JP6798477B2 - 硫化物固体電解質 - Google Patents

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Description

本開示は、良好なLiイオン伝導性を有する硫化物固体電解質に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に代えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れる。
リチウム固体電池に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。例えば、特許文献1には、一般式:L(Lはアルカリ金属、MはB、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Tc、Pb、およびBiから選択される少なくとも一種、Xはハロゲン元素であり、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす)で表される組成を有するガラス状の硫化物固体電解質が開示されている。また、特許文献2には、一般式:Li(MはSi、GeおよびSnから選択される元素、NはSb、Bi、B、Al、Ga、In、Tl、Pb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W,Zn、およびCukら選択される元素、Xはハロゲン元素またはAtから選択される元素、b:dが0〜0.25:1であり、a:c:d:e:fが1〜12:0〜0.2:1:0.1〜9:0〜9を満たす)で表される組成を有するガラス状の硫化物固体電解質が開示されている。
また、特許文献3には、CuKα線を用いたX線回折測定において特定のピークを有する結晶相(LGPS型結晶相)を有し、Li元素、Sn元素、P元素およびS元素を含有する硫化物固体電解質が開示されている。特許文献3には、上記硫化物固体電解質は、一般式:Li(4−x)Sn(1−x)(xは0<x<1を満たす)で表される組成を有することが好ましいことが記載されている。
特開2017−095351号公報 特開2017−117639号公報 国際公開第2013/118722号
例えば、特許文献3に示される硫化物固体電解質(LiSnPS)は、比較的Liイオン伝導度が低い。本開示は上記実情に鑑みてなされた発明であり、良好なLiイオン伝導性を有する硫化物固体電解質を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するため、本開示においては、一般式:Li(4−x−y+2z)Sn(1−x)(x)(4−y+z)Cl(y)(x=0.73、y=0.1、0.19≦z≦0.34)で表される組成を有し、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=19.9°±0.5°、26.6°±0.5°、29.2°±0.5°の位置にピークを有する結晶相を有する、硫化物固体電解質を提供する。
本開示によれば、LGPS型結晶相を有し、さらに特定の組成を有することにより、良好なLiイオン伝導性を有する硫化物固体電解質とすることができる。
本開示の硫化物固体電解質は、良好なLiイオン伝導性を有することができるといった効果を奏する。
本開示の硫化物固体電解質の製造方法の一例を示すフロー図である。 本開示の硫化物固体電解質を用いたリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。 比較例1〜6のLiイオン伝導度測定結果である。 実施例1〜3、比較例3、7〜9のLiイオン伝導度測定結果である。 実施例1、比較例1、3、7〜9のXRD測定結果である。
以下、本開示の硫化物固体電解質の詳細を説明する。
本開示の硫化物固体電解質は、一般式:Li(4−x−y+2z)Sn(1−x)(x)(4−y+z)Cl(y)(x=0.73、y=0.1、0.19≦z≦0.34)で表される組成を有し、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=19.9°±0.5°、26.6°±0.5°、29.2°±0.5°の位置にピークを有する結晶相を有する。
本開示によれば、LGPS型結晶相を有し、さらに特定の組成を有することにより、良好なLiイオン伝導性を有する硫化物固体電解質とすることができる。
例えば、特許文献3に示される硫化物固体電解質(LiSnPS)は、Liイオン伝導度が比較的低い。具体的には、LiSnPSは、同じLGPS型結晶相を有する他の硫化物固体電解質(例えば、LiGePS、LiSiPS)と比較してLiイオン伝導度が低い。その理由は以下のように推測される。
LGPS型結晶相においては、結晶構造における四面体PSユニットのPがGe、SiまたはSnに置換される。Ge、SiおよびSnのイオン半径は、それぞれ0.44Å、0.53Å、0.71Åであり、Sn(Sn4+)は最も大きいイオン半径を有する。そのため、PがSnに置換されたLiSnPSでは、本来のLGPS型結晶構造(Liイオン伝導パスが形成された結晶構造)から歪みが生じると推測される。その結果、LiSnPSのLiイオン伝導度が低くなってしまうと推測される。
本開示の発明者らは、Liイオン伝導度を向上させるため、LiSnPSに対しClを添加することを検討した。Clの添加により、LiSnPSのLiイオン伝導度が向上すると推測される理由は以下の通りである。
LiSnPSに対しClを添加すると、結晶構造におけるPS四面体あるいはSnS四面体がLiCl四面体に置換されると推測される。ここで、Liのイオン半径は、Pのイオン半径より大きくSnのイオン半径とほぼ等しい。また、Clのイオン半径は、Sのイオン半径とほぼ等しい。したがって、LiCl四面体は、SnS四面体と大きさがほぼ等しく、PS四面体より大きくなる。そのため、PS四面体がLiClに置換されることで、SnS四面体との大きさの差が小さくなり、結晶構造の歪みが一部解消されると推測される。その結果、結晶構造におけるイオン伝導経路が改善され、Liイオン伝導度が向上すると推測される。
ところが、本開示の発明者らが実際にLiSnPSに対しClを添加したところ、意外にもLiイオン伝導度が低下してしまうことを新たに知見した。その理由については以下のように推測される。
LiSnPSは、LiSnSとLiPSとの固溶体である。LiSnPS中のLiPSの割合(モル割合)をxとすると、LiSnPSは、下記一般式2で表すことができる。また、下記一般式2は、LiS、SnS、Pを用いて、下記一般式3と表すこともできる。
(1-x)Li4SnS4・(x)Li3PS4=Li(4-x)Sn(1-x)P(x)S4(一般式2)
(2-x/2)Li2S・(1-x)SnS2・(x/2)P2S5(一般式3)
LiSnPSに対しClを添加するために、例えば、yモル分のLiS成分を置換する形でyモル分のLiCl成分を添加すると、得られる硫化物固体電解質の組成は、下記一般式4で表すことができる。
(2-x/2-y)Li2S・(1-x)SnS2・(x/2)P2S5・(y)LiCl
=Li(4-x-y)Sn(1-x)P(x)S(4-y)Cl(y)(一般式4)
ここで、LGPS型結晶相が析出するLi量は、例えば、4−x−y=3.3付近である。また、一般式2に示されるLiSnPSにおいてLGPS型結晶相が析出するxの値は、例えば、0.72<x<0.74の範囲内である。そのため、上述したようにLiSnPSに対しClを添加した場合(一般式4の場合)、Li量は最大でも3.28−yとなり、Li量が欠乏する。その結果、LGPS結晶相よりもLi含有量が少ない低イオン伝導相Liが析出して、Liイオン伝導度が低下してしまうと推測される。
これに対し、本開示においては、LiS成分を過剰に添加することでLi量を補償している。一般式で表すと、下記一般式1となる。
(2-x/2-y+z)Li2S・(1-x)SnS2・(x/2)P2S5・(y)LiCl
=Li(4-x-y+2z)Sn(1-x)P(x)S(4-y+y)Cl(y)(一般式1)
本開示においては、Li量を補償することより、低イオン伝導相Liを抑制することができる。その結果、Liイオン伝導性を良好にすることができると推測される。
後述する参考例1、2に示すように、LGPS型結晶相を有するLiGePSにおいては、ハロゲンであるBrを添加することによりLiイオン伝導度が向上している。このことから、LGPS型結晶相を有するLiSnPSに対し、ハロゲンであるClを添加することによりLiイオン伝導度が低下するとの課題は、特有の課題である。
なお、特許文献1には、一般式:Lで表される硫化物固体電解質において、複数のMの選択肢の一つとしてSnが、複数のXの選択肢の一つとしてClが記載されているが、SnおよびClを用いた硫化物固体電解質は具体的に開示されていない。また、特許文献1には本開示の硫化物固体電解質の組成範囲に関してなんらの示唆もない。
本開示の硫化物固体電解質は、Li元素、Sn元素、P元素、S元素およびCl元素を含有する。本開示の硫化物固体電解質は、一般式:Li(4−x−y+2z)Sn(1−x)(x)(4−y+z)Cl(y)(x=0.73、y=0.1、0.19≦z≦0.34)で表される組成を有する。一般式におけるzの値は、0.19以上である。また、zの値は、例えば、0.34以下であってもよく、0.26以下であってもよい。本開示においては、中でもzは0.19であることが好ましい。
本開示の硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=19.9°±0.5°、26.6°±0.5°、29.2°±0.5°の位置にピークを有する結晶相を有する。この結晶相を結晶相Aとする。結晶相Aは、2θ=14.4°±0.5°、17.2°±0.5°、23.8°±0.5°、36.3°±0.5°の位置にさらにピークを有していてもよい。なお、これらのピーク位置の幅は、±0.3°であってもよく、±0.1°であってもよい。結晶相Aにおけるピークは、LGPS型結晶相に由来するピークである。結晶相Aは、通常、Li元素、Sn元素、P元素、S元素およびCl元素を含有する。
本開示の硫化物固体電解質は、結晶相Aを主相として含有することが好ましい。硫化物固体電解質に含まれる全ての結晶相に対する結晶相Aの割合は、例えば、50重量%以上であり、70重量%以上であってもよく、90重量%以上であってもよい。なお、上結晶相Aの割合は、例えば、放射光XRDにより測定することができる。
本開示の硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=25.4°±0.5°、30.0°±0.5°、31.4°±0.5°の位置にピークを有する結晶相をさらに有していることが好ましい。上記ピークを有する結晶相を結晶相Bとする。結晶相Bは、2θ=15.4°°±0.5°、17.8°±0.5°の位置にさらにピークを有していてもよい。なお、これらのピーク位置の幅は、±0.3°であってもよく、±0.1°であってもよい。結晶相Bのピークはアルジロダイト型結晶相に由来するピークである。本開示の硫化物固体電解質は、LGPS型結晶相に加えて、Liイオン伝導性が良好であるアルジロダイト型結晶相を有することで、より良好なLiイオン伝導性を有することができると推測される。
また、本開示の硫化物固体電解質は、Li結晶相の割合が少ないことが好ましい。ここで、Li結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測定において、通常、2θ=32.3°±0.5°、33.7°±0.5°の位置にピークを有する。本開示の硫化物固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=32.3°±0.5°、33.7°±0.5°の位置にピークを有する結晶相の割合が少ないことが好ましい。本開示においては、2θ=32.3°付近のピークの回折強度をIとした場合、I/Iの値が、例えば、0.50未満であり、0.25以下であることがより好ましく、0.15以下であることがさらに好ましい。また、本開示においては、I/Iの値が0であることが特に好ましい。言い換えると、本開示の硫化物固体電解質は、2θ=32.3°付近のピークを有しないことが好ましい。
本開示の硫化物固体電解質は、Liイオン伝導性を有する。25℃におけるLiイオン伝導度は、例えば、4.0×10−3S/cm以上であり、4.5×10−3S/cm以上であることが好ましい。硫化物固体電解質のLiイオン伝導度は、例えば、交流インピーダンス法により測定することができる。
本開示の硫化物固体電解質の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状が挙げられる。固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば、0.1μm以上50μm以下であってもよい。平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱法による粒度分布測定の結果から求めることができる。
本開示の硫化物固体電解質の製造方法としては、例えば、図1に示すように、上述した一般式で表される組成を有するように原料組成物を混合し、非晶質化処理して硫化物ガラスを得る非晶質化工程と、硫化物ガラスを熱処理して、LGPS型結晶相を有する硫化物固体電解質を得る熱処理工程とを有する製造方法を挙げることができる。原料組成物としては、例えば、LiS、P、SnS、LiClが挙げられる。また、非晶質化処理としては、例えば、メカニカルミリング処理が挙げられる。
本開示の硫化物固体電解質は、Liイオン伝導性を必要とする任意の用途に用いることができる。中でも、本開示の硫化物固体電解質は、リチウム固体電池に用いられることが好ましい。図2は、本開示のリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。図2におけるリチウム固体電池10は、正極活物質を含有する正極活物質層1と、負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された固体電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。本開示においては、正極活物質層1、負極活物質層2および固体電解質層3の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質を含有することが好ましい。
以下、リチウム固体電池における各構成について説明する。
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。特に、本開示においては、正極活物質層が固体電解質を含有し、その固体電解質が、上述した硫化物固体電解質であることが好ましい。正極活物質層に含まれる硫化物固体電解質の割合は、例えば0.1体積%以上であり、1体積%以上であってもよく、10体積%以上であってもよい。一方、硫化物固体電解質の割合は、例えば、80体積%以下であり、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよい。また、正極活物質としては、例えばLiCoO、LiMnO、LiNiMn、LiVO、LiCrO、LiFePO、LiCoPO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等を挙げることができる。
正極活物質層は、さらに導電化材を含有していてもよい。導電化材の添加により、正極活物質層の導電性を向上させることができる。導電化材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。また、正極活物質層は、結着材を含有していてもよい。結着材の種類としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有結着材等を挙げることができる。また、正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。特に、本開示においては、負極活物質層が固体電解質を含有し、その固体電解質が、上述した硫化物固体電解質であることが好ましい。負極活物質層に含まれる硫化物固体電解質の割合は、例えば0.1体積%以上であり、1体積%以上であってもよく、10体積%以上であってもよい。一方、硫化物固体電解質の割合は、例えば、80体積%以下であり、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよい。また、負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
なお、負極活物質層に用いられる導電化材および結着材については、上述した正極活物質層における場合と同様である。また、負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層である。固体電解質層は、通常、固体電解質を含有する。本開示においては、固体電解質層が、上述した硫化物固体電解質を含有することが好ましい。固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質の割合は、例えば、10体積%以上であり、50体積%以上であってもよい。一方、硫化物固体電解質の割合は、例えば、100体積%以下である。固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。また、固体電解質層の形成方法としては、例えば、固体電解質を圧縮成形する方法等を挙げることができる。
リチウム固体電池は、上述した正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層を少なくとも有する。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。
リチウム固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
本開示をさらに具体的に説明する。
[比較例1]
Cl添加量の違いによる、硫化物固体電解質のLiイオン伝導度の変化を確認するため、比較例1〜6の硫化物固体電解質を合成し、以下の評価1を行った。
比較例1の硫化物固体電解質の合成方法は以下の通りである。出発原料として、LiS(三津和化学工業製)、P(アルドリッチ社製)、SnS(三津和化学工業製)、LiCl(三ツ和化学工業製)を用いた。それぞれの原料を、Li(4−x−y+2z)Sn(1−x)(x)(4−y+z)Cl(y)の組成比で2gとなるように秤量し、混合した。組成比は、x=0.73、y=0、z=0とした。作製した混合物をジルコニア製ボール(φ5mm)53g、ヘプタン4gとともに、ジルコニア製ボールポット容器(容量45ml)に入れ密閉した。容器を遊星型ボールミル装置(フリッチェ製PULVERISETTE7)に取り付け、回転数500rpmで20時間メカニカルミリング処理を行うことにより、硫化物固体電解質のガラス前駆体を得た。ガラス前駆体を石英管に真空封入し、550℃で8時間熱処理を行うことで、結晶性硫化物固体電解質(硫化物固体電解質)を合成した。
[比較例2]
組成比を、x=0.73、y=0.05、z=0としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[比較例3]
組成比を、x=0.73、y=0.1、z=0としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[比較例4]
組成比を、x=0.73、y=0.15、z=0としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[比較例5]
組成比を、x=0.73、y=0.2、z=0としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[比較例6]
組成比を、x=0.73、y=0.3、z=0としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[参考例1]
出発原料SnSをGeS(三津和化学工業製)にかえ、Li(4−x−y+2z)Ge(1−x)(x)(4−y+z)Cl(y)の組成比をx=0.67、y=0、z=0としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[参考例2]
出発原料SnSをGeS(三津和化学工業製)にかえ、LiClをLiBr(東京化成工業製)にかえ、Li(4−x−y+2z)Ge(1−x)(x)(4−y+z)Br(y)の組成比をx=0.67、y=0.1、z=0としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[評価1]
(Liイオン伝導度測定)
得られた硫化物固体電解質を100mg秤量し、マコール製のシリンダに入れて6tonでプレスした。SUSピンでペレットの両端をはさみ、ボルトにて6.0N・mで拘束することで評価セルを構築し、25℃に保った状態で交流インピーダンス測定を行い、硫化物固体電解質のリチウムイオン伝導度を算出した。
測定には、Biologic社製VMP3を用い、印加電圧10mV、測定周波数域0.01MHz〜1MHzとした。結果を表1および図3に示す。図3においては、比較例1〜6のLiイオン伝導度測定の結果を示している。
(XRD測定)
得られた硫化物固体電解質を粉末X線回折装置(Uttma IV,リガク製)を用いてCuKα線にて、2θ=10°〜60°の範囲でXRD測定を行った。結果を表1に示す。
Liイオン伝導度測定の結果から、LiSnPSである比較例1は、LiGePSである参考例1に比べてLiイオン伝導度が低いことが確認された。また、LiGePSにハロゲンであるBrを添加した参考例2は、参考例1に比べてLiイオン伝導度が向上することが確認された。一方、表1および図3に示すように、LiSnPSにハロゲンであるClを添加した比較例2〜6においては、意外にもLiイオン伝導度が低下してしまうことが確認された。
また、XRD測定の結果から、比較例1〜6の全ての組成域においてLGPS型結晶相が析出していることが確認された。また、Clを添加した比較例2〜6においては、不純物相としてLi結晶相が析出していることが確認された。
比較例1〜6の結果から、Cl添加によりLiイオン伝導度が低下する理由は、Li結晶相が析出するため、硫化物固体電解質全体で見たときLiイオン伝導度が低下するためであると推測される。このことから、本発明者らは、硫化物固体電解質の組成を特定の組成に調整し、Li結晶相の析出を抑制することで、良好なLiイオン伝導度とすることができる可能性に着目した。
図3に示すように、y=0.1としたときに、硫化物固体電解質のLiイオン伝導度が極大値をとることが確認された。この結果から、y=0.1としたときに、Cl添加による硫化物固体電解質のLiイオン伝導度を効果的に向上させることができる可能性が高いことが示唆された。そこで、yの値をy=0.1に固定し、以下の検討を行った。
[比較例7]
LiS成分の添加量の違いによる、Liイオン伝導度の変化を確認するため、比較例7、8、実施例1〜3および比較例9の硫化物固体電解質を合成し、下記の評価2を行った。
比較例7においては、組成比を、x=0.73、y=0.1、z=0.05としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[比較例8]
組成比を、x=0.73、y=0.1、z=0.12としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[実施例1]
組成比を、x=0.73、y=0.1、z=0.19としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[実施例2]
組成比を、x=0.73、y=0.1、z=0.26としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[実施例3]
組成比を、x=0.73、y=0.1、z=0.34としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[比較例9]
組成比を、x=0.73、y=0.1、z=0.50としたこと以外、比較例1と同様の手順で硫化物固体電解質を合成した。
[評価2]
評価1と同様に、得られた硫化物固体電解質のLiイオン伝導度測定およびXRD測定を行った。Liイオン伝導度測定の結果を表2および図4に示す。図4においては、実施例1〜3および比較例3、比較例7〜9のLiイオン伝導度測定の結果を示している。また、XRD測定の結果を表2および図5に示す。図5においては、実施例1、比較例1、3、7〜9のXRD測定の結果を示している。
Liイオン伝導度測定の結果から、zの値を0.19≦z≦0.34とした実施例1〜実施例3は、Clを添加しない比較例1と同等以上のLiイオン伝導度を示すことが確認された。特に、z=0.19とした実施例1においては、比較例1に比べて、15%程度もLiイオン伝導度が向上することが確認された。
一方、z=0.05、0.12とした比較例7、8は、比較例1に比べてLiイオン伝導度が低くなることが確認された。また、z=0.50とした比較例9は、比較例1に比べてLiイオン伝導度が低くなることが確認された。
XRD測定の結果から、実施例1〜3および比較例6〜9の全組成域において、LGPS型結晶相に起因する回折ピークが確認された。
具体的には、図5に示すように、LGPS型結晶相に起因する回折ピークとして、2θ=14.4°、17.2°、19.9°、23.8°、26.6°、29.2°、および36.3°の位置に回折ピークが確認された。
また、図5に示すように、比較例3(z=0)、比較例7(z=0.05)、および比較例8(z=0.12)においては、2θ=32.3°、および33.7°の位置にLi結晶相のピークが確認された。さらにまた、図5に示すように、実施例1(z=0.19)、比較例8(z=0.12)、および比較例9(z=0.50)においては、2θ=15.4°、17.8°、25.4°、30.0°、および31.4°の位置にアルジロダイト型結晶相のピークが確認された。
実施例1〜3および比較例7、8の結果から、硫化物固体電解質の組成を調整して、Li結晶相の析出を抑制することにより、良好なLiイオン伝導性を有する硫化物固体電解質が得られることが確認された。
また、実施例1〜3の結果から、第二相としてアルジロダイト型結晶相を共存させることにより、硫化物固体電解質のLiイオン伝導度をより向上させることができる可能性が示唆された。一方、比較例9に示すようにアルジロダイト型結晶相の割合が多くなると、Liイオン伝導度が低下することが示唆された。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
10 … リチウム固体電池

Claims (1)

  1. 一般式:Li(4−x−y+2z)Sn(1−x)(x)(4−y+z)Cl(y)(x=0.73、y=0.1、0.19≦z≦0.34)で表される組成を有し、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=19.9°±0.5°、26.6°±0.5°、29.2°±0.5°の位置にピークを有する結晶相を有する、硫化物固体電解質。
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