JP2021105068A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、VOC等の環境問題がなく、低温での硬化性に優れる熱硬化性樹脂組成物を提供することにある。【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と、式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルと、【化1】[式中、nは2〜4いずれかの整数を表わし、Zはn価の脂肪族炭化水素基、又は結合部(但し、nが2の場合のみ)である。]ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類からなる群より選択される1種の開始剤とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、低温での硬化性に優れる樹脂組成物が得られることを見出した。【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂組成物に関するものである。
最近、コンデンサー、コイル、抵抗体等の電子部品において、信頼性や生産性向上を目的として、封止用樹脂が用いられるようになってきている。封止用樹脂として求められる性能は、電子部品の形状や大きさによって異なるが、物理的性能として、耐湿性・低応力性・高熱伝導性・耐衝撃性等が挙げられる。この性能を満足する樹脂としてジアリルフタレート樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。
公知の不飽和ポリエステル樹脂組成物、ビニルエステル樹脂組成物といった樹脂組成物は、架橋剤として、一般に反応性に優れるスチレンが用いられている(特許文献1参照)。しかしながら、海洋汚染等の環境問題、及び揮発性有機化合物(VOC)の問題があるために、スチレン以外の架橋剤の開発が望まれている。
また、特許文献2では、不飽和ポリエステル樹脂とジアリルフタレートモノマーを含む絶縁用樹脂組成物において、特定のパーオキシカーボネートを開始剤として用いることにより、比較的低温にて硬化させ得ることが記載されている。しかしながら、反応温度が低温では硬化に要する時間が長いため、スチレンを同程度の反応性に優れる樹脂組成物の開発が求められている。また、汎用性に優れる熱硬化性樹脂組成物の開発が求められている。
本発明の目的は、VOC等の環境問題がなく、低温での硬化性に優れる熱硬化性樹脂組成物を提供することである。
本願発明者は、鋭意研究の結果、
不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と、
式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルと、
[式中、nは2〜4いずれかの整数を表わし、Zはn価の脂肪族炭化水素基、又は結合部(但し、nが2の場合のみ)である。]
ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類からなる群より選択される1種の開始剤とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、低温での硬化性に優れる樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と、
式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルと、
ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類からなる群より選択される1種の開始剤とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、低温での硬化性に優れる樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のように記載することができる。
項1. 不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と、
式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルと、
[式中、nは2〜4いずれかの整数を表わし、Zはn価の脂肪族炭化水素基、又は結合部(但し、nが2の場合のみ)である。]
ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類からなる群より選択される1種の開始剤とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
項2. 式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルが、コハク酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、及びシトラコン酸ジアリルからなる群より選択される1種である項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
項3. 項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
項4. 項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物を成型してなることを特徴とする成形品。
項1. 不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と、
式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルと、
ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類からなる群より選択される1種の開始剤とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
項2. 式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルが、コハク酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、及びシトラコン酸ジアリルからなる群より選択される1種である項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
項3. 項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
項4. 項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物を成型してなることを特徴とする成形品。
本発明によれば、低温での硬化性に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られる。中でも、開始剤として、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類の何れかを用いた場合、熱硬化性樹脂組成物の最高到達温度が高く、低温でのゲル硬化時間が短くなる点で、成型時における生産効率(加熱条件等)に優れる。さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、耐衝撃性(衝撃強度、曲げ強さ、荷重たわみ温度)等の機械的強度や、体積抵抗率に優れる。
以下に熱硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
熱硬化性樹脂組成物
本発明の熱硬化性脂組成物には、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と、
式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルと、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類からなる群より選択される1種の開始剤とを、少なくとも含有する。
[式中、nは2〜4いずれかの整数を表わし、Zはn価の脂肪族炭化水素基、又は結合部(但し、nが2の場合のみ)である。]
本発明における熱硬化性樹脂組成物に含有させる樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂が好ましい。
本発明の熱硬化性脂組成物には、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と、
式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルと、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類からなる群より選択される1種の開始剤とを、少なくとも含有する。
本発明における熱硬化性樹脂組成物に含有させる樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂が好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂
本発明で用いる不飽和ポリエステル樹脂は、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。不飽和ポリエステル樹脂は、一般的に、多価アルコールを不飽和多塩基酸や飽和多塩基酸と重縮合(エステル化)させて得られた化合物であり、所望の特性に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明で用いる不飽和ポリエステル樹脂は、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。不飽和ポリエステル樹脂は、一般的に、多価アルコールを不飽和多塩基酸や飽和多塩基酸と重縮合(エステル化)させて得られた化合物であり、所望の特性に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、3,000〜50,000である。なお、本明細書において「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工株式会社製Shodex GPC−101)を用いて常温で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めた値のことを意味する。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の合成に用いられる多価アルコールとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、グリセリン等を例示することができる。これらの多価アルコールは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の合成に用いられる不飽和多塩基酸としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。不飽和多塩基酸の例としては、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等を例示することができる。これらは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
不飽和ポリエステル樹脂の合成に用いられる飽和多塩基酸としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。飽和多塩基酸の例としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘット酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を例示することができる。これらは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。上記の中でも、耐熱性、機械的強度及び成形性等の観点から、不飽和多塩基酸が好ましい。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、上記のような原料を用いて公知の方法で合成することができる。この合成における各種条件は、使用する原料やその量に応じて適宜設定する必要があるが、一般的に、窒素等の不活性ガス気流中、140〜230℃の温度にて加圧又は減圧下でエステル化させればよい。このエステル化反応では、必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。触媒の例としては、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド、シュウ酸第一錫、酢酸亜鉛、及び酢酸コバルト等の公知の触媒を例示することができる。これらは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全量に対して、10〜98重量%の範囲であればよく、15〜95重量%の範囲が好ましく、20〜90重量%の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
ビニルエステル樹脂
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられるビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応によって得られる反応生成物である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられるビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応によって得られる反応生成物である。
前記のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂類、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂類、これらの樹脂の臭素化エポキシ樹脂等のフェノール類のグリシジルエーテル類、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の多価アルコール類のグリシジルエーテル類、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂類、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p一アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン類、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
不飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、モノメチルマレート、モノメチルフマレート、モノシクロヘキシルフマレート、あるいはソルビン酸等が挙げられる。これら酸は単独もしくは、2種以上を併せて用いられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
ビニルエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、2,000〜500,000が好ましく、4,000〜100,000がより好ましい。ビニルエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、250〜5,000が好ましく、500〜3,000がより好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量」及び「数平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、GPCシステム)を用いて常温で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
ビニルエステル樹脂としては、特に限定されず、単独もしくは2種以上を併用してもよい。
本発明のビニルエステル樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全量に対して、10〜98重量%の範囲であればよく、15〜95重量%の範囲が好ましく、20〜90重量%の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
脂肪族多官能アリルエステル(架橋剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルを含有する。
[式中、nは2〜4のいずれかの整数を表わし、Zはn価の脂肪族炭化水素基、又は結合部(但し、nが2の場合のみ)である。]
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルを含有する。
式(1)において、nは2又は3であることが好ましく、2であることが特に好ましい。
式(1)において、n価の脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜18であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜6であることが更に好ましい。
n価の脂肪族炭化水素基は、飽和のn価の脂肪族炭化水素基であってもよく、一部において不飽和結合を有していてもよい。中でも、未反応のまま残留する架橋剤量(多官能アリルエステル量)が減少し、得られる硬化物の物性をより良好なものとすることができるという理由から、構造内に1つ以上の不飽和結合を有することが好ましい。
n価の脂肪族炭化水素基は、分岐構造を有してもよいが、分岐構造を有さない直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。
n価の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜6であるアルコキシ基、ハロゲン原子、アリル基、ビニル基、ヒドロキシ基等の置換基を有してもよいが、n個のアリルエステル基以外の置換基を有さないことが好ましい。
n価の脂肪族炭化水素基は、飽和のn価の脂肪族炭化水素基であってもよく、一部において不飽和結合を有していてもよい。中でも、未反応のまま残留する架橋剤量(多官能アリルエステル量)が減少し、得られる硬化物の物性をより良好なものとすることができるという理由から、構造内に1つ以上の不飽和結合を有することが好ましい。
n価の脂肪族炭化水素基は、分岐構造を有してもよいが、分岐構造を有さない直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。
n価の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜6であるアルコキシ基、ハロゲン原子、アリル基、ビニル基、ヒドロキシ基等の置換基を有してもよいが、n個のアリルエステル基以外の置換基を有さないことが好ましい。
2価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基が挙げられ、アルケニレン基が好ましい。アルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等があげられる。中でも、ビニレン基が好ましい。
式(1)において、Zが結合部の場合、式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルは、シュウ酸ジアリルである。
式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルとして、シュウ酸ジアリル、マロン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、グルタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、ピメリン酸ジアリル、スベリン酸ジアリル、アゼライン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、クエン酸トリアリル、酒石酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、シトラコン酸ジアリル等が挙げられる。これらは、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。中でも、コハク酸ジアリル、フマル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、シトラコン酸ジアリルが好ましく、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、シトラコン酸ジアリルがより好ましい
本発明の式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルは、式(2)で表わされるカルボン酸化合物、又はそれらの酸無水物とハロゲン化アリル又はアリルアルコールとを例えば、酸性物質、塩基性物質、触媒、溶媒の存在下、反応させることにより製造することができる。式(2)で表わされるカルボン酸化合物は試薬や工業薬品として入手可能である。
Z-(COOH)n ・・・(2)
[式中、n、及びZ関しては、前記式(1)におけるn、及びZと同じ意味である。]
Z-(COOH)n ・・・(2)
[式中、n、及びZ関しては、前記式(1)におけるn、及びZと同じ意味である。]
ハロゲン化アリルとしては、例えばアリルクロリド、アリルブロミド、アリルヨージド等が挙げられる。ハロゲン化アリルの使用量に特に制限は無いが、式(2)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、2〜20当量の範囲であるのが好ましく、反応速度及び容積効率の観点からは、2.3〜10当量の範囲であるのがより好ましい。これらのハロゲン化アリル化合物は試薬や工業薬品として入手可能である。
アリルアルコールは試薬や工業薬品として入手可能である。アリルアルコールの使用量に特に制限は無いが、式(2)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、2〜10当量の範囲であるのが好ましく、2〜5当量の範囲であるのがより好ましい。
酸性物質としては、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、硫酸が挙げられ、酸性物質の使用量は、式(2)で表わされるカルボン酸化合物に対して0.001〜0.1当量の範囲であるのが好ましく、0.005〜0.05当量の範囲であるのがより好ましい。
塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属の水素化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素化物、アルコラート等が一般に用いられるが、第4級アンモニウム化合物や脂肪族アミンや芳香族アミンのような有機塩基を用いることも可能である。塩基性物質の使用量は、式(2)で表わされるカルボン酸化合物に対して0.5〜30当量の範囲であるのが好ましく、2〜15当量の範囲であるのがより好ましい。
触媒として、例えば銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、バナジウム等の遷移金属や遷移金属塩が用いられるが、このうち銅化合物が好適に用いられる。
銅化合物としては特に限定はなく、ほとんどの銅化合物が用いられるが、塩化第一銅、臭化第一銅、酸化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、水酸化第二銅、臭化第二銅、リン酸第二銅、硝酸第一銅、硝酸第二銅、炭酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅等が好ましい。その中でも特に、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、硫酸銅、酢酸第二銅は容易に入手可能で安価な点で好適である。
銅化合物としては特に限定はなく、ほとんどの銅化合物が用いられるが、塩化第一銅、臭化第一銅、酸化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、水酸化第二銅、臭化第二銅、リン酸第二銅、硝酸第一銅、硝酸第二銅、炭酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅等が好ましい。その中でも特に、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、硫酸銅、酢酸第二銅は容易に入手可能で安価な点で好適である。
反応は、溶媒の存在下又は不存在下に実施できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン等が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、式(2)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、0.01〜20倍重量の範囲であるのが好ましく、0.1〜10倍重量の範囲であるのがより好ましい。本反応の場合、溶媒を特に使用しなくても脂肪族多官能アリルエステルを効率よく製造することができる。
特に、塩基性物質を水溶液として反応に用いる場合、反応を促進させるために相間移動触媒を使用するのが好ましい。相間移動触媒に特に制限はないが、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩;テトラブチルホスホニウムクロリド等のホスホニウム塩;15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル等が挙げられる。相間移動触媒を使用する場合、その使用量は、式(2)で表わされるカルボン酸化合物に対して、通常、0.001〜1当量の範囲であるのが好ましく、0.01〜0.4当量の範囲であるのがより好ましい。
反応温度は、十分な反応速度を得、かつ副反応を効果的に抑え高収率を得る意味において、通常、−30〜150℃の範囲であるのが好ましく、−10〜120℃の範囲であるのがより好ましい。また、反応時間は10分〜15時間の範囲であるのが好ましく、副反応抑制の観点からは10分〜10時間の範囲であるのが好ましい。
反応は、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気下で実施するのが好ましい。また、反応は大気圧下でも加圧下でも実施できるが、製造設備面の観点からは、大気圧下で実施するのが好ましい。反応は、例えば攪拌型反応装置に原料を一度に、又は分割して仕込み、上記「0039」記載の所定温度で所定時間反応させることにより行なうことができる。
反応終了後、得られた反応混合液を中和した後、必要に応じて水、飽和食塩水等で洗浄してから濃縮し、さらに蒸留、カラムクロマトグラフィー等の、有機化合物の精製において通常用いられる精製操作を行なうことによって、純度の高い脂肪族多官能アリルエステルを取得できる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂100重量部に対して、脂肪族多官能アリルエステルを5重量部以上含有することが好ましく、10重量部以上含有することがより好ましく、15重量部以上含有することが特に好ましく、200重量部以下含有することが好ましく、180重量部以下含有することがより好ましく、150重量部以下含有することが特に好ましい。
開始剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、重合開始剤を限定なく用いることができる。例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、重合開始剤を限定なく用いることができる。例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられる。重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ケトンパーオキサイド類の具体例としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドが挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類の具体例としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド、及びジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドが挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、例えば、ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルベンゾイルパーオキサイド、及びコハク酸パーオキサイドが挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が挙げられる。
パーオキシケタール類の具体例としては、例えば、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、及び4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ペンタン酸ブチル、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサンが挙げられる。
パーオキシエステル類の具体例としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、tert−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−2−エチルヘキサノイルパーオキシヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−ベンゾイルパーオキシヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、tert−ヘキシルパーオキシ−酢酸エステルが挙げられる。
パーオキシカーボネート類の具体例としては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−4−tert−ブチルシクロヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルオキシジカーボネート、tert−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、及び1,6−ビス(tert−ブチルパーオキシカルボキシロキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカルボネートが挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤の中でも、低温での硬化性に優れる点で、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、及びパーオキシカーボネート類が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物において、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と脂肪族多官能アリルエステルの合計を100重量部として、開始剤を0.01重量部以上含有することが好ましく、0.05重量部以上含有することがより好ましく、0.1重量部以上含有することが特に好ましく、10重量部以下含有することが好ましく、8重量部以下含有することがより好ましく、5重量部以下含有することが特に好ましい。
無機充填剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加してもよい。無機充填剤として、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、石英ガラス、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム等の金属類の水和物、ガラス粉末、タルク、マイカ等を例示することができる。無機充填剤の粒径は、0.1〜100μmである。好ましくは、0.5〜60μmである。粒径が小さすぎると、組成物粘度が大きくなり、強化繊維に十分含浸せず、材料内部にエアーを混入しやすくなり、成形品に巣が入りやすい。一方、粒径が大きすぎると、粒子の比表面積が小さくなることにより、流動性が低下する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加してもよい。無機充填剤として、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、石英ガラス、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム等の金属類の水和物、ガラス粉末、タルク、マイカ等を例示することができる。無機充填剤の粒径は、0.1〜100μmである。好ましくは、0.5〜60μmである。粒径が小さすぎると、組成物粘度が大きくなり、強化繊維に十分含浸せず、材料内部にエアーを混入しやすくなり、成形品に巣が入りやすい。一方、粒径が大きすぎると、粒子の比表面積が小さくなることにより、流動性が低下する。
本発明の無機充填剤の添加量は、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂100重量部に対して、10〜1000重量部であればよく、200〜800重量部がより好ましい。添加量が少ないと、成形前の材料の取扱い性が低下する。また、添加量が多いと、粘度が大幅に上昇し、成形加工時の流動性が低下するとともに、強化繊維に対する含浸性が低下し、材料内部にエアーを混入しやすくなり、成形品に巣が入りやすい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の成分に加えて、繊維強化剤、低収縮剤、離型剤、増粘剤、顔料、減粘剤等の当該技術分野において公知の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲において含むことができる。
本発明に用いられる繊維強化剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。繊維強化材の例としては、ガラス繊維、パルプ繊維、テトロン(登録商標)繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ワラストナイト等の様々な有機繊維及び無機繊維を例示することができる。中でも、繊維長1.5〜25mm程度に切断したチョップドストランドガラスを用いることが好ましい。
本発明に用いられる低収縮剤としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエステル、スチレン−ブタジエン系ゴム等の低収縮剤として一般に使用されている熱可塑性ポリマーが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、カルナバワックス等を例示することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等の金属酸化物、及びイソシアネート化合物等を例示することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等の金属酸化物、及びイソシアネート化合物等を例示することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、当該技術分野において通常行われる方法、例えば、ニーダー等を用いて混練することによって製造することができる
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、所望の形状に成形して硬化することによって成形物を製造することができる。成形及び硬化方法としては、特に限定されず、当該技術分野において通常行われる方法、例えば、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等を用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
後述の実施例及び比較例で用いた材料を以下に説明する。
樹脂
不飽和ポリエステル樹脂:日本ユピカ株式会社製 ユピカ8552
ビニルエステル樹脂:昭和電工株式会社製 リポキシ VR−90
不飽和ポリエステル樹脂:日本ユピカ株式会社製 ユピカ8552
ビニルエステル樹脂:昭和電工株式会社製 リポキシ VR−90
開始剤
開始剤1;ナイパーFF(ジベンゾイルパーオキサイド、日油株式会社製)
開始剤2;パーブチルO(tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油株式会社製)
開始剤3;パーオクタO(1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油株式会社製)
開始剤4;パーブチルZ(tert−ブチルパーオキシベンゾエート、日油株式会社製)
開始剤5;パーブチルE(tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカルボネート、日油株式会社製)
開始剤6;パーヘキシルZ(tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、日油株式会社製)
開始剤7;パーヘキサHC(1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、日油株式会社製)
開始剤8;パーヘキシルA(tert−ヘキシルパーオキシ−酢酸エステル、日油株式会社製)
開始剤1;ナイパーFF(ジベンゾイルパーオキサイド、日油株式会社製)
開始剤2;パーブチルO(tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油株式会社製)
開始剤3;パーオクタO(1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油株式会社製)
開始剤4;パーブチルZ(tert−ブチルパーオキシベンゾエート、日油株式会社製)
開始剤5;パーブチルE(tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカルボネート、日油株式会社製)
開始剤6;パーヘキシルZ(tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、日油株式会社製)
開始剤7;パーヘキサHC(1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、日油株式会社製)
開始剤8;パーヘキシルA(tert−ヘキシルパーオキシ−酢酸エステル、日油株式会社製)
架橋剤
マレイン酸ジアリル:合成例1
フマル酸ジアリル:合成例2
スチレンモノマー:和光純薬工業株式会社製
ジアリルフタレートモノマー:株式会社大阪ソーダ製
マレイン酸ジアリル:合成例1
フマル酸ジアリル:合成例2
スチレンモノマー:和光純薬工業株式会社製
ジアリルフタレートモノマー:株式会社大阪ソーダ製
合成例1:マレイン酸ジアリルの合成
ディーンスタークトラップを取り付けた500mLのフラスコにアリルアルコール145.2g(2.50mol)、トルエン137.5g(1.49mol)、無水マレイン酸98.1g(1.00mol)、ドデシルベンゼンスルホン酸6.53g(0.02mol)を仕込み、磁気撹拌子で撹拌させオイルバスで加熱還流させた。反応の進行に伴い生成する水を、ディーンスタークトラップを用いて除去しながら8時間を行った後に、加熱を止め、フラスコを冷却した。得られた反応液に対して中和、水洗を行い、低沸分をロータリーエバポレーターで留去し、得られた濃縮液を減圧蒸留することで目的のマレイン酸ジアリルを176.6g得た。得られた化合物を各実施例に用いた。
ディーンスタークトラップを取り付けた500mLのフラスコにアリルアルコール145.2g(2.50mol)、トルエン137.5g(1.49mol)、無水マレイン酸98.1g(1.00mol)、ドデシルベンゼンスルホン酸6.53g(0.02mol)を仕込み、磁気撹拌子で撹拌させオイルバスで加熱還流させた。反応の進行に伴い生成する水を、ディーンスタークトラップを用いて除去しながら8時間を行った後に、加熱を止め、フラスコを冷却した。得られた反応液に対して中和、水洗を行い、低沸分をロータリーエバポレーターで留去し、得られた濃縮液を減圧蒸留することで目的のマレイン酸ジアリルを176.6g得た。得られた化合物を各実施例に用いた。
合成例2:フマル酸ジアリルの合成
ディーンスタークトラップを取り付けた500mLのフラスコにアリルアルコール145.2g(2.50mol)、トルエン137.5g(1.49mol)、フマル酸116.1g(1.00mol)、ドデシルベンゼンスルホン酸6.53g(0.02mol)を仕込み、磁気撹拌子で撹拌させオイルバスで加熱還流させた。反応の進行に伴い生成する水を、ディーンスタークトラップを用いて除去しながら16時間を行った後に、加熱を止め、フラスコを冷却した。得られた反応液に対して中和、水洗を行い、低沸分をロータリーエバポレーターで留去し、得られた濃縮液を減圧蒸留することで目的のフマル酸ジアリルを166.8g得た。得られた化合物を各実施例に用いた。
ディーンスタークトラップを取り付けた500mLのフラスコにアリルアルコール145.2g(2.50mol)、トルエン137.5g(1.49mol)、フマル酸116.1g(1.00mol)、ドデシルベンゼンスルホン酸6.53g(0.02mol)を仕込み、磁気撹拌子で撹拌させオイルバスで加熱還流させた。反応の進行に伴い生成する水を、ディーンスタークトラップを用いて除去しながら16時間を行った後に、加熱を止め、フラスコを冷却した。得られた反応液に対して中和、水洗を行い、低沸分をロータリーエバポレーターで留去し、得られた濃縮液を減圧蒸留することで目的のフマル酸ジアリルを166.8g得た。得られた化合物を各実施例に用いた。
実施例及び比較例に用いた熱硬化性樹脂組成物の成分の組成を表1〜4に示す。表内組成の数値単位は重量部である。
熱硬化性樹脂組成物の調製
表1〜4に示す組成に従い、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と架橋剤との重量合計が50gとなるように樹脂と架橋剤をそれぞれ秤量し、遊星ミル(倉敷紡績株式会社製マゼルスターKK250S)を用いて合計5分間混練した。次に、80〜90℃に加温させつつ、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂が架橋剤に溶解するまで、遊星ミルでの撹拌を行った。不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂が架橋剤に溶解し、均一になったところで加温、及び撹拌をやめ、室温になるまで冷却した。室温まで冷却させたのち、表1〜4に記載の配合量の開始剤を添加し、遊星ミルで30℃以上の熱を持ち過ぎないように撹拌を行い、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
表1〜4に示す組成に従い、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂と架橋剤との重量合計が50gとなるように樹脂と架橋剤をそれぞれ秤量し、遊星ミル(倉敷紡績株式会社製マゼルスターKK250S)を用いて合計5分間混練した。次に、80〜90℃に加温させつつ、不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂が架橋剤に溶解するまで、遊星ミルでの撹拌を行った。不飽和ポリエステル樹脂、またはビニルエステル樹脂が架橋剤に溶解し、均一になったところで加温、及び撹拌をやめ、室温になるまで冷却した。室温まで冷却させたのち、表1〜4に記載の配合量の開始剤を添加し、遊星ミルで30℃以上の熱を持ち過ぎないように撹拌を行い、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
高温硬化特性試験
外径18mm×高さ165mmの試験管(型番:P−18SM(日電理化硝子株式会社製))に、底部から7.5cmの位置まで熱硬化性樹脂組成物を注ぎ込み、K型熱電対を注ぎ込んだ樹脂の高さの中心部(底部より3.75cm)のところに合わせた。表1と表2については、65.5℃に加温させたオイルバス中に注ぎこんだ樹脂の液面がオイルバスの液面の1cm下になるように、試験管の高さを合わせ、最高到達温度を記録した。表3と表4については、80℃に加温させたオイルバス中に注ぎこんだ樹脂の液面がオイルバスの液面の1cm下になるように、試験管の高さを合わせ、最高到達温度を記録した。
測定結果は表5〜8に示す。(表5及び6の結果:実施例1〜12、比較例1〜12は硬化温度100℃、表7及び表8の結果:実施例13〜32、比較例13〜32は硬化温度130℃で反応をおこなった。)
また、各架橋剤を用いた際の硬化時間は、実施例1、2、9、10、11、12、並びに比較例1、2、9、10、11、12は65℃〜最高到達温度までの時間を表9に、実施例19、20、29、30、31、32、並びに比較例19、20、29、30、31、32は80℃〜最高到達温度までの時間を表10に示す。
外径18mm×高さ165mmの試験管(型番:P−18SM(日電理化硝子株式会社製))に、底部から7.5cmの位置まで熱硬化性樹脂組成物を注ぎ込み、K型熱電対を注ぎ込んだ樹脂の高さの中心部(底部より3.75cm)のところに合わせた。表1と表2については、65.5℃に加温させたオイルバス中に注ぎこんだ樹脂の液面がオイルバスの液面の1cm下になるように、試験管の高さを合わせ、最高到達温度を記録した。表3と表4については、80℃に加温させたオイルバス中に注ぎこんだ樹脂の液面がオイルバスの液面の1cm下になるように、試験管の高さを合わせ、最高到達温度を記録した。
測定結果は表5〜8に示す。(表5及び6の結果:実施例1〜12、比較例1〜12は硬化温度100℃、表7及び表8の結果:実施例13〜32、比較例13〜32は硬化温度130℃で反応をおこなった。)
また、各架橋剤を用いた際の硬化時間は、実施例1、2、9、10、11、12、並びに比較例1、2、9、10、11、12は65℃〜最高到達温度までの時間を表9に、実施例19、20、29、30、31、32、並びに比較例19、20、29、30、31、32は80℃〜最高到達温度までの時間を表10に示す。
表5〜8に示すように、脂肪族多官能アリルエステルを架橋剤として用いた実施例では、架橋剤としてスチレンを用いた比較例より、最高到達温度が同等かそれ以上の値を示している。また、架橋剤としてジアリルフタレートモノマーを用いた比較例より、最高到達温度が高い値を示している。この結果より、架橋剤として、脂肪族多官能アリルエステルを用い、特定の開始剤と組み合わせた際に、発生した熱量で加速度的に硬化反応が進みやすいことが示唆された。これは、硬化反応に関与する架橋剤が増えるため、未反応架橋剤の残存率が低下し、良好な硬化物の物性が得られることが示唆される。
表9並びに表10に示すように、脂肪族多官能アリルエステルにおいて、特定の開始剤を用いた場合、架橋剤としてスチレンやジアリルフタレートモノマーを用いた場合より、短い硬化時間で硬化物が得られることから、低温下での反応性に優れているといえる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、電気的特性及び機械的特性を実質的に損なうことなく非常に優れた流動性を有した熱硬化性樹脂成形材料に関するものである。本発明の熱硬化性樹脂成形材料は、優れた流動性を生かし、例えば小型・肉薄のコイルボビン、スイッチケース、端子板、コネクター、マグネットスイッチ等の電気・電子部品等に使用できる。
Claims (4)
- 式(1)で表される脂肪族多官能アリルエステルが、コハク酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、及びシトラコン酸ジアリルからなる群より選択される1種である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物を熱硬化することによって得られる硬化物。
- 請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物を成型してなることを特徴とする成形品。
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