JP6642784B1 - ハット形鋼矢板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

矩形断面形状の素材(スラブ)を用いて大型のハット形鋼矢板を製造する場合に、粗造形段階で生じる腕部での肉量不足を抑制させ、良好な形状のハット形鋼矢板製品を製造する。矩形断面素材を圧下してハット形鋼矢板を製造する製造方法であって、前記矩形断面素材に対し幅方向に圧下を行うエッジング圧延と、当該エッジング圧延後の被圧延材の断面を略ハット形断面形状とする圧下を行う第1成形圧延と、を備え、前記エッジング圧延においては、前記矩形断面素材の厚みT1より大きな孔型底幅T3を有する拘束孔型であるエッジング孔型を用いて被圧延材の幅方向端部を増厚させドッグボーン形状とする圧下が行われる。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2018年8月8日に日本国に出願された特願2018−149325号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本発明は、矩形断面素材からハット形鋼矢板を製造する製造方法に関する。
従来より、ハット形、U形等の両端に継手を有する鋼矢板の製造は孔型圧延法によって行われている。この孔型圧延法の一般的な工程としては、先ず加熱炉において所定の温度に加熱した素材を、孔型を備えた粗圧延機、中間圧延機及び仕上圧延機によって順に圧延することが知られている。
上述した一般的な孔型圧延法によれば、現状、国内で製造されている鋼矢板製品については、矩形断面の素材から製造することが可能である。具体的には、例えば壁幅1m当たりの断面二次モーメントが1.0(10cm/m)であり10H製品と呼ばれるハット形鋼矢板製品や、壁幅1m当たりの断面二次モーメントが2.5(10cm/m)であり25H製品と呼ばれるハット形鋼矢板製品は、従来より知られる一般的な孔型圧延法にて製造される。
矩形断面素材やそれに類似した素材から鋼矢板を製造する技術として、種々の技術が創案されている。例えば、特許文献1には、H形鋼用のビームブランク素材を用いてU形鋼矢板を製造する技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、矩形スラブを素材として用い、当該素材をボックス孔型により好適な形状(所定の幅および厚み)とすることで次工程での噛み込みを安定化させるといった技術が開示されている。また、例えば、特許文献3には、矩形スラブを素材として用い、当該素材に対し、異形ボックス孔型を用いることで孔型拘束力を高め、噛み出し防止やセンタリング性向上等を図る技術が開示されている。
また、例えば、特許文献4には、有効幅の広い鋼矢板を製造するにあたり、鋼矢板の継手に突条を形成させるため、スラブ表面に局所膨らみを形成させるような幅圧下を行う技術が開示されている。また、例えば、特許文献5には、鋼矢板の製造において、被圧延材の端部での形状不良を抑制するような技術が開示されている。
特開平10−192905号公報 特開平9−182901号公報 特開平10−113707号公報 特開2005−144497号公報 国際公開公報WO2018/139521A1
近年、建築構造物の大型化や海洋構造物への利用に伴い、従来に比べ大型のハット形鋼矢板製品の製造が求められており、特に、全幅及び高さを従来に比べ大型化した製品が望まれている。本発明者らの検討によれば、矩形断面素材(以下、スラブとも呼称)からそのような大型のハット形鋼矢板を製造する場合には、種々の問題点があることが分かっている。
例えば、大型のハット形鋼矢板を製造する場合には、矩形断面素材も大型化させる必要があり、そのような大型の矩形断面素材を成形する際には、素材の大型化に起因し、被圧延材の断面の一部において肉量不足等の問題が生じ、所望の形状の製品が製造できない恐れがある。具体的には、曲げ変形時の変形量が大きくなることや、曲げ変形の起点となる曲げモーメントアームが拡大し、せん断変形よりも曲げ変形が優勢となることで、被圧延材の断面の一部に肉量不足(メタル不足)が生じる恐れがある。特に、矩形断面素材の端面部のメタルが中央部に引き込まれ、後にハット形鋼矢板の腕部となる部分のメタルが不足してしまう恐れがある。
なお、本明細書における「大型のハット形鋼矢板」とは、例えば、有効幅900mm、有効高さ300mmの製品寸法(いわゆる25H製品)を超える寸法の鋼矢板製品を指す。
このような問題点に関し、上記特許文献1に記載の技術では、腕部を有さないU形鋼矢板を対象としており、ドッグボーン形状の増厚された部分をフランジ部に変形させるといった構成を採っているため、腕部となる部分のメタル不足については何ら言及されていない。また、上記特許文献1に記載の技術では、そもそも、矩形断面形状の素材(スラブ)を用いて鋼矢板を製造するといった技術思想を採っておらず、上記のような矩形断面素材の端面部の肉量不足といった問題が発生する余地は無かった。
また、上記特許文献2に記載の技術では、被圧延材を上ロールの形状に合わせこむような造形を行い、孔型での噛み込み安定化を図っているが、腕部を有しないU形鋼矢板の製造に係る技術であるため、噛み込み時における上記のような矩形断面素材の端面部の肉量不足といった問題は言及されておらず、示唆すらされていない。
また、上記特許文献3に記載の技術では、ボックス孔型における孔型接触を面接触とし拘束力を高め、センタリング性の向上といった圧延安定性の向上を指向している。但し、この特許文献3においても、矩形断面素材の端面部の肉量不足といった問題は言及されていない。
また、上記特許文献4に記載の技術では、有効幅の広い鋼矢板を製造するにあたり、鋼矢板の継手に突条を形成させるため、スラブ表面に局所膨らみを形成させるような幅圧下を行う旨が開示されている。しかしながら、この特許文献4の技術は、突条の形成を目的とするものであり、上記のような矩形断面素材の端面部の肉量不足といった問題は言及されておらず、示唆すらされていない。
また、上記特許文献5に記載の技術では、鋼矢板の製造における粗圧延工程で噛み込み端部の形状不良を抑制させ、生産性を向上させる技術が開示されている。特許文献5では、エッジング圧延におけるスラブのバルジング変形について言及されているが、当該バルジング変形は噛み込み端部での形状不良を促進させる要因であると説明されており、当然、矩形断面素材の端面部の肉量不足に関する問題やその解決手段については何ら言及されていない。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、矩形断面形状の素材(スラブ)を用いて大型のハット形鋼矢板を製造する場合に、粗造形段階で生じる腕部での肉量不足を抑制させ、良好な形状のハット形鋼矢板製品を製造することが可能な技術を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、矩形断面素材を圧下してハット形鋼矢板を製造する製造方法であって、前記矩形断面素材に対し幅方向に圧下を行うエッジング圧延と、当該エッジング圧延後の被圧延材の断面を略ハット形断面形状とする圧下を行う第1成形圧延と、を備え、前記エッジング圧延においては、前記矩形断面素材の厚みT1より大きな孔型底幅T3を有する拘束孔型であるエッジング孔型を用いて被圧延材の幅方向端部を増厚させドッグボーン形状とする圧下が行われることを特徴とする、ハット形鋼矢板の製造方法が提供される。
前記エッジング圧延では、前記矩形断面素材の幅方向において増厚させる範囲Waを、前記第1成形圧延での被圧延材の腕に対応する部分の幅Wbの一部又は全部に対応する範囲としても良い。
前記エッジング圧延では、前記矩形断面素材の幅方向において増厚させる範囲Waは、厚みが前記エッジング孔型の孔型底幅T3よりも厚い部分で規定され、前記矩形断面素材の幅方向において増厚させる範囲Waと、前記第1成形圧延での被圧延材の腕に対応する部分の幅Wbとの関係はWa≦Wbを満たしても良い。
本発明によれば、矩形断面形状の素材(スラブ)を用いて大型のハット形鋼矢板を製造する場合に、粗造形段階で生じる腕部での肉量不足を抑制させ、良好な形状のハット形鋼矢板製品を製造することができる。
本発明の実施の形態にかかる圧延ラインの概略説明図である。 第1孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第2孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第3孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第4孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第5孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第6孔型の孔型形状についての概略的な説明図である。 第2孔型(第1成形孔型)における素材に対する押し下げ高さHと曲げ変形モーメントアームLを示す概略説明図である。 第2孔型(第1成形孔型)における素材の圧下の様子を示す概略説明図である。 図9の一部拡大図である。 第2孔型(第1成形孔型)における素材の圧延造形を複数パスで行った場合の、素材の上面全幅t1と、全幅最大t2の変化をFEM解析により数値化したグラフである。 素材に対しエッジング圧延を行い幅方向端部の増厚を行った場合の概略図である。 本発明に係るエッジング圧延時の素材幅方向端部の増厚を施した場合の第2孔型(第1成形孔型)での圧延造形時断面と、従来の矩形断面のままの素材の第2孔型(第1成形孔型)での圧延造形時断面を比較した概略説明図である。 第2孔型(第1成形孔型)での圧延造形完了時の被圧延材断面形状を比較する概略図である。 第2孔型(第1成形孔型)の幅よりも広幅なスラブに対しエッジング圧延を行い素材幅方向端部の増厚を施した後に、第2孔型K2(第1成形孔型)における素材の圧延造形を複数パスで行った場合の、素材の上面全幅t1と、全幅最大t2の変化をFEM解析により数値化したグラフである。 噛み出しに関する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、本実施の形態では鋼矢板製品の製造に関し、ハット形鋼矢板を上開きの状態(いわゆるU字姿勢)で圧延造形する場合を図示して説明する。
また、本実施の形態では、説明の都合上、矩形断面を有する材料(いわゆるスラブ)を素材Bと呼称し、素材Bを圧下して略ハット形断面形状とした被圧延材を被圧延材Aと呼称する。即ち、略ハット形断面形状にて圧延ラインS上を通材される鋼材を総称して被圧延材Aと呼称し、また、被圧延材Aの各部位については以下に記述する別途異なる呼称にて記載するものとする。ここで、本明細書では、矩形断面の素材Bにおいて、当該矩形断面の長辺方向を幅方向とし、短辺方向を厚み方向とする。また、被圧延材Aはハット形鋼矢板製品のウェブに対応するウェブ対応部3と、ウェブ対応部3の両端部それぞれに接続されるフランジ対応部4、5と、フランジ対応部4、5のそれぞれの先端に形成される腕対応部6、7と、腕対応部6、7の先端に形成される継手対応部8、9から構成されている。
(製造ラインの概略)
図1は、本発明の実施の形態にかかる圧延設備であるハット形鋼矢板を製造する圧延ラインSと、圧延ラインSに備えられる圧延機についての説明図である。図1に示すように、圧延ラインSには、粗圧延機(BD)11、中間圧延機(R)12、仕上圧延機(F)14が順に配置されている。圧延ラインSは複数のラインS1〜S3によって構成されており、ラインS1とラインS2が隣接し、ラインS2とラインS3が隣接している。それぞれのラインS1〜S3は、互いの一部が重なるようにして直列的に連結しており、被圧延材AはS1からS2、あるいはS2からS3に、その幅方向に平行移動して圧延ラインSを進む構成となっている。
また、図1に示すように、ラインS1には粗圧延機11が配置され、ラインS2には中間圧延機12が配置され、ラインS3には仕上圧延機14が配置されている。各ラインS1〜S3にはそれぞれ別の被圧延材Aを載せて圧延を行うことが可能であり、圧延ラインS上において複数の被圧延材Aの圧延を同時に並行して実施することが可能な構成となっている。
図1に示す圧延ラインSにおいては、図示しない加熱炉において加熱された矩形断面形状の素材(素材B、後の被圧延材A)が粗圧延機11〜仕上圧延機14において順次圧延され、最終製品であるハット形鋼矢板となる。即ち、素材B(被圧延材A)に対して粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程をこの順に行うことで最終製品が製造される。
(各孔型構成の概略)
以下では、圧延ラインSに配置される粗圧延機11、中間圧延機12、仕上圧延機14(以下、粗圧延機11〜仕上圧延機14といったように複数の圧延機を略して記載する場合もある)に刻設される孔型の構成について、圧延ラインSの上流から順を追って図面を参照して簡単に説明する。なお、上記粗圧延機11、中間圧延機12、仕上圧延機14は、詳細な孔型の形状や構成を除き、従来から用いられている一般的な設備であるため、本明細書における以下の記述では孔型構成の説明に注視し、各圧延機の詳細な設備構成等についての説明は省略する。
また、図2〜図7を参照して以下に説明する孔型は、粗圧延機11〜仕上圧延機14の各圧延機に刻設されるものであるが、以下に説明する各孔型をどの圧延機に刻設するかは、通常は生産性(能率・歩留)や作業性を考慮した上で、設備状況や製品寸法等の条件によって適宜変更可能なものである。そこで、本実施の形態ではこれらの孔型を第1孔型K1〜第6孔型K6と呼称し、それぞれの孔型は圧延ラインS上流側から順に刻設されていれば良いものとして説明する。なお、図3〜図9には、参考のためにそれぞれの孔型にて圧下・造形される素材B、被圧延材Aの形状を一点鎖線にて図示している。
但し、以下に説明する本実施の形態に係る第1孔型K1〜第6孔型K6の構成は、図示の形態に限られるものではなく、例えば、各種孔型の修正孔型の増減配列については設備状況や製品寸法等の条件に応じて適宜変更可能である。なお、以下に説明する第1孔型K1〜第6孔型K6においては、被圧延材の圧延造形は各孔型共1パスでの造形が望ましいが、特に粗圧延工程では、噛み込み性や負荷特性の制約から、複数パスのリバース圧延(可逆圧延)にて行われても良く、そのパス数は圧延機特性等により任意に設定可能である。
図2は、第1孔型K1の孔型形状についての概略的な説明図である。図2に示すように、第1孔型K1は上孔型ロール20aと下孔型ロール20bから構成されるボックス孔型であり、該ボックス孔型の孔底は所定のテーパー形状となっている。この第1孔型K1により、矩形断面形状の素材Bの幅方向端部の短辺部にテーパー形状を付与し、かつ長手方向均一な幅寸法にするために、図示しない矩形断面形状の素材Bを立てた状態(鋼矢板の幅方向を鉛直方向とした状態)で幅方向に軽く圧下(所謂エッジング圧延)が施される。ここでの軽圧下は、素材Bの鋳造時の寸法バラツキ等を修正する程度の圧下量で行われる。なお、矩形断面形状の素材Bの幅方向端部にテーパー形状を付与するのは、後述する第2孔型K2の孔型形状に好適に噛み込ませ、所望の圧下を安定して行うためである。即ち、ここでの「テーパー形状」とは、図示しない素材Bの幅方向端部に対し、軽圧下により緩勾配形状を付与することができるような孔型底面の形状を指す。この図2に示す第1孔型K1はいわゆるエッジング圧延を行う孔型であり、この第1孔型K1は「エッジング孔型」と呼称される。
また、図3は、第2孔型K2の孔型形状についての概略的な説明図である。図3に示すように、第2孔型K2は突起ロールとしての上孔型ロール30aと、溝ロールとしての下孔型ロール30bから構成される。この第2孔型K2によって、上記第1孔型K1においてエッジング圧延された矩形断面形状の素材B(後の被圧延材A)全体に対して圧下が行われる。ここで、上記第1孔型K1における圧下では素材Bを立てた状態とされるが、その後、素材Bは90°あるいは270°回転させられ、第2孔型K2では素材Bの幅方向を水平方向とした状態(鋼矢板の幅方向を水平方向とした状態)で圧下が行われ、断面を矩形断面形状から略ハット形断面形状とする圧延造形が行われる。なお、本明細書では、この第2孔型K2を第1成形圧延を行う「第1成形孔型」とも呼称する。ここで略ハット形断面形状とは、素材Bにおいてウェブに対応する部分(ウェブ対応部3)、フランジに対応する部分(フランジ対応部4、5)、腕に対応する部分(腕対応部6、7)それぞれの境界が明確である程度に圧下された断面形状を言い、必ずしも継手形状等の細かな形状まで成形された断面形状を示すものではない。
上孔型ロール30aは、素材Bのウェブ対応部3の上面に対向するウェブ対向部32と、フランジ対応部4、5の上面に対向するフランジ対向部34、35と、腕対応部6、7の上面に対向する腕対向部37、38から構成されている。
一方、下孔型ロール30bは、素材Bのウェブ対応部3の下面に対向するウェブ対向部42と、フランジ対応部4、5の下面に対向するフランジ対向部44、45と、腕対応部6、7の下面に対向する腕対向部47、48から構成されている。
また、図4は、第3孔型K3の孔型形状についての概略的な説明図である。図4に示すように、第3孔型K3は突起ロールとしての上孔型ロール50aと、溝ロールとしての下孔型ロール50bから構成される。この第3孔型K3では、第2孔型K2において造形された被圧延材Aに対し更なる圧下が加えられ、併せて継手形状が概略的に形成され、断面形状が略ハット形断面形状から継手部を形成した略ハット形断面形状となるような圧下が被圧延材A全体に対して行われる。本明細書では、この第3孔型K3を第2成形圧延を行う「第2成形孔型」とも呼称する。
上孔型ロール50aは、被圧延材Aのウェブ対応部3の上面に対向するウェブ対向部52と、フランジ対応部4、5の上面に対向するフランジ対向部54、55と、腕対応部6、7の上面に対向する腕対向部57、58から構成されている。
また、下孔型ロール50bは、被圧延材Aのウェブ対応部3の下面に対向するウェブ対向部62と、フランジ対応部4、5の下面に対向するフランジ対向部64、65と、腕対応部6、7の下面に対向する腕対向部67、68から構成されている。
図5は、第4孔型K4の孔型形状についての概略的な説明図である。図5に示すように、第4孔型K4は突起ロールとしての上孔型ロール70aと溝ロールとしての下孔型ロール70bから構成される。この第4孔型K4によって継手形状の更なる成型が行われると共に、被圧延材A全体に対して厚み圧下ならびに成形(厚み延伸圧延)が行われ、よりハット形鋼矢板製品に近い形状とされる。
図6は、第5孔型K5の孔型形状についての概略的な説明図である。図6に示すように、第5孔型K5は突起ロールとしての上孔型ロール100aと溝ロールとしての下孔型ロール100bから構成される。この第5孔型K5では、板厚が最終製品相当まで圧下され、実質的な製品板厚を決定する圧延が行われる。また、継手対応部8、9の形状(以下、継手形状)に関しても、継手板厚を決定する圧延が行われ、これにより継手形状を含む最終製品形状がほぼ決定される。より詳細には、第5孔型K5では継手形状の板厚決定が行われ、後述の第6孔型K6では継手対応部8、9の曲げ成形が行われる。なお、第5孔型K5では、被圧延材A全体の厚み圧下を積極的に行う第4孔型K4に比べ厚み圧下量は小さい。
図7は、第6孔型K6の孔型形状についての概略的な説明図である。図7に示すように、第6孔型K6は突起ロールとしての上孔型ロール110aと溝ロールとしての下孔型ロール110bから構成され、この第6孔型K6では、被圧延材Aの継手対応部8、9の曲げ成形と、軽圧下圧延による被圧延材A全体の整形が行われる。具体的には、継手対応部8、9全体を製品の継手形状となるように曲げる継手成形が行われる。これにより、第6孔型K6では、ハット形鋼矢板製品の形状まで被圧延材Aが成形されることとなる。
以上、図2〜図7を参照して第1孔型K1〜第6孔型K6の孔型形状とその機能について説明した。上述したように、ハット形鋼矢板の孔型圧延法は粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程からなり、例えば第1孔型K1〜第5孔型K5までの孔型において粗圧延工程及び中間圧延工程が順次行われ、第6孔型K6において仕上圧延工程が行われる。ここで、第4孔型K4〜第6孔型K6の孔型形状はいずれも略ハット形断面形状であるが、後段の孔型へいくほど製品形状に近い形状にて刻設されている。即ち、最終工程である仕上圧延が行われる第6孔型K6の形状は、ハット形鋼矢板製品形状となる。
なお、本実施の形態では、圧延ラインSには、粗圧延機(BD)11、中間圧延機(R)12、仕上圧延機(F)14が順に配置されているものとしているが、上記第1孔型K1〜第6孔型K6は各圧延機に任意の構成にて分散して刻設される。一例としては、粗圧延機11に第1孔型K1〜第3孔型K3が刻設され、中間圧延機12に第4孔型K4及び第5孔型K5が刻設され、仕上圧延機14に第6孔型K6が刻設されるといった構成が挙げられる。ただし、本発明における孔型構成はこのような構成に限定されるものではない。
(粗圧延工程における問題点)
本発明者らは、従来に比べ大型のハット形鋼矢板製品を矩形断面形状の素材Bから製造する際の粗圧延工程において、本実施の形態における第2孔型K2に相当する第1成形孔型での圧延造形に関し、以下に説明するような問題点があることを見出し、その問題点を解消するための技術について鋭意検討を行った。
なお、従来製造されていたハット形鋼矢板製品は、例えば有効幅900mm×有効高さ300mmといったいわゆる25H製品と呼ばれるサイズ以下の製品であった。これに対し、本発明者らは、大型ハット形鋼矢板製品として有効幅900mm×有効高さ300mmを超えるようなサイズの製品の製造を指向している。このようなサイズの製品を製造する際には、以下に説明するような問題点は極めて顕著であり、解決すべき課題として重要である。
第1に、製品の大型化に伴い、最終製品の高さが拡大することから、第2孔型K2(第1成形孔型)における圧延高さが拡大する。即ち、第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形において、素材Bに対する押し下げ高さHが拡大し、素材Bの曲げ変形量が大きくなる。
第2に、製品の大型化に伴い、最終製品の幅が拡大することから、第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形における曲げ変形のモーメントアームLが拡大する。このため、圧延造形時の変形が、せん断変形に対し曲げ変形が優勢であるような変形となる。
図8は、第2孔型K2(第1成形孔型)における素材Bに対する押し下げ高さHと曲げ変形モーメントアームLを示す概略説明図である。図8に示す押し下げ高さHとは、第2孔型K2(第1成形孔型)において、素材Bの形状を略ハット形断面形状とする圧延造形を行う場合に圧下する量を示しており、最終ハット形鋼矢板製品の高さが高くなるほど、この押し下げ高さHも拡大するといった傾向がある。
また、図8に示す曲げ変形モーメントアームLとは、第2孔型K2(第1成形孔型)において、素材Bの断面形状を矩形断面形状から略ハット形断面形状に成形する際に、フランジ相当部分を形成するために曲げ変形を行う際のモーメントアームであり、最終ハット形鋼矢板製品の幅が大きくなるほど、この曲げ変形モーメントアームLも拡大するといった傾向がある。
図9は、第2孔型K2(第1成形孔型)における素材Bの圧下の様子を示す概略説明図であり、圧下の様子を(a)〜(c)と段階的に図示している。また、素材Bの断面は一点鎖線にて図示し、その一部拡大図(図9中の破線部)を図10(a)〜(c)に図示している。図9に示すように、第2孔型K2(第1成形孔型)における圧延造形は主に3段階に分けて示すことができる。図9(a)〜(b)に示すように、第1段階では、上孔型ロール30aの最大径の周面のみが接触した状態で成形が行われ、この第1段階は、素材のフランジに対応する部分B1の厚み圧下が始まる前段階である。この第1段階では、素材Bの厚み圧下はなく、即ち、素材Bを折れ曲げる成形のみが行われる。
図9(b)に示すように、第2段階としては、上記第1段階終了後、素材のフランジに対応する部分B1の厚み圧下が開始されてから、素材の腕に対応する部分B2と素材のウェブに対応する部分B3の厚み圧下が始まる前段階までが示される。この第2段階では、腕に対応する部分B2の圧下前に、素材のフランジに対応する部分B1のみの厚み圧下が開始される。
図9(c)に示すように、第3段階は、上記第2段階終了後、素材B全体(B1〜B3)の厚み圧下(全面圧下)が行われる段階を示している。
上述した第1段階〜第3段階に分けて行われる圧延造形において、第1段階では、素材Bを厚み圧下せずに折れ曲げる成形のみが行われ、その際には素材Bの中央部近傍(ウェブに対応する部分B3)に上孔型ロール30aの周面が接触し、素材Bのその他の上面部分には上孔型ロール30aの周面は接触しないような構成となっている。即ち、第1段階では、素材B全体が非拘束の状態で成形が行われ、その中央部近傍の上面が上孔型ロール30aによって下方に向かって押圧されることから、素材の腕に対応する部分B2から、フランジに対応する部分B1やウェブに対応する部分B3に向かって引き込み現象が起こる。これにより、素材の腕に対応する部分B2の肉量が減少し、当該箇所B2における肉量不足といった事象が見受けられる。これにより、図9(b)に示すように、第2孔型K2(第1成形孔型)の両端部近傍には空隙部121、122が生じることとなる。このような空隙部121、122は、図9(c)に示す第3段階においても残存し、後段の圧延造形に悪影響を及ぼすことが分かっている。
図11(a)は、第2孔型K2(第1成形孔型)における素材Bの圧延造形を複数パスで行った場合の、素材Bの上面全幅t1と、全幅最大t2の変化をFEM解析により数値化したグラフである。また、図11(b)は「上面全幅」、「全幅最大」、「ウェブ隙」の説明図である。なお、図11(a)に示すグラフは、断面寸法が1930mm×300mmであるスラブ素材を用い、以下に示す表1に記載のパススケジュールでもって第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形を行った場合のものである。ここで、図11(b)に示すように、圧延造形時の素材Bの「上面全幅t1」は、上孔型ロール30aとの接触において決定される全幅の値、「全幅最大t2」は、下孔型ロール30bとの接触において決定される全幅の値として定義している。
Figure 0006642784
前提として、上面全幅t1と全幅最大t2の数値に差がなく、常に一致していることが理想的な変形状態であるといえる。しかしながら、図11(a)に示すように、第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形パスの進行に伴い、特に上面全幅t1が大きく変動しており、例えば最終パス(表1中の第16パス)では端部から約50mm程度の範囲において厚み不足が発生している。これは図9、10を参照して上述したように、圧延造形(成形)に伴い腕に対応する部分B2の肉量が減少し、肉量不足となっていることに起因する。
また、表1に示すパススケジュールにおいては、特に、フランジに対応する部分B1の厚み圧下が開始されるまでのパス(第1〜第4パス)において変動幅(減少幅)が大きい。これは、第1パス〜第4パスにおいては、素材Bの厚み圧下がなく、せん断変形に加え、曲げ変形が起こっている段階であるからである。
一方で、表1に示すパススケジュールの第8パス以降においては、素材の腕に対応する部分B2の厚み圧下により幅拡がりが発生し、上面全幅t1は増加に転じるが、最終パスにおいても肉量不足は完全に解消されずに第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形は終了している。
(問題点を解消するためのエッジング圧延とその作用効果)
以上、図9〜11を参照して説明したように、大型のハット形鋼矢板製品を製造するに際し、第2孔型K2(第1成形孔型)における圧延造形では腕に対応する部分B2の肉量不足が生じ、その結果、製品腕部における肉量不足に伴う製品形状不良を生じてしまう恐れがある。
そこで本発明者らは鋭意検討を行い、第2孔型K2(第1成形孔型)の孔型幅よりも広幅の矩形断面素材(スラブ)を用い、第2孔型K2(第1成形孔型)の前段階であるエッジング孔型(本実施の形態における第1孔型K1)で所定の条件下での圧延造形を行った後に、エッジング圧延造形後のドッグボーン形状の素材Bを第2孔型K2(第1成形孔型)において圧延造形することで、腕に対応する部分B2の肉量不足を解消することができるとの知見を得た。以下、本知見について図面等を参照して説明する。
なお、本明細書における「ドッグボーン形状」とは、矩形断面と比して幅方向両側端部の厚みが幅方向中央部に対して厚い形状に変形した状態を指し、いわゆるダブルバルジング変形した矩形断面素材をいう。
図12は、エッジング孔型において、第2孔型K2(第1成形孔型)よりも広幅な素材Bに対しエッジング圧延を行い、幅方向端部(図中の上下両端部)の増厚を行った場合の概略図である。図12(a)はいわゆるダブルバルジング変形したドッグボーン形状の被圧延材(素材B)の断面を図示したものであり、図12(b)はその一部断面を拡大したものである。具体的には、図示のように、スラブ厚みがT1であり、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅より広幅の素材Bに対し、孔型底面の幅(孔型底幅)T3がスラブ厚みT1よりも大きいような(即ち、T1<T3)拘束孔型をエッジング孔型として用いる。そして、このエッジング孔型において、素材Bの幅方向端部の最大厚みがT2となるようなエッジング圧延を施すことで、第2孔型K2(第1成形孔型)での腕に対応する部分B2の肉量不足を抑制させることができる。ここで、図12(b)に示すように、エッジング圧延後の素材Bの最大厚みT2は、スラブ厚みT1、孔型底幅T3の両方よりも大きい値とされる(T1<T3<T2)。
また、素材Bの幅方向(図12中の上下方向)において、スラブ厚T1よりも増厚させた範囲をWaと定義すると、エッジング圧延により、第2孔型K2(第1成形孔型)での腕に対応する部分B2の肉量不足を抑制させる一方で、肉量過多による孔型からのメタルはみ出し(いわゆる「噛み出し」)を防止するといった観点からは、上記範囲Waは、第2孔型K2(第1成形孔型)での素材の腕に対応する部分B2の幅Wb(図13に図示)の一部又は全部に対応する範囲とすることが好ましい。即ち、Wa≦Wbとの関係を満たすことが好ましい。これは、図9、10を参照して上述したように、第2孔型K2(第1成形孔型)における圧延造形を3段階に分けて考えた場合に、第1段階において、素材の腕に対応する部分B2から、フランジに対応する部分B1やウェブに対応する部分B3に向かって引き込み現象が起こることが分かっており、特にこの第1段階で素材の腕に対応する部分B2の肉量が減少し、当該箇所B2における肉量不足といった事象が生じることが分かっていることに起因する。
なお、上記T1、T2、T3といった値や、Wa、Wbといった範囲を測定あるいは規定する場合、第1孔型K1や第2孔型K2の孔型周面の、所定の曲率を有する各コーナー部において、当該コーナー部の両側部分に仮想線を引いた際の交点を基準に寸法の測定や規定を行えば良い。例えば図12(b)に示すように、エッジング孔型の孔型底幅T3を規定する場合や、増厚させる範囲Waを測定する場合には、当該エッジング孔型の側面と底面の延長仮想線の交点であるP1を基準とすれば良い。
ここで、スラブ厚みがT1であり第2孔型K2(第1成形孔型)より広幅の素材Bに対し、幅方向端部の最大厚みがT2(>T1)となるようなエッジング圧延を施す場合に、T2とT1が所定の関係性を有することが好ましい。そのT2とT1の好適な関係性は、図15を参照して後述する素材Bの上面全幅t1と、全幅最大t2の変化に基づき好適に定めることが望ましい。
図13は、本発明に係るエッジング圧延時の素材幅方向端部の増厚を施した場合の第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形時断面と、従来の矩形断面のままの素材の第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形時断面を比較した概略説明図であり、(a)が本発明適用時の断面、(b)が従来時の断面である。なお、この図13は、素材のフランジに対応する部分B1の厚み圧下が始まる際の断面であり、(a)と(b)は同じロール隙である状態を図示しており、説明の都合上、断面の一部のみを拡大している。
図13(b)に示すように、従来の第2孔型K2(第1成形孔型)の圧延造形では、フランジに対応する部分B1の圧下が開始した段階では腕に対応する部分B2の圧下は開始されていない。一方、図13(a)に示すように、本発明適用時の第2孔型K2(第1成形孔型)の圧延造形では、フランジに対応する部分B1の圧下が開始した段階とほぼ同一のタイミングで腕に対応する部分B2の圧下が開始され、以後の変形において腕厚圧下により上面全幅t1が増加に転じている。
図14は、第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形完了時の被圧延材断面形状を比較する概略図であり、ハッチング部分が本発明適用時の断面、破線で囲んだ箇所に示した実線が従来断面で肉量が不足している部分を示しており、特に被圧延材の腕に対応する部分B2近傍を拡大して図示している。図14に示すように、本発明を適用し、エッジング圧延時に素材幅方向端部の増厚を施した後、第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形を行うことで、腕に対応する部分B2の肉量不足が抑制・解消されていることが分かる(図14の破線囲み部参照)。
また、図15は、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅よりも広幅なスラブに対しエッジング圧延を行い素材幅方向端部の増厚を施した後に、第2孔型K2(第1成形孔型)における素材Bの圧延造形を複数パスで行った場合の、素材Bの上面全幅t1と、全幅最大t2の変化をFEM解析により数値化したグラフである。なお、図15には、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅よりも100mm広幅なスラブ(即ち、2030mm×300mm素材)に対してエッジング圧延を行った後に第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形を行った場合と、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅よりも50mm広幅なスラブ(即ち、1980mm×300mm素材)に対してエッジング圧延を行った後に第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形を行った場合のグラフを図示し、参考として本発明非適用(従来法)の場合のグラフ(図11のグラフと同様)も併せて図示している。また、圧延造形のパススケジュールは上記表1に記載のパススケジュールである。
図15に示すように、用いるスラブの幅を拡大し、エッジング圧延によるバルジングで腕に対応する部分を増厚した後に第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形を行った場合、腕に対応する部分が増厚したことで前段パス(例えば第1パス〜第5パス)ではメタルのフランジ側への引き込みを助長する変形となるが、図13等を参照して上述したように、腕に対応する部分の圧下開始が早まるために後段パス(例えば第6パス以降)での上面全幅t1の上昇(回復)が著しい傾向が読み取れる。特に、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅よりも100mm広幅なスラブに対してエッジング圧延を行った後に第2孔型K2(第1成形孔型)での圧延造形を行った場合には、最終パスにおいて全幅最大t2の値と一致した値まで上昇し、肉量不足の回復が実現されていることが分かる。
図15には、全16パスで圧延造形を行うスケジュールを記載しており(表1参照)、その最終パス(第16パス)での理想的な変形状態は、上面全幅t1と全幅最大t2が一致するような変形である(図14のハッチング部分参照)。
スラブ幅が過大であり、エッジング圧延時の圧下量が過剰である場合には、図16のように、孔型からメタルがはみ出す、いわゆる「噛み出し」が発生し、製品疵といった欠陥に繋がる恐れがある(図16中の破線部参照)。図15に示した第2孔型K2(第1成形孔型)の幅よりも100mm広幅なスラブを用いた条件では、最終パスにおいて全幅最大t2<上面全幅t1となっていることから肉量が過剰である。一方で、図15に示した第2孔型K2(第1成形孔型)の幅よりも50mm広幅なスラブを用いた条件では、最終パスにおいて全幅最大t2>上面全幅t1となっており、肉量不足となっている。このような検討結果から、理想的な変形状態を実現させるための適正スラブの寸法条件は、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅より50mm超100mm未満だけ広幅な条件であることが分かる。
なお、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅は最終のハット形鋼矢板製品の製品寸法(特に製品幅)に基づき算出すれば良く、例えば製品幅に継手部の厚み分と継手部の曲げ分を加えた幅長さとして定めても良い。
以上、図12〜図16を参照して説明したように、第2孔型K2(第1成形孔型)の幅よりも広幅なスラブに対しエッジング圧延を行い素材幅方向端部の増厚を施した後に第2孔型K2(第1成形孔型)における素材Bの圧延造形を行うといった方法を採ることで、大型のハット形鋼矢板製品を製造するに際し、第2孔型K2(第1成形孔型)における圧延造形で腕に対応する部分B2の肉量不足が生じ、その結果、製品腕部における肉量不足に伴う製品形状不良を生じてしまうといった問題が解消される。即ち、良好な形状のハット形鋼矢板製品を安定して製造することが可能となる。
その場合に、エッジング圧延において素材幅方向端部の増厚を施す際に、その増厚させる範囲Waを、第2孔型K2(第1成形孔型)での素材の腕に対応する部分B2の幅Wbよりも小さくすることが好ましい。Wa≦Wbとの関係を満たすことで、製品腕部における肉量不足を十分に解消できることが分かっている。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態においては、圧延機に刻設される孔型の構成として、粗圧延機11に第1孔型K1〜第3孔型K3が刻設され、中間圧延機12に第4孔型K4及び第5孔型K5が刻設され、仕上圧延機14に第6孔型K6が刻設されるといった構成を挙げたが、本発明における各圧延機での孔型の刻設は任意に定めることができる。
本発明は、矩形断面素材からハット形鋼矢板を製造する製造方法に適用できる。
3…ウェブ対応部
4、5…フランジ対応部
6、7…腕対応部
8、9…継手対応部
11…粗圧延機
12…中間圧延機
14…仕上圧延機
32、42…(第2孔型の)ウェブ対向部
34、35、44、45…(第2孔型の)フランジ対向部
37、38、47、48…(第2孔型の)腕対向部
A…被圧延材
B…素材
K1〜K6…第1孔型〜第6孔型
S(S1〜S3)…圧延ライン

Claims (3)

  1. 矩形断面素材を圧下してハット形鋼矢板を製造する製造方法であって、
    前記矩形断面素材に対し幅方向に圧下を行うエッジング圧延と、
    当該エッジング圧延後の被圧延材の断面を略ハット形断面形状とする圧下を行う第1成形圧延と、を備え、
    前記エッジング圧延においては、前記矩形断面素材の厚みT1より大きな孔型底幅T3を有する拘束孔型であるエッジング孔型を用いて被圧延材の幅方向端部を増厚させドッグボーン形状とする圧下が行われることを特徴とする、ハット形鋼矢板の製造方法。
  2. 前記エッジング圧延では、前記矩形断面素材の幅方向において増厚させる範囲Waを、前記第1成形圧延での被圧延材の腕に対応する部分の幅Wbの一部又は全部に対応する範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  3. 前記エッジング圧延では、前記矩形断面素材の幅方向において増厚させる範囲Waは、厚みが前記エッジング孔型の孔型底幅T3よりも厚い部分で規定され、
    前記矩形断面素材の幅方向において増厚させる範囲Waと、前記第1成形圧延での被圧延材の腕に対応する部分の幅Wbとの関係はWa≦Wbを満たすことを特徴とする、請求項2に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
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