JP2006134596A - 電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐加水分解性と耐熱性を併せ持つ電気絶縁用樹脂組成物及びこの電気絶縁用樹脂組成物を用いて電気絶縁処理されてなる電気機器を提供する。
【解決手段】(A)エポキシドとα、β-不飽和一塩基酸とを反応させ、更に不飽和 二塩基酸を反応させて得られる不飽和エポキシエステル10〜90重量部、(B)ジアミノジフェニルメタン、不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸及びアルコール 成分を反応させて得られる酸価40以下の不飽和ポリエステル10〜90重量部、(C)架橋性モノマー90〜10重量部、(D)有機過酸化物0.1〜5.0重量部、を含有してなる電気機器絶縁処理用樹脂組成物及びこれを用いて電気絶縁処理されてなる電気機器。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器に関し、さらに詳しくは不飽和エポキシエステル及びイミド変性不飽和ポリエステルを主成分とする電気絶縁用樹脂組成物及びこの電気絶縁用樹脂組成物を用いて電気絶縁処理されてなる電気機器に関する。
モータ、トランス等の電気機器は、鉄コアの固着または防錆、コイルの絶縁または固着等を目的として、電気絶縁用樹脂組成物で処理されている。電気絶縁用樹脂組成物としては、硬化性、空乾性、固着性、電気絶縁性、経済性などのバランスに優れた不飽和ポリエステル樹脂の組成物が広く用いられている。
近年の電気機器は、小型・軽量化、高出力化が進んだため、蓄熱温度がより高くなり、特に、電子レンジ、インバータエアコンなどの電気機器に用いられる変圧器やリアクトルコイルは、運転時に過大な負荷により発生した熱が放散されずに蓄熱され電気機器の温度が上昇する傾向があるため、使用される各材料は、より耐熱性が高いものが求められるようになってきた。
更に、屋外などで使用される電気機器は、屋内で用いられる電気機器と比べ、加水分解などの環境負荷が厳しく、電気絶縁用樹脂組成物として、従来の不飽和ポリエステル樹脂を用いた場合、加水分解により、電気絶縁性が急激に低下してしまう場合が有った。
このため、耐環境負荷を向上させた電気絶縁用樹脂組成物が求められるようになってきた。これらの観点から、耐熱性が求められる分野には、イミド変性の不飽和ポリエステルが、また、耐加水分解性が求められる分野には、不飽和エポキシエステルが用いられてきたが、耐熱性と耐加水分解性の両者を満足させ、更に、作業性及び経済性などのバランスに優れた電気絶縁用樹脂組成物は無かった。
電気絶縁用樹脂組成物において、近年の要求性能を満足すべく、耐加水分解性に優れた不飽和エポキシエステルに、耐熱性に優れたイミド変性不飽和ポリエステルを添加することによって、耐加水分解性と耐熱性を併せ持つ電気絶縁用樹脂組成物及びこの電気絶縁用樹脂組成物を用いて電気絶縁処理されてなる電気機器を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討の結果、不飽和エポキシエステルに、イミド変性不飽和ポリエステルを添加することにより、耐加水分解性と耐熱性を併せ持つ電気絶縁用樹脂組成物が得られること見出した。
本発明は、
(A)エポキシドとα、β-不飽和一塩基酸とを反応させ、更に不飽和二塩基酸を反応させて得られる不飽和エポキシエステル10〜90重量部、
(B)ジアミノジフェニルメタン、不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸及びアルコール成分を反応させて得られる酸価40以下の不飽和ポリエステル10〜90重量部、
(C)架橋性モノマー90〜10重量部、
(D)有機過酸化物0.1〜5.0重量部、
を含有してなる電気機器絶縁処理用樹脂組成物に関する。
また本発明は、上記に記載の電気絶縁用樹脂組成物を用いて電気絶縁処理されてなる電気機器に関する。
本発明になる電気機器絶縁用樹脂組成物は、不飽和エポキシエステルに、イミド変性不飽和ポリエステルを添加することによって、耐加水分解性と耐熱性の両者が良好となる。
本発明に用いられる(A)成分は、エポキシドとα、β-不飽和一塩基酸とを反応させ、更に不飽和二塩基酸を反応させて得られる不飽和エポキシエステルである。不飽和エポキシエステルの製造条件には制限が無く、例えば、触媒を用いて100℃〜120℃で、5〜10時間反応させて合成される。
本発明に用いられるエポキシドとは、分子あたり1個以上のエポキシ基を含有する化合物で、多価アルコールもしくは、多価フェノールのグリシジルポリエーテル、エポキシ化脂肪酸もしくは、乾性油酸、エポキシジオレフィン、エポキシ化不飽和酸のエステル、エポキシ化飽和ポリエステル等がある。
α、β-不飽和塩基酸としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸等があり、併用してもさしつかえない。不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが用いられる。付加触媒としては、塩化亜鉛、塩化リチウムなどのハロゲン化物、ジメチルサルファイト、メチルフェニルサルファイトなどのサルファイト類、ジメチルスルホキサイド、メチルスルホキサイド、メチルエチルスルホキサイドなどのスルホキサイド類、N−Nジメチルアニリン、ピリジン、トリエチルアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの3級アミン及びその塩基酸または臭酸塩、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルドデシルベンジルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸類、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタンなどのメルカプタン類などが用いられる。エポキシドとα、β-不飽和塩基酸との反応は、エポキシド1.0モルに対し、α、β-不飽和塩基酸を1.0〜2.0モル反応させることが望ましい。
更に、次の不飽和エポキシエステルと不飽和二塩基酸との反応は、エポキシド1.0モルに対し、α、β-不飽和塩基酸を1.0〜2.0モル反応させて得られた不飽和エポキシエステルに対し、不飽和二塩基酸を、0.1〜1.0モル反応させることが望ましく、不飽和エポキシエステルのモル数と、α、β-不飽和塩基酸及び不飽和二塩基酸のモル数の合計が、ほぼ同じモル数になることが望ましい。
本発明に用いられる(B)成分はイミド変性不飽和ポリエステルを含有する。イミド変性不飽和ポリエステルは、下記の酸成分、アルコール成分、ジアミノジフェニルメタン及び必要に応じて変性成分を反応させて得られる。酸成分としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の飽和酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、トール油脂肪酸等の植物油脂肪酸などが用いられる。アルコール成分としては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が用いられる。変性成分としては、例えばアマニ油、大豆油、トール油、脱水ヒマシ油、ヤシ油等が用いられる。
本発明に用いられる(C)成分は架橋性単量体を含有する。架橋性単量体は、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ターシャリーブチルスチレン、ジビニルベンゼン、各種アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル、各種アリルエステル、各種アリルエーテル等が挙げられる。架橋性単量体の使用量は、不飽和ポリエステル90〜10重量部に対して10〜90重量部の範囲とされ、これらの総量は、100重量部とされる。
本発明に用いられる(D)成分は、有機過酸化物を含有する。有機過酸化物としては、例えばベンゾインパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジターシャリブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどを用いる。硬化剤の添加量としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の総量100重量部に対して0.3〜5重量部が好ましい。
また、必要に応じて促進剤及び重合禁止剤を添加することもできる。促進剤としては、例えばナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等が用いられる。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ターシャリブチルカテコール、P−ベンゾキノン等のキノン類が用いられる。
本発明の樹脂組成物はエアコン用ファン、扇風機、洗たく機等のコンデンサーモートル、電気ドリルなどのアマチュア、テレビ、ステレオ、コンパクトディスクプレーヤー等の電源トランス等の電気機器の絶縁処理に適用される。
以下実施例により本発明を説明する。下記例中の部は、重量部を意味する。
製造例1
不飽和エポキシエステル(A−1)の合成
4、4−イソピリデンジフェノールのジグリシジルエーテル(シェル化学製、EP−828,エポキシ当量188)376部、メタクリル酸172部、ベンジルジメチルアミン2部、ハイドロキノン0.05部を反応釜に仕込み、115℃10時間反応させ、樹脂酸価が8となった所で、フマル酸5部を仕込み、115℃2時間反応させ、酸価が20となったところで冷却した。
製造例2
不飽和ポリエステル(A−2)の合成
無水マレイン酸196部、アジピン酸516部、無水トリメリット酸384部、4,4’− ジアミノジフェニルメタン198部、ネオペンチルグリコール801部を反応釜に仕込み、窒素ガス気流下に、160℃で3時間反応させて、イミドエステルを合成した。次いで、200〜220℃に昇温し、この範囲に温度を維持して脱水縮合反応を行わせ、酸価が20となったところで冷却した。
製造例3
不飽和ポリエステル(A−3)の合成
無水マレイン酸784部、テレフタル酸166部、イソフタル酸166部、ジエチレングリコール847部、エチレングリコール186部を反応釜に仕込み、窒素ガス気流中で200〜220℃に昇温させ、次に、ジシクロペンタジエン528部を添加し、以下、常法により脱水縮合反応させ、酸価が20となったところで冷却した。
実施例1
不飽和エポキシエステル(A−1)30部、不飽和ポリエステル(A−2)30部、スチレン40部、ナフテン酸コバルト0.3部、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート1.0部を撹拌混合して電気絶縁用樹脂組成物を調製した。
比較例1
不飽和エポキシエステル(A−1)50部、スチレン50部、ナフテン酸コバルト0.3部、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート1.0部を撹拌混合して電気絶縁用樹脂組成物を調製した。
比較例2
不飽和ポリエステル(A−2)50部、スチレン50部、ナフテン酸コバルト0.3部、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート1.0部を撹拌混合して電気絶縁用樹脂組成物を調製した。
比較例3
不飽和ポリエステル(A−3)50部、スチレン50部、ナフテン酸コバルト0.3部、ターシャリブチルパーオキシベンゾエート1.0部を撹拌混合して電気絶縁用樹脂組成物を調製した。
得られた電気絶縁用樹脂組成物について、熱劣化後の塗膜状態及びツイストペアを用いた耐環境負荷を調べた。その結果を表1に示す。なお、これら特性の試験方法は、以下の通りである。
(1) 熱劣化後の塗膜状態:ブリキ板に電気絶縁用樹脂組成物を塗布し、懸垂台に吊り下げ
15分放置後、120℃120分硬化を行い、試験片を得た。
この試験片を所定条件で熱劣化を行い、目視にて塗膜状態を観察した。
(2) ツイストペアを用いた耐環境負荷
直径1.0mmの1EIWを用いてツイストペアを作製する。この試験片を、120℃/10分間予熱し、指定した電気絶縁用樹脂組成物に2分間浸漬した後、引き上げる。15分間放置後、170℃/2時間加熱乾燥させる。更に、この試験片を反転させ、同様に、1回目の処理に用いた電気絶縁用樹脂組成物で、2回目の処理を行った。これを、耐環境負荷用試験片とする。
耐環境試験は、指定した薬剤に、耐環境負荷用試験片を浸漬させ、密閉系で25℃で所定期間放置した後、取り出し、絶縁破壊電圧を測定した。
薬剤は、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
Figure 2006134596
表1から本発明の実施例になる電気絶縁用樹脂組成物は、不飽和エポキシエステルに、イミド変性不飽和ポリエステルを添加することによって、耐加水分解性と耐熱性を併せ持つ電気絶縁用樹脂組成物が得られることを見出した。

Claims (2)

  1. (A)エポキシドとα、β-不飽和一塩基酸とを反応させ、更に不飽和二塩基酸を反応させて得られる不飽和エポキシエステル10〜90重量部、
    (B)ジアミノジフェニルメタン、不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸及びアルコール成分を反応させて得られる酸価40以下の不飽和ポリエステル10〜90重量部、
    (C)架橋性モノマー90〜10重量部、
    (D)有機過酸化物0.1〜5.0重量部、
    を含有してなる電気機器絶縁処理用樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の電気絶縁用樹脂組成物を用いて電気絶縁処理されてなる電気機器。

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