JP6936073B2 - 硫化物固体電解質 - Google Patents

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Description

本発明は、硫化物固体電解質、電極合材及びリチウムイオン電池に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ、及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。該電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質に変えて、電池を全固体化したリチウムイオン電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
リチウムイオン電池に用いられる固体電解質として、硫化物固体電解質が知られている。硫化物固体電解質の結晶構造としては種々のものが知られているが、その1つとしてアルジロダイト(Argyrodite)型結晶構造がある(特許文献1〜5、非特許文献1〜3)。
アルジロダイト型結晶構造は、安定性が高い結晶であり、また、イオン伝導度の高いものも存在する。しかしながら、量産化可能な製造方法の開発やイオン伝導度のさらなる改善が求められている。
特表2010−540396号公報 国際公開WO2015/011937 国際公開WO2015/012042 特開2016−24874号公報 国際公開WO2016/104702
Angew.chem Vol.47(2008),No.4,P.755−758 Phys.Status.Solidi Vol.208(2011),No.8,P.1804−1807 Solid State Ionics Vol.221(2012)P.1−5
本発明の目的の1つは、イオン伝導度の高い、新規な硫化物固体電解質を提供することである。
本発明の一実施形態によれば、リチウム、リン及び硫黄を含み、アルジロダイト型結晶構造を含み、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において2θ=14.4±0.5deg及び33.8±0.5degに回折ピークを有する硫化物固体電解質が提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、上記硫化物固体電解質と、活物質を含む電極合材が提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、上記硫化物固体電解質及び上記電極合材のうち少なくとも1つを含むリチウムイオン電池が提供される。
本発明の一実施形態によれば、新規な結晶構造を含み、イオン伝導度の高い硫化物固体電解質が提供できる。
実施例1の中間体のXRDパターンを示す図である。 実施例1で得られた硫化物固体電解質のXRDパターンを示す図である。 実施例1−3で得られた硫化物固体電解質の固体31P−NMR測定結果を示す図である。 実施例1で得られた硫化物固体電解質のラマン測定結果を示す図である。 実施例3で得られた硫化物固体電解質のXRDパターンを示す図である。 比較例1で得られた硫化物固体電解質のXRDパターンを示す図である。 比較例2で得た混合粉末のXRDパターンである。
本発明の第1の態様に係る硫化物固体電解質は、リチウム、リン及び硫黄を含み、アルジロダイト型結晶構造を含む。そして、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において2θ=14.4±0.5deg及び33.8±0.5degに回折ピークを有する硫化物固体電解質である。2θ=14.4±0.5deg及び33.8±0.5degで特定される結晶構造は、新規の結晶構造であると考えられる。本新規結晶構造はP 4−を主の単位構造とするものであり、アルジロダイト型結晶構造と比して、Sの元素比が少ない構造であると推察される。
上記新規結晶構造は、14.4±0.5deg及び33.8±0.5deg以外に29.1±0.5degにも現れることがある。本発明の硫化物固体電解質は、これらのピークを有していてもよい。
アルジロダイト型結晶構造としては、例えば、非特許文献1〜3、特表2010−540396号公報、特開2011−096630号公報、特開2013−211171号公報に開示されている結晶構造を挙げることができる。
本態様の硫化物固体電解質は、上記結晶構造及びアルジロダイト型結晶構造以外の結晶構造を含んでもよい。本態様において、結晶構造を含む硫化物固体電解質は、X線回折測定においてX線回折パターンに、硫化物固体電解質由来のピークが観測される硫化物固体電解質である。なお、原料由来のピークの有無は問わないものとする。本発明の硫化物固体電解質は、その一部に非晶質の固体電解質が含まれていてもよい。
本態様の硫化物固体電解質は、好ましくはCuKα線を使用した粉末X線回折測定において、2θ=25.2±0.5deg及び29.7±0.5degに回折ピークを有する。これら回折ピークを有することにより、硫化物固体電解質がアルジロダイト型結晶構造を有していると判断できる。
2θ=25.2±0.5deg及び29.7±0.5degの回折ピークは、アルジロダイト型結晶構造に由来するピークである。アルジロダイト型結晶構造は、PS 3−を主たる骨格の単位構造とし、その周辺にリチウム元素(Li)で囲まれた硫黄元素(S)やハロゲン元素(X)が配置されている構造である。
アルジロダイト型結晶構造の回折ピークは、例えば、2θ=15.3±0.5deg、17.7±0.5deg、31.1.±0.5deg、44.9±0.5deg、47.7±0.5degにも現れることがある。本態様の硫化物固体電解質は、これらのピークを有していてもよい。
なお、本願において回折ピークの位置は、中央値をAとした場合、A±0.5deg又はA±0.4degで判定しているが、A±0.3degであることが好ましい。例えば、上述した2θ=25.2±0.5degの回折ピークの場合、中央値Aは25.2degであり、2θ=25.2±0.3degの範囲に存在することが好ましい。本願における他のすべての回折ピーク位置の判定についても同様である。
本態様の硫化物固体電解質は、硫黄を除くカルコゲン元素又はハロゲン元素を含むことが好ましい。さらに好ましくはハロゲン元素を含み、最も好ましくは塩素又は臭素を含む。
本態様の硫化物固体電解質は、上述したリチウム、リン及び硫黄の他に、硫黄を除くカルコゲン元素及びハロゲン元素からなる群より選択される1種以上の元素Xを含んでいてもよい。この場合、リチウムのリンに対するモル比a(Li/P)、硫黄のリンに対するモル比b(S/P)及び元素Xのリンに対するモル比c(X/P)とした場合に、下記式(A)〜(C)を満たすと好ましい。
5.0≦a≦7.5 ・・・(A)
6.5≦a+c≦7.5 ・・・(B)
0.5≦a−b≦1.5 ・・・(C)
(式中、b>0且つc≧0を満たす。)
上記元素Xについて、硫黄を除くカルコゲン元素としては、酸素(O)、セレン(Se)、テルル(Te)等が挙げられ、ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I等が挙げられる。元素Xは、ハロゲン元素のみで構成されていることが好ましい。
元素Xのイオン半径が小さいほどアルジロダイト型結晶構造中に含まれる元素Xが多くなり、イオン伝導度が高くなることから、リチウムのリンに対するモル比aは、元素Xのイオン半径により調整することが好ましい。元素Xは、イオン半径の大きさにより、下記の3つの群(X,X及びX)に分類できる。
:F、Cl、O
:Br
:I、Se、Te
元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(A)は、5.0≦a≦6.5であることが好ましく、5.2≦a≦6.1であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(A)は、5.2≦a<≦6.8であることが好ましく、5.3≦a<≦6.6であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(A)は、5.5≦a≦7.2であることが好ましく、5.5≦a≦7.0であることがより好ましい。
上記式(B)は、6.6≦a+c≦7.4であることが好ましく、6.7≦a+c≦7.3であることがより好ましい。
上記式(C)は、0.6≦a−b≦1.3であることが好ましく、0.7≦a−b≦1.3であることがより好ましい。
リチウムのリンに対するモル比a(Li/P)、硫黄のリンに対するモル比b(S/P)及び元素Xのリンに対するモル比c(X/P)は、下記式(A’)〜(C’)を満たすとより好ましい。
5.0≦a≦7.1 ・・・(A’)
6.5≦a+c<7.1 ・・・(B’)
1.0<a−b≦1.5 ・・・(C’)
(式中、b>0且つc≧0を満たす。)
上記式(B’)は、6.6≦a+c<7.1であることが好ましく、6.8≦a+c<7.1であることがより好ましい。
上記式(C’)は、1.0<a−b≦1.4であることが好ましく、1.0<a−b≦1.3であることがより好ましい。
元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(A’)は、5.2≦a≦6.5であることが好ましく、5.25≦a≦6.4であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(A’)は、5.2≦a≦6.8であることが好ましく、5.3≦a≦6.6であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(A’)は、5.5≦a≦7.0であることが好ましく、5.5≦a≦6.8であることがより好ましい。
上記リチウム、リン、硫黄及び元素Xの他に、Si、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、As、Sb、Bi等の元素を含んでいてもよい。硫化物固体電解質が、Si、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、As、Sb及びBiからなる群より選択される1以上の元素Mを含む場合、上記(A)〜(C)又は(A’)〜(C’)における各元素のモル比は、元素Mとリンの合計に対するモル比とする。例えば、リチウムのリンに対するモル比a(Li/P)は、Li/(P+M)とする。
本態様の硫化物固体電解質は、例えば、下記式(4)で表される組成を満たすことが好ましい。
Li(P1−αα)S (4)
(式中、Mは、Si、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、As、Sb及びBiからなる群より選択される1以上の元素であり、Xは、F、Cl、Br、I、O、Se及びTeからなる群から選択される1以上の元素である。a〜cは下記式(1)〜(3)を満たす。αは0≦α≦0.3である。)
5.0≦a≦7.5 ・・・(1)
6.5≦a+c≦7.5 ・・・(2)
0.5≦a−b≦1.5 ・・・(3)
(式中、b>0且つc≧0を満たす。)
式(4)のXは、F、Cl、Br及びIから選択される1以上のハロゲン元素であることが好ましい。これにより、ハロゲン元素がアルジロダイト型結晶構造中に取り込まれて、イオン伝導性が高くなる。ハロゲン元素を2種以上含む場合、各元素の含有比は特に限定されない。
αは0が好ましい。
上記式(2)は、6.6≦a+c≦7.4であることが好ましく、6.7≦a+c≦7.3であることがより好ましい。
上記式(3)は、0.6≦a−b≦1.3であることが好ましく、0.7≦a−b≦1.3であることがより好ましい。
元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(1)は、5.0≦a≦6.5であることが好ましく、5.2≦a≦6.1であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(1)は、5.2≦a<≦6.8であることが好ましく、5.3≦a<≦6.6であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(1)は、5.5≦a≦7.2であることが好ましく、5.5≦a≦7.0であることがより好ましい。
上記式(4)のa〜cは下記式(1’)〜(3’)を満たすとより好ましい。
5.0≦a≦7.1 ・・・(1’)
6.5≦a+c<7.1 ・・・(2’)
1.0<a−b≦1.5 ・・・(3’)
(式中、b>0且つc≧0を満たす。)
上記式(2’)は、6.6≦a+c<7.1であることが好ましく、6.8≦a+c<7.1であることがより好ましい。
上記式(3’)は、1.0<a−b≦1.4であることが好ましく、1.0<a−b≦1.3であることがより好ましい。
元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(1’)は、5.2≦a≦6.5であることが好ましく、5.25≦a≦6.4であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(1’)は、5.2≦a≦6.8であることが好ましく、5.3≦a≦6.6であることがより好ましい。また、元素Xにおいて、元素Xの占めるモル比が最も大きい場合、上記式(1’)は、5.5≦a≦7.0であることが好ましく、5.5≦a≦6.8であることがより好ましい。
上述した各元素のモル比や組成は、製造に使用した投入原料におけるモル比や組成ではなく、生成物である硫化物固体電解質におけるものである。硫化物固体電解質における各元素のモル比や組成は、分析困難である等の特別な事情を除いて、ICP発光分析法で測定した値を用いるものとする。なお、ICP発光分析法の測定方法は、実施例に記載する。
各元素のモル比は、例えば原料における各元素の含有量を調製することにより制御できる。
本態様の硫化物固体電解質は、CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=17.6±0.4deg及び2θ=18.1±0.4degに回折ピーク(アルジロダイト型結晶構造に起因する回折ピークではない)を有しないか、有する場合には下記式(5)を満たすことが好ましい。
0<I/I<0.1 (5)
(式中、Iは2θ=17.6±0.4deg及び2θ=18.1±0.4degのうちアルジロダイト型結晶構造の回折ピークではないものの回折ピークの強度を表し、Iは2θ=29.7±0.5degの回折ピークの強度を表す。)
で特定される結晶構造(以下、LiPS結晶構造という。)は、低イオン伝導性であるため、固体電解質のイオン伝導度を低下させる。上記式(5)は、アルジロダイト型結晶構造に比して、LiPS結晶構造の量が相対的に少ないことを表す。式(5)は、0<I/I<0.05であることがより好ましく、0<I/I<0.02であることがより好ましい。
なお、2θ=17.6±0.4deg及び2θ=18.1±0.4degのいずれかは、通常、比較的ピーク強度の強いアルジロダイト型結晶構造の回折ピークと重なるため測定できない場合がある。従って、2θ=17.6±0.4deg及び2θ=18.1±0.4degのうちアルジロダイト型結晶構造の回折ピークではないものとは、通常、観測されるこれら2つのピークのうち強度の弱い方を意味する。
本態様の硫化物固体電解質では、CuKα線を使用した粉末X線回折において、下記式(6)を満たすことが好ましい。
0<I/I<0.100・・・(6)
(式中、Iは2θ=14.4±0.5degの回折ピークの強度を表し、Iは2θ=29.7±0.5degの回折ピークの強度を表す。)
2θ=14.4±0.5degの回折ピークは上述した新規結晶の回折ピークであり、2θ=29.7±0.5degの回折ピークはアルジロダイト型結晶構造の回折ピークである。式(6)は、アルジロダイト型結晶構造に比して、新規の結晶構造が相対的に少ないことを表す。本態様では、例えば、原料混合物をガラス化した中間体を熱処理することにより、アルジロダイト型結晶構造を含む硫化物固体電解質を得るが、熱処理の温度を高くすると、アルジロダイト型結晶構造の形成が進行しやすく、結晶性が高くなるため、イオン伝導度が向上する。一方、熱処理の温度を高くし過ぎると、新規の結晶構造が増加するため、アルジロダイト型結晶構造の形成が阻害される。従って、硫化物固体電解質中に新規の結晶構造が存在することは好ましいが、その割合は低い方が好ましい。式(6)は、0<I/I<0.050であることがより好ましく、さらに、0.005<I/I<0.030であることが好ましい。
本発明の第2の態様に係る硫化物固体電解質は、リチウム、リン及び硫黄を含み、アルジロダイト型結晶構造を有する。そして、固体31P−NMR測定において、110±5ppmにピークを有する。固体31P−NMR測定における110±5ppmのピークで特定される構造は、新規の結晶構造であると考えられる。本新規結晶構造はP 4−を主の単位構造とするものであり、アルジロダイト構造と比して、Sの元素比が少ない構造であると推察される。
本発明の第1の態様に係る硫化物固体電解質も固体31P−NMR測定において、110±5ppmにピークを有すると好ましい。
本態様の硫化物固体電解質中に含まれる新規結晶構造は、Pユニットを含む構造から構成されるものである。ここで、Pユニットから構成される本願の新規結晶構造を有することは、固体31P−NMR測定において110±5ppmの範囲内にピークを有することの他に、ラマン分光測定において380cm−1〜395cm−1の範囲内にピークを有することによっても確認することができ、両方を満たしていることが好ましい。なお、固体31P−NMR測定では、MAS(Magic Angle Spinning)法を用いることが好ましい。
本態様の硫化物固体電解質は、新結晶構造がPユニットを含む構造から構成されるため、アルジロダイト型結晶構造中のS欠陥構造が少なくなり、高イオン伝導度が得られると考えられる。
上記固体31P−NMR測定のプロファイルにおける110±5ppmのピークの半値幅は5ppm以下であると好ましい。より好ましくは、4ppm以下であり、さらに好ましくは3.5ppm以下である。当該ピークの半値幅は結晶構造の結晶性に関係しており、結晶性が悪く、構造の乱れが大きい場合には、その半値幅が広くなる。半値幅が5ppmより大きい場合には、Pユニットが規則正しく配列しておらず、新規結晶構造を構成していないと推察される。
上記半値幅は実施例に記載の方法で確認できる。
本発明の第2の態様に係る硫化物固体電解質の組成等の好適要件は、本発明の第1の態様に係る硫化物固体電解質と同じである。
以下、本発明の第1の態様に係る硫化物固体電解質と本発明の第2の態様に係る硫化物固体電解質をまとめて「本発明の硫化物固体電解質」という。
本発明の硫化物固体電解質は、後述する原料の混合物に、機械的応力を加えて反応させることにより、中間体を作製する工程と、中間体を熱処理して結晶化する工程を有する製造方法(製造方法の一実施形態)により作製できる。
使用する原料は、製造する硫化物固体電解質が必須として含む元素、すなわち、リチウム、リン、硫黄及び任意の元素X(酸素及び硫黄を除くカルコゲン元素及びハロゲン元素)を全体として含む2種以上の化合物又は単体を組み合わせて使用する。
リチウムを含む原料としては、例えば、硫化リチウム(LiS)、酸化リチウム(LiO)、炭酸リチウム(LiCO)等のリチウム化合物、及びリチウム金属単体等が挙げられる。中でも、リチウム化合物が好ましく、硫化リチウムがより好ましい。
上記硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−84438号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的には、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356号公報)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2011−84438号公報)。
リンを含む原料としては、例えば、三硫化二リン(P)、五硫化二リン(P)等の硫化リン、リン酸ナトリウム(NaPO)等のリン化合物、及びリン単体等が挙げられる。これらの中でも、硫化リンが好ましく、五硫化二リン(P)がより好ましい。五硫化二リン(P)等のリン化合物、リン単体は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
元素Xを含む原料としては、例えば、下記式(7)で表される、ハロゲン化合物を含むことが好ましい。
−X (7)
式(7)中、Mは、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、セレン(Se)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、又はこれらの元素に酸素元素、硫黄元素が結合したものを示し、リチウム(Li)又はリン(P)が好ましく、リチウム(Li)がより好ましい。
Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)から選択されるハロゲン元素が好ましい。
また、lは1又は2の整数であり、mは1〜10の整数である。mが2〜10の整数の場合、すなわち、Xが複数存在する場合は、Xは同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、後述するSiBrClは、mが4であって、XはBrとClという異なる元素からなるものである。
上記式(7)で表されるハロゲン化合物としては、具体的には、NaI、NaF、NaCl、NaBr等のハロゲン化ナトリウム;LiF、LiCl、LiBr、LiI等のハロゲン化リチウム;BCl、BBr、BI等のハロゲン化ホウ素;AlF、AlBr、AlI、AlCl等のハロゲン化アルミニウム;SiF、SiCl、SiCl、SiCl、SiBr、SiBrCl、SiBrCl、SiI等のハロゲン化ケイ素;PF、PF、PCl、PCl、POCl、PBr、POBr、PI、PCl、P等のハロゲン化リン;SF、SF、SF、S10、SCl、SCl、SBr等のハロゲン化硫黄;GeF、GeCl、GeBr、GeI、GeF、GeCl、GeBr、GeI等のハロゲン化ゲルマニウム;AsF、AsCl、AsBr、AsI、AsF等のハロゲン化ヒ素;SeF、SeF、SeCl、SeCl、SeBr、SeBr等のハロゲン化セレン;SnF、SnCl、SnBr、SnI、SnF、SnCl、SnBr、SnI等のハロゲン化スズ;SbF、SbCl、SbBr、SbI、SbF、SbCl等のハロゲン化アンチモン;TeF、Te10、TeF、TeCl、TeCl、TeBr、TeBr、TeI等のハロゲン化テルル;PbF、PbCl、PbF、PbCl、PbBr、PbI等のハロゲン化鉛;BiF、BiCl、BiBr、BiI等のハロゲン化ビスマス等が挙げられる。
中でも、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、ヨウ化リチウム(LiI)等のハロゲン化リチウム、五塩化リン(PCl)、三塩化リン(PCl)、五臭化リン(PBr)、三臭化リン(PBr)等のハロゲン化リンが好ましく挙げられる。中でも、LiCl、LiBr、LiI等のハロゲン化リチウム、PBrが好ましく、LiCl、LiBr、LiI等のハロゲン化リチウムがより好ましく、LiClとLiBrがより好ましい。
ハロゲン化合物は、上記の化合物の中から一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。すなわち上記の化合物の少なくとも1つを用いることができる。また、この場合において、ハロゲン元素は、上記のハロゲン元素の中から一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態では、リチウム化合物、リン化合物、及びハロゲン化合物を含み、該リチウム化合物、及びリン化合物の少なくとも一方が硫黄元素を含むことが好ましく、硫化リチウムと硫化リンとハロゲン化リチウムとの組合せがより好ましく、硫化リチウムと五硫化二リンとハロゲン化リチウムの組合せが更に好ましい。
例えば、本発明の硫化物固体電解質の原料として、硫化リチウム、五硫化二リン、ハロゲン化リチウムを使用する場合には、投入原料のモル比を、硫化リチウム:五硫化二リン:ハロゲン化リチウム=37〜88:8〜25:0.1〜50とすることができる。
従来技術(例えば、特許文献2等)では、原料粉末の結晶性を維持できる程度に粉砕混合している。一方、本実施形態では原料に機械的応力を加えて反応させ、ガラス成分を含む中間体とすることが好ましい。すなわち、従来技術よりも強い機械的応力により、原料粉末の少なくとも一部が結晶性を維持できない状態まで粉砕混合する。これにより、中間体の段階でアルジロダイト型結晶構造の基本骨格であるPS構造を生じさせ、かつ、ハロゲンを高分散させることができる。その結果、次工程の熱処理時に、安定相であるアルジロダイト型結晶構造となる際に、ハロゲンがアルジロダイト型結晶構造に取り込まれやすくなる。また、領域毎に異なる相を経ないため、LiPS結晶構造等の低イオン伝導相が生じにくいと推定している。これにより、本実施形態の硫化物固体電解質は高いイオン伝導度を発現すると推定している。
尚、中間体がガラス(非晶質)成分を含むことは、XRD測定において非晶質成分に起因するブロードなピーク(ハローパターン)の存在により確認できる。
また、本実施形態では、特許文献1のように原料を550℃で6日間も加熱する必要はないため、量産性が高い。
ガラス成分を含む中間体を経由せずに、原料から直接、アルジロダイト型結晶構造を含む硫化物固体電解質を製造する場合、イオン伝導度の高い硫化物固体電解質を得るのは難しい。ハロゲンは安定した相に留まり易く、原料から直接、硫化物固体電解質を製造する場合に、硫化物固体電解質中でアルジロダイト型結晶構造が生成している最中に、ハロゲンが他の安定した相に取り込まれてしまったり、分散せずに凝集あるいは再凝集が起こったりするためである。
ガラス成分を含む中間体を製造し、原子レベルで材料成分を混ぜ合わせることで、ガラス成分を含む中間体の熱処理中に、ハロゲンがスムーズにアルジロダイト結晶構造のサイトに入ることができる。
粉砕混合の条件としては、例えば、粉砕機として遊星ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。より具体的に、本願実施例で使用した遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)の場合、遊星ボールミルの回転数は350rpm以上400rpm以下が好ましく、360rpm以上380rpm以下がより好ましい。
粉砕メディアであるボールは、例えば、ジルコニア製ボールを使用した場合、その直径は0.2〜20mmが好ましい。
粉砕混合で作製した中間体を、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、熱処理する。熱処理温度は350〜650℃が好ましく、400〜550℃がより好ましい。
本実施形態では、中間体を熱処理することにより、アルジロダイト型結晶構造を含む硫化物固体電解質を得るが、熱処理の温度を高くすると、アルジロダイト型結晶構造の形成が進行しやすく、結晶性が高くなるため、イオン伝導度が向上する。一方、熱処理の温度を高くし過ぎると、新規の結晶構造が増加するため、アルジロダイト型結晶構造の形成が阻害される。本発明では熱処理温度を上記範囲で調整して適切な条件とすることが好ましい。
従来技術(例えば、特許文献2〜5)では、硫化水素気流下で原料混合物を焼成している。これにより、焼成時に硫黄が補完されると考える。一方、本発明では硫化水素不存在下で熱処理することが好ましい。この場合、従来技術の固体電解質よりも硫黄の含有量が少ない硫化物固体電解質が得られると考えている。本発明における新規結晶構造は、P 4−を主の単位構造とするものであり、アルジロダイト構造と比して、Sの元素比が少ない構造であると推察されるため、上述の条件が好ましい。
例えば、本発明の硫化物固体電解質の原料として、硫化リチウム、五硫化二リン、ハロゲン化リチウムを使用する場合には、投入原料のモル比を、硫化リチウム:五硫化二リン:ハロゲン化リチウム=37〜88:8〜25:0.1〜50とすることができる。
本発明の硫化物固体電解質は、リチウムイオン二次電池等の固体電解質層、正極、負極等に用いることができる。
[電極合材]
本発明の一実施形態の電極合材は、上述した本発明の硫化物固体電解質と、活物質を含む。又は、本発明の硫化物固体電解質により製造される。活物質として負極活物質を使用すると負極合材となる。一方、正極活物質を使用すると正極合材となる。
・負極合材
本発明の硫化物固体電解質に負極活物質を配合することにより負極合材が得られる。
負極活物質としては、例えば、炭素材料、金属材料等を使用することができる。これらのうち2種以上からなる複合体も使用できる。また、今後開発される負極活物質も使用することができる。
また、負極活物質は電子伝導性を有していることが好ましい。
炭素材料としては、グラファイト(例えば、人造黒鉛)、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。
金属材料としては、金属単体、合金、金属化合物が挙げられる。当該金属単体としては、金属ケイ素、金属スズ、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミニウムが挙げられる。当該合金としては、ケイ素、スズ、リチウム、インジウム及びアルミニウムのうち少なくとも1つを含む合金が挙げられる。当該金属化合物としては、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は、例えば酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アルミニウムである。
負極活物質と固体電解質の配合割合は、負極活物質:固体電解質=95重量%:5重量%〜5重量%:95重量%が好ましく、90重量%:10重量%〜10重量%:90重量%がより好ましく、85重量%:15重量%〜15重量%:85重量%がさらに好ましい。
負極合材における負極活物質の含有量が少なすぎると電気容量が小さくなる。また、負極活物質が電子伝導性を有し、導電助剤を含まないか、又は少量の導電助剤しか含まない場合には、負極内の電子伝導性(電子伝導パス)が低下し、レート特性が低くなるおそれや、負極活物質の利用率が下がり、電気容量が低下するおそれがあると考える。一方、負極合材における負極活物質の含有量が多すぎると、負極内のイオン伝導性(イオン伝導パス)が低下し、レート特性が低くなるおそれや、負極活物質の利用率が下がり、電気容量が低下するおそれがあると考える。
負極合材は導電助剤をさらに含有することができる。
負極活物質の電子伝導性が低い場合には、導電助剤を添加することが好ましい。導電助剤は、導電性を有していればよく、その電子伝導度は、好ましくは1×10S/cm以上であり、より好ましくは1×10S/cm以上である。
導電助剤の具体例としては、好ましくは炭素材料、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質であり、より好ましくは導電性が高い炭素単体、炭素単体以外の炭素材料;ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
なお、炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは単独でも2種以上でも併用可能である。なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
負極合材が導電助剤を含む場合の導電助剤の合材中の含有量は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜20質量%である。導電助剤の含有量が少なすぎると、負極の電子伝導性が低下してレート特性が低くなるおそれや、負極活物質の利用率が下がり、電気容量が低下するおそれがあると考える。一方、導電助剤の含有量が多すぎると、負極活物質の量及び/又は固体電解質の量が少なくなる。負極活物質の量が少なくなると電気容量が低下すると推測する。また、固体電解質の量が少なくなると負極のイオン伝導性が低下し、レート特性が低くなるおそれや、負極活物質の利用率が下がり、電気容量が低下するおそれがあると考える。
負極活物質と固体電解質を互いに密に結着させるため、さらに結着剤を含んでもよい。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
負極合材は、固体電解質と負極活物質、並びに任意の導電助剤及び/又は結着剤を混合することで製造できる。
混合方法は特に限定されないが、例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、カッターミルを用いて混合する乾式混合;及び有機溶媒中に原料を分散させた後に、乳鉢、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、フィルミックスを用いて混合し、その後溶媒を除去する湿式混合を適用することができる。これらのうち、負極活物質粒子を破壊しないために湿式混合が好ましい。
・正極合材
本発明の固体電解質に正極活物質を配合することにより正極合材が得られる。
正極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において正極活物質として公知のものが使用できる。また、今後開発される正極活物質も使用することができる。
正極活物質としては、例えば、金属酸化物、硫化物等が挙げられる。硫化物には、金属硫化物、非金属硫化物が含まれる。
金属酸化物は、例えば遷移金属酸化物である。具体的には、V、V13、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePO、CuO、Li(NiCoAl)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)等が挙げられる。
金属硫化物としては、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が挙げられる。
その他、金属酸化物としては、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)等が挙げられる。
非金属硫化物としては、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物等が挙げられる。
上記の他、セレン化ニオブ(NbSe)、金属インジウム、硫黄も正極活物質として使用できる。
正極合材は、さらに導電助剤を含んでいてもよい。
導電助剤は、負極合材と同様である。
正極合材の固体電解質及び正極活物質の配合割合、導電助剤の含有量、並びに正極合材の製造方法は、上述した負極合材と同様である。
[リチウムイオン電池]
本発明の一実施形態のリチウムイオン電池は、上述した本発明の硫化物固体電解質及び電極合材のうち少なくとも1つを含む。又は、本発明の硫化物固体電解質及び電極合材のうち少なくとも1つにより製造される。
リチウムイオン電池の構成は特に限定されないが、一般に、負極層、電解質層及び正極層をこの順に積層した構造を有する。以下、リチウムイオン電池の各層について説明する。
(1)負極層
負極層は、好ましくは本発明の負極合材から製造される層である。
又は、負極層は、好ましくは本発明の負極合材を含む層である。
負極層の厚さは、100nm以上5mm以下が好ましく、1μm以上3mm以下がより好ましく、5μm以上1mm以下がさらに好ましい。
負極層は公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(2)電解質層
電解質層は、固体電解質を含む層又は固体電解質から製造された層である。当該固体電解質は特に限定されないが、好ましくは本発明の硫化物固体電解質である。
電解質層は、固体電解質のみからなってもよく、さらにバインダーを含んでもよい。当該バインダーとしては、本発明の負極合材の結着剤と同じものが使用できる。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
電解質層の固体電解質は、融着していてもよい。融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の固体電解質粒子と一体化することを意味する。また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよく、当該板状体は、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層は、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(3)正極層
正極層は、正極活物質を含む層であり、好ましくは本発明の正極合材を含む層又は本発明の正極合材から製造された層である。
正極層の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
正極層は、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(4)集電体
本実施形態のリチウムイオン電池は、好ましくは集電体をさらに備える。例えば負極集電体は負極層の電解質層側とは反対側に、正極集電体は正極層の電解質層側とは反対側に設ける。
集電体として、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又はこれらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
本実施形態のリチウムイオン電池は、上述した各部材を貼り合せ、接合することで製造できる。接合する方法としては、各部材を積層し、加圧・圧着する方法や、2つのロール間を通して加圧する方法(roll to roll)等がある。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
また、本実施形態のリチウムイオン電池は、上述した各部材を順次形成することでも製造できる。公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
なお、評価方法は以下のとおりである。
(1)イオン伝導度測定と電子伝導性測定
各例で製造した硫化物固体電解質を、錠剤成形機に充填し、ミニプレス機を用いて407MPa(プレス表示値22MPa)の圧力を加え成形体とした。電極としてカーボンを成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、測定用の成形体(直径約10mm、厚み0.1〜0.2cm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度を測定した。イオン伝導度の値は25℃における数値を採用した。
なお、本実施例で用いたイオン伝導度の測定方法では、イオン伝導度が1.0×10−6S/cm未満の場合には、イオン伝導度を正確に測ることができないため、測定不能とした。
また、この成形体について直流電気測定により電子伝導度を測定した。電子伝導度の値は25℃における数値を採用した。なお、5Vの電圧を印加したときの電子伝導度が1.0×10−6S/cm未満の場合、電子伝導性は測定不能とした。
(2)X線回折(XRD)測定
各例で製造した硫化物固体電解質の粉末から、直径10mm、高さ0.1〜0.3cmの円形ペレットを成形して試料とした。この試料を、XRD用気密ホルダーを用いて空気に触れさせずに測定した。回折ピークの2θ位置は、XRD解析プログラムJADEを用いて重心法にて決定した。
株式会社リガクの粉末X線回折測定装置SmartLabを用いて以下の条件にて実施した。
管電圧:45kV
管電流:200mA
X線波長:Cu−Kα線(1.5418Å)
光学系:平行ビーム法
スリット構成:ソーラースリット5°、入射スリット1mm、受光スリット1mm
検出器:シンチレーションカウンター
測定範囲:2θ=10−60deg
ステップ幅、スキャンスピード:0.02deg、1deg/分
測定結果より結晶相の存在を確認するためのピーク位置の解析では、XRD解析プログラムJADEを用い、3次式近似によりベースラインを引いて、ピーク位置を求めた。
回折ピークの強度においては、2θ=29.7deg±0.5degに存在するアルジロダイト型結晶構造の回折ピークの強度(I)、2θ=17.6±0.4degかつ18.1±0.4degに存在するLiPS結晶構造の回折ピークの強度(I)、及び2θ=14.4±0.5degに存在する新規の結晶構造の回折ピークの強度(I)を次の手順で決定した。
実測データの5点のデータの移動平均によりスムージングを行い、17.5〜18.5degの間の最低強度点をバックグランドとして実測データから差し引いた。その後、17.0〜17.8deg及び17.9〜18.5degの実測データの最大値間の実測データの最大値を算出し、その小さい方のピーク強度をLiPS結晶構造の回折ピークの強度(I)とした。また、アルジロダイト型結晶構造は29.0〜32.0degの実測データの最大値を回折ピークの強度(I)とした。また、2θ=14.0〜15.0degにあるピークを特定し、ピークトップの強度を回折ピークの強度(I)とした。各回折ピークの強度から、強度比(I/I)及び強度比(I/I)を計算した。
(3)ICP測定
各例で製造した硫化物固体電解質の粉末を秤量し、アルゴン雰囲気中で、バイアル瓶に採取した。バイアル瓶にKOHアルカリ水溶液を入れ、硫黄分の捕集に注意しながらサンプルを溶解し、適宜希釈、測定溶液とした。これを、パッシェンルンゲ型ICP−OES装置(SPECTRO社製SPECTRO ARCOS)にて測定し、組成を決定した。
検量線溶液は、Li、P、S、Ge、SiはICP測定用1000mg/L標準溶液を、Cl、Brはイオンクロマトグラフ用1000mg/L標準溶液を、Iはよう化カリウム(試薬特級)を用いて調製した。
各試料で2つの測定溶液を調整し、各測定溶液で5回の測定を行い、平均値を算出した。その2つの測定溶液の測定値の平均で組成を決定した。
(4)NMR測定
各例で製造した硫化物固体電解質の粉末約60mgをNMR試料管へ充填し、下記の装置及び条件にて固体31PNMRスペクトルを得た。
装置:ECZ400R装置(株式会社JEOL RESONANCE製)
観測核:31
観測周波数:161.944MHz
測定温度:室温
パルス系列:シングルパルス(90°パルスを使用)
90°パルス幅:3.8μ
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間 300秒
マジックアングル回転の回転数 12kHz
積算回数 64回
測定範囲:250ppm〜−150ppm
31PNMRスペクトルの測定において、化学シフトは、外部基準として(NHHPO(化学シフト1.33ppm)を用いることで得た。
(5)ラマン分光測定
各例で製造した硫化物固体電解質の粉末約100mgをガラスキャピラリに充填して紫外線硬化性樹脂で密封し、下記装置及び条件にて顕微ラマン測定を行った。各サンプルで、サンプルの異なる位置で5回の測定を行い、得られたプロファイルを平均化したプロファイルを使用した。
装置:Almega(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)
レーザ: 532 nm
レーザ出力レベル: 10%
レーザ偏光: 平行
グレーティング: 2400lines/mm
分光器アパーチャ: 25μmピンホール
測定範囲:90〜1300 cm−1
露光時間: 10秒
露光回数: 20
バックグラウンド露光回数: 20
測定回数:5
製造例1
(硫化リチウム(LiS)の製造)
撹拌機付きの500mLセパラブルフラスコに、不活性ガス下で乾燥したLiOH無水物(本荘ケミカル社製)を200g仕込んだ。窒素気流下にて昇温し、内部温度を200℃に保持した。窒素ガスを硫化水素ガス(住友精化)に切り替え、500mL/minの流量にし、LiOH無水物と硫化水素を反応させた。
反応により発生する水分はコンデンサーにより凝縮して回収した。反応を6時間行った時点で水が144mL回収された。さらに3時間反応を継続したが、水の発生は見られなかった。
生成物粉末を回収して、純度及びXRDを測定した。その結果、純度は98.5%であり、XRDではLiSのピークパターンが確認できた。
実施例1
製造例1で製造した硫化リチウム(純度98.5%)、五硫化二リン(サーモフォス社製、純度99.9%以上)及び塩化リチウム(シグマアルドリッチ社製、純度99%)を出発原料に用いた(以下、全ての実施例において、各出発原料の純度は同様である)。硫化リチウム(LiS)、五硫化二リン(P)、及び塩化リチウム(LiCl)のmol比(LiS:P:LiCl)が46.8:12.7:40.5となるように、各原料を混合した。具体的には、硫化リチウム0.483g、五硫化二リン0.632g、塩化リチウム0.385gを混合し、原料混合物とした。
原料混合物と、直径10mmのジルコニア製ボール30gとを遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)ジルコニア製ポット(45mL)に入れ、完全密閉した。ポット内はアルゴン雰囲気とした。遊星型ボールミルで回転数を370rpmにして15時間処理(メカニカルミリング)し、ガラス状の粉末(中間体)を得た。
実施例1の中間体のXRDパターンを図1に示す。遊星型ボールミルによる処理により、原料がガラス化したことを示すハローパターンが確認できる。原料の一部が残存しているものの大部分はガラスとなっていた。
上記中間体の粉末約1.5gをAr雰囲気下のグローブボックス内で、タンマン管(PT2,東京硝子機器株式会社製)内に詰め、石英ウールでタンマン管の口を塞ぎ、さらにSUS製の密閉容器で大気が入らないよう封をした。その後、密閉容器を電気炉(FUW243PA、アドバンテック社製)内に入れ熱処理した。具体的には、室温から500℃まで2.5℃/minで昇温し(3時間で500℃に昇温)、500℃で8時間保持した。その後、徐冷し、硫化物固体電解質を得た。
原料組成、製造条件及び評価結果を表1に示す。
硫化物固体電解質をICP分析し、各元素のモル比を測定した。結果を表2に示す。
得られた硫化物固体電解質のイオン伝導度(σ)は、7.4mS/cmであった。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
得られた硫化物固体電解質のXRDパターンを図2に示す。2θ=15.6、18.0、25.6,30.1、31.5、45.2、48,1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。また、2θ=14.4、29.2、33.8degに新規結晶構造に由来するピークが観測された。一方、LiPS結晶構造由来の回折ピークは観測されなかった。
得られた硫化物固体電解質の固体31P−NMR測定結果を図3に示す。81ppm付近にアルジロダイト構造に由来したピークと、108ppm付近に新規結晶構造に由来するピークが観測された。また、アルジロダイト構造に由来したピークをピーク分離した結果、LiPS構造に由来するピークは観察されなかった。
得られた硫化物固体電解質のラマン測定結果を図4に示す。430cm−1付近にアルジロダイト構造に由来したピークと、390cm−1付近に新規結晶構造に由来するピークが観測された。
実施例2
遊星型ボールミルによる処理時間を60時間とした他は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質を作製し、評価した。結果を表1及び2に示す。
XRDの測定結果、2θ=15.5、18.0、25.6、30.1、31.5、45.1、48.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。2θ=14.4、29.2、33.8degに新規結晶構造に由来するピークが観測された。一方、LiPS結晶構造由来の回折ピークは観測されなかった。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
得られた硫化物固体電解質の固体31P−NMR測定結果を図3に示す。81ppm付近にアルジロダイト構造に由来したピークと、108ppm付近に新規結晶構造に由来するピークが観測された。また、アルジロダイト構造に由来したピークをピーク分離した結果、LiPS構造に由来するピークは観察されなかった。
実施例3〜6、比較例1
原料組成及びメカニカルミリング条件及び熱処理条件を表1に示すように変更した他は、実施例2と同様にして硫化物固体電解質を作製した。
なお、実施例5の熱処理はAr流通下で実施した。具体的に、Ar雰囲気下のグローブボックス内で中間体をシール機能付きのガラス管内に詰め、大気が入らないように、ガラス管の先端を専用治具で封をした。その後、ガラス管を電気炉内にセットした。専用治具を電気炉内にある継手に差し入れて、ガス流通管に繋ぎ、Arを0.5L/minで流通しながら熱処理した。具体的には、室温から500℃まで3℃/minで昇温し、500℃で8時間保持した。その後、徐冷し、硫化物固体電解質を得た。
評価結果を表1及び2に示す。また、実施例3の硫化物固体電解質の固体31P−NMR測定結果を図3に示し、XRDパターンを図5に示す。比較例1の硫化物固体電解質のXRDパターンを図6に示す。
XRDの測定結果について、実施例3では、2θ=15.1、18.0、25.4、29.9、31.3、44.9、47.8degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。また、2θ=14.4、29.0、33.7degに新規結晶構造に由来するピークが観測された。一方、LiPS結晶構造に由来するピークは観測されなかった。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
実施例4〜6についても、2θ=25.2±0.5deg及び29.7±0.5degにそれぞれアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測され、且つ、2θ=14.4±0.5deg及び33.8±0.5degにそれぞれ新規結晶構造に由来するピークが観測された。
比較例1では、2θ=15.5、25.6、30.0、30.4、45.2、48.1degにアルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測された。一方、新規結晶構造に由来するピークは観測されなかった。また、2θ=17.6、18.2degにLiPS結晶構造に由来するピークが観測され、I/I=0.16であった(Iは2θ=17.6±0.4deg及び2θ=18.1±0.4degのうちアルジロダイト型結晶構造に起因する回折ピークではないものの回折ピークの強度を表し、Iは2θ=29.7±0.5degの回折ピークの強度を表す。)。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
比較例2
原料粉末の処理について、表1に示す原料を遊星型ボールミルで原料の結晶性を維持できる程度に混合し、混合粉末とした。
得られた混合粉末のXRDパターンを図7に示す。XRDパターンから、原料であるLiS、P、LiClのピークが確認でき、原料粉末の結晶性が維持されていた。
上記混合粉末の熱処理時に硫化水素を導入した。具体的に、Ar雰囲気下のグローブボックス内で、混合粉末約1.5gをシール機能付きのガラス管内に詰め、大気が入らないように、ガラス管の先端を専用治具で封をした。その後、ガラス管を電気炉内にセットした。専用治具を電気炉内にある継手に差し入れて、ガス流通管に繋ぎ、硫化水素を0.5L/minで流通しながら熱処理した。具体的には、室温から500℃まで3℃/minで昇温し、500℃で4時間保持した。その後、徐冷し、硫化物固体電解質を得た。
硫化物固体電解質の製造条件及び評価結果を表1及び2に示す。
Figure 0006936073
Figure 0006936073
実施例7
実施例1で用いた硫化リチウム、五硫化二リン及び塩化リチウムと、臭化リチウム(LiBr:シグマアルドリッチ社製、純度99%)を出発原料に用いた。mol比(LiS:P:LiCl:LiBr)が46.8:12.7:35.4:5.1となるように、各原料を混合した。具体的には、硫化リチウム0.476g、五硫化二リン0.594g、塩化リチウム0.332g、臭化リチウム0.097gを混合し、原料混合物とした。
原料混合物を変更した他は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質を作製した。
硫化物固体電解質のσは、9.8mS/cmであった。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
XRD測定の結果、アルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測され、新規結晶構造に由来するピークが観察された。ピーク強度比は、0.006であった。
ICP分析の結果、モル比a(Li/P)は、5.3、モル比b(S/P)は4.4、モル比c((Cl+Br)/P)は1.6であった。
実施例8
実施例7で用いた硫化リチウム、五硫化二リン、塩化リチウム及び臭化リチウムと、ヨウ化リチウムとを出発原料に用いた。mol比(LiS:P:LiCl:LiBr:LiI)が46.8:12.7:32.9:5.1:2.5となるように、各原料を混合した。具体的には、硫化リチウム0.460g、五硫化二リン0.575g、塩化リチウム0.298g、臭化リチウム0.094g、ヨウ化リチウム0.072gを混合し、原料混合物とした。
原料混合物を変更した他は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質を作製した。
硫化物固体電解質のσは、9.0mS/cmであった。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
XRD測定の結果、アルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測され、新規結晶構造に由来するピークが観察された。ピーク強度比は、0.009であった。
ICP分析の結果、モル比a(Li/P)は、5.3、モル比b(S/P)は4.4、モル比c((Cl+Br+I)/P)は1.6であった。
実施例9
実施例1で使用した用いた硫化リチウム、五硫化二リン及び塩化リチウムと、硫化ゲルマニウム(IV)(GeS:高純度科学研究所社製、純度99%)を出発原料に用いた。mol比(LiS:P:GeS:LiCl)が46.9:11.1:2.5:39.5となるように、各原料を混合した。具体的には、硫化リチウム0.487g、五硫化二リン0.558g、硫化ゲルマニウム(IV)0.076g、塩化リチウム0.378gを混合し、原料混合物とした。
原料混合物を変更した他は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質を作製した。
硫化物固体電解質のσは、7.2mS/cmであった。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
XRD測定の結果、アルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測され、新規結晶構造に由来するピークが観察された。ピーク強度比は、0.020であった。
ICP分析の結果、モル比a(Li/(P+Ge))は5.3、モル比b(S/(P+Ge))は4.3、モル比c(Cl/(P+Ge))は1.6であった。
実施例10
実施例1で使用した用いた硫化リチウム、五硫化二リン及び塩化リチウムと、二硫化珪素(SiS:高純度科学研究所社製)を出発原料に用いた。mol比(LiS:P:SiS:LiCl)が46.9:11.1:2.5:39.5となるように、各原料を混合した。具体的には、硫化リチウム0.495g、五硫化二リン0.567g、二硫化珪素0.052g、塩化リチウム0.385gを混合し、原料混合物とした。
原料混合物を変更した他は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質を作製した。
硫化物固体電解質のσは、7.1mS/cmであった。なお、電子伝導性は10−6S/cm未満であった。
XRD測定の結果、アルジロダイト型結晶構造に由来するピークが観測され、新規結晶構造に由来するピークが観察された。ピーク強度比は、0.021であった。
ICP分析の結果、モル比a(Li/(P+Si))は5.3、モル比b(S/(P+Si))は4.3、モル比c(Cl/(P+Si))は1.6であった。

Claims (16)

  1. リチウム、リン、硫黄及びハロゲン元素を含み、
    アルジロダイト型結晶構造を含み、
    CuKα線を使用した粉末X線回折測定において2θ=14.4±0.5deg及び33.8±0.5degに回折ピークを有する硫化物固体電解質。
  2. CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=25.2±0.5deg及び29.7±0.5degに回折ピークを有する、請求項1に記載の硫化物固体電解質。
  3. さらに、CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=29.1±0.5degの回折ピークを有する、請求項1に記載の硫化物固体電解質。
  4. さらに、CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=15.3±0.5deg、17.7±0.5deg、31.1±0.5deg、44.9±0.5deg及び47.7±0.5degの回折ピークの少なくとも1つを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
  5. 前記回折ピークの範囲が中央値の±0.3degである、請求項1〜4のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
  6. 前記ハロゲン元素が塩素又は臭素である請求項1〜5のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
  7. 硫黄を除くカルコゲン元素及びハロゲン元素からなる群より選択される1種以上の元素Xを含み、リチウムのリンに対するモル比a(Li/P)、硫黄のリンに対するモル比b(S/P)及び元素Xのリンに対するモル比c(X/P)が、下記式(A)〜(C)を満たす請求項1〜のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
    5.0≦a≦7.5 ・・・(A)
    6.5≦a+c≦7.5 ・・・(B)
    0.5≦a−b≦1.5 ・・・(C)
    (式中、b>0且つc>0を満たす。)
  8. 前記元素XがF、Cl、Br及びIから選択される1以上のハロゲン元素である、請求項に記載の硫化物固体電解質。
  9. 下記式(4)で表される組成を有する請求項1〜のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
    Li(P1−αα)S (4)
    (式(4)中、Mは、Si、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、As、Sb及びBiからなる群より選択される1以上の元素であり、Xは、F、Cl、Br、I、O、Se及びTeからなる群から選択される1以上の元素である。a〜cは下記式(1)〜(3)を満たす。αは0≦α≦0.3である。)
    5.0≦a≦7.5 ・・・(1)
    6.5≦a+c≦7.5 ・・・(2)
    0.5≦a−b≦1.5 ・・・(3)
    (式中、b>0且つc>0を満たす。)
  10. 前記XがF、Cl、Br及びIから選択される1以上のハロゲン元素である、請求項に記載の硫化物固体電解質。
  11. CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=17.6±0.4deg及び2θ=18.1±0.4degに回折ピーク(アルジロダイト型結晶構造に起因するピークではない)を有しないか、有する場合には下記式(5)を満たす、請求項1〜10のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
    0<I/I<0.1 (5)
    (式中、Iは2θ=17.6±0.4deg及び2θ=18.1±0.4degのうちアルジロダイト型結晶構造に起因する回折ピークではないものの回折ピークの強度を表し、Iは2θ=29.7±0.5degの回折ピークの強度を表す。)
  12. 固体31P−NMR測定において、110±5ppmにピークを有する請求項1〜11のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
  13. CuKα線を使用した粉末X線回折において、下記式(6)を満たす、請求項2〜12のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
    0<I/I<0.100・・・(6)
    (式中、Iは2θ=14.4±0.5degの回折ピークの強度を表し、Iは2θ=29.7±0.5degの回折ピークの強度を表す。)
  14. ラマン分光測定において380cm−1〜395cm−1の範囲内にピークを有する、請求項1〜13のいずれかに記載の硫化物固体電解質。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の硫化物固体電解質と、活物質を含む電極合材。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載の硫化物固体電解質及び請求項15に記載の電極合材のうち少なくとも1つを含むリチウムイオン電池。
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