JP7341699B2 - 硫化物系無機固体電解質材料の製造方法 - Google Patents
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Description
以上から、リチウムイオン電池に利用される硫化物系無機固体電解質材料は電気化学安定性を有しつつ、リチウムイオン伝導性のさらなる向上が求められている。
硫化物系無機固体電解質材料用の五硫化二リン組成物であって、
リン(P)の含有量に対する硫黄(S)の含有量のモル比(S/P)が2.40以上2.49以下である五硫化二リン組成物が提供される。
上記五硫化二リン組成物と、硫化リチウムと、を含む、硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物が提供される。
上記硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物を機械的処理する工程を含む硫化物系無機固体電解質材料の製造方法が提供される。
上記五硫化二リン組成物を原料として用いて得られる硫化物系無機固体電解質材料が提供される。
上記硫化物系無機固体電解質材料を含む固体電解質が提供される。
上記固体電解質を主成分として含む固体電解質膜が提供される。
正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えたリチウムイオン電池であって、
上記正極活物質層、上記電解質層および上記負極活物質層のうち少なくとも一つが、上記硫化物系無機固体電解質材料を含むリチウムイオン電池が提供される。
はじめに、本実施形態に係る五硫化二リン組成物について説明する。
本実施形態に係る五硫化二リン組成物は、硫化物系無機固体電解質材料用の五硫化二リン組成物(以下、五硫化二リン組成物とも呼ぶ。)であって、リン(P)の含有量に対する硫黄(S)の含有量のモル比(S/P)が2.40以上2.49以下である。
S/Pの下限は、得られる硫化物系無機固体電解質材料の経時的安定性をより一層良好にする観点から、好ましくは2.41以上、より好ましくは2.42以上、さらに好ましくは2.43以上である。
本実施形態において、S/Pが上記範囲内である五硫化二リン組成物は、例えば、五硫化二リンの原料組成物に対し、真空加熱をおこなうことにより、五硫化二リン組成物中の硫黄成分の量を低下させることにより得ることが可能である。
上記吸熱ピークの半値幅の上限は特に限定されないが、例えば7.0℃以下であり、好ましくは6.8℃以下である。
ここで、280℃以上300℃以下の温度領域に観察される吸熱ピークは、五硫化二リン(P2S5)の融点である。
本実施形態において、DSC曲線において、吸熱ピークの半値幅が上記範囲内である五硫化二リン組成物は、例えば、五硫化二リンの原料組成物に対し、真空加熱をおこなうことにより、五硫化二リン組成物中の低沸点の硫化リン化合物(P4S3、P6S5O10等)あるいは硫化リン重合体の量を低下させる処理等をおこなうことで得ることが可能である。
本実施形態において、DSC曲線において、吸熱ピークの融解熱量が上記範囲内である五硫化二リン組成物は、例えば、五硫化二リンの原料組成物に対し、真空加熱をおこなうことにより、五硫化二リン組成物中の低沸点の硫化リン化合物(P4S3、P6S5O10等)あるいは硫化リン重合体の量を低下させる処理等をおこなうことで得ることが可能である。
本実施形態に係る五硫化二リン組成物の融点の上限は特に限定されないが、例えば、300℃以下、好ましくは298℃以下、より好ましくは295℃以下である。
本実施形態において、DSC曲線において、融点が上記範囲内である五硫化二リン組成物は、例えば、五硫化二リンの原料組成物に対し、真空加熱をおこなうことにより、五硫化二リン組成物中の低沸点の硫化リン化合物(P4S3、P6S5O10等)あるいは硫化リン重合体の量を低下させる処理等をおこなうことで得ることが可能である。
まず、アルゴン雰囲気中で、アルミニウムパンに五硫化二リン組成物20~25mgを秤量し、その後、アルミニウム蓋を被せサンプルシーラーで密封する。リファレンスのアルミニウム容器は空の状態とする。開始温度25℃、測定温度範囲30~350℃、昇温速度5℃/min、アルゴン毎分100mlの雰囲気の条件下で、示差走査熱量計を用いて示差走査熱量測定を行う。また、示差走査熱量計としては、特に限定されないが、例えば、DSC6300(セイコーインスツルメント社製)を使用することができる。
また、五硫化二リン組成物が溶媒を含む場合は、五硫化二リン組成物から溶剤を乾燥除去してから測定することが好ましい。
これにより得られたDSC曲線から、280℃以上300℃以下の温度領域に吸熱ピークの有無を観察することができる。
ここで、上記吸熱ピークの融解熱量は、吸熱ピークを含む融解吸熱カーブと、ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。物質固有の熱容量は熱変化の前後で異なるため、吸熱ピーク前後のベースラインは一直線にならない。
そこで、本実施形態において、吸熱ピークにおけるベースラインは、図2に示す点Rと点Sを結んだ線とする。点Rは、吸熱ピーク前のベースラインと吸熱ピークの接線との交点Pを通るとともにY軸に平行な線と、融解吸熱カーブとの交点である。点Sは、吸熱ピーク後のベースラインと吸熱ピークの接線との交点Qを通るとともにY軸に平行な線と、融解吸熱カーブとの交点である。
また、本実施形態に係る五硫化二リン組成物において、280℃以上300℃以下の温度領域に観察される吸熱ピークは、通常は1つである。
次に、本実施形態に係る五硫化二リン組成物の製造方法について説明する。
本実施形態に係る五硫化二リン組成物の製造方法は、従来の五硫化二リン組成物の製造方法とは異なるものである。すなわち、リン(P)の含有量に対する硫黄(S)の含有量のモル比(S/P)が上記範囲内である五硫化二リン組成物は、五硫化二リンの原料組成物に対し、例えば真空加熱をおこなうことにより、五硫化二リン組成物中の低沸点の硫黄成分の量を低下させる処理等の製法上の工夫点を採用することによって初めて得ることができる。
ただし、本実施形態に係る五硫化二リン組成物の製造方法は、上記製法上の工夫点を採用することを前提に、例えば、具体的な製造条件は種々のものを採用することができる。
以下、本実施形態に係る五硫化二リン組成物の製造方法をより具体的に説明する。
工程(X):五硫化二リンの原料組成物を準備する工程
工程(Y):五硫化二リンの原料組成物を例えば真空加熱することにより、五硫化二リン組成物中の低沸点の五硫化二リン組成物中の低沸点の硫黄成分の量を低下させ、リン(P)の含有量に対する硫黄(S)の含有量のモル比(S/P)を低下させる工程
原料として用いる五硫化二リンの原料組成物としては特に限定されず、市販されている五硫化二リン(P2S5)をそのまま用いてもよいし、一般的に公知の五硫化二リンの製造方法を用いて得られる五硫化二リンの原料組成物を用いてもよい。
上記五硫化二リンの原料組成物を真空加熱する際の真空加熱装置内の圧力は、例えば-0.01MPa以下であり、-0.07MPa以下であることが好ましい。
上記五硫化二リンの原料組成物を真空加熱する際の加熱温度は、例えば220℃以上500℃以下であり、250℃以上350℃以下であることが好ましい。
上記五硫化二リンの原料組成物を真空加熱する時間は、例えば0.5時間以上24時間以下であり、好ましくは1時間以上5時間以下である。
以下、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料について説明する。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、本実施形態に係る五硫化二リン組成物を原料として用いて得ることができる。
また、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、リチウムイオン伝導性、電気化学的安定性、水分や空気中での安定性および取り扱い性等をより一層向上させる観点から、当該硫化物系無機固体電解質材料中の上記Pの含有量に対する上記Liの含有量のモル比Li/Pが好ましくは1.0以上5.0以下であり、より好ましくは2.0以上4.0以下であり、さらに好ましくは2.5以上3.8以下であり、さらにより好ましくは2.8以上3.6以下であり、さらにより好ましくは3.0以上3.5以下であり、さらにより好ましくは3.1以上3.4以下、特に好ましくは3.1以上3.3以下であり、そして上記Pの含有量に対する上記Sの含有量のモル比S/Pが、好ましくは2.0以上6.0以下であり、より好ましくは3.0以上5.0以下であり、さらに好ましくは3.5以上4.5以下であり、さらにより好ましくは3.8以上4.2以下、さらにより好ましくは3.9以上4.1以下、特に好ましくは4.0である。
ここで、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料中のLi、PおよびSの含有量は、例えば、ICP発光分光分析やX線分析により求めることができる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が上記下限値以上であると、電池特性により一層優れたリチウムイオン電池を得ることができる。さらに、このような硫化物系無機固体電解質材料を用いると、入出力特性により一層優れたリチウムイオン電池を得ることができる。
本実施形態に係る粒子状の硫化物系無機固体電解質材料は特に限定されないが、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径d50が、好ましくは1μm以上100μm以下であり、より好ましくは3μm以上80μm以下、さらに好ましくは5μm以上60μm以下である。
硫化物系無機固体電解質材料の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共にリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解電流の最大値が上記上限値以下であると、リチウムイオン電池内での硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解を抑制することができるため好ましい。
硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解電流の最大値の下限値は特に限定されないが、例えば、0.0001μA以上である。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極と、固体電解質層と、負極とがこの順番に積層されたものが挙げられる。
次に、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法は、例えば、本実施形態に係る五硫化二リン組成物と、硫化リチウムと、を含む硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物を機械的処理する工程を含む。
より具体的には、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、例えば、以下の工程(A)および(B)を含む製造方法により得ることができる。また、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法は、必要に応じて、以下の工程(C)および工程(D)をさらに含んでもよい。
工程(A):本実施形態に係る五硫化二リン組成物と、硫化リチウムと、を含む硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物を準備する工程
工程(B):硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物を機械的処理することにより、原料である五硫化二リン組成物および硫化リチウムを化学反応させながらガラス化して、ガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を得る工程
工程(C)得られたガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を加熱し、少なくとも一部を結晶化する工程
工程(D):得られた硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒する工程
はじめに、原料である本実施形態に係る五硫化二リン組成物と、硫化リチウムと、を含み、必要に応じて窒化リチウムをさらに含む硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物を準備する。ここで、原料組成物中の各原料の混合比は、得られる硫化物系無機固体電解質材料が所望の組成比になるように調整する。
各原料を混合する方法としては各原料を均一に混合できる混合方法であれば特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、打撃粉砕装置、ミキサー(パグミキサー、リボンミキサー、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、V型混合器等)、ニーダー、2軸ニーダー、気流粉砕機、クラッシャー、回転刃式の粉砕機等を用いて混合することができる。
各原料を混合するときの攪拌速度や処理時間、温度、反応圧力、混合物に加えられる重力加速度等の混合条件は、混合物の処理量によって適宜決定することができる。
ここで、本実施形態において、硫化リチウムには多硫化リチウムも含まれる。
本実施形態に係る窒化リチウムとしては特に限定されず、市販されている窒化リチウム(例えば、Li3N等)を使用してもよいし、例えば、金属リチウム(例えば、Li箔)と窒素ガスとの反応により得られる窒化リチウムを使用してもよい。高純度な固体電解質材料を得る観点および副反応を抑制する観点から、不純物の少ない窒化リチウムを使用することが好ましい。
つづいて、硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物を機械的処理することにより、原料である五硫化二リン組成物および硫化リチウムを化学反応させながらガラス化して、ガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を得る。
また、工程(B)において、メカノケミカル処理は、水分や酸素を高いレベルで除去した環境下を実現しやすい観点から、乾式メカノケミカル処理であることが好ましい。
メカノケミカル処理を用いると、各原料を微粒子状に粉砕しながら混合することができるため、各原料の接触面積を大きくすることができる。それにより、各原料の反応を促進することができるため、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料をより一層効率良く得ることができる。
通常は、線源としてCuKα線を用いたX線回折分析をしたとき、原料由来の回折ピークが消失または低下していたら、硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物はガラス化され、所望の硫化物系無機固体電解質材料が得られていると判断することができる。
つづいて、得られたガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を加熱することにより、硫化物系無機固体電解質材料の少なくとも一部を結晶化して、ガラスセラミックス状態(結晶化ガラスとも呼ばれる。)の硫化物系無機固体電解質材料を生成する。こうすることにより、より一層リチウムイオン伝導性に優れた硫化物系無機固体電解質材料を得ることができる。
すなわち、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料は、リチウムイオン伝導性に優れる点から、ガラスセラミックス状態(結晶化ガラス状態)が好ましい。
ガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を加熱する時間は、所望のガラスセラミックス状態の硫化物系無機固体電解質材料が得られる時間であれば特に限定されるものではないが、例えば、0.5時間以上24時間以下の範囲内であり、好ましくは1時間以上3時間以下である。加熱の方法は特に限定されるものではないが、例えば、焼成炉を用いる方法を挙げることができる。なお、このような加熱する際の温度、時間等の条件は、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の特性を最適なものにするため適宜調整することができる。
ガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を加熱するときの不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。これらの不活性ガスは、製品への不純物の混入を防止するために、高純度である程好ましく、また、水分の接触を避けるために、露点が-70℃以下であることが好ましく、-80℃以下であることが特に好ましい。混合系への不活性ガスの導入方法としては、混合系内が不活性ガス雰囲気で満たされる方法であれば特に限定されないが、不活性ガスをパージする方法、不活性ガスを一定量導入し続ける方法等が挙げられる。
本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の製造方法では、必要に応じて、得られた硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒する工程をさらにおこなってもよい。例えば、粉砕により微粒子化し、その後、分級操作や造粒操作によって粒子径を調整することにより、所望の粒子径を有する硫化物系無機固体電解質材料を得ることができる。上記粉砕方法としては特に限定されず、ミキサー、気流粉砕、乳鉢、回転ミル、コーヒーミル等公知の粉砕方法を用いることができる。また、上記分級方法としては特に限定されず、篩等公知の方法を用いることができる。
これらの粉砕または分級は、空気中の水分との接触を防ぐことができる点から、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下で行うことが好ましい。
つぎに、本実施形態に係る固体電解質について説明する。本実施形態に係る固体電解質は、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を含む。
そして、本実施形態に係る固体電解質は特に限定されないが、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料以外の成分として、例えば、本発明の目的を損なわない範囲内で、上述した本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の固体電解質材料を含んでもよい。
これらの中でも、リチウムイオン伝導性に優れ、かつ広い電圧範囲で分解等を起こさない安定性を有する点から、Li2S-P2S5材料が好ましい。ここで、例えば、Li2S-P2S5材料とは、少なくともLi2S(硫化リチウム)とP2S5とを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得られる固体電解質材料を意味する。
ここで、本実施形態において、硫化リチウムには多硫化リチウムも含まれる。
その他のリチウム系無機固体電解質材料としては、例えば、LiPON、LiNbO3、LiTaO3、Li3PO4、LiPO4-xNx(xは0<x≦1)、LiN、LiI、LISICON等が挙げられる。
さらに、これらの無機固体電解質の結晶を析出させて得られるガラスセラミックスも無機固体電解質材料として用いることができる。
ポリマー電解質としては、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものを用いることができる。
次に、本実施形態に係る固体電解質膜について説明する。
本実施形態に係る固体電解質膜は、前述した本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を含む固体電解質を主成分として含む。
本実施形態に係る固体電解質膜を適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極と、固体電解質層と、負極とがこの順番に積層されたものが挙げられる。この場合、固体電解質層が固体電解質膜により構成されたものである。
加圧成形体とすることにより、固体電解質同士の結合が起こり、得られる固体電解質膜の強度はより一層高くなる。その結果、固体電解質の欠落や、固体電解質膜表面のクラックの発生をより一層抑制できる。
本実施形態に係る固体電解質膜中の上記した本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料の含有量の上限は特に限定されないが、例えば、100質量%以下である。
これにより、固体電解質間の接触性が改善され、固体電解質膜の界面接触抵抗を低下させることができる。その結果、固体電解質膜のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。そして、このようなリチウムイオン伝導性に優れた固体電解質膜を用いることにより、得られる全固体型リチウムイオン電池の電池特性を向上できる。
なお、「バインダー樹脂を実質的に含まない」とは、本実施形態の効果が損なわれない程度には含有してもよいことを意味する。また、固体電解質層と正極または負極との間に粘着性樹脂層を設ける場合、固体電解質層と粘着性樹脂層との界面近傍に存在する粘着性樹脂層由来の粘着性樹脂は、「固体電解質膜中のバインダー樹脂」から除かれる。
上記固体電解質を加圧する方法は特に限定されず、例えば、金型のキャビティ表面上に粒子状の固体電解質を堆積させた場合は金型と押し型によるプレス、粒子状の固体電解質を基材表面上に堆積させた場合は金型と押し型によるプレスやロールプレス、平板プレス等を用いることができる。
固体電解質を加圧する圧力は、例えば、10MPa以上500MPa以下である。
固体電解質を加熱する温度は、例えば、40℃以上500℃以下である。
図1は、本発明に係る実施形態のリチウムイオン電池100の構造の一例を示す断面図である。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100は、例えば、正極活物質層101を含む正極110と、電解質層120と、負極活物質層103を含む負極130とを備えている。そして、正極活物質層101、負極活物質層103および電解質層120の少なくとも一つが、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を含有する。また、正極活物質層101、負極活物質層103および電解質層120のすべてが、本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を含有していることが好ましい。なお、本実施形態では特に断りがなければ、正極活物質を含む層を正極活物質層101と呼ぶ。正極110は、必要に応じて、正極活物質層101に加えて集電体105をさらに含んでもよいし、集電体105を含まなくてもよい。また、本実施形態では特に断りがなければ、負極活物質を含む層を負極活物質層103と呼ぶ。負極130は、必要に応じて、負極活物質層103に加えて集電体105をさらに含んでもよいし、集電体105を含まなくてもよい。
本実施形態に係るリチウムイオン電池100の形状は特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状が挙げられる。
正極110は特に限定されず、リチウムイオン電池に一般的に用いられているものを使用することができる。正極110は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、正極活物質を含む正極活物質層101をアルミ箔等の集電体105の表面に形成することにより得ることができる。
正極活物質層101の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
正極活物質としては特に限定されず一般的に公知のものを使用することができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、固溶体酸化物(Li2MnO3-LiMO2(M=Co、Ni等))、リチウム-マンガン-ニッケル酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)、オリビン型リチウムリン酸化物(LiFePO4)等の複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子;Li2S、CuS、Li-Cu-S化合物、TiS2、FeS、MoS2、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物、Li-Fe-S化合物等の硫化物系正極活物質;硫黄を含浸したアセチレンブラック、硫黄を含浸した多孔質炭素、硫黄と炭素の混合粉等の硫黄を活物質とした材料;等を用いることができる。これらの正極活物質は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、より高い放電容量密度を有し、かつ、サイクル特性により優れる観点から、硫化物系正極活物質が好ましく、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物から選択される一種または二種以上がより好ましい。
また、Li-Ti-S化合物は構成元素としてLi、Ti、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるチタン硫化物および硫化リチウムを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得ることができる。
Li-V-S化合物は構成元素としてLi、V、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるバナジウム硫化物および硫化リチウムを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得ることができる。
本実施形態に係るバインダー樹脂はリチウムイオン電池に使用可能な通常のバインダー樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリイミド等が挙げられる。これらのバインダーは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極130は特に限定されず、リチウムイオン電池に一般的に用いられているものを使用することができる。負極130は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、負極活物質を含む負極活物質層103を銅等の集電体105の表面に形成することにより得ることができる。
負極活物質層103の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
上記負極活物質としては、リチウムイオン電池の負極に使用可能な通常の負極活物質であれば特に限定されないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、炭素繊維、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素質材料;リチウム、リチウム合金、スズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を主体とした金属系材料;ポリアセン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー;リチウムチタン複合酸化物(例えばLi4Ti5O12)等が挙げられる。これらの負極活物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
負極活物質層103中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
次に、電解質層120について説明する。電解質層120は、正極活物質層101および負極活物質層103の間に形成される層である。
電解質層120とは、セパレーターに非水電解液を含浸させたものや、固体電解質を含む固体電解質層が挙げられる。
上記電解質としては、公知のリチウム塩がいずれも使用でき、活物質の種類に応じて選択すればよい。例えば、LiClO4、LiBF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、CF3SO3Li、CH3SO3Li、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、低級脂肪酸カルボン酸リチウム等が挙げられる。
本実施形態に係る固体電解質層における固体電解質の含有量は、所望の絶縁性が得られる割合であれば特に限定されるものではないが、例えば、10体積%以上100体積%以下の範囲内、中でも、50体積%以上100体積%以下の範囲内であることが好ましい。特に、本実施形態においては、固体電解質層が本実施形態に係る硫化物系無機固体電解質材料を含む固体電解質のみから構成されていることが好ましい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
はじめに、以下の実施例および比較例における測定方法を説明する。
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)を用いて、レーザー回折法により、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料の粒度分布を測定した。測定結果から、硫化物系無機固体電解質材料について、重量基準の累積分布における50%累積時の粒径(d50、平均粒子径)を求めた。
実施例および比較例で得られた五硫化二リン組成物に対して、エネルギー分散型X線分析(EDX)によるリン及び硫黄の定量分析をおこなった。
まず、アルゴン雰囲気中で、五硫化二リン組成物の中から0.5mm以上の粒子を選別し、乳棒で軽く押すことで破砕した。次いで、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S-4700)の試料台座に、破砕でできた平坦面が上になるようにカーボン導電テープを用いて五硫化二リン組成物の破砕物を固定し、さらにスパッタリングで金を付着し、台座と導通経路を確保した。以上の操作でチャージアップ抑制による画像の安定化、特性X線の検出促進を図った。硫化二リン組成物の破砕物の上記平坦面を電子線加速電圧15kV、エミッション電流10±1μA、ワークディスタンス12mm、拡大率500倍で観察して平滑面になっていることを確認した後、エネルギー分散型分析装置(堀場製作所製EMAX-7000)でリン(P)と硫黄(S)の半定量分析を行った。
半定量分析は、電子線加速電圧15kV、電子線入射角度90°、X線取り出し角度35°、パルス処理時間:P3、デッドタイム10~30%で、測定時間300秒間特性X線を計測し、定量条件としてバックグランド点を0.67、1.14、1.70、2.86、4.04keVに設定し、定量補正法:スタンダードレスφ(ρz)、ピーク分離法:オーバーラップファクター法、質量濃度ノーマライズなし、原子数ノーマライズなし、低エネルギーGB補正なしで行った。硫化二リン組成物の破砕物の上記平坦面の任意の5カ所について観察視野0.25mm×0.17mmからのリン(P)及び硫黄(S)濃度を計測し、その平均値を採用した。
実施例および比較例で得られた五硫化二リン組成物に対して、次のようにしてDSC測定をそれぞれ行った。まず、アルゴン雰囲気中で、五硫化二リン組成物20~25mgをアルミニウムパンへ秤量し試料とした。アルミニウムパンはアルミニウムカバーで封止した。次いで、当該試料に対し、開始温度25℃、測定温度範囲30~350℃、昇温速度5℃/min、アルゴン毎分100mlの雰囲気の条件下で、示差走査熱量計(DSC6300、セイコーインスツルメント社製)を用いて示差走査熱量測定を行った。これにより得られたDSC曲線から、280℃以上300℃以下の温度領域における吸熱ピークの有無、当該吸熱ピークの融解熱量(J/g)、当該吸熱ピークの半値幅(℃)および当該吸熱ピークのピーク温度すなわち融点(℃)をそれぞれ算出した。
上記吸熱ピークの融解熱量は、吸熱ピークを含む融解吸熱カーブと、ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出した。吸熱ピークにおけるベースラインは、図2に示す点Rと点Sを結んだ線とした。
また、上記吸熱ピークの半値幅は、吸熱ピークの中間点Xでの温度幅Wを求めることで算出した。吸熱ピークにおけるベースラインは、図3に示す点Rと点Sを結んだ線とした。
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメント社製、SPS3000)を用いて、ICP発光分光分析法により測定し、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料中のLi、PおよびSの質量%をそれぞれ求め、それに基づいて、各元素のモル比をそれぞれ計算した。
実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料に対して、交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度の測定をおこなった。
リチウムイオン伝導度の測定はバイオロジック社製、ポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いた。試料の大きさは直径9.5mm、厚さ1.2~2.0mm、測定条件は、印加電圧10mV、測定温度27.0℃、測定周波数域0.1Hz~7MHz、電極はLi箔とした。
ここで、リチウムイオン伝導度測定用の試料としては、プレス装置を用いて、実施例および比較例で得られた粉末状の硫化物系無機固体電解質材料150mgを270MPa、10分間プレスして得られる直径9.5mm、厚さ1.2~2.0mmの板状の硫化物系無機固体電解質材料を用いた。
また、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料をガラス製密閉瓶に入れ、H2O<1ppm、O2<1ppmのアルゴングローブボックス中に保管し、最初にリチウムイオン伝導度を測定してから150日後に上記と同様の手法で硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度を測定し、イオン伝導度の低下率(%)を求めた。
硫化物系無機固体電解質材料を以下の手順で作製した。
原料には、Li2S(古河機械金属社製、純度99.9%)およびLi3N(古河機械金属社製)を使用し、P2S5としては実施例および比較例で得られたP2S5をそれぞれ使用した。
はじめに、グローブボックス内に回転刃式の粉砕機およびアルミナ製のポット(内容積400mL)を配置し、次いで、グローブボックス内に対して、ガス精製装置を通じて得られた高純度のドライアルゴンガス(H2O<1ppm、O2<1ppm)の注入および真空脱気を3回おこなった。
次いで、グローブボックス内で、回転刃式の粉砕機(回転数18000rpm)を用いて、Li2S粉末とP2S5粉末とLi3N粉末(Li2S:P2S5:Li3N=71.1:23.7:5.3(モル%))の合計5gの混合(混合10秒および静置10秒の操作を10回(累計混合時間:100秒))をおこなうことにより、原料無機組成物を調製した。
次いで、グローブボックス内から、アルミナ製のポットを取り出し、メンブレンエアドライヤーを通して導入した乾燥したドライエアーの雰囲気下に設置したボールミル機にアルミナ製のポットを取り付け、120rpmで500時間メカノケミカル処理し、原料無機組成物のガラス化をおこなった。48時間混合する毎にグローブボックス内でポットの内壁についた粉末を掻き落とし、密封後、乾燥した大気雰囲気下でミリングを継続した。
次いで、グローブボックス内にアルミナ製のポットを入れ、得られた粉末をアルミナ製のポットからカーボンるつぼに移し、グローブボックス内に設置した加熱炉で290℃、2時間のアニール処理をおこなった。
得られた硫化物系無機固体電解質材料について各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<実施例1>
五硫化二リンの原料組成物として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Powder)を用いた。
次いで、五硫化二リンの原料組成物を石英容器に入れて真空加熱装置(古河機械金属社製)にセットした。次いで、-0.094MPaの減圧下で、300℃、2時間真空加熱した。次いで、石英容器の底部に溜まった成分を採取し、五硫化二リン組成物1を得た。得られた五硫化二リン組成物1に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リンの原料組成物として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Flake)を用いた。
次いで、五硫化二リンの原料組成物を石英容器に入れて真空加熱装置(古河機械金属社製)にセットした。次いで、-0.094MPaの減圧下で、300℃、2時間真空加熱した。次いで、石英容器の底部に溜まった成分を採取し、五硫化二リン組成物2を得た。得られた五硫化二リン組成物2に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リンの原料組成物として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Powder and Flake 1)を用いた。
次いで、五硫化二リンの原料組成物を石英容器に入れて真空加熱装置(古河機械金属社製)にセットした。次いで、-0.094MPaの減圧下で、300℃、2時間真空加熱した。次いで、石英容器の底部に溜まった成分を採取し、五硫化二リン組成物3を得た。得られた五硫化二リン組成物3に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リンの原料組成物として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Powder and Flake 2)を用いた。
次いで、五硫化二リンの原料組成物を石英容器に入れて真空加熱装置(古河機械金属社製)にセットした。次いで、-0.094MPaの減圧下で、300℃、2時間真空加熱した。次いで、石英容器の底部に溜まった成分を採取し、五硫化二リン組成物4を得た。得られた五硫化二リン組成物4に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リンの原料組成物として、関東化学社製の五硫化二リン(製品名:鹿1級)を用いた。
次いで、五硫化二リンの原料組成物を石英容器に入れて真空加熱装置(古河機械金属社製)にセットした。次いで、-0.094MPaの減圧下で、300℃、2時間真空加熱した。次いで、石英容器の底部に溜まった成分を採取し、五硫化二リン組成物5を得た。得られた五硫化二リン組成物5に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リンの原料組成物として、アルドリッチ社製の五硫化二リンを用いた。
次いで、五硫化二リンの原料組成物を石英容器に入れて真空加熱装置(古河機械金属社製)にセットした。次いで、-0.094MPaの減圧下で、300℃、2時間真空加熱した。次いで、石英容器の底部に溜まった成分を採取し、五硫化二リン組成物6を得た。得られた五硫化二リン組成物6に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リン組成物7として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Powder)をそのまま用いた。五硫化二リン組成物7に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リン組成物8として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Flake)をそのまま用いた。五硫化二リン組成物8に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リン組成物9として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Powder and Flake 1)をそのまま用いた。五硫化二リン組成物9に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リン組成物10として、LIAONING RUIXING CHEMICAL GROUP社製の五硫化二リン(製品名:SUPERIOR GRADE Powder and Flake 2)をそのまま用いた。五硫化二リン組成物10に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リンの原料組成物11として、Perimeter Solutions 社製の五硫化二リン(製品名:S Special)をそのまま用いた。五硫化二リン組成物11に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
五硫化二リンの原料組成物12として、アルドリッチ社製の五硫化二リン(製品名:99%)を用いた。五硫化二リン組成物12に対して各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
ここで、実施例および比較例における五硫化二リン組成物のDSC曲線を図4および図5にそれぞれ示す。
101 正極活物質層
103 負極活物質層
105 集電体
110 正極
120 電解質層
130 負極
Claims (5)
- 五硫化二リン組成物と、硫化リチウムと、を含む、硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物を機械的処理する工程を含む硫化物系無機固体電解質材料の製造方法であって、
前記五硫化二リン組成物は、リン(P)の含有量に対する硫黄(S)の含有量のモル比(S/P)が2.40以上2.49以下であり、
前記硫化物系無機固体電解質材料を単体硫黄と化学結合可能なガスのフロー中で、前記単体硫黄の融点以上の温度で加熱するガスフロー加熱工程を含まない硫化物系無機固体電解質材料の製造方法(ただし、前記硫化物系無機固体電解質材料から、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質材料を除く)。 - 請求項1に記載の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法において、
示差走査熱量計を用いて、開始温度25℃、測定温度範囲30~350℃、昇温速度5℃/min、アルゴン毎分100mlの雰囲気の条件下で測定して得られる、前記五硫化二リン組成物のDSC曲線において、前記DSC曲線は280℃以上300℃以下の温度領域に吸熱ピークを有し、前記吸熱ピークの半値幅が4.1℃以上である硫化物系無機固体電解質材料の製造方法。 - 請求項1または2に記載の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法において、
示差走査熱量計により測定される、前記五硫化二リン組成物の融点が291℃以上である硫化物系無機固体電解質材料の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法において、
前記五硫化二リン組成物中の五硫化二リンの含有量が95質量%以上である硫化物系無機固体電解質材料の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法において、
前記五硫化二リン組成物が粉末状である硫化物系無機固体電解質材料の製造方法。
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