JP2017033858A - 固体電解質材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、Liイオン伝導性および熱安定性が高い固体電解質材料を提供することを課題とする。【解決手段】本発明においては、Li3PS4−xOx(1<x<3)の組成を有し、X線回折測定において、Li7PS6に該当するピークと、Li3PO4に該当するピークとを有することを特徴とする固体電解質材料を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、Liイオン伝導性および熱安定性が高い固体電解質材料に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。全固体リチウム電池には、通常、固体電解質材料が用いられる。
特許文献1には、LiSとPを主成分とし、モル%表示でLiS82.5〜92.5、P7.5〜17.5の組成を有するリチウムイオン伝導性硫化物セラミックスが開示されている。また、特許文献2には、Li、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)、およびSを有するイオン伝導体と、LiX(Xはハロゲンである)と、オルトオキソ酸リチウムとから構成されるガラスセラミックスであり、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=20.2°、23.6°にピークを有し、オルトオキソ酸リチウムの割合が、20mol%未満である硫化物固体電解質材料が開示されている。なお、特許文献2では、イオン伝導体として、LiPSが開示されており、オルトオキソ酸リチウムとして、LiPOが開示されている。
特開2001−250580号公報 特開2015−032462号公報
特許文献1の図1には、特定のピークを有する硫化物セラミックス(LiPS)が開示されている。この硫化物セラミックスは、Liイオン伝導性が高いものの、熱安定性が低いという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、Liイオン伝導性および熱安定性が高い固体電解質材料を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、発明者が鋭意研究を重ねたところ、LiPSおよびLiPOのタイライン組成に該当するLiPS4−x組成において、意外にも、LiPSの結晶相(高Liイオン伝導性結晶相)が得られるとの知見を得た。また、その固体電解質材料が高い熱安定性を有するとの知見も得た。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明においては、LiPS4−x(1<x<3)の組成を有し、X線回折測定において、LiPSに該当するピークと、LiPOに該当するピークとを有することを特徴とする固体電解質材料を提供する。
本発明によれば、特定の組成において、LiPSおよびLiPOに該当する両ピークを有することで、Liイオン伝導性および熱安定性が高い固体電解質材料とすることができる。
本発明の固体電解質材料は、Liイオン伝導性および熱安定性が高いという効果を奏する。
実施例1、比較例1、2および参考例1、2で得られた固体電解質材料に対するXRD測定の結果である。
以下、本発明の固体電解質材料について、詳細に説明する。
本発明の固体電解質材料は、LiPS4−x(1<x<3)の組成を有し、X線回折測定において、LiPSに該当するピークと、LiPOに該当するピークとを有することを特徴とする。
本発明によれば、特定の組成において、LiPSおよびLiPOに該当する両ピークを有することで、Liイオン伝導性および熱安定性が高い固体電解質材料とすることができる。より具体的には、固体電解質材料が、LiPSに該当するピークを有する結晶相を備えるため、Liイオン伝導性が向上する。また、固体電解質材料が、LiPOに該当するピークを有する結晶相を備えるため、熱安定性が向上する。
従来の硫化物固体電解質材料(例えばLiPSセラミックス)は熱安定性が低い傾向にあるが、その理由は、構造中に含まれるP−S結合の量が多いためであると推測される。P−S結合は、例えば、充電された状態の正極活物質(Liが脱離した状態の正極活物質)のO元素と反応すると、酸化還元反応により発熱する場合がある。これに対して、本発明の固体電解質材料は、LiPSの結晶相を備えつつも、LiPSセラミックスに比べて、P−S結合の量が少ないため、発熱開始温度を向上させることができる。
本発明の固体電解質材料は、LiPS4−x(1<x<3)の組成を有する。「LiPS4−x(1<x<3)の組成を有する」とは、LiPS4−x(1<x<3)の組成を少なくとも有することをいい、LiPS4−x(1<x<3)のみの組成であっても良く、さらなる成分を有する組成であっても良い。xは、1.2以上であっても良く、1.5以上であっても良い。一方、xは、2.8以下であっても良く、2.5以下であっても良い。また、上述したように、LiPS4−xは、LiPS(硫化物)およびLiPO(酸化物)のタイライン組成に該当する。LiPSおよびLiPOは、いわゆるオルト組成に該当する。
本発明の固体電解質材料は、LiX(XはF、Cl、BrまたはIである)をさらに含有していても良い。LiXの添加により、Liイオン伝導性が向上する。Xは、Cl、BrまたはIであることが好ましい。この場合、本発明の固体電解質材料は、aLiX・(100−a)LiPS4−x(0≦a、1<x<3)で表される。aは、0であっても良く、0より大きくても良い。中でも、aは、1以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。一方、aは、例えば、50以下であり、40以下であることが好ましい。なお、xの好ましい範囲については、上記と同様である。
本発明の固体電解質材料は、X線回折測定において、LiPSに該当するピークを有する。また、このピークを有する結晶相を結晶相Aと称する。ここで、LiPSに該当するピークには、厳密なLiPS結晶相のピークのみならず、LiPS結晶相の少なくとも一部の元素に、付加、欠損、置換が生じた結晶相も含まれる。例えば、LiPS結晶相のS元素の一部がO元素に置換された結晶相も含まれる。LiPSに該当するピークは、CuKα線を用いたXRD測定において、通常、2θ=15.3°、17.9°、25.5°、29.9°、44.8°、47.7°、52.2°の位置に現れる。これらのピーク位置は、±0.5°の範囲内にあっても良く、±0.3°の範囲内にあっても良く、±0.1°の範囲内にあっても良い。
本発明の固体電解質材料は、X線回折測定において、LiPOに該当するピークを有する。また、このピークを有する結晶相を結晶相Bと称する。ここで、LiPOに該当するピークには、厳密なLiPO結晶相のピークのみならず、LiPO結晶相の少なくとも一部の元素に、付加、欠損、置換が生じた結晶相も含まれる。例えば、LiPO結晶相のO元素の一部がS元素に置換された結晶相も含まれる。LiPOに該当するピークは、CuKα線を用いたXRD測定において、通常、2θ=22.24°、23.10°、24.66°、33.74°、36.40°の位置にピークが現れる。これらのピーク位置は、±0.50°の範囲内にあっても良く、±0.30°の範囲内にあっても良く、±0.10°の範囲内にあっても良い。本発明においては、2θ=22.24°付近のピークの強度をIとし、2θ=23.10°付近のピークの強度をIとした場合に、I<Iであることが好ましい。
2θ=29.9°付近のピーク(LiPSに該当するピーク)の強度をIとし、2θ=33.88°付近のピーク(LiPOに該当するピーク)の強度をIとした場合、I/Iの値は、2.0〜3.5の範囲内であることが好ましく、2.5〜3.0の範囲内であることがより好ましい。
また、後述する実施例に記載するように、本発明における結晶相Bのピーク(LiPOに該当するピーク)は、純粋なLiPOのピークに比べて、低角度側にシフトしている。なお、純粋なLiPOでは、2θ=22.30°、23.14°、24.80°、33.88°、36.48°の位置にピークが現れる。また、2θ=20°〜25°付近のピークのシフト量に比べて、2θ=35°付近のピークのシフト量が大きい。2θ=22.30°から低角度側にシフトしたピーク位置をP(例えば2θ=22.24)とし、2θ=33.88°から低角度側にシフトしたピーク位置をP(例えば2θ=33.74)とした場合に、2θ=22.30°のシフト量に対する2θ=33.88°のシフト量の割合が、1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。具体的には、(33.88−P)/(22.30−P)が1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。
固体電解質材料は、Liイオン伝導性が高いことが好ましく、常温(25℃)におけるLiイオン伝導度は、例えば1×10−4S/cm以上であることが好ましく、1×10−3S/cm以上であることがより好ましい。また、固体電解質材料は、後述するDSC測定の発熱開始温度が、例えば、180℃以上であることが好ましく、185℃以上であることがより好ましい。また、固体電解質材料の形状は、特に限定されるものではないが、例えば粒状を挙げることができる。また、固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm〜50μmの範囲内である。固体電解質材料の用途は特に限定されず、Liイオン伝導性を利用する任意の用途を挙げることができる。中でも、本発明の固体電解質材料は、全固体リチウム電池に用いられることが好ましい。
本発明の固体電解質材料を製造する方法としては、例えば、LiS、PおよびLiPOを含有し、LiPS4−x(1<x<3)の組成を有する原料組成物を準備する準備工程と、上記原料組成物を非晶質化し、非晶質体を形成する非晶質化工程と、上記非晶質体に熱処理を行い、結晶性を向上させる熱処理工程とを有する方法を挙げることができる。これにより、ガラスセラミックスが得られる。
準備工程において、原料組成物に用いられる出発原料の種類は特に限定されるものではない。例えば、Pの代わりに、単体Pおよび単体Sを用いても良い。また、上述したように、原料組成物は、LiX(XはF、Cl、BrまたはIである)をさらに含有していても良い。
非晶質化工程において、原料組成物を非晶質化する方法としては、例えば、ボールミル、振動ミル等のメカニカルミリング法、溶融急冷法等を挙げることができる。メカニカルミリング法は、乾式であっても良く、湿式であっても良いが、均一処理の観点で後者が好ましい。湿式メカニカルミリング法に用いられる分散媒の種類は特に限定されるものではない。
熱処理工程における加熱温度は、例えば、350℃以上であり、400℃以上であることが好ましく、500℃以上であることがより好ましい。一方、加熱温度は、例えば、1000℃以下である。加熱時間は、所望の結晶相が得られるように適宜調整する。加熱雰囲気は、例えば、不活性ガス雰囲気、真空等を挙げることができる。
本発明においては、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質の間に形成された固体電解質層を有する全固体リチウム電池であって、上記正極活物質層、上記負極活物質および上記固体電解質層の少なくとも一つが、上述した固体電解質材料を含有することを特徴とする全固体リチウム電池を提供することもできる。
正極活物質層に含まれる正極活物質としては、例えば、酸化物活物質、硫化物活物質を挙げることができる。酸化物活物質としては、具体的には、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質等を挙げることができる。また、PO 3−、SiO 4−、BO 3−等のポリアニオンを含む任意のポリアニオン系活物質を正極活物質として用いても良い。正極活物質は、作動電位が3.0V(Li/Li)以上であることが好ましい。
正極活物質の表面は、コート層で被覆されていても良い。正極活物質と固体電解質材料との反応を抑制できるからである。コート層の材料としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON等のLiイオン伝導性酸化物を挙げることができる。コート層の平均厚さは、例えば1nm〜20nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜10nmの範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層に含まれる負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
また、全固体リチウム電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、一次電池には、一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
出発原料として、硫化リチウム(LiS、純度99.9%、日本化学工業社製)と、五硫化二リン(P、純度99%、アルドリッチ社製)と、リン酸リチウム(LiPO)とを用いた。次に、Ar雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、LiS、PおよびLiPOを、LiS:P:LiPO=37.5:12.5:50のモル比で混合した。この組成比は、LiPS:LiPO=1:1に該当し、LiPS4−xにおけるx=2に該当する。
この混合物2gを、遊星型ボールミルの容器(45cc、ZrO製)に投入し、脱水ヘプタン(水分量30ppm以下、4g)を投入し、さらにZrOボール(φ=10mm、10個)を投入し、容器を完全に密閉した(Ar雰囲気)。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、台盤回転数500rpmで、1時間処理および15分休止のメカニカルミリングを40回行った。次に、ヘプタンを除去するため、100℃、1時間の条件で乾燥を行った。これにより、固体電解質ガラス(非晶質体)を得た。その後、固体電解質ガラスに対して、Ar雰囲気、500℃、10時間の条件で熱処理を行うことで、ガラスセラミックス(固体電解質材料)を得た。
[比較例1]
LiS、PおよびLiPOの割合を、LiS:P:LiPO=18.75:6.25:75のモル比に変更したこと以外は、実施例1と同様にして固体電解質材料を得た。この組成比は、LiPS:LiPO=1:3に該当し、LiPS4−xにおけるx=3に該当する。
[比較例2]
LiS、PおよびLiPOの割合を、LiS:P:LiPO=56.25:18.75:25のモル比に変更したこと以外は、実施例1と同様にして固体電解質材料を得た。この組成比は、LiPS:LiPO=3:1に該当し、LiPS4−xにおけるx=1に該当する。
[比較例3]
特許文献1に記載された方法と同様の方法により、LiPS(LiS:P=7:1、セラミックス)を得た。LiPSおよびLiPOを、LiPS:LiPO=1:1のモル比で混合して、固体電解質材料を得た。
[比較例4]
固体電解質ガラスに対して、熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして固体電解質材料を得た。
[参考例1]
LiPOを参考用のサンプルとした。
[参考例2]
γ−LiPSを参考用のサンプルとした。
[評価]
(X線回折測定)
実施例1、比較例1、2および参考例1、2で得られた固体電解質材料に対して、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定を行った。測定には、粉末X線回折装置RINT-Ultima III(リガク社製)を用い、2θ=10°〜60°の範囲で測定を行った。その結果を図1に示す。図1に示すように、実施例1では、LiPSに該当するピーク(2θ=15.3°、17.9°、25.5°、29.9°、44.8°、47.7°、52.2°)と、LiPOに該当するピーク(2θ=22.24°、23.10°、24.66°、33.74°、36.40°)とが確認された。2θ=29.9°付近のピーク(LiPSに該当するピーク)の強度をIとし、2θ=33.88°付近のピーク(LiPOに該当するピーク)の強度をIとした場合、I/Iの値は、2.72であった。一方、比較例1では、LiPOに該当するピークは確認されたが、LiPSに該当するピークは確認されなかった。また、比較例2では、LiPSおよびLiPOに該当するピークは確認されなかった。
ここで、参考例1、比較例1および実施例1では、いずれも、LiPOに該当するピークが確認された。具体的には、参考例1では、2θ=22.30°、23.14°、24.80°、33.88°、36.48°の位置にピークが現れた。一方、上述したように、実施例1では、2θ=22.24°、23.10°、24.66°、33.74°、36.40°の位置にピークが現れ、参考例1に比べてピークが低角度側にシフトしていた。
ピークが低角度側にシフトした理由は、LiPOおよびPが反応することにより、LiPOのO元素の一部がS元素に置換され、格子定数が大きくなった可能性が推測される。なお、実施例1では、硫化物成分として、LiPS(LiS:P=3:1)の組成を用いているが、XRDでは、LiPS(LiS:P=7:1)のピークが得られている。この結果から、化学量論的に過剰なP(組成ずれによって生じたP)がLiPOと反応したと推測される。また、実施例1および参考例1を比べると、2θ=20°〜25°付近のピークのシフト量に比べて、2θ=35°付近のピークのシフト量が大きいことから、2θ=35°付近のピークに対応する結晶構造のO元素がS元素に置換された可能性がある。
比較例2では、β−LiPSの結晶相のピークが確認された。なお、LiSおよびPを用い、熱処理温度500℃で合成を行うと、通常、γ−LiPSが得られる(参考例2)。
(Liイオン伝導度測定)
実施例1および比較例1〜4で得られた固体電解質材料を、マコール製のシリンダの中に200mg入れ、98MPaでプレスすることで固体電解質層を得た。次に、得られた固体電解質層の両面をSUS製ピストンで挟み、ボルト3本で締め付けた(トルク=2Nm、面圧=15MPa)。これにより、Liイオン伝導度の評価用セルを得た。なお、全ての作業は、乾燥Ar雰囲気のグローブボックス中で行った。得られた評価用セルに対してインピーダンス測定を行い、Liイオン伝導度を求めた。その結果を表1に示す。
(DSC測定)
まず、実施例1および比較例1〜4で得られた固体電解質材料を用いて、それぞれ正極合材を作製した。正極活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3、岩塩層状型活物質)と、カーボンブラック(電気化学工業社製)と、上記固体電解質材料とを、正極活物質:カーボンブラック:固体電解質材料=62.5:37.5:5の体積比で、分散媒である脱水ヘプタンに投入した。その後、超音波ホモジナイザーを用いて10分間撹拌した。その後、分散液の脱水ヘプタンを80℃のホットスターラーを用いて除去し、分散液を乾固させ、正極合材を得た。
次に、得られた正極合材を用いて、熱安定性の評価用セルを作製した。上記固体電解質材料を、マコール製のシリンダの中に200mg入れ、98MPaでプレスすることで固体電解質層のペレットを得た。同様に、上記正極合材を、マコール製のシリンダの中に200mg入れ、98MPaでプレスすることで正極活物質層のペレットを得た。得られた固体電解質層および正極活物質層を積層し、その両面をSUS製ピストン(集電体)で挟み、ボルト3本で締め付けた(トルク=2Nm、面圧=15MPa)。これにより、熱安定性の評価用セルを得た。その後、評価用セルをガラス製容器に入れて密閉した。
密閉した評価用セルを充電した。その後、評価用セルを解体し、正極合材を取り出した。5gの正極合材を耐熱密閉容器に入れ、示差走査熱量測定を室温から500℃の範囲で行い、発熱開始温度を測定した。昇温速度は10℃/分とし、標準試料としてAlを用いた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1では、LiPSに該当するピークが確認できたが、比較例1、2では、確認できなかった。また、実施例1および比較例3を比べると、得られた結晶相は同じであるが、実施例1は、比較例3よりもLiイオン伝導度および発熱開始温度が高かった。すなわち、本発明の固体電解質材料は、単純にLiPSおよびLiPOを用いた場合よりも、Liイオン伝導性および熱安定性が向上した。この効果は、LiPSおよびLiPOを用いること(LiPS4−xの組成を採用すること)により、相乗効果(例えば、結晶相A、B間の相乗効果)が得られたためであると推測される。また、実施例1および比較例4を比べると、熱処理により、Liイオン伝導性および熱安定性が向上することが確認された。

Claims (1)

  1. LiPS4−x(1<x<3)の組成を有し、
    X線回折測定において、LiPSに該当するピークと、LiPOに該当するピークとを有することを特徴とする固体電解質材料。
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