚み方向Aと直交する方向の周囲に位置する側壁部434により規制される。つまり、拡張押圧体471は、凹部の底部433及び側壁部434により規制されることにより、下方向A1側に向かって突出するように拡張する。
拡張押圧体471が下方向A1側に向かって突出するように拡張すると、拡張押圧体471の下方向A1側に位置する拡張圧迫体451が、拡張押圧体471により下方向A1側に押圧される。拡張圧迫体451は、ヒンジ部460により回動軸Dの周りを回動可能に支持されているため、図21A、図21Bに示す回動軸Dに直交する断面視で、回動軸Dを中心に右回り方向に回動する。また、拡張圧迫体451の拡張は、上方向A2側が拡張押圧体471により規制され、厚み方向Aと直交する方向の周囲に位置する側壁部434により規制される。つまり、拡張圧迫体451は、回動軸Dを中心に右回り方向に突出するように、回動しながら拡張する。そのため、拡張圧迫体451は、固定部材411としての貼着シート414が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dを中心に右回り方向に向かって生体表面を押圧して圧迫することができる。また、拡張圧迫体451は、生体表面の形状に追従しながら拡張するため、生体への損傷を抑制することができる。
圧迫部450としての拡張圧迫体451は、上述したように(図10A、図10B参照)、生体表面と接触する位置に滑り止め部を有してもよい。滑り止め部は、拡張圧迫体451全体の構成材料を滑りにくい材料とすることで構成してもよいし、拡張圧迫体451の下方向A1側の表面の一部を滑りにくい部材とすることで構成してもよい。このような構成とすることで、圧迫部450としての拡張圧迫体451が接触した生体表面を、回動方向に向けて押し込むように圧迫することができる。
本実施形態では、拡張圧迫体451の拡張した状態での大きさは、拡張押圧体471の拡張した状態での大きさよりも大きいが、拡張圧迫体451の拡張した状態での大きさは、拡張押圧体471の拡張した状態での大きさよりも小さくてもよい。このような構成によれば、生体表面の拡張圧迫体451により圧迫される面積をより小さくすることができるので、圧迫される圧力をより大きくしやすい。拡張圧迫体451の拡張した状態での大きさは、拡張押圧体471の拡張した状態での大きさと等しくてもよい。このような構成によれば、拡張圧迫体451と拡張押圧体471とを同一の部材とすることができるため、圧迫デバイス1の製造に必要な部材の種類を減らすことができる。
拡張圧迫体451及び拡張押圧体471は、例えば空気等の気体により拡張するバルーンであってもよい。拡張圧迫体451及び拡張押圧体471の構成材料は、上述の圧迫デバイス1の拡張圧迫体51及び拡張押圧体71と同様とすることができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態としての圧迫デバイス501について、図22〜図25を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図22〜図25は、第6実施形態としての圧迫デバイス501を示す図である。具体的に、図22は圧迫デバイス501の斜視図である。図23、図24は、圧迫デバイス501の平面図である。具体的に、図23は、圧迫デバイス501の上面図である。図24は、圧迫デバイス501の下面図である。図25A、図25Bは、図23のE−E線に沿う断面図である。具体的に、図25Aは、圧迫デバイス501の後述する圧迫部550が退避状態にある状態を示す。図25Bは、圧迫デバイス501の後述する圧迫部550が突出状態にある状態を示す。
圧迫デバイス501は、本体部510と、圧迫部550と、ヒンジ部560と、押圧部570と、を備える。本実施形態では、圧迫部550、ヒンジ部560及び押圧部570が、熱溶着等で接合されて一体化されている。
<本体部510>
本実施形態の本体部510は、生体表面に固定可能な固定部材511と、固定部材511に取り付けられ、圧迫部550及び押圧部570を保持する保持部材521と、を備える。
本実施形態の固定部材511は、下方向A1側に下面512を備え、上方向A2側に上面513を備える。固定部材511の下面512は、生体表面に固定可能な固定面を構成する。本実施形態の固定部材511は、生体表面に貼着可能な貼着シート514で構成される。本実施形態の貼着シート514は、厚み方向Aに沿って見た平面視(図24参照)において、中央開口514aを区画するようにC形状に延在している。図23に示すように、本実施形態の平面視でC形状の貼着シート514における上面513には、保持部材521の外縁部が取り付けられている。貼着シート514のその他の構成は、上述の圧迫デバイス1の貼着シート14(図1等参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の保持部材521は、扁平状の外形を有し、固定部材511としての貼着シート514の上方向A2側で、中央開口514aを跨るようにして、貼着シート514の上面513に取り付けられている。本実施形態の保持部材521は、厚み方向Aに沿って見た平面視(図23参照)で、四隅が円弧状に面取りされている略四角形状の外形を有するが、この形状に限られず、例えば、同平面視でオーバル状、略円形状等の外形であってもよい。また、本実施形態の保持部材521は、上述の圧迫デバイス1の保持部材21(図1等参照)のように、取付部及び保持本体部を備えるが、これらを区別可能な態様ではない。保持部材521は、上述の圧迫デバイス1の保持部材21(図1等参照)のように、区別可能な態様で取付部及び保持本体部を備える構成であってもよい。更に、本実施形態の保持部材521は把持部526を備える。本実施形態の把持部526は、上方向A2に向かって突設されている、対向する一対の板状部により構成されている。医療従事者等の圧迫デバイス501の操作者は、この把持部526としての一対の板状部を挟み込むように把持して、圧迫デバイス501を使用することができる。
本実施形態の保持部材521は、可撓性を有する貼着シート514に追従して変形し難い。そのため、保持部材521から貼着シート514に対して加わる力が、貼着シート514の一部のみに偏って加わることを抑制し、広範囲に分散させることができる。
保持部材521は、圧迫部550を、ヒンジ部560を介して回動軸Dの周りを回動可能に支持している。本実施形態の保持部材521は、押圧部570についても、ヒンジ部560を介して回動軸Dの周りを回動可能に支持している。これらの詳細は後述する。
また、本実施形態の本体部510は、生体表面に穿刺された管部材を受け入れ可能な受け入れ部532を有する。具体的に、本実施形態の受け入れ部532は、C形状に延在する貼着シート514の両端の間の間隙に位置し、保持部材521の外縁に形成されている切欠部521aによって区画された凹部である。受け入れ部532は、回動軸Dに直交する断面視(図25A、図25B参照)で、回動軸Dに対して、押圧部570が圧迫部550を押圧した際に圧迫部550が回動する方向側(図25A、図25Bにおける左側)に位置する。
本実施形態の保持部材521の下方向A1側の下面は、厚み方向Aと略直交する平面により構成されている。
本実施形態の保持部材521は、厚み方向Aに貫通したスリット538を区画している。本実施形態のスリット538は、上面視(図23参照)で、直線状に延在しているが、上面視のスリット538の形状は特に限定されない。スリット538は、受け入れ部532としての凹部を区画する保持部材521の切欠部521aに隣接する位置に形成されている。また、保持部材521の上方向A2側の上面には、上方向A2に向けて突出した凸部539が形成されている。
本実施形態の保持部材521の材料は、上述の圧迫デバイス1の保持部材21(図1等参照)と同様とすることができる。
<圧迫部550及びヒンジ部560>
圧迫部550は、生体表面を圧迫可能である。ヒンジ部560は、圧迫部550を本体部510に対して回動軸D(図25A、図25B参照)の周りを回動可能に支持している。つまり、圧迫部550は、回動軸Dの周りを回動することで、生体表面を圧迫可能である。本実施形態の圧迫部550は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体551で構成されている。本実施形態のヒンジ部560は、可撓性を有する変形部を有し、拡張圧迫体551と一体に連なる材料ヒンジ561で構成されている。材料ヒンジ561の変形部は、例えば材料ヒンジ561の変形部以外の部分よりも薄く形成されることで、変形可能に形成されている。また、材料ヒンジ561は、全体が変形部により構成されていてもよい。
材料ヒンジ561の、拡張圧迫体551が位置する側とは反対側の一端からは、延設部580が延設されている。延設部580は、可撓性を有するシート状の部材であり、孔部581を区画している。延設部580は、保持部材521に区画されたスリット538を通じて、保持部材521の下方向A1側から上方向A2側に亘って延在している。より具体的に、本実施形態の延設部580は、保持部材521の下方向A1側で、材料ヒンジ561に連なっている。また、本実施形態の延設部580は、保持部材521の上方向A2側で、保持部材521の上面に沿うように折り曲げられている。より具体的に、延設部580は、保持部材521の上方向A2側で、スリット538の位置から、保持部材521の上面に沿って、受け入れ部532から離れる方向に向かって延在している。本実施形態の延設部580は、保持部材521の上方向A2側で、保持部材521の凸部539が孔部581に入り込むことで、保持部材521に対して係止されている。つまり、本実施形態の延設部580は、孔部581を貫通する凸部539と係合することで、保持部材521に固定されている。すなわち、延設部580の孔部581は、保持部材521に固定される固定部を構成する。但し、延設部580の固定部は、凸部539と係合する孔部581に限られない。また、本実施形態の保持部材521は、2つの凸部539を備えるが、この個数も特に限定されない。
このように、材料ヒンジ561は、延設部580を介して本体部510に支持され、かつ、変形可能な変形部を有するので、材料ヒンジ561と一体に連なる拡張圧迫体551を、当該変形部の周りを回動可能に支持している。すなわち、材料ヒンジ561の変形部は、回動軸Dを構成する。本実施形態の材料ヒンジ561は、全て変形部により構成されており、スリット538の下方向A1側の縁に当接する位置から、拡張圧迫体551及び後述する押圧部570としての拡張押圧体571に連なる位置まで、延在している。
また、図25Bに示すように、本実施形態の材料ヒンジ561は、スリット538の下方向A1側の縁に当接する位置から、下方向A1に向かってシート状に延在しており、上述した材料ヒンジ61(図4B参照)とは構成が異なり、拡張圧迫体51(図4B参照)及び拡張押圧体71(図4B参照)それぞれに向かって分岐していない。このように、材料ヒンジ561の構成は、適宜変更可能であり、特に限定されない。ヒンジ部560の構成は、拡張時の拡張圧迫体551の形状及び大きさ、拡張圧迫体551の拡張方向、などに応じて、生体表面上の所望の圧迫位置で、所望の圧迫方向への所望の圧迫力を実現するために適宜設計されるものであり、その構成は特に限定されない。
圧迫部550としての拡張圧迫体551は、その先端が材料ヒンジ561の端部に位置しており、固定部材511としての貼着シート514が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dの周りを回動することで、退避状態と、退避状態よりも厚み方向Aにおける下方向A1に位置して生体表面をより強く圧迫する突出状態と、に形態変形することができる。本実施形態の拡張圧迫体551は、退避状態で、厚み方向Aにおいて貼着シート514の下面512よりも下方向A1に位置する。但し、圧迫部550としての拡張圧迫体551は、退避状態で、厚み方向Aにおいて貼着シート514の下面512と同じ位置に位置してもよいし、下面512よりも上方向A2に位置してもよい。図25Aは、拡張圧迫体551の退避形態を示している。図25Bは、拡張圧迫体551の突出形態を示している。拡張圧迫体551は、退避形態(図25A参照)から突出形態(図25B参照)に形態変化することで、回動軸Dの周りを回動しながら、厚み方向Aにおいて下方向A1に向かって突出するように拡張する。これにより、拡張圧迫体551は、貼着シート514が生体表面に貼着されている状態で、生体表面を押圧して圧迫することができる。拡張圧迫体551の詳細については後述する。
<押圧部570>
押圧部570は、圧迫部550を回動軸D(図25A、図25B参照)の周りの一方の回動方向に押圧可能である。具体的に、押圧部570は、固定部材511としての貼着シート514が生体表面に貼着により固定されている状態で、圧迫部550を回動軸Dの周りの生体表面に向かう回動方向(図25A、図25Bの時計回り方向)に押圧可能である。本実施形態の押圧部570は、本体部510と圧迫部550との間に位置し、流体の供給により拡張可能な拡張押圧体571で構成される。具体的に、本実施形態の拡張押圧体571は、保持部材521の下面と拡張圧迫体551との間に位置する。また、本実施形態の拡張押圧体571の一端は、材料ヒンジ561に接続されている。拡張押圧体571の詳細については後述する。
<拡張圧迫体551及び拡張押圧体571>
主に図25A及び図25Bを参照して、本実施形態の拡張圧迫体551及び拡張押圧体571の詳細について説明する。図25A及び図25Bに示すように、拡張押圧体571が区画する内部空間は、流体供給部としてのチューブ590に連通している。拡張押圧体571の内部空間には、チューブ590の端部に設けられた接続部591としてのインフレーションポートに接続される流体供給器具から、チューブ590を通じて、例えば空気等の流体が供給される。これにより、拡張押圧体571を拡張させることができる。拡張押圧体571の内部空間に供給される流体は、気体に限らず、液体であってもよい。
図25A及び図25Bに示すように、拡張押圧体571が区画する内部空間、及び、拡張圧迫体551が区画する内部空間、は連通している。そのため、流体供給部としてのチューブ590から供給される流体が、拡張押圧体571の内部空間を通じて、拡張圧迫体551の内部空間に供給される。これにより、拡張押圧体571を拡張させるとともに、拡張圧迫体551を拡張させることができる。拡張圧迫体551が区画する内部空間は、流体供給部としてのチューブ590に直接連通していてもよい。具体的に、チューブ590は、3方向に分岐した例えばY字状の分岐部を有し、第1の端部に接続部591(図22参照)を有し、第2の端部で拡張押圧体571が区画する内部空間と連通し、第3の端部で拡張圧迫体551が区画する内部空間と連通してもよい。その場合、拡張押圧体571が区画する内部空間、及び、拡張圧迫体551が区画する内部空間は、直接連通していなくてもよい。
チューブ590から流体が供給されると、拡張押圧体571及び拡張圧迫体551が拡張する。拡張押圧体571の拡張は、上方向A2側が保持部材521の下面により規制される。つまり、拡張押圧体571は、保持部材521の下面により規制されることにより、下方向A1側に向かって突出するように拡張する。
拡張押圧体571が下方向A1側に向かって突出するように拡張すると、拡張押圧体571の下方向A1側に位置する拡張圧迫体551が、拡張押圧体571により下方向A1側に押圧される。拡張圧迫体551は、ヒンジ部560により回動軸Dの周りを回動可能に支持されているため、図25A、図25Bに示す回動軸Dに直交する断面視で、回動軸Dを中心に時計回り方向(右回り方向)に回動する。また、拡張圧迫体551の拡張は、上方向A2側が拡張押圧体571により規制される。つまり、拡張圧迫体551は、回動軸Dを中心に時計回り方向に突出するように、回動しながら拡張する。そのため、拡張圧迫体551は、固定部材511としての貼着シート514が生体表面に貼着により固定されている状態で、回動軸Dを中心に時計回り方向に向かって生体表面を押圧して圧迫することができる。また、拡張圧迫体551は、生体表面の形状に追従しながら拡張するため、生体への損傷を抑制することができる。
また、拡張圧迫体551は、材料ヒンジ561の下方向A1の端部を中心に回動する。つまり、拡張圧迫体551は、図25Bに示す回動軸Dに直交する断面視において、本体部510よりも下方向A1側で回動する。加えて、拡張圧迫体551は、図25Bに示す回動軸Dに直交する断面視において、その全体が本体部510よりも下方向A1側に位置する。そのため、生体表面をより強い力で圧迫することができる。
本実施形態の圧迫デバイス501は、圧迫部550としての拡張圧迫体551、ヒンジ部560としての材料ヒンジ561、押圧部570としての拡張押圧体571、及び、延設部580、が一体化された拡張体を備える。この拡張体は、上述したように、延設部580の孔部581を利用して、保持部材521に取り付けられている。このように、拡張圧迫体551、材料ヒンジ561、拡張押圧体571、及び、延設部580、を一体化し、保持部材521に巻き付けて取り付けるようにすることで、製造工程を効率化できる。
圧迫部550としての拡張圧迫体551は、上述した第2実施形態の圧迫デバイス101(図10A、図10B参照)のように、生体表面と接触する位置に滑り止め部を有してもよい。滑り止め部は、拡張圧迫体551全体の構成材料を滑りにくい材料とすることで構成してもよいし、拡張圧迫体551の下方向A1側の表面の一部を滑りにくい部材とすることで構成してもよい。このような構成とすることで、圧迫部550としての拡張圧迫体551が接触した生体表面を、回動方向に向けて押し込むように圧迫し易くなる。
拡張圧迫体551及び拡張押圧体571は、例えば空気等の気体により拡張するバルーンとすることができる。拡張圧迫体551及び拡張押圧体571の構成材料は、上述の圧迫デバイス1(図1等参照)の拡張圧迫体51(図1等参照)及び拡張押圧体71(図1等参照)と同様とすることができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態としての圧迫デバイス601について、図26を参照して説明する。図26は、圧迫デバイス601の側面図である。図26は、圧迫デバイス601の後述する圧迫部650が突出状態にある状態を示す。図26では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図26の示す圧迫デバイス601は、上述した圧迫デバイス501(図22等参照)と比較して、圧迫部650としての拡張圧迫体651、ヒンジ部660としての材料ヒンジ661、及び、押圧部670としての拡張押圧体671、の形状が異なる点で相違し、その他の構成は共通している。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
圧迫デバイス601は、本体部510と、圧迫部650と、ヒンジ部660と、押圧部670と、を備える。本実施形態では、圧迫部650、ヒンジ部660及び押圧部670が、熱溶着等で接合されて一体されている。
本実施形態の本体部510は、上述した第6実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の圧迫部650は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体651で構成されている。また、本実施形態の押圧部670は、本体部510と圧迫部650との間に位置し、流体の供給により拡張可能な拡張押圧体671で構成される。本実施形態の拡張圧迫体651は、上述した第6実施形態の拡張圧迫体551(図25B等参照)と同様である。また、本実施形態の拡張押圧体671は、上述した第6実施形態の拡張押圧体571(図25B等参照)と同様である。しかしながら、上述した第6実施形態の拡張圧迫体551及び拡張押圧体571は、ヒンジ部560から離間した位置で互いの内部空間が連通している構成であるのに対して、本実施形態の拡張圧迫体651及び拡張押圧体671は、ヒンジ部660に隣接する位置で互いの内部空間が連通している。このようにすることで、拡張押圧体671の拡張による拡張圧迫体651への押圧力が、ヒンジ部660近傍で拡張圧迫体651に作用し易くなる。そのため、拡張圧迫体651は、拡張押圧体671の拡張による押圧力を受けて、ヒンジ部660周りを回動し易くなる。つまり、拡張圧迫体651及び拡張押圧体671の互いの内部空間がヒンジ部660に隣接する位置で連通する構成とすることで、ヒンジ部から離間した位置で連通する構成と比較して、拡張圧迫体651のヒンジ部660周りの回動角度を大きくすることができる。そのため、拡張圧迫体651の厚み方向Aと直交する方向への圧迫力を高めることができる。このように、拡張圧迫体及び拡張押圧体の互いの内部空間が連通する位置を調整することで、拡張圧迫体の生体表面上での圧迫方向を所望の方向に制御することができる。
また、本実施形態のヒンジ部660は、可撓性を有する変形部を有し、拡張圧迫体651及び拡張押圧体671と一体に連なる材料ヒンジ661で構成されている。本実施形態のヒンジ部660としての材料ヒンジ661は変形部のみで構成されている。具体的に、本実施形態の材料ヒンジ661は、本体部510の保持部材521のスリット538の下方向A1側の縁に当接する部分からなる回動軸Dのみで構成されている。換言すれば、本実施形態の材料ヒンジ661の変形部は、上述した第6実施形態の材料ヒンジ561(図25B等参照)の変形部と比較して、本体部510の保持部材521の下面から下方向A1側に延在する部分が短い。より具体的に、実施形態の材料ヒンジ661の変形部は、本体部510の保持部材521の下面から下方向A1側に延在していない。このように、保持部材521の下面から下方向A1に延在する材料ヒンジ661の変形部の長さを短くしてもよい。このようにすることで、拡張時の拡張圧迫体651及び拡張押圧体671が干渉し易くなる。つまり、拡張押圧体671の拡張による押圧力が、拡張圧迫体651に対してより作用し易くなる。換言すれば、拡張圧迫体の生体表面上での圧迫力を所望の大きさに制御することができる。
以上のように、拡張圧迫体651及び拡張押圧体671の互いの内部空間が連通する位置、並びに、材料ヒンジ661の変形部の長さ、を調整することで、拡張圧迫体651の生体表面上での圧迫力や圧迫方向を制御することができる。更に、拡張圧迫体651及び拡張押圧体671の拡張時の形状等を変更して、拡張圧迫体651の生体表面上での圧迫力や圧迫方向を制御してもよい。
更に、本実施形態の材料ヒンジ661から上方向A2には、延設部580が延設されている。この延設部580の構成は、上述した第6実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態としての圧迫デバイス701について、図27を参照して説明する。図27は、圧迫デバイス701の側面図である。図27は、圧迫デバイス701の後述する圧迫部750が突出状態にある状態を示す。図27では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図27の示す圧迫デバイス701は、上述した圧迫デバイス601(図26参照)と比較して、圧迫部750としての拡張圧迫体751及び押圧部770としての拡張押圧体771の、大きさ及び形状が異なる点で相違し、その他の構成は共通している。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
圧迫デバイス701は、本体部510と、圧迫部750と、ヒンジ部660と、押圧部770と、を備える。本実施形態では、圧迫部750、ヒンジ部660及び押圧部770が、熱溶着等で接合されて一体化されている。
本実施形態の本体部510及びヒンジ部660は、上述した第7実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の圧迫部750は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体751で構成されている。また、本実施形態の押圧部770は、本体部510と圧迫部750との間に位置し、流体の供給により拡張可能な拡張押圧体771で構成される。上述した第7実施形態の拡張圧迫体651(図26参照)及び拡張押圧体671(図26参照)は、拡張時の大きさが略等しく、厚み方向Aにおいて全体的に重なっている構成であるのに対して、本実施形態の拡張圧迫体751及び拡張押圧体771は、拡張時の大きさが異なり、厚み方向Aにおいて部分的にのみ重なっている。このようにすることで、上述した第7実施形態の構成と比較して、拡張押圧体771の拡張による拡張圧迫体751への押圧力が、拡張圧迫体751の一部のみに作用し易くなる。
より具体的に、本実施形態の拡張押圧体771は、拡張圧迫体751よりも小さい。また、本実施形態の拡張押圧体771は、ヒンジ部660側でのみ拡張圧迫体751と厚み方向Aで重なっており、ヒンジ部660側とは反対側(図27では右側)では、拡張圧迫体751と厚み方向Aで重なっていない。このようにすることで、上述した第7実施形態の構成と比較して、拡張押圧体771の拡張による拡張圧迫体751への押圧力が、ヒンジ部660側の局所的な位置でのみ、拡張圧迫体751に作用する。そのため、拡張圧迫体751は、拡張押圧体671の拡張による押圧力を受けて湾曲し易く、下方向A1側の面が凸状の湾曲面になり易い。つまり、拡張圧迫体751が生体表面に追従する湾曲形状となることで、生体表面上のより広い範囲を圧迫することができる。
更に、本実施形態の拡張押圧体771は、ヒンジ部660側でのみ拡張圧迫体751と厚み方向Aで重なっているが、ヒンジ部660側と反対側(図27では右側)でのみ、拡張圧迫体751と厚み方向Aで重なる拡張押圧体としてもよい。但し、上述したように、拡張圧迫体751の下方向A1側の面が凸状の湾曲面となるように、ヒンジ部660側でのみ拡張圧迫体751と厚み方向Aで重なる拡張押圧体771とすることが好ましい。
本実施形態の拡張圧迫体751及び拡張押圧体771は、上述した第7実施形態と同様、ヒンジ部660に隣接した位置で互いの内部空間が連通する構成であるが、互いの内部空間が連通する位置は、ヒンジ部660近傍に限られない。したがって、上述した第1実施形態のように、拡張圧迫体751及び拡張押圧体771は、互いの内部空間がヒンジ部660から離間した位置で連通する構成であってもよい。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態としての圧迫デバイス801について、図28を参照して説明する。図28は、圧迫デバイス801の側面図である。図28は、圧迫デバイス801の後述する圧迫部850が突出状態にある状態を示す。図28では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図28の示す圧迫デバイス801は、上述した圧迫デバイス701(図27参照)と比較して、圧迫部850としての拡張圧迫体851及び押圧部870としての拡張押圧体871の、大きさ及び形状が異なる点で相違し、その他の構成は共通している。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
圧迫デバイス801は、本体部510と、圧迫部850と、ヒンジ部660と、押圧部870と、を備える。本実施形態では、圧迫部850、ヒンジ部660及び押圧部870が、熱溶着等で接合されて一体化されている。
本実施形態の本体部510及びヒンジ部660は、上述した第8実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の圧迫部850は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体851で構成されている。また、本実施形態の押圧部870は、本体部510と圧迫部850との間に位置し、流体の供給により拡張可能な拡張押圧体871で構成される。上述した第8実施形態では、拡張圧迫体751(図27参照)の拡張時の大きさが、拡張押圧体771(図27参照)の拡張時の大きさよりも大きいが、本実施形態では、拡張圧迫体851の拡張時の大きさが、拡張押圧体871の拡張時の大きさよりも小さい。このような大小関係とした上で、拡張圧迫体851及び拡張押圧体871は、上述した第8実施形態と同様、ヒンジ部660側でのみ厚み方向Aにおいて重なっている。このようにすることで、拡張圧迫体851により圧迫される生体表面上での圧迫領域を小さくし、局所的な高い圧迫力を実現できる。
このように、拡張圧迫体851及び拡張押圧体871の大小関係は、圧迫すべき生体表面上での領域の大きさや、所望の圧迫力等に応じて、適宜設定することができる。
本実施形態の拡張圧迫体851及び拡張押圧体871は、上述した第8実施形態と同様、ヒンジ部660に隣接した位置で互いの内部空間が連通する構成であるが、互いの内部空間が連通する位置は、ヒンジ部660近傍に限られない。したがって、上述した第1実施形態のように、拡張圧迫体851及び拡張押圧体871は、互いの内部空間がヒンジ部660から離間した位置で連通する構成であってもよい。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態としての圧迫デバイス901について、図29を参照して説明する。図29は、圧迫デバイス901の側面図である。図29は、圧迫デバイス901の後述する圧迫部950が突出状態にある状態を示す。図29では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図29の示す圧迫デバイス901は、上述した圧迫デバイス501(図25B等参照)と比較して、圧迫部950としての拡張圧迫体951の形状が異なる点で相違し、その他の構成は共通している。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
圧迫デバイス901は、本体部510と、圧迫部950と、ヒンジ部560と、押圧部570と、を備える。本実施形態では、圧迫部950、ヒンジ部560及び押圧部570が、熱溶着等で接合されて一体化されている。
本実施形態の本体部510、ヒンジ部560及び押圧部570は、上述した第6実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の圧迫部950は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体951で構成されている。上述した第6実施形態の圧迫部550としての拡張圧迫体551(図25B等参照)は、周囲が熱溶着されて中央領域のみが厚み方向Aに拡張可能な構成であるが、本実施形態の圧迫部950としての拡張圧迫体951は、中央領域のみならず、厚み方向Aと直交する方向の外壁についても、拡張時に厚み方向Aに伸びる。具体的に、本実施形態の圧迫部950としての拡張圧迫体951は、厚み方向Aと直交する方向の側壁として、退避状態で折り重ねられ、退避状態から突出状態(図29参照)に拡張する際に厚み方向Aに伸長する変形側壁951aを備える。そのため、拡張圧迫体951の内部空間に流体が流入すると、拡張圧迫体951は、シート状の状態から、変形側壁951aが伸長することで略四角柱の状態へと、拡張する。このように、拡張時に略四角柱の状態となる圧迫部950を用いることで、拡張圧迫体951の生体表面に接触する面が平面状になるため、生体表面上の平面状の部位を、より広い範囲で押圧可能となる。図29では、変形側壁951aの折り目FLを破線にて示している。
変形側壁951aは、圧迫部950が退避状態から突出状態に変化する際に厚み方向Aに伸長する構成であれば特に限定されない。したがって、変形側壁951aは、例えば、蛇腹折り構造としてもよく、二つ折り構造としてもよく、別の伸長機構を採用してもよい。
本実施形態の拡張圧迫体951及び拡張押圧体571は、上述した第6実施形態と同様、ヒンジ部560から離間した位置で互いの内部空間が連通する構成であるが、互いの内部空間が連通する位置は、ヒンジ部560に隣接する位置であってもよい。
図30は、圧迫部950としての拡張圧迫体951に変形側壁951aを設けると共に、押圧部970としての拡張押圧体971にも同様の変形側壁971aを設ける構成を示す図である。図30では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図30に示すように、圧迫部950としての拡張圧迫体951のみならず、押圧部970としての拡張押圧体971においても、退避状態から突出状態に拡張する際に厚み方向Aに伸長する変形側壁971aを設けてもよい。図30では、変形側壁951a及び971aの折り目FLを破線にて示している。
(第11実施形態)
次に、第11実施形態としての圧迫デバイス1001について、図31を参照して説明する。図31は、圧迫デバイス1001の側面図である。図31は、圧迫デバイス1001の後述する圧迫部1050が突出状態にある状態を示す。図31では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図31の示す圧迫デバイス1001は、上述した圧迫デバイス501(図25B等参照)と比較して、圧迫部1050が拡張圧迫体551及び板状部材1002により構成されている点で相違し、その他の構成は共通している。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
圧迫デバイス1001は、本体部510と、圧迫部1050と、ヒンジ部560と、押圧部570と、を備える。本実施形態では、圧迫部1050、ヒンジ部560及び押圧部570が、熱溶着等で接合されて一体化されている。
本実施形態の本体部510、ヒンジ部560及び押圧部570は、上述した第6実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の圧迫部1050は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体551と、この拡張圧迫体551の下方向A1側の面に取り付けられている板状部材1002と、で構成されている。板状部材1002は、拡張圧迫体551よりも硬く、拡張圧迫体551の拡張によっても変形し難い構成であればよい。したがって、拡張圧迫体551が樹脂製のバルーンで構成されている場合には、板状部材1002は、例えば、拡張圧迫体551としてのバルーンを構成する樹脂よりも引張弾性率の大きい樹脂とすることができる。板状部材1002の材料としては特に限定されず、一例として、ポリカーボネートを用いることができる。このような板状部材1002を用いることで、上述した第10実施形態の圧迫部950(図29参照)の変形側壁951a(図29参照)を設けなくても、拡張時の拡張圧迫体551の下方向A1側の面を平面化することができる。但し、本実施形態の圧迫部1050の拡張圧迫体551は、上述の変形側壁951a(図29参照)を備える構成であってもよい。
また、本実施形態の拡張圧迫体551及び拡張押圧体571は、上述した第6実施形態と同様、ヒンジ部560から離間した位置で互いの内部空間が連通する構成であるが、互いの内部空間が連通する位置は、ヒンジ部560に隣接する位置であってもよい。
(第12実施形態)
次に、第12実施形態としての圧迫デバイス1101について、図32A、図32Bを参照して説明する。図32Aは、圧迫デバイス1101の側面図である。図32Aは、圧迫デバイス1101の後述する圧迫部1150が突出状態にある状態を示す。図32Bは、図32Aに示す圧迫デバイス1101の圧迫部1150を下面側から見た図である。図32A、図32Bでは、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図32A、図32Bの示す圧迫デバイス1101は、上述した圧迫デバイス501(図25B等参照)と比較して、圧迫部1150が拡張圧迫体551及び周囲枠部1003により構成されている点で相違し、その他の構成は共通している。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
圧迫デバイス1101は、本体部510と、圧迫部1150と、ヒンジ部560と、押圧部570と、を備える。本実施形態では、圧迫部1150、ヒンジ部560及び押圧部570が、熱溶着等で接合されて一体化されている。
本実施形態の本体部510、ヒンジ部560及び押圧部570は、上述した第6実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の圧迫部1150は、可撓性を有し、流体の供給により拡張可能な拡張圧迫体551と、この拡張圧迫体551の下方向A1側の面の外縁部に取り付けられている周囲枠部1003と、で構成されている。拡張圧迫体551は、厚み方向Aと直交する方向の周囲が熱溶着されて、中央領域のみが厚み方向Aに拡張可能な構成である。そのため、拡張圧迫体551は、厚み方向Aと直交する方向の外縁部は、厚み方向Aに拡張せず、生体表面を圧迫できない。本実施形態の周囲枠部1003は、拡張圧迫体551の下方向A1側の面のうち、厚み方向Aに拡張しない外縁部の位置に取り付けられた枠体により構成されている。周囲枠部1003としての枠体は、拡張圧迫体551よりも硬く、拡張圧迫体551の拡張によっても変形し難い構成であればよい。このような周囲枠部1003を設けることで、拡張圧迫体551の圧迫力が、周囲枠部1003により分散される。そのため、拡張圧迫体551のうち厚み方向Aに拡張しない外縁部においても、周囲枠部1003を介して、生体表面を圧迫することができる。つまり、厚み方向Aに拡張しない箇所を部分的に備える拡張圧迫体551を用いても、周囲枠部1003を設けることで、圧迫部1150により圧迫可能な生体表面の範囲を大きくすることができる。
周囲枠部1003は、拡張圧迫体551よりも硬く、拡張圧迫体551の拡張によっても変形し難い構成であればよい。したがって、拡張圧迫体551が樹脂製のバルーンで構成されている場合には、周囲枠部1003は、例えば、拡張圧迫体551としてのバルーンを構成する樹脂よりも引張弾性率の大きい樹脂とすることができる。周囲枠部1003の材料としては特に限定されず、一例として、ポリカーボネートを用いることができる。
また、本実施形態の拡張圧迫体551及び拡張押圧体571は、上述した第6実施形態と同様、ヒンジ部560から離間した位置で互いの内部空間が連通する構成であるが、互いの内部空間が連通する位置は、ヒンジ部560に隣接する位置であってもよい。
(第13実施形態)
次に、第13実施形態としての圧迫デバイス1201について、図33を参照して説明する。図33は、圧迫デバイス1201の側面図である。図33は、圧迫デバイス1201の後述する圧迫部1250が突出状態にある状態を示す。図33では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図33の示す圧迫デバイス1201は、上述した圧迫デバイス501(図25B等参照)と比較して、圧迫部1250が板状部材1004により構成されている点で相違し、その他の構成は共通している。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
圧迫デバイス1201は、本体部510と、圧迫部1250と、ヒンジ部560と、押圧部570と、を備える。
本実施形態の本体部510、ヒンジ部560及び押圧部570は、上述した第6実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の圧迫部1250は、ヒンジ部560の周りを回動可能な板状部材1004により構成されている。本実施形態の圧迫部1250は、押圧部570と一体であっても別体であってもよい。つまり、圧迫部1250としての板状部材1004が接続される延設部580とは別に、押圧部570としての拡張押圧体571が接続される延設部を設けて別体としてもよい。また、圧迫部1250としての板状部材1004が接続される延設部580に対して、押圧部570としての拡張押圧体571が接続されることで一体としてもよい。このように一体とする場合には、例えば、押圧部570としての拡張押圧体571から可撓性を有する例えばポリ塩化ビニル製のシート部を延設し、このシート部上に板状部材1004を接合すればよい。
板状部材1004は、拡張押圧体571よりも硬く、拡張押圧体571からの押圧力によっても変形し難い構成であればよい。したがって、拡張押圧体571が樹脂製のバルーンで構成されている場合には、板状部材1004は、例えば、拡張押圧体571としてのバルーンを構成する樹脂よりも引張弾性率の大きい樹脂とすることができる。板状部材1004の材料としては特に限定されず、一例として、ポリカーボネートを用いることができる。
図34は、図33に示す板状部材1004の変形例としての板状部材1005を示す図である。図34に示すように、板状部材1005は、生体表面上の一部を局所的に圧迫できるように、生体表面と接触する下方向A1側の面に、1つ以上の突出部1005aを備えていてもよい。この突出部1005aの大きさ、数、形状は、特に限定されない。更に、図34に示すように、板状部材1005のうちヒンジ部560側と反対側の端部には、上方向A2側に向かって屈曲する屈曲部1005bが形成されていることが好ましい。屈曲部1005bは、下方向A1側に凸状となる湾曲面であることが好ましい。このようにすることで、板状部材1005のうちヒンジ部560側と反対側の端部が生体表面に局所的に高い圧力で接触することを抑制できる。これにより、患者の痛みを軽減できる。
本開示に係る圧迫デバイス及び圧迫方法は、上述した実施形態に記載されている具体的な構成及び工程に限られず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、変更が可能である。例えば、上述した第1実施形態〜第13実施形態において示す構成要素を適宜組み合わせて構成される圧迫デバイスも本開示の技術的範囲に属する。
上述した第6実施形態では、図25B等に示すように、延設部580を、本体部510の保持部材521のスリット538を通して延在させている。上述したように、延設部580は、保持部材521に固定されているため、延設部580がスリット538を通じて、下方向A1側に移動することはない。その一方で、延設部580に連なる圧迫部550、ヒンジ部560及び押圧部570は、生体表面から受ける力によって、スリット538を通じて、上方向A2側に移動する可能性がある。そのため、圧迫部550、ヒンジ部560及び押圧部570の少なくとも1つの最大幅、好ましくは全部の最大幅を、スリット538の最大幅(最大長さ)よりも広幅にする(長くする)ことが好ましい。圧迫部550、ヒンジ部560及び押圧部570のうち1つの幅を、スリット538の最大幅よりも広幅にする場合は、一部のみにスリット538の最大幅よりも広幅の部分を設けてもよく、最小幅をスリット538よりも広幅にしてもよい。図35では、一例として、第6実施形態における圧迫部550としての拡張圧迫体551の最大幅W1、及び、ヒンジ部560としての材料ヒンジ561の最大幅W2を、スリット538の最大幅W3よりも大きくした構成を示している。図35に示す圧迫部550の幅は一様であり、その幅は任意の位置で最大幅W1となる。そのため、図35に示す圧迫部550では、最小幅がスリット538の最大幅W3よりも広幅である。また、図35に示すヒンジ部560の最大幅W2は、圧迫部550に近い側の一部のみが、スリット538の最大幅W3よりも広幅に形成されている。このように、圧迫部550、ヒンジ部560及び押圧部570(図25B等参照)の少なくとも1つの最大幅を、スリット538の最大幅よりも広幅にすることで、圧迫部550、ヒンジ部560及び押圧部570は、生体表面から力を受けても、スリット538を通じて、上方向A2側に移動し難い。このような最大幅の大小関係は、第5実施形態、第7実施形態〜第13実施形態においても適用することが好ましい。
更に、上述した第6実施形態〜第13実施形態では、本体部510の保持部材521の下方向A1側の下面が、厚み方向Aと略直交する平面により構成されている。そして、この保持部材521の下面から反力を受けて、押圧部としての拡張押圧体はいずれも下方向A1に向かって拡張する。但し、保持部材521の下面は、厚み方向Aと略直交する平面に限られない。図36は、保持部材521の下面の一部に斜面が形成されている例を示す。図36では、説明の便宜上、本体部510の固定部材511としての貼着シート514(図22等参照)が省略されている。図36に示すように、保持部材521の下面に、厚み方向Aと直交する平面に対して傾斜する傾斜面部521bを設けてもよい。傾斜面部521bは、平面であっても曲面であってもよい。図36に示すように、押圧部570としての拡張押圧体571は、傾斜面部521bから反力を受けて、厚み方向Aと略直交する方向に対して傾斜する傾斜方向Fに向かって拡張することができる。この傾斜方向Fの傾斜角度は、圧迫部550による生体表面の所望の圧迫方向に応じて適宜設定できる。更に、図36では、傾斜面部521bを、下方向A1に向かって突出する突出部521cの頂面に形成している。このようにすることで、圧迫部550としての拡張圧迫体551により、生体表面から深い位置を圧迫することができる。
また、第1実施形態〜第5実施形態においても、拡張時に押圧部が反力を受ける面は、厚み方向Aと略直交する、本体部における平面であるが、上記同様、厚み方向Aと直交する平面に対して傾斜する傾斜面部を設け、この傾斜面部で拡張時の押圧部の反力を受けてもよい。
図37は、第6実施形態としての圧迫デバイス501により、図7Bに示す穿孔Pを狭窄又は閉塞している状態を示す図である。ここでは一例として第6実施形態としての圧迫デバイス501を例示しているが、第1実施形態〜第13実施形態のいずれの実施形態の圧迫デバイスであってもよい。図37に示すように、圧迫デバイス501を用いることで、大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに、穿孔Pを狭窄又は閉塞することができる。
図38は、図37に示す状態を、生体表面BS側から見た正面図である。換言すれば、図38は、生体表面BSのうち、圧迫デバイス501により圧迫される位置での正面視を示している。ここで「生体表面のうち、圧迫デバイスにより圧迫される位置での正面視」とは、生体表面のうち、圧迫デバイスにより圧迫される対象となる部分を、圧迫前の当該部分に対して垂直な方向から見た状態を意味する。図38では、鼠径部の正面視を示している。図38に示す正面視において、生体表面BSが圧迫される方向(図38の白抜き矢印「AR1」参照)は、穿孔Pの延在方向Gのうち生体表面BSから静脈に向かう医療器具100としてのシースの挿入方向G1(図38の白抜き矢印「AR2」参照)と対向している。つまり、圧迫デバイス501が生体表面BSを圧迫する方向は、図38に示す正面視で、医療器具100としてのシースの挿入方向G1と対向している。このようにすることで、大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔P(図7B参照)を狭窄又は閉塞し易くなる。
換言すれば、図7Bに示すように、穿孔Pの延在方向Gは、生体表面BSに対して傾斜している。また、図37に示すように、圧迫デバイス501の圧迫部550はヒンジ部560により回動しながら生体表面BSを圧迫し、その圧迫力には、生体表面BSに対して傾斜する方向の成分(以下、「傾斜成分」と記載する)が含まれる。ここで、図37に示すように、穿孔Pの傾斜方向は、圧迫デバイス501による圧迫力の傾斜成分の傾斜方向と逆側に傾いている。つまり、圧迫デバイス501による生体表面BSの圧迫は、その圧迫方向が穿孔Pの延在方向Gと交差して交わるように、実行される。これにより、穿孔Pを効率的に狭窄又は閉塞することができる。