JP2017205785A - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させると共に、その過程において素材幅を従来に比べて小さくし、突起部の形状を好適にすることで、従来に比べ圧延造形時のパス回数の低減を実現させる。【解決手段】矩形断面素材に対し粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、前記第2孔型における造形では、前記第1孔型において形成された割り込みの深さを深くする造形が行われ、前記第2孔型に形成される突起部の先端角度が25°以上40°以下であり、且つ、当該突起部の先端曲率半径は30mm以下に設計される。【選択図】図8

Description

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせエッジング圧延を行い、それ以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平7−88501号公報
近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれている。特にH形鋼の強度・剛性に大きく寄与するフランジを従来に比べて広幅化した製品が望まれている。フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造するためには、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形する必要がある。
しかしながら、例えば上記特許文献1に開示されている技術では、スラブ等の素材の端面(スラブ端面)に割り込みを入れ、当該端面をエッジングし、その幅拡がりを利用して粗圧延を行う方法において、フランジの広幅化に限界がある。即ち、従来の粗圧延方法においてフランジの広幅化を図るためにはウェッジ設計(割り込み角度の設計)、圧下調整、潤滑調整といった技術により幅拡がりの向上が図られるが、いずれの方法もフランジ幅に大幅に寄与するものではないため、エッジング量に対するフランジ幅の拡がり量の比率を示す幅拡がり率は、エッジングの初期段階の効率が最も高い条件でも0.8程度であり、同一孔型でエッジングを繰り返す条件では、フランジ幅の拡がり量が大きくなるにつれて低下し、最終的には0.5程度になることが知られている。また、スラブ等の素材自体を大型化し、エッジング量を大きくすることも考えられるが、粗圧延機の設備規模や圧下量等には装置限界があるため十分な製品フランジの広幅化が実現されないといった事情がある。
また、大型のH形鋼製品を製造するに際し、フランジ・ウェブ等の造形を行うために複数パスでの圧延造形が行われるが、そのパス回数は少ないことが望ましい。これは、大型のH形鋼製品の製造、特にフランジの広幅化を図るためにはスラブ幅の拡大が必要となるが、通常、スラブ幅が拡大されるとエッジング圧延におけるエッジング量が増え、1パス当たりの圧下量には限界があるためにパス回数が増大してしまうことが懸念されるからである。加えて、スラブ幅が拡大されると、素材におけるスラブ幅/スラブ厚比が大きくなり、エッジング圧延時に座屈現象が発生しやすく、1パス当たりの圧下量を減じてパス回数を増やすことで座屈を抑えることになるために、パス回数が増大してしまう恐れがある。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させると共に、その過程において素材幅を従来に比べて小さくし、突起部の形状を好適にすることで、従来に比べ圧延造形時のパス回数の低減を実現させ、フランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造することが可能なH形鋼の製造技術を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、矩形断面素材に対し前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、前記第2孔型における造形では、前記第1孔型において形成された割り込みの深さを深くする造形が行われ、前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる工程が行われ、前記第2孔型に形成される突起部の先端角度が25°以上40°以下であり、且つ、当該突起部の先端曲率半径は30mm以下に設計されることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
前記第2孔型に形成される突起部の先端曲率半径が20mm以下に設計される場合に、当該第2孔型における圧延造形1パス当たりの圧下量は最大180mmに設定されても良い。
前記第2孔型に形成される突起部の先端曲率半径が30mm以下に設計される場合に、当該第2孔型における圧延造形1パス当たりの圧下量は最大90mmに設定されても良い。
本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させると共に、その過程において素材幅を従来に比べて小さくし、突起部の形状を好適にすることで、従来に比べ圧延造形時のパス回数の低減を実現させ、フランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造することが可能となる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第5孔型(平造形孔型)の概略説明図である。 第2孔型における圧延造形の途中パスでの被圧延材の状態を示す概略説明図である。 第2孔型におけるウェッジ先端曲率半径Rと圧延荷重tの関係を示すグラフである。 第2孔型における1パス当たりのエッジング量と被圧延材の座屈量との関係を示すグラフである。 座屈量に関する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11である矩形断面素材(後の被圧延材A)がサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材のフランジ先端部(フランジ対応部12)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、エッジング孔型及びウェブ部分を減厚し、フランジ部分の形状を成形するいわゆる平造形孔型が刻設されており、これらを経由して複数パスのリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
ここで、加熱炉2から抽出されるスラブ11のスラブ厚Tは、例えば、240mm以上310mm以下の範囲内である。これは、一般的なH形鋼製品を製造する際に用いられるスラブ寸法である。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。図2〜図6は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第5孔型の5つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第5孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型が5つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも5孔型である必要はなく、5以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2〜図6では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
なお、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するために、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。また、突起部35、36の先端部角度は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じであることが圧延寸法精度上、好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。なお、ここで形成される割り込み38、39の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
また、図3に示す第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、この多パス造形では、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部35、36を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
但し、全てのパスにおいて接触していることが必要不可欠ではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ような構成でも良い。これは、第2孔型K2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。この角度θ2は例えば70°以上110°以下が好ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第3孔型K3での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部45、46を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(後述するフランジ部80に相当)の生成効率を低下させてしまうからである。
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。
また、図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、この多パス造形のうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触している必要がある。但し、全てのパスにおいて接触していることが望ましいのではなく、例えば最終パスのみ被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触し、スラブ端面圧下量ΔEが正の値となる(ΔE>0)ことが望ましい。これは、第4孔型K4での全てのパスにおいて被圧延材Aの上限端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
一方で、その他のパスにおいては、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において上記突起部55、56を除き孔型と被圧延材Aは接触しておらず、これらのパスにおいて被圧延材Aの積極的な圧下は行われない。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ部80の生成効率を低下させてしまうからである。
図6は第5孔型K5の概略説明図である。第5孔型K5は、一対の水平ロールである上孔型ロール85と下孔型ロール86から構成される。図6に示すように、第5孔型K5では、第4孔型K4までに造形された被圧延材Aが90°あるいは270°回転させられ、第4孔型K4までは被圧延材Aの上下端に位置していたフランジ部80が、圧延ピッチライン上に来るような配置となる。そして、第5孔型K5では、2か所のフランジ部80を繋ぐ接続部であるウェブ部82の圧下及びフランジ部80のフランジ先端部を圧下することでフランジ幅の寸法調整が行われる。このようにしていわゆるドッグボーン形状のH形粗形材(図1に示すH形粗形材13)が造形される。なお、この第5孔型K5はウェブ部82を圧下して減厚させることから、ウェブ減厚孔型あるいは平造形孔型とも呼称される。
このように造形されたH形粗形材13に対し、既知の圧延機である中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスのリバース圧延が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される(図1参照)。
上述したように、本実施の形態にかかる第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面をほぼ上下方向に圧下することなくH形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、フランジ幅の大きな最終製品(H形鋼)を製造することができる。
ここで、上記説明した第1孔型K1〜第4孔型K4を用いた造形方法において、特に第1孔型K1及び第2孔型K2における圧延造形では、原則として、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において孔型と被圧延材Aをできるだけ接触させずに、積極的な圧下を行わないものとしている。これは、圧下により被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせ、フランジ相当部(即ち、後のフランジ部80)の生成効率が低下するのを避けるためである。
即ち、第1孔型K1及び第2孔型K2における圧延造形は、当該孔型に形成される突起部25、26(あるいは突起部35、36)と被圧延材Aが接触することで行われる。図7は、第2孔型K2における圧延造形の途中パスでの被圧延材Aの状態を示す概略説明図であり、被圧延材Aの上半分を図示したものである。第2孔型K2における圧延造形は、途中のパスにおいて図7に示すような突起部35、36のみが被圧延材Aに接触している状態となっており、フランジ相当部をせん断変形によって2分割させることを目的としているために圧延荷重(圧延負荷)は極めて小さい。そのため、圧延荷重を大きく増大させることなく1パス当たりの圧下量を増やすことができる。なお、1パス当たりの圧下量(エッジング量)は、突起部25、26(あるいは突起部35、36)の先端形状(ウェッジ先端の曲率半径R)を好適にすることで適宜変更することが可能である。
本発明者らは、上述のように、第1孔型K1及び第2孔型K2では、突起部を除き、被圧延材Aと孔型はできるだけ接触せずに圧延造形が行われることから、圧延荷重を低減させて、従来に比べ1パスあたりの圧下量を大きな値として大圧下圧延とすることが可能となると考え、その結果、形状不良を引き起こすことなく、従来に比べパス回数の大幅な低減を図ることができるとの知見に至った。
このような知見に鑑み、本発明者らは、上述した孔型構成において実施される被圧延材Aに対するエッジング圧延に関し、特に第1孔型K1及び第2孔型K2での圧延造形に着目し、それぞれの孔型における圧延造形の好適な条件について鋭意検討を行った。なお、ここで着目した圧延造形の条件は、「圧下量(エッジング量)」と「突起部の先端部曲率半径R」であり、特に1パス当たりの圧下量(エッジング量)が重要となる。以下、好適な圧延造形の条件について説明する。
先ず、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法において、第2孔型K2でのウェッジ先端曲率半径Rと圧延荷重tとの関係について検証を行った。図8は、第2孔型K2におけるウェッジ先端曲率半径Rと圧延荷重tの関係を示すグラフである。ここで、図8のグラフは、1800幅×300厚のスラブを素材とし、第2孔型K2のウェッジ角度を30°、1パス当たりの圧下量を180mmとした時に、ウェッジ先端曲率半径Rを10mm、20mm、30mmとして複数パス圧延(1パス〜5パス)を実施した際の圧延荷重tの変化を示したものである。
図8に示すように、ウェッジ先端曲率半径Rを変えることで圧延荷重は変動しており、例えば第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを小さくするほど圧延荷重tが低減していることが分かる。即ち、第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを小さくするほど圧延負荷を抑えて圧延造形を実施することができるため、圧下量を大きくとることができる。但し、ウェッジ先端曲率半径Rには設備的な下限値が存在し、例えば5mm未満とするとロール損傷が懸念されるため、5mm以上とすることが好ましい。
なお、従来のH形鋼製品の製造での粗圧延工程では、例えば圧下量65mmで約300t程度の圧延荷重が負荷されており、それと比較し、図8に示す圧下量180mmで圧延荷重tの値は約350t〜500tとなっており、本発明の条件では圧延荷重が低減されていることが分かる。
また、図9は、第2孔型K2における1パス当たりのエッジング量と被圧延材Aの座屈量との関係を示すグラフである。なお、図9のグラフは1800幅×300厚のスラブを素材とし、第2孔型K2のウェッジ角度を30°、1パス当たりの圧下量(エッジング量)を180mmとした時に、ウェッジ先端曲率半径Rを10mm、20mm、30mmとして複数パス圧延(1パス〜5パス)を実施した際(図中、スプリット法R10、R20、R30)のデータである。また、図9には、従来の粗圧延工程におけるエッジング圧延(従来法R20)での被圧延材の座屈量も記載している。
また、図10は、座屈量に関する説明図である。図10に示すa−bの絶対値(=|a−b|)が座屈量である。なお、図10に示すような被圧延材Aの座屈は、通常、被圧延材Aの長手方向非定常部において発生・成長しやすく、且つ、圧延の蹴出し端部において成長し易いことが知られている。
図9に示す座屈量は、この数値が大きくなると後段プロセスにおいてフランジ部80の4点肉量にバラツキが生じ、寸法精度が低下し、圧延続行が不可能となる恐れがある。
図9に示すように、従来の粗圧延工程では、圧下力が被圧延材の中心部に及ぶ範囲が広く、温度変動や噛み込み変動等による微小な非対称影響を受け易いといった要因により、1パス当たりの圧下量が約60mmを超えると、急激に寸法精度が低下する(座屈量が増加する)といった特徴が見受けられる。
一方で、本実施の形態に係る技術において第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを10mm、20mmとした場合には、エッジング圧延による圧下浸透効果が小さいために、耐座屈安定性が極めて高くなり、座屈量は低い値で推移している。具体的には、1パス当たりのエッジング量が180mmである場合でも、座屈量は低く推移し、形状悪化は見られないため、安定的な圧延が実施可能であることが分かる。
また、本実施の形態に係る技術において第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを30mmとした場合には、1パス当たりのエッジング量が90mmを超えると、座屈量が増加し、形状悪化が顕著となる。
なお、座屈量は例えば30mm以内であれば許容範囲内とされる。上述したように、図8に示す圧延荷重tの変化は、スラブ厚が300mmである場合の結果を示すものであり、例えばウェブ高さ1000mm以上、フランジ幅400mm以上といった大型の最終製品を製造する際には、スラブ厚は製品厚みの20mm程度にまで圧下(即ち、トータル延伸15倍程度の圧下)が行われる。ここで、エッジング圧延ではスラブ厚はほとんど変化しないため、スラブ厚の圧下は主にエッジング仕上がり以降の工程で行われる。
一方で、座屈量に相当する製品の偏りの公差は例えば4mm程度であることから、粗造形段階(粗圧延段階)での公差限界のばらつきは約60mm(4mm×15倍)と考えられる。この値に工程能力を見込んで、例えば工業生産として許容できる座屈量を30mm以下に設定される。
以上図9を参照して説明したことから、本実施の形態に係る技術において第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rが20mm以下である場合、座屈量を低く抑え安定的な圧延を行うに際し、1パス当たりの圧下量は最大180mmまで拡大して任意に設定可能であることが分かる。
また、第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rが30mm以下である場合、座屈量を低く抑え安定的な圧延を行うためには、1パス当たりの圧下量は最大90mmまで拡大して設定することが必要であることが分かる。
即ち、従来の粗圧延工程では、1パス当たりの圧下量が約60mmを超えると、急激に寸法精度が低下するといった理由から、1パス当たりの圧下量を60mm超に増やすことは困難であったのに対し、本実施の形態に係る技術では、第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを20mm以下とすることで1パス当たりの圧下量を最大180mmまで拡大して設定することが可能となる。更には、第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを30mm以下とすることで1パス当たりの圧下量を最大90mmまで拡大して設定することが可能となる。これにより、1パス当たりの圧下量を増大させることで、圧延造形時のパス回数の低減等の効率化が図られる。
第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rは、上述したように、1パス当たりの圧下量を最大180mmまで拡大して設定するといった観点からは、20mm以下とすることが好ましい。但し、図9に示すように、本実施の形態に係る技術において第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを30mmとした場合であっても、1パス当たりの圧下量を最大90mmまで拡大して設定する際に座屈量の低減効果が見られることから、第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rは30mm以下としても良い。
ここで、第1孔型K1での圧延造形後に第2孔型K2での圧延造形が実施されることに鑑み、第1孔型K1のウェッジ先端曲率半径Rに比べ第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを小さくすることで、第2孔型K2での圧延造形におけるせん断効果が高まり、圧延荷重が更に低減されることが見込まれる。例えば、第1孔型K1におけるウェッジ先端曲率半径Rを30mmとし、第2孔型K2におけるウェッジ先端曲率半径Rを20mmに設計することで、圧延荷重の低減が図られる。
従来のH形鋼の製造技術においては、本実施の形態に係る方法のように、せん断変形を主とする圧延造形を採用しておらず、スラブ幅方向全体を圧下していたために、当該圧下がスラブ中央方向に浸透し、例えばスラブ非定常部(特に圧延蹴出し端)の座屈や、ウェブの増厚が問題となっていた。このような問題に起因し、従来の1パス当たりの圧下量の限界(圧延限界)は約70mm未満とされていた。
しかしながら、図8、9を参照して分かるように、本実施の形態に係る方法によれば、第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを20mm以下とした場合には、1パス当たりの圧下量を最大180mmとしても座屈量は増大せず、圧延荷重を小さく抑えることができ、安定して有効な圧延造形が実施できる。また、1パス当たりの圧下量を最大180mmとした場合であっても、圧延荷重は約500t以下に抑えられていることが分かるため、1パス当たりの圧下量を最大180mm且つ圧延荷重500t以下との条件でもって圧延造形を実施することが可能となる。
以上説明したように、上述した孔型構成において実施される被圧延材Aに対するエッジング圧延に関し、特に第1孔型K1及び第2孔型K2での圧延造形では、第1孔型K1におけるウェッジ先端曲率半径Rよりも第2孔型K2におけるウェッジ先端曲率半径Rを小さい値とすることが望ましい。
また、従来は約70mm未満が限界値であった1パス当たりの圧下量に関しても、本実施の形態に係る方法においては、1パス当たりの圧下量を最大180mmとすることができ、パス回数の低減を図ることが圧延能率上望ましいといった観点から、1パス当たりの圧下量はなるべく大きい値とすることが望ましい。なお、1パス当たりの圧下量の具体例は、後述する実施例に記載している。
以上説明した、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法によれば、第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面の圧下量を最小限に抑えて、H形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、例えばウェブ高さ1000mm以上、フランジ幅400mm以上といった大型の最終製品(H形鋼製品)を製造することができる。
更に、上述したように、第1孔型K1のウェッジ先端曲率半径Rに比べ第2孔型K2のウェッジ先端曲率半径Rを小さくする(例えば30mm以下)ことで、圧延荷重の低減を図り、1パス当たりの圧下量を最大で180mmまで拡大して設定したとしても、問題無く圧延造形を実施することが可能となる。また、1パス当たりの圧下量を大きくとれるため、従来に比べパス回数の低減を図ることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4の4つの孔型を用いて被圧延材Aの造形を行い、その後、第5孔型K5を用いて平造形圧延を行う技術を説明したが、粗圧延工程を実施する孔型数はこれに限られるものではなく、第1孔型K1〜第4孔型K4に示す圧延造形工程を更に多くの孔型を用いて実施しても良い。即ち、上記実施の形態に示した孔型構成は一例であり、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。
本発明の実施例として、以下のような検証を行った。先ず、比較例1として、従来のスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法でもって第1孔型〜第3孔型(G1〜G3)において圧延造形を行った場合のパススケジュールの一例を表1に示す。なお、比較例1では2300mm幅のスラブを素材として、ウェブ高さが1200mmになるまで圧延造形を行っており、1パス当たりの圧下量は60mm以下にとどまっている。従来の粗圧延方法の一例としては、例えば特許第3457362号に記載したようなエッジング圧延による被圧延材の幅拡がりを利用した方法が挙げられる。このような方法では、孔型内における被圧延材の誘導性が乏しいため、1パス当たりの圧下量は60mm以下に留めざるを得ないといった事情がある。
表1に示す通り、比較例1では、所定のウェブ高さの被圧延材まで造形するのに、合計で21パスの圧延造形が必要となっている。
一方、実施例1として、上記実施の形態において説明した方法でもって第1孔型〜第3孔型(G1〜G3)において圧延造形を行った場合のパススケジュールの一例を以下の表2に示す。但し、表2のパススケジュールは、圧延造形のスケジュールにおいてオペレータが監視を行うことが必要であるといった観点から、パス数を全て偶数回数のパスとし、圧延機の前面において被圧延材のロール軸方向位置を変更できるような装置(例えばサイドガイド、マニプレータ等)を用いて変更させるようなスケジュール構成としたものである。なお、実施例1では、上記実施の形態で説明した通り、従来に比べ幅の小さいスラブから所定のウェブ高さの被圧延材を得ることができることから、2000mm幅のスラブを素材として、ウェブ高さが1200mmになるまで圧延造形を行っている。
表2に示すパススケジュールでは、上記実施の形態でも説明したように、1パス当たりの圧下量を大きくとることができるため、一部パスにおいて圧下量70mm以上で最大180mmとしている。そのため、所定のウェブ高さの被圧延材まで造形するのに、合計で12パスとなっている。
また、実施例2として、上記実施の形態において説明した方法でもって第1孔型〜第3孔型(G1〜G3)において圧延造形を行った場合のパススケジュールであって、被圧延材を圧延機の前後面の両方において転回させるようなスケジュール構成としたものを以下の表3に示す。なお、実施例2では、実施例1と同様の理由により、2000mm幅のスラブを素材として、ウェブ高さが1200mmになるまで圧延造形を行っている。
表3に示すパススケジュールでは、1パス当たりの圧下量を大きくとることができるため、一部パスにおいて圧下量70mm以上で最大180mmとしており、そのため、所定のウェブ高さの被圧延材まで造形するのに、合計で9パスとなっている。
表1の比較例1と表2及び表3の実施例1、2を比べると、先ず、第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形を採用していることで、素材としてのスラブの幅を小さくすることができ、それによりパス回数の低減が実現されていることが分かる。加えて、比較例1に比べ実施例1、2では、1パス当たりの圧下量を大きくとることができているために、更なるパス回数の低減が実現されていることが分かる。
また、上記実施の形態に係るH形鋼の製造方法においては、粗圧延造形された被圧延材Aのフランジ部80の形状が、従来の製造方法における平孔型造形前のフランジ部の形状に比べ、製品フランジの形状に近い形状である。これは、素材として用いる矩形断面の素材(スラブ)の端部形状を変えることなく、割り込みを入れて造形した分割部位(フランジ部80)を折り曲げる加工を行うといった造形技術を採用していることに起因する。
そのため、従来の製造方法に比べ、フランジ部80にメタルフローを流入させるためのウェブ厚の薄肉化が顕著に求められない。
ウェブ厚の薄肉化は、主に平造形孔型(上記実施の形態に係る第5孔型K5)において行われるが、ここでは、その平孔型造形のパススケジュールの具体的な例を比較例2、実施例3として記載する。
以下の表4に示す比較例2は、平造形孔型(G4)において300厚スラブを素材とした場合の、ウェブ厚300mmの被圧延材をウェブ厚70mmまで減厚させる場合のパススケジュールの一例である。表4に示すように、特に後段パスにおいてはウェブ圧下率が高くなるために反力が増大し、1パス当たりの圧下量を少なくせざるを得ず、例えば1パス当たりの圧下量が5mm程度となる。そのためにパス回数が増え、表4のスケジュールでは17パスとなっている。
一方、以下の表5に示す実施例3は、平造形孔型(G4)において300厚スラブを素材とした場合の、ウェブ厚300mmの被圧延材をウェブ厚100mmまで減厚させる場合のパススケジュールの一例である。表5に示すスケジュールは、上記実施の形態に係るH形鋼の製造方法を採用した場合の平造形圧延であり、ウェブ厚を70mmまで減厚させることは求められていない。そのため、パス回数は12パスに留まっている。
以上、表1〜表5に比較例1、2及び実施例1〜3に係るパススケジュールの具体例を示した。これによれば、従来のスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法を採用すると、比較例1と比較例2を加えたパス回数である38パスが必要とされる。一方、上記実施の形態で説明した本発明に係るH形鋼の製造方法を採用すると、実施例1と実施例3を加えたパス回数である24パス、あるいは実施例2と実施例3を加えたパス回数である21パスで粗圧延工程が完了できることが分かる。この結果から、本発明に係るH形鋼の製造方法によれば、従来に比べ圧延造形時のパス回数の低減を実現させ、フランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造することができることが示される。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
82…ウェブ部
85…上孔型ロール(第5孔型)
86…下孔型ロール(第5孔型)
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
K5…第5孔型(平造形孔型)
T…製造ライン
A…被圧延材

Claims (3)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    矩形断面素材に対し前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する4以上の複数の孔型が刻設され、
    当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
    前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が形成され、
    前記第2孔型における造形では、前記第1孔型において形成された割り込みの深さを深くする造形が行われ、
    前記複数の孔型のうち第3孔型以降では前記割り込みによって成形された分割部位を順次折り曲げる工程が行われ、
    前記第2孔型に形成される突起部の先端角度が25°以上40°以下であり、且つ、当該突起部の先端曲率半径は30mm以下に設計されることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
  2. 前記第2孔型に形成される突起部の先端曲率半径が20mm以下に設計される場合に、当該第2孔型における圧延造形1パス当たりの圧下量は最大180mmに設定されることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記第2孔型に形成される突起部の先端曲率半径が30mm以下に設計される場合に、当該第2孔型における圧延造形1パス当たりの圧下量は最大90mmに設定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。
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