JP5733404B2 - Pmモータの位置センサレス制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、PMモータの位置センサレス制御装置に係わり、PMモータの低速運転時に、電流に微分情報を利用して誘起電圧を推定し、この推定電圧を利用して回転速度・磁極位置推定を可能とするセンサレス制御装置に関するものである。
磁石の性能向上に伴い、制動(ダンパ)巻線のない永久磁石を界磁源とする同期電動機(以下PMモータという)が実用に供されている。サーボ用途などでは、このPMモータを可変速制御するために回転子磁極の位置情報が必要である。しかし、この位置情報を検出するセンサには半導体素子などの電子部品が内蔵されていることが多く、また小形なものは機械的強度が弱いなど、耐環境性や耐久性に課題を有している。
そのため、高い位置制御精度や応答性が要求されない用途では、位置センサを使用しないでインバータの電圧や電流情報から磁極位置を推定する位置センサレス制御法を適用することにより制御性能よりも信頼性を改善することが要望されており、現在まで多くの研究がなされてきた。
そのため、高い位置制御精度や応答性が要求されない用途では、位置センサを使用しないでインバータの電圧や電流情報から磁極位置を推定する位置センサレス制御法を適用することにより制御性能よりも信頼性を改善することが要望されており、現在まで多くの研究がなされてきた。
この位置センサレス制御方式の原理を大別すると次の2種類がある。
一つは、界磁磁石の磁束によって発生する速度起電力成分を推定する方法である。この方法は、インバータ出力の電圧や電流の基本波成分からモータの界磁磁束による速度起電力を推定するものである。PMモータは、界磁軸(d軸)とその直交軸(q軸)のインダクタンス成分が等しいという非突極機特性と、また、各軸のインダクタンスが等しくない突極機特性という観点で分類できるが、この方法はその両方に適用できるため、PMモータ全般に利用できることが特長である。しかし、回転速度が低い領域では速度起電力が小さくなってしまう。通常のインバータは、PWM変調方式を利用した電圧制御によりモータに電力を供給しているが、インバータ出力電圧を検出する場合には、高周波成分を含むPWM波形から正確に、かつ高速に基本波成分の電圧を検出することは難しいという問題を有している。
一つは、界磁磁石の磁束によって発生する速度起電力成分を推定する方法である。この方法は、インバータ出力の電圧や電流の基本波成分からモータの界磁磁束による速度起電力を推定するものである。PMモータは、界磁軸(d軸)とその直交軸(q軸)のインダクタンス成分が等しいという非突極機特性と、また、各軸のインダクタンスが等しくない突極機特性という観点で分類できるが、この方法はその両方に適用できるため、PMモータ全般に利用できることが特長である。しかし、回転速度が低い領域では速度起電力が小さくなってしまう。通常のインバータは、PWM変調方式を利用した電圧制御によりモータに電力を供給しているが、インバータ出力電圧を検出する場合には、高周波成分を含むPWM波形から正確に、かつ高速に基本波成分の電圧を検出することは難しいという問題を有している。
PWM変調を適用する前段階での電圧指令を、電圧検出情報の代用に適用する方法もある。この方法は、デットタイムやスイッチング素子の動作遅れ時間などによる電圧誤差の影響が存在する。そのためPMモータの速度が低下して速度起電力が小さくなってくるのに対し、この電圧誤差分は減少しないため相対的に無視できなくなり、正確な位置センサレス制御が困難になる。
もう一つは、インバータの出力電圧や電流成分に高周波成分を重畳することにより、インダクタンスを計測しながら磁気的な突極軸を推定する方法である。
この方法は、d軸とq軸のインダクタンスに差がある突極性を有するPMモータであれば、各軸成分のインダクタンスを逐次計測し続けることにより、界磁磁極軸の位相を推定することができる。しかし、この方法は非突極機特性のPMモータには適用できないほか,界磁磁極軸(d軸)にはN極とS極の2種類の極性が存在するので、これらの判別を行うために磁気飽和などを利用した付加的な磁極判別法も制御に追加する必要がある。
この方法は、d軸とq軸のインダクタンスに差がある突極性を有するPMモータであれば、各軸成分のインダクタンスを逐次計測し続けることにより、界磁磁極軸の位相を推定することができる。しかし、この方法は非突極機特性のPMモータには適用できないほか,界磁磁極軸(d軸)にはN極とS極の2種類の極性が存在するので、これらの判別を行うために磁気飽和などを利用した付加的な磁極判別法も制御に追加する必要がある。
つまり、前者の起電力を推定する方法は低速域では正確に動作できなくなり、後者の高周波を重畳する方法では低速域での動作は可能であるが、適用できるモータに制限があり、非突極機特性を有する場合や磁気飽和が少ないPMモータには適用できない。
M.Janson,L.Harnefors,O.Wallmark,andM.Leksell: "Synchronization at Startup and Stable Rotation Reversal of Sensorless Nonsalient PMSM Drives", IEEE Trans. IE, Vol.53, No.2,pp.379-387(2006)
L.Harnefors, M.Janson,R.Ottersten, and K.Pietilainen, "Unified Sensorless Vector Control of Synchronous and Induction Motors" IEEE Trans.Ind.Electron., Vol.50, No.1,pp.153-160,Feb.2003,
低速の位置センサレス制御方式としては非特許文献1があり、図6で示すような制御ブロックを用いてセンサレス制御を行っている。非特許文献1で示す制御方式は基本的には起電力推定方式の一種で、推定方式の原理は非特許文献2に記載されているが、推定は図6で示す点線で囲んだ回転速度推定部で行われる。
すなわち、電圧指令値Vsから電流指令irefとモータ定数Rs+jω1Lsの積である巻線の抵抗成分と電機子反作用成分の電圧降下成分を減算して誘起電圧eを求める。位置センサレス制御の内部では推定した界磁磁極位相をd軸とする制御基準軸に設定し、この基準軸を実軸とみなす。そして前述の誘起電圧eの虚部成分をq軸の誘起電圧eqとして、また、実部をd軸誘起電圧edとして求める。この制御基準軸の各成分のうちeq電圧成分を、推定角速度ω1に対応したゲインλsとedを乗じたもので補正し、さらにこの誘起電圧を磁束Ψmで除算して速度の推定に利用する。実際には外乱や位置推定と回転座標変換を介してeq電圧成分にフィードバックする項が存在するので、このループにより発振しないように広帯域を制限するローパスフィルタをかけてから推定角速度ω1を推定している。
図6で示す方式の特徴は、零速度付近で正転と逆転とを誤って逆回転方向に推定しても、自動的に推定速度が正常な回転方向に修正される点にある。しかし電圧情報には、例えば、従来のPWM変調に入力される電圧指令Vsを代用する方式では、デットタイム誤差やスイッチング素子のスイッチング遅れなどによる電圧誤差に関する対策が適格に適用されていないと、回転方向の推定誤りがあった場合でも直ぐには検出できず、或る程度の逆転速度まで達しないと正常回転方向に戻ることはできない。
本発明が目的とするのは、このような電圧指令と実電圧に電圧誤差が存在していても、正常回転方向に復帰できる速度の下限を、より低い速度まで拡張することであり、ひいては低速でも正確な位置推定を可能としたPMモータの位置センサレス制御装置を提供することにある。
本発明の1つの観点によれば、速度指令と推定速度から電流指令を生成し、この電流指令と回転座標変換部を通して検出されたγーδ座標の電流検出値から電圧指令を生成し、逆回転座標変換部およびPWM変調パターンにより制御されるインバータを介してPMモータを制御するものにおいて、
零電圧ベクトル期間中のγーδ座標での前記電流検出値iγ,iδと電流微分情報piγ,piδを入力して速度起電力eγ,eδを演算する誘起電圧演算部と、誘起電圧演算部により演算された速度起電力eγ,eδを用いて推定速度ω^を求める回転速度推定部と、推定速度を時間積分して推定位相θ^を算出し、この推定位相を前記回転座標変換部と逆回転座標変換部に出力して回転座標の基準位相に利用することを特徴としたものである。
零電圧ベクトル期間中のγーδ座標での前記電流検出値iγ,iδと電流微分情報piγ,piδを入力して速度起電力eγ,eδを演算する誘起電圧演算部と、誘起電圧演算部により演算された速度起電力eγ,eδを用いて推定速度ω^を求める回転速度推定部と、推定速度を時間積分して推定位相θ^を算出し、この推定位相を前記回転座標変換部と逆回転座標変換部に出力して回転座標の基準位相に利用することを特徴としたものである。
本発明の1つの観点による誘起電圧演算部は、次式により速度起電力eγ,eδを算出することを特徴としたものである。
ただし、R:巻線抵抗、L:巻線インダクタンス、φd:鎖交磁束、p:微分演算子(d/dt)
本発明の1つの観点による前記回転速度推定部は、次式により推定速度ω^を算出することを特徴としたものである。
本発明の1つの観点による前記回転速度推定部は、次式により推定速度ω^を算出することを特徴としたものである。
ただし、α=α0+λ2|ω^|、α0は固定、λ1,λ2は正のゲイン、z-1は前回のサンプリング値
本発明の別の観点によれば、前記電流微分検出部を回転座標変換部の検出電流入力側に設け、前記PWM変調パターンの零電圧ベクトル期間中に発生する三相電流検出とその電流微分量を回転座標変換器に入力し、
前記誘起電圧演算部は、回転座標変換部により回転座標変換した前記電流検出値iγ,iδと電流微分情報piγ’,piδ’を入力して速度起電力eγ,eδを算出することを特徴としたものである。
本発明の別の観点によれば、前記電流微分検出部を回転座標変換部の検出電流入力側に設け、前記PWM変調パターンの零電圧ベクトル期間中に発生する三相電流検出とその電流微分量を回転座標変換器に入力し、
前記誘起電圧演算部は、回転座標変換部により回転座標変換した前記電流検出値iγ,iδと電流微分情報piγ’,piδ’を入力して速度起電力eγ,eδを算出することを特徴としたものである。
本発明の別の観点による前記誘起電圧演算部は、次式により速度起電力eγ,eδを算出することを特徴としたものである。
本発明の別の観点による前記電流微分情報piγ’,piδ’は、回転座標変換部によって固定座標の直交二軸α,βの電流成分iα,iβに変換後、微分演算を実行して得ることを特徴としたものである。
本発明の更に別の観点によれば、前記回転座標変換部の入力側にスイッチング素子の電圧降下を補正する電圧降下補正部を設け、前記PWM変調パターンの零電圧ベクトル期間中に発生する三相電流検出と電圧降下補正部からの電圧降下補正量を回転座標変換部に入力し、
前記誘起電圧演算部に、前記電流検出値と電流微分情報、及び電圧降下補正量を入力して速度起電力を演算することを特徴としたものである。
前記誘起電圧演算部に、前記電流検出値と電流微分情報、及び電圧降下補正量を入力して速度起電力を演算することを特徴としたものである。
本発明の別の観点による前記電流微分情報は、回転座標系又は固定座標系の何れか一方の座標系に基づいたものであることを特徴としたものである。
本発明の別の観点による前記誘起電圧演算部は、次式により速度起電力eγ,eδを算出することを特徴としたものである。
ただし、vceγ,vceδ:電圧補正量
本発明の他の観点による前記誘起電圧演算部は、次式により速度起電力eγ,eδを算出することを特徴としたものである。
本発明の他の観点による前記誘起電圧演算部は、次式により速度起電力eγ,eδを算出することを特徴としたものである。
本発明の他の観点による前記電流微分情報は、零電圧ベクトル期間におけるキャリア頂点前後2点の電流サンプリング値の差分演算値として前記回転座標変換部に入力することを特徴としたものである。
本発明の更に他の観点による前記電流微分情報は、零電圧ベクトル期間におけるキャリア頂点と底辺間の電流サンプリング値の移動平均値を微分した値を前記回転座標変換部に入力することを特徴としたものである。
本発明の他の観点による前記電圧降下補正部における電圧降下補正量は、三相検出電流値に対応したテーブルデータを用いて求め、テーブルデータは三相の各相毎個別に、且つ正負の電流極性毎に個別に設定されたことを特徴としたものである。
以上のとおり、本発明によれば、零電圧ベクトル期間中のγーδ座標の電流信号iγ,iδと電流微分情報piγ,piδを用いて推定位相θ^を算出したものである。これにより、デットタイムの影響を排除した誘起電圧の推定が可能になり、より低速まで正常な位置センサレス制御が実現できるなどの効果を奏するものである。
本発明は、誘起電圧演算部に検出された電流信号と電流微分情報を入力して速度起電力を演算し、この速度起電力に基づいて推定磁極位相を求めるようにしたものである。以下、各実施例に基づいて詳述する。
図1は、本発明の第1の実施例を示す位置センサレス制御装置のブロック図を示したものである。1はPWM制御されるインバータ、2はPMモータで、ここでは、実機のPMモータのN極の界磁軸をd軸と定義し、それに対して正転方向に90゜進んだ位相をq軸とする。しかし、位置センサが無いことでこのd軸とq軸は直接検出することはできない。そこで、磁極推定により仮想したN極軸をγ軸,回転方向に電気角で90゜進んだ位相をδと定義する。
3は回転座標変換部で、電流センサにより検出された3相電流iu,iv,iwを入力して推定軸であるiγ,iδに座標変換する。座標変換された電流信号iγ,iδは電流微分検出部4と誘起電圧演算部5、および電流制御部9にそれぞれ入力される。電流微分検出部4では、零電圧ベクトル期間中のγーδ軸電流の変化量piγ,piδを検出し、誘起電圧演算部5に入力する。誘起電圧演算部5では、入力された電流信号iγ,iδと電流微分情報piγ,piδを用いて後述のように速度起電力eγ.eδを演算する。6は回転速度推定部、7は積分器で、回転速度推定部6による推定速度を積分して推定磁極位置θ^を演算し、回転座標変換部3と逆回転座標変換部10に出力する。8は速度制御部、9は電流制御部である。
次に基本的な動作について説明する。
速度制御部8では、速度指令ω*と速度推定ω^の入力情報から、トルク指令に相当するδ軸成分の電流指令iδ *を出力する。この電流指令iδ *とγ軸の任意の電流指令iγ *が電流制御部9に入力される。電流制御部9には、回転座標変換部3を介して回転座標に変換された電流信号iγ,iδが入力されており、電流制御部9ではこれらの電流指令iδ *,iγ *および電流信号iγ,iδを比較してフィードバック演算を行い、推定磁極軸を基準とする回転座標(γ‐δ座標)上の電圧指令vγ *,vδ *を出力する。この電圧指令vγ *,vδ *は、回転座標変換部3とは逆の動作を行う逆回転座標変換部10により、固定座標への逆回転変換や2相3相変換などを行って三相交流の電圧指令vu,vv,vwとしてインバータ1に入力される。インバータ1では、三相電圧指令vu,vv,vwをPWM変調により電力増幅して略等価な電圧を出力する。
以上は位置センサがある場合もない場合も共通の制御ブロックである。
速度制御部8では、速度指令ω*と速度推定ω^の入力情報から、トルク指令に相当するδ軸成分の電流指令iδ *を出力する。この電流指令iδ *とγ軸の任意の電流指令iγ *が電流制御部9に入力される。電流制御部9には、回転座標変換部3を介して回転座標に変換された電流信号iγ,iδが入力されており、電流制御部9ではこれらの電流指令iδ *,iγ *および電流信号iγ,iδを比較してフィードバック演算を行い、推定磁極軸を基準とする回転座標(γ‐δ座標)上の電圧指令vγ *,vδ *を出力する。この電圧指令vγ *,vδ *は、回転座標変換部3とは逆の動作を行う逆回転座標変換部10により、固定座標への逆回転変換や2相3相変換などを行って三相交流の電圧指令vu,vv,vwとしてインバータ1に入力される。インバータ1では、三相電圧指令vu,vv,vwをPWM変調により電力増幅して略等価な電圧を出力する。
以上は位置センサがある場合もない場合も共通の制御ブロックである。
次に位置センサレス制御の部分について説明する。
電流微分検出部4は、零電圧ベクトル期間中のγーδ軸電流の変化量piγ,
piδを検出する。γーδ軸電流は三相電流検出iu,iv,iwから回転座標変換を行うことで得られるが、回転座標変換方法としては、アナログ乗算器やアナログの加減算器などにより信号変換を実現する連続信号による方法と、三相電流検出iu,iv,iwをアナログ/ディジタル変換器(A/D変換器)によってディジタル信号に変換した後に、CPUなどのディジタル変換器により信号変換部の演算を実行する離散信号による方法がある。
電流微分検出部4は、零電圧ベクトル期間中のγーδ軸電流の変化量piγ,
piδを検出する。γーδ軸電流は三相電流検出iu,iv,iwから回転座標変換を行うことで得られるが、回転座標変換方法としては、アナログ乗算器やアナログの加減算器などにより信号変換を実現する連続信号による方法と、三相電流検出iu,iv,iwをアナログ/ディジタル変換器(A/D変換器)によってディジタル信号に変換した後に、CPUなどのディジタル変換器により信号変換部の演算を実行する離散信号による方法がある。
本実施例では変化量である電流微分情報piγ,piδが検出されればよく、回転座標変換方法は何れの方法でもよいが、例えば、アナログ変換の場合には、回転座標変換後の信号にアナログ微分器を適用しておき、零電圧ベクトル期間における電流微分成分をサンプリングホールドすることで変化量piγ,piδが得られる。また、A/D変換器を利用した場合には、零電圧ベクトル期間中において多数の時刻で電流をサンプリングして信号変換部にて変換し、複数時刻の離散電流値から差分近似により微分成分を得ることができる。何れかの方法によって得られた電流信号iγ,iδと電流微分情報(変化量)piγ,piδを利用して位置センサレス制御が構成される。
ここで、基本的なPMモータの特性を表現する方程式を定義すると、実機のN極軸をd軸とする電気角で表した直交座標系(d−q座標)において、PMモータの電圧方程式は(1)式となる。
ただし、vd,vq:d,q軸電圧、id,iq:d,q軸電流、R:巻線抵抗、L:巻線インダクタンス、φd:磁石の発生磁束により固定子巻線に鎖交する磁束成分、ω:回転子角速度(電気角,ω=dθ/dt)、θ:回転子磁極位置(電気角)、p:微分演算子(d/dt)
本発明では非突極特性を有するPMモータを制御対象としているため、d軸とq軸のインダクタンス成分は等しいものとみなして共通の係数で表現している。
本発明では非突極特性を有するPMモータを制御対象としているため、d軸とq軸のインダクタンス成分は等しいものとみなして共通の係数で表現している。
次に、推定位相θ^を基準とするγーδ座標では、実位相θとの誤差位相(軸誤差)θe=θーθ^を考慮して(2)式で取り扱う。ここで、モータのインピーダンスや永久磁石による鎖交磁束などは真値が得られていると仮定し、(1)式と同じ変数を使用している。また、速度推定ω^と推定位相θ^には、ω^=θ^/dtの関係がある。
(2)式では軸誤差θe自体の時間変化は少ないものと仮定して、この軸誤差の微分項を無視している。また、(2)式では零電圧ベクトル期間におけるγーδ座標の電流微分情報piγ,piδは検出電流iγ,iδを推定位相θ^により逐次回転座標変換したものを微分したものである。
零電圧ベクトル期間中におけるインバータの出力電圧はvγ=0,vδ=0であるので、(2)式の左辺を零とおき、さらに永久磁石による鎖交磁束φdによる速度起電力eγ,eδを求める式に変形すると(3)式となる。
この零電圧ベクトル期間中の速度起電力eγ,eδを示す(3)式から磁極位置を推定している。(4)式は速度推定式に離散系の一次遅れを適用したものである。また、この一次遅れの帯域は(5)式のように、速度推定ω^=θ^/dtにより可変している。
ここで、α0は固定値、λ1,λ2は正のゲイン、z-1は前回のサンプリング値図1で示す回転速度推定部6は、(4),(5)式に基づいて推定速度ω^を算出し、積分器7を介して推定位相θ^を出力する。すなわち、誘起電圧演算部5では、(3)式により零電圧ベクトル期間におけるγーδ座標の電流信号iγ,iδと電流微分情報piγ,piδから零電圧ベクトル期間中の速度起電力eγ,eδを出力する。回転速度推定部6は、入力された速度起電力eγ,eδを用いて(4),(5)式の演算を実行し、推定速度ω^を出力する。積分器7では、推定速度ω^を時間積分して推定位相θ^を算出し、回転座標変換部3と逆回転座標変換部10に出力して回転座標の基準位相に利用する。
この実施例によれば、PWM変調を行うインバータで非突極特性を有するPMモータを駆動する場合に、零電圧ベクトル期間中のγーδ座標の電流信号iγ,iδと電流微分情報piγ,piδを用いて推定位相θ^を算出したものである。これにより、デットタイムの影響を排除した誘起電圧の推定が可能になり、より低速まで正常な位置センサレス制御が実現できるものである。
図2は第2の実施例を示したもので、図1で示す第1の実施例との相違点は、電流微分検出部11を固定座標系に設けて電流微分情報pi'γ,pi'δを得ていることである。
実施例1では、電流微分情報を正確に得るためには回転座標変換に使用する推定位相θ^も連続系の値でなくてはならない。そのため,三相電流信号をA/D変換してディジタル値に変換する場合,回転座標変換に使用する推定位相θ^も逐次更新する必要があり演算量が多くなる。この実施例2はその点を考慮したもので、固定座標系で電流微分情報pi'γ,pi'δを得るよう構成することによって推定位相θ^を逐次更新する必要がなくなり簡単な演算実行を可能としたものである。
実施例1では、電流微分情報を正確に得るためには回転座標変換に使用する推定位相θ^も連続系の値でなくてはならない。そのため,三相電流信号をA/D変換してディジタル値に変換する場合,回転座標変換に使用する推定位相θ^も逐次更新する必要があり演算量が多くなる。この実施例2はその点を考慮したもので、固定座標系で電流微分情報pi'γ,pi'δを得るよう構成することによって推定位相θ^を逐次更新する必要がなくなり簡単な演算実行を可能としたものである。
具体的には、零電圧ベクトル期間中の速度起電力eγ,eδを演算する時刻だけ、零電圧ベクトル期間における電流信号iγ,iδと電流微分情報pi'γ,pi'δをサンプリングすればよく、座標変換もこの零電圧ベクトル期間にだけ実行すればよい。これにより、演算を実行するCPUやディジタル回路での演算時間が短くなり、回路動作が遅くても適用可能であるという利点が得られる。
なお、図2では三相電流検出iu,iv,iwを直接微分するように表示しているが、この微分演算の構成方法としてはアナログ信号でもディジタル信号でも実現でき、要は最終的に零電圧ベクトル期間中の速度起電力eγ,eδを求めるために必要なγーδ座標の電流微分情報pi'γ,pi'δに相当する情報であればよい。例えば、先に3相2相変換して固定座標系の直交二軸(αβ座標)の電流信号iα,iβに変換してから微分演算を実行し、その後に回転座標変換を適用するように演算順序を入れ替えてもよい。
次に図2における電流微分情報pi'γ,pi'δを適用した場合における速度推定について説明する。
固定子巻線を基準とする固定座標系におけるPMモータの電圧方程式は(6)式となる。
固定子巻線を基準とする固定座標系におけるPMモータの電圧方程式は(6)式となる。
ここで、vα,vβ:α,β軸電圧、iα,iβ:α,β軸電流、R:巻線抵抗、
L:巻線インダクタンス、φd:磁石の鎖交磁束、ω:回転子角速度(電気角)、θ:回転子磁極位置、p:微分演算子
(1)式では回転座標系で取り扱っていたため,右辺第1項のインピーダンス行列内に電機子電流により発生した磁束によって、速度起電力に相当する項ω^Lが存在していたが、(6)式では固定座標系で取り扱っているためこの成分が存在してなく、これにより、演算式がより簡単となる。
L:巻線インダクタンス、φd:磁石の鎖交磁束、ω:回転子角速度(電気角)、θ:回転子磁極位置、p:微分演算子
(1)式では回転座標系で取り扱っていたため,右辺第1項のインピーダンス行列内に電機子電流により発生した磁束によって、速度起電力に相当する項ω^Lが存在していたが、(6)式では固定座標系で取り扱っているためこの成分が存在してなく、これにより、演算式がより簡単となる。
厳密に固定座標系における微分成分を角速度ωで回転する回転座標に変換する場合、ベクトル解析上ではαβ座標系に直交な速度ベクトルを定義して下記のような変換式を適用しなければならない。つまり回転座標変換に利用する位相変化も考慮した厳密な微分系では電機子反作用磁束の速度起電力項に注意が必要である。
pi(d,q)+ω×i(α,β)=pi(α,β)
しかし、図2の回転座標上の電流微分情報pi'γ,pi'δは、固定座標上において微分したものをある時刻の推定位相角θ^で回転座標変換したものであり、回転座標変換する時刻における位相の変化項までは含まれていない。
pi(d,q)+ω×i(α,β)=pi(α,β)
しかし、図2の回転座標上の電流微分情報pi'γ,pi'δは、固定座標上において微分したものをある時刻の推定位相角θ^で回転座標変換したものであり、回転座標変換する時刻における位相の変化項までは含まれていない。
上述の内容を離散系で計算する例を説明すると次のようになる。
離散系において、αβ軸電流の微分演算を差分で近似する場合には次式で計算できる。
離散系において、αβ軸電流の微分演算を差分で近似する場合には次式で計算できる。
ここで、t,t+△Tは同一の零電圧ベクトル期間において時間差△Tを有する2回の電流サンプリング時刻を示している。また、△iα,△iβは、この時間間隔の電流差分を示している。
電流差分△iα,△iβを利用して近似した微分成分を回転座標変換するには、時刻tと時刻t+△Tの中間時刻に相当する推定位相角θ^を計算し、これを用いて回転座標変換する。つまり、電流差分△iα,△iβにはω×i(α,β)の項が既に含まれているので,回転座標変換においては推定位相角θ^の変化量まで考慮しなくてもよい。
このように電流微分成分のpi'γ,pi'δの物理的な意味は (2)式とは異なっているので、代わりに(8)式で取り扱う必要がある。推定位相角θ^を基準とするγーδ座標では、実位相θとの誤差位相θe=θ−θ^を考慮して(8)式で取り扱う。
後は実施例1と同じであり、誤差位相θeの変化は小さいとしてこの微分項は無視する。
零電圧ベクトル期間中に(8)式の左辺を零とおき、誘起電圧式の計算式に変形すると(9)式となる。
零電圧ベクトル期間中に(8)式の左辺を零とおき、誘起電圧式の計算式に変形すると(9)式となる。
(9)式を用いて誘起電圧を推定し、実施例1と同様に回転速度及び磁極位置を推定するように構成したものが図2である。
固定座標情報を微分成分の物理的な意味を説明するときに離散系の例で説明したが、これはアナログ系で説明するよりも離散系の方が、位相変化が無いことを明確に示すことができるために利用したものであり、実施例1と同じように電流微分や回転座標変換を実現するには、アナログ演算回路でもディジタル回路でもどちらの利用でもよいことは勿論である。したがって,実施例2では電流微分演算を離散系に限定するものではない。
固定座標情報を微分成分の物理的な意味を説明するときに離散系の例で説明したが、これはアナログ系で説明するよりも離散系の方が、位相変化が無いことを明確に示すことができるために利用したものであり、実施例1と同じように電流微分や回転座標変換を実現するには、アナログ演算回路でもディジタル回路でもどちらの利用でもよいことは勿論である。したがって,実施例2では電流微分演算を離散系に限定するものではない。
この実施例2によれば、回転座標系で電流微分に相当する演算を行なったことで、回転座標変換は誘起電圧演算周期のみ実施すればよい。ただし、電流検出と電流微分という2倍の座標変換に増えるが,逐次回転座標を行なうよりも簡素化できるものである。
実施例1,2では、零電圧ベクトル期間における電流微分を利用して誘起電圧を算出している。これは、インバータに使用されるスイッチング素子が動作していない期間での電流変化を検出しているので、デッドタイムやスイッチング素子の動作遅れなどの影響を受けないという特徴がある。しかし、厳密にはスイッチング素子をIGBTやダイオードなどの半導体素子によりインバータを構成した場合には、各素子の電圧降下分が存在するため、零電圧ベクトル期間中においてもインバータ出力電圧は零にはならない。
この実施例はこの点を考慮して図3のように構成したものである。
通常,スイッチング素子の電圧降下成分は電流と関係があるので、三相各相の電流成分の検出値から半導体素子の電圧降下分を推定して補正するものである。
この実施例は、図1,図2で示す何れの実施例にも適用できるが、図3では図2に適用した場合を示している。
通常,スイッチング素子の電圧降下成分は電流と関係があるので、三相各相の電流成分の検出値から半導体素子の電圧降下分を推定して補正するものである。
この実施例は、図1,図2で示す何れの実施例にも適用できるが、図3では図2に適用した場合を示している。
図3において、12は電圧降下補正部で、三相電流検出iu,iv,iwを入力して各相の電流成分の検出値から半導体素子の電圧降下分の電圧補正量vceu(iu), vcev(iu), vcew(iu)をテーブルデータから求める。さらに、(10)式にて推定位相の回転座標系に変換して電圧補正量vceγ,vceδに変換する。
そして、誘起電圧演算部5では、(9)式にこの電圧補正量vceγ,vceδの補正を加えて(11)式に修正し、速度起電力eγ,eδを出力する。
なお、図1で示す実施例1に電圧成分の補正を行う場合には、誘起電圧演算部5は(3)式の代わりに(12)式の演算を実行して速度起電力eγ,eδを求める。
この実施例によれば、半導体スイッチング素子の電圧降下成分まで考慮して起電力推定を行うことにより、より低速まで正常に制御できるようになる。また、推定した速度・磁極位置の精度が向上し,素子の電圧降下に起因する推定速度、磁極位置の6fリプル成分も小さくすることができるものである。
実施例3では、半導体スイッチング素子の電圧降下成分を補正することにより、より低速までの安定した動作を可能にした。しかし、インバータの主回路素子の特性にバラツキが存在すると、電圧降下補正部12による正確なる電圧補正ができなくなる可能性がある。また、電圧補正量vceγ,vceδや巻線抵抗Rによる電圧降下成分を計算する電流成分についても、電流微分情報との時間的な整合が正確でないと電圧誤差の要因となる。
そこで、実施例4では統計処理による誤差の低減の仕方と、電流サンプリング時刻などを考慮して電圧誤差要因を減少するようにしたものである。
なお、この実施例は離散系に特定されるものである。
図4において、S0〜S7は電流のサンプリングタイミング、TSは電流のサンプリング周期である。
なお、この実施例は離散系に特定されるものである。
図4において、S0〜S7は電流のサンプリングタイミング、TSは電流のサンプリング周期である。
キャリア1周期にS0〜S7の8回の電流サンプリングが実行される場合を考える。低速である場合には電圧指令vu,vv,vwの振幅は小さく,三相インバータのスイッチング素子の動作は三角波キャリアの中間付近のS1からS3の期間、およびS5からS7の期間に集中している。そのため、S3とS5の間は三相ともON状態であり、また、S7からS9の間は三相ともOFF状態という2種類の零電圧ベクトル期間になっている。そこで、この2種類の零電圧ベクトル期間において、S3とS5,またはS7とS9のように2回の電流サンプリングおよびA/D変換を行う。
例えば、S3とS5のタイミングで検出した電流をI3,I5とすると,この時の電流の微分に相当する差分演算値△Iは(13)式となる。
この電流の微分演算は、実施例1では回転座標系に変換した後に差分演算し、実施例2では固定座標系において差分演算してから回転座標変換する。このように実施例4では,キャリアに同期した多点電流サンプリングを行っておき、必要に応じて三角波キャリアの頂点をはさむ2点のサンプリング間のデータを利用して電流の差分演算を行なう。また,電流制御やRの電圧降下成分を演算する電流値は、三角波キャリアの頂点S0とS4の時刻で検出したPWMキャリア同期電流サンプリング値を利用する。すなわち、電流検出およびその微分をPWMキャリアに同期した多点電流検出から必要な部分を選択して利用する。
さらに,通常の3相インバータは6個の逆導通ダイオードを内蔵したIGBTなどのスイッチング素子により3アームを構成しており、2種類の零電圧ベクトル期間ではインバータ内部のスイッチング素子を循環する電流路が異なり、スイッチング素子のバラツキによる電圧誤差が発生する。そこで、2種類を平均するために、(11)式や(12)式の計算に三角波キャリア波形の頂点部分と底部部分でサンプリングした電流の2回分の移動平均を用いる。これにより統計的に電圧誤差成分が抑制できる。
さらに,通常の3相インバータは6個の逆導通ダイオードを内蔵したIGBTなどのスイッチング素子により3アームを構成しており、2種類の零電圧ベクトル期間ではインバータ内部のスイッチング素子を循環する電流路が異なり、スイッチング素子のバラツキによる電圧誤差が発生する。そこで、2種類を平均するために、(11)式や(12)式の計算に三角波キャリア波形の頂点部分と底部部分でサンプリングした電流の2回分の移動平均を用いる。これにより統計的に電圧誤差成分が抑制できる。
また、電圧降下補正部12で求まった電圧降下成分やRの電圧降下成分に使用する電流の検出値を、三角波キャリア波形の頂点付近の場合には最大頂点S0,S3の時刻の電流サンプリング値を、底辺部分であれば最小頂点S4時刻の電流サンプリング値を利用すればよい。しかし,S4時刻の電流サンプリング値の代わりに、S3とS5の電流サンプリング値の平均値で、また、S8の電流サンプリング値の代わりにS7とS9の電流サンプリング値の平均値で代用することができる。
図5は、この実施例4を適用した場合のシミュレーション結果を示したものである。同図(a)は速度、(b)は二軸電流成分、(c)はトルク、(d)は実際の磁極位置と推定した磁極位置の差である。
図5は時刻t2で負荷トルクを変動させ、時刻t6で速度指令を変動させた場合を示したもので、通常は、起電力を用いて位置・速度推定を行う場合、定格の5〜10%程度の速度までしか精度良く推定することができないが、(d)図で示すように軸誤差θeは非常に少なくなっており、5%以下の速度時や正転から逆転への0%速度通過時でも精度よく推定できることが分る。
図5は時刻t2で負荷トルクを変動させ、時刻t6で速度指令を変動させた場合を示したもので、通常は、起電力を用いて位置・速度推定を行う場合、定格の5〜10%程度の速度までしか精度良く推定することができないが、(d)図で示すように軸誤差θeは非常に少なくなっており、5%以下の速度時や正転から逆転への0%速度通過時でも精度よく推定できることが分る。
したがって、この実施例によれば、
(1)電流の検出値としてキャリアの頂点とその頂点付近でサンプリングした電流を用いて微分するという時間的な整合をとる。
(2)または、電流微分を近似差分する頂点前後の2点の電流成分の平均キャリア頂点で同期電流サンプリングした電流値を代用にする。
これにより、電流微分成分と電圧補正量vceやRの電圧降下に使用する電流との時間的な整合がとれてノイズの影響を低減することが可能となるものである。
また、頂点部と底辺部の2種類の零電圧ベクトル期間の電流検出値の移動平均をとることにより半導体素子のバラツキを統計的に抑制することが可能となるものである。
(1)電流の検出値としてキャリアの頂点とその頂点付近でサンプリングした電流を用いて微分するという時間的な整合をとる。
(2)または、電流微分を近似差分する頂点前後の2点の電流成分の平均キャリア頂点で同期電流サンプリングした電流値を代用にする。
これにより、電流微分成分と電圧補正量vceやRの電圧降下に使用する電流との時間的な整合がとれてノイズの影響を低減することが可能となるものである。
また、頂点部と底辺部の2種類の零電圧ベクトル期間の電流検出値の移動平均をとることにより半導体素子のバラツキを統計的に抑制することが可能となるものである。
図3で示す第3実施例での電圧降下補正部12は、三相各相の電流成分の検出値に対応する電圧降下分はテーブルデータを利用して得ている。
実施例5でも、電圧降下補正部12においても電圧降下成分を計算するためにテーブルデータを使用しているが、このテーブルデータを各相ごとに個別に、且つ正負の電流極性毎にも個別に設定できるように構成したものである。これにより、半導体の特性バラツキがあっても、より正確に補正することができるようにしたものである。
実施例5でも、電圧降下補正部12においても電圧降下成分を計算するためにテーブルデータを使用しているが、このテーブルデータを各相ごとに個別に、且つ正負の電流極性毎にも個別に設定できるように構成したものである。これにより、半導体の特性バラツキがあっても、より正確に補正することができるようにしたものである。
したがって、この実施例によれば、スイッチング素子の特性バラツキを個別に補正したことにより、より正確な電圧降下成分の補正が可能になるものである。
以上のとおり、本発明によれば、零電圧ベクトル期間中のγーδ座標の電流信号iγ,iδと電流微分情報piγ,piδを用いて推定位相θ^を算出したものである。これにより、デットタイムの影響を排除した誘起電圧の推定が可能になり、より低速まで正常な位置センサレス制御が実現できるなどの効果を奏するものである。
Claims (13)
- 速度指令と推定速度から電流指令を生成し、この電流指令と回転座標変換部を通して検出されたγーδ座標の電流検出値から電圧指令を生成し、逆回転座標変換部およびPWM変調パターンにより制御されるインバータを介してPMモータを制御するものにおいて、
零電圧ベクトル期間中のγーδ座標での前記電流検出値iγ,iδと電流微分情報piγ,piδを入力して速度起電力eγ,eδを演算する誘起電圧演算部と、誘起電圧演算部により演算された速度起電力eγ,eδを用いて推定速度ω^を求める回転速度推定部と、推定速度を時間積分して推定位相θ^を算出し、この推定位相を前記回転座標変換部と逆回転座標変換部に出力して回転座標の基準位相に利用することを特徴としたPMモータの位置センサレス制御装置。 - 前記電流微分検出部を回転座標変換部の検出電流入力側に設け、前記PWM変調パターンの零電圧ベクトル期間中に発生する三相電流検出とその電流微分量を回転座標変換器に入力し、
前記誘起電圧演算部は、回転座標変換部により回転座標変換した前記電流検出値iγ,iδと電流微分情報piγ’,piδ’を入力して速度起電力eγ,eδを算出することを特徴とした請求項1記載のPMモータの位置センサレス制御装置。 - 前記電流微分情報piγ’,piδ’は、回転座標変換部によって固定座標の直交二軸α,βの電流成分iα,iβに変換後、微分演算を実行して得ることを特徴とする請求項4又は5記載のPMモータの位置センサレス制御装置。
- 前記回転座標変換部の入力側にスイッチング素子の電圧降下を補正する電圧降下補正部を設け、前記PWM変調パターンの零電圧ベクトル期間中に発生する三相電流検出と電圧降下補正部からの電圧降下補正量を回転座標変換部に入力し、
前記誘起電圧演算部に、前記電流検出値と電流微分情報、及び電圧降下補正量を入力して速度起電力を演算することを特徴とした請求項1又は4記載のPMモータの位置センサレス制御装置。 - 前記電流微分情報は、回転座標系又は固定座標系の何れか一方の座標系に基づいたものであることを特徴とした請求項1又は4又は7記載の何れかであるPMモータの位置センサレス制御装置。
- 前記電流微分情報は、零電圧ベクトル期間におけるキャリア頂点前後2点の電流サンプリング値の差分演算値として前記回転座標変換部に入力することを特徴とした請求項7乃至10記載の何れかであるPMモータの位置センサレス制御装置。
- 前記電流微分情報は、零電圧ベクトル期間におけるキャリア頂点と底辺間の電流サンプリング値の移動平均値を微分した値を前記回転座標変換部に入力することを特徴とした請求項7乃至10記載の何れかであるPMモータの位置センサレス制御装置。
- 前記電圧降下補正部における電圧降下補正量は、三相検出電流値に対応したテーブルデータを用いて求め、テーブルデータは三相の各相毎個別に、且つ正負の電流極性毎に個別に設定されたことを特徴とした請求項7乃至12記載の何れかであるPMモータの位置センサレス制御装置。
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