以下、本開示に係る圧迫デバイスについて、図面を参照して例示説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
[第1実施形態]
図1~図7は、本開示の一実施形態としての圧迫デバイス1を示す図である。具体的に、図1は圧迫デバイス1を上面側から見た斜視図である。図2、図3は、圧迫デバイス1の平面図である。具体的に、図2は、圧迫デバイス1の上面図である。図3は、圧迫デバイス1の下面図である。図4、図5は、圧迫デバイス1の側面図である。詳細は後述するが、図4、図5それぞれは、圧迫デバイス1の異なる状態を示している。図6は、図5に示す圧迫デバイス1の側面図の一部を断面図で示す部分断面図である。図7は、圧迫デバイス1に剥離可能な剥離シート27が取り付けられている状態を示す図である。図8は、図7に示す剥離シート27が取り付けられている圧迫デバイス1の下面図である。
圧迫デバイス1は、貼着シート2と、圧迫部材3と、を備える。
貼着シート2は、厚み方向Aの一方側に生体表面に貼着可能な貼着面11を備える。圧迫部材3は、貼着シート2に取り付けられている。また、圧迫部材3は、貼着面11が生体表面に貼着されている状態で、生体表面を圧迫可能である。このように、圧迫デバイス1は、貼着面11を生体表面に貼着することにより、生体表面上での位置が固定される。また、圧迫デバイス1によれば、生体表面上での位置が固定されている状態で、圧迫部材3により、生体表面上の所定部位を圧迫することができる。生体表面上の所定部位とは、例えば、穿刺針、カテーテル、シース等の医療器具を生体の血管内に挿入することにより形成される傷口又はその近傍が挙げられる。上述の医療器具を生体外に抜去した後に、生体表面上の傷口又はその近傍を、圧迫部材3によって圧迫することにより、止血することができる。
以下、圧迫デバイス1の各部材・各部位の詳細について説明する。
<貼着シート2>
貼着シート2は、上述したように、厚み方向Aの一方側に貼着面11を備える。また、貼着シート2は、厚み方向Aの他方側、すなわち、貼着面11とは反対側に、圧迫部材3が取り付けられる取付面12を備える。貼着シート2は可撓性を有する。そのため、貼着シート2を、生体表面の形状に沿って変形させることができる。また、貼着面11が生体表面の変形に追従し易くなる。その結果、圧迫デバイス1が意図せずに生体表面から剥離することを抑制できる。
より具体的に、本実施形態の貼着シート2の貼着面11は、貼着シート2の下面により構成されている。また、本実施形態の貼着シート2の取付面12は、貼着シート2の上面により構成されている。
以下、説明の便宜上、厚み方向Aにおいて取付面12から貼着面11に向かう方向である、厚み方向Aの一方側を、単に「下方向A1」又は「下側」と記載する。また、説明の便宜上、厚み方向Aにおいて貼着面11から取付面12に向かう方向である、厚み方向Aの他方側を、単に「上方向A2」又は「上側」と記載する。更に、圧迫デバイス1を、貼着シート2の厚み方向Aに沿って見た平面視(図2、図3参照)のうち、貼着シート2の取付面12側から見た平面視(図2参照)を、説明の便宜上、単に「上面視」と記載する。また、圧迫デバイス1を、貼着シート2の厚み方向Aに沿って見た平面視(図2、図3参照)のうち、貼着シート2の貼着面11側から見た平面視(図3参照)を、説明の便宜上、単に「下面視」と記載する。また、上面視及び下面視を区別しない場合は、単に、「平面視」と記載する。また、特段の記述がない限り、単に「平面視」、「上面視」、「下面視」と記載する場合は、後述する押圧部5の伸長体21が退避形態にある場合での平面視、上面視、下面視を意味する。
貼着シート2は、例えば、基材層と、接着層と、を含む複数層から構成される。
基材層は、例えば、薄肉の樹脂シートにより構成される。より具体的に、基材層は、例えば、ポリエステル繊維の白色スパンレース不織布により構成されており、その厚さは、例えば30μmなど、5μm~150μmの範囲内とされている。但し、基材層の材料は、ポリエステルに限らず、例えば、アクリル重合体、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド誘導体などを使用してもよい。
本実施形態の貼着シート2は、伸び変形可能な弾性シートにより構成されていることが好ましい。このようにすれば、貼着シート2は、圧迫部材3により厚み方向Aに押圧されることで伸び変形することができる。そのため、本実施形態の貼着シート2の基材層は、例えばポリウレタンなど、伸び変形し易い材料により構成されていることが好ましい。
接着層は、例えば、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤等の接着剤により構成される。接着層は、基材層に対して、直接的に又は別の層を挟んで間接的に、積層されている。本実施形態の貼着シート2の貼着面11は、接着層により構成されている。
貼着シート2は、上述の基材層、接着層の他に、更に別の層を含んでもよい。貼着シート2は、例えば、表面層を含んでもよい。表面層は、例えば、厚さが5μm~50μm程度の樹脂から構成される。より具体的に、表面層の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などを使用できる。表面層は、基材層を挟んで接着層とは反対側に、基材層に対して、直接的に又は別の層を挟んで間接的に、積層されている。したがって、貼着シート2の取付面12は、表面層により構成してもよい。上述したように、本実施形態の貼着シート2は、伸び変形可能な弾性シートにより構成されていることが好ましい。そのため、表面層としても、例えばポリウレタンなど、伸び変形し易い材料により構成されていることが好ましい。
より具体的に、貼着シート2は、一面に接着剤としての粘着剤が施された不織布テープにより構成されてもよい。更に、貼着シート2は、基材層の両側に接着層が設けられている両面テープにより構成されてもよい。貼着シート2を両面テープにより構成した場合には、圧迫部材3の後述する固定部4を、貼着シートの片方の接着層に接着することで、圧迫部材3を貼着シート2に固定することができる。
本実施形態の貼着シート2は、図2、図3に示すように、圧迫部材3の下面側の全域を覆っている。
詳細は後述するが、貼着シート2は、圧迫部材3の後述する固定部4が固定されている第1の部分X1と、圧迫部材3の後述する押圧部5に押圧される第2の部分X2と、を備える。更に、詳細は後述するが、貼着シート2は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、第1の部分X1と第2の部分X2との間に位置し、第1の部分X1に連続する位置から第2の部分X2に連続する位置まで延在する第3の部分X3を備える。
貼着シート2の貼着面11は、生体表面に貼着される前の状態(以下、「使用前状態」と記載する。)において、図7、図8に示す剥離シート27により覆われている。剥離シート27は、貼着シート2を生体表面に貼着する際に、ユーザーにより貼着面11から剥離されることにより取り除かれる。剥離シート27が貼着面11から取り除かれ、貼着面11が露出することにより、貼着シート2の貼着面11が生体表面に貼着可能な状態とされる。剥離シート27は、例えば、剥離紙や樹脂製のシート材により形成可能である。図1~図6に示す圧迫デバイスは、剥離シート27が取り除かれた状態を示している。図8に示すように、本実施形態の貼着シート2の貼着面11は、3枚の剥離シート27により覆われている。このように複数の剥離シート27を用いることで、貼着面11を部分的に露出させることができる。このようにすることで、貼着シート2の貼着面11を生体表面に貼着する際の貼着位置に関して、貼着面11全域の貼着位置を同時に位置決めしなくてよい。つまり、貼着面11を部分的に貼着することで、生体表面上での圧迫デバイス1の位置決めをし、その状態で、残りの剥離シート27を取り除くことができる。そのため、貼着面11を生体表面上の誤った位置に貼着することを抑制でき、貼着する際の作業性を向上させることができる。特に、本実施形態の複数の剥離シート27は、圧迫デバイス1を生体表面上に装着する際に、生体内に挿入されているシース等の医療器具のうち生体外に延在する部分を完全に覆う位置に配置されている1枚の抜去用剥離シート27aを含む。このような抜去用剥離シート27aを備えることで、別の剥離シート27を生体表面に貼着し、圧迫デバイス1の生体表面上での位置決めをした後であっても、この抜去用剥離シート27aを貼着面11から剥離しなければ、生体内に挿入されているシース等の医療器具が貼着面11に貼着し難く、生体外に抜去し易くなる。抜去用剥離シート27aは、シース等の医療器具を生体外に抜去した後に貼着面11から剥離される。また、抜去用剥離シート27aは、折り重ねられて積層されている2層構造となっており、図8に示すように折り目70は拡張体23側に位置する。更に、抜去用剥離シート27aの底面側に位置する層の、折り目70と反対側の先端部71は、図7に示すようにシート本体部50aの外縁の外側に位置する。このような先端部71を設けることで、医療従事者は、先端部71を操作して抜去用剥離シート27aを貼着面11から剥離することができる。これにより、シース等の医療器具を生体外に抜去し、圧迫デバイス1が生体表面に取り付けられている状態においても、抜去用剥離シート27aを容易に剥離することができる。
<圧迫部材3>
圧迫部材3は、固定部4と、押圧部5と、を備える。
固定部4は、厚み方向Aにおいて貼着面11が位置する一方側とは反対側の他方側で、貼着シート2に固定されている。具体的に、本実施形態の固定部4は、取付面12が位置する側で、貼着シート2に固定されている。本実施形態の固定部4は、例えば接着、融着等により、取付面12に対して固定されているが、貼着シート2のうち貼着面11よりも上方向A2に位置する部分であれば、固定部4が固定される位置は特に限定されない。したがって、取付面12よりも下方向A1に位置する層に固定されていてもよい。但し、圧迫部材3の固定部4を、貼着シート2の取付面12に対して接着、融着等により固定する構成とすれば、圧迫部材3を貼着シート2に対して容易に取り付けることができる。
本実施形態の固定部4は、圧迫部材3のうち、貼着シート2の取付面12に接触して固定される接触固定面22aにより構成されている。より具体的に、本実施形態の固定部4は、圧迫部材3の後述する本体部31のうち、貼着シート2の取付面12に接触して固定される接触固定面22aにより構成されている。
押圧部5は、厚み方向Aにおいて貼着シート2を他方側(本実施形態では取付面12が位置する側)から一方側(貼着面11が位置する側)に向かって押圧可能である。換言すれば、押圧部5は、貼着シート2を下方向A1に向かって押圧可能である。このように、押圧部5は、貼着シート2一部を生体表面との間で挟み込んだ状態で、生体表面を押圧可能である。
本実施形態の押圧部5は、貼着シート2が生体表面に貼着されている状態で、生体表面に向かって伸長可能な後述する伸長体21を含む。この伸長体21は、貼着シート2が生体表面に貼着されている状態で下方向A1に伸長することにより、貼着シート2を下方向A1に突出させるように押圧することができる。以下、説明の便宜上、伸長体21が貼着シート2を下方向A1に向かって突出させるように伸長した形態を、伸長体21の「突出形態」と記載する。また、伸長体21が貼着シート2を下方向A1に向かって突出させないように下方向A1に伸長していない形態を、伸長体21の「退避形態」と記載する。本実施形態の圧迫デバイス1では、貼着シート2が生体表面に貼着されている状態で、伸長体21が退避形態の場合、生体表面は圧迫デバイス1により圧迫されない。逆に、本実施形態の圧迫デバイス1では、貼着シート2が生体表面に貼着されている状態で、伸長体21が突出形態の場合、生体表面は圧迫デバイス1により圧迫される。図4は、伸長体21の退避形態を示している。図5、図6は、伸長体21の突出形態を示している。伸長体21の詳細は後述する。
<貼着シート2の第1の部分X1、第2の部分X2及び第3の部分X3>
貼着シート2は、上述したように、第1の部分X1と、第2の部分X2と、第3の部分X3と、を備える。第1の部分X1は、圧迫部材3の固定部4が固定されている部分である。第2の部分X2は、圧迫部材3の押圧部5に押圧される部分である。第3の部分X3は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、第1の部分X1と第2の部分X2との間に位置し、第1の部分X1に連続する位置から第2の部分に連続する位置まで延在する部分である。
第1の部分X1及び第2の部分X2は、異なる部分である。つまり、第1の部分X1は、押圧部5に押圧される部分ではない。また、第2の部分X2は、固定部4が固定される部分ではない。より具体的に、本実施形態の第1の部分X1は、圧迫部材3の固定部4としての接触固定面22aと接触する部分である。また、本実施形態の第2の部分X2は、圧迫部材3の押圧部5における後述の伸長体21と接触する部分である。
第3の部分X3は、押圧部5に押圧される部分ではない。また、第3の部分X3は、固定部4が固定される部分でもない。第3の部分X3は、平面視(図2、図3参照)において、上述の第1の部分X1と第2の部分X2との間に位置し、第1の部分X1及び第2の部分X2の間を繋ぐ部分である。換言すれば、貼着シート2は、固定部4が固定される位置から押圧部5に押圧される位置まで跨るように延在する部分を有する。本実施形態の第3の部分X3は、第1の部分X1及び第2の部分X2と一体で形成されている。
詳細は後述するが、本実施形態において、固定部4は平面視で環状の接触固定面22aにより構成されている。つまり、本実施形態の第1の部分X1は、平面視で環状に延在している。また、本実施形態において、押圧部5は、平面視において第1の部分X1に取り囲まれている領域で、貼着シート2を押圧する。つまり、本実施形態の第2の部分X2は、平面視で環状の第1の部分X1の内側に位置している。そして、本実施形態の貼着シート2は、固定部4及び押圧部5を含む圧迫部材3の下面全域を覆っている。つまり、本実施形態の第3の部分X3は、平面視で、環状の第1の部分X1の内側、かつ、第2の部分X2の外側、のすべての部分である。
本実施形態では、貼着面11の全域に生体表面に貼着可能な貼着部としての接着層が設けられているが、この構成に限られない。但し、貼着面11のうち、第1の部分X1に対応する位置には、少なくとも一部に接着剤等で形成される貼着部が設けられている。その一方で、例えば、第1の部分X1に対応する位置のみで生体表面への所望の貼着力を実現できるのであれば、貼着面11のうち、第2の部分X2及び第3の部分X3に対応する位置には、接着剤等で形成される貼着部はなくてもよい。
圧迫デバイス1では、押圧部5が貼着シート2の第2の部分X2を介して生体表面を押圧する。この際に、押圧部5は、貼着シート2の貼着面11が生体表面に貼着されていることで、生体表面を圧迫した状態を維持することができる。換言すれば、押圧部5が生体表面を圧迫する力は、固定部4を介して、貼着シート2の第1の部分X1の位置での貼着面11を厚み方向Aの上方向A2に持ち上げる力として作用する。つまり、貼着シート2の第1の部分X1を生体表面から離間する方向の力が作用するため、第1の部分X1の位置での貼着面11が生体表面から部分的に剥がれるおそれがある。貼着面11が剥離すると、生体表面を圧迫する圧迫力を所望の圧迫力に維持できない場合がある。これに対して、圧迫デバイス1の貼着シート2が上述の第3の部分X3を備える。これにより、貼着シート2が第3の部分X3を有さず例えば第1の部分X1と第2の部分X2との間が途切れている構成の場合と比較して、第2の部分X2に加わる押圧部5の押圧力が、第3の部分X3を介して第1の部分X1に伝わり易い。換言すれば、第3の部分X3を有さず第1の部分X1と第2の部分X2との間が途切れている場合、第2の部分X2に加わる押圧力は、圧迫部材3を介して第1の部分X1のみに伝わり、第1の部分X1が生体表面から剥がれるおそれがある。これに対して、第3の部分X3を有する場合、第2の部分X2に加わる押圧力が第1の部分X1及び第3の部分X3に広く伝わるので、第1の部分X1及び第3の部分X3が生体表面から剥がれ難くなる。そのため、固定部4から貼着シート2の第1の部分X1に対して生体表面から離間する上方向A2の力が加わっても、第1の部分X1が生体表面から剥がれることを抑制できる。
また、貼着シート2は、平面視において、第1の部分X1を挟んで、第2の部分X2及び第3の部分X3と反対側に位置する第4の部分X4を備えることが好ましい。第4の部分X4は、押圧部5に押圧される部分ではない。また、第4の部分X4は、固定部4が固定される部分でもない。このような第4の部分X4を設けることで、第4の部分X4がない構成と比較して、生体表面への貼着面積を広くでき、貼着シート2の生体表面からの剥離を、より抑制できる。
本実施形態において、第3の部分X3及び第4の部分X4は、圧迫部材3を含む全ての部材が接触しない部分であるが、この構成に限られない。但し、第3の部分X3及び第4の部分X4を、圧迫部材3を含む全ての部材が接触しない部分とすることで、生体表面への追従性を高め、貼着シート2の生体表面からの剥離を、より抑制できる。
本実施形態の圧迫部材3の下方向A1の下面はすべて、貼着シート2により覆われている。このように圧迫部材3の下面すべてを覆う貼着シート2とすることで、貼着シート2の形状を単純化できる。貼着シート2の形状としては特に限定されず、例えば、平面視で円形、楕円形、四角形など各種形状とすることができる。
本実施形態の貼着シート2は、押圧部5により下方向A1に押圧されると、下方向A1に膨らむように伸び変形する。これにより、押圧部5は、貼着シート2を介して、生体表面を圧迫できる。本実施形態の貼着シート2は、上述したように、弾性シートにより構成されているが、押圧部5に押圧されることで下方向A1に膨らむように変形する構成であれば、その構成は特に限定されない。貼着シート2は、例えば、第2の部分X2の位置が折り畳まれた状態から拡がるように変形することで下方向A1に突出する構成、としてもよい。但し、本実施形態のように貼着シート2を弾性シートにより構成することで、貼着シート2の構成を簡素化できるため好ましい。
ここでは、圧迫部材3の下面全域を覆う貼着シート2について例示説明したが、貼着シート2は、圧迫部材3の下面全域を覆う構成に限られない。貼着シートが圧迫部材の下面を部分的に覆う構成の詳細については後述する(図11~図24、図26参照)。
また、本実施形態の貼着シート2は、厚み方向Aの一方側の面である下面に貼着面11を備えるシート本体部50aと、このシート本体部50aの外縁から突出し、下面に貼着面11を備えない突出部50bと、を備える。より具体的に、本実施形態の貼着シート2では、第1の部分X1、第2の部分X2、第3の部分X3及び第4の部分X4は、シート本体部50aに属する。シート本体部50aの外縁は、第4の部分X4により構成されている。換言すれば、上述の突出部50bは、第4の部分X4の外縁から突出している。このような突出部50bを設けることで、医療従事者又は患者は、貼着シート2を生体表面から引き剥がす際に、突出部50bを把持して操作することができる。これにより、貼着シート2を生体表面から剥離する際に、容易に剥離することができる。
以下、本実施形態の圧迫部材3の更なる詳細について説明する。
本実施形態の圧迫部材3は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体21と、この伸長体21を保持する保持体22と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体22のうち、貼着シート2に接触して固定される接触固定面22aにより構成されている。より具体的に、本実施形態の上述した固定部4は、保持体22のうち、平面視で貼着シート2と重なる部分であって、貼着シート2の取付面12に接触して固定される接触固定面22aにより構成されている。本実施形態の上述した押圧部5は、伸長体21及び保持体22により構成されている。
本実施形態の伸長体21は、流体の供給により拡張可能な拡張体23である。本実施形態の拡張体23は、拡張部23aと、取付部23bと、を備える。拡張部23aは、内部に気体等の流体を収容可能な収容空間23a1を区画している。また、本実施形態の拡張部23aは、内部が連通するように連結された2つのバルーン部により構成されている。本実施形態の収容空間23a1は、2つのバルーン部の連通する内部空間により構成されている。取付部23bは、拡張部23aの一端に延設されている。本実施形態の拡張体23は、シート状の取付部23bを保持体22に巻き付けて取り付けることで、保持体22に対して固定されている。
本実施形態の拡張体23は、シート状の取付部23bを保持体22に巻き付けるようにして、保持体22に固定される。具体的に、保持体22の下面側に位置する拡張部23aから延設されているシート状の取付部23bが、保持体22の貫通孔22bを通じて保持体22の下面側から上面側に挿通されている。そして、取付部23bのうち、保持体22の上面側に突出する部分は、保持体22に沿って巻き付けられている。そのため、取付部23bのうち保持体22の上面側に突出する部分と、拡張部23aと、は保持体22を挟んで反対側に位置している。取付部23bのうち保持体22の上面側に突出する部分には、保持体22の係止突起22cが嵌合する係止孔23b1が形成されている。係止突起22cを係止孔23b1に嵌合することで、取付部23bが保持体22に位置決めされる。
拡張体23は、厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能である。本実施形態の伸長体21としての拡張体23は、上述した退避形態(図4参照)から突出形態(図5、図6参照)に形態変化することで下方向A1に向かって突出し、生体表面を圧迫可能な姿勢となる。
拡張体23が退避形態の場合、拡張部23aは、収容空間23a1が収縮した状態で、保持体22の下面に沿うように配置されている。拡張部23aの収容空間23a1は、保持体22の外部まで延在するチューブ28に連通している。拡張部23aの収容空間23a1には、チューブ28の端部に設けられた接続部29としてのインフレーションポートに接続される流体供給器具から、チューブ28を通じて、例えば空気等の流体が供給される。これにより、拡張部23aの拡張状態を変化させ、拡張体23を退避形態(図4参照)から突出形態(図5、図6参照)に形態変化させることができる。具体的に、拡張部23aは、収容空間23a1に流体が供給されることで、保持体22の下面により反力を受けて、下方向A1に向かって拡張する。拡張部23aの収容空間23a1に供給される流体は、気体に限らず、液体であってもよい。
更に、本実施形態の拡張体23は、厚み方向Aに対して傾斜する方向に向かって拡張可能である。上述したように、本実施形態の拡張体23は、シート状の取付部23bが保持体22の貫通孔22bを通じて保持体22の上下面に亘って巻き付けられた状態で、保持体22に固定されている。そのため、拡張部23aは、拡張時に、貫通孔22bの下方向A1の直線状の縁部に当接する取付部23bの部分を回動中心として、この回動中心周りに回動しながら拡張する。より具体的に、本実施形態の拡張部23aを構成する2つのバルーン部は、厚み方向Aに重ねられた状態で配置されている。また、これら2つのバルーン部それぞれの一端は、取付部23bに対して取り付けられている。つまり、2つのバルーン部の一端側は、取付部23bにより拘束されている。そのため、2つのバルーン部が拡張しても、上記一端側では2つのバルーン部の距離は離間しない。その一方で、2つのバルーン部の他端側は、何ら拘束されていない。そのため、2つのバルーン部が拡張すると、上記他端側では2つのバルーン部の距離は離間する。すなわち、本実施形態の拡張部23aを構成する2つのバルーン部では、取付部23bに取り付けられている一端側を回動中心として、取付部23bに取り付けられていない他端側が、この回動中心周りを回動する。このようにして、本実施形態の拡張体23は、厚み方向Aに対して傾斜する方向に向かって拡張する。厚み方向Aに対して傾斜する方向に向かって拡張する拡張体23とすることで、後述する穿孔Pを狭窄又は閉塞し易くなる。この詳細は後述する(図28参照)。但し、厚み方向Aに対して傾斜する方向に向かって拡張するための構成は、本実施形態の拡張体23の構成に限られない。
拡張体23としては、例えば空気等の気体により拡張するバルーンとすることができる。拡張体23の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、またはこれらのうち任意の材料を混合した、可撓性を有する材料を用いることができる。
本実施形態の保持体22は、扁平で平面視が略四角形状を有する本体部31と、この本体部31から上方向A2に突設されており、対向して配置されている一対の把持板部32と、を備える。
本体部31には、上述した貫通孔22bが形成されている。また、本体部31は、拡張体23の取付部23bの係止孔23b1に嵌合する上述の係止突起22cを備える。上述の拡張体23の拡張部23aは、本体部31の中央部の下面側に配置されている。
また、本体部31は、貼着シート2の取付面12に固定されている。具体的に、本体部31の下面の外縁部のみが、貼着シート2の取付面12に対して固定されている。本体部31の下面の外縁部以外は、貼着シート2の取付面12に対して固定されていない。但し、本実施形態の本体部31の下面の外縁部以外は、貼着シート2の取付面12に接触していてもよい。換言すれば、本実施形態の固定部4は、保持体22の本体部31の下面の外縁部により構成されている。つまり、本実施形態の保持体22の本体部31の下面の外縁部は、貼着シート2に接触して固定される接触固定面22aを構成している。したがって、本実施形態の接触固定面22aは、平面視で環状である。そして、拡張体23の拡張部23aは、平面視で、接触固定面22aに取り囲まれた位置に配置されている。
一対の把持板部32は、医療従事者により把持される。このような一対の把持板部32を設けることで、圧迫デバイス1を持ち易くなる。そのため、医療従事者にとっての操作性を向上させることができる。
本実施形態の保持体22の材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。この樹脂材料としては、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性ポリウレタン、ポリメチレンメタクリレート、ポリオキシエチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の射出成形で用いられる熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
保持体22のうち少なくとも本体部31の中央部は、超音波透過性を有する材料で形成されることが好ましい。また、上述した伸長体21についても、超音波透過性を有する材料で形成されることが好ましい。伸長体21として拡張体23を用いる場合には、拡張体23が超音波透過性を有する材料で形成されているのみならず、拡張体23に供給される流体についても、水やゲル等の超音波透過性を有する流体を用いる。このようにすれば、圧迫デバイス1による血管の閉塞状態を、超音波装置により検出できる。この詳細は後述する。
<圧迫デバイス1を用いて行う圧迫方法>
次に、圧迫デバイス1を用いて行う生体表面の圧迫方法について説明する。図9は、生体表面の圧迫方法の一例を示すフローチャートである。図9に示す圧迫方法は、取付工程S1と、第1圧迫工程S2と、抜去工程S3と、第2圧迫工程S4と、を含む。図10A~図10Dは、取付工程S1の概要を示す図である。図10Eは、第1圧迫工程S2の概要を示す図である。図10Fは、抜去工程S3の概要を示す図である。図10Gは、第2圧迫工程S4の概要を示す図である。
図9、図10A~図10Gに示す圧迫方法は、生体表面BSを圧迫することで、生体表面BSから結合組織を通じて、例えば大腿静脈などの静脈内に挿入されている状態の医療器具100としてのシースを抜去することで形成される穿孔を、静脈を閉塞することなく、狭窄又は閉塞する、圧迫方法である。これにより、医療器具100としてのシースを抜去した後の止血を行うことができる。まず、医療器具100を抜去した後に形成される穿孔について図27Aおよび図27Bを参照して説明する。図27Aは、医療器具100としてのシースが生体表面BSから結合組織CTを通じて、大腿静脈FV内に挿入されている状態を示している。図27Aでは、医療器具100としてのシースを3本示しているが、2本以下であってもよく、4本以上であってもよい。図27Bは、図27Aに示す状態から医療器具100としてのシースを抜去した後の状態を示している。図27Bに示すように、医療器具100としてのシースを抜去することで、生体表面BSと大腿静脈FVとの間に穿孔Pが形成される。図9、図10A~図10Gに示す圧迫方法では、大腿静脈FVを閉塞することなく、穿孔Pを狭窄又は閉塞することができる。そのため、生体表面から深い位置にある静脈からの出血の止血を行う場合であっても、その静脈自体を狭窄又は閉塞する必要がなく、より効率的に止血を行うことができる。以下、図10A~図10Gを参照して、各工程S1~S4の詳細について説明する。
図10Aは、生体表面BSから大腿静脈FV(図27A、図27B参照)内に医療器具100としてのシースが挿入されている状態を示している。図10Bでは、医療器具100としてのシースが生体内に挿入されている状態で、生体表面BS上で圧迫デバイス1の取り付け位置を調整している様子を示している。
図10Cに示すように、圧迫デバイス1の生体表面BS上での取り付け位置を決定した後、貼着シート2の貼着面11に積層されている剥離シート27を剥離して、貼着面11を露出させる。その後、図10Bで調整した位置に、図10Dに示すように、貼着シート2の貼着面11を貼着することにより、圧迫デバイス1を生体表面BSに取り付けることができる。この時点では、上述した抜去用剥離シート27aは剥離されておらず、貼着面11に貼着した状態のままにしている。但し、この時点で抜去用剥離シート27aを剥離してもよい。
次に、図10Eに示すように、チューブ28の接続部29に流体供給器具としてのシリンジ30を接続する。チューブ28を通じて、圧迫デバイス1の拡張体23の拡張部23a(図6参照)に対して空気を供給し、拡張体23を拡張させる。このようにすることで、医療器具100としてのシースを生体表面BSから抜去する前に、生体表面BSの傷口近傍を、予め圧迫することができる。換言すれば、医療器具100としてのシースが生体表面BSから結合組織CT(図27A、図27B参照)を通じて静脈としての大腿静脈FV内に挿入されている状態で生体表面BSの圧迫を開始する。このように、医療器具100を生体表面BSから抜去する前に圧迫しておく。これにより、医療器具100としてのシースの抜去直後に、生体表面BSを圧迫することができる。そのため、生体表面BSから大腿静脈FV(図27A、図27B参照)まで延在する穿孔P(図27B参照)を、シースの抜去直後に、狭窄又は閉塞することができる。
次に、図10Fに示すように、医療器具100としてのシースを生体表面BSから抜去する。このシースの抜去により、図27Bで示す穿孔Pが形成される。仮に、この状態で生体表面BSを全く圧迫しない場合は、大腿静脈FVから穿孔Pおよび生体表面BS上の傷口を通じて、生体外に出血する。しかしながら、ここで示す圧迫方法では、図10Eに示すように、医療器具100としてのシースを生体表面BSから抜去する前に、予め生体表面BSを圧迫しておく。そのため、シースを抜去した直後に、穿孔P(図27B参照)を狭窄又は閉塞するように、生体表面BSを圧迫でき、シースの抜去直後における出血量を抑制することができる。抜去用剥離シート27aは、シースを抜去した後に貼着面11から剥離される。
次に、図10Gに示すように、チューブ28の接続部29に流体供給器具としてのシリンジ30を再び接続する。チューブ28を通じて、圧迫デバイス1の拡張体23の拡張部23aに対して、再び空気を供給して加圧する、又は、空気を抜いて減圧する。換言すれば、医療器具100としてのシースを抜去後に生体表面BSの圧迫力を調整する。これにより、生体表面BSの圧迫力を調整して、大腿静脈FV(図27A、図27B参照)を閉塞することなく、穿孔P(図27B参照)を更に狭窄又は閉塞させることで、出血量を大きく低減させる又は出血を止める、ことができる。
より具体的に、シース抜去後に出血が確認された場合には、止血が達成されるまで圧迫力をゆっくり高めて加圧する。これに対して、シース抜去後に止血が確認された場合には、出血が確認されるまで圧迫力をゆっくり低下させて減圧する。そして、出血が確認された後に、止血が達成されるまで圧迫力をゆっくり高めて加圧する。このようにすることで、過加圧による大腿静脈FV(図27A、図27B参照)の閉塞を防止することができる。
また、生体表面BSが適切に圧迫されているか否かを、超音波装置を用いて検出してもよい。具体的に、保持体22及び拡張体23を、超音波透過性を有する材料で形成し、拡張体23に水等の超音波透過性を有する流体を供給する構成とすることで、圧迫デバイス1による圧迫状態を、超音波により診断できる。つまり、超音波装置により、大腿静脈FV(図27A、図27B参照)が閉塞されているか否かを検出することができる。超音波装置による診断結果に基づき、圧迫デバイス1の圧迫力を調整してもよい。
そのまま、数時間(例えば2~6時間)、圧迫状態を維持することで、止血を完了することができる。止血完了後は、貼着シート2の貼着面11を生体表面BSから剥離することで、圧迫デバイス1を生体表面BSから取り外す。
ここで示す圧迫方法は、大腿静脈FV(図27A、図27B参照)を閉塞せずに、穿孔P(図27B参照)を狭窄又は閉塞する。静脈の止血の場合には、穿孔P(図27B参照)の狭窄又は閉塞により、止血を行うことができる。これに対して、例えば、大腿動脈の止血の場合には、穿孔のみを閉塞しても、結合組織CT(図27A、図27B参照)内に血液が漏れ拡がるため、止血することができない。大腿動脈の止血の場合には、動脈自体を狭窄又は閉塞するほど強く圧迫する方法、動脈壁の孔を塞ぐ方法等、大がかりな対応が必要になる。
したがって、上述の圧迫方法では、生体表面BSを、生体表面BSからの圧迫深さが5mm~20mmとなる位置まで圧迫することが好ましい。圧迫深さを上記範囲とすることで、静脈を閉塞することなく、穿孔P(図27B参照)を狭窄又は閉塞する圧迫状態を実現し易い。圧迫深さは、5mm~15mmとすることがより好ましく、8mm~12mmとすることが更に好ましい。
更に、上述の圧迫方法では、生体表面BSを、生体表面BSから10g/cm2~600g/cm2で圧迫することが好ましい。この圧迫圧力は、医療器具100としてのシースを抜去した後の圧力であり、上述したシース抜去前の圧迫力を意味しない。圧迫圧力を上記範囲とすることで、静脈を閉塞することなく、穿孔P(図27B参照)を狭窄又は閉塞する圧迫状態を実現し易い。圧迫圧力は、50g/cm2~400g/cm2とすることがより好ましく、100g/cm2~300g/cm2とすることが更に好ましい。
また、生体表面BSを、穿孔P(図27B参照)の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫することが好ましい。「穿孔の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫する」とは、穿孔の延在方向に対して直交する方向のみに圧迫することに限らず、穿孔の延在方向に対して直交する方向に対して所定角度以下(例えば30度以下)の角度で傾斜する方向に圧迫することをも含む意味である。本実施形態の圧迫デバイス1は、生体表面BSを、穿孔P(図27B参照)の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫することができる。
具体的に、本実施形態の拡張体23は、上述したように、厚み方向Aに対して傾斜する方向に向かって拡張可能である。このようにすることで、生体表面を、穿孔P(図27B参照)の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫することができる。具体的に、図27A、図27Bに示すように、医療器具100としてのシースは、生体表面BSに対して直交する方向(厚み方向Aと同じ方向)ではなく、生体表面BSに対して直交する方向に対して一方側に傾斜した方向に挿入される。そのため、図27Bに示すように、穿孔Pの延在方向についても生体表面BSに直交する方向に対して傾斜する。したがって、生体表面BSに対して直交する方向となる厚み方向Aに対して、穿孔Pの延在方向とは逆側に傾斜する方向(以下、「傾斜方向F」と記載する場合がある。)に拡張可能な拡張体23とすれば、穿孔Pの延在方向に対して直交する方向に沿って生体表面BSを圧迫し易くなる。これにより、図27A、図27Bの大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔Pを狭窄又は閉塞する圧迫デバイス1を実現し易い。図28は、圧迫デバイス1により、図27Bに示す穿孔Pを狭窄又は閉塞している状態を示す図である。図28に示すように、圧迫デバイス1によれば、大腿静脈FV等の静脈を、より閉塞せずに、穿孔Pを、より狭窄又は閉塞し易くなる。
図9、図10A~図10Gに示す圧迫方法によれば、穿孔P(図27B参照)を、大腿静脈FVなどの静脈を閉塞することなく、狭窄又は閉塞することで、止血を行うことができる。特に、圧迫デバイス1により上述の圧迫方法を実現することで、医療従事者の手による圧迫や、大がかりな止血器具の使用などを不要にし、簡単な方法で止血を行うことができる。
<圧迫デバイス1による生体表面への圧迫>
図28に示すように、圧迫デバイス1において、圧迫部材3の押圧部5の伸長体21としての拡張体23は、貼着シート2を生体に装着している状態で、生体表面BSに垂直な垂直方向(図28では厚み方向Aと同じ方向であり、図28の上下方向。以下、単に「垂直方向」と記載する。)に対して傾斜する傾斜方向Fに向かって、生体表面を圧迫可能である。このようにすることで、図28に示すように、大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔Pを狭窄又は閉塞し易くなる。
図29は、図28に示す状態を、生体表面BS側から見た正面図である。換言すれば、図29は、生体表面BSのうち、圧迫デバイス1により圧迫される位置での正面視を示している。ここで「生体表面のうち、圧迫デバイスにより圧迫される位置での正面視」とは、生体表面のうち、圧迫デバイスにより圧迫される対象となる部分を、圧迫前の当該部分に対して垂直な方向から見た状態を意味する。図29では、鼠径部の正面視を示している。図29に示す正面視において、生体表面BSが圧迫される方向(図29の白抜き矢印「AR1」参照)は、穿孔Pの延在方向Gのうち生体表面BSから静脈に向かうシースの挿入方向G1(図29の白抜き矢印「AR2」参照)と対向している。つまり、圧迫デバイス1が生体表面BSを圧迫する方向は、図29に示す正面視で、シースの挿入方向G1と対向している。このようにすることで、大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔P(図28参照)を狭窄又は閉塞し易くなる。
換言すれば、図28に示すように、穿孔Pの延在方向Gは、生体表面BSに対して傾斜しており、かつ、生体表面BSに垂直な垂直方向(図28では上下方向)に対しても傾斜している。また、図28に示すように、圧迫デバイス1による生体表面BSの圧迫方向についても、生体表面BSに対して傾斜しており、かつ、生体表面BSに垂直な垂直方向(図28では上下方向)に対しても傾斜している。更に、図28に示すように、穿孔Pの延在方向Gは、上記垂直方向(図28では上下方向)に対して、圧迫デバイス1による生体表面の圧迫方向としての傾斜方向Fとは逆側に傾いている。つまり、圧迫デバイス1による生体表面の圧迫は、その圧迫方向が穿孔Pの延在方向Gと交差して交わるように、実行される。これにより、穿孔Pを効率的に狭窄又は閉塞することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態としての圧迫デバイス101について説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点についてのみ説明し、共通する構成については説明を省略する。
図11は、本実施形態の圧迫デバイス101を下面側から見た斜視図である。図12は、圧迫デバイス101の下面図である。
本実施形態の圧迫デバイス101は、上述した圧迫デバイス1と比較して、貼着シートの構成のみが相違する。本実施形態の貼着シート102は、厚み方向Aに貫通する孔部40aにより構成される開口40を区画している。伸長体21が退避形態にある場合の平面視において、伸長体21としての拡張体23は、開口40としての孔部40aと重なる部分と、重ならない部分と、の両方を有している。すなわち、本実施形態の拡張体23は、突出形態で、貼着シート102のうち孔部40aの周囲縁部を、下方向A1に向かって押圧する。そして、拡張体23は、貼着シート102の孔部40aの位置で、生体表面上の傷口と直接接触し得る。
貼着シート102がこのような開口40を備えることで、生体表面上の傷口に対して貼着面11が貼着することを抑制できる。これにより、傷口から再出血することを抑制できる。
第1実施形態と同様、本実施形態において、固定部4は平面視で環状の接触固定面22aにより構成されている。つまり、本実施形態の第1の部分X1は、平面視で環状に延在している。また、第1実施形態と同様、本実施形態において、押圧部5の伸長体21としての拡張体23は、平面視において第1の部分X1に取り囲まれている領域内で、貼着シート102を押圧する。つまり、本実施形態の第2の部分X2は、平面視で環状の第1の部分X1の内側に位置している。本実施形態の貼着シート102は開口40を区画しており、押圧部5の伸長体21としての拡張体23の下側は開口40の周囲縁部により部分的にのみ覆われている。したがって、本実施形態の第2の部分X2は、開口40の周囲縁部のうち、平面視で拡張体23と重なる部分により構成されている。逆に言えれば、開口40の周囲縁部のうち、平面視で拡張体23と重ならない部分は、第2の部分X2を構成しない。そのため、本実施形態の第3の部分X3は、平面視で、環状の第1の部分X1と、第2の部分X2としての、開口40の周囲縁部のうち平面視で拡張体23と重なる部分と、の間の部分である。
第1実施形態と同様、本実施形態の拡張体23は、保持体22の貫通孔22bの下側の直線状の縁部に当接する部分を回動中心とし、この回動中心周りを回動しながら拡張する。このように回動しながら拡張する拡張体23を用いる場合は、回動中心から最も遠い拡張体23の後端、すなわち、本実施形態では拡張部23aの後端23a2が、少なくとも孔部40aの周囲縁部を押圧する構成とすることが好ましい。このようにすれば、拡張体23が退避形態から突出形態に形態変化する際に、後端23a2が孔部40aの周囲縁部に係合した状態が維持され易い。そのため、拡張体23の他の端部のみが孔部40aの周囲縁部を押圧する構成と比較して、貼着シート102は、拡張体23が回動しながら拡張する拡張動作に追従して下方向A1に変形し易い。
本実施形態では、拡張体23の拡張部23aの後端23a2及び左右端23a4のみが、孔部40aの周囲縁部を押圧する構成である。しかしながら、拡張体23の拡張部23aの後端23a2及び左右端23a4に加えて、拡張部23aの前端23a3が、孔部40aの周囲縁部を押圧する構成であってもよい。前端23a3とは、後端23a2の反対側であり、回動中心に近い端である。また、左右端23a4とは、拡張部23aの回動中心軸方向の両端を意味する。また、拡張体23の拡張部23aの後端23a2のみが、孔部40aの周囲縁部を押圧する構成であってもよい。図13、図14は、本実施形態の貼着シート102の変形例としての貼着シート102aを備える圧迫デバイス101を示す図である。図13、図14に示す圧迫デバイス101では、拡張部23aの後端23a2、前端23a3及び左右端23a4の全てが、孔部40aの周囲縁部を押圧する構成である。このようにすることで、貼着シート102aは、拡張体23が回動しながら拡張する拡張動作に、より追従して変形し易い。
図13、図14に示す貼着シート102aにおいても、第3の部分X3は、平面視で、環状の第1の部分X1と、第2の部分X2としての、開口40の周囲縁部のうち平面視で伸長体21と重なる部分と、の間の部分である。上述したように、図13、図14に示す例では、開口40の周囲全域の周囲縁部が、平面視で伸長体21と重なる部分となる。つまり、図13、図14における第2の部分X2は、開口40の周囲全域の周囲縁部により構成されている。そのため、図13、図14に示す貼着シート102aの第3の部分X3は、第1実施形態と同様、平面視で、環状の第1の部分X1の内側、かつ、第2の部分X2の外側、の全ての部分である。
貼着シート102の開口40としての孔部40aは、圧迫デバイス101を生体表面上に装着する際の位置決めのために使用してもよい。具体的に、伸長体21としての拡張体23と、保持体22と、を透明な部材で構成すれば、医療従事者は、圧迫デバイス101の上面視において開口40の位置を視認できる。そのため、医療従事者は、開口40の位置に、生体表面上の圧迫したい位置を合わせるようにして、圧迫デバイス101を生体表面上に装着すれば、圧迫デバイス101の生体表面上での位置調整が容易である。このように、開口40を区画する貼着シート102を用いれば、貼着シート102がたとえ不透明な構成であっても、上述のように圧迫デバイス101の位置調整が容易になる。
特に、図14に示す貼着シート102aの開口40は、図12に示す貼着シート102の開口40よりも小さい。また、図14に示す開口40全域は、伸長体21としての拡張体23により覆われている。そのため、開口40内の任意の位置に生体表面上の圧迫位置を合わせればよい。このように、圧迫デバイス101の生体表面上での位置決めの観点では、図13、図14に示す貼着シート102aにおける開口40は、図11、図12に示す貼着シート102における開口40よりも好ましい。
図15は、本実施形態の貼着シート102の別の変形例としての貼着シート102bを備える圧迫デバイス101を示す図である。図15に示す貼着シート102bは、上述した貼着シート102aと比較して、開口40としての孔部40aが複数に分割されている点のみで相違する。換言すれば、図15に示す貼着シート102bは、平面視で伸長体21と重なる位置に、厚み方向Aに貫通する複数の孔部40bを区画している。より具体的に、図15に示す貼着シート102bは、平面視で拡張体23の拡張部23aと重なる位置に、複数の孔部40bを区画している。複数の孔部40bの間は、貼着シート102bの帯状補強部60により区画されている。このように複数の孔部40bを設ける構成とすることで、伸長体21が開口を通じて貼着シート102bよりも下方向A1に出てしまうことを抑制できる。また、複数の孔部40bの開口面積の総和と等しい開口面積を有する1つの孔部にする場合と比較して、貼着シート102bの強度を保持できる。
図15に示す貼着シート102bにおける第1の部分X1、第2の部分X2及び第3の部分X3は、上述した図13、図14に示す貼着シート102aの第1の部分X1、第2の部分X2及び第3の部分X3と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図16は、本実施形態の貼着シート102の更に別の変形例としての貼着シート102cを備える圧迫デバイス101を示す図である。図16に示す貼着シート102cは、本実施形態の貼着シート102、並びに、上述した貼着シート102a及び102b、と比較して、開口40としての孔部40aが形成されている位置が異なる点で相違する。図16に示す貼着シート102cでは、平面視において、開口40としての孔部40aが、伸長体21と重ならない位置に形成されている。具体的に、図16に示す孔部40aは、平面視で、拡張体23の拡張部23aと重ならない位置に形成されている。より具体的に、図16に示す孔部40aは、平面視で、固定部4が固定される第1の部分X1の内側であって、押圧部5の伸長体21としての拡張体23に押圧される第2の部分X2の外側に、形成されている。
図16に示す例では、拡張体23が回動中心の周りを回動しながら拡張する。孔部40aは、拡張体23に対して、回動中心軸方向の両側の位置に形成されている。このようにすることで、拡張体23が回動しながら拡張する際に、貼着シート102cが下方向A1に変形し易くなる。
また、図16に示す貼着シート102cでは、平面視において、伸長体21と重ならい位置のみに開口40が形成されているが、この構成に限られない。平面視で伸長体21と重ならない位置に形成されている開口40としての孔部40a(図16参照)に加えて、平面視で伸長体21と重なる位置に形成されている開口40としての孔部40a(図11~図15参照)を備える貼着シートであってもよい。
第1実施形態と同様、図16に示す圧迫デバイス101においても、固定部4は平面視で環状の接触固定面22aにより構成されている。つまり、図16に示す貼着シート102cの第1の部分X1は、平面視で環状に延在している。また、第1実施形態と同様、図16に示す圧迫デバイス101においても、押圧部5は、平面視において第1の部分X1に取り囲まれている領域内で、貼着シート102cを押圧する。つまり、図16に示す貼着シート102cの第2の部分X2は、平面視で環状の第1の部分X1の内側に位置している。また、図16に示す貼着シート102cは、上述したように開口40を区画している。しかしながら、図16における貼着シート102cの開口40は、押圧部5の伸長体21の下側に位置しない。つまり、図16における貼着シート102cは、押圧部5の伸長体21の下側を完全に覆っている。したがって、本実施形態の第2の部分X2は、貼着シート102cのうち伸長体21の下側で伸長体21に接触する部分により構成される。そのため、図16に示す貼着シート102cでは、平面視で、第1の部分X1と第2の部分X2との間の位置に、上述の開口40が設けられている。したがって、図16に示す貼着シート102cの第3の部分X3は、平面視で環状の第1の部分X1と第2の部分X2との間の部分であって、かつ、第1の部分X1と第2の部分X2との間に開口40が介在しない部分、である。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態としての圧迫デバイス201について説明する。図17は、圧迫デバイス201を上面側から見た斜視図である。図18は、圧迫デバイス201の上面図である。図19は、圧迫デバイス201の下面図である。図20は、圧迫デバイス201を下面側から見た斜視図である。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点についてのみ説明し、共通する構成については説明を省略する。
本実施形態の圧迫デバイス201は、上述した圧迫デバイス1と比較して、貼着シートの構成のみが相違する。本実施形態の貼着シート202は、外縁の一部に形成されるノッチ40cにより構成される開口40を区画している。換言すれば、貼着シート202の外縁には切欠き部が形成されている。このようなノッチ40cは、シース等の医療器具100(図10A等参照)を受け入れる受け入れ開口として利用される。伸長体21が退避形態にある場合の平面視において、伸長体21としての拡張体23は、開口40としてのノッチ40cと重なる部分と、重ならない部分と、の両方を有している。すなわち、本実施形態の拡張体23は、突出形態で、貼着シート202のうちノッチ40cの周囲縁部を、下方向A1に向かって押圧する。そして、拡張体23は、貼着シート202のノッチ40cの位置で、生体表面上の傷口と直接接触し得る。
貼着シート202がこのような開口40としてのノッチ40cを備えることで、生体表面上の傷口に対して貼着面11が貼着することを抑制できる。これにより、傷口から再出血することを抑制できる。更に、開口40をノッチ40cにより構成することで、上述したように、シース等の医療器具100(図10A等参照)のための受け入れ開口として利用できる。そのため、本実施形態の圧迫デバイス201は、生体内に挿入されている医療器具100に対して容易に位置決め可能である。つまり、本実施形態の圧迫デバイス201によれば、生体表面上に装着する際の位置調整が容易である。また、開口40をノッチ40cとすることで、シース等の医療器具100(図10A等参照)を生体外に抜去する際に、医療器具100が貼着面11に貼着し難く抜去し易い。更に、伸長体21としての拡張体23を、シース等の医療器具100(図10A等参照)が抜去された際に形成される生体表面上の傷口に近づけ易く、穿孔P(図27B参照)のみを狭窄又は閉塞するように生体表面を圧迫し易くなる。
本実施形態の開口40としてのノッチ40cは、平面視で略矩形状であるが、この形状に限られず、例えば略U字形状、奥に向かうほど幅が漸減又は漸増する略三角形状、フラスコ形状、などの別の形状であってもよい。
第1実施形態と同様、本実施形態の拡張体23は、保持体22の貫通孔22bの下側の直線状の縁部に当接する部分を回動中心とし、この回動中心周りを回動しながら拡張する。このように回動しながら拡張する拡張体23を用いる場合は、回動中心から最も遠い拡張体23の後端、すなわち、本実施形態では拡張部23aの後端23a2が、少なくともノッチ40cの周囲縁部を押圧する構成とすることが好ましい。このようにすれば、拡張体23が退避形態から突出形態に形態変化する際に、後端23a2がノッチ40cの周囲縁部に係合した状態が維持され易い。そのため、拡張体23の他の端部のみがノッチ40cの周囲縁部を押圧する構成と比較して、貼着シート202は、拡張体23が回動しながら拡張する拡張動作に追従して下方向A1に変形し易い。
本実施形態では、拡張体23の拡張部23aの後端23a2及び左右端23a4のみが、ノッチ40cの周囲縁部を押圧する構成である。しかしながら、拡張体23の拡張部23aの後端23a2及び左右端23a4に加えて、拡張部23aの前端23a3が、ノッチ40cの周囲縁部を押圧する構成であってもよい。また、拡張体23の拡張部23aの後端23a2のみが、ノッチ40cの周囲縁部を押圧する構成であってもよい。図21、図22は、本実施形態の貼着シート202の変形例としての貼着シート202aを備える圧迫デバイス201を示す図である。図21に示す圧迫デバイス201では、拡張部23aの後端23a2のみが、ノッチ40cの周囲縁部を押圧する構成である。
貼着シート202に上述のノッチ40cが形成されているため、本実施形態の固定部4は、ノッチ40cの位置で分断されており、平面視で略C形状の接触固定面22aにより構成されている。つまり、本実施形態の第1の部分X1は、平面視で略C形状に延在している。また、本実施形態において、押圧部5の伸長体21としての拡張体23は、平面視において略C形状の第1の部分X1に取り囲まれている領域で、貼着シート202を押圧する。つまり、本実施形態の第2の部分X2は、平面視で略C形状の第1の部分X1の内側に位置している。本実施形態の貼着シート202は開口40としてのノッチ40cを区画しており、押圧部5の伸長体21としての拡張体23の下側は開口40の周囲縁部により部分的にのみ覆われている。したがって、本実施形態の第2の部分X2は、開口40の周囲縁部のうち、平面視で拡張体23と重なる部分により構成されている。逆に言えれば、開口40の周囲縁部のうち、平面視で拡張体23と重ならない部分は、第2の部分X2を構成しない。そのため、本実施形態の第3の部分X3は、平面視で、C形状の第1の部分X1と、第2の部分X2としての、開口40としてのノッチ40cの周囲縁部のうち平面視で拡張体23と重なる部分と、の間の部分である。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態としての圧迫デバイス301について説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点についてのみ説明し、共通する構成については説明を省略する。
図23は、本実施形態の圧迫デバイス301を下面側から見た斜視図である。図24は、圧迫デバイス301の下面図である。
本実施形態の圧迫デバイス301は、上述した圧迫デバイス1と比較して、貼着シートの構成のみが相違する。本実施形態の貼着シート302は、厚み方向Aに変形可能なフラップ部41を備える。平面視において、フラップ部41は、伸長体21と重なる位置に形成されている。すなわち、本実施形態の伸長体21としての拡張体23は、突出形態で、貼着シート302のうちフラップ部41を、下方向A1に向かって押圧して変形させる。
第1実施形態と同様、本実施形態の拡張体23は、保持体22の貫通孔22bの下側の直線状の縁部に当接する部分を回動中心とし、この回動中心周りを回動しながら拡張する。このように回動しながら拡張する拡張体23を用いる場合は、回動中心から最も遠い拡張体23の後端、すなわち、本実施形態では拡張部23aの後端23a2が、少なくともフラップ部41を押圧する構成とすることが好ましい。このようにすれば、貼着シート302のフラップ部41は、拡張体23が回動しながら拡張する拡張動作に追従して、拡張体23の下方向A1の下端となる後端23a2と共に、下方向A1の最も深い位置まで変形する。
図24に示すように、本実施形態のフラップ部41は、回動中心軸O2周りを回動するように変形する。フラップ部41の回動中心軸O2は、拡張体23の回動中心である回動中心軸O1と平面視で対向する位置に設けられている。また、フラップ部41の回動中心軸O2は、拡張体23の回動中心軸O1と略平行している。フラップ部41は、平面視で、この回動中心軸O2から拡張体23に向かって延在している。拡張体23が回動中心軸O1周りに回動しながら拡張すると、フラップ部41は拡張体23に押圧され、回動中心軸O2周りを、拡張体23とは逆周りに回動する。
このようなフラップ部41を設けることで、伸縮性の低い貼着シート302であっても、拡張体23の拡張に対してフラップ部41が変形して追従できる。換言すれば、貼着シート302の形成材料の選択の自由度が向上する。
第1実施形態と同様、本実施形態において、固定部4は平面視で環状の接触固定面22aにより構成されている。つまり、本実施形態の第1の部分X1は、平面視で環状に延在している。また、第1実施形態と同様、本実施形態において、押圧部5の伸長体21としての拡張体23は、平面視において第1の部分X1に取り囲まれている領域内で、貼着シート302のフラップ部41を押圧する。つまり、本実施形態の第2の部分X2は、平面視で環状の第1の部分X1の内側に位置するフラップ部41の一部により構成されている。そのため、本実施形態の第3の部分X3は、平面視で、環状の第1の部分X1と、第2の部分X2としてのフラップ部41の一部と、の間の部分である。より具体的に、本実施形態の第3の部分X3は、フラップ部41のうち、第2の部分X2を構成する一部分(先端部)以外の部分を含む。フラップ部41が第1の部分X1から連続して形成されている場合には、平面視で、第1の部分X1と第2の部分X2との間はフラップ部41のみとなる。したがって、かかる場合は、第2の部分X2及び第3の部分X3は、フラップ部41のみにより構成される。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態としての圧迫デバイス401について説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点についてのみ説明し、共通する構成については説明を省略する。
図25は、本実施形態の圧迫デバイス401の側面図の一部を断面図で示す部分断面図である。
本実施形態の圧迫デバイス401は、上述した圧迫デバイス1と比較して、伸長体としての拡張体の構成のみが相違する。本実施形態の伸長体21としての拡張体423は、流体の収容空間423a1を内部に区画する1つのみのバルーン部のみにより構成されている。また、本実施形態の伸長体21としての拡張体423は、保持体22に対して巻き付いておらず、保持体22と貼着シート2との間に介在している。したがって、拡張体423が拡張すると、拡張体423は保持体22の下面から反力を受けて下方向A1に拡張する。これにより、貼着シート2は、拡張体423に押圧され、下方向A1に突出する。このような拡張体423とすることで、生体表面への圧迫力を下方向A1に集中できる。また、このような拡張体423とすることで、生体表面のより深い位置まで圧迫することができる。但し、上述した穿孔P(図27B参照)のみを狭窄又は閉塞することを目的とした場合には、厚み方向Aに対して傾斜する方向に向かって拡張する上述の拡張体23とすることが好ましい。
本実施形態の貼着シート2における第1の部分X1、第2の部分X2及び第3の部分X3は、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図26は、本実施形態の貼着シート2の変形例としての貼着シート2aを備える圧迫デバイス401を下面側から見た斜視図である。
図26に示す貼着シート2aは、本実施形態の貼着シート2と比較して、開口40としての孔部40aを区画している点で相違している。平面視において、伸長体21としての拡張体423は、開口40としての孔部40aと重なる部分と、重ならない部分と、を有する。この開口40としての孔部40aによる作用効果は、図13、図14に示す開口40としての孔部40aと同様である。そのため、ここでは説明を省略する。
また、図26に示す開口40は、孔部40aにより構成されているが、この構成に限られず、例えば、図17等に示すノッチ40cにより構成される開口40としてもよい。
本開示に係る圧迫デバイスは、上述した第1実施形態~第5実施形態に示す具体的な構成に限られず、請求の範囲の記載を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。また、第1実施形態~第5実施形態に示す圧迫デバイスの各部の構成を組み合わせて構築される圧迫デバイスについても、本開示の技術的範囲に属する。