JP2007099890A - 樹脂混合物、樹脂混合物を用いた電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器絶縁物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 近年の要求されている、処理溶液での汚染が少なく、かつコア内のスロットに容易に含浸でき、かつ、短時間で硬化が可能な樹脂混合物、この樹脂混合物用いた電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器絶縁物の製造法を提供する。
【解決手段】 (A)分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とα、β−不飽和一塩基酸とを反応させて不飽和エポキシエステル樹脂とし、得られた不飽和エポキシエステル樹脂のヒドロキシル基に対して2〜10モル%に相当する不飽和酸無水物を反応させて得られる変性不飽和エポキシエステルと(B)反応性モノマ及び(C)脂肪族系炭化水素を含む有機酸又はその金属塩粉末を必須材料としてなる樹脂混合物、この樹脂混合物に重合開始剤、安定剤を含有してなる電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器を前記の電気絶縁用樹脂組成物で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、樹脂混合物、樹脂混合物を用いた電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器絶縁物の製造方法に関し、さらに詳しくは不飽和エポキシエステル樹脂と無機充填剤を主成分としたモータ−、トランス、アーマチュア(回転子)、ステ−タ(固定子)などの電気機器用コイルの含浸性を向上しかつ短時間で硬化可能な樹脂混合物、樹脂混合物を用いた電気絶縁用樹脂組成物及びこの電気絶縁用樹脂組成物を用いて、電気機器を被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法に関する。
近年、化学工業の分野においては、より安全な製品、より生産性の向上がみこめる製品を求めて、各種の環境対応技術が積極的に研究開発されている。
モータ−、トランス、アーマチュア(回転子)、ステ−タ(固定子)等の電気機器は、エナメル電線同士及び鉄コアの固着又は防錆、コイルの絶縁、固着等を目的として、電気絶縁用樹脂組成物で処理されている。
電気絶縁用樹脂組成物としては、硬化性、空乾性、固着性、電気絶縁性、経済性などのバランスに優れた不飽和ポリエステル樹脂の組成物が広く用いられている。
モータ−、トランス、アーマチュア(回転子)、ステ−タ(固定子)等の電気機器は、エナメル電線同士及び鉄コアの固着又は防錆、コイルの絶縁、固着等を目的として、電気絶縁用樹脂組成物で処理されている。
電気絶縁用樹脂組成物としては、硬化性、空乾性、固着性、電気絶縁性、経済性などのバランスに優れた不飽和ポリエステル樹脂の組成物が広く用いられている。
近年の電気機器は、小型・軽量化、高出力化に対応するため、コアにあるスロット内の電線占有率が大きくなる傾向がある。そのため、従来の技術では、特許文献1に記載されているように、含浸処理ワニスの低粘度化の推進により、より多く、不飽和ポリエステル樹脂を滴下、浸漬することにより対応してきた。
特開平8−109322号公報
また、含浸、滴下手法として、不飽和ポリエステル樹脂の粘度変更以外の方法として、公知の事例では、モータ−、トランス、アーマチュア(回転子)、ステ−タ(固定子)等の電気機器を予熱し、90℃〜150℃の温度に保温した後、不飽和ポリエステル樹脂を滴下、浸漬し、電気機器内に充填させる方法がある。
しかしこの方法では、ワニスを必要以上に含浸滴下する必要が発生し、そのため、固着、絶縁機能を有しなくてもよい部分にまで処理ワニスで汚染する不具合が発生している。この汚染のため、上記不要部分は、機械加工等ではがしとる必要に迫られ、より多くの作業工程、作業時間を要する不具合が発生している。
また、低粘度化により、ワニス中より有機溶剤を使用するため、ワニスより揮発する有機溶剤の蒸気により作業環境を劣悪なものにしている。
上記以外の方法で、不飽和ポリエステル樹脂の粘度を変更する方法として、特許文献2に記載されているような溶融シリカに代表される揺変性付与材や重質炭酸カルシウムを使用する方法がある。
特開平11−148000号公報
上記以外の方法で、不飽和ポリエステル樹脂の粘度を変更する方法として、特許文献2に記載されているような溶融シリカに代表される揺変性付与材や重質炭酸カルシウムを使用する方法がある。
しかしこの方法では、低温時の粘度を最適に合わせても高温時の粘度が低下してしまい、最適な粘度を得るのが困難であるうえ、含浸液の粘度上昇等の不具合も発生する。
また、特許文献3や特許文献4に記載されているように、各種有機溶剤に混合溶解した添加剤の添加による粘度適正化を実施しても、高温時の粘度が低下してしまい、最適な粘度を得るのが困難であった。
特開2000−066690号公報
特開2003−404811号公報
また、特許文献3や特許文献4に記載されているように、各種有機溶剤に混合溶解した添加剤の添加による粘度適正化を実施しても、高温時の粘度が低下してしまい、最適な粘度を得るのが困難であった。
本発明は、かかる問題に鑑み、近年の要求されている、処理溶液での汚染が少なく、かつコア内のスロットに容易に含浸でき、かつ、短時間で硬化が可能な樹脂混合物、この樹脂混合物用いた電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器絶縁物の製造法を提供するものである。
本発明は、(A)分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とα、β−不飽和一塩基酸とを反応させて不飽和エポキシエステル樹脂とし、得られた不飽和エポキシエステル樹脂のヒドロキシル基に対して2〜10モル%に相当する不飽和酸無水物を反応させて得られる変性不飽和エポキシエステルと(B)分子内に不飽和基を有する反応性モノマ及び(C)脂肪族系炭化水素を含む有機酸又はその金属塩粉末を必須材料としてなる樹脂混合物に関する。
また、本発明は、変性不飽和エポキシエステル(A)の分子量が、3,000〜10,000である樹脂混合物に関する。
また、本発明は、分子内に不飽和基を有する反応性モノマ(B)が、変性不飽和エポキシエステル(A)100重量部に対して、5〜100重量部含有してなる樹脂混合物に関する。
また、本発明は、分子内に不飽和基を有する反応性モノマ(B)が、変性不飽和エポキシエステル(A)100重量部に対して、5〜100重量部含有してなる樹脂混合物に関する。
また、本発明は、脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末又はその金属塩(C)の主鎖が、炭素数4〜20である樹脂混合物に関する。
また、本発明は、脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末又はその金属塩(C)の含有量が、変性不飽和エポキシエステル(A)と分子内に不飽和基を有する反応性モノマ(B)の合計100重量部に対して、0.3〜10重量部含有してなる樹脂混合物に関する。
また、本発明は、脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末又はその金属塩(C)の含有量が、変性不飽和エポキシエステル(A)と分子内に不飽和基を有する反応性モノマ(B)の合計100重量部に対して、0.3〜10重量部含有してなる樹脂混合物に関する。
また、本発明は、前記の樹脂混合物に重合開始剤、安定剤を含有してなる電気絶縁用樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、電気機器を前記の電気絶縁用樹脂組成物で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、電気機器を前記の電気絶縁用樹脂組成物で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法に関する。
本発明の樹脂混合物、これを用いた電気絶縁用樹脂組成物は、近年の要求されている、処理溶液での汚染が少なくかつ、コア内のスロットに容易に含浸でき、かつ、短時間で硬化が可能であるという硬化することを特徴奏し、また本発明の製造方法により得られる電気機器絶縁物は、含浸作業方法に幅広く対応可能であり、かつ従来の液状タイプの樹脂組成物と同等以上の固着性などの硬化物特性及び良好な安定性を示し、信頼性の高い電気機器を提供することができる。
本発明における、変性不飽和エポキシエステル(A)の必須合成原料である1分子に1個以上のエポキシ基を含有する化合物としては、例えば多価アルコール又は多価フェノールのグリシジルポリエーテル、エポキシ化脂肪酸、エポキシ化乾性油酸、エポキシ化ジオレフィン、エポキシ化ジ不飽和酸のエステル、エポキシ化飽和ポリエステル等が挙げられこれらを単独又は併用して用いることができる。
市販品の例としては、例えばシェル化学社製のEpon825、Epon828、Epon1001、Epon1002、Epon1004、Epon1007又はEpon1009、油化シェルエポキシ社製のエピコート815、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1055、エピコート827−X−75、エピコート1001−B−80、エピコート1001−X−70、エピコート1001−X−75、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1004、エピコート1007又はエピコート1009、旭化成社製のAER334、AER330、AER331、AER337、AER661、AER664、AER667又はAER669、旭電化社製のアデカレジンEP−4200、アデカレジンEP−4300、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4340、アデカレジンEP−5100、アデカレジンEP−5200、アデカレジンEP−5400、アデカレジンEP−5700又はアデカレジンEP−5900、住友化学社製のスミエポキシELA−115、スミエポキシELA−127、スミエポキシELA−128、スミエポキシELA−134、スミエポキシESA−011、スミエポキシESA−012、スミエポキシESA−014、スミエポキシESA−017又はスミエポキシESA−019、大日本インキ社製のエピクロン855、エピクロン840、エピクロン860、エピクロン1050、エピクロン2050、エピクロン4050、エピクロン7050又はエピクロン9050、ダウ・ケミカル(日本)社製のDER330、DER331、DER661、DER662、DER664、DER667又はDER669、大日本色材社製のプリエポーPE−10、プリエポーPE−25、プリエポーPE−70、プリエポーPE−80、プリエポーPE−100、プリエポーPE−120又はプリエポーPE−150、東都化成社のエポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、エポトートYD−134、エポトートYD−011、エポトートYD−012、エポトートYD−014、エポトートYD−017又はエポトートYD−019、日本チバガイギー社製のアラルダイトGY−250、アラルダイトGY−261、アラルダイトGY−30、アラルダイト6071、アラルダイト6084、アラルダイト6097又はアラルダイト6099三井化学エポキシ社製のエポミックR−130、エポミックR−139、エポミックR−140、エポミックR−144、エポミックR−301、エポミックR−302、エポミックR−304、エポミックR−307又はエポミックR−309等が挙げられる。
これらのうち、特に、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、1分子中に1個だけエポキシ基を有する化合物は、0〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。
α、β−不飽和一塩基酸としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、珪皮酸、ソルビン酸等を用いることができ、これらは併用することもできる。一般的に耐食性の観点からメタクリル酸を用いるのが好ましい。α、β−不飽和一塩基酸は、エポキシ基/カルボキシル基の当量比が好ましくは1.6〜0.6となるように、より好ましくは1.2〜0.9となるように配合される。
変性不飽和エポキシエステル樹脂のヒドロキシル基と反応させる不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等を用いることができる。
不飽和酸無水物は、前記不飽和エポキシエステル樹脂のヒドロキシル基に対して1〜20モル%に相当する割合で使用されることが好ましく、2〜20モル%に相当する割合で使用されることがより好ましい。不飽和酸無水物の使用量がこの範囲以外では変性不飽和エポキシエステル樹脂の貯藏安定性が悪く、ゲル化し易くなる。
不飽和酸無水物は、前記不飽和エポキシエステル樹脂のヒドロキシル基に対して1〜20モル%に相当する割合で使用されることが好ましく、2〜20モル%に相当する割合で使用されることがより好ましい。不飽和酸無水物の使用量がこの範囲以外では変性不飽和エポキシエステル樹脂の貯藏安定性が悪く、ゲル化し易くなる。
不飽和エポキシエステル樹脂と不飽和酸無水物との反応には、付加触媒として、塩化亜鉛、塩化リチウム等のハロゲン化物、ジメチルサルファイド、メチルフェニルサルファイド等のサルファイド類、ジメチルスルホキシド、メチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド等のスルホキシド類、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、トリエチルアミン、へキサメチレンジアミン等の第3級アミン及びその塩酸塩又は臭酸塩、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルドデシルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸類、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン等のメルカプタン類などが用いられる。
付加触媒の配合量は、不飽和エポキシエステル樹脂100重量部に対して、0.05〜2重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がさらに好ましい。
付加触媒の配合量は、不飽和エポキシエステル樹脂100重量部に対して、0.05〜2重量部が好ましく、0.1〜1.0重量部がさらに好ましい。
変性不飽和エポキシエステルの製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、多塩基酸成分、多価アルコール成分とを縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレン等の溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
反応の温度は90〜100℃以上とすることが好ましい。このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
合成反応を行うための反応温度は、80℃〜120℃の範囲で行うことが好ましく、90℃〜110℃の範囲で行うことがより好ましい。この温度が120℃を超えると、反応が激しくゲル化する不具合が発生する。反応温度は、使用する多価アルコ−ルにより、選択設定可能である。
合成における重縮合反応を行うために調整する反応装置内圧力は、常圧でも全く問題なく反応を進めることができるが、加圧し、多価アルコ−ルの沸点をあげることにより、反応を促進することができる。この場合、常圧〜0.1MPaの範囲で行うことが好ましい。必要により重合禁止剤などを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物とされる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量(ゲルパーミッションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値、以下も同じ)は、200〜10,000とされる。好ましくは、500〜2,000である。200未満では、樹脂の硬化性及び樹脂硬化物特性が極端に劣り、10,000を超えると粘度が高すぎ作業性が悪化する。
本発明に必須成分として用いられる反応性モノマ(B)としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、ターシャリブチルスチレン、臭化スチレン等のスチレン誘導体、ビニル単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多価アルコールのメタクリル酸エステル、ジアリルフタレート、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル系共重合体等が挙げられる。
このとき、前記記載の変性不飽和エポキシエステル樹脂100部に対して、反応性モノマを5〜100重量部とすることが好ましい。5重量部未満の場合、エナメル線被覆との接着が低く、かつ粘度の低下が見られないため作業性が悪化し、また100重量部を超える量を加えても、接着力は飽和してしまい、添加量に対する特性向上が見込まれなくなるうえ、VOC発生量が増大し環境に悪影響を与える不具合が発生する。
なお、上記反応性モノマは2種以上併用してもよく、また、それぞれの成分を電気絶縁用樹脂組成物に溶解可能な溶剤に分散した場合でも同様の効果を示す。
なお、上記反応性モノマは2種以上併用してもよく、また、それぞれの成分を電気絶縁用樹脂組成物に溶解可能な溶剤に分散した場合でも同様の効果を示す。
本発明に必須成分として用いられる脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末(C)としては、アルカン又はパラフィン系炭化水素、アルケン又はオレフィン系炭化水素、アルキン、又はアセチレン系炭化水素系からなる脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末を用いることが出来る。
このとき、主鎖の炭素数が4〜20のものが好ましい。炭素数か4未満では、得られるワニス粘度が、温度により低下してしまい、無添加の場合と同様の粘度曲線となってしまう。また、炭素数が20を超えても、温度による樹脂混合物の粘度が無添加時よりも高く、低下が抑えられるが、樹脂混合物自体に活性(離型性)を有してしまい、この樹脂混合物を硬化して得られるワニス硬化物とエナメル電線等絶縁物間の接着力が低下してしまう不具合が発生する。
このとき、前記変性不飽和エポキシエステル樹脂と反応性モノマの総計100重量部に対して、0.3〜10重量部であることが望ましい。0.3重量部未満の場合、粘度の温度による低下が大きく、効果が発生しない傾向がある。また10重量部を超える量を加えても、添加量に対する特性向上が見込まれなくなるうえ、粘度上昇による作業性悪化という不具合が発生する傾向がある。
本発明で使用される脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末(C)の金属塩としては、上記脂肪族炭化水素粉末に亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、カリウム、カルシウム、コバルト、鉛、カドミウム、マグネシウムを化合して得られる金属塩が挙げられる。
本発明で必要に応じて使用できる、重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。その配合量は、得られる不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性により便宜決定されるが、重合禁止剤の配合量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5.0重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
本発明で必要に応じて用いられる硬化剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等が挙げられる。硬化剤の配合量は、硬化条件や樹脂硬化物の外観、特性等の面に影響があるため、それぞれに応じて決定される。材料の保存性、成形サイクルの面から前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対して0.5〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
本発明で必要に応じて用いられる安定剤としては、 p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。安定剤の配合量は、樹脂組成物の貯蔵安定性、実機処理時の硬化温度及び硬化時間により便宜に決定されるが、その配合量は、通常、樹脂組成物の総量100重量部に対して0.5重量部以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1重量部がより好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。なお、例中の「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。
〔変性不飽和エポキシエステル樹脂(A)の合成〕
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジグリシジルエーテル(シエル化学社製、Ep−828、エポキシ当量188)376部、メタクリル酸172部、ベンジルジメチルアミン2部及びハイドロキノン0.05部を反応釜に仕込み、ll5℃で反応させた。酸価が5になったとき、無水マレイン酸24部をさらに反応釜の中に追加し、酸価が30になったときに反応をやめた。得られた変性不飽和エポキシエステル(A)の粘度は25℃で、3.2Pa・sであった。
〔変性不飽和エポキシエステル樹脂(A)の合成〕
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのジグリシジルエーテル(シエル化学社製、Ep−828、エポキシ当量188)376部、メタクリル酸172部、ベンジルジメチルアミン2部及びハイドロキノン0.05部を反応釜に仕込み、ll5℃で反応させた。酸価が5になったとき、無水マレイン酸24部をさらに反応釜の中に追加し、酸価が30になったときに反応をやめた。得られた変性不飽和エポキシエステル(A)の粘度は25℃で、3.2Pa・sであった。
実施例1
(1)樹脂混合物Aの作製
上記で得た変性不飽和エポキシエステル(A)及び反応性希釈材(B)としてスチレンを50部/50部で配合し、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩として、ステアリン酸亜鉛5部及び硬化剤としてt−ブチルパーベンゾエ−ト(日本油脂製パーブチルZ)1部を添加し樹脂混合物Aを得た。
(1)樹脂混合物Aの作製
上記で得た変性不飽和エポキシエステル(A)及び反応性希釈材(B)としてスチレンを50部/50部で配合し、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩として、ステアリン酸亜鉛5部及び硬化剤としてt−ブチルパーベンゾエ−ト(日本油脂製パーブチルZ)1部を添加し樹脂混合物Aを得た。
(I)一般特性
1.1 粘度の測定
測定温度を10、25、40、60及び90℃とし、JIS C 2105に準じて測定した。
1.2 ゲル化時間の測定
測定温度を100℃とし、JIS C 2103に準じて試験管法で測定した
1.1 粘度の測定
測定温度を10、25、40、60及び90℃とし、JIS C 2105に準じて測定した。
1.2 ゲル化時間の測定
測定温度を100℃とし、JIS C 2103に準じて試験管法で測定した
(II)汚染性試験
140mmに切断した日立マグネットワイヤ製KMK−22A、直径1.0mm(φ)のマグネットワイヤを使用し、それを50本束ね、端から20mmの部分に金属板を設置し、試験片を作成した。この試験片を用い、樹脂混合物を含浸処理し、120℃で20分硬化した。硬化後、金属板表面の樹脂混合物による汚染状態を観察した
140mmに切断した日立マグネットワイヤ製KMK−22A、直径1.0mm(φ)のマグネットワイヤを使用し、それを50本束ね、端から20mmの部分に金属板を設置し、試験片を作成した。この試験片を用い、樹脂混合物を含浸処理し、120℃で20分硬化した。硬化後、金属板表面の樹脂混合物による汚染状態を観察した
(III)固着力の測定
日立マグネットワイヤ製KMK−22A、直径1.0mm(φ)のマグネットワイヤを使用し、ストラッカ試験片を作成した。これに、樹脂混合物Aを含浸処理し、120℃で20分間硬化させ試験片を作成した.この試験片を用い、支点間距離を80mmにし、島津製作所製オ−トグラフを用いて5mm/分の速さで、試験片の中央部に荷重を加えた。
試験片が破壊する荷重をもって固着力とした。
日立マグネットワイヤ製KMK−22A、直径1.0mm(φ)のマグネットワイヤを使用し、ストラッカ試験片を作成した。これに、樹脂混合物Aを含浸処理し、120℃で20分間硬化させ試験片を作成した.この試験片を用い、支点間距離を80mmにし、島津製作所製オ−トグラフを用いて5mm/分の速さで、試験片の中央部に荷重を加えた。
試験片が破壊する荷重をもって固着力とした。
実施例2
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)をステアリン酸に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Bを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)をステアリン酸に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Bを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例3
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を0.3部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Cを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を0.3部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Cを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例4
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)を金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を10部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Dを作製し、一般特性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)を金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を10部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Dを作製し、一般特性、固着力を測定した。
比較例1
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)を添加しない以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Eを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)を添加しない以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Eを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
比較例2
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)を1,4ブタンジオールに変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Fを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)を1,4ブタンジオールに変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Fを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
比較例3
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)をエイコサン(C20H42)に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Gを作製し、一般特性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)をエイコサン(C20H42)に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Gを作製し、一般特性、固着力を測定した。
参考例1
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を0.1部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Hを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を0.1部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Hを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
参考例2
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を15部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Iを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
実施例1のうち、脂肪族系炭化水素粉末(C)の金属塩であるステアリン酸亜鉛の添加量を15部に変更した以外は実施例1と同様の工程を経て、樹脂混合物Iを作製し、一般特性、汚染性、固着力を測定した。
次に、実施例1〜3、比較例1〜3及び参考例1〜2で得られた特性の結果を表1に示す。
Claims (7)
- (A)分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とα、β−不飽和一塩基酸とを反応させて不飽和エポキシエステル樹脂とし、得られた不飽和エポキシエステル樹脂のヒドロキシル基に対して2〜10モル%に相当する不飽和酸無水物を反応させて得られる変性不飽和エポキシエステルと(B)分子内に不飽和基を有する反応性モノマ及び(C)脂肪族系炭化水素を含む有機酸又はその金属塩粉末を必須材料としてなる樹脂混合物。
- 変性不飽和エポキシエステル(A)の分子量が、3,000〜10,000である請求項1記載の樹脂混合物。
- 分子内に不飽和基を有する反応性モノマ(B)が、変性不飽和エポキシエステル(A)100重量部に対して、5〜100重量部含有してなる請求項1又は2記載の樹脂混合物。
- 脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末又はその金属塩(C)の主鎖が、炭素数4〜20である請求項1、2又は3記載の樹脂混合物
- 脂肪族系炭化水素からなる有機酸粉末又はその金属塩(C)の含有量が、変性不飽和エポキシエステル(A)と分子内に不飽和基を有する反応性モノマ(B)の合計100重量部に対して、0.3〜10重量部含有してなる請求項1、2、3又は4記載の樹脂混合物。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の樹脂混合物に重合開始剤、安定剤を含有してなる電気絶縁用樹脂組成物。
- 電気機器を請求項7記載の電気絶縁用樹脂組成物で被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法。
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JP2005291107A JP2007099890A (ja) | 2005-10-04 | 2005-10-04 | 樹脂混合物、樹脂混合物を用いた電気絶縁用樹脂組成物及び電気機器絶縁物の製造方法 |
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JP2022056699A (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-11 | 日本ユピカ株式会社 | ラジカル重合性樹脂組成物、複合材料、及び当該ラジカル重合性樹脂組成物等を用いた構造体 |
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2005
- 2005-10-04 JP JP2005291107A patent/JP2007099890A/ja active Pending
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