JP6447286B2 - H形鋼の製造方法及びh形鋼製品 - Google Patents

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本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法及びH形鋼製品に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
近年、建築構造物の大型化や海洋構造物への利用に伴い、従来に比べ大型のH形鋼製品の製造が求められており、特に、フランジ幅やフランジ厚を増した製品が望まれている。スラブ等の矩形断面素材を用いた製造工程において、フランジ幅及びフランジ厚を増やす技術としては、被圧延材の上下端面(スラブ端面)に割り込みを形成させて当該割り込みを押し広げる技術(所謂ウェッジ法)が知られている。
このうち、フランジ厚を増厚する技術については、例えば特許文献1に、被圧延材の上下端部(スラブ端面)の両側を拘束した状態で圧下を加えて割り込みを押し広げるエッジング圧延を行う技術が開示されている。この技術によれば、被圧延材の上下端部両側を拘束して圧下を行っているため、フランジ先端部に肉溜まりを生じさせ厚肉化を図ることが可能である。
また、例えば特許文献2には、被圧延材の上下端部(スラブ端面)を拘束せずに割り込みを形成させ、エッジング圧延を行うことで当該割り込みを押し広げる技術が開示されている。この技術によれば、エッジング圧延の圧下率に応じてフランジの増厚を図ることが可能である。
特開平7−88501号公報 特開平11−347601号公報
しかしながら、例えば上記特許文献1に開示されているように、被圧延材の上下端部(スラブ端面)の両側を拘束してエッジング圧延を行った場合、孔型において左右フランジ部の拡がりを完全に拘束した状態でエッジング圧延を行うため、被圧延材の長手方向への延伸が支配的となり、フランジ部の増厚の効率が低い。例えば、孔型条件を適正にして実施した場合でも、フランジ先端部から付け根までの厚みの平均値が素材スラブ厚の1/2以上となるような圧延は本技術では実施できない。
また、例えば上記特許文献2に開示されているように、被圧延材の上下端部(スラブ端面)を拘束せず、自由拡がりとして圧延を行った場合、フランジ幅は大きくなるものの、厚みはフランジ先端部が先細りとなるような形状となり、フランジ先端部の厚みが不足し、後段のプロセスで十分な成形ができず、大きな増厚が図られないことが懸念される。また、本発明者らの検討によれば、従来に比べ被圧延材の上下端部(スラブ端面)の左右の拘束を低くした場合であっても、同様にフランジ先端部が先細りとなり厚みが不足してしまうといった知見が得られている。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げるといった工程を行う際に、好適な条件にてスラブ等の素材の端面をエッジング圧延することによって従来に比べフランジ厚の大きなH形鋼製品を製造することが可能なH形鋼の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、前記複数の孔型のうち第2孔型では被圧延材の端面と当該端面に対向する孔型面とが接触した状態で少なくとも2パス以上圧下が行われ、前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる工程が行われ、第1孔型及び第2孔型に形成される前記突起部の先端角度は25°以上40°未満であることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
前記第2孔型においては、前記第1孔型での造形後に成形されたフランジ相当部の先端部厚みt1の最小値が、前記第1孔型での造形前の被圧延材の厚みSの1/2以上となるまで圧下が行われても良い。
前記第2孔型においては、前記突起部の傾斜面と、当該傾斜面に隣接し被圧延材の端面と対向する孔型面と、がなす角度が70°以上100°以下に構成されても良い。
前記複数の孔型のうち第3孔型以降では少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と当該端面に対向する孔型面とが接触した状態で、前記分割部位の厚みが保たれる軽圧下が行われても良い。
前記複数の孔型のうち、第3孔型以降の各孔型には、前記分割部位に押し当てることで当該分割部位を折り曲げる突起部が形成され、第2孔型以降の各孔型に形成される突起部の先端角度は、後段の孔型になるほど順次大きな角度となるように構成されても良い。
前記複数の孔型は、サイジングミル及び/又は粗圧延機に刻設されても良い。
また、本発明によれば、製品内法が1400mm以下のH形鋼製品であって、フランジ厚みが140mm以上であり、前記フランジ厚みがウェブ厚みの2倍以上であるH形鋼製品が提供される。
本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げるといった工程を行う際に、好適な条件にてスラブ等の素材の端面をエッジング圧延することによって従来に比べフランジ厚の大きなH形鋼製品を製造することが可能となる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第1孔型での被圧延材の概略断面図である。 第2孔型で被圧延材の上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行った場合(実施例)の造形結果を示す説明図である。 第2孔型被圧延材の上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させずに造形を行った場合(比較例)の造形結果を示す説明図である。 実施例と比較例のそれぞれの場合において、フランジ相当部の先端厚み(先端厚)、中央厚み(中央厚)、付け根厚み(付根厚)、をそれぞれ測定した結果を示すグラフである。 300mm厚のスラブを用いてウェブ厚が70mmである大型H形鋼を製造する場合の、フランジ厚と製品内法との関係を示すグラフである。 実施例の第3孔型(G3)での造形結果を示す説明図である。 比較例の第3孔型(G3)での造形結果を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aがサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(フランジ対応部12)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して複数パスのリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスのリバース圧延が行われ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。なお、通常、粗圧延機4には、以下に説明する第1孔型〜第4孔型に加え、それら孔型にて造形された被圧延材Aをいわゆるドッグボーン形状のH形粗形材13とする孔型が更に設けられているが、この孔型は従来より既知のものであるため本明細書での図示・説明は省略する。また、製造ラインTにおける加熱炉2や中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8、エッジャー圧延機9等は、従来よりH形鋼の製造に用いられている一般的な装置であり、その装置構成等は既知であるため本明細書では説明を省略する。
図2〜図5は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第4孔型の4つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型が4つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも4孔型である必要はなく、4以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2〜図5では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1a(以下、ウェッジ角度θ1aとも記載)とする。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度θ1aは例えば25°以上40°未満であることが望ましい。
ウェッジ角度の下限値は通常ロールの強度により決まる。被圧延材Aがロール(第2孔型K2では上孔型ロール30及び下孔型ロール31、第1孔型K1では上孔型ロール20及び下孔型ロール21)と接触し、その間に受ける熱によりロールが膨張し、被圧延材Aがロールから離れるとロールが冷却され収縮する。造形中はこれらのサイクルが繰り返されるが、ウェッジ角度が小さすぎると、突起部(第2孔型K2では突起部35、36、第1孔型K1では突起部25、26)の厚みが薄いために被圧延材Aからの入熱が当該突起部の左右から入りやすくなり、ロールがより高温になり易い。ロールが高温になると熱振れ幅が大きくなるためにヒートクラックが入り、ロール破損に至る恐れがある。このような理由によりウェッジ角度は25°以上であることが望ましい。
一方、ウェッジ角度が大きくなると、ウェッジ傾斜角が拡大するために、被圧延材Aに対して摩擦力による上下方向への押し下げ力が作用し易く、割り込み形成時にフランジ相当部の内面部において肉引けが生じ、特に第2孔型K2以降での造形においてフランジの生成効率が低下する。
以上のような理由から、突起部25、26の先端部角度θ1aは25°以上40°未満であることが望ましい。なお、以下に説明するウェッジ角度θ1bについても同様に25°以上40°未満であることが望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度θ1b(ウェッジ角度θ1b)は25°以上40°未満であることが望ましい。
なお、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するためには、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。また、突起部35、36の先端部角度は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じであることが圧延寸法精度上、好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに70°以上100°以下の角度(例えば80°)に構成されている。これは、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当する部位)は圧下に伴い孔型外側方向(図中の左右方向)に逃げる傾向があり、また、当該フランジ相当部の内側に欠肉が存在していることに起因する。即ち、上記θfが100°超の場合には、被圧延材Aの端面(スラブ端面)における圧下力がフランジ相当部を外側方向に曲げる方向に作用し、突起部35、36から離れるような変形となる。その結果、フランジ相当部の内側に欠肉部が形成されてしまう。また、上記θfが70°未満の場合には、被圧延材Aの端面(スラブ端面)の圧下量が外側にいく程大きくなり、フランジ相当部の先端が変形(いわゆるオーバーハング形状、図3一点鎖線参照)する。このような変形が生じると、第3孔型K3以降で造形された被圧延材Aを更にドッグボーン形状とする際に、平造形孔型で当該変形部(オーバーハング部位)をすり下げるといった造形不良が発生し、疵等の欠陥を引き起こしてしまう。
なお、幾何学的な寸法関係からは、上記θfは90°であることがフランジ相当部が製品フランジ形状(矩形断面形状)と一致するといった観点からは望ましいと考えられるが、フランジ相当部に圧下力が加わることにより、外側に倒れ込む傾向が実験結果から観察されており、θfはフランジ相当部の内側方向に圧下力がかかる約80°程度がより好ましい。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。なお、ここで形成される割り込み38、39の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
また、第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、この多パス造形においては、図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第2孔型K2の上面及び底面)が接触している状態で少なくとも2パス以上の造形(圧下)が行われる。即ち、孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)が接触した状態で2パス以上の圧下が行われる。これにより、被圧延材Aのフランジ相当部(後述するフランジ部80に相当する部位)の圧下が行われる。
即ち、フランジ厚の厚いH形鋼を製造する場合は、第2孔型K2での多パス造形においては、2パス以上であり、且つ、できるだけ多くのパスで被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行うといったパススケジュールを設定することが望ましい。
例えば素材となるスラブの厚みが250mm〜300mm程度で、且つ最終製品のフランジ片幅が200mm〜300mm程度である場合、フランジ相当部の先端部圧下量に比例してフランジ相当部(被圧延材A)の厚みは増厚する。そこで、第2孔型K2での被圧延材Aの圧下量は、以下の1)〜4)に示す手順によって設定される。
1)最終製品のフランジ片幅から第2孔型K2のウェッジ高さ(突出高さh2)が定まる。
2)最終製品のフランジ厚から、第2孔型K2を含む粗圧延工程終了後のフランジ相当部の目標厚みが定まる。
3)粗圧延工程におけるフランジ相当部の厚みから、必要な圧下量が決定される。
4)上記3)で決定された厚下量と上記1)で定められたウェッジ高さから素材のスラブ幅が決定される。
なお、フランジ相当部の先端部圧下量とフランジ相当部の増厚との関係における比例定数は、FEMやラボ実験等を通じてケースごとに評価する。
また、第1孔型K1において割り込み28、29が形成された後の被圧延材Aのスラブ先端部において、4箇所のフランジ相当部のフランジ先端厚をt1とし、スラブ厚をSとした場合に、第2孔型K2の圧下(上記少なくとも2パス以上の圧下)では、4箇所のフランジ相当部のフランジ先端厚t1の最小値がスラブ厚Sの1/2の寸法以上となるまで被圧延材Aの圧下が行われる。即ち、全てのフランジ相当部(4箇所)において以下の式(1)を満たすまで第2孔型K2での圧下は続けられる。
t1≧1/2・S ・・・(1)
図6は第1孔型K1での被圧延材Aの概略断面図であり、造形時の最終パスでの孔型の様子を一部拡大したものである。図6に示すようにフランジ相当部の先端厚t1及びスラブ厚Sは定義される。また、先端厚t1は、図示のスラブ先端部の厚みの平均値によって定められ、スラブ先端部とは、被圧延材Aの上下端部(スラブ端部)において割り込み28、29が形成された部位を指す。
ここで、第2孔型K2での多パス圧下において、上記式(1)に示す条件を満たすまで圧下が行われる必要がある理由を以下に説明する。フランジ先端厚t1は、本実施の形態に係る造形法において理想的な孔型で造形した場合、スラブ厚Sを2等分割することになり、スラブ厚Sの1/2に等しくなる。しかしながら、図6に示すように、第1孔型K1においては、孔型側壁がテーパー形状を有することや、ウェッジ(突起部25、26)に厚みがあることから、スラブ端部は上端(あるいは下端)に近づく程、薄くなってしまう。
最終製品であるH形鋼製品のフランジ厚は幅方向に一定の厚みを持つため、割り込み形成により2分割されたスラブ厚であるS/2にスラブ先端部の厚みをできるだけ近づけることが造形上望ましい。即ち、次工程孔型(即ち、第2孔型K2)にて、孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと被圧延材Aの上下端部の4箇所(スラブ端面)を積極的に接触させた状態で圧下を行うことで、第1孔型K1での造形において一旦薄くなったフランジ厚を増厚させ、第2孔型K2での造形時にフランジ厚分布を一定とし、2分割されたスラブ厚であるS/2以上とすることが望ましい。
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに70°以上100°以下の角度に構成されることが好ましい。
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(フランジ相当部、後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、図5に示す4箇所ともに70°以上100°以下の角度に構成されることが好ましい。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。なお、第4孔型K4の割り込み角度θ3は180°よりもやや小さい角度に設定されることが望ましい。これは、割り込み角度θ3を180°としてしまうと、次工程である平造形孔型においてウェブ厚の減厚を行う際に、フランジ部80の外側に拡がりが生じ、平造形孔型での圧延においてかみ出しが生じやすいからである。即ち、次工程の平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量に応じてフランジ部80の外側での拡がり量が決まるため、ここでの割り込み角度θ3は、平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量を勘案して好適に定められることが望ましい。
また、図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
以上説明した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aに対し、既知の孔型を用いて更に圧下・造形が行われ、いわゆるドッグボーン形状であるH形粗形材13が造形される。通常はこの後、スラブ厚に相当する部分を減厚する平造形孔型でウェブ厚が減厚される。その後、図1に示す中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスのリバース圧延が行われ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
上述したように、本実施の形態においては、第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形が行われる。ここで、特に第2孔型K2においては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第2孔型K2の上面及び底面)が接触している状態で2パス以上の造形(即ち、圧下)が行われる。
第2孔型K2の形状において、孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfが70°以上100°以下の角度に構成されていること、更にウェッジ角度θ1bが25°以上40°未満の範囲角度に構成されていること(図3参照)により、フランジ相当部(後のフランジ部80)に対し所定の圧下率でもって略垂直方向への圧下が行われる。これにより、フランジ相当部の増厚化が実現される。
更に、このような条件で第2孔型K2でのフランジ相当部(後のフランジ部80)の圧下が行われることで、従来の孔型圧延で生じていたフランジ先端部の先細り等が発生せず、均一にフランジ相当部の増厚化が図られる。
また、本実施の形態において、第1孔型K1、第3孔型K3〜第4孔型K4での造形では、当該造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(孔型の上面及び底面)が接触した状態で行われ、フランジ相当部には軽圧下が施される構成となっている。第3孔型K3〜第4孔型K4での圧下は軽圧下に留まるため、上述したように増厚化されたフランジ相当部は、その厚みを保った状態で後段の孔型まで送られる。その結果、フランジ部80の厚みが従来に比べ厚いH形粗形材13が造形され、結果としてフランジ厚が従来に比べ厚いH形鋼製品の製造が可能となる。
特に、上述したように、第2孔型K2での多パス圧下においては、上記式(1)に示す条件を満たすまで圧下が行われる。そして、第3孔型K3〜第4孔型K4での圧下が軽圧下に留まることで、最終的に製造されるH形鋼製品は、フランジ厚みがウェブ厚みの2倍以上(即ち、フランジ厚/ウェブ厚≧2)との条件を満たすものとなる。特に、例えばウェブ高さ700mm以上、且つ、フランジ幅350mm以上といった大型のH形鋼製品の製造においては、本実施の形態に説明した条件を満たすように各孔型での造形工程を実施することで、フランジ厚/ウェブ厚≧2である製品が製造される。即ち、本実施の形態に係る方法によれば、従来に比べウェブ厚に対してフランジ厚が厚いH形鋼製品を効率的に製造することが可能となる。
なお、本実施の形態で説明した第2孔型K2でのフランジ相当部の増厚化については、後述する実施例においても図面等を用いて具体例について説明する。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4の4つの孔型を刻設して被圧延材Aの造形を行うものとして説明したが、粗圧延工程を実施するための孔型数はこれに限られるものではない。即ち、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。
また、H形鋼を製造する際の素材(被圧延材A)としてはスラブを例示して説明したが、類似形状のその他素材についても本発明は当然適用可能である。
本発明にかかる実施例として、上記実施の形態で説明した第2孔型K2での被圧延材Aの造形において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行った場合(実施例)と、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させずに造形を行った場合(比較例)のフランジ相当部の形状変化について説明する。なお、実施例と比較例ではその他の造形条件等は全て同じものとした。
以下に示す表1は、素材として2300mm幅×300mm厚のスラブを用いた実施例ならびに比較例のパススケジュールであり、表中のGが孔型番号を示している。即ち、Gが2と記載されているものが第2孔型での造形工程である。また、表中のウェッジ先端幅とはウェッジ先端部における上下ロール隙(mm)を示すものである。なお、スラブ厚300mmである素材とは、スラブの厚みが厳密に300mmであるものを示すものではなく、例えばスラブ厚が290mm〜310mm程度の素材を示している。
図7は、表1のパススケジュールでもって第2孔型(G2)で被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行った場合(実施例)の造形結果を示す説明図である。一方、図8は、表1のパススケジュールでもって第2孔型(G2)で被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させずに造形を行った場合(比較例)の造形結果を示す説明図である。なお、図7、図8ともに被圧延材Aの一部(上半分)を例示して図示したものである。
図7に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行った場合(実施例)、左右のフランジ相当部はほぼ均一に増厚されており、先端部の先細り等の形状不良も発生していないことが分かる。また、フランジ先端厚t1はスラブ厚Sの1/2以上となっており、上記実施の形態で説明した式(1)を満たす結果となっていることが分かる。
一方、図8に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させずに造形を行った場合(比較例)、左右のフランジ相当部は不均一(非対称)に造形され、増厚量も上記実施例に比べ小さいことが分かる。また、フランジ先端厚t1はスラブ厚Sの1/2未満となっており、上記実施の形態で説明した式(1)を満たさない結果となっていることが分かる。
また、図9は、実施例と比較例のそれぞれの場合において、フランジ相当部の先端厚み、中央厚み、付け根厚み(図7、8参照)をそれぞれ測定した結果を示すグラフである。図9に示すように、比較例の場合は、先端厚みと中央厚み、及び、中央厚みと付け根厚みに大きな差異があり、厚み形状が一定ではないフランジ相当部が造形されていることが分かる。一方で、実施例の場合は先端厚み、中央厚み、付け根厚みに大きな差がなく、厚み形状が一定となるような均一な増厚が実現されていることが分かる。このことから、実施例と比較例では、実施例の方が左右のフランジ相当部の造形が均一に行われ、且つ増厚が効率的に行われていることが分かる。
また、比較例の場合は、フランジ先端厚が極端に薄く造形されており、スラブ厚/2=150mm未満となっている。一方、実施例の場合は、フランジ相当部の各部位とも、スラブ厚/2=150mm以上の厚みまで増厚しており、従来製造できなかったサイズのH形鋼製品の製造が可能となることが分かる。
300mm厚のスラブを用いた場合、第1孔型(G1)の割り込み圧延を行った直後のフランジ厚(フランジ対応部の厚み)は150mmである。そして、比較例においては、第2孔型(G2)での造形後のフランジ厚は先端厚と付根厚で差があり、約115mm〜約170mmとなる。一方、実施例においては、第2孔型(G2)での造形後のフランジ厚は各部の厚みがほぼ均一で約170mmとなる(図9参照)。
フランジ対応部の増厚の限界値は、スラブ幅とスラブ厚によって決まり、例えば最終製品の内法が1000mm程度の大型H形鋼の製造においては、第2孔型(G2)でのフランジ厚の増厚は約190mm程度が限界であることが実験的に分かっており、これを超える増厚は4箇所のフランジ対応部の不均一化や圧延安定性が損なわれることが分かっている。即ち、300mm厚スラブから第2孔型(G2)で造形される被圧延材の寸法は、最大でフランジ厚190mm、ウェブ厚(≒スラブ厚)300mmとなる。
第2孔型(G2)で造形された被圧延材は、その後第3孔型・第4孔型を経て、ウェブ減厚孔型(平孔型)や中間ユニバーサル圧延機において最終製品の厚みまで造形が行われる。ここで、中間ユニバーサル圧延機での圧延ではフランジとウェブの伸びをほぼ等しくさせる必要があることから、フランジとウェブの厚み比(フランジ厚/ウェブ厚)を大きく変えるような圧延は行うことができない。従って、粗圧延工程の段階にてフランジとウェブの厚み比を所定の製品の厚み比に造形しておく必要がある。ウェブ減厚孔型(平孔型)においてウェブ減厚を行う場合、全断面の延伸作用によってフランジ厚も薄くなるが、内法が1000mm程度の大型H形鋼の製造では、プルダウン率(フランジ幅減少量/ウェブ厚減少量)が1に近くなるところで圧延を終え、中間圧延工程に移ることが好ましいことから、ウェブ厚は約70mm程度とされることが好ましい。このウェブ減厚孔型での全断面延伸作用により、フランジ厚は約160mmとなる。
即ち、内法が1000mm程度の大型H形鋼を製造する場合に、本発明に係る技術を適用して造形を行うことで、粗圧延工程後(中間圧延工程前)の被圧延材のフランジ厚が160mm、ウェブ厚が70mmとなる。
製品内法が大きくなる程、ウェブ減厚孔型においてフランジが引き伸ばされるような圧延が行われるため、製品内法寸法とフランジ厚との間には相関関係がある。図10は、300mm厚のスラブを用いてウェブ厚が70mmである大型H形鋼を製造する場合の、フランジ厚と製品内法との関係を示すグラフである。なお、図10には、大型H形鋼製品として実用性がある内法が900mm〜1400mmの場合を図示している。
図10に示すように、製品内法1400mm以下であれば、フランジ厚みがウェブ厚みの2倍以上であるような大型H形鋼製品が製造される。これは、スラブ厚300mmの素材を用いた際に、上記実施の形態に係る製造方法によって式(1)を満たすように造形が実施されたことで、このような条件を満たすような製品が製造され、従来に比べウェブ厚に対してフランジ厚が厚い大型H形鋼製品が実現される。
また、図11は、表1のパススケジュールでもって第2孔型(G2)で被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行った場合(実施例)の第3孔型(G3)での造形結果を示す説明図である。一方、図12は、表1のパススケジュールでもって第2孔型(G2)で被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させずに造形を行った場合(比較例)の第3孔型(G3)での造形結果を示す説明図である。なお、図11、図12の断面図は、第3孔型における造形終了後(表中のパス12)の形状を示している。
図11に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させて圧下を行った場合(実施例)、割り込みを広げる造形を行った後でも左右のフランジ相当部はほぼ均一に増厚されたままであり、先端部の先細り等の形状不良も発生していないことが分かる。
一方、図12に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部を接触させずに造形を行った場合(比較例)、割り込みを広げる造形を行った後でも左右のフランジ相当部は不均一(非対称)に造形されたままである。
図11、図12に示すように、割り込みを広げる造形を行った後においても、実施例の方が左右のフランジ相当部の厚みが均一であり、且つ増厚が効率的に保たれていることが分かる。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法及びH形鋼製品に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
12…フランジ対応部
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
T…製造ライン
A…被圧延材

Claims (7)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、
    当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
    前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、
    前記複数の孔型のうち第2孔型では被圧延材の端面と当該端面に対向する孔型面とが接触した状態で少なくとも2パス以上圧下が行われ、
    前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる工程が行われ、
    第1孔型及び第2孔型に形成される前記突起部の先端角度は25°以上40°未満であることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
  2. 前記第2孔型においては、前記第1孔型での造形後に成形されたフランジ相当部の先端部厚みt1の最小値が、前記第1孔型での造形前の被圧延材の厚みSの1/2以上となるまで圧下が行われることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記第2孔型においては、前記突起部の傾斜面と、当該傾斜面に隣接し被圧延材の端面と対向する孔型面と、がなす角度が70°以上100°以下に構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。
  4. 前記複数の孔型のうち第3孔型以降では少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と当該端面に対向する孔型面とが接触した状態で、前記分割部位の厚みが保たれる軽圧下が行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  5. 前記複数の孔型のうち、第3孔型以降の各孔型には、前記分割部位に押し当てることで当該分割部位を折り曲げる突起部が形成され、
    第2孔型以降の各孔型に形成される突起部の先端角度は、後段の孔型になるほど順次大きな角度となるように構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  6. 前記複数の孔型は、サイジングミル及び/又は粗圧延機に刻設されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  7. 製品内法が1400mm以下のH形鋼製品であって、
    フランジ厚みが140mm以上であり、
    前記フランジ厚みがウェブ厚みの2倍以上であるH形鋼製品。
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