JPWO2019225377A1 - チオールエン硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
十分な伸び特性と弾性を両立し、配合物の保存安定性を確保したチオールエン硬化性組成物を提供する。1分子中にイソシアヌル骨格および2つ以上のメルカプト基を有する化合物(A)と、ジアリルマレートとジアリルフマレートからなる化合物(B)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、チオールエン硬化性組成物。前記化合物(A)が、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート およびトリス(メルカプトプロピル)イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1つである。
Description
本発明は、高い伸び特性と弾性を有する硬化物が得られ、かつ配合物の保存安定性が良好なチオールエン硬化性組成物およびその硬化物に関する。
チオール化合物と炭素-炭素二重結合化合物の反応は、チオールエン反応として知られており学術的には、非特許文献1に総説が報告されている。
炭素−炭素二重結合化合物が(メタ)アリル化合物である場合、炭素−炭素二重結合化合物とチオール化合物は概ね1対1の官能基モル比率で反応してチオエーテル結合を生成するため均質な機能性を備えた硬化物となる。また、酸素阻害を受けにくいことが知られており生産性に優れるとともに高い伸び特性や透明性が着目されている。
炭素−炭素二重結合化合物が(メタ)アリル化合物である場合、炭素−炭素二重結合化合物とチオール化合物は概ね1対1の官能基モル比率で反応してチオエーテル結合を生成するため均質な機能性を備えた硬化物となる。また、酸素阻害を受けにくいことが知られており生産性に優れるとともに高い伸び特性や透明性が着目されている。
特許文献1には、熱重合開始剤によるチオールエン反応を利用した熱硬化型組成物が開示されており、塗料などのコーティング剤、成形剤、接着剤およびインキなどの分野での適合可能性が記載されている。特許文献1では、(メタ)アクリレート化合物の共重合化合物と1級チオール化合物を使用したチオールエン硬化物について記載されているが、(メタ)アクリレート化合物では、チオールエン反応と共に(メタ)アクリル基自体のホモポリマー化が進行するために均一な組成物とならないため硬化物の弾性や伸び特性が不十分となることがある。
また、特許文献2には、レンズシート用光硬化性樹脂組成物が記載されており、アリル化合物と1級チオール化合物によるチオールエン硬化物についての技術開示がなされており、実施例では分子末端に炭素−炭素二重結合を有する化合物が使用されている。このようなエン化合物を用いた場合、十分な伸び特性と保存安定性を両立できる硬化物の作製は困難であった。
特許文献3には、2級または3級チオール化合物とアリル系モノマーを含むことを特徴とする光硬化性組成物について記載されており、硬化速度(速乾性)に着目している。このようなエン化合物を用いた場合、十分な保存安定性を確保できるものの弾性が低いので耐久性を求める用途への使用が困難であった。
Charles E.Hoyle and Christopher N.Bowman.,Angew.Chem.Int.Ed.(2010)Vol.49,pp.1540−1573.
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、特定のチオール化合物およびエン化合物を選択することにより、十分な伸び特性と弾性を両立し、配合物の保存安定性を確保したチオールエン硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、チオール化合物として1分子中に2つ以上のメルカプト基とイソシアヌル骨格を有する化合物と、ジアリルマレートとジアリルフマレートの少なくとも1つを含むことを特徴とするチオールエン硬化性組成物を用いることで、伸び特性と弾性に優れた硬化物が得られ、かつ配合物の保存安定性を確保することを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の事項に関する。
[1]1分子中にイソシアヌル骨格および2つ以上のメルカプト基を有する化合物(A)と、ジアリルマレートとジアリルフマレートからなる化合物(B)のうちの少なくとも1つとを含むことを特徴とする、チオールエン硬化性組成物。
[2]前記化合物(A)が、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート およびトリス(メルカプトプロピル)イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1つである、[1]のチオールエン硬化性組成物。
[3]前記化合物(A)が、下記式(1)で示される基を含む、[1]のチオールエン硬化性組成物。
[1]1分子中にイソシアヌル骨格および2つ以上のメルカプト基を有する化合物(A)と、ジアリルマレートとジアリルフマレートからなる化合物(B)のうちの少なくとも1つとを含むことを特徴とする、チオールエン硬化性組成物。
[2]前記化合物(A)が、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート およびトリス(メルカプトプロピル)イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1つである、[1]のチオールエン硬化性組成物。
[3]前記化合物(A)が、下記式(1)で示される基を含む、[1]のチオールエン硬化性組成物。
[4]前記化合物(A)のメルカプト基の数と、前記化合物(B)の炭素−炭素不飽和結合の合計の数との比(メルカプト基の数/不飽和結合基の数)が、0.2〜2の範囲内にある、[1]〜[3]のチオールエン硬化性組成物。
[5]チオールエン硬化性組成物の総量に対して、重合開始剤(C)を0.01〜10質量%含むことを特徴とする、[1]〜[4]のチオールエン硬化性組成物。[6]さらにラジカル反応性化合物(D)を含むことを特徴とする、[1]〜[5]のチオールエン硬化性組成物。
[7][1]〜[6]のチオールエン硬化性組成物の硬化物。
本発明のチオールエン硬化性組成物は、光重合開始剤を用いると活性エネルギー線照射により容易に短時間で硬化させることができ、優れた伸び特性と弾性を有すために、保護材として有用であり、その他にも各種産業において、注型材料、塗料、成形材料等として利用することができる。
本発明のチオールエン硬化性組成物(以下単に「本発明の組成物」ともいう。)は、1分子中にイソシアヌル骨格と2つ以上のメルカプト基を有する化合物(A)と、ジアリルマレートとジアリルフマレートからなる化合物(B)のうちの少なくとも1種とを含むことが特徴である。以下、本発明の組成物を構成する成分について説明する。
<化合物(A)>
本発明の必須成分である1分子中にイソシアヌル骨格および2つ以上のメルカプト基を有する化合物(A)(以下、「化合物(A)」と記す)について説明する。なお、イソシアヌル骨格は、下記構造を有する。ここで*は、結合点を表す。
本発明の必須成分である1分子中にイソシアヌル骨格および2つ以上のメルカプト基を有する化合物(A)(以下、「化合物(A)」と記す)について説明する。なお、イソシアヌル骨格は、下記構造を有する。ここで*は、結合点を表す。
上記メルカプト基含有カルボン酸と多価アルコールとのエステル類におけるメルカプト基含有カルボン酸としては、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトブタン酸、3−メルカプトブタン酸、4−メルカプトブタン酸、2−メルカプトイソブタン酸、2−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソヘキサン酸等が例示できる。また、上記メルカプト基含有カルボン酸と多価アルコールとのエステル類における多価アルコールとしては、鎖状であっても環状(脂肪環、芳香環、複素環)であってもよく、たとえばトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが例示できる。本発明では、化合物(A)として、イソシアヌル骨格を有するものが使用される。このため、多価アルコールのなかでもトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートは官能基数と骨格の剛直性の観点から、本発明のチオールエン硬化性組成物の硬化物の伸び特性と弾性に大きく寄与するため、前記メルカプト基含有カルボン酸とトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとのエステル類の組み合わせが特に好ましい。
化合物(A)として、前記メルカプト基含有カルボン酸とトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとのエステル類は、市販品として容易に入手することもでき、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名:カレンズMT NR1,昭和電工(株)製)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(商品名TEMPIC、SC有機化学(株)製)等が挙げられる。
また化合物(A)として、イソシアヌル骨格を有するものが使用され、本発明のチオールエン硬化性組成物の硬化物の伸び特性と弾性の観点から、トリス(メルカプトプロピル)イソシアヌレートを好ましく用いることができる。
配合物の保存安定性に対して好ましいのは、すべてのメルカプト基が第二級炭素原子または第三級炭素原子に結合している化合物である。メルカプト基が第二級炭素原子または第三級炭素原子に結合している化合物は、メルカプト基が第一級炭素原子に結合している化合物より配合物の安定性が優れているので、実用性もそれに伴って優れている。すなわち、化合物(A)は、メルカプト基に対してα位の炭素原子に置換基が結合したメルカプト基含有基を有し、かつメルカプト基を2個以上有しているものが好ましい。前記置換基の少なくとも一つはアルキル基であることが好ましい。2個あるメルカプト基のもう一方も同じ、第二級炭素原子または第三級炭素原子に結合した置換基を構成することが好ましい。
メルカプト基に対してα位の炭素原子に置換基が結合しているということは、メルカプト基のα位の炭素が2または3個の炭素原子と結合していることを意味する。前記置換基の少なくとも一つがアルキル基であるとは、メルカプト基に対してα位の炭素原子に結合した基のうち主鎖以外の基の少なくとも一つがアルキル基であることを意味する。ここで、主鎖とは、α位の炭素原子に結合した、メルカプト基および水素原子以外の構造部位のうち最も長鎖の構造部位をいう。メルカプト基含有基としては、下記式(a−1)で示される基が好ましい。
R1およびR2が表す炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基またはエチル基である。
前記化合物(A)は、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートおよびトリス(メルカプトプロピル)イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1つが好ましい。
本発明のチオールエン硬化性組成物の硬化物の伸び特性と弾性の観点に、配合物の保存安定性も加味すると、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが特に好ましく用いられる。
本発明の組成物においては、発明の効果を損なわない範囲で1分子中に2つ以上のメルカプト基を有し、イソシアヌル骨格を有しない化合物(以下、「化合物(a)」と記す)を配合してもよい。
化合物(a)としては、炭素数2〜20程度のアルカンジチオール等の脂肪族ポリチオール類、芳香族ポリチオール類、メルカプト基含有カルボン酸と多価アルコールとのエステル類、アルコール類のハロヒドリン付加物のハロゲン原子をチオール基で置換してなるポリチオール類、ポリエポキシド化合物の硫化水素反応生成物からなるポリチオール類(その他のポリチオール類という)が挙げられる。
上記脂肪族ポリチオール類および芳香族ポリチオール類としては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等が挙げられる。
上記メルカプト基含有カルボン酸と多価アルコールとのエステル類におけるメルカプト基含有カルボン酸としては、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトブタン酸、3−メルカプトブタン酸、4−メルカプトブタン酸、2−メルカプトイソブタン酸、2−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソヘキサン酸等が例示でき、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが挙げられる。
上記メルカプト基含有カルボン酸と多価アルコールとのエステル類としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。
その他のポリチオール類としては、トリグリコールジメルカプタン、ジグリコールジメルカプタン、ポリオキシプロピレングリコールジメルカプタン等が挙げられる。
ただし、化合物(a)の配合量は、硬化性や配合物の保存安定性および臭気等の観点から、全メルカプト化合物の20質量%以下であることが好ましい。
ただし、化合物(a)の配合量は、硬化性や配合物の保存安定性および臭気等の観点から、全メルカプト化合物の20質量%以下であることが好ましい。
ここで配合物の保存安定性とは、配合物を室温にて1晩静置した後、外観を観察した場合に変化がないことを言い、保存安定性が劣る場合は、固化するか、液状を保っていても屈折率が異なる成分が部分的に生成する状態をいう。液状を保っていても屈折率が異なる成分が部分的に生成した組成物を用いて硬化すると、硬化が不均一になるため強度が期待できない。
<ジアリルマレート、ジアリルフマレート(化合物(B))>
本発明の必須成分であるジアリルマレートとジアリルフマレートについて説明する(これらを「化合物(B)」と称す)。
本発明の必須成分であるジアリルマレートとジアリルフマレートについて説明する(これらを「化合物(B)」と称す)。
ジアリルマレートおよびジアリルフマレートは、分子鎖中と分子末端に炭素−炭素不飽和結合を有することを特徴としている。分子末端にある炭素−炭素不飽和基がアリル基であると、メルカプト基との反応が1対1でおこるので特に好ましい。
ジアリルフマレート、ジアリルマレートは、分子末端にある炭素−炭素不飽和結合がアリル基であり、入手しやすい点からも特に好ましい。特にジアリルフマレートは、分子鎖中の炭素−炭素不飽和結合とアリル基の反応性がともに高く、均一な架橋を形成することが可能であるため、さらに好ましい。
ジアリルフマレート、ジアリルマレートはいずれか一方を使用することも可能であり、また双方を使用してもよい。
本発明の組成物において、化合物(A)のメルカプト基の数(a)と、化合物(B)の炭素−炭素不飽和結合の数(b)との比(a/b)は、硬化性の観点から、好ましくは0.2〜2、より好ましくは0.25〜1.5である。
本発明の組成物において、化合物(A)のメルカプト基の数(a)と、化合物(B)の炭素−炭素不飽和結合の数(b)との比(a/b)は、硬化性の観点から、好ましくは0.2〜2、より好ましくは0.25〜1.5である。
このような比が得られるように配合すると、得られた硬化物は高い伸び特性と高い弾性が両立できる。ここで、伸び特性と弾性は、膜厚が0.5mmになるように本発明の組成物の硬化物を得て、幅10mmの短冊に裁断し、23℃の環境で、チャック間距離30mm、速度30mm/分で引張試験を行った場合の破断時伸び率と初期弾性率を示す。通常、光硬化材料で伸び率が100%以上である硬化物を得ること自体が難しく、伸び率が100%を超えて伸び特性に富んだ硬化物は、弾性率は10MPa以下である場合が多い。また、弾性率が1000MPa以上で非常に剛直な硬化物は、通常、伸び率は40%未満であり、40%を超える伸び率を得られない。本発明のチオールエン硬化性組成物は、伸び率が100%以上でも弾性率が20MPa以上を示す硬化物、あるいは、弾性率が1000MPa以上でも伸び率が50%以上である硬化物を提供することができる。
また、前記化合物(B)以外に、分子鎖中と分子末端に炭素―炭素不飽和結合を有する化合物(b)を配合してもよい。例えば、分子鎖中と1つの分子末端に炭素―炭素不飽和結合を有する化合物(化合物(b1))としては、1,4,7−オクタトリエン−3,6−ジオン、3,8−ノナジエン−2,5−ジオン、3,9−デカジエン−2,5−ジオン、3−ヘキセン−2,5−ジオン、3,8,10−ウンデカトリエン−2,5−ジオン、1−ブチル−4−(2−プロペン−1−イル)エステル、1−メチルエチル−2−プロペニルエステル、1−(3−ブテン−1−イル)4−エチルエステル、1−(1−メチル−2−ニトロエチル)4−(2−プロペン−1−イル)エステル、3−ブテンドデシルエステル、エチル2−メチル−2−プロペニルエステル、3−ブテンペンチルエステル、オクタデシル2−プロペニルエステルなどが挙げられる。
また、分子鎖中と2つの分子末端に炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(化合物(b2))としては、1,4−ジ−2−プロペン−1−イルエステル、1,4−ビス(2−メチル−2−プロペン−1−イル)エステル、ジー3−ブテニルエステル、1,4−(ジ−10−ウンデセン−1−イル)エステル、1,4―(ジ−9−オプタデカン−1−イル)エステル、1,4−ビス(1,1−ジメチル−2−プロペン−1−イル)エステル、ポリ[オキシ(1−メチル−2−オキソ−1,2−エタネジル)]、ビス(1−メチレン−2−プロペニル)エステルなどが挙げられる。
化合物(b)を化合物(B)とともに含む場合、化合物(B)の炭素−炭素不飽和結合と、化合物(b)の炭素−炭素不飽和結合の総数中に、化合物(b)の炭素−炭素不飽和結合の数が、1〜50%、好ましくは5〜25%の比率で含まれることが好ましい。
<重合開始剤(C)>
重合開始剤(C)には光重合開始剤と熱重合開始剤とがあるが、本発明においては共にラジカル重合開始剤であることが好ましく、活性エネルギー線及び/又は熱によってラジカル重合性のラジカルを発生させ、化合物(A)をラジカル化し、化合物(B)との反応を促進する化合物であれば、いずれも用いることができる。例えば、特許第5302688号公報に記載の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤(C)には光重合開始剤と熱重合開始剤とがあるが、本発明においては共にラジカル重合開始剤であることが好ましく、活性エネルギー線及び/又は熱によってラジカル重合性のラジカルを発生させ、化合物(A)をラジカル化し、化合物(B)との反応を促進する化合物であれば、いずれも用いることができる。例えば、特許第5302688号公報に記載の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤と熱重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいが、速硬化が可能で環境負荷が少ないという観点から、重合開始剤(C)には光重合開始剤が含まれることが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射による硬化と熱硬化を併用するような重合を行う場合には、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用することができる。
光重合開始剤の種類は、照射される活性エネルギー線に感応する重合開始剤であれば、特に限定されない。活性エネルギー線としては、近赤外線、可視光線、紫外線、真空紫外線、X線、γ線、電子線等の電磁波、粒子線がある。
可視光線又は紫外線の照射に感応する光重合開始剤としては、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(例えば、BASF社製のDarocur1173)などのアセトフェノン又はその誘導体があげられる。
また、可視光線又は紫外線の照射に感応する光重合開始剤として、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−トリメチルシリルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン又はその誘導体や、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン又はその誘導体もあげることができる。
さらに、可視光線又は紫外線の照射に感応する光重合開始剤として、メチルフェニルグリオキシレート、ベンゾインジメチルケタール、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィナート(例えば、BASF社製のIrgacureTPO−L)などを挙げることができ、また、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのビスアシルホスフィンオキサイド化合物や、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド化合物もあげることができる。
特に好ましい光重合開始剤としては、ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−1−(4−イソプロペニルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン及びそのオリゴマー、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンがあげられ、これらの混合物であるLAMBERTI S.p.A.社製の製品名「ESACURE KTO 46」が好ましく使用できる。
さらに、可視光線又は紫外線の照射に感応する光重合開始剤として、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム等のチタノセン化合物や、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類や、メチルフェニルグリオキシレート、ベンゾインジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどもあげることができる。
なお、水素引抜タイプの光重合開始剤(例えばベンゾフェノン系、チオキサントン系)に対して優れた促進機能を有する、一般的に光重合促進剤と呼ばれている化合物(例えばp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル)も、本発明においては光重合開始剤に含まれるものと定義する。
これらの光重合開始剤の中では、アシルホスフィンオキサイド化合物、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−メチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましく、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがより好ましい。
次に、熱重合開始剤の種類は、特に限定されるものではないが、例えば有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなどが使用可能である。その具体例としては、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。また、アゾ化合物としては、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。
本実施形態のチオールエン硬化性組成物における重合開始剤(C)の含有量は、チオールエン硬化性組成物全体の量から重合開始剤(C)及び非反応性溶媒、無機充填剤、顔料などの反応に寄与しない成分の含有量を差し引いた量を100質量部とした場合に、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上7質量部以下であることがさらに好ましく、0.4質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。
あるいは、チオールエン硬化性組成物の総量に対して、重合開始剤(C)を0.01〜10質量%含むことが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上7質量%以下であることがさらに好ましく、0.4質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。 重合開始剤(C)の含有量が上記の数値範囲内であれば、十分な硬化速度を得ることができるとともに、硬化物の機械的強度が高くなる。
例えば、本実施形態のチオールエン硬化性組成物が化合物(A)、化合物(B)、及び重合開始剤(C)からなる場合には、重合開始剤(C)の含有量は、化合物(A)とのジアリルマレートおよび/またはジアリルフマレートの合計を100質量部とした場合の0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
また、例えば、本実施形態のチオールエン硬化性組成物が化合物(A)、化合物(a)、化合物(B)、化合物(b)、重合開始剤(C)、及び後述するラジカル反応性化合物(D)からなる場合には、重合開始剤(C)の含有量は、化合物(A)、化合物(a)、化合物(B)、化合物(b)およびラジカル反応性化合物(D)の合計の含有量を100質量部とした場合の0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<ラジカル反応性化合物(D)>
本実施形態の硬化性組成物は、諸物性の改良や粘度調整の目的で、ラジカル反応性化合物(D)を含有してもよい。ラジカル反応性化合物(D)は、化合物(A)、化合物(a)、化合物(B)および化合物(b)以外の化合物であって、ラジカル重合反応、ラジカル架橋反応等のラジカル反応が可能な化合物であり、エチレン性不飽和結合を有する化合物である。これらは、モノマーであってもよいし、オリゴマーであってもよい。ラジカル反応性化合物(D)としては、例えば、(メタ)アリル基含有化合物(D−1)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(D−2)が挙げられる。
本実施形態の硬化性組成物は、諸物性の改良や粘度調整の目的で、ラジカル反応性化合物(D)を含有してもよい。ラジカル反応性化合物(D)は、化合物(A)、化合物(a)、化合物(B)および化合物(b)以外の化合物であって、ラジカル重合反応、ラジカル架橋反応等のラジカル反応が可能な化合物であり、エチレン性不飽和結合を有する化合物である。これらは、モノマーであってもよいし、オリゴマーであってもよい。ラジカル反応性化合物(D)としては、例えば、(メタ)アリル基含有化合物(D−1)と(メタ)アクリロイル基含有化合物(D−2)が挙げられる。
なお、本明細書においては、「(メタ)アリル」は、メタアリル(すなわち2−メチル−2−プロペニル)及び/又はアリル(すなわち2−プロペニル)を意味する。また、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」は、メタクリル及び/又はアクリルを意味する。
(メタ)アリル基含有化合物(D−1)は、1分子中に2個以上の(メタ)アリル基を有することが好ましく、粘度の観点から、数平均分子量が200以上20000以下の化合物であることが好ましい。なお、(メタ)アリル基含有化合物(D−1)は、分子鎖中に炭素−炭素不飽和結合を有さないものが使用される。
(メタ)アリル基含有化合物(D−1)がモノマーである場合には、フタル酸ジ(メタ)アリル、イソフタル酸ジ(メタ)アリル、テレフタル酸ジ(メタ)アリル、トリメリット酸トリ(メタ)アリル、ピロメリット酸テトラ(メタ)アリル等の芳香環構造を有する化合物や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリル等の脂環構造を有する化合物、イソシアヌル酸トリ(メタ)アリル、シアヌル酸トリ(メタ)アリル等のN−(メタ)アリル基含有化合物、ビスフェノールAジ(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル化合物、ジエチレングリコールビス((メタ)アリルカーボネート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(メタ)アリル、コハク酸ジ(メタ)アリル、グルタル酸ジ(メタ)アリル、アジピン酸ジ(メタ)アリル、セバシン酸ジ(メタ)アリル、ダイマー酸ジ(メタ)アリル、水添ダイマー酸ジ(メタ)アリル、1,12−ドデカン二酸ジ(メタ)アリル、イタコン酸ジ(メタ)アリル、トリメチロールプロパンジ(メタ)アリルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。
(メタ)アリル基含有化合物(D−1)がオリゴマーである場合には、(メタ)アリル基含有化合物(D−1)としては(メタ)アリルエステル樹脂があげられる。(メタ)アリルエステル樹脂とは、分子末端に(メタ)アリロキシカルボニル基を有し且つ分子内に繰り返し単位を有する化合物である。例えば、多塩基酸の(メタ)アリルエステル化合物と多価アルコールのエステル交換反応、(メタ)アリルアルコールを含むモノオール、多価アルコールと多塩基酸、多塩基酸無水物から選ばれる少なくとも1種との縮合反応、繰り返し単位を有するポリオールと多塩基酸の(メタ)アリルエステル化合物とのエステル交換反応、及び、(メタ)アリルアルコールを含むモノオール、繰り返し単位を有するポリオールと多塩基酸、多塩基酸無水物から選ばれる少なくとも1種との縮合反応の各種反応によって生成される化合物である。
(メタ)アリル基含有化合物(D−1)がオリゴマーである場合の(メタ)アリルエステル樹脂以外の具体例としては、置換又は非置換のアリルアルコールから誘導されるポリエン化合物、ポリエチレングリコールビス(アリルカーボネート)等が挙げられる。
(メタ)アリル基含有化合物(D−1)がポリマーである場合には、ポリマー骨格としては、ポリエチレン骨格、ポリウレタン骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリオキシアルキレン骨格、ポリフェニレン骨格が挙げられる。
(メタ)アリル基含有化合物(D−1)は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。 (メタ)アクリロイル基含有化合物(D−2)は、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に限定されるものではないが、その例としては、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)カーボネート(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物(D−2)は、硬化性の観点から、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であることが好ましい。 エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ基を有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸とを反応させてなる化合物全般を意味する。エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であることが好ましく、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
また、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、メトキシ基含有ノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂もあげることができる。
その他では、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(通称ザイロック樹脂のエポキシ化物)、レゾルシンのジグリシジルエーテル、ハイドロキノンのジグリシジルエーテル、カテコールのジグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂や、トリグリシジルシソシアヌレート、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール樹脂のエポキシ化物)、メトキシ基含有フェノールアラルキル樹脂などが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートは、市販品として容易に入手することもできる。市販品のエポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、昭和電工株式会社製のVR−77や、共栄社化学株式会社製のエポキシエステル40EM、エポキシエステル30002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル3000MK、エポキシエステル3000Aや、ダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL600、EBECRYL648、EBECRYL3700等が挙げられる。
次に、(ポリ)エステル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイルオキシ基以外のエステル結合を1個以上有し、且つ、1個以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味する。
(ポリ)エステル(メタ)アクリレートは、市販品として容易に入手することもできる。市販品の(ポリ)エステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL450、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL846、EBECRYL851、EBECRYL852、EBECRYL853、EBECRYL1870、EBECRYL884、EBECRYL885等が挙げられる。
次に、(ポリ)カーボネート(メタ)アクリレートは、1個以上のカーボネート基を有し、且つ、1個以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味する。
(ポリ)カーボネート(メタ)アクリレートの合成法としては、(メタ)アクリル酸のクロライドとポリカーボネートポリオールとの脱塩化水素反応、(メタ)アクリル酸と(ポリ)カーボネートポリオールとの直接脱水反応、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルと(ポリ)カーボネートポリオールのエステル交換反応等が用いられる。
(ポリ)カーボネート(メタ)アクリレートの合成法としては、(メタ)アクリル酸のクロライドとポリカーボネートポリオールとの脱塩化水素反応、(メタ)アクリル酸と(ポリ)カーボネートポリオールとの直接脱水反応、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルと(ポリ)カーボネートポリオールのエステル交換反応等が用いられる。
次に、水添ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、分子中に水添ポリブタジエン構造と(メタ)アクリレート構造とを有する化合物を意味する。 水添ポリブタジエン(メタ)アクリレートの合成法としては、水添ポリブタジエンポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応、水添ポリブタジエンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応、水添ポリブタジエンポリオールとイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの付加反応、水添ポリブタジエンポリオールとポリイソシアネートとアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートとの付加反応等が好ましく使用される。
水添ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、市販品として容易に入手することもできる。市販品の水添ポリブタジエン(メタ)アクリレートとしては、例えば、水添ポリブタジエンポリオールとポリイソシアネートとアルコール性水酸基含有アクリレートとの付加物である日本曹達株式会社製のNISSO−PB TEAI−1000、水添ポリブタジエンジアクリレートである大阪有機化学工業株式会社製のSPBDA−S30等が挙げられる。
水添ポリブタジエン(メタ)アクリレートの中では、ウレタン結合を有さない水添ポリブタジエンポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物や、水添ポリブタジエンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応物が好ましい。
次に、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレートは、分子中に1個以上のエーテル結合を有し且つ1個以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味し、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等を挙げることができる。
次に、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中に1個以上のウレタン結合を有し且つ1個以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物を意味し、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを必須の原料として重付加反応を行うことにより得られる化合物や、ポリオールとイソシアナト基含有(メタ)アクリレートとを必須の原料として重付加反応を行うことにより得られる化合物を挙げることができる。
本実施形態のチオールエン硬化性組成物がラジカル反応性化合物(D)を含有する場合には、その含有量は、伸び特性の観点から、以下のようにすることが好ましい。すなわち、化合物(A)、化合物(a)、化合物(B)、化合物(b)およびラジカル反応性化合物(D)との合計の含有量を100質量部とした場合、そのうちのラジカル反応性化合物(D)の含有量は50質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましい。ラジカル反応性化合物(D)の含有量が上記の範囲内であれば、チオールエン硬化性組成物の伸び特性と弾性は維持しつつ、硬化物の機械物性改善効果が十分に発現される。
<重合禁止剤>
本発明のチオールエン硬化性組成物は、保存安定性を向上させるために必要に応じて重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、4−メトキシ−1−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4−メトキシ−2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−3−メチル−1−ナフトール、1,4−ジメトキシ−2−メチルナフタレン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシ−4−メトキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシ−2−メトキシナフタレン、1,4−ジメトキシ−2−ナフトール、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルナフタレン、ピロガロール、メチルヒドロキノン、ターシャリーブチルヒドロキノン、4−メトキシフェノール、N―ニトロソ―N−フェニルヒドロキシアミンアルミニウムなどが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。重合禁止剤としては、特にチオールエン硬化性組成物の保存性の観点から、メチルヒドロキノン、ピロガロール、およびターシャリーブチルヒドロキノンが好ましい。
本発明のチオールエン硬化性組成物は、保存安定性を向上させるために必要に応じて重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、4−メトキシ−1−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4−メトキシ−2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−3−メチル−1−ナフトール、1,4−ジメトキシ−2−メチルナフタレン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシ−4−メトキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシ−2−メトキシナフタレン、1,4−ジメトキシ−2−ナフトール、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルナフタレン、ピロガロール、メチルヒドロキノン、ターシャリーブチルヒドロキノン、4−メトキシフェノール、N―ニトロソ―N−フェニルヒドロキシアミンアルミニウムなどが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。重合禁止剤としては、特にチオールエン硬化性組成物の保存性の観点から、メチルヒドロキノン、ピロガロール、およびターシャリーブチルヒドロキノンが好ましい。
重合禁止剤の含有量は、特に限定されないが、本組成物の保存安定性の観点から、チオールエン硬化性組成物全体の量から重合開始剤(C)及び非反応性溶媒、無機充填剤、顔料などの反応に寄与しない成分の含有量を差し引いた量を100質量部とした場合に、0.1質量部未満が好ましく、0.0001〜0.05質量部がより好ましい。重合禁止剤の含有量が上記の数値範囲内であれば、十分な硬化速度を得ることができるとともに、配合物の保存安定性が高くなる。
<その他の成分>
本発明のチオールエン硬化性組成物は、上述した化合物(A)、化合物(a)、化合物(B)、化合物(b)、重合開始剤(C)、ラジカル反応性化合物(D)、および重合禁止剤に加えて、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有していてもよい。
本発明のチオールエン硬化性組成物は、溶剤を含有しなくても、溶剤を含有してもよいが、溶剤を含有しないことが好ましい。
本発明のチオールエン硬化性組成物は、上述した化合物(A)、化合物(a)、化合物(B)、化合物(b)、重合開始剤(C)、ラジカル反応性化合物(D)、および重合禁止剤に加えて、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有していてもよい。
本発明のチオールエン硬化性組成物は、溶剤を含有しなくても、溶剤を含有してもよいが、溶剤を含有しないことが好ましい。
その他の成分として好ましく含有されるものとしては、例えば、炭素材料、顔料、染料などの色材、および無機充填剤が挙げられる。
炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛が挙げられる。
炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛が挙げられる。
顔料としては、例えば、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料が挙げられる。また、本発明の組成物は、赤色、緑色、青色などの有機顔料を含有してもよい。例えば市販されているジェルネイルやUVクラフト用の顔料を用いてもよく、このような顔料としては、例えばピカエース着色顔料(701、731、741、755、762)、透明顔料(900、901、910、920、921、922、924、930、932、941、942、945、947、950、955、957、960、963、968、970、980、981、982、985)などが挙げられる。
染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、建染染料、分散染料、反応染料、蛍光増白染料、プラスチック染料が挙げられる。なお、染料とは、溶剤に対する溶解性または樹脂に対する相溶性を持ち、溶解または相溶した物質を着色する性質を持つ物質を意味する。
色材は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物における、色材の含有量は、特に限定されないが、濃度が濃すぎると、光活性エネルギー線の透過率が低下して硬化不良を起こす可能性がある。そのため、組成物中の色材の含有量は0.0001〜40質量%が好ましい。
本発明の組成物における、色材の含有量は、特に限定されないが、濃度が濃すぎると、光活性エネルギー線の透過率が低下して硬化不良を起こす可能性がある。そのため、組成物中の色材の含有量は0.0001〜40質量%が好ましい。
無機充填剤としては、チオールエン硬化性組成物に分散してペーストを形成するものであれば、特に制限はない。このような無機充填剤としては、例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、ジルコニア(ZrO2)、窒化珪素(Si3N4)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga2O3)、スピネル(MgO・Al2O3)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al2O3/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al2O3)、イットリア含有ジルコニア(Y2O3−ZrO2)、珪酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、有機ベントナイト、カーボン(C)、ガラス粉、合成雲母、窒化ホウ素繊維などの繊維強化材、無機担持体にシリコーンオイルを配合させてパウダー化したもの、シリコーンレジン又はシリコーンゴムを粉末化したものを使用することができ、これらの1種又は2種以上を使用することもできる。
上記に例示した無機充填剤のうち、本組成物の粘度調整および本組成物から形成される硬化物のシート成形性の観点から、微粒子シリカが好ましい。微粒子シリカはアエロジル(商標)なる商品名にて日本アエロジル株式会社より入手可能である。アエロジル(商標)なる商品名の微粒子シリカとしては、アエロジル(商標)OX50、RX50、RY50、50、NAX50、NY50、NA50H、NA50Y、90G、NX90G、130、R972、RY200S、150、R202、200、R974、R9200、RX200、R8200、RY200、R104、RA200H、RA200HS、NA200Y、R805、R711、R7200、300、R976,R976S、RX300、R812、R812S、RY300、R106、380、P25、T805、P90、NKT90、AluC、AluC805などを挙げることができる。無機充填剤の含有量は、特に限定されないが、本組成物から形成される硬化物の成形性の観点から、チオールエン硬化性組成物全体の量に対して、10質量%未満が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。
また本発明のチオールエン硬化性組成物は、前記色材の他に、その他の成分として(e1)熱可塑性樹脂;(e2)脱臭剤;(e3)シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の密着性向上剤;(e4)ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤;(e5)ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等の紫外線吸収剤;(e6)金属石けん類、重金属(例えば亜鉛、錫、鉛、カドミウム等)の無機および有機塩類、有機錫化合物等の安定剤;(e7)酢酸、アクリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、メルカプトカルボン酸など脂肪族カルボン酸、フェノール、ナフトール、安息香酸、サリチル酸など芳香族有機酸などのpH調整剤;(e8)フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油、ひまし油、流動パラフィンアルキル多環芳香族炭化水素等の可塑剤;(e9)パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワンクス、重合ワックス、密ロウ、鯨ロウ低分子量ポリオレフィン等のワックス類;(e10)ベンジルアルコール、タール、ピチューメン等の非反応性希釈剤;(e11)アクリル樹脂粉、フェノール樹脂粉等の充填剤;(e12)発泡剤;e13)シランカップリング剤、モノイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物等の脱水剤;(e14)帯電防止剤;(e15)抗菌剤;(e16)防かび剤;(e17)粘度調製剤;(e18)香料;(e19)難燃剤;(e20)レベリング剤;(e21)増感剤;および(e22)分散剤等を含有することができる。これらのその他の成分は1種単独で用いることも、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
[チオールエン硬化性組成物の調製]
本発明の組成物は、化合物(A)、化合物(B)、ならびに必要に応じてその他の成分を適宜混合して調製することができる。
本発明の組成物の調製方法としては、上記成分を混合、分散できる方法であれば特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(イ)各成分をガラスビーカー、缶、プラスチックカップ、アルミカップ等の適当な容器中にて、撹拌棒、へら等により混練する。
(ロ)各成分をダブルヘリカルリボン翼、ゲート翼等により混練する。
(ハ)各成分をプラネタリーミキサーにより混練する。
(ニ)各成分をビーズミルにより混練する。
(ホ)各成分を3本ロールにより混練する。
(へ)各成分をエクストルーダー型混練押し出し機により混練する。
(ト)各成分を自転・公転ミキサーにより混練する。
本発明の組成物は、化合物(A)、化合物(B)、ならびに必要に応じてその他の成分を適宜混合して調製することができる。
本発明の組成物の調製方法としては、上記成分を混合、分散できる方法であれば特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(イ)各成分をガラスビーカー、缶、プラスチックカップ、アルミカップ等の適当な容器中にて、撹拌棒、へら等により混練する。
(ロ)各成分をダブルヘリカルリボン翼、ゲート翼等により混練する。
(ハ)各成分をプラネタリーミキサーにより混練する。
(ニ)各成分をビーズミルにより混練する。
(ホ)各成分を3本ロールにより混練する。
(へ)各成分をエクストルーダー型混練押し出し機により混練する。
(ト)各成分を自転・公転ミキサーにより混練する。
各成分の添加、混合は任意の順序で行うことができ、全成分を同時に添加してもよく、逐次に添加してもよい。
重合開始剤(C)を使用する際には、上記成分の取扱や混合、硬化前処理までを、光重合開始剤が分解する吸収波長を削除するフィルターを通した照明下若しくは活性エネルギー線非照射化、又は、熱重合開始剤が作用する温度以下で行うなど、硬化処理以前に重合開始剤(C)が作用しない条件下で行うことができる。
重合開始剤(C)を使用する際には、上記成分の取扱や混合、硬化前処理までを、光重合開始剤が分解する吸収波長を削除するフィルターを通した照明下若しくは活性エネルギー線非照射化、又は、熱重合開始剤が作用する温度以下で行うなど、硬化処理以前に重合開始剤(C)が作用しない条件下で行うことができる。
[チオールエン硬化性組成物の硬化方法]
硬化方法は、使用される重合開始剤に応じて適宜選択される。本発明の組成物に対し、光重合開始剤を用いた場合は、活性エネルギー線を照射することで硬化物が得られる。
硬化方法は、使用される重合開始剤に応じて適宜選択される。本発明の組成物に対し、光重合開始剤を用いた場合は、活性エネルギー線を照射することで硬化物が得られる。
硬化時に使用する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線およびX線等が挙げられるが、安価な装置を使用できることから、紫外線が好ましい。
紫外線により前記組成物を硬化させる際の光源としては、種々のものを使用することができ、例えば、ブラックライト、UV−LEDランプ、高圧水銀ランプまたは加圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプが挙げられる。ここでブラックライトとは、可視光線と300nm以下の紫外線をカットした特殊外管ガラスに近紫外発光蛍光体を被着し、300〜430nm(ピーク350nm付近)の近紫外線だけを放射するランプのことである。また、UV−LEDランプとは、紫外線を発する発光ダイオードを使用したランプのことである。これら光源のうち、高圧水銀ランプおよびLEDランプ(UV−LEDランプ)が、硬化性の観点から好ましい。
紫外線により前記組成物を硬化させる際の光源としては、種々のものを使用することができ、例えば、ブラックライト、UV−LEDランプ、高圧水銀ランプまたは加圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプが挙げられる。ここでブラックライトとは、可視光線と300nm以下の紫外線をカットした特殊外管ガラスに近紫外発光蛍光体を被着し、300〜430nm(ピーク350nm付近)の近紫外線だけを放射するランプのことである。また、UV−LEDランプとは、紫外線を発する発光ダイオードを使用したランプのことである。これら光源のうち、高圧水銀ランプおよびLEDランプ(UV−LEDランプ)が、硬化性の観点から好ましい。
活性エネルギー線の照射量は、硬化に十分な量であればよく、前記組成物の組成、使用量、厚み、形成する硬化物の形状などに応じて選択することができる。たとえば前記組成物を塗布して形成した塗布層に対して紫外線を照射する場合、好ましくは200〜5,000mJ/cm2の露光量、より好ましくは1,000〜3,000mJ/cm2の露光量を採用することができる。
本発明の組成物を、基材上に塗布して塗布層を形成する場合、塗布(塗工)方法としては、従来公知の方法を適宜採用することができ、例えば、ナチュラルコーター、カーテンフローコーター、コンマコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケットの方法が挙げられる。
前記組成物をシート状に硬化させることで、シート状の硬化物、すなわちシート材が得られる。前記シート材は、必要に応じて、前記硬化物以外の他の材料を含んでもよい。
前記シート材の厚みは、用途に応じ適宜設定すればよいが、好ましくは0.1〜10mmであり、成形の観点からより好ましくは0.3〜8mmである。
前記シート材の厚みは、用途に応じ適宜設定すればよいが、好ましくは0.1〜10mmであり、成形の観点からより好ましくは0.3〜8mmである。
[硬化物とその用途]
本発明の組成物から得られる硬化物は、伸び特性と弾性に優れる。そのため、コーティング材、充填材、成形体として好適に使用することができる。
本発明の組成物から得られる硬化物は、伸び特性と弾性に優れる。そのため、コーティング材、充填材、成形体として好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<化合物>
実施例1〜11および比較例1〜9で用いた化合物は、次のとおりである。
1.化合物(A)
1)NR1:1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
昭和電工(株)製、商品名「カレンズMT(商標)NR1」、分子量568、メルカプト基数3、メルカプト当量189
2)TEMPIC:1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピオニルオキシエチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
SC有機化学(株)製、商品名「TEMPIC」、分子量556、メルカプト基数3、メルカプト当量185
2.化合物(a)
1)PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
SC有機化学(株)製、商品名「PEMP」、分子量531、メルカプト基数4、メルカプト当量133
2)BD1:1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン
3.化合物(B)
1)ジアリルマレート 試薬特級 分子量196、二重結合基数3
2)ジアリルフマレート 試薬特級 分子量196、二重結合基数3
4.化合物(b)
DAP:ジアリルフタレート
(株)大阪ソーダ製、商品名「ダップ」、分子量246、二重結合基数25.重合開始剤(C)
ESACURE KTO46:DKSHジャパン株式会社
6.ラジカル反応性化合物(D)
1)VR77:エポキシアクリレート
昭和電工(株)製、ビスフェノールA骨格を有するアクリレート 末端二重結合基数2
2)UA-1013P: ポリエーテル系ウレタンアクリレート (新中村化学製)分子量
13000
<化合物>
実施例1〜11および比較例1〜9で用いた化合物は、次のとおりである。
1.化合物(A)
1)NR1:1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
昭和電工(株)製、商品名「カレンズMT(商標)NR1」、分子量568、メルカプト基数3、メルカプト当量189
2)TEMPIC:1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピオニルオキシエチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
SC有機化学(株)製、商品名「TEMPIC」、分子量556、メルカプト基数3、メルカプト当量185
2.化合物(a)
1)PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
SC有機化学(株)製、商品名「PEMP」、分子量531、メルカプト基数4、メルカプト当量133
2)BD1:1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン
3.化合物(B)
1)ジアリルマレート 試薬特級 分子量196、二重結合基数3
2)ジアリルフマレート 試薬特級 分子量196、二重結合基数3
4.化合物(b)
DAP:ジアリルフタレート
(株)大阪ソーダ製、商品名「ダップ」、分子量246、二重結合基数25.重合開始剤(C)
ESACURE KTO46:DKSHジャパン株式会社
6.ラジカル反応性化合物(D)
1)VR77:エポキシアクリレート
昭和電工(株)製、ビスフェノールA骨格を有するアクリレート 末端二重結合基数2
2)UA-1013P: ポリエーテル系ウレタンアクリレート (新中村化学製)分子量
13000
<実施例1〜13及び比較例1〜4>
表1に示す種類の化合物を,表1に示す質量比で混合してチオール硬化性組成物とした。表1において、官能基数比は、(化合物(A)のメルカプト基の数)/(ジアリルマレートおよび/またはジアリルフマレートの炭素−炭素不飽和結合の数)を示す。
表1に示す種類の化合物を,表1に示す質量比で混合してチオール硬化性組成物とした。表1において、官能基数比は、(化合物(A)のメルカプト基の数)/(ジアリルマレートおよび/またはジアリルフマレートの炭素−炭素不飽和結合の数)を示す。
<伸び特性および弾性率>
ガラス板の上に離型PETフィルム、0.2mmのシリコンスペーサーの順にのせてチオールエン硬化性組成物を充填し、その上に離型PETフィルム、ガラス板の順でのせて、クリップで固定する。次いで、アイグラフィックス社製のコンベア型UV照射機ECS−4011GX(高圧水銀ランプ)を用いて、両面から1J/cm2のUV光を照射し、厚み0.2mmの試験用シートを得た。得られた試験用シートを幅4mm、長さ50mmの短冊状に裁断し、23℃の環境で、チャック間距離30mm、引張速度30mm/分で引張試験を行い、破断時伸び率(%)と初期弾性率(MP)を測定した。
評価基準
A Excellent: 弾性率が1000MPa以上で伸び率が50%以上である場合
B Good: 伸び率が100%以上で弾性率が20MPa以上1000MPa未満である場合
C Average: 伸び率が100%以上で弾性率が20MPa未満である場合
D Poor: 上記の範囲外
ガラス板の上に離型PETフィルム、0.2mmのシリコンスペーサーの順にのせてチオールエン硬化性組成物を充填し、その上に離型PETフィルム、ガラス板の順でのせて、クリップで固定する。次いで、アイグラフィックス社製のコンベア型UV照射機ECS−4011GX(高圧水銀ランプ)を用いて、両面から1J/cm2のUV光を照射し、厚み0.2mmの試験用シートを得た。得られた試験用シートを幅4mm、長さ50mmの短冊状に裁断し、23℃の環境で、チャック間距離30mm、引張速度30mm/分で引張試験を行い、破断時伸び率(%)と初期弾性率(MP)を測定した。
評価基準
A Excellent: 弾性率が1000MPa以上で伸び率が50%以上である場合
B Good: 伸び率が100%以上で弾性率が20MPa以上1000MPa未満である場合
C Average: 伸び率が100%以上で弾性率が20MPa未満である場合
D Poor: 上記の範囲外
<配合物の保存安定性>
表1に示した質量部で各化合物をスクリュー瓶に量りとり、回転数30rpmのミックスローターで30分間撹拌した後、室温にて24時間静置して液の外観を観察した。
評価基準
A Excellent: 透明で均一な状態
B Average: 部分的にゲル分があり不均一な状態
C Poor: 固化する
表1に示した質量部で各化合物をスクリュー瓶に量りとり、回転数30rpmのミックスローターで30分間撹拌した後、室温にて24時間静置して液の外観を観察した。
評価基準
A Excellent: 透明で均一な状態
B Average: 部分的にゲル分があり不均一な状態
C Poor: 固化する
化合物(A)と、化合物(B)を含むことを特徴とするチオールエン硬化性組成物である実施例1〜11は、伸び特性と弾性率を兼ね揃えており、評価はAまたはBであった。なかでも2級チオールを用いている実施例1,2,3,5,6,7,10,11は、配合物の保存安定性も優れており評価はAであった。
化合物(A)を含まない比較例1と、分子末端はアリル基であるが分子鎖中に炭素−炭素不飽和結合を有さないDAPと2官能のチオール化合物であるBD1を配合した比較例3は硬化ができなかった。
化合物(A)を含んでいるが、化合物(B)以外のアリル化合物を用いた比較例2は伸び率100%以上の柔軟な硬化物であったが、弾性率が10MPa未満であった。
化合物(B)を含んでいるが、化合物(A)以外のチオール種を用いた比較例4〜9は、伸び特性と弾性が兼ね備えておらず、評価がDだった。
化合物(B)を含んでいるが、化合物(A)以外のチオール種を用いた比較例4〜9は、伸び特性と弾性が兼ね備えておらず、評価がDだった。
本発明のチオールエン硬化性組成物は、伸び特性と弾性を備えており、活性エネルギー線の照射で容易に硬化できるので、衝撃から保護する材料として有用であり、その他にも各種産業において、注型材料、塗料、成形材料等として利用することができる。
Claims (7)
- 1分子中にイソシアヌル骨格および2つ以上のメルカプト基を有する化合物(A)と、ジアリルマレートとジアリルフマレートからなる化合物(B)のうちの少なくとも1つとを含むことを特徴とする、チオールエン硬化性組成物。
- 前記化合物(A)が、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート およびトリス(メルカプトプロピル)イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載のチオールエン硬化性組成物。
- 前記化合物(A)のメルカプト基の数と、前記化合物(B)の炭素−炭素不飽和結合の合計の数との比(メルカプト基の数/不飽和結合基の数)が、0.2〜2の範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載のチオールエン硬化性組成物。
- チオールエン硬化性組成物の総量に対して、重合開始剤(C)を0.01〜10質量%含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のチオールエン硬化性組成物。
- さらにラジカル反応性化合物(D)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のチオールエン硬化性組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のチオールエン硬化性組成物の硬化物。
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