以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
≪第1実施形態≫
<検査システム100の全体構成及び各部の構成>
図1は、本技術の第1実施形態に係る検査システム100を示す上面図である。図1に示すように、本技術に係る検査システム100は、異音検査装置10と、シール貼付装置40と、第1の外観検査装置50Aと、第1の搬送装置80と、第2の外観検査装置50Bと、第2の搬送装置90とを備えている。この検査システム100は、例えば、ワーク1の生産ラインにおいて、最下流の付近に配置され、ワーク1の最終的な検査を行う。
なお、本明細書中の説明において、2台の外観検査装置50A、50Bの総称を単に外観検査装置50と呼び、2台の外観検査装置50A、50Bを区別する場合に、第1の外観検査装置50A、第2の外観検査装置50Bと呼ぶ。
図1においては、ワーク1の搬送ルートが破線の矢印によって示されている。本実施形態において、検査の対象とされるワーク1として、据え置き型のゲーム機が想定されている。このワーク1は、厚さ方向に薄い、略直方体形状を有する筐体2を備えている。
図6は、ワーク1における筐体2の展開図である。この筐体2は、正面3と、背面4と、4つの側面5との合計で6つの面を有している。筐体2の内部には、ゲーム機に必要な各種の電子部品が内蔵される。
なお、本明細書中の説明において、単に側面5と呼んだ場合には、4つの側面のうちいずれかの側面を指し、4つの側面5を特に区別する場合には、それぞれ、第1の側面5a、第2の側面5b、第3の側面5c、第4の側面5dと呼ぶ。
ここで、検査システム100における理解を容易にするために、ワーク1が検査システム100によってどのように検査されるかについての全体的な流れについて簡単に説明する(図1の破線の矢印参照)。
まず、ワーク1は、異音検査装置10によって、上流側に配置された他の装置(不図示)からシール貼付装置40へと搬送され、シール貼付装置40によりシールが貼付される。シールの貼付が完了すると、ワーク1は、異音検査装置10によって、第1のシール貼付装置40から第1の外観検査装置50Aへと搬送される。
なお、後述のように、異音検査装置10は、ワーク1の搬送中にワーク1の異音を検査する機能を備えており、ワーク1は、異音検査装置10における搬送中に異音が検査される。
ワーク1は、第1の外観検査装置50Aにより、ワーク1における6つの面のうち3つの面が検査される。この検査が完了すると、ワーク1は、第1の搬送装置80によって、第1の外観検査装置50Aから第2の外観検査装置50Bへと搬送される。
このワーク1は、第2の外観検査装置50Bにより、ワーク1における6つの面のうち、残りの3つの面が検査される。この検査が終了すると、ワーク1は、第2の搬送装置90によって、第2の外観検査装置50Bから、下流側に配置された他の装置(例えば、梱包装置、収納装置等)へと搬送される。
なお、第2の外見検査装置50Bによりワークが検査されているとき、第1の外観検査装置50Aにより、次のワーク1の外観検査が行われる。また、このとき、異音検査装置10、シール貼付装置40により、さらにその次のワーク1の異音検査、シール貼付処理が行われる。
[異音検査装置10]
図2は、異音検査装置10及びシール貼付装置40を示す斜視図である。図2に示すように、異音検査装置10は、基台11と、基台11上に設けられたロボットアーム部12とを備えている。ロボットアーム部12は、多関節構造のアーム部21と、アーム部21の先端に設けられたハンド部31(保持部)とを有している。
アーム部21は、基台11上においてZ軸回りに旋回可能に取り付けられた基部22と、基部22に対して屈曲可能に取り付けられた上腕部23とを有している。また、アーム部21は、上腕部23に対して屈曲可能に取り付けられた前腕部24と、前腕部24に対して屈曲可能に取り付けられたリスト部25とを有している。ハンド部31は、リスト部25に対して回転可能(リスト部25の長手方向を軸方向としてこの軸回りの回転)に取り付けられている。
アーム部21は、基部22の旋回動作、上腕部23の屈曲動作、前腕部24の屈曲動作、リスト部25の屈曲動作、ハンド部31の回転動作により、ハンド部31(及びハンド部31に保持されたワーク1)を3次元空間上で自由に移動させることが可能とされている。また、アーム部21は、上記各動作により、ハンド部31(及びハンド部31に保持されたワーク1)の姿勢を任意の姿勢に変更することも可能とされている。
なお、アーム部21は、少なくとも、ハンド部31の移動(つまり、ハンド部31に保持されたワーク1の搬送)を自由に制御することができる構造であれば、どのような構造であっても構わない(例えば、上腕部23を省略することもできる)。
図3は、ハンド部31を示す拡大図である。図2及び図3を参照して、ハンド部31は、リスト部25に対して回転可能に取り付けられたハンド部本体32と、ハンド部本体32に設けられた第1のチャック機構33及び第2のチャック機構34とを有している。また、ハンド部31には、ワーク1の音を検出する音検出部35が設けられている。
第1のチャック機構33及び第2のチャック機構34は、互いに直交するように、ハンド部本体32に設けられている。第1のチャック機構33は、ワーク1の4つの側面5のうち、対向する2つの側面5を両側から挟みこむことが可能とされている。一方、第2のチャック機構34は、ワーク1の4つの側面5のうち、対向する他の2つの側面5を両側から挟みこむことが可能とされている。
ハンド部31は、この第1のチャック機構33及び第2のチャック機構34により、ワーク1の保持及び離脱が可能とされている。
なお、ハンド部31は、ワーク1の保持及び離脱が可能な構成であれば、チャック機構33、34に限られず、どのような構成であっても構わない(例えば、吸引によりワーク1を保持する形態であってもよい)。
アーム部21及びハンド部31は、それぞれ、モータ等の各種の駆動系を有しており、この駆動系が制御部13(図4参照)によって制御されることで、アーム部21及びハンド部31の動きが制御される。
音検出部35は、ワーク1の移動(搬送)や、姿勢の変化(回転を含む)等に応じて、ワーク1から発生する音を検出する。音検出部35は、ワーク1において発生する音を電気信号に変換(検出)し、この信号を増幅して、制御部13(図4参照)へ出力することが可能とされている。
ここで、例えば、異物がワーク1の内部に混入した状態で、ワーク1が移動(搬送)されたり、ワーク1の姿勢が変化されたりすると、異物がワーク1内で移動して、異音が発生する場合がある。なお、異物とは、例えば、ワーク1内において内部の電子部品から外れてしまった螺子や、電子部品の一部が破損して発生した破片、ワーク1内に外部から混入してしまったごみなどである。
また、例えば、ワーク1内部において、ケーブルの先のコネクタが外れた状態で、ワーク1が移動(搬送)されたり、ワーク1の姿勢が変化されたりすると、ケーブルやコネクタがワーク1内で移動して、異音が発生する場合がある。
本実施形態に係る異音検査装置10では、上記したような各種の状況で発生する異音が音検出部35によって検出される。なお、本実施形態において、異音とは、正常なワーク1がロボットアーム部12により移動(搬送)、姿勢変化されても発生しない音であるが、異常なワーク1(異物混入、コネクタ外れ等)がロボットアーム部12により移動(搬送)、姿勢変化されると発生する音を意味する。
本実施形態において、音検出部35は、AE(Acoustic Emission)センサにより構成されており、ハンド部31によりワーク1が保持されている状態でワーク1に接触するように配置される。AEセンサは、圧電素子(例えば、PZT)を有しており、この圧電素子により、ワーク1の筐体2を伝搬するAE弾性波を電気信号へと変換する。
音検出部35は、ワーク1においてどの位置で異音が発生しても適切にその異音を検知することができるように、ハンド部31により保持されたワーク1の中央に近い位置に配置される。一方、ワーク1において異音が発生しやすい領域が予めわかっている場合(例えば、螺子、コネクタ等が密集している等の理由)には、その領域に対応する位置に音検出部35が配置されてもよい。
図4は、異音検査装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、異音検査装置10は、上記したロボットアーム部12、音検出部35の他に、制御部13と、記憶部14と、通信部15とを備えている。
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)等により構成される。制御部13は、記憶部14に記憶された各種のプログラムに基づき種々の演算を実行し、異音検査装置10の各部を統括的に制御する。
典型的には、この制御部13は、アーム部21により、ワーク1を保持した状態のハンド部31を移動させてワーク1を搬送し、音検出部35により、ワーク1が搬送されているときにワーク1の音を検出させる。そして、制御部13は、検出された音信号に基づいて、ワーク1から発生する異音を検査する。なお、制御部13の処理についての詳細は、後述する。
記憶部14は、制御部13の処理に必要な各種のプログラムや、各種のデータが記憶される不揮発性のメモリと、制御部13の作業領域として用いられる揮発性のメモリとを含む。上記プログラムは、半導体メモリ、光ディスクなどの可搬性の記録媒体から読み取られてもよいし、ネットワーク上のサーバ装置からダウンロードされてもよい。
通信部15は、有線又は無線により生産ライン内における他の装置との間で通信を行う。
[シール貼付装置40]
図2を参照して、シール貼付装置40は、基台41と、基台41上に設けられたロボットアーム部42とを備えている。ロボットアーム部42は、多関節構造のアーム部43と、アーム部43の先端に設けられた作業用ハンド部44とを有している。
なお、シール貼付装置40のロボットアーム部42と、異音検査装置10のロボットアーム部12とでは、アーム部43、21の構成は、基本的に同様の構成であり、アーム部43、21の先端に設けられるハンド部44、31の構成が異なっている。なお、これについては、第1の外観検査装置50A、第1の搬送装置80、第2の外観検査装置50B、第2の搬送装置90におけるロボットアーム部についても同様である。
アーム部43は、基台41上においてZ軸回りに旋回可能に取り付けられた基部45と、基部45に対して屈曲可能に取り付けられた上腕部46とを有している。また、アーム部43は、上腕部46に対して屈曲可能に取り付けられた前腕部47と、前腕部47に対して屈曲可能に取り付けられたリスト部48とを有している。作業用ハンド部44は、リスト部25に対して回転可能(リスト部25の長手方向を軸方向としてこの軸回りの回転)に取り付けられている。
作業用ハンド部44は、シール収納部(不図示)からシールを取り出すことが可能とされており、異音検査装置10のハンド部31にワーク1が保持された状態において、ワーク1の側面5に対して上側からシールを貼付することが可能とされている。
なお、図示は省略するが、シール貼付装置40は、シール貼付装置40の各部を統括的に制御する制御部、制御部の処理に必要な各種のプログラムやデータが記憶される記憶部、他の装置との間で通信を行う通信部等を有している。
[外観検査装置50]
図5は、外観検査装置50(第1の外観検査装置50A又は第2の外観検査装置50B)を示す斜視図である。第1の外観検査装置50A及び第2の外観検査装置50Bは、協同で、分担してワーク1の外観を検査する。第1の外観検査装置50A及び第2の外観検査装置50Bは、基本的に同様の構成である。
第1の外観検査装置50Aは、ワーク1における筐体2の6つの面のうち、正面3と、第1の側面5aと、第2の側面5bとの合計で3つの面(これらの3つの面は互いに隣接している)の外観検査を担当する。一方、第2の外観検査装置50Bは、残りの3つの面、つまり、背面4と、第3の側面5cと、第4の側面5dとの合計で3つの面(これらの面は、互いに隣接する)の外観の検査を担当する。
第1の外観検査装置50Aでは、正面3が上側にされて検査が行われ、第2の外観検査装置50Bでは、背面4が上側にされて検査が行われる。第1の外観検査装置50A、第2の外観検査装置50Bは、ワーク1の各面において、例えば、傷(かすり傷、打痕)やテープ痕などの外観上の異常がないかどうかを検査する。
なお、外観検査装置50によって検査される外観上の異常は、傷やテープ痕に限られない。典型的には、外観上の異常は、正常なワーク1にはない外観上の異常であればどのような異常であってもよい。
外観検査装置50は、基台51と、ワーク1の載置台52と、第1のロボットアーム部60及び第2のロボットアーム部70とを備えている。
第1の外観検査装置50Aにおける第1のロボットアーム部60は、正面3の走査と、第2の側面5bにおける走査の一部とを担当する。一方、第1の外観検査装置50Aにおける第2のロボットアーム部70は、第1の側面5aの走査と、第2の側面5bにおける走査の一部とを担当する。
また、第2の外観検査装置50Bにおける第1のロボットアーム部60は、背面4の走査と、第4の側面5dにおける走査の一部とを担当する。一方、第2の外観検査装置50Bにおける第2のロボットアーム部70は、第3の側面5cの走査と、第4の側面5dにおける走査の一部と担当する。
第1のロボットアーム部60と、第2のロボットアーム部70とは、基本的に同様の構成である。
第1のロボットアーム部60は、多関節構造の第1のアーム部61と、第1のアーム部61の先端に設けられた第1の走査部62とを有している。同様に、第2のロボットアーム部70は、多関節構造の第2のアーム部71と、第2のアーム部71の先端に設けられた第2の走査部72とを有している。
第1のアーム部61(第2のアーム部71)は、基台51上においてZ軸回りに旋回可能に取り付けられた基部63(基部73)と、基部63(基部73)に対して屈曲可能に取り付けられた上腕部64(上腕部74)とを有している。
また、第1のアーム部61(第2のアーム部71)は、上腕部64(上腕部74)に対して屈曲可能に取り付けられた前腕部65(前腕部75)と、前腕部65(前腕部75)に対して屈曲可能に取り付けられたリスト部66(リスト部76)とを有している。第1走査部(第2の走査部72)は、リスト部66(リスト部76)に対して回転可能(リスト部の長手方向を軸方向としてこの軸回りの回転)に取り付けられている。
第1のアーム部61(第2のアーム部71)は、基部63(基部73)の旋回動作、上腕部64(上腕部74)の屈曲動作、前腕部65(前腕部75)の屈曲動作、リスト部66(リスト部76)の屈曲動作、第1の走査部62(第2の走査部72)の回転動作により、第1の走査部62(第2の走査部72)を3次元空間上で自由に移動させることが可能とされている。また、第1のアーム部61(第2のアーム部71)は、上記各動作により、第1の走査部62(第2の走査部72)の姿勢を、任意の姿勢に変更することが可能とされている。
なお、第1のアーム部61(第2のアーム部71)は、少なくとも、第1の走査部62(第2の走査部72)の移動を自由に制御することができる構造であれば、どのような構造であっても構わない(例えば、上腕部を省略することもできる)。
第1の走査部62は、リスト部66に対して回転可能に取り付けられた支持部材69と、支持部材69に固定された第1のラインカメラ67と、支持部材69に固定された第1の発光部68とを有している。同様に、第2の走査部72は、リスト部76に対して回転可能に取り付けられた支持部材79と、支持部材79に固定された第2のラインカメラ77と、支持部材79に固定された第2の発光部78とを有している。
第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)は、一方向に沿って並べられた複数の撮像素子と、結像レンズ等の各種の光学レンズとを含む。第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)は、第1のアーム部61(第2のアーム部71)により、上記一方向(撮像素子が並べられた方向)に直交する方向に移動されながら、ワーク1の筐体2における特定の面を撮像して画像を取得し、この画像を制御部53(図9参照)へと出力する。
第1の発光部68(第2の発光部78)は、上記一方向(ラインカメラにおいて撮像素子が並べられた方向)に長い形状を有している。第1の発光部68(第2の発光部78)は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、白色電球などの各種の発光体により構成される。この第1の発光部68(第2の発光部78)は、第1のアーム部61(第2のアーム部71)により、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)と共に一体的に移動されながら、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)が撮像を行う箇所に対して光を照射する。
第1の走査部62(第2の走査部72)は、ワーク1における特定の面上で走査方向に移動されるとき、その特定の面に対して一定の距離を保った状態で、その特定の面と平行に移動される。
第1の走査部62(第2の走査部72)は、第1のアーム部61(第2のアーム部71)により走査方向が調整される。また、第1の走査部62(第2の走査部72)は、第1のアーム部61(第2のアーム部71)により、ワーク1の筐体2における特定の面に対する第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度、及び第1の発光部68(第2の発光部78)による光の照射角度が調整される。
図7及び図8は、ラインカメラの撮像角度及び発光部の光の照射角度を示す図である。
図7に示す例では、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度が90°に設定され、第1の発光部68(第2の発光部78)の光の照射角度が30°に設定された場合の一例が示されている。一方、図8に示す例では、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度が60°に設定され、第1の発光部68(第2の発光部78)の光の照射角度が60°に設定された場合の一例が示されている。
本実施形態では、最初に、図7に示すように、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度が90°に設定され、第1の発光部68(第2の発光部78)の照射角度が30°に設定されて、第1の走査部62(第2の走査部72)により特定の面が走査される。その後、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度が60°に設定され、第1の発光部68(第2の発光部78)の照射角度が60°に設定されて第1の走査部62(第2の走査部72)により特定の面が走査される。つまり、本実施形態では、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度及び第1の発光部68(第2の発光部78)の照射角度が変えられて、ワーク1の同じ領域が走査される。
なお、図7及び図8に示すように、本実施形態では、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)と、第1の発光部68(第2の発光部78)とは、一体的に特定の面に対する角度が変化される。一方、第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)と、第1の発光部68(第2の発光部78)とは、個別に、特定の面に対する角度が調整可能であってもよい。
以降の説明では、1回目の走査が行われるときの第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度を第1の撮像角度(本実施形態では90°)と呼び、2回目の走査が行われるときの第1のラインカメラ67(第2のラインカメラ77)の撮像角度を第2の撮像角度(本実施形態では60°)と呼ぶ。
同様に、1回目の走査が行われるときの第1の発光部68(第2の発光部78)の照射角度を第1の照射角度(本実施形態では30°)と呼び、2回目の走査が行われるときの第1の発光部68(第2の発光部78)の照射角度を第2の照射角度(本実施形態では60°)と呼ぶ。
なお、第1の撮像角度、第2の撮像角度、第1の照射角度、第2の照射角度における各値については、適宜変更可能である。典型的には、これらの各値については、ワーク1における筐体2の材質、外観検査において検出すべき異常の種類(例えば、傷、テープ痕等)等に応じて、適宜設定される。
図9は、外観検査装置50(第1の外観検査装置50A、又は第2の外観検査装置50B)の電気的な構成を示すブロック図である。図9に示すように、外観検査装置50は、上記した第1のロボットアーム部60、第2のロボットアーム部70の他に、制御部53と、記憶部54と、通信部55とを備えている。
制御部53は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、記憶部54に記憶された各種のプログラムに基づき種々の演算を実行し、外観検査装置50の各部を統括的に制御する。
この制御部13は、外観検査装置50において、第1のアーム部61により、ワーク1の特定の面上で第1の走査部62を走査方向に移動させながら、第1のラインカメラ67により、ワーク1の特定の面を撮像させて、第1の走査部62にワーク1の特定の面を走査させる。
また、制御部13は、ワーク1の特定の面が第1の走査部62により走査されているときに、第2のアーム部71により、ワーク1の他の特定の面上で第2の走査部72を走査方向に移動させながら、第2のラインカメラ77により、ワーク1の他の特定の面を撮像させて、第2の走査部72に他の特定の面を走査させる。なお、制御部53の処理についての詳細は、後述する。
図9に示す例では、第1のロボットアーム部60及び第2のロボットアーム部70が1つの制御部53により制御される例が示されているが、第1のロボットアーム部60及び第2のロボットアーム部70が、それぞれ別々の制御部によって制御されてもよい
記憶部54は、制御部53の処理に必要な各種のプログラムや、各種のデータが記憶される不揮発性のメモリと、制御部53の作業領域として用いられる揮発性のメモリとを含む。上記プログラムは、半導体メモリ、光ディスクなどの可搬性の記録媒体から読み取られてもよいし、ネットワーク上のサーバ装置からダウンロードされてもよい。
通信部55は、有線又は無線により生産ライン内における他の装置との間で通信を行う。
[第1の搬送装置80]
図1に示すように、第1の搬送装置80は、基台81と、基台81上に設けられたロボットアーム部82とを備えている。ロボットアーム部82は、多関節構造のアーム部83と、アーム部83の先端に設けられたハンド部84とを有している。
アーム部83の構成については、異音検査装置10、外観検査装置50におけるロボットアーム部におけるアーム部21、61、71の構成と同様である。ハンド部84は、ワーク1の4つの側面5のうち、対向する2つの側面5を両側から挟みこむことが可能なチャック機構を備えている。
第1の搬送装置80のロボットアーム部82は、第1の外観検査装置50Aの載置台52に載置されているワーク1を保持して、ワーク1の上下方向を反転させながらワーク1を搬送し、第2の外観検査装置50Bの載置台52に載置させる。
なお、図示は省略するが、第1の搬送装置80は、第1の搬送装置80を統括的に制御する制御部と、制御部の処理に必要な各種のプログラム、データ等が記憶される記憶部と、生産ライン内における他の装置と通信を行う通信部とを備えている。
[第2の搬送装置90]
図1に示すように、第2の搬送装置90は、基台91と、基台91上に設けられたロボットアーム部92とを備えている。ロボットアーム部92は、多関節構造のアーム部93と、アーム部93の先端に設けられたハンド部94とを有している。
第2の搬送装置90における機械的構成、及び電気的構成については、音検出部35が設けられていない点を除いて、異音検査装置10と同様である。
第2の搬送装置90のロボットアーム部92は、第2の外観検査装置50Bの載置台52に載置されているワーク1を保持し、下流側に設けられた他の装置(梱包装置、収納装置)へと搬送して、ワーク1を次の工程へと進める。
なお、第2の搬送装置90には、異音検査装置10、第1の外観検査装置50A、第2の外観装置から、搬送すべきワーク1の良、不良が通知される。
第2の搬送装置90のロボットアーム部92は、これらの3つの全ての装置10、50A、50Bにおいて良品と判定されたワーク1を次の工程へ進める。一方、3つの装置10、50A、50Bのうち少なくとも1つの装置において不良品と判定されたワーク1については、ワーク1を次の工程へと進めずに、ワーク1を不良品収納用の収納棚(不図示)へと搬送する。
なお、不良品と判定されたワーク1は、不良の原因毎に、上記収納棚において異なる領域に配置されてもよい。
<動作説明>
次に、検査システム100における処理について説明する。
[異音検査装置10の処理]
ここでの説明では、まず、異音検査装置10の処理について説明する。図10は、異音検査装置10の制御部13における処理を示すフローチャートである。
まず、異音検査装置10の制御部13は、ロボットアーム部12のアーム部21を制御して、ハンド部31をワーク1の保持位置まで移動させる(ステップ101)。そして、制御部13は、ハンド部31によりワーク1を保持させる(ステップ102)。ワーク1がハンド部31により保持されると、図3に示すように、音検出部35がワーク1の中央付近に接触する。
次に、制御部13は、音検出部35から音信号を取得する処理を開始する(ステップ103)。そして、制御部13は、検出された音信号に基づくワーク1の異音検査を開始する(ステップ104)。なお、この異音検査についての詳細は、後述する。
次に、制御部13は、アーム部21を時計回りに旋回させて、ワーク1を保持した状態のハンド部31を時計回りに旋回(第1の方向へ移動)させ、ワーク1をシール貼付装置40における処理位置へと搬送する(ステップ105)。
なお、アーム部21を旋回させてワーク1を搬送しているとき、制御部13は、アーム部21における各部の屈曲動作及びハンド部31におけるアーム部21に対する回転動作により、ワーク1の姿勢を、シールを貼付するための任意の姿勢に変更する。なお、このときのワーク1の姿勢は、ワーク1の特定の側面5が上方を向く、ワーク1が立てられた姿勢とされる(図2参照)。
制御部13は、ワーク1をシール貼付装置40における処理位置まで搬送させると、ロボットアーム部12の動きを停止させ、ハンド部31によりワーク1を保持した状態で待機させる(ステップ106)。この状態で、シール貼付装置40により、ワーク1における上側の側面5に対して、シールが貼付される。
次に、制御部13は、シール貼付装置40における処理が完了したかどうかを判定する(ステップ107)。なお、シール貼付装置40における処理が完了した場合、シール貼付装置40からその完了を示す信号が送信され、この信号が異音検査装置10によって受信される。
シール貼付装置40における処理が完了した場合(ステップ107のYES)、制御部13は、ステップ108へ進む。ステップ108では、制御部13は、アーム部21を反時計回りに旋回させて、ワーク1を保持した状態のハンド部31を反時計回りに旋回(第2の方向へ移動)させ、ワーク1を、シール貼付装置40から第1の外観検査装置50Aへと搬送する。そして、制御部13は、ハンド部31からワーク1を離脱させ、第1の外観検査装置50Aの載置台52上に、ワーク1を載置する。
なお、アーム部21を反時計回りに旋回させてワーク1を搬送しているとき、制御部13は、アーム部21における各部の屈曲動作及びハンド部31におけるアーム部21に対する回転動作により、ワーク1の姿勢を、載置台52上にワーク1を載置するための任意の姿勢に変更する。なお、このときのワーク1の姿勢は、ワーク1の正面3が上方を向く姿勢とされる。
ワーク1が載置台52上に載置されてワーク1がハンド部31から離脱されると、音検出部35がワーク1から離れ、このとき、制御部13は、音検出部35から音信号を取得する処理を終了する(ステップ109)。そして、制御部13は、音信号に基づくワーク1の異音検査を終了する(ステップ110)。
次に、制御部13は、異音検査において、異音が検出されたかどうかを判定する(ステップ111)。異音が検出されなかった場合(ステップ111のNO)、制御部13は、そのワーク1の識別情報と共に、そのワーク1が良品であることを示す情報を、第2の搬送装置90へと送信する(ステップ112)。一方、異音が検出された場合(ステップ111のYES)、制御部13は、そのワーク1の識別情報と共に、そのワーク1が不良品であることを示す情報を、第2の搬送装置90へと送信する(ステップ113)。
異音検査において不良品と判定されたワーク1は、第1の外観検査装置50A及び第2の外観検査装置50Bにおける外観検査の後に、第2の搬送装置90によって、不良品収納用の収納棚に収納され、これにより、不良品が良品と分別される。
なお、本実施形態では、異音検査において良、不良の判定が行われたワーク1が、第2の搬送装置90によって分別されているが、この分別は、異音検査装置10におけるロボットアーム部12自体により行われてもよい。この場合、異音検査装置10におけるロボットアーム部12の稼働領域内に、不良品収納用の収納棚が設置される。
(異音検査手法)
次に、音信号に基づく異音検査の方法について具体的に説明する。上述のように、異物がワーク1内に混入した状態、ワーク1内部においてコネクタが外れた状態等の各種の状況において、ワーク1が移動(搬送)されたり、ワーク1の姿勢が変化されたりすると、異音が発生する場合がある。
一方で、正常なワーク1の場合、ワーク1が移動(搬送)されたり、ワーク1の姿勢が変化されたりしても、このような異音は発生しない。従って、典型的には、検査対象としてのワーク1における音信号の波形が、正常なワーク1における音信号の波形と比較されることで、異音の検査が行われる。
ここで、異常なワーク1における音信号の波形では、正常なワーク1の音信号の波形と比べて、異音を示す特定の周波数帯における音の大きさが大きくなる。例えば、螺子が混入したワーク1の場合、音信号によって示される値が、1.5kHz、3kHz、6kHz、12kHz、24kHzの周波数において大きくなるといった実験結果が得られた。
つまり、螺子が混入したワーク1では、ワーク1の移動(搬送)や姿勢変化に応じて、螺子がワーク1の内壁や他の部材に衝突し、このときに、1.5kHz、3kHz、6kHz、12kHz、24kHzの周波数の異音が発生する。なお、異音としての特定の周波数帯の音は、ワーク1の移動(搬送)速度、ワーク1の姿勢変化の速度、ワーク1の筐体2における材質、ワーク1内部の構造、ワーク1に混入する異物の種類等に応じて異なる。
異音の周波数帯が予めわかっている場合、音検出部35により検出された全体の音信号から、異音に対応する特定の周波数帯における音信号が抽出され(例えば、FFT(Fast
Fourier transform))てもよい。そして、この特定の周波数帯における音信号に基づいて、異音が発生したかどうかが判定されてもよい。また、この場合、この特定の周波数帯における音信号が積分され、積分値に基づいて、異音が発生したかどうかが判定されてもよい。
例えば、1.5kHz、3kHz、6kHz、12kHz、24kHzの周波数の異音が発生する場合、音検出部35によって検出された音信号から、1kHz〜30kHzの周波数帯における音信号が抽出される。そして、この1kHz〜30kHzの周波数帯における音信号に基づいて、異音が発生したかどうかが判定されてもよい。また、この場合、例えば、1kHz〜30kHzの周波数帯における音信号が積分され、この積分値が閾値を超えるかどうかに基づいて異音が発生したかどうかが判定されてもよい。
(ワーク1における時計回り、反時計回りの搬送等)
上述のように、シール貼付装置40へとワーク1が搬送されるとき、ワーク1は、時計回りに旋回されて搬送される。一方、シール貼付装置40から第1の外観検査装置50Aへとワーク1が搬送されるとき、ワーク1は、反時計回りに旋回されて搬送される。
ここで、ワーク1が時計回りに搬送されたとしても異音が発生しないが、ワーク1が反時計回りに搬送されると異音が発生する場合がある。逆に、ワーク1が反時計回りに搬送されたとしても異音が発生しないが、ワーク1が時計回りに搬送されると異音が発生する場合がある。
例えば、異物が混入しているワーク1の場合、異物のワーク1内部の位置によっては、時計回りの搬送及び反時計回りの搬送のうち、一方でしか異物がワーク1内で移動しない場合があり、一方でしか異音が発生しない場合がある。
一方、本実施形態においては、ワーク1が時計回り及び反時計回りの両方の方向に搬送されるので、異音を適切に検出することができる。
また、上述のように、シール貼付装置40へとワーク1が搬送されるとき、並びに、シール貼付装置40から第1の外観検査装置50Aへとワーク1が搬送されるとき、ワーク1の姿勢が変化される。
ここで、ワーク1が単純に搬送されたとしても異音が発生しないが、ワーク1の姿勢が変化されると、異音が発生する場合がある。例えば、異物が混入しているワーク1の場合、異物のワーク1内部の位置によっては、ワーク1の姿勢が変化されることで、初めて異物が筐体1内部で移動し、初めて異音が発生する場合がある。
従って、本実施形態のように、ワーク1の搬送時においてワーク1の姿勢を変化させることで、さらに適切に異音を検出することができる。
[外観検査装置50の処理]
次に、第1の外観検査装置50A及び第2の外観検査装置50Bの処理について説明する。なお、第1の外観検査装置50Aの処理及び第2の外観検査装置50Bの処理については、検査する面が異なる点を除いて、基本的に同様の処理である。
従って、以降では、特に明示した場合を除き、第1の外観検査装置50Aの処理について代表的に説明する。なお、第2の外観検査装置50Bの処理については、正面3を背面4と読み替え、第1の側面5aを第3の側面5cと読み替え、第2の側面5bを第4の側面5dと読み替えればよい。
図11は、外観検査装置50の制御部53における処理を示すフローチャートである。まず、第1の外観検査装置50Aの制御部53は、ワーク1が載置台52に載置されたかどうかを判定する(ステップ201)。
ワーク1が載置されたかどうかの判定は、異音検査装置10から送信されてくる信号に基づいて行われる。例えば、異音検査装置10が載置台52にワーク1を載置したとき、ワーク1が載置されたことを示す信号が、異音検査装置10から第1の外観検査装置50Aへと送信される。
なお、第2の外観検査装置50Bの場合には、第1の搬送装置80が載置台52にワーク1を載置したとき、ワーク1が載置されたことを示す信号が、第1の搬送装置80から第2の外観検査装置50Bへと送信される。
ワーク1が載置台52に載置された場合(ステップ201のYES)、制御部53は、第1のロボットアーム部60及び第2のロボットアーム部70を制御して、筐体2の正面3、第1の側面5a及び第2の側面5bの合計で3つの面を走査する(ステップ202)。なお、この3つの面の走査については、図12〜図19を参照して、後に詳述する。
次に、制御部53は、第1のラインカメラ67及び第2のラインカメラ77によって得られた画像に基づいて、ワーク1において外観上の異常が検出されたかどうか(ワーク1の良否)を判定する(ステップ203)。
例えば、一定以上の大きさ(ユーザが見てすぐ分かるような大きさ)の傷やテープ痕が、3つの面において1つでも検出された場合には、制御部53は、外観上の異常が検出されたと判定する(ステップ203のYES)。
また、一定以下の大きさ(ユーザが見てもすぐ分からないような大きさ)の傷やテープ痕が、3つの面において所定数以上検出された場合には、制御部53は、外観上の異常が検出されたと判定する(ステップ203のYES)。
外観上の異常が検出されなかった場合(ステップ203のNO)、制御部53は、そのワーク1の識別情報と共に、そのワーク1が良品であることを示す情報を、第2の搬送装置90へと送信する(ステップ204)。
一方、外観上の異常が検出された場合(ステップ203のYES)、制御部53は、そのワーク1の識別情報と共に、そのワーク1が不良品であることを示す情報を、第2の搬送装置90へと送信する(ステップ205)。
第1の外観検査装置50Aにおいて不良品と判定されたワーク1は、第2の外観検査装置50Bにおける外観検査の後に、第2の搬送装置90によって、不良品収納用の収納棚に収納され、これにより、不良品が良品と分別される。
次に、第1の外観検査装置50Aにおける外観検査について具体的に説明する。図12は、第1の外観検査装置50Aにおける第1の走査部62及び第2の走査部72による走査の軌跡を示す図である。
図12では、実線の矢印が第1の走査部62による走査の軌跡を示しており、破線の矢印が第2の走査部72による走査の軌跡を示している。
実線の矢印には、1.〜12.までの番号が付されており、この番号は、第1の走査部62が走査を行う順番を示している。また、破線の矢印には、「1」〜「8」までの番号が付されており、この番号は、第2の走査部72が走査を行う順番を示している。
また、1.〜12.「1」〜「8」の番号の傍には、(1)、(2)、(1')、(2')、(1")、(2")のいずれかの記号が付されている。
()内における1の番号は、ワーク1の特定の面に対して、ラインカメラ67、77の撮像角度が第1の撮像角度(90°)に設定され、かつ、発光部68、78の照射角度が第1の照射角度(30°)に設定されることを意味している(図7参照)。また、()内における2の番号は、ワーク1の特定の面に対して、ラインカメラ67、77の撮像角度が第2の撮像角度(60°)に設定され、かつ、発光部68、78の照射角度が第2の照射角度(60°)に設定されることを意味している(図8参照)。
()内における1又は2の番号の右上には、何も付されていないか、「'」が付されているか、又は、「"」が付されている。()内における1又は2の番号の右上に何も付されていない場合、その1又は2の番号は、正面3に対する撮像角度、照射角度を示している。
また、()内における1又は2の番号の右上に「'」が付されている場合、その1又は2の番号は、第1の側面5aに対する撮像角度、照射角度を示している。また、()内における1又は2の番号の右上に「"」が付されている場合、その1又は2の番号は、第2の側面5bに対する撮像角度、照射角度を示している。
例えば、一例として、実線の矢印において、11.(2")の記号が付されている場合について説明する。この場合、実線の矢印であるので、第1の走査部62による走査の軌跡を示している。また、11.の番号は、第1の走査部62による走査の軌跡において、11番目の走査であることを示している。さらに、(2")は、第1の走査部62における第1のラインカメラ67の撮像角度が、第2の側面5bに対して第2の撮像角度(60°)に設定され、第1の走査部62における第1の発光部68の照射角度が、第2の側面5bに対して第2の照射角度(60°)に設定されることを意味している。
図12においては、正面3、第1の側面5a、第2の側面5bについて、それぞれ、「上」、「下」、「左」、「右」と記載されている。図12の説明において、正面3、第1の側面5a、第2の側面5bについて、「上」、「下」、「左」、「右」との用語は、図12に示された方向を示すとして説明する(後述の図13〜図19において同様)。
なお、正面3における上下方向、左右方向は、地球座系における水平面内において直交する方向である。一方、第1の側面5a、第2の側面5bにおける上下方向は、地球座標系における上下方向であり、第1の側面5a、第2の側面5bにおける左右方向は、地球座系における水平面内の方向である。
図12に示されているように、ワーク1の正面3に対する走査は、第1の走査部62により担当され(正面3における実線の矢印参照)、ワーク1の第1の側面5aに対する走査は、第2の走査部72により担当される(第1の側面5aにおける破線の矢印参照)。一方、第2の側面5bに対する走査は、第1の走査部62及び第2の走査部72により、協同で分担して行われる(第2の側面5bにおける実線の矢印及び破線の矢印参照)。
本実施形態では、ワーク1の同じ領域が、異なる撮像角度(第1の撮像角度、第2の撮像角度)及び異なる照射角度(第1の照射角度、第2の照射角度)で、複数回にわたって走査される。なお、本実施形態では、撮像角度及び照射角度として2つのパターン(図7、図8参照)が用いられるが、撮像角度及び照射角度として3つ以上のパターンが用いられてもよい。
例えば、一例として、1.(1)及び4.(2)では、第1の走査部62により、正面3の同じ領域(正面3の左側)が、異なる撮像角度及び異なる照射角度で、2回にわたって走査される。また、例えば、一例として、「1」(1')及び「4」(2')では、第2の走査部72により、第1の側面5aの同じ領域(第1の側面5aの左側)が、異なる撮像角度及び異なる照射角度で、2回にわたって走査される。
また、本実施形態では、ワーク1の同じ領域が、異なる走査方向(上下方向、左右方向)で、複数回にわたって走査される。なお、本実施形態では、走査方向として、上下方向、左右方向の2方向が用いられるが、走査方向として、3以上の方向が用いられてもよい。
なお、本実施形態の説明において、走査方向が上下方向であれば、上方向、下方向のいずれであっても同じ走査方向として扱う。同様に、走査方向が左右方向であれば、右方向、左方向のいずれであっても同じ走査方向として扱う。
例えば、1.(1)、2.(1)、3.(2)、4.(2)では、第1の走査部62により、ワーク1の正面3が、上下方向で走査されるのに対して、5.(1)、8.(1)、9.(2)、12.(2)では、第1の走査部62により、ワーク1の正面3が、左右方向で走査される。また、例えば、「1」(1')、「2」(1')、「3」(2')、「4」(2')では、第2の走査部72により、ワーク1の第1の側面5aが、上下方向で走査されるのに対して、「5」(1')、「6」(2')では、第2の走査部72により、ワーク1の第1の側面5aが、左右方向で走査される。
なお、本実施形態では、第2の側面5bにおいて、走査方向に応じて、第1の走査部62及び第2の走査部72に対する分担が割り合てられている。つまり、第1の走査部62が、第2の側面5bにおける上下方向での走査を担当し(6.(1")、7.(1")、10.(2")、11.(2")参照)、第2の走査部72が、第2の側面5bにおける左右方向での走査を担当する(「7」(1")、「8」(2")参照)。
ここで、正面3における左右方向の幅、上下方向の幅、第1の側面5aにおける左右方向の幅、第2の側面5bにおける左右方向の幅は、走査部62、72が1回で走査可能な幅を超えている。このため、正面3における上下方向、左右方向の走査、第1の側面5aにおける上下方向の走査、第2の側面5bにおける上下方向の走査は、同じ走査方向で、2回に分けて行われる(撮像角度、照射角度を異ならせる必要があるので、同じ走査方向で、合計で4回)。
一方、第1の側面5aにおける上下方向の幅、第2の側面5bにおける上下方向の幅は、走査部62、72が1回で走査可能な幅以下の幅とされている。このため、第1の側面5aにおける左右方向の走査、第2の側面5bにおける左右方向の走査は、同じ走査方向で、2回に分けて行う必要はない(撮像角度、照射角度を異ならせる必要があるので、同じ走査方向で、合計で2回)。
図13〜図19は、第1の外観検査装置50Aにおける第1の走査部62及び第2の走査部72における走査時の動きを示す図である。なお、図13〜図19では、図面を見やすく表示するために、第1の走査部62、第2の走査部72のうち、第1の発光部68、第2の発光部78のみを図示し、第1のラインカメラ67、第2のラインカメラ77においては、図示を省略している。また、図13〜図19では、(1)、(2)、(1')、(2')、(1")、(2")の記号は、図12と同じ意味で使用されている。
図13(A)を参照して、まず、制御部53は、第1のアーム部61を制御して、第1の走査部62を正面3の左上の位置まで移動させる(なお、正面3における上、下、左、右との用語については、図12参照)。そして、制御部53は、正面3に対する第1のラインカメラ67の撮像角度を第1の撮像角度(90°)に設定し、正面3に対する第1の発光部68の照射角度を第1の照射角度(30°)に設定する。
これと同時に、制御部53は、第2のアーム部71を制御して、第2の走査部72を第1の側面5aの左上の位置まで移動させる(なお、第1の側面5aにおける上、下、左、右との用語については、図12参照)。そして、制御部53は、第1の側面5aに対する第2のラインカメラ77の撮像角度を第1の撮像角度(90°)に設定し、第1の側面5aに対する第2の発光部78の照射角度を第1の照射角度(30°)に設定する。
次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の正面3上において、第1の走査部62を下方向(地球座標系においては、水平面内の方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の左側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で下方向に向けて走査される(図12における1.(1)参照)。
制御部53は、第1の発光部68の点灯と同時に、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。そして、制御部53は、第2のアーム部71により、ワーク1の第1の側面5a上において、第2の走査部72を下方向(地球座標系においても、下方向)に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第1の側面5aを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第1の側面5aの左側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で下方向に向けて走査される(図12における「1」(1')参照)。
図13(B)を参照して、第2の走査部72が第1の側面5aの左下の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における下方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。このとき、第1の走査部62は、未だ、ワーク1の正面3を走査している。次に、制御部53は、第2のアーム部71を制御して、第2の走査部72を右方向に移動させる。
図13(C)を参照して、第2の走査部72が、第1の側面5aの右下の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における右方向への移動を停止させる。次に、制御部53は、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。
そして、制御部53は、第2のアーム部71により、第1の側面5a上において、第2の走査部72を上方向(地球座標系においても、上方向)に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第1の側面5aを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第1の側面5aの右側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で上方向に向けて走査される(図12における「2」(1')参照)。
第2の走査部72が、第1の側面5aの右下の位置に到達したとき、第1の走査部62は、正面3の左下の位置に到達している。第1の走査部62が正面3の左下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における下方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。次に、制御部53は、第1のアーム部61を制御して、第1の走査部62を右方向に移動させる。
図13(D)を参照して、第1の走査部62が、正面3の右下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における右方向への移動を停止させる。次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。
そして、制御部53は、第1のアーム部61により、正面3上において、第1の走査部62を上方向(地球座標系においては、水平面内の方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の右側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で上方向に向けて走査される(図12における2.(1)参照)。
第1の走査部62が、正面3の右下の位置に到達したとき、第2の走査部72は、第1の側面5aの右上の位置に到達している。第2の走査部72が第1の側面5aの右上の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における上方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。そして、制御部53は、第2の走査部72を第1の側面5aの右上の位置で待機させる。
図13(E)を参照して、第1の走査部62が正面3の右上の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における上方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。このとき、第2の走査部72は、未だ、第1の側面5aの右上の位置で待機している。
図13(F)を参照して、次に、制御部53は、第1のラインカメラ67の撮像角度を、正面3に対する第1の撮像角度(90°)から、正面3に対する第2の撮像角度(60°)へと変更する。また、制御部53は、第1の発光部68の照射角度を、正面3に対する第1の照射角度(30°)から、正面3に対する第2の照射角度(60°)へと変更する。
これと同時に、制御部53は、第2のラインカメラ77の撮像角度を、第1の側面5aに対する第1の撮像角度(90°)から、第1の側面5aに対する第2の撮像角度(60°)に変更する。また、制御部53は、第2の発光部78の照射角度を、第1の側面5aに対する第1の照射角度(30°)から、第1の側面5aに対する第2の照射角度(60°)に変更する。
図14(G)を参照して、次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の正面3上において、第1の走査部62を下方向(地球座標系においては、水平面内の方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の右側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で下方向に向けて走査される(図12における、3.(2)参照)。
制御部53は、第1の発光部68の点灯と同時に、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。そして、制御部53は、第2のアーム部71により、ワーク1の第1の側面5a上において、第2の走査部72を下方向(地球座標系においても、下方向)に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第1の側面5aを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第1の側面5aの右側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で下方向に向けて走査される(図12における「3」(2')参照)。
図14(H)を参照して、第2の走査部72が第1の側面5aの右下の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における下方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。このとき、第1の走査部62は、未だ、ワーク1の正面3を走査している。次に、制御部53は、第2のアーム部71を制御して、第2の走査部72を左方向に移動させる。
図14(I)を参照して、第2の走査部72が、第1の側面5aの左下の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における左方向への移動を停止させる。次に、制御部53は、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。
そして、制御部53は、第2のアーム部71により、第1の側面5a上において、第2の走査部72を上方向(地球座標系においても、上方向)に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第1の側面5aを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第1の側面5aの左側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で上方向に向けて走査される(図12における「4」(2')参照)。
第2の走査部72が、第1の側面5aの左下の位置に到達したとき、第1の走査部62は、正面3の右下の位置に到達している。第1の走査部62が正面3の右下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における下方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。次に、制御部53は、第1のアーム部61を制御して、第1の走査部62を左方向に移動させる。
図14(J)を参照して、第1の走査部62が、正面3の左下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における左方向への移動を停止させる。次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。
そして、制御部53は、第1のアーム部61により、正面3上において、第1の走査部62を上方向(地球座標系においては、水平面内の方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の左側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で上方向に向けて走査される(図12における4.(2)参照)。
第1の走査部62が、正面3の左下の位置に到達したとき、第2の走査部72は、第1の側面5aの左上の位置に到達している。第2の走査部72が第1の側面5aの左上の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における上方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。
図14(K)を参照して、次に、制御部53は、第2のアーム部71により、第2の走査部72を回転させて、第2の走査部72を第1の側面5aの左側に位置させる。これにより、第2の走査部72における第2の側面5bに対する走査方向が、上下方向から左右方向に変更される。
また、このとき、制御部53は、第2のラインカメラ77の撮像角度を、第1の側面5aに対する第2の撮像角度(60°)から、第1の側面5aに対する第1の撮像角度(90°)に変更する。また、制御部53は、第2の発光部78の照射角度を、第1の側面5aに対する第2の照射角度(60°)から、第1の側面5aに対する第1の照射角度(30°)に変更する。
第2の走査部72における回転、並びに、撮像角度及び照射角度の変更が完了したとき、第1の走査部62は、正面3の左上の位置に到達している。第1の走査部62が正面3の左上の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62の上方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。
図14(L)を参照して、第2の走査部72における回転、並びに、撮像角度及び照射角度の変更が完了すると、制御部53は、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。そして、制御部53は、第2のアーム部71により、ワーク1の第1の側面5a上において、第2の走査部72を右方向に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第1の側面5aを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第1の側面5aが、第1の撮像角度、第1の照射角度で右方向に向けて走査される(図12における「5」(1')参照)。
図15(M)を参照して、第2の走査部72が第1の側面5aを右方向に向けて走査しているとき、制御部53は、第1のアーム部61により、第1の走査部62を回転させて、第1の走査部62を正面3の左上に位置させる。これにより、第1の走査部62における正面3に対する走査方向が、上下方向から左右方向に変更される。
また、このとき、制御部53は、第1のラインカメラ67の撮像角度を、正面3に対する第2の撮像角度(60°)から、正面3に対する第1の撮像角度(90°)に変更する。また、制御部53は、第1の発光部68の照射角度を、正面3に対する第2の照射角度(60°)から、正面3に対する第1の照射角度(30°)に変更する。
第1の走査部62における回転、並びに、撮像角度及び照射角度の変更が完了したとき、第2の走査部72は、未だ、第1の側面5aを右方向に向けて走査している。
図15(N)を参照して、第1の走査部62における回転、並びに、撮像角度及び照射角度の変更が完了すると、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の正面3上において、第1の走査部62を右方向に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の上側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で右方向に向けて走査される(図12における5.(1)参照)。
図15(O)を参照して、第2の走査部72が第1の側面5aの右側の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における右方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。このとき、第1の走査部62は、未だ、ワーク1の正面3を右方向に向けて走査している。
図15(P)を参照して、次に、制御部53は、第2のラインカメラ77の撮像角度を、第1の側面5aに対する第1の撮像角度(90°)から、第1の側面5aに対する第2の撮像角度(60°)に変更する。また、制御部53は、第2の発光部78の照射角度を、第1の側面5aに対する第1の照射角度(30°)から、第1の側面5aに対する第2の照射角度(60°)に変更する。
第2の走査部72における撮像角度及び照射角度の変更が完了したとき、第1の走査部62は、正面3の右上の位置に到達している。
図15(Q)を参照して、第1の走査部62が正面3の右上の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62の右方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。
このとき、制御部53は、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。そして、制御部53は、第2のアーム部71により、ワーク1の第1の側面5a上において、第2の走査部72を左方向に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第1の側面5aを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第1の側面5aが、第2の撮像角度、第2の照射角度で左方向に向けて走査される(図12における「6」(2')参照)。
図15(R)を参照して、第2の走査部72が第1の側面5aを左方向に向けて走査しているとき、制御部53は、第1のラインカメラ67の撮像角度を、正面3に対する第1の撮像角度(90°)から、第2の側面5bに対する第1の撮像角度(90°)に変更する。また、制御部53は、第1の発光部68の照射角度を、正面3に対する第1の照射角度(30°)から、第2の側面5bに対する第1の照射角度(30°)に変更する。このとき、第1の走査部62は、第2の側面5bに対して右上の位置に位置することになる(第2の側面5bにおける、上、下、左、右との用語については、図12参照)。
第1の走査部62における撮像角度及び照射角度の変更が完了したとき、第2の走査部72は、未だ、第1の側面5aを左方向に向けて走査している。
図16(S)を参照して、第1の走査部62における撮像角度及び照射角度の変更が完了すると、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の第2の側面5b上において、第1の走査部62を下方向(地球座標系においても下方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の第2の側面5bを撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の第2の側面5bの右側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で下方向に向けて走査される(図12における6.(1")参照)。
図16(T)を参照して、第1の走査部62が第2の側面5bの右下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における下方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。次に、制御部53は、第1のアーム部61を制御して、第1の走査部62を、第2の側面5bに対して左方向に移動させる。
第1の走査部62が第2の側面5bの右下の位置に到達したとき、第2の走査部72は、ワーク1の第1の側面5aの左側の位置に到達している。第2の走査部72が第1の側面5aの左側の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72の左方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。
図16(U)を参照して、第1の走査部62が第2の側面5bの左下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における左方向への移動を停止させる。次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。
そして、制御部53は、第1のアーム部61により、第2の側面5b上において、第1の走査部62を上方向(地球座標系においても上方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の第2の側面5bを撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の第2の側面5bの左側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で上方向に向けて走査される(図12における、7.(1")参照)。
なお、このとき、制御部53は、第2のアーム部71により、第2の走査部72を待機位置に移動させ、第2の走査部72を待機状態とする。
図16(V)を参照して、第1の走査部62が第2の側面5bの左上の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における上方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。
図16(W)を参照して、次に、制御部53は、第1のラインカメラ67の撮像角度を、第2の側面5bに対する第1の撮像角度(90°)から、正面3に対する第1の撮像角度(90°)に変更する。また、制御部53は、第1の発光部68の照射角度を、第2の側面5bに対する第1の照射角度(60°)から、正面3に対する第1の照射角度(60°)に変更する。このとき、第1の走査部62は、正面3に対して右下の位置に位置することになる(正面3における、上、下、左、右との用語については、図12参照)。
図16(X)を参照して、第1の走査部62における撮像角度及び照射角度の変更が完了すると、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の正面3上において、第1の走査部62を左方向に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の下側が、第1の撮像角度、第1の照射角度で左方向に向けて走査される(図12における8.(1)参照)。
図17(Y)を参照して、第1の走査部62が正面3の左下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における左方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。
図17(Z)を参照して、次に、制御部53は、第1のラインカメラ67の撮像角度を、正面3に対する第1の撮像角度(90°)から、正面3に対する第2の撮像角度(60°)に変更する。また、制御部53は、第1の発光部68の照射角度を、正面3に対する第1の照射角度(30°)から、正面3に対する第2の照射角度(60°)に変更する。
図17(A')を参照して、次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の正面3上において、第1の走査部62を右方向に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の下側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で右方向に向けて走査される(図12における9.(2)参照)。
図17(B')を参照して、第1の走査部62が正面3の右下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における右方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。
図17(C')を参照して、次に、制御部53は、第1のラインカメラ67の撮像角度を、正面3に対する第2の撮像角度(60°)から、第2の側面5bに対する第2の撮像角度(60°)に変更する。また、制御部53は、第1の発光部68の照射角度を、正面3に対する第2の照射角度(60°)から、第2の側面5bに対する第2の照射角度(60°)に変更する。このとき、第1の走査部62は、第2の側面5bに対して左上の位置に位置することになる(第2の側面5bにおける、上、下、左、右との用語については、図12参照)。
図17(D')を参照して、次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の第2の側面5b上において、第1の走査部62を下方向(地球座標系においても下方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の第2の側面5bを撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の第2の側面5bの左側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で下方向に向けて走査される(図12における10.(2")参照)。
図18(E')を参照して、第1の走査部62が第2の側面5bの左下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における下方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。次に、制御部53は、第1のアーム部61を制御して、第1の走査部62を、第2の側面5bに対して右方向に移動させる。
図18(F')を参照して、第1の走査部62が第2の側面5bの右下の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における右方向への移動を停止させる。次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。
そして、制御部53は、第1のアーム部61により、第2の側面5b上において、第1の走査部62を上方向(地球座標系においても上方向)に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の第2の側面5bを撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の第1の側面5aの右側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で上方向に向けて走査される(図12における、11.(2")参照)。
図18(G')を参照して、第1の走査部62が第2の側面5bの右上の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における上方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。
図18(H')を参照して、次に、制御部53は、第1のラインカメラ67の撮像角度を、第2の側面5bに対する第2の撮像角度(60°)から、正面3に対する第2の撮像角度(60°)に変更する。また、制御部53は、第1の発光部68の照射角度を、第2の側面5bに対する第2の照射角度(60°)から、正面3に対する第2の照射角度(60°)に変更する。このとき、第1の走査部62は、正面3に対して右上の位置に位置することになる(正面3における、上、下、左、右との用語については、図12参照)。
図18(I')を参照して、次に、制御部53は、第1の走査部62における第1の発光部68を点灯させる。そして、制御部53は、第1のアーム部61により、ワーク1の正面3上において、第1の走査部62を左方向に移動させながら、第1の走査部62における第1のラインカメラ67によりワーク1の正面3を撮像させる。これにより、第1の走査部62によって、ワーク1の正面3の上側が、第2の撮像角度、第2の照射角度で左方向に向けて走査される(図12における12.(2)参照)。
図18(J')を参照して、第1の走査部62が正面3の左上の位置に到達すると、制御部53は、第1の走査部62における左方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67の撮像を停止させ、第1の発光部68を消灯させる。
このとき、制御部53は、第2のアーム部71を制御して、第2の走査部72を第2の側面5bの左側に位置させる(第2の側面5bにおける、上、下、左、右との用語については、図12参照)。そして、制御部53は、第2のラインカメラ77の撮像角度を、第2の側面5bに対する第1の撮像角度(90°)に設定し、第2の発光部78の照射角度を、第2の側面5bに対する第1の照射角度(30°)に設定する。
次に、制御部53は、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。そして、制御部53は、第2のアーム部71により、ワーク1の第2の側面5b上において、第2の走査部72を右方向に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第2の側面5bを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第2の側面5bが、第1の撮像角度、第1の照射角度で右方向に向けて走査される(図12における「7」(1")参照)。
図19(K')を参照して、第2の走査部72が、第2の側面5bの右側の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における右方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。
なお、このとき、制御部53は、第1のアーム部61により、第1の走査部62を待機位置に移動させ、第1の走査部62を待機状態とする。
図19(L')を参照して、次に、制御部53は、第2のラインカメラ77の撮像角度を、第2の側面5bに対する第1の撮像角度(90°)から、第2の側面5bに対する第2の撮像角度(60°)に変更する。また、制御部53は、第2の発光部78の照射角度を、第2の側面5bに対する第1の照射角度(30°)から、第2の側面5bに対する第2の照射角度(60°)に変更する。
図19(M')を参照して、次に、制御部53は、第2の走査部72における第2の発光部78を点灯させる。そして、制御部53は、第2のアーム部71により、ワーク1の第2の側面5b上において、第2の走査部72を左方向に移動させながら、第2の走査部72における第2のラインカメラ77によりワーク1の第2の側面5bを撮像させる。これにより、第2の走査部72によって、ワーク1の第2の側面5bが、第2の撮像角度、第2の照射角度で左方向に向けて走査される(図12における「8」(2")参照)。
図19(N')を参照して、第2の走査部72が第2の側面5bの左側の位置に到達すると、制御部53は、第2の走査部72における左方向への移動を停止させる。そして、制御部53は、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77の撮像を停止させ、第2の発光部78を消灯させる。
図19(O')を参照して、次に、制御部53は、第2のアーム部71により、第2の走査部72を待機位置に移動させ、第2の走査部72を待機状態とする。
なお、この後、ワーク1は、第1の搬送装置80により、上下が反転されて、背面4が上側を向くようにして、第2の外観検査装置50Bの載置台52に載置される。そして、上記した流れと同様の流れで、第2の外観検査装置50Bによって、ワーク1の背面4、第3の側面5c及び第4の側面5dが検査される。
(図12〜図19に示す動作でワーク1が検査される理由)
ここで、図12〜図19に示す動作でワーク1が検査される理由について説明する。第1の走査部62及び第2の走査部72において3つの面の外観を検査する場合、以下の1)〜4)に示す点を考慮する必要がある。
1) 第1の走査部62及び第2の走査部72により、できるだけ短時間で3つの面の走査を完了させること(検査時間の短縮)。
2) 第1の走査部62及び第2の走査部72により、できるだけ正確にワーク1の外観を検査すること。
3) 第1の走査部62及び第2の走査部72が、互いに衝突しないこと。
4) 第1の走査部62における第1の発光部68による光が、第2の走査部72における第2のラインカメラ77の撮像に悪影響を与えてしまう光干渉が発生しないようにすること。同様に、第2の走査部72における第2の発光部78による光が、第1の走査部62における第1のラインカメラ67の撮像に悪影響を与えてしまう光干渉が発生しないようにすること。
まず、検査時間の短縮のために、制御部53は、第1の走査部62によりワーク1の正面3を走査させているときに、同時に、第2の走査部72によりワーク1の第1の側面5aを走査させている。また、検査時間の短縮のために、制御部53は、第1の走査部62及び第2の走査部72により、協同で、分担して、第2の側面5bを走査させている。
なお、第1の走査部62及び第2の走査部72において、同時に第2の側面5bの走査が行われると、2台の走査部62、67が互いに衝突してしまう。このため、第1の走査部62により第2の側面5bが走査されるタイミング(図16(S)〜16(V)、図17(D')〜図18(G')参照)と、第2の走査部72により第2の側面5bが走査されるタイミング(図18(J')〜図19(N')参照)とは、ずらされている。
また、正確にワーク1の外観を検査するために、制御部53は、第1の走査部62により、ワーク1の正面3を、異なる撮像角度及び異なる照射角度で、複数回にわたって走査させている。同様に、制御部53は、第2の走査部72により、ワーク1の第1の側面5aを、異なる撮像角度及び異なる照射角度で、複数回にわたって走査させている。
また、正確にワーク1の外観を検査するために、制御部53は、第1の走査部62により、ワーク1の正面3を、異なる走査方向(上下方向、左右方向)で、複数回にわたって走査させている。同様に、制御部53は、第2の走査部72により、ワーク1の第1の側面5aを、異なる走査方向で、複数回にわたって走査させている。
なお、第2の側面5bについては、走査方向に応じて、第1の走査部62及び第2の走査部72に対する分担が割り合てられている。具体的には、本実施形態では、制御部53は、第1の走査部62により、第2の側面5bを上下方向で走査させ、第2の走査部72により、第2の側面5dを左右方向で走査させている。
ここで、図12において、5.(1)、6.(1")、7.(1")、8.(1)における第1の走査部62の動きに着目する(図15(N)〜図17(Y)に対応)。まず、第1の走査部62は、正面3の上側を右方向に向けて走査して、正面3の右上の位置に到達する(図12の5.(1))。正面3の右上の位置の先には、第2の側面5bが存在しており、第1の走査部62は、そのままの流れで、第1の側面5aの右側を下方向に向けて走査する(図12の6.(1"))。
その後、第1の走査部62は、第2の側面5bの左側を上方向に向けて走査して、第2の側面5bの左上の位置に到達する(図12の7.(1"))。第2の側面5bの左上の位置の先には、正面3が存在しており、第1の走査部62は、そのままの流れで、正面3の下側を左方向に向けて走査する(図12の8.(1))。
なお、図12において、9.(2)、10.(2")、11.(2")、12.(2)においても、撮像角度、照射角度が異なる点を除いて、第1の走査部62は、5.(1)、6.(1")、7.(1")、8.(1)と基本的に同じ動きをしている。
つまり、本実施形態では、制御部53は、第1の走査部62により、ワーク1の正面3における左右方向での走査と、ワーク1の第1の側面5a(正面3に対して走査方向で隣接する面)における上下方向での走査とを一連の流れとして行わせることで、検査時間を短縮している。
次に、光干渉について説明する。本実施形態では、制御部53は、光干渉が生じないように、第1の走査部62及び第2の走査部72による走査の動きを制御している。
典型的には、制御部53は、走査を行っている第1の走査部62及び第2の走査部72の距離ができるだけ近づかないように、第1の走査部62及び第2の走査部72の動きを制御している。
これは、例えば、図13(A)、図14(G)、図15(N)、図16(S)等に表れている。図13(A)、図14(G)では、第1の走査部62が、ワーク1の正面3において下方向に向けて移動されているとき、第2の走査部72は、ワーク1の第1の側面5aにおいて下方向に向けて移動されている。これにより、第1の走査部62及び第2の走査部72の間の距離が保たれ、光干渉が防止される。
図15(N)では、第2の走査部72が、ワーク1の第1の側面5aにおいて右方向へ向けて移動されて、ある程度進んだときに、第1の走査部62が、ワーク1の正面3において右方向へ向けての走査を開始している。これにより、第1の走査部62及び第2の走査部72の間の距離が保たれ、光干渉が防止される。
図16(S)では、第2の走査部72が、ワーク1の第1の側面5aにおいて左方向へ向けて移動されて、ある程度進んだときに、第1の走査部62が、ワーク1の第2の側面5bにおいて下方向へ向けての走査を開始している。これにより、第1の走査部62及び第2の走査部72の間の距離が離れ、光干渉が防止される。
また、制御部53は、第1の走査部62及び第2の走査部72の距離が一定の距離以下となる場合には、第1の発光部68及び第2の発光部78の点灯、消灯タイミング、第1のラインカメラ67及び第2のラインカメラ77の撮像開始、撮像終了タイミング(走査開始、終了タイミング)を制御する。
これは、例えば、図13(C)、図13(D)、図14(I)、図14(J)、図15(Q)等に表れている。
図13(C)、図14(I)では、第1の走査部62及び第2の走査部72の距離が一定の距離以下となっている。一方、第1の走査部62が正面3の下側に到達して第1のラインカメラ67の撮像が終了され、第1の発光部68が消灯されるタイミングで、第2の発光部78が発光されて第2のラインカメラ77の撮像が開始される。これにより、光干渉が防止される。
同様に、図13(D)、図14(J)でも、第1の走査部62及び第2の走査部72の距離が一定の距離以下となっている。一方、第2の走査部72が第1の側面5aの上側に到達して第2のラインカメラ77の撮像が終了され、第2の発光部78が消灯されるタイミングで、第1の発光部68が発光されて第1のラインカメラ67の撮像が開始される。これにより、光干渉が防止される。
同様に、図15(Q)でも、第1の走査部62及び第2の走査部72の距離が一定の距離以下となっている。一方、第1の走査部62が正面3の右側に到達して第1のラインカメラ67の撮像が終了され、第1の発光部68が消灯されるタイミングで、第2の発光部78が発光されて第2のラインカメラ77の撮像が開始される。これにより、光干渉が防止される。
ここで、図14(L)〜図16(T)を参照して、第2の走査部72は、第2の発光部78が立てられた状態(第1の発光部68の長手方向が、地球座標系の上下方向となる状態)で第1の側面5aを走査している。また、図18(J')〜図19(N')を参照して、第2の走査部72は、第2の発光部78が立てられた状態で第2の側面5bを走査している。
一方、第1の側面5a、第2の側面5bの上下方向の幅は、第2の発光部78の長さよりも小さい。従って、第2の発光部78が立てられた状態で、側面5に光が照射されると、第2の発光部78が寝かされた状態(第2の発光部78の長手方向が、地球座標系の水平方向となる状態)で、側面5に光が照射される場合よりも、正面3に対して漏れる光の量が多い。
つまり、第2の発光部78が立てられた状態では、第2の発光部78が寝かされた状態よりも、第2の走査部72における第2の発光部78が、第1の走査部62における第1のラインカメラ67による撮像に悪影響を与えてしまう光干渉が発生しやすい。
このため、基本的には、図18(J')〜図19(N')に示すように、第2の発光部78が立てられた状態で第2の走査部72により側面5が走査されているときに、第1の走査部62は、正面3を走査しない。あるいは、図14(L)〜図15(O)に示すように、第2の発光部78が立てられた状態で第2の走査部72により側面5が走査されているときに、第1の走査部62が正面3を走査してもよいが、この場合には、少なくとも、第1の走査部62と、第2の走査部72と間の距離が一定の距離以上に保たれる。
なお、第2の発光部78は、部分的に点灯可能なように構成されていてもよい。この場合、第2の発光部78は、立てられた状態において、側面5の上下方向の幅に対応する箇所が部分的に点灯され、それ以外の箇所は消灯される。これにより、光干渉が防止される。
また、第1の発光部68と、第2の発光部78とが、異なる波長領域の光を出射可能に構成されていてもよい。このような方法でも光干渉を防止することができる。
<作用等>
[異音検査装置10]
上述のように、本実施形態に係る異音検査装置10では、アーム部21により、ワーク1を保持した状態のハンド部31が移動されてワーク1が搬送され、音検出部35により、ワーク1が搬送されているときにワーク1の音が検出される。そして、検出された音信号に基づいて、ワーク1から発生する異音が検査される。
つまり、本実施形態に係る異音検査装置10は、ワーク1を搬送する搬送装置としての機能と、ワーク1から発生する異音を検査する異音検査装置としての機能との2つの機能を兼ね備えている。従って、この異音検査装置10では、ワーク1を搬送中に、ワーク1の異音を検査することができ、効率的にワーク1の異音検査を行うことができる。さらに、本実施形態に係る異音検査装置10では、搬送装置と、異音検査装置とを別々に用意する場合に比べ、コストを削減することができる。
また、本実施形態に係る異音検査装置10では、ワーク1を保持した状態のハンド部31が時計回りに移動されて、シール貼付装置40へとワーク1が搬送される。一方で、ワーク1を保持した状態のハンド部31が反時計回りに移動されてシール貼付装置40から第1の外観検査装置50Aへとワーク1が搬送される。
そして、ワーク1の時計回りでの移動に応じてワーク1から発生する音、及びワーク1の反時計回りでの移動に応じてワーク1から発生する音が、音検出部35によって検出され、検出された音信号に基づいて、ワーク1から発生する異音が検査される。
このように、ワーク1を時計回り及び反時計回りに搬送させて、そのときにワーク1から発生する音に基づいてワーク1から発生する異音を検査することで、適切に異音を検査することができる。なお、ワーク1を移動させる方向は、地球座標系における上方向及び下方向などであってもよい。
また、本実施形態に係る異音検査装置10では、シール貼付装置40へとワーク1が搬送されるとき、シール貼付装置40がワーク1に対して処理を行うことができるように、ワーク1の姿勢(ハンド部31の姿勢)が変化される。同様に、シール貼付装置40から第1の外観検査装置50Aへとワーク1が搬送されるとき、第1の外観検査装置50Aの載置台52上にワーク1を載置するために、ワーク1の姿勢(ハンド部31の姿勢)が変化される。
そして、ワーク1の姿勢の変化に応じてワーク1から発生する音が、音検出部35によって検出され、検出された音信号に基づいて、ワーク1から発生する異音が検査される。
このように、ワーク1の搬送中にワーク1の姿勢を変化させて、そのときにワーク1から発生する音に基づいて、ワーク1から発生する異音を検査することで、適切に異音を検査することができる。
また、本実施形態に係る異音検査装置10では、音検出部35がハンド部31に設けられている。これにより、ワーク1の搬送中にワーク1から発生する音を適切に検出することができる。なお、音検出部35は、ロボットアーム部12における他の部分(アーム部21等)に設けられていてもよい。
さらに、本実施形態に係る異音検査装置10では、音検出部35は、ワーク1に対して接触して音を検出するように構成されおり、この音検出部35は、AEセンサにより構成されている。これにより、ワーク1から発生する異音をさらに適切に検出することができる。
なお、音検出部35は、ワーク1に対して非接触で音を検出するように構成されていれもよい。この場合、音検出部35は、マイクロフォンによって構成されていてもよい。音検出部35がこのように構成されていても、ワーク1から発生する異音を適切に検出することができる。
なお、検出すべき異音の周波数帯が、周囲の環境音の周波数帯と同じ周波数帯である場合がある。この場合、ワーク1に対して非接触で音を検出するタイプの音検出部35では、周囲の環境音によって、異音を適切に検出することができない場合がある。従って、例えば、このような場合には、ワーク1に対して接触して音を検出するタイプの音検出部35が用いられてもよい。
また、異音検査装置10では、音検出部35により検出された音信号における特定の周波数帯(異音に対応する周波数帯)の信号に基づいて、ワーク1から発生する異音が検査される。これにより、適切に異音を検査することができる。
また、本実施形態に係る異音検査装置10では、異音検査装置10において、特定の周波数帯(異音に対応する周波数帯)の信号が積分され、積分値に基づいてワーク1から発生する異音が検査される。これにより、異音に対応する周波数帯において、異音の平均的な大きさを判断することができるので、さらに適切に異音を検査することができる。
[外観検査装置50]
本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62によりワークの正面3(背面4)が走査されているときに、同時に、第2の走査部72により第1の側面5a(第3の側面5c)が走査される。これにより、本実施形態に係る外観検査装置では、ワーク1の外観検査を効率的に素早く完了させることができる。
ここで、外観検査においては、生産ライン上での他の工程よりも、時間が掛かりやすいといった問題があり、他の工程とのタクトタイムバランスを取ることが困難であるといった問題がある。特に、ワーク1が、据え置き型のゲーム機のように、検査すべき領域が比較的広い物である場合、このような問題が発生しやすい。一方、本実施形態では、外観検査における検査時間を短縮することができるので、他の工程とのタクトタイムバランスを取ることも容易となる。
また、本実施形態では、1台の外観検査装置50が2台のロボットアーム部60、70を備えているので、例えば、1台の外観検査装置50が1台のロボットアーム部を備えている場合に比べて、外観検査装置50の台数を減らすことができる。これにより、コストを削減することができる。また、検査システム100の設置スペースを縮小することができ、生産エリアのスペースマネージメントの自由度が高まる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62は、第1の発光部68を有しており、第2の走査部72は、第2の発光部78を有している。
これにより、第1のラインカメラ67、第2のラインカメラ77が撮像を行う箇所に対して、適切に光を照射することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62において、第1のラインカメラ67がワーク1の正面3(背面4)を撮像する撮像角度が調整され、かつ、第1の発光部68がワーク1の正面3(背面4)に光を照射する照射角度が調整される。同様に、本実施形態に係る外観検査装置50では、第2の走査部72において、第2のラインカメラ77がワーク1の第1の側面5a(第3の側面5c)を撮像する撮像角度が調整され、かつ、第2の発光部78がワーク1の第1の側面5a(第3の側面5c)に光を照射する照射角度が調整される。
これにより、ワーク1の外観を正確に検査することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62により、ワーク1の正面3(背面4)が、異なる撮像角度及び異なる照射角度で、複数回にわたって走査される。これにより、ワーク1の外観をさらに正確に検査することができる。
同様に、本実施形態に係る外観検査装置50では、第2の走査部72により、ワーク1の第1の側面5a(第3の側面5c)が、異なる撮像角度及び異なる照射角度で、複数回にわたって走査される。これにより、ワーク1の外観をさらに正確に検査することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62により、ワーク1の正面3(背面4)が、異なる走査方向で複数回にわたって走査される。これにより、ワーク1の外観をさらに正確に検査することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第2の走査部72により、ワーク1の第1の側面5a(第3の側面5c)が、異なる走査方向で複数回にわたって走査される。これにより、ワーク1の外観をさらに正確に検査することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62及び第2の走査部72により、第2の側面5b(第4の側面5d)が協同で走査される。これにより、外観検査における検査時間をさらに短縮することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62により、第2の側面5b(第4の側面5d)が上下方向で走査され、第2の走査部72により、第2の側面5b(第4の側面5d)が左右方向で走査される。これにより、外観検査における検査時間をさらに短縮することができる。なお、第2の側面5b(第4の側面5d)については、撮像角度、照射角度に応じて、第1の走査部62及び第2の走査部72に対する分担が割り合てられていてもよい。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の発光部68からの光が、第2のラインカメラ77の撮像に干渉してしまう光干渉、及び、第2の発光部78からの光が第1のラインカメラ67の撮像に干渉してしまう光干渉が生じないように、第1の走査部62及び第2の走査部72による走査の動きが制御される。これにより、適切に光干渉を防止することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、光干渉が生じないように、第1の発光部68及び第2の発光部78による点灯、消灯タイミングが制御される。これにより、さらに適切に光干渉を防止することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、光干渉が生じないように、第1のラインカメラ67及び第2のラインカメラ77による撮像開始、撮像終了タイミングが制御される。これにより、さらに適切に光干渉を防止することができる。
また、本実施形態に係る外観検査装置50では、第1の走査部62が走査を担当する正面3(背面4)と、第2の走査部72が走査を担当する第1の側面5a(第3の側面5c)と、第1の走査部62及び第2の走査部72が共同で走査を担当する第2の側面5b(第4の側面5d)が、互いに隣接する面とされている。これにより、第1の走査部62及び第2の走査部72により効率的にワーク1の多面を検査することができる。
ここで、本実施形態では、第1の外観検査装置50A、第2の外観検査装置50Bがそれぞれユニット化されている。このように、外観検査装置50をユニット化することで、生産ラインにおけるワーク1の生産量の変動(生産量の増加、減少)に適切に対応することができる。特に、外観検査装置50をユニット化することで、ワーク1の生産量が1.3倍や、1.5倍とされるような、小数倍での生産量の変動に適切に対応することができる。
生産量の変動に対応する場合、例えば、第1の外観検査装置50A、第2の外観検査装置50Bの後方に、別の一台の外観検査装置50が直列に配置されてもよい。この場合、3台の外観検査装置50は、ワーク1における6面のうち2面の検査をそれぞれ行ってもよい。なお、加えられる別の外観検査装置50は、第1の外観検査装置50A、第2の外観検査装置50Bに対して、並列に配置されてもよい。また、加えられる外観検査装置50の数についても1台に限定されない。また、第1の外観検査装置50A、第2の外観検査装置50Bのうち、一方の外観検査装置50が省略されてもよい。この場合、1台の外観検査装置50が、ワーク1の6面を全て検査する。
≪各種変形例≫
以上の説明では、ワーク1が、据え置き型のゲーム機である場合について説明した。一方、ワーク1は、据え置き型のゲーム機以外の各種の電子機器や、各種の自動車部品等であってもよい。典型的には、ワーク1は、多面を有する形状であれば、どのような検査対象物であってもよい(基板のような薄い物であってもよい)。
本技術は、以下の構成をとることもできる。
(1) アーム部と、前記アーム部に設けられ、ワークを保持可能な保持部とを有するロボットアーム部と、
前記ロボットアーム部に設けられ、前記ワークの音を検出する音検出部と、
前記アーム部により、前記ワークを保持した状態の保持部を移動させて前記ワークを搬送し、前記音検出部により、前記ワークが搬送されているときにワークの音を検出させ、検出された音信号に基づいて、前記ワークから発生する異音を検査する制御部と
を具備する異音検査装置。
(2) 上記(1)に記載の異音検査装置であって、
前記制御部は、前記アーム部により、前記ワークを保持した状態の保持部を第1の方向及び前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動させて前記ワークを搬送し、前記音検出部により、前記ワークの前記第1の方向への移動に応じて前記ワークから発生する音、及び前記ワークの前記第2の方向への移動に応じて前記ワークから発生する音を検出させ、検出された音信号に基づいて、前記ワークから発生する異音を検査する
異音検査装置。
(3) 上記(2)に記載の異音検査装置であって、
前記制御部は、前記保持部を前記第1の方向に移動させて他の第1の装置へ前記ワークを搬送し、前記保持部を前記第2の方向に移動させて前記他の第1の装置から他の第2の装置へ前記ワークを搬送する
(4) 上記(1)〜(3)のうちいずれか1つに記載の異音検査装置であって、
前記制御部は、前記アーム部により、前記ワークを保持した状態の保持部の姿勢を変化させ、前記音検出部により、前記ワークの姿勢の変化に応じて前記ワークから発生する音を検出させ、検出された音信号に基づいて、前記ワークから発生する異音を検査する
異音検査装置。
(5) 上記(4)に記載の異音検査装置であって、
前記制御部は、前記ワークが前記保持部に保持された状態で他の第1の装置が前記ワークに対して処理を行うことができるように、前記保持部の姿勢を変化させる
異音検査装置。
(6) 上記(1)〜(5)のうちいずれか1つに記載の異音検査装置であって、
前記音検出部は、前記保持部に設けられる
異音検査装置。
(7) 上記(1)〜(6)のうちいずれか1つに記載の異音検査装置であって、
前記音検出部は、前記ワークに対して接触して前記音を検出する
異音検査装置。
(8) 上記(7)に記載の異音検査装置であって、
前記音検出部は、AE(Acoustic Emission)センサである
異音検査装置。
(9) 上記(1)〜(6)のうちいずれか1つに記載の異音検査装置であって、
前記音検出部は、前記ワークに対して非接触で前記音を検出する
異音検査装置。
(10) 上記(9)に記載の異音検査装置であって、
前記音検出部は、マイクロフォンである
異音検査装置。
(11) 上記(1)〜(10)のうちいずれか1つに記載の異音検査装置であって、
前記制御部は、音検出部により検出された前記音信号における特定の周波数帯の信号に基づいて、前記ワークから発生する異音を検査する
異音検査装置。
(12) 上記(11)に記載の異音検査装置であって、
前記制御部は、前記特定の周波数帯の信号を積分し、積分値に基づいて前記ワークから発生する異音を検査する
異音検査装置。
(13) ロボットアーム部のアーム部により、ワークを保持した状態の、ロボットアーム部の保持部を移動させて前記ワークを搬送し、
ロボットアーム部に設けられた音検出部により、前記ワークが搬送されているときにワークの音を検出させ、
検出された音信号に基づいて、前記ワークから発生する異音を検査する
異音検査方法。
(14) ロボットアーム部のアーム部により、ワークを保持した状態の、ロボットアーム部の保持部を移動させて前記ワークを搬送し、
ロボットアーム部に設けられた音検出部により、前記ワークが搬送されているときにワークの音を検出させ、
検出された音信号に基づいて、前記ワークから発生する異音を検査する
制御部としてコンピュータを機能させるプログラム。
(15) ロボットアーム部のアーム部により、ワークを保持した状態の、ロボットアーム部の保持部を移動させて前記ワークを搬送し、
ロボットアーム部に設けられた音検出部により、前記ワークが搬送されているときにワークの音を検出させ、
検出された音信号に基づいて、前記ワークから発生する異音を検査し、
検査結果に基づいて、ワークの良否を判定する
ワークの製造方法。