JP2024025231A - 硫化物系無機固体電解質材料 - Google Patents

硫化物系無機固体電解質材料 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン伝導度が向上した硫化物系無機固体電解質材料を提供する。【解決手段】構成元素として、Li、PおよびSを含む硫化物系無機固体電解質材料であって、所定の方法により得られる本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルにおいて、2θ=27.70±0.50°の範囲にピークが存在せず、2θ=17.90±0.20°の範囲にピークが存在し、2θ=29.00±0.50°の範囲にピークが存在し、2θ=29.75±0.25°の範囲にピークが存在する、硫化物系無機固体電解質材料。【選択図】なし

Description

本発明は硫化物系無機固体電解質材料に関する。
従来、リチウムイオン電池には、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、より安全性を高くする観点から、電解液を固体電解質に替えて電池を全固体化したリチウムイオン電池の開発が進んでいる。また、可燃性の有機溶媒が不要となることで、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れる。
このような固体電解質に用いられる固体電解質材料としては、例えば、硫化物系無機固体電解質材料が知られている。
硫化物系無機固体電解質材料には、大電流の充放電に対応できるように高いリチウムイオン伝導率が要望されている。
例えば、特許文献1には、高いリチウムイオン伝導率を備えるLi-P-S系の硫化物系無機固体電解質材料が開示されている。
具体的には、Li元素、P元素およびS元素を含有し、X線波長1.5418オングストロームのCu-Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=17.90±0.20°、29.0±0.50°、29.75±0.25°の範囲にピークを有し、前記2θ=17.90±0.20°のピークの回折強度をIとし、2θ=18.50±0.20°のピークの回折強度をIとした場合に、I/Iの値が0.50未満であること、複数のPS四面体を含み、それぞれのPS四面体はPS四面体頂上の向きが互い違いになるように並び、且つ、それぞれのPS四面体は稜を共有せず、且つ、回折測定で定まる格子定数のうち最大の軸長と最小の軸長の比が1.1以下である、結晶構造を有すること、および前記2θ=29.0±0.50°のピークの回折強度が、前記2θ=29.75±0.25°のピークの回折強度よりも小さいことを特徴とする硫化物固体電解質材料が開示されている。
特許6861869号
しかしながら、特許文献1に開示された硫化物無機固体電解質材料には、製造に際して材料を石英管に真空封入することを要するという点で改善の余地があった。
本発明者らは、検討の結果、硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルが特定の特徴を備える場合に、硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が向上するということを新たに見出した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン伝導度が向上した硫化物系無機固体電解質材料を提供するものである。
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
[1]
構成元素として、Li、PおよびSを含む硫化物系無機固体電解質材料であって、
下記<X線回折分析>に記載された方法により得られる前記硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルにおいて、
2θ=27.70±0.50°の範囲にピークが存在せず、
2θ=17.90±0.20°の範囲にピークが存在し、
2θ=29.00±0.50°の範囲にピークが存在し、
2θ=29.75±0.25°の範囲にピークが存在する、
硫化物系無機固体電解質材料。
<X線回折分析>
X線回折装置を用いて、電圧40kV、電流40mA、発散スリット1°、発散スリット縦制限10mm、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、測定開始角度3°、測定終了角度90°の条件で、線源としてCuKα線を用い、またガラス試料板を試料ホルダーとして、硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルを得る。
[2]
LiPSを含む、上記[1]に記載の硫化物系無機固体電解質材料。
[3]
上記LiPSの含有量が95質量%以上である、上記[2]に記載の硫化物系無機固体電解質材料。
[4]
下記<リチウムイオン伝導度の測定>に記載された方法により測定される上記硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が1.0×10-3S/cm以上である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の硫化物系無機固体電解質材料。
<リチウムイオン伝導度の測定>
まず、硫化物系無機固体電解質材料110mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1mmの円板状試料を得る。
次いで、電気化学測定装置を用いて、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~3MHz、測定温度27℃という条件で、電極としてLi箔を用い、交流インピーダンス法により、得られた円板状試料のリチウムイオン伝導度を測定する。
[5]
下記<酸化分解電流の最大値の測定>に記載された方法により測定される上記硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解電流値が0.10×10-5mA以下である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の硫化物系無機固体電解質材料。
<酸化分解電流の最大値の測定>
まず、硫化物系無機固体電解質材料150mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1.3mmの円板状試料を得る。
次いで、得られた円板状試料の一方の面に参照極・対極としてLi箔を、18MPa、10分間の条件で圧着したのち、もう一方の面を上にして、作用極であるSUS314箔を貼り付ける。
次いで、電気化学測定装置を用いて、掃引電圧範囲0~10V、電圧掃引速度5mV/秒、測定温度25℃の条件で、得られたペレットの酸化分解電流の最大値を測定する。
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載の硫化物系無機固体電解質材料を含む硫化物系無機固体電解質。
[7]
上記[6]に記載の硫化物系無機固体電解質を主成分として含む硫化物系無機固体電解質膜。
[8]
正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えたリチウムイオン電池であって、
上記正極活物質層、上記電解質層および上記負極活物質層のうち少なくとも一つが、上記[1]~[5]のいずれかに記載の硫化物系無機固体電解質材料を含むリチウムイオン電池。
本発明によれば、リチウムイオン伝導度が向上した硫化物系無機固体電解質材料が提供される。
本実施形態のリチウムイオン電池の構造の一例を示す断面図である。 実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルを示す図である。 実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルの2θ=10~35°の範囲の拡大図を示す図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
[硫化物系無機固体電解質材料]
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料は、
構成元素として、Li、PおよびSを含む硫化物系無機固体電解質材料であって、
下記<X線回折分析>に記載された方法により得られる本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルにおいては、
2θ=27.70±0.50°の範囲にピークが存在せず、
2θ=17.90±0.20°の範囲にピークが存在し、
2θ=29.00±0.50°の範囲にピークが存在し、
2θ=29.75±0.25°の範囲にピークが存在する。
<X線回折分析>
X線回折装置(リガク社製、RINT2000)を用いて、電圧40kV、電流40mA、発散スリット1°、発散スリット縦制限10mm、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、測定開始角度3°、測定終了角度90°の条件で、線源としてCuKα線を用い、またガラス試料板(CatNo.9200、試料部20mm×20mm、深さ0.5mm)を試料ホルダーとして、硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルを得る。
上記の<X線回折分析>に記載された方法により得られる本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルは、α相のLiPSのX線回折分析スペクトルと類似する。
具体的には、上記の<X線回折分析>に記載された方法により得られる本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルは、下記の要件1~3を満たす。なお、K. Homma, M. Yonemura, M. Nagao, M. Hirayama, R. Kanno, J. Phys. Soc. Jpn., 79, 90-93 (2010)によると、これらの要件がα相のLiPSにもあてはまることがわかる。
要件1:2θ=17.90±0.20°の範囲にピークが存在すること
要件2:2θ=29.00±0.50°の範囲にピークが存在すること
要件3:2θ=29.75±0.25°の範囲にピークが存在すること
本発明者らは、検討の結果、硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルが上記した特徴を備える場合に、硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が向上するということを新たに見出した。
上記の<X線回折分析>に記載された方法により得られる本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルにおいては、2θ=20.00±0.20°の範囲にピークが存在することが好ましい。
上記の<X線回折分析>に記載された方法により得られる本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルにおいては、2θ=25.90±0.20°の範囲にピークが存在することが好ましい。
上記の<X線回折分析>に記載された方法により得られる本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルにおいては、2θ=17.90±0.20°の範囲に存在するピークが二股に分かれないことが好ましい。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料においては、硫化物系無機固体電解質材料のLiとPのモル比(Li/P)が、好ましくは1.0以上5.0以下、より好ましくは2.0以上4.0以下、さらに好ましくは2.5以上3.5以下、さらに好ましくは2.7以上3.3以下、さらに好ましくは2.8以上3.2以下、さらに好ましくは2.9以上3.1以下である。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料においては、硫化物系無機固体電解質材料のSとPのモル比(S/P)が、好ましくは2.0以上6.0以下であり、より好ましくは3.0以上5.0以下、さらに好ましくは3.5以上4.5以下、さらに好ましくは3.8以上4.2以下、さらに好ましくは3.9以上4.1以下である。
ここで、LiとPのモル比(Li/P)およびSとPのモル比(S/P)は、例えば、ICP発光分光分析やX線分析等により求めることができる。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料はLiPSを含むことが好ましい。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料中のLiPSの含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上である。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料が粒子状である場合、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積基準粒度分布におけるD50の下限は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。これにより、硫化物系無機固体電解質材料のハンドリング性がより一層向上する。
また、D50の上限は、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。これにより、リチウムイオン伝導性がより一層向上する。
下記<リチウムイオン伝導度の測定>に記載された方法により測定される本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の下限は、好ましくは1.0×10-3S/cm以上、より好ましくは1.1×10-3S/cm以上、さらに好ましくは1.2×10S/cm以上である。これにより入出力特性がより一層優れたリチウムイオン電池を得ることができる。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の上限は特に限定されないが、例えば、1.0×10-2S/cm以下であり、5.0×10-3S/cm以下であってもよく、3.0×10-3S/cm以下であってもよく、2.0×10-3S/cm以下であってもよい。
<リチウムイオン伝導度の測定>
まず、硫化物系無機固体電解質材料110mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1mmの円板状試料を得る。
次いで、バイオロジック社製、ポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いて、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~3MHz、測定温度27℃という条件で、電極としてLi箔を用い、交流インピーダンス法により、得られた円板状試料のリチウムイオン伝導度を測定する。
下記<酸化分解電流の最大値の測定>に記載された方法により測定される本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解電流の最大値の上限は、好ましくは0.5×10-5mA以下、好ましくは0.2×10-5mA以下、より好ましくは0.1×10-5mA以下、さらに好ましくは0.09×10-5mA以下、さらに好ましくは0.08×10-5mA以下である。これによりリチウムイオン電池内での硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解をより一層抑制できる。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解電流の最大値の下限は特に限定されないが、例えば、0.001×10-5mA以上である。
<酸化分解電流の最大値の測定>
まず、硫化物系無機固体電解質材料150mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1.3mmの円板状試料を得る。
次いで、得られた円板状試料の一方の面に参照極・対極としてLi箔を、18MPa、10分間の条件で圧着したのち、もう一方の面を上にして、作用極であるSUS314箔を貼り付ける。
次いで、バイオロジック社製、ポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いて、掃引電圧範囲0~10V、電圧掃引速度5mV/秒、測定温度25℃の条件で、得られたペレットの酸化分解電流の最大値を測定する。
<硫化物系無機固体電解質材料の製造方法>
次いで、本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法について説明する。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料の製造方法は、例えば、以下の工程(A)および(B)を含み、工程(C)や工程(D)をさらに含んでもよい。なお、工程(D)は工程(B)の後に行ってもよいし、工程(C)の後に行ってもよい。
工程(A):硫化リチウムと、下記[方法1]により測定されるReactivityが5.0℃/分以上である硫化リン組成物と、を含有する原料組成物を混合して混合物を得る工程
[方法1]
まず、アルゴン雰囲気中で、硫化リン組成物をメノウ乳鉢で粉砕し、目開き500μmの篩にて分級後、篩下を目開き250μmの篩にて分級し、篩上を10g以上回収する。回収した粉末のうち、9.20gを精秤し、これを試験用粉末とする。
次いで、モレキュラーシーブ3A 1/16で24時間以上乾燥させた2-プロパノール25mlを100mlトールビーカーに入れ、20℃、200rpmの条件で攪拌し、そこに試験用粉末を全量投入する。
試験用粉末が全量投入された時点を測定開始時間Tとし、Tから2秒間隔でトールビーカー内の液体の温度を測定する。Tに測定されたトールビーカー内の液体の温度を測定開始時温度Tmとする。
トールビーカー内の液体の温度上昇が止まった時点を最高温度到達時間Tmaxとし、Tmaxに測定されたトールビーカー内の液体の温度を最高温度Tmmaxとする。
下記式(1)によりReactivityを導出する。
Reactivity=(Tmmax-Tm)/(Tmax-T) (1)
工程(B):得られた混合物をメカノケミカル処理し、ガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を得る工程
工程(C):得られたガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を加熱し、少なくとも一部を結晶化させ、ガラスセラミックス状態の硫化物系無機固体電解質材料を得る工程
工程(D):得られたガラスもしくはガラスセラミックス状態の硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒し、硫化物系無機固体電解質材料を得る工程
まず、工程(A)では、硫化リチウムと、上記[方法1]により測定されるReactivityが5.0℃/分以上である硫化リン組成物と、を含有する原料組成物を混合して混合物を得る。
Reactivityとは、下記の反応式(1A)に示したように、アルコール(ROH(Rは任意の有機基))と五硫化二リン(P)が反応してチオリン酸((RO)P(S)SH)が生成する際に発生する生成熱の量を示す指標である。
4ROH+P→2(RO)P(S)SH+HS (1A)
Reactivityは、農薬等の原料として用いられるチオリン酸を工業的に生産する際に、生成熱の量をモニタリングし、過度な発熱を防ぎ、安定した製造を可能にするために用いられていた指標である。そのため、硫化物系無機固体電解質材料用硫化リン組成物の分野においては、Reactivityという指標に着目されることはなかった。
しかし、本発明者らの検討により、Reactivityを指標として硫化物系無機固体電解質材料用の硫化リン組成物を評価、選別することにより、リチウムイオン伝導度が向上した硫化物固体電解質材料を得られることが見出され、本発明が完成した。
なお、一般論として、Reactivityの値は、五硫化二リンを結晶化させる際の冷却速度を制御することにより変化させることが可能である。
上記の製造方法において、硫化リン組成物は、P、P、P等の種々の硫化リンを含有してよい。
上記の製造方法において、硫化リン組成物がPを含有することが好ましい。
上記の製造方法において、上記硫化リン組成物中のPの含有量が、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、例えば100質量%以下である。
上記の製造方法において、硫化リン組成物は粉末状であることが好ましい。後述する硫化物系無機固体電解質材料の製造は一般的には乾式でおこなわれるため、粉末状であることにより、硫化物系無機固体電解質材料の製造がより容易となる。
上記の製造方法に用いられる硫化リチウムは特に限定されず、市販されている硫化リチウムを使用してもよいし、例えば、水酸化リチウムと硫化水素との反応により得られる硫化リチウムを使用してもよい。
高純度な硫化物系無機固体電解質材料を得る観点および副反応を抑制する観点から、不純物の少ない硫化リチウムを使用することが好ましい。
ここで、本実施形態において、硫化リチウムには多硫化リチウムも含まれる。
上記の製造方法において、原料として窒化リチウムを用いてもよい。ここで、窒化リチウム中の窒素はNとして系内に排出されるため、原料として窒化リチウムを利用することで、構成元素としてLi、P、およびSを含む硫化物系無機固体電解質材料に対し、Li組成のみを増加させることが可能となる。
本実施形態の製造方法に用いられる窒化リチウムは特に限定されず、市販されている窒化リチウム(例えば、LiN等)を使用してもよいし、例えば、金属リチウム(例えば、Li箔)と窒素ガスとの反応により得られる窒化リチウムを使用してもよい。
高純度な固体電解質材料を得る観点および副反応を抑制する観点から、不純物の少ない窒化リチウムを使用することが好ましい。
ここで、原料組成物中の各原料の比率は、硫化物系無機固体電解質材料が所望の組成比になるように調整してよい。
工程(A)における混合方法は、各原料を均一に混合できる混合方法であれば特に限定されないが、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、打撃粉砕装置、ミキサー(パグミキサー、リボンミキサー、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、V型混合器等)、ニーダー、2軸ニーダー、気流粉砕機、クラッシャー、回転刃式の粉砕機等を用いて混合することができる。
各原料を混合するときの攪拌速度や処理時間、温度、反応圧力、混合物に加えられる重力加速度等の混合条件は、混合物の処理量によって適宜決定することができる。
工程(B)においては、得られた混合物をメカノケミカル処理し、ガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を得る。
ここで、メカノケミカル処理とは、混合対象に、せん断力、衝突力または遠心力のような機械的エネルギーを加えつつガラス化する方法である。メカノケミカル処理によるガラス化をおこなう装置としては、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等の粉砕・分散機や、削岩機や振動ドリル、インパクトドライバ等で代表される回転、押出しおよび打撃を組み合わせた機構からなる打撃粉砕装置等が挙げられる。
メカノケミカル処理によると、各原料を微粒子状に粉砕しながら混合することができるため、各原料の接触面積が大きくなる。これにより各原料の反応を促進することができ、硫化物系無機固体電解質材料をより一層効率良く得ることができる。
工程(B)におけるメカノケミカル処理は、水分や酸素を高いレベルで除去した環境を実現しやすいという観点から、乾式メカノケミカル処理であることが好ましい。
工程(B)におけるメカノケミカル処理を行う装置としては、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル、ロールミル等の粉砕・分散機;削岩機や振動ドリル、インパクトドライバ等で代表される回転(せん断応力)および打撃(圧縮応力)を組み合わせた機構からなる回転・打撃粉砕装置;高圧型グライディングロール;ローラ式竪型ミルやボール式竪型ミル等の竪型ミル等が挙げられる。
これらの中でも、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができるという観点から、ボールミルおよびビーズミルが好ましく、ボールミルがより好ましい。
また、連続生産性に優れているという観点では、ロールミル;削岩機や振動ドリル、インパクトドライバ等で代表される回転(せん断応力)および打撃(圧縮応力)を組み合わせた機構からなる回転・打撃粉砕装置;高圧型グライディングロール;ローラ式竪型ミルやボール式竪型ミル等の竪型ミル等が好ましい。
工程(B)におけるメカノケミカル処理の回転速度や処理時間、温度、反応圧力、原料組成物に加えられる重力加速度等の混合条件は、原料組成物の種類や処理量によって適宜決定することができる。一般的には、装置の回転速度が速いほどガラスの生成速度は速くなり、処理時間が長いほどガラスヘの転化率は高くなる。
通常は、線源としてCuKα線を用いたX線回折分析をしたとき、原料由来の回折ピークが消失または低下していたら、硫化物系無機固体電解質材料の原料組成物はガラス化され、所望の硫化物系無機固体電解質材料が得られていると判断することができる。
工程(B)におけるメカノケミカル処理は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これにより硫化物系無機固体電解質材料の劣化(例えば、酸化)を防止することができる。
不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。これらの不活性ガスは、製品への不純物の混入を防止するために、高純度である程好ましく、また、水分の接触を避けるために、露点が-70℃以下であることが好ましく、-80℃以下であることがより好ましい。
工程(C)においては、得られたガラス状態の硫化物系無機固体電解質材料を加熱し、少なくとも一部を結晶化させ、ガラスセラミックス状態の硫化物系無機固体電解質材料を得る。ここで、ガラスセラミックスとは、無機化合物の少なくとも一部が結晶化したもののことであり、結晶化ガラスとも呼ばれる。
工程(C)における加熱処理温度の下限は特に限定されるものではないが、その下限は、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上であり、その上限は、好ましくは450℃未満、より好ましくは400℃未満、さらに好ましくは350℃未満である。これにより硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度がより一層向上する。
工程(C)における加熱処理温度の上限は特に限定されるものではないが、450℃以上で加熱する工程を含まないことが好ましく、400℃以上で加熱する工程を含まないことがより好ましく、350℃以上で加熱する工程を含まないことがさらに好ましい。これにより硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度がより一層向上する。
工程(C)における加熱処理時間は特に限定されるものではないが、0.5時間以上24時間以下であることが好ましく、1時間以上3時間以下であることがより好ましい。これにより硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度がより一層向上する。
また、工程(C)における加熱処理の方法は特に限定されないが、例えば、加熱炉や焼成炉を用いる方法を挙げることができる。
また、加熱処理は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これにより硫化物系無機固体電解質材料の劣化(例えば、酸化)を防止することができる。
工程(D)においては、得られたガラスもしくはガラスセラミックス状態の硫化物系無機固体電解質材料を粉砕、分級、または造粒し、硫化物系無機固体電解質材料を得る。
粉砕方法は特に限定されず、ミキサー、気流粉砕、乳鉢、回転ミル、コーヒーミル等公知の粉砕方法を用いることができる。また、分級方法も特に限定されず、篩など公知の方法を用いることができる。
粉砕または分級は、空気中の水分との接触を防ぐことができる点から、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下で行うことが好ましい。
性能に優れた硫化物系無機固体電解質材料を得るためには、上記の各工程を適切に調整することが重要である。ただし、本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料を製造する方法は、上記の方法に限定されない。
[硫化物系無機固体電解質]
本実施形態の硫化物系無機固体電解質は上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料を含む。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質は上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料以外の成分として、例えば、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の固体電解質材料を含んでもよい。
上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の固体電解質材料としては、例えば、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の硫化物系無機固体電解質材料、酸化物系無機固体電解質材料、その他のリチウム系無機固体電解質材料等の無機固体電解質材料;ポリマー電解質等の有機固体電解質材料;等を挙げることができる。
上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の硫化物系無機固体電解質材料としては、例えば、LiS-P材料、LiS-SiS材料、LiS-GeS材料、LiS-Al材料、LiS-SiS-LiPO材料、LiS-P-GeS材料、LiS-LiO-P-SiS材料、LiS-GeS-P-SiS材料、LiS-SnS-P-SiS材料、LiS-P-LiN材料、Li+X-P材料、LiS-P-P材料等を挙げることができる。
ここで、例えば、LiS-P材料とは、少なくともLiS(硫化リチウム)とPとを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得られる固体電解質材料を意味する。
ここで、硫化リチウムには多硫化リチウムも含まれる。
上記の酸化物系無機固体電解質材料としては、例えば、LiTi(PO、LiZr(PO、LiGe(PO等のNASICON型材料;(La0.5+xLi0.5-3x)TiO等のペロブスカイト型材料;LiO-P材料;LiO-P-LiN材料;等を挙げることができる。
その他のリチウム系無機固体電解質材料としては、例えば、LiPON、LiNbO、LiTaO、LiPO、LiPO4-x(xは0<x≦1)、LiN、LiI、LISICON等を挙げることができる。
さらに、上記の無機固体電解質の結晶を析出させて得られるガラスセラミックスも無機固体電解質材料として用いることができる。
上記有機固体電解質材料としては、例えば、ドライポリマー電解質、ゲル電解質等のポリマー電解質等を挙げることができる。
[硫化物系無機固体電解質膜]
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜は上記した本実施形態の固体電解質を主成分として含む。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜は、例えば、全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられる。本実施形態の固体電解質膜を適用した全固体型リチウムイオン電池の例としては、正極と、固体電解質層と、負極とがこの順番に積層されたものが挙げられる。この場合、固体電解質層が固体電解質膜により構成されたものである。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜の平均厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。これにより固体電解質の欠落や固体電解質膜表面のクラックの発生をより一層抑制できる。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜の平均厚みは、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。これにより固体電解質膜のインピーダンスをより一層低下させることができ、その結果、得られる全固体型リチウムイオン電池の電池特性がより一層向上する。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜は、粒子状の固体電解質の加圧成形体であることが好ましい。すなわち、粒子状の固体電解質を加圧し、固体電解質材料同士のアンカー効果で一定の強度を有する固体電解質膜とすることが好ましい。これにより、固体電解質の欠落や、固体電解質膜表面のクラックの発生をより一層抑制できる。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜中の上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料の含有量の下限は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
これにより、固体電解質間の接触性が改善し、固体電解質膜の界面接触抵抗を低下させることができ、その結果、固体電解質膜のリチウムイオン伝導性がより一層向上する。そして、このようなリチウムイオン伝導性が向上した固体電解質膜を用いることにより、全固体型リチウムイオン電池の電池特性がより一層向上する。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜中の上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料の含有量の上限は特に限定されないが、例えば、100質量%以下である。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜の平面形状は特に限定されず、電極や集電体の形状に合わせて適宜選択することが可能であるが、例えば、矩形とすることができる。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜にはバインダー樹脂が含まれてもよいが、バインダー樹脂の含有量は、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。なお、本実施形態の固体電解質膜には、バインダー樹脂が実質的に含まれないことがより好適である。
これにより、固体電解質間の接触性が改善し、固体電解質膜の界面接触抵抗を低下させることができ、その結果、固体電解質膜のリチウムイオン伝導性がより一層向上する。そして、このようなリチウムイオン伝導性が向上した固体電解質膜を用いることにより、全固体型リチウムイオン電池の電池特性がより一層向上する。
なお、「バインダー樹脂を実質的に含まない」とは、本実施形態の効果が損なわれない程度にはバインダー樹脂を含有してもよいことを意味する。また、固体電解質層と正極または負極との間に粘着性樹脂層を設ける場合、固体電解質層と粘着性樹脂層との界面近傍に存在する粘着性樹脂層由来の粘着性樹脂は、「固体電解質膜中のバインダー樹脂」から除かれる。
上記バインダー樹脂とは、無機固体電解質材料間を結着させるために、リチウムイオン電池に一般的に使用される結着剤のことをいい、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリイミド等を挙げることができる。
本実施形態の硫化物系無機固体電解質膜は、例えば、粒子状の固体電解質を金型のキャビティ表面上または基材表面上に膜状に堆積させ、次いで、膜状に堆積した固体電解質を加圧することにより得ることができる。
上記固体電解質を加圧する方法は特に限定されず、例えば、金型のキャビティ表面上に粒子状の固体電解質を堆積させた場合は金型と押し型によるプレス、粒子状の固体電解質を基材表面上に堆積させた場合は金型と押し型によるプレスやロールプレス、平板プレス等を用いることができる。
固体電解質を加圧する圧力は、例えば、10MPa以上500MPa以下である。
また、必要に応じて、膜状に堆積した無機固体電解質を加圧するとともに加熱してもよい。加熱加圧を行えば固体電解質同士の融着・結合が起こり、得られる固体電解質膜の強度はより一層高くなり、その結果、固体電解質の欠落や、固体電解質膜表面のクラックの発生をより一層抑制できる。
固体電解質を加熱する温度は、例えば、40℃以上500℃以下である。
[リチウムイオン電池]
本実施形態のリチウムイオン電池は、
正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えたリチウムイオン電池であって、
上記正極活物質層、上記電解質層および上記負極活物質層のうち少なくとも一つが、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料を含む。
図1は、本実施形態のリチウムイオン電池の構造の一例を示す断面図である。
本実施形態のリチウムイオン電池100は、例えば、正極活物質層101を含む正極110と、電解質層120と、負極活物質層103を含む負極130とを備えている。
そして、正極活物質層101、負極活物質層103および電解質層120の少なくとも一つが、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料を含有する。また、正極活物質層101、負極活物質層103および電解質層120のすべてが、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料を含有していることが好ましい。
なお、本実施形態では特に断りがなければ、正極活物質を含む層を正極活物質層101と呼ぶ。正極110は、必要に応じて、正極活物質層101に加えて集電体105をさらに含んでもよいし、集電体105を含まなくてもよい。また、本実施形態では特に断りがなければ、負極活物質を含む層を負極活物質層103と呼ぶ。負極130は、必要に応じて、負極活物質層103に加えて集電体105をさらに含んでもよいし、集電体105を含まなくてもよい。
本実施形態のリチウムイオン電池100の形状は特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン電池100は、一般的に公知の方法に準じて製造される。例えば、正極110、電解質層120および負極130を重ねたものを、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成し、必要に応じて、非水電解液を封入することにより作製される。
<正極>
正極110は特に限定されず、リチウムイオン電池に一般的に用いられているものを使用することができる。正極110は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、正極活物質を含む正極活物質層101をアルミ箔等の集電体105の表面に形成することにより得ることができる。
正極活物質層101の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
正極活物質層101は正極活物質を含む。
正極活物質としては特に限定されず一般的に公知のものを使用することができる。例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、固溶体酸化物(LiMnO-LiMO(M=Co、Ni等))、リチウム-マンガン-ニッケル酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)、オリビン型リチウムリン酸化物(LiFePO)等の複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子;LiS、CuS、Li-Cu-S化合物、TiS、FeS、MoS、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物、Li-Fe-S化合物等の硫化物系正極活物質;硫黄を含浸したアセチレンブラック、硫黄を含浸した多孔質炭素、硫黄と炭素の混合粉等の硫黄を活物質とした材料;等を用いることができる。
これらの中でも、より高い放電容量密度を有し、かつ、サイクル特性により優れる観点から、硫化物系正極活物質が好ましく、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物から選択される一種または二種以上がより好ましい。
ここで、Li-Mo-S化合物は構成元素としてLi、Mo、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるモリブデン硫化物および硫化リチウムを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得ることができる。
また、Li-Ti-S化合物は構成元素としてLi、Ti、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるチタン硫化物および硫化リチウムを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得ることができる。
Li-V-S化合物は構成元素としてLi、V、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるバナジウム硫化物および硫化リチウムを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得ることができる。
正極活物質層101は特に限定されないが、上記正極活物質以外の成分として、例えば、バインダー樹脂、増粘剤、導電助剤、固体電解質材料等から選択される1種以上の材料を含んでもよい。以下、各材料について説明する。
正極活物質層101は、正極活物質同士および正極活物質と集電体105とを結着させる役割をもつバインダー樹脂を含んでもよい。
本実施形態に係るバインダー樹脂はリチウムイオン電池に使用可能な通常のバインダー樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリイミド等が挙げられる。
正極活物質層101は、塗布に適したスラリーの流動性を確保する点から、増粘剤を含んでもよい。増粘剤としてはリチウムイオン電池に使用可能な通常の増粘剤であれば特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系ポリマーおよびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩、ポリカルボン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー等が挙げられる。
正極活物質層101は、正極110の導電性を向上させる観点から、導電助剤を含んでもよい。導電助剤としてはリチウムイオン電池に使用可能な通常の導電助剤であれば特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケチェンブラック等のカーボンブラック、気相法炭素繊維等の炭素材料が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン電池の正極は、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料を含む固体電解質を含んでいてもよいし、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の固体電解質材料を含む固体電解質を含んでいてもよい。
上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の固体電解質材料としては、イオン伝導性および絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものを用いることができる。例えば、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の硫化物系無機固体電解質材料、酸化物系無機固体電解質材料、その他のリチウム系無機固体電解質材料等の無機固体電解質材料;ポリマー電解質等の有機固体電解質材料;を挙げることができる。より具体的には、上記した本実施形態の固体電解質の説明で挙げた無機固体電解質材料を用いることができる。
正極活物質層101中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
<負極>
負極130は特に限定されず、リチウムイオン電池に一般的に用いられているものを使用することができる。負極130は特に限定されないが、一般的に公知の方法に準じて製造することができる。例えば、負極活物質を含む負極活物質層103を銅等の集電体105の表面に形成することにより得ることができる。
負極活物質層103の厚みや密度は、電池の使用用途等に応じて適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
負極活物質層103は負極活物質を含む。
上記負極活物質としては、リチウムイオン電池の負極に使用可能な通常の負極活物質であれば特に限定されないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、樹脂炭、炭素繊維、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素質材料;リチウム、リチウム合金、スズ、スズ合金、シリコン、シリコン合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウム、インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を主体とした金属系材料;ポリアセン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー;リチウムチタン複合酸化物(例えばLiTi12)等が挙げられる。
負極活物質層103は特に限定されないが、上記負極活物質以外の成分として、例えば、バインダー樹脂、増粘剤、導電助剤、固体電解質材料等から選択される1種以上の材料を含んでもよい。これらの材料としては、特に限定はされないが、例えば、上述した正極110に用いる材料と同様のものを挙げることができる。
負極活物質層103中の各種材料の配合割合は、電池の使用用途等に応じて、適宜決定されるため特に限定されず、一般的に公知の情報に準じて設定することができる。
本実施形態のリチウムイオン電池の負極は上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料を含む固体電解質を含んでいてもよいし、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の固体電解質材料を含む固体電解質を含んでいてもよい。
上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の固体電解質材料としては、イオン伝導性および絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものを用いることができる。例えば、上記した本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料とは異なる種類の硫化物系無機固体電解質材料、酸化物系無機固体電解質材料、その他のリチウム系無機固体電解質材料等の無機固体電解質材料;ポリマー電解質等の有機固体電解質材料;を挙げることができる。より具体的には、上記した本実施形態の固体電解質の説明で挙げた無機固体電解質材料を用いることができる。
<電解質層>
次に、電解質層120について説明する。電解質層120は、正極活物質層101および負極活物質層103の間に形成される層である。
電解質層120としては、セパレーターに非水電解液を含浸させたものや、固体電解質を含む固体電解質層が挙げられる。
本実施形態に係るセパレーターとしては正極110と負極130を電気的に絶縁させ、リチウムイオンを透過する機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、多孔性膜を用いることができる。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が挙げられる。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
上記非水電解液とは、電解質を溶媒に溶解させたものである。
上記電解質としては、公知のリチウム塩がいずれも使用でき、活物質の種類に応じて選択すればよい。例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、CFSOLi、CHSOLi、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSON、低級脂肪酸カルボン酸リチウム等が挙げられる。
上記電解質を溶解する溶媒としては、電解質を溶解させる液体として通常用いられるものであれば特に限定されず、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ビニレンカーボネート(VC)等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2-エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の有機酸エステル類;リン酸トリエステルやジグライム類;トリグライム類;スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン類;3-メチル-2-オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類;等が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン電池の固体電解質層は、正極活物質層101および負極活物質層103の間に形成される層であり、固体電解質材料を含む固体電解質により形成される層である。
本実施形態のリチウムイオン電池の固体電解質層に含まれる固体電解質の含有量は、所望の絶縁性が得られる割合であれば特に限定されるものではないが、好ましくは10体積%以上100体積%以下、好ましくは50体積%以上100体積%以下、好ましくは70体積%以上100体積%以下、好ましくは90体積%以上100体積%以下であり、より好ましくは固体電解質以外の成分を実質的に含まない。
なお、「固体電解質以外の成分を実質的に含まない」とは、本実施形態の効果が損なわれない程度には固体電解質以外の成分を含有してもよいことを意味する。
本実施形態のリチウムイオン電池の固体電解質層に含まれる固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、上記した本実施形態の固体電解質であることが好ましい。
本実施形態のリチウムイオン電池の固体電解質層に含まれる、上記した本実施形態の固体電解質の含有量は、所望の絶縁性が得られる割合であれば特に限定されるものではないが、好ましくは10体積%以上100体積%以下、より好ましくは50体積%以上100体積%以下、さらに好ましくは70体積%以上100体積%以下、さらに好ましくは90体積%以上100体積%以下であり、特に好ましくは上記した本実施形態の固体電解質以外の成分を実質的に含まない。
なお、「上記した本実施形態の固体電解質以外の成分を実質的に含まない」とは、本実施形態の効果が損なわれない程度には上記した本実施形態の固体電解質以外の成分を含有してもよいことを意味する。
本実施形態のリチウムイオン電池の固体電解質層は、バインダー樹脂を含有していてもよい。バインダー樹脂を含有することにより、可撓性を有する固体電解質層を得ることができる。バインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有結着材を挙げることができる。
本実施形態のリチウムイオン電池の固体電解質層の厚さは、好ましくは0.1μm以上1000μm以下、より好ましくは0.1μm以上300μm以下である。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[硫化物系無機固体電解質材料の調製]
<実施例1>
まず、20℃のアルゴン雰囲気下で、粉末状のP(製品名:Normal/S、Lot.22D1218594、以下「硫化リン組成物1」と呼ぶ)とLiS(古河機械金属社製、純度99.9%)を、合計2.1g秤量した。この際モル比がLiS:P=3:1になるようにした。すなわち元素のモル比はLi:P=3:1、S:P=4:1となり、Li/P=3、S/P=4となった。
工程(a):20℃のアルゴン雰囲気下で、秤量した硫化リン組成物1とLiSを乳鉢ですりつぶしながら混合し、混合物(a)を得た。
工程(b):工程(a)で得られた混合物(a)2.1gを、20℃のアルゴン雰囲気下で、遊星ボールミル(45mLジルコニアポット、直径10mmジルコニアボール18個使用)を用いてメカノケミカル処理し、材料(1)を得た。具体的には、400rpmで10分間メカニカルミリングした後、5分間静置するという処理を120サイクル行い、材料(b)を得た。工程(b)においては、途中、メカノケミカル処理開始から15時間経過時に、ジルコニアポット壁面およびジルコニアボール表面に付着した粉末の掻き出しを行った。
ジルコニアポット壁面およびジルコニアボール表面に付着した粉末の掻き出しを行った。
工程(c):工程(b)で得られた材料(b)をカーボンるつぼに入れ、アルゴン雰囲気下の加熱炉で270℃、2時間の条件で加熱処理を行い、LiPSを含有する硫化物系無機固体電解質材料1を得た。
<実施例2>
硫化リン組成物1の代わりに粉末状のP(製品名:Normal/S, Lot.22D1218453、以下「硫化リン組成物2」と呼ぶ)を用いたこと以外は実施例1と同様にして硫化物系無機固体電解質材料2を得た。
<比較例1>
硫化リン組成物1の代わりに粉末状のP(製品名:Normal/S, Lot.22D1221141、以下「硫化リン組成物3」と呼ぶ)を用いたこと以外は実施例1と同様にして硫化物系無機固体電解質材料3を得た。
<比較例2>
まず、粉末状のP(製品名:Normal/S, Lot.22D1221141)を石英容器に入れて真空加熱装置(古河機械金属社製)にセットし、-0.094MPaの減圧下で、30℃から350℃まで15分間で昇温し、その後350℃で10分間加熱した。
次いで、350℃に加熱された石英容器を、各部バルブを閉じて真空状態を保ったまま水を張ったバケツに漬け、30℃まで急冷した。350℃から30℃まで冷却されるのにかかった時間は3分であった。30℃に冷却した石英容器の底部に溜まった成分を「硫化リン組成物4」とした。
次いで、硫化リン組成物1の代わりに硫化リン組成物4を用いたこと以外は実施例1と同様にして硫化物系無機固体電解質材料4を得た。
[X線回折分析]
X線回折装置(リガク社製、RINT2000)を用いて、電圧40kV、電流40mA、発散スリット1°、発散スリット縦制限10mm、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、測定開始角度3°、測定終了角度90°の条件で、線源としてCuKα線を用い、またガラス試料板(CatNo.9200、試料部20mm×20mm、深さ0.5mm)を試料ホルダーとして、硫化物系無機固体電解質材料1~4のX線回折分析スペクトルを得た。
図2に硫化物系無機固体電解質材料1~4のX線回折分析スペクトルを示す。また、図3に硫化物系無機固体電解質材料1~4のX線回折分析スペクトルの2θ=10~35°の範囲の拡大図を示す。
実施例1および2の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルでは、
2θ=27.70±0.50°の範囲にピークが存在せず、
2θ=17.90±0.20°の範囲にピークが存在し、
2θ=29.00±0.50°の範囲にピークが存在し、
2θ=29.75±0.25°の範囲にピークが存在した。
一方、比較例1および2の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルでは、2θ=27.70±0.50°の範囲にピークが存在した。
実施例1および2の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルでは、2θ=17.90±0.20°の範囲に存在するピークが二股に分かれていなかった。
一方、比較例1および2の硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルでは、2θ=17.90±0.20°の範囲に存在するピークが二股に分かれていた。
[Reactivityの測定方法]
下記の方法により、硫化リン組成物1~4のReactivityを測定した。結果を表1に示す。
まず、アルゴン雰囲気中で、Pをメノウ乳鉢で粉砕し、目開き500μmの篩にて分級後、篩下を目開き250μmの篩にて分級し、篩上を10g以上回収した。回収した粉末のうち、9.20gを精秤し、これを試験用粉末とした。
次いで、モレキュラーシーブ3A 1/16で24時間以上乾燥させた2-プロパノール25mlを100mlトールビーカーに入れ、20℃、200rpmの条件で攪拌し、そこに試験用粉末を全量投入した。
試験用粉末が全量投入された時点を測定開始時間Tとし、Tから2秒間隔でトールビーカー内の液体の温度を測定した。Tに測定されたトールビーカー内の液体の温度を測定開始時温度Tmとした。
トールビーカー内の液体の温度上昇が止まった時点を最高温度到達時間Tmaxとし、Tmaxに測定されたトールビーカー内の液体の温度を最高温度Tmmaxとした。
下記式(1)によりReactivityを導出した。
Reactivity=(Tmmax-Tm)/(Tmax-T) (1)
[リチウムイオン伝導度の測定]
下記の方法により、硫化物系無機固体電解質材料1~4のリチウムイオン伝導度を測定した。結果を表1に示す。
まず、硫化物系無機固体電解質材料110mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1mmの円板状試料を得た。
次いで、バイオロジック社製、ポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いて、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~3MHz、測定温度27℃という条件で、電極としてLi箔を用い、交流インピーダンス法により、得られた円板状試料のリチウムイオン伝導度を測定した。
[酸化分解電流の最大値の測定]
下記の方法により、硫化物系無機固体電解質材料1~4の酸化分解電流の最大値を測定した。結果を表1に示す。
まず、硫化物系無機固体電解質材料150mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1.3mmの円板状試料を得た。
次いで、得られた円板状試料の一方の面に参照極・対極としてLi箔を、18MPa、10分間の条件で圧着したのち、もう一方の面を上にして、作用極であるSUS314箔を貼り付けた。
次いで、バイオロジック社製、ポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いて、掃引電圧範囲0~10V、電圧掃引速度5mV/秒、測定温度25℃の条件で、得られたペレットの酸化分解電流の最大値を測定した。
Figure 2024025231000001
実施例の硫化物系無機固体電解質材料は、比較例より高いリチウムイオン伝導度を示した。このことから、本実施形態の硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が向上していることがわかる。
100 リチウムイオン電池
101 正極活物質層
103 負極活物質層
105 集電体
110 正極
120 電解質層
130 負極

Claims (8)

  1. 構成元素として、Li、PおよびSを含む硫化物系無機固体電解質材料であって、
    下記<X線回折分析>に記載された方法により得られる前記硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルにおいて、
    2θ=27.70±0.50°の範囲にピークが存在せず、
    2θ=17.90±0.20°の範囲にピークが存在し、
    2θ=29.00±0.50°の範囲にピークが存在し、
    2θ=29.75±0.25°の範囲にピークが存在する、硫化物系無機固体電解質材料。
    <X線回折分析>
    X線回折装置を用いて、電圧40kV、電流40mA、発散スリット1°、発散スリット縦制限10mm、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm、測定開始角度3°、測定終了角度90°の条件で、線源としてCuKα線を用い、またガラス試料板を試料ホルダーとして、硫化物系無機固体電解質材料のX線回折分析スペクトルを得る。
  2. LiPSを含む、請求項1に記載の硫化物系無機固体電解質材料。
  3. 前記LiPSの含有量が95質量%以上である、請求項2に記載の硫化物系無機固体電解質材料。
  4. 下記<リチウムイオン伝導度の測定>に記載された方法により測定される前記硫化物系無機固体電解質材料のリチウムイオン伝導度が1.0×10-3S/cm以上である、請求項1または2に記載の硫化物系無機固体電解質材料。
    <リチウムイオン伝導度の測定>
    まず、硫化物系無機固体電解質材料110mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1mmの円板状試料を得る。
    次いで、電気化学測定装置を用いて、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~3MHz、測定温度27℃という条件で、電極としてLi箔を用い、交流インピーダンス法により、得られた円板状試料のリチウムイオン伝導度を測定する。
  5. 下記<酸化分解電流の最大値の測定>に記載された方法により測定される前記硫化物系無機固体電解質材料の酸化分解電流値が0.10×10-5mA以下である、請求項1または2に記載の硫化物系無機固体電解質材料。
    <酸化分解電流の最大値の測定>
    まず、硫化物系無機固体電解質材料150mgを270MPa、10分間の条件でプレスし、直径9.5mm、厚さ1.3mmの円板状試料を得る。
    次いで、得られた円板状試料の一方の面に参照極・対極としてLi箔を、18MPa、10分間の条件で圧着したのち、もう一方の面を上にして、作用極であるSUS314箔を貼り付ける。
    次いで、電気化学測定装置を用いて、掃引電圧範囲0~10V、電圧掃引速度5mV/秒、測定温度25℃の条件で、得られたペレットの酸化分解電流の最大値を測定する。
  6. 請求項1または2に記載の硫化物系無機固体電解質材料を含む硫化物系無機固体電解質。
  7. 請求項6に記載の硫化物系無機固体電解質を主成分として含む硫化物系無機固体電解質膜。
  8. 正極活物質層を含む正極と、電解質層と、負極活物質層を含む負極とを備えたリチウムイオン電池であって、
    前記正極活物質層、前記電解質層および前記負極活物質層のうち少なくとも一つが、請求項1または2に記載の硫化物系無機固体電解質材料を含むリチウムイオン電池。
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