JP6783736B2 - 硫化物固体電解質 - Google Patents

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Description

本開示は、硫化水素の発生が抑制された硫化物固体電解質に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に代えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れる。
硫化物固体電解質は、リチウムイオン伝導性が高いため、電池の高出力化を図る上で有用であり、従来から、種々の研究がなされている。例えば、非特許文献1には、(75−1.5x)LiS・25P・xLiN(0≦x≦40)で表される硫化物固体電解質が開示されている。
硫化物固体電解質は、水と接触した場合に硫化水素が発生するおそれがある。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、硫化水素の発生が抑制された硫化物固体電解質を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示においては、Li元素、P元素、S元素およびN元素を含有し、一般式:xLiS−yP−zLiN(44≦x≦54、30≦y≦32、16≦z≦24、x+y+z=100)で表される組成を有する、硫化物固体電解質を提供する。
本開示によれば、所定の組成を有することにより、硫化水素の発生が抑制された硫化物固体電解質とすることができる。
本開示の硫化物固体電解質は、硫化水素の発生が抑制されているといった効果を奏する。
本開示の硫化物固体電解質の製造方法の一例を示す説明図である。 本開示のリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。 硫化水素発生量の測定方法を示す説明図である。 実施例1〜8および比較例1〜4で得られたガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質に対するXRD測定の結果である。
以下、本開示の硫化物固体電解質について、詳細に説明する。
本開示の硫化物固体電解質は、Li元素、P元素、S元素およびN元素を含有し、一般式:xLiS−yP−zLiN(44≦x≦54、30≦y≦32、16≦z≦24、x+y+z=100)で表される組成を有する。
本開示によれば、所定の組成を有することにより、硫化水素の発生が抑制された硫化物固体電解質とすることができる。
上述したように、硫化物固体電解質は、水と接触した場合に硫化水素が発生するおそれがある。その理由は、硫化物固体電解質がLiS成分、P成分、P 4−成分等の不純物成分を含む場合に、これらの成分が大気中の微量な水分と反応して硫化水素を発生するためであると推測される。特に、P 4−成分は、架橋硫黄(P−S−P)を有しており、架橋硫黄は水との反応性が高いため、硫化水素が発生しやすいと推測される。
これに対し、本開示の本発明者等は、硫化物固体電解質に対し、N元素を含有させることにより、硫化水素の発生を抑制することができることを知見した。その理由は、N元素を含有させると、固体電解質中のS元素の比率が減少することに加え、水との反応性の高いS元素(例えば、P 4−成分の架橋硫黄)と優先的に置換するためであると推測される。その結果、硫化水素の発生が抑制されると推測される。
一方で、本開示の発明者等は、硫化物固体電解質におけるN元素の割合によっては、硫化水素の発生を抑制する効果が十分に得られないことを知見した。その理由は、以下のように推測される。P成分とLiN成分とが化学反応してLiS成分が生成する(例えば、下記式の反応が生じると推定される。10LiN+3P→15LiS+6P+5N)。その結果、LiS成分が水分と反応して硫化水素が発生すると推測される。
特に、硫化物固体電解質の原料として、LiS、PおよびLiNを用いた場合、PとLiNとが化学反応してLiSが生成してしまうため、仕込み時の組成とずれることが推測される。
本開示の発明者等は、上記知見に基づき、さらに鋭意研究した結果、硫化物固体電解質の組成を、一般式:xLiS−yP−zLiN(44≦x≦54、30≦y≦32、16≦z≦24、x+y+z=100)で表される組成とすることにより、硫化水素の発生を極めて少なくすることができることを知見した。
なお、本開示における組成域は、例えば、非特許文献1に開示された(75−1.5x)LiS・25P・xLiN(0≦x≦40)とは全く異なる新規の組成域である。具体的には、本開示における組成域は、非特許文献1における組成域よりもPの化学量論比が高い。
また、新規の組成域を採用することにより、Liイオン伝導度が高い硫化物固体電解質とすることができる。これは、Li源をLiS成分からLiN成分に変えたことで、硫化物固体電解質のLiイオン濃度が上がり、高Liイオン伝導度を維持することができるためであると推測される。
本開示の硫化物固体電解質は、Li元素、P元素、S元素およびN元素を含有する。硫化物固体電解質の組成は、例えば、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により確認できる。
本開示の硫化物固体電解質は、一般式:xLiS−yP−zLiN(44≦x≦54、30≦y≦32、16≦z≦24、x+y+z=100)で表される組成を有する。この一般式を、一般式(1)とする。一般式(1)におけるxは、例えば、44以上であり、46以上であっても良く、47以上であっても良い。また、一般式(1)におけるxは、例えば、54以下であり、52以下であっても良く、50以下であっても良い。また、一般式(1)におけるyは、例えば、30以上であり、32以下である。また、一般式(1)におけるzは、例えば、16以上であり、18以上であっても良い。また、一般式(1)におけるzは、例えば、24以下であっても良く、22以下であっても良く、20以下であっても良い。
また、本開示の硫化物固体電解質は、例えば、一般式:XLiS−25P−YLiN(40.6≦X≦45.0、12.5≦Y≦18.8、53.1≦X+Y≦58.3)で表される組成として表現することもできる。この一般式を、一般式(2)とする。
なお、一般式(1)、(2)は、LiS、P、LiNを用いて、Li元素、P元素、S元素およびN元素の割合を例示したものであり、硫化物固体電解質の原料組成物が、LiS、P、LiNであることを特定するものではない。本開示の硫化物固体電解質には、例えば、原料として単体S、単体P等を用いて作製した硫化物固体電解質も包含される。一般式(1)は、一般式(3):Li(2x+3z)2y(x+5y)として表現することもできる。
また、本開示の硫化物固体電解質は、P元素の含有量に対する、Li元素の含有量のモル比(Li/P比)は、例えば、2以上、3.2以下である。Li/P比は、例えば、2.35以上、2.70以下であっても良く、2.37以上、2.67以下であっても良い。
本開示の硫化物固体電解質は、例えば、硫化物ガラスであっても良く、結晶性材料であっても良いが、結晶性材料であることがより好ましい。より具体的には、硫化物ガラスを熱処理して結晶化したガラスセラミックスであることが好ましい。
結晶性材料は、通常、X線回折(XRD)測定において2θに特定のピークを有する材料をいう。本開示の硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=17.5°、18.6°、21.1°、22.2°、23.3°、25.6°、28.6°、29.4°、30.4°、33.5°、34.3°、36.0°、38.5°の位置にピークを有することが好ましい。なお、本開示の硫化物固体電解質は、上述した各位置の±0.5°の位置(好ましくは±0.3°の位置)にピークを有していても良い。
上記ピークを有する結晶相を結晶相Aとする。結晶相Aは、新規結晶相である。結晶相Aは、Li元素、P元素およびS元素を有する結晶構造にN元素が一部固溶した構造を有すると推測される。
本開示の硫化物固体電解質は、結晶相Aを主相として有することが好ましい。硫化物固体電解質に含まれる全ての結晶相における結晶相Aの割合は、例えば50重量%以上であり、70重量%以上であっても良く、90重量%以上であっても良い。結晶相Aの割合は、例えば、放射光XRDの結果から求めることができる。
本開示の硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、LiSのピーク(2θ=27.0°±0.5°、31.2°±0.5°、44.8°±0.5°、53.1°±0.5°)を有しないことが好ましい。また、本開示の硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、LiNのピーク(例えばα型のLiNピーク、2θ=21.6°±0.5°、27.9°±0.5°)を有しないことが好ましい。特に、本開示の硫化物固体電解質は、結晶相Aの単相材料であることが好ましい。
本開示の硫化物固体電解質は、Liイオン伝導度が高いことが好ましい。25℃におけるLiイオン伝導度は、例えば、1×10−3S/cm以上である。また、硫化物固体電解質の形状は、特に限定されるものではないが、例えば粒子状を挙げることができる。硫化物固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上、50μm以下である。
本開示の硫化物固体電解質の製造方法は、特に限定されない。図1は、本開示の硫化物固体電解質の製造方法の一例を示す説明図である。図1では、まず、原料組成物(例えばLiS、P、LiN)を非晶質化して硫化物ガラスを得る(非晶質化工程)。次に、硫化物ガラスを熱処理して、結晶性材料を得る(熱処理工程)。以上の工程を行うことにより、上述した硫化物固体電解質を得ることができる。
原料組成物は、通常、Li元素、P元素、S元素およびN元素を含有する原料を混合することにより得られる。Li元素を含有する原料としては、例えば、Liの硫化物、Liの窒化物等を挙げることができる。具体的には、LiS、LiNを挙げることができる。P元素を含む原料としては、例えば、Pの単体、Pの硫化物を挙げることができる。Pの硫化物としては、例えば、P等を挙げることができる。S元素を含有する原料としては、例えば、Sの単体、上述したLiの硫化物、Pの硫化物を挙げることができる。N元素を含有する原料としては、例えば、上述したLiの窒化物を挙げることができる。
原料組成物を非晶質化する方法としては、例えば、ボールミル、振動ミル等のメカニカルミリング法、溶融急冷法等を挙げることができる。メカニカルミリング法は、乾式であっても良く、湿式であっても良いが、均一処理の観点で後者が好ましい。湿式メカニカルミリング法に用いられる分散媒の種類は特に限定されるものではない。なお、メカニカルミリング法の各種条件は、所望の硫化物ガラスが得られるように設定する。
非晶質化により得られる硫化物ガラスは、XRD測定において、結晶に由来するピークを有しないことが好ましい。
また、熱処理工程における熱処理温度は、例えば、300℃以上であり、320℃以上であっても良く、330℃以上であっても良い。一方、熱処理温度は、例えば、360℃以下であっても良く、350℃以下であっても良く、340℃以下であっても良い。また、加熱時間は、例えば、0.5時間以上であり、1時間以上であっても良い。一方、加熱時間は、例えば、10時間以下であり、5時間以下であっても良い。
熱処理は、例えば、密閉条件で行われることが好ましい。密閉条件で行うことで、硫化物固体電解質中にN元素を取り込みやすくすることができるためである。また、反応系外にN元素がNとして排出されることを抑制することができるためである。熱処理時の雰囲気としては、例えば、真空を挙げることができる。
本開示の硫化物固体電解質は、イオン伝導性を必要とする任意の用途に用いることができる。中でも、本開示の硫化物固体電解質は、リチウム固体電池に用いられることが好ましい。すなわち、本開示においては、上述した硫化物固体電解質を用いたリチウム固体電池を提供することもできる。図2は、本開示のリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。図2におけるリチウム固体電池10は、正極活物質を含有する正極活物質層1と、負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された固体電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。本開示においては、正極活物質層1、負極活物質層2および固体電解質層3の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質を含有することが好ましい。
以下、本開示のリチウム固体電池における各構成について説明する。
(1)正極活物質層
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。特に、本開示においては、正極活物質層が固体電解質を含有し、その固体電解質が、上述した硫化物固体電解質であることが好ましい。正極活物質層に含まれる硫化物固体電解質の割合は、例えば0.1体積%以上であり、1体積%以上であっても良く、10体積%以上であっても良い。一方、硫化物固体電解質の割合は、例えば、80体積%以下であり、60体積%以下であっても良く、50体積%以下であっても良い。また、正極活物質としては、例えばLiCoO、LiMnO、LiNiMn、LiVO、LiCrO、LiFePO、LiCoPO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等を挙げることができる。
正極活物質層は、さらに導電化材を含有していても良い。導電化材の添加により、正極活物質層の導電性を向上させることができる。導電化材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。また、正極活物質層は、結着材を含有していても良い。結着材の種類としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有結着材等を挙げることができる。また、正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
(2)負極活物質層
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。特に、本開示においては、負極活物質層が固体電解質を含有し、その固体電解質が、上述した硫化物固体電解質であることが好ましい。負極活物質層に含まれる硫化物固体電解質の割合は、例えば0.1体積%以上であり、1体積%以上であっても良く、10体積%以上であっても良い。一方、硫化物固体電解質の割合は、例えば、80体積%以下であり、60体積%以下であっても良く、50体積%以下であっても良い。また、負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
なお、負極活物質層に用いられる導電化材および結着材については、上述した正極活物質層における場合と同様である。また、負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
(3)固体電解質層
固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層である。固体電解質層は、通常、固体電解質を含有する。本開示においては、固体電解質層が、上述した硫化物固体電解質を含有することが好ましい。固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質の割合は、例えば、10体積%以上であり、50体積%以上であっても良い。一方、硫化物固体電解質の割合は、例えば、100体積%以下である。固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。また、固体電解質層の形成方法としては、例えば、固体電解質を圧縮成形する方法等を挙げることができる。
(4)その他の構成
リチウム固体電池は、上述した正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層を少なくとも有する。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができる。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。また、本開示に用いられる電池ケースには、一般的な電池の電池ケースを用いることができ、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。
(5)リチウム固体電池
リチウム固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。リチウム固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。また、リチウム固体電池の製造方法は、上述した電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的なリチウム固体電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。その製造方法の一例としては、正極活物質層を構成する材料、固体電解質層を構成する材料、および負極活物質層を構成する材料を順次プレスすることにより、発電要素を作製し、この発電要素を電池ケースの内部に収納し、電池ケースをかしめる方法等を挙げることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、本開示をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
出発原料として、硫化リチウム(LiS、三津和化学工業製)、五硫化二リン(P、アルドリッチ社製)、窒化リチウム(LiN、アルドリッチ社製)を用いた。それぞれの原料を、xLiS・yP・zLiNの組成において、x=54、y=30、z=16となるように秤量した。秤量した混合物1gを、ジルコニア製ボール(φ5mm)53gとともに、ジルコニア製ボールポット容器(容積80ml)に入れ、密閉した。この容器を遊星型ボールミル装置(フリッチェ製PULVERISETTE7)に取り付け、台盤回転数510rpmで45時間メカニカルミリングを行い、硫化物ガラス状態の硫化物固体電解質を得た。この硫化物ガラスを、石英管に入れ、30Pa以下で真空封入した。その後、334℃で2時間熱処理を行うことで、ガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質を合成した。
なお、熱処理温度は、示差熱測定装置(DTA)で分析を行い、結晶化温度より高い温度を熱処理温度に設定した。
[実施例2]
組成比をx=52、y=30、z=18、熱処理温度334℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[実施例3]
組成比をx=50、y=30、z=20、熱処理温度を357℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[実施例4]
組成比をx=47、y=31、z=22、熱処理温度を346℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[実施例5]
組成比をx=46、y=32、z=22、熱処理温度を351℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[実施例6]
組成比をx=44、y=32、z=24、熱処理温度を356℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[実施例7]
組成比をx=52、y=32、z=16、熱処理温度を337℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[実施例8]
組成比をx=50、y=32、z=18、熱処理温度を325℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[比較例1]
組成比をx=56、y=28、z=16、熱処理温度を338℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[比較例2]
組成比をx=54、y=28、z=18、熱処理温度を350℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[比較例3]
組成比をx=52、y=28、z=20、熱処理温度を340℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[比較例4]
組成比をx=50、y=28、z=22、熱処理温度を332℃としたこと以外、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質の合成を行った。
[比較例5]
組成比がx=75、y=25、z=0とした点以外は、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質を合成した。
[比較例6]
組成比がx=70、y=30、z=0とした点以外は、実施例1と同様の手順でガラスセラミックス状態の硫化物固体電解質を合成した。
[評価]
(大気曝露時の硫化水素発生量測定)
図3に示すように、ガラスデシケーター21、水22、硫化水素センサ23、ファン24を備える装置を用い、得られた硫化物固体電解質3aにおける硫化水素発生量を測定した。具体的には、容積1000mlのガラスデシケーター内に、合成した硫化物固体電解質約100mg、水30ml、硫化水素センサ(Toxi RAE Pro、Honeywell社製)、ファンを入れた。ガラスデシケーターを密封した状態で、ファンを起動させ、湿度100%の大気に曝露し、曝露開始から200秒経過時のデシケーター内の硫化水素濃度を測定した。
結果を表1に示す。実施例1〜8では、比較例1〜4に比べて硫化水素発生量が大きく低減されることが確認された。
(Liイオン伝導度測定)
交流インピーダンス法を用いて、Liイオン伝導度の測定を行った。Ar雰囲気下のグローブボックス内で、合成した硫化物固体電解質約70mgを6ton/cmの圧力でプレスし、厚さ500μm程度のφ11.28μmのペレットを作製した。厚さはマイクロメーターを用いて測定した。作製したペレットをBio−Logic社製VMP3を用いて25℃の恒温槽内で交流インピーダンス測定を行った。
結果を表1に示す。実施例1〜8では、0.7×10−3S/cm以上のLiイオン伝導度を示すことが確認された。特に、実施例1〜6では、1.0×10−3S/cm以上のLiイオン伝導度を示すことが確認された。
比較例5、6の結果から、例えば、75LiS−25Pの組成を有する比較例5においては、硫化水素発生量は抑えられるものの、Liイオン伝導度を十分に高くすることができない。また、例えば、70LiS−30Pの組成を有する比較例6においては、Liイオン伝導度を十分に高くすることはできるものの、硫化水素発生量を十分に抑えることはできない。これに対し、xLiS−yP−zLiN(44≦x≦54、30≦y≦32、16≦y≦24)の組成を有する実施例1〜8においては、高いLiイオン伝導度と低い硫化水素発生量との両立を可能とすることが示唆された。
(X線回折法による構造解析)
X線回折装置(Ultima IV、リガク製)を用いて、CuKα線にて、2θ=10°〜60°の範囲で構造解析を行った。結果を図4(a)、(b)に示す。
図4(a)に示すように、実施例1〜8では、2θ=17.5°、18.6°、21.1°、22.2°、23.3°、25.6°、28.6°、29.4°、30.4°、33.5°、34.3°、36.0°、38.5°の位置にピークが確認された。これらのピーク位置は、例えば、従来知られている硫化物固体電解質(LiPS結晶相、Li11結晶相、LGPS結晶相)のピーク位置とは異なる。このことから、xLiS−yP−zLiN(44≦x≦54、30≦y≦32、16≦y≦24)の組成を有する硫化物固体電解質は、新規結晶相を有することが確認された。
また、比較例1〜4では、2θ=27.0°(±0.3°)、31.2°(±0.3°)、44.8°(±0.3°)、53.1°(±0.3°)、55.6°(±0.3°)にLi2Sに起因する回折ピークが確認された。P成分とLiN成分とが化学反応してLiS成分が生じたことが推測される。
1 …正極活物質層
2 …負極活物質層
3 …固体電解質層
3a …硫化物固体電解質
4 …正極集電体
5 …負極集電体
6 …電池ケース

Claims (1)

  1. Li元素、P元素、S元素およびN元素を含有し、
    一般式:xLiS−yP−zLiN(44≦x≦54、30≦y≦32、16≦z≦24、x+y+z=100)で表される組成を有する、硫化物固体電解質。
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