JPWO2018139521A1 - 鋼矢板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼矢板の製造において、粗圧延工程の曲げ圧延段階に被圧延材の噛み込み端部における形状不良を抑制させ、歩留まりの向上やクロップの減少といった生産性の向上を図る。【解決手段】矩形断面の素材を圧下して鋼矢板を製造する製造方法であって、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を有し、前記粗圧延工程を行う圧延機には、前記素材の厚さ中心線長さを伸ばし、当該素材を矩形断面形状から略鋼矢板断面形状に圧延造形する曲げ圧延を行う孔型が設けられ、前記曲げ圧延においては、素材の噛み込み端部の所定区間に対する圧下量が、当該所定区間以外の部位に対する圧下量よりも小さいような圧延が行われる。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2017年1月27日に日本国に出願された特願2017−012994号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本発明は、例えばハット形鋼矢板、U形鋼矢板等の鋼矢板の製造方法に関する。
従来より、ハット形形状やU形形状といった両端に継手を有する鋼矢板の製造は孔型圧延法によって行われている。この孔型圧延法の一般的な工程としては、先ず加熱炉において所定の温度に加熱した素材を、孔型を備えた粗圧延機、中間圧延機及び仕上圧延機によって順に圧延することが知られている。
上述した一般的な孔型圧延法によれば、現状、国内で製造されている鋼矢板製品については、矩形断面の素材から製造することが可能である。具体的には、例えば壁幅1m当たりの断面二次モーメントが1.0(10cm/m)であり10H製品と呼ばれるハット形鋼矢板製品や、壁幅1m当たりの断面二次モーメントが2.5(10cm/m)であり25H製品と呼ばれるハット形鋼矢板製品は、従来より知られる一般的な孔型圧延法にて製造される。
矩形断面の素材から鋼矢板を製造する場合において、その圧延工程では被圧延材に種々の形状不良が生じることが知られており、その解決策が創案されている。例えば特許文献1には、圧延造形時に被圧延材の端部フランジに噛み出し形状が発生するのを抑制するために、噛み込み端部に強圧下を加えるといった技術が開示されている。また、特許文献2には、形鋼の製造において粗圧延前に被圧延材に先端部を形成することでクロップの発生を抑制する技術が開示されている。また、特許文献3には、クロップの低減を図るために、被圧延材の端部に予成形部形状を与える技術が開示されている。
特開昭55−50902号公報 特開平01−178301号公報 特開2006−192490号公報
鋼矢板は断面性能の観点から、ウェブ部に対してフランジ部の厚みが薄い形状が採られている。孔型圧延法を用いて矩形断面の素材から鋼矢板を製造する場合、矩形断面素材の段階ではウェブ部とフランジ部の厚みが等しく、ウェブ部とフランジ部との境界を形成させる曲げ圧延段階において、フランジ部をせん断変形させることで、ウェブ部とフランジ部との厚み比を製品の厚み比に近づけるといった手法が採られる。上記曲げ圧延を行う際に、被圧延材の噛み込み端部では、被圧延材中央部(定常部)が未変形であるために、せん断変形が起こりにくく、腕部のメタルがフランジ部に落ち込み、フランジ部の厚みが厚くなってしまう。厚みが厚くなったフランジ部においては、圧延後段での延伸が高くなり非定常部の成長に繋がる恐れがある。
また、噛み込み端部でフランジ部の厚みが厚くなることで、被圧延材の長手方向においてウェブ部とフランジ部の厚み比が異なってしまうため、長手方向において爪部の形状のばらつきが生じ、歩留まりの低下やクロップの拡大が懸念される。
更には、大きなスラブ幅の矩形断面素材を用いる場合、上記曲げ圧延の前にエッジング圧延を行うのが一般的であるが、当該エッジング圧延によるバルジング変形に伴い、曲げ圧延段階でのフランジ部の厚みの増大がより顕著となってしまう恐れがある。
なお、上記バルジング変形とは、図18に示すように、エッジング圧延において、矩形断面素材である被圧延材の幅方向端部に発生する膨らみ変形である。
上記特許文献1〜3に記載の技術では、上記曲げ圧延時に、被圧延材の噛み込み端部においてせん断変形が起こりにくく、フランジ部の厚みが厚くなってしまうことによる形状不良の発生については何ら想起されていない。なお、本明細書における「被圧延材の噛み込み端部」とは、被圧延材がロールに対し噛み込む際の圧延方向先端部を示し、最先端から所定の長さの区間が噛み込み端部として設定される。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、鋼矢板の製造において、粗圧延工程の曲げ圧延段階に被圧延材の噛み込み端部における形状不良を抑制させ、歩留まりの向上やクロップの減少といった生産性の向上を図ることが可能な鋼矢板の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、矩形断面の素材を圧下して鋼矢板を製造する製造方法であって、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を有し、前記粗圧延工程を行う圧延機には、前記素材の厚さ中心線長さを伸ばし、当該素材を矩形断面形状から略鋼矢板断面形状に圧延造形する曲げ圧延を行う孔型が設けられ、前記曲げ圧延においては、素材の噛み込み端部の所定区間に対して、当該所定区間に対する圧下量が当該所定区間以外の部位に対する圧下量よりも小さいような圧延である軽圧下圧延が行われることを特徴とする、鋼矢板の製造方法が提供される。
前記曲げ圧延は1パス又は複数パスのリバース圧延によって行われ、前記軽圧下圧延は、当該リバース圧延のうちの1パスまたは複数パスに適用されても良い。
前記曲げ圧延は複数パスで行われ、当該複数パスによる圧延は、素材のフランジ対応部が圧下されない前段階と、素材のフランジ対応部が圧下される後段階と、に分けられ、前記軽圧下圧延は、前記複数パスのうちの前段階でのパスに適用されても良い。
素材の噛み込み端部の所定区間は、当該素材長手方向の噛み込み端から0.75m以上の区間に設定されても良い。
矩形断面形状の素材として、複数の幅寸法を有する素材を用い、同一寸法の鋼矢板製品を製造しても良い。
前記鋼矢板はU形鋼矢板でも良い。
前記鋼矢板はハット形鋼矢板でも良い。
本発明によれば、鋼矢板の製造において、粗圧延工程の曲げ圧延段階に被圧延材の噛み込み端部における形状不良を抑制させ、歩留まりの向上やクロップの減少といった生産性の向上を図ることが可能となる。
本発明の実施の形態にかかる圧延ラインの概略説明図である。 第1孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第2孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第3孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第4孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第5孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第6孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第7孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第8孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第2孔型における曲げ圧延の概略説明図である。 曲げ圧延における噛み込み最先端からの距離と、肉削げ部分の肉削げ量との関係を示すグラフである。 噛み込み端部の軽圧下圧延に関する概略説明図である。 曲げ圧延を複数パスで行う場合のパスNo.と線長との関係を示すグラフである。 曲げ圧延を複数パスで行う場合のパスNo.と各パスでのフランジ圧下率を示すグラフである。 実施例1に係るグラフである。 実施例2に係るグラフである。 実施例3に係るグラフである。 バルジング変形に関する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、以下では、鋼矢板製品の一例としてハット形鋼矢板を製造する場合を例示して説明を行う。
また、本実施の形態では、説明の都合上、矩形断面を有する材料を素材Bと呼称し、素材Bを圧下して略ハット形断面形状とした被圧延材を被圧延材Aと呼称する。即ち、略ハット形断面形状にて圧延ラインL上を通材される鋼材を総称して被圧延材Aと呼称し、また、被圧延材Aの各部位については以下に記述する別途異なる呼称にて記載するものとする。ここで、被圧延材Aはハット形鋼矢板製品のウェブに対応するウェブ対応部3と、ウェブ対応部3の両端部それぞれに接続されるフランジ対応部4、5と、フランジ対応部4、5のそれぞれの先端に形成される腕対応部6、7と、腕対応部6、7の先端に形成される継手対応部8、9から構成されている。また、継手対応部8、9の先端には爪対応部8a、9aが形成されている。
図1は、本発明の実施の形態にかかる圧延設備であるハット形鋼矢板を製造する圧延ラインLと、圧延ラインLに備えられる圧延機についての説明図である。図1に示すように、圧延ラインLには、粗圧延機(BD)11、第1中間圧延機(R1)12、第2中間圧延機(R2)13、仕上圧延機(F)14が順に配置されている。圧延ラインLは複数のラインL1〜L3によって構成されており、ラインL1とラインL2が隣接し、ラインL2とラインL3が隣接している。それぞれのラインL1〜L3は、互いの一部が重なるようにして直列的に連結しており、被圧延材AはL1からL2、あるいはL2からL3に、その幅方向に平行移動して圧延ラインLを進む構成となっている。
また、図1に示すように、ラインL1には粗圧延機11が配置され、ラインL2には第1中間圧延機12が配置され、ラインL3には第2中間圧延機13及び仕上圧延機14が配置されている。各ラインL1〜L3にはそれぞれ別の被圧延材Aを載せて圧延を行うことが可能であり、圧延ラインL上において複数の被圧延材Aの圧延を同時に並行して実施することが可能な構成となっている。
図1に示す圧延ラインLにおいては、図示しない加熱炉において加熱された矩形断面形状の素材(素材B、後の被圧延材A)が粗圧延機11〜仕上圧延機14において順次圧延され、最終製品であるハット形鋼矢板となる。即ち、素材B(被圧延材A)に対して粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程をこの順に行うことで最終製品が製造される。
以下では、圧延ラインLに配置される粗圧延機11、第1中間圧延機12、第2中間圧延機13、仕上圧延機14(以下、粗圧延機11〜仕上圧延機14といったように複数の圧延機を略して記載する)に設けられる孔型の構成について、圧延ラインLの上流から順を追って図面を参照して簡単に説明する。なお、上記粗圧延機11、第1中間圧延機12、第2中間圧延機13、仕上圧延機14は従来から用いられている一般的な設備であるため、本明細書における以下の記述では孔型構成の説明に注視し、各圧延機の詳細な設備構成等についての説明は省略する。
また、図2〜図9を参照して以下に説明する孔型は、粗圧延機11〜仕上圧延機14の各圧延機に設けられるものであるが、以下に説明する各孔型をどの圧延機に設けるかは、通常は生産性(能率・歩留)や作業性を考慮した上で、設備状況や製品寸法等の条件によって適宜変更可能なものである。そこで、本実施の形態ではこれらの孔型を第1孔型K1〜第8孔型K8と呼称し、それぞれの孔型は圧延ラインL上流側から順に設けられていれば良いものとして説明する。なお、図3〜図9には、参考のためにそれぞれの孔型にて圧下・造形される素材B、被圧延材Aの形状を一点鎖線にて図示している。
但し、以下に説明する本実施の形態に係る第1孔型K1〜第8孔型K8の構成は、図示の形態に限られるものではなく、例えば、各種孔型の修正孔型の増減配列については設備状況や製品寸法等の条件に応じて適宜変更可能である。なお、以下に説明する第1孔型K1〜第8孔型K8においては、被圧延材の圧延造形は複数パスのリバース圧延(可逆圧延)にて行われることが好ましく、そのパス数は任意に設定可能である。
図2は、第1孔型K1の孔型形状についての概略的な説明図である。図2に示すように、第1孔型K1は上孔型ロール20aと下孔型ロール20bから構成されるボックス孔型であり、該ボックス孔型の孔底は所定のテーパー形状となっている。この第1孔型K1により、矩形断面形状の素材Bの幅方向端部の短辺部にテーパー形状を付与し、かつ長手方向均一な幅寸法にするために、図示しない矩形断面形状の素材Bを立てた状態(鋼矢板の幅方向を鉛直方向とした状態)で幅方向に軽く圧下(所謂エッジング圧延)が施される。なお、矩形断面形状の素材Bの幅方向端部にテーパー形状を付与するのは、後述する第2孔型K2の孔型形状に好適に噛み込ませ、所望の圧下を安定して行い、両端部に所望の肉量を有する爪を形成するためである。この図2に示す第1孔型K1はいわゆるエッジング圧延を行う孔型であり、この第1孔型K1は「エッジング孔型」と呼称される。
また、図3は、第2孔型K2の孔型形状についての概略的な説明図である。図3に示すように、第2孔型K2は突起ロールとしての上孔型ロール30aと、溝ロールとしての下孔型ロール30bから構成され、この第2孔型K2によって、上記第1孔型K1においてエッジング圧延された矩形断面形状の素材B(後の被圧延材A)全体に対して圧下が行われる。ここで、上記第1孔型K1における圧下では素材Bを立てた状態とされるが、その後、素材Bは90°あるいは270°回転させられ、第2孔型K2では素材Bの幅方向を水平方向とした状態(鋼矢板の幅方向を水平方向とした状態)で圧下が行われ、断面が矩形断面形状と略ハット形断面形状との間の中間形状とする圧延造形が行われる。本明細書では、この第2孔型K2における圧延造形を「曲げ圧延」とも記載する。
上孔型ロール30aは、素材Bのウェブ対応部3の上面に対向するウェブ対向部32と、フランジ対応部4、5の上面に対向するフランジ対向部34、35と、腕対応部6、7の上面に対向する腕対向部37、38から構成されている。
一方、下孔型ロール30bは、素材Bのウェブ対応部3の下面に対向するウェブ対向部42と、フランジ対応部4、5の下面に対向するフランジ対向部44、45と、腕対応部6、7の下面に対向する腕対向部47、48から構成されている。更に、フランジ対向部44、45は傾斜の異なる複数の部位から構成されており、ウェブ対向部42に接続する緩傾斜のフランジ対向部分44a、45aと、腕対向部47、48に接続する急傾斜のフランジ対向部分44b、45bから構成されている。
また、図4は、第3孔型K3の孔型形状についての概略的な説明図である。図4に示すように、第3孔型K3は突起ロールとしての上孔型ロール50aと、溝ロールとしての下孔型ロール50bから構成され、この第3孔型K3では、第2孔型K2において造形された素材B(後の被圧延材A)に対し更なる圧下が加えられ、断面形状が中間形状(矩形断面形状と略ハット形断面形状との中間形状)から略ハット形断面形状となるような圧下が素材B全体に対して行われる。
なお、ここで略ハット形断面形状とは、素材Bにおいてウェブに対応する部分(ウェブ対応部3)、フランジに対応する部分(フランジ対応部4、5)、腕に対応する部分(腕対応部6、7)それぞれの境界が明確である程度に圧下された断面形状を言い、必ずしも継手形状等の細かな形状まで成形された断面形状を示すものではない。
上孔型ロール50aは、素材Bのウェブ対応部3の上面に対向するウェブ対向部52と、フランジ対応部4、5の上面に対向するフランジ対向部54、55と、腕対応部6、7の上面に対向する腕対向部57、58から構成されている。
また、下孔型ロール50bは、素材Bのウェブ対応部3の下面に対向するウェブ対向部62と、フランジ対応部4、5の下面に対向するフランジ対向部64、65と、腕対応部6、7の下面に対向する腕対向部67、68から構成されている。
図5は、第4孔型K4の孔型形状についての概略的な説明図である。図5に示すように、第4孔型K4は突起ロールとしての上孔型ロール70aと溝ロールとしての下孔型ロール70bから構成され、この第4孔型K4によって爪対応部が形成されると共に、被圧延材A全体に対して厚み圧下ならびに成形(厚み延伸圧延)が行われ、よりハット形鋼矢板製品に近い形状とされる。
図6は、第5孔型K5の孔型形状についての概略的な説明図である。図6に示すように、第5孔型K5は突起ロールとしての上孔型ロール80aと溝ロールとしての下孔型ロール80bから構成され、この第5孔型K5によって被圧延材A全体に対して厚み圧下ならびに成形が行われる。具体的には、爪対応部8a、9aの高さ(図中、上下方向の高さh1)を調整して2つの爪対応部8a、9aの高さを揃える爪高さ成形と、被圧延材A全体の厚み圧下が同時に行われる。なお、この第5孔型K5のような爪対応部8a、9aの高さを揃える成形は爪成形工程と呼称され、爪成形工程を行う孔型は爪成形孔型と呼称される。
図7は、第6孔型K6の孔型形状についての概略的な説明図である。図7に示すように、第6孔型K6は突起ロールとしての上孔型ロール90aと溝ロールとしての下孔型ロール90bから構成され、この第6孔型K6によって被圧延材A全体に対して厚み圧下ならびに成形(厚み延伸圧延)が行われる。
図8は、第7孔型K7の孔型形状についての概略的な説明図である。図8に示すように、第7孔型K7は突起ロールとしての上孔型ロール100aと溝ロールとしての下孔型ロール100bから構成され、この第7孔型K7によって被圧延材A全体に対して厚み圧下ならびに成形が行われ、特に、爪対応部8a、9aの高さ(図中、上下方向の高さh2)を調整して2つの爪対応部8a、9aの高さを揃える爪高さ成形が行われる。但し、第7孔型K7では、被圧延材A全体の厚み圧下を積極的に行う第6孔型K6に比べ厚み圧下量は小さい。
図9は、第8孔型K8の孔型形状についての概略的な説明図である。図9に示すように、第8孔型K8は突起ロールとしての上孔型ロール110aと溝ロールとしての下孔型ロール110bから構成され、この第8孔型K8では、被圧延材Aの継手対応部8、9の曲げ成形と、軽度の圧延による被圧延材A全体の整形が行われる。具体的には、爪対応部8a、9aを含む継手対応部8、9全体を製品の継手形状となるように曲げる継手成形が行われる。これにより、第8孔型K8では、ハット形鋼矢板製品の形状まで被圧延材Aが成形されることとなる。なお、この第8孔型K8のような継手対応部8、9全体を曲げ成形する孔型は仕上孔型と呼称される。
以上、図2〜図9を参照して第1孔型K1〜第8孔型K8の孔型形状とその機能について説明した。上述したように、ハット形鋼矢板の孔型圧延法は粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程からなり、例えば第1孔型K1〜第7孔型K7までの孔型において粗圧延工程及び中間圧延工程が順次行われ、第8孔型K8において仕上圧延工程が行われる。ここで、第4孔型K4〜第8孔型K8の孔型形状はいずれも略ハット形断面形状であるが、後段の孔型へいくほど製品形状に近い形状にて設けられている。即ち、最終工程である仕上圧延が行われる第8孔型K8の形状は、略ハット形鋼矢板製品形状となる。
なお、本実施の形態では、圧延ラインLには、粗圧延機(BD)11、第1中間圧延機(R1)12、第2中間圧延機(R2)13、仕上圧延機(F)14が順に配置されているものとしているが、上記第1孔型K1〜第8孔型K8は各圧延機に任意の構成にて分散して設けられる。一例としては、粗圧延機11に第1孔型K1〜第3孔型K3が設けられ、第1中間圧延機12に第4孔型K4及び第5孔型K5が設けられ、第2中間圧延機13に第6孔型K6及び第7孔型K7が設けられ、仕上圧延機14に第8孔型K8が設けられるといった構成が挙げられる。ただし、本発明における孔型構成はこのような構成に限定されるものではない。
本発明者らは、従来、矩形断面形状の素材Bから略ハット形断面形状を造形するための粗圧延工程の上記第2孔型K2での造形工程において、以下の1)〜3)で説明するような問題点があることを見出し、その問題点を解消するための技術について鋭意検討を行った。
1)第2孔型K2において矩形断面素材(素材B)を圧延造形する際、造形前の素材Bの厚みはウェブ部とフランジ部で等しい厚みであり、ウェブ部とフランジ部との厚み比を製品厚み比に近づけるような圧延造形がせん断変形を主体として行われる。この時、被圧延材長手方向の中央近傍(いわゆる定常部)が未変形であるために、噛み込み端部ではせん断変形が起こりにくく、フランジ部の厚みが厚くなってしまう。フランジ部の厚みが厚くなってしまうことで、後段の圧延でのフランジ延伸が高くなり、非定常部(いわゆるクロップ)の成長が懸念される。
2)曲げ圧延においてフランジ部の厚みが厚くなり、被圧延材の長手方向でウェブ部とフランジ部との厚み比が異なるような性状となってしまうために、被圧延材の長手方向における爪部(爪対応部8a、9a)の形状にばらつきが生じてしまう恐れがある。
3)矩形断面の素材Bとして、従来よりも素材幅(いわゆるスラブ幅)の大きな素材を用いる場合、エッジング圧延(上述した第1孔型K1による圧延)時に被圧延材がバルジング変形するため、曲げ圧延時のせん断変形が更に阻害され、フランジ部の厚みが厚くなるといった形状不良がより顕著となってしまう恐れがある。即ち、従来よりも素材幅の大きな素材を用いることが困難であり、許容される素材寸法が制限されてしまう。
ここで、上記問題点1)〜3)について図面を参照して説明する。図10は第2孔型K2における曲げ圧延の概略説明図であり、(a)〜(d)は複数パスで行われる曲げ圧延の過程を順に示したものである。
図10(a)に示すように、第1孔型K1でエッジング圧延された素材Bの上下面に対し、上孔型ロール30aと下孔型ロール30bが当接する。そして、図10(b)、(c)、(d)に示すように曲げ圧延が進行する。その際、図10(b)に示すフランジ対応部4、5が圧下されない段階(前段パス)と、図10(c)〜(d)に示すフランジ対応部4、5が圧下される段階(後段パス)とが存在する。
この曲げ圧延は、図10中の鎖線Oで示す素材Bの厚さ中心線Oの長さ(以下、単に線長とも記載)を伸ばす圧延であり、原則として、図10(a)〜(d)の後段にいくに従って、当該線長は伸びることが分かっている。図13は、曲げ圧延を複数パスで行う場合のパスNo.と当該線長との関係を示すグラフである。図13に示すように、曲げ圧延では、最初の数パス(例えば1〜5パス)において線長が伸びるような圧延が実施され、その後のパスでは線長はほぼ変動しないことが分かっている。このような場合に、上記問題点1)で説明したせん断変形の起こりにくくフランジ厚が厚くなってしまうといった現象は、線長が伸びる圧延において特に顕著に発現する。これは、線長が伸びる圧延の方が、噛み込み端部と未変形である被圧延材長手方向の中央近傍(いわゆる定常部)との形状差が大きいためである。
また、図14は、曲げ圧延を複数パスで行う場合のパスNo.と各パスでのフランジ圧下率を示すグラフである。図14に示すように、フランジ圧下率が0である(圧下されない)段階(例えば1〜2パス)と、フランジ圧下率が正の値である(圧下される)段階(例えば3パス以降)が存在している。このような場合に、上記問題点1)で説明したせん断変形の起こりにくくフランジ厚が厚くなってしまうといった現象は、フランジ圧下率が0である段階において特に顕著に発現する。これは、フランジ圧下が始まるという事が、線長を伸ばす圧延(曲げ成形)がほぼ終わったことを意味しており、フランジ圧下開始後には厚み圧下主体の圧延となっているからである。なお、フランジ圧下が開始されると、非定常部(フランジ先行量)の成長は被圧延材の尻抜け時が支配的となる。
図10に示す工程で行われる曲げ圧延に伴う被圧延材の圧延造形は主にせん断変形となることが知られているが、噛み込み端部では定常部が未変形であるためにせん断変形になりにくく、腕対応部6、7のメタルがフランジ対応部4、5に落ち込み、フランジ対応部4、5の厚みが厚くなってしまう。これに伴い、腕対応部6、7の側面には、図10(d)に示すような肉削げ部分6a、7aが形成されることになる。このような工程が噛み込み部に対して行われる際に、上記1)〜3)で説明したような問題点が発生する恐れがある。
図11は曲げ圧延における噛み込み最先端からの距離と、上述した肉削げ部分6a、7aの肉削げ量との関係を示すグラフである。なお、図11はいわゆる25H製品を圧延造形する場合の曲げ圧延におけるデータであり、肉削げ量は被圧延材の幅方向長さでもって測定した。また、図11では、被圧延材全長約10mの場合の噛み込み端からの距離が0〜5mの範囲について図示し、WS、DSは被圧延材(素材B)の幅方向両端をそれぞれ表している。
図11に示すように、噛み込み最先端からの距離に応じて肉削げ量はばらついており、上記2)で説明したように被圧延材の長手方向において爪部(爪対応部8a、9a)の形状にばらつきが生じていることが分かる。即ち、爪部形状のばらつきにより歩留まりの低下やクロップの拡大が懸念されることが図11のデータからも分かる。
以上、図10、図11を参照して説明した上記問題点1)〜3)に鑑み、本発明者らは、被圧延材の噛み込み端部において形状不良が顕著である事を考慮し、曲げ圧延時の1部のパスあるいは全てのパスにおいて、上下孔型ロールのロール隙を好適なタイミングで定常部に対するロール隙と比べて開放し、噛み込み端部のみを軽圧下圧延とすることで噛み込み端部での形状不良の発生を抑制させる技術を創案した。
図12は、噛み込み端部の軽圧下圧延に関する概略説明図である。具体的には、第2孔型K2(上下孔型ロール30a、30b)での圧延造形でロール隙を開放し、噛み込み端部に対し軽圧下圧延を行う場合の説明図であり、側面から見た概略側面図である。なお、図12には説明のため、任意パスでの圧延造形前の素材B(図中左側)と、当該パスでの圧延造形開始直後(図中中央)と、当該パスでの圧延造形終了後(図中右側)を図示している。
図12に示すように、第2孔型K2において、造形開始時には定常部圧延時のロール隙と比べてロール隙を開放しておき、噛み込み端部の所定区間Pだけ素材Bが孔型ロールを通過した後に、ロール隙を絞り、定常部の圧延造形を行うことが望ましい。
このように実施される曲げ圧延では、噛み込み端部の所定区間Pについては定常部と比べて圧下量が少ない状態(即ち、軽圧下)で曲げ圧延が実施される。これにより、上記問題点1)〜3)として説明したような噛み込み端部での形状不良の発生を抑制させることができる。
ここで説明した曲げ圧延時の軽圧下は、曲げ圧延が複数パスで行われる場合の全パスに適用しても良く、一部パスに適用しても良い。また、可逆圧延(リバース圧延)時には、それぞれの各パスにおける被圧延材の噛み込み端部に対し軽圧下圧延を適用することで、形状不良の抑制が可能となる。軽圧下圧延を適用する際のパススケジュールの具体例については実施例において後述する。
また、所定区間Pとしては、被圧延材長手方向においていわゆる定常部と呼ばれる範囲を除く噛み込み端の範囲とすることが望ましいがその範囲は適宜任意に設定することができる。なおこの所定区間Pの具体例については実施例において後述する。
なお、以上説明した軽圧下圧延を実施するためには、第2孔型K2が設けられる圧延機において、孔型ロールのロール隙を変更させるための機構を備えた構成とすることが望ましい。当該機構としては、例えば油圧式の圧下機構が挙げられる。
以上説明した、本実施の形態に係る鋼矢板の製造方法によれば、噛み込み端の所定区間Pについては他の区間と比べて圧下量が少ない状態で曲げ圧延が実施される。これにより、噛み込み端部での形状不良の発生を抑制させ、歩留まりの向上やクロップの減少といった生産性の向上を図ることができる。
また、被圧延材の長手方向でウェブ部とフランジ部との厚み比が異なるような性状となってしまうのを抑制できることから、被圧延材の長手方向における爪部(爪対応部8a、9a)の形状にばらつきが生じるといった問題を解決し、爪部形状の均一化を図ることができる。
更には、従来よりも素材幅(いわゆるスラブ幅)の大きな素材を用い、エッジング圧延時に被圧延材がバルジング変形したとしても、曲げ圧延時のせん断変形が阻害されにくく、フランジ部の厚みが厚くなるといった形状不良が抑制されるため、従来よりも素材幅の大きな素材を用いることが可能となり、許容される素材寸法の拡大が図られる。例えば同一の鋼矢板製品を製造する場合であっても、複数種の幅寸法を有する矩形断面素材を使用して製造を行うことが可能となる。
なお、上述した曲げ圧延において軽圧下圧延を適用する技術は、曲げ圧延が複数パスで行われる場合の全パスに適用しても良く、一部パスに適用しても良い。複数パスでの曲げ圧延において素材Bをリバースさせる際には、それぞれの各パスにおける素材Bの噛み込み端に対し軽圧下圧延を適用することで、素材Bの長手方向両端部について形状不良の発生を抑制させることができる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態では、ハット形鋼矢板製品を製造する場合を例に挙げて図示・説明しているが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。具体的には、矩形断面素材を用いて製造される種々の鋼矢板製品の製造方法において、本発明を適用すれば、噛み込み端部の形状不良を抑制させることが可能である。但し、ハット形鋼矢板は大断面構造を特徴とする鋼矢板であり、その特徴上、略鋼矢板断面形状に曲げ圧延を行う第2孔型圧延後での形状において高さが高く、一般の鋼矢板と比べて線長の変形量が多い。そのため、特にハット形鋼矢板の製造において本発明技術は有用である。
また、上記実施の形態では、図3〜図10において一連の孔型列の突起ロールを上孔型ロールとし、溝ロールを下孔型ロールとして配置した構成、所謂U姿勢圧延でハット形鋼矢板の圧延を行う場合について図示・説明した。しかし、このような一連の孔型列の一部又は全部について、突起ロールを下孔型ロールとし、溝ロールを上孔型ロールとして配置した構成、所謂逆U姿勢圧延でハット形鋼矢板の圧延を行っても良い。
(実施例1)
本発明の実施例1として、壁幅1m当たりの断面二次モーメントが2.5(10cm/m)であるいわゆる25H製品と呼ばれるハット形鋼矢板を孔型圧延法によって製造する際に、上記実施の形態で説明した本発明に係る技術(所定区間での軽圧下圧延)を曲げ圧延時に適用した場合の、軽圧下圧延を適用する区間(上記所定区間P)の長さと、曲げ圧延後の噛み込み端での非定常部長さとの関係を測定した。なお、実施例1に係る曲げ圧延パススケジュールは以下の表1に示すものである。
Figure 2018139521
図15は、実施例1に係るグラフであり、軽圧下圧延を適用する区間の長さと、曲げ圧延後の噛み込み端での非定常部長さとの関係を示すものである。図15に示すように、軽圧下圧延の適用区間を0.75m以上とした場合には、第2孔型K2圧延後の非定常部長さが約175mm以下と低い水準に抑えられている。一方、軽圧下圧延の適用区間を0.75m未満とした場合には第2孔型K2圧延後の非定常部長さが増大し、当該区間が0.5mでは約200mm以上と大きくなっており、噛み込み端部において形状不良が生じる長さが増大していることが分かる。この測定結果から、軽圧下圧延の適用区間として被圧延材長手方向の噛み込み端から0.75m以上の区間を設定することで、有効に非定常部長さを抑えることができることが分かる。
(実施例2)
本発明の実施例2として、壁幅1m当たりの断面二次モーメントが2.5(10cm/m)であるいわゆる25H製品と呼ばれるハット形鋼矢板を孔型圧延法によって製造する際に、本発明技術を適用せず曲げ圧延を実施した場合の曲げ圧延後のウェブに対するフランジ先行量と、本発明に係る技術(所定区間(噛み込み端部から1m)での軽圧下圧延)を適用した場合の曲げ圧延後のウェブに対するフランジ先行量と、を測定し比較検討を行った。なお、実施例2に係る曲げ圧延のパススケジュールは以下の表2に示すものであり、表中の水準1が従来技術、水準2が本発明技術であり、本発明技術を適用する際には、曲げ圧延の1パス及び2パスで軽圧下圧延(噛み込み軽圧下の適用)を実施した。また、実施例2の測定では、矩形断面素材の幅(スラブ幅)を980mmから1150mmまで変化させ、それぞれの場合についてフランジ先行量を測定した。
ここで、フランジ先行量とは、曲げ圧延後に、被圧延材長手方向においてウェブ部よりもフランジ部が多く延伸した長さを示すものであり、フランジ先行量が多くなる程、非定常部(形状不良部)の増大につながる。
Figure 2018139521
図16は実施例2に係るグラフであり、矩形断面素材の幅(スラブ幅)を980mmから1150mmとし、それぞれの場合において表2のパススケジュールで曲げ圧延を行った際のフランジ先行量を示すグラフである。図16に示すように、ほぼ同一のスラブ幅の素材を用いた場合であっても、本発明技術を適用した場合、曲げ圧延後のフランジ先行量の削減が図られていることが分かる。例えば、スラブ幅1010mmの素材を用いた場合、及び、スラブ幅1070mmの素材を用いた場合のいずれにおいても、フランジ先行量を長さで約20%程度削減できていることが分かる。
また、図16からは、スラブ幅980mmの素材を用い、従来技術によって曲げ圧延をした場合のフランジ先行量と、スラブ幅1010mmの素材を用い、本発明技術を適用して曲げ圧延をした場合のフランジ先行量がほぼ同じ量(約80mm)となっていることが分かる。同様に、スラブ幅1020mmの素材を用い、従来技術によって曲げ圧延をした場合のフランジ先行量と、スラブ幅1070mmの素材を用い、本発明技術を適用して曲げ圧延をした場合のフランジ先行量がほぼ同じ量(約110mm)となっていることが分かる。即ち、本発明技術を適用することで、非定常部を成長させることなく、従来よりも素材幅の大きな素材を用いることが可能となり、許容される素材寸法の拡大が図れることが分かった。
(実施例3)
本発明の実施例3として、壁幅1m当たりの断面二次モーメントが2.5(10cm/m)であるいわゆる25H製品と呼ばれるハット形鋼矢板を孔型圧延法によって製造する際に、本発明技術を適用せず曲げ圧延を実施した場合の爪成形工程後の爪高さ及び爪孔幅と、本発明に係る技術(所定区間での軽圧下圧延)を適用した場合の爪成形工程後の爪高さ及び爪孔幅と、を測定し比較検討を行った。
図17は実施例3に係るグラフであり、(a)は従来技術での噛み込み端からの距離と第5孔型K5圧延後の爪高さとの関係、(b)は本発明技術を適用した場合の噛み込み端からの距離と第5孔型K5圧延後の爪高さとの関係、(c)は従来技術での噛み込み端からの距離と第8孔型K8圧延後(製品)の爪孔幅との関係、(d)は本発明を適用した場合の噛み込み端からの距離と第8孔型K8圧延後(製品)の爪孔幅との関係を示すグラフである。なお、図17(a)〜(d)の各グラフに示す噛み込み端からの距離としては、被圧延材全長35mの場合の噛み込み最先端からの距離が0〜10mの範囲について図示している。
図17(a)と(b)を比較すると、従来は第5孔型K5圧延後の段階で爪高さのばらつきが約4mm程度であったのに対し、本発明技術を適用することで、爪高さのばらつきが約1mm程度に改善していることが分かる。
また、図17(c)と(d)を比較すると、従来は製品の爪孔幅のばらつきが約2mm程度であったのに対し、本発明技術を適用することで、製品の爪孔幅のばらつきが約0.8mm程度に改善していることが分かる。
即ち、本発明技術を適用することで、爪成形工程後の爪部(爪対応部)の長手方向形状ばらつきが抑制されていることが分かる。
本発明は、例えばハット形鋼矢板、U形鋼矢板等の鋼矢板の製造方法に適用できる。
3…ウェブ対応部
4、5…フランジ対応部
6、7…腕対応部
8、9…継手対応部
8a、9a…爪対応部
11…粗圧延機
12…第1中間圧延機
13…第2中間圧延機
14…仕上圧延機
32、42…(第2孔型の)ウェブ対向部
34、35、44、45…(第2孔型の)フランジ対向部
37、38、47、48…(第2孔型の)腕対向部
52、62…(第3孔型の)ウェブ対向部
54、55、64、65…(第3孔型の)フランジ対向部
57、58、67、68…(第3孔型の)腕対向部
A…被圧延材
B…素材
O…(素材の)厚さ中心線
K1〜K8…第1孔型〜第8孔型
L(L1〜L3)…圧延ライン

Claims (7)

  1. 矩形断面の素材を圧下して鋼矢板を製造する製造方法であって、
    粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を有し、
    前記粗圧延工程を行う圧延機には、前記素材の厚さ中心線長さを伸ばし、当該素材を矩形断面形状から略鋼矢板断面形状に圧延造形する曲げ圧延を行う孔型が設けられ、
    前記曲げ圧延においては、素材の噛み込み端部の所定区間に対して、当該所定区間に対する圧下量が当該所定区間以外の部位に対する圧下量よりも小さいような圧延である軽圧下圧延が行われることを特徴とする、鋼矢板の製造方法。
  2. 前記曲げ圧延は1パス又は複数パスのリバース圧延によって行われ、
    前記軽圧下圧延は、当該リバース圧延のうちの1パスまたは複数パスに適用されることを特徴とする、請求項1に記載の鋼矢板の製造方法。
  3. 前記曲げ圧延は複数パスで行われ、
    当該複数パスによる圧延は、素材のフランジ対応部が圧下されない前段階と、素材のフランジ対応部が圧下される後段階と、に分けられ、
    前記軽圧下圧延は、前記複数パスのうちの前段階でのパスに適用されることを特徴とする、請求項1に記載の鋼矢板の製造方法。
  4. 素材の噛み込み端部の所定区間は、当該素材長手方向の噛み込み端から0.75m以上の区間に設定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼矢板の製造方法。
  5. 矩形断面形状の素材として、複数の幅寸法を有する素材を用い、同一寸法の鋼矢板製品を製造することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鋼矢板の製造方法。
  6. 前記鋼矢板はU形鋼矢板であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋼矢板の製造方法。
  7. 前記鋼矢板はハット形鋼矢板であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋼矢板の製造方法。
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