JP3663736B2 - チャックハンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、チャックハンドに関し、詳しくは、例えばセラミック成型品の焼成に使用されるセラミック製のサヤやサヤ蓋のように、使用を重ねるにしたがって、ひび、反り等の変形が生じる性質を有する板状の被搬送物を搬送する際に用いるチャックハンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セラミック製のサヤやサヤ蓋のような板状の被搬送物の取出しや搬送を行なう方法の一つに、エアチャック等を用いたチャックハンドにより把持して行なう方法がある。
ところで、上記のサヤやサヤ蓋ような被搬送物は、使用を重ねるにしたがって、ひび、反り等の変形が生じる。そのため、ひび、反り等の欠陥の有無の検査や外観検査を行う必要があり、チャックハンドとは別に専用の検査機構を用いて検査を行なっている。例えば、ひびの有無の検査には画像処理装置を用いており、被搬送物を画像処理装置が設置されている場所まで搬送して、ひびの有無の検査を行っている。同様に、被搬送物の外観検査を行うにあたっては、被搬送物を外観検査機構が設置されている場所まで搬送して外観検査を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の検査方法では、それぞれ別個の検査機構を必要とするため、
(1)各検査において被搬送物の位置決め等の機構が必要となり、設備コストが高くなる、
(2)ステージ間の移動に時間がかかりタイムロスが大きくなる、
(3)設備スペースが大きくなる、
などの問題点がある。
【0004】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、被搬送物の搬送途中で、ひび、反り等の欠陥の有無の検査や外観検査を行うことが可能なチャックハンドを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願の請求項1に記載のチャックハンドは、
板状の被搬送物を把持するチャック手段と、
上記被搬送物の外周近傍を吸引する環状の吸着パッドを有し、該吸着パッドにより上記 被搬送物を吸引したときの真空到達度によって上記被搬送物のひびの有無を検査するひび検査手段と
を具備することを特徴としている。
上記構成によれば、チャック手段によって被搬送物を把持して搬送しながら、被搬送物のひびの有無を効率よく検査することが可能になる。
すなわち、例えば、セラミック製の板状部品の場合、ひびは外周から内側に向かって成長する場合が多いが、被搬送物の周縁部(外周近傍)を吸引する環状の吸着パッドにより被搬送物を吸引したときの真空到達度を調べることにより、外周部に発生するひびを効率よく検査することが可能になる。
【0006】
また、請求項2に記載のチャックハンドは、請求項1記載のチャックハンドの構成において、上記被搬送物の反りを検査する反り検査手段を具備することを特徴としている。
上記請求項2の構成によれば、チャック手段によって被搬送物を把持して搬送しながら、被搬送物のひびの有無を検査するとともに、被搬送物の反りを検査することが可能になる。
【0007】
また、請求項3に記載のチャックハンドは、請求項1または2記載のチャックハンドの構成において、上記被搬送物の外形寸法を検査する外形寸法検査手段を具備することを特徴としている。
上記請求項3の構成によれば、チャック手段によって被搬送物を把持して搬送しながら、被搬送物のひびの有無、または、被搬送物のひびの有無および被搬送物の反りを検査するとともに、被搬送物の外形寸法を検査することが可能になる。
【0008】
上述の本願発明のチャックハンドのように、ひび検査としていわゆる真空吸引方式を採用することにより、複雑な構造を必要とすることなく、チャック手段と一体化することが可能になり、全体的な設備の低コスト化を図ることが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本実施形態(第1実施形態)にかかるチャックハンドは、図1及び図2に示すように、板状の被搬送物Xを把持するチャック手段Aと、被搬送物Xを吸着パッド1で覆って吸引したときの真空到達度によって被搬送物Xのひびの有無を検査するひび検査手段Bとを備えている。なお、ここで被搬送物Xはセラミック製のサヤ蓋である。
【0010】
チャック手段Aは、エアシリンダによって開閉動作するエアチャック2と、エアチャック2に装着された一対の爪3とから構成され、爪3の先端にはゴム等の緩衝材4が取り付けられており、互いの爪3を近接離間させることによって被搬送物Xの側面を把持している。そして、エアチャック2はステー5に固定され、ステー5は懸架式搬送装置に連結されており、これによって被搬送物Xが把持されたまま搬送される。
【0011】
ひび検査手段Bは、被搬送物Xの上面を覆う吸着パッド1と、吸着パッド1と被搬送物Xとによって形成された空間6内の空気を吸引して真空到達度を検出する真空吸引装置7と、吸着パッド1をステー5に対して吊支するシャフト8とから構成されている。
ところで、一般的にセラミック製の板状部品では、図3に示すように、ひび14は外周から内側に向かって成長する場合が多い。そこで、外周部に発生するひび14を効率よく検査できるように、吸着パッド1は平面視口形状に形成されて被搬送物Xの外周近傍を覆うように構成されており、吸着パッド1の下面は開放され、その下縁にシールのためのゴム等の弾性部材9が取り付けられている。なお、吸着パッド1は、上記のような形状に限らず円形あるいは被搬送物の外形に合わせた形状であってもよい。
【0012】
そして、吸着パッド1の上面の四隅にはシャフト8が突設され、シャフト8は、ステー5を貫通し、抜け落ちないようにリング等によってステー5に支持されている。また、吸着パッド1とステー5の間でスプリング10がシャフト8に外装され、吸着パッド1を下向きに付勢しており、吸着パッド1が被搬送物Xに密着するように構成されている。
【0013】
さらに、吸着パッド1の上面には、2カ所に吸引孔11が形成されており、ここに真空吸引装置7のパイプ12が気密な状態で接続されている。そして、この2本のパイプ12は1本になって真空ポンプ(図示せず)に接続され、その途中に真空圧を測定するための真空圧力計13が介装されている。この真空圧力計13から制御装置等への出力信号に基づいて真空到達度が検出され、制御装置においてひびの有無の判定が行われたり、あるいは真空スイッチによって真空到達度が検知されひびの有無の判定が行われたりする。
【0014】
上記構成を有するチャックハンドにおいては、エアチャック2を駆動し、被搬送物Xに対して爪3を閉じることにより被搬送物Xが把持され、チャックハンドによる搬送が行われる。このとき、吸着パッド1はスプリング10の付勢力によって被搬送物Xの上面に密着した状態となる。この状態で吸着パッド1と被搬送物Xとによって囲まれた空間6内の空気を吸引すると、被搬送物Xのひびの有無により真空到達度に差がでる。すなわち、ひびがある場合、ひびからの空気のリークによって真空圧は所定のレベルに到達しない。
【0015】
ここで、ひびの大きさによる真空圧の違いを測定した結果を図4に示す。ただし、吸着パッド1は本実施形態とは異なり、円形の吸着パッドを用いている。図4に示すように、ひび14が長くなるほど、高い真空度には達しなくなり、ひびがない場合のレベルに達しないことがわかる。
【0016】
そこで、ひびがない場合の真空圧と比較することによって真空到達度の差がわかり、ひびの有無の判断が行われる。これによって、被搬送物Xにひびがない場合はそのまま次工程へと搬送され、ひびがある場合は不良品として別の場所に搬送される。
【0017】
このように、チャックハンドに把持機能だけでなくひびの有無を検査する機能を付加したことにより、別にひび検査機構を設置する必要がなくなり、設備の省スペース化が可能になるとともに、被搬送物を検査機構にまで搬送する必要がなくなるため、処理時間を短縮することが可能になる。また、ひびの検査を真空吸引方式とすることにより、従来の画像処理に比べて構造を簡略化することができるようになり、チャック手段との一体化が可能になるため、全体的な設備の低コスト化を図ることができる。
【0018】
[関連発明の実施形態1]
図5は本願発明が関連する発明(関連発明)の実施形態(関連発明の実施形態1)を示す図である。この関連発明の実施形態1にかかるチャックハンドは、図5に示すように、板状の被搬送物Xを把持するチャック手段Aと、被搬送物Xの反りを検査する反り検査手段Cとを備えている。なお、チャック手段Aの構成は第1実施形態と同様である。
反り検査手段Cは、被搬送物Xの上面に接触する基準ブロック20と、被搬送物Xの反りに応じて上下動するシャフト21と、シャフト21に取り付けられたドグ22と、ドグ22の上下動に応じてオン−オフする近接センサ23とによって構成されている。
【0019】
基準ブロック20は、下方に向かって突出するような態様でステー5に配設されており、被搬送物Xが把持されたとき被搬送物Xの上面の端部に接触する長さとされている。シャフト21は、被搬送物Xの上面中央に接触するようにステー5に固定されたブラケット24に上下動自在に支持されており、スプリング25によって下向きに付勢されている。そして、シャフト21の上端には、磁性体からなるドグ22が取り付けられている。また、ドグ22に対向して磁気センサである近接センサ23がブラケット24に取り付けられており、シャフト21の下端が基準ブロック20の下端とほぼ同じ水平レベルにあるときにドグ22が近接センサ23に対向するように構成されている。なお、近接センサ23の繰り返し精度は±0.5mmである。なお、その他の部分の構成は第1実施形態と同様である。
【0020】
次に、搬送中における被搬送物Xの反りの検査時の動作について説明する。被搬送物Xが爪3によって把持されたとき、基準ブロック20が被搬送物Xの上面に接触し、基準ブロック20の被搬送物Xとの接触面が基準となる。このとき、シャフト21はスプリング25によって付勢されているので、被搬送物Xの上面に接触するが、被搬送物Xの反りの状態によってシャフト21の上下位置が変わる。すなわち、図6(a)に示すように、許容範囲内の反りの場合は、ドグ22が近接センサ23に対向した状態になり、近接センサ23はオンする。このオン信号によって制御装置等では合格と判断する。また、図6(b)に示すように、許容範囲以上の反りがある場合、ドグ22は近接センサ23から上方または下方に離れ、近接センサ23はオフとなり、不合格と判断する。
【0021】
このように、チャックハンドに把持機能だけでなく反りを検査する機能を付加したことにより、別に反り検査機構を設置する必要がなくなり、設備の省スペース化が可能になるとともに、被搬送物を検査機構にまで搬送する必要がなくなるため、処理時間を短縮することが可能になる。また、本実施形態の構成によれば、変位計等を用いた方式と比べて構造を簡略化することが可能になり、低コスト化を図ることができる。
【0022】
[関連発明の実施形態2]
図7は本願発明が関連する他の発明(関連発明)の実施形態(関連発明の実施形態2)を示す図である。この関連発明の実施形態2にかかるチャックハンドは、図7に示すように、板状の被搬送物Xを把持するチャック手段Aと、被搬送物Xの外形寸法を検査する外形寸法検査手段Dとを備えて構成されている。なお、チャック手段の構成は第1実施形態と同様である。
外形寸法検査手段Dは、水平方向に開閉する爪3の上端に取り付けられた磁性体からなるドグ30と、ドグ30の移動に応じてオンオフする近接センサ31とによって構成されている。磁気センサからなる近接センサ31は、ドグ30に対向するような態様でステー5に取り付けられており、被搬送物Xの外形寸法が許容範囲内あるときドグ30が近接センサ31に対向するようになっている。なお、近接センサ31の繰り返し精度は±0.5mmである。
【0023】
次に、搬送中における被搬送物Xの外形寸法の検査時の動作について説明する。被搬送物Xが爪3によって把持されたとき、被搬送物Xの外形寸法に応じて爪間の距離が変わる。このとき、被搬送物Xの外形寸法が規定寸法内であれば、ドグ30が近接センサ31に対向した状態になり、近接センサ31はオンする。このオン信号によって制御装置等では合格と判断する。また、規定寸法外であれば、ドグ30は近接センサ31に対して水平方向にずれ、近接センサ31はオフとなり、不合格と判断する。
【0024】
例えば、被搬送物Xの外形寸法が215mm×215mmで、許容範囲が215±3mmである場合、この検査手段によって212mm未満の被搬送物Xについて±0.5mm以内の精度で合否を判定することができる。このように、チャックハンドに把持機能だけでなく外形寸法を検査する機能を付加したことにより、別に外形寸法検査機構を設置する必要がなくなり、設備の省スペース化が可能になるとともに、被搬送物を検査機構にまで搬送する必要がなくなるため、処理時間を短縮することが可能になる。
【0025】
[第2実施形態]
本実施形態(第2実施形態)にかかるチャックハンドは、図8に示すように、板状の被搬送物Xを把持するチャック手段Aと、被搬送物Xを吸着パッド1で覆って吸引したときの真空到達度によって被搬送物Xのひびの有無を検査するひび検査手段Bと、被搬送物Xの反りを検査する反り検査手段Cと、被搬送物Xの外形寸法を検査する外形寸法検査手段Dとを備えている。
【0026】
なお、チャック手段及び各検査手段、すなわち、
( 1 ) 被搬送物Xを吸着パッド1で覆って吸引したときの真空到達度によって被搬送物Xのひびの有無を検査するひび検査手段B、
( 2 ) 被搬送物Xの反りを検査する反り検査手段C、および
( 3 ) 被搬送物Xの外形寸法を検査する外形寸法検査手段D
の構成は上記の第1実施形態、関連発明の実施形態1、および関連発明の実施形態2に示したものと同じである。ただし、反り検査手段のシャフト21、ドグ22、近接センサ23は、吸着パッド1の中央に空いた空間に配置され、基準ブロック20は吸着パッド1よりも外側に配置されており、チャックハンド内の限られたスペースに各検査手段が集約された状態でコンパクトに配設されている。
【0027】
この第2実施形態のチャックハンドにおいては、被搬送物Xを把持して搬送しながら、ひびの有無、反りの有無、外形寸法といった外観検査を同時に行うことができるため、搬送に要する時間を有効に活用できるとともに設備スペースの低減を図ることができる。但し、これらの三つの検査は要求仕様に応じて行われるもので、ひび検査手段B、反り検査手段C、および外形寸法検査手段Dの組み合わせ態様は任意であり、ひび検査手段Bと反り検査手段Cを組み合わせた構成やひび検査手段Bと外形寸法検査手段Dを組み合わせた構成とすることも可能である。
【0028】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、被搬送物Xの材質をセラミックの代わりに金属あるいはプラスチックとしてもよく、さらに超音波探傷器を設けて、被搬送物Xの内部欠陥や厚みを検出するようにしてもよい。
その他、本願発明の請求の範囲内で種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本願発明によると、被搬送物を把持するチャック手段にひびの有無、反りの有無、外形寸法といった外観検査を行う手段が択一的あるいは複合して設けられているので、被搬送物の搬送中にひび、反り等の欠陥の有無の検査や外観検査が可能となる。
【0030】
したがって、別に検査機構を設ける必要がなくなり、設備の省スペース化を図ることができる。また、被搬送物を別の検査機構に搬送する必要がなくなることから、この搬送のための時間を短縮することが可能になり、作業効率を向上させることができる。しかも、全体的に複雑な構造を必要とすることがなく、シンプルな構造でそれぞれの検査を行うことができるため、低コストで、実用上有意義なチャックハンドを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の第1実施形態にかかるチャックハンドを示す斜視図である。
【図2】 本願発明の第1実施形態にかかるチャックハンドのひび検査手段を示す構成図である。
【図3】 被搬送物のひびの発生状態を示す図である。
【図4】 被搬送物のひび長さと真空圧の関係を示す図である。
【図5】 本願発明が関連する発明(関連発明)の実施形態(関連発明の実施形態1)にかかるチャックハンドを示す正面図である。
【図6】 本願発明が関連する発明(関連発明)の実施形態(関連発明の実施形態1)にかかるチャックハンドによる反りの検査状況を示す図であり、(a)は反りがない場合、(b)は反りがある場合の状況を示す図である。
【図7】 本願発明が関連する発明(関連発明)の実施形態(関連発明の実施形態2)にかかるチャックハンドを示す正面図である。
【図8】 本願発明の第2実施形態にかかるチャックハンドを示す正面図である。
【符号の説明】
1 吸着パッド
2 エアチャック
3 爪
7 真空吸引装置
14 ひび
20 基準ブロック
21 シャフト
22 ドグ
23 近接センサ
25 スプリング
30 ドグ
31 近接センサ
X 被搬送物
A チャック手段
B ひび検査手段
C 反り検査手段
D 外形寸法検査手段
Claims (3)
- 板状の被搬送物を把持するチャック手段と、
上記被搬送物の外周近傍を吸引する環状の吸着パッドを有し、該吸着パッドにより上記被搬送物を吸引したときの真空到達度によって上記被搬送物のひびの有無を検査するひび検査手段と
を具備することを特徴とするチャックハンド。 - 上記被搬送物の反りを検査する反り検査手段を具備することを特徴とする請求項1記載のチャックハンド。
- 上記被搬送物の外形寸法を検査する外形寸法検査手段を具備することを特徴とする請求項1または2記載のチャックハンド。
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