以下、本開示に係る圧迫デバイス及び圧迫方法について、図1〜図38を参照して説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
[第1実施形態]
図1〜図4は、一実施形態としての圧迫デバイス1を示す図である。具体的に、図1は圧迫デバイス1の斜視図である。図2、図3は、圧迫デバイス1の平面図である。具体的に、図2は、圧迫デバイス1の上面図である。図3は、圧迫デバイス1の下面図である。図4A、図4Bは、圧迫デバイス1の側面図である。詳細は後述するが、図4A、図4Bそれぞれは、圧迫デバイス1の異なる状態を示している。
圧迫デバイス1は、装着部材としての貼着シート2と、圧迫部材3と、を備える。
貼着シート2は、厚み方向Aの一方側に生体表面に貼着可能な貼着面11を備える。圧迫部材3は、貼着シート2に取り付けられており、貼着面11が生体表面に貼着されている状態で、生体表面を圧迫可能である。このように、圧迫デバイス1は、貼着面11を生体表面に貼着することにより、生体表面上での位置が固定される。また、圧迫デバイス1によれば、生体表面上での位置が固定されている状態で、圧迫部材3により、生体表面上の所定部位を圧迫することができる。生体表面上の所定部位とは、例えば、穿刺針、カテーテル、シース等の医療器具を生体の血管内に挿入することにより形成される傷口又はその近傍が挙げられる。上述の医療器具を生体外に抜去した後に、生体表面上の傷口又はその近傍を、圧迫部材3によって圧迫することにより、止血することができる。
以下、圧迫デバイス1の各部材・各部位の詳細について説明する。
<貼着シート2>
貼着シート2は、上述したように、厚み方向Aの一方側に貼着面11を備える。また、貼着シート2は、厚み方向Aの他方側、すなわち、貼着面11とは反対側に、圧迫部材3が取り付けられる取付面12を備える。貼着シート2は可撓性を有する。そのため、貼着シート2を、生体表面の形状に沿って変形させることができる。また、貼着面11が生体表面の変形に追従し易くなる。その結果、圧迫デバイス1が意図せずに生体表面から剥離することを抑制できる。
より具体的に、本実施形態の貼着シート2の貼着面11は、貼着シート2の下面により構成されている。また、本実施形態の貼着シート2の取付面12は、貼着シート2の上面により構成されている。
以下、説明の便宜上、厚み方向Aにおいて取付面12から貼着面11に向かう方向である、厚み方向Aの一方側を、単に「下方向A1」と記載する。また、説明の便宜上、厚み方向Aにおいて貼着面11から取付面12に向かう方向である、厚み方向Aの他方側を、単に「上方向A2」と記載する。更に、圧迫デバイス1を、貼着シート2の厚み方向Aに沿って見た平面視(図2、図3参照)のうち、貼着シート2の取付面12側から見た平面視(図2参照)を、説明の便宜上、単に「上面視」と記載する。また、圧迫デバイス1を、貼着シート2の厚み方向Aに沿って見た平面視(図2、図3参照)のうち、貼着シート2の貼着面11側から見た平面視(図3参照)を、説明の便宜上、単に「下面視」と記載する。
貼着シート2は、例えば、基材層と、接着層と、表面層と、を含む複数層から構成される。
基材層は、例えば、薄肉の樹脂シートにより構成される。より具体的に、基材層は、例えば、ポリエステル繊維の白色スパンレース不織布により構成されており、その厚さは、例えば30μmなど、5μm〜150μmの範囲内とされている。但し、基材層の材料は、ポリエステルに限らず、例えば、アクリル重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド誘導体などを使用してもよい。
接着層は、例えば、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤等の接着剤により構成される。接着層は、基材層に対して、直接的に又は別の層を挟んで間接的に、積層されている。本実施形態の貼着シート2の貼着面11は、接着層により構成されている。
表面層は、例えば、厚さが5μm〜50μm程度の樹脂から構成される。より具体的に、表面層の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などを使用できる。表面層は、基材層を挟んで接着層とは反対側に、基材層に対して、直接的に又は別の層を挟んで間接的に、積層されている。本実施形態の貼着シート2の取付面12は、表面層により構成されている。
貼着シート2は、基材層、接着層、及び、表面層、の3層構造に限らず、例えば、更に他の層を備える4層以上の構造であってもよい。また、基材層及び接着層の2層のみからなる構成であってもよい。
このように、本実施形態の貼着シート2は、一面に接着剤としての粘着剤が施された不織布テープにより構成されているが、基材層の両側に接着層が設けられている両面テープとしてもよい。貼着シートを両面テープにより構成した場合には、圧迫部材3の後述する固定部4を、貼着シートの片方の接着層に接着することで、圧迫部材3を貼着シート2に固定することができる。
本実施形態の貼着シート2は、図2、図3に示すように環状に延在している。換言すれば、本実施形態の貼着シート2は中央開口領域を区画している。
また、本実施形態の貼着シート2には、外縁13から内縁14まで延在するスリット15が形成されている。スリット15は、平面視(図2、図3参照)において、貼着シート2の中心位置を中心とする円の径方向C(以下、単に「径方向C」と記載する。)に延在している。換言すれば、スリット15を挟んで対向する貼着シート2の両方の端縁16は、径方向Cに沿って平行に延在している。但し、スリット15の延在方向は、径方向Cに限られず、径方向Cに対して傾斜する方向に延在するスリットであってもよい。スリット15を設けることにより、カテーテル、シース等の医療器具を、スリット15を通じて、貼着シート2の外側から中央開口領域内へと移動させることができる。
詳細は後述するが、貼着シート2は、圧迫部材3の後述する固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス1は、貼着シート2の少なくとも後述する圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。
貼着シート2の貼着面11は、生体表面に貼着される前の状態(以下、「使用前状態」と記載する。)において、後述する剥離シート27(図6C参照)により覆われている。剥離シート27は、貼着シート2を生体表面に貼着する際に、ユーザーにより貼着面11から剥離されることにより取り除かれる。剥離シート27が貼着面11から取り除かれ、貼着面11が露出することにより、貼着シート2の貼着面11が生体表面に貼着可能な状態とされる。剥離シート27は、例えば、剥離紙や樹脂製のシート材により形成可能である。図1〜図4は、剥離シート27を省略して描いている。
<圧迫部材3>
圧迫部材3は、平面視(図2、図3参照)において貼着シート2と重なる位置である貼着シート2の縁内領域SP1と、平面視(図2、図3参照)において貼着シート2と重ならない位置である貼着シート2の縁外領域SP2と、に跨って配置されている。換言すれば、圧迫部材3は、平面視(図2、図3参照)において、貼着シート2と重なる部分と、貼着シート2に重ならない部分と、を備える。本実施形態の圧迫部材3についての縁内領域SP1は、平面視(図2、図3参照)において、外縁13及び内縁14に挟まれる環状の領域である。また、本実施形態の圧迫部材3についての縁外領域SP2は、平面視(図2、図3参照)において、外縁13よりも外側の領域、及び、内縁14よりも内側の中央開口領域、である。すなわち、本実施形態の中央開口領域は、縁外領域SP2の一部である。
より具体的には、図2、図3に示すように、本実施形態の圧迫部材3は、平面視において、縁外領域SP2としての中央開口領域と、縁内領域SP1と、に跨って配置されている。また、本実施形態の圧迫部材3は、平面視において、複数(本実施形態では2つ)の位置で、貼着シート2の内縁14を跨っている。詳細は後述するが、本実施形態の圧迫部材3は、貼着シート2の中央開口領域において、生体表面を圧迫可能である。
圧迫部材3は、固定部4と、圧迫本体部5と、を備える。
固定部4は、平面視(図2等参照)において、縁内領域SP1に位置する。つまり、固定部4は、平面視(図2等参照)において、貼着シート2と重なる位置に配置されている。また、固定部4は、厚み方向Aにおいて貼着シート2の取付面12側で貼着シート2に固定されている。本実施形態の固定部4は、例えば接着、融着等により、取付面12に対して固定されているが、貼着シート2のうち貼着面11よりも上方向A2に位置する部分であれば、固定部4が固定される位置は特に限定されない。したがって、取付面12よりも下方向A1に位置する層に固定されていてもよい。但し、圧迫部材3の固定部4を、貼着シート2の取付面12に対して接着、融着等により固定する構成とすれば、圧迫部材3を貼着シート2に対して容易に取り付けることができる。
本実施形態の固定部4は、圧迫部材3のうち、平面視(図2等参照)において縁内領域SP1に位置する部分の貼着シート2の取付面12に接触する接触面22aにより構成されている。より具体的に、本実施形態の固定部4は、圧迫部材3の後述するサポート部25のうち、貼着シート2の取付面12に接触する接触面22aにより構成されている。この詳細は後述する(図2等参照)。
圧迫本体部5は、平面視(図2、図3参照)において、縁外領域SP2に位置する。つまり、圧迫本体部5は、平面視(図2、図3参照)において、貼着シート2と重ならない位置に配置されている。換言すれば、圧迫本体部5は、平面視(図2、図3参照)において、圧迫部材3の貼着シート2と重ならない部分に設けられている。また、圧迫本体部5は、厚み方向Aにおいて貼着シート2の貼着面11よりも下方向A1に向かって突出可能である。
本実施形態の圧迫本体部5は、貼着シート2が生体表面に貼着されている状態で、生体表面に向かって伸長可能な後述する伸長体21を含む。この伸長体21は、貼着シート2が生体表面に貼着されている状態で、厚み方向Aにおいて貼着シート2の貼着面11よりも上方向A2に位置する退避形態と、厚み方向Aにおいて貼着シート2の貼着面11よりも下方向A1に位置する突出形態と、に形態変化することができる。図4Aは、伸長体21の退避形態を示している。図4Bは、伸長体21の突出形態を示している。本実施形態の圧迫本体部5は、伸長体21を退避形態(図4A参照)から突出形態(図4B参照)に形態変化することで、厚み方向Aにおいて貼着シート2の貼着面11よりも下方向A1に向かって突出することが可能である。これにより、圧迫本体部5は、貼着シート2が生体表面に貼着されている状態で、縁外領域SP2において、生体表面を押圧して圧迫することができる。伸長体21の詳細は後述する。
但し、後述するように、厚み方向Aにおいて貼着シート802(図30参照)の貼着面811(図30参照)よりも下方向A1に向かって突出している圧迫本体部5(図30参照)としてもよい。このような圧迫本体部5の詳細は後述する。
<貼着シート2の第1の部分X1と第2の部分X2>
貼着シート2は、上述したように、圧迫部材3の固定部4が固定されている第1の部分X1と、圧迫部材3の固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。
より具体的に、本実施形態の第1の部分X1は、圧迫部材3の固定部4としての接触面22aと接触する部分である。また、本実施形態の第2の部分X2は、圧迫部材3の固定部4としての接触面22aと接触しない部分である。
図1〜図3に示すように、第2の部分X2の少なくとも一部は、貼着シート2の少なくとも圧迫本体部5側に位置している。つまり、圧迫デバイス1の貼着シート2では、貼着シート2の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート2では、貼着シート2の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。すなわち、本実施形態の第2の部分X2は、貼着シート2のうち第1の部分X1から圧迫本体部5側に延設されている部分を少なくとも含む。
本実施形態では、貼着面11の全域に生体表面に貼着可能な貼着部としての接着層が設けられているが、この構成に限られない。但し、貼着面11のうち、第1の部分X1に対応する位置には、少なくとも一部に接着剤等で形成される貼着部が設けられている。また、貼着面11のうち、第1の部分X1に対して圧迫本体部5側に位置する第2の部分X2に対応する位置には、少なくとも一部に接着剤等で形成される貼着部が設けられている。
換言すれば、平面視(図2等参照)において、貼着シート2の縁、及び、貼着シート2の貼着面11における貼着領域、が圧迫部材3の固定部4と圧迫本体部5との間に位置する。本実施形態では、平面視(図2等参照)において、貼着シート2の縁、及び、貼着シート2の貼着面11における貼着領域の貼着縁、が貼着シート2の内縁14で一致しているが、平面視において一致しない構成であってもよい。
圧迫デバイス1の貼着シート2が圧迫本体部5側に上述の第2の部分X2を備えることにより、圧迫デバイス1の圧迫部材3が生体表面を圧迫する際に、貼着シート2が生体表面から剥がれることを抑制することができる。以下にこの詳細を説明する。
圧迫部材3は、貼着面11が生体表面に貼着されている状態で、圧迫本体部5により生体表面を押圧することで生体表面を圧迫することができる。この際に、圧迫本体部5は、貼着シート2の貼着面11が生体表面に貼着されていることで、生体表面を圧迫した状態を維持することができる。換言すれば、圧迫本体部5が生体表面を圧迫する力は、固定部4を介して、貼着シート2の貼着面11を厚み方向Aの上方向A2に持ち上げる力として作用する。つまり、貼着シート2を生体表面から離間する方向の力が作用するため、貼着面の貼着領域が生体表面から部分的に剥がれるおそれがある。貼着領域が剥離すると、生体表面を圧迫する圧迫力を所望の圧迫力に維持できない場合がある。特に、貼着シートは、貼着面の貼着領域の貼着縁の位置から剥がし取られるような力が作用することで、剥がれ易い。
また、圧迫本体部5により生体表面を圧迫すると、圧迫部材3には、圧迫本体部5の位置で上方向A2に大きな力が作用する。そのため、圧迫部材3には、圧迫本体部5の位置が頂部として上方向A2に張り出すようなテント状の変形が生じ易い。圧迫部材3にこのような力が作用すると、固定部4のうち圧迫本体部5側の位置で、圧迫本体部5側の反対側の位置よりも、貼着シート2を上方向A2に持ち上がる力が大きくなる。
したがって、平面視(図2等参照)において、固定部4のうち圧迫本体部5側の位置が、貼着シートの貼着面における貼着領域の貼着縁の位置と一致すると、圧迫本体部5による生体表面の圧迫時に、貼着シートが貼着領域の貼着縁の位置から剥がし取られ易くなる。
これに対して、圧迫デバイス1の貼着シート2では、圧迫部材3の固定部4が固定されている第1の部分X1に対して、少なくとも圧迫本体部5側に、圧迫部材3の固定部4が固定されていない第2の部分X2を有している。そのため、平面視(図2等参照)において、固定部4のうち圧迫本体部5側の位置が、貼着シート2の貼着面11における貼着領域の貼着縁の位置と一致せず、貼着領域の到着縁が、固定部4のうち圧迫本体部5側の位置よりも、圧迫本体部5側になる。したがって、圧迫本体部5による生体表面の圧迫時に、貼着シート2の貼着領域の貼着縁に対して、剥がし取るような力が作用することを抑制することができる。
更に、図33に示すように、固定部4が上方向A2に持ち上げられることにより、貼着シート2及び生体表面BSは、固定部4の位置で突出するように変形する。つまり、固定部4を介して、貼着シート2の第1の部分X1が上方向A2に引き上げられることで、第2の部分X2には、貼着面11及び生体表面に沿う方向(図33の矢印B参照)の力が作用し易くなる。このように、貼着シート2の第2の部分X2に対して、生体表面から直交する上方向A2の力が作用することを低減できる。また、貼着シート2の第2の部分X2に対して、生体表面に沿う方向のせん断力が作用し易くなる。貼着シート2は、生体表面に沿う方向のせん断力に対しては移動し難く、剥がれ難い。したがって、貼着シート2の第2の部分X2を、生体表面から剥がれ難くすることができる。
第2の部分X2は、貼着シート2の少なくとも圧迫本体部5側にあればよいが、本実施形態のように、貼着シート2の圧迫本体部5側、及び、貼着シート2の圧迫本体部5側とは反対側、の両方にある第2の部分X2とすることが好ましい。
このようにすれば、上述した圧迫本体部5側と同様の作用効果を、圧迫本体部5側とは反対側においても得ることができ、貼着シート2の生体表面からの剥がれを、より一層抑制できる。
以下、本実施形態の圧迫部材3の更なる詳細について説明する。
本実施形態の圧迫部材3は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体21と、この伸長体21を保持する保持体22と、を備える。本実施形態の保持体22は、平面視(図2、図3参照)において、貼着シート2と重なる位置である縁内領域SP1と、貼着シート2と重ならない位置である縁外領域SP2としての中央開口領域と、に跨って延在している。換言すれば、本実施形態の保持体22は、平面視(図2、図3参照)において、貼着シート2と重なる部分と、貼着シート2と重ならない部分と、を備える。また、本実施形態において、平面視(図2、図3参照)における圧迫部材3の貼着シート2と重ならない部分、より具体的には、平面視(図2、図3参照)における保持体22の貼着シート2と重ならない部分は、貼着シート2により区画される中央開口領域内に位置している。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体22のうち、縁内領域SP1において貼着シート2に接触する接触面22aにより構成されている。より具体的に、本実施形態の上述した固定部4は、保持体22のうち、貼着シート2と重なる部分において貼着シート2に接触する接触面22aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体21及び保持体22により構成されている。
本実施形態の伸長体21は、流体の供給により厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能な拡張体23である。本実施形態の伸長体21としての拡張体23は、上述した退避形態(図4A参照)から突出形態(図4B参照)に形態変化することで、厚み方向Aにおいて貼着シート2の貼着面11よりも下方向A1に向かって突出し、生体表面を圧迫可能な姿勢となる。
図3では、退避形態にある拡張体23を示している。図3に示すように、本実施形態の拡張体23は、退避形態において、保持体22の凹部内に配置されている。本実施形態の拡張体23、退避形態で、チューブ状に延在しており、内部空間を区画している。拡張体23の内部空間は、保持体22を貫通して保持体22の外部まで延在するチューブ28に連通している。拡張体23の内部空間には、チューブ28の端部に設けられた接続部29としてのインフレーションポートに接続される流体供給器具から、チューブ28を通じて、例えば空気等の流体が供給される。これにより、拡張体23を退避形態(図4A参照)から突出形態(図4B参照)に形態変化させることができる。拡張体23の内部空間に供給される流体は、気体に限らず、液体であってもよい。
拡張体23としては、例えば空気等の気体により拡張するバルーンとすることができる。拡張体23の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、またはこれらのうち任意の材料を混合した、可撓性を有する材料を用いることができる。
本実施形態の保持体22は、平面視(図2等参照)において貼着シート2と重ならない部分に位置し伸長体21を収容するハウジング部24と、平面視(図2等参照)において貼着シート2と重なる部分に位置し接触面22aを含むサポート部25と、ハウジング部24及びサポート部25を接続するアーム部26と、を備える。
ハウジング部24は、上述した伸長体21としての拡張体23を収容する凹部を区画している。ハウジング部24の凹部は、下方向A1が開放されており、上方向A2側に位置する底部と、底部に連続し拡張体23を取り囲む側壁部と、により区画されている。したがって、拡張体23の拡張は、上方向A2側が底部により規制される。また、拡張体23の拡張は、厚み方向Aと直交する方向の周囲に位置する側壁により規制される。つまり、拡張体23は、凹部の底部及び側壁部により規制されることにより、下方向A1側に向かって突出するように拡張する。本実施形態の圧迫本体部5は、伸長体21としての拡張体23と、保持体22のハウジング部24と、により構成されている。
本実施形態のハウジング部24の外壁には、生体内に挿入されているカテーテル、シース等の医療器具に対して、圧迫デバイス1の生体表面上での取り付け位置をガイドする第1ガイド部24aが設けられている。本実施形態の第1ガイド部24aは、ハウジング部24の中央開口領域に隣接する側面に形成されている突起である。より具体的に、本実施形態の第1ガイド部24aは、ハウジング部24のスリット15側の側面に形成されている突起である。本実施形態では、第1ガイド部24aを設けることにより、スリット15の延在方向と直交する方向での、圧迫デバイス1と医療器具との位置合わせを容易に行うことができる。第1ガイド部24aの形状は、突起に限らず、凹部等の別の形状であってもよい。また、第1ガイド部24aを、突起などの立体形状に限らず、印刷等により形成されるマークとしてもよい。
本実施形態のサポート部25は環状に延在している。上述したように、本実施形態の貼着シート2は環状に延在しており、本実施形態のサポート部25は、貼着シート2に沿って縁内領域SP1を環状に延在している。本実施形態のサポート部25は、厚み方向Aに薄く、貼着シート2に追従して変形可能である。本実施形態の固定部4としての接触面22aは、サポート部25の下方向A1側の環状面により構成されている。
また、サポート部25には、貼着シート2のスリット15と周方向の同じ位置に、間隙25aが形成されている。したがって、カテーテル、シース等の医療器具を、スリット15及び間隙25aを通じて、貼着シート2の外側から中央開口領域内へと移動させることができる。
更に、本実施形態のサポート部25は、間隙25aを挟む両側を接続する接続部25bを備える。サポート部25の接続部25bは、間隙25aを挟む一方側から他方側に向かって延在し、突起受け孔を有する受け部25b1と、間隙25aに対して他方側に位置し、突起受け孔に挿入される突起部25b2と、を備える。接続部25bを備えることで、サポート部25及び貼着シート2の形状を環状に保持し易く、スリット15及び間隙25aを通じて医療器具を移動させる操作以外の操作において、操作性を向上させることができる。
更に、本実施形態のサポート部25には、生体内に挿入されているカテーテル、シース等の医療器具に対して、圧迫デバイス1の生体表面上での取り付け位置をガイドする第2ガイド部25cが設けられている。本実施形態の第2ガイド部25cは、環状のサポート部25の上方向A2側の面に形成されている突起である。本実施形態では、第2ガイド部25cを設けることにより、スリット15の延在方向での、圧迫デバイス1と医療器具との位置合わせを容易に行うことができる。第2ガイド部25cの形状は、突起に限らず、凹部等の別の形状であってもよい。また、第2ガイド部25cを、突起などの立体形状に限らず、印刷等により形成されるマークとしてもよい。
本実施形態のアーム部26は、ハウジング部24の外壁から突設されているアーム本体26aと、このアーム本体26aからサポート部25に沿って突出し、下方向A1側でサポート部25に連続するアーム接続部26bと、を備える。
アーム本体26aは、ハウジング部24の外壁から厚み方向Aと直交する方向に直線状に突出している。本実施形態のアーム本体26aは複数(本実施形態では2つ)設けられており、ハウジング部24の外壁から逆方向に向かって突出している。
アーム接続部26bは、アーム本体26aのハウジング部24とは反対側の端部から、サポート部25に沿って突出している。本実施形態のアーム接続部26bは、平面視(図2等参照)において、アーム本体26aの延在方向とは略直交する方向に向かって突出している。このようなアーム接続部26bを設けることで、サポート部25が貼着シート2を上方向A2に持ち上げようとする力を、サポート部25の周方向に分散させることができる。これにより、サポート部25の周方向の一部に、貼着シート2を上方向A2に持ち上げるような力が局所的に集中することを抑制でき、貼着シート2が局所的に生体表面から剥離することを抑制することができる。
本実施形態のアーム接続部26bは、1つのアーム本体26aの端部から、サポート部25に沿って両側に突出している。このように、アーム部26を上面視(図2参照)でT字形状とすることで、サポート部25が貼着シート2を上方向A2に持ち上げようとする力を、サポート部25の周方向に、より分散させることができる。
更に、本実施形態のアーム接続部26bは、アーム本体26aからの距離が離れるにつれて、厚み方向Aにおける厚みが漸減している。このようにすることで、サポート部25の周方向において、アーム接続部26bが設けられている部位と、アーム接続部26bが設けられていない部位と、の間で大きな剛性段差が形成されることを抑制し、アーム接続部26bが設けられている部位と、アーム接続部26bが設けられていない部位と、の間の境界で、サポート部25及び貼着シート2が破損することを抑制することができる。更に、圧迫デバイス1を生体表面に装着している状態で、衣類やベッドシーツ等との引っ掛かりを抑制できる。
本実施形態のハウジング部24、サポート部25及びアーム部26それぞれの厚み方向Aの剛性は、貼着シート2の厚み方向Aの剛性よりも高い。また、アーム部26の厚み方向Aの剛性は、ハウジング部24及びサポート部25の厚み方向Aの剛性よりも高くてもよく、低くてもよい。本実施形態では、ハウジング部24、アーム部26、サポート部25の順に、剛性が低くなる。アーム部26は、所定の外力が加わった場合に厚み方向Aに折り曲げ可能に構成されていてもよい。
本実施形態の保持体22の材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。この樹脂材料としては、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性ポリウレタン、ポリメチレンメタクリレート、ポリオキシエチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の射出成形で用いられる熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
保持体22のうち少なくともハウジング部24は、超音波透過性を有する材料で形成されることが好ましい。また、上述した伸長体21についても、超音波透過性を有する材料で形成されることが好ましい。伸長体21として拡張体23を用いる場合には、拡張体23が超音波透過性を有する材料で形成されているのみならず、拡張体23に供給される流体についても、水やゲル等の超音波透過性を有する流体を用いる。このようにすれば、圧迫デバイス1による静脈の閉塞状態を、超音波装置により検出できる。この詳細は後述する。
<圧迫デバイス1を用いて行う圧迫方法>
次に、圧迫デバイス1を用いて行う生体表面の圧迫方法について説明する。図5は、生体表面の圧迫方法の一例を示すフローチャートである。図5に示す圧迫方法は、取付工程S1と、第1圧迫工程S2と、抜去工程S3と、第2圧迫工程S4と、を含む。図6A〜図6Dは、取付工程S1の概要を示す図である。図6Eは、第1圧迫工程S2の概要を示す図である。図6Fは、抜去工程S3の概要を示す図である。図6Gは、第2圧迫工程S4の概要を示す図である。
図5、図6A〜図6Gに示す圧迫方法は、生体表面BSを圧迫することで、生体表面BSから結合組織を通じて、例えば大腿静脈などの静脈内に挿入されている状態の医療器具100としてのシースを抜去することで形成される穿孔を、静脈を閉塞することなく、狭窄又は閉塞する、圧迫方法である。これにより、医療器具100としてのシースを抜去した後の止血を行うことができる。まず、医療器具100を抜去した後に形成される穿孔について図34Aおよび図34Bを参照して説明する。図34Aは、医療器具100としてのシースが生体表面BSから結合組織CTを通じて、大腿静脈FV内に挿入されている状態を示している。図34Aでは、医療器具100としてのシースを3本示しているが、2本以下であってもよく、4本以上であってもよい。図34Bは、図34Aに示す状態から医療器具100としてのシースを抜去した後の状態を示している。図34Bに示すように、医療器具100としてのシースを抜去することで、生体表面BSと大腿静脈FVとの間に穿孔Pが形成される。図5、図6A〜図6Gに示す圧迫方法では、大腿静脈FVを閉塞することなく、穿孔Pを狭窄又は閉塞することができる。そのため、生体表面から深い位置にある静脈からの出血の止血を行う場合であっても、その静脈自体を狭窄又は閉塞する必要がなく、より効率的に止血を行うことができる。以下、図6A〜図6Gを参照して、各工程S1〜S4の詳細について説明する。
図6Aは、生体表面BSから大腿静脈FV(図34A、図34B参照)内に医療器具100としてのシースが挿入されている状態を示している。まずは、この状態で、圧迫デバイス1を生体表面BS上に取り付ける。図6Aの状態からサポート部25の接続部25bの接続を解除し、貼着シート2のスリット15及びサポート部25の間隙25aを開放する。具体的には、サポート部25の接続部25bの突起部25b2(図1参照)を、受け部25b1(図1参照)の突起受け孔から抜くことで、接続部25bの接続を解除することができる。
これにより、医療器具100としてのシースが生体内に挿入されている状態であっても、図6Bに示すように、医療器具100の生体外に延在する部分を、スリット15及び間隙25aを通じて、貼着シート2の外側から中央開口領域内へと移動させることができる。図6Bでは、医療器具100としてのシースを中央開口領域内へと移動させた後に、再び接続部25bを接続し、スリット15を閉鎖した状態を示している。図6Bに示すように、医療器具100を中央開口領域内へと移動させた後に、圧迫デバイス1の生体表面BS上での取り付け位置を調整する。この取り付け位置の調整は、上述した第1ガイド部24a及び第2ガイド部25cを利用することで、圧迫デバイス1を適切な位置に取り付けることができる。
図6Cに示すように、圧迫デバイス1の生体表面BS上での取り付け位置を決定した後、貼着シート2の貼着面11に積層されている剥離シート27を剥離して、貼着面11を露出させる。その後、図6Bで調整した位置に、図6Dに示すように、貼着シート2の貼着面11を貼着することにより、圧迫デバイス1を生体表面BSに取り付けることができる。
次に、図6Eに示すように、チューブ28の接続部29に流体供給器具としてのシリンジ30を接続する。チューブ28を通じて、圧迫デバイス1の拡張体23(図3、図4B参照)に対して空気を供給し、拡張体23を拡張させる。このようにすることで、医療器具100としてのシースを生体表面BSから抜去する前に、生体表面BSの傷口近傍を、予め圧迫することができる。換言すれば、医療器具100としてのシースが生体表面BSから結合組織CT(図34A、図34B参照)を通じて静脈としての大腿静脈FV内に挿入されている状態で生体表面BSの圧迫を開始する。このように、医療器具100を生体表面BSから抜去する前に圧迫しておくことで、医療器具100としてのシースの抜去直後に、生体表面BSから大腿静脈FV(図34A、図34B参照)まで延在する穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞するように、生体表面BSを圧迫することができる。
次に、図6Fに示すように、医療器具100としてのシースを生体表面BSから抜去する。より具体的に、本実施形態の医療器具100としてのシースは、貼着シート2の中央開口領域を通じて生体外へと抜去される。このシースの抜去により、図34Bで示す穿孔Pが形成される。仮に、この状態で生体表面BSを全く圧迫しない場合は、大腿静脈FVから穿孔Pおよび生体表面BS上の傷口を通じて、生体外に出血する。しかしながら、ここで示す圧迫方法では、図6Eに示すように、医療器具100としてのシースを生体表面BSから抜去する前に、予め生体表面BSを圧迫しておく。そのため、シースを抜去した直後に、穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞するように、生体表面BSを圧迫でき、シースの抜去直後における出血量を抑制することができる。
次に、図6Gに示すように、チューブ28の接続部29に流体供給器具としてのシリンジ30を再び接続する。チューブ28を通じて、圧迫デバイス1の拡張体23(図3、図4B参照)に対して、再び空気を供給して加圧する、又は、空気を抜いて減圧する。換言すれば、医療器具100としてのシースを抜去後に生体表面BSの圧迫力を調整する。これにより、生体表面BSの圧迫力を調整して、大腿静脈FV(図34A、図34B参照)を閉塞することなく、穿孔P(図34B参照)を更に狭窄又は閉塞させることで、出血量を大きく低減させる又は出血を止める、ことができる。
より具体的に、シース抜去後に出血が確認された場合には、止血が達成されるまで圧迫力をゆっくり高めて加圧する。これに対して、シース抜去後に止血が確認された場合には、出血が確認されるまで圧迫力をゆっくり低下させて減圧する。そして、出血が確認された後に、止血が達成されるまで圧迫力をゆっくり高めて加圧する。このようにすることで、過加圧による大腿静脈FV(図34A、図34B参照)の閉塞を防止することができる。
また、生体表面BSが適切に圧迫されているか否かを、超音波装置を用いて検出してもよい。具体的に、保持体22及び拡張体23(図3、図4B参照)を、超音波透過性を有する材料で形成し、拡張体23に水等の超音波透過性を有する流体を供給する構成とすることで、圧迫デバイス1による圧迫状態を、超音波により診断できる。つまり、超音波装置により、大腿静脈FV(図34A、図34B参照)が閉塞されているか否かを検出することができる。超音波装置による診断結果に基づき、圧迫デバイス1の圧迫力を調整してもよい。
そのまま、数時間(例えば2〜6時間)、圧迫状態を維持することで、止血を完了することができる。止血完了後は、貼着シート2の貼着面11を生体表面BSから剥離することで、圧迫デバイス1を生体表面BSから取り外す。
ここで示す圧迫方法は、大腿静脈FV(図34A、図34B参照)を閉塞せずに、穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞する。静脈の止血の場合には、穿孔P(図34B参照)の狭窄又は閉塞により、止血を行うことができる。これに対して、例えば、大腿動脈の止血の場合には、穿孔のみを閉塞しても、結合組織CT(図34A、図34B参照)内に血液が漏れ拡がるため、止血することができない。大腿動脈の止血の場合には、動脈自体を狭窄又は閉塞するほど強く圧迫する方法、動脈壁の孔を塞ぐ方法等、大がかりな対応が必要になる。
したがって、上述の圧迫方法では、生体表面BSを、生体表面BSからの圧迫深さが5mm〜20mmとなる位置まで圧迫することが好ましい。圧迫深さを上記範囲とすることで、静脈を閉塞することなく、穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞する圧迫状態を実現し易い。圧迫深さは、5mm〜15mmとすることがより好ましく、8mm〜12mmとすることが更に好ましい。
更に、上述の圧迫方法では、生体表面BSを、生体表面BSから100g/cm2〜400g/cm2で圧迫することが好ましい。この圧迫圧力は、医療器具100としてのシースを抜去した後の圧力であり、上述したシース抜去前の圧迫力を意味しない。圧迫圧力を上記範囲とすることで、静脈を閉塞することなく、穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞する圧迫状態を実現し易い。圧迫圧力は、200g/cm2〜400g/cm2とすることがより好ましく、200g/cm2〜300g/cm2とすることが更に好ましい。
また、生体表面BSを、穿孔P(図34B参照)の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫することが好ましい。「穿孔の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫する」とは、穿孔の延在方向に対して直交する方向のみに圧迫することに限らず、穿孔の延在方向に対して直交する方向に対して所定角度以下(例えば30度以下)の角度で傾斜する方向に圧迫することをも含む意味である。生体表面BSを、穿孔P(図34B参照)の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫することができる圧迫デバイスについての詳細は後述する(図10〜図13参照)。
図5、図6A〜図6Gに示す圧迫方法によれば、穿孔P(図34B参照)を、大腿静脈FVなどの静脈を閉塞することなく、狭窄又は閉塞することで、止血を行うことができる。特に、圧迫デバイス1により上述の圧迫方法を実現することで、医療従事者の手による圧迫や、大がかりな止血器具の使用などを不要にし、簡単な方法で止血を行うことができる。更に、図34Bに示すように、穿孔Pが纏まって複数本ある場合であっても、複数の穿孔Pを纏めて狭窄又は閉塞することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態としての圧迫デバイス101について、図7〜図9を参照して説明する。本実施形態の圧迫デバイス101は、上述の圧迫デバイス1と比較して、圧迫部材の構成が相違するが、他の構成は同一である。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図7は、圧迫デバイス101の斜視図である。図8、図9は、圧迫デバイス101の平面図である。具体的に、図8は、圧迫デバイス101の上面図である。図9は、圧迫デバイス101の下面図である。
圧迫デバイス101は、貼着シート2と、圧迫部材103と、を備える。貼着シート2は、生体表面に貼着される貼着面11と、この貼着面11の反対側に位置する取付面12と、を備える。圧迫部材103は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、貼着シート2と重なる縁内領域SP1と、貼着シート2と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材103は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート2は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス101では、貼着シート2の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート2の貼着面11のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス101の貼着シート2では、貼着シート2の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート2では、貼着シート2の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
本実施形態の圧迫部材103は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体121と、この伸長体121を保持する保持体122と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体122のうち、縁内領域SP1において貼着シート2に接触する接触面122aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体121及び保持体122により構成されている。
本実施形態の伸長体121は、流体の供給により厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能な拡張体123である。本実施形態の伸長体121としての拡張体123についても、上述した拡張体23(図4等参照)と同様、退避形態から突出形態に形態変化することで、厚み方向Aにおいて貼着シート2の貼着面11よりも下方向A1に向かって突出し、生体表面を圧迫可能な姿勢となる。
図9では、退避形態にある拡張体123を示している。図9に示すように、本実施形態の拡張体123は、退避形態において、保持体22の凹部内に配置されている。本実施形態の拡張体123は、退避形態で、略矩形状の内部空間を区画している。拡張体123の内部空間は、保持体122を貫通して保持体122の外部まで延在するチューブ28に連通している。拡張体123の内部空間には、チューブ28の端部に設けられた接続部29に接続される流体供給器具から、チューブ28を通じて、例えば空気等の流体が供給される。これにより、拡張体123を退避形態から突出形態に形態変化させることができる。拡張体123の内部空間に供給される流体は、気体に限らず、液体であってもよい。
拡張体123としては、例えば空気等の気体により拡張するバルーンとすることができる。拡張体123の構成材料としては、上述した拡張体23(図4等参照)の構成材料と同様の材料を用いることができる。
本実施形態の保持体122は、縁外領域SP2に位置し伸長体121としての拡張体123を収容するハウジング部124と、縁内領域SP1に位置し接触面122aを含むサポート部125と、ハウジング部124及びサポート部125を接続するアーム部126と、を備える。
ハウジング部124は、上述したハウジング部24(図1等参照)と比較して、チューブ28が挿通している挿通孔を区画している点で相違しているが、その他の構成は同一である。ハウジング部124の挿通孔は、ハウジング部124のうちアーム部126が取り付けられている側面とは異なる側面に形成されている。より具体的に、ハウジング部124の挿通孔は、平面視(図8等参照)において、ハウジング部124のうち中央開口領域に面する側面に形成されている。このようにすることで、チューブ28の位置がアーム部126の延在方向の一方側に偏らない。そのため、圧迫デバイス101は、左右どちらの脚にも使用し易い。
また、ハウジング部124の下方向A1側の下端面、及び、図9に示す退避形態の伸長体121の下方向A1側の下端は、貼着シート2の取付面12よりも、上方向A2側に位置している。換言すれば、ハウジング部124の下端面と、貼着シート2の取付面12と、は厚み方向Aに離間した位置にある。また、図9に示す退避形態の伸長体121の下方向A1側の下端と、貼着シート2の取付面12と、は厚み方向Aに離間した位置にある。このようにすることで、上述した取付工程S1(図5、図6A〜図6D参照)において、圧迫デバイス101を、ハウジング部124が生体表面BSの傷口を覆う状態など、穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞するための適切な位置で、生体表面BSに取り付けることができる。つまり、伸長体121(図9参照)による生体表面BS上での圧迫位置を、より調整し易くなる。
サポート部125は、上述したサポート部25(図1等参照)と比較して、厚み方向Aの厚みが厚く、剛性が大きい。換言すれば、本実施形態のサポート部125は、貼着シート2の変形に追従して変形し難く、圧迫デバイス101の通常の使用時においては、略一定の形状を保持する。このようにすることで、サポート部125が貼着シート2を上方向A2に持ち上げようとする力を、サポート部125の周方向に分散させ易い。これにより、サポート部125の周方向の一部に、貼着シート2を上方向A2に持ち上げるような力が局所的に集中することを抑制でき、貼着シート2が局所的に生体表面から剥離することを抑制することができる。
また、本実施形態のように、サポート部125の剛性を高くすることで、第1実施形態のアーム接続部26b(図1参照)を用いない構成としてもよい。更に、本実施形態のように、サポート部125の剛性を高くすることで、第1実施形態のサポート部25の接続部25b(図1参照)を用いない構成としてもよい。
アーム部126は、ハウジング部124の外壁から突設され、サポート部125と接続されているアーム本体126aを備える。より具体的に、本実施形態のアーム部126は、アーム本体126aのみにより構成されている。アーム本体126aは、ハウジング部124の外壁から厚み方向Aと直交する方向に直線状に突出している。本実施形態のアーム本体126aは複数(本実施形態では2つ)設けられており、ハウジング部124の外壁から逆方向に向かって突出している。
各アーム本体126aのうち、ハウジング部124側とは反対側の端面には、突起部126a1が設けられている。すなわち、圧迫デバイス101を使用する医療従事者は、両方のアーム本体126aの突起部126a1が形成されている端面同士を指で挟み込むことで、突起部126a1に指が引っ掛かり、圧迫デバイス101を容易に把持することができる。換言すれば、両方のアーム本体126aの突起部126a1が形成されている端面は、圧迫デバイス101の把持部を構成している。更に、突起部126a1が設けられていることにより、指先がサポート部125でガードされることで、貼着シート2の外縁13を指で触れて剥がしてしまったり、貼着シート2を曲げてしまうことを、抑制することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態としての圧迫デバイス201について、図10〜図13を参照して説明する。本実施形態の圧迫デバイス201は、上述の圧迫デバイス101と比較して、圧迫部材の構成が相違するが、他の構成は同一である。したがって、ここでは上述の相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図10は、圧迫デバイス201の斜視図である。図11、図12は、圧迫デバイス201の平面図である。具体的に、図11は、圧迫デバイス201の上面図である。図12は、圧迫デバイス201の下面図である。図13A、図13Bは、圧迫デバイス201の側面図である。具体的に、図13Aは圧迫デバイス201の後述する拡張体223が退避形態にある状態を示す。図13Bは、圧迫デバイス201の後述する拡張体223が突出形態にある状態を示す。
圧迫デバイス201は、貼着シート2と、圧迫部材203と、を備える。貼着シート2は、生体表面に貼着される貼着面11と、この貼着面11の反対側に位置する取付面12と、を備える。圧迫部材203は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、貼着シート2と重なる縁内領域SP1と、貼着シート2と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材203は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート2は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス201では、貼着シート2の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート2の貼着面11のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス201の貼着シート2では、貼着シート2の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート2では、貼着シート2の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
図13Bに示すように、本実施形態の圧迫部材203は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体221と、この伸長体221を保持する保持体222と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体222のうち、縁内領域SP1において貼着シート2に接触する接触面222aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体221及び保持体222により構成されている。
本実施形態の伸長体221は、流体の供給により厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能な拡張体223である。本実施形態の伸長体221としての拡張体223についても、上述した拡張体23(図4等参照)及び拡張体123(図9参照)と同様、退避形態(図13A参照)から突出形態(図13B参照)に形態変化することで、厚み方向Aにおいて貼着シート2の貼着面11よりも下方向A1に向かって突出し、生体表面を圧迫可能な姿勢となる。
また、図13Bに示すように、拡張体223は、厚み方向Aに対して傾斜する方向に向かって拡張可能である。このようにすることで、生体表面を、穿孔P(図34B参照)の延在方向に対して直交する方向に沿って圧迫することができる。具体的に、図34A、図34Bに示すように、医療器具100としてのシースは、生体表面BSに対して直交する方向(厚み方向Aと同じ方向)ではなく、生体表面BSに対して直交する方向に対して一方側に傾斜した方向に挿入される。そのため、図34Bに示すように、穿孔Pの延在方向についても生体表面BSに直交する方向に対して傾斜する。したがって、生体表面BSに対して直交する方向となる厚み方向Aに対して、穿孔Pの延在方向とは逆側に傾斜する方向(以下、「傾斜方向F」と記載する場合がある。)に拡張可能な拡張体223とすれば、穿孔Pの延在方向に対して直交する方向に沿って生体表面BSを圧迫し易くなる。これにより、図34A、図34Bの大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔Pを狭窄又は閉塞する圧迫デバイス201を実現し易い。図35は、圧迫デバイス201により、図34Bに示す穿孔Pを狭窄又は閉塞している状態を示す図である。上述した圧迫デバイス1(図1等参照)及び101(図7等参照)であっても、大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔Pを狭窄又は閉塞することが可能であるが、図35に示すように、圧迫デバイス201によれば、大腿静脈FV等の静脈を、より閉塞せずに、穿孔Pを、より狭窄又は閉塞し易くなる。
拡張体223が拡張する方向は、拡張体223自体の形状や、拡張体223の拡張する方向をガイドする後述するハウジング部224の形状など、により適宜設定することができる。また、本実施形態の拡張体223は、突出形態で扁平板状の外形となる構成であるが、突出形態での拡張体223の形状は、この形状に限られない。但し、本実施形態の拡張体223のように、突出方向に指向性があることが好ましい。このようにすれば、穿孔P(図34B参照)を集中的に圧迫でき、静脈が閉塞することを、より抑制できる。
拡張体223としては、例えば空気等の気体により拡張するバルーンとすることができる。拡張体123の構成材料としては、上述した拡張体23(図4B等参照)の構成材料と同様の材料を用いることができる。
本実施形態の保持体222は、縁外領域SP2に位置し伸長体221としての拡張体223を収容するハウジング部224と、縁内領域SP1に位置し接触面222aを含むサポート部225と、ハウジング部224及びサポート部225を接続するアーム部226と、を備える。
ハウジング部224は、上述したハウジング部124(図7等参照)と比較して、外形が異なるが、ハウジング部224の外形は、拡張体223の形状等に応じて適宜設計することができる。また、ハウジング部224には、チューブ28が挿通している挿通孔が形成されている。本実施形態のハウジング部224の挿通孔は、アーム部226が取り付けられている側面に形成されているが、上述したハウジング部124(図7等参照)の挿通孔のように、アーム部226が取り付けられている側面とは異なる側面に形成されていてもよい。
また、本実施形態のハウジング部224の対向する側面には、突起部233が設けられている。すなわち、圧迫デバイス201を使用する医療従事者は、突起部233が形成されているハウジング部224の側面同士を指で挟み込むことで、突起部233に指が引っ掛かり、圧迫デバイス201を容易に把持することができる。換言すれば、両方の突起部233が形成されているハウジング部224の側面は、圧迫デバイス201の把持部を構成している。更に、突起部233が設けられていることにより、指先がサポート部225でガードされることで、貼着シート2の外縁13を指で触れて剥がしてしまったり、貼着シート2を曲げてしまうことを、抑制することができる。
また、ハウジング部224の下方向A1側の下端面、及び、図12に示す退避形態の伸長体221の下方向A1側の下端は、上述した圧迫デバイス101と同様、貼着シート2の取付面12よりも、上方向A2側に位置している。このようにすることで、上述した取付工程S1(図5、図6A〜図6D参照)において、圧迫デバイス201を、ハウジング部224が生体表面BSの傷口を覆う状態など、穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞するための適切な位置で、生体表面BSに取り付けることができる。つまり、伸長体221(図13B参照)による生体表面BS上での圧迫位置を、より調整し易くなる。
サポート部225は、上述したサポート部125(図7等参照)と比較して、フランジ部の有無が相違する。本実施形態のサポート部225は、サポート本体部231と、フランジ部232と、を備える。サポート本体部231は、環状の貼着シート2に沿って環状に延在している。フランジ部232は、サポート本体部231の下方向A1の端部から、サポート本体部231に対して径方向Cの内側及び外側に突出している。サポート本体部231及びフランジ部232の下方向A1側の面は、面一となって一平面を構成している。環状に延在する貼着シート2の上方向A2は、サポート本体部231及びフランジ部232により覆われている。
上述したように、本実施形態の固定部4は、保持体222のうち、縁内領域SP1において貼着シート2に接触する接触面222aにより構成されている。より具体的に、本実施形態の固定部4は、接触面222aとしてのサポート部225の下面のうち、サポート本体部231の下面により構成されている。換言すれば、サポート本体部231の下面は、貼着シート2の取付面12に接着等により固定されているが、フランジ部232の下面は、貼着シート2の取付面12に固定されておらず取付面12を覆っており、取付面12に対して厚み方向Aに接触可能及び離間可能である。
このようなフランジ部232を設ける構成としても、フランジ部232が取付面12に固定されていないため、貼着シート2を内縁14から引き剥がす力が作用し難い。その一方で、フランジ部232を設けることにより、上述のサポート部125(図7参照)と比較して、サポート部225が貼着シート2の取付面12を覆う面積を大きくすることができる。そのため、貼着シート2を生体表面に貼着する際に、サポート部225を介して生体表面側に押し付けられる貼着シート2の貼着面11の面積が大きくなる。つまり、サポート部225を生体表面に向かって押し付けることで、貼着シート2の貼着面11を、より広範囲(本実施形態では貼着シート2の貼着面11全域)に亘って、生体表面に向かって押し付けることができる。これにより、圧迫デバイス201の取付工程S1(図5、図6A〜図6D参照)における操作性が向上する。
本実施形態のフランジ部232は、貼着シート2の取付面12の全域を覆っているが、この構成に限らず、取付面12の一部を覆うフランジ部であってもよい。但し、本実施形態のフランジ部232のように、貼着シート2の取付面12の全域を覆う構成とすれば、サポート部225を生体表面に向かって押圧することで、貼着シート2の貼着面11全域を生体表面に押し付けることができ、圧迫デバイス201の取付工程S1(図5、図6A〜図6D参照)における操作性を、より向上させることができる。
また、本実施形態のように、サポート本体部231に対して径方向Cの内側及び外側にフランジ部232を設けることが好ましい。しかしながら、サポート本体部231に対して径方向Cの内側及び外側のいずれか一方にフランジ部232を設ける構成としてもよい。いずれか一方に設ける構成とする場合には、サポート本体部231に対して径方向Cの内側に設けることが好ましい。貼着シート2のうち、サポート本体部231とハウジング部224との間の位置にある部分は、指を入れるスペースが比較的小さく、生体表面に向かって押圧することが難しい場合がある。これに対して、サポート本体部231に対して径方向Cの内側にフランジ部232が設けられていれば、貼着シート2のうち、サポート本体部231とハウジング部224との間の位置にある部分を、フランジ部232を介して、生体表面に向かって容易に押圧することができる。
アーム部226は、ハウジング部224の外壁から突設され、サポート部225と接続されているアーム本体226aを備える。より具体的に、本実施形態のアーム部226は、アーム本体226aのみにより構成されている。アーム本体226aは、ハウジング部224の外壁から厚み方向Aと直交する方向に突出している。本実施形態のアーム本体226aは複数(本実施形態では2つ)設けられており、ハウジング部224の外壁から逆方向に向かって突出している。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態としての圧迫デバイス301について、図14〜図17を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図14は、圧迫デバイス301の斜視図である。図15、図16は、圧迫デバイス301の平面図である。具体的に、図15は、圧迫デバイス301の上面図である。図16は、圧迫デバイス301の下面図である。図17は、圧迫デバイス301の分解斜視図である。
圧迫デバイス301は、貼着シート302と、圧迫部材303と、を備える。貼着シート302は、生体表面に貼着される貼着面311と、この貼着面311の反対側に位置する取付面312と、を備える。圧迫部材303は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、貼着シート302と重なる縁内領域SP1と、貼着シート302と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材303は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート302は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス301では、貼着シート302の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート302の貼着面311のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス301の貼着シート302では、貼着シート302の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート302では、貼着シート302の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
貼着シート302は、上述の貼着シート2(図1等参照)と比較して、外形が相違している。上述の貼着シート2の外縁13(図1等参照)及び内縁14(図1等参照)は、オーバル状であるが、図14〜図17に示す貼着シート302の外縁313及び内縁314は、矩形状である。また、貼着シート302の外縁313の4つの角部それぞれには、外縁313から内縁314に向かって延在し、内縁314まで到達しないスリット334が形成されている。更に、貼着シート302の内縁314の4つの角部それぞれにおいても、内縁314から外縁313に向かって延在し、外縁313まで到達しないスリット335が形成されている。このようなスリット334及び335を設けることにより、貼着シート302の生体表面への追従性を高めることができる。
本実施形態の圧迫部材303は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体321と、この伸長体321を保持する保持体322と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体322のうち、縁内領域SP1において貼着シート302に接触する接触面322aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体321及び保持体322により構成されている。
本実施形態の伸長体321は、流体の供給により厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能な拡張体323であり、上述した圧迫デバイス1の拡張体23と同様の構成を有している。
本実施形態の保持体322は、縁外領域SP2に位置し伸長体321としての拡張体323を収容するハウジング部324と、縁内領域SP1に位置し接触面322aを含むサポート部325と、ハウジング部324及びサポート部325を接続するアーム部326と、を備える。
図17に示すように、本実施形態の保持体322は、分解可能に構成されている。具体的に、保持体322は、ハウジング部324を含む第1部材336と、サポート部325を含む第2部材337と、に分解可能である。
本実施形態の第1部材336は、ハウジング部324に加えて、第2部材337に対して連結可能な第1アーム形成部338aを備える。また、本実施形態の第2部材337は、サポート部325に加えて、第1部材336に対して連結可能な第2アーム形成部338bを備える。第1部材336の第1アーム形成部338aと、第2部材337の第2アーム形成部338bと、が連結されることで、アーム部326が形成され、ハウジング部324及びサポート部325が接続される。
第1アーム形成部338aは、ハウジング部324から突設され、先端が開放されている筒状部339と、この筒状部339内に一部が収容され、筒状部339の先端開口から別の一部が突出し、筒状部339の軸方向に移動可能は可動部340と、を備える。可動部340は、筒状部339内から先端開口を通じて筒状部339の外側まで延在する本体部340aと、この本体部340aの先端に設けられた板状フランジ部340bと、を備える。可動部340は、コイルバネ等の付勢部材により、筒状部339内から先端開口に向かって付勢されている。可動部340を、付勢部材の付勢力に抗して移動させることで、板状フランジ部340bを、ハウジング部324に近接させるように移動させることができる。
板状フランジ部340bには、後述する第2アーム形成部338bの凹部343に収容される凸部342が形成されている。
上述の第1アーム形成部338aは、第1部材336の一端側と、その反対側である他端側と、にそれぞれ設けられている。
第2アーム形成部338bは、サポート部325から突設され、貼着シート302の内縁314側に向かって開放されている凹部343を区画する受け部344を備える。
上述の第2アーム形成部338bは、第2部材337の一端側と、その反対側である他端側と、にそれぞれ設けられている。
第2アーム形成部338bの受け部344の凹部343に対して、第1アーム形成部338aの板状フランジ部340bの凸部342を嵌合することにより、第1アーム形成部338a及び第2アーム形成部338bが連結される。以下、第1アーム形成部338a及び第2アーム形成部338bの連結方法について説明する。
まず、第1アーム形成部338aの2つの可動部340を、付勢部材の付勢力に抗してハウジング部324側に移動させる。これにより、筒状部339の軸方向Dにおける第1部材336の全長を短くすることができる。この状態で、第1部材336を、第2部材337の2つの第2アーム形成部338bの間の位置に配置し、付勢力に抗する力を解除することで、第1部材336を軸方向Dに伸長させる。これにより、第1部材336の第1アーム形成部338aの板状フランジ部340bの凸部342が、第2アーム形成部338bの受け部344の凹部343に入り込む。凸部342が凹部343に入り込んだ状態で、第1部材336は、第2部材337に対して、軸方向Dにおいて付勢部材の付勢力に抗して短く変形しない限り、相対的な移動が規制される。すなわち、第1部材336が第2部材337に対して接続され、アーム部326が形成された状態となる。
保持体322を分解可能にする第1アーム形成部338a及び第2アーム形成部338bの構成は、本実施形態で示す構成に限らず、他の構成としてもよい。
保持体322を分解可能に構成することにより、皮膚の弱い患者の場合は、邪魔な第1部材336を取り外し、第2部材337が自然に剥がれるのを待つことができる。また、このようにすれば、患者の生体表面から第2部材337を強引に取り外す必要が無いため、より接着性の高い接着剤を用い易くなる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態としての圧迫デバイス401について、図18〜図20を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図18は、圧迫デバイス401の斜視図である。図19、図20は、圧迫デバイス401の平面図である。具体的に、図19は、圧迫デバイス401の上面図である。図20は、圧迫デバイス401の下面図である。
圧迫デバイス401は、貼着シート402と、圧迫部材403と、を備える。貼着シート402は、生体表面に貼着される貼着面411と、この貼着面411の反対側に位置する取付面412と、を備える。圧迫部材403は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、貼着シート402と重なる縁内領域SP1と、貼着シート502と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材403は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート402は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス401では、貼着シート402の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート402の貼着面411のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス401の貼着シート402では、貼着シート402の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート402では、貼着シート402の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
貼着シート402は、上述の貼着シート2(図1等参照)と比較して、外形が相違している。上述の貼着シート2は、圧迫部材3(図1等参照)のサポート部25(図1等参照)の周方向の略全域に亘って環状に延在する構成であるのに対して、図18〜図20に示す貼着シート402は、圧迫部材403の後述するサポート部425の周方向に沿って、間隔を隔てて間欠的に複数配置されている。貼着シート2を間欠的に配置することで、生体表面に貼着する貼着面積を小さくできる。そのため、貼着することによるかぶれや、剥がす時の痛みを、軽減することができる。
本実施形態の各貼着シート402は略台形状の外形を有しているが、この形状に限られず、オーバル形状、円形状、矩形状など、種々の形状とすることができる。
また、本実施形態の貼着シート402は、後述するサポート部425の周方向に沿って略等しい間隔を隔てて4つ配置されているが、この構成に限られず、周方向に隣接する貼着シートの距離及び配置する数は、適宜変更することが可能である。
本実施形態の圧迫部材403は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体421と、この伸長体421を保持する保持体422と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体422のうち、縁内領域SP1において貼着シート402に接触する接触面422aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体421及び保持体422により構成されている。
本実施形態の伸長体421は、流体の供給により厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能な拡張体423である。本実施形態の伸長体421としての拡張体423についても、上述した拡張体23(図4B等参照)と同様、退避形態から突出形態に形態変化することで、厚み方向Aにおいて貼着シート402の貼着面411よりも下方向A1に向かって突出し、生体表面を圧迫可能な姿勢となる。
図18〜図20では、退避形態にある拡張体423を示している。図18〜図20に示すように、本実施形態の拡張体423は、退避形態において、保持体422の凹部内に配置されている。本実施形態の拡張体423は、退避形態で、略円柱状の内部空間を区画している。拡張体423の内部空間には、チューブ28の端部に設けられた接続部29に接続される流体供給器具から、チューブ28を通じて、流体が供給される。これにより、拡張体423を退避形態から突出形態に形態変化させることができる。
図18、図19に示すように、本実施形態の保持体422には、拡張体423の上方向A2側に開口部445が形成されている。すなわち、本実施形態の圧迫デバイス401では、拡張体423が開口部445を通じて保持体422の外側に露出している。また、拡張体423は、超音波透過性を有する材料で形成されている。また、拡張体423に供給される流体についても、水やゲル等の超音波透過性を有する流体を用いる。このような構成とすれば、保持体422を、超音波透過性を有する材料で形成しない構成としても、開口部445及び拡張体423を通じて、圧迫デバイス401による静脈の閉塞状態を超音波装置により検出することができる。
本実施形態の保持体422は、縁外領域SP2に位置し伸長体421としての拡張体423を収容するハウジング部424と、縁内領域SP1及び縁外領域SP2に位置し接触面422aを含むサポート部425と、ハウジング部424及びサポート部425を接続するアーム部426と、を備える。
本実施形態の接触面422aは、サポート部425の下面のうち、各貼着シート402に接触する部分により構成されている。
上述した開口部445は、保持体422のうちハウジング部424の位置に形成されている。ハウジング部424、サポート部425及びアーム部426は、上述したハウジング部24(図1等参照)、サポート部25(図1等参照)及びアーム部26(図1等参照)と比較して、外形が相違しているが、ハウジング部424、サポート部425及びアーム部426の外形は、本実施形態の形状に限られず、適宜変更可能である。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態としての圧迫デバイス501について、図21〜図23を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス1(図1等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図21は、圧迫デバイス501の斜視図である。図22、図23は、圧迫デバイス501の平面図である。具体的に、図22は、圧迫デバイス501の上面図である。図23は、圧迫デバイス501の下面図である。
圧迫デバイス501は、貼着シート502と、圧迫部材503と、を備える。貼着シート502は、生体表面に貼着される貼着面511と、この貼着面511の反対側に位置する取付面512と、を備える。圧迫部材503は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、貼着シート502と重なる縁内領域SP1と、貼着シート502と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材503は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート502は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス501では、貼着シート502の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート502の貼着面511のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス501の貼着シート502では、貼着シート502の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート502では、貼着シート502の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
本実施形態の圧迫部材503は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体521と、この伸長体521を保持する保持体522と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体522のうち、縁内領域SP1において貼着シート502に接触する接触面522aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体521及び保持体522により構成されている。
本実施形態の伸長体521は、流体の供給により厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能な拡張体523である。本実施形態の伸長体521としての拡張体523についても、上述した拡張体23(図4B等参照)と同様、退避形態から突出形態に形態変化することで、厚み方向Aにおいて貼着シート502の貼着面511よりも下方向A1に向かって突出し、生体表面を圧迫可能な姿勢となる。
本実施形態の保持体522は、縁外領域SP2に位置し伸長体521としての拡張体523を収容するハウジング部524と、縁内領域SP1に位置し接触面522aを含むサポート部525と、ハウジング部524及びサポート部525を接続するアーム部526と、を備える。
本実施形態の圧迫デバイス501は、上述した圧迫デバイス1(図1等参照)と比較して、貼着シートの形状、及び、圧迫部材のサポート部の形状、が相違している。
具体的に、本実施形態のサポート部525は、軸方向が厚み方向Aと略一致する円柱状の外形を有し、アーム部526がその周面に接続されている。本実施形態の接触面522aは、円柱状のサポート部525の一方の底面である下面の全域により構成されている。このように、本実施形態のサポート部525は、平面視(図22等参照)において、環状に構成されておらず、ハウジング部524を挟んで両側それぞれに1つずつ設けられている。換言すれば、本実施形態において、ハウジング部524、2つのサポート部525及び2つのアーム部526は、平面視(図22等参照)において、直線状に配列されている。
また、本実施形態の貼着シート502は、各サポート部525の下面側にそれぞれ配置されている。具体的に、各貼着シート502は円形状の外縁を有しており、各サポート部525の下面と接触し固定されている第1の部分X1としての中央部と、この第1の部分X1から径方向に延設されている第2の部分X2としての周縁部と、で構成されている。
図22に示すように、本実施形態のアーム部526の一部は、平面視において、貼着シート502と重なっている、すなわち、縁内領域SP1に位置しているが、アーム部526は貼着シート502に対して固定されておらず、貼着シート502は、アーム部526の下方向A1側の下面に対して離間可能である。
サポート部525及び貼着シート502の数は、本実施形態の2つに限られず、例えば3つ以上としてもよい。また、本実施形態の各サポート部525の形状は、本実施形態の円柱状に限られず、例えば角柱状等であってもよい。更に、本実施形態の各貼着シート502の外縁の形状は、本実施形態の円形状に限られず、例えば多角形状、楕円状等であってもよい。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態としての圧迫デバイス601について、図24〜図27を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス501(図21等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図24は、圧迫デバイス601の斜視図である。図25、図26は、圧迫デバイス601の平面図である。具体的に、図25は、圧迫デバイス601の上面図である。図26は、圧迫デバイス601の下面図である。図27は、圧迫デバイス601の側面図である。
圧迫デバイス601は、貼着シート602と、圧迫部材603と、を備える。貼着シート602は、生体表面に貼着される貼着面611と、この貼着面611の反対側に位置する取付面612と、を備える。圧迫部材603は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、貼着シート602と重なる縁内領域SP1と、貼着シート602と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材603は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート602は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス601では、貼着シート602の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート602の貼着面611のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス601の貼着シート602では、貼着シート602の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート602では、貼着シート602の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
本実施形態の圧迫部材603は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体621と、この伸長体621を保持する保持体622と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体622のうち、縁内領域SP1において貼着シート602に接触する接触面622aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体621及び保持体622により構成されている。
本実施形態の伸長体621は、流体の供給により厚み方向Aの下方向A1に向かって拡張可能な拡張体623である。本実施形態の伸長体621としての拡張体623についても、上述した拡張体523と同様、退避形態から突出形態に形態変化することで、厚み方向Aにおいて貼着シート602の貼着面611よりも下方向A1に向かって突出し、生体表面を圧迫可能な姿勢となる。
本実施形態の保持体622は、縁外領域SP2に位置し伸長体621としての拡張体623を収容するハウジング部624と、縁内領域SP1に位置し接触面622aを含むサポート部625と、ハウジング部624及びサポート部625を接続するアーム部626と、を備える。
本実施形態の圧迫デバイス601は、上述した圧迫デバイス501(図21等参照)と比較して、貼着シートの形状、圧迫部材のサポート部の形状、及び、圧迫部材のアーム部の形状、が相違している。
具体的に、本実施形態のサポート部625は、厚み方向Aと直交する方向に延在する矩形のシート状に形成されている。また、本実施形態のサポート部625は可撓性を有しており、厚み方向Aに変形可能である。
本実施形態のアーム部626は、サポート部625と同様、厚み方向Aと直交する方向に延在する矩形のシート状に形成されている。また、本実施形態のアーム部626は可撓性を有しており、厚み方向Aに変形可能である。更に、本実施形態のアーム部626は、サポート部625の上方向A2側に重ねられた状態で、サポート部625の上方向A2側の面に接続されている。換言すれば、本実施形態のサポート部625及びアーム部626は、厚み方向Aに積層されている状態で接続されている。
本実施形態の接触面622aは、シート状のサポート部625の下面の全域により構成されている。このように、本実施形態のサポート部625は、上述した圧迫デバイス501のサポート部525(図22等参照)と同様、平面視(図25等参照)において、環状に構成されておらず、ハウジング部624を挟んで両側それぞれに1つずつ設けられている。換言すれば、本実施形態において、ハウジング部624及び2つのサポート部625は、平面視(図25等参照)において、直線状に配列されている。
また、本実施形態の貼着シート602は、各サポート部625の下面側にそれぞれ配置されている。具体的に、各貼着シート602は長方形状の外縁を有しており、各サポート部625の下面と接触し固定されている第1の部分X1と、この第1の部分X1から延設されている第2の部分X2と、で構成されている。
より具体的に、本実施形態の長方形状の貼着シート602は、平面視(図25等参照)において、ハウジング部624及び2つのサポート部625が配列されている直線方向Eに沿って長手方向を有している。また、本実施形態の貼着シート602の第2の部分X2において、第1の部分X1に対してハウジング部624側に延在する部分の直線方向Eの最大長さは、第1の部分X1に対してハウジング部624側とは反対側に延在する部分の直線方向Eの最大長さよりも短い。つまり、本実施形態の貼着シート602の第2の部分X2は、ハウジング部624側と反対側に長く延設されている。このような構成とすることで、例えば脚、腕、首、胸部などの生体表面に、貼着シート602を巻き付けるようにして貼着することができる(図27の矢印参照)。
図25に示すように、本実施形態のアーム部626の一部は、平面視において、貼着シート602と重なっている、すなわち、縁内領域SP1に位置しているが、アーム部626は貼着シート602に対して固定されていない。本実施形態では、アーム部626と貼着シート602との間にサポート部625が介在するため、両者は厚み方向Aに離間しているが、両者が固定されていなければ、両者が接触する構成としてもよい。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態としての圧迫デバイス701について、図28、図29を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス601(図24等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図28は、圧迫デバイス701の斜視図である。図29は、圧迫デバイス701の平面図、より具体的には上面図である。
圧迫デバイス701は、貼着シート702と、圧迫部材703と、を備える。貼着シート702は、生体表面に貼着される貼着面711と、この貼着面711の反対側に位置する取付面712と、を備える。圧迫部材703は、厚み方向Aに沿って見た平面視において、貼着シート702と重なる縁内領域SP1と、貼着シート702と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材703は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート702は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス701では、貼着シート702の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート702の貼着面711のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス701の貼着シート702では、貼着シート702の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート702では、貼着シート2の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
本実施形態の圧迫部材703は、厚み方向Aの下方向A1に向かって伸長可能な伸長体721と、この伸長体721を保持する保持体722と、を備える。
本実施形態の上述した固定部4は、保持体722のうち、縁内領域SP1において貼着シート702に接触する接触面722aにより構成されている。本実施形態の上述した圧迫本体部5は、伸長体721及び保持体722により構成されている。
本実施形態の保持体722は、縁外領域SP2に位置し伸長体621を収容するハウジング部724と、縁内領域SP1に位置し接触面722aを含むサポート部725と、ハウジング部724及びサポート部725を接続するアーム部726と、を備える。
本実施形態の圧迫デバイス701は、上述した圧迫デバイス601(図24等参照)と比較して、圧迫部材の伸長体の構成、が相違している。
本実施形態の伸長体721は、保持体722に対して厚み方向Aに移動可能な移動体746により構成されている。具体的に、本実施形態の移動体746は、外面に雄ねじ部が形成されている棒状の移動本体部747と、この移動本体部747の下方向A1の一端に固定され、生体表面を押圧する板状の押圧部748と、移動本体部747の上方向A2の一端に固定されている操作部749と、を備える。
移動本体部747は、保持体722に対して厚み方向Aに移動可能に保持されている。本実施形態の保持体722には、厚み方向Aに貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔の内面には雌ねじ部が設けられている。移動本体部747は、その外面の雄ねじ部が保持体722の貫通孔の雌ねじ部に螺合することにより、保持体722に対して保持されている。移動本体部747は、保持体722の貫通孔から厚み方向Aの両側それぞれに向かって突出した状態で、保持体722に保持されている。
押圧部748は、移動本体部747の下方向A1の一端から径方向外側に向かって突出している。移動本体部747を軸回りに回動することで、押圧部748を厚み方向Aに移動させることができる。具体的に、押圧部748により生体表面を押圧する際は、押圧部748を下方向A1に移動させる。逆に、押圧部748を生体表面から離間させる際は、押圧部748を上方向A2に移動させる。
操作部749を把持して回動することにより、移動本体部747を軸回りに回動させることができる。
このように、伸長体721は、上述した拡張体623(図26参照)に限られず、機械的に伸長可能な構成としてもよい。
[第9実施形態]
次に、第9実施形態としての圧迫デバイス801について、図30〜図32を参照して説明する。ここでは上述の圧迫デバイス501(図21等参照)との相違点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
図30は、圧迫デバイス801の斜視図である。図31は、圧迫デバイス801の平面図、より具体的には上面図である。図32は、圧迫デバイス801の側面図である。
圧迫デバイス801は、貼着シート802と、圧迫部材803と、を備える。貼着シート802は、生体表面に貼着される貼着面811と、この貼着面811の反対側に位置する取付面812と、を備える。圧迫部材803は、厚み方向Aに沿って見た平面視(図31参照)において、貼着シート802と重なる縁内領域SP1と、貼着シート802と重ならない縁外領域SP2と、に跨って配置されている。
圧迫部材803は、固定部4及び圧迫本体部5を備える。
貼着シート802は、固定部4が固定されている第1の部分X1と、固定部4が固定されていない第2の部分X2と、を有する。圧迫デバイス801では、貼着シート802の少なくとも圧迫本体部5側に第2の部分X2を有している。貼着シート802の貼着面811のうち、第1の部分X1及び第2の部分X2それぞれの位置には、接着剤等により形成されている貼着部が設けられている。
換言すれば、圧迫デバイス801の貼着シート802では、貼着シート802の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第2の部分X2を有している。より具体的に、本実施形態の貼着シート802では、貼着シート802の第1の部分X1に対して少なくとも圧迫本体部5側に、第1の部分X1から連続して延在している第2の部分X2を有している。
本実施形態の上述した固定部4は、圧迫部材803のうち、縁内領域SP1において貼着シート802に接触する接触面822aにより構成されている。また、詳細は後述するが、本実施形態の圧迫本体部5は、圧迫部材803のうち、縁外領域SP2において、貼着シート802よりも下方向A1に突出している部分により構成されている。
本実施形態の圧迫デバイス801は、上述した圧迫デバイス501(図21等参照)と比較して、圧迫部材の構成、及び、貼着シートの数、が相違している。
本実施形態の圧迫部材803は、伸長体を備えておらず、厚み方向Aに伸長する構成を有しない。つまり、本実施形態の圧迫部材803は、縁外領域SP2において、貼着シート802の取付面812側から貼着面811側まで厚み方向Aに延在する圧迫本体部5としての円柱状の押圧部850と、縁内領域SP1に位置し接触面822aを含むサポート部825と、押圧部850及びサポート部825を接続するアーム部826と、を備える。
本実施形態のサポート部825及びアーム部826は、上述した圧迫デバイス501(図21等参照)のサポート部525(図21等参照)及びアーム部526(図21等参照)と比較して、設けられている数が相違するが、各サポート部825及び各アーム部826の形状は同様である。
本実施形態の押圧部850は貼着シート802の貼着面811よりも下方向A1に突出しているため、貼着シート802が生体表面に貼着されると、生体表面を押圧した状態となる。このように、伸長体を備えない圧迫部材803としてもよい。
本実施形態の圧迫部材803は一体成形することができる。本実施形態の圧迫部材803の材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。この樹脂材料としては、上述した保持体22(図1等参照)の材料と同様の材料を用いることができる。
本開示に係る圧迫デバイス及び圧迫方法は、上述した実施形態に記載されている具体的な構成及び工程に限られず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、変更が可能である。例えば、上述した第1実施形態〜第9実施形態において示す構成要素を適宜組み合わせて構成される圧迫デバイスも本開示の技術的範囲に属する。
上述した実施形態では、生体表面に装着可能な装着部材の一例として貼着シートを挙げているが、装着部材は、貼着シートに限られず、例えば、樹脂製のバンド部材などを含む意味である。装着部材としてのバンド部材は、例えば、面ファスナ等の係止部を備える。そのため、装着部材としてのバンド部材は、係止部により、腕や脚に巻き付け固定することができる。係止部は、面ファスナに限られず、例えば、爪部と、この爪部が引っ掛かる留め部と、により構成されていてもよい。
また、本開示に係る圧迫デバイスにおいて、装着部材、及び、圧迫部材、の少なくとも一方には、カテーテル、シース等の医療器具100(図6等参照)を受け入れ可能な受け入れ開口部が形成されていてもよい。
具体的に、図1〜図6に示す圧迫デバイス1では、装着部材としての貼着シート2、及び、圧迫部材3、により受け入れ開口部1000が形成されている。図1〜図6に示す圧迫デバイス1の受け入れ開口部1000は、貼着シート2により区画されている中央開口領域の一部を含む開口領域により構成されている。より具体的に、図1〜図6に示す圧迫デバイス1の受け入れ開口部1000は、(1)貼着シート2のスリット15、(2)圧迫部材3のサポート部25により形成される間隙25a、並びに、(3)貼着シート2及び圧迫部材3のサポート部25の両方により区画されている中央開口領域の一部、により構成されている。
更に、図1〜図6に示す圧迫デバイス1の受け入れ開口部1000は、圧迫部材3のうち、伸長体21ではなく、保持体22により区画されている。より具体的に、図1〜図6に示す圧迫デバイス1の受け入れ開口部1000は、圧迫部材3のうち、保持体22のサポート部25により区画されている。つまり、図1〜図6に示す圧迫デバイス1の受け入れ開口部1000は、装着部材としての貼着シート2と、圧迫部材3の保持体22と、により形成されている。
図7〜図9に示す圧迫デバイス101では、装着部材としての貼着シート2、及び、圧迫部材103、により受け入れ開口部1000が形成されている。図7〜図9に示す圧迫デバイス101の受け入れ開口部1000は、貼着シート2により区画されている中央開口領域の一部を含む開口領域により構成されている。より具体的に、図7〜図9に示す圧迫デバイス101の受け入れ開口部1000は、(1)貼着シート2のスリット15、(2)圧迫部材103のサポート部125により形成される間隙125a、並びに、(3)貼着シート2、及び、圧迫部材103のサポート部125の両方により区画されている中央開口領域の一部、により構成されている。
更に、図7〜図9に示す圧迫デバイス101の受け入れ開口部1000は、圧迫部材103のうち、伸長体121ではなく、保持体122により区画されている。より具体的に、図7〜図9に示す圧迫デバイス101の受け入れ開口部1000は、圧迫部材103のうち、保持体122のサポート部125により区画されている。つまり、図7〜図9に示す圧迫デバイス101の受け入れ開口部1000は、装着部材としての貼着シート2と、圧迫部材103の保持体122と、により形成されている。
図10〜図13に示す圧迫デバイス201では、装着部材としての貼着シート2、及び、圧迫部材203、により受け入れ開口部1000が形成されている。図10〜図13に示す圧迫デバイス201の受け入れ開口部1000は、貼着シート2により区画されている中央開口領域の一部を含む開口領域により構成されている。より具体的に、図10〜図13に示す圧迫デバイス201の受け入れ開口部1000は、(1)貼着シート2のスリット15、(2)圧迫部材203のサポート部225により形成される間隙225a、並びに、(3)貼着シート2、及び、圧迫部材203のサポート部225、の両方により区画されている中央開口領域の一部、により構成されている。
更に、図10〜図13に示す圧迫デバイス201の受け入れ開口部1000は、圧迫部材203のうち、伸長体221ではなく、保持体222により区画されている。より具体的に、図10〜図13に示す圧迫デバイス201の受け入れ開口部1000は、圧迫部材203のうち、保持体222のサポート部225により区画されている。つまり、図10〜図13に示す圧迫デバイス201の受け入れ開口部1000は、装着部材としての貼着シート2と、圧迫部材203の保持体222と、により形成されている。
図14〜図17に示す圧迫デバイス301では、装着部材としての貼着シート302、及び、圧迫部材303、により受け入れ開口部1000が形成されている。図14〜図17に示す圧迫デバイス301の受け入れ開口部1000は、貼着シート302により区画されている中央開口領域の一部を含む開口領域により構成されている。より具体的に、図14〜図17に示す圧迫デバイス301の受け入れ開口部1000は、(1)貼着シート302のスリット315、(2)圧迫部材303のサポート部325により形成される間隙325a、並びに、(3)貼着シート302、及び、圧迫部材303のサポート部325、の両方により区画されている中央開口領域の一部、により構成されている。
更に、図14〜図17に示す圧迫デバイス301の受け入れ開口部1000は、圧迫部材303のうち、伸長体321ではなく、保持体322により区画されている。より具体的に、図14〜図17に示す圧迫デバイス301の受け入れ開口部1000は、圧迫部材303のうち、保持体322のサポート部325により区画されている。つまり、図14〜図17に示す圧迫デバイス301の受け入れ開口部1000は、装着部材としての貼着シート2と、圧迫部材303の保持体322と、により形成されている。
図18〜図20に示す圧迫デバイス401においても、例えば、サポート部425の一部に間隙を設け、受け入れ開口部を形成してもよい。
また、図36は、本開示の一実施形態としての圧迫デバイス901の上面図である。図36に示す圧迫デバイス901は、装着部材としての貼着シート902と、圧迫部材903と、を備える。上述したように、図1〜図17に示す圧迫デバイス1、101、201及び301において、受け入れ開口部1000は、貼着シート2及び302により区画されている中央開口領域の一部を含む開口領域により構成されている。しかしながら、受け入れ開口部1000は、貼着シートにより区画されている中央開口領域を含まなくてもよい。図36に示す圧迫デバイス901において、受け入れ開口部1000は、貼着シート902及び圧迫部材903に形成された切欠き開口領域により構成されている。より具体的に、図36の示す受け入れ開口部1000は、貼着シート902により形成されている間隙902aと、圧迫部材903の外縁に形成されている切欠部903aと、により区画されたU字形状の切欠き開口領域である。このように、受け入れ開口部1000の形状は特に限定されず、貼着シートの中央開口領域を含む構成であっても、貼着シートの中央開口領域を含まない構成であってもよい。そのため、受け入れ開口部1000は、装着部材の外縁及び圧迫部材の外縁に形成された凹形状の切欠きにより区画される切欠き開口領域としてもよい。
受け入れ開口部1000は、圧迫部材の圧迫本体部に隣接するように形成されることが好ましい。そのため、受け入れ開口部1000の位置は、圧迫本体部の位置に応じて決定されることが好ましい。したがって、受け入れ開口部1000は、装着部材及び圧迫部材の少なくとも一方に形成されていればよく、装着部材及び圧迫部材の両方に形成されている構成に限られない。つまり、図1〜図17及び図36に示す受け入れ開口部1000はいずれも、装着部材としての貼着シート、及び、圧迫部材、の両方により形成されているが、この構成に限られない。受け入れ開口部1000は、装着部材及び圧迫部材のいずれか一方のみに形成されてもよい。
また、図36に示す受け入れ開口部1000の幅W1は、上面視において、伸長体921としての拡張体923の幅W2よりも小さい。「幅W1」、「幅W2」とは、上面視で、受け入れ開口部1000及び伸長体921が並ぶ方向(図36では上下方向)に略直交する方向(図36では左右方向)を意味する。図36では、伸長体921の位置を破線により示している。このようにすることで、シース抜去後の穿孔P(図34B参照)が、伸長体921により押圧される生体表面の直下の位置になり易い。そのため、伸長体921により、穿孔Pを、より確実に狭窄又は閉塞することができる。
更に、図36に示す圧迫デバイス901では、図7〜図9に示す圧迫デバイス101と同様、受け入れ開口部1000が、上面視で、伸長体921を挟んで、拡張ポートと反対側に設けられている。図36に示す圧迫デバイス901における拡張ポートとは、保持体922のうち、チューブ28の一端が接続されている部分を意味する。
また、図36に示す圧迫デバイス901では、チューブ28の一部が、圧迫部材903に形成されたスリット903bによって挟持されている。加えてチューブ28は、上面視で、伸長体921を挟んで、受け入れ開口部1000と反対側に設けられている。このようにすることで、接続部29が開口部1000付近に位置し難くなる。そのため、圧迫デバイス901を生体表面に配置する際に、接続部29がぶらついて、受け入れ開口部1000上に位置し、邪魔になるといった煩わしさを低減することができる
また、図36に示す圧迫デバイス901において、圧迫部材903は、装着部材としての貼着シート902よりも、硬い材料により形成されている。換言すれば、圧迫部材903は、装着部材としての貼着シート902よりも変形し難く、剛性が大きい。
以上のように、圧迫デバイスは受け入れ開口部1000を備えることで、圧迫デバイスを使用する医療従事者は、シース等の医療器具100(図6等参照)を、圧迫デバイスに対して適切な位置に配置し易い。そのため、圧迫デバイスにより圧迫される生体表面の位置が、圧迫すべき適切な位置から外れることを抑制できる。つまり、圧迫デバイスによれば、生体表面の適切な位置を圧迫し易くなる。
具体的に、圧迫デバイスは受け入れ開口部1000を備えることで、生体内に挿入されている医療器具100(図6等参照)としてのシースのうち生体外に延在する部分を受け入れ開口部1000に配置することができる(図6A、図6B参照)。図6A、図6Bでは、一例として、医療器具100(図6等参照)としてのシースを、環状に延在する貼着シート2のスリット15を通じて、貼着シート2の外側から貼着シート2の中央開口領域内へと移動させる。
また、受け入れ開口部1000を通じて医療器具100としてのシースを生体外に抜去することができる(図6F、図6G参照)。図6F、図6Gでは、一例として、シースが、貼着シート2の中央開口領域を通じて生体外に抜去される。
シースを抜去した後は、圧迫部材(例えば図6では「圧迫部材3」)により、医療器具100としてのシースを抜去した後の生体表面の傷口及び傷口の近傍の少なくとも一方を圧迫する。これにより、穿孔P(図34B参照)を狭窄又は閉塞し、止血することができる。
次に、図10〜図13に示す圧迫デバイス201についての更なる詳細を説明する。
図35に示すように、図10〜図13に示す圧迫デバイス201において、圧迫部材203の圧迫本体部5は、装着部材としての貼着シート2を生体に装着している状態で、生体表面BSに垂直な垂直方向(図35では厚み方向Aと同じ方向であり、図35の上下方向。以下、単に「垂直方向」と記載する。)に対して受け入れ開口部1000側(図35では左側)に傾斜する傾斜方向Fに向かって、生体表面を圧迫可能である。このようにすることで、図35に示すように、大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔Pを狭窄又は閉塞し易くなる。
具体的に、図10〜図13に示す圧迫デバイス201の圧迫本体部5は、上述の垂直方向よりも傾斜方向Fに向かって突出可能である。より具体的に、圧迫デバイス201において、圧迫部材203の伸長体221としての拡張体223は、上述の垂直方向よりも傾斜方向Fに向かって突出するように構成されている。
図10〜図13では、圧迫本体部5が伸長体921及び保持体922により構成されているが、この構成に限られない。圧迫本体部5は、例えば、上述の垂直方向よりも傾斜方向Fに向かって常時突出している構成であってもよい。
図37は、図35に示す状態を、生体表面BS側から見た正面図である。換言すれば、図37は、生体表面BSのうち、圧迫デバイス201により圧迫される位置での正面視を示している。ここで「生体表面のうち、圧迫デバイスにより圧迫される位置での正面視」とは、生体表面のうち、圧迫デバイスにより圧迫される対象となる部分を、圧迫前の当該部分に対して垂直な方向から見た状態を意味する。図37では、鼠径部の正面視を示している。図37に示す正面視において、生体表面BSが圧迫される方向(図37の白抜き矢印「AR1」参照)は、穿孔Pの延在方向Gのうち生体表面BSから静脈に向かうシースの挿入方向G1(図37の白抜き矢印「AR2」参照)と対向している。つまり、圧迫デバイス201が生体表面BSを圧迫する方向は、図37に示す正面視で、シースの挿入方向G1と対向している。このようにすることで、大腿静脈FV等の静脈を閉塞せずに穿孔P(図35参照)を狭窄又は閉塞し易くなる。
換言すれば、図35に示すように、穿孔Pの延在方向Gは、生体表面BSに対して傾斜しており、かつ、生体表面BSに垂直な垂直方向(図35では上下方向)に対しても傾斜している。また、図35に示すように、圧迫デバイス201による生体表面BSの圧迫方向についても、圧迫本体部5が傾斜方向Fに向かって突出するため、生体表面BSに対して傾斜しており、かつ、生体表面BSに垂直な垂直方向(図35では上下方向)に対しても傾斜している。更に、図35に示すように、穿孔Pの延在方向Gは、上記垂直方向(図35では上下方向)に対して、圧迫デバイス201による生体表面の圧迫方向としての傾斜方向Fとは逆側に傾いている。つまり、圧迫デバイス201による生体表面の圧迫は、その圧迫方向が穿孔Pの延在方向Gと交差して交わるように、実行される。これにより、穿孔Pを効率的に狭窄又は閉塞することができる。
次に、図38を参照して、図10〜図13に示す圧迫デバイス201の一変形例としての圧迫デバイス251について説明する。図38は、圧迫デバイス251の側面図である。図38に示す圧迫デバイス251は、装着部材としての貼着シート2と、圧迫部材253と、を備える。圧迫部材253は、伸長体271としての拡張体273と、この拡張体273を保持する保持体272と、を備える。
図38に示す圧迫デバイス251において、拡張体273は、保持体272の保持平面272bにより保持されている。また、拡張体273は、保持平面272bに対して垂直な方向に突出するように拡張可能である。ここで、図38に示す圧迫デバイス251では、保持体272の保持平面272bが、厚み方向Aに対して傾斜して延在している。そのため、図38に示す圧迫デバイス251において、圧迫部材253の圧迫本体部5は、装着部材としての貼着シート2を生体に装着している状態で、生体表面に垂直な垂直方向(図38では厚み方向Aと同じ方向)に対して受け入れ開口部1000側(図38では左側)に傾斜する傾斜方向Fに向かって、生体表面を圧迫可能である。
具体的に、図38に示す圧迫デバイス251の圧迫本体部5は、上述の垂直方向よりも傾斜方向Fに向かって突出可能である。より具体的に、圧迫デバイス251において、圧迫部材253の伸長体271としての拡張体273は、上述の垂直方向よりも傾斜方向Fに向かって突出するように構成されている。
以上のように、図10〜図13に示す圧迫デバイス201、及び、図38に示す圧迫デバイス251によれば、圧迫本体部5が、生体表面に垂直な方向に対して傾斜する傾斜方向Fに向かって、生体表面を圧迫する。そのため、圧迫本体部5が生体表面に垂直な方向に向かって生体表面を圧迫する場合と比較して、穿孔P(図34B等参照)を、より小さい押圧力で効率的に狭窄又は閉塞することができる。