JP2017121654A - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造すると共に、粗圧延工程での平造形孔型を用いた造形において形状不良を生じさせずに通材性の向上を図る。
【解決手段】複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成され、最終孔型を除く第3孔型以降には、割り込みに当接し、形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成され、且つ、最終孔型を除く第3孔型以降の最後の孔型には、折り曲げられた当該分割部位の先端部内側側面に直線形状の平坦部を形成させる水平部分が突起部の両端に接続して設けられ、最終孔型は平造形孔型であり、当該平造形孔型における圧延造形において、少なくとも最終パスでは、分割部位の先端部内側側面に形成された平坦部が当該平造形孔型の孔型側壁に面接触して行われる。
【選択図】図8

Description

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する方法として種々の技術が創案されている。例えば特許文献1には、矩形断面素材に対し、ボックス孔型間のロールカラー部に形成された割り入れ突部を用いて素材端部に溝を入れ、ボックス孔型と割り入れ突部を併用して大サイズの粗形鋼片(ドッグボーン形状素材)を得る技術が開示されている。
また、例えば特許文献2には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせエッジング圧延を行い、それ以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が開示されている。
特開昭60−21101号公報 特開平7−88501号公報
近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれている。特にH形鋼の強度・剛性に大きく寄与するフランジを従来に比べて広幅化した製品が望まれている。フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造するためには、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形する必要がある。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、割り込みを入れたスラブ等の素材に対して、特に割り込み形状の変遷等を経ずに、即座に底面がフラット形状のボックス孔型によってエッジング圧延を行い、フランジ相当部を造形しており、このような方法では被圧延材の形状を急激に変化させることに伴う形状不良が生じやすい。特に、このような造形における被圧延材の形状変化は、被圧延材とロールとの接触部の力と、被圧延材の曲げ剛性との関係によって定まるものであり、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼を製造する場合には形状不良がより生じやすいといった問題がある。
また、例えば上記特許文献2に開示されている技術では、スラブ等の素材の端面(スラブ端面)に割り込みを入れ、当該端面をエッジングし、その幅拡がりを利用して粗圧延を行う方法では、フランジの広幅化に限界がある。即ち、従来の粗圧延方法においてフランジの広幅化を図るためにはウェッジ設計(割り込み角度の設計)、圧下調整、潤滑調整といった技術により幅拡がりの向上が図られるが、いずれの方法もフランジ幅に大幅に寄与するものではないため、エッジング量に対するフランジ幅の拡がり量の比率を示す幅拡がり率は、エッジングの初期段階の効率が最も高い条件でも0.8程度であり、同一孔型でエッジングを繰り返す条件では、フランジ幅の拡がり量が大きくなるにつれて低下し、最終的には0.5程度になることが知られている。また、スラブ等の素材自体を大型化し、エッジング量を大きくすることも考えられるが、粗圧延機の設備規模や圧下量等には装置限界があるため十分な製品フランジの広幅化が実現されないといった事情がある。
また、フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造する際には、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形するために、粗圧延工程やその後の圧延工程において従来にはなかった形状不良等の問題点があることが懸念され、その解消方法の実現が求められている。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造すると共に、粗圧延工程での平造形孔型を用いた造形において形状不良を生じさせずに通材性の向上を図ることが可能なH形鋼の製造技術を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する5以上の複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成され、前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降には、前記割り込みに当接し、形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成され、且つ、前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降の最後の孔型には、折り曲げられた当該分割部位の先端部内側側面に直線形状の平坦部を形成させる水平部分が突起部の両端に接続して設けられ、前記複数の孔型のうち最終孔型は平造形孔型であり、当該平造形孔型における圧延造形において、少なくとも最終パスでは、前記分割部位の先端部内側側面に形成された平坦部が当該平造形孔型の孔型側壁に面接触して行われることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降の最後の孔型に形成される突起部の先端角度は130°以上170°以下であっても良い。
前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降の最後の孔型における圧延造形は、複数パスで行われても良い。
前記平造形孔型での圧延造形は、前記分割部位に相当する被圧延材のフランジ部において、フランジ片幅とフランジ厚との比Iが1.30以上である場合に、当該フランジ部のフランジ幅圧下率を10%以上として行われても良い。
本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造すると共に、粗圧延工程での平造形孔型を用いた造形において形状不良を生じさせずに通材性の向上を図ることができる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第5孔型(平造形孔型)の概略説明図である。 第4孔型での造形後の被圧延材に対し、第5孔型を用いてウェブ部の厚み圧下を含む造形を実施した場合の説明図である。 第4孔型において、フランジ部と孔型ロールとの接触面の形状を改良した場合の概略説明図である。 フランジ先端側面部が形成された被圧延材の第5孔型での圧延造形の様子を示す概略説明図である。 フランジ先端側面部の圧延造形を詳細に示す概略拡大説明図である。 第5孔型でのフランジ部の圧下率と、第5孔型での造形後にフランジ部の外側面に生じる疵の深さとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aがサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(後述するフランジ部80)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して10数パス程度のリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。図2〜図6は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第5孔型の5つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型が5つの場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも5孔型である必要はなく、5以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2〜図6では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2孔型K2の概略説明図である。第2孔型K2は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
なお、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するために、後段の第2孔型K2のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。また、突起部35、36の先端部角度は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じであることが圧延寸法精度上、好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2の方が長くなる。第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。なお、ここで形成される割り込み38、39の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
また、第2孔型K2での造形は多パスにより行われるが、当該多パス造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bとが接触するような造形が行われる。これは、第2孔型K2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80に対応する部位)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
図4は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部45、46の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。この角度θ2は例えば70°以上110°以下が好ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図4に示すように、第3孔型K3では、第2孔型K2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2において形成された割り込み38、39が、突起部45、46が押し当てられることにより、割り込み48、49となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み48、49の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
また、図4に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
図5は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部45、46の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み58、59となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。
図5に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
図6は第5孔型K5の概略説明図である。第5孔型K5は、一対の水平ロールである上孔型ロール85と下孔型ロール86から構成される。図6に示すように、第5孔型K5では、第4孔型K4までに造形された被圧延材Aが90°あるいは270°回転させられ、第4孔型K4までは被圧延材Aの上下端に位置していたフランジ部80が、圧延ピッチライン上に来るような配置となる。そして、第5孔型K5では、2か所のフランジ部80を繋ぐ接続部であるウェブ部82の圧下及びフランジ部80のフランジ先端部を圧下することでフランジ幅の寸法調整が行われる。このようにしていわゆるドッグボーン形状のH形粗形材(図1に示すH形粗形材13)が造形される。なお、この第5孔型K5はウェブ部82を圧下して減厚させることから、ウェブ減厚孔型あるいは平造形孔型とも呼称される。なお、この平造形孔型(第5孔型K5)における圧延造形は、1又は任意の複数パスで行われる。
このように造形されたH形粗形材13に対し、既知の圧延機である中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスのリバース圧延が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される(図1参照)。
上述したように、本実施の形態にかかる第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面をほぼ上下方向に圧下することなくH形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、フランジ幅の大きな最終製品(H形鋼)を製造することができる。
ここで、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法においては、上述した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aのフランジ部80の形状が、従来の製造方法における平孔型造形前のフランジ部の形状に比べ、製品フランジの形状に近い形状である。これは、素材として用いる矩形断面の素材(スラブ)の端部形状を変えることなく、割り込みを入れて造形した分割部位(フランジ部80)を折り曲げる加工を行うといった造形技術を採用していることに起因する。
また、このような造形技術に代表されるH形鋼の圧延造形技術では、第5孔型K5(平造形孔型)において、フランジ部80に対する圧下率に比べウェブ部82の圧下率が相対的に大きい。これは、第5孔型K5までの圧下造形において被圧延材Aのウェブ部82に相当する部分の圧下が行われないことに起因する。
本発明者らの検証によれば、上記説明した第5孔型K5(平造形孔型)でのウェブ部82の圧下及びフランジ部80の先端部圧下においては、上述した「フランジ部80の形状が、従来の製造方法における平孔型造形前のフランジ部の形状に比べ、製品フランジの形状に近い」といった理由や、「フランジ部80に対する圧下率に比べウェブ部82の圧下率が相対的に大きい」との理由により、被圧延材A(特にフランジ部80)の寸法精度や通材性に問題点が存在することが分かった。
そこで、本発明者らは、これらの問題点を検証すると共に、上述した素材として用いる矩形断面の素材(スラブ)の端部形状を変えることなく、割り込みを入れて造形した分割部位(フランジ部80)を折り曲げる加工を行うといった造形技術において当該問題点を解消することが可能な技術について更なる検討を行った。以下、上記問題点ならびに検討した内容について図面を参照して説明する。
先ず、本実施の形態に係る第1孔型K1〜第4孔型K4を用いた造形方法において、第4孔型K4での造形後、第5孔型K5(平造形孔型)を用いた際の寸法精度や通材性に関する問題点について説明する。
図7は、第4孔型K4での造形後の被圧延材Aに対し、上記第5孔型K5を用いてウェブ部82の厚み圧下を含む複数パスでの造形を実施した場合の説明図であり、(a)は圧延造形の前半パスでの定常部の概略断面形状、(b)は圧延造形の後半パスでの定常部の概略断面形状を示している。なお、図7においては、フランジ部80の形状変化の様子を示すためにフランジ部80を拡大するように被圧延材Aの一部を拡大して図示している。
図7に示すように、本実施の形態に係る第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aに対し、第5孔型K5では、ウェブ部82の圧下率がフランジ部80の圧下率に比べ相対的に大きい。そのため、ウェブ部82減厚時にウェブ高さ方向(平造形孔型の側壁方向)へのメタルの拡がり(メタルフロー)が生じる。このような場合、図7(a)に示すように、フランジ部80と第5孔型K5の孔型ロールとの最初の接触開始位置が局部的な範囲(図7(a)中の破線で示す部分)に限定されてしまう。これにより、フランジ部80の外面のロール側壁との接触幅がフランジ先端部分に限定されるために面圧が高くなると共に、フランジ中央部方向へのすり下げ疵の発生原因をつくり易い条件となってしまう。
また、図7(b)に示すように、フランジ部80が平造形孔型90外側に押し付けられると同時に、フランジ部80の先端部がプルダウンによってロールから離れてしまい、フランジ先端部が内側に張り出してしまうといった現象(いわゆるオーバーハング)が生じやすい。一旦張り出しが発生すると、次工程であるユニバーサル圧延(中間圧延)にて、フランジ内側にすり下げ疵を発生させてしまう可能性が極めて高い。更には、ウェブ部82の厚み圧下量が大きくなると、フランジ部80へのメタルフローが大きくなり、フランジ部80の折れ曲がりといった形状不良も懸念される。また、フランジ部80の形状の変化が大きいために、圧延時の通材性が悪化し、寸法精度の悪化が懸念される。
このような図7を参照して説明した問題点は、従来よりもフランジ片幅が大きい(高い)H形鋼製品を製造する場合にはより顕著となる。これは、素材のスラブ厚に対して造形されるフランジ片幅が大きければ大きい程、フランジ部80全体の曲げ変形が起こり易く、フランジ部80の先端部に変形が集中する傾向があるためである。
以上、図7を参照して説明したように、本実施の形態に係る第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aに対し、第5孔型K5では、ウェブ部82の圧下率がフランジ部80の圧下率に比べ相対的に大きい圧延造形が行われるため、種々の問題点が懸念される。このような問題点に鑑み、本発明者らは、第4孔型K4の孔型形状と第5孔型K5の孔型形状との関係性に着目し、特に第4孔型K4の孔型形状を好適なものとすることで、寸法精度や通材性の悪化といった問題点を解決し、効率的な圧延造形が実施可能であるとの知見を見出した。以下、本知見について説明する。
図8は、上記説明した第4孔型K4において、フランジ部80と孔型ロールとの接触面の形状を改良した場合の概略説明図であり、第4孔型K4’として図示している。図8(a)は被圧延材Aの折り曲げ造形前を示しており、図8(b)は被圧延材Aの折り曲げ後を示している。なお、図8に示す第4孔型K4’において、図5に示した第4孔型K4と共通の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付してその説明は省略する。
図8に示すように、第4孔型K4’の孔型ロールの周面には、突起部55、56の両端(突起部傾斜面の両端)に位置する直線形状の水平部分100が形成されている。これら水平部分100は、所定の長さを有しており、図8(b)に示すように、フランジ部80の折り曲げ造形終了時に、当該フランジ部80の先端部内側側面(H形鋼製品におけるフランジ外側面の先端部に相当)が当接し、圧延ピッチラインに対し水平な直線形状(平坦形状)のフランジ先端側面部80aが形成される。ここで、第4孔型K4’のウェッジ角度θ3は例えば130°以上170°以下であることが好ましい。
また、水平部分100と被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bとがなす角度θf1は、4箇所とも約90°(略直角)としても良いが、ロール摩耗に伴うロール回復(ロール修復)の利便性に鑑み、例えば約90°+5°〜10°としても良い。
第4孔型K4’での圧延造形によれば、図8(b)に示すように、フランジ部80の先端部に圧延ピッチラインに対し水平な形状のフランジ先端側面部80aが形成された状態で圧延造形が完了する。そして、第4孔型K4’での圧延造形が完了した後、第5孔型K5においてウェブ部82の圧下及びフランジ部80の先端部を圧下することでフランジ幅の寸法調整が行われる。このようにしていわゆるドッグボーン形状のH形粗形材が造形される。なお、図8に示す第4孔型K4’での圧延造形は、少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4’の上面50a、50b及び底面51a、51b)が接触した状態で行われる。加えて、図8(b)に示すように、フランジ部80の先端部にフランジ先端側面部80aを形成させるにあたり、当然、当該フランジ先端側面部80aが第4孔型K4’の孔型ロールの水平部分100に接触するように圧延造形が行われる。
また、第4孔型K4’での圧延造形において、被圧延材Aのセンタリング性を担保するといった観点から、図8(a)に示すように、折り曲げ造形前のフランジ部80が第1パスにおいて突起部55、56のテーパー形状部分(即ち、突起部傾斜面)に接触するような圧延造形が行われる必要がある。即ち、第4孔型K4’での折り曲げ造形開始時において、フランジ部80が上記水平部分100から先に接触してしまうといった条件では圧延造形は行われない。
具体的には、第3孔型K3で圧延造形された被圧延材Aの割り込み48、49の割り込み幅(最終パスでの割り込み48、49の最大箇所での幅)をL1としたときに(図4参照)、第4孔型K4’の突起部55、56の投影幅(突起部の根元幅)L2が、当該L1よりも広幅となるような孔型設計とされれば良い。なお、このような条件に鑑み、第3孔型K3のウェッジ角度θ2は70°以上110°以下であることが好ましく、且つ、第4孔型K4’のウェッジ角度θ3は例えば130°以上170°以下であることが好ましい。
このとき、フランジ部80にフランジ先端側面部80aが形成されていることで、第5孔型K5での孔型ロールへの被圧延材Aの当接過程が図6、7を参照して上述した場合と異なるものとなる。即ち、被圧延材Aが90°あるいは270°回転させられることで、フランジ先端側面部80aが圧延ピッチラインに対し略鉛直方向となるような姿勢で第5孔型K5での圧延造形が行われる。
以下では第4孔型K4’で圧延造形された被圧延材Aに対する第5孔型K5での圧延造形について図9、10を参照して説明する。
図9は、上記第4孔型K4’で圧延造形され、フランジ先端側面部80aが形成された被圧延材Aの第5孔型K5での圧延造形の様子を示す概略説明図である。なお、図9において、図6を参照して上記説明した各構成要素に関し共通の機能構成を有するものについては、同一の符号を付して図示し、その説明は省略する。
また、図10はフランジ先端側面部80aの圧延造形をより詳細に示す概略拡大説明図であり、第5孔型K5での圧延前の形状(図中破線)と圧延後の形状(図中実線)を併せて図示している。
図9、10に示すように、第4孔型K4’で圧延造形され、フランジ先端側面部80aが形成された被圧延材Aは、第5孔型K5においてウェブ部82減厚時にウェブ高さ方向(平造形孔型の側壁方向)へのメタルの拡がり(メタルフロー)があったとしても、フランジ部80の角度が第5孔型K5の孔型ロールの側壁の角度に近いことから、接触後、直ちにロール形状になじみ易く、より早い段階で、フランジ先端側面部80aが第5孔型K5の側壁に面接触することになる。これにより、図7を参照して説明した通材性や寸法精度の悪化を抑制・回避することが可能となり、第5孔型K5における圧延造形の安定化が図られる。特に、従来よりもフランジ片幅が大きい(高い)H形鋼製品を製造する場合には、その作用効果はより顕著となる。
なお、このような第5孔型K5での圧延造形が複数パスで行われる場合には、上述したフランジ先端側面部80aが第5孔型K5の側壁に面接触するような圧延造形は少なくとも最終パスを含む1パス以上で実施される。
次に、本発明者らは、上記第4孔型K4’を用いて圧延造形を行うべきであり、本発明技術の対象となる素材の厚み(スラブ厚)や、製品フランジ幅に関して検討を行った。以下、本検討について説明する。
図8に示す第4孔型K4’において、従来よりフランジ幅(フランジ片幅)の大きなH形鋼製品を製造する場合に、少なくとも1パス以上の圧延造形においてフランジ部80の先端部が孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと接触した状態で当該圧延造形は行われる。本発明者らは、この第4孔型K4’で圧延造形された被圧延材Aについて、特にフランジ部80の変形の形態に関しては、第5孔型K5における変形でのフランジ片幅とフランジ厚との比I(I=フランジ片幅/フランジ厚)の値に応じて変形形態が異なることに鑑み、本発明技術を適用すべき素材の条件や、第4孔型K4’の圧延条件について検討を行った。
なお、本実施の形態において、第5孔型K5の変形でのフランジ片幅とフランジ厚との比Iは、図6に示すように、1箇所のフランジ部80の片幅(フランジ片幅)と当該フランジ部80の厚み(フランジ厚)との比で規定される。
例えば非特許文献「昭和53年塑性加工春季講演会(1978.5.17〜19広島)、209〜210頁」に記載されているように、矩形断面の被圧延材に係る圧延による変形形態(変形モード)は主にシングルバルジングと呼ばれる形態と、ダブルバルジングと呼ばれる形態に大別される。これらの知見に基づいて、H形鋼のフランジ部に着目し、上記非特許文献に記載のロール径、圧下率、板幅、板厚をそれぞれH形鋼の通常の製造条件に適用した場合、これらシングルバルジングとダブルバルジングとの境界は、矩形断面材の上記フランジ片幅とフランジ厚との比I(以下、単にIとも記載)の値が約1.30である場合となることが知られており、Iが1.30を超えると圧延による変形が被圧延材の端部に集中してダブルバルジング形状となり、Iが1.30以下であると圧延による変形が被圧延材の中央に集中してシングルバルジング形状となる。
本実施の形態に係るフランジ部80に適用すると、フランジ部80の形状が上記ダブルバルジング形状となった場合、フランジ部80の先端において局部的な増厚が引き起こされ、その状態で平造形孔型(第5孔型K5)による圧延造形を行うと、増厚箇所に疵が発生し、形状不良、寸法精度不良といった問題が生じる恐れがある。
従って、Iが1.30を超えるようなフランジ部80に対しては、図8に示す第4孔型K4’を適用して粗圧延を実施することで、生じる恐れのあるフランジ部80先端の疵を抑制することが可能となり、また、フランジ部の不均一変形といった形状不良を抑制して、安定的且つ効率的な圧延造形が実施可能となる。
上述した条件を具体的な素材の厚み(スラブ厚)ならびに、所望するフランジ幅のH形鋼製品に適用して、その一例を挙げる。
表1は、素材の厚み(一般的に知られるスラブ厚)が250mm、300mmであり、製造されるH形鋼のフランジ幅が300mm、400mm、500mm、600mmである場合のIの値を示すものである。なお、本実施の形態に係る圧延造形では、スラブエッジング造形後にフランジ部80の形状として製品フランジ形状に近い形状が得られることから、積極的なフランジ幅の圧下は行われない。このため、粗圧延後のフランジ片幅とH形鋼製品のフランジ片幅はほぼ等しく、粗圧延後のフランジ部80の片幅は、製造されるH形鋼のフランジ幅の半分の値150mm、200mm、250mm、300mmと考えればよい。
表1に示すように、本実施の形態に係る圧延造形技術では、スラブ厚に割り込みを入れて、分割部位を折り曲げる造形法を採用しているため、スラブ厚のおよそ1/2がそのまま粗圧延後の仕上がりフランジ厚となるため、250mm厚の素材から製品フランジ幅400mm、500mm、600mmのH形鋼製品を製造する場合には、Iが1.30を超えた値となっている。また、300mm厚の素材から製品フランジ幅400mm、500mm、600mmのH形鋼製品を製造する場合にも、Iが1.30を超えた値となっている。即ち、このような条件下においてH形鋼を製造する場合には、本実施の形態に係る第4孔型K4’を用いた粗圧延を適用することが望ましく、フランジの広幅なH形鋼製品の製造により有効であることが分かる。
更に本発明者らは、上記表1に示す条件のうち、Iが1.30超である場合において、第5孔型K5までの粗圧延を実施した段階でフランジ部80の外側面に疵が生じる場合があることに着目し、当該疵の深さについて調査し、その疵深さと第5孔型K5でのフランジ部80の圧下率との関係に基づき、好適な圧下率を求めた。
図11はIが1.30超である場合に、上記第4孔型K4’を用いた粗圧延工程を行う、その際の第5孔型K5でのフランジ部80の圧下率(フランジ幅圧下率(%))と、第5孔型K5での造形後にフランジ部80の外側面に生じる疵の深さ(疵深さ(mm))との関係を示すグラフである。
なお、H形鋼の製造における粗圧延工程で被圧延材に生じる疵深さの許容値は、一般的に約0.3mm程度であることが知られており、疵深さ約0.3mm以下であれば、その後の中間圧延、仕上げ圧延等の工程にて疵の消去等を行うことが可能である。
図11に示すように、Iが1.30超であり、上記第4孔型K4’を用いた粗圧延工程を行い、続いて第5孔型K5での圧延造形を行った場合に、第5孔型K5でのフランジ部80の幅圧下率が20%以下の範囲内においては、当該幅圧下率を大きくとる程、生じる疵の深さは浅くなることが分かる。これは、ウェブ圧下率に対して、フランジ幅圧下率を大きくすることで、ウェブ高さ方向への拡がり変形量を抑える効果があるためであり、本発明に係る孔型形状の改良技術と併せて疵発生の抑制に対し、大きな効果が有ることを示している。特に、上述した疵深さの許容値である約0.3mm以下との条件を満足させるためには、フランジ幅圧下率を10%以上とすることが望ましいことが分かる。
即ち、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法において、表1を参照して説明したIが1.30超となるような素材の厚み、フランジ幅のH形鋼製品寸法を満たすような条件下において、フランジ幅圧下率を10%以上とすることでフランジ部80に生じる疵深さを許容値以下(0.3mm以下)とすることが可能となり、フランジ部80先端の疵を抑制し、安定的且つ効率的な圧延造形が実施可能となる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4’の4つの孔型を用いて被圧延材Aの造形を行い、その後、第5孔型K5を用いて平造形圧延を行う技術を説明したが、粗圧延工程を実施する孔型数はこれに限られるものではなく、第1孔型K1〜第4孔型K4’に示す圧延造形工程を更に多くの孔型を用いて実施しても良い。即ち、上記実施の形態に示した孔型構成は一例であり、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。
また、H形鋼を製造する際の素材としてはスラブを例示して説明したが、類似形状のその他素材についても本発明は当然適用可能である。即ち、例えばビームブランク素材を造形してH形鋼を製造する場合にも適用できる。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2孔型)
31…下孔型ロール(第2孔型)
35、36…突起部(第2孔型)
38、39…割り込み(第2孔型)
40…上孔型ロール(第3孔型)
41…下孔型ロール(第3孔型)
45、46…突起部(第3孔型)
48、49…割り込み(第3孔型)
50…上孔型ロール(第4孔型)
51…下孔型ロール(第4孔型)
55、56…突起部(第4孔型)
58、59…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
80a…フランジ先端側面部
82…ウェブ部
85…上孔型ロール(第5孔型)
86…下孔型ロール(第5孔型)
90…平造形孔型
100…水平部分
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4、K4’…第4孔型
K5…第5孔型(平造形孔型)
T…製造ライン
A…被圧延材

Claims (4)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する5以上の複数の孔型が刻設され、
    当該複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
    前記複数の孔型のうち第1孔型及び第2孔型には、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成され、
    前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降には、前記割り込みに当接し、形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成され、且つ、前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降の最後の孔型には、折り曲げられた当該分割部位の先端部内側側面に直線形状の平坦部を形成させる水平部分が突起部の両端に接続して設けられ、
    前記複数の孔型のうち最終孔型は平造形孔型であり、当該平造形孔型における圧延造形において、少なくとも最終パスでは、前記分割部位の先端部内側側面に形成された平坦部が当該平造形孔型の孔型側壁に面接触して行われることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
  2. 前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降の最後の孔型に形成される突起部の先端角度は130°以上170°以下であることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記複数の孔型のうち最終孔型を除く第3孔型以降の最後の孔型における圧延造形は、複数パスで行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。
  4. 前記平造形孔型での圧延造形は、前記分割部位に相当する被圧延材のフランジ部において、フランジ片幅とフランジ厚との比Iが1.30以上である場合に、当該フランジ部のフランジ幅圧下率を10%以上として行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
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