JPWO2019138692A1 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

インダクタンスが回転子位置によって変化するインダクタンス交流分を有する回転機(1)を制御する回転機の制御装置(100)であって、回転機(1)に流れる回転機電流を検出する電流検出器(2)と、インダクタンスが回転子の位置によって変化することで生じる誘起電圧である運動起電力に基づいて、回転子の回転速度の推定値である推定回転速度を演算する速度推定器(3)とを備える。回転機の制御装置(100)は、推定回転速度を用いて回転子位置の推定値である推定位置を演算する位置演算器(4)と、回転機電流と推定位置とに基づいて、回転機を駆動するための回転機電圧指令を出力する制御器(5)とを備える。回転機の制御装置(100)は、回転機電圧指令に基づいて回転機に電圧を印加する電圧印加器(6)を備えることを特徴とする。

Description

本発明は、インダクタンスが回転子位置によって変化する回転機を、回転子位置を検出する位置センサを用いることなく回転子位置情報を得て制御する、回転機の制御装置に関する。
回転機の性能を十分に引き出して回転機を駆動するためには、回転子の位置情報が必要である。そのため、従来の回転機の制御装置は、回転機に取付けられた位置センサで検出される位置情報を用いている。しかしながら、回転機の製造コストのより一層の低減、回転機の小型化、及び回転機の信頼性の向上といった観点から、位置センサレスで回転機を駆動する技術が開発されてきた。回転機の位置センサレス制御方法には、高周波電圧を回転機に印加することによって回転子位置を推定する方法と、高周波電圧を印加せずに回転機の誘起電圧、鎖交磁束などから回転子位置を推定する方法とがある。特許文献1には、高周波電圧を回転機に印加することによって回転子位置を推定する方法が開示されている。特許文献1に開示される位置センサレス制御方法では、高周波電圧を回転機に印加したときの回転機電流が検出され、高周波電圧と同じ周波数成分の高周波電流が抽出される。そして、回転機のインダクタンス、すなわち、高周波電流の振幅が回転子位置電気角の2倍の周波数で変化することを利用して、回転子位置が推定される。このような高周波電圧を利用する方式では、回転機が零速又は零速に近い低速でも、正確に回転子位置を推定できる一方で、重畳される高周波電圧によってトルク脈動又は騒音が発生する。また、高周波電圧を利用する方式では、回転機の巻線に印加される電圧と、回転機の巻線に流れる電流とに高周波電圧が重畳される分だけ、回転機の最大トルク又は回転機の回転速度が小さくなる。
特許文献2、特許文献3及び非特許文献1には、高周波電圧を印加せずに回転子位置を推定する方法が開示されている。高周波電圧を印加せずに回転子位置を推定する方法では、回転機の鎖交磁束から回転子のq軸又はd軸のインダクタンスと回転機電流との積を減算することで、鎖交磁束の内、回転子位置に同期して回転する成分を抽出する。当該成分には、d軸基準のActiveFluxと、q軸基準のActiveFluxとが含まれる。ここで、インダクタンスが最大になる回転子の方向をd軸とし、インダクタンスが最小になる方向をq軸とする。d軸は磁束軸と称される軸であり、q軸はトルク軸と称される軸である。d軸及びq軸は、各々がベクトル的に直交関係にある。特許文献2では、ActiveFluxをオブザーバで推定することによって回転子位置が推定される。特許文献3では、ActiveFluxによって発生する誘起電圧を用いて回転子位置が推定される。非特許文献1では、回転機の電圧のうち、インダクタンスがd軸とq軸とで異なることによって表れる成分が拡張誘起電圧として抽出され、その位相から回転子位置が推定される。
特許文献2,3に開示される位置センサレス制御方法では、回転機電流のd軸成分又はq軸成分が零の場合、ActiveFluxが零となり、回転子位置を推定できない。非特許文献1に開示される位置センサレス制御方法も同様に、回転機電流のd軸成分が零の場合は拡張誘起電圧が零となり、回転子位置を推定できない。すなわち、特許文献2,3及び非特許文献1に開示される位置センサレス制御方法では、回転機の通電方向によっては、回転子位置を推定できない。特許文献4に開示される位置センサレス制御方法では、d軸基準とq軸基準の両方のActiveFluxに、回転機電流又は鎖交磁束のd軸成分とq軸成分に基づいた重み付けを行い、回転子位置の推定に利用することによって、この問題を解決している。
特許第5069306号公報 特許第4644010号公報 特許第3571698号公報 欧州特許出願公開第2493067号明細書
市川真士、陳志謙、冨田睦雄、道木慎二、大熊繁著 「拡張誘起電圧モデルに基づく突極型永久磁石同期モータのセンサレス制御」、電気学会論文誌D、Vol.122(2002年) No.12 P1088−1096
しかしながら、特許文献4に開示される、回転機電流又は鎖交磁束のd軸成分とq軸成分に基づいた重み付けは、回転子位置推定の制御設計だけでなく制御処理を複雑にするという課題がある。そのため、特許文献4に開示される技術では、回転子位置を推定するための構成が複雑になるという課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回転機の通電方向に依らず簡単な構成で回転子位置を推定することができる回転機の制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の回転機の制御装置は、インダクタンスが回転子位置によって変化するインダクタンス交流分を有する回転機を制御する回転機の制御装置であって、回転機に流れる回転機電流を検出する電流検出器と、インダクタンスが回転子の位置によって変化することで生じる誘起電圧である運動起電力に基づいて、回転子の回転速度の推定値である推定回転速度を演算する速度推定器とを備える。回転機の制御装置は、推定回転速度を用いて回転子位置の推定値である推定位置を演算する位置演算器と、回転機電流と推定位置とに基づいて、回転機を駆動するための回転機電圧指令を出力する制御器とを備える。回転機の制御装置は、回転機電圧指令に基づいて回転機に電圧を印加する電圧印加器を備えることを特徴とする。
本発明によれば、回転機の通電方向に依らず簡単な構成で回転子位置を推定することができる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図1に示す速度推定器の構成を示す図 図2に示す適応推定器の構成を示す図 本発明の実施の形態2に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図4に示す速度推定器の構成を示す図 本発明の実施の形態3に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図6に示す位置演算器の構成を示す図 本発明の実施の形態4に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図8に示す位置検出器の構成を示す図 図8に示す位置演算器の構成を示す図 本発明の実施の形態5に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図11に示す位置検出器の構成を示す図 本発明の実施の形態1から5に係る回転電機の制御装置の第1のハードウェア構成例を示す図 実施の形態1から5に係る回転電機の制御装置の第2のハードウェア構成例を示す図
以下に、本発明の実施の形態に係る回転機の制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。実施の形態1に係る回転機の制御装置100は、回転機1を駆動するための回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw に従って、交流電圧を回転機1に印加する電圧印加器6と、電圧印加器6から回転機1に供給される交流電流を検出し、検出した交流電流を回転機電流isu,isv,iswとして出力する電流検出器2とを備える。また回転機の制御装置100は、回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw と回転機電流isu,isv,iswとを用いて、回転機1が有する回転子の回転速度を推定して推定回転速度ω rとして出力する速度推定器3と、推定回転速度ω rを用いて推定回転子位置θ rを演算する位置演算器4と、制御器5とを備える。推定回転速度ω rは、回転機1を構成する図示しない回転子の回転速度の推定値である。推定回転子位置θ は、回転子の回転位置である回転子位置の推定値である。推定回転子位置θ は、電気角で表わされる。回転機の制御装置100によって制御される回転機1は同期リラクタンスモータである。同期リラクタンスモータは、インダクタンスが回転子位置によって変化するインダクタンス交流分を有するモータである。以下では回転機1を単に「回転機」と称する場合がある。電圧印加器6は、U,V,Wの3本の配線を介して、回転機に接続される。電流検出器2では、当該配線に流れる交流電流が検出される。以下では、インダクタンスが最大になる回転子の方向をd軸とし、インダクタンスが最小になる方向をq軸とする。
制御器5は、電流指令演算器501、d−q電流制御器502、回転座標逆変換器503、二相−三相変換器504、三相−二相変換器505及び回転座標変換器506を備え、回転機がトルク指令値Tに対応した出力を発生するための回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw を演算する。
電流指令演算器501は、回転機がトルク指令値Tに対応した出力を発生するために必要な回転座標上の電流指令isd ,isq を演算する。ここでは、回転二相座標上の電流指令isd ,isq は、トルクに対する電流実効値、すなわち回転機の銅損が最小になるように選定される。
d−q電流制御器502は、回転座標変換器506で回転座標変換されるd−q軸電流isd,isqが電流指令isd ,isq となるように制御を行い、回転二相座標上の回転機電圧指令vsd ,vsq を演算する。この電流制御には、例えば比例積分(Proportional Integral:PI)制御などを利用する。
回転座標逆変換器503は、下記(1)式に示すように、位置演算器4で演算された推定回転子位置θ を用いて、回転二相座標上の回転機電圧指令vsd ,vsq を二相座標上の回転機電圧指令vsα ,vsβ へ回転座標逆変換する。実施の形態1では、回転座標逆変換に下記(1)式の変換行列Cdq −1(θ )が利用される。
二相−三相変換器504は、下記(2)式に示すように、静止二相座標上の回転機電圧指令vsα ,vsβ を三相座標上の回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw に変換する。実施の形態1では、二相−三相変換に下記(2)式の変換行列C23が利用される。
三相−二相変換器505は、下記(3)式に示すように、三相座標上の回転機電流isu,isv,iswを静止二相座標上の回転機電流isα,isβへ三相−二相変換する。実施の形態1では、三相−二相変換に下記(3)式の変換行列C32が利用される。
回転座標変換器506は、下記(4)式に示すように、推定回転子位置θ を用いて、静止二相座標上の回転機電流isα,isβを回転二相座標上のd−q軸電流isd,isqへ回転座標変換する。実施の形態1では、回転座標変換に下記(4)式の変換行列Cdqが利用される。
図2は図1に示す速度推定器の構成を示す図である。図2に示すように速度推定器3は、三相−二相変換器301、三相−二相変換器302、回転座標変換器303、回転座標変換器304、適応オブザーバ305及び適応推定器306を備える。
三相−二相変換器301は、三相座標上の回転機電流isu,isv,iswを静止二相座標上の回転機電流isα,isβに変換する。図2ではisα,isβがi αβと表記されている。また回転座標変換器303は、推定回転子位置θ rを用いて、静止二相座標上の回転機電流i αβを回転二相座標上のd−q軸電流isd,isqへ回転座標変換する。図2ではisd,isqがi dqと表記されている。
一方、三相−二相変換器302は、三相座標上の回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw を二相座標上の回転機電圧指令vsα ,vsβ に変換する。図2ではvsα ,vsβ がv αβ*と表記されている。また、回転座標変換器304は、静止二相座標上の回転機電圧指令vsα ,vsβ を、回転二相座標上の回転機電圧指令v dq*へ回転座標変換する。
そして、適応オブザーバ305は、回転二相座標上の回転機電流i dq及び回転機電圧指令v dq*を用いて、回転子の推定回転速度ω rを演算する。適応オブザーバ305の動作について詳しく説明する。まず、回転機のモデルは静止二相座標上において下記(5)式、(6)式及び(7)式で表される。下記(5)式のRは巻線抵抗である。下記(5)式のΨ αβは回転機の鎖交磁束である。下記(6)式のL αβは回転機のインダクタンスである。
上記(7)式のLsdcは、回転子位置によって変化しないインダクタンス直流分であり、Lmacは回転子位置によって変化するインダクタンス交流分である。また、インダクタンスの変化は一般的に、回転子位置の電気角をθとすれば、2θの正弦又は余弦関数で表される。また上記(5)式の第2項のように、鎖交磁束の変化によって表れる電圧を誘起電圧と称する。上記(5)式、(6)式及び(7)式のモデルを制御座標角度θで回転座標変換すると、下記(8)式、(9)式及び(10)式のモデルが得られる。
上記(8)式のJは、下記(11)式に示す変換行列を表す。
回転二相座標上では、上記(8)式の第2項と第3項が誘起電圧を表す。
上記(8)式、(9)式及び(10)式のモデルを、電圧と電流の式に展開したものが、下記(12)式及び(13)式である。
ただし、上記(13)式のωは、下記(14)式で示される回転子角速度である。上記(12)式及び(13)式のωは、下記(15)式で示される制御座標が回転する角速度である。制御座標は回転座標を表す。
ここで、上記(12)式及び(13)式の第3項は、誘起電圧を表す。当該誘起電圧は、回転子位置によってインダクタンスが変動することに起因して発生する。実施の形態1ではこの誘起電圧を運動起電力と称する。この運動起電力は、回転速度に比例する誘起電圧を含んでいる。上記(12)式及び(13)式のモデルにおいて、θ=θとおくと、下記(16)式のモデルが得られる。
上記(16)式のモデルを、回転機のd軸インダクタンスLsd(Lsd=Lsdc+Lmac)と、q軸インダクタンスLsq(Lsq=Lsdc−Lmac)とを用いて表すと、下記(17)式のモデルが得られる。
上記(16)式及び(17)式の第2項は、回転二相座標上のインダクタンス値と電流の微分値との積によって発生する誘起電圧である。また上記(16)式及び(17)式の第3項は、インダクタンスの微分値と電流値との積によって発生する誘起電圧である。また上記(16)式及び(17)式の第4項は、回転二相上のインダクタンス値と電流値との積によって発生する誘起電圧である。ここで、上記(16)式及び(17)式の第3項は、回転子位置に応じてインダクタンスが変動することによって発生する運動起電力である。この運動起電力は回転速度とインダクタンス交流分と各相の電流値との積で構成される誘起電圧を含んでおり、その誘起電圧は回転速度に比例する。また、ω=ωとしてモデル化した場合、この運動起電力は表れない。上記(16)式は、下記(18)式に示す回転座標上の鎖交磁束Ψ dqを用いて表すと、下記(19)式となる。
また上記(19)式を、d軸インダクタンスLsdと、q軸インダクタンスLsqとを用いて表した回転機のモデルは、下記(20)式及び(21)式となる。
上記(19)式及び(20)式の第2項は、運動起電力であり、回転速度に比例する誘起電圧を含んでいる。回転速度を推定するため、まずオブザーバを下記(22)式のように構成する。下記(22)式のi ^dqは回転二相座標上の回転機電流の推定値である。下記(22)式のΨ ^dqは回転二相座標上の鎖交磁束の推定値である。
ここで、下記(23)式に示すように、オブザーバゲインHを適切に設計することで、オブザーバの推定鎖交磁束Ψ^dqは真値である応答ωcobsで収束する。なお、オブザーバゲインHの設計が下記(23)式の例に限定されるものではない。
オブザーバにおいて、推定回転速度ω rに誤差がある場合、推定鎖交磁束Ψ^dqに誤差が表れる。適応推定器306は、回転速度の推定誤差によって生じる運動起電力に関する鎖交磁束の推定誤差から、回転速度を演算する。
図3は図2に示す適応推定器の構成を示す図である。図3に示すように適応推定器306は、下記(24)式及び(25)式の適応則を用いて回転子の推定回転速度ω rを演算する。
ここで、上記(24)式及び(25)式のkapを下記(26)式で演算される値とし、上記(24)式及び(25)式のωaiを下記(27)式で演算される値とすると、回転子位置の推定応答はωcaとなる。
また適応推定器306は、下記(28)式に示すeω1すなわち上記(24)式に含まれる値、又は、下記(29)式に示すeω2すなわち上記(25)式に含まれる値によって、鎖交磁束又は回転機電流の推定誤差から、回転速度の推定誤差を抽出する。下記(28)式の「Ψ dq−Ψ dq」は鎖交磁束の推定誤差を表す。下記(29)式の「i dq−i dq」は回転機電流の推定誤差を表す。
なお、回転速度を推定する適応則の選び方は、上記の方法に限定されず、例えば、以下の参考文献1に従って決めることができる。
(参考文献1)ヨアン・D・ランダウ、富塚誠義「適応制御システムの理論と実際」オーム社、1981
次に、実施の形態1における回転子位置の推定方法による効果を、従来の回転子位置の推定方法との比較で説明する。
前述した特許文献2に開示される技術では、下記(30)式に示すように、回転機の鎖交磁束Ψ αβから、回転子のq軸インダクタンスLsqと回転機電流i αβとの積を減算することで、鎖交磁束のうち回転子位置に同期して回転する成分であるd軸基準のActiveFlux(ΨAFd αβ)が抽出される。
また、回転機電流i αβは下記(31)式で表される。
上記(31)式のIphは電流実効値であり、φは通電角度、すなわち実際の回転子位置と回転機電流との角度差である。
上記(6)式と上記(7)式とを上記(30)式の右辺へ代入すると、d軸基準のActiveFlux(ΨAFd αβ)は下記(32)式で表される。
上記(32)式のActiveFluxの方向は回転子d軸方向であるので、これをオブザーバ等を用いて推定することで、回転子位置を推定できる。前述した特許文献3に開示される技術では、d軸基準のActiveFluxによって発生する誘起電圧を用いて回転子位置の推定が行われている。ActiveFluxを用いて、すなわち上記(5)式、(30)式及び(32)式を用いて、回転機のモデルを、回転子位置に同期して回転する(θ=θかつω=ω)回転二相座標にて表すと下記(33)式となる。
上記(33)式の第2項と第3項の誘起電圧は、各相のインダクタンス値ではなく、q軸インダクタンス値を共通に利用している。その結果、残った第4項の誘起電圧がActiveFluxに起因する誘起電圧となり、回転子位置の推定に利用できる。また、上記(33)式のモデルではω=ωであるため、インダクタンスが回転子位置によって変動することによって発生する運動起電力は表れない。実際に上記(33)式のモデルを用いる場合、ωとしてωを用いるが、この場合に真の回転速度ωが変化してもその影響がこのモデルには表れない。
また特許文献2には、下記(34)式に示すように、回転機の鎖交磁束から回転子のd軸インダクタンスと回転機電流との積を減算した、q軸基準のActiveFluxについても記載されている。
d軸基準の場合と同様に、上記(34)式の右辺に上記(6)式と上記(7)式と上記(31)式とを代入すると、q軸基準のActiveFlux(ΨAFq αβ)は下記(35)式で表される。
q軸基準のActiveFluxは回転子q軸方向であるため、これをオブザーバ等を用いて推定することで、回転子位置を推定できる。ただし、d軸基準のActiveFluxを用いたモデルと同様に、インダクタンスが回転子位置によって変動することによって発生する運動起電力は利用できない。特許文献4は、d軸基準とq軸基準の両方のActiveFluxに、回転機電流又は鎖交磁束のd軸成分とq軸成分に基づいた重み付けを行い、回転子位置の推定に利用している。一方、前述した非特許文献1は、回転機の電圧のうち、インダクタンスがd軸とq軸で異なることにより表れる成分を拡張誘起電圧として抽出し、これを利用して回転子位置を推定している。拡張誘起電圧を抽出するには、まず上記(17)式のモデルを、ω=ωとして、下記(36)式のように表す。
上記(36)式において、第2項のインダクタンス値としてLsdを共通で利用し、第3項のインダクタンス値としてLsqを共通で利用すると、下記(37)式が得られる。
上記(37)式の4項「eext dq」が拡張誘起電圧である。つまり、上記(37)式の第2項の誘起電圧の演算にLsdを共通で用い、上記(37)式の第3項の誘起電圧の演算にLsqを共通で利用することによって、上記(37)式の残った第4項の誘起電圧が拡張誘起電圧となっている。また、上記(37)式のモデルでは、ω=ωであるため、インダクタンスが回転子位置によって変動することによって発生する運動起電力は表れない。上記(37)式を、静止二相座標へ回転座標逆変換すると、下記(38)式となる。
上記(38)式の4項「eext αβ」が静止二相座標での拡張誘起電圧である。定常状態ではdisq/dtは零なので、拡張誘起電圧はd軸方向の鎖交磁束(Lsd−Lsq)iによってq軸方向に電圧が発生していることが、上記(37)式及び(38)式から確認できる。実際に上記(37)式及び(38)式のモデルを用いる場合、ωとしてωを用いるが、この場合に真の回転速度ωが変化してもその影響がこのモデルには表れない。
以上のように従来の技術は、ActiveFlux又は拡張誘起電圧を利用して回転子位置を推定している。しかしながら、d軸基準のActiveFluxと拡張誘起電圧は、通電方向が回転子q軸方向のみ場合、すなわちisd=0の場合は零となり、これを用いた位置推定ができない。同様に、q軸基準のActiveFluxは、通電方向が回転子d軸方向のみ場合、すなわちisq=0の場合は零となり、これを用いた位置推定ができない。このような問題に対して、前述した特許文献4では、d軸基準とq軸基準の両方のActiveFluxに、回転機電流又は鎖交磁束のd軸成分とq軸成分に基づいた重み付けを行い、回転子位置の推定に利用することによって、この問題を解決している。しかしながら、回転機電流又は鎖交磁束のd軸成分とq軸成分に基づいた重み付けは、回転子位置推定の制御設計だけでなく制御処理を複雑にする。また、ActiveFlux又は拡張誘起電圧を利用した従来の回転子位置推定方法では、回転機のモデルにおいて制御座標が回転する角速度ωが回転速度ωと等しいとされており、ωで回転座標変換した場合、ωに関する誘起電圧が表れない。言い換えれば、従来の方法のモデルでは、インダクタンスが回転子位置によって変動することによって発生し、その大きさが回転速度に比例する誘起電圧を含む運動起電力が表れない。
実施の形態1に係る回転機の制御装置100は、上記(12)式及び(13)式の第3項、又は上記(16)式及び(17)式のそれぞの第3項と、上記(19)式及び(20)式のそれぞれの第2項とに表されるような、インダクタンスが回転子位置によって変化することで生じる誘起電圧である運動起電力を用いて、回転速度と回転子位置を推定する。これらの運動起電力は、回転二相座標にて二相両方の成分を持っているため、運動起電力を用いることによって、電流の通電方向に依存せずに位置推定が可能である。また、実施の形態1に係る回転機の制御装置100では、通電方向によって重み付けを行う必要もない。従って実施の形態1に係る回転機の制御装置100は、回転機の通電方向に依らず簡単な構成で回転子位置を推定できる、といった従来にない顕著な効果を奏する。
また、従来の技術は、ActiveFlux又は拡張誘起電圧から回転子位置を推定している。実施の形態1に係る回転機の制御装置100は、運動起電力から回転子の回転速度を推定する。回転速度は回転子位置の微分したものであるため、回転速度を推定することによって、より高応答に回転子位置を推定できる。従って実施の形態1に係る回転機の制御装置100は、高応答に回転子位置を推定できる、といった従来にない著しく顕著な効果を奏する。
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。実施の形態2では、実施の形態1とは異なる方法で運動起電力を抽出して回転速度と回転子位置を推定するように構成されている。実施の形態2に係る回転機の制御装置100Aは、図1に示す速度推定器3の代わりに速度推定器7を備える。その他の構成については、実施の形態1の構成と同一又は同等であり、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図5は図4に示す速度推定器の構成を示す図である。速度推定器7は、図2に示す適応オブザーバ305及び適応推定器306の代わりに、外乱オブザーバ701及び速度演算器702を備える。
まず、上記(20)式及び(21)式の回転機のモデルを、下記(39)式、(40)式及び(41)式のように整理する。
上記(39)式及び(41)式のe dqは、運動起電力のうち回転速度に比例する誘起電圧である。この誘起電圧を推定するように、下記(42)式のように外乱オブザーバ701を構成する。
ここで、オブザーバゲインHを適切に設計することで、誘起電圧の推定値edqは真値に収束する。速度演算器702は、下記(43)式により、運動起電力のうち回転速度に比例する誘起電圧の推定値edqから、回転速度を推定する。なお下記(43)式において、誘起電圧の推定値edqのd軸成分をesd^、q軸成分をesq^とする。
実施の形態2に係る回転機の制御装置100Aは、適応則を含む適応オブザーバを利用せずに、外乱オブザーバ701を用いて、運動起電力のうち回転速度に比例する誘起電圧から回転速度と回転子位置を推定する。従って、実施の形態2に係る回転機の制御装置100Aは、より少ない制御演算量で、回転機の通電方向に依らず簡単な構成で回転子位置を推定できる、といった従来にない顕著な効果を奏する。さらには、回転速度を推定することでより高応答に回転子位置を推定できる、といった従来にない著しく顕著な効果を奏する。
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。実施の形態1,2では、推定した回転速度に誤差がある場合、これを積分して演算した推定回転子位置の誤差が大きくなるときがある。実施の形態3に係る回転機の制御装置100Bは、回転速度の推定誤差がある場合でも安定して回転機を駆動するように構成されている。実施の形態3に係る回転機の制御装置100Bは、図1に示す位置演算器4の代わりに位置演算器9を備え、さらに位置検出器8を備える。その他の構成については、実施の形態1の構成と同一又は同等であり、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
位置検出器8は、回転機1に設けられるホールセンサであり電気角60°毎に検出した回転子位置θr,mesを出力する。位置演算器9は、速度推定器3で演算された推定回転速度ω rと、位置検出器8で検出された回転子位置θr,mesとから、推定回転子位置θ rを推定する。
図7は図6に示す位置演算器の構成を示す図である。位置演算器9は、推定回転速度ω rを積分して推定回転子位置θ rを演算する。併せて、位置演算器9は、位置検出器8で検出された回転子位置θr,mesに推定回転子位置θ rが追従するようにPI制御を行う。位置演算器9によれば、推定回転速度ω rを用いて高応答に回転子位置を推定しつつ、回転速度の推定誤差などに起因する回転子位置の推定誤差を、回転子位置θr,mesを用いて補正することができる。従って実施の形態3に係る回転機の制御装置100Bは、実施の形態1,2の効果に加えて、推定回転速度ω rの誤差がある場合でも安定して回転機を駆動できるといった、従来にない顕著な効果を奏する。
実施の形態4.
図8は本発明の実施の形態4に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。実施の形態3では、回転機1に設けられるホールセンサが用いられ、ホールセンサで検出される回転子位置θr,mesを利用して、回転速度の推定誤差などに起因する回転子位置の推定誤差が補正される。ここで、回転機の制御装置自体が位置検出器として回転子位置を推定する構成とすれば、回転子位置を検出するためのホールセンサが不要となる。実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cは、回転機1に設けられるホールセンサすなわち図6に示す位置検出器8の代わりに、位置検出器10を備える。また回転機の制御装置100Cは、図6に示す位置演算器9の代わりに位置演算器11を備える。回転機の制御装置100Cは、位置演算器11を用いて推定された回転子位置から回転速度の推定誤差などに起因する回転子位置の推定誤差を補正して安定に回転機を駆動するように構成されている。その他の構成については、実施の形態3の構成と同一又は同等であり、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
位置検出器10は、回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw と回転機電流isu,isv,iswと推定回転子位置θ とを用いて、回転子位置の推定誤差−(θ −θ)を演算し、位置演算器11は、回転子位置の推定誤差−(θ −θ)と推定回転速度ω rとから推定回転子位置θ を演算する。
図9は図8に示す位置検出器の構成を示す図である。位置検出器10は、三相−二相変換器1001、三相−二相変換器1002、回転座標変換器1003、鎖交磁束インダクタンス交流分演算器1004、鎖交磁束インダクタンス交流分推定器1005及び回転子位置推定誤差演算器1006を備える。
三相−二相変換器1001は、三相座標上の回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw を静止二相座標上の回転機電圧指令vsα ,vsβ に変換する。
三相−二相変換器1002は、三相座標上の回転機電流isu,isv,iswを静止二相座標上の回転機電流isα,isβに変換する。
回転座標変換器1003は、推定回転子位置θ を用いて、静止二相座標上の回転機電流isα,isβを回転二相座標上のd−q軸電流isd,isqへ回転座標変換する。
次に鎖交磁束インダクタンス交流分演算器1004の動作について説明する。ここで、鎖交磁束インダクタンス交流分とは、インダクタンス交流分と回転機電流によって生成される鎖交磁束を指す。具体的には、上記(8)式、(9)式及び(10)式の回転機のモデルにおいて、鎖交磁束Ψ dqは、回転子位置によって変化しないインダクタンス直流分Lsdcの項と、回転子位置によって変化するインダクタンス交流分Lmacの項に分けて、下記(44)式で表される。
上記(44)式の第2項が、鎖交磁束インダクタンス交流分である。鎖交磁束インダクタンス交流分を演算するため、まず、鎖交磁束インダクタンス交流分演算器1004では、回転機の鎖交磁束Ψ dqが下記(45)式により演算される。下記(45)式のRは巻線抵抗である。
また、上記(45)式の積分は、ラプラス変換におけるs領域において下記(46)式で表される。
回転機の鎖交磁束Ψ αβを積分で演算する場合、通常は初期値が不明であるため、回転機の鎖交磁束Ψ αβの基本波周波数成分に対して十分にカットオフ周波数の低いハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)を利用する。そのHPFの伝達関数は、カットオフ周波数をωhpfとして下記(47)式で表される。
このHPFを上記(46)式に適用すると、鎖交磁束Ψshpf αβは下記(48)式で計算される。
上記(48)式を変形すると下記(49)式となる。
さらに、鎖交磁束インダクタンス交流分演算器1004は、推定回転子位置θ を用いて、静止二相座標上での鎖交磁束Ψshpf αβを、回転二相座標上での鎖交磁束Ψshpf dqへ回転座標変換する。回転座標上での鎖交磁束インダクタンス交流分Ψsac,calc dqは、上記(44)式に従って、下記(50)式で演算される。下記(50)式で演算される鎖交磁束インダクタンス交流分Ψsac,calc dqは、以下では鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と称する。
鎖交磁束インダクタンス交流分推定器1005は、下記(51)式に示すように、推定回転子位置θ と回転機電流i dqとを用いて、上記(44)式の第2項である鎖交磁束インダクタンス交流分を推定する。
ここで、上記(51)式では、制御座標角度θとして推定回転子位置θ を用いているので、上記(51)式は下記(52)式に示すように簡略化される。
上記(52)式のΨ sac dqは、実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cで演算される鎖交磁束インダクタンス交流分推定値である。
回転子位置推定誤差演算器1006は、鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と鎖交磁束インダクタンス交流分推定値とを用いて、回転子位置の推定誤差−(θ −θ)を演算する。ここで、鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と鎖交磁束インダクタンス交流分推定値との外積は、上記(50)式すなわち上記(44)式の第2項を演算した値と、上記(51)式とを用いて、下記(53)式で表される。
ここで、回転子位置の推定値と真値がおよそ等しい、すなわちθ ≒θとすると、回転子位置の推定誤差は下記(54)式で演算できる。
図10は図8に示す位置演算器の構成を示す図である。位置演算器11は、推定回転速度ω rを積分して、積分された推定回転速度を用いて推定回転子位置θ を演算する。併せて、位置演算器11は、回転子位置の推定誤差−(θ −θ)を零にするようにPI制御が行われる。位置演算器11によれば、推定回転速度ω rを用いて高応答に回転子位置を推定しつつ、回転速度の推定誤差などに起因する回転子位置の推定誤差を、推定した回転子位置を用いて補正することができる。従って実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cは、実施の形態1,2の効果に加えて、実施の形態3のホールセンサを用いることなく、推定回転速度ω rの誤差がある場合でも安定して回転機を駆動できるといった、従来にない顕著な効果を奏する。また、実施の形態4で演算される鎖交磁束インダクタンス交流分は、二相両方の成分を持っているため、この鎖交磁束インダクタンス交流分を用いることによって、回転機電流の片側の相が零の場合でも回転子位置の推定が可能である。すなわち、電流の通電方向に依存せずに回転子位置の推定が可能である。また、実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cでは、通電方向によって重み付けを行う必要もない。従って実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cは、回転機の通電方向に依らず簡単な構成で回転子位置を推定できる、といった従来にない顕著な効果を奏する。
ここで、鎖交磁束インダクタンス交流分推定値は、静止二相座標でも演算することができる。上記(8)式及び(9)式の回転機のモデルを用いれば、静止二相座標での鎖交磁束インダクタンス交流分は下記(55)式で表すことができる。
また、上記(55)式を用いて、鎖交磁束インダクタンス交流分推定値は下記(56)式で表すことができる。
静止二相座標上の鎖交磁束インダクタンス交流分の演算値は、鎖交磁束の上記(49)式と、上記(5)式及び(6)式の回転機のモデルとを用いれば、下記(57)式で得られる。
静止二相座標においても、回転二相座標の場合と同様にして、回転子位置の推定誤差は、鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と鎖交磁束インダクタンス交流分推定値とを用いて、下記(58)式で演算される。
上記(58)式を用いれば、回転二相座標の場合と同様に、静止二相座標でも回転子位置を推定できる。しかしながら実際のインダクタンスの変化は、正確には2θの正弦関数又は余弦関数とはならず、推定回転子位置に誤差が発生する。また、静止二相座標では、上記(56)式の鎖交磁束インダクタンス交流分推定値を演算するために2θの正弦関数と余弦関数が必要であり、制御演算量が多くなる。このような問題を解消するため、実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cは、少ない制御演算量で正確に回転子位置を推定できるように、回転二相座標において、鎖交磁束インダクタンス交流分を演算し、さらに鎖交磁束インダクタンス交流分を推定している。また、回転二相座標上での鎖交磁束インダクタンス交流分の演算式である上記(52)式は、回転座標上のd軸におけるインダクタンス値と、回転座標上のq軸におけるインダクタンス値とを使用しているため、回転子位置の電気角をθとしたときに、インダクタンスを2θの正弦関数又は余弦関数で表す必要がない。従って、実際の回転機のインダクタンスは正確には2θの正弦関数又は余弦関数とならないことによる回転子推定誤差が発生しない。また、実施の形態4では、鎖交磁束インダクタンス交流分の推定に、2θの正弦関数と余弦関数を必要としない。従って、実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cは、少ない制御演算量で正確に回転子位置を推定できる、といった従来にない顕著な効果を奏する。
実施の形態5.
図11は本発明の実施の形態5に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。実施の形態4に係る回転機の制御装置100Cは、鎖交磁束インダクタンス交流分の演算値及び推定値を用いて回転子位置を推定している。これに対して実施の形態5に係る回転機の制御装置100Dは、鎖交磁束インダクタンス交流分の演算値と通電角度と回転子位置とを用いて回転子位置を推定するように構成されている。回転機の制御装置100Dは、図8に示す位置検出器10の代わりに、位置検出器12を備える。その他の構成については、実施の形態4の構成と同一又は同等であり、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図12は図11に示す位置検出器の構成を示す図である。位置検出器12は、三相−二相変換器1201、三相−二相変換器1202、鎖交磁束インダクタンス交流分演算器1203、通電角度演算器1204、鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定器1205及び回転子位置推定誤差演算器1206を備える。
三相−二相変換器1201は、三相座標上の回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw を静止二相座標上の回転機電圧指令vsα ,vsβ に変換する。
三相−二相変換器1202は、三相座標上の回転機電流isu,isv,iswを静止二相座標上の回転機電流isα,isβに変換する。
鎖交磁束インダクタンス交流分演算器1203は、実施の形態4と同様に、鎖交磁束インダクタンス交流分を演算する。ただし、実施の形態4では、上記(57)式に示されるように、静止二相座標上の鎖交磁束インダクタンス交流分の演算値が演算される。
一方、上記(55)式に示す鎖交磁束インダクタンス交流分は、上記(31)式で演算される回転機電流を用いると、下記(59)式で表される。
上記(59)式に示す鎖交磁束インダクタンス交流分は、回転子位置から回転機電流の通電角度を減じた位相で回転している。また、上記(59)式のeΨsac αβを鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトルと称する。鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトルeΨsac αβは、鎖交磁束インダクタンス交流分と同方向のベクトルである。
通電角度演算器1204は、回転二相座標上の電流指令isd ,isq から、電流指令と実際の回転子位置との成す角度を示す通電角の指令である通電角度指令φ を下記(60)式により演算する。
鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定器1205は、下記(61)式により、通電角度指令φ と推定回転子位置θ とを用いて、鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定値e Ψsac αβを演算する。
回転子位置推定誤差演算器1206は、鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定値とから、回転子位置の推定誤差−(θ −θ)を演算する。鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定値との外積は、通電角度φと通電角度指令φ とが等しいと仮定すると、下記(62)式で表される。なお、鎖交磁束インダクタンス交流分演算値は、上記(55)式を、回転機電圧指令と回転機電流を用いて、上記(49)式及び(50)式により演算したものである。
ここで、回転子位置の推定値と真値がおよそ等しい、すなわちθ ≒θとすると、回転子位置の推定誤差は下記(63)式で演算できる。
従って実施の形態5に係る回転機の制御装置100Dは、実施の形態1,2の効果に加えて、実施の形態3のホールセンサを用いることなく、推定回転速度ω rの誤差がある場合でも安定して回転機を駆動できるといった、従来にない顕著な効果を奏する。また実施の形態5に係る回転機の制御装置100Dは、鎖交磁束インダクタンス交流分と同方向のベクトルを用いて、すなわち上記(59)式及び(61)式を用いて鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定値を演算できる。なお、鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定値は、上記(61)式に示すように、通電角度指令φ と推定回転子位置θ とを用いて演算される。鎖交磁束インダクタンス交流分及び鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトルは二相両方の成分を持っているため、鎖交磁束インダクタンス交流分及び鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトルを用いることによって、電流の通電方向に依存せずに位置推定が可能である。また、実施の形態5に係る回転機の制御装置100Dでは、通電方向によって重み付けを行う必要もない。従って実施の形態5に係る回転機の制御装置100Dは、回転機の通電方向に依らず簡単な構成で回転子位置を推定できる、といった従来にない顕著な効果を奏する。
実施の形態1から5に係る回転機の制御装置100,100A,100B,100C,100Dが備える各機能は処理回路を用いて実現することができる。各機能とは、電流検出器2、電圧印加器6、速度推定器3,7、位置演算器4,9,11、位置検出器10,12及び制御器5である。
図13は本発明の実施の形態1から5に係る回転電機の制御装置の第1のハードウェア構成例を示す図である。図13には専用処理回路13のような専用のハードウェアにより上記の処理回路を実現する例が示される。図13に示すように専用のハードウェアを利用する場合、専用処理回路13は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。上記の各機能のそれぞれを、処理回路で実現してもよいし、まとめて処理回路で実現してもよい。
図14は実施の形態1から5に係る回転電機の制御装置の第2のハードウェア構成例を示す図である。図14にはプロセッサ14及び記憶装置15により上記の処理回路を実現する例が示される。図14に示すようにプロセッサ14及び記憶装置15を利用する場合、上記の各機能のそれぞれは、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組合せにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、記憶装置15に記憶される。プロセッサ14は記憶装置15に記憶されたプログラムを読み出して実行する。またこれらのプログラムは、上記の各機能のそれぞれが実行する手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。記憶装置15は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、又はEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリが該当する。半導体メモリは不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また記憶装置15は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disc)が該当する。
また上記の各機能のそれぞれは、一部をハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。具体例としては、電流検出器2、電圧印加器6及び位置検出器8は専用のハードウェアを用いてその機能が実現され、速度推定器3,7、位置演算器4,9,11、位置検出器10,12及び制御器5はプロセッサ14及び記憶装置15を用いてその機能が実現される。
実施の形態1から5では、回転機のトルクに対する電流指令は、実効値すなわち回転機の銅損が最小になるように選定されたが、鎖交磁束又は損失が小さくなるように設定してもよいことは言うまでもない。また実施の形態1及び実施の形態2のオブザーバでは、上記(19)式のモデル、又は(20)式及び(21)式のモデルに基づき、状態変数としての鎖交磁束が用いられたが、上記(16)式のモデル又は上記(17)式のモデルに基づき、状態変数として回転機電流も用いてもよい。また、運動起電力を抽出するために、実施の形態1では適応オブザーバが用いられ、実施の形態2では外乱オブザーバが用いているが、上記(16)式及び(17)式のそれぞれの第3項に示す運動起電力、又は上記(19)式及び(20)式のそれぞれの第2項に示す運動起電力は、回転機の電圧及び電流から演算しても良い。また実施の形態3では、位置検出器8としてホールセンサを用いた例を説明したが、ホールセンサの代わりに、レゾルバ、エンコーダなどの位置検出器を利用してもよい。また実施の形態1から5では、説明を分かりやすくするため、制御器5、速度推定器3,7及び位置検出器12において、回転機の電圧及び電流の座標変換が重複して行われているが、これらの座標変換は、制御器5、速度推定器3,7及び位置検出器12に共通の機能で実施してもよい。また実施の形態1から5では、同期リラクタンスモータが用いられているが、回転機1は、インダクタンスが回転子位置によって変化するものであればよく、表面磁石同期モータ、埋込磁石同期モータなどでもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 回転機、2 電流検出器、3,7 速度推定器、4,9,11 位置演算器、5 制御器、6 電圧印加器、8,10,12 位置検出器、13 専用処理回路、14 プロセッサ、15 記憶装置、100,100A,100B,100C,100D 制御装置、301,302,505,1001,1002,1201,1202 三相−二相変換器、303,304,506,1003 回転座標変換器、305 適応オブザーバ、306 適応推定器、501 電流指令演算器、502 d−q電流制御器、503 回転座標逆変換器、504 二相−三相変換器、701 外乱オブザーバ、702 速度演算器、1004,1203 鎖交磁束インダクタンス交流分演算器、1005 鎖交磁束インダクタンス交流分推定器、1006,1206 回転子位置推定誤差演算器、1204 通電角度演算器、1205 鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトル推定器。
本発明の実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図1に示す速度推定器の構成を示す図 図2に示す適応推定器の構成を示す図 本発明の実施の形態2に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図4に示す速度推定器の構成を示す図 本発明の実施の形態3に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図6に示す位置演算器の構成を示す図 本発明の実施の形態4に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図8に示す位置検出器の構成を示す図 図8に示す位置演算器の構成を示す図 本発明の実施の形態5に係る回転機の制御装置の構成を示す図 図11に示す位置検出器の構成を示す図 本発明の実施の形態1から5に係る回転機の制御装置の第1のハードウェア構成例を示す図 実施の形態1から5に係る回転機の制御装置の第2のハードウェア構成例を示す図
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る回転機の制御装置の構成を示す図である。実施の形態1に係る回転機の制御装置100は、回転機1を駆動するための回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw に従って、交流電圧を回転機1に印加する電圧印加器6と、電圧印加器6から回転機1に供給される交流電流を検出し、検出した交流電流を回転機電流isu,isv,iswとして出力する電流検出器2とを備える。また回転機の制御装置100は、回転機電圧指令vsu ,vsv ,vsw と回転機電流isu,isv,isw推定回転子位置θ を用いて、回転機1が有する回転子の回転速度を推定して推定回転速度ω rとして出力する速度推定器3と、推定回転速度ω rを用いて推定回転子位置θ rを演算する位置演算器4と、制御器5とを備える。推定回転速度ω rは、回転機1を構成する図示しない回転子の回転速度の推定値である。推定回転子位置θ は、回転子の回転位置である回転子位置の推定値である。推定回転子位置θ は、電気角で表わされる。回転機の制御装置100によって制御される回転機1は同期リラクタンスモータである。同期リラクタンスモータは、インダクタンスが回転子位置によって変化するインダクタンス交流分を有するモータである。以下では回転機1を単に「回転機」と称する場合がある。電圧印加器6は、U,V,Wの3本の配線を介して、回転機に接続される。電流検出器2では、当該配線に流れる交流電流が検出される。以下では、インダクタンスが最大になる回転子の方向をd軸とし、インダクタンスが最小になる方向をq軸とする。
上記(16)式及び(17)式の第2項は、回転二相座標上のインダクタンス値と電流の微分値との積によって発生する誘起電圧である。また上記(16)式及び(17)式の第3項は、インダクタンスの微分値と電流値との積によって発生する誘起電圧である。また上記(16)式及び(17)式の第4項は、回転二相座標上のインダクタンス値と電流値との積によって発生する誘起電圧である。ここで、上記(16)式及び(17)式の第3項は、回転子位置に応じてインダクタンスが変動することによって発生する運動起電力である。この運動起電力は回転速度とインダクタンス交流分と各相の電流値との積で構成される誘起電圧を含んでおり、その誘起電圧は回転速度に比例する。また、ω=ωとしてモデル化した場合、この運動起電力は表れない。上記(16)式は、下記(18)式に示す回転座標上の鎖交磁束Ψ dqを用いて表すと、下記(19)式となる。
ここで、下記(23)式に示すように、オブザーバゲインHを適切に設計することで、オブザーバの推定鎖交磁束Ψ dqは真値である応答ωcobsで収束する。なお、オブザーバゲインHの設計が下記(23)式の例に限定されるものではない。
オブザーバにおいて、推定回転速度ω rに誤差がある場合、推定鎖交磁束Ψ dqに誤差が表れる。適応推定器306は、回転速度の推定誤差によって生じる運動起電力に関する鎖交磁束の推定誤差から、回転速度を演算する。
図13は本発明の実施の形態1から5に係る回転機の制御装置の第1のハードウェア構成例を示す図である。図13には専用処理回路13のような専用のハードウェアにより上記の処理回路を実現する例が示される。図13に示すように専用のハードウェアを利用する場合、専用処理回路13は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。上記の各機能のそれぞれを、処理回路で実現してもよいし、まとめて処理回路で実現してもよい。
図14は実施の形態1から5に係る回転機の制御装置の第2のハードウェア構成例を示す図である。図14にはプロセッサ14及び記憶装置15により上記の処理回路を実現する例が示される。図14に示すようにプロセッサ14及び記憶装置15を利用する場合、上記の各機能のそれぞれは、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組合せにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、記憶装置15に記憶される。プロセッサ14は記憶装置15に記憶されたプログラムを読み出して実行する。またこれらのプログラムは、上記の各機能のそれぞれが実行する手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。記憶装置15は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、又はEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリが該当する。半導体メモリは不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また記憶装置15は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disc)が該当する。

Claims (19)

  1. インダクタンスが回転子の回転位置である回転子位置によって変化するインダクタンス交流分を有する回転機を制御する回転機の制御装置であって、
    前記回転機に流れる回転機電流を検出する電流検出器と、
    前記インダクタンスが前記回転子の位置によって変化することで生じる誘起電圧である運動起電力に基づいて、前記回転子の回転速度の推定値である推定回転速度を演算する速度推定器と、
    前記推定回転速度を用いて前記回転子位置の推定値である推定位置を演算する位置演算器と、
    前記回転機電流と前記推定位置とに基づいて、前記回転機を駆動するための回転機電圧指令を出力する制御器と、
    前記回転機電圧指令に基づいて前記回転機に電圧を印加する電圧印加器とを備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記誘起電圧が、各相の電流値と当該電流値の微分値とのそれぞれに各相のインダクタンス値を乗じて得られる第1の電圧成分と、各相のインダクタンスの微分値と各相の電流値との積によって得られる第2の電圧成分とから構成され、
    前記速度推定器は、
    前記第2の電圧成分に基づいて前記推定回転速度を演算することを特徴とする請求項1に記載の回転機の制御装置。
  3. 前記誘起電圧は、前記回転機の回転速度と、前記インダクタンスのうち前記回転子の位置によって変化するインダクタンス交流分と、前記回転機電流とを乗じた電圧を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転機の制御装置。
  4. 前記誘起電圧は、前記回転子位置に基づいた回転二相座標において二相両方の成分を持つことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  5. 前記誘起電圧は、前記回転子位置に基づいた回転二相座標において、前記回転機電流の二相の値を入れ替えて等しい係数を乗じたものであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  6. 回転二相座標上の回転機電流をi dqとし、回転二相座標上の鎖交磁束をΨ dqとし、回転子の回転速度をωrとし、d軸インダクタンスをLsdとし、q軸インダクタンスをLsqとしたとき、前記インダクタンス交流分を下記(1)式に示すLmacとしたとき、
    前記誘起電圧は、下記(2)式に示す第1の運動起電力項であるvemf1 dqを含み又は下記(3)式に示す第2の運動起電力項であるvemf2 dqを含むことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  7. 前記速度推定器は、
    前記回転機の鎖交磁束又は前記回転機電流を状態変数としてオブザーバを用いて推定し、前記誘起電圧に関する状態変数の推定誤差から前記回転子の速度を推定することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記速度推定器は、
    2次元オブザーバを用いて前記回転機の鎖交磁束又は前記回転機電流を推定することを特徴とする請求項7に記載の回転機の制御装置。
  9. 前記オブザーバは、制御座標が回転する角速度で回転する回転二軸座標において、前記制御座標が回転する角速度に比例する前記回転機の第1の誘起電圧と、前記回転機の回転速度に比例する第2の誘起電圧とを演算し、前記第2の誘起電圧から回転子の回転速度を推定することを特徴とする請求項7又は8に記載の回転機の制御装置。
  10. 回転二相座標上の回転機電流をi dqとし、回転二相座標上の鎖交磁束をΨ dqとし、回転二相座標上の回転機電流の推定値をi ^dqとし、回転二相座標上の鎖交磁束の推定値をΨ ^dqとし、前記インダクタンス交流分を下記(4)式に示すLmacとしたとき、下記(4)式のLsdをd軸インダクタンスとし、下記(4)式のLsqをq軸インダクタンスとしたとき、
    前記速度推定器は、前記回転速度を、下記(5)式又は下記(6)式を含んだ演算式で演算することを特徴とする請求項7から9の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  11. 前記速度推定器は、
    外乱オブザーバを用いて前記誘起電圧を推定することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  12. 前記回転子位置を検出又は推定する位置検出器を備え、
    前記位置演算器は、
    前記位置検出器で検出又は推定された前記回転子位置と、前記推定回転速度とを用いて前記回転子位置を演算することを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  13. 前記位置検出器は、
    前記インダクタンス交流分と、前記回転機電流によって生成される鎖交磁束インダクタンス交流分とを用いて回転子位置を推定することを特徴とする請求項12に記載の回転機の制御装置。
  14. 前記回転機のインダクタンスは、前記回転子位置によって変化しない第1の成分と、前記回転子位置の電気角の2倍の周波数で変化する第2の成分とから構成され、
    前記インダクタンス交流分は、前記第2の成分であることを特徴とする請求項13に記載の回転機の制御装置。
  15. 前記位置検出器は、
    前記回転機電圧指令及び前記回転機電流から演算された前記鎖交磁束インダクタンス交流分である鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と、前記回転機電流、前記インダクタンス交流分及び前記回転子位置から推定された前記鎖交磁束インダクタンス交流分である鎖交磁束インダクタンス交流分推定値とを用いて、前記回転子位置を推定することを特徴とする請求項13又は14に記載の回転機の制御装置。
  16. 前記位置検出器は、
    前記鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と前記鎖交磁束インダクタンス交流分推定値の外積から前記回転子位置の推定誤差を演算することを特徴とする請求項15に記載の回転機の制御装置。
  17. 前記位置検出器は、
    前記鎖交磁束インダクタンス交流分を前記回転機の回転に同期した回転座標上で演算又は推定することを特徴とする請求項13から16の何れか一項に記載の回転機の制御装置。
  18. 前記位置検出器は、
    前記回転機電圧指令及び前記回転機電流から演算した鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と、前記回転機電流と前記回転子位置との角度差である通電角度と、前記回転子位置とから前記回転子位置を推定することを特徴とする請求項13又は14に記載の回転機の制御装置。
  19. 前記位置検出器は、
    前記通電角度及び前記回転子位置から前記鎖交磁束インダクタンス交流分と同方向のベクトルである鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトルを推定し、
    前記鎖交磁束インダクタンス交流分演算値と、推定された前記鎖交磁束インダクタンス交流分ベクトルの推定値との外積から前記回転子位置の推定誤差を演算することを特徴とする請求項18に記載の回転機の制御装置。
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