JP5500358B2 - 電気絶縁用樹脂組成物及びこの組成物を用いた電気機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電気絶縁用樹脂組成物及び、この電気絶縁用樹脂組成物を用いて絶縁処理されてなる電気機器に関する。
従来から、回転機,変圧器等の機器には、固着、絶縁補強,防振、防錆等の目的でコイル含浸ワニスが施されている。コイル含浸ワニスは、大別すると溶剤型ワニスと無溶剤型ワニスの二つに分けられ、機器の種類,処理方法等により適宜に選択される。
上記溶剤型ワニスは、主にアルキッド樹脂をナフサ等の溶剤に溶解したものであって、このため加熱硬化処理時には当然大量の溶剤飛散が伴うという問題が生じる。また、上記無溶剤型ワニスは、一般にスチレン等の反応性モノマに不飽和基を有する樹脂を溶解させたものであって、加熱硬化処理時に上記溶剤型ワニスほど溶剤が飛散することはないが、スチレンの持つ刺激特性のために少量の飛散量にもかかわらず取り扱い作業者に及ぼす影響は大きく、作業環境の劣化が生じるという問題を有している。このように、作業者および作業環境問題に関してはいずれのワニスにおいても何ら解決されていない。そして、最近では、高生産性(短処理時間)、省資源、防錆性能等の理由から、溶剤型から無溶剤型への検討が進められている。この無溶剤型ワニスのひとつに、不飽和ポリエステルワニスが上げられる。不飽和ポリエステルワニスは、不飽和ポリエステルと架橋性単量体からなり、機械的、電気的及び熱的特性、作業性、経済性などの点で調和がとれているため、FRP積層板やライニング等の建築機材をはじめ多くの用途に使用されている。
この無溶剤型ワニスへの要求事項として(1)低温短時間硬化及びワニスからの溶剤揮発量の減少(無溶剤化)や(2)高固着性の付与、(3)耐水性、耐湿性等の耐環境性の向上、(4)熱劣化時の絶縁破壊電圧や固着力の保持率の向上があげられる。
また、高固着性や耐水性の向上を目的とするものとしては、例えば、特許文献1(特開平5−140261公報)記載のように、エポキシ樹脂をフェノ−ル類ジメチロ−ル化物とナフト−ル類との縮合物のエポキシ化物とビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂を50〜95:50〜5(重量比)の割合で含むエポキシ樹脂混合物や、該エポキシ樹脂混合物と硬化剤と硬化促進剤を含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を用いる方法、特許文献2(特開平11−131042公報)記載のようにエポキシ樹脂、ニトリルゴムの混合物、硬化剤、イミダゾール化合物、硼弗化物及びオクチル酸塩より選択された1種又は2種以上の硬化促進剤からなる熱硬化性固着剤を用いる方法、特許文献3(特開2005−139289公報)記載のように、エポキシ樹脂、酸無水物、アンモニウム塩を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物を使用する方法等種々報告されている。
熱劣化時の絶縁破壊電圧保持率の向上および固着力の保持方法としては、従来、耐熱性を有する絶縁電線用に使用されていた、ポリイミド線用樹脂、ポリアミドイミド線用樹脂及びポリエステルイミド線用樹脂がある。これらのうち、例えば、特性と価格のバランスの点から、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(以下、THEICと略す)を使用して分子鎖中にイミド結合及びイソシアヌレート環を導入したポリエステルイミド樹脂を使用する場合が多い。しかし、従来のTHEICを使用したポリエステルイミドワニスの固着力は、要求に対しては不十分であった。
また、THEICを使用したポリエステルイミドワニスの固着を向上させる手段としては、特許文献4(特開平2−58567号公報)および特許文献5(特開平7−316425号公報)に、チオール化合物をポリエステルイミドワニスに配合することが開示されている。しかし、この方法を用いると、固着力は向上するが、空気乾燥性が悪化し作業性や生産性が悪くなること、また、得られる樹脂の分子量が高く、相溶姓の良い有機溶剤が存在しない状況下では、作業性が悪い等の不具合が発生する。さらに、熱劣化させた後の固着力が極端に低下するという問題があった。
特開平5−140261公報 特開平11−131042公報 特開2005−139289公報 特開平2−58567号公報 特開平7−316425号公報
本発明は、かかる問題に鑑み、良好な固着力を持ち、電気絶縁性を良好に保てる上、耐水性も良好に保てる可能性のある皮膜が得られ、特に、熱劣化後の固着力が良好な被膜が得られる電気絶縁用樹脂組成物及びこの電気絶縁用樹脂組成物を用い絶縁処理された電気機器を提供するものである。
本発明は、次のものに関する。
1. 不飽和ポリエステルイミド(A−r1)及び酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)、
2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)
及び
水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(ただし、1,4−繰り返し単位からなるが、1,2−繰り返し単位を50モル%以下含んでいてもよい)(C)
を必須材料として含有してなる電気絶縁用樹脂組成物。
. さらに、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)(ただし、2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤を除く)を含む項記載の電気絶縁用樹脂組成物。
. 分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)100重量部に対して、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)を30〜400重量部含有する項に記載の電気絶縁用樹脂組成物。
. 分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び反応性希釈剤(A−m)の総量100重量部に対し、2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)を0.01〜40重量部含有してなる項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁用樹脂組成物。
. 分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び反応性希釈剤(A−m)の総量100重量部に対し、水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(C)0.01〜50重量部を含有してなる項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁用樹脂組成物。
. 項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用樹脂組成物に重合開始剤を含有させた電気絶縁用樹脂組成物により電気機器を被覆し、乾燥又は硬化させてなる絶縁処理された電気機器。
本発明に係る電気絶縁用樹脂組成物は、固着力が良好な電気機器用の含浸ワニス、特に、モータ、変圧トランス、アーマチュア(回転子)、ステ−タ(固定子)などの電気機器用コイルの含浸ワニスであって、電気絶縁用樹脂組成物及びこれを用いた電気機器において、良好な固着力を持つ上、前記絶縁性も良好なワニス硬化物皮膜が得られ、特に熱劣化後固着力が良好であるため、信頼性の高い電気機器を提供することができる。本発明に係る電気絶縁用樹脂組成物は、耐水性の良好なワニス硬化物皮膜が得られる可能性を十分に持っている。
本発明における分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)としては、不飽和ポリエステルイミド(A−r1)又は酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)が使用される
不飽和ポリエステルイミド(A−r1)は、分子鎖中に、イミドジカルボン酸、α,β−不飽和二塩基酸及び1個以上の水酸基を持つアルコ−ルを、分子を構成する必須成分として含むものである。
不飽和ポリエステルイミド(A−r1) 不飽和ポリエステルイミド(A−r1)の原料成分について説明する。
本発明における不飽和ポリエステルイミド(A)の酸成分の一部として用いられるイミドジカルボン酸としては、一般式(1)
Figure 0005500358
〔式中、Rはトリカルボン酸残基等の3価の有機基、Rはジアミン残基等の2価の有機基を意味する〕で表されるイミドジカルボン酸を用いるものが好ましい。
一般式(1)で表されるイミドジカルボン酸としては、例えばジアミン1モルに対してトリカルボン酸無水物2モルを反応させることにより得られるイミドジカルボン酸(特許文献特公昭51−40113号公報参照)が挙げられる。また、あらかじめジアミンとトリカルボン酸無水物とを反応させてイミドジカルボン酸として用いないで、ジアミンとトリカルボン酸無水物をポリエステルイミド樹脂の製造時に加えて、イミドジカルボン酸の残基を形成してもよい。
トリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物等があり、トリメリット酸無水物が好ましい。
ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が用いられる。
イミドジカルボン酸の使用量は、全酸成分の1〜30当量%の範囲とすることが好ましく、10〜20当量%の範囲とすることがより好ましい。イミドジカルボン酸の使用量が少なすぎると耐熱性が劣り、保持率が維持できない傾向にあり、これ以上にしても耐熱性は向上せず、可とう性が低下する場合がある。
本発明における不飽和ポリエステルイミド(A−r1)の酸成分の一部として、さらに、α,β−不飽和二塩基酸が用いられる。α,β−不飽和二塩基酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが用いられ、これらは単独で用いても併用してもよい。α,β−不飽和二塩基酸の量は、全酸成分中50〜90当量%の範囲で選択されることが好ましい。
本発明における不飽和ポリエステルイミド(A−r1)の酸成分としては、前述の成分以外に飽和酸及びこの飽和酸低級アルキルのジエステル等を併用することも出来る。例えば、テレフタル酸モノメチル、テレフタル酸の低級アルキルのジエステル等のテレフタル酸ジエステル、例えば、テレフタル酸ジメチルなどが用いられる。また、イソフタル酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸などを用いることもできる。飽和酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の飽和二塩基酸などが挙げられる。飽和酸低級アルキルのジエステルとしては、例えば、テレフタル酸ジメチルなどが用いられる。これらは単独で用いても併用してもよい。さらに、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、トール油脂肪酸等の食用油脂肪酸などを併用することもできる。これらは、必要に応じて使用され、イミドジカルボン酸及びα,β−不飽和二塩基酸とともに全体が100当量%になるように使用される。
本発明における不飽和ポリエステルイミド(A−r1)のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の二価以上のアルコールが好ましく用いられ、これらは単独で用いても併用してもよく、場合により1価のアルコールを併用しても良い。
本発明における不飽和ポリエステルイミド(A−r1)は、上記酸成分とアルコール成分を反応させることにより得ることができるが、このとき、さらに必要に応じて変性成分を反応させてもよい。
必要に応じて用いられる変性成分としては、例えば、アマニ油、大豆油、トール油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン等が挙げられる。
本発明の不飽和ポリエステルイミド(A−r1)の数平均分子量(ゲルパーミッションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値であり、数平均分子量について以下も同じである)は、1000〜10000であることが好ましい。さらに好ましくは、1500〜5000である。1000未満では、樹脂組成物の硬化性および樹脂硬化物特性が大きく劣る傾向があり、10000を超えると粘度が高すぎ含浸作業性が低下する傾向がある。
本発明における不飽和ポリエステルイミド(A−r1)の製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、まず必須成分である前記の酸成分とアルコール成分とをエステル化触媒の存在下に160〜250℃、好ましくは170〜250℃の温度で、3〜15時間、好ましくは5〜10時間加熱反応させることにより行われる。この際、用いられるエステル化触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、ジブチルスズラウレート、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。また、反応は、窒素ガス等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。前記のイミドジカルボン酸は、あらかじめ合成したものを用いてもよく、また、ジアミン及び無水トリメリット酸のイミド酸となる成分を他の酸成分、アルコール成分と同時に混合加熱してイミド化及びエステル化を同時に行ってもよい。このときジアミンと無水トリメリット酸の配合量は、前記のイミドジカルボン酸の配合量に対応する量とするのが好ましい。また、合成時の粘度が高いため、例えば、キシレノール等の溶媒の共存下で合成を行うこともできる。
その後α,β−不飽和二塩基酸と1以上の水酸基を持つアルコ−ル、また、さらに、多塩基酸成分を併用し、アルコールとしては多価アルコール成分を含むようにして、縮合反応させ、酸成分とアルコール成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。全酸成分1当量に対して全アルコール成分は1〜2当量の範囲で使用することが好ましい。
縮合水の系外への除去は、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
合成反応を行うための反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが好ましく選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。合成における重縮合反応を行うために調整する反応装置内圧力は、常圧でも全く問題なく反応を進めることができるが、加圧し、多価アルコ−ルの沸点をあげることにより、反応を促進することができる。この場合、常圧〜0.1MPaの範囲で行うことが好ましい。
次に、本発明における変性不飽和エポキシエステル(A−r3)について、説明する。
不飽和エポキシエステル(A−r2)は、分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とα,β−不飽和一塩基酸とを、反応させて得られる。酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)は、この不飽和エポキシエステル(A−r2)のヒドロキシル基に不飽和酸無水物を反応させて得られる。
上記不飽和エポキシエステル(A−r2)の必須合成原料である1分子に1個以上のエポキシ基を含有する化合物としては、例えば多価アルコール又は多価フェノールのグリシジルポリエーテル、エポキシ化脂肪酸、エポキシ化乾性油酸、エポキシ化ジオレフィン、エポキシ化ジ不飽和酸のエステル、エポキシ化飽和ポリエステル等が挙げられ、これらを単独で又は併用して用いることができる。市販品の例としては、例えばシェル化学社(Shell Chemical Corporation)製のEpon825、Epon828、Epon1001、Epon1002、Epon1004、Epon1007、又はEpon1009、三菱化学(株)製のjER811、jER827、jER828、jER834、jER1055、jER1001B80、jER1001X70、jER1001X75、jER1001、jER1002、jER1004、jER1007又はjER1009、旭化成イーマテリアルズ(株)製のAER334、AER330、AER331、AER337、AER661、AER664、AER667又はAER669、株式会社ADEKA製のアデカレジンEP−4200、アデカレジンEP−4300、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4340、アデカレジンEP−5100、アデカレジンEP−5200、アデカレジンEP−5400、アデカレジンEP−5700又はアデカレジンEP−5900、DIC(株)製のEPICLON855、EPICLON840、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON2050、EPICLON4050、EPICLON7050又はEPICLON9050、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)製のD.E.R.330、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.662、D.E.R.664、D.E.R.667又はD.E.R.669、東都化成(株)製のエポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、エポトートYD−134、エポトートYD−011、エポトートYD−012、エポトートYD−014、エポトートYD−017又はエポトートYD−019、ハンツマン アドバンスト マテリアルズ(スウィッツァーランド)ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング製のアラルダイトGY−250、アラルダイトGY−261、アラルダイトGY−30、アラルダイト6071、アラルダイト6084、アラルダイト6097又はアラルダイト6099、三井化学(株)製のエポミックR−130、エポミックR−139、エポミックR−140、エポミックR−144、エポミックR−301、エポミックR−302、エポミックR−304、エポミックR−307又はエポミックR−309等が挙げられる。これらのうち、特に、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、1分子中に1個だけエポキシ基を有する化合物は、0〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。
前記不飽和エポキシエステル(A−r2)の必須合成原料であるα,β−不飽和一塩基酸としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、珪皮酸、ソルビン酸等を用いることができ、これらは併用することもできる。一般的に耐食性の観点からメタクリル酸を用いるのが好ましい。
前記不飽和エポキシエステル(A−r2)を合成するに際し、1分子に1個以上のエポキシ基を含有する化合物とα,β−不飽和一塩基酸とは、エポキシ基/カルボキシル基の当量比が好ましくは1.6〜0.6となるように、より好ましくは1.2〜0.9となるように配合される。
酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)を得るために前記不飽和エポキシエステル樹脂(A−r2)のヒドロキシル基と反応させる不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等を用いることができる。
不飽和酸無水物は、前記不飽和エポキシエステル(A−r2)のヒドロキシル基1当量に対して0.01〜0.20モルに相当する割合で使用されることが好ましく、0.02〜0.1モルに相当する割合で使用されることがより好ましい。不飽和酸無水物の使用量がこの範囲以外では酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)の貯藏安定性が低下し、ゲル化しやすくなる。
酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)を得るための不飽和エポキシエステル(A−r2)と不飽和酸無水物との反応には、付加触媒として、塩化亜鉛、塩化リチウムなどのハロゲン化物、ジメチルサルファイド、メチルフェニルサルファイドなどのサルファイド類、ジメチルスルホキシド、メチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシドなどのスルホキシド類、N−Nジメチルアニリン、ピリジン、トリエチルアミン、へキサメチレンジアミンなどの第3級アミン及びその塩酸塩又は臭酸塩、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルドデシルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸類、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタンなどのメルカプタン類等が用いられる。付加触媒の配合量は、不飽和エポキシエステル樹脂100重量部に対して、0.05〜2重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がさらに好ましい。
不飽和エポキシエステル樹脂(A−r2)および酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)の製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。不飽和エポキシエステル樹脂および酸変性不飽和エポキシエステル樹脂の合成条件およびその他の製造条件に特に制限はない。一般に上記樹脂は、エポキシ化合物、α,β−不飽和一塩基酸および必要に応じて用いられる多塩基酸を原料として反応させて得ることができるが、このときの反応温度は、60〜150℃が好ましく、さらに70〜130℃が好ましい。
不飽和エポキシエステル樹脂(A−r2)および酸変性不飽和エポキシエステル樹脂(A−r3)の生成の確認並びに反応した不飽和一塩基酸および必要に応じて用いる多塩基酸の割合は、カルボキシル基を定量し、酸価により調べることができる。この酸価は好ましくは50以下、より好ましくは15以下である。
本発明の酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)及び不飽和エポキシエステル(A−r2)の数平均分子量は、それぞれ、1000〜10000とされる。好ましくは、1500〜5000である。1000未満では、樹脂の硬化性および樹脂硬化物特性が極端に劣り、10000を超えると粘度が高すぎ作業性が低下する傾向がある。
本発明における分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)としては、不飽和ポリエステルイミド(A−r1)と酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)の併用が、耐水性、固着性の観点から特に好ましい。
本発明における不飽和ポリエステルイミド(A−r1)と酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)の配合量は、耐水性、固着力を加味して決定されるが、酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)に対する不飽和ポリエステルイミド(A−r1)の配合比〔(A−r1)/(A−r3)〕が、重量比で、97/3〜5/95が好ましい。この配合比が小さすぎると得られる樹脂組成物の耐熱性が下がる傾向があり、大きすぎると耐水性が悪化する可能性がある。
本発明に係る電気絶縁用樹脂組成物は、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)を含んでいても良く、その方が好ましい。
本発明で使用する不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)としては、スチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、ターシャリブチルスチレン、α − メチルスチレン、sec−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、クロルスチレン、ジクロルスチレンなどのハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアセテート、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多価アルコールのメタクリル酸エステル若しくはアクリル酸エステル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクリロニトリル等が挙げられる。また、炭素数12〜15の長鎖アルキル基を有するアクリレートモノマー若しくはメタクリレートモノマーの混合物(例えば、共栄社製のライトエステルL−7、ライトエステルL−8、日本油脂製のブレンマーSLMA、ブレンマーCMAなど)も使用できる。
モノマーは、臭気を考慮して選定して使用することが好ましい。この観点からは、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、炭素数12〜15の長鎖アルキル基を有する(アクリレートモノマー若しくはメタクリレートモノマーの混合物などの長鎖アルキルアルコールのモノアクリレート化合物若しくはモノメタクリレート化合物が好ましい。
また、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)として、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、1,9−ノナンジオールモノアクリレート、1,4−ブタンジオールモノメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノメタクリレート、1,9−ノナンジオールモノメタクリレートなどの分子中に1個の水酸基を有する脂肪族基(アルコール残基に相当)を有する単官能アクリレ−ト化合物又は単官能メタクリレ−ト化合物を使用することができる。
また、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)として、1,5−ペンタンジオールモノアリルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテルなどの分子中に1個の水酸基とアリル基を有する化合物を使用することができる。
本発明で使用する不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)としては、20℃の蒸気圧が0.1mmHg以下であるものが、低臭気性の樹脂組成物を得る目的から好ましく、さらに、分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)を溶解するものが好ましく選択される。このような要件を満足するものとしては、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート等のアクリレート化合物、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性メタクリレート等のメタクリレート化合物などが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プラクセルFA1,プラクセルFA2D,プラクセルFA3,プラクセルFM1D,プラクセルFM2D,プラクセルFM3(プラクセルはダイセル化学工業(株)の商品名)などの(ポリ)カプロラクトンモノエトキシアクリレート、(ポリ)カプロラクトンモノエトキシメタクリレートなどの水酸基を持つアクリレート化合物又はメタクリレート化合物を使用することができる。また分子中に1個の水酸基を有する単官能アクリレート化合物又はメタクリレート化合物と飽和二塩基酸との反応物である不飽和一塩基酸も使用することが可能である。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)は、1種で又は適宜2種以上選択して使用される。
不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)の使用量は、分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)100重量部に対して、30〜400重量部の範囲とするのが好ましく、さらに、35〜200重量部の範囲とするのが好ましい。不飽和基を有する反応性希釈剤が少なすぎると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなり、電気機器表面に厚く付着したり、内部浸透性が低下する傾向がある。また、不飽和基を有する反応性希釈剤が多すぎると、ワニス粘度が低くなりすぎて、電子機器の内部に浸透した樹脂付着物が加熱硬化時に流れ出してしまう可能性があり、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)として、水酸基を有するものを使用するときは、その使用量が多すぎると(例えば、分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)100重量部に対して、400重量部を超えると)、本発明に係る樹脂組成物が白濁化しやすくなり、また、硬化物被膜も耐水性が低下するようになる。
2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)は、メトキシ基を官能基に有するシランカップリング剤であれば特に限定されないが、例えば、
式(a)又は(b)で示されるシランカップリング剤が挙げられる。
Figure 0005500358
Figure 0005500358
(式(a)又は(b)において、Rは、メトキシ基以外の有機官能基であり、Xは、メトキシ基である)
2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが使用可能である。また、これらは単独または2種以上併用で使用することもできる。
2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)の使用量は、分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び必要応じて使用される不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)の総量100重量部に対し0.01〜40重量部であるのが好ましく、0.1〜25重量部であるのがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜20重量部である。
2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤が多すぎても、少なすぎても、固着性向上の効果が低下する傾向がある。また、多すぎると表面乾燥時間および樹脂組成物の硬化時間が延長し、硬化しづらくなる傾向がある。
本発明に用いられる水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(C)は、その構成成分として1,4−繰り返し単位からなるが、1,2−繰り返し単位を50モル%以下含んでいてもよい。1,4−繰り返し単位を主に有する水酸基末端の1,4−ポリブタジエンとしては、市販品として、例えば、Poly bd R−45HT、Poly bd R−15HT(出光興産(株)製)が挙げられる。
なお、上記1,4−繰り返し単位を有するポリブタジエンは、下式(1t)または(1c)で表される繰り返し構造を有し、この構造内に、下式(1−2)で表される1,2−繰り返し単位を含んでいてもよい。前記した水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(C)は、このような構造式の末端の両方又は片方に水酸基を有する。
本発明おける水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(C)の数平均分子量は、800〜5000が好ましく、1000〜4000がより好ましく、1200〜3200が特に好ましい。
Figure 0005500358
上記の構造式において、nは重合度をしめす。
Figure 0005500358
水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(C)は、熱劣化後の電気絶縁性の向上を目的に使用するが、その配合量は分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び必要応じて使用される不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)の総量100重量部に対し0.01〜50重量部の範囲とするのが好ましく、0.1〜25重量部の範囲とするのが好ましい。
水酸基末端の1,4−ポリブタジエンが多すぎても、電気絶縁性の向上効果がなく、固着性が低下する傾向があり、また、表面乾燥時間および樹脂組成物の硬化時間が延長し、硬化しづらくなる傾向がある。また、水酸基末端の1,4−ポリブタジエンが少な過ぎると、得られる樹脂組成物の電気絶縁性向上の効果がなくなる。
2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)と水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(C)とは、これらを併用することにより、固着力の向上に相乗効果を有する。
本発明に係る電気絶縁性樹脂組成物には、硬化のために、硬化剤である重合開始剤が配合されるが、これは、使用に際し、又は、予め、該樹脂組成物に配合される。本発明で用いられる硬化剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等の過酸化物などが挙げられる。硬化剤の量は、硬化条件や樹脂硬化物の外観、特性等の面に影響があるため、それぞれに応じて決定される。材料の保存性、成形サイクルの面から、分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び必要応じて使用される不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)の総量に対して0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
本発明で必要に応じて用いられる安定剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。その配合量は、電気絶縁用樹脂組成物の貯蔵安定性、実機処理時の硬化温度及び硬化時間により便宜に決定されるが、その配合量は、通常、(分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び必要応じて使用される不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)の総量100重量部に対して0.5重量部以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1重量部である。
また、本発明の電気絶縁用樹脂組成物には、必要に応じて硬化物表面の空気遮断効果を持つ公知の市販の各種添加剤などを添加することが好ましい。これらの添加剤を配合することにより、表面硬化(表面乾燥)時間を短縮することができる。表面硬化性を短縮させるための添加剤としてその一例を挙げれば、各種融点のパラフィンワックス類、BYK−S740やBYK−S750(ビックケミー社(BYK−Chemie GmbH)製)などの低揮散剤などが挙げられる。
ワックス類の配合量としては、(A)成分の不飽和ポリエステルイミドと(B)成分の変性不飽和エポキシエステル、(C)成分の不飽和基を有する反応性希釈剤の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。
本発明の電気絶縁用樹脂組成物を用いた絶縁処理は、公知の方法で処理されるが、本発明の樹脂組成物中に電気機器を2〜20分間浸漬した後引き上げ、または滴下含浸した後、100〜160℃で1〜5時間加熱して樹脂組成物を硬化させる方法で行われることが望ましい。浸漬の代わりに滴下処理や刷毛塗り等で塗布することも可能である。
本発明の電気絶縁用樹脂組成物は、トランスやモ−タ等に代表される電気機器の含浸処理用に好適である。とくに、作動温度が高温になり、高固着を要求するジューサ、ミシン、クリーナー、電動工具等のための回転子などの電気機器の絶縁処理に最適である。
次に、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。
(1)不飽和ポリエステルイミド(A−r1)の合成
温度計、チッ素吹き込み管、精留塔及び撹拌装置を備えた5リットルのフラスコに、2−メチル−1,3−プロパンジオール1035部、4,4’−ジアミノフェニルエタン297部、無水トリメリット酸597部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261部、無水フタル酸365部を入れ、窒素気流中で室温(25℃)から1時間で175℃に昇温して4時間反応させた。次いで、得られた溶液を5時間で200℃に昇温して3時間反応させ、樹脂酸価5の樹脂を得た。得られた溶液に無水マレイン酸588 部を加え、再び215℃まで昇温し、6時間反応させたところ、酸価18の不飽和ポリエステルイミド(A)を得た。
(2)酸変性不飽和エポキシエステル樹脂(A−r3)の合成
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジグリシジルエーテル(シエル化学社(Shell Chemical Corporation)製、Epon−828、エポキシ当量188)376部、メタクリル酸172部、ベンジルジメチルアミン2部、ハイドロキノン0.05部を反応釜に仕込み、115℃で反応させた。酸価が5になったとき、無水マレイン酸24部をさらに反応釜の中に追加し、さらに115℃で反応させたところ、酸価が16の酸変性不飽和エポキシエステル(B)を得た。
(3)樹脂組成物
不飽和ポリエステルイミド(A)30部、
酸変性不飽和エポキシエステル(B)30部、
2−ヒドロキシエチルメタクリレー40部、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコン(株)製KBM−503)1.5部、
水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(Poly bd R−45HT、出光石油化学(株)商品名;1,4−結合:80%、1,2−結合:20%、数平均分子量2300、水酸基価47)0.2重量部、
ハイドロキノン0.01部
および
1,1−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ベンゾエート1部
を配合し、樹脂組成物a−1を得た。
実施例1の樹脂組成物において、不飽和ポリエステルイミド(A)及び酸変性不飽和エポキシエステル(B)の配合量を、それぞれ57部及び3部に変更すること以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物a−2を得た。
実施例1の樹脂組成物において、不飽和ポリエステルイミド(A)及び酸変性不飽和エポキシエステル(B)の配合量を、それぞれ6部及び54部に変更すること以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物a−3を得た。
実施例1の樹脂組成物において、不飽和ポリエステルイミド(A)、酸変性不飽和エポキシエステル(B)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの配合量を、それぞれ、35部、35部及び30部に変更すること以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物bを得た。
実施例1の樹脂組成物において、2−ヒドロキシエチルメタクリレートをスチレンに変更すること以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物cを得た。
比較例1
実施例1の樹脂組成物において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン使用しないこと以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物d−1を得た。
実施例1の樹脂組成物において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの配合量を20部に変更すること以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物d−2を得た。
比較例2
実施例1の樹脂組成物において、水酸基末端の1,4−ポリブタジエンを使用しないこと以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物e−1を得た。
実施例1の樹脂組成物において、水酸基末端の1,4−ポリブタジエンの配合量を25重量部に変更すること以外は実施例1に準じて配合し、樹脂組成物e−2を得た。
実施例および比較例の各樹脂組成物について、粘度測定、比重測定、ゲル化時間測定、ポットライフの測定、臭気試験、耐水性試験、固着力測定及び絶縁破壊試験を下記により実施した。得られた結果を表2に示す。
(1)粘度測定
JIS C 2105に準拠して,ブルックフィ−ルド型粘度計法で測定した。
(2)比重測定
JIS C 2105に準拠して,浮秤法で測定した。
(3)ゲル化時間測定
JIS C 2105に準拠して、試験管法にてゲル化時間を測定した。
(4)ポットライフ測定
JIS C 2105に準拠して、試験管法にてポットライフを測定した。
(5)臭気試験
φ70mmx高さ140mmのポリビ−カに実施例および比較例の各樹脂組成物をそれぞれ100gずつ入れ、ふたをして、25℃恒温槽内で1時間放置後の臭気を官能試験で評価した。臭気の官能試験は表1に示す評価基準を用いて4段階評価で実施した。
Figure 0005500358
(6)耐水性試験
φ=60mmの金属シャ−レに実施例および比較例の各樹脂組成物をそれぞれ15gずつ入れ、所定時間硬化する。得られた試験片の重量を測定し、その後120℃/250h放置した後の表面状態を肉眼で観察し、試験後の重量を測定した。これらの重量差より、重量変化率を測定した。
(7)固着力測定
(1)熱劣化前の固着力
JIS C 2105に準拠し、日立マグネットワイヤ製直径2mmのAIW電線を使用し、ストラッカ試験片を作製した。これに、実施例および比較例の各樹脂組成物をそれぞれ含浸させ、130℃、1.5時間硬化させ試験片を作製した。この試験片を用い、23℃の温度下に、支点間距離を80mmにし、島津製作所製オ−トグラフ(IM−100)を用いて5mm/minの速さで、試験片の中央部に荷重を加えた。試験片が破壊する荷重をもって固着力とした。
(2)熱劣化後の固着力
上記(1)項に記載の方法で作製した試験片を240℃の高温槽で240時間静置した後、(1)項と同様な方法で固着力を測定した。
(8)絶縁破壊電圧
JIS C 3003に準拠し、日立マグネットワイヤ製直径2mmのAIW電線を使用し、ツイストペア試験片を作製した。これに、実施例および比較例の各樹脂組成物をそれぞれ含浸及び160℃1時間の硬化を上下から2回実施し試験片を作成した。この試験片を用い、絶縁破壊電圧(熱劣化前)を測定した。また、上記と同様にして作製した試験片を240℃の高温槽で240時間静置した後、上記同様に絶縁破壊電圧(熱劣化後)を測定した。
Figure 0005500358

Claims (6)

  1. 不飽和ポリエステルイミド(A−r1)及び酸変性不飽和エポキシエステル(A−r3)からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)、
    2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)
    及び
    水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(ただし、1,4−繰り返し単位からなるが、1,2−繰り返し単位を50モル%以下含んでいてもよい)(C)
    を必須材料として含有してなる電気絶縁用樹脂組成物。
  2. さらに、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)(ただし、2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤を除く)を含む請求項記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  3. 分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)100重量部に対して、不飽和基を有する反応性希釈剤(A−m)を30〜400重量部含有する請求項に記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  4. 分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び反応性希釈剤(A−m)の総量100重量部に対し、2または3個のメトキシ基を含有するシランカップリング剤(B)を0.01〜40重量部含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  5. 分子中に反応性不飽和結合を有する樹脂(A)及び反応性希釈剤(A−m)の総量100重量部に対し、水酸基末端の1,4−ポリブタジエン(C)0.01〜50重量部を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用樹脂組成物に重合開始剤を含有させた電気絶縁用樹脂組成物により電気機器を被覆し、乾燥又は硬化させてなる絶縁処理された電気機器。
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