JPWO2019039185A1 - 不飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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    • C08F283/01Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers provided for in subclass C08G on to unsaturated polyesters

Abstract

本発明は、耐衝撃性に優れる不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明は、不飽和ポリエステル(A)と、式(1)で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル重合体(B)と、X−(COOCH2CH=CH2)n…(1)[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Xは、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である。]2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体(C)とを、含有する耐衝撃に優れる不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供する。

Description

本発明は、耐衝撃性に優れる不飽和ポリエステル樹脂組成物に関するものである。
コンデンサー、コイル、抵抗体などの電子部品において、信頼性や耐熱性に優れる熱硬化性樹脂成形材料が用いられてきた。求められる性能は、電子部品の形状や大きさによって異なるが、物理的性能として、耐湿性・低応力性・高熱伝導性・耐衝撃性などが挙げられる。この性能を満足する樹脂としてジアリルフタレート樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。
しかしながら、近年の電子情報機器の高機能化・小型化に伴って熱硬化性樹脂を用いた成形部品に対する要求性能はますます厳しくなっている。特に、小型化に伴う薄肉化によって耐衝撃性のより一層の向上が求められている。
耐衝撃性を向上させる方法として、特許文献1〜3には不飽和ポリエステル樹脂組成物にゴム状重合体や特定の平均粒径(例えば、平均粒径0.05〜100μm程度、特許文献3)を有するアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる微粒子を分散させる方法が記載されている。しかしながら、数十ミクロン程度の微粒子を組成物中に均一に分散させるには高度な混錬技術が必要とされ、分散が不十分な場合、物理的性能の物性にばらつきが発生することが懸念される。
特開2003−327845号公報 特開2004−123897号公報 特開2004−269761号公報
本発明の目的は、耐衝撃性に優れる不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、不飽和ポリエステル(A)と、
式(1)で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル重合体(B)と、
X−(COOCHCH=CH…(1)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Xは、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である。]
2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体(C)とを、含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いることにより、耐衝撃性が向上した樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
項1.不飽和ポリエステル(A)と、
式(1)で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル重合体(B)と、
X−(COOCHCH=CH…(1)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Xは、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である。]
2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体(C)とを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物。
項2.上記式(1)で表されるアリル化合物が、下記式(4)〜(11)で表される化合物のいずれかである項1の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
Figure 2019039185
[式中、nは2〜4のいずれかの整数である。]
項3.2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体(C)が、
式(2)で表されるアリル系化合物、または式(3)で表される(メタ)アクリレート系化合物である項1または2に記載の樹脂組成物。
Y−(COOCHCH=CH …(2)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Yは、結合部、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基、又はn価の芳香族式炭化水素基である。Yが結合部の場合、nは2であり、2つの−COOCH2CH=CH2が直接結合する。]
または、
Z−(OCOCR=CH…(3)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Rは、HまたはCHを表し、Zはn価の炭素数2〜10の脂肪族鎖状炭化水素基である。]
項4.さらに、重合開始剤(D)を含有する項1〜3のいずれかに記載の組成物。
項5.さらに、無機充填剤(E)を含有する項1〜4のいずれかに記載の組成物。
項6.項1〜5のいずれかに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
項7.項1〜6のいずれかに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、耐衝撃性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供する。
本発明によれば、耐熱性と絶縁性を維持しながら優れた耐衝撃性を有し、電子部品の小型化・薄肉化に効果的である不飽和ポリエステル樹脂組成物が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
不飽和ポリエステル樹脂組成物
本発明は、不飽和ポリエステル(A)と、
式(1)で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル重合体(B)と、
X−(COOCHCH=CH…(1)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Xは、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である。]
2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体(C)とを、含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物である。
本発明によれば、耐熱性と絶縁性を維持しながら優れた耐衝撃性が得られる。このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
不飽和ポリエステル(A)にアリル重合体(B)を配合することにより、得られる硬化物の耐熱性は改善するが、不飽和ポリエステル樹脂組成物が脆くなる傾向があり、耐衝撃性は充分でない。また、不飽和ポリエステル(A)に多官能性単量体(C)を配合することにより、得られる硬化物の耐衝撃性は改善するが、不飽和ポリエステル樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向がある。これに対して、本発明では、不飽和ポリエステル(A)に、アリル重合体(B)と共に多官能性単量体(C)を配合することにより、アリル重合体(B)を単独で配合した場合に向上した耐熱性を保ちつつ、多官能性単量体(C)を単独で配合した場合に耐熱性が低下する傾向が解消される。これは、不飽和ポリエステル(A)とアリル重合体(B)を多官能性単量体(C)により架橋することにより奏するものと推測される。
不飽和ポリエステル(A)
本発明で用いる不飽和ポリエステル(A)は、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。不飽和ポリエステルは、一般的に、多価アルコールを多塩基酸(不飽和多塩基酸や飽和多塩基酸)と重縮合(エステル化)させて得られた化合物であり、所望の特性に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明における不飽和ポリエステル(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは5,000〜20,000である。なお、本明細書において「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工株式会社製Shodex GPC−101)を用いて常温(25℃)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めた値のことを意味する。
本発明の不飽和ポリエステル(A)の合成に用いられる多価アルコールとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、グリセリン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度及び成形性の観点から、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びビスフェノールA又は水素化ビスフェノールAが好ましい。これらの多価アルコールは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の不飽和ポリエステル(A)の合成に用いられる不飽和多塩基酸としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。不飽和多塩基酸の例としては、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
不飽和ポリエステルの合成に用いられる飽和多塩基酸としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。飽和多塩基酸の例としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘット酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
上記多塩基酸の中でも、耐熱性、機械的強度及び成形性等の観点から、不飽和多塩基酸が好ましく、無水マレイン酸及びフマル酸がより好ましい。一方、本発明の効果がより好適に得られるという観点からは、飽和多塩基酸が好ましく、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸がより好ましく、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が更に好ましく、イソフタル酸が特に好ましい。
不飽和ポリエステル(A)としては、特に限定されず、単独もしくは2種以上を併用してもよいが、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、不飽和ポリエステルの合成に用いられる多塩基酸として飽和多塩基酸が使用された、飽和多塩基酸系不飽和ポリエステルが好ましく、不飽和ポリエステルの合成に用いられる多塩基酸としてイソフタル酸が使用された、イソフタル酸系不飽和ポリエステルがより好ましい。
本発明の不飽和ポリエステル(A)は、上記のような原料を用いて公知の方法で合成することができる。この合成における各種条件は、使用する原料やその量に応じて適宜設定する必要があるが、一般的に、窒素等の不活性ガス気流中、140〜230℃の温度にて加圧又は減圧下でエステル化させればよい。このエステル化反応では、必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。触媒の例としては、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド、シュウ酸第一錫、酢酸亜鉛、及び酢酸コバルト等の公知の触媒を例示することができる。これらは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の不飽和ポリエステル(A)の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物全量に対して、5〜95重量%の範囲であればよく、10〜90重量%の範囲が好ましく、10〜70重量%の範囲がより好ましい。上限は50重量%が特に好ましく、30重量%が最も好ましい。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
アリル重合体(B)
本発明のアリル重合体(B)は、式(1)で表されるアリル化合物を、
X−(COOCHCH=CH…(1)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Xは、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である。]
重合することによって得られる重合体であれば、特に制限なく用いることが可能である。
なおn価とは、Xと結合するCOOHの数に基づいており、式(1)ではXと結合する−COOCH2CH=CH2の数を指す。「アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基」という表現も、同様に、アルキル基以外の置換基が脂環式炭化水素基に結合する態様を排除するものではないが、アルキル基以外の置換基を有さなくてもよい。
アリル重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜150,000であることが好ましく、5,000〜140,000であることがより好ましい。特にnが2であり、かつXが、脂環式炭化水素基の環構造を形成する炭素数が4〜10の脂環式炭化水素基である場合のアリル重合体(B)の重量平均分子量は、より好ましくは8,000以上、更に好ましくは10,000以上、特に好ましくは25,000以上であり、より好ましくは120,000以下、更に好ましくは100,000以下である。なお、明細書において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所社製、GPCシステム)を用いて常温(25℃)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
上記式(1)で表されるアリル化合物に基づく単量体単位の含有量は、アリル重合体(B)100重量%中、20重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが更に好ましく、98重量%以上であることが特に好ましく、100重量%であってもよい。アリル重合体(B)は、上記式(1)で表されるアリル化合物のうち2以上の異種化合物、即ち、脂環式アリル化合物、および芳香族系アリル化合物のうちの2以上の共重合体であってもよい。また、アリル重合体(B)は、上記式(1)で表されるアリル化合物と、式(1)で表されるアリル化合物以外の化合物、例えばスチレンモノマーのようなC=C二重結合を有する異種モノマーとの共重合体であってもよい。式(1)で表されるアリル化合物のうち1つを単独重合したホモポリマーが、特に好ましい。
本発明のアリル重合体(B)の含有量は、不飽和ポリエステル(A)100重量部に対して、5〜900重量部であればよく、10〜800重量部であることが好ましく、10〜300重量部であることがより好ましく、10〜200重量部であることが更に好ましい。上限は150重量部であることが更に好ましく、100重量部であることが特に好ましく、70重量部であることが最も好ましく、50重量部であることがより最も好ましい。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
上記式(1)中のXは、耐衝撃性を更により向上させる観点から、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である。
(i)アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基
上記式(1)中のXが、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である場合、脂環式炭化水素基の環構造を形成する炭素数は3〜18であることが好ましく、4〜12であることがより好ましく、4〜10であることがより更に好ましく、5〜7であることが特に好ましい。
n価の脂環式炭化水素基は、飽和のn価の脂環式炭化水素基であってもよく、一部において不飽和結合を有していてもよいが、飽和のn価の脂環式炭化水素基であることが好ましい。すなわち、不飽和結合の数は、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0が特に好ましい。なお、本発明において、脂環式とは、芳香性を有しない環状構造を有する炭化水素基を意味する。
また環の数は1つ又は2つが好ましく、1つが特に好ましいが、3つ以上であってもよい。環の数が2つ以上である場合、縮環型であってもよく、橋架け環であってもよく、縮環と橋架け環の両方の構造を有していてもよいが、橋架け環を有するものが好ましい。
式(1)中のXが、n価の脂肪族鎖状炭化水素基において、nは2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
また、n価の脂環式炭化水素基はアルキル基を有していてもよく、有していなくてもよい。アルキル基は炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖であればよく、炭素数1〜5であることが好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。アルキル基は、脂環式炭化水素基の置換可能位置に1個又は2個以上存在していてもよい。更に、n価の脂環式炭化水素基は、アルキル基以外の置換基を有していてもよく、有していなくともよい。
上記式(1)中のXが、n価の脂環式炭化水素基である場合の具体的なアリル化合物としては、下記一般式(4)〜(11)(特には、式(6)〜式(9)が好ましい)の化合物を例示することができる。
Figure 2019039185
[式中、nは2〜4のいずれかの整数である。]
式(4)〜(11)において、環構造内で架橋されていてもよく、環構造内で架橋されたものの例として、アダマンダン、ノルボルナン等が挙げられる。
式(4)〜(11)の環上におけるCOOCHCH=CH基の置換位置は何れの組み合わせであっても良く、それらの混合物でも良い。特に、2つのCOOCHCH=CH基が6員環に結合するときに、2つのCOOCHCH=CH基は、オルト配向(1,2位の2置換)、またはメタ配向(1,3位の2置換)、またはパラ配向(1,4位の2置換)のいずれでもよいが、オルト配向(1,2位の2置換)、またはパラ配向(1,4位の2置換)であることが好ましい。
上記式(1)中のXが、n価の脂環式炭化水素基である場合の具体的なアリル化合物としては、シクロブタンジカルボン酸ジアリル、シクロペンタンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(ヘキサヒドロフタル酸ジアリル、より具体的には、ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、ヘキサヒドロ−1,3−ジアリルイソフタレート、ヘキサヒドロ−1,4−ジアリルテレフタレート)、ノルボルナンジカルボン酸ジアリル、シクロブテンジカルボン酸ジアリル、シクロペンテンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキセンジカルボン酸ジアリル(テトラヒドロフタル酸ジアリル)及びノルボルネンジカルボン酸ジアリル、3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル、2−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル等を例示することができる。Xは、より特に好ましくは、不飽和結合を有しない環状構造であって、炭素数が4〜7、更には炭素数が5または6、最も好ましくは炭素数が6である。中でも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、ノルボルナンジカルボン酸ジアリルが好ましく、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリルがより好ましい。
以下、Xがアルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基であるアリル化合物を「脂環式アリル化合物」ということがある。
(ii)アリル化合物の製造方法
本発明のアリル化合物は、市販しているものを購入して用いてもよく、下記式(12)で表わされるカルボン酸化合物、又はそれらの酸無水物とハロゲン化アリル又はアリルアルコールとを、必要に応じて用いることが可能な、酸性物質、塩基性物質、触媒、溶媒などの存在下、反応させることにより製造することもできる。一般式(12)で表わされるカルボン酸化合物は試薬や工業薬品として入手可能である。
W−(COOH)…(12)
[式(12)中、n、及びWに関しては、上記式(1)におけるn、及びXと同じ意味である。]
ハロゲン化アリルとしては、例えばアリルクロリド、アリルブロミド、アリルヨージド等が挙げられる。ハロゲン化アリルの使用量に特に制限は無いが、一般式(12)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、2〜20当量の範囲であるのが好ましく、反応速度及び容積効率の観点からは、2.3〜10当量の範囲であるのがより好ましい。これらのハロゲン化アリル化合物は試薬や工業薬品として入手可能である。
アリルアルコールは試薬や工業薬品として入手可能である。アリルアルコールの使用量に特に制限は無いが、一般式(12)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、2〜10モル当量の範囲であるのが好ましく、2〜5モル当量の範囲であるのがより好ましい。
酸性物質としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、硫酸が挙げられ、酸性物質の使用量は、一般式(12)で表わされるカルボン酸化合物に対して0.001〜0.1当量の範囲であるのが好ましく、0.005〜0.05当量の範囲であるのがより好ましい。
塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属の水素化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素化物、アルコラート等が一般に用いられるが、アルカリ土類金属の水酸化物、水素化物、炭酸化物、炭酸水素化物や、第4級アンモニウム化合物や脂肪族アミンや芳香族アミンのような有機塩基を用いることも可能である。塩基性物質の使用量は、一般式(12)で表わされるカルボン酸化合物に対して0.5〜30当量の範囲であるのが好ましく、2〜15当量の範囲であるのがより好ましい。
触媒として、例えば銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、バナジウム等の遷移金属や遷移金属塩が用いられるが、このうち銅化合物が好適に用いられる。
銅化合物としては特に限定はなく、ほとんどの銅化合物が用いられるが、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、酸化第一銅等のハロゲン化銅、シアン化第一銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、リン酸第二銅、硝酸第一銅、硝酸第二銅等の無機酸の銅塩、水酸化第二銅、炭酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅等が好ましい。その中でも特に、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、硫酸銅、酢酸第二銅は容易に入手可能で安価な点で好適である。
反応は、溶媒の存在下又は不存在下にて実施できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン等が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、一般式(12)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、0.01〜20倍重量の範囲であるのが好ましく、0.1〜10倍重量の範囲であるのがより好ましい。本反応の場合、溶媒を特に使用しなくてもアリル化合物を効率よく製造できる。
特に、塩基性物質を水溶液として反応に用いる場合、反応を促進させるために相間移動触媒を使用するのが好ましい。相間移動触媒に特に制限はないが、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第4級アンモニウム塩;テトラブチルホスホニウムクロリド等のホスホニウム塩;15−クラウン−5,18−クラウン−6等のクラウンエーテル等が挙げられる。相間移動触媒を使用する場合、その使用量は、一般式(12)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、0.001〜1当量の範囲であるのが好ましく、0.01〜0.4当量の範囲であるのがより好ましい。
反応温度は、十分な反応速度を得、かつ副反応を効果的に抑え高収率を得る意味において、通常、−30〜150℃の範囲であるのが好ましく、−10〜130℃の範囲であるのがより好ましい。また、反応時間は10分〜15時間の範囲であるのが好ましく、副反応抑制の観点からは10分〜10時間の範囲であるのがより好ましい。
反応は、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下で実施するのが好ましい。また、反応は大気圧下でも加圧下でも実施できるが、製造設備面の観点からは、大気圧下で実施するのが好ましい。反応は、例えば攪拌型反応装置に原料を一度に、又は分割して仕込み、上記「0043」記載の所定温度で所定時間反応させることにより行なうことができる。
反応終了後、得られた反応混合液を中和した後、必要に応じて水、飽和食塩水等で洗浄してから濃縮し、更に蒸留、カラムクロマトグラフィー等の、有機化合物の精製において通常用いられる精製操作を行なうことによって、純度の高いアリル化合物を取得できる。
(iii)アリル重合体(B)の製造方法
アリル化合物の重合方法は、特に限定されず、通常の重合反応を用いることができる。また、重合反応には、必要に応じて、適宜重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤を用いることで、より高分子量の重合体を短時間に得ることができる。
アリル化合物の重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ系重合開始剤、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド等のリン系光重合開始剤などが挙げられる。上記光重合開始剤は、チオキサントン等のイオウ系化合物、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン等のベンジル系化合物など増感剤と併用してもよい。
重合開始剤の添加量は、アリル化合物100重量部に対して、5.0重量部以下であることが好ましく、3.0重量部以下であることがより好ましく、0.001〜3.0重量部であることがより更に好ましい。
重合時の反応温度は60〜240℃であることが好ましく、80〜220℃であることがより好ましい。反応時間は、0.1〜100時間であることが好ましく、1〜30時間であることがより好ましい。
上記式(1)で表されるアリル化合物を上述の方法等により重合することにより、上記式(1)で表されるアリル化合物に基づく単量体単位を有するアリル重合体(B)を調製できる。以下では、「脂環式アリル化合物」を重合して得られるアリル重合体を「脂環式アリル重合体」ということがある。
多官能性単量体(C)
本発明に用いる多官能性単量体(C)としては、2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体であれば特に限定されない。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、メタアクリロイル基の一方又は両方を意味する。多官能性単量体(C)が有する官能基((メタ)アクリロイル基またはアリル基)の数は、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3、更に好ましくは2である。
多官能性単量体(C)としては、例えば、式(2)で表されるアリル系化合物、または式(3)で表される(メタ)アクリレート系化合物を例示することができる。多官能性単量体(C)としては、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性単量体が好ましく、式(3)で表される(メタ)アクリレート系化合物がより好ましい。また、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、又はアルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基と、2以上のアリル基を有する多官能性単量体も好ましく、Yが、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、又はアルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である式(2)で表されるアリル系化合物もより好ましい。
Y−(COOCHCH=CH …(2)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Yは、結合部、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基、又はn価の芳香族式炭化水素基である。Yが結合部の場合、nは2であり、2つの−COOCH2CH=CH2が直接結合する。]
又は、
Z−(OCOCR=CH…(3)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Rは、HまたはCHを表し、Zはn価の炭素数2〜10脂肪族鎖状炭化水素基である。]
アリル系化合物
本発明のアリル系化合物としては、式(2)で表されるアリル系化合物であれば、特に制限なく用いることが可能である。
Y−(COOCHCH=CH …(2)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数(好ましくは2〜3、より好ましくは2)を表わし、Yは、結合部、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基、又はn価の芳香族式炭化水素基である。Yが結合部の場合、nは2であり、2つの−COOCH2CH=CH2が直接結合する。]
なおn価とは、Yと結合するCOOHの数に基づいており、式(2)ではYと結合する−COOCH2CH=CH2の数を指す。また「n価の脂肪族鎖状炭化水素基」という表現は、他の置換基の結合を排除していない事からも明らかな様に、他の置換基が脂肪族鎖状炭化水素基に結合する態様を排除するものではない。「アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基」という表現も、同様に、アルキル基以外の置換基が脂環式炭化水素基に結合する態様を排除するものではないが、アルキル基以外の置換基を有さなくてもよい。また、「n価の芳香族式炭化水素基」という表現は、他の置換基の結合を排除するものではない。
上記式(2)中のYは、耐衝撃性を更により向上させる観点から、結合部、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基、n価の芳香族式炭化水素基である。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基が好ましい。これは、脂肪族鎖状炭化水素基や脂環式炭化水素基は、アリル重合体(B)が有する脂環式炭化水素基との相溶性が高いためと推測される。
(i)結合部又はn価の脂肪族鎖状炭化水素基
Yが結合部又は脂肪族鎖状炭化水素基である場合、上記式(2)で表されるアリル系化合物は、脂肪族カルボン酸アリルエステルとなる。上記式(2)中のYが、n価の脂肪族鎖状炭化水素基である場合、炭素数は1〜18であればよく、2〜12であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが最も好ましい。また、脂肪族鎖状炭化水素は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。また、脂肪族鎖状炭化水素基は、飽和のn価の脂肪族鎖状炭化水素基であってもよく、一部において、不飽和結合を有していてもよいが、飽和であることが好ましい。上記式(2)中のYが、n価の脂肪族鎖状炭化水素基において、nは2又は3であることが好ましく、nは2であることがより好ましい。即ち、Yの炭素数が2〜8であって、かつnが2又は3、特にはnが2である脂肪族鎖状炭化水素基が更に好ましい。
上記式(2)中のYが、結合部又はn価の脂肪族鎖状炭化水素基である場合の具体的なアリル化合物としては、Yが結合部であるシュウ酸ジアリル;Yが飽和脂肪族直鎖状炭化水素基かつn=2の化合物として、マロン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、グルタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、ピメリン酸ジアリル、スベリン酸ジアリル、アゼライン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル;Yが不飽和脂肪族直鎖状炭化水素基かつn=2の化合物として、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル;Yが水酸基を有する飽和脂肪族直鎖状炭化水素基かつn=2の化合物として、リンゴ酸ジアリル、酒石酸ジアリル;Yが水酸基を有する飽和脂肪族鎖状炭化水素基かつn=3の化合物として、クエン酸トリアリル;不飽和結合を含む炭化水素基を有する化合物としてイタコン酸ジアリル;及びn=4の化合物として、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラアリル;を例示することができる。中でも、フマル酸ジアリルおよびマレイン酸ジアリルが好ましく、マレイン酸ジアリルがより好ましい。以下、Yが、結合部又はn価の脂肪族鎖状炭化水素基であるアリル化合物を「脂肪族系アリル化合物」ということがある。
(ii)アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基
上記式(2)中のYが、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である場合、脂環式炭化水素基の環構造を形成する炭素数は3〜18であることが好ましく、4〜12であることがより好ましく、4〜10であることがより更に好ましく、5〜7であることが特に好ましい。
n価の脂環式炭化水素基は、飽和のn価の脂環式炭化水素基であってもよく、一部において不飽和結合を有していてもよいが、飽和のn価の脂環式炭化水素基であることが好ましい。すなわち、不飽和結合の数は、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0が特に好ましい。なお、本発明において、脂環式とは、芳香性を有しない環状構造を有する炭化水素基を意味する。
また環の数は1つ又は2つが好ましく、1つが特に好ましいが、3つ以上であってもよい。環の数が2つ以上である場合、縮環型であってもよく、橋架け環であってもよく、縮環と橋架け環の両方の構造を有していてもよいが、橋架け環を有するものが好ましい。
式(2)中のYが、n価の脂肪族鎖状炭化水素基において、nは2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
また、n価の脂環式炭化水素基はアルキル基を有していてもよく、有していなくてもよい。アルキル基は炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖であればよく、炭素数1〜5であることが好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。アルキル基は、脂環式炭化水素基の置換可能位置に1個又は2個以上存在していてもよい。更に、n価の脂環式炭化水素基は、アルキル基以外の置換基を有していてもよく、有していなくともよい。
上記式(2)中のYが、n価の脂環式炭化水素基である場合の具体的なアリル化合物としては、下記一般式(13)〜(20)(特には、式(15)〜式(18)が好ましい)の化合物を例示することができる。
Figure 2019039185
[式中、nは2〜4のいずれかの整数である。]
式(13)〜(20)において、環構造内で架橋されていてもよく、環構造内で架橋されたもの例として、アダマンダン、ノルボルナン等を例示することができる。
式(13)〜(20)の環上におけるCOOCHCH=CH基の置換位置は何れの組み合わせであっても良く、それらの混合物でも良い。特に、2つのCOOCHCH=CH基が6員環に結合するときに、2つのCOOCHCH=CH基は、オルト配向(1,2位の2置換)またはメタ配向(1,3位の2置換)またはパラ配向(1,4位の2置換)のいずれでもよいが、オルト配向(1,2位の2置換)またはパラ配向(1,4位の2置換)であることが好ましい。
上記式(2)中のYが、n価の脂環式炭化水素基である場合の具体的なアリル系化合物としては、シクロブタンジカルボン酸ジアリル、シクロペンタンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(ヘキサヒドロフタル酸ジアリル、より具体的には、ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、ヘキサヒドロ−1,3−ジアリルイソフタレート、ヘキサヒドロ−1,4−ジアリルテレフタレート)、ノルボルナンジカルボン酸ジアリル、シクロブテンジカルボン酸ジアリル、シクロペンテンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキセンジカルボン酸ジアリル(テトラヒドロフタル酸ジアリル)及びノルボルネンジカルボン酸ジアリル、3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3,6−エンドメチレン−4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル、2−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル等を例示することができる。Yは、より特に好ましくは、不飽和結合を有しない環状構造であって、炭素数が4〜7、更には炭素数が5または6、最も好ましくは炭素数が6である。中でも、ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、3−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート、4−メチル−ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートが好ましく、ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレートがより好ましい。
以下、Yがアルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基であるアリル系化合物を「脂環式アリル化合物」ということがある。
(iii)n価の芳香族式炭化水素基
上記式(2)中のYが、n価の芳香族式炭化水素基である場合、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基のいずれかであることが好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基のいずれかであることがより好ましい。
上記式(2)中のYが、n価の芳香族炭化水素基において、nは2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
上記式(2)中のYが、n価の芳香族式炭化水素基である場合、環上におけるアリルエステル(COOCHCH=CH)基の置換位置は何れの組み合わせであっても良く、それらの混合物でも良い。特に、2つのCOOCHCH=CH基が6員環に結合するときに、2つのCOOCHCH=CH基は、オルト配向またはメタ配向またはパラ配向のいずれでもよいが、オルト配向またはメタ配向であることが好ましい。
上記式(2)中のYが、n価の芳香族炭化水素基である場合の具体的なアリル系化合物としては、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリルなどが挙げられ、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが好ましい。
以下、Yがn価の芳香族式炭化水素基であるアリル系化合物を「芳香族系アリル化合物」ということがある。
上記式(2)で表されるアリル系化合物は、市販しているものを購入して用いてもよく、上記「0035」から「0045」記載の合成方法において、合成することもできる。
(メタ)アクリレート系化合物
本発明の(メタ)アクリレート系化合物としては、式(3)で表される(メタ)アクリレート系化合物であれば、特に制限なく用いることが可能である。式(3)で表される化合物は、脂肪族鎖状炭化水素基を有し、アリル重合体(B)が有する脂環式炭化水素基との相溶性が高いため、本発明の効果がより好適に得られると推測される。
Z−(OCOCR=CH…(3)
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Rは、HまたはCHを表し、Zはn価の炭素数2〜10の脂肪族鎖状炭化水素基である。]
なおn価とは、Zと結合するOCOCR=CHの数に基づいており、式(3)ではZと結合する−OCOCR=CHの数を指す。また「n価の脂肪族鎖状炭化水素基」という表現は、他の置換基の結合を排除していない事からも明らかな様に、他の置換基が脂肪族鎖状炭化水素基に結合する態様を排除するものではない。
上記式(3)中のZが、n価の脂肪族鎖状炭化水素基である場合、炭素数は2〜10であればよく、2〜9であることが好ましく、6〜9であることがより好ましい。また、脂肪族鎖状炭化水素は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。また、脂肪族鎖状炭化水素基は、飽和のn価の脂肪族鎖状炭化水素基であってもよく、一部において、不飽和結合を有していてもよいが、飽和であることが好ましい。上記式(3)中のZが、n価の脂肪族鎖状炭化水素基において、nは2又は3であることが好ましく、nは2であることがより好ましい。即ち、Zの炭素数が2〜9であって、かつnが2又は3、特にはnが2である脂肪族鎖状炭化水素基が更に好ましい
上記式(3)中のRは、HまたはCHであり、CHであることが好ましい。
上記式(3)で表される(メタ)アクリレート系化合物としては、特に限定されず、市販されているものを購入して用いてもよく、合成したものを用いてもよい。具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートを例示することができ、好ましくは1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートである。
また、本発明に用いる(メタ)アクリレート系化合物として、上述したもの以外に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等を用いることも可能である。
多官能性単量体(C)の含有量は、不飽和ポリエステル(A)100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上であり、好ましくは80重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは25重量部以下である。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
多官能性単量体(C)の含有量と不飽和ポリエステル(A)の含有量の比率(多官能性単量体(C)の含有量/不飽和ポリエステル(A)の含有量)は、好ましくは1/100〜1/1.25、より好ましくは1/50〜1/2、更に好ましくは1/20〜1/4である。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
アリル重合体(B)の含有量と不飽和ポリエステル(A)の含有量の比率(アリル重合体(B)の含有量/不飽和ポリエステル(A)の含有量)は、好ましくは1/100〜1/1、より好ましくは1/50〜1/2、更に好ましくは1/20〜1/2である。下限は特に好ましくは1/10、最も好ましくは1/5である。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
重合開始剤(D)
本発明に用いる重合開始剤(D)は、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドの如きジアルキルパーオキサイド類やジアリルパーオキサイド類、tert−ブチル−ペルオキシベンゾエートのようなペルオキシエステル類、tert−ブチル−ペルオキシ−イソプロピルカーボネートペルオキシド類、1,1−ジ−tert−ブチル−ペルオキシ−シクロヘキサンのようなペルオキシケタール類、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾインパーオキサイドのようなジアロイルパーオキサイド類やジアシルパーオキサイド類、ヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド類、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物等を例示することができる。
本発明の重合開始剤(D)の使用量は、不飽和ポリエステル(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。硬化速度を維持し成形性を良くするには3重量部以上が望ましい。また、機械的強度の低下を防止するためには10重量部以下であることが望ましい。
無機充填剤(E)
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤(E)を添加してもよい。無機充填剤(E)として、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、石英ガラス、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム等の金属類の水和物、ガラス粉末、タルク、マイカ等を例示することができる。無機充填剤の粒径は、0.1〜100μmである。好ましくは、0.5〜60μmである。粒径が小さすぎると、組成物粘度が大きくなり、強化繊維に十分含浸せず、材料内部にエアーを混入しやすくなり、成形品に巣が入りやすい。一方、粒径が大きすぎると、粒子の比表面積が小さくなることにより、流動性が低下する。なお、本明細書において、無機充填剤(E)には、後述する繊維強化剤は含まれない。
本発明の無機充填剤(E)の添加量は、不飽和ポリエステル(A)100重量部に対して、10〜1000重量部であればよく、200〜800重量部がより好ましい。上限は600重量部がより好ましく、400重量部が更に好ましく、300重量部が特に好ましい。添加量が少ないと、成形前の材料の取扱い性が低下する。また、添加量が多いと、粘度が大幅に上昇し、成形加工時の流動性が低下するとともに、強化繊維に対する含浸性が低下し、材料内部にエアーを混入しやすくなり、成形品に巣が入りやすい。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、上記の成分に加えて、繊維強化剤、低収縮剤、離型剤、増粘剤、顔料、減粘剤、シランカップリング剤等の当該技術分野において公知の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲において含むことができる。
本発明に用いられる繊維強化剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。繊維強化材の例としては、ガラス繊維、パルプ繊維、テトロン(登録商標)繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ワラストナイト等の様々な有機繊維及び無機繊維を例示することができる。中でも、繊維長1.5〜25mm程度に切断したチョップドストランドガラスを用いることが好ましい。
繊維強化剤の添加量は、不飽和ポリエステル(A)100重量部に対して、10〜1000重量部であればよく、50〜800重量部がより好ましい。上限は更に好ましくは600重量部、特に好ましくは400重量部である。
本発明に用いられる低収縮剤としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエステル、スチレン−ブタジエン系ゴム等の低収縮剤として一般に使用されている熱可塑性ポリマーが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、カルナバワックス等を例示することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等の金属酸化物、及びイソシアネート化合物等を例示することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、当該技術分野において通常行われる方法、例えば、ニーダー等を用いて混練することによって製造することができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、所望の形状に成形して硬化(熱硬化)することによって成形物(硬化物、成形品)を製造することができる。成形及び硬化方法としては、特に限定されず、当該技術分野において通常行われる方法、例えば、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等を用いることができる。
実施例
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(分析方法)
後述する製造例において、アリル重合体の分析は下記に記載の方法を用いて行った。
1)アリル重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)はGPCを用いて測定した。標準ポリスチレン換算の重量平均分子量の値である。
カラム:ShodexKF−806L、KF−804、KF−803、KF−802、KF−801を直列に接続
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出:RID−6A
試料:試料20mgをテトラヒドロフラン8mLに溶解させ測定用のサンプルとした。
製造例1:フマル酸ジアリル(ジアリルフマレート)の合成
500mLのフラスコにアリルアルコール145.2g(2.50mol)、トルエン137.5(1.49mol)、フマル酸116.1g(1.00mol)、ドデシルベンゼンスルホン酸6.53g(0.02mol)を仕込み、磁気撹拌子で撹拌させオイルバスで還流させた。24時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。得られた反応液に対して中和、水洗を行い、低沸分をロータリーエバポレーターで留去し、得られた濃縮液を減圧蒸留することで目的のフマル酸ジアリルを74.0g得た。得られたフマル酸ジアリルを実施例2に用いた。
製造例2 ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート重合体の重合
3Lのセパラブルフラスコにヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、富士フイルム和光純薬株式会社製)600gを加え、160℃で加熱攪拌し、5時間反応させた。その後、氷浴にて60℃まで冷却した後、フラスコにメタノール1.8kgを加え得られた重合体を沈殿させた。その後、バス温度60℃で1時間還流させ、得られた重合体からモノマーの抽出を行った。モノマー抽出後に得られた重合体を40℃で8時間減圧乾燥した。(収量:120g,収率:20%)。得られた重合体(Mw=6.1万,Mw/Mn=3.9)を各実施例に用いた。
実施例1〜4、及び比較例1
表1に示す各材料を配合し、組成物を得た。得られた組成物を予備混合後、90〜110℃の加熱ロールで溶融混練し、冷却後粉砕して各成形材料を得た。
Figure 2019039185
(表1の注)
※1 不飽和ポリエステル樹脂:日本ユピカ株式会社製「不飽和ポリエステル8542」
※2 ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート重合体:製造例2で重合した重合体
※3 ジアリルフタレート樹脂:株式会社大阪ソーダ製「ダイソーダップA」
※4 ジアリルフマレート:製造例1で合成したもの
※5 ヘキサヒドロ−1,2−ジアリルフタレート:富士フイルム和光純薬株式会社製
※6 1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート:新中村化学工業社製「HD−N」
※7 ジアリルフタレート:株式会社大阪ソーダ製「ダイソーダップモノマー」
※8 昭和電工株式会社製「ハイジライトH−32」
※9 ガラス繊維:オーエンスコーニングジャパン株式会社製「03IE830A」
※10 日油株式会社製「パークミルD」
※11 堺化学工業株式会社製「ステアリン酸亜鉛」
実施例および比較例で得られた各成形材料の物性を下記の条件で測定した。測定結果を表2に示す。
衝撃強度の測定
各成形材料を金型温度160度、成形時間5分間の圧縮成形により成形品を得、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準じて、株式会社東洋精機製作所製シャルピー衝撃試験機を用いて測定を行った。
曲げ強さ
各成形材料を金型温度160度、成形時間4分間の移送成形により成形品を得、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準じて、株式会社東洋精機製作所製STROGRAPH Wを用いて測定を行った。
体積抵抗率
移送成形により成形品を得、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準じてHEWLETT PACKARD社製4329A HIGH RESISTANCE METERを用いて測定を行った。
荷重たわみ温度
金型温度160度、成形時間5分間の圧縮成形により成形品を得、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準じて安田精機社製ヒートデストーションテスターを用いて測定を行った。
Figure 2019039185
表2に示すように、実施例1〜4はいずれも、曲げ強さ、体積抵抗率、荷重たわみ温度には実質的な差は見られなかったが、シャルピー衝撃強度が向上し、耐衝撃性が改善した。一般的に、耐熱性(荷重たわみ温度)と、耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)は背反性能であるため、両者を両立することは困難であるが、不飽和ポリエステル(A)、アリル重合体(B)、多官能性単量体(C)を配合することにより、良好な耐熱性(荷重たわみ温度)を有しつつ、耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)を改善でき、両者を両立できることが分かった。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、電気的特性、機械的特性及び耐熱性を実質的に損なうことなく非常に優れた耐衝撃性を有した不飽和ポリエステル樹脂成形材料に関するものである。本発明の不飽和ポリエステル樹脂成形材料は、優れた耐衝撃性を生かし、例えば小型・薄肉のコイルボビン、スイッチケース、端子板、コネクター、マグネットスイッチ等の電気・電子部品などに使用できる。



Claims (7)

  1. 不飽和ポリエステル(A)と、
    式(1)で表されるアリル化合物を重合して得られるアリル重合体(B)と、
    X−(COOCHCH=CH…(1)
    [式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Xは、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基である。]
    2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体(C)とを、含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記式(1)で表されるアリル化合物が、下記式(4)〜(11)で表される化合物のいずれかである請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2019039185
    [式中、nは2〜4のいずれかの整数である。]
  3. 2以上の(メタ)アクリロイル基、または2以上のアリル基を有する多官能性単量体(C)が、
    式(2)で表されるアリル系化合物、または式(3)で表される(メタ)アクリレート系化合物である請求項1または2に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
    Y−(COOCHCH=CH …(2)
    [式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Yは、結合部、n価の脂肪族鎖状炭化水素基、アルキル基を有してもよいn価の脂環式炭化水素基、又はn価の芳香族式炭化水素基である。Yが結合部の場合、nは2であり、2つの−COOCH2CH=CH2が直接結合する。]
    または、
    Z−(OCOCR=CH…(3)
    [式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Rは、HまたはCHを表し、Zはn価の炭素数2〜10の脂肪族鎖状炭化水素基である。]
  4. さらに、重合開始剤(D)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  5. さらに、無機充填剤(E)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。

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