JPWO2018225526A1 - 硫化物固体電解質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

リン含有量が28.3質量%以下であり、遊離硫黄を含む硫化リンを原料に用いる、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法。

Description

本発明は、硫化物固体電解質の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造及び材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質に変えて、電池を全固体化したリチウムイオン電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
リチウムイオン電池に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。硫化物固体電解質の結晶構造としては種々のものが知られているが、電池を使用できる温度領域を拡げるという観点からは、広い温度範囲で構造が変化し辛い安定な結晶構造が適している。また、イオン伝導度が高いものが求められている。このような硫化物固体電解質として、例えば、アルジロダイト(Argyrodite)型結晶構造を有する硫化物固体電解質(例えば、特許文献1〜5、非特許文献1参照。)が開発されている。
また、特許文献6には31PNMRスペクトル解析により特定される所定の硫化リンを原料として用いる硫化物ガラスの製造方法が開示されている。
特表2010−540396号公報 国際公開WO2015/011937 国際公開WO2015/012042 特開2016−24874号公報 国際公開WO2016/104702 国際公開WO2016/67631
電気化学会第82回講演要旨集(2015),2H08
本発明の目的の1つは、高いイオン伝導度を示すアルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法を提供することである。
本発明者らは、31PNMRスペクトル解析により、一般に市販されている五硫化二リンには、分子式がP10の五硫化二リンだけでなく、P及びP等の分子式で表される硫化リンが含まれていることを確認した。そして、原料に用いる硫化リンのリン含有量により、得られる硫化物固体電解質のイオン伝導度が異なることを見出した。
また、リン含有量が所定の値から外れている硫化リンを原料に用いる場合であっても、リン含有量の異なる他の硫化リンを加えて、硫化リン全体のリン含有量を調整することで、得られる硫化物固体電解質のイオン伝導度が向上することを見出した。
また、原料に用いる硫化リンのリン含有量が高い場合、単体硫黄を使用して硫化リンのリン含有量を調整することで、得られる硫化物固体電解質のイオン伝導度が向上することを見出した。
本発明の一実施形態によれば、リン含有量が28.3質量%以下であり、遊離硫黄を含む硫化リンを原料に用いる、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法が提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、硫化リンに単体硫黄を加えて、前記硫化リンと単体硫黄の合計質量に対するリン含有量を、28.3質量%以下に調整した原料を用いる、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態によれば、高いイオン伝導度を示すアルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法を提供することができる。
硫化リンA〜Eの31PNMRスペクトルである。 実施例1,2及び比較例1〜3で得た中間体のXRDパターンである。 実施例1,2及び比較例1〜3で得た硫化物固体電解質のXRDパターンである。 実施例7,8及び比較例3で得た中間体のXRDパターンである。 実施例7,8及び比較例3で得た硫化物固体電解質のXRDパターンである。 実施例9,10及び比較例3で得た中間体のXRDパターンである。 実施例9,10及び比較例3で得た硫化物固体電解質のXRDパターンである。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るアルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法は、リン含有量が28.3質量%以下であり、遊離硫黄を含む硫化リンを原料に用いる。
一般に市販されている五硫化二リンには、分子式がP10の五硫化二リンだけでなく、P及びP等の分子式で表される硫化リンを含む。そして、硫化リンのリン含有量が多い程、硫化リンに含まれるPが増加する傾向があり、硫化リンのリン含有量が少ない程、硫化リンに含まれるPが減少する傾向がある。また、硫化リンのリン含有量が多い程、遊離硫黄を多く含む傾向がある。
本実施形態では、リン含有量の少ない硫化リンを原料に用いることで、P 4−構造の含有量が少ない熱処理(焼成)前の硫化物固体電解質の中間体を得ることができる。中間体に含まれるP 4−構造が少ないと、中間体の熱処理によって得られる硫化物固体電解質中に不純物相ができにくく、高いイオン伝導度を有する硫化物固体電解質とすることができる。なお、中間体は、X線回折測定において、ガラスを示すハローパターンが観察される。中間体のX線回折パターンには、ハローパターンのほか、原料由来のピーク、及びアルジロダイト結晶のピークが含まれていてもよい。
本実施形態で、原料に用いる硫化リンは遊離硫黄を含む。これにより、得られる硫化物固体電解質のイオン伝導度が高くなる。硫化リンは遊離硫黄を0.2〜2.5質量%含むことが好ましい。なお、遊離硫黄とは硫化リンに含まれる単体硫黄であり、実施例で示すように高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により含有量を確認できる。
原料に用いる硫化リンのリン含有量(硫化リンと遊離硫黄の合計質量に対するリン含有量)は、28.3質量%以下であればよく、28.2質量%以下が好ましく、28.0質量%以下がより好ましく、27.8質量%以下がさらに好ましく、27.7質量%以下が特に好ましい。2種以上のリン含有量が28.3質量%以下である硫化リンを用いてもよい。
硫化リンのリン含有量の下限については特に限定は無いが、リン含有量が低過ぎると遊離硫黄が増加してしまう可能性があることから、27.0質量%以上であればよい。
本願において、硫化リンのリン含有量は、実施例に示すように、ICP−OES(誘導結合プラズマ発光分光分析)で測定した硫化リンのリン含有量を、HPLCで測定した遊離硫黄由来の硫黄原子の含有量で補正することにより求められる。
本実施形態では、リン含有量の異なる2種以上の硫化リンを混合することによりリン含有量を調整することができる。リン含有量の異なる2種以上の硫化リンを原料に用いることで、P 4−構造の含有量が少ない硫化物固体電解質の中間体を得ることができるため、高いイオン伝導度を有する硫化物固体電解質とすることができる。
原料に用いるリン含有量の異なる2種以上の硫化リンは、リン含有量が28.0質量%超である硫化リンとリン含有量が28.0質量%以下である硫化リンであると好ましく、リン含有量が28.2質量%超である硫化リンとリン含有量が27.9質量%以下である硫化リンであるとより好ましく、リン含有量が28.3質量%超である硫化リンとリン含有量が27.8質量%以下である硫化リンであるとさらに好ましく、リン含有量が28.4質量%超である硫化リンとリン含有量が27.7質量%以下である硫化リンであると特に好ましい。
硫化リンのリン含有量の下限については特に限定は無いが、リン含有量が低過ぎると遊離硫黄が増加してしまう可能性があることから、27.0質量%以上であればよい。同様に、硫化リンのリン含有量の上限については特に限定は無いが、29.0質量%以下であればよい。
原料に用いる硫化リンとして、リン含有量が28.0質量%以下である硫化リンを用いる場合、好ましくは当該硫化リンは遊離硫黄を0.2〜2.5質量%含む。
原料に用いる硫化リンとして、リン含有量が28.0質量%超である硫化リンを用いる場合、好ましくは当該硫化リンは遊離硫黄を含まない。本願において「遊離硫黄を含まない」とは、硫化リンの遊離硫黄の含有量が0.2質量%未満、より好ましくは0.15未満、さらに好ましくは0.1質量%未満であることを意味する。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るアルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法は、硫化リンに単体硫黄を加えて、硫化リンと単体硫黄の合計質量に対するリン含有量を、28.3質量%以下に調整した原料を用いる。
本実施形態では、リン含有量の多い硫化リンに単体硫黄を組み合わせて原料として用いることで、P 4−構造の含有量が少ない硫化物固体電解質の中間体を得ることができ、高いイオン伝導度を有する硫化物固体電解質とすることができる。
原料に用いる硫化リンのリン含有量は、28.3質量%超であってもよい。リン含有量が、28.3質量%を超えると、得られる硫化物固体電解質のイオン伝導度は低下する傾向がある。そのため、例えば硫化リンと単体硫黄の合計質量に対するリン含有量が28.3質量%以下になるように単体硫黄を原料に加えることにより、得られる硫化物固体電解質のイオン伝導度を向上できる。硫化リンのリン含有量は、28.4質量%超であってもよく、最終的に調整する硫化リンと単体硫黄の合計質量に対するリン含有量に合わせて、28.3質量%以下のリン含有量の硫化リンを用いてもよい。
硫化リンのリン含有量の上限については特に限定は無いが、例えば、29.0質量%以下である。
本実施形態では、原料に用いる硫化リンは、好ましくは遊離硫黄を含まない。
原料に用いる硫化リンと単体硫黄の配合比は、硫化リンと単体硫黄の合計質量に対して、リン含有量(リン/(硫化リン+単体硫黄))が28.3質量%以下となるように配合するとよい。硫化リンと単体硫黄の合計質量に対する、リンの含有量は、28.0質量%以下が好ましく、27.9質量%以下がより好ましく、27.8質量%以下がさらに好ましく、27.7質量%以下が特に好ましい。
第1実施形態及び第2実施形態において、硫化リンに含まれる各成分(例えば、P10、P及びP)の特定及び含有率は、溶液31PNMRスペクトル解析で求められる。P10は56.6ppm以上57.1ppm以下の範囲に現れるピークにより特定することができる。Pは、57.2ppm以上58.3ppm以下、及び、63.0ppm以上64.5ppm以下の範囲に現れるピークにより特定することができる。Pは84.0ppm以上86.0ppm以下、及び、110.0ppm以上113.0ppm以下の範囲に現れるピークにより特定することができる。
各ピークの面積を、測定されるすべてのピークのピーク面積の合計で除することにより、各成分の含有率(リン基準:mol%)を算出できる。上記により算出された各成分の含有率は、硫化リンに含まれるリンが各成分に占める比率を意味する。本願では各ピークの面積を下記のとおり表示する。
面積A:溶液31PNMRスペクトル解析において、−201ppm以上201ppm以下の範囲で測定されるすべてのピークのピーク面積の合計
面積B:同57.2ppm以上58.3ppm以下、及び、63.0ppm以上64.5ppm以下の範囲に現れるピーク(P由来)のピーク面積
面積C:同56.6ppm以上57.1ppm以下の範囲に現れるピーク(P10由来)のピーク面積
面積D:同84.0ppm以上86.0ppm以下、及び、110.0ppm以上113.0ppm以下の範囲に現れるピーク(P由来)のピーク面積
面積E:同18.0ppm以上20.0ppm以下、46.0ppm以上49.0ppm以下、79.0ppm以上81.0ppm以下、及び90.0ppm以上92.0ppm以下、の範囲に現れるピーク(PPS(多硫化リン:構造不明のポリマー状硫化リン)由来)のピーク面積の合計
面積E:−201ppm以上201ppm以下の範囲のうち、上述したB、C、D、Eに相当する範囲以外の範囲に現れるピークのピーク面積の合計
なお、EとEのピーク面積の合計を面積Eとする。
リン含有量が28.3質量%以下である硫化リンを使用する場合において、各ピークの面積を上記で表示した場合、下記式(1)を満たす硫化リンを原料に用いると好ましい。
0≦100×B/A≦46.0・・・(1)
式(1)のB/Aの値が小さいことは、原料である硫化リンにおけるPの含有率が低いことを意味する。式(1)を満たす硫化リンを原料に用いることにより、P 4−構造の生成を抑制することができると推定している。
本実施形態では下記式(10)を満たすことが好ましく、(11)を満たすことがより好ましく、下記式(12)を満たすことが更に好ましく、下記式(13)を満たすことが特に好ましく、下記式(14)を満たすことが最も好ましい。
0≦100×B/A≦40・・・(10)
0.01≦100×B/A≦40・・・(11)
0.1≦100×B/A≦39・・・(12)
0.5≦100×B/A≦35・・・(13)
1≦100×B/A≦20・・・(14)
原料として用いる硫化リンが下記式(2)を満たすことが好ましい。
38.0≦100×C/A≦100・・・(2)
式(2)のC/Aの値が大きいことは、原料である硫化リンにおけるP10の含有率が高いことを意味する。式(2)を満たす硫化リンを原料に用いることにより、P 4−構造の生成を抑制することができる。
本実施形態では下記式(20)を満たすことが好ましく、(21)を満たすことがより好ましく、下記式(22)を満たすことが更に好ましく、下記式(23)を満たすことが特に好ましく、下記式(24)を満たすことが最も好ましい。
40≦100×C/A≦100・・・(20)
45≦100×C/A≦99.99・・・(21)
53≦100×C/A≦99.9・・・(22)
57≦100×C/A≦99.5・・・(23)
60≦100×C/A≦99・・・(24)
原料として用いる硫化リンが下記式(3)を満たすことが好ましい。
0≦100×D/A≦3・・・(3)
式(3)のD/Aは、原料である硫化リンにおけるPの含有率を意味する。本実施形態では下記式(31)を満たすことがより好ましく、特に、下記式(32)を満たすことが好ましい。
0.01≦100×D/A≦2.5・・・(31)
0.1≦100×D/A≦2・・・(32)
原料として硫化リンが下記式(4)を満たすことが好ましい。
0≦100×E/A≦20・・・(4)
式(4)のE/Aは、原料である硫化リンにおけるP、P10、P以外の、リンを含む物質の含有率を意味する。本実施形態では下記式(41)を満たすことがより好ましく、特に、下記式(42)を満たすことが好ましい。
0.01≦100×E/A≦17・・・(41)
0.1≦100×E/A≦15・・・(42)
原料として用いる硫化リンが下記式(5)を満たすことが好ましい。
0≦100×E/A≦10・・・(5)
式(5)のE/Aは、原料である硫化リンにおけるPPSの含有率を意味する。本実施形態では下記式(51)を満たすことがより好ましく、特に、下記式(52)を満たすことが好ましい。
0.01≦100×E/A≦8・・・(51)
0.1≦100×E/A≦6・・・(52)
原料として用いる硫化リンが下記式(6)を満たすことが好ましい。
0≦100×(B+D)/A≦50.0・・・(6)
式(6)を満たすことにより、P 4−構造の生成をさらに抑制することができる。本実施形態では下記式(60)を満たすことが好ましく、(61)を満たすことがより好ましく、下記式(62)を満たすことが更に好ましく、下記式(63)を満たすことが特に好ましく、下記式(64)を満たすことが最も好ましい。
0≦100×(B+D)/A≦45・・・(60)
0.01≦100×(B+D)/A≦42・・・(61)
0.1≦100×(B+D)/A≦40・・・(62)
0.5≦100×(B+D)/A≦35・・・(63)
1≦100×(B+D)/A≦20・・・(64)
第1実施形態及び第2実施形態において、リン含有量が28.3質量%以下である硫化リン、又はリン含有量が28.3質量%以下であってさらに上記式(1)〜(6)のいずれか1以上を満たす硫化リンは、例えば、市販品をソックスレー抽出法等の方法によりP10の含有率を高めるように処理することにより調製できる。また、市販品の中から上記要件を満たす硫化リン(五硫化二リンとして販売)を選択してもよい。なお、リン含有量が28.3質量%超である硫化リンは、特に制限はなく、市販品を使用することができる。硫化リンのリン含有量が高い場合に、第2実施形態を適用すればよい。
第1実施形態の硫化物固体電解質の製造方法は、リン含有量が28.3質量%以下の硫化リン、又は全体のリン含有量が28.3質量%以下である2種以上の硫化リンの組み合わせを原料に用いていればよく、他の原料や製造方法については、公知の原料及び製造方法を適用できる。
第2実施形態の硫化物固体電解質の製造方法は、硫化リンと単体硫黄を原料に用いていればよく、他の原料や製造方法については、公知の原料及び製造方法を適用できる。
硫化リン以外の原料としては、アルジロダイト型固体電解質が必須として含む元素、すなわち、リチウム、リン及び硫黄と、任意のハロゲン等の元素のうち、リン及び硫黄以外のリチウムとハロゲンを供給する原料を使用するとよい。
具体的には、リチウムを含む化合物、及び任意にハロゲンを含む化合物が使用できる。
リチウムを含む化合物としては、例えば、硫化リチウム(LiS)、酸化リチウム(LiO)、炭酸リチウム(LiCO)が挙げられる。中でも、硫化リチウムが好ましい。
上記硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−84438号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的には、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356号公報)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2011−84438号公報)。
ハロゲンを含む化合物としては、例えば、一般式(M−X)で表される化合物が挙げられる。
式中、Mは、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、又はこれらの元素に酸素元素、硫黄元素が結合したものを示し、Li又はPが好ましく、特にリチウム(Li)が好ましい。
Xは、F、Cl、Br及びIから選択されるハロゲン元素である。
また、lは1又は2の整数であり、mは1〜10の整数である。mが2〜10の整数の場合、すなわち、Xが複数存在する場合は、Xは同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、後述するSiBrClは、mが4であって、XはBrとClという異なる元素からなるものである。
上記式で表されるハロゲン化合物としては、具体的には、NaI、NaF、NaCl、NaBr等のハロゲン化ナトリウム;LiF、LiCl、LiBr、LiI等のハロゲン化リチウム;BCl、BBr、BI等のハロゲン化ホウ素;AlF、AlBr、AlI、AlCl等のハロゲン化アルミニウム;SiF、SiCl、SiCl、SiCl、SiBr、SiBrCl、SiBrCl、SiI等のハロゲン化ケイ素;PF、PF、PCl、PCl、POCl、PBr、POBr、PI、PCl、P等のハロゲン化リン;SF、SF、SF、S10、SCl、SCl、SBr等のハロゲン化硫黄;GeF、GeCl、GeBr、GeI、GeF、GeCl、GeBr、GeI等のハロゲン化ゲルマニウム;AsF、AsCl、AsBr、AsI、AsF等のハロゲン化ヒ素;SeF、SeF、SeCl、SeCl、SeBr、SeBr等のハロゲン化セレン;SnF、SnCl、SnBr、SnI、SnF、SnCl、SnBr、SnI等のハロゲン化スズ;SbF、SbCl、SbBr、SbI、SbF、SbCl等のハロゲン化アンチモン;TeF、Te10、TeF、TeCl、TeCl、TeBr、TeBr、TeI等のハロゲン化テルル;PbF、PbCl、PbF、PbCl、PbBr、PbI等のハロゲン化鉛;BiF、BiCl、BiBr、BiI等のハロゲン化ビスマス等が挙げられる。
中でも、ハロゲン化リチウム又はハロゲン化リンが好ましく、LiCl、LiBr、LiI又はPBrがより好ましく、LiCl、LiBr又はLiIがさらに好ましく、特にLiCl又はLiBrが好ましい。
ハロゲン化合物は、上記の化合物の中から一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した原料は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができ、高純度であることが好ましい。
第1実施形態では、原料が、リチウムを含む化合物、硫化リン及びハロゲンを含む化合物の組み合わせであると好ましく、硫化リチウムと硫化リンとハロゲン化リチウムとの組合せであることがより好ましく、硫化リチウムと硫化リンと2種以上のハロゲン化リチウムの組合せであることが更に好ましい。
原料として、硫化リチウム、硫化リン及びハロゲン化リチウムを使用する場合には、投入原料のモル比を、硫化リチウム:硫化リン:ハロゲン化リチウム=40〜60:10〜20:25〜50とするとよい。原料のハロゲン化リチウムとして塩化リチウムと臭化リチウムを用いる場合には、原料のモル比を、硫化リチウム:硫化リン:塩化リチウムと臭化リチウムの合計=45〜55:10〜15:30〜50とすると好ましく、45〜50:11〜14:35〜45とするとさらに好ましく、46〜49:11〜13:38〜42とすると特に好ましい。なお、硫化リンの分子式はPとしてモル量を計算する。また、2種以上の硫化リンを使用する場合は、硫化リンの合計のモル量である。
第2実施形態では、原料が、リチウムを含む化合物、硫化リン、単体硫黄及びハロゲンを含む化合物の組み合わせであると好ましく、硫化リチウムと硫化リンと単体硫黄とハロゲン化リチウムとの組合せであることがより好ましく、硫化リチウムと硫化リンと単体硫黄と2種以上のハロゲン化リチウムの組合せであることが更に好ましい。
原料として、硫化リチウム、硫化リン、単体硫黄及びハロゲン化リチウムを使用する場合には、投入原料のモル比を、硫化リチウム:硫化リン:単体硫黄:ハロゲン化リチウム=40〜60:10〜20:0.5〜10:25〜50とするとよい。原料のハロゲン化リチウムとして塩化リチウムと臭化リチウムを用いる場合には、原料のモル比を、硫化リチウム:硫化リン:単体硫黄:塩化リチウムと臭化リチウムの合計=45〜55:10〜15:0.5〜5:30〜50とすると好ましく、45〜50:11〜14:0.5〜4:35〜45とするとより好ましく、46〜49:11〜13:0.5〜3:38〜42とするとさらに好ましい。なお、硫化リンの分子式はPとしてモル量を計算する。
第1実施形態及び第2実施形態においては、上記の原料に機械的応力を加えて反応させ、中間体とするとよい。ここで、「機械的応力を加える」とは、機械的にせん断力や衝撃力等を加えることである。機械的応力を加える手段としては、例えば、遊星型ボールミル、振動ミル、転動ミル等の粉砕機や、混練機等を挙げることができる。これら装置にて、原料を粉砕混合することで中間体が得られる。また、中間体は原料の混合物を、加熱することによっても得られる。この場合の加熱温度は、後述する中間体を熱処理する温度よりも低い温度である。
条件としては、例えば、粉砕機として遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。より具体的に、本願実施例で使用した遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−5)の場合、遊星型ボールミルの回転数は200rpm以上250rpm以下が好ましく、210rpm以上230rpm以下がより好ましい。
粉砕メディアであるボールは、例えば、ジルコニア製ボールを使用した場合、その直径は0.2〜20mmが好ましい。
粉砕混合では、溶媒を使用しない乾式混合で実施してもよく、また、溶媒を使用する湿式混合で実施してもよい。湿式混合の場合、溶媒とともに硫黄成分が除去されないように処理することが好ましい。例えば、溶媒と中間体とを分離する際にはデカンテーションしないことが好ましい。
粉砕混合で作製した中間体を熱処理して硫化物固体電解質を製造するとよい。熱処理温度は350〜650℃が好ましく、360〜500℃がさらに好ましく、420〜470℃が特に好ましい。
熱処理の雰囲気は特に限定しないが、好ましくは硫化水素気流下ではなく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。
アルジロダイト型結晶構造としては、特許文献1〜5等に開示されている結晶構造を挙げることができる。組成式としては、例えば、LiPSX、Li7−xPS6−x(X=Cl,Br,I、x=0.0〜1.8)等が挙げられる。
製造した固体電解質が、アルジロダイト型結晶構造を有していることは、例えば、CuKα線を使用した粉末X線回折により確認できる。アルジロダイト型結晶構造は、2θ=25.2±0.5deg及び29.7±0.5degに強い回折ピークを有する。なお、アルジロダイト型結晶構造の回折ピークは、例えば、2θ=15.3±0.5deg、17.7±0.5deg、31.1±0.5deg、44.9±0.5deg又は47.7±0.5degにも現れることがある。本発明の一実施形態の硫化物固体電解質は、これらのピークを有していてもよい。
硫化物固体電解質が上記のようなアルジロダイト型結晶構造のX線回折パターンを有していれば、その一部に非晶質成分が含まれていてもよい。非晶質成分は、X線回折測定においてX線回折パターンが実質的に原料由来のピーク以外のピークを示さないハローパターンを示す。また、アルジロダイト型結晶構造以外の結晶構造や原料を含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
[硫化リン]
9種の硫化リン(硫化リンA〜I)を準備し、下記(1)、(2)及び(3)を評価した。
(1)硫化リンの構成成分の種類及び各成分の含有率(リン基準)
溶液31PNMRを行い、スペクトル解析により、準備した硫化リンに含まれる構成成分の種類及び各成分の含有率(リン基準)を算出した。なお、上記により算出する各成分の含有率は、硫化リンに含まれるリンが各成分に占める比率を意味する。
試料20mgに対し二硫化炭素(アルドリッチ社製特級脱水グレード)10.5mLを加えて完全溶解させた。さらに、ベンゼン−d6(ISOTEC社製99.6Atom%)を1.5mL加えて撹拌した。得られた溶液のうちの0.7mLをNMR試料管へ充填した。装置及び条件は以下のとおりとした。
装置:ECA−500NMR装置(株式会社JEOL RESONANCE製)
観測核:31
観測周波数:200.43MHz
測定温度:室温
パルス系列:シングルパルス(30°パルスを使用)
90°パルス幅:11.4μs
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:20s
積算回数:2048回
なお、上記解析において、化学シフトは外部基準として85%リン酸の重水素溶液(化学シフト0ppm)を用いることで得た。測定範囲は、−201ppm〜201ppmとした。
また、本願において硫化リンの物質量(mol)は、Pの分子量で算出した。
31PNMRスペクトルの総ピーク面積に占める各ピークの面積の割合(%)から各成分の含有率を算出した。
ピークの帰属を表1に、各成分の含有率を表2に示す。また、31PNMRスペクトルを図1に示す。
解析の結果から、A〜Iの五硫化二リンには、分子式がP10の五硫化二リンだけでなくP等の他の硫化リンが含まれることが確認できる。また、それらの総和として、リンと硫黄のモル比が2:5に近くなるものが一般に五硫化二リンと呼ばれていると考えられる。
(2)リン含有量
ICP−OES及びHPLCにより、硫化リンのリン含有量を測定した。ICP−OESでは、単体硫黄(遊離硫黄)由来の硫黄原子が検出できないため、遊離硫黄由来の硫黄原子の含有量をHPLCで測定し、ICP−OESで測定したリン含有量を補正した。
(A)ICP−OESによる硫化リンのリン含有量の測定
・検量線溶液の調製
P標準液(ジーエルサイエンス製1,000μg/mL、NHPO)及びS標準液(ジーエルサイエンス製1,000μg/mL、(NHSO)を用いて、燐P(濃度120ppm)と硫黄S(濃度280ppm)を同時に含む混合標準溶液を調製した。
続いて、混合標準溶液を用い各設定濃度となるようS0〜S3の4種類の検量線溶液を調製した。表3に各検量線溶液の濃度を示す。また、調製時にKOH濃度が0.01Mとなるよう、0.1MのKOH水溶液を一定量添加した。なお、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
・試料溶液の調製
試料である各硫化リン粉末、約0.1gを0.5MのKOHを用いて溶解させた後、50mLにメスアップした(A液)。続いて、A液2mLを採取し、過酸化水素を1mL添加後、100mLでメスアップすることによって測定サンプル溶液(B液)を調製した。測定溶液であるB液中のKOH濃度は0.01Mである。
・ICP−OESでの測定
PとSを同時に含む検量線溶液をS0、S1、S2、S3の順でICP−OESに導入し、各々の検量線を作成した。検量線作成後、試料溶液をICP−OESに導入し、PとSを測定した。
試料間の分析ライン洗浄はS0と同様の0.01MのKOH水溶液を使用した(ライン洗浄時間は各20秒)。
ICP−OESの測定条件は以下のとおりとした。
装置:SPECTRO ARCOS SOP(スペクトロ社製)
高周波出力:1400W
プラズマガス流量:13L/min
補助ガス流量:1L/min
ネブライザーガス流量:0.9L/min
測定波長:P 177.495nm、S 180.731nm
・リン含有量(P質量%)の算出
上記測定にて各試料のPとSの濃度(Cp、Cs)が得られる。この値から下記式にてリン含有量を算出した。
P質量%=Cp/(Cp+Cs)×100
表4にICP−OESによる硫化リンのリン含有量を示す。
(B)遊離硫黄の含有量
・標準溶液の調製
密閉容器内の硫黄粉末(Aldrich社製、純度99.998%)約10mgに、トルエン:メタノール=1:1(vol)溶液(第1液)をホールピペットで10mL加えて、超音波洗浄機にて約30分間振とうした(Std1)。ここでStd1の重量測定を実施した。(Std1硫黄濃度:約1mg/1g−溶液)Std1を室温で放冷後、よく撹拌してからホールピペットで1mLとり、10mLメスフラスコに加えたのちに第1液でメスアップした(Std2)。(Std2硫黄濃度:約0.1mg/1g−溶液)Std2液をよく撹拌してから、ホールピペットで1mLとり、10mLメスフラスコに加えたのちに第1液でメスアップした(Std3)。(Std3硫黄濃度:約0.01mg/1g−溶液)
・試料溶液の調製
試料である各硫化リン粉末10gにトルエン30mL及びメタノール160mLを加えて撹拌しながら、45℃1時間と60℃1時間で加温し、硫化リンをアルコールで反応させた。(Pはメタノールと反応し溶媒中に溶解、遊離硫黄は反応せずにそのまま溶解する。)その後、トルエンをさらに30mL加えた後、放冷しながら窒素ガスを8時間フローさせて反応副生物のHSガスを除去した(第5液)。第5液から10mL(約10g)をサンプリングした。第5液を第1液にて10倍希釈した液を試料溶液とした。
・UHPLC(超高速液体クロマトグラフ)での測定
Sを含む検量線溶液をStd3、Std2、Std1の順でUHPLCにて測定した。ピーク面積値から検量線を作成したところ、良好な直線性を示すことがわかった。
検量線作成後、試料溶液をUHPLCに導入し、遊離硫黄の含有量を測定した。
UHPLCの測定条件は以下のとおりとした。
装置 :Waters ACQUITY UPLC H−class
カラム:Waters BEH C18 (2.1mm×50mm、1.8μm)
移動相:A)MilliQ 水
B)MeCN
A/B=25/75 イソクラティック
分析時間:10min
流量 :0.6mL/min
インジェクション量:2μL
UV検出波長:225nm
遊離硫黄の含有量を表4に示す。
(C)遊離硫黄を加味した硫化リンのリン含有量
ICP−OESによるリン含有量(P)及びHPLCによる遊離硫黄の含有量(S)から下記式にて遊離硫黄を加味したリン含有量(Pall)を算出した。
all(質量%)=P×(100−S)/100
表4に遊離硫黄を加味した硫化リンのリン含有量を示す。
製造例1
(硫化リチウム(LiS)の製造)
撹拌機付きの500mLセパラブルフラスコに、不活性ガス下で乾燥したLiOH無水物(本荘ケミカル社製)を200g仕込んだ。窒素気流下にて昇温し、内部温度を200℃に保持した。窒素ガスを硫化水素ガス(住友精化)に切り替え、500mL/minの流量にし、LiOH無水物と硫化水素を反応させた。
反応により発生する水分はコンデンサーにより凝縮して回収した。反応を6時間行った時点で水が144mL回収された。さらに3時間反応を継続したが、水の発生は見られなかった。
生成物粉末を回収して、純度及びXRDを測定した。その結果、純度は98.5%であり、XRDではLiSのピークパターンが確認できた。
実施例1
製造例1で製造した硫化リチウム(純度98.5%)、硫化リンA、塩化リチウム(シグマアルドリッチ社製、純度99.9%)及び臭化リチウム(シグマアルドリッチ社製、純度99.9%)を出発原料に用いた(以下、全ての実施例において、各出発原料の純度は同様である)。
硫化リチウム(LiS)、硫化リン、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)のmol比(LiS:硫化リン:LiCl:LiBr)が47.5:12.5:25:15となるように、各原料を混合した。具体的には、硫化リチウム3.007g、硫化リン3.798g、塩化リチウム1.449g、臭化リチウム1.781gを混合し、原料混合物とした。
原料混合物と、直径10mmのジルコニア製ボール600gとを遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−5)ジルコニア製ポット(500mL)に入れ、完全密閉した。ポット内はアルゴン雰囲気とした。遊星型ボールミルで回転数を220rpmにして40時間処理(メカニカルミリング)し、ガラス状の粉末(中間体)を得た。
得られた中間体について、XRD測定及び固体31PNMR測定行い、リンの比率を評価した。結果を表5に示す。中間体のXRDパターンを図2に示す。
上記中間体の粉末約2gをAr雰囲気下のグローブボックス内で、タンマン管(PT2,東京硝子機器株式会社製)内に詰め、石英ウールでタンマン管の口を塞ぎ、さらにSUS製の密閉容器で大気が入らないよう封をした。その後、密閉容器を電気炉(FUW243PA、アドバンテック社製)内に入れ熱処理した。具体的には、室温から430℃まで2.5℃/minで昇温し(3時間で430℃に昇温)、430℃で8時間保持した。その後、徐冷し、Ar雰囲気下のグローブボックス内で回収し、乳鉢で粉砕して硫化物固体電解質を得た。
得られた硫化物固体電解質のイオン伝導度、ペレット密度及び各構造に含まれるリンの比率を評価した。結果を表6に示す。また、得られた硫化物固体電解質のXRDパターンを図3に示す。
2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例2−6及び比較例1−3
硫化リンAの代わりにそれぞれ硫化リンB〜Iを使用した以外は実施例1と同様にして中間体を製造及び評価し、硫化物固体電解質を製造及び評価した。結果を表5及び表6に示す。
中間体と硫化物固体電解質の各測定は、以下のように実施した。
(A)X線回折(XRD)測定
各例で製造した粉末から、直径10mm、高さ0.1〜0.3cmの円形ペレットを成形して試料とした。この試料を、XRD用気密ホルダーを用いて空気に触れさせずに測定した。回折ピークの2θ位置は、XRD解析プログラムJADEを用いて重心法にて決定した。
株式会社リガクの粉末X線回折測定装置SmartLabを用いて以下の条件にて実施した。
管電圧:45kV
管電流:200mA
X線波長:Cu−Kα線(1.5418Å)
光学系:平行ビーム法
スリット構成:ソーラースリット5°、入射スリット1mm、受光スリット1mm
検出器:シンチレーションカウンター
測定範囲:2θ=10−60deg
ステップ幅、スキャンスピード:0.02deg、1deg/分
測定結果より結晶構造の存在を確認するためのピーク位置の解析では、XRD解析プログラムJADEを用い、3次式近似によりベースラインを引いて、ピーク位置を求めた。
(B)31PNMRスペクトル解析(リン比率の評価)
粉末試料約100mgをNMR試料管へ充填し、下記の装置及び条件にて31PNMRスペクトルを得た。なお、中間体中に出発原料由来の硫化リン(P)が存在する場合(P有り)と、存在しない場合(P無し)では測定条件が異なる。本測定を行う前に、粉末試料を別途XRD測定することにより、Pの有無を確認した。本願実施例及び比較例の中間体及び硫化物固体電解質(熱処理物)には、Pは存在しなかった。
装置:ECZ400R装置(株式会社JEOL RESONANCE製)
観測核:31
観測周波数:161.944MHz
測定温度:室温
パルス系列:シングルパルス
無しの固体電解質 90°パルスを使用。
有りの固体電解質 45°パルスを使用
90°パルス幅:3.8μ
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:
60s(P無し)
1500s(P有り)
マジックアングル回転の回転数:
12kHz(P無し)
15kHz(P有り)
積算回数:
64回(P無し)
32回(P有り)
測定範囲:
250ppm〜−150ppm(P無し)
350ppm〜−250ppm(P有り)
31PNMRスペクトルの測定において、化学シフトは、外部基準として(NHHPO(化学シフト1.33ppm)を用いることで得た。
31PNMRスペクトルから中間体に含まれる燐のうち各P a−構造に含まれる燐の比率(リン比率、mol%)を測定した。
(i)P無しの場合
本願記載の製造法で作製したP無しの中間体の250ppm〜−150ppmの範囲で測定した固体31PNMRスペクトルには、例えば70〜120ppmに現れる主ピークと、主ピークの化学シフトからマジック角回転の回転数の倍数に対応する化学シフト幅を加減することで得られる化学シフト位置にスピニングサイドバンドと呼ばれるピークが観察される。スピニングサイドバンドは、主ピークに帰属されるPの電子オービタルの異方性によって生じる影響をマジック角回転により完全に消去できなかった場合に生じるピークであり、主ピークの強度とマジック角回転数の回転数に応じてその強度が変化する。上述した条件で測定したP無しの中間体の固体31PNMRスペクトルでは、主ピークに対するスピニングサイドバンドの強度比が1/10より小さく、全体の面積和に対する影響も小さい。そのため、スピニングサイドバンドのピークは主ピークの波形分離で得られる面積比率と同じ比率で各構造に分離されると仮定し、主ピークのみ波形分離を実施して各構造のリン比率を求めた。
主ピークの波形分離は、得られた固体31P−NMRスペクトルについて、70〜120ppmの範囲にあるピークを、ソフトウェア「FT−NMR」(「パソコンによるFT−NMRのデータ処理」改訂版(第二版)(三共出版)に収録されているソフトウェア)を用いて解析し、分離ピークを決定した。
上記ソフトウェアは、固体31P−NMRスペクトルの60〜130ppmの範囲にあるNMR信号(実験値)から、ガラス及びアルジロダイト結晶に対して、それぞれ表7に示した化学シフトと半値幅の制限のもと非線形最小二乗法を用いてピークを分離し、NMR信号の計算値及び残差二乗和R2を計算する。最大ピーク高さを1とした時の、実験値と計算値との解析範囲内の残差二乗和R2が0.007以下となり、かつ、最もR2が小さい場合を分離完了とした。ピークフィッティングの手段や経路は特に問わないが、下記の点に留意するとよい。
各種パラメータに表7に示した範囲の適切と思われる初期値を入力してフィッティングを開始する。パラメータとしては、ピーク位置(ppm)、ピーク高さ及びピーク半値幅(Hz)がある。ソフトウェアは初期値を起点として、非線形最小二乗法にて、分離ピーク、NMR信号の計算値及び残差二乗和R2を計算する。
ピークフィッティングには、ガウス関数又はPseudo−Voigt関数(ガウス関数とローレンツ関数の線形和)を用いる。用いる関数は、ガラス試料に対してはガウス関数を用いる。一方、アルジロダイト結晶に対してはガウス関数を基本とし、精度が悪い時にPseudo−Voigt関数を選択するとよい。なお、フィッティング時には、Pseudo−Voigt関数のガウス関数とローレンツ関数の比は固定して計算するが、その固定値は適宜求める必要がある。
上記パラメータ等を微修正しながら、R2が0.007以下となるまでフィッティングを繰返す。なお、化学シフトや半値幅が表7の制限範囲を超えて収束した場合は、半値幅を表7の制限範囲の値に固定してフィッティングを繰り返し、R2が0.007以下で最少になる化学シフトと半値幅を選択する。
アルジロダイト結晶とガラスが混在する場合には、表7の全てのピークを用いてフィティングを行う。
この波形分離の結果、60ppm〜130ppmの範囲には、表7に記載のあるように、PS 3−構造、P 4−構造、P 4−構造(P a−構造)に帰属されるピークが検出され、各ピークの面積をa1、a2、a3とした。また、これらのピークの面積の総和(=a1+a2+a3)をSとした。
また、硫化物固体電解質(熱処理物)の場合にも同様に、表7に記載のあるように、アルジロダイト1−4及び新結晶(不純物結晶)に帰属されるピークが検出され、各ピークの面積をb1、b2、b3、b4、b5とした。また、これらのピークの面積の総和(=b1、b2、b3、b4、b5)をSとした。なお、アルジロダイト1−4は、アルジロダイト結晶中のPS 3−の周りに配位する遊離S及び遊離ハロゲン(Cl、Br)の分布状態が違うものを、それぞれ表している。
中間体に含まれるリンのうち、PS 3−構造、P 4−構造及びP 4−構造に含まれるリンの比率(リン比率、mol%)は、以下の式で求めた。
PS 3−のリン比率=100×a1/S
4−のリン比率=100×a2/S
4−のリン比率=100×a3/S
硫化物固体電解質(熱処理物)に含まれるリンのうち、アルジロダイト1構造、アルジロダイト2構造、アルジロダイト3構造、アルジロダイト4構造及び新結晶に含まれるリンの比率(リン比率、mol%)は、以下の式で求めた。
アルジロダイト1のリン比率=100×b1/S
アルジロダイト2のリン比率=100×b2/S
アルジロダイト3のリン比率=100×b3/S
アルジロダイト4のリン比率=100×b4/S
新結晶のリン比率=100×b5/S
(ii)Pありの場合
本願記載の製造法で作製したP有りの中間体の350ppm〜−250ppmの範囲で測定した固体31PNMRスペクトルには、P無しの固体電解質で見られた70〜120ppm付近の主ピークとそのスピニングサイドバンドに加えて、44〜64ppm付近に観察されるPの主ピークと134〜158ppm、−50〜−30ppm、−145〜−130ppmの範囲にPのスピニングサイドバンドによる信号が観察される。そこで、まず表8で示した領域にある各ピークの積分値c1〜c6を求めた。なお、本願記載の製造法で作製したP有りの中間体に対し、上述した測定条件で測定して得た固体31PNMRスペクトルにおいて、上ピークが観察されない350〜200ppmの領域の信号の強度の振れ幅をノイズの最大強度(ノイズレベル)とし、表8の化学シフト領域において、ノイズレベルを超える強度を有するピークのみ積分を実施した。さらにこれらの積分値の総和をS(=c1+c2+c3+c4+c5+c6)とし、Pに由来するピークの積分値の総和をS(=c1+c3+c5+c6)とした。
次に、P a−構造由来のピークについては、(i)と同様な方法で分離し、各ピークの面積値、及び面積の総和Sを得た。
PS 3−構造、P 4−構造、P 4−構造及び硫化リンのリン比率(mol%)は、以下の式で求めた。
PS 3−のリン比率=100×[a1/S]×[(c2+c4)/S
4−のリン比率=100×[a2/S]×[(c2+c4)/S
4−のリン比率=100×[a3/S]×[(c2+c4)/S
硫化リンのリン比率=100×S/S
(C)イオン伝導度測定
各例で製造した硫化物固体電解質を、錠剤成形機に充填し、ミニプレス機を用いて407MPaの成形圧力を加え成形体とした。電極としてカーボンを成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、測定用の成形体(直径約10mm、厚み0.1〜0.2cm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度を測定した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
(D)ペレット密度
(C)イオン伝導度セルの作製の際に、サンプルの量(約0.3g)を秤量した。さらに、成形体作製後のセル長から、あらかじめ測定済みの空のセル長及び集電体の厚みを差し引き、成形体の厚みを算出した。これらの値を用いてペレット密度を求めた。
ペレット密度(g/cm)=サンプル重量(g)/(ペレット面積(cm)×成形体厚み(cm))
尚、成形体ペレットは直径約10mmのセルを用いて作製しているため、ペレット面積は0.7854cmとした。
実施例7
製造例1で製造した硫化リチウム(LiS)、硫化リンA、硫化リンE、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)のmol比(LiS:硫化リン:LiCl:LiBr)が47.5:12.5:25.0:15.0となるように、各原料を混合した(硫化リンのモル量は、硫化リンAと硫化リンEのモル量の合計)。具体的には、硫化リチウム3.007g、硫化リンA2.761g、硫化リンE1.037g、塩化リチウム1.449g、臭化リチウム1.781gを混合し、原料混合物とした。なお、このときの硫化リン(硫化リンAと硫化リンEの合計)のリン含有量は27.7質量%である。
原料混合物と、直径10mmのジルコニア製ボール600gとを遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−5)ジルコニア製ポット(500mL)に入れ、完全密閉した。ポット内はアルゴン雰囲気とした。遊星型ボールミルで回転数を220rpmにして40時間処理(メカニカルミリング)し、ガラス状の粉末(中間体)を得た。
得られた中間体について、XRD測定及び固体31PNMR測定を行い、リンの比率を評価した。結果を表9に示す。また、得られた中間体のXRDパターンを図4に示す。
上記中間体の粉末約2gをAr雰囲気下のグローブボックス内で、タンマン管(PT2,東京硝子機器株式会社製)内に詰め、石英ウールでタンマン管の口を塞ぎ、さらにSUS製の密閉容器で大気が入らないよう封をした。その後、密閉容器を電気炉(FUW243PA、アドバンテック社製)内に入れ熱処理した。具体的には、室温から430℃まで2.5℃/minで昇温し(3時間で430℃に昇温)、430℃で8時間保持した。その後、徐冷し、Ar雰囲気下のグローブボックス内で回収し、乳鉢で粉砕して硫化物固体電解質を得た。
得られた硫化物固体電解質のイオン伝導度及び各構造に含まれるリンの比率を評価した。結果を表10及び11に示す。
また、得られた硫化物固体電解質のXRDパターンを図5に示す。得られた硫化物固体電解質は、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例8
原料として、硫化リチウム、硫化リンA、硫化リンE、塩化リチウム、及び臭化リチウムのmol比(LiS:硫化リンA+E:LiCl:LiBr)が47.5:12.5:25.0:15.0となるように、硫化リチウム(LiS)3.007g、硫化リンA2.176g、硫化リンE1.622g、塩化リチウム(LiCl)1.449g、臭化リチウム(LiBr)1.781gを混合し、原料混合物とした他は実施例7と同様にして、硫化物固体電解質の製造と評価を行った。なお、実施例8における硫化リンのリン含有量は27.9質量%である。結果を表9−11に示す。
XRD測定の結果、得られた硫化物固体電解質は、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例9
製造例1で製造した硫化リチウム(LiS)、硫化リンE、単体硫黄、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)のmol比(LiS:硫化リン:単体硫黄:LiCl:LiBr)が46.3:12.2:2.5:24.4:14.6となるように、各原料を混合した。具体的には、硫化リチウム3.007g、硫化リン3.798g、単体硫黄0.113g、塩化リチウム1.449g、臭化リチウム1.781gを混合し、原料混合物とした。このときのリン含有量(リン/(硫化リン+単体硫黄))は28.0質量%である。
原料混合物と、直径10mmのジルコニア製ボール600gとを遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−5)ジルコニア製ポット(500mL)に入れ、完全密閉した。ポット内はアルゴン雰囲気とした。遊星型ボールミルで回転数を220rpmにして40時間処理(メカニカルミリング)し、ガラス状の粉末(中間体)を得た。
得られた中間体について、XRD測定及び固体31PNMR測定を行い、リンの比率を評価した。結果を表12に示す。また、得られた中間体のXRDパターンを図6に示す。
上記中間体の粉末約2gをAr雰囲気下のグローブボックス内で、タンマン管(PT2,東京硝子機器株式会社製)内に詰め、石英ウールでタンマン管の口を塞ぎ、さらにSUS製の密閉容器で大気が入らないよう封をした。その後、密閉容器を電気炉(FUW243PA、アドバンテック社製)内に入れ熱処理した。具体的には、室温から430℃まで2.5℃/minで昇温し(3時間で430℃に昇温)、430℃で8時間保持した。その後、徐冷し、Ar雰囲気下のグローブボックス内で回収し、乳鉢で粉砕して硫化物固体電解質を得た。
得られた硫化物固体電解質のイオン伝導度及び各構造に含まれるリンの比率を評価した。結果を表13及び14に示す。
また、得られた硫化物固体電解質のXRDパターンを図7に示す。得られた硫化物固体電解質は、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例10
原料として、硫化リチウム(LiS)、硫化リンE、単体硫黄、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)のmol比(LiS:硫化リン:単体硫黄:LiCl:LiBr)が46.5:11.9:2.4:24.5:14.7となるように、硫化リチウム3.007g、硫化リン3.691g、単体硫黄0.107g、塩化リチウム1.449g、臭化リチウム1.781gを混合し、原料混合物とした他は実施例9と同様にして、硫化物固体電解質の製造と評価を行った。このときのリン含有量(リン/(硫化リン+単体硫黄))は28.0質量%である。結果を表12−14に示す。
XRD測定の結果、得られた硫化物固体電解質は、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例11
原料として、硫化リチウム(LiS)、硫化リンE、単体硫黄、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)のmol比(LiS:硫化リン:単体硫黄:LiCl:LiBr)が45.0:10.8:6.5:23.5:14.1となるように、硫化リチウム3.007g、硫化リン3.494g、単体硫黄0.303g、塩化リチウム1.449g、臭化リチウム1.781gを混合し、原料混合物とした他は実施例9と同様にして、硫化物固体電解質の製造と評価を行った。このときのリン含有量(リン/(硫化リン+単体硫黄))は26.5質量%である。結果を表12−14に示す。
XRD測定の結果、得られた硫化物固体電解質は、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例12
原料として、硫化リチウム(LiS)、硫化リンE、単体硫黄、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)のmol比(LiS:硫化リン:単体硫黄:LiCl:LiBr)が45.6:11.2:5.2:23.8:14.3となるように、硫化リチウム3.007g、硫化リン3.560g、単体硫黄0.237g、塩化リチウム1.449g、臭化リチウム1.781gを混合し、原料混合物とした他は実施例9と同様にして、硫化物固体電解質の製造と評価を行った。このときのリン含有量(リン/(硫化リン+単体硫黄))は27.0質量%である。結果を表12−14に示す。
XRD測定の結果、得られた硫化物固体電解質は、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例13
原料として、硫化リチウム(LiS)、硫化リンE、単体硫黄、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)のmol比(LiS:硫化リン:単体硫黄:LiCl:LiBr)が46.2:11.5:3.8:24.1:14.5となるように、硫化リチウム3.007g、硫化リン3.626g、単体硫黄0.171g、塩化リチウム1.449g、臭化リチウム1.781gを混合し、原料混合物とした他は実施例9と同様にして、硫化物固体電解質の製造と評価を行った。このときのリン含有量(リン/(硫化リン+単体硫黄))は27.5質量%である。結果を表12−14に示す。
XRD測定の結果、得られた硫化物固体電解質は、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8、52.3、59.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。
上記に本発明の実施形態及び/又は実施例を幾つか詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施形態及び/又は実施例に多くの変更を加えることが容易である。従って、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
この明細書に記載の文献、及び本願のパリ条約による優先権の基礎となる出願の内容を全て援用する。

Claims (13)

  1. リン含有量が28.3質量%以下であり、遊離硫黄を含む硫化リンを原料に用いる、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法。
  2. 前記硫化リンのリン含有量が28.0質量%以下である請求項1に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  3. 前記硫化リンのリン含有量が27.7質量%以下である請求項1に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  4. 前記硫化リンが、遊離硫黄を0.2〜2.5質量%含む請求項1〜3のいずれかに記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  5. リン含有量の異なる2種以上の硫化リンを混合することによりリン含有量を調整する請求項1に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  6. 硫化リンに単体硫黄を加えて、前記硫化リンと単体硫黄の合計質量に対するリン含有量を、28.3質量%以下に調整した原料を用いる、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質の製造方法。
  7. 前記硫化リンと単体硫黄の合計質量に対するリン含有量が28.0質量%以下である請求項6に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  8. 前記硫化リンと単体硫黄の合計質量に対するリン含有量が27.7質量%以下である請求項6に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  9. 前記硫化リンが遊離硫黄を含まない請求項6〜8のいずれかに記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  10. ハロゲン化リチウムを原料に用いる、請求項1〜9のいずれかに記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  11. 前記ハロゲン化リチウムが2種以上である請求項10に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  12. 不活性ガス雰囲気下で熱処理する工程を含む請求項1〜11のいずれかに記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  13. 前記熱処理を420〜470℃で行う請求項12に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
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