JP2008266383A - 樹脂混合物、電気絶縁用樹脂組成物及びこの組成物を用いた電気機器絶縁物の製造方法 - Google Patents

樹脂混合物、電気絶縁用樹脂組成物及びこの組成物を用いた電気機器絶縁物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワニス皮膜を柔軟化でき、かつ低誘電率化が可能であり、さらに従来の液状タイプの樹脂組成物と同等以上の良好な電気絶縁性などの硬化物特性及び良好な安定性を示すことができる、高周波トランス用含浸ワニス用の樹脂混合物、電気絶縁用樹脂組成物及びこれを用いた電気機器絶縁物の製造方法を提供する。
【解決手段】α,β−不飽和二塩基酸と1以上の水酸基を持つアルコ−ルからなる不飽和ポリエステル(A)と、不飽和基を有する反応性希釈剤(B)を含有する樹脂混合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂混合物、電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器に関する。さらに、詳しくは、モータ−、トランス、アーマチュア(回転子)、ステ−タ(固定子)などの電気機器用コイルの含浸性を低下することなく、柔軟な硬化皮膜を持ち、短時間で硬化可能であり、さらに低誘電率化が可能である電気機器絶縁処理用樹脂組成物に関する。
不飽和ポリエステルと架橋性単量体からなる不飽和ポリエステル組成物は、機械的、電気的及び熱的特性、作業性、経済性などの点で調和がとれているため、FRP積層板をはじめ多くの用途に用いられている。この樹脂組成物は、電気絶縁用としても特性、作業性に優れているため、モータ、トランスなどの含浸用ワニスとして広く用いられている。
トランス用の含浸ワニスの要望事項としては、低温短時間硬化及びワニスからの溶剤揮発量の減少(無溶剤化)があげられる。この電源トランスなどの低周波トランスにおいては、通電時に磁歪や磁気力により、鉄心の振動や電磁力によるコイルの振動等によって、騒音(ノイズ)が発生する。この騒音を防止するために、機器の構造によっても異なるが、絶縁処理用の不飽和ポリエステル樹脂の固着力を大きくして振動の発生そのものを防止することが公知となっている。また、鉄芯を使用しているため、防錆性や高耐熱性の付与も要求されている。
また、近年のデジタル家電化に伴い、家電用電気機器には、大型の鉄芯を使用した低周波トランスから、小型化が可能な高周波トランスを使用する傾向がある。この高周波トランスには、コア部分に鉄ではなくフェライトを使用している。このため、ワニスの固着力が大きくなると、硬化物が硬くなり、フェライトコアへの応力が増し、コアずれを誘発したり、コア部分のクラックを発生させ電気特性を悪化させる不具合が発生している。さらに、家電用電気機器には、小型化が可能な高周波トランスを使用する傾向がある。これらに対応すべく、各絶縁部材には高周波化に対応した電気特性として低誘電率化が求められている。
上記のような樹脂組成物としては、エポキシ樹脂(誘電率4.0程度)、フェノール樹脂(誘電率4.5程度)、ポリイミド樹脂(誘電率3.8程度)、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂(誘電率2.5程度)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(誘電率2.3程度)等の熱硬化性樹脂を主成分としており、中でも、エポキシ樹脂が汎用されている。しかし、現在、高周波・低周波トランス等の電気機器の含浸用途として汎用的に使用されている不飽和ポリエステル樹脂はあまり使用されていない。
特開2005−089691号公報
本発明は、かかる問題に鑑み、今後トランスの主流となっていくと考える高周波トランス用含浸ワニスの含浸を目的に、樹脂混合物、電気絶縁用樹脂組成物及びこれを用いた電気機器の製造法において、ワニス皮膜を柔軟化でき、かつ低誘電率化が可能であり、さらに従来の液状タイプの樹脂組成物と同等以上の良好な電気絶縁性などの硬化物特性及び良好な安定性を示すことができる樹脂組成物を提供するものであり、さらに、本発明は、この電気絶縁用樹脂組成物を用いた電気機器絶縁物の製造方法を提供するものである。
本発明は、以下に関する。
1. α,β−不飽和二塩基酸と1以上の水酸基を持つアルコ−ルからなる不飽和ポリエステル(A)と、不飽和基を有する反応性希釈剤(B)を含有する樹脂混合物。
2. 不飽和ポリエステル(A)の分子量が1000〜10000の範囲である項1記載の樹脂混合物。
3. 不飽和ポリエステル(A)100重量部に対して、不飽和基を有する反応性希釈剤(B)を50〜200重量部含有する項1または2記載の樹脂混合物。
4. 項1〜3いずれかに記載の樹脂混合物100重量部に対し、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂(C)を0.1〜20重量部含有する、電気絶縁用樹脂組成物。
5. さらに重合開始剤、安定剤を含有してなる項4記載の電気絶縁用樹脂組成物。
6. 電気機器を、項4または5記載の電気絶縁用樹脂組成物で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法。
本発明からなる電気機器絶縁用樹脂組成物は、ワニス硬化物の柔軟性にすぐれるため、応力が加わっても、クラック等が起こりにくい皮膜を提供できる。また、樹脂組成物の粘度、表面乾燥性は従来品と同等であるため、含浸作業方法に幅広く対応可能である。さらに、従来の液状タイプの樹脂組成物と同等以上の電気絶縁性、固着性等の硬化物特性及び低誘電率化が可能で、良好な安定性を示すため、信頼性の高い電気機器を提供することができる。
本発明におけるα,β−不飽和二塩基酸と1以上の水酸基を持つアルコ−ルを成分として使用する不飽和ポリエステル(A)としては、不飽和ポリエステルは、不飽和二塩基酸を成分とする酸成分及びアルコール成分、さらに必要に応じて変性成分を反応させて得られる。不飽和二塩基酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが用いられ、これらは単独で用いても併用してもよい。酸成分としては、上記記載の不飽和二塩基酸のほか飽和酸及びこの飽和酸低級アルキルのジエステル等併用することも出来る。
例えば、テレフタル酸モノメチル、テレフタル酸の低級アルキルのジエステル等のテレフタル酸ジエステル、例えば、テレフタル酸ジメチルなどが用いられる。また、イソフタル酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸などを用いることもできる。飽和酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の飽和二塩基酸などが挙げられる。飽和酸低級アルキルのジエステルとしては、例えば、テレフタル酸ジメチルなどが用いられる。これらは単独で用いても併用してもよい。
さらに、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、トール油脂肪酸等の食用油脂肪酸などを併用することもできる。不飽和酸の量は、全酸成分中50〜90当量%の範囲で選択されることが好ましい。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が用いられ、これらは単独で用いても併用してもよい。必要に応じて用いられる変性成分としては、例えば、アマニ油、大豆油、トール油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン等が挙げられる。
本発明の不飽和ポリエステル(A)の数平均分子量(ゲルパーミッションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値、以下も同じ)は、通常1000〜10000とされる。好ましくは、1500〜5000である。1000未満では、樹脂組成物の硬化性および樹脂硬化物特性が極端に劣り、10000を超えると粘度が高すぎ含浸作業性が悪化する。
本発明に使用される不飽和ポリエステル(A)の製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、成分であるα,β−飽和二塩基酸と1以上の水酸基を持つアルコ−ルのみ、または多塩基酸成分、多価アルコール成分を併用し、縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。全酸成分1当量に対して全アルコール成分は1〜2当量の範囲で使用することが好ましい。
縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
合成反応を行うための反応温度は150〜250℃とすることが好ましい。このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
合成における重縮合反応を行うために調整する反応装置内圧力は、常圧でも全く問題なく反応を進めることができるが、加圧し、多価アルコ−ルの沸点をあげることにより、反応を促進することができる。この場合、常圧〜0.1MPaの範囲で行うことが好ましい。
本発明で使用する不飽和基を有する反応性希釈剤(B)としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ターシャリブチルスチレン、ジビニルベンゼン、各種アクリル酸エステル、各種メタクリル酸エステル、各種アリルエステル、各種アリルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和ポリエステル(A)と不飽和基を有する反応性希釈剤(B)の使用量は、不飽和ポリエステル(A)を100重量部に対して、不飽和基を有する反応性希釈剤(B)50〜200重量部の範囲とするのが好ましく、50〜100重量部の範囲とするのがより好ましい。50重量部未満の場合、得られる樹脂組成物の粘度が高すぎてしまい、トランス表面に厚く付着するばかりでなく、内部浸透性も悪くなる。また、不飽和基を有する反応性希釈剤(B)が、200重量部を超えて入れてしまうと、ワニス粘度が低すぎて、内部に浸透した樹脂付着物が過熱硬化時に流れ出してしまう不具合が発生する。
本発明に用いられる(C)成分のキシレン・ホルムアルデヒド樹脂は、キシレンとホルムアルデヒドをアルカリ触媒、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、トリエルアミンなどの存在下で反応させて得られるレゾールタイプの樹脂である。トルエン・ホルムアルデヒド樹脂の市販品としては、ゼネラル石油化学工業株式会社のゼネライト30、ゼネライト50、ゼネライト100、三菱瓦斯化学株式会社製のニカノールL、ニカノールLL、ニカノールLLLなどがある。
本発明に用いられる(C)成分のキシレン・ホルムアルデヒド樹脂の使用量は、(A)成分の不飽和ポリエステルと(B)成分の不飽和基を有する反応性希釈剤の総量100重量部に対し、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂(C)0.1〜20重量部であるのが好ましく、1〜15重量部であるのがより好ましく、さらに好ましくは5〜10重量部である。キシレン・ホルムアルデヒド樹脂が20重量部を超えて配合してしまうと、表面乾燥時間および樹脂組成物の硬化時間が延長し、硬化しづらくなる。また、配合量を0.1重量部未満にすると、樹脂組成物の硬化皮膜が柔軟にならずまた、誘電率が低下しない不具合が発生する。
不飽和エポキシエステル樹脂と不飽和酸無水物との反応には、付加触媒として、塩化亜鉛、塩化リチウムなどのハロゲン化物、ジメチルサルファイド、メチルフェニルサルファイドなどのサルファイド類、ジメチルスルホキシド、メチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシドなどのスルホキシド類、N−Nジメチルアニリン、ピリジン、トリエチルアミン、へキサメチレンジアミンなどの第3級アミン及びその塩酸塩又は臭酸塩、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルドデシルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸類、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタンなどのメルカプタン類等が用いられる。付加触媒の配合量は、不飽和エポキシエステル樹脂100重量部に対して、0.05〜2重量部が好ましく、0.1〜1重量部がさらに好ましい。
低分子量変性不飽和エポキシエステルの製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、多塩基酸成分、多価アルコール成分とを縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
反応の温度は90〜100℃以上とすることが好ましい。このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
合成反応を行うための反応温度は、80℃〜120℃の範囲で行うことが好ましく、90℃〜110℃の範囲で行うことがより好ましい。この温度が120℃を超えると、反応が激しくゲル化する不具合が発生する。反応温度は、使用する多価アルコ−ルにより、宜選択設定可能である。
合成における重縮合反応を行うために調整する反応装置内圧力は、常圧でも全く問題なく反応を進めることができるが、加圧し、多価アルコ−ルの沸点をあげることにより、反応を促進することができる。この場合、常圧〜0.1MPaの範囲で行うことが好ましい。必要により重合禁止剤などを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物とされる。
本発明で必要に応じて使用する重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。その配合量は、得られる不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性により便宜決定されるが、その配合量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量部である。
本発明で用いられる硬化剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類などが挙げられる。硬化剤の量は、硬化条件や樹脂硬化物の外観、特性等の面に影響があるため、それぞれに応じて決定される。材料の保存性、成形サイクルの面から前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対して0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
本発明で必要に応じて用いられる安定剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。その配合量は、樹脂組成物の貯蔵安定性、実機処理時の硬化温度及び硬化時間により便宜に決定されるが、その配合量は、通常、樹脂組成物の総量100重量部に対して0.5重量部以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1重量部である。
本発明の樹脂組成物を用いた絶縁処理は、公知の方法で処理されるが、本発明の樹脂組成物中に電気機器を2〜20分間浸漬した後、引き上げ、100〜130℃で1〜3時間加熱して樹脂組成物を硬化させる方法で行われることが望ましい。
本発明の樹脂組成物は、得られるワニス皮膜が柔軟性を有し、かつ、低誘電率化が可能なため、フェライトを使用した高周波トランス・スイッチングトランスなどの電気機器の絶縁処理に好適である。
次に、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。
不飽和ポリエステル(A−1)の合成
温度計、チッ素吹き込み管、精留塔及び撹拌装置を備えた3リットルのフラスコに、ジプロピレングリコール1474部(11モル)、イソフタル酸498部(3モル)、無水マレイン酸392部(4モル)、テトラヒドロ無水フタル酸456部(3モル)及びハイドロキノン0.22部をいれ、210℃で10時間加熱縮合し、酸価21.5の不飽和ポリエステル(A−1)を合成した。
不飽和ポリエステル(A−2)の合成
温度計、チッ素吹き込み管、精留塔及び撹拌装置を備えた3リットルのフラスコに、エチレングリコール341部(5.5モル)、無水フタル酸296部(2.0モル)、無水マレイン酸196部(2.0モル)、大豆油脂肪酸560部(2.0モル)及びハイドロキノン0.24部を四つ口フラスコに入れ、200℃で8〜12時間加熱縮合し、酸価20.8の不飽和ポリエステル(A−2)を合成した。
不飽和ポリエステル樹脂組成物a−1、a−2の作製
不飽和ポリエステル(A−1)100部に、スチレン150部及び8%ナフテン酸マンガン1.25部を攪拌溶解し、不飽和ポリエステル組成物a−1を得た。また、不飽和ポリエステル(A−2)100部に、スチレン150部及び8%ナフテン酸マンガン0.5部を攪拌溶解し、不飽和ポリエステル組成物a−2を得た。
実施例1〜4
不飽和ポリエステル組成物a−1にトルエン・ホルムアルデヒド樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名ニカノ−ルLL)及び1,1−ジ(タ−シャリ−ブチルパ−オキシ)シクロヘキサン(化薬アクゾ製、製品名トリゴノックス22E−70)を表1に示す割合で配合し、樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物について、乾燥時間、硬化物の硬さを後記の試験方法によって評価した。
比較例1〜3
不飽和ポリエステル組成物a−1に1,1−ジ(タ−シャリ−ブチルパ−オキシ)シクロヘキサンを、表1に示す割合で配合し、乾燥時間、硬化物の硬さを後記の試験方法によって評価した。
実施例5〜8
不飽和ポリエステル組成物a−1をa−2に変更したほかは、実施例1〜4と同様な操作を行い、樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物について、乾燥時間、硬化物の硬さを後記の試験方法によって評価した。
比較例4〜6
不飽和ポリエステル組成物a−1をa−2に変更したほかは、比較例1〜3と同様な操作を行い、樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物について、乾燥時間、硬化物の硬さを後記の試験方法によって評価した。
試験方法
樹脂組成物粘度及び表面乾燥時間
JIS C 2105の粘度および乾燥時間の試験方法に準じて測定した。
硬化物の硬さ
直径60mmの金属シャーレに樹脂組成物を15g以下、110℃で1.5時間加熱して硬化物を作製する。この硬化物を23℃に保ち、ショアD硬度計を用いて測定した。
誘電率測定
90mm×90mm×0.25mm(t)のブリキ板に、樹脂組成物を塗布し、110℃で1.5時間する。この作業を4回行い、樹脂硬化物塗膜を作製する。この硬化物を23℃に保ち、JIS C 2105に準拠し誘電率を測定した。
測定条件
周波数:50Hz,1kHz,1MHz 主電極:φ=37mmアルミ箔
得られた結果を下記表1、2に示した。
Figure 2008266383
Figure 2008266383
本発明からなる電気機器絶縁用樹脂組成物は、ワニス硬化物の柔軟性にすぐれるため、応力が加わっても、クラック等が起こりにくい皮膜を提供できる。また、樹脂組成物の粘度、表面乾燥性は従来品と同等であるため、含浸作業方法に幅広く対応可能である。さらに、従来の液状タイプの樹脂組成物と同等以上の電気絶縁性、固着性等の硬化物特性及び低誘電率化が可能で、良好な安定性を示すため、信頼性の高い電気機器を提供することができる。

Claims (6)

  1. α,β−不飽和二塩基酸と1以上の水酸基を持つアルコ−ルからなる不飽和ポリエステル(A)と、不飽和基を有する反応性希釈剤(B)を含有する樹脂混合物。
  2. 不飽和ポリエステル(A)の分子量が1000〜10000の範囲である請求項1記載の樹脂混合物。
  3. 不飽和ポリエステル(A)100重量部に対して、不飽和基を有する反応性希釈剤(B)を50〜200重量部含有する請求項1または2記載の樹脂混合物。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の樹脂混合物100重量部に対し、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂(C)を0.1〜20重量部含有する、電気絶縁用樹脂組成物。
  5. さらに重合開始剤、安定剤を含有してなる請求項4記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  6. 電気機器を、請求項4または5記載の電気絶縁用樹脂組成物で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014034605A (ja) * 2012-08-08 2014-02-24 Nippon Kayaku Co Ltd 紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

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